JPWO2012008023A1 - 変異型ポリヒドロキシアルカン酸シンターゼ遺伝子及びこれを用いた脂肪族ポリエステルの製造方法 - Google Patents

変異型ポリヒドロキシアルカン酸シンターゼ遺伝子及びこれを用いた脂肪族ポリエステルの製造方法 Download PDF

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Abstract

ポリヒドロキシアルカン酸シンターゼにおける重合活性を向上させる置換変異を特定する。Alcanivorax borkumensis由来のポリヒドロキシアルカン酸シンターゼにおける17番目のヒスチジン残基、71番目のプロリン残基、131番目のバリン残基、205番目のメチオニン残基、230番目のロイシン残基及び239番目のプロリン残基からなる群から選ばれる少なくとも1つのアミノ酸残基を他のアミノ酸に置換変異する。

Description

本発明は、少なくとも1以上の置換変異を有する変異型ポリヒドロキシアルカン酸シンターゼ遺伝子、当該遺伝子が導入された組み換え微生物及びこれを用いた脂肪族ポリエステルの製造方法に関する。
脂肪族ポリエステルは、自然界で容易に分解される生分解性プラスチックとして、また糖や植物油などの再生可能な炭素資源から合成することができる“グリーン”プラスチックとして、注目されている。現在、脂肪族ポリエステルとしては、ポリ乳酸等の乳酸骨格を有するものが実用的に利用されている。
ポリ乳酸等の脂肪族ポリエステルを組み換え微生物を利用して製造する技術としては、例えば特許文献1(WO 2006/126796)に開示された技術が知られている。特許文献1には、宿主となる大腸菌に、乳酸を乳酸CoAに変換する酵素をコードする遺伝子及び乳酸CoAを基質としてポリヒドロキシアルカン酸を合成する酵素をコードする遺伝子を導入した組み換え大腸菌を開示している。特許文献1に開示された技術において、乳酸を乳酸CoAに変換する酵素をコードする遺伝子としては、Clostridium propionicum由来のpct遺伝子を使用している。また、同技術において、乳酸CoAを基質としてポリヒドロキシアルカン酸を合成する酵素をコードする遺伝子としては、Pseudomonas sp. 61-3株由来のphaC2遺伝子を使用している。
但し、特許文献1には、ポリ乳酸等の脂肪族ポリエステルの生産性が十分とは言えず、また当該生産性を向上させるために種々の検討が不十分である。例えば、特許文献2(WO 2008/062999)には、Pseudomonas sp. 6-19株由来のphaC1遺伝子に特定の変異を導入することで、乳酸CoAを基質として乳酸ホモポリマー又はポリ乳酸コポリマーの合成能を高めようとする試みが開示されている。また、特許文献3(WO 2009/131186)には、Pseudomonas sp. 61-3株由来のphaC1遺伝子に特定の変異を導入し、130番目のアミノ酸、325番目のアミノ酸、477番目のアミノ酸及び481番目のアミノ酸を変異させることで、3-ヒドロキシ酪酸と乳酸とから構成されるポリマーを製造する技術が開示されている。
WO 2006/126796 WO 2008/062999 WO 2009/131186
しかしながら、上述した公知技術では、ポリ乳酸等の脂肪族ポリエステル合成能を有する組み換え微生物を提供できるものの、脂肪族ポリエステルの生産性が低いという問題があり、当該生産性の向上という観点から十分に検討されたとは言えない。そこで、本発明は、極めて優れた重合活性を有する変異型ポリヒドロキシアルカン酸シンターゼ遺伝子、当該遺伝子が導入された組み換え微生物及びこれを用いた脂肪族ポリエステルの製造方法を提供することを目的とする。
上述した目的を達成するため、本発明者らが鋭意検討した結果、所定の微生物由来のポリヒドロキシアルカン酸シンターゼ遺伝子において特定の変異を導入することにより、重合活性が顕著に向上したポリヒドロキシアルカン酸シンターゼを得ることができ、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は以下を包含する。
(1)配列番号2に示すアミノ配列を含むAlcanivorax borkumensis由来のポリヒドロキシアルカン酸シンターゼにおける17番目のヒスチジン残基、71番目のプロリン残基、131番目のバリン残基、205番目のメチオニン残基、230番目のロイシン残基及び239番目のプロリン残基からなる群から選ばれる少なくとも1つのアミノ酸残基を他のアミノ酸に置換変異してなる変異型ヒドロキシアルカン酸シンターゼをコードする遺伝子。
(2)上記17番目のヒスチジン残基の置換後のアミノ酸はロイシン、バリン、イソロイシン及びメチオニンからなる群から選ばれるアミノ酸であり、上記71番目のプロリン残基の置換後のアミノ酸はセリン又はスレオニンであり、上記131番目のバリン残基の置換後のアミノ酸はイソロイシンであり、上記205番目のメチオニン残基の置換後のアミノ酸はスレオニン又はセリンであり、上記230番目のロイシン残基の置換後のアミノ酸はメチオニンであり、上記239番目のプロリン残基の置換後のアミノ酸はロイシン、バリン、イソロイシン及びメチオニンからなる群から選ばれるアミノ酸であることを特徴とする(1)記載の変異型ヒドロキシアルカン酸シンターゼをコードする遺伝子。
(3)上記17番目のヒスチジン残基の置換後のアミノ酸はロイシンであり、上記71番目のプロリン残基の置換後のアミノ酸はセリンであり、上記131番目のバリン残基の置換後のアミノ酸はイソロイシンであり、上記205番目のメチオニン残基の置換後のアミノ酸はスレオニンであり、上記230番目のロイシン残基の置換後のアミノ酸はメチオニンであり、上記239番目のプロリン残基の置換後のアミノ酸はロイシンであることを特徴とする(1)記載の変異型ヒドロキシアルカン酸シンターゼをコードする遺伝子。
(4)上記239番目のプロリン残基の置換変異を単独で有することを特徴とする(1)記載の変異型ヒドロキシアルカン酸シンターゼをコードする遺伝子。
(5)置換後のアミノ酸がロイシンであることを特徴とする(4)記載の変異型ヒドロキシアルカン酸シンターゼをコードする遺伝子。
(6)上記131番目のバリン残基の置換変異を単独で有することを特徴とする(1)記載の変異型ヒドロキシアルカン酸シンターゼをコードする遺伝子。
(7)置換後のアミノ酸がイソロイシンであることを特徴とする(6)記載の変異型ヒドロキシアルカン酸シンターゼをコードする遺伝子。
(8)上記17番目のヒスチジン残基、上記71番目のプロリン残基及び上記205番目のメチオニン残基の置換変異を有することを特徴とする(1)記載の変異型ヒドロキシアルカン酸シンターゼをコードする遺伝子。
(9)上記17番目のヒスチジン残基の置換後のアミノ酸がロイシンであり、上記71番目のプロリン残基の置換後のアミノ酸がセリンであり、上記205番目のメチオニン残基の置換後のアミノ酸がスレオニンであることを特徴とする(8)記載の変異型ヒドロキシアルカン酸シンターゼをコードする遺伝子。
(10)上記230番目のロイシン残基の置換変異を単独で有することを特徴とする(1)記載の変異型ヒドロキシアルカン酸シンターゼをコードする遺伝子。
(11)置換後のアミノ酸がメチオニンであることを特徴とする(10)記載の変異型ヒドロキシアルカン酸シンターゼをコードする遺伝子。
(12)上記(1)〜(11)のいずれかに記載された遺伝子によりコードされる変異型ヒドロキシアルカン酸シンターゼ。
(13)上記(1)〜(11)のいずれかに記載された遺伝子を含む発現ベクター。
(14)ヒドロキシアルカン酸をヒドロキシアルカン酸CoAに変換する酵素をコードする遺伝子を更に含む(13)記載の発現ベクター。
(15)上記酵素をコードする遺伝子は、Megasphaera elsdenii又はStaphylococcus aureus由来のプロピオニルCoAトランスフェラーゼ遺伝子であることを特徴とする(14)記載の発現ベクター。
(16)上記(1)〜(11)のいずれかに記載された遺伝子及びヒドロキシアルカン酸をヒドロキシアルカン酸CoAに変換する酵素をコードする遺伝子が導入された組み換え微生物。
(17)上記酵素をコードする遺伝子は、Megasphaera elsdenii又はStaphylococcus aureus由来のプロピオニルCoAトランスフェラーゼ遺伝子であることを特徴とする(16)記載の組み換え微生物。
(18)宿主となる微生物が大腸菌であることを特徴とする(17)記載の組み換え微生物。
(19)上記(16)〜(18)のいずれかに記載された組み換え微生物を培地にて培養し、脂肪族ポリエステルを回収することを特徴とする脂肪族ポリエステルの製造方法。
(20)回収する脂肪族ポリエステルは、乳酸骨格を有する脂肪族ポリエステルであることを特徴とする(19)記載の脂肪族ポリエステルの製造方法。
(21)回収する脂肪族ポリエステルは、ポリ乳酸であることを特徴とする(19)記載の脂肪族ポリエステルの製造方法。
(22)上記組み換え微生物を培養する際に培地に対して乳酸を添加しないことを特徴とする(19)記載の脂肪族ポリエステルの製造方法。
本発明によれば、優れた重合活性を有するポリヒドロキシアルカン酸シンターゼをコードする遺伝子を提供することができる。本発明に係る変異型ヒドロキシアルカン酸シンターゼ遺伝子を使用することによって、脂肪族ポリエステルの生産性を大幅に向上させることができる。また、本発明に係る変異型ヒドロキシアルカン酸シンターゼ遺伝子を使用することによって、脂肪族ポリエステルの生産能に優れた組み換え微生物を提供することができる。すなわち、本発明に係る組み換え微生物は、従来の組み換え微生物と比較して顕著に優れた脂肪族ポリエステルの生産能を有している。さらに、本発明に係る組み換え微生物を利用することによって、生産性に優れた脂肪族ポリエステルの製造方法を提供することができる。
実施例で作製した形質転換大腸菌におけるポリ乳酸生産量を示す特性図である。 実施例で作製した形質転換大腸菌におけるポリ乳酸生産量を示す特性図である。 実施例で作製した形質転換大腸菌におけるポリ乳酸生産量を示す特性図である。
以下、本発明に係る変異型ヒドロキシアルカン酸シンターゼ遺伝子、組み換え微生物及びこれを用いた脂肪族ポリエステルの製造方法を詳細に説明する。
本発明に係る変異型ヒドロキシアルカン酸シンターゼ遺伝子は、少なくとも1以上の特定のアミノ酸残基に置換変異を有する変異型ポリヒドロキシアルカン酸シンターゼをコードしている。また、本発明に係る組み換え微生物は、当該変異型ポリヒドロキシアルカン酸シンターゼ遺伝子と、プロピオニルCoAトランスフェラーゼ遺伝子(pct遺伝子)とを宿主微生物に導入したものである。
変異型ポリヒドロキシアルカン酸シンターゼ遺伝子
変異型ポリヒドロキシアルカン酸シンターゼ遺伝子は、Alcanivorax borkumensis由来のポリヒドロキシアルカン酸シンターゼに対して所定の置換変異を導入した変異型ヒドロキシアルカン酸シンターゼをコードしている。Alcanivorax borkumensisとしては、Alcanivorax borkumensis SK2株に内在する野生型のポリヒドロキシアルカン酸シンターゼ遺伝子(phaC遺伝子)を挙げることができる。すなわち、Alcanivorax borkumensis SK2株由来のphaC遺伝子に所定の置換変異を導入することで、変異型ヒドロキシアルカン酸シンターゼ遺伝子を得ることができる。
変異型ヒドロキシアルカン酸シンターゼにおける置換変異は、具体的に、野生型のヒドロキシアルカン酸シンターゼにおけるアミノ酸配列を基準として規定することができる。ここで、Alcanivorax borkumensis SK2株由来のphaC遺伝子のコーディング領域の塩基配列及び当該遺伝子によりコードされる野生型のヒドロキシアルカン酸シンターゼのアミノ酸配列を、それぞれ配列番号1及び2に示す。配列番号2に示すアミノ酸配列を含むタンパク質は、ポリヒドロキシアルカン酸合成活性、なかでも乳酸CoAを基質としてポリ乳酸を合成する活性若しくは乳酸CoA及びその他のヒドロキシアルカン酸を基質としてポリ乳酸系共重合物を合成する活性を有する。
変異型ヒドロキシアルカン酸シンターゼにおける置換変異は、この配列番号2に示すアミノ酸配列における17番目のヒスチジン残基、71番目のプロリン残基、131番目のバリン残基、205番目のメチオニン残基、230番目のロイシン残基及び239番目のプロリン残基となる。変異型ヒドロキシアルカン酸シンターゼは、これら7種の置換変異のうち少なくとも1種以上の置換変異を有していれば良く、また複数の置換変異を有していても良い。
置換変異とは、野生型のタンパク質における所定のアミノ酸が他のアミノ酸に変化することを意味する。すなわち、変異型ヒドロキシアルカン酸シンターゼにおいては、17番目のヒスチジン残基、71番目のプロリン残基、131番目のバリン残基、205番目のメチオニン残基、230番目のロイシン残基及び239番目のプロリン残基から選ばれる少なくとも1つのアミノ酸残基が他のアミノ酸に変化していればよい。
ここで、置換変異後のアミノ酸としては、特に限定されないが、ヒドロキシアルカン酸シンターゼが本来有する重合活性が有意に増大するという点で所定のアミノ酸又はアミノ酸群であることが好ましい。より具体的に、上記17番目のヒスチジン残基の置換後のアミノ酸はロイシン、バリン、イソロイシン及びメチオニンからなる群から選ばれるアミノ酸であることが好ましく、特にロイシンであることがより好ましい。また、上記71番目のプロリン残基の置換後のアミノ酸はセリン又はスレオニンであり、特にセリンであることがより好ましい。さらに、上記131番目のバリン残基の置換後のアミノ酸はイソロイシンであることが好ましい。さらにまた、上記205番目のメチオニン残基の置換後のアミノ酸はスレオニン又はセリンであることが好ましく、特にスレオニンであることがより好ましい。さらにまた、上記230番目のロイシン残基の置換後のアミノ酸はメチオニンであることが好ましい。さらにまた、上記239番目のプロリン残基の置換後のアミノ酸はロイシン、バリン、イソロイシン及びメチオニンからなる群から選ばれるアミノ酸であることが好ましく、特にロイシンであることがより好ましい。
所定の位置において取りうるアミノ酸残基のバリエーションは以下の理由によるものである。参考文献(1)(「マッキー生化学」第3版 5章アミノ酸・ペプチド・タンパク質 5.1アミノ酸、監修:市川厚、監訳:福岡伸一、発行者:曽根良介、発行所:(株)化学同人、ISBN4-7598-0944 -9)でも記載されているように、アミノ酸は同様の性質(化学的性質や物理的大きさ)を持つ側鎖に従って分類される事がよく知られる。また、タンパク質の活性を保持したまま、所定のグループに分類されるアミノ酸残基間における分子進化上の置換が頻度高く起こることがよく知られる。この考えを基に、参考文献(2): Henikoff S., Henikoff J.G., Amino-acid substitution matrices from protein blocks, Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 89, 10915-10919 (1992)中の、Fig.2でアミノ酸残基の置換変異のスコアマトリックス(BLOSUM)が提唱され、広く使用されている。参考文献(1)では、側鎖の化学的性質が似たもの同士のアミノ酸置換は、タンパク質全体に与える構造や機能変化が少なくなると言う知見に基づくものである。上記参考文献(1)及び(2)によれば、上述した置換変異の位置において取りうるアミノ酸は、化学的性質や物理的大きさなどの指標を基にして考えることができる。これは、参考文献(2)に開示されたスコアマトリックス(BLOSUM)において、スコアの0以上の値を持つアミノ酸、好ましくは1以上の値を持つアミノ酸のグループとして示される。代表的なグループとしては、下記の8つが上げられる。その他の細かいグループ分けは、当該スコアの値の0以上同士のアミノ酸グループ、好ましくは1以上同士のアミノ酸グループ、さらに好ましくは2以上のアミノ酸グループであれば良い。
1)脂肪族疎水性アミノ酸グループ(ILMVグループ)
このグループは、上記参考文献(1)で示された中性非極性アミノ酸のうち、脂肪属性の疎水性側鎖をもつアミノ酸のグループであり、V(Val、バリン)、L(Leu、ロイシン)、I(Ile、イソロイシン)及びM(Met、メチオニン)から構成される。参考文献(1)による中性非極性アミノ酸と分類されるもののうちFGACWPは以下理由で、この「脂肪族疎水性アミノ酸グループ」には含めない。G(Gly、グリシン)やA(Ala、アラニン)はメチル基以下の大きさで非極性の効果が弱いからである。C(Cys、システイン)はS-S結合に重要な役目を担う場合があり、また、酸素原子や窒素原子と水素結合を形成する特性があるからである。F(Phe、フェニルアラニン)やW(Trp、トリプトファン)は側鎖がとりわけ大きな分子量をもち、かつ、芳香族の効果が強いからである。P(Pro、プロリン)はイミノ酸効果が強く、ポリペプチドの主鎖の角度を固定してしまうからである。
2)ヒドロキシメチレン基をもつグループ(STグループ)
このグループは、中性極性アミノ酸のうちヒドロキシメチレン基を側鎖に持つアミノ酸のグループであり、S(Ser、セリン)とT(Thr、スレオニン)から構成される。SとTの側鎖に存在する水酸基は、糖の結合部位であるため、あるポリペプチド(タンパク質)が特定の活性を持つために重要な部位である場合が多い。
3)酸性アミノ酸(DEグループ)
このグループは、酸性であるカルボキシル基を側鎖に持つアミノ酸のグループであり、D(Asp、アスパラギン酸)とE(Glu、グルタミン酸)から構成される。
4)塩基性アミノ酸(KRグループ)
このグループは、塩基性アミノ酸のグループであり、K(Lys、リジン)とR(Arg、アルギニン)から構成される。これらKとRは、pHの広い範囲で正に帯電し塩基性の性質をもつ。一方、塩基性アミノ酸に分類されるH(His、ヒスチジン)はpH7においてほとんどイオン化されないので、このグループには分類されない。
5)メチレン基=極性基(DHNグループ)
このグループは、全てα位の炭素元素に側鎖としてメチレン基が結合しその先に極性基を有すると言う特徴を持つ。非極性基であるメチレン基の物理的大きさが酷似している特徴を持ち、N(Asn、アスパラギン、極性基はアミド基)、D(Asp、アスパラギン酸、極性基はカルボキシル基)とH(His、ヒスチジン、極性基はイミダゾール基)から成る。
6)ジメチレン基=極性基(EKQRグループ)
このグループは、全てα位の炭素元素に側鎖としてジメチレン基以上の直鎖炭化水素が結合しその先に極性基を有すると言う特徴を持つ。非極性基であるジメチレン基の物理的大きさが酷似している特徴を持つ。E(Glu、グルタミン酸、極性基はカルボキシル基)、K(Lys、リジン、極性基はアミノ基)、Q(Gln、グルタミン、極性基はアミド基)、R(Arg、アルギニン、極性基はイミノ基とアミノ基)から成る。
7)芳香族(FYWグループ)
このグループには、側鎖にベンゼン核を持つ芳香族アミノ酸であり、芳香族特有の化学的性質を特徴とする。F(Phe、フェニルアラニン)、Y(Tyr、チロシン)、W(Trp、トリプトファン)から成る。
8)環状&極性(HYグループ)
このグループには、側鎖に環状構造を持つと同時に極性も持つアミノ酸で、H(H、ヒスチジン、環状構造と極性基は共にイミダゾール基)、Y(Tyr、チロシン、環状構造はベンゼン核で極性基は水酸基)から成る。
ところで、変異型ポリヒドロキシアルカン酸シンターゼ遺伝子としては、上述した置換変異を有している限り、例えば、配列番号2に示すアミノ酸配列において1又は複数個のアミノ酸配列が欠失、置換又は付加されたアミノ酸配列を含み、且つ、乳酸CoAを基質としてポリ乳酸を合成する活性を有するタンパク質をコードする遺伝子を挙げることができる。ここで、複数個のアミノ酸としては、例えば、1から20個、好ましくは1から10個、より好ましくは1から7個、さらに好ましくは1個から5個、特に好ましくは1個から3個を意味する。また、1又は複数のアミノ酸が欠失、置換又は付加される部位としては、上述した置換対象の位置を除いた領域である。
さらに、本発明において、変異型ポリヒドロキシアルカン酸シンターゼ遺伝子としては、上述した置換変異を有している限り、配列番号2に示すアミノ酸配列に対して、例えば70%以上、好ましくは80%以上、より好ましくは90%以上、最も好ましくは95%以上の配列類似性を有するアミノ酸配列であって、且つ、乳酸CoAを基質としてポリ乳酸を合成する活性を有するタンパク質をコードするものであってもよい。ここで、配列類似性の値は、blastアルゴリズムを実装したコンピュータプログラム及び遺伝子配列情報を格納したデータベースを用いてデフォルトの設定で求められる値を意味する。
さらにまた、本発明において、変異型ポリヒドロキシアルカン酸シンターゼ遺伝子としては、上述した置換変異を有している限り、配列番号1に示す塩基配列を有する遺伝子の少なくとも一部に対して、ストリンジェントな条件下でハイブリダイズするポリヌクレオチドを含み、且つ、乳酸CoAを基質としてポリ乳酸を合成する活性を有するタンパク質をコードするものであってもよい。
ここで、ストリンジェントな条件とは、いわゆる特異的なハイブリッドが形成され、非特異的なハイブリッドが形成されない条件をいう。例えば、45℃、6×SSC(塩化ナトリウム/クエン酸ナトリウム)でのハイブリダイゼーション、その後の50〜65℃、0.2〜1×SSC、0.1%SDSでの洗浄が挙げられ、或いはそのような条件として、65〜70℃、1×SSCでのハイブリダイゼーション、その後の65〜70℃、0.3×SSCでの洗浄を挙げることができる。ハイブリダイゼーションは、J. Sambrook et al. Molecular Cloning, A Laboratory Manual,2nd Ed., Cold Spring Harbor Laboratory(1989)に記載されている方法等、従来公知の方法で行うことができる。
なお、アミノ酸の欠失、置換若しくは付加は、上記転写因子をコードする塩基配列を、当該技術分野で公知の手法によって改変することによって行うことができる。塩基配列に変異を導入するには、Kunkel法またはGapped duplex法等の公知手法又はこれに準ずる方法により行うことができ、例えば部位特異的突然変異誘発法を利用した変異導入用キット(例えばMutant-KやMutant-G(何れも商品名、TAKARA Bio社製))等を用いて、あるいはLA PCR in vitro Mutagenesisシリーズキット(商品名、TAKARA Bio社製)を用いて変異が導入される。また、変異導入方法としては、EMS(エチルメタンスルホン酸)、5-ブロモウラシル、2-アミノプリン、ヒドロキシルアミン、N-メチル-N’-ニトロ-Nニトロソグアニジン、その他の発ガン性化合物に代表されるような化学的変異剤を使用する方法でも良いし、X線、アルファ線、ベータ線、ガンマ線、イオンビームに代表されるような放射線処理や紫外線処理による方法でも良い。
以上のように、変異型ヒドロキシアルカン酸シンターゼ遺伝子が、配列番号2とは異なるアミノ酸配列をコードする場合もあり、この場合、上述した置換変異の位置を示す数値は、上述した数値(例えば、「配列番号2に示すアミノ酸配列における17番目」等)とは異なる数値で表現されることになる。
プロピオニルCoAトランスフェラーゼ遺伝子
本発明において、プロピオニルCoAトランスフェラーゼ遺伝子(以下、pct遺伝子と称する)としては、特に限定されないが、Megasphaera elsdenii由来の遺伝子及びStaphylococcus aureus由来の遺伝子を使用することができる。Megasphaera elsdenii由来のpct遺伝子におけるコーディング領域の塩基配列を配列番号3に示し、当該pct遺伝子によりコードされるタンパク質のアミノ酸配列を配列番号4に示す。また、Staphylococcus aureus由来pct遺伝子におけるコーディング領域の塩基配列を配列番号5に示し、当該pct遺伝子によりコードされるタンパク質のアミノ酸配列を配列番号6に示す。これら配列番号4又は6に示すアミノ酸配列を含むタンパク質は、プロピオニルCoAトランスフェラーゼ活性、なかでも乳酸を基質として乳酸CoAを合成する活性を有している。
また、本発明において、pct遺伝子としては、配列番号4又は6に示すアミノ酸配列をコードする塩基配列を有するものに限定されず、当該アミノ酸配列において1又は複数個のアミノ酸配列が欠失、置換又は付加されたアミノ酸配列を含み、且つ、乳酸を乳酸CoAに変換する活性を有するタンパク質をコードするものであってもよい。ここで、複数個のアミノ酸としては、例えば、1から20個、好ましくは1から10個、より好ましくは1から7個、さらに好ましくは1個から5個、特に好ましくは1個から3個を意味する。
さらに、本発明において、pct遺伝子としては、配列番号4又は6に示すアミノ酸配列に対して、例えば70%以上、好ましくは80%以上、より好ましくは90%以上、最も好ましくは95%以上の配列類似性を有するアミノ酸配列であって、且つ、乳酸を乳酸CoAに変換する活性を有するタンパク質をコードするものであってもよい。ここで、配列類似性の値は、blastアルゴリズムを実装したコンピュータプログラム及び遺伝子配列情報を格納したデータベースを用いてデフォルトの設定で求められる値を意味する。
さらにまた、本発明において、pct遺伝子としては、配列番号3又は5に示す塩基配列を有する遺伝子の少なくとも一部に対して、ストリンジェントな条件下でハイブリダイズするポリヌクレオチドを含み、且つ、乳酸を乳酸CoAに変換する活性を有するタンパク質をコードするものであってもよい。なお、ストリンジェントな条件とは、「変異型ヒドロキシアルカン酸シンターゼ遺伝子」の欄で示した条件と同義である。
また、アミノ酸の欠失、置換若しくは付加についても、「変異型ヒドロキシアルカン酸シンターゼ遺伝子」の欄で示した手法を適用することができる。
宿主微生物
本発明において、宿主微生物としては、例えば、シュードモナス・エスピー(Pseudomonas sp.)61-3株などのシュードモナス(Pseudomonas)属細菌、R.ユートロファなどのラルストニア(Ralstonia)属細菌、バチルス・ズブチリス(Bacillus subtilis)などのバチルス(Bacillus)属細菌、大腸菌(Escherichia coli)などのエシェリヒア(Escherichia)属細菌、コリネバクテリウム(Corynebacterium)属細菌、サッカロマイセス・セレビシー(Saccharomyces cerevisiae)などのサッカロマイセス(Saccharomyces)属酵母、カンジダ・マルトーサ(Candida maltosa)などのカンジダ(Candida)属酵母などを挙げることができる。宿主微生物としては、特に大腸菌を使用することが好ましい。
宿主細胞に上述した遺伝子を導入するためのベクターは、宿主中で自立複製可能なものであればよく、プラスミドDNA、ファージDNAの形態にあることが好ましい。大腸菌に導入するためのベクターの例としては、pBR322、pUC18、pBLuescriptII等のプラスミドDNAを、EMBL3、M13、λgtII等のファージDNA等を、それぞれ挙げることができる。また酵母に導入するためのベクターの例としては、YEp13、YCp50等を挙げることができる。
上述した遺伝子の両方若しくは一方をベクターへ挿入するは、当業者に知られた遺伝子組み換え技術を用いて行うことができる。また組み換えに際して、転写を調節することのできるプロモーターの下流に、前記遺伝子を連結することが好ましい。プロモーターとしては、宿主中で遺伝子の転写を調節できるものであればいずれを用いてもよい。例えば、大腸菌を宿主として用いる場合には、trpプロモーター、lacプロモーター、PLプロモーター、PRプロモーター、T7プロモーターなどを、酵母を宿主として用いる場合には、gal1プロモーター、gal10プロモーターなどを用いることができる。
また、ベクターには、必要に応じて、遺伝子を導入しようとする微生物において利用可能なターミネーター配列、エンハンサー配列、スプライシングシグナル配列、ポリA付加シグナル配列、リボゾーム結合配列(SD配列)、選択マーカー遺伝子などを連結することができる。選択マーカー遺伝子の例としては、アンピシリン耐性遺伝子、テトラサイクリン耐性遺伝子、ネオマイシン耐性遺伝子、カナマシン耐性遺伝子、クロラムフェニコール耐性遺伝子等の薬剤耐性遺伝子の他、アミノ酸や核酸等の栄養素の細胞内生合成に関与する遺伝子、あるいはルシフェラーゼとうの蛍光タンパク質をコードする遺伝子などを挙げることができる。
上記ベクターは、当業者に知られた方法によって、微生物に導入できる。微生物へのベクターの導入方法としては、例えばリン酸カルシウム法、エレクトロポレーション法、スフェロプラスト法、酢酸リチウム法、接合伝達法、カルシウムイオンを用いる方法や等が挙げられる。
脂肪族ポリエステルの製造
上述した変異型ヒドロキシアルカン酸シンターゼ遺伝子及びpct遺伝子を宿主微生物に導入して得られる組み換え微生物を、炭素源を含む培地で培養し、培養菌体又は培養物中に脂肪族ポリエステルを生成蓄積させ、該培養菌体又は培養物から脂肪族ポリエステルを回収することで、目的とする脂肪族ポリエステルを製造することができる。この組み換え微生物は、糖の代謝経路によって糖から乳酸を合成し、pct遺伝子によりコードされるプロピオニルCoAトランスフェラーゼが乳酸を乳酸CoAに変換する。そして、この組み換え微生物は、変異型ヒドロキシアルカン酸シンターゼ遺伝子によりコードされる変異型ヒドロキシアルカン酸シンターゼが乳酸CoAを基質として構成単位として乳酸を含む脂肪族ポリエステルを合成する。ここで、脂肪族ポリエステルとしては、構成単位が乳酸のみからなるポリ乳酸(ホモポリマー)であってもよいし、構成単位として乳酸と乳酸以外のヒドロキシアルカン酸とからなる乳酸系共重合体であってもよい。ポリ乳酸(ホモポリマー)を合成する際には、培地中に乳酸以外のヒドロキシアルカン酸を添加しないか、宿主微生物における乳酸以外のヒドロキシアルカン酸生合成経路を欠損させる。一方、構成単位として乳酸と乳酸以外のヒドロキシアルカン酸とからなる乳酸系共重合体を合成する際には、培地中に乳酸以外のヒドロキシアルカン酸を添加すればよく、また、宿主微生物に対して乳酸以外のヒドロキシアルカン酸生合成経路を付与してもよい。
炭素源としては、例えばグルコース、フラクトース、スクロース、マルトース等の炭水化物が挙げられる。また、炭素数4以上の油脂関連物質を炭素源とすることもできる。炭素数4以上の油脂関連物質としては、コーン油、大豆油、サフラワー油、サンフラワー油、オリーブ油、ヤシ油、パーム油、ナタネ油、魚油、鯨油、豚油又は牛油などの天然油脂、ブタン酸、ペンタン酸、ヘキサン酸、オクタン酸、デカン酸、ラウリン酸、オレイン酸、パルミチン酸、リノレン酸、リノール酸若しくはミリスチン酸等の脂肪酸又はこれらの脂肪酸のエステル、オクタノール、ラウリルアルコール、オレイルアルコール若しくはパルミチルアルコール等又はこれらアルコールのエステル等が挙げられる。
窒素源としては、例えばアンモニア、塩化アンモニウム、硫酸アンモニウム、リン酸アンモニウム等のアンモニウム塩の他、ペプトン、肉エキス、酵母エキス、コーンスティープリカー等が挙げられる。無機物としては、例えばリン酸第一カリウム、リン酸第二カリウム、リン酸マグネシウム、硫酸マグネシウム、塩化ナトリウム等が挙げられる。
培養は、通常振盪培養などの好気的条件下、25〜37℃の範囲で、上記変異型ヒドロキシアルカン酸シンターゼ遺伝子及びpct遺伝子が発現してから24時間以上行うことが好ましい。培養中は、カナマイシン、アンピシリン、テトラサイクリン等の抗生物質を培地に添加してもよい。上記pct遺伝子及びPHAシンターゼ遺伝子いずれか或いは両方を誘導性プロモーターの制御下に導入した場合には、当該プロモーターからの転写を誘導する因子を培地に添加し、その後24時間以上行うことが好ましい。
特に、上述した変異型ヒドロキシアルカン酸シンターゼ遺伝子及びpct遺伝子を導入した組み換え大腸菌を培養し、ポリ乳酸を製造することが好ましい。この方法では、培地に乳酸などの、目的とするポリマーを構成するモノマー成分を培地に添加しなくても、ポリ乳酸を製造することができ、製造コストの点で有利である。
なお、ポリ乳酸等の脂肪族ポリエステルの回収は、当業者に公知の方法によって行えばよい。例えば、培養液から遠心分離によって集菌、洗浄した後、乾燥させ、クロロホルムに乾燥菌体を懸濁し、加熱することによって、目的とするポリエステルをクロロホルム画分に抽出し、さらにこのクロロホルム溶液にメタノールを加えてポリエステルを沈殿させ、濾過や遠心分離によって上澄み液を除去した後、乾燥することで、精製されたポリエステルを得ることができる。回収されたポリエステルがポリ乳酸であることの確認は、通常の方法、例えばガスクロマトグラフ法や核磁気共鳴法等により行えばよい。
以下、実施例により本発明をより詳細に説明するが、本発明の技術的範囲は以下の実施例に限定されるものではない。
〔実施例1〕
pTV118N-PCT-Cの作製
本実施例では、先ず、タカラバイオ社製のpTV118Nベクターを基にしてAlcanivorax borkumensis SK2株由来のphaC2遺伝子及びMegasphaera elsdenii由来のpct遺伝子を導入したpTV118N-PCT-Cを作製した。
Megasphaera elsdenii (ATCC17753)のゲノムを常法により取得し、PCR法によりpct遺伝子を取得した。pct遺伝子を含むDNA断片を増幅するためのプライマーとして、MePCTN:5’-atgagaaaagtagaaatcattac-3’(配列番号7)及びMePCTC:5’-ttattttttcagtcccatgggaccgtcctg-3’ (配列番号8)を使用した。
ゲノムから各遺伝子の増幅は以下の条件で行った。PCR (酵素KOD plus)(94℃ 1min)×1, (94℃ 0.5min, 50℃ 0.5min, 72℃ 2min)×30, (94℃ 2min)。得られたM. elsdenii由来のPCT遺伝子を、それぞれpTV118Nベクター(タカラバイオ社製)のEcoR1-PstI間に挿入することで発現プラスミドpTV118N-M.E PCTを作製した。その後、これら発現プラスミドをそれぞれEscherichia coli W3110に導入した。
得られた形質転換大腸菌を前培養した後、200ml LB/2L flaskに2%植菌、37℃、180rpmで3h培養した。OD600=0.5付近で10mM IPTGにより発現誘導し、30℃、80rpmで6h培養した。次に、遠心により菌体を回収し、37℃でM9(+1.5%Glucose, 10mMMgSO4, 10mM パントテン酸Ca)で培養し(OD=20、3ml)、適宜サンプリングを行った。
次に、Alcanivorax borkumensis SK2株のphaC遺伝子を2段階のPCR(1stPCR及び2ndPCR)により増幅した。1stPCRの反応液組成を下記表1に示す。
Figure 2012008023
上記表1におけるPrimerFとしてはA.borkumensisF:CATTTCCAGGAGTCGTTGTG(配列番号9)を使用し、PrimerRとしてはA.borkumensisR:TTGTGCGTAAATCCATTCCC(配列番号10)を使用した。1stPCRの温度サイクルは、94℃で2分の後、94℃で15秒、45℃で30秒及び68℃で1分30秒を1サイクルとして30サイクル行い、その後68℃で5分とした。
また、1stPCRの反応液組成を下記表2に示す。
Figure 2012008023
上記表2におけるPrimerFとしてはAborku2ndFwd:CCGGTTCGAATCTAGAAATAATTTTGTTTAACTTTAAGAAGGAGATATACATATGTGGATGGCTA(配列番号11)を使用し、PrimerRとしてはAborku2ndRvs:GAACCAGGCGGAACCTGCAGAGATCCAACCTATGCTGAGCG(配列番号12)を使用した。2ndPCRの温度サイクルは、94℃で2分の後、94℃で15秒、50℃で30秒及び68℃で1分30秒を1サイクルとして5サイクル行い、その後、94℃で15秒、60℃で30秒及び68℃で1分30秒を1サイクルとして30サイクル行い、その後68℃で5分とした。
得られたDNA断片のライゲーションをIn-Fusion 2.0 Dry-Down PCR Cloning Kit (Clontech Laboratories社製)を使用して行った。形質転換は、ECOS competent E.coli JM109(ニッポンジーン社製)を用いてプロトコールに従い行った。得られた形質転換体をLB-Amp培地2mlで培養し,QIAprep Spin Miniprep Kit(QIAGEN社製)を用いてプラスミド抽出を行った。Big Dye Terminator v3.1 Cycle Sequencing Kit(Applied Biosystems社製)を用いてシークエンス反応を行い、DNAシークエンサー3100 Genetic Analyzer (Applied Biosystems社製)を用いて配列の確認を行った。
得られたプラスミドをpTV118N-PCT-Cとした。
ランダム変異ライブラリの作製
pTV118N-PCT-Cに含まれるAlcanivorax borkumensis SK2株のphaC遺伝子に対してerror-prone PCRによりランダム変異を導入した。error-prone PCR用のキットとしてStratagene社製GeneMorph II Random Mutagenesis Kitを使用した。error-prone PCR用のプライマーとしては、PrimerF: CCGGTTCGAATCTAGAAATAATTTTGTTTAACTTTAAGAAGGAGATATACATATGTGGATGGCTA(配列番号13)及びPrimerR: GAACCAGGCGGAACCTGCAGAGATCCAACCTATGCTGAGCG(配列番号14)を使用した。error-prone PCRの反応液組成を下記表3に示した。
Figure 2012008023
また、error-prone PCRの温度サイクルとしては、95℃で2分の後、95℃で30秒、57℃で30秒及び72℃で1分20秒を1サイクルとして30サイクル行い、その後72℃で10分とし、最後に4℃に維持した。
上述したerror-prone PCRで得られたPCR産物を0.8%のアガロースゲルで電気泳動し、目的のバンド(1215bp)の増幅を確認した後、バンドを切り出し、MinElute Gel Extraction Kit(Qiagen社製)で精製した。その後、PCR産物をPstI及びXbaIで消化し、MinElute PCR Purification Kit(Qiagen社製)で精製した。また、pTV118N-PCT-CをPstI及びXbaIで消化し、0.8%のアガロースゲルで電気泳動し、目的のバンド(1215bp)の増幅を確認した後、バンドを切り出し、MinElute Gel Extraction Kit(Qiagen社製)で精製した。そして、それぞれの断片をLigetion-Convenience Kit(ニッポンジーン社製)を用いてプロトコールに従ってライゲーションした。
以上により、Alcanivorax borkumensis SK2株由来であって、ランダムに変異が導入された各種変異型phaC遺伝子を含むライブラリを作製することができた。
形質転換
次に、上記で得られたライブラリを大腸菌のコンピテントセル(Origami 2 Competent Cells(Novagene社製))へ導入した。大腸菌への導入には、形質転換効率を高めるため以下に示す条件を採用し、エレクトロポーレーション法で行った。すなわち、前培養として、Origami 2株をLB寒天培地(12.5μg/mlのテトラサイクリン含有)を用いて37℃で一晩培養した。その後、100mlバッフル付きフラスコに10mlのLB液体培地及び12.5μg/mlのテトラサイクリンを入れ、これに対して上記LB寒天培地上のコロニーを爪楊枝で植菌した。前培養として、30℃で130rpmの条件下で一晩培養した。
次に、本培養として、100mlのLB液体培地及び12.5μg/mlのテトラサイクリンを入れた500mlバッフル付きフラスコ(2本)に前培養液1mlを植菌した。そして、30℃で130rpmの条件下で4.5時間培養した。OD600の値が、それぞれ0.4746及び0.5029になった時点で培養を止めた。培養終了後、氷上で15分間維持し、50mlのコーニングチューブ4本に分注した。そして、2000gで20分間遠心分離した(2℃)。遠心分離後、上清を除去し、各チューブの沈殿を1mlの冷滅菌水で懸濁し、更に49mlの冷滅菌水を添加した。その後、2000gで20分間遠心分離した(2℃)。遠心分離後、上清を除去し、各チューブの沈殿を1ml程度の冷グリセロールで懸濁し、氷冷した2mlのエッペンチューブに回収した。その後、2000gで10分間遠心分離した(2℃)。遠心分離後、上清を除去し、沈殿を300mlの10%グリセロールに懸濁し、氷冷したエッペンチューブに20μlずつ分注し、-80℃で保存した。
得られたOrigami 2株のコンピテントセルを用いて、エレクトロポーレーション法によって形質転換を行った。エレクトロポーレーションにはGene Pulser Xcell(BIO-RAD社製)を使用し、キュベットとして0.1cm(BIO-RAD社製)を使用した。Preset Protocolとしては、Bacterial 1(コンデンサ容量:25μF、抵抗:200Ω、電圧:1800V)を選択した。
一次スクリーニング
上述のようにして得られた形質転換大腸菌を、ナイルレッドを含むLB寒天培地上に塗布し、37℃で72時間培養後、生成したコロニーのうち発色したもの特定し、一次スクリーニングの結果とした。なお、ナイルレッドは、ポリマーがあるとピンク色に発色する色素である。なお、ナイルレッドを含むLB寒天培地は以下のように作製した。先ず、超純水900mlに40g のLB-Ager(Difco社製)を加え、オートクレーブ滅菌を行い、常温付近まで冷却した後、100mlの20%D-グルコース、2mlの100mg/mlアンピシリン(シグマ社製)、1mlの12.5μg/mlテトラサイクリン(シグマ社製)、100μlの1M IPTG(ナカライタスク社製)、及び1mlの5mg/mlナイルレッド(ナカライタスク社製)を加え全量で1Lとなるように調整した。これを15mlずつシャーレに分注し、放冷することで固化した。
二次スクリーニング
上記一次スクリーニングにて特定された発色コロニーのうち、特に発現強度が強かった47個のコロニーについて、培養してポリマー生産量を分析した。実験作業は、pct遺伝子のみを導入した大腸菌と、外来遺伝子を導入していない野生株も同様に培養し、ポリマー生産量を分析した。
具体的に、各コロニーを掻き取り、2mlのLB液体培地(100μg/mlのアンピシリン含有)が入った試験管に植菌し、37℃でOD600が0.6〜1.0になるまで振盪培養した。これを前培養とした。
次に、終濃度100mg/mlのアンピシリン、終濃度0.1mMのIPTGを添加したM9培地200mlを500mlバッフル付き三角フラスコに入れ、上記の前培養液を2ml添加した。そして、30℃で130rpmにて48時間培養した。これを本培養とした。M9培地の組成(1Lあたり)を下記表4に示した。
Figure 2012008023
本培養終了後、培養液を50mLコーニングチューブに移し、3000rpm、15分間の条件で集菌し、上清を破棄した後、-80℃のフリーザー内で一晩保管することで凍結させた。その後、凍結乾燥機を用いて2日間凍結乾燥させた。その後、乾燥菌体100mgを用いて耐圧反応菅へ移し、クロロホルムを1.6mL添加した。更に、メタノールと硫酸の混合溶液(メタノール:硫酸=17:3(体積比))を1.6mL添加し、95℃に設定したウォーターバス内で3時間リフラックスさせた。その後、耐圧反応菅を取り出し、室温まで冷却し、内部の溶液を試験管に移した。試験管内に更に超純水を0.8mL添加し、vortexを用いて混合した後、静置した。十分に静置した後、下層のクロロホルム相をパスツールピペットにて分取した。クロロホルム相を0.2μmメッシュの有機溶媒耐性フィルターでろ過し、GC-MS用のバイアル瓶に移し、分析用サンプルとした。
GC-MS装置としては、アジレントテクノロジー社製のHP6890 Series GC system/5973 Mass Selective Detectorを使用した。カラムとしては、アジレントテクノロジー社製のBD-1 122-1063(内径:0.25mm、長さ:60m、膜厚:1μm)を使用した。昇温条件は、120℃で5分間保持した後、10℃/minにて200℃まで昇温し、その後、20℃/minで300℃まで昇温して8分間保持する条件とした。
また、乳酸重合体の生産量が対照サンプルに比べて顕著に向上した形質転換大腸菌を含む複数の形質転換大腸菌について、導入されたphaC遺伝子の塩基配列を確認して変異箇所を特定した。塩基配列の決定は、形質転換大腸菌からQIAprep Spin Miniprep Kit(QIAGEN社製)を用いてプロトコールに従ってプラスミドを抽出した。その後、Big Dye Terminator v3.1 Cycle Sequencing Kit(アプライドバイシステムス社製)及び以下のプライマーを用いてシークエンス反応を行い、DNAシークエンサー 3100 Genetic Analyzer(アプライドバイシステムス社製)を用いて塩基配列を決定した。これにより、変異を導入したphaC遺伝子によりコードされるタンパク質のアミノ酸配列を特定し、アミノ酸レベルにおける置換変異を同定した。
シークエンス反応用プライマー
UNIFWD S1: GTTTAACTTTAAGAAGG(配列番号15)
12Aboku-Y S113: CACCTACGTCAATCGCT(配列番号16)
UNIRVS S2: ACCAGGCGGAACCTGCA(配列番号17)
12Aboku-Y S115: ATCCAAGTGCCAGGAGG(配列番号18)
各形質転換大腸菌におけるポリ乳酸の生産性を比較した結果を図1〜3に示す。また、図1〜3に示した各形質転換大腸菌におけるポリ乳酸の生産量をそれぞれ表5〜7に示す。なお、表5〜7においてGC-MS分析結果としては、100mgの菌体量あたりの乳酸重合体量(mg)として示した。
Figure 2012008023
Figure 2012008023
Figure 2012008023
図1〜3及び表5〜7に示すように、一次スクリーニングにより選抜された発色コロニーについては、ポリ乳酸の生産量が概ね野生型と同等であるか、1.2倍程度に向上するものが大部分であった。しかし、図中及び表中、A、B、C及びDとした形質転換大腸菌においては、他の形質転換大腸菌とは異なり、野生型と比較して1.5倍程度にポリ乳酸の生産量が向上していた。すなわち、本実施例により、ポリ乳酸の生産量が極めて優れた形質転換大腸菌を作製することができた。そして、ポリ乳酸の生産量が極めて優れた形質転換大腸菌に導入された変異pha2遺伝子の塩基配列解析の結果から、配列番号2に示すAlcanivorax borkumensis SK2由来のpha2遺伝子がコードするポリヒドロキシアルカン酸シンターゼにおいて、N末端のメチオニン残基から数えて17番目のヒスチジン残基がロイシンに置換されるか(H17L)、同71番目のプロリン残基がセリンに置換されるか(P71S)、同131番目のバリン残基がイソロイシンに置換されるか(V131I)、同205番目のメチオニン残基がスレオニンに置換されるか(M205T)、同230番目のロイシン残基がメチオニンに置換されるか(L230M)、同239番目のプロリン残基がロイシンに変異される(P239L)ことにより、ポリ乳酸の合成活性、すなわち重合活性が飛躍的に向上することが明らかになった。
特に、P239L単独変異又はL230M単独変異を有する変異型ポリヒドロキシアルカン酸シンターゼでは、ポリ乳酸の生産量が野生型と比較して合成活性が1.7倍を超える非常に高い値を示した。この結果から、P239L単独変異又はL230M単独変異を有する変異型ポリヒドロキシアルカン酸シンターゼは、ポリ乳酸の合成活性、すなわち重合活性が最も優れるものとして非常に有用であることが明らかとなった。

Claims (20)

  1. 配列番号2に示すアミノ配列を含むAlcanivorax borkumensis由来のポリヒドロキシアルカン酸シンターゼにおける17番目のヒスチジン残基、71番目のプロリン残基、131番目のバリン残基、205番目のメチオニン残基、230番目のロイシン残基及び239番目のプロリン残基からなる群から選ばれる少なくとも1つのアミノ酸残基を他のアミノ酸に置換変異してなる変異型ヒドロキシアルカン酸シンターゼをコードする遺伝子。
  2. 上記17番目のヒスチジン残基の置換後のアミノ酸はロイシン、バリン、イソロイシン及びメチオニンからなる群から選ばれるアミノ酸であり、上記71番目のプロリン残基の置換後のアミノ酸はセリン又はスレオニンであり、上記131番目のバリン残基の置換後のアミノ酸はイソロイシンであり、上記205番目のメチオニン残基の置換後のアミノ酸はスレオニン又はセリンであり、上記230番目のロイシン残基の置換後のアミノ酸はメチオニンであり、上記239番目のプロリン残基の置換後のアミノ酸はロイシン、バリン、イソロイシン及びメチオニンからなる群から選ばれるアミノ酸であることを特徴とする請求項1記載の変異型ヒドロキシアルカン酸シンターゼをコードする遺伝子。
  3. 上記17番目のヒスチジン残基の置換後のアミノ酸はロイシンであり、上記71番目のプロリン残基の置換後のアミノ酸はセリンであり、上記131番目のバリン残基の置換後のアミノ酸はイソロイシンであり、上記205番目のメチオニン残基の置換後のアミノ酸はスレオニンであり、上記230番目のロイシン残基の置換後のアミノ酸はメチオニンであり、上記239番目のプロリン残基の置換後のアミノ酸はロイシンであることを特徴とする請求項1記載の変異型ヒドロキシアルカン酸シンターゼをコードする遺伝子。
  4. 上記239番目のプロリン残基の置換変異を単独で有することを特徴とする請求項1記載の変異型ヒドロキシアルカン酸シンターゼをコードする遺伝子。
  5. 置換後のアミノ酸がロイシンであることを特徴とする請求項4記載の変異型ヒドロキシアルカン酸シンターゼをコードする遺伝子。
  6. 上記131番目のバリン残基の置換変異を単独で有することを特徴とする請求項1記載の変異型ヒドロキシアルカン酸シンターゼをコードする遺伝子。
  7. 置換後のアミノ酸がイソロイシンであることを特徴とする請求項6記載の変異型ヒドロキシアルカン酸シンターゼをコードする遺伝子。
  8. 上記17番目のヒスチジン残基、上記71番目のプロリン残基及び上記205番目のメチオニン残基の置換変異を有することを特徴とする請求項1記載の変異型ヒドロキシアルカン酸シンターゼをコードする遺伝子。
  9. 上記17番目のヒスチジン残基の置換後のアミノ酸がロイシンであり、上記71番目のプロリン残基の置換後のアミノ酸がセリンであり、上記205番目のメチオニン残基の置換後のアミノ酸がスレオニンであることを特徴とする請求項8記載の変異型ヒドロキシアルカン酸シンターゼをコードする遺伝子。
  10. 上記230番目のロイシン残基の置換変異を単独で有することを特徴とする請求項1記載の変異型ヒドロキシアルカン酸シンターゼをコードする遺伝子。
  11. 置換後のアミノ酸がメチオニンであることを特徴とする請求項10記載の変異型ヒドロキシアルカン酸シンターゼをコードする遺伝子。
  12. 請求項1〜請求項11のいずれかに記載された遺伝子を含む発現ベクター。
  13. ヒドロキシアルカン酸をヒドロキシアルカン酸CoAに変換する酵素をコードする遺伝子を更に含む請求項12記載の発現ベクター。
  14. 上記酵素をコードする遺伝子は、Megasphaera elsdenii又はStaphylococcus aureus由来のプロピオニルCoAトランスフェラーゼ遺伝子であることを特徴とする請求項13記載の発現ベクター。
  15. 請求項1〜請求項11のいずれかに記載された遺伝子及びヒドロキシアルカン酸をヒドロキシアルカン酸CoAに変換する酵素をコードする遺伝子が導入された組み換え微生物。
  16. 上記酵素をコードする遺伝子は、Megasphaera elsdenii又はStaphylococcus aureus由来のプロピオニルCoAトランスフェラーゼ遺伝子であることを特徴とする請求項15記載の組み換え微生物。
  17. 請求項15又は16に記載された組み換え微生物を培地にて培養し、脂肪族ポリエステルを回収することを特徴とする脂肪族ポリエステルの製造方法。
  18. 回収する脂肪族ポリエステルは、乳酸骨格を有する脂肪族ポリエステルであることを特徴とする請求項17記載の脂肪族ポリエステルの製造方法。
  19. 回収する脂肪族ポリエステルは、ポリ乳酸であることを特徴とする請求項18記載の脂肪族ポリエステルの製造方法。
  20. 上記組み換え微生物を培養する際に培地に対して乳酸を添加しないことを特徴とする請求項17記載の脂肪族ポリエステルの製造方法。
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