JPWO2011161731A1 - 燃料電池システム、方法、プログラムおよび記録媒体 - Google Patents

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Abstract

燃料電池システムは、触媒を含む発電部と発電部に接するアノード側非発電部と発電部を挟んで発電部とは反対側に配置されたカソード側非発電部とを有する第1の発電モジュールと、第1の発電モジュールに隣接する少なくとも1つの第2の発電モジュールと、各発電モジュールと並列に接続された電流調整回路と、アノード側非発電部とカソード側非発電部との間の電圧であるセル電圧が負圧である第1の所定電圧以下である場合に、第1の発電モジュールと並列に接続された電流調整部において、アノード側非発電部からカソード側非発電部へと向かう第1の方向に流れる電流を増加させる電流制御部と、を備える。

Description

本発明は、燃料ガスと酸化剤ガスとを反応させて発電する燃料電池に関する。
燃料ガスと酸化剤ガスとを反応させて発電する燃料電池では、運転停止後においても、残留燃料ガス及び残留酸化剤ガスにより発電が継続され、いわゆる開回路電圧(Open Circuit Voltage)が発生する。この開回路電圧により、燃料電池の触媒層を構成するカーボンの腐食や触媒金属の溶出などの触媒劣化が発生する。そこで、開回路電圧を低下させるために様々な提案がなされている。触媒劣化は、燃料電池が負電圧となった場合にも起こり得る。例えば、燃料電池スタックを構成する一部の燃料電池において燃料ガスが欠乏した場合、かかる燃料電池においてアノード電位が上昇するために負電圧となる。この場合、燃料ガスが欠乏した燃料電池では、他の燃料電池と同じだけの電流を流そうとするために、触媒を構成するカーボンの酸化が発生するおそれがある。
燃料電池が負電圧となりカーボン酸化が発生した場合、有効な触媒面積が減少することから、発電効率が低下するという問題があった。しかしながら、従来では、燃料電池が負電圧となった場合における触媒劣化を抑制するために十分な工夫がなされていないのが実情であった。
本発明は、燃料電池が負電圧となった場合における触媒劣化を抑制することを目的とする。
本発明は、上述の課題の少なくとも一部を解決するためになされたものであり、以下の形態又は適用例として実現することが可能である。
[適用例1]燃料電池システムであって、
触媒を含む発電部と、前記発電部に接するアノード側非発電部と、前記発電部を挟んで前記発電部とは反対側に配置されたカソード側非発電部と、を有する第1の発電モジュールと、
前記第1の発電モジュールに隣接する第2の発電モジュールと、
各発電モジュールと並列に接続された電流調整回路と、
前記アノード側非発電部と前記カソード側非発電部との間の電圧であるセル電圧が負圧である第1の所定電圧以下である場合に、前記第1の発電モジュールと並列に接続された前記電流調整部において、前記アノード側非発電部から前記カソード側非発電部へと向かう第1の方向に流れる電流を増加させる電流制御部と、
を備える、燃料電池システム。
適用例1の燃料電池システムでは、第1の発電モジュールのセル電圧が第1の所定電圧以下である場合に、電流調整回路において前記第1の方向に流れる電流を増加させるので、隣接する第2の発電モジュールに対して電流調整回路を介して電子を供給できる。したがって、第1の発電モジュールが水素欠乏等の場合において、第2の発電モジュールに電子を供給するために、第1の発電モジュールのアノードにおいて電子の生成を伴う化学反応の発生を抑制できる。それゆえ、アノードにおけるカーボン酸化を抑制でき、発電効率の低下を抑制できる。
[適用例2]適用例1に記載の燃料電池システムにおいて、
前記電流制御部は、前記第1の発電モジュールと並列に接続された前記電流調整回路における電流の方向を検出する電流方向検出部を有し、前記電流方向検出部が検出する前記電流の方向に基づき、前記セル電圧が前記第1の所定電圧以下であるか否かを判定する、燃料電池システム。
このような構成により、燃料ガスの欠乏等に起因して、発電モジュールにおいて通常発電時の化学反応が起こらず、アノードにおいて電子の生成を伴う化学反応が起こり得る状態であるか否かを正確に判定することができる。
[適用例3]適用例1または適用例2に記載の燃料電池システムにおいて、
前記電流制御部は、前記セル電圧が、前記第1の所定電圧よりも高い電圧であって前記触媒の溶出が生じる第2の所定電圧よりも高い場合に、前記第1の発電モジュールと並列に接続された前記電流調整回路において前記第1の方向とは逆向きの第2の方向に流れる電流を増加させる、燃料電池システム。
このような構成により、第1の発電モジュールのセル電圧が第2の所定電圧よりも高い場合に、通常発電時の化学反応により生じた電子を、電流調整回路を通して第1の発電モジュールのカソードからアノードに供給することができる。したがって、第1の発電モジュールの起電圧を電流調整回路において熱消費させることができるので、燃料電池スタックがOC(Open Circuit)状態である場合において、第1の発電モジュールのセル電圧を低下させることができ、OC状態における高電圧に起因する触媒の溶出を抑制できる。
[適用例4]適用例1ないし適用例3のいずれかに記載の燃料電池システムにおいて、
前記電流調整回路及び前記電流制御部は、ダイオードを含む、燃料電池システム。
このような構成により、第1の所定電圧(の絶対値)が、ダイオードの順方向降下電圧(の絶対値)よりも大きい場合には、第1の発電モジュールのセル電圧が第1の所定電圧以下である場合に電流調整回路において第1の方向に流れる電流を増加させ、セル電圧が第1の所定電圧よりも高い場合に電流調整回路において第1の方向に流れる電流を減少させることができる。したがって、セル電圧が第1の所定電圧以下であるか否かを判定するために特別な機能部を必要としないので、電流調整回路及び電流制御部をシンプルに構成でき、燃料電池システムの構築費用の上昇を抑制できる。
[適用例5]適用例4に記載の燃料電池システムにおいて、
各発電モジュールは、一対のセパレータと、前記一対のセパレータに挟持された膜電極接合体とを有し、
前記電流調整回路及び前記電流制御部は、前記膜電極接合体の周縁部に配置され、前記一対のセパレータに挟持されている、燃料電池システム。
このような構成により、電流調整回路及び電流制御部を発電モジュールの内部に配置できるので、燃料電池スタックの構成をシンプルにすることができ、燃料電池システム全体の小型化を実現できる。加えて、膜電極接合体の製造過程において、併せて電流調整回路及び電流制御部を生成することができるので、燃料電池スタックの構築手順をシンプルにすることができる。
[適用例6]適用例4または適用例5に記載の燃料電池システムにおいて、
前記ダイオードは、シリコンダイオードまたはショットキーバリアダイオードである、燃料電池システム。
このような構成により、順方向降下電圧が比較的小さなダイオードを用いることができるので、発電モジュール間電圧が負電圧となってから比較的短期間のうちに、第1の方向の電流を増加させることができる。したがって、他のダイオードを用いる構成に比べて、触媒劣化をより抑制することができる。特に、シリコンダイオードは、逆方向電圧の耐性が高いので、第1の発電モジュールが通常発電を行う際に第2の方向の電流をほとんど流さないことができる。したがって、通常発電時において、電流調整回路に電流が流れて第1の発電モジュールの起電力が電流調整回路において熱消費されてしまい、発電効率が低下してしまうことを抑制できる。
なお、本発明は、種々の態様で実現することが可能であり、例えば、電流の制御方法、または電流の制御を実現するためのコンピュータープログラム、そのコンピュータープログラムを記録した記録媒体、等の形態で実現することができる。
本発明の一実施例としての燃料電池システムの概略構成を示す説明図である 図1に示す単セル及び電流調整部の詳細構成を示す説明図である。 単セルの電圧の変化を模式的に示す説明図である。 第1実施例における電流調整処理の手順を示すフローチャートである。 正常時における可変抵抗に流れる電流を模式的に示す説明図である。 水素欠乏時における可変抵抗に流れる電流を模式的に示す説明図である。 第2実施例における単セル及び電流調整部の詳細構成を示す説明図である。 第2実施例の電流調整処理の手順を示す説明図である。 第3実施例の燃料電池システムの概略構成を示す説明図である。 第3実施例における単セル及び電流調整部の詳細構成を示す説明図である。 第3実施例の正常時におけるダイオードに流れる電流を模式的に示す説明図である。 第3実施例の水素欠乏時におけるダイオードに流れる電流を模式的に示す説明図である。 第4実施例における単セル及び電流調整部の詳細構成を示す説明図である。 第4実施例の電流調整処理の手順を示す説明図である。 第5実施例における単セル及び電流調整部の詳細構成を示す説明図である。 第6実施例における単セル及び電流調整部の詳細構成を示す説明図である。
A.第1実施例:
A.システム構成:
図1は、本発明の一実施例としての燃料電池システムの概略構成を示す説明図である。本実施例において、燃料電池システム100は、駆動用電源を供給するためのシステムとして、電気自動車に搭載されて用いられる。燃料電池システム100は、燃料電池スタック10と、水素タンク61と、エアコンプレッサ62と、遮断弁71と、調圧弁72と、燃料ガス供給路81と、燃料ガス排出路82と、バイパス流路83と、循環用ポンプ63と、酸化剤ガス供給路84と、酸化剤ガス排出路85と、電流調整部30と、抵抗値調整部50と、制御ユニット90とを備えている。
燃料電池スタック10は、比較的小型で発電効率に優れる固体高分子型燃料電池である単セル(発電モジュールともいう)20が複数積層された構成を有し、燃料ガスとしての純水素と、酸化剤ガスとしての空気中の酸素が、各電極において電気化学反応を起こすことによって起電力を得るものである。
水素タンク61は、高圧水素ガスを貯蔵している。水素タンク61としては、例えば、水素吸蔵合金を内部に備え、水素吸蔵合金に吸蔵させることによって水素を貯蔵するタンクを用いても良い。エアコンプレッサ62は、酸化剤ガス供給路84に配置され、外部から取り込んだ空気を加圧して燃料電池スタック10に供給する。
遮断弁71は、水素タンク61の図示しない水素ガス排出口に配置されており、水素ガスの供給及び停止を行う。調圧弁72は、燃料ガス供給路81に配置されており、水素タンク61から排出された高圧水素ガスを、所定の圧力まで低下させる。
燃料ガス供給路81は、水素タンク61と燃料電池スタック10とを連通し、水素タンク61から供給される水素ガスを燃料電池スタック10に導くための流路である。燃料ガス排出路82は、燃料電池スタック10から余剰水素ガス(アノード側オフガス)を排出するための流路である。バイパス流路83は、燃料ガス供給路81と燃料ガス排出路82とを連通し、通常運転の際には、燃料ガス排出路82から排出される余剰水素ガスを燃料ガス供給路81へと導く。循環用ポンプ63は、バイパス流路83に配置され、燃料ガス排出路82から燃料ガス供給路81へと余剰水素ガス(アノード側オフガス)を流通させる。
酸化剤ガス供給路84は、エアコンプレッサ62と燃料電池スタック10とを連通し、エアコンプレッサ62から供給される圧縮空気を燃料電池スタック10に導くための流路である。酸化剤ガス排出路85は、燃料電池スタック10から排出される余剰空気(カソード側オフガス)及び生成水を外部(大気)に排出するための流路である。
電流調整部30は、各単セル20と接続されている。なお、電流調整部30の詳細構成については後述する。抵抗値調整部50は、電流調整部30と接続され、電流調整部30が有する図示しない抵抗の抵抗値を調整する。
制御ユニット90は、循環用ポンプ63,エアコンプレッサ62,遮断弁71,調圧弁72,及び抵抗値調整部50と電気的に接続されており、これらの各要素を制御する。また、制御ユニット90は、電流調整部30が有する図示しない電流センサと接続されており、電流センサから通知される電流値を受信する。
制御ユニット90は、CPU(Central Processing Unit)91と、ROM(Read Only Memory)92と、RAM(Random Access Memory)93とを備えている。ROM92には、燃料電池システム100を制御するための図示しない制御プログラムが格納されており、CPU91は、RAM93を利用しながらこの制御プログラムを実行することにより、制御部91aとして機能する。制御部91aは、後述する電流調整処理を実行する。
図2は、図1に示す単セル及び電流調整部の詳細構成を示す説明図である。単セル20は、膜電極接合体25と、カソード側セパレータ26cと、アノード側セパレータ26aとを備えている。膜電極接合体25は、電解質膜21と、カソード側触媒層22cと、カソード側ガス拡散層23cと、アノード側触媒層22aと、アノード側ガス拡散層23aとを備えている。
電解質膜21は、スルホン酸基を含むフッ素樹脂系イオン交換膜であり、Flemion(登録商標)やAciplex(登録商標)等を用いることができる。なお、電解質膜21としては、スルホン酸基に限らず、リン酸基やカルボン酸基など、他のイオン交換基を含む膜を用いることができる。
カソード側触媒層22cは、電解質膜21に接して配置されている。カソード側触媒層22cは、触媒を導電性粒子に担持させた部材と、プロトン導電体であるアイオノマとを用いて構成されている。触媒としては、例えば、白金や、白金とルテニウムや鉄等の金属との合金を用いることができる。導電性粒子としては、例えば、カーボンブラック等の炭素粒子や、炭素繊維などを用いることができる。アイオノマとしては、スルホン酸基を含むフッ素樹脂を採用することができる。
カソード側ガス拡散層23cは、反応ガスである空気を拡散し、また、電気化学反応等により生じた水を排出するために多孔質部材により構成されている。具体的には、例えば、カーボンペーパーやカーボンクロス等のカーボン多孔質体や、金属メッシュや発泡金属等の金属多孔質体により構成されている。
カソード側セパレータ26cは、ガス不透過の伝導性部材、例えば、カーボンを圧縮してガス不透過とした緻密質カーボンや、プレス成型した金属板によって構成することができる。カソード側セパレータ26cは、凹凸形状を有しており、カソード側セパレータ26cとカソード側ガス拡散層23cとが接することにより、カソード側セパレータ26cとカソード側ガス拡散層23cとの間に酸化剤ガス流路27cが形成される。この酸化剤ガス流路27cは、エアコンプレッサ62から供給される空気を、カソード側ガス拡散層23cに導くと共に、カソード側ガス拡散層23cから排出されるガス(余剰空気及び水蒸気)を単セル20の外部へと排出する。
アノード側の構成は、カソード側の構成と同様である。すなわち、アノード側触媒層22aは、カソード側触媒層22cと同じ構成を有している。また、アノード側ガス拡散層23aはカソード側ガス拡散層23cと、アノード側セパレータ26aはカソード側セパレータ26cと、それぞれ同じ構成を有している。なお、アノード側セパレータ26aとアノード側ガス拡散層23aとの間に形成された燃料ガス流路27aは、水素タンク61及び循環用ポンプ63によって供給される水素ガスをアノード側ガス拡散層23aに導くと共に、アノード側ガス拡散層23aから排出されるガス(余剰水素ガス)を単セル20の外部へと排出する。
電流調整部30は、各単セル20と並列に接続された複数の可変抵抗31と、各可変抵抗31に直列に接続された複数の電流センサ32とを備えている。各可変抵抗31の抵抗値は、抵抗値調整部50により制御される。各電流センサ32は、対応する可変抵抗31を流れる電流値を検出して制御ユニット90に通知する。このとき、制御ユニット90(制御部91a)は、受信した電流値の符号(正又は負)により、可変抵抗31を流れる電流の方向を検出することができる。
電流調整部30と抵抗値調整部50とは、具体的には、以下のような構成を採用することができる。例えば、可変抵抗31として、複数の抵抗値を有する抵抗であって、それぞれ単セル20と並列に接続可能な抵抗を採用し、抵抗値調整部50として、各抵抗に直列に接続するスイッチから構成し、単セル20に接続(並列接続)させる抵抗の数を制御することにより、可変抵抗31の抵抗値を制御する構成を採用することができる。
前述の単セル20は、請求項における発電モジュールに相当する。また、膜電極接合体25は請求項における発電部に、アノード側セパレータ26aは請求項におけるアノード側非発電部に、カソード側セパレータ26cは請求項におけるカソード側非発電部に、可変抵抗31は請求項における電流調整回路に、抵抗値調整部50,電流センサ32及び制御部91aは請求項における電流制御部に、電流センサ32は請求項における電流方向検出部に、それぞれ相当する。なお、膜電極接合体25における電解質膜21,アノード側触媒層22a,及びカソード側触媒層22cが請求項における発電部に、アノード側セパレータ26a,カソード側セパレータ26c,アノード側ガス拡散層23a,及びカソード側ガス拡散層23cが請求項における非発電部に、それぞれ相当する構成も採用し得る。
図3は、単セルの電圧の変化を模式的に示す説明図である。図3において、上段は正常時における単セル20の電圧、下段は水素欠乏時における単セル20の電圧を示す。
図3では、説明の便宜上、燃料電池スタック10を、3つの積層された単セル20(20a,20b,20c)で表している。また、各単セル20a,20b,20cを、電解質膜とカソードとアノードとセパレータとで表している。具体的には、単セル20aを、セパレータs0の一部と、アノードa1と、電解質膜m1と、カソードc1と、セパレータs1の一部とで表している。セパレータs0は、図2に示すアノード側セパレータ26a及びカソード側セパレータ26cを意味する。アノードa1は、図2に示すアノード側ガス拡散層23a及びアノード側触媒層22aを意味する。電解質膜m1は、図2に示す電解質膜21を意味する。カソードc1は、図2に示すカソード側触媒層22c及びカソード側ガス拡散層23cを意味する。セパレータs1は、図2に示すアノード側セパレータ26a及びカソード側セパレータ26cを意味する。
同様に、単セル20bを、セパレータs1の一部と、アノードa2と、電解質膜m2と、カソードc2と、セパレータs2の一部とで表している。また、単セル20cを、セパレータs2の一部と、アノードa3と、電解質膜m3と、カソードc3と、セパレータs3の一部とで表している。
図3上段に示すように、正常時、すなわち、各単セル20a,20b,20cに、水素ガス及び空気が十分に供給され、各単セル20a,20b,20cにおいて発電が行われている場合、アノードでは下記式1に示す反応が、カソードでは下記式2に示す反応が、それぞれ起こる。このとき、各単セル20a,20b,20cの電圧(各単セルのセパレータ間の電圧:セル電圧Vc)は、およそ+1.0Vとなっている。下記式1,2の反応は、各単セル20a,20b,20cの電圧が0Vよりも高い場合に起こり得る。
Figure 2011161731
Figure 2011161731
セル電圧Vcは、下記式3に示すように定められる。なお、式3において、Vcはセル電圧を、Ecはカソードの電位を、Eaはアノードの電位を、IRは、単セルの抵抗(電解質膜の抵抗や、配線の接触抵抗など)による電圧降下を、それぞれ意味する。なお、セル電圧Vcは、換言すると、各単セル間の電圧を意味する。例えば、単セル20bのセル電圧Vcは、単セル20a(カソードc1)と単セル20c(アノードa3)との間の電圧を意味する。
Figure 2011161731
単セルへの水素ガス供給量が、発電に必要な量よりも少ない場合(水素欠乏時)には、上記式(3)におけるアノード電位Eaが上昇するために、セル電圧Vcが負電圧となり得る。水素欠乏は、例えば、電気化学反応により生じた水(生成水)が燃料ガス流路27aに溜まり、かかる生成水により燃料ガスの流通路における圧力損失が増大した場合や、氷点下環境下において、アノード側ガス拡散層23a等に溜まった生成水が氷結してガス拡散性が劣化した場合などに発生し得る。
図3下段では、単セル20bにおいて水素欠乏が生じ、セル電圧Vcが負電圧となっている。このとき、他の単セル20a,20cでは正常に発電が行われているため、単セル20bにおいても、電流を発生させようとする(すなわち、電子のやりとりを行おうとする)。しかしながら、水素欠乏のため、単セル20bにおいて上記式1,2に示す反応は生じず、アノードa2において、下記式4及び下記式5に示す反応が発生する。式4の反応は、セル電圧Vcがおよそ−0.8V以下の場合に発生し、式5の反応は、セル電圧Vcがおよそ−1.5V以下の場合に発生する。なお、カソードc2では、下記式6に示す反応が発生する。
Figure 2011161731
Figure 2011161731
ここで、式5に示す反応は、アノードa2を構成する触媒に含まれるカーボンの酸化を意味する。すなわち、水素欠乏時には、式5に示す反応の発生により、アノードa2において触媒が劣化するおそれがある。本実施例の燃料電池システム100では、後述の電流調整処理を実行することにより、水素欠乏に伴う触媒劣化を抑制できる。
A2.電流調整処理:
図4は、第1実施例における電流調整処理の手順を示すフローチャートである。燃料電池システム100では、燃料電池システム100の起動を契機として電流調整処理が開始される。まず、図1に示す制御部91aは、各単セル20について、電流センサ32から通知される電流値に基づき、可変抵抗31における電流の方向が所定の第1の方向であるか否かを判定する(ステップS105)。
電流の方向が第1の方向でない(すなわち、第1の方向と逆向きの第2の方向である)場合と判定した場合には、制御部91aは、かかる単セル20に対応する可変抵抗31の抵抗値を、抵抗値調整部50を制御して所定の大きな値に設定し(ステップS110)、ステップS105に戻る。一方、電流の方向が第1の方向であると判定した場合には、制御部91aは、かかる単セル20に対応する可変抵抗31の抵抗値を、抵抗値調整部50を制御して所定の小さな値に設定し(ステップS115)、ステップS105に戻る。
図5は、正常時における可変抵抗に流れる電流を模式的に示す説明図である。図6は、水素欠乏時における可変抵抗に流れる電流を模式的に示す説明図である。図5,6において、各単セル20a,20b,20cは、図3に示す各単セル20a,20b,20cと同じである。図5,6では、説明の便宜上、単セル20bに対応する可変抵抗31のみ表している。
正常時(すなわち、セル電圧Vcが0Vよりも高い場合)には、各単セル20a,20b,20cのアノードa2では上記式1に示す反応が起こり、カソードc2では上記式2に示す反応が起こる。この場合、図5に示すように、可変抵抗31を流れる電子の向きは、セパレータs1(単セル20bにおけるアノード側セパレータ26a)からセパレータs2(単セル20bにおけるカソード側セパレータ26c)へと向かう方向となる。すなわち、可変抵抗31における電流の向きは、セパレータs2(単セル20bにおけるカソード側セパレータ26c)からセパレータs1(単セル20bにおけるアノード側セパレータ26a)へと向かう方向である。本実施例では、この方向(セパレータs2からセパレータs1へと向かう方向)を第2の方向とし、逆向きの方向(セパレータs1からセパレータs2へと向かう方向)を第1の方向と設定されている。したがって、正常時には、可変抵抗31における電流の向きは第2の方向となるため、ステップS110が実行され、可変抵抗31の抵抗値は大きな値に設定される。この場合、可変抵抗31を通る第2の方向の電流は抑制される。
このように正常時に可変抵抗31の抵抗値を大きくするのは以下の理由による。可変抵抗31に流れる電流量が大きいほど、単セル20における起電力のうち、可変抵抗31において熱消費される電力量は増加する。その結果、単セル20における発電効率はより低下することとなる。そこで、燃料電池システム100では、正常時には、可変抵抗31の抵抗値を大きくして第2の方向の電流量を減少させることにより、可変抵抗31において熱消費される電力量を低下させ、単セル20における発電効率を向上させる。
これに対し、単セル20bにおける水素欠乏によって単セル20bのセル電圧Vcが低下していき負電圧となり、上記式1の反応が起こらなくなると、単セル20bのアノードa2から単セル20aのカソードc1に電子が供給されなくなる。この場合、図6に示すように、単セル20aのカソードc1には、単セル20cのアノードa3において上記式1の反応により発生した電子が、可変抵抗31を介して供給されることとなる。したがって、可変抵抗31における電流の流れは、第1の方向となる。この場合、ステップS115が実行され、可変抵抗31の抵抗値は小さな値に設定され、可変抵抗31を通る電流が増加する。それゆえ、単セル20aのカソードc1に電子が供給されるため、水素欠乏状態の単セル20bでは、上記式4,5に示す反応が発生せず、アノードa2の触媒劣化が抑制される。
なお、上述したように、セル電圧Vcが0Vよりも高い場合には、各単セル20において上記1,2の反応が起こり、電流の向きは第2方向となる。したがって、本実施例においては、0Vが請求項における第1の所定電圧に相当する。また、単セル20bは請求項における第1の発電モジュールに、単セル20aは請求項における第2の発電モジュールに、単セル20cは請求項における第3の発電モジュールに、それぞれ相当する。
以上説明したように、第1実施例の燃料電池システム100では、可変抵抗31における電流の方向が第1の方向になった場合に(すなわち、単セル20のセル電圧Vcが負電圧となった場合に)、かかる単セル20と並列接続された可変抵抗31の抵抗値を低下させることにより可変抵抗31における電流値を増加させるので、かかる単セル20におけるカーボン酸化を抑制することができる。したがって、単セル20が負電圧となった場合における触媒劣化を抑制することができる。また、セル電圧Vcが負電圧でない場合には、可変抵抗31の抵抗値を増加させることにより、可変抵抗31における電流値を減少させるので、かかる単セル20における発電効率を向上させることができる。
加えて、可変抵抗31の抵抗値を切り替える際の判断(ステップS105)において、可変抵抗31を流れる電流の方向に基づき判断するので、単セル20bにおいて正常時の化学反応(上記式1,2に示す反応)が起こらず、アノードa2において電子の生成を伴う化学反応が起こり得る状態であるか否かを正確に判定することができる。
B.第2実施例:
図7は、第2実施例における単セル及び電流調整部の詳細構成を示す説明図である。第2実施例の燃料電池システムは、電流調整部30aにおいて、電流センサ32に代えて電圧センサ33を備えている点、及び可変抵抗31の抵抗値の切り替えの判断をセル電圧Vcに基づき実行する点において、第1実施例の燃料電池システム100と異なり、他の構成は、第1実施例と同じである。なお、第2実施例の単セル20は、第1実施例と同じである。
図7に示すように、第2実施例の電流調整部30aは、各単セル20において、単セル20と並列に接続された電圧センサ33を備えている。電圧センサ33は、セル電圧Vcを測定し、制御ユニット90(制御部91a)に通知する。
図8は、第2実施例の電流調整処理の手順を示す説明図である。制御部91aは、電圧センサ33から通知されるセル電圧Vcの値に基づき、セル電圧Vcが負電圧であるか否かを判定する(ステップS205)。セル電圧Vcが負電圧であると判定した場合(ステップS205:YES)、制御部91aは、上述したステップS115(可変抵抗31の抵抗値を小さな値に設定する)を実行し、ステップS205に戻る。
前述のステップS205において、セル電圧Vcが負電圧でないと判定した場合、制御部91aは、セル電圧Vcが触媒溶出電圧Vd以上であるか否かを判定する(ステップS210)。触媒溶出電圧Vdは、例えば、触媒が白金(Pt)である場合には、0.85Vである。触媒として白金を用いた場合には、セル電圧Vcが0.85V以上となった場合に(例えば、燃料電池システム100の運転停止後のOC(Open Circuit)状態の場合に)、白金のイオン化が発生して触媒が劣化する。なお、触媒溶出電圧Vdは、請求項における第2の所定電圧に相当する。
セル電圧Vcが触媒溶出電圧Vdよりも低いと判定した場合(ステップS210:NO)には、制御部91aは、上述したステップS110(可変抵抗31の抵抗値を大きな値に設定する)を実行し、ステップS205に戻る。これに対し、セル電圧Vcが触媒溶出電圧Vdよりも高いと判定した場合(ステップS210:YES)には、上述したステップS115(可変抵抗31の抵抗値を小さな値に設定する)を実行し、ステップS205に戻る。
以上の構成を有する第2実施例の燃料電池システムは、第1実施例の燃料電池システム100と同様な効果を有する。加えて、セル電圧Vcが触媒溶出電圧Vd以上となった場合に可変抵抗31の抵抗値を小さな値に設定するので、可変抵抗31を流れる電流を増加させることができる。その結果、単セル20の起電力を可変抵抗31においてより多く熱消費させて単セル20の電圧を低下させることができるので、アノードにおける触媒の溶出を抑制することができる。
C.第3実施例:
図9は、第3実施例の燃料電池システムの概略構成を示す説明図である。第3実施例の燃料電池システム100aは、抵抗値調整部50及び制御部91aを備えていない点、及び電流調整部30に代えて電流調整部30bを備えている点において、第1実施例の燃料電池システム100と異なり、他の構成は第1実施例と同じである。
図10は、第3実施例における単セル及び電流調整部の詳細構成を示す説明図である。第3実施例の電流調整部30bは、各単セル20において、可変抵抗31及び電流センサ32に代えて、ダイオード40を備えている点において、第1実施例の電流調整部30と異なる。なお、第3実施例の単セル20は、第1実施例と同じである。
図10に示すように、第3実施例の電流調整部30bは、各単セル20において、単セル20と並列に接続されたダイオード40を備えている。ダイオード40は、P側が単セル20のアノード側に接続され、N側が単セル20のカソード側に接続されて配置されている。第3実施例では、ダイオード40として、シリコンダイオードを採用する。シリコンダイオードは、順方向降下電圧Vfは、およそ0.6Vであり、また、逆方向電圧への耐性が大きい特性を有している。
図11は、第3実施例の正常時におけるダイオードに流れる電流を模式的に示す説明図である。第1実施例では、正常時には、図5に示すように単セル20bのアノードa2からカソードc2に向かう方向に電子が流れ、第2の方向の電流が発生していた。しかしながら、この第2の方向の電流は、第3実施例では、ダイオード40における逆方向の電流に相当するため、ほとんど発生し得ない。なお、図11に示す状態は、正常時(すなわち、セル電圧Vcが0V以上の場合)に限らず、単セル20bのセル電圧Vcが、−Vf(例えば、−0.6V)よりも大きい負電圧の場合に起こり得る。
図12は、第3実施例の水素欠乏時におけるダイオードに流れる電流を模式的に示す説明図である。図12に示す状態は、単セル20bにおいて水素欠乏が発生し、かつ、単セル20bのセル電圧Vcが−Vf以下である場合に起こり得る。
単セル20bにおいて水素欠乏が発生し、かつ、単セル20bのセル電圧Vcが−Vfよりも小さい負電圧の場合には、ダイオード40において順方向の電流が発生する。すなわち、第1の方向の電流が発生することとなる。したがって、第1実施例の図6と同様に、単セル20aのカソードc1には、単セル20cのアノードa3において上記式1の反応により発生した電子が、可変抵抗31を介して供給されるため、アノードa2の触媒劣化が抑制される。
なお、上述したように、本実施例では、単セル20のセル電圧Vcが−Vcよりも大きい場合には、第1の方向及び第2の方向のいずれの方向の電流も発生しない。また、単セル20のセル電圧Vcが−Vc以下の場合には、第1の方向の電流が発生する。したがって、本実施例において電圧−Vfが請求項における第1の所定電圧に相当する。
以上の構成を有する第3実施例の燃料電池システム100aは、第1実施例の燃料電池システム100と同様の効果を有する。加えて、抵抗値調整部50及び制御部91aを省略でき、かつ、電流調整部30aをシンプルに構成できるので、燃料電池システム100aの構築費用の上昇を抑制できる。
D.第4実施例:
図13は、第4実施例における単セル及び電流調整部の詳細構成を示す説明図である。第4実施例の燃料電池システムは、電流調整部30cにおいて、電流センサ32に代えて第1ダイオード40aを備えている点と、電流調整部30cにおいて、第2ダイオード40b及び電圧センサ34を備えている点と、可変抵抗31の抵抗値の切り替えの判断をセル電圧Vcに基づき実行する点とにおいて、第1実施例の燃料電池システム100と異なり、他の構成は、第1実施例と同じである。なお、第4実施例の単セル20は、第1実施例と同じである。
図13に示すように、第4実施例の電流調整部30cは、各単セル20において、可変抵抗31と直列に接続された第1ダイオード40aを備えている。第1ダイオード40aは、P側が可変抵抗31に接続され、N側が単セル20のアノード側に接続されて配置されている。また、電流調整部30cは、各単セル20において、単セル20と並列に接続された第2ダイオード40bを備えている。第2ダイオード40bは、P側が単セル20のアノード側に接続され、N側が単セル20のカソード側に接続されて配置されている。第1ダイオード40a及び第2ダイオード40bは、いずれも第3実施例と同様にシリコンダイオードを採用する。また、電流調整部30cは、各単セル20において、単セル20と並列に接続された電圧センサ34を備えている。
図14は、第4実施例の電流調整処理の手順を示す説明図である。制御部91aは、電圧センサ34から通知されるセル電圧Vcの値に基づき、セル電圧Vcが触媒溶出電圧Vd以上であるか否かを判定する(ステップS210)。セル電圧Vcが触媒溶出電圧Vdよりも低いと判定した場合(ステップS210:NO)、制御部91aは、上述したステップS110(可変抵抗31の抵抗値を大きな値に設定する)を実行し、ステップS210に戻る。これに対し、セル電圧Vcが触媒溶出電圧Vd以上であると判定した場合(ステップS210:YES)、制御部91aは、上述したステップS115(可変抵抗31の抵抗値を小さな値に設定する)を実行し、ステップS210に戻る。
上記構成により、水素欠乏状態においては、第3実施例と同様に、第2ダイオード40bの順方向に電流が流れることにより、各単セル20のアノードにおいて触媒劣化が抑制される。一方、正常状態であって、セル電圧Vcが触媒溶出電圧Vdよりも低い場合には、可変抵抗31の抵抗値が大きな値に設定されるので、第2ダイオード40bに加えて、第1ダイオード40aにもほとんど電流が流れない。このような構成により、第1ダイオード40a及び第2ダイオード40bに電流が流れることによる発電効率の低下を抑制している。また、正常状態であって、セル電圧Vcが触媒溶出電圧Vd以上の場合には、可変抵抗31の抵抗値が小さな値に設定されるので、第2ダイオード40bには電流が流れないが、第1ダイオード40aには電流が流れることとなる。その結果、単セル20の起電力を可変抵抗31においてより多く熱消費させて、単セル20の電圧を低下させることができるので、アノードにおける触媒の溶出を抑制することができる。
以上の構成を有する第4実施例の燃料電池システムは、第1実施例の燃料電池システム100と同様の効果を有する。加えて、セル電圧Vcが触媒溶出電圧Vd以上となった場合に、可変抵抗31の抵抗値を小さな値に設定するので、可変抵抗31を流れる電流を増加させることができる。その結果、単セル20の起電力を可変抵抗31においてより多く熱消費させて、単セル20の電圧を低下させることができるので、アノードにおける触媒の溶出を抑制することができる。なお、セル電圧Vcが負電圧となったか否かの判定の処理(ステップS205)を省略できる点、及び、セル電圧Vcが負電圧の際に可変抵抗31の抵抗値を切り替える処理(ステップS115)を省略できる点において、第2実施例の燃料電池システムに比べて、電流調整処理の手順をシンプルにすることができ、CPU91やRAM93等の資源を節約できる。
E.第5実施例:
図15は、第5実施例における単セル及び電流調整部の詳細構成を示す説明図である。第5実施例の燃料電池システムは、電流調整部30bが各単セル20の内部に配置されている点において、図9〜12に示す第3実施例の燃料電池システム100aと異なり、他の構成は第3実施例と同じである。
第3実施例では、電流調整部30(ダイオード40)は、各単セルの外部に配置されていた。これに対し、図15に示すように、第5実施例では、電流調整部30c(ダイオード40)は各単セル20内部に配置されている。
図15に示すように、電流調整部30bは、膜電極接合体25の外縁部に配置されたダイオード40のみで構成されている。ダイオード40は、P型シリコン40p及びN型シリコン40nにより構成され、P型シリコン40pがアノード側セパレータ26aに接し、N型シリコン40nはカソード側セパレータ26cに接するように配置されている。このような構成は、例えば、膜電極接合体25の外縁部に配置される樹脂等から成るシール部材の一部を、ダイオード40により構成することにより実現できる。
以上の構成を有する第5実施例の燃料電池システムは、第3実施例の燃料電池システム100aと同じ効果を有する。加えて、電流調整部30b(ダイオード40)を各単セル20の内部に配置するので、燃料電池スタック10の構成をシンプルにすることができ、燃料電池システム全体の小型化を実現できる。また、電流調整部30bを膜電極接合体25の周縁部に設けるので、膜電極接合体25の製造過程において、併せて電流調整部30bを生成することができる。したがって、燃料電池スタック10の構築手順をシンプルにすることができる。
F.第6実施例:
図16は、第6実施例における単セル及び電流調整部の詳細構成を示す説明図である。第6実施例の燃料電池システムは、第5実施例と同様に第1ダイオード40a及び第2ダイオード40bが各単セル20の内部に配置されている点において、図13,14に示す第4実施例の燃料電池システムと異なり、他の構成は第4実施例と同じである。
第4実施例では、第1ダイオード40a,第2ダイオード40b,及び可変抵抗31は、各単セルの外部に配置されていた。これに対し、図16に示すように、第6実施例では、第1ダイオード40a,第2ダイオード40b,及び可変抵抗31は各単セル20内部に配置されている。
図16に示すように、第1ダイオード40aは、P型シリコン41p及びN型シリコン41nにより構成され、N型シリコン41nがアノード側セパレータ26aに接し、P型シリコン41pは可変抵抗31に接するように配置されている。また、可変抵抗31はカソード側セパレータ26cに接するように配置されている。
第2ダイオード40bは、P型シリコン42p及びN型シリコン42nにより構成され、P型シリコン42pはアノード側セパレータ26aに接し、N型シリコン42nはカソード側セパレータ26cに接するように配置されている。
第6実施例におけるこのような構成は、第5実施例と同様に、例えば、膜電極接合体25の外縁部に配置される樹脂等から成るシール部材の一部を、第1ダイオード40a,第2ダイオード40b,及び可変抵抗31により構成することにより実現できる。
以上の構成を有する第6実施例の燃料電池システムは、第4実施例の燃料電池システムと同じ効果を有する。加えて、第1ダイオード40a,第2ダイオード40b,及び可変抵抗31を各単セル20の内部に配置するので、燃料電池スタックの構成をシンプルにすることができ、燃料電池システム全体の小型化を実現できる。また、電流調整部30bを膜電極接合体25の周縁部に設けるので、膜電極接合体25の製造過程において、併せて電流調整部30bを生成することができる。したがって、燃料電池スタック10の構築手順をシンプルにすることができる。
G.変形例:
なお、上記各実施例における構成要素の中の、独立クレームでクレームされた要素以外の要素は、付加的な要素であり、適宜省略可能である。また、この発明は上記の実施例や実施形態に限られるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々の態様において実施することが可能であり、例えば次のような変形も可能である。
G1.変形例1:
第3〜6実施例において用いたダイオードは、シリコンダイオードであったが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、ゲルマニウムダイオードやショットキーバリアダイオードなど、他のダイオードを採用することもできる。ゲルマニウムダイオード及びショットキーバリアダイオードを採用した場合、順方向降下電圧Vfを低く抑えることができるので、単セル20のセル電圧Vcが負電圧になってから比較的短期間のうちに、第1の方向の電流を増加できるので、触媒劣化をより抑制することができる。なお、ショットキーバリアダイオードを採用する場合に、セパレータと半導体とを接合してショットキーバリアダイオードを作製してもよい。具体的には、例えば、スパッタリング法によってセパレータ上に半導体を形成してショットキーバリアダイオードを作製することができる。
G2.変形例2:
可変抵抗31の抵抗値の切り替え判断を、第1実施例では、可変抵抗31における電流の方向にのみ基づき、第2実施例では、セル電圧Vcにのみ基づき、それぞれ判断していた。しかしながら、本発明は、これらの構成に限定されるものではない。例えば、可変抵抗31の抵抗値を小さな値から大きな値に切り替える判断を、可変抵抗31における電流の方向に基づき判断し、大きな値から小さな値に切り替える判断を、セル電圧Vcに基づき判断することもできる。具体的には、電流調整処理が開始されると、まず、セル電圧Vcが0V以上であるか否かを判断し、セル電圧Vcが負電圧(0Vよりも低い)場合には、可変抵抗31の抵抗値を小さな値に設定する。可変抵抗31の抵抗値を小さな値に設定した後は、可変抵抗31における電流の方向を監視し、水素欠乏が解消されて電流の方向が第2の方向になった場合に、可変抵抗31の抵抗値を大きな値に設定する。そして、セル電圧Vcが0V以上である場合には、セル電圧Vcを監視し、セル電圧Vcが触媒溶出電圧Vd以上となった場合に、可変抵抗31の抵抗値を大きな値から小さな値に切り替える構成を採用することもできる。
G3.変形例3:
第2実施例では、電流調整処理のステップS205において、判断基準となる電圧は0Vであったが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、−0.8Vや−1.5Vを採用することもできる。−0.8Vや−1.5Vを採用した場合には、上記式4に示す反応は発生するが、式5に示す反応の発生は抑制できる。したがって、アノードにおけるカーボン酸化が抑制できるので、単セル20における発電効率の劣化が抑制できる。なお、これらの構成においては、−0.8Vや−1.5Vが、請求項における第1の所定電圧に相当する。
G4.変形例4:
各実施例において、膜電極接合体25は、アノード側ガス拡散層23a及びカソード側ガス拡散層23cを含む、いわゆる、MEGA(Membrane Electrode and Gas Diffusion Layer Assembly)であったが、これに代えて、アノード側ガス拡散層23a及びカソード側ガス拡散層23cを含まない、いわゆる、MEA(Membrane Electrode Assembly)を採用することもできる。かかる構成においては、このMEAの外側(アノード側セパレータ26a側及びカソード側セパレータ26c側)に、アノード側ガス拡散層23a及びカソード側ガス拡散層23cする構成を採用できる。
G5.変形例5:
第1実施例では、可変抵抗31における電流の方向の判断は、制御部91aが電流センサ32から通知される電流値に基づき判断していたが、これに代えて、電流センサ32が、自身が測定した電流値に基づき電流の方向を判断する構成を採用することができる。かかる構成では、制御部91aは、電流センサ32から通知される電流の方向に基づき、ステップS105を実行することができる。
G6.変形例6:
上述した図3,5,6を用いた説明では、燃料電池スタック10を構成する単セル20の数は3つであったが、3つに限らず、2つ以上の任意の数の単セル20により、燃料電池スタック10を構成することもできる。例えば、図3,5,6において、単セル20cを省略して、2つの単セル20a,20bが互いに接する構成を採用することもできる。この構成においては、単セル20aのアノードa1で発生した電子は、セパレータs0及び負荷200を介して、セパレータs2(単セル20bにおけるカソード側セパレータ26c)に供給される。そして、上記第1実施例と同様に、単セル20bにおいて水素欠乏が発生した場合に可変抵抗31の抵抗値を小さな値に設定することにより、セパレータs2に供給された電子を、可変抵抗31及びセパレータs1を介して単セル20aのカソードc1に供給することができる。
G7.変形例7:
各実施例では、燃料電池システムは、電気自動車に搭載されて用いられていたが、これに代えて、ハイブリッド自動車,船舶,ロボットなどの各種移動体に適用することもできる。また、燃料電池スタック10を定置型電源として用い、燃料電池システムをビルや一般住宅等の建物に適用することもできる。
G8.変形例8:
各実施例において、ソフトウェアによって実現されていた構成の一部をハードウェアに置き換えるようにしてもよい。また、これとは逆に、ハードウェアによって実現されていた構成の一部をソフトウェアに置き換えるようにしてもよい。
10…燃料電池スタック
20,20a,20b,20c…単セル
21…電解質膜
22a…アノード側触媒層
22c…カソード側触媒層
23a…アノード側ガス拡散層
23c…カソード側ガス拡散層
25…膜電極接合体
26a…アノード側セパレータ
26c…カソード側セパレータ
27a…燃料ガス流路
27c…酸化剤ガス流路
30,30a,30b,30c…電流調整部
31…可変抵抗
32…電流センサ
33,34…電圧センサ
40…ダイオード
40a…第1ダイオード
40b…第2ダイオード
50…抵抗値調整部
61…水素タンク
62…エアコンプレッサ
63…循環用ポンプ
71…遮断弁
72…調圧弁
81…燃料ガス供給路
82…燃料ガス排出路
83…バイパス流路
84…酸化剤ガス供給路
85…酸化剤ガス排出路
90…制御ユニット
91…CPU
92…ROM
93…RAM
91a…制御部
100,100a…燃料電池システム
a1,a2,a3…アノード
m1,m2,m3…電解質膜
c1,c2,c3…カソード
s1,s2,s3…セパレータ
本発明は、燃料ガスと酸化剤ガスとを反応させて発電する燃料電池に関する。
燃料ガスと酸化剤ガスとを反応させて発電する燃料電池では、運転停止後においても、残留燃料ガス及び残留酸化剤ガスにより発電が継続され、いわゆる開回路電圧(Open Circuit Voltage)が発生する。この開回路電圧により、燃料電池の触媒層を構成するカーボンの腐食や触媒金属の溶出などの触媒劣化が発生する。そこで、開回路電圧を低下させるために様々な提案がなされている。触媒劣化は、燃料電池が負電圧となった場合にも起こり得る。例えば、燃料電池スタックを構成する一部の燃料電池において燃料ガスが欠乏した場合、かかる燃料電池においてアノード電位が上昇するために負電圧となる。この場合、燃料ガスが欠乏した燃料電池では、他の燃料電池と同じだけの電流を流そうとするために、触媒を構成するカーボンの酸化が発生するおそれがある。
燃料電池が負電圧となりカーボン酸化が発生した場合、有効な触媒面積が減少することから、発電効率が低下するという問題があった。しかしながら、従来では、燃料電池が負電圧となった場合における触媒劣化を抑制するために十分な工夫がなされていないのが実情であった。
本発明は、燃料電池が負電圧となった場合における触媒劣化を抑制することを目的とする。
本発明は、上述の課題の少なくとも一部を解決するためになされたものであり、以下の形態又は適用例として実現することが可能である。
[適用例1]燃料電池システムであって、
触媒を含む発電部と、前記発電部に接するアノード側非発電部と、前記発電部を挟んで前記アノード側非発電部とは反対側に配置されたカソード側非発電部と、を有する第1の発電モジュールと、
前記第1の発電モジュールに隣接する第2の発電モジュールと、
各発電モジュールと並列に接続された電流調整回路と、
前記アノード側非発電部と前記カソード側非発電部との間の電圧であるセル電圧が負圧である第1の所定電圧以下である場合に、前記第1の発電モジュールと並列に接続された前記電流調整回路において、前記アノード側非発電部から前記カソード側非発電部へと向かう第1の方向に流れる電流を増加させる電流制御部と、
を備える、燃料電池システム。
適用例1の燃料電池システムでは、第1の発電モジュールのセル電圧が第1の所定電圧以下である場合に、電流調整回路において前記第1の方向に流れる電流を増加させるので、隣接する第2の発電モジュールに対して電流調整回路を介して電子を供給できる。したがって、第1の発電モジュールが水素欠乏等の場合において、第2の発電モジュールに電子を供給するために、第1の発電モジュールのアノードにおいて電子の生成を伴う化学反応の発生を抑制できる。それゆえ、アノードにおけるカーボン酸化を抑制でき、発電効率の低下を抑制できる。
[適用例2]適用例1に記載の燃料電池システムにおいて、
前記電流制御部は、前記第1の発電モジュールと並列に接続された前記電流調整回路における電流の方向を検出する電流方向検出部を有し、前記電流方向検出部が検出する前記電流の方向に基づき、前記セル電圧が前記第1の所定電圧以下であるか否かを判定する、燃料電池システム。
このような構成により、燃料ガスの欠乏等に起因して、発電モジュールにおいて通常発電時の化学反応が起こらず、アノードにおいて電子の生成を伴う化学反応が起こり得る状態であるか否かを正確に判定することができる。
[適用例3]適用例1または適用例2に記載の燃料電池システムにおいて、
前記電流制御部は、前記セル電圧が、前記第1の所定電圧よりも高い電圧であって前記触媒の溶出が生じる第2の所定電圧よりも高い場合に、前記第1の発電モジュールと並列に接続された前記電流調整回路において前記第1の方向とは逆向きの第2の方向に流れる電流を増加させる、燃料電池システム。
このような構成により、第1の発電モジュールのセル電圧が第2の所定電圧よりも高い場合に、通常発電時の化学反応により生じた電子を、電流調整回路を通して第1の発電モジュールのカソードからアノードに供給することができる。したがって、第1の発電モジュールの起電圧を電流調整回路において熱消費させることができるので、燃料電池スタックがOC(Open Circuit)状態である場合において、第1の発電モジュールのセル電圧を低下させることができ、OC状態における高電圧に起因する触媒の溶出を抑制できる。
[適用例4]適用例1ないし適用例3のいずれかに記載の燃料電池システムにおいて、
前記電流調整回路及び前記電流制御部は、ダイオードを含む、燃料電池システム。
このような構成により、第1の所定電圧(の絶対値)が、ダイオードの順方向降下電圧(の絶対値)よりも大きい場合には、第1の発電モジュールのセル電圧が第1の所定電圧以下である場合に電流調整回路において第1の方向に流れる電流を増加させ、セル電圧が第1の所定電圧よりも高い場合に電流調整回路において第1の方向に流れる電流を減少させることができる。したがって、セル電圧が第1の所定電圧以下であるか否かを判定するために特別な機能部を必要としないので、電流調整回路及び電流制御部をシンプルに構成でき、燃料電池システムの構築費用の上昇を抑制できる。
[適用例5]適用例4に記載の燃料電池システムにおいて、
各発電モジュールは、一対のセパレータと、前記一対のセパレータに挟持された膜電極接合体とを有し、
前記電流調整回路及び前記電流制御部は、前記膜電極接合体の周縁部に配置され、前記一対のセパレータに挟持されている、燃料電池システム。
このような構成により、電流調整回路及び電流制御部を発電モジュールの内部に配置できるので、燃料電池スタックの構成をシンプルにすることができ、燃料電池システム全体の小型化を実現できる。加えて、膜電極接合体の製造過程において、併せて電流調整回路及び電流制御部を生成することができるので、燃料電池スタックの構築手順をシンプルにすることができる。
[適用例6]適用例4または適用例5に記載の燃料電池システムにおいて、
前記ダイオードは、シリコンダイオードまたはショットキーバリアダイオードである、燃料電池システム。
このような構成により、順方向降下電圧が比較的小さなダイオードを用いることができるので、発電モジュール間電圧が負電圧となってから比較的短期間のうちに、第1の方向の電流を増加させることができる。したがって、他のダイオードを用いる構成に比べて、触媒劣化をより抑制することができる。特に、シリコンダイオードは、逆方向電圧の耐性が高いので、第1の発電モジュールが通常発電を行う際に第2の方向の電流をほとんど流さないことができる。したがって、通常発電時において、電流調整回路に電流が流れて第1の発電モジュールの起電力が電流調整回路において熱消費されてしまい、発電効率が低下してしまうことを抑制できる。
なお、本発明は、種々の態様で実現することが可能であり、例えば、電流の制御方法、または電流の制御を実現するためのコンピュータープログラム、そのコンピュータープログラムを記録した記録媒体、等の形態で実現することができる。
本発明の一実施例としての燃料電池システムの概略構成を示す説明図である 図1に示す単セル及び電流調整部の詳細構成を示す説明図である。 単セルの電圧の変化を模式的に示す説明図である。 第1実施例における電流調整処理の手順を示すフローチャートである。 正常時における可変抵抗に流れる電流を模式的に示す説明図である。 水素欠乏時における可変抵抗に流れる電流を模式的に示す説明図である。 第2実施例における単セル及び電流調整部の詳細構成を示す説明図である。 第2実施例の電流調整処理の手順を示す説明図である。 第3実施例の燃料電池システムの概略構成を示す説明図である。 第3実施例における単セル及び電流調整部の詳細構成を示す説明図である。 第3実施例の正常時におけるダイオードに流れる電流を模式的に示す説明図である。 第3実施例の水素欠乏時におけるダイオードに流れる電流を模式的に示す説明図である。 第4実施例における単セル及び電流調整部の詳細構成を示す説明図である。 第4実施例の電流調整処理の手順を示す説明図である。 第5実施例における単セル及び電流調整部の詳細構成を示す説明図である。 第6実施例における単セル及び電流調整部の詳細構成を示す説明図である。
A.第1実施例:
.システム構成:
図1は、本発明の一実施例としての燃料電池システムの概略構成を示す説明図である。本実施例において、燃料電池システム100は、駆動用電源を供給するためのシステムとして、電気自動車に搭載されて用いられる。燃料電池システム100は、燃料電池スタック10と、水素タンク61と、エアコンプレッサ62と、遮断弁71と、調圧弁72と、燃料ガス供給路81と、燃料ガス排出路82と、バイパス流路83と、循環用ポンプ63と、酸化剤ガス供給路84と、酸化剤ガス排出路85と、電流調整部30と、抵抗値調整部50と、制御ユニット90とを備えている。
燃料電池スタック10は、比較的小型で発電効率に優れる固体高分子型燃料電池である単セル(発電モジュールともいう)20が複数積層された構成を有し、燃料ガスとしての純水素と、酸化剤ガスとしての空気中の酸素が、各電極において電気化学反応を起こすことによって起電力を得るものである。
水素タンク61は、高圧水素ガスを貯蔵している。水素タンク61としては、例えば、水素吸蔵合金を内部に備え、水素吸蔵合金に吸蔵させることによって水素を貯蔵するタンクを用いても良い。エアコンプレッサ62は、酸化剤ガス供給路84に配置され、外部から取り込んだ空気を加圧して燃料電池スタック10に供給する。
遮断弁71は、水素タンク61の図示しない水素ガス排出口に配置されており、水素ガスの供給及び停止を行う。調圧弁72は、燃料ガス供給路81に配置されており、水素タンク61から排出された高圧水素ガスを、所定の圧力まで低下させる。
燃料ガス供給路81は、水素タンク61と燃料電池スタック10とを連通し、水素タンク61から供給される水素ガスを燃料電池スタック10に導くための流路である。燃料ガス排出路82は、燃料電池スタック10から余剰水素ガス(アノード側オフガス)を排出するための流路である。バイパス流路83は、燃料ガス供給路81と燃料ガス排出路82とを連通し、通常運転の際には、燃料ガス排出路82から排出される余剰水素ガスを燃料ガス供給路81へと導く。循環用ポンプ63は、バイパス流路83に配置され、燃料ガス排出路82から燃料ガス供給路81へと余剰水素ガス(アノード側オフガス)を流通させる。
酸化剤ガス供給路84は、エアコンプレッサ62と燃料電池スタック10とを連通し、エアコンプレッサ62から供給される圧縮空気を燃料電池スタック10に導くための流路である。酸化剤ガス排出路85は、燃料電池スタック10から排出される余剰空気(カソード側オフガス)及び生成水を外部(大気)に排出するための流路である。
電流調整部30は、各単セル20と接続されている。なお、電流調整部30の詳細構成については後述する。抵抗値調整部50は、電流調整部30と接続され、電流調整部30が有する図示しない抵抗の抵抗値を調整する。
制御ユニット90は、循環用ポンプ63,エアコンプレッサ62,遮断弁71,調圧弁72,及び抵抗値調整部50と電気的に接続されており、これらの各要素を制御する。また、制御ユニット90は、電流調整部30が有する図示しない電流センサと接続されており、電流センサから通知される電流値を受信する。
制御ユニット90は、CPU(Central Processing Unit)91と、ROM(Read Only Memory)92と、RAM(Random Access Memory)93とを備えている。ROM92には、燃料電池システム100を制御するための図示しない制御プログラムが格納されており、CPU91は、RAM93を利用しながらこの制御プログラムを実行することにより、制御部91aとして機能する。制御部91aは、後述する電流調整処理を実行する。
図2は、図1に示す単セル及び電流調整部の詳細構成を示す説明図である。単セル20は、膜電極接合体25と、カソード側セパレータ26cと、アノード側セパレータ26aとを備えている。膜電極接合体25は、電解質膜21と、カソード側触媒層22cと、カソード側ガス拡散層23cと、アノード側触媒層22aと、アノード側ガス拡散層23aとを備えている。
電解質膜21は、スルホン酸基を含むフッ素樹脂系イオン交換膜であり、Flemion(登録商標)やAciplex(登録商標)等を用いることができる。なお、電解質膜21としては、スルホン酸基に限らず、リン酸基やカルボン酸基など、他のイオン交換基を含む膜を用いることができる。
カソード側触媒層22cは、電解質膜21に接して配置されている。カソード側触媒層22cは、触媒を導電性粒子に担持させた部材と、プロトン導電体であるアイオノマとを用いて構成されている。触媒としては、例えば、白金や、白金とルテニウムや鉄等の金属との合金を用いることができる。導電性粒子としては、例えば、カーボンブラック等の炭素粒子や、炭素繊維などを用いることができる。アイオノマとしては、スルホン酸基を含むフッ素樹脂を採用することができる。
カソード側ガス拡散層23cは、反応ガスである空気を拡散し、また、電気化学反応等により生じた水を排出するために多孔質部材により構成されている。具体的には、例えば、カーボンペーパーやカーボンクロス等のカーボン多孔質体や、金属メッシュや発泡金属等の金属多孔質体により構成されている。
カソード側セパレータ26cは、ガス不透過の伝導性部材、例えば、カーボンを圧縮してガス不透過とした緻密質カーボンや、プレス成型した金属板によって構成することができる。カソード側セパレータ26cは、凹凸形状を有しており、カソード側セパレータ26cとカソード側ガス拡散層23cとが接することにより、カソード側セパレータ26cとカソード側ガス拡散層23cとの間に酸化剤ガス流路27cが形成される。この酸化剤ガス流路27cは、エアコンプレッサ62から供給される空気を、カソード側ガス拡散層23cに導くと共に、カソード側ガス拡散層23cから排出されるガス(余剰空気及び水蒸気)を単セル20の外部へと排出する。
アノード側の構成は、カソード側の構成と同様である。すなわち、アノード側触媒層22aは、カソード側触媒層22cと同じ構成を有している。また、アノード側ガス拡散層23aはカソード側ガス拡散層23cと、アノード側セパレータ26aはカソード側セパレータ26cと、それぞれ同じ構成を有している。なお、アノード側セパレータ26aとアノード側ガス拡散層23aとの間に形成された燃料ガス流路27aは、水素タンク61及び循環用ポンプ63によって供給される水素ガスをアノード側ガス拡散層23aに導くと共に、アノード側ガス拡散層23aから排出されるガス(余剰水素ガス)を単セル20の外部へと排出する。
電流調整部30は、各単セル20と並列に接続された複数の可変抵抗31と、各可変抵抗31に直列に接続された複数の電流センサ32とを備えている。各可変抵抗31の抵抗値は、抵抗値調整部50により制御される。各電流センサ32は、対応する可変抵抗31を流れる電流値を検出して制御ユニット90に通知する。このとき、制御ユニット90(制御部91a)は、受信した電流値の符号(正又は負)により、可変抵抗31を流れる電流の方向を検出することができる。
電流調整部30と抵抗値調整部50とは、具体的には、以下のような構成を採用することができる。例えば、可変抵抗31として、複数の抵抗値を有する抵抗であって、それぞれ単セル20と並列に接続可能な抵抗を採用し、抵抗値調整部50として、各抵抗に直列に接続するスイッチから構成し、単セル20に接続(並列接続)させる抵抗の数を制御することにより、可変抵抗31の抵抗値を制御する構成を採用することができる。
前述の単セル20は、請求項における発電モジュールに相当する。また、膜電極接合体25は請求項における発電部に、アノード側セパレータ26aは請求項におけるアノード側非発電部に、カソード側セパレータ26cは請求項におけるカソード側非発電部に、可変抵抗31は請求項における電流調整回路に、抵抗値調整部50,電流センサ32及び制御部91aは請求項における電流制御部に、電流センサ32は請求項における電流方向検出部に、それぞれ相当する。なお、膜電極接合体25における電解質膜21,アノード側触媒層22a,及びカソード側触媒層22cが請求項における発電部に、アノード側セパレータ26a,カソード側セパレータ26c,アノード側ガス拡散層23a,及びカソード側ガス拡散層23cが請求項における非発電部に、それぞれ相当する構成も採用し得る。
図3は、単セルの電圧の変化を模式的に示す説明図である。図3において、上段は正常時における単セル20の電圧、下段は水素欠乏時における単セル20の電圧を示す。
図3では、説明の便宜上、燃料電池スタック10を、3つの積層された単セル20(20a,20b,20c)で表している。また、各単セル20a,20b,20cを、電解質膜とカソードとアノードとセパレータとで表している。具体的には、単セル20aを、セパレータs0の一部と、アノードa1と、電解質膜m1と、カソードc1と、セパレータs1の一部とで表している。セパレータs0は、図2に示すアノード側セパレータ26a及びカソード側セパレータ26cを意味する。アノードa1は、図2に示すアノード側ガス拡散層23a及びアノード側触媒層22aを意味する。電解質膜m1は、図2に示す電解質膜21を意味する。カソードc1は、図2に示すカソード側触媒層22c及びカソード側ガス拡散層23cを意味する。セパレータs1は、図2に示すアノード側セパレータ26a及びカソード側セパレータ26cを意味する。
同様に、単セル20bを、セパレータs1の一部と、アノードa2と、電解質膜m2と、カソードc2と、セパレータs2の一部とで表している。また、単セル20cを、セパレータs2の一部と、アノードa3と、電解質膜m3と、カソードc3と、セパレータs3の一部とで表している。
図3上段に示すように、正常時、すなわち、各単セル20a,20b,20cに、水素ガス及び空気が十分に供給され、各単セル20a,20b,20cにおいて発電が行われている場合、アノードでは下記式1に示す反応が、カソードでは下記式2に示す反応が、それぞれ起こる。このとき、各単セル20a,20b,20cの電圧(各単セルのセパレータ間の電圧:セル電圧Vc)は、およそ+1.0Vとなっている。下記式1,2の反応は、各単セル20a,20b,20cの電圧が0Vよりも高い場合に起こり得る。
Figure 2011161731
Figure 2011161731
セル電圧Vcは、下記式3に示すように定められる。なお、式3において、Vcはセル電圧を、Ecはカソードの電位を、Eaはアノードの電位を、IRは、単セルの抵抗(電解質膜の抵抗や、配線の接触抵抗など)による電圧降下を、それぞれ意味する。なお、セル電圧Vcは、換言すると、各単セル間の電圧を意味する。例えば、単セル20bのセル電圧Vcは、単セル20a(カソードc1)と単セル20c(アノードa3)との間の電圧を意味する。
Figure 2011161731
単セルへの水素ガス供給量が、発電に必要な量よりも少ない場合(水素欠乏時)には、上記式(3)におけるアノード電位Eaが上昇するために、セル電圧Vcが負電圧となり得る。水素欠乏は、例えば、電気化学反応により生じた水(生成水)が燃料ガス流路27aに溜まり、かかる生成水により燃料ガスの流通路における圧力損失が増大した場合や、氷点下環境下において、アノード側ガス拡散層23a等に溜まった生成水が氷結してガス拡散性が劣化した場合などに発生し得る。
図3下段では、単セル20bにおいて水素欠乏が生じ、セル電圧Vcが負電圧となっている。このとき、他の単セル20a,20cでは正常に発電が行われているため、単セル20bにおいても、電流を発生させようとする(すなわち、電子のやりとりを行おうとする)。しかしながら、水素欠乏のため、単セル20bにおいて上記式1,2に示す反応は生じず、アノードa2において、下記式4及び下記式5に示す反応が発生する。式4の反応は、セル電圧Vcがおよそ−0.8V以下の場合に発生し、式5の反応は、セル電圧Vcがおよそ−1.5V以下の場合に発生する。なお、カソードc2では、上記式2に示す反応が発生する。
Figure 2011161731
Figure 2011161731
ここで、式5に示す反応は、アノードa2を構成する触媒に含まれるカーボンの酸化を意味する。すなわち、水素欠乏時には、式5に示す反応の発生により、アノードa2において触媒が劣化するおそれがある。本実施例の燃料電池システム100では、後述の電流調整処理を実行することにより、水素欠乏に伴う触媒劣化を抑制できる。
A2.電流調整処理:
図4は、第1実施例における電流調整処理の手順を示すフローチャートである。燃料電池システム100では、燃料電池システム100の起動を契機として電流調整処理が開始される。まず、図1に示す制御部91aは、各単セル20について、電流センサ32から通知される電流値に基づき、可変抵抗31における電流の方向が所定の第1の方向であるか否かを判定する(ステップS105)。
電流の方向が第1の方向でない(すなわち、第1の方向と逆向きの第2の方向である)場合と判定した場合には、制御部91aは、かかる単セル20に対応する可変抵抗31の抵抗値を、抵抗値調整部50を制御して所定の大きな値に設定し(ステップS110)、ステップS105に戻る。一方、電流の方向が第1の方向であると判定した場合には、制御部91aは、かかる単セル20に対応する可変抵抗31の抵抗値を、抵抗値調整部50を制御して所定の小さな値に設定し(ステップS115)、ステップS105に戻る。
図5は、正常時における可変抵抗に流れる電流を模式的に示す説明図である。図6は、水素欠乏時における可変抵抗に流れる電流を模式的に示す説明図である。図5,6において、各単セル20a,20b,20cは、図3に示す各単セル20a,20b,20cと同じである。図5,6では、説明の便宜上、単セル20bに対応する可変抵抗31のみ表している。
正常時(すなわち、セル電圧Vcが0Vよりも高い場合)には、各単セル20a,20b,20cのアノードでは上記式1に示す反応が起こり、カソードでは上記式2に示す反応が起こる。この場合、図5に示すように、可変抵抗31を流れる電子の向きは、セパレータs1(単セル20bにおけるアノード側セパレータ26a)からセパレータs2(単セル20bにおけるカソード側セパレータ26c)へと向かう方向となる。すなわち、可変抵抗31における電流の向きは、セパレータs2(単セル20bにおけるカソード側セパレータ26c)からセパレータs1(単セル20bにおけるアノード側セパレータ26a)へと向かう方向である。本実施例では、この方向(セパレータs2からセパレータs1へと向かう方向)を第2の方向とし、逆向きの方向(セパレータs1からセパレータs2へと向かう方向)を第1の方向と設定されている。したがって、正常時には、可変抵抗31における電流の向きは第2の方向となるため、ステップS110が実行され、可変抵抗31の抵抗値は大きな値に設定される。この場合、可変抵抗31を通る第2の方向の電流は抑制される。
このように正常時に可変抵抗31の抵抗値を大きくするのは以下の理由による。可変抵抗31に流れる電流量が大きいほど、単セル20における起電力のうち、可変抵抗31において熱消費される電力量は増加する。その結果、単セル20における発電効率はより低下することとなる。そこで、燃料電池システム100では、正常時には、可変抵抗31の抵抗値を大きくして第2の方向の電流量を減少させることにより、可変抵抗31において熱消費される電力量を低下させ、単セル20における発電効率を向上させる。
これに対し、単セル20bにおける水素欠乏によって単セル20bのセル電圧Vcが低下していき負電圧となり、上記式1の反応が起こらなくなると、単セル20bのアノードa2から単セル20aのカソードc1に電子が供給されなくなる。この場合、図6に示すように、単セル20aのカソードc1には、単セル20cのアノードa3において上記式1の反応により発生した電子が、可変抵抗31を介して供給されることとなる。したがって、可変抵抗31における電流の流れは、第1の方向となる。この場合、ステップS115が実行され、可変抵抗31の抵抗値は小さな値に設定され、可変抵抗31を通る電流が増加する。それゆえ、単セル20aのカソードc1に電子が供給されるため、水素欠乏状態の単セル20bでは、上記式4,5に示す反応が発生せず、アノードa2の触媒劣化が抑制される。
なお、上述したように、セル電圧Vcが0Vよりも高い場合には、各単セル20において上記1,2の反応が起こり、電流の向きは第2方向となる。したがって、本実施例においては、0Vが請求項における第1の所定電圧に相当する。また、単セル20bは請求項における第1の発電モジュールに、単セル20aは請求項における第2の発電モジュールに、それぞれ相当する。
以上説明したように、第1実施例の燃料電池システム100では、可変抵抗31における電流の方向が第1の方向になった場合に(すなわち、単セル20のセル電圧Vcが負電圧となった場合に)、かかる単セル20と並列接続された可変抵抗31の抵抗値を低下させることにより可変抵抗31における電流値を増加させるので、かかる単セル20におけるカーボン酸化を抑制することができる。したがって、単セル20が負電圧となった場合における触媒劣化を抑制することができる。また、セル電圧Vcが負電圧でない場合には、可変抵抗31の抵抗値を増加させることにより、可変抵抗31における電流値を減少させるので、かかる単セル20における発電効率を向上させることができる。
加えて、可変抵抗31の抵抗値を切り替える際の判断(ステップS105)において、可変抵抗31を流れる電流の方向に基づき判断するので、単セル20bにおいて正常時の化学反応(上記式1,2に示す反応)が起こらず、アノードa2において電子の生成を伴う化学反応が起こり得る状態であるか否かを正確に判定することができる。
B.第2実施例:
図7は、第2実施例における単セル及び電流調整部の詳細構成を示す説明図である。第2実施例の燃料電池システムは、電流調整部30aにおいて、電流センサ32に代えて電圧センサ33を備えている点、及び可変抵抗31の抵抗値の切り替えの判断をセル電圧Vcに基づき実行する点において、第1実施例の燃料電池システム100と異なり、他の構成は、第1実施例と同じである。なお、第2実施例の単セル20は、第1実施例と同じである。
図7に示すように、第2実施例の電流調整部30aは、各単セル20において、単セル20と並列に接続された電圧センサ33を備えている。電圧センサ33は、セル電圧Vcを測定し、制御ユニット90(制御部91a)に通知する。
図8は、第2実施例の電流調整処理の手順を示す説明図である。制御部91aは、電圧センサ33から通知されるセル電圧Vcの値に基づき、セル電圧Vcが負電圧であるか否かを判定する(ステップS205)。セル電圧Vcが負電圧であると判定した場合(ステップS205:YES)、制御部91aは、上述したステップS115(可変抵抗31の抵抗値を小さな値に設定する)を実行し、ステップS205に戻る。
前述のステップS205において、セル電圧Vcが負電圧でないと判定した場合、制御部91aは、セル電圧Vcが触媒溶出電圧Vd以上であるか否かを判定する(ステップS210)。触媒溶出電圧Vdは、例えば、触媒が白金(Pt)である場合には、0.85Vである。触媒として白金を用いた場合には、セル電圧Vcが0.85V以上となった場合に(例えば、燃料電池システム100の運転停止後のOC(Open Circuit)状態の場合に)、白金のイオン化が発生して触媒が劣化する。なお、触媒溶出電圧Vdは、請求項における第2の所定電圧に相当する。
セル電圧Vcが触媒溶出電圧Vdよりも低いと判定した場合(ステップS210:NO)には、制御部91aは、上述したステップS110(可変抵抗31の抵抗値を大きな値に設定する)を実行し、ステップS205に戻る。これに対し、セル電圧Vcが触媒溶出電圧Vdよりも高いと判定した場合(ステップS210:YES)には、上述したステップS115(可変抵抗31の抵抗値を小さな値に設定する)を実行し、ステップS205に戻る。
以上の構成を有する第2実施例の燃料電池システムは、第1実施例の燃料電池システム100と同様な効果を有する。加えて、セル電圧Vcが触媒溶出電圧Vd以上となった場合に可変抵抗31の抵抗値を小さな値に設定するので、可変抵抗31を流れる電流を増加させることができる。その結果、単セル20の起電力を可変抵抗31においてより多く熱消費させて単セル20の電圧を低下させることができるので、アノードにおける触媒の溶出を抑制することができる。
C.第3実施例:
図9は、第3実施例の燃料電池システムの概略構成を示す説明図である。第3実施例の燃料電池システム100aは、抵抗値調整部50及び制御部91aを備えていない点、及び電流調整部30に代えて電流調整部30bを備えている点において、第1実施例の燃料電池システム100と異なり、他の構成は第1実施例と同じである。
図10は、第3実施例における単セル及び電流調整部の詳細構成を示す説明図である。第3実施例の電流調整部30bは、各単セル20において、可変抵抗31及び電流センサ32に代えて、ダイオード40を備えている点において、第1実施例の電流調整部30と異なる。なお、第3実施例の単セル20は、第1実施例と同じである。
図10に示すように、第3実施例の電流調整部30bは、各単セル20において、単セル20と並列に接続されたダイオード40を備えている。ダイオード40は、P側が単セル20のアノード側に接続され、N側が単セル20のカソード側に接続されて配置されている。第3実施例では、ダイオード40として、シリコンダイオードを採用する。シリコンダイオードは、順方向降下電圧Vfは、およそ0.6Vであり、また、逆方向電圧への耐性が大きい特性を有している。
図11は、第3実施例の正常時におけるダイオードに流れる電流を模式的に示す説明図である。第1実施例では、正常時には、図5に示すように単セル20bのアノードa2からカソードc2に向かう方向に電子が流れ、第2の方向の電流が発生していた。しかしながら、この第2の方向の電流は、第3実施例では、ダイオード40における逆方向の電流に相当するため、ほとんど発生し得ない。なお、図11に示す状態は、正常時(すなわち、セル電圧Vcが0V以上の場合)に限らず、単セル20bのセル電圧Vcが、−Vf(例えば、−0.6V)よりも大きい負電圧の場合に起こり得る。
図12は、第3実施例の水素欠乏時におけるダイオードに流れる電流を模式的に示す説明図である。図12に示す状態は、単セル20bにおいて水素欠乏が発生し、かつ、単セル20bのセル電圧Vcが−Vf以下である場合に起こり得る。
単セル20bにおいて水素欠乏が発生し、かつ、単セル20bのセル電圧Vcが−Vfよりも小さい負電圧の場合には、ダイオード40において順方向の電流が発生する。すなわち、第1の方向の電流が発生することとなる。したがって、第1実施例の図6と同様に、単セル20aのカソードc1には、単セル20cのアノードa3において上記式1の反応により発生した電子が、可変抵抗31を介して供給されるため、アノードa2の触媒劣化が抑制される。
なお、上述したように、本実施例では、単セル20のセル電圧Vcが−Vfよりも大きい場合には、第1の方向及び第2の方向のいずれの方向の電流も発生しない。また、単セル20のセル電圧Vcが−Vf以下の場合には、第1の方向の電流が発生する。したがって、本実施例において電圧−Vfが請求項における第1の所定電圧に相当する。
以上の構成を有する第3実施例の燃料電池システム100aは、第1実施例の燃料電池システム100と同様の効果を有する。加えて、抵抗値調整部50及び制御部91aを省略でき、かつ、電流調整部30aをシンプルに構成できるので、燃料電池システム100aの構築費用の上昇を抑制できる。
D.第4実施例:
図13は、第4実施例における単セル及び電流調整部の詳細構成を示す説明図である。第4実施例の燃料電池システムは、電流調整部30cにおいて、電流センサ32に代えて第1ダイオード40aを備えている点と、電流調整部30cにおいて、第2ダイオード40b及び電圧センサ34を備えている点と、可変抵抗31の抵抗値の切り替えの判断をセル電圧Vcに基づき実行する点とにおいて、第1実施例の燃料電池システム100と異なり、他の構成は、第1実施例と同じである。なお、第4実施例の単セル20は、第1実施例と同じである。
図13に示すように、第4実施例の電流調整部30cは、各単セル20において、可変抵抗31と直列に接続された第1ダイオード40aを備えている。第1ダイオード40aは、P側が可変抵抗31に接続され、N側が単セル20のアノード側に接続されて配置されている。また、電流調整部30cは、各単セル20において、単セル20と並列に接続された第2ダイオード40bを備えている。第2ダイオード40bは、P側が単セル20のアノード側に接続され、N側が単セル20のカソード側に接続されて配置されている。第1ダイオード40a及び第2ダイオード40bは、いずれも第3実施例と同様にシリコンダイオードを採用する。また、電流調整部30cは、各単セル20において、単セル20と並列に接続された電圧センサ34を備えている。
図14は、第4実施例の電流調整処理の手順を示す説明図である。制御部91aは、電圧センサ34から通知されるセル電圧Vcの値に基づき、セル電圧Vcが触媒溶出電圧Vd以上であるか否かを判定する(ステップS210)。セル電圧Vcが触媒溶出電圧Vdよりも低いと判定した場合(ステップS210:NO)、制御部91aは、上述したステップS110(可変抵抗31の抵抗値を大きな値に設定する)を実行し、ステップS210に戻る。これに対し、セル電圧Vcが触媒溶出電圧Vd以上であると判定した場合(ステップS210:YES)、制御部91aは、上述したステップS115(可変抵抗31の抵抗値を小さな値に設定する)を実行し、ステップS210に戻る。
上記構成により、水素欠乏状態においては、第3実施例と同様に、第2ダイオード40bの順方向に電流が流れることにより、各単セル20のアノードにおいて触媒劣化が抑制される。一方、正常状態であって、セル電圧Vcが触媒溶出電圧Vdよりも低い場合には、可変抵抗31の抵抗値が大きな値に設定されるので、第2ダイオード40bに加えて、第1ダイオード40aにもほとんど電流が流れない。このような構成により、第1ダイオード40a及び第2ダイオード40bに電流が流れることによる発電効率の低下を抑制している。また、正常状態であって、セル電圧Vcが触媒溶出電圧Vd以上の場合には、可変抵抗31の抵抗値が小さな値に設定されるので、第2ダイオード40bには電流が流れないが、第1ダイオード40aには電流が流れることとなる。その結果、単セル20の起電力を可変抵抗31においてより多く熱消費させて、単セル20の電圧を低下させることができるので、アノードにおける触媒の溶出を抑制することができる。
以上の構成を有する第4実施例の燃料電池システムは、第1実施例の燃料電池システム100と同様の効果を有する。加えて、セル電圧Vcが触媒溶出電圧Vd以上となった場合に、可変抵抗31の抵抗値を小さな値に設定するので、可変抵抗31を流れる電流を増加させることができる。その結果、単セル20の起電力を可変抵抗31においてより多く熱消費させて、単セル20の電圧を低下させることができるので、アノードにおける触媒の溶出を抑制することができる。なお、セル電圧Vcが負電圧となったか否かの判定の処理(ステップS205)を省略できる点、及び、セル電圧Vcが負電圧の際に可変抵抗31の抵抗値を切り替える処理(ステップS115)を省略できる点において、第2実施例の燃料電池システムに比べて、電流調整処理の手順をシンプルにすることができ、CPU91やRAM93等の資源を節約できる。
E.第5実施例:
図15は、第5実施例における単セル及び電流調整部の詳細構成を示す説明図である。第5実施例の燃料電池システムは、電流調整部30bが各単セル20の内部に配置されている点において、図9〜12に示す第3実施例の燃料電池システム100aと異なり、他の構成は第3実施例と同じである。
第3実施例では、電流調整部30(ダイオード40)は、各単セルの外部に配置されていた。これに対し、図15に示すように、第5実施例では、電流調整部30(ダイオード40)は各単セル20内部に配置されている。
図15に示すように、電流調整部30bは、膜電極接合体25の外縁部に配置されたダイオード40のみで構成されている。ダイオード40は、P型シリコン40p及びN型シリコン40nにより構成され、P型シリコン40pがアノード側セパレータ26aに接し、N型シリコン40nはカソード側セパレータ26cに接するように配置されている。このような構成は、例えば、膜電極接合体25の外縁部に配置される樹脂等から成るシール部材の一部を、ダイオード40により構成することにより実現できる。
以上の構成を有する第5実施例の燃料電池システムは、第3実施例の燃料電池システム100aと同じ効果を有する。加えて、電流調整部30b(ダイオード40)を各単セル20の内部に配置するので、燃料電池スタック10の構成をシンプルにすることができ、燃料電池システム全体の小型化を実現できる。また、電流調整部30bを膜電極接合体25の周縁部に設けるので、膜電極接合体25の製造過程において、併せて電流調整部30bを生成することができる。したがって、燃料電池スタック10の構築手順をシンプルにすることができる。
F.第6実施例:
図16は、第6実施例における単セル及び電流調整部の詳細構成を示す説明図である。第6実施例の燃料電池システムは、第5実施例と同様に第1ダイオード40a及び第2ダイオード40bが各単セル20の内部に配置されている点において、図13,14に示す第4実施例の燃料電池システムと異なり、他の構成は第4実施例と同じである。
第4実施例では、第1ダイオード40a,第2ダイオード40b,及び可変抵抗31は、各単セルの外部に配置されていた。これに対し、図16に示すように、第6実施例では、第1ダイオード40a,第2ダイオード40b,及び可変抵抗31は各単セル20内部に配置されている。
図16に示すように、第1ダイオード40aは、P型シリコン41p及びN型シリコン41nにより構成され、N型シリコン41nがアノード側セパレータ26aに接し、P型シリコン41pは可変抵抗31に接するように配置されている。また、可変抵抗31はカソード側セパレータ26cに接するように配置されている。
第2ダイオード40bは、P型シリコン42p及びN型シリコン42nにより構成され、P型シリコン42pはアノード側セパレータ26aに接し、N型シリコン42nはカソード側セパレータ26cに接するように配置されている。
第6実施例におけるこのような構成は、第5実施例と同様に、例えば、膜電極接合体25の外縁部に配置される樹脂等から成るシール部材の一部を、第1ダイオード40a,第2ダイオード40b,及び可変抵抗31により構成することにより実現できる。
以上の構成を有する第6実施例の燃料電池システムは、第4実施例の燃料電池システムと同じ効果を有する。加えて、第1ダイオード40a,第2ダイオード40b,及び可変抵抗31を各単セル20の内部に配置するので、燃料電池スタックの構成をシンプルにすることができ、燃料電池システム全体の小型化を実現できる。また、第1ダイオード40a,第2ダイオード40b,及び可変抵抗31は、膜電極接合体25の周縁部に配置されて生成される。したがって、燃料電池スタック10の構築手順をシンプルにすることができる。
G.変形例:
なお、上記各実施例における構成要素の中の、独立クレームでクレームされた要素以外の要素は、付加的な要素であり、適宜省略可能である。また、この発明は上記の実施例や実施形態に限られるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々の態様において実施することが可能であり、例えば次のような変形も可能である。
G1.変形例1:
第3〜6実施例において用いたダイオードは、シリコンダイオードであったが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、ゲルマニウムダイオードやショットキーバリアダイオードなど、他のダイオードを採用することもできる。ゲルマニウムダイオード及びショットキーバリアダイオードを採用した場合、順方向降下電圧Vfを低く抑えることができるので、単セル20のセル電圧Vcが負電圧になってから比較的短期間のうちに、第1の方向の電流を増加できるので、触媒劣化をより抑制することができる。なお、ショットキーバリアダイオードを採用する場合に、セパレータと半導体とを接合してショットキーバリアダイオードを作製してもよい。具体的には、例えば、スパッタリング法によってセパレータ上に半導体を形成してショットキーバリアダイオードを作製することができる。
G2.変形例2:
可変抵抗31の抵抗値の切り替え判断を、第1実施例では、可変抵抗31における電流の方向にのみ基づき、第2実施例では、セル電圧Vcにのみ基づき、それぞれ判断していた。しかしながら、本発明は、これらの構成に限定されるものではない。例えば、可変抵抗31の抵抗値を小さな値から大きな値に切り替える判断を、可変抵抗31における電流の方向に基づき判断し、大きな値から小さな値に切り替える判断を、セル電圧Vcに基づき判断することもできる。具体的には、電流調整処理が開始されると、まず、セル電圧Vcが0V以上であるか否かを判断し、セル電圧Vcが負電圧(0Vよりも低い)場合には、可変抵抗31の抵抗値を小さな値に設定する。可変抵抗31の抵抗値を小さな値に設定した後は、可変抵抗31における電流の方向を監視し、水素欠乏が解消されて電流の方向が第2の方向になった場合に、可変抵抗31の抵抗値を大きな値に設定する。そして、セル電圧Vcが0V以上である場合には、セル電圧Vcを監視し、セル電圧Vcが触媒溶出電圧Vd以上となった場合に、可変抵抗31の抵抗値を大きな値から小さな値に切り替える構成を採用することもできる。
G3.変形例3:
第2実施例では、電流調整処理のステップS205において、判断基準となる電圧は0Vであったが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、−0.8Vや−1.5Vを採用することもできる。−0.8Vや−1.5Vを採用した場合には、上記式4に示す反応は発生するが、式5に示す反応の発生は抑制できる。したがって、アノードにおけるカーボン酸化が抑制できるので、単セル20における発電効率の劣化が抑制できる。なお、これらの構成においては、−0.8Vや−1.5Vが、請求項における第1の所定電圧に相当する。
G4.変形例4:
各実施例において、膜電極接合体25は、アノード側ガス拡散層23a及びカソード側ガス拡散層23cを含む、いわゆる、MEGA(Membrane Electrode and Gas Diffusion Layer Assembly)であったが、これに代えて、アノード側ガス拡散層23a及びカソード側ガス拡散層23cを含まない、いわゆる、MEA(Membrane Electrode Assembly)を採用することもできる。かかる構成においては、このMEAの外側(アノード側セパレータ26a側及びカソード側セパレータ26c側)に、アノード側ガス拡散層23a及びカソード側ガス拡散層23cする構成を採用できる。
G5.変形例5:
第1実施例では、可変抵抗31における電流の方向の判断は、制御部91aが電流センサ32から通知される電流値に基づき判断していたが、これに代えて、電流センサ32が、自身が測定した電流値に基づき電流の方向を判断する構成を採用することができる。かかる構成では、制御部91aは、電流センサ32から通知される電流の方向に基づき、ステップS105を実行することができる。
G6.変形例6:
上述した図3,5,6を用いた説明では、燃料電池スタック10を構成する単セル20の数は3つであったが、3つに限らず、2つ以上の任意の数の単セル20により、燃料電池スタック10を構成することもできる。例えば、図3,5,6において、単セル20cを省略して、2つの単セル20a,20bが互いに接する構成を採用することもできる。この構成においては、単セル20aのアノードa1で発生した電子は、セパレータs0及び負荷200を介して、セパレータs2(単セル20bにおけるカソード側セパレータ26c)に供給される。そして、上記第1実施例と同様に、単セル20bにおいて水素欠乏が発生した場合に可変抵抗31の抵抗値を小さな値に設定することにより、セパレータs2に供給された電子を、可変抵抗31及びセパレータs1を介して単セル20aのカソードc1に供給することができる。
G7.変形例7:
各実施例では、燃料電池システムは、電気自動車に搭載されて用いられていたが、これに代えて、ハイブリッド自動車,船舶,ロボットなどの各種移動体に適用することもできる。また、燃料電池スタック10を定置型電源として用い、燃料電池システムをビルや一般住宅等の建物に適用することもできる。
G8.変形例8:
各実施例において、ソフトウェアによって実現されていた構成の一部をハードウェアに置き換えるようにしてもよい。また、これとは逆に、ハードウェアによって実現されていた構成の一部をソフトウェアに置き換えるようにしてもよい。
10…燃料電池スタック
20,20a,20b,20c…単セル
21…電解質膜
22a…アノード側触媒層
22c…カソード側触媒層
23a…アノード側ガス拡散層
23c…カソード側ガス拡散層
25…膜電極接合体
26a…アノード側セパレータ
26c…カソード側セパレータ
27a…燃料ガス流路
27c…酸化剤ガス流路
30,30a,30b,30c…電流調整部
31…可変抵抗
32…電流センサ
33,34…電圧センサ
40…ダイオード
40a…第1ダイオード
40b…第2ダイオード
50…抵抗値調整部
61…水素タンク
62…エアコンプレッサ
63…循環用ポンプ
71…遮断弁
72…調圧弁
81…燃料ガス供給路
82…燃料ガス排出路
83…バイパス流路
84…酸化剤ガス供給路
85…酸化剤ガス排出路
90…制御ユニット
91…CPU
92…ROM
93…RAM
91a…制御部
100,100a…燃料電池システム
a1,a2,a3…アノード
m1,m2,m3…電解質膜
c1,c2,c3…カソード
s1,s2,s3…セパレータ
本発明は、上述の課題の少なくとも一部を解決するためになされたものであり、以下の形態又は適用例として実現することが可能である。
[形態1]燃料電池システムであって、
触媒を含む発電部と、前記発電部に接するアノード側非発電部と、前記発電部を挟んで前記アノード側非発電部とは反対側に配置されたカソード側非発電部と、を有する第1の発電モジュールと、
前記発電部と、前記アノード側非発電部と、前記カソード側非発電部とを有し、前記アノード側非発電部が前記第1の発電モジュールの前記カソード側非発電部に隣接する、又は、前記カソード側非発電部が前記第1の発電モジュールの前記アノード側非発電部に隣接する第2の発電モジュールと、
前記第1の発電モジュールと並列に接続されており、可変抵抗を含む電流調整回路と、
前記第1の発電モジュールの前記アノード側非発電部と前記第1の発電モジュールの前記カソード側非発電部との間の電圧であるセル電圧が負電圧である第1の所定電圧以下である場合に、前記第1の発電モジュールと並列に接続された前記電流調整回路において、前記可変抵抗の抵抗値を調整することにより、前記第1の発電モジュールの前記アノード側非発電部から前記第1の発電モジュールの前記カソード側非発電部へと向かう第1の方向に流れる電流を増加させる電流制御部と、
を備える、燃料電池システム。
[形態2]燃料電池システムであって、
触媒を含む発電部と、前記発電部に接するアノード側非発電部と、前記発電部を挟んで前記アノード側非発電部とは反対側に配置されたカソード側非発電部と、を有する第1の発電モジュールと、
前記発電部と、前記アノード側非発電部と、前記カソード側非発電部とを有し、前記アノード側非発電部が前記第1の発電モジュールの前記カソード側非発電部に隣接する、又は、前記カソード側非発電部が前記第1の発電モジュールの前記アノード側非発電部に隣接する第2の発電モジュールと、
前記第1の発電モジュールと並列に接続されたダイオードであって、
前記第1の発電モジュールの前記アノード側非発電部から前記第1の発電モジュールの前記カソード側非発電部に順方向の電流が流れるように、配置され、
前記第1の発電モジュールの前記アノード側非発電部と前記第1の発電モジュールの前記カソード側非発電部との間の電圧であるセル電圧が負電圧である第1の所定電圧以下である場合に、前記第1の発電モジュールの前記アノード側非発電部から前記第1の発電モジュールの前記カソード側非発電部へと向かう第1の方向に流れる電流を増加させるダイオードと、
を備える、燃料電池システム。

Claims (9)

  1. 燃料電池システムであって、
    触媒を含む発電部と、前記発電部に接するアノード側非発電部と、前記発電部を挟んで前記発電部とは反対側に配置されたカソード側非発電部と、を有する第1の発電モジュールと、
    前記第1の発電モジュールに隣接する第2の発電モジュールと、
    各発電モジュールと並列に接続された電流調整回路と、
    前記アノード側非発電部と前記カソード側非発電部との間の電圧であるセル電圧が負圧である第1の所定電圧以下である場合に、前記第1の発電モジュールと並列に接続された前記電流調整部において、前記アノード側非発電部から前記カソード側非発電部へと向かう第1の方向に流れる電流を増加させる電流制御部と、
    を備える、燃料電池システム。
  2. 請求項1に記載の燃料電池システムにおいて、
    前記電流制御部は、前記第1の発電モジュールと並列に接続された前記電流調整回路における電流の方向を検出する電流方向検出部を有し、前記電流方向検出部が検出する前記電流の方向に基づき、前記セル電圧が前記第1の所定電圧以下であるか否かを判定する、燃料電池システム。
  3. 請求項1または請求項2に記載の燃料電池システムにおいて、
    前記電流制御部は、前記セル電圧が、前記第1の所定電圧よりも高い電圧であって前記触媒の溶出が生じる第2の所定電圧よりも高い場合に、前記第1の発電モジュールと並列に接続された前記電流調整回路において前記第1の方向とは逆向きの第2の方向に流れる電流を増加させる、燃料電池システム。
  4. 請求項1ないし請求項3のいずれかに記載の燃料電池システムにおいて、
    前記電流調整回路及び前記電流制御部は、ダイオードを含む、燃料電池システム。
  5. 請求項4に記載の燃料電池システムにおいて、
    各発電モジュールは、一対のセパレータと、前記一対のセパレータに挟持された膜電極接合体とを有し、
    前記電流調整回路及び前記電流制御部は、前記膜電極接合体の周縁部に配置され、前記一対のセパレータに挟持されている、燃料電池システム。
  6. 請求項4または請求項5に記載の燃料電池システムにおいて、
    前記ダイオードは、シリコンダイオードまたはショットキーバリアダイオードである、燃料電池システム。
  7. 触媒を含む発電部と、前記発電部に接するアノード側非発電部と、前記発電部を挟んで前記発電部とは反対側に配置されたカソード側非発電部と、を有する第1の発電モジュールと、前記第1の発電モジュールに隣接する第2の発電モジュールと、各発電モジュールと並列に接続された電流調整回路と、を備える燃料電池システムにおける、前記1の発電モジュールと並列に接続された前記電流調整回路を流れる電流の制御方法であって、
    前記アノード側非発電部と前記カソード側非発電部との間の電圧であるセル電圧が負圧である第1の所定電圧以下である場合に、前記第1の発電モジュールと並列に接続された前記電流調整回路において、前記アノード側非発電部から前記カソード側非発電部へと向かう第1の方向に流れる電流を増加させる工程を備える、方法。
  8. 触媒を含む発電部と、前記発電部に接するアノード側非発電部と、前記発電部を挟んで前記発電部とは反対側に配置されたカソード側非発電部と、を有する第1の発電モジュールと、前記第1の発電モジュールに隣接する第2の発電モジュールと、各発電モジュールと並列に接続された電流調整回路と、を備える燃料電池システムにおける、前記1の発電モジュールと並列に接続された前記電流調整回路を流れる電流を制御するためのプログラムであって、
    前記アノード側非発電部と前記カソード側非発電部との間の電圧であるセル電圧が負圧である第1の所定電圧以下である場合に、前記第1の発電モジュールと並列に接続された前記電流調整回路において、前記アノード側非発電部から前記カソード側非発電部へと向かう第1の方向に流れる電流を増加させる機能を、コンピュータに実現させるためのプログラム。
  9. 請求項8に記載のプログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体。
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