JPWO2011136119A1 - プロトン伝導体の製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】100〜200℃の作動温度において、無加湿で、高いプロトン伝導性を長期安定的に発揮するプロトン伝導体であって、従来よりも広い作動温度域を有するプロトン伝導体を提供する。【解決手段】本発明のプロトン伝導体は、(1)リン酸水素ジルコニウムまたはリン酸水素チタニウム結晶と、(2)リン酸イオンと、(3)亜鉛イオンまたはコバルトイオンと、(4)ベンゾイミダゾールまたはベンゾイミダゾール誘導体とを成分とする。このプロトン伝導体は、100℃未満の温度域でも高いプロトン伝導性を示す。【選択図】図6

Description

本発明はプロトン伝導体に関する。
従来、電圧を印加することにより物質中をイオンが移動する場合、これを用いて電池やセンサーなどの電気化学デバイスを設計することができるので、極めて多くの研究開発がなされている。水素イオン(プロトン)を電荷担体とする伝導体は、燃料電池への応用の面から、非常に大きな期待が寄せられている。現在では、この種のプロトン伝導体としてイオン交換膜を用いた高分子固体電解質型燃料電池の開発が盛んである。据置型電源や電気自動車、コジェネシステムなどへの応用が期待されている。室温付近で高い伝導性を示すプロトン伝導体には、ウラニルリン酸水和物やモリブドリン酸水和物などの無機結晶、あるいは、フッ化ビニル系高分子にパースルホン酸を含む側鎖の付いた高分子イオン交換膜(NAFION(登録商標))などの有機物、ケイ酸塩を主成分としリン酸を少量添加してゾルゲル法により作製された多孔質ガラス(例えば、特許文献1参照)がよく知られている。また、プロトン伝導性付与剤を含有させたもの(例えば、特許文献2参照)、無機−有機複合膜を使用したもの(例えば、特許文献3参照)、あるいはイオン性液体複合膜を使用したもの(例えば、特許文献4参照)やガラスを水和させて得られる非晶質ゾルあるいはゲル状態のもの(例えば、特許文献5参照)も開発されている。
最近では、発電効率、電極に用いる白金の被毒の問題、システム効率の観点から、100〜200℃で、かつ無加湿で作動する、いわゆる中温型燃料電池が注目されており、研究開発が盛んになっている。先に挙げた室温付近で高い電導性を示すプロトン伝導体は、プロトンが水を介して移動する機構を利用するものである。しかし、固体高分子膜やゾルゲル法ガラスでは、これらの素材に存在する微小な孔に付着した水がプロトンの伝導性を高めるため、高い電導度を得るために飽和水蒸気圧に近い加湿が必要である。また、湿度によって導電率が大きく変化することが難点であるし、中温域では水の蒸発を防ぐための高圧容器が必要となるという問題点を有していた。モリブドリン酸水和物などの無機結晶、固体高分子膜、あるいはガラスを水和させて得られる非晶質ゾルあるいはゲルは、耐熱性に乏しく100℃以上では使用できない。
一方、リン酸型燃料電池の作動温度は200℃程度であり、実用化にほぼ至っているが、リン酸の揮発の問題があり、長期間の安定作動においては未だ十分でない。また、固体酸化物型燃料電池の作動温度は非常に高い。このように、中温域、とくに100〜200℃という温度域で安定して作動する燃料電池は実現されていないのが現状である。
そこで、このような問題を解決すべく、本発明者は、特許文献6に開示の通り、100〜200℃の作動温度において、無加湿で、高いプロトン伝導性を長期安定的に発揮するプロトン伝導体を開発している。
特開2002−097272号公報 特開2001−035509号公報 特開2000−090946号公報 特開2001−167629号公報 特開2003−217339号公報 特開2009−295539号公報
上記特許文献6に記載のプロトン伝導体を燃料電池の電解質として用いれば、長期安定性に優れた中温型燃料電池が期待される。
しかし、中温型燃料電池の実用化のためには、上記特許文献6に記載のプロトン伝導体の作動温度域をさらに広くすることが要求される。
本発明は上記点に鑑みて、上記特許文献6に記載のプロトン伝導体と比較して、より広い作動温度域を有するプロトン伝導体を提供することを目的とする。
請求項1に記載のプロトン伝導体は、
(1)リン酸水素ジルコニウム結晶またはリン酸水素チタニウム結晶と、
(2)リン酸イオンと、
(3)亜鉛イオンまたはコバルトイオンと、
(4)ベンゾイミダゾールまたはベンゾイミダゾール誘導体とを成分とするものである。
請求項1に記載のプロトン伝導体は、リン酸水素ジルコニウムとリン酸水素チタニウム結晶の両方が併存したり、亜鉛イオンとコバルトイオンの両方が併存したり、ベンゾイミダゾールとベンゾイミダゾール誘導体の両方が併存したりしても良い。
請求項2に記載のプロトン伝導体は、請求項1に記載のプロトン伝導体において、
リン酸イオンと亜鉛イオンまたはコバルトイオンとが、それぞれ、ベンゾイミダゾールまたはベンゾイミダゾール誘導体と反応してなる化合物が存在するものである。
請求項3に記載のプロトン伝導体は、請求項1または2に記載のプロトン伝導体において、
リン酸水素ジルコニウム結晶粒子またはリン酸水素チタニウム結晶粒子と、
リン酸亜鉛ガラス粉末またはリン酸コバルトガラス粉末とベンゾイミダゾールまたはベンゾイミダゾール誘導体との混合によって得られた化合物とが存在するものである。
この場合、リン酸水素ジルコニウム結晶粒子とリン酸水素チタニウム結晶粒子とを併用したり、リン酸亜鉛ガラス粉末とリン酸コバルトガラス粉末とを併用したり、ベンゾイミダゾールとベンゾイミダゾール誘導体とを併用したりしても良い。
請求項4に記載のプロトン伝導体は、請求項3に記載のプロトン伝導体において、リン酸水素ジルコニウム結晶粒子またはリン酸水素チタニウム結晶粒子の平均粒径が5〜20nmのものである。
請求項5に記載のプロトン伝導体の製造方法は、請求項1ないし4のいずれか1つに記載のプロトン伝導体の製造方法であって、
ベンゾイミダゾールまたはベンゾイミダゾール誘導体とリン酸亜鉛ガラス粉末またはリン酸コバルトガラス粉末とを混合してなる化合物を作製し、
この化合物とリン酸水素ジルコニウムまたはリン酸水素チタニウムの原料とを混合してなる複合材料を作製し、
この複合材料中にリン酸水素ジルコニウム結晶粒子またはリン酸水素チタニウム結晶粒子を析出させることを特徴とする。
これにより、請求項1ないし4のいずれか1つに記載のプロトン伝導体を得ることができる。
請求項6に記載のプロトン伝導体の製造方法は、請求項5に記載のプロトン伝導体の製造方法において、
リン酸水素ジルコニウム結晶粒子またはリン酸水素チタニウム結晶粒子として、平均粒径が5〜20nmのものを析出させることを特徴とする。
請求項7に記載のプロトン伝導体の製造方法は、請求項5または6に記載のプロトン伝導体の製造方法において、
リン酸亜鉛ガラス粉末またはリン酸コバルトガラス粉末とベンゾイミダゾールまたはベンゾイミダゾール誘導体との重量比を1:3〜1:4の範囲内として、化合物を作製し、
ZrまたはTiとPとの原子比率を1:2〜1:5の範囲内として、リン酸水素ジルコニウムまたはリン酸水素チタニウムの原料を混合し、
化合物とリン酸水素ジルコニウムまたはリン酸水素チタニウムとの重量比が1:4〜1:6の範囲内であるプロトン伝導体を製造することを特徴とする。緻密な膜を得るためには、このようにすることが好ましい。
請求項8に記載のプロトン伝導体の製造方法は、請求項5ないし7のいずれか1つに記載のプロトン伝導体の製造方法において、
前記複合材料の全体に対して0.01〜0.3重量分率のアルミニウムイオンを添加することを特徴とする。化学耐久性がよい膜を得るためには、このようにすることが好ましい。
本発明によれば、特許文献6に記載の従来のプロトン伝導体と比較して広い作動温度域を有するプロトン伝導体を得ることができる。このプロトン伝導体を電解質として用いれば、長期安定性に優れた中温型燃料電池を得ることができるので、燃料電池の使用範囲を飛躍的に拡大することができる。
本発明の実施例における試料作製のフローチャートである。 本発明の実施例における各試料のX線回折パターンを示す図である。 本発明の実施例における各試料の赤外吸収スペクトルを示す図である。 図3の600−1400cm−1範囲の拡大図である。 本発明の実施例における各試料とベンゾイミダゾールの熱重量分析結果を示す図である。 本発明の実施例における各試料の温度と電導度の関係(アレニウスプロット)を示す図である。 比較例における試料1、2、3の熱重量分析結果を示す図である。 比較例における試料1、2、3の温度と電導度の関係(アレニウスプロット)を示す図である。 比較例として、ベンゾイミダゾールの代わりにイミダゾールを用いて本発明の実施例と同様に作製された試料のX線回折パターンを示す図である。 比較例におけるイミダゾールを用いたプロトン伝導体の構造予想図である。
本発明のプロトン伝導体は、(1)リン酸水素ジルコニウムおよび/またはリン酸水素チタニウム結晶と、(2)リン酸イオンと、(3)亜鉛イオンおよび/またはコバルトイオンと、(4)ベンゾイミダゾールおよび/またはベンゾイミダゾール誘導体とを主成分とし、必要に応じて、アルミニウムイオン等の他の成分が含まれても良い。
本発明に用いられるリン酸水素ジルコニウムやリン酸水素チタニウムは、どちらも同じ二次元層状構造をもち、プロトン伝導性を示す。Zr(HPO・nHOまたはTi(HPO・nHOで表される。プロトン伝導性は結晶表面のPOH基量に大きく影響されるため、リン酸水素ジルコニウムやリン酸水素チタニウムを、比表面積の大きい微粒子とし、とくにナノメートルサイズ、例えば5〜20nmの粒子とすることが効果的である。ちなみに、後述の実施例のように、オキシ塩化ジルコニウムと正リン酸とを混合して非晶質化したものを、リン酸亜鉛ガラスとベンゾイミダゾールとから得られる化合物と混合し熟成した後、リン酸水素ジルコニウムの結晶粒子を析出させると、析出後の結晶粒子は最大で20nm程度である。
また、プロトン伝導体中には多量のプロトンが存在するため酸性度が高いが、リン酸水素ジルコニウムやリン酸水素チタニウムは耐酸性が極めて高くどちらも好適であるが、安全な原料試薬などを安価に入手して合成できる点からリン酸水素ジルコニウムがより適している。
本発明に用いられるリン酸イオンとは、正リン酸を構成する三価の陰イオンPO 3−であるが、製造方法によっては縮合リン酸塩として用いることも可能であり、この場合には、ピロリン酸イオンP 4−やポリリン酸イオンPO を含有する。
本発明に用いられるベンゾイミダゾールは、構造中にイミダゾールと同じ五員環を持っており、分子間にプロトンを自己解離できる程度の水素結合ネットワークが形成され、かつ自身がプロトンアクセプターそしてプロトンドナーとして働ける分子である。また、ベンゾイミダゾールは、融点が約160℃であり、融点が約90℃であるイミダゾールに比べて熱安定性に優れている。また、ベンゾイミダゾールは、イミダゾールと同様に亜鉛イオンやリン酸イオンとも反応する。
本発明に用いられるベンゾイミダゾール誘導体は、ベンゾイミダゾールの構造の一部を変化させて得られる化合物であり、例えば、ベンゾイミダゾールが有するベンゼン環の1つの水素原子を水酸基で置換したものが挙げられる。
ベンゾイミダゾールの代わりに、ベンゾイミダゾール誘導体を用いても、ベンゾイミダゾール誘導体はベンゾイミダゾールの基本構造を有するので、ベンゾイミダゾールを用いた場合と同様の効果が期待される。
本発明に用いられる亜鉛イオンやコバルトイオンは、下記の非特許文献1、2等に記載のように、ベンゾイミダゾールまたはベンゾイミダゾール誘導体と反応するため、これらの熱的安定性を向上させることができる。本発明のプロトン伝導体では、ベンゾイミダゾールと亜鉛イオン(コバルトイオン)とのクラスター化合物が生成することで、熱的安定性が向上していると推測される。
(非特許文献1)E. Sahin, S. Ide, M. Kurt, S. Yurdakul, ”Structual investigation of dibromobis(benzimidazole)Zn(II)complex”, Journal of Molecular Structure, 616, (2002) 259-264.
(非特許文献2)S.Yurdakul, M. Kurt, ”Vibrational spectroscopic studies of metal(II) halide benzimidazole”, Journal of Molecular Structure, 616, (2003) 181-190.
プロトン伝導体は、上述の(1)〜(4)の成分を混合することで製造される。プロトン伝導体の製造方法の一例を挙げると、ベンゾイミダゾールまたはベンゾイミダゾール誘導体とリン酸亜鉛ガラス粉末またはリン酸コバルトガラス粉末とを混合してなる化合物を作製した後、この化合物とリン酸水素ジルコニウムまたはリン酸水素チタニウムの原料とを混合してなる複合材料を作製し、この複合材料中にリン酸水素ジルコニウム結晶粒子またはリン酸水素チタニウム結晶粒子を析出させる。
ベンゾイミダゾールまたベンゾイミダゾール誘導体とリン酸亜鉛ガラス粉末とを混合してなる化合物とは、リン酸イオンと亜鉛イオンとがそれぞれベンゾイミダゾールまたベンゾイミダゾール誘導体と反応してなる化合物である。同様に、ベンゾイミダゾールまたベンゾイミダゾール誘導体とリン酸コバルトガラス粉末とを混合してなる化合物とは、リン酸イオンとコバルトイオンとがそれぞれベンゾイミダゾールまたベンゾイミダゾール誘導体と反応してなる化合物である。
これにより、上記したプロトン伝導体を製造することができる。
ここで、ベンゾイミダゾールに対して、リン酸イオンおよび亜鉛イオンを同時に供給すると、リン酸イオンと亜鉛イオンとの間の酸塩基反応が生じてしまう。そこで、ベンゾイミダゾールとリン酸亜鉛ガラスとを混合すれば、リン酸イオンや亜鉛イオンが徐々に放出して、これらとベンゾイミダゾールとを反応させることができる。なお、この酸塩基反応を抑制できれば、他の方法によって、ベンゾイミダゾールに対してリン酸イオンおよび亜鉛イオンを反応させても良い。
リン酸亜鉛ガラス粉末とベンゾイミダゾールとの化合物を作製するときでは、リン酸亜鉛ガラス粉末とベンゾイミダゾールとの重量比は、リン酸亜鉛ガラス(ZnO−Pglass):ベンゾイミダゾール(Benzimidazole)=1:3〜1:4であることが好ましい。これは、以下の理由による。
重量比を、リン酸亜鉛ガラス:ベンゾイミダゾール=1:2、1:3、1:4として、リン酸亜鉛ガラス粉末とベンゾイミダゾールとの化合物を作製した結果、重量比が1:2のときでは、ベンゾイミダゾール分子が少ないため、重量比が1:3、1:4のときよりも、作製した化合物の電導度が大きく低下していた。ちなみに、200℃での電導度は、重量比が1:3のときでは2.2×10−5S/cmであり、重量比が1:4のときでは4×10−4S/cmであり、160℃での電導度は、重量比が1:3のときでは8.7×10−7S/cmであり、重量比が1:4のときでは4.7×10−5S/cmであった。
また、重量比が1:4のときでは、重量比が1:3のときよりも、作製した化合物の耐水性がやや低下しており、ベンゾイミダゾールの割合を1:4よりも大きくすると、さらなる耐水性の低下が予想される。
リン酸亜鉛ガラス粉末の代わりにリン酸コバルトガラス粉末を用いる場合や、ベンゾイミダゾールの代わりにベンゾイミダゾール誘導体を用いる場合も同様である。
また、リン酸水素ジルコニウムまたはリン酸水素チタニウムの原料を混合するときでは、ZrまたはTiとPの原子比率は、1:2〜1:5の範囲にあることが好ましい。1:2よりPが少ないと、緻密な材料を作製できず、1:5よりPが多いと、試料中に正リン酸として存在する部分が増え、プロトン伝導体を自立膜とすることができないからである。また、1:5に近づいてPの含有量が多くなる場合にアルミニウムイオンを少量添加することで正リン酸の生成を抑え、化学的に安定な伝導体とすることができる。アルミニウムイオンは必ずしも添加する必要はないが、好ましくは全体の0.01重量分率より多い方が正リン酸の生成を効果的に抑え、プロトン伝導体が化学耐久性のよい膜となる。ただし、その量は全体の0.3重量分率までとしないとプロトン伝導性を損なう。
また、作製されるプロトン伝導体においては、リン酸亜鉛ガラス粉末とベンゾイミダゾールとの化合物と、リン酸水素ジルコニウムとの重量比が1:4〜1:6の範囲であることが好ましい。これは、リン酸水素ジルコニウムの割合が1:4よりも小さいと、緻密な膜が得られず、リン酸水素ジルコニウムの割合が1:6よりも大きいと、高い吸水性を有してしまい、耐水性が悪くなってしまうからである。
リン酸亜鉛ガラス粉末の代わりにリン酸コバルトガラス粉末を用いる場合や、ベンゾイミダゾールの代わりにベンゾイミダゾール誘導体を用いる場合も同様である。
ところで、発明が解決しようとする課題の欄に記載の通り、特許文献6に記載のプロトン伝導体は、中温型燃料電池の電解質膜としての利用が期待されるが、中温型燃料電池の実用化のためには、電解質膜の作動上限温度が目標作動温度よりもある程度高いことが望まれる。また、停止中の燃料電池を作動させた場合、電解質膜の温度は低温域から中温域に上昇するので、低温域でも良好なプロトン伝導性を有することが望まれる。
しかし、特許文献6に記載のプロトン伝導体は、図7に示すように、160℃以上で重量減少が見られ、200〜250℃の範囲で大きな重量減少が見られた。これは、プロトン伝導体を構成するイミダゾールの揮発によるものである。このため、特許文献6に記載のプロトン伝導体は、200℃前後では高いプロトン伝導性を持たないことが予想される。また、図8に示すように、特許文献6に記載のプロトン伝導体は、電導度が100℃未満で急激に低下することから、100℃未満では良好なプロトン伝導性を有していない。
これに対して、本実施形態に記載のプロトン伝導体によれば、後述の実施例からわかるように、特許文献6に記載のプロトン伝導体よりも熱的安定性が高いことから、特許文献6に記載のプロトン伝導体よりも作動上限温度が高いことが予想される。また、本実施形態に記載のプロトン伝導体は、100℃未満の温度域でも、良好なプロトン伝導性を有している。
また、本実施形態に記載のプロトン伝導体においては、ベンゾイミダゾールが有するベンゼン環は疎水性であることから、上述のプロトン伝導体を燃料電池の電解質膜として用いた場合、この電解質膜に疎水性を持たせることができる。燃料電池では、発電時の生成水によって電解質膜が覆われてしまうと発電効率が悪化してしまうので、電解質膜に疎水性を持たせることで、発電効率の悪化を抑制するという効果が期待できる。
図1に示すフローチャートに沿って試料を作製した。
酸化亜鉛(キシダ化学、特級、99.5%)と正リン酸(キシダ化学、特級、85%)とを酸化物換算モル比でMO:P=1:1となるように秤量し、これに水を入れ混合スラリーとし、十分に混合撹拌したものを100℃に保持した乾燥機に入れ、1日放置し水分を蒸発させた。これを白金製のルツボに入れ、1300℃に保持した電気炉に置き、この状態で30分間保持したのち、電気炉から取り出し、アイロンプレス法によりリン酸亜鉛ガラス(ZnO−Pglass)を作製した。このガラスを、アルミナ乳鉢を用いて10μm以下の粒径になるまで粉砕した。
続いて、リン酸亜鉛ガラス粉末とベンゾイミダゾール(ナカライテスク、98%)を混合し、これをテフロン(登録商標)シャーレに入れ、開放した状態で、170℃の乾燥器中で、24時間熱処理を行って、リン酸亜鉛ガラス粉末とベンゾイミダゾールとの化合物を作製した。この化合物の作製では、重量比を、リン酸亜鉛ガラス(ZnO−Pglass):ベンゾイミダゾール(Benzimidazole)=1:3とした。以下、この化合物をZnP/BImと表記する。
ところで、比較例として、重量比を、リン酸亜鉛ガラス:イミダゾール=1:3として、リン酸亜鉛ガラスとイミダゾールとの化合物を本実施例と同様に作製したとき、得られた化合物は、常温、常湿下で放置すると、吸湿による数十%の重量増加がみられた。
これに対して、本実施例で作製したリン酸亜鉛ガラスとベンゾイミダゾールとの化合物は、常温、常湿下で放置しても、重量の変化がほとんどみられなかったことから、リン酸亜鉛ガラスとイミダゾールとの化合物と比較して、耐水性が高いものである。したがって、リン酸亜鉛ガラスとベンゾイミダゾールとの化合物を用いて製造されるプロトン伝導体は、リン酸亜鉛ガラスとイミダゾールとの化合物を用いて製造されるプロトン伝導体よりも、高い耐水性を有する。
一方、オキシ塩化ジルコニウム(ZrOCl・8HO、キシダ化学特級99%以上)とイオン交換水を重量比で1:10となるように混合し、完全に溶解させた。この中に、正リン酸(HPO、キシダ化学特級、85%)を1mol/lに調整したものをゆっくりと滴下した。このとき、Zr/P(原子比)=1/3となるようにした。混合後、1時間撹拌した。撹拌後、その混合溶液に、ZnP/BImを常温で混合し、さらに1時間攪拌した。この混合溶液をテフロン(登録商標)シャーレに流し出し、50℃で24時間、100℃で24時間乾燥した。
このようにして、オキシ塩化ジルコニウムと正リン酸とを混合して非晶質化したものを形成し、この非晶質化したものにZnP/BImを均質に混合する。そして、50℃で24時間加熱することにより、この混合によって得られたものを熟成させ(熟成工程)、100℃で24時間加熱することにより、この熟成したものを乾燥させるとともに、この熟成したものからリン酸水素ジルコニウムの結晶粒子を析出させる。
その後、乾燥物を直径1cmの金型に充填し、200MPaで5分間一軸加圧することにより、試料を得た。得られた試料の重量比は、ZnP/BIm:ZrP(リン酸水素ジルコニウム)=1:4、1:5、1:6であり、それぞれの試料をZnP/BIm−4ZrP、ZnP/BIm−5ZrP、ZnP/BIm−6ZrPと表記する。
得られた試料は、どれも黄色を帯びた白色で柔軟な膜であり、厚さは約300μm程度であった。
得られた各試料を評価するために、X線回折測定、FT−IR測定、熱重量分析、電導度測定を行った。
図2に各試料のXRDパターンを示す。図2には、参考としてリン酸水素ジルコニウム結晶(ZrP)のXRDパターンも示している。各試料において、リン酸水素ジルコニウム(α−Zr(HPO・HO)に帰属されるピークが見られ、各試料は、リン酸水素ジルコニウム結晶を成分としていることが確認された。また、図2のXRDパターンより算出した結果、リン酸水素ジルコニウムの平均粒子径は13nmであった。
図3に各試料のFT−IRスペクトルを示し、図4に図3の600−1400cm−1範囲の拡大図を示す。図3、4には、参考としてリン酸水素ジルコニウム結晶(ZrP)のFT−IRスペクトルも示している。
図3に示すように、各試料とも、3500cm−1付近にN−H伸縮振動に帰属されるショルダーピークが見られる。また、2500−3000cm−1付近にみられるブロードなピークは、ベンゾイミダゾールの1位N原子と他のベンゾイミダゾールの3位N原子間の強い水素結合の振動によるピークである。
また、図4に示すように、各試料において、960、1046、1072cm−1付近に見られるピークはHPOのO−P−Oによる伸縮振動に帰属されるピークであり、1120、1147cm−1付近に見られるピークはHPOのO−P−Oによる曲げ振動に帰属されるピークである。よって、各試料は、ベンゾイミダゾールと、リン酸イオンとを成分とすることが確認された。
図5に各試料およびベンゾイミダゾールの熱重量分析(TG)の結果を示す。昇温速度は毎分5℃とし、空気中で重量変化を測定した。ベンゾイミダゾールは160℃付近から重量が大きく減少したが、各試料とも250℃まで大きな重量減少は見られなかった。
図6にZnP/BIm−5ZrP、ZnP/BIm−6ZrPの電導度の温度依存性を示す。図6には、参考としてZnP/BIm混合体の電導度(図中下側の三角印)とベンゾイミダゾールの電導度も示している。電導度の測定は次のように行った。試料の両面に白金を蒸着し、その蒸着面に銀ペーストで白金線を接着したものを電導度測定用試料とし、これを乾燥器に置いた。白金線を交流インピーダンスアナライザに接続し、周波数を1Hzから10MHzまで変化させて測定し、Cole-Coleプロットが複素平面の実軸と交わったところの値を抵抗値として読み取った。電導度は電極間距離を電極面積と抵抗値で除して算出した。
170℃において、ZnP/BIm−5ZrPおよびZnP/BIm−6ZrPは、それぞれ、6.5×10−3S/cm、6.9×10−3S/cmの電導度を示し、どちらの試料も、ベンゾイミダゾール単体やZnP/BImよりも高い電導度を示した。またベンゾイミダゾール単体やZnP/BImは低温域では電導度の値を示さないが、得られた試料は80℃から高い電導度を示していた。
80℃〜170℃での活性化エネルギーをアレニウス式から算出したところ、ZnP/BIm−5ZrP、ZnP/BIm−6ZrPは、それぞれ、24、32kJ/molであった。ベンゾイミダゾール単体の活性化エネルギーが46kJ/mol、ZnP/BImの活性化エネルギーが92kJ/molであるのに対して、それらよりも低い値であった。よって、本実施例の試料は、80〜170℃の温度域で高いプロトン伝導性を示すと言える。
ここで、図7、8に、特許文献6の実施例に記載の試料1、2、3の熱重量分析結果および電導度の温度依存性を示す。なお、特許文献6に記載のプロトン伝導体は、リン酸水素ジルコニウム結晶、リン酸イオン、イミダゾールを成分とするものであり、特許文献6の実施例に記載の試料1、2、3は次のようにして得られたものである。
オキシ塩化ジルコニウム(ZrOCl・8HO、キシダ化学特級99%以上)とイオン交換水を重量比で1:10となるように混合し、完全に溶解させた。この中に、正リン酸(HPO、キシダ化学特級、85%)を1mol/lに調整したものをゆっくりと滴下した。このとき、Zr/P(原子比)=1/3となるようにした。混合後、30分間撹拌し、混合溶液をテフロン(登録商標)シャーレに流し出し、50℃で36時間乾燥した。次に、イミダゾール(キシダ化学特級、99%)を全体の0.11、0.22、0.33の重量分率で加え、さらに適量の水を加えてこれらの混合物を混合したのち、テフロン(登録商標)容器に入れて100℃で1日保持して乾燥させた(それぞれ、試料1、試料2、試料3とする)。
重量分析結果について、本発明の実施例と特許文献6の実施例とを比較すると、図7に示す特許文献6の実施例では、試料1〜3のうち試料2、3は大きな重量減少が生じていたのに対して、図5に示す本発明の実施例では、いずれの試料も250℃まで大きな重量減少が見られなかった。このことから、本発明のプロトン伝導体は、特許文献6に記載のプロトン伝導体よりも熱的安定性が向上していると言える。
また、電導度について、本発明の実施例と特許文献6の実施例とを比較すると、特許文献6の実施例において、熱分析結果で大きな重量減少がなかった試料1は、図8に示すように、100〜160℃での電導度と比較して、100℃未満の温度域では電導度が急激に低下していた。この結果から算出した活性化エネルギーは、100〜160℃では16kJ/molであったのに対して、100℃未満では〜110kJ/molであった。
これに対して、本発明の実施例では、図6に示すように、100℃未満での急激な電導度の低下は見られず、80〜170℃の範囲では、温度下降に伴う電導度の低下傾向が同じであり、活性化エネルギーは同じであった。このことから、本発明のプロトン伝導体は、特許文献6に記載のプロトン伝導体よりも、作動温度域が広いと言える。
ここで、参考として、図9に、本発明の実施例に対してベンゾイミダゾールの代わりにイミダゾールを用いて得られた試料(ZnP/Im−4ZrP、ZnP/Im−5ZrP、ZnP/Im−6ZrP)のXRDパターンを示す。なお、図9では、リン酸水素ジルコニウム結晶(ZrP)、リン酸イオン、亜鉛イオンおよびイミダゾールの混合物(ZnP/Im)のXRDパターンも示している。また、図10に、特許文献6に記載のプロトン伝導体の構造予想図を示す。
図9に示すように、ZnP/Im−4ZrP、ZnP/Im−5ZrP、ZnP/Im−6ZrPのいずれにおいても、α−Zr(HPO・HOの層状構造に帰属する2θ=12°付近のピークが2θ=8°付近にシフトしていた。この結果から算出すると、α−Zr(HPO・HOの層と層との間隔が0.76nmから1.3nmに広がっている。
このことから、イミダゾールを用いた特許文献6に記載のプロトン伝導体では、図10に示すように、リン酸水素ジルコニウムの層状構造における層と層との間に、イミダゾール分子が入り込んだ構造となっていることが推測される。このため、100℃以上の高温時では激しい熱振動によってプロトン伝導が生じるが、100℃未満の低温時ではイミダゾールがリン酸水素ジルコニウムの層間に入り込んでしまうことで、プロトンのキャリアとして機能するイミダゾール分子が少ないために、電導度が100℃未満で急激に低下したものと考えられる。
これに対して、本発明の実施例では、図2に示すように、α−Zr(HPO・HOの層状構造に帰属する2θ=12°付近のピークはシフトしていないことから、リン酸水素ジルコニウムの層間にベンゾイミダゾールは入り込んでおらず、これによって、100℃未満でも良好な電導度を示すものと推測される。
本発明によれば100〜200℃の中温域の空気中の開放環境でも、長期にわたって安定に、高いプロトン伝導度が得られるので、中温形燃料電池として、自動車、据え置き形電源等に利用可能である。
【0001】
技術分野
[0001]
本発明はプロトン伝導体の製造方法に関する。
背景技術
[0002]
従来、電圧を印加することにより物質中をイオンが移動する場合、これを用いて電池やセンサーなどの電気化学デバイスを設計することができるので、極めて多くの研究開発がなされている。水素イオン(プロトン)を電荷担体とする伝導体は、燃料電池への応用の面から、非常に大きな期待が寄せられている。現在では、この種のプロトン伝導体としてイオン交換膜を用いた高分子固体電解質型燃料電池の開発が盛んである。据置型電源や電気自動車、コジェネシステムなどへの応用が期待されている。室温付近で高い伝導性を示すプロトン伝導体には、ウラニルリン酸水和物やモリブドリン酸水和物などの無機結晶、あるいは、フッ化ビニル系高分子にパースルホン酸を含む側鎖の付いた高分子イオン交換膜(NAFION(登録商標))などの有機物、ケイ酸塩を主成分としリン酸を少量添加してゾルゲル法により作製された多孔質ガラス(例えば、特許文献1参照)がよく知られている。また、プロトン伝導性付与剤を含有させたもの(例えば、特許文献2参照)、無機−有機複合膜を使用したもの(例えば、特許文献3参照)、あるいはイオン性液体複合膜を使用したもの(例えば、特許文献4参照)やガラスを水和させて得られる非晶質ゾルあるいはゲル状態のもの(例えば、特許文献5参照)も開発されている。
[0003]
最近では、発電効率、電極に用いる白金の被毒の問題、システム効率の観点から、100〜200℃で、かつ無加湿で作動する、いわゆる中温型燃料電池が注目されており、研究開発が盛んになっている。先に挙げた室温付近で高い電導性を示すプロトン伝導体は、プロトンが水を介して移動する機構を利用するものである。しかし、固体高分子腹やゾルゲル法ガラスでは、こ
【0003】
[0008]
しかし、中温型燃料電池の実用化のためには、上記特許文献6に記載のプロトン伝導体の作動温度域をさらに広くすることが要求される。
[0009]
本発明は上記点に鑑みて、上記特許文献6に記載のプロトン伝導体と比較して、より広い作動温度域を有するプロトン伝導体を得ることを目的とする。
課題を解決するための手段
[0010]
[0011]
[0012]
[0013]
【0004】
[0014]
[0015]
[0016]
請求項5に記載のプロトン伝導体の製造方法は、
(1)リン酸水素ジルコニウム結晶またはリン酸水素チタニウム結晶と、
(2)リン酸イオンと、
(3)亜鉛イオンまたはコバルトイオンと、
(4)ペンゾイミダゾールまたはベンゾイミダゾール誘導体とを成分とするプロトン伝導体の製造方法であって、
ベンゾイミダゾールまたはベンゾイミダゾール誘導体とリン酸亜鉛ガラス粉末またはリン酸コバルトガラス粉末とを混合してなる化合物を作製し、
この化合物とリン酸水素ジルコニウムまたはリン酸水素チタニウムの原料とを混合してなる複合材料を作製し、
この複合材料中にリン酸水素ジルコニウム結晶粒子またはリン酸水素チタニウム結晶粒子を析出させ、
前記化合物の作製では、リン酸亜鉛ガラス粉末またはリン酸コバルトガラス粉末とベンゾイミダゾールまたはベンゾイミダゾール誘導体との重量比を1:3〜1:4の範囲内とし、
前記複合材料の作製では、原料におけるZrまたはTiとPとの原子比率を1:2〜1:5の範囲内とし、
前記化合物とリン酸水素ジルコニウムまたはリン酸水素チタニウムとの重量比が1:4〜1:6の範囲内であるプロトン伝導体を製造することを特徴とする。
[0017]
[0018]
請求項6に記載のプロトン伝導体の製造方法は、請求項5に記載のプロトン伝導体の製造方法において、
リン酸水素ジルコニウム結晶粒子またはリン酸水素チタニウム結晶粒子として、平均粒径が5〜20nmのものを析出させることを特徴とする。
[0019]
【0005】
[0020]
請求項8に記載のプロトン伝導体の製造方法は、請求項5または6に記載のプロトン伝導体の製造方法において、
前記複合材料の全体に対して0.01〜0.3重量分率のアルミニウムイオンを添加することを特徴とする。
発明の効果
[0021]
本発明によれば、特許文献6に記載の従来のプロトン伝導体と比較して広い作動温度域を有するプロトン伝導体を得ることができる。このプロトン伝導体を電解質として用いれば、長期安定性に優れた中温型燃料電池を得ることができるので、燃料電池の使用範囲を飛躍的に拡大することができる。
図面の簡単な説明
[0022]
[図1]本発明の実施例における試料作製のフローチャートである。
[図2]本発明の実施例における各試料のX線回折パターンを示す図である。
[図3]本発明の実施例における各試料の赤外吸収スペクトルを示す図である。
[図4]図3の600−1400cm−1範囲の拡大図である。
[図5]本発明の実施例における各試料とベンゾイミダゾールの熱重量分析結果を示す図である。
[図6]本発明の実施例における各試料の温度と電導度の関係(アレニウスプロット)を示す図である。
[図7]比較例における試料1、2、3の熱重量分析結果を示す図である。
[図8]比較例における試料1、2、3の温度と電導度の関係(アレニウスプロット)を示す図である。
[図9]比較例として、ベンゾイミダゾールの代わりにイミダゾールを用いて本発明の実施例と同様に作製された試料のX線回折パターンを示す図である。
[図10]比較例におけるイミダゾールを用いたプロトン伝導体の構造予想図で

Claims (8)

  1. (1)リン酸水素ジルコニウム結晶またはリン酸水素チタニウム結晶と、
    (2)リン酸イオンと、
    (3)亜鉛イオンまたはコバルトイオンと、
    (4)ベンゾイミダゾールまたはベンゾイミダゾール誘導体とを成分とするプロトン伝導体。
  2. 前記リン酸イオンと前記亜鉛イオンまたは前記コバルトイオンとが、それぞれ、前記ベンゾイミダゾールまたは前記ベンゾイミダゾール誘導体と反応してなる化合物が存在する請求項1に記載のプロトン伝導体。
  3. リン酸水素ジルコニウム結晶粒子またはリン酸水素チタニウム結晶粒子と、
    リン酸亜鉛ガラス粉末またはリン酸コバルトガラス粉末と前記ベンゾイミダゾールまたは前記ベンゾイミダゾール誘導体との混合によって得られた化合物とが存在する請求項1に記載のプロトン伝導体。
  4. 前記リン酸水素ジルコニウム結晶粒子または前記リン酸水素チタニウム結晶粒子は、平均粒径が5〜20nmであることを特徴とする請求項3に記載のプロトン伝導体。
  5. 請求項1ないし4のいずれか1つに記載のプロトン伝導体の製造方法であって、
    前記ベンゾイミダゾールまたは前記ベンゾイミダゾール誘導体とリン酸亜鉛ガラス粉末またはリン酸コバルトガラス粉末とを混合してなる化合物を作製し、
    この化合物と前記リン酸水素ジルコニウムまたは前記リン酸水素チタニウムの原料とを混合してなる複合材料を作製し、
    この複合材料中に前記リン酸水素ジルコニウム結晶粒子または前記リン酸水素チタニウム結晶粒子を析出させることを特徴とするプロトン伝導体の製造方法。
  6. 前記リン酸水素ジルコニウム結晶粒子または前記リン酸水素チタニウム結晶粒子として、平均粒径が5〜20nmのものを析出させることを特徴とする請求項5に記載のプロトン伝導体の製造方法。
  7. 前記リン酸亜鉛ガラス粉末または前記リン酸コバルトガラス粉末と前記ベンゾイミダゾールまたは前記ベンゾイミダゾール誘導体との重量比を1:3〜1:4の範囲内として、前記化合物を作製し、
    ZrまたはTiとPとの原子比率を1:2〜1:5の範囲内として、前記リン酸水素ジルコニウムまたは前記リン酸水素チタニウムの原料を混合し、
    前記化合物と前記リン酸水素ジルコニウムまたは前記リン酸水素チタニウムとの重量比が1:4〜1:6の範囲内であるプロトン伝導体を製造することを特徴とする請求項5または6に記載のプロトン伝導体の製造方法。
  8. 前記複合材料の全体に対して0.01〜0.3重量分率のアルミニウムイオンを添加することを特徴とする請求項5ないし7のいずれか1つに記載のプロトン伝導体の製造方法。
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