JP2009295539A - プロトン伝導体 - Google Patents

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Abstract

【課題】本発明は、無加湿で高いプロトン伝導性を示し、長期安定性に優れた素材を提供することを解決すべき課題とする。
【解決手段】本発明のプロトン伝導体は、(1)リン酸水素ジルコニウムまたはリン酸水素チタニウム結晶と(2)リン酸イオンと(3)イミダゾールまたはイミダゾール誘導体からなる。
【選択図】図1

Description

本発明はプロトン伝導体に関する。
従来、電圧を印加することにより物質中をイオンが移動する場合、これを用いて電池やセンサーなどの電気化学デバイスを設計することができるので、極めて多くの研究開発がなされている。水素イオン(プロトン)を電荷担体とする伝導体は、燃料電池への応用の面から、非常に大きな期待が寄せられている。現在では、この種のプロトン伝導体としてイオン交換膜を用いた高分子固体電解質型燃料電池の開発が盛んである。据置型電源や電気自動車、コジェネシステムなどへの応用が期待されている。室温付近で高い伝導性を示すプロトン伝導体には、ウラニルリン酸水和物やモリブドリン酸水和物などの無機結晶、あるいは、フッ化ビニル系高分子にパースルホン酸を含む側鎖の付いた高分子イオン交換膜(NAFION(R))などの有機物、ケイ酸塩を主成分としリン酸を少量添加してゾルゲル法により作製された多孔質ガラス(例えば、特許文献1参照)がよく知られている。また、プロトン伝導性付与剤を含有させたもの(例えば、特許文献2参照)、無機−有機複合膜を使用したもの(例えば、特許文献3参照)、あるいはイオン性液体複合膜を使用したもの(例えば、特許文献4参照)やガラスを水和させて得られる非晶質ゾルあるいはゲル状態のもの(例えば、特許文献5参照)も開発されている。
特開2002−097272号公報 特開2001−035509号公報 特開2000−090946号公報 特開2001−167629号公報 特開2003−217339号公報
最近では、発電効率、電極に用いる白金の被毒の問題、システム効率の観点から、100〜200℃で、かつ無加湿で作動する、いわゆる中温型燃料電池が注目されており、研究開発が盛んになっている。先に挙げた室温付近で高い電導性を示すプロトン伝導体は、プロトンが水を介して移動する機構を利用するものである。しかし、固体高分子膜やゾルゲル法ガラスでは、これらの素材に存在する微小な孔に付着した水がプロトンの伝導性を高めるため、高い電導度を得るために飽和水蒸気圧に近い加湿が必要である。また、湿度によって導電率が大きく変化することが難点であるし、中温域では水の蒸発を防ぐための高圧容器が必要となるという問題点を有していた。モリブドリン酸水和物などの無機結晶、固体高分子膜、あるいはガラスを水和させて得られる非晶質ゾルあるいはゲルは、耐熱性に乏しく100℃以上では使用できない。
一方、リン酸型燃料電池の作動温度は200℃程度であり、実用化にほぼ至っているが、リン酸の揮発の問題があり、長期間の安定作動においては未だ十分でない。また、固体酸化物型燃料電池の作動温度は非常に高い。このように、中温域、とくに100〜200℃という温度域で安定して作動する燃料電池は実現されていないのが現状である。
本発明は、上記の問題点を解決し、100〜200℃の無加湿で高いプロトン伝導性を示し、長期安定性に優れた素材を提供することを解決すべき課題とする。
第1の発明は、(1)リン酸水素ジルコニウムまたはリン酸水素チタニウム結晶と(2)リン酸イオンと(3)イミダゾールまたはイミダゾール誘導体からなるプロトン伝導体にある(請求項1)。
このプロトン伝導体は、100〜200℃の無加湿で高い電導性を示し、長期安定性に優れる。
第2の発明は、ZrまたはTiとPの原子比率が1:2〜1:5の範囲にあり、かつ、前記(1)リン酸水素ジルコニウムまたはリン酸水素チタニウム結晶と(2)リン酸イオンと、前記(3)イミダゾールまたはイミダゾール誘導体の重量との比が1:0.1〜1:3の範囲にある請求項1のプロトン伝導体にある(請求項2)。
本発明のプロトン伝導体においては、ZrまたはTiとPの原子比率が1:2〜1:5の範囲にあり、かつ、前記(1)リン酸水素ジルコニウムまたはリン酸水素チタニウム結晶と(2)リン酸イオンと、前記(3)イミダゾールまたはイミダゾール誘導体の重量との比が1:0.1〜1:0.4の範囲にあることが好ましい。
本発明によれば、100〜200℃の作動温度において、無加湿で、高いプロトン伝導性を長期安定的に発揮するプロトン伝導体を得ることができる。このプロトン伝導体を電解質として用いれば、長期安定性に優れた中温型燃料電池を得ることができるので、燃料電池の使用範囲を飛躍的に拡大することができる。
本発明に用いられるリン酸水素ジルコニウムやリン酸水素チタニウムは二次元層状構造をもち、プロトン伝導性を示す。Zr(HPO・nHOまたはTi(HPO・nHOで表される。プロトン伝導性は結晶表面のPOH基量に大きく影響されるため、比表面積の大きい微粒子とし、とくにナノメートルサイズ、たとえば5〜20nmの粒子とすることが効果的である。また、プロトン伝導体中には多量のプロトンが存在するため酸性度が高いが、リン酸水素ジルコニウムやリン酸水素チタニウムは耐酸性が極めて高くどちらも好適であるが、安全な原料試薬などを安価に入手して合成できる点からリン酸水素ジルコニウムがより適している。
本発明に用いられるリン酸イオンとは、正リン酸を構成する三価の陰イオンPO 3−であるが、製造方法によっては縮合リン酸塩として用いることも可能であり、この場合には、ピロリン酸イオンP 4−やポリリン酸イオンPO を含有する。
本発明に用いられるイミダゾールまたはイミダゾール誘導体は、分子内にプロトンを配位できる非共有電子対を持った分子であり安価である。
本発明のプロトン伝導体は、(1)リン酸水素ジルコニウムおよび/またはリン酸水素チタニウム結晶と(2)リン酸イオンと(3)イミダゾールおよび/またはイミダゾール誘導体を主成分とし、必要に応じて(4)アルミニウムイオンや亜鉛イオンが含まれてよい。
本発明のプロトン伝導体のZrまたはTiとPの原子比率は、1:2〜1:5の範囲にあることが好ましい。1:2よりPが少ないと、緻密な材料を作製できない。1:5よりPが多いと、試料中に正リン酸として存在する部分が増え、自立膜とすることができない。また、1:5に近づくとPの含有量が多くなる場合にアルミニウムイオンを少量添加することで正リン酸の生成を抑え、化学的に安定な伝導体とすることができる。アルミニウムイオンは必ずしも添加する必要はないが、好ましくは0.01より多い方が正リン酸の生成を効果的に抑え、化学耐久性のよい膜となる。ただし、その量は全体の0.3重量分率までとしないとプロトン伝導性を損なう。
100〜200℃という中温域では、水の媒介を必要としないプロトン伝導機構を構築しなければならないが、イミダゾールやイミダゾール誘導体は、イミダゾール環間の水素原子欠陥を介して高速プロトン伝導するのでこれを可能とする。ただし、融点(90℃)以上では低粘性の融液となってしまい、蒸発が始まるため取り扱いが難しいところではあるが、リン酸イオンと結合させることでこの問題が解決され、200℃まで十分に安定である程度の粘稠性を持たせることができることを見いだした。これを実現するためには、本発明のプロトン伝導体の、前記(1)リン酸水素ジルコニウムまたはリン酸水素チタニウム結晶と(2)リン酸イオンと、前記(3)イミダゾールまたはイミダゾール誘導体の重量との比を、1:0.1〜1:0.4の範囲とすることが好ましい。イミダゾールまたはイミダゾール誘導体の重量比が0.1より小さいと緻密にならず、また0.4より大きいと、リン酸イオンと反応して安定化しないイミダゾールまたはイミダゾール誘導体が増えるため、蒸発が激しく中温域での安定性を確保できないばかりか、室温では吸湿性が激しくなって流動化しやすくなってしまう。
さらに、イミダゾールまたはイミダゾール誘導体は亜鉛イオンと反応しやすく(非特許文献1)、これらを安定化することができる。このための亜鉛イオンの総重量は、全体の0.3までの分率で含有することが好ましい。0.3より多いとほとんどのイミダゾールまたはイミダゾール誘導体が亜鉛イオンと反応してプロトン伝導性を損なう。亜鉛イオンは必ずしも含有する必要はないが、好ましくは0.01より多く含有するとイミダゾールまたはイミダゾール誘導体の安定化に効果的である。文献1によれば、カドミウムイオン、ガドリニウムイオン、インジウムイオン、水銀イオン、銀イオン、ニッケルイオン、銅イオンもイミダゾールまたはイミダゾール誘導体との反応性があることが記されているが、環境や価格の面から問題が多いので使用することは得策ではない。
Bertran,他,Journal of Solid State Chemistry,147巻,561〜564頁,1999年 以下、第1、2発明を具体化した好適実施例1乃至5を図面を参照しつつ説明する。
オキシ塩化ジルコニウム(ZrOCl・8HO、キシダ化学特級99%以上)とイオン交換水を重量比で1:10となるように混合し、完全に溶解させた。この中に、正リン酸(HPO、キシダ化学特級、85%)を1mol/lに調整したものをゆっくりと滴下した。このとき、Zr/P(原子比)=1/1.8、1/2、1/3、1/4、1/5、1/6となるようにした。
混合後、30分間撹拌し、混合溶液をテフロン(登録商標)シャーレに流し出し、50℃で36時間乾燥した。
X線回折測定を行ったところ、Zr/P=1/1.8の試料は非晶質であり、Zr/P=1/2〜1/6ではα型Zr(HPO・HOが析出していた。また、そのピーク強度はZr/P=1/2〜1/4の範囲では、P量が増えるにつれて高くなり、Zr/P=1/4〜1/6ではほぼ変化がなかった。さらに、シェラーの式D=Kλ/Bcosθ(ここで、Dは結晶の大きさ、Kはシェラー定数(0.9)、Bはピークの半値幅、θは回折角である)から結晶の大きさを求めたところ、Zr/P比にかかわらず、ほぼ11nmであった。
これらの試料についてアモルファス相を除去して安定なリン酸水素ジルコニウム結晶を分離するため、水洗と濾過を繰り返し恒量値となった時点での重量を求めたところ、Zr/P=1/2、1/3、1/4、1/5、1/6で、それぞれ、0.2、0.4、0.55、0.55、0.55重量分率であった。
次に、Zr/P=1/1.8〜1/6の試料について、イミダゾール(キシダ化学特級、99%)を全体の0.05〜0.5の重量分率で加え、さらに適量の水を加えてこれらの混合物を混合したのち、テフロン(登録商標)容器に入れて100℃で1日保持して乾燥させた。
得られた乾燥物を直径1cmの金型に充填し、200MPaで5分間一軸加圧した。さらにこれらの試料を乾燥機に入れ、100℃で1日保持したあと室温に取り出した際の試料の様子を表1に示す。
イミダゾールを0.05重量分率加えた試料では、Zr/Pの比率にかかわらず白色の多孔体しか得られず、非常に脆い物質で電解質等に用いることは不可能であった。イミダゾールを0.5重量分率加えた試料では、イミダゾールによる室温に放置すると吸湿する流動体しか得られなかった。したがって電解質に用いることはできない。
また、Zr/P=1.8では、イミダゾールの含有量にかかわらず脆弱な多孔体もしくはこれが分散した流動体しか得られなかった。また、Zr/P=1/6ではリン酸が多量に存在するため、イミダゾール0.05重量分率の試料を除き、全て吸湿性の透明な流動体となった。
したがって、上記の試料は中温域で作動するプロトン伝導として使用できる状況ではない。一方、Zr/P=1/2〜1/5で、かつイミダゾール0.1〜0.4重量分率で添加した試料についてはそのような状況は確認されなかった。
オキシ塩化ジルコニウム(ZrOCl・8HO、キシダ化学特級99%以上)とイオン交換水を重量比で1:10となるように混合し、完全に溶解させた。この中に、正リン酸(HPO、キシダ化学特級、85%)を1mol/lに調整したものをゆっくりと滴下した。このとき、Zr/P(原子比)=1/3となるようにした。
混合後、30分間撹拌し、混合溶液をテフロン(登録商標)シャーレに流し出し、50℃で36時間乾燥した。
次に、イミダゾール(キシダ化学特級、99%)を全体の0.11、0.22、0.33の重量分率で加え、さらに適量の水を加えてこれらの混合物を混合したのち、テフロン(登録商標)容器に入れて100℃で1日保持して乾燥させた(それぞれ、試料1、試料2、試料3とする)。
得られた乾燥物を直径1cmの金型に充填し、200MPaで5分間一軸加圧した。さらにこれらの試料を乾燥機に入れ、100℃で1日保持したあと室温に取り出した。得られた試料は全て透明で柔軟な膜であり、厚さ200μmであった。
作製した試料中のリン酸塩構造を調べるために、リンの固体核磁気共鳴スペクトルを測定した。基準物質を正リン酸とした。
得られたスペクトルを図1に示す。-19 ppm付近のブロードなピークはZr(HPO4)2・H2Oの層状構造の骨格を成すPのピークである。0 ppm付近のピークはオルトリン酸によるピーク、-8 ppm付近のピークは1つのジルコニウム原子と結合したリン酸によるピーク、-14 ppm付近のピークは2つのジルコニウム原子が結合したリン酸によるピークである。これらはマトリックスのリン酸イオンの存在によるものであることを意味する。リン酸グループのピークが低磁場側へシフトしているが、このことは、リン酸グループのPOH基とイミダゾールとが、水素結合を含めた相互作用を及ぼしていることを意味している。
熱分析装置を用いて、重量変化を調べた。昇温速度は毎分5℃とし、空気中で重量変化を測定した結果を図2に示す。どの試料においても160 ℃付近まで重量の変化がほとんどみられない。しかし、その後はイミダゾール含有量が増えるにつれて重量減少量が増加した。これはイミダゾールの揮発によるものである。しかし、200℃での減少量は極めて少なく、十分に中温域で安定と見なせる。
これらの試料の両面に白金を蒸着しその蒸着面に銀ペーストで白金線を接着したものを電導度測定用試料とし、これを乾燥器に置いた。白金線を交流インピーダンスアナライザに接続し、周波数を1Hzから10MHzまで変化させて測定し、Cole-Coleプロットが複素平面の実軸と交わったところの値を抵抗値として読み取った。電導度は電極間距離を電極面積と抵抗値で除して算出した。
測定結果を図3に示す。電導度は160 ℃のときに最も高い値を示し、試料1は3 mS/cm、試料2は6 mS/cm、試料3は12 mS/cmであった。
また、複合体は170 ℃で電導度が低下した。これは熱重量分析結果から、イミダゾールの揮発が徐々に始まるためである。しかし、大幅な電導度の低下には至らない。
90〜160 ℃での活性化エネルギーをアレニウス式から算出したところ、試料1は16 kJ/mol,試料2と試料3は14 kJ/molであった。イミダゾール単体の活性化エネルギーが25 kJ/mol程度であることから、複合体のプロトン伝導はイミダゾール単体だけを介したものではなく、リン酸グループとイミダゾール間においてプロトンが伝導しているためと考えられる。
オキシ塩化ジルコニウム(ZrOCl・8HO、キシダ化学特級99%以上)とイオン交換水を重量比で1:10となるように混合し、完全に溶解させた。この中に、正リン酸(HPO、キシダ化学特級、85%)を1mol/lに調整したものをゆっくりと滴下した。このとき、Zr/P(原子比)=1/3となるようにした。混合後、30分間撹拌し、混合溶液をテフロン(登録商標)シャーレに流し出し、50℃で36時間乾燥した。
次に、イミダゾール誘導体としてヒスタミン(キシダ化学特級、99%)、ピロカルピン(キシダ化学特級、99%)を全体の0.2の重量分率で加え、さらに適量の水を加えて混合したのち、テフロン(登録商標)容器に入れて100℃で1日保持して乾燥させた。
得られた乾燥物を直径1cmの金型に充填し、200MPaで5分間一軸加圧した。さらにこれらの試料を乾燥機に入れ、100℃で1日保持したあと室温に取り出した。得られた試料は透明で柔軟な膜であり、厚さ200μmであった(それぞれ、試料4、試料5とする)。
試料4、試料5について実施例2と同様の手順によって電導度を測定したところ、150 ℃で、それぞれ、0.3 mS/cm、0.08 mS/cmであった。
オキシ塩化ジルコニウム(ZrOCl・8HO、キシダ化学特級99%以上)とイオン交換水を重量比で1:10となるように混合し、完全に溶解させた。この中に、塩化アルミニウム(AlCl・6HO、和光純薬特級98%)を混合して溶解させた。さらに続いて、正リン酸(HPO、キシダ化学特級、85%)を1mol/lに調整したものをゆっくりと滴下した。このとき、Zr/P/Al(原子比)=1/4/0.4となるようにした。
混合後、30分間撹拌し、混合溶液をテフロン(登録商標)シャーレに流し出し、50℃で36時間乾燥した。
次に、イミダゾール(キシダ化学特級、99%)を全体の0.2の重量分率で加え、さらに適量の水を加えてこの混合物を混合したのち、テフロン(登録商標)容器に入れて100℃で1日保持して乾燥させた。
得られた乾燥物を直径1cmの金型に充填し、200MPaで5分間一軸加圧した。さらにこれらの試料を乾燥機に入れ、100℃で1日保持したあと室温に取り出した。得られた試料は透明で柔軟な膜であり、厚さ200μmであった。これを試料4とする。
作製した試料中のリン酸塩構造を調べるために、リンの固体核磁気共鳴スペクトルを、基準物質を正リン酸として測定した。図1に見られた、アルミニウムを含まない試料1,2,3によるスペクトルのピークに加えて、試料4では新たに−8ppmと−14ppmにピークが現れた。これらはそれぞれ、ひとつのアルミニウムイオンが結合したオルトリン酸、二つのアルミニウムイオンが結合したオルトリン酸に帰属されるものであり、正リン酸の生成を抑えることが確認された。
オキシ塩化ジルコニウム(ZrOCl・8HO、キシダ化学特級99%以上)とイオン交換水を重量比で1:10となるように混合し、完全に溶解させた。この中に、塩化アルミニウム(AlCl・6HO、和光純薬特級98%)を混合して溶解させた。さらに続いて、正リン酸(HPO、キシダ化学特級、85%)を1mol/lに調整したものをゆっくりと滴下した。このとき、Zr/P/Al(原子比)=1/4/0.4となるようにした。
混合後、30分間撹拌し、混合溶液をテフロン(登録商標)シャーレに流し出し、50℃で36時間乾燥した。
次に、イミダゾール(キシダ化学特級、99%)を全体の0.3の重量分率で加え、さらに適量の水を加えてこの混合物を混合した。
一方、酸化亜鉛と正リン酸それぞれの試薬を酸化物換算モル比でMO:P=1:1となるように秤量し、これに水を入れ混合スラリーとし、十分に混合撹拌したものを100℃に保持した乾燥機に入れ、1日放置し水分を蒸発させた。これを白金製のルツボに入れ、1350℃に保持した電気炉に置き、この状態で30分間保持したのち、電気炉から取り出し、黒鉛板状に融液を流し出した。これをそのまま室温まで冷却することでリン酸亜鉛ガラスを作製した。このガラスをアルミナ乳鉢を用いて10μm以下の粒径になるまで粉砕しておいた。
上記のZr/P/Al=1/4/0.4とイミダゾールの混合物10gに、ガラス粉末1gを市販のテフロン(登録商標)容器に入れて混合し、100℃で1日保持した。このガラス粉末を混合し100℃で保持することは、この間に徐々にガラスが溶解し、結果として亜鉛イオンを徐々に供給して反応させるための工夫である。
得られた乾燥物を直径1cmの金型に充填し、200MPaで5分間一軸加圧した。さらにこれらの試料を乾燥機に入れ、100℃で1日保持したあと室温に取り出した。得られた試料は透明で柔軟な膜であり、厚さ200μmであった。これを試料5とする。
イミダゾールと亜鉛の反応の有無を調べるため、フーリエ変換赤外吸収スペクトルを測定した結果を図4に示す。
660 cm-1のピークはイミダゾール環のねじれ振動に帰属され、668cm-1付近のピークは、イミダゾールがZn2+イオンと反応したときのイミダゾール環のねじれ振動に帰属される(非特許文献1)。952、1087 cm-1付近のピークは、Zn2+イオンと反応したイミダゾールのC-H曲げ振動に帰属される(非特許文献2)。イミダゾールがZn2+イオンと結合している構造が存在することが明らかとなった。
Bauman,他,Inorganic Chemistry,3巻,368〜373頁,1964年
本発明によれば100〜200℃の中温域の空気中の開放環境でも、長期にわたって安定に、高いプロトン伝導度が得られるので、中温形燃料電池として、自動車、据え置き形電源等等に利用可能である。
実施例における試料1,2,3のリンの固体核磁気共鳴スペクトルを示す図である。 実施例における試料1,2,3の熱重量変化曲線を示す図である。 実施例における試料1,2,3の温度と電導度の関係(アレニウスプロット)を示す図である。 実施例における試料4の赤外吸収スペクトルを示す図である。

Claims (2)

  1. (1)リン酸水素ジルコニウムまたはリン酸水素チタニウム結晶と(2)リン酸イオンと(3)イミダゾールまたはイミダゾール誘導体からなるプロトン伝導体。
  2. ZrまたはTiとPの原子比率が1:2〜1:5の範囲にあり、かつ、前記(1)リン酸水素ジルコニウムまたはリン酸水素チタニウム結晶と(2)リン酸イオンと、前記(3)イミダゾールまたはイミダゾール誘導体の重量との比が1:0.1〜1:3の範囲にある請求項1のプロトン伝導体。
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