JPWO2011118683A1 - 医用貼付剤 - Google Patents

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昌彦 矢野
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Abstract

【課題】薬剤や溶解補助剤を多量に含有させてかつ型崩れや糊残りしない柔軟な粘着層を形成する医用貼付剤を提供しようとする。【課題を解決するための手段】分子中に2級または3級アミン構造を有する薬剤と、薬剤用液状助剤と、(メタ)アクリル酸エステルのモノマーを単量体主成分とし、イソシアネート基を有する架橋剤と反応して架橋を形成し得る官能基を有する共重合アクリル系樹脂が、ブロック化された前記イソシアネート基を有する架橋剤により架橋されてなる樹脂組成物とを含んでなる医用貼付剤である。

Description

本発明は、皮膚の保護や、皮膚面を通しての薬物の生体内への投与などの用途を有する医用貼付剤に関する。
近年、皮膚を保護するなどの用途を有する貼付剤、及び薬物を、皮膚面を通して生体内へ投与するなどの用途を有するパップ剤やテープ状製剤などの貼付製剤が種々開発されており、薬剤(薬理活性成分)を粘着層に含有させた貼付剤が開示されている(例えば、特許文献1、2参照)。
粘着層には共重合アクリル系樹脂などが用いられるが、薬剤や溶解補助剤を多量に含有させてかつ型崩れや実質的に糊残りしない(以下では「実質的に糊残りしない」は「糊残りしない」と表現する)粘着層を得るためには、粘着層が架橋(例えば、特許文献3、4参照)されていることが好ましい。
しかし、共重合アクリル系樹脂を架橋させるときの架橋反応の制御が難しく、貼付剤の製造工程において硬化が進みすぎるという問題がある。とくに、共重合アクリル系樹脂がアミン構造を有する場合や、薬剤や添加剤にアミン構造を有する化合物が用いられている場合にはこの傾向が顕著である。
特開2000−7559号公報 特開平5−65460号公報 特開2010−024224号公報 特開2005−170833号公報
本発明の目的は、薬剤や溶解補助剤を多量に含有させてかつ型崩れや糊残りしない柔軟な粘着層を形成する医用貼付剤を提供することである。
本発明の要旨とするところは、
分子中に2級または3級アミン構造を有する薬剤と、
薬剤用液状助剤と、
(メタ)アクリル酸エステルのモノマーを単量体主成分とし、イソシアネート基を有する架橋剤と反応して架橋を形成し得る官能基を有する共重合アクリル系樹脂が、ブロック化された前記イソシアネート基を有する架橋剤により架橋されてなる樹脂組成物と
を含んでなる医用貼付剤であることにある。
前記共重合アクリル系樹脂は、分子中に3級アミン構造を有するモノマーを単量体成分として含み得る。
前記薬剤は、塩酸テルビナフィン、塩酸アモロルフィン、塩酸ブテナフィン、ラノコナゾール、リバスティグミン、ドネペジルから選択され得る。以下の表現の中で、塩の形で表現していないものにあっても、薬剤に関してはその塩をも含むものとして解釈する。
前記共重合アクリル系樹脂は、脂肪族アルコール(C4−10)のアクリル酸エステルと、ジメチルアミノアルキル(メタ)アクリレート又はジメチルアミノアルキル(メタ)アクリルアミドを単量体成分として含み得る。(メタ)アクリレートや、(メタ)アクリルアミドの表現はアクリレートかメタアクリレートのいずれかを意味するものであって、(メタ)アクリルアミドも同様である。
前記共重合アクリル系樹脂は、脂肪族アルコール(C4−10)のアクリル酸エステルを40〜80重量部、ジメチルアミノアルキル(メタ)アクリレート又はジメチルアミノアルキル(メタ)アクリルアミドを1〜20重量部、ヒドロキシアルキルアクリレート又はヒドロキシアルキルアクリルアミドを0.5〜20重量部、を共重合してなり得る。
前記共重合アクリル系樹脂は、さらに、メトキシアルキルアクリレート又はエトキシアルキルアクリレートを単量体成分として10〜40重量部含み得る。
また、本発明の要旨とするところは、前記医用貼付剤からなる粘着層と、該粘着層を支持する支持体を含んでなる貼付製剤であることにある。
さらに、本発明の要旨とするところは、
(メタ)アクリル酸エステルのモノマーを単量体主成分とし、イソシアネート基を有する架橋剤と反応して架橋を形成し得る官能基を有する共重合アクリル系樹脂と、分子中に2級または3級アミン構造を有する薬剤と、薬剤用液状助剤と、ブロック剤でブロック化された前記イソシアネート基を有する架橋剤を含む混合液を剥離シートに塗布して塗布膜を得る工程、
前記剥離シートに塗布された前記塗布膜を前記ブロック剤が脱離する温度で加熱する工程、
加熱された前記塗布膜を支持体に積層する工程
を含んでなる貼付製剤の製造方法であることにある。
本発明によると、薬剤や溶解補助剤のような薬剤用液状助剤を多量に含有させてかつ、皮膚に糊残りを生じず、保存時に糊はみ出しなどがなく、型崩れしない柔軟な粘着層を形成する医用貼付剤及び、この粘着層を有する貼付製剤が提供される。
本発明の医用貼付剤は、
分子中に2級または3級アミン構造を有する、生理活性を持つ薬剤と、
薬剤用液状助剤と、
(メタ)アクリル酸エステルのモノマーを単量体主成分とし、イソシアネート基を有する架橋剤と反応して架橋を形成し得る官能基を有する共重合アクリル系樹脂が、ブロック化された前記イソシアネート基を有する架橋剤により架橋されてなる樹脂組成物と
を含んでなる。
本発明の医用貼付剤を粘着層として支持体に支持させたものが貼付製剤として皮膚に添付して用いられる。この支持体としてはポリオレフィン、ポリエステル、ポリウレタンなどからなるフィルム、発泡フィルム、不織布、編布、織布、フィルムと布のラミネート品、などが挙げられる。
本明細書において、3級アミン構造とは、窒素原子に3つの炭素原子が直接結合されてなる構造を有する化学構造一般を意味し、2級アミン構造とは、窒素原子に2つの炭素原子が直接結合されてなる構造を有する化学構造一般を意味する。
粘着層は、この共重合アクリル系樹脂と、分子中に2級または3級アミン構造を有する薬剤と、薬剤用液状助剤とを必要ならば溶剤に溶解して混合し、ブロック化されたイソシアネート基を有する架橋剤を加えて架橋して得ることができる。
イソシアネート基を有する架橋剤と反応して架橋を形成し得る官能基としては、活性水素を持つものが好ましく、ヒドロキシル基、アミノ基等が挙げられる。
本発明の医用貼付剤を用いた貼付製剤は、
(メタ)アクリル酸エステルのモノマーを単量体主成分とし、イソシアネート基を有する架橋剤と反応して架橋を形成し得る官能基を有する共重合アクリル系樹脂と、分子中に2級または3級アミン構造を有する薬剤と、薬剤用液状助剤と、ブロック剤でブロック化された前記イソシアネート基を有する架橋剤を含む混合液を剥離性のシート基材(剥離シート)に塗布して塗布膜を得る工程、
前記剥離シートに塗布された前記塗布膜を前記ブロック剤が脱離する温度で加熱する工程、
加熱された前記塗布膜に支持体を積層する工程
を含んでなる貼付製剤の製造方法により製造することができる。
剥離シートに積層された塗布膜は、この加熱する工程で加熱されることにより共重合アクリル系樹脂が架橋剤と反応して架橋する。
加熱された前記塗布膜に支持体を積層する工程は、例えば、塗布膜の剥離シートに面するがわと反対がわの面に支持体を積層することにより行われる。
支持体に積層された塗布膜は架橋を完結させるため、必要に応じて再加熱されてもよい。
混合液を塗布する剥離シートとしてはポリエステル、フッ素系樹脂、ポリ塩化ビニリデン、ポリプロピレン、などからなる樹脂フィルムや紙などが挙げられ、粘着層と対向させる面に離型処理が施されていることが好ましい。
塗布膜が支持体に積層されてなる積層物は、剥離シートも積層された状態で、必要に応じて所定のサイズの小片に裁断されて貼付製剤として用いられる。
貼付製剤は、粘着層の表面に剥離紙あるいは剥離フィルムからなるカバー用の剥離性シートを貼着して市場に供されることが一般的である。このカバー用の剥離性シートとしては、前記剥離シートがそのまま用いられてもよいが、製品化の過程でこの剥離シートが、このカバー用の剥離性シートに貼り替えられてもよい。貼付製剤の使用に際してカバー用の剥離性シートが剥がされる。
あるいは、本発明の医用貼付剤を用いた貼付製剤は、(メタ)アクリル酸エステルのモノマーを単量体主成分とし、イソシアネート基を有する架橋剤と反応して架橋を形成し得る官能基を有する共重合アクリル系樹脂と、分子中に2級または3級アミン構造を有する薬剤と、薬剤用液状助剤と、ブロック剤でブロック化されたイソシアネート基を有する架橋剤を含む混合液を前記支持体に塗布したのち、この塗布された塗布膜を、ブロック剤が脱離する温度で加熱して共重合アクリル系樹脂を架橋させることにより製造することができる。次いで、粘着層の表面に剥離紙あるいは剥離フィルムからなるカバー用の剥離性シートを貼着して市場に供されることが一般的である。
本発明に用いる共重合アクリル系樹脂は、重合体となったのち、通常の反応条件下例えば120℃以下で通常の架橋剤と反応して架橋を形成し得る官能基を有しない、アルキル(メタ)アクリレートのような(メタ)アクリル酸エステルのモノマーと、重合体となった後イソシアネート基を有する架橋剤と反応して架橋を形成し得る官能基を有するビニルモノマー、例えば水酸基を有するビニルモノマーや、アミノ基を持つモノマーを共重合させて得られるものであることが、薬剤や溶解補助剤を多量に含有させてかつ粘着性を出すため、および、型崩れや糊残りしない柔軟な粘着層を形成する医用貼付剤を得るうえで好ましい。
この共重合アクリル系樹脂はこの液状物の存在により形状が崩れやすく、糊はみ出しや皮膚への糊残りが起こるが、架橋により形状が安定し型崩れや、糊残りもない柔軟な粘着層が得られる。しかし、この共重合アクリル系樹脂はエポキシ基を有する化合物や通常のイソシアネート系架橋剤のような従来公知の架橋剤を用いて架橋させると、架橋反応の進行が速く、樹脂液に架橋剤を添加し混合している間に反応が始まり樹脂が硬化してしまうため、均一溶液を塗工することができなかった。とくに、本発明におけるように、架橋反応系に分子中に2級または3級アミン構造を有する薬剤が存在する場合には架橋反応の進行が極めて速く、樹脂液に架橋剤を添加し混合している間に反応が始まり樹脂が硬化してしまう傾向が顕著である。
従来の一般的な粘着剤の場合アクリル酸エステルとアクリル酸の共重合体が主なもので、場合に拠っては他のコモノマーとして、酢酸ビニルなどを共重合する場合もあるが、これらの粘着剤の場合はアミン系特に3級、4級アミン構造を持つ薬剤はアクリル酸などのカルボン酸基と塩を形成し、安定化するため貼付剤からの放出が進まない。結果として、皮膚に貼付したとき、皮膚側への放出が悪く、時には有効な薬剤量が皮膚へ移行しない場合や薬剤の使用効率が大幅に悪くなるなど問題があった。
本発明においては、架橋反応系に分子中に2級または3級アミン構造を有する薬剤やアクリル共重合体が存在するにもかかわらず、ブロック化されたイソシアネートを架橋剤として用いることによりこの硬化反応の暴走を抑えることができた。すなわち、ブロック化されたイソシアネートを添加した樹脂液を剥離シートあるいは支持体に塗布し、加熱乾燥することにより所定の、例えば90℃の温度に達することによりブロック剤の解放が始まって架橋反応が徐々に開始されて薬剤や溶解補助剤を多量に含有させてかつ型崩れや糊のこりしない柔軟な粘着層を形成する医用貼付剤が得られる。解裂温度はブロック剤によって決まってくるのでそれぞれに適した温度で乾燥・架橋反応を形成する必要がある。解裂し、架橋反応は必ずしも速やかに進まないので、乾燥の数分間のみでは架橋反応が終結せず、乾燥後に加熱処理を行うことが重要である。
また、本発明に用いる共重合アクリル系樹脂は、成分モノマーの一部がジメチルアミノエチル(メタ)アクリレートやジメチルアミノプロピル(メタ)アクリレートあるいはジメチルアミノプロピルアクリルアミドのような3級アミン構造を有するモノマーを用いた共重合物の場合やそして、あるいは薬剤に3級アミン化合物を添加する場合は、上記の硬化反応が一般の架橋剤を用いると暴走がとくに起こりやすいが、ブロック剤でブロック化されたイソシアネートを架橋剤として使用すると、この暴走を効果的に抑えることができる。
さらに、本発明においては、この共重合アクリル系樹脂が、分子中に3級アミン構造を有するモノマーを単量体成分として含むことが好ましい。この理由は、薬剤が2級または3級アミン構造を有する化合物である場合に、粘着層中の薬剤が貼付剤から円滑に放出が行われることである。これは、粘着層の構成要素である共重合アクリル系樹脂中に3級アミン基が存在することにより、その3級アミン基と薬剤とがイオン的に反発し、粘着層からの薬剤の離脱を容易にするためであると考えられる。
この3級アミン構造を有するモノマーとしては、ジアルキルアミノ基を有する(メタ)アクリレートや、ジアルキルアミノ基を有する(メタ)アクリルアミドが挙げられる。ジアルキルアミノ基を有するアクリレートとしては、ジアルキルアミノアルキル(メタ)アクリレートが挙げられる。ジアルキルアミノ基を有するアクリルアミドとしては、ジアルキルアミノアルキル(メタ)アクリルアミドが挙げられる。
ジアルキルアミノ基を有するアクリレートとしては、例えば、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、エチルメチルアミノエチル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
ジアルキルアミノ基を有するアクリルアミドとしては、例えば、 ジメチルアミノエチル(メタ)アクリルアミド、 ジエチルアミノエチル(メタ)アクリルアミド、 ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド、 ジエチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミドが挙げられる。
また、本発明において用いられる3級アミン構造を有する薬剤としては、白癬菌治療薬である塩酸テルビナフィン、塩酸アモロルフィン、塩酸ブテナフィン、ラノコナゾールや、アルツハイマー治療薬であるリバスティグミン、ドネペジルなどが例示される。
一方、薬剤が2級または3級アミン構造を有する化合物である場合に、共重合アクリル系樹脂の前駆体モノマーにアクリル酸のようなモノマーを含む場合は、薬剤が共重合アクリル系樹脂の分子骨格のカルボン酸基に取り込まれて、粘着層からの薬剤の放出が阻害される。
従って、3級アミン構造を有するモノマーを含んだ粘着層をブロック化した架橋剤で架橋することにより、薬剤や溶解補助剤を多量に含有させてかつ型崩れや糊残りしない柔軟な粘着層を形成する医用貼付剤が得られ、かつ、粘着層からの薬剤の放出が円滑に行われる。このためには、ブロック化されたイソシアネートを架橋剤として使用することが極めて効果的である。
ブロック化されたイソシアネートの調製にはブロック剤を用いる。ブロック剤はイソシアネートが室温環境で反応するのを防止するために、イソシアネート中のイソシアネート基と一時的に反応させる低分子量化合物をいう。一般に、ブロック剤は加熱下でイソシアネート基から脱離する。
ブロック化されたイソシアネートの調製に用いることができるイソシアネートの具体例には、トリメチレンジイソシアネート、テトラメチレンジイソシアネート、ペンタメチレンジソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、1,2−プロピレンジイソシアネート、1,2−ブチレンジイソシアネート、2,3−ブチレンジイソシアネート、1,3−ブチレンジイソシアネート、エチリデンジイソシアネート、ブチリデンジイソシアネートなどの脂肪族化合物、1,3−シクロペンタンジイソシアネートなどの脂肪族環式化合物、m−フェニレンジイソシアネート、p−フェニレンジイソシアネートなどの芳香族化合物、トリレンジイソシアネート(TDI)、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、4,4’−トルイジンジイソシアネート、1,4−キシレンジイソシアネートなどの脂肪族−芳香族化合物、ジアニシジンジイソシアネート、クロロジフェニルジイソシアネートなどの核置換芳香族化合物等が挙げられる。
ブロック剤としては、例えば、フェノール、クレゾールなどのフェノール系ブロック剤、ε−カプロラクタム、アセトアニリド、ε−カプロラクタム、γ−ブチロラクタムなどのラクタム系ブロック剤、マロン酸ジメチル、マロン酸ジブチル、アセト酢酸メチル、アセト酢酸エチルなどの活性メチレン系ブロック剤、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、アミルアルコール、エチレングリコールモノメチルエーテルなどのアルコール系ブロック剤、ホルムアルドキシム、アセトアルドキシム、アセトキシム、メチルエチルケトキシム、メチルイソブチルケトキシム、ジエチルケトキシム、シクロヘキサノンオキシム、ジアセチルモノオキシム、ベンゾフェノンオキシムなどのオキシム系ブロック剤、ブチルメルカプタンなどのメルカプタン系ブロック剤、酢酸アミドなどの酸アミド系ブロック剤、3,5−ジメチルピラゾールなどのピラゾール系ブロック剤、コハク酸イミド、マレイン酸イミドなどのイミド系ブロック剤、尿素系ブロック剤、M−フェニルカルバミン酸フェニルなどのカルバミン酸系ブロック剤、ジフェニルアミン、アニリンなどのアミン系ブロック剤、エチレンイミン、ポリエチレンイミンなどのイミン系ブロック剤等が挙げられる。
本発明における医用貼付剤は薬剤を含むため、あまり高温での加熱には適さないことから、ブロック剤としては80〜120℃の範囲でブロック剤が解裂して架橋反応にあずかるものが適しており、マロン酸ジブチルを用いたブロック剤が特に適している。
本発明において用いる重合体となったのち通常の架橋剤と反応して、架橋を形成し得る官能基を有しない(メタ)アクリル酸エステルのモノマーとしては、アルキル(メタ)アクリレートや、アルコキシアルキル(メタ)アクリレートやジアルキルアミノ基を有するアクリレートが挙げられる。
このアルキル(メタ)アクリレートとしては、炭素数が4〜10の脂肪族アルコールとアクリル酸とのエステルなどが、薬剤や溶解補助剤を多量に含有させて柔軟な粘着層を形成する医用貼付剤を得るうえで好ましい。例えばメチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、ペンチル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート、ヘプチル(メタ)アクリレート、イソオクチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、ノニル(メタ)アクリレート、デシル(メタ)アクリレート、イソデシル(メタ)アクリレート、ラウリルアクリレート、などが挙げられる。これらのモノマーは単独で用いてもよく2種以上を併用してもよい。
共重合アクリル系樹脂全体に対するアルキル(メタ)アクリレートのようなTg(ガラス転移温度)が0℃以下であるモノマーの割合は、40〜90重量%であることが、薬剤や溶解補助剤を多量に含有させてかつ粘着性を出すため、柔軟な粘着層を形成する医用貼付剤を得るうえで好ましい。
アルコキシアルキルアクリレートとしては、エステル基部分に炭素数2〜8のアルコキシアルキル基を有するものが好ましく、メトキシメチルアクリレート、エトキシメチルアクリレート、メトキシエチルアクリレート、エトキシエチルアクリレート、ブトキシエチルアクリレート、プロポキシエチルアクリレートが例示される。なかでも、メトキシアルキルアクリレート又はエトキシアルキルアクリレートが、薬剤や溶解補助剤を多量に含有させてかつ型崩れや糊残りしない柔軟な粘着層を形成する医用貼付剤を得るうえで好ましい。
アルコキシアルキルアクリレートのような、重合体となったのち通常の架橋剤と反応して架橋を形成し得る官能基をもたないビニル系の化合物でTgが室温(25度)以下のモノマーの割合は、重合体中0〜40重量%であることが、薬剤や溶解補助剤を多量に含有させてかつ水蒸気透過性を高め、型崩れや糊残りしない柔軟な粘着層を形成する医用貼付剤を得るうえで好ましい。
本発明において用いる重合体となったのちイソシアネート基を有する架橋剤と反応して架橋を形成し得る官能基を有するビニルモノマーとしては、水酸基含有ビニルモノマーやアミド基を含有するビニルモノマー等が挙げられる。なかでも水酸基含有ビニルモノマーやアミンを含有するビニルモノマーが、薬剤や溶解補助剤を多量に含有させてかつ型崩れや糊残りしない柔軟な粘着層を形成する医用貼付剤を得るうえで好ましい。
アミド基を含有するビニルモノマーとしてはジメチルアミノエチル(メタ)アクリルアミド、ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミドなどが挙げられる。
水酸基含有ビニルモノマーとしては、ヒドロキシアルキルアクリレートが薬液を含有して柔軟な架橋重合物を得るうえで好ましい。ヒドロキシアルキルアクリレートとしては、ヒドロキシエチルアクリレート;メチル 2−(ヒドロキシメチル)アクリレート、エチル 2−(ヒドロキシメチル)アクリレート、n−ブチル 2−(ヒドロキシメチル)アクリレート、tert−ブチル 2−(ヒドロキシメチル)アクリレート、2−エチルヘキシル 2−(ヒドロキシメチル)アクリレート、シクロヘキシル 2−(ヒドロキシメチル)アクリレート等のアルキル 2−(ヒドロキシメチル)アクリレート類;メチル 2−(1−ヒドロキシエチル)アクリレート、エチル 2−(1−ヒドロキシエチル)アクリレート、n−ブチル 2−(1−ヒドロキシエチル)アクリレート、メチル 2−(1−ヒドロキシブチル)アクリレート、エチル2−(1−ヒドロキシブチル)アクリレート、n−ブチル 2−(1−ヒドロキシブチル)アクリレート、メチル 2−(1−ヒドロキシベンジル)アクリレート、エチル 2−(1−ヒドロキシベンジル)アクリレート、n−ブチル 2−(1−ヒドロキシベンジル)アクリレート等のアルキル 2−(1−ヒドロキシ−1−アルキルメチル)アクリレート、2−ヒドロキシプロピルアクリレート、3−ヒドロキシプロピルメタクリレート類、4−ヒドロキシブチルメタクリレート、ジエチレングリコールモノメタクリレート、2,3−ジヒドロキシプロピルメタクリレート、2−メタクリロキシエチルグリコサイド等が挙げられる。また、これらのヒドロキシアクリル基を有するアクリルアミドモノマーからも選ぶことができる。
このような官能基を有するビニルモノマーはブロック化されたイソシアネートによる架橋の形成に寄与する。
これら官能基を有するビニルモノマーは、それぞれ単独で、あるいは2種類以上を組み合わせて使用することができる。
共重合アクリル系樹脂におけるこのような官能基を有するビニルモノマーの共重合割合は、共重合体全体に対して、0.5〜30重量%であることが、薬剤や溶解補助剤を多量に含有させてかつ型崩れや糊残りしない柔軟な粘着層を形成する医用貼付剤を得るうえで好ましい。
なかでも、ヒドロキシ基を有するモノマー含量は0.5重量%から20重量%の添加が好ましい。0.1重量%以下では架橋密度が低く、多くの液状成分を含む系では凝集力が不足して、糊残りを起こす。
共重合アクリル系樹脂のモノマーとしては、2−エチルヘキシルアクリレートのような疎水性のモノマーと、ヒドロキシアルキルアクリレートのような親水性のモノマーとを用いて、粘着層の親水性をバランスのよいものにすることが好ましいが、水酸基を有するモノマーが過剰だと凝集性が高く、重合後、脱水してゲル化の可能性もあるので、本発明の組成物に用いられる共重合アクリル系樹脂としては、脂肪族アルコール(C4−10)のアクリル酸エステルを40〜90重量部、ジメチルアミノアルキル(メタ)アクリレート又はジメチルアミノアルキル(メタ)アクリルアミド(アルキル鎖はC1−4)を0.5〜20重量部、ヒドロキシアルキルアクリレート(アルキル鎖はC1−4)又はヒドロキシアルキルアクリルアミド(アルキル鎖はC1−4)を0.5〜20重量部、を共重合してなるものが、適度の架橋を形成して、脂肪酸エステルやαヒドロキシ酸や多価アルコールのような溶解補助剤を多量に含む薬剤を保持させてかつ型崩れや糊残りしない柔軟な粘着層を形成する医用貼付剤を得るうえでさらに好ましい。
また、本発明の組成物に用いられる共重合アクリル系樹脂としては、脂肪族アルコール(C4−10)のアクリル酸エステルを40〜80重量部、ジメチルアミノアルキル(メタ)アクリレート又はジメチルアミノアルキル(メタ)アクリルアミドを1〜20重量部、ヒドロキシアルキルアクリレート又はヒドロキシアルキルアクリルアミドを1〜20重量部、を共重合してなるものが、適度の架橋を形成して溶解補助剤を多量に含む薬剤を保持させてかつ型崩れや糊残りしない柔軟な粘着層を形成する医用貼付剤を得るうえで極めて好ましい。
さらにまた、本発明の組成物に用いられる共重合アクリル系樹脂としては、この共重合アクリル系樹脂が、さらに、メトキシアルキルアクリレート又はエトキシアルキルアクリレートを単量体成分として10〜40重量部含むことが、溶解補助剤を多量に含む薬剤を保持させてかつ型崩れや糊残りしない柔軟な粘着層を形成する医用貼付剤を得るうえで最も好ましい。
共重合アクリル系樹脂には、上述の成分の他に更にその他のモノマーとして含有可能な単量体成分を配合することができる。このような成分としては、酢酸ビニルなどのビニルエステル、アクリロニトリルなどの不飽和ニトリル、スチレンなどのビニル芳香族化合物などが挙げられる。
本発明の他の態様においては、3級アミノ基を持たずかつカルボン酸基を持たない2種以上のアクリルモノマーの共重合体でOH基を有する粘着剤となりえるもの(共重合体A)に、分子量3000〜10万、好ましくは3000〜3万の、3級アミノ基を有するモノマーと1種以上の(メタ)アクリル酸エステルとの共重合体(共重合体B)からなるところの、3級アミノ基を有する重合体を添加したうえ、2級または3級アミンを持つ薬剤を配合して、ブロック化されたイソシアネートを架橋剤として使用してブロック剤を加熱下でイソシアネート基から脱離させて架橋させて本発明の医用貼付剤を形成する組成物を得ることができる。
共重合体Bの分子量(重量平均分子量)が3000〜30000であるとき、共重合体Aに対する共重合体Bの比率は1〜40重量%であることが、溶解補助剤を多量に含む薬剤を保持させてかつ型崩れや糊残りしない柔軟な粘着層を形成する医用貼付剤を得るうえで、好ましい。
粘着層のこのような優れた特性は、ブロック化された架橋剤により架橋を施すことにより得られる。このブロック化された架橋剤は、共重合体Bの分子量(重量平均分子量)が3000〜30000であるとき、共重合体(A+B)100重量部に対して0.2〜8重量部用いられることが好ましい。1.4〜8重量部用いられることがさらに好ましい。
共重合体Bの分子量(重量平均分子量)が30000〜500000であるとき、共重合体Aに対する共重合体Bの比率は0.5〜30重量%であることが、溶解補助剤を多量に含む薬剤を保持させてかつ型崩れや糊残りしない柔軟な粘着層を形成する医用貼付剤を得るうえで、好ましい。共重合体Bの分子量(重量平均分子量)が30000〜500000であるとき、ブロック化された架橋剤は共重合体(A+B)100重量部に対して0.2〜3重量部用いられることが好ましい。0.5〜3重量部用いられることがさらに好ましい。
共重合体Aの成分である3級アミノ基を持たずかつカルボン酸基を持たないアクリルモノマーとしては、例えば、アルキル鎖の炭素数が10以下のアクリル酸エステル、メトキシエチルアクリレート、エトキシエチルアクリレート、ブトキシエチルアクリレート等のアルキル鎖の炭素数が4以下のアルコキシ基を有するアルコキシアルキル(メタ)アクリレートが例示される。
さらに、共重合体Aの成分であるモノマーのうちの少なくとも一種はヒドロキシ基を有するモノマーである。このモノマーとしては、ヒドロキシエチルアクリルアミドのようなヒドロキシアルキル(メタ)アクリルアミドやヒドロキシエチルアクリレート、ヒドロキシブチルアクリレート、ヒドロキシエチルメタクリレート、ヒドロキシブチルメタクリレートのようなヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートが例示される。
共重合体Bの成分である、3級アミノ基を有するモノマーとしては、例えば、ジアルキルアミノアルキル(メタ)アクリレートのようなジアルキルアミノ基を有するアクリレートが挙げられる。一例としてはジメチルアミノエチル(メタ)アクリレートやジメチルアミノプロピル(メタ)アクリレートが挙げられる。
共重合体Bとしては、例えば、炭素数が4〜10の(メタ)アクリル酸エステルまたは炭素数が4〜10のアルコキシ基を有する(メタ)アクリル酸エステルとジアルキルアミノアルキル(メタ)アクリレートの共重合体が挙げられる。この具体例としては、メタアクリル酸ブチルと、メタアクリル酸ジメチルアミノエチルアクリレートおよびメチルメタアクリレートの共重合体、2−エチルヘキシルアクリレートとメトキシエチルアクリレートと、ジメチルアミノエチルアクリレートとヒドロキシエチルアクリルアミドの共重合体、などが挙げられる。
本発明において用いられる薬剤は、粘着層に含有されて、貼付製剤の貼付により皮膚から体内に浸透し薬効を発揮するもので、塩酸テルビナフィン 、ナフチフィンなどのアリルアミン系抗真菌薬、ラノコナゾール、ミコナゾールなどのイミダゾール系抗真菌薬、塩酸ブテナフィンなどのベンジルアミン系抗真菌薬、アモロルフィンなどのモルホリン系抗真菌薬、トルナフタートなどのチオカルバミン系抗真菌薬や、フィゾスチグミン、ネオスチグミンなどの精神神経薬、メペンゾラート、オキシブチニンなどの抗コリン薬、トリメトキノール、サルブタモール、ツロブテロール、プロカテロール、メチルエフェドリン、バメタンなどの交感神経系薬剤、タムスロシン、ナフトピジル、プロプラノロール、ピンドロール、カルテオロール、メトプロロール、アモスラロールなどの交感神経遮断薬、リドカイン、キシロカイン、ベンゾカインなどの局所麻酔薬、ジアゼパムなどのベンゾジアゼピン系抗不安薬、フェンタニル、ブプレノルフィンなどの鎮痛薬、メトクロプラミド、クロルプロマジンなどの鎮吐剤、バルビツレート系 バルビタール、ペントバルビタールなど、 ベンゾジアゼピン系:ニトラゼパム、ブロチアゼムなどの睡眠薬、SSRIであるパロキセチン、セルトラリン、ヴェンラファキシン(エフェクサー)、デュロキセチン(シンバルタ)、ネファゾドン(サーゾーン)などの抗鬱薬、エペリゾンなどの中枢性筋弛緩薬、ブロモクチプリン、セレギリン、ビペリジンなどの抗パーキンソン薬、ニセルゴリン、イブジラスト、イフェンプロジル、チアプリドなどの脳循環改善・賦活薬、メクロフェノキサートなどの脳代謝改善薬、ドネペジル、リバスチグミン、ガランタミンなどの認知症・アルツハイマー治療薬、トラニラスト、イブジラスト、オザグレル、ケトチフェンなどの抗アレルギー作用薬、ニコチン酸、ジモルホラミン、ドキサプラムなどの呼吸器系薬、カプトプリル、エナラプリルなどのアンギオテンシン変換酵素阻害剤が例示される。
本発明において用いられる薬剤用液状助剤は、溶解補助剤や、吸収促進剤、浸透剤、安定化剤などの助剤や添加剤を成分とし得る。薬剤用液状助剤は本発明の組成物中に10〜50重量%ほど含まれる。
溶解補助剤としては、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、グリセリンなどの多価アルコール、イソプロピルミリステート、イソプロピルパルミテートのようなイソプロピル脂肪酸エステル、ジオール化合物などが挙げられ、またエチレングリコール脂肪酸エステル、エチレングリコール・プロピレングリコール脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステルなどの糖−脂肪酸エステル、脂肪酸、高級アルコール、DMSO、など薬学的に許容できる化合物で使用する薬剤の溶解を助けるものなら使用することが出来る。ジオール化合物としては、ブタンジオール、プロパンジオールの内の少なくとも1種が好ましい。溶解補助剤は例えば粘着層中1〜30重量%添加される。
吸収促進剤としては、ジエチルセバケート、クロタミトン、αヒドロキシ酸の乳酸、サリチル酸、グリコール酸など、あるいはピルビン酸エチル、グリコール酸エチル、クエン酸トリエチル、レゾルシン酸エチル、レチノイン酸エチル、サリチル酸エチル、マロン酸エチル、酢酸エチル、などが例示される。ポリソルベート、ラウリン酸ジエタノールアミド、ラウロイルサルコシン、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルアミンなどの界面活性剤なども例示される。
浸透剤としては有機酸が例示される。安定化剤としては、抗酸化剤であるビタミンCやその誘導体、ブチルヒドロキシトルエン、トコフェロール、酢酸トコフェロールなどの抗酸化剤が例示され、薬学的に許容されるものが用いられる。
溶解補助剤には、その他必要に応じ、酸、アルカリを加えて、薬剤の安定性、放出性を調整してもよい。
その1
表1に示すモノマーを表1の比率(重量部)で組み合わせ、溶剤として酢酸エチルをモノマーと等量加え、重合開始剤としてアゾビスイソブチロニトリルを0.3重量部添加して釜内溶液温度を60〜65℃の範囲に制御しながら重合を行って得られた共重合アクリル系樹脂に、表1の比率(重量部)の架橋剤と塩酸テルビナフィンを表1の比率(重量部)で加えて攪拌し剥離シートであるポリエステルフイルムに塗布し、90℃5分間加熱し、厚さ50μmの粘着層に剥離シートが貼着されてなる粘着剤シートを得た。
この粘着剤シートの粘着層がわに支持体(厚さ30μmのウレタンフィルム)を積層したのち、架橋反応を完結させるため60℃で24時間加温し貼付製剤を得て、これを試験片とした。
この試験片を、剥離シートを除去して生理食塩水に浸漬し、35℃で24時間後の生理食塩水中の塩酸テルビナフィンを液体クロマトグラフィーで定量し、試験片中に当初含有されている塩酸テルビナフィンの量に対する、生理食塩水に放出された塩酸テルビナフィンの比率(重量%)を算出した。
Figure 2011118683
表1に示すように、架橋剤としてブロックイソシアネートを使用した参考例1〜3は、比較例1〜3に比べて塩酸テルビナフィンの生理食塩水への放出性に優れている。
その2
表2〜5に示すモノマーを表2〜5の比率(重量部)で組み合わせ、溶剤として酢酸エチルをモノマーと等量加え、重合開始剤としてアゾビスイソブチロニトリルを0.3重量部添加して釜内溶液温度を60〜65℃の範囲に制御しながら重合し得られた共重合アクリル系樹脂に表2〜5の比率(重量部)の架橋剤と塩酸テルビナフィン等を加えて攪拌し剥離シートであるポリエステルフイルムに塗布し、90℃5分間加熱し、厚さ50μmの粘着層に剥離シートが貼着されてなる粘着剤シートを得た。
この粘着剤シートの粘着層がわに支持体(厚さ30μmのウレタンフィルム)を積層したのち、架橋反応を完結させるため60℃で24時間加温し貼付製剤を得て、これを試験片とした。
この試験片につき、接着性、糊残り、溶液への放出を評価した。
接着性は20×70mmにカットした試験片のテープ小片を剥離シートを除去して指に巻きつけて貼り、24時間目に貼付状況を確認するとき、80%以上が剥がれずしっかり接着している時は○、それ以下の時は×とした。
糊残りは上記試験後、テープ小片を剥離した時、ほとんど不快感がなく、べとつきもほとんど気にならない程度に剥離できた時を○、不快感がなく、べとつきもまったく気にならない程度に剥離できた時を◎、べとつきが気になる場合は×とした。
その3
表6に示すポリマーを表6の比率(重量部)で組み合わせ、表6の比率(重量部)の架橋剤とラノコナゾール等を加えて攪拌し剥離シートであるポリエステルフイルムに塗布し、厚さ50μmの粘着層に剥離シートが貼着されてなる粘着剤シートを得た。
この粘着剤シートの粘着層がわに支持体(厚さ30μmのウレタンフィルム)を積層したのち、架橋反応を完結させるため60℃で24時間加温し貼付製剤を得て、これを試験片とした。
この試験片につき、接着性、ヒト接着性、糊残り、溶液への放出を評価した。
ヒト接着性は、20mm幅、長さ10cmの短冊を剥離シートを除去して皮膚に貼り付け、180°ピールで、300mm/minの速度で剥離するときの剥離強度で評価した。剥離強度0.5N未満を×、0.5〜0.8Nを○、0.8Nを超えた値のときを◎とした。ただし、3N以上の値のときは剥離強度が好ましい範囲を超えて高いので×とした。剥離強度が3N以上では皮膚角質が層間剥離して、皮膚表層の損傷が激しいものとなる。
表2〜5における薬剤の放出性は水・メタノール(1:1)の溶液に対して剥離シートを除去して試験した時、24時間後に含有量の40−70%の範囲の放出性の場合△とし、70%以上の放出がある場合を○とした。なお、比較例6、7はアミン基を含む粘着剤の架橋に於いて、混合段階でゲル化が生じ、製造できなかった
表6における薬剤の放出性は30重量%メタノール水溶液に対して剥離シートを除去して試験した時、6時間後に含有量の50%以上の放出性の場合を○とし、70%以上の放出がある場合を◎とした。
アルコキシアルキルアクリレート、酢酸ビニル、メトキシエチレングリコールアクリレート、テトラヒドロフルフリルアクリレート、ベンジルアクリレート、フェノキシエチルアクリレートなどの重合に関しては表1におけるような方法にて重合を行った。ただし、2エチルヘキシルアクリレート、ヒドロキシエチルアクリルアミド、ジメチルアミノプロピルアクリルアミド。ジメチルアミノエチルアクリレートなどを含む系の重合は溶剤に酢酸エチルのみではモノマーが溶解せず、白濁した場合、アルコールまたはメチルエチルケトン等極性の高い溶媒を酢酸エチルに対して5−10%添加して行った。また、モノマーを酢酸エチルに溶解した際、透明な液になった場合でも、ヒドロキシエチルアクリルアミドなど極性の高いモノマーが多い場合は重合中に沈殿を生じる場合があるので、そのような場合も極性の高い溶媒を添加する必要がある。
重合物に添加剤、薬剤、架橋剤を添加して、よく混合後、厚さが50μになるよう塗布して、乾燥した。ブロック化イソシアネートの場合は解裂温度で5分乾燥後、さらに熟成を行った。
Figure 2011118683
Figure 2011118683
Figure 2011118683
Figure 2011118683
Figure 2011118683
比較例5は架橋点になるモノマーが少なく凝集力が上がらない。特に、液状の添加剤を多量に加えている場合は糊残りが多く起こり実用上使用不可であった。比較例6、7は混合している間にゲル化が起こり粘着皮膜化ができなかった。
実施例で示すなかで、吸収助剤として乳酸を添加したものは放出性に優れていた。乳酸添加量は組成物全体に対して0.1から10%、好ましくは0.5から6%を添加すると放出性の良い製剤が得られる。
本発明は医用貼付剤に広く適用できる。

Claims (9)

  1. 分子中に2級または3級アミン構造を有する薬剤と、
    薬剤用液状助剤と、
    (メタ)アクリル酸エステルのモノマーを単量体主成分とし、イソシアネート基を有する架橋剤と反応して架橋を形成し得る官能基を有する共重合アクリル系樹脂が、ブロック化された前記イソシアネート基を有する架橋剤により架橋されてなる樹脂組成物と
    を含んでなる医用貼付剤。
  2. 前記共重合アクリル系樹脂が、分子中に3級アミン構造を有するモノマーを単量体成分として含む請求項1に記載の医用貼付剤。
  3. 前記薬剤が塩酸テルビナフィン、塩酸アモロルフィン、塩酸ブテナフィン、ラノコナゾール、リバスティグミン、ドネペジルから選択される請求項1に記載の医用貼付剤。
  4. 前記共重合アクリル系樹脂が、脂肪族アルコール(C4−10)のアクリル酸エステルと、ジメチルアミノアルキル(メタ)アクリレート又はジメチルアミノアルキル(メタ)アクリルアミドを単量体成分として含む請求項1から3のいずれかに記載の医用貼付剤。
  5. 前記共重合アクリル系樹脂が、脂肪族アルコール(C4−10)のアクリル酸エステルを40〜80重量部、ジメチルアミノアルキル(メタ)アクリレート又はジメチルアミノアルキル(メタ)アクリルアミドを1〜20重量部、ヒドロキシアルキルアクリレート又はヒドロキシアルキルアクリルアミドを0.5〜20重量部、を共重合してなる
    請求項4に記載の医用貼付剤。
  6. 前記共重合アクリル系樹脂が、さらに、メトキシアルキルアクリレート又はエトキシアルキルアクリレートを単量体成分として10〜40重量部含む請求項5に記載の医用貼付剤。
  7. 前記共重合アクリル系樹脂が、3級アミノ基を持たずかつカルボン酸基を持たない2種以上のアクリルモノマーからなり、OH基を有する共重合体Aと、分子量3000〜10万の、3級アミノ基を有するモノマーと1種以上の(メタ)アクリル酸エステルとの共重合体Bからなる請求項1から3のいずれかに記載の医用貼付剤。
  8. 請求項1から3のいずれかに記載の医用貼付剤からなる粘着層と、該粘着層を支持する支持体を含んでなる貼付製剤。
  9. (メタ)アクリル酸エステルのモノマーを単量体主成分とし、イソシアネート基を有する架橋剤と反応して架橋を形成し得る官能基を有する共重合アクリル系樹脂と、分子中に2級または3級アミン構造を有する薬剤と、薬剤用液状助剤と、ブロック剤でブロック化された前記イソシアネート基を有する架橋剤を含む混合液を剥離シートに塗布して塗布膜を得る工程、
    前記剥離シートに塗布された前記塗布膜を前記ブロック剤が脱離する温度で加熱する工程、
    加熱された前記塗布膜を支持体に積層する工程
    を含んでなる貼付製剤の製造方法。
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