機器が利用されていないときに当該機器への電力供給を遮断できれば、機器の待機電力を削減することが可能となる。そこで、機器の過去の利用履歴に基づいて、当該機器の利用が開始される可能性が高い時間区間を予測区間として予測し、その予測区間にのみ機器へ電力供給を行うことが考えられる。
しかし、電力供給が遮断されている期間にユーザが機器を利用しようとすれば、ユーザは電力供給の遮断を解除するなどの操作が必要となるので、ユーザ負荷が増加する。したがって、ユーザ負荷の増加を抑制するために、予測区間の予測精度を上げることが好ましい。そこで、予測精度を向上させるために予測区間が長くなるように予測した場合、ユーザ負荷は減少するが、より多くの時間に機器へ電力供給を行うことになり、節電効果も減少する。つまり、ユーザ負荷を減少させることと、節電効果を増加させることとは、トレードオフの関係にある。
なお、予測精度とは、予測区間内に機器の利用が開始される確度を示す。例えば、予測区間以外の期間に機器の利用が開始される確率が高いほど予測精度は低くなる。
ところで、ユーザの価値観は様々であり、負荷がかからない方がよいと考えるユーザがいれば、少しでも節電できるほうがよいと考えるユーザもいる。そこで、実施の形態1では、予測区間の予測に用いるパラメータである変数値を変化させて予測区間を予測することにより得られる複数の予測結果に対する、ユーザ負荷と節電効果との関係をユーザに表示するための方法について具体的な例を交えながら説明する。
上述したように、過去の利用履歴を用いた予測手法に基づいて機器への電力供給を制御した場合、節電効果とユーザ負荷との間にはトレードオフの関係がある。この一例を、図1を用いて具体的に説明する。
図1は、ユーザ負荷と節電効果との関係を説明するための図である。図1には、過去3日間における電化機器の利用履歴を用いて、当日の予測区間を予測する例を示す。
この予測手法では、過去に機器が利用された時間区間を結合した時間区間を予測区間として予測する。ここで、この予測手法において過去に機器が利用された時間区間を結合する際には、隣接する時間区間が変数値△t以内であれば結合する。つまり、この予測手法を用いて予測区間を予測する場合、変数値△tの大きさによって予測される予測区間の長さが異なる。
例えば、変数値△tを大きく設定した場合、第1予測結果に示すように、予測区間は長くなるため、予測精度は高くなる。すなわち、ユーザが手動で電力供給の遮断を解除する確率が小さくなるため、ユーザ負荷は減る可能性が大きくなる。しかし、長い時間に渡り機器へ電力供給が行われるため、節電効果は小さくなる。
一方、変数値△tを小さく設定した場合、第2予測結果に示すように、予測区間は短くなるため、予測精度は低くなる。しかし、機器へ電力供給が行われる時間が短くなるため節電効果は大きくなる。
具体的には、図1に示すような実利用結果があった場合、第1予測結果では、2つの利用開始時刻は、共に予測区間の中に含まれている。したがって、ユーザが手動で電力供給の遮断を解除する必要が無いので、ユーザ負荷は小さい。しかし、第2予測結果では、2回目の利用開始時刻が予測区間の中に含まれていない。したがって、ユーザは1度手動で電力供給の遮断を解除しなくてはならないので、ユーザ負荷は大きい。
一方、図1から明らかなように、第1予測結果に基づいて機器へ電力を供給するよりも、第2予測結果に基づいて機器へ電力を供給する方が、節電効果は大きい。
このように、ユーザ負荷と節電効果とはトレードオフの関係が成り立つため、変数値△tをどのような値に設定するかが問題となる。
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら説明する。
(実施の形態1)
本実施の形態では、機器が予め定められた周期で利用される特性を利用した予測手法である第1予測手法について説明する。
図2Aは、本発明の実施の形態1に係る電源制御システム100の概略図を示す図である。また、図2Bは、本発明の実施の形態1に係る消費電力計測装置1001の設置例を示す図である。
電源制御システム100は、デジタルテレビあるいは洗濯機などの1つ以上の機器1006と、消費電力計測装置1001と、電源制御装置101とを含む。
機器1006は、電力を消費する電化機器である。具体的には、機器1006は、例えば、家庭内に設置される家電製品である。
消費電力計測装置1001は、機器1006ごとに、所定の時間間隔(例えば10秒など)で当該機器1006の消費電力を計測する。また、消費電力計測装置1001は、図2Bに示すように、電源と機器1006との間に電気的に接続され、機器1006への電力供給を制御する。
電源制御装置101は、電力を消費する機器へ電力を供給する時間区間を決定するための電力情報を表示部1007に表示する。
具体的には、電源制御装置101は、消費電力計測装置1001により計測された機器1006の消費電力の時系列データを消費電力データとして収集する。つまり、電源制御装置101は、各機器1006の消費電力の履歴データを消費電力データとして収集する。
また、電源制御装置101は、収集した消費電力データに基づいて、機器1006の利用が開始される可能性が高いと予測される予測区間を、複数の変数値に対して予測する。さらに、電源制御装置101は、各変数値に対する予測結果を、ユーザ負荷と節電効果との関係に基づいて表示部1007に表示する。そして、電源制御装置101は、表示結果に対するユーザからの入力に従って、機器への電力供給制御を行う。
以下、電源制御システム100が備える電源制御装置101及び消費電力計測装置1001の詳細について説明する。
図3は、本発明の実施の形態1に係る電源制御システムに含まれる消費電力計測装置1001及び電源制御装置101の機能的な構成を示すブロック図である。
消費電力計測装置1001は、消費電力計測部1002と、タイマー1003と、消費電力送信部1004と、電源制御実行部1005を備える。消費電力計測装置1001は、電源と機器1006との間に電気的に接続される。
電源制御実行部1005は、例えば、電源と機器1006の電源プラグとの間に設置される。そして、電源制御実行部1005は、電源制御装置101からの指示又はユーザの操作に従って、電源から機器1006への電力供給を遮断すること、及びその遮断を解除することができる。
消費電力計測部1002は、計測対象となる機器1006に接続され、機器1006によって消費される電力(以後単に「消費電力」と記述)を計測する。消費電力は、例えば機器1006にかかる電圧の値と機器1006に流れ込む電流の値との積により計算される。消費電力計測部1002は、計測された消費電力の値とタイマー1003により取得される計測時刻とを合わせて消費電力送信部1004に送る。なお、消費電力を計測する時間間隔は事前に設定されており、タイマー1003はその時間間隔の測定にも利用される。
消費電力送信部1004は、計測された機器1006の消費電力の計測値及び計測時刻を含むデータ(以後、単に「消費電力データ」と記述)を電源制御装置101に送信する。なお、データの送信方法は無線を利用した方法でもよいし、有線を利用した方法でもよい。
電源制御装置101は、消費電力受信部102と、消費電力履歴記憶部103と、利用区間特定部104と、利用区間データ記憶部105と、予測区間予測部106と、予測結果記憶部107とを備える。さらに、電源制御装置101は、ユーザ負荷予測部108と、節電効果予測部109と、電源制御部110と、表示制御部111とを備える。
消費電力受信部102は、各機器1006に取り付けられた消費電力計測装置1001から、所定の時間間隔で計測された消費電力データを受信し、消費電力履歴記憶部103に格納する。
利用区間特定部104は、消費電力履歴記憶部103に記憶されている各機器の消費電力データを用いて、各機器が利用されていた時間区間である利用区間を特定する。そして、利用区間特定部104は、特定した利用区間の履歴データと、利用区間に関連する諸情報とを含む利用区間データを利用区間データ記憶部105に格納する。
なお、機器が利用されている状態とは、所定の時間内に所定量以上の電力量が消費されている状態を示す。一方、機器が利用されていない状態とは、所定の時間内に所定量未満の電力量しか消費されていない状態を示す。
具体的には、例えば、機器が利用されている状態とは、DVDプレーヤーにおいて映像が再生されている状態などのように、機器の電源がONになっており、かつ当該機器をユーザが利用している状態を示す。その他にも、機器が利用されている状態には、DVDプレーヤーの電源がONになっているが映像は再生されていない状態のように、電源がONになっており、かつ、当該機器をユーザが利用していないが利用しようと思えばすぐに利用できる状態も含まれる。一方、機器が利用されていない状態とは、例えば、電源がOFFになっている状態、又は、電源はONであるが、所定の時間内に所定量未満の電力(いわゆる待機電力)しか消費されていない状態(例えばスタンバイ状態)を指す。
予測区間予測部106は、利用区間データ記憶部105に記憶されている各機器の利用区間と変数値とを用いて、予測区間を予測する。なお、予測区間予測部106は、利用する変数値を変化させて、各変数値に対応した予測区間を予測する。そして、予測区間予測部106は、複数の変数値に対応する複数の予測結果を予測結果記憶部107に格納する。
つまり、予測区間予測部106は、所定の予測手法に従って、複数の変数値のそれぞれに対する予測区間を機器1006ごとに予測する。
なお、所定の予測手法とは、特定された利用区間を用いて予測区間を予測するための予測手法である。また、所定の予測手法とは入力する変数値を変化させることにより予測区間の長さを変化させることができる予測手法でもある。
本実施の形態では、所定の予測手法は、自機器の利用区間の開始時刻を含む時間区間であって、変数値の大きさに応じた長さの時間区間を予測区間として予測する手法である。言い換えると、本実施の形態における予測手法は、機器が過去に利用された時刻と同じような時刻に利用されるという、周期性を利用した予測手法である。
ユーザ負荷予測部108及び節電効果予測部109は、予測結果記憶部107に記憶されている複数の変数値の各々に応じた予測結果ごとに、ユーザ負荷と節電効果とを予測し、その結果を予測結果記憶部107に格納する。
具体的には、ユーザ負荷予測部108は、予測区間に基づいて各機器へ電力が供給された場合におけるユーザ負荷の大きさを示すユーザ負荷値を、予測区間と利用区間とを用いて変数値ごとに算出する。
また、節電効果予測部109は、予測区間に基づいて各機器へ電力が供給された場合における節電効果の大きさを示す節電効果値を、予測区間と利用区間とを用いて変数値ごとに算出する。
表示制御部111は、ユーザ負荷と節電効果との予測結果をユーザに提示する方法を決定し、節電方法の設定に関する情報を表示部1007に表示する。つまり、表示制御部111は、各変数値に対応するユーザ負荷値と節電効果値との組合せを電力情報として表示部1007に表示する。
ユーザは、表示部1007に表示された内容に基づいて、複数の予測結果のいずれかを選択するための入力を入力部1008に対して行なう。例えば、ユーザは、表示結果に対して節電方法の設定を変更あるいは了承する。つまり、入力部1008は、表示部1007に表示された電力情報に従って、ユーザにより選択されたユーザ負荷値と節電効果値との組合せの入力を受け付ける。
電源制御部110は、入力部1008より受け付けられたユーザ入力に従って、予測区間予測部106による予測結果を予測結果記憶部107より取得する。そして、電源制御部110は、取得した予測結果を用いて電源制御実行部1005を制御することにより、機器1006に供給される電力の制御を行う。
つまり、電源制御部110は、予測結果が示す予測区間に各機器へ電力が供給されるように、電源制御実行部1005を制御する。言い換えると、電源制御部110は、予測結果が示す予測区間以外の時間区間であって、かつ、実際に機器が利用されている利用区間以外の時間区間に、各機器1006への電力供給が遮断されるように、電源制御実行部1005を制御する。
次に、以上のように構成された電源制御装置101における各種動作について説明する。
図4は、本発明の実施の形態1に係る電源制御装置において実行される全般的な処理の流れを示すフローチャートである。
以下、電源制御装置101の処理を、図4のフローチャートを中心に説明する。また、具体的な機器1006の例として録画機器の例を含めながら処理の説明を行う。
まず、各機器1006に取り付けられた消費電力計測装置1001は、各機器の消費電力を所定の時間間隔で計測する。そして、計測日時と消費電力とが対応付けられた消費電力データを、消費電力送信部1004を介して電源制御装置101へ送信する。つまり、消費電力受信部102は、機器1006の消費電力の経時変化を示す消費電力データを消費電力計測装置1001から受信する(S101)。
図5は、消費電力計測装置によって計測される消費電力データの一例を示す図である。具体的には、図5は、機器ID「2」の録画機器に取り付けられている消費電力計測装置1001によって10秒間隔で計測された消費電力データの一例を示す図である。
項目501は計測した消費電力データの対象機器の機器IDを示す。項目502〜504は、消費電力を計測した日と曜日と時刻とをそれぞれ示す。項目505は、項目502〜504までに示される計測日時における機器の消費電力の計測結果を示す。
消費電力受信部102は、受信した各機器1006の消費電力データを消費電力履歴記憶部103に格納する。
図6は、本発明の実施の形態1に係る消費電力履歴記憶部103に格納される消費電力データの一例を示す図である。消費電力履歴記憶部103に格納される消費電力データは、消費電力の計測時刻と機器ごとの消費電力の値とを含む。
つまり、項目601〜603は、各機器1006の消費電力を計測した日と曜日と時刻とをそれぞれ示す。項目604以降は、各機器1006の消費電力を示す。なお、機器1006は、機器IDにより特定される。
項目604及び項目605は、項目601〜603で示される計測時刻において計測された、機器ID「1」及び「2」の機器1006の消費電力をそれぞれ示す。例えば、図6には、計測時刻「19:00:10」(19時0分10秒)において、機器IDが「1」である洗濯機の消費電力は「125W」であることが示されている。また例えば、図6には、計測時刻「19:00:10」(19時0分10秒)において、機器IDが「2」である録画機器の消費電力は「0W」であることが示されている。
なお、図6では、全ての機器1006が同じ時刻で消費電力を計測しているものとして、計測時刻の項目を項目601のみとした。しかし、複数の機器1006が互いに異なる時刻において消費電力を計測している場合には、機器1006毎に、消費電力と計測時刻とを対応させた形式により消費電力データが消費電力履歴記憶部103に記憶されてもよい。
図4の説明に戻る。
次に、利用区間特定部104は、消費電力履歴記憶部103に記憶されている一定期間における機器1006の消費電力データから、機器1006が利用された区間を利用区間として特定する(S402)。
図7A〜図7Cは、消費電力データが示す消費電力の推移を表すグラフである。また、グラフ内には、機器が利用された区間(以後「利用区間」と記述)が示されている。
図7Aに示すDVDレコーダのような録画機器では、当該機器の主な機能(DVDの再生、あるいは番組の録画・視聴など)が実行されている利用区間において、消費電力の変化が少ない。このような機器においては、機器が利用されている状態は、ある時刻(計測タイミング)において、消費電力が所定の値より大きくなっているか否かにより判定できる。
一方、図7B又は図7Cに示す、食器洗い乾燥機(以後「食洗機」と記述)又は洗濯機のような機器は、ユーザの目的の機能(例えば洗濯機能など)が実行され終了されるまでの利用区間において、消費電力の変化が大きい。このような機器においては、消費電力が所定の値より大きいか否かのみで利用されている区間か否かを判定することは難しい。そこで、このような機器の消費電力データに対しても利用区間を特定するために、利用区間特定部104は、図8に示すように利用区間を特定する。
図8は、本発明の実施の形態1に係る利用区間特定処理の流れを示すフローチャートである。つまり、図8は、図4に示すステップS402の処理の詳細を示すフローチャートである。
まず、利用区間特定部104は、消費電力履歴記憶部103に記憶されている機器1006の消費電力データから、ある時刻の計測結果データを取得する(S801)。例えば、利用区間特定部104は、機器ID「2」のある時刻の計測結果データとして、「2009年9月2日19時0分30秒」に計測された消費電力「0」を、図6に示す消費電力データから取得する。ここで、利用区間特定部104は、どのデータまで取得して利用区間判定を行ったかを記憶しており、計測結果データの取得の際には時系列的に取得済みのデータ以降のデータを取得する。つまり、利用区間特定部104は、機器1006ごとに時系列順に計測結果データを取得する。
ここで、計測結果データを取得できなかった場合(S802のNO)、利用区間特定部104は、利用区間の特定処理を終了する。つまり、予め定められた時間区間に含まれる計測結果データのすべてをすでに取得した場合、利用区間特定部104は、利用区間の特定処理を終了する。
一方、計測結果データを取得できた場合(S802のYES)、利用区間特定部104は、計測結果データを取得した時点で保持されている保持情報に基づいて、機器1006の状態が利用状態であるか否かの判定を行う(S803)。ここで保持情報とは、利用区間の特定処理を行っている機器1006の状態が利用状態であるか否かを示す情報である。つまり、利用区間特定部104は、処理対象の計測結果データよりも1つ前に処理された計測結果データに対応する時刻において、処理対象機器が利用されていたか否かを判定する。
ここで、機器の状態が利用状態でないと判定された場合(S803のNO)、利用区間特定部104は、取得した計測結果データにより示される消費電力値が閾値より大きいか否かの判定を行う(S804)。消費電力値が閾値より大きい場合は(S804のYES)、利用区間特定部104は、処理対象の計測結果データを利用開始データとして利用区間データ記憶部105に格納する(S805)。つまり、利用区間特定部104は、処理対象の計測結果データが計測された時刻を利用区間の開始時刻として決定する。一方、計測結果データにより示される消費電力が閾値以下である場合は(S804のNO)、ステップS801へ戻り、利用区間特定部104は、次の計測結果データを取得する。例えば、利用区間特定部104は、前述の機器ID「2」の録画機器の次の計測結果データとして、「2009年9月2日19時0分40秒」に計測された消費電力「52」を図6に示す消費電力データから取得する。
一方、機器の状態が利用状態であると判定された場合、利用区間特定部104は、処理対象の計測結果データにより示される消費電力が閾値より小さいか否かの判定を行う(S806)。
ここで、消費電力が閾値以上であると判定された場合は(S806のNO)、利用区間特定部104は、利用状態が継続されているという情報を保持し、ステップS801へ戻る。つまり、利用区間特定部104は、処理対象の計測結果データが計測された時刻を利用区間の終了時刻として決定しない。
一方、消費電力が閾値より小さいと判定された場合は(S806のYES)、利用区間特定部104は、消費電力が閾値より小さい状態が所定回数以上(例えば10回以上)連続したか否かの判定を行う(S807)。
ここで、消費電力が閾値より小さい状態が所定回数以上連続していない場合(S807のNO)、ステップS801へ戻り、利用区間特定部104は、次の計測結果データを取得する。
一方、消費電力が閾値より小さい状態が所定回数以上連続している場合(S807のYES)、閾値より小さな値が連続し始めたときの計測結果データを利用終了データとして利用区間データ記憶部105に格納する(S808)。さらに、利用区間特定部104は、機器が利用状態でないことを示すように保持情報を更新する。またさらに、利用区間特定部104は、利用開始データから利用終了データまでの計測結果データに関する諸情報を利用区間データとして利用区間データ記憶部105に格納し、ステップS801へ戻る。
このように、利用区間特定部104は、利用開始データが計測された時刻から利用終了データが計測された時刻までの時間区間を利用区間として特定する。
図9は、本発明の実施の形態1に係る利用区間データ記憶部に格納される利用区間データの一例を示す図である。図9に示すように、利用区間特定部104によって利用区間データ記憶部105に利用区間データが格納される。
項目901は、項目902〜910によって示される利用区間データがどの機器IDに関する利用区間データであるかを示す。例えば、図9には、機器ID「1」の機器1006の利用区間データであることが示される。
項目902は、利用区間を識別するための区間番号であり、以下の項目はこの区間番号に対する利用区間に関する値である。項目903と項目904とは、それぞれ利用日と利用曜日とを示す。項目905と項目906とは、それぞれ利用開始時刻と利用終了時刻とを示す。項目907は、利用区間の長さ(利用期間)を示す。項目908は利用区間に消費された電力量(消費電力量)を示す。
項目909は、利用区間内に低電力になった回数(低電力回数)を示す。この低電力回数は、利用区間内で消費電力量が所定の閾値を何回下回ったかを示す数である。例えば図7Aに示されるDVDレコーダの利用区間においては、低電力回数は「0」である。一方、図7Bの食洗機あるいは図7Cの洗濯機では、低電力回数は多くなる。
項目910は、利用区間の開始と終了とが手動であったのか、自動であったのかについての情報である開始/終了種類を示す。項目910に格納される利用区間の開始/終了種類が示す自動か否かの判定方法としては、例えば、過去に同一時刻での開始/終了があれば、自動であると判定されてもよい。また、利用区間の大きさの変動が所定値以内であれば、自動終了であると判定されてもよい。
図4の説明に戻る。
予測区間予測部106は、利用区間データ記憶部105に記憶されている1日又は複数日にわたる利用区間データを用いて、複数の変数値のそれぞれに対する、各機器1006の予測区間を予測する(S403)。そして、予測区間予測部106は、その予測結果を予測結果記憶部107に格納する。
以下に、予測区間予測部106における予測処理を図10と図11とを用いて説明する。なお、図10及び図11では、1つの機器1006に対する予測処理について説明するが、予測処理は予測対象機器の全てに対して行われる。
図10は、本発明の実施の形態1に係る予測区間予測処理の流れを示すフローチャートである。つまり、図10は、図4に示すステップS403の処理の詳細を示すフローチャートである。また、図11は、本発明の実施の形態1に係る予測区間予測処理を説明するための図である。なお、図10および図11では、予め定められた周期が1日である場合について説明する。
まず、予測区間予測部106は、予測計算に用いるための入力データとして、利用区間データ記憶部105に記憶されている利用区間データを取得する(S1001)。例えば、予測区間予測部106は、利用区間データ記憶部105に記憶されている3日間の利用区間データを日別に取得する。
続いて、予測区間予測部106は、取得した利用区間データから日別の予測区間(以後単に「日別予測区間」と記述)を予測する(S1002)。具体的には、予測区間予測部106は、例えば、図11に示すように、取得した利用区間データに含まれる利用開始時刻と時間幅△T1とを用いて、日別予測区間を計算する。この時間幅△T1が第1時間幅に相当する。
なお、図11では、予測区間予測部106は、日別予測区間として、利用区間データの利用開始時刻が中心となる時間幅△T1の時間区間を計算したが、必ずしもこのように日別予測区間を計算する必要はない。例えば、予測区間予測部106は、利用開始時刻が終了時刻となる時間幅△T1の時間区間を日別予測区間として計算してもよい。また例えば、予測区間予測部106は、利用開始時刻が開始時刻となる時間幅△T1の時間区間を日別予測区間として計算してもよい。
次に、予測区間予測部106は、時間的に対応する日別予測区間を合成(和集合を計算)し、予測区間を作成する(S1003)。例えば、予測区間予測部106は、図11のように日別予測区間を重複させ、重複区間を、3日間の利用区間データを利用した予測区間として算出する。つまり、予測区間予測部106は、周期ごとの予測データに対して予測された周期単位の予測区間のうち時間的に対応する予測区間を合成することにより予測区間を予測する。
予測区間予測部106は、このように計算した予測区間を予測結果記憶部107に格納する。
なお、予測区間予測部106は、必ずしも、周期単位の予測区間を合成することにより、予測区間を予測する必要はない。例えば、予測区間予測部106は、1日の消費電力データを利用して予測区間を予測する場合などには、日別予測区間をそのまま予測区間として予測すればよい。つまり、予測区間予測部106は、自機器の利用区間の開始時刻を含む時間区間を予測区間として予測すればよい。
図12は、本発明の実施の形態1に係る予測結果記憶部107に格納される予測区間情報の一例を示す図である。項目1201は、機器IDを示す。項目1202は、予測区間を識別するための番号を示す。項目1203〜1206は、項目1201で識別される予測区間に対応する情報である。具体的には、項目1203は日付を示し、項目1204は曜日を示し、項目1205は開始時刻を示し、項目1206は終了時刻を示す。
ここで、図11から分かるように、時間幅△T1を長くすると、日別予測区間及び日別予測区間を合成して計算される予測区間の長さは長くなる。予測区間が長くなるということは、機器1006へ電力を供給する時間が長くなる。したがって、機器1006へ電力が供給されている間に機器1006の利用が開始される確率は高くなる。すなわち、時間幅△T1を長くすれば、ユーザ負荷は小さくなるが、節電効果も小さくなってしまう。
ここで、ユーザ負荷とは、予測結果が不正解であるときに、ユーザが機器を利用するために費やす負荷である。例えば、ユーザが機器を利用したいときに電力供給が遮断されている(予測結果が不正解である)場合、ユーザは、消費電力計測装置1001に設けられたスイッチ等を操作することにより、手動で機器への電力供給の遮断を解除しなくてならない。このような手動で機器への電力供給の遮断を解除するという行為は、ユーザ負荷を増加させる。
予測区間予測部106は、周期単位で予測区間を予測する際に、変数である時間幅△T1の値を変化させて複数の予測結果を計算し、予測結果記憶部107に格納する。
図13は、時間幅△T1の値を変化させて計算した複数の予測結果の一例を示す図である。図13では、図12に加えて入力される時間幅△T1の値を表す項目1206が加わり、時間幅△T1の値に対応した予測区間に関する情報(以後単に「予測区間データ」と記述)がそれぞれ記憶される。
図4の説明に戻る。
ユーザ負荷予測部108は、予測結果記憶部107に記憶されている複数の予測区間データを用いて、時間幅△T1の値に対応したユーザ負荷値を計算し、予測結果記憶部107に格納する(S404)。
いま、時間幅△T1の値として、10分から100分まで、10分ごとに変化させた場合に得られる複数の予測区間データが予測結果記憶部107に記憶されているという想定で以下にユーザ負荷予測処理の詳細を説明する。
図14は、本発明の実施の形態1に係るユーザ負荷予測処理の流れを示すフローチャートである。つまり、図14は、図4に示すステップS404の処理の詳細な流れを示すフローチャートである。
ユーザ負荷予測部108は、時間幅△T1の値ごと、かつ機器ごとに、予測区間データに対して図14のフローチャートに示す処理を行う。
ユーザ負荷予測部108は、予測結果記憶部107から例えば時間幅△T1が10分の予測区間データを取得する(S1401)。
続いて、ユーザ負荷予測部108は、利用区間データ記憶部105から、予測区間を予測する際に利用されていない日の利用区間データを予測対象データとして、1日又は複数日分取得する。さらに、ユーザ負荷予測部108は、取得した予測対象データに含まれる利用区間の開始時刻を取得する(S1402)。
ユーザ負荷予測部108は、取得した予測対象データの開始時刻が、取得した予測区間データの予測区間に入っているか否かの判定を行う(S1403)。
ユーザ負荷予測部108は、判定結果を用いて、ユーザ負荷値を算出する。そして、ユーザ負荷予測部108は、算出したユーザ負荷値を含むユーザ負荷情報を予測結果記憶部107に格納する(S1404)。
図15は、本発明の実施の形態1に係る予測結果記憶部107に格納されるユーザ負荷情報の一例を示す図である。
項目1501は、ユーザ負荷が予測された機器のIDを示す。項目1502は、変数である時間幅△T1の値を示す。
項目1503及び項目1504は、項目1502の時間幅△T1の値における判定結果である正解回数及び失敗回数を示す。つまり、項目1503には、ステップS1403において予測対象データに含まれる開始時刻が予測区間に含まれると判定された回数を示す。また、項目1504には、ステップS1403において予測対象データに含まれる開始時刻が予測区間に含まれないと判定された回数を示す。
項目1505は、ユーザ負荷値を示す。なお、図15では、ユーザ負荷値は、失敗回数と同じ値である。つまり、ユーザ負荷予測部108は、開始時刻が予測区間に含まれないと判定された回数をユーザ負荷値として算出する。
なお、ユーザ負荷値は、必ずしも、失敗回数と同じ値である必要はない。例えば、ユーザ負荷値は、予測回数(正解回数と失敗回数との和)に対する失敗回数の割合であってもよい。また、図15において、項目1503〜1505は、予測対象データに含まれるすべての利用区間に対する値を示すが、例えば、1日あたりの平均値を示してもよい。
このように、ユーザ負荷予測部108は、予測対象データに含まれる利用区間の開始時刻が予測区間に含まれていないほど大きい負荷を示すように、ユーザ負荷値を算出する。
なお、このように算出されるユーザ負荷値に、さらに各機器による負荷の違いを反映させてもよい。例えば、ユーザ負荷予測部108は、予測結果記憶部107に記憶されている機器に関する情報(以後「機器情報」と記述)を利用してユーザ負荷を計算してもよい。
図16は、予測結果記憶部107に記憶されている機器情報の一例を示す図である。
項目1601は機器名を示し、項目1602は機器IDを示す。
項目1603は機器の起動時間を示す。機器の起動時間とは、機器の電力供給の開始から機器の機能が利用できるようになるまでの時間である。つまり、機器の起動時間とは、機器へ電力の供給が開始されてから、機器の利用を開始することができるまでの時間である。洗濯機や食洗機などの機器において、起動時間は一般的に短い。一方、ハードディスク搭載のDVDレコーダあるいはプリンタなどの機器において、起動時間は一般的に長い。例えば、電力の供給を開始してから機能が利用できるようになるまで数十秒程度時間を要する機器もある。このような起動時間が長い機器をユーザが利用しようとしたときに電力が供給されていなければ、ユーザは、すぐにその機器を利用できないため、大きな負荷が発生する。
そこで、ユーザ負荷予測部108は、起動時間が長いほど、ユーザ負荷が大きくなるようにユーザ負荷値を算出することが好ましい。具体的には、ユーザ負荷予測部108は、例えば、起動時間の長さに応じてユーザ負荷値が大きくなるような係数を、図15に示すユーザ負荷値に乗算することが好ましい。これにより、ユーザ負荷予測部108は、ユーザが利用を開始する機器への電力供給が遮断されていた場合に、その機器を利用するユーザの負荷に応じたユーザ負荷値を適切に算出することができる。
項目1604は、機器の利用開始時にリモコンが利用されるか否かを示す。機器の利用を開始するためにリモコンが利用される場合、通常ユーザは機器から離れて機器を操作する。しかし、消費電力計測装置1001が機器の近くに設置されていた場合、予測が失敗するとユーザは手動で電力供給の遮断を解除するために、機器の近くまで行かなくてはならない。例えば、テレビに消費電力計測装置1001が設置されている場合は、予測に失敗するとユーザはテレビの近くまで行かなければならない。そして、ユーザは、手動で電力供給の遮断を解除した後、リモコンを用いてテレビの電源をONしなければならない。つまり、リモコンなどを用いて遠隔操作により利用が開始される機器において、ユーザが手動で電力供給の遮断を解除しなければならない場合、ユーザの負荷は大きい。
一方、洗濯機の利用を開始する際は、ユーザは、通常、洗濯機の本体に設置されているユーザインタフェースを利用して操作する。したがって、予測に失敗してユーザが手動で電力供給の遮断を解除しなければならない場合であっても、ユーザの負荷は比較的小さい。
そこで、ユーザ負荷予測部108は、遠隔操作によって利用を開始することができない機器よりも遠隔操作によって利用を開始することができる機器の方が大きい負荷を示すように、ユーザ負荷値を算出することが好ましい。これにより、ユーザ負荷予測部108は、ユーザが利用を開始する機器への電力供給が遮断されていた場合に、その機器を利用するユーザの負荷に応じたユーザ負荷値を適切に算出することができる。
項目1605は機器の待機電力を示す。機器の待機電力は、後述する節電効果予測処理において利用される。
なお、項目1603の起動時間及び項目1605の待機電力は、予め値が入力されておればよい。あるいは、項目1603の起動時間及び項目1605の待機電力は、利用区間特定部104によって消費電力データから計算されてもよい。
また、ステップS1404において、ユーザ負荷予測部108は、ユーザ負荷情報の計算に利用した予測対象データに関する情報として、図15の項目1506〜1508のような情報を予測結果記憶部107に格納してもよい。ここで、項目1506は予測対象データとして利用した機器のIDを示し、項目1507は予測対象データの履歴の日数を示し、項目1508は予測対象データ内の利用区間数を示す。
ステップS403で行われる予測手法では、時間幅△T1の値を大きくするほど予測区間が長くなるため、正解回数は多くなり、失敗回数は少なくなる。したがって、項目1505に示されるユーザ負荷値も、時間幅△T1が大きくなるほど小さくなる。
図4の説明に戻る。
節電効果予測部109は、予測結果記憶部107に記憶されている複数の予測区間データを用いて、時間幅△T1の値に対応した節電効果値を計算し、予測結果記憶部107に格納する(S405)。
節電効果値とは、予測区間を用いた電力供給制御により、削減できる機器1006の消費電力量に相関がある値である。節電効果予測部109は、変数である時間幅△T1の値ごと、かつ機器ごとに、図17のフローチャートに示す処理を行う。
図17は、本発明の実施の形態1に係る節電効果予測処理の流れを示すフローチャートである。つまり、図17は、図4に示すステップS405の処理の詳細な流れを示すフローチャートである。
まず、節電効果予測部109は、予測結果記憶部107から例えば時間幅△T1が10分の予測区間データを取得する(S1701)。
続いて、節電効果予測部109は、利用区間データ記憶部105から、予測区間を予測する際に利用されていない日の利用区間データを予測対象データとして、1日又は複数日分取得する(S1702)。ここで、ステップS1701とステップS1702とにおいて、節電効果予測部109は、ユーザ負荷予測部108の処理(S1401、S1402)において取得された予測区間データと予測対象データと同じデータを取得する。
また、節電効果予測部109は、取得した予測対象データに含まれる利用区間の開始時刻を取得する。
節電効果予測部109は、予測区間に基づいて機器へ電力供給が行われた場合に、利用区間以外に電力が供給される時間区間(以後「無駄な電力供給区間」と記述)を判定する(S1703)。具体的には、節電効果予測部109は、1日又は複数日の予測対象データに対して、無駄な電力供給区間を判定する。図18Aを用いて、より具体的にステップS1703の処理を説明する。
図18Aは、節電効果を説明するための図である。節電効果予測部109は、予測区間データに含まれる各予測区間とステップS1702で取得した利用開始時刻との比較を行う。
そして、節電効果予測部109は、予測区間の中に利用開始時刻が含まれる場合、図18Aの時間区間1811〜1813に示すように、予測区間の開始時刻と使用開始時刻との間の時間区間を、無駄な電力供給区間として判定する。
また、節電効果予測部109は、予測区間の中に利用開始時刻が含まれない場合、図18Aの時間区間1814、1815に示すように、予測区間全体を無駄な電力供給区間と判定する。
節電効果予測部109は、このような判定結果を用いて節電効果値を算出する。そして、節電効果予測部109は、算出した節電効果値を含む節電効果情報を予測結果記憶部107に格納する(S1704)。
図18Bは、本発明の実施の形態1に係る予測結果記憶部107に格納される節電効果情報の一例を示す図である。なお、図18Bにおいて、節電効果値は1日あたりの平均値を示す。
項目1801は、節電効果が予測された機器のIDを示す。項目1802は、変数である時間幅△T1の値を示す。項目1803は、予測区間の中に利用開始時刻が含まれている場合における無駄な電力供給区間の総和の1日平均を示す。項目1804は、予測区間の中に利用開始時刻が含まれていない場合における無駄な電力供給区間の総和の1日平均を示す。
項目1805は、予測対象データに含まれる利用区間に利用された機器に対して、予測区間データを用いて電力供給制御を行った場合における節電効果値である。図18Bでは、節電効果値として、節電できた時間長を記憶した一例を示す。節電できた時間長とは、予測対象データにおける利用区間以外の時間長から、無駄な電力供給区間の総和(項目1803+項目1804)を減算した時間長である。つまり、節電できた時間長とは、予測区間と利用区間とのいずれにも含まれない時間の長さである。より具体的には、例えば時間幅△T1「10」における1日あたりの節電効果値「15.5」は、1日の時間「24」−利用区間「4.5」(項目1807)−無駄な電力供給区間の総和「4(=1.5+2.5)」(項目1803+項目1804)により算出される。このように算出される節電効果値は、予測区間に基づいて機器への電力供給制御を行った場合に、待機電力を削減できる時間長に相当する。
つまり、節電効果予測部109は、予測区間に基づいて各機器へ電力が供給された場合における節電効果値を、予測区間データと予測対象データとを用いて、変数値ごとに算出する。具体的には、節電効果予測部109、例えば、予測区間と利用区間とのいずれにも含まれない時間の長さを、節電効果値として算出する。
なお、節電効果値は、必ずしも、上記のように待機電力を削減できる時間長である必要はない。例えば、節電効果値は、待機電力を削減できる時間長と、図16の項目1605に示される各機器に対応した待機電力との積算することにより得られる待機電力量であってもよい。さらに、節電効果値は、例えば、このような待機電力量に対応する電気代であってもよい。この場合、例えば、節電効果予測部109は、保持された電力量と電気代との関係を利用して、待機電力量から電気代を算出すればよい。
また、節電効果予測部109は、節電効果値の計算に利用した予測対象データに関する情報として、項目1506〜1508、項目1806、及び項目1807のような情報を予測結果記憶部107に格納してもよい。ここで、項目1806は、予測対象データにおける利用区間の総和時間を示す。また、項目1807は、利用区間の総和時間を項目1507の予測日数で割った1日あたりの平均利用区間総和時間を示す。
ステップS403で行われる予測手法では、時間幅△Tの値を大きくするほど予測区間が長くなるため、無駄な電力供給時間帯が長くなる。したがって、項目1805に示される節電効果値も、時間幅△T1が大きくなるほど小さくなる。
図18Cは、時間幅△T1の値を変化させたときのユーザ負荷と節電効果との関係を示す模式図である。図18Cに示すように、時間幅△T1の値を大きくすれば、ユーザ負荷値は小さくなるが、節電効果値も小さくなってしまう。逆に、時間幅△T1の値を小さくすれば、節電効果値は大きくなるが、ユーザ負荷値も大きくなってしまう。このように、ユーザ負荷値と節電効果値とは正の相関を有する。
なお、上記において、ユーザ負荷予測部108と節電効果予測部109とは、変数である時間幅△T1の値別、かつ機器別に、ユーザ負荷値と節電効果値とを算出していたが、さらに、時間帯別にユーザ負荷値と節電効果値とを算出してもよい。この場合、図19A及び図19Bに示すように、変数である時間幅△T1の値別、機器別、及び時間帯別に、ユーザ負荷値が含まれるユーザ負荷情報、又は節電効果値が含まれる節電効果情報が、予測結果記憶部107に格納される。
図19Aは、本発明の実施の形態1に係る予測結果記憶部107に格納されるユーザ負荷情報の他の一例を示す図である。また、図19Bは、本発明の実施の形態1に係る予測結果記憶部107に格納される節電効果情報の他の一例を示す図である。図19A及び図19Bにおいて、項目1901は、予測対象データとした機器のIDを示す。項目1902は、変数である時間幅△T1の値を示す。項目1903は、1日平均のユーザ負荷値を示す。項目1904は、時間帯別の1日平均のユーザ負荷値を示す。項目1905は、1日平均の節電効果値を示す。項目1906は、時間帯別の1日平均の節電効果値を示す。
図4の説明に戻る。
表示制御部111は、電力供給制御の設定条件に関する電力情報(以後単に「設定情報」と記述)を表示部1007に表示する(S406)。本実施の形態では、表示制御部111がユーザ負荷値と節電効果値との組合せを電力情報として表示部1007に表示することを特徴とする。これは、ユーザによって、ユーザ負荷が小さいことを重視するか、又は節電効果が大きいことを重視するかが、異なるからである。つまり、表示制御部111は、ユーザにより希望のユーザ負荷と節電効果とが異なることに対応するために、電力情報を表示部1007に表示する。
図20は、本発明の実施の形態1に係る表示制御部111によって表示部1007に表示される設定情報の一例を示す図である。図20に示すように、ある時間幅△T1の値に対する、ユーザ負荷値と節電効果値との組合せが表示部1007に表示される。図20においては、ユーザ負荷値は、自分で電源をONする回数(ユーザが機器への電力供給の遮断を解除しなければならない回数)を示す。また、節電効果値は、予測区間に基づいて電力供給を制御することにより削減することができる電気代を示す。なお、表示制御部111は、ユーザ負荷値及び節電効果値として、1日に対する値を表示しているが、1週間あるいは1ヶ月に対する値を表示してもよい。
図20において、ユーザが入力部1008を介してボタン2001を押した場合、表示エリア2002に表示されるユーザ負荷値が小さくなる。また、ユーザが入力部1008を介してボタン2003を押した場合、表示エリア2002に表示されるユーザ負荷値が大きくなる。
同様に、ユーザが入力部1008を介してボタン2004を押した場合、表示エリア2005に表示される節電効果値が小さくなる。また、ユーザが入力部1008を介してボタン2006を押した場合、表示エリア2002に表示される節電効果値が大きくなる。
ユーザ負荷値及び節電効果値の変更は、内部的には時間幅△T1の値の変更に相当する。また、表示エリア2002に表示されるユーザ負荷値と表示エリア2005に表示される節電効果値は、同一の時間幅△T1の値に対応している。つまり、表示エリア2002、2005には、時間幅△T1の値に対応する、ユーザ負荷値と節電効果値との組合せが表示される。
そのため、表示エリア2002と表示エリア2005とのうち、片方に表示される数値が変化すれば、それに応じて他方に表示される数値も変化する。図18Cに示したように、ユーザ負荷値と節電効果値とは正の相関があるため、例えば、表示エリア2002に表示されるユーザ負荷値を大きくすれば、表示エリア2005に表示される節電効果値も大きくなる。すなわち、1日に自分で電力供給遮断の解除を行う回数を増やせば、削減できる電気代も大きくなる。
なお、図20において、時間幅△T1の値を変化させた場合に、節電効果値は変化するが、ユーザ負荷値は変化しない場合がある。例えば、ユーザが、時間幅△T1の値を変化させるために、表示エリア2005に表示される値を、「¥50」から「¥100」に変更しても、表示エリア2002に表示される値は「5」から変化しない場合がある。なお、ユーザにとって、ユーザ負荷値は小さいほど好ましく、節電効果値は大きいほど好ましい。
そこで、表示制御部111は、同一のユーザ負荷値を有する、ユーザ負荷値と節電効果値との組合せのうち、最も大きい節電効果値を有する組合せを表示部1007に表示することが好ましい。これにより、表示制御部111は、ユーザによって選択される可能性が低いユーザ負荷値と節電効果値との組合せを表示しないようにできる。その結果、ユーザは、所望のユーザ負荷値と節電効果値との組合せを容易に選択することができる。
具体的には、例えば図20において、ユーザ負荷値「5」に対する節電効果値が「¥50」から「¥100」であった場合、表示制御部111は、ユーザ負荷値が「5」に変更されれば、節電効果値を「¥100」と表示することが好ましい。また、ユーザ負荷値「6」に対する節電効果値が「¥101」から「¥150」であった場合、表示制御部111は、ユーザ負荷値が「6」に変更されれば、節電効果値を「¥150」と表示することが好ましい。
同様に、節電効果値が「¥100」と表示されている場合に、ボタン2006が押されれば、節電効果値「¥110」に対応する時間幅△T1の値が存在したとしても、同一のユーザ負荷値において最大の節約効果値の組合せである「¥150」を表示することが好ましい。
なお、図20に示した1日に削減できる予想電気代は、予測区間に基づく電力供給制御を行わない場合に対する節電効果である。そのため、予測区間に基づく電力供給制御を導入する前は、節電効果値として有効な値が示される。しかし、予測区間に基づく電力供給制御を導入した後は、表示エリア2002に表示されるユーザ負荷値を大きくしない限り、1日に削減できる予想電気代は0円となる。そこで、表示制御部111は、表示エリア2005に表示する節電効果値として、図21のように、節電効果値に基づく1日の予想電気代を計算して表示してもよい。なお、この場合、表示エリア2002に表示されるユーザ負荷値を大きくすれば、表示エリア2005に表示される節電効果値は小さくなる。
図22は、表示部1007に表示される設定情報の他の一例を示す図である。具体的には、図22は、機器別の設定画面の一例を示す図である。
表示エリア2202には、節約レベル値が表示される。ユーザが、入力部1008を介してボタン2201を押せば、節約レベル値が小さくなる。また、ユーザが、入力部1008を介してボタン2203を押せば、節約レベル値が大きくなる。
この節約レベル値は、内部的には時間幅△T1の値と対応している。つまり、節約レベル値が大きくなれば、時間幅△T1の値が小さくなるように、節約レベル値と時間幅△T1の値とが対応付けられている。
ボタン2204には、表示エリア2202に表示されている節約レベル値に対応する時間幅△T1の値に対応した、機器別のユーザ負荷値と節電効果値とが表示されている。ユーザはボタン2204を押すことにより、機器別にユーザ負荷値と節電効果値との組合せを選択することができる。
なお、表示制御部111は、このボタン2204を、ユーザ負荷値及び節電効果値の少なくとも一方に応じて配置することが好ましい。具体的には、表示制御部111は、例えば、ユーザ負荷値が小さい機器から順にボタン2204を並べて表示してもよい。また例えば、表示制御部111は、節電効果値が大きい機器から順にボタン2204を並べて表示してもよい。また例えば、表示制御部111は、ユーザ負荷値と節電効果値との両方を用いたスコアに応じてボタン2204を並べて表示してもよい。表示制御部111がこのようにボタン2204を表示することにより、ユーザは、予測区間に基づく電力供給制御の効果が大きい機器を理解し易くなると共に、効果が大きい機器ほど選択が容易になる。
また、図22では、表示制御部111は、ユーザが全ての機器に対して同一の時間幅△T1に変更可能なように、節約レベル値を表示したが、図23に示すように、機器ごとに時間幅△T1を変更可能なようにボタンなどを配置してもよい。その場合、表示制御部111は、図20又は図21に表示したように、ユーザ負荷値と節電効果値とを変更できるようにした上で、ユーザ負荷値と節電効果値との組合せを機器別にユーザが選択できるようにしてもよい。また、表示制御部111は、ユーザ負荷値と節電効果値との関係が類似する機器グループごとに設定情報を表示してもよい。
図24は、表示部1007に表示される設定情報の他の一例を示す図である。具体的には、図24は、時間帯別の設定画面の一例を示す図である。なお、図24において、図22と同一の表示要素については同一の符号を付し、説明を省略する。
ボタン2404には、表示エリア2202に表示されている節約レベル値に対応する時間幅△T1に対応した、時間帯別のユーザ負荷値と節電効果値とが表示されている。ユーザは、ボタン2404を押すことにより、時間帯別にユーザ負荷値と節電効果値との組合せを選択することができる。
なお、図22と同様に、表示制御部111は、このボタン2404を、ユーザ負荷値及び節電効果値の少なくとも一方に応じて配置することが好ましい。具体的には、表示制御部111は、例えば、ユーザ負荷値が小さい時間帯から順にボタン2404を並べて表示してもよい。また例えば、表示制御部111は、節電効果値が大きい時間帯から順にボタン2404を並べて表示してもよい。また例えば、表示制御部111は、ユーザ負荷値と節電効果値との両方を用いたスコアに応じてボタン2404を並べて表示してもよい。表示制御部111がこのようにボタン2404を表示することにより、ユーザは、予測区間に基づく電力供給制御の効果が大きい時間帯を理解し易くなると共に、効果が大きい時間帯ほど選択が容易になる。
また、図23と同様に、表示制御部111は、時間帯ごとに時間幅△T1を変更可能なようにボタンなどを配置してもよい。具体的には、表示制御部111は、時間帯別の設定画面において、時間帯ごとにユーザ負荷値と節電効果値とを変更できるようにした上で、ユーザ負荷値と節電効果値との組合せを時間帯別にユーザが選択できるようにしてもよい。
さらに、表示制御部111は、時間帯の長さなどの時間帯の決定方法も、ユーザ負荷値と節約効果値とに応じて自動で決定してもよい。例えば、表示制御部111は、ある節約レベルにおいて、ユーザ負荷値が所定の値以下である時間帯を別途ボタンとして作成する。ただし、時間帯を分けすぎるとボタンが多くなってしまったり、予測の正解率が低くなる可能性があるので、表示制御部111は、例えば最短時間幅を1時間として条件を満たす時間帯を別ボタンとしてもよい。また、表示制御部111は、前記最短時間幅で1日の時間を分割し、同一節約レベルにおいて、ユーザ負荷値と節電効果値との関係が類似する時間帯をまとめてひとつのボタンとして表示してもよい。
なお、図22と図24のように、機器別での設定情報を表示するか、又は時間別での設定情報を表示するかを、ユーザに選択させてもよいが、表示制御部111が自動で選択してもよい。機器別のユーザ負荷値又は節電効果値の分布と、時間帯別のユーザ負荷値又は節電効果値の分布とは異なる。そこで、表示制御部111は、ユーザ負荷値と節電効果値とを用いたスコア(評価値)の分布に応じて、どちらの設定情報を表示するかを決定してもよい。より具体的には、スコアがユーザ負荷値(手法起動予測回数)である場合、機器別のスコアと時間別のスコアとを計算した結果が図25のようになったとする。この場合、機器別のスコアよりも時間帯別のスコアの方が分散値が大きいので、表示制御部111は、時間帯別の設定情報を表示する。これは、人は分散値が大きいほうが、予測を用いた電源制御を行うか否かの判断が行いやすいという思想に基づく。
つまり、表示制御部111は、ユーザ負荷値及び節電効果値のうち少なくとも一方により定まる評価値の機器別及び時間帯別の分布に基づいて、電力情報を機器別に表示するか又は時間帯別に表示するかを決定する。具体的には、機器別の評価値の分散が時間帯別の評価値の分散よりも大きい場合、表示制御部111は、機器別に設定情報を表示する。一方、表示制御部111は、機器別の評価値の分散が時間帯別の評価値の分散よりも小さい場合、表示制御部111は、機器別に設定情報を表示する。これにより、ユーザは、所望のユーザ負荷値と節電効果値との組合せを容易に選択することができる。
また、図26Aのように、表示制御部111は、機器別の設定情報と時間帯別の設定情報とを同時に表示してもよい。ユーザは、タブ3201を選択することにより、時間帯を選択することができる。表示制御部111は、選択された時間帯の中で、機器別にユーザ負荷値と節電効果値とを選択可能なように表示する。なお、表示制御部111は、ユーザ負荷値が小さく、かつ節電効果値が大きい機器のボタンにマーク3202を表示する。このマーク3202により、ユーザは、容易にユーザ負荷値が小さく、かつ節電効果値が大きい機器を選択することができる。
また、表示制御部111は、機器別あるいは時間帯別の同一の時間幅△T1の値におけるユーザ負荷値と節電効果値との少なくとも1つを用いて、曜日ごとの類似度合いを計算し、同一傾向のある曜日をまとめて、図26Bのように設定情報を表示してもよい。ユーザは、タブ2601を選択することにより、まとめた曜日の設定情報を一度に表示させることができる。また、表示制御部111は、まとめた曜日のユーザ負荷値あるいは節電効果値の評価情報を示すマーク2602を表示してもよい。このような表示をすることにより、ユーザ負荷値が小さいあるいは節電効果値が大きい曜日のまとまりをユーザはすぐに理解できるため、時間幅△Tの値の選択を用意に行うことが出来る。なお、表示制御部111は、同一傾向があるか否かの判定を、例えばクラスタリング手法を用いて行うことができる(例えば、オーム社:Rで学ぶクラスタ解析:p62「階層的手法」などを参照)。
図4の説明に戻る。
表示部1007に表示された設定情報に従って、ユーザは、入力部1008を介して、希望の条件を入力する。つまり、電源制御部110は、表示された設定情報に従ってユーザにより選択された、ユーザ負荷値と節電効果値との組合せに対応する時間幅△T1の値を決定する。そして、電源制御部110は、決定した時間幅△T1の値を用いて予測された予測区間に基づいて、各機器へ電力を供給させる(S407)。
具体的には、電源制御部110は、例えば、図20においてユーザが選択した、表示エリア2002に表示されたユーザ負荷値と表示エリア2005に表示された節電効果値との組合せを取得する。そして、電源制御部110は、予測結果記憶部107を参照することにより、取得したユーザ負荷値と節電効果値との組合せ(ユーザが希望した条件)に対応する時間幅△T1の値を決定する。そして、電源制御部110は、決定した時間幅△T1の値に対応する予測結果を予測区間予測部106から取得する。
そして、電源制御部110は、取得した予測結果に基づいて電源制御実行部1005を制御する。具体的には、電源制御部110は、予測区間に機器へ電力が供給されるように、電源制御実行部1005を制御する。言い換えれば、電源制御部110は、予測区間以外の時間区間であって、かつ利用区間以外の時間区間に、機器への電力供給を遮断するように、電源制御実行部1005を制御する。
以上、説明したように、本実施の形態に係る電源制御装置101は、過去の機器の利用履歴を用いて、変数値を変動させて予測結果を複数計算し、複数のユーザ負荷と節電効果の関係をユーザに提示することが可能となる。このため、ユーザは前記提示されたユーザ負荷と節電効果との関係から、自分の好みに合った電力供給制御の設定を容易に行うことができる。
(実施の形態2)
次に、本発明の実施の形態2について説明する。
上記実施の形態1において、予測区間予測部106は、機器の利用が開始される可能性が高いと予測される時間区間である予測区間を予測するために、自機器の利用履歴を用いている。より具体的には、予測区間予測部106は、自機器の過去の利用区間の開始時刻周辺の時間区間を予測区間として予測する。この第1予測手法は、機器が予め定められた周期で利用される特性を利用した予測手法である。このような周期性を利用した予測手法は、日々の利用区間がある程度同じ時間に集中する機器に対して有効である。つまり、周期性を利用した予測手法は、機器の利用区間の開始時刻が周期性を有する場合に有効である。しかしながら、日々の利用区間の時間的なばらつきが大きく、さらに利用頻度が多い機器に対しては、周期性を利用した予測手法は有効ではない。なぜならば、予測区間が長くなってしまい、予測区間に基づいて機器へ電力を供給した場合に節電効果が低下するからである。
図27及び図28は、周期性を利用した予測手法の課題を説明するための図である。具体的には、図27は、利用区間の時間的なばらつきが小さい場合における予測区間の一例を示す図である。また、図28は、利用区間の時間的なばらつきが大きい場合における予測区間の一例を示す図である。
図27及び図28より、同じ利用回数であっても、利用区間に時間的なばらつきがある場合、予測区間が長くなり、節電効果が小さくなることが分かる。また、毎朝8時ごろ利用されていたトースターが、予測対象日にはユーザの起床時刻が遅くなり9時に利用された場合、本予測手法では、この時刻に電力供給が行えない。
周期性を利用した予測手法では、上述のように、機器の利用時間区間のばらつきが大きい場合に、予測精度が悪化するという問題がある。さらに、周期性を利用した予測手法では、過去に自機器の利用区間が無ければ、その周辺の時間区間を予測区間として予測できないといった問題点がある。
そこで、本実施の形態では、複数機器に対して消費電力の計測を行っていることを前提に、周期性を利用した手法の問題点を解決するための予測手法(以後「機器間の起動関係を用いた予測手法」と記述)について述べる。この機器間の起動関係を用いた予測手法は、第1機器の利用が開始又は終了してから予め定められた時間が経過するまでの間に第2機器の利用が開始される特性を利用した予測手法である第2予測手法に相当する。
この機器間の起動関係を用いた予測手法は、ユーザが機器を利用する際、その順序にはある程度決まりがあるという仮定に基づいた予測手法である。したがって、機器間の起動関係を用いた予測手法では、他の機器の利用開始時刻あるいは利用終了時刻に基づいて機器の予測区間を予測する。なお、以下において、機器の利用が開始されることを機器が起動するともいう。また、起動関係とは、機器の利用区間同士の時間的な依存関係を表す。
例えば、電子レンジが利用された後、トースターが利用される傾向にあれば、電子レンジへ電力の供給が開始されたタイミングにトースターへ電力の供給を行う。ここで、他の機器の起動のもとになると考えられる機器(上記例では電子レンジ)を前機器又は第1機器、この前機器の起動の後起動されると考えられる機器を後機器又は第2機器(上記例ではトースター)と記述する。
本手法を用いることにより、通常の利用時刻とは関係なく機器の利用時刻が予測可能となるため、上記で述べた問題点が解消される。
なお、機器間の起動関係を用いた予測手法において、機器間の起動や終了の関係は、他機器のみならず、自機器と自機器の関係でもよい。例えば、トースターを連続して利用する傾向があるユーザにとっては、トースターの起動又は終了の後、次に起動される確率が高いのはトースターであり、ゆえにトースターの起動及び終了とトースターの起動との関係も用いて、予測区間を予測する。
本実施の形態に係る電源制御装置の構成は図3と同様であるので、図示を省略する。また、全般的な処理の流れも図4と同様であるので、図示を省略する。なお、本実施の形態では、予測区間予測部106及び電源制御部110の機能の一部が、実施の形態1と異なる。また、本実施の形態では、図4のフローチャートのうち、ステップS403とステップS407における処理の内容が実施の形態1と異なる。以下、実施の形態1と異なる点を中心に、本実施の形態に係る電源制御装置について説明する。
予測区間予測部106は、第1機器の利用区間の開始時刻又は終了時刻と第2機器の利用区間の開始時刻との間に時間的な依存関係が有るか否かを判定する。そして、予測区間予測部106は、判定結果に基づいて、第1機器の利用区間を用いて第2機器の予測区間を予測する。
電源制御部110は、予測区間予測部106によって判定された時間的な依存関係の有無に基づいて、機器への電力供給を制御する。
次に、以上のように構成された電源制御装置101における各種動作について、図4に示したフローチャートに沿って説明する。
各機器の利用区間が特定された後(S402)、予測区間予測部106は、機器間の起動関係を用いた予測手法に従って、複数の機器の利用区間を用いて予測区間を予測する(S403)。
図29は、本発明の実施の形態2に係る予測区間予測処理の流れを示すフローチャートである。つまり、図29は、図4に示すステップS403の処理の詳細を示すフローチャートである。また、図30は、本発明の実施の形態2に係る予測区間予測処理を説明するための図である。
予測区間予測部106は、予測計算に用いるためのデータとして、利用区間データ記憶部105に記憶されている複数の機器の所定期間における利用区間データを取得する(S2701)。例えば、予測区間予測部106は、図30の(a)に示すように、1週間の利用区間データを機器別、日別に取得する。
次に、予測区間予測部106は、各機器の利用開始時刻を取得し、それぞれの機器間の起動関係の大きさを示す確率を計算する(S2702)。具体的には、予測区間予測部106は、例えば、ある機器が起動した後、所定時間△T2以内に他の機器が起動する確率を機器毎に計算する。つまり、予測区間予測部106は、第1機器の利用区間の開始時刻から所定時間内に第2機器の利用区間の開始時刻が含まれる確率を算出する。
例えば、1週間の利用区間データを用いて機器A、機器B、機器Cの機器についてその利用区間データを取得したとする。この場合に、予測区間予測部106が機器Bを基準として他の機器A及び機器Cの所定時間△T2以内の起動確率を求める方法について、図30の(b)を用いて説明する。
はじめに、予測区間予測部106は、機器Bが利用区間データ内で何回起動しているかをカウントする(第1ステップ)。つまり、予測区間予測部106は、利用区間データに含まれる、機器Bの利用区間の数を取得する。例えば、予測区間予測部106は、機器Bの起動回数をカウントすることにより、「100回」を取得する。
次に、予測区間予測部106は、機器Bが起動してから所定時間△T2(1時間)以内に他の機器の起動があるか否かを判定することにより、機器ごとに起動回数をカウントする(第2ステップ)。つまり、予測区間予測部106は、機器Bの利用区間の開始時刻から所定時間△T2内に、機器A及び機器Cの利用区間の開始時刻が含まれる回数を機器ごとカウントする。例えば、予測区間予測部106は、機器Bが起動した後1時間以内に機器Aが起動していた回数をカウントすることにより、「90回」を得る。
ただし、ここでのカウントは種類数に対するカウントである。例えば、機器Bが起動した後1時間以内に複数回機器Aが起動した場合も、予測区間予測部106は、機器Aの起動は1回とカウントする。つまり、予測区間予測部106は、機器Bの利用区間の開始時刻から所定時間△T2内に、機器Aの利用区間の開始時刻が複数含まれていても1回としてカウントする。
最後に、予測区間予測部106は、機器Bの起動に続いて1時間以内に機器Aが起動する確率を計算する(第3ステップ)。つまり、予測区間予測部106は、第1機器の利用区間の開始時刻から所定時間△T2経過するまでの時間区間に第2機器の利用区間の開始時刻が含まれる、第1機器の利用区間に対する確率に基づいて、時間的な依存関係が有るか否かを判定する。具体的には、予測区間予測部106は、機器Bの利用区間の開始時刻から所定時間△T2内に、機器A及び機器Cそれぞれの利用区間の開始時刻が含まれる確率であって、機器Bの利用区間に対する確率を算出する。
さらに具体的には、予測区間予測部106は、例えば、機器Bの起動後1時間以内に機器Aが起動した回数「90回」を、機器Bの起動回数「100回」で除算することにより、確率「0.9」を計算する。機器Cについても同様に、予測区間予測部106は、機器Bが起動した後1時間以内に機器Cが起動する確率を計算する。
なお、機器Bを基準とした場合について説明したが、機器Aと機器Cについても同様に、予測区間予測部106は、機器Aが起動した後1時間以内に機器B及び機器Cが起動する確率と機器Cが起動した後1位時間以内に機器A及び機器Bが起動する確率とを計算する。
図31は、本発明の実施の形態2に係る予測区間予測部による起動回数の計算結果の一例を示す図である。また、図32は、本発明の実施の形態2に係る予測区間予測部による機器間の起動関係の大きさを示す確率の計算結果の一例を示す図である。
項目2901は、予測対象となる機器を示す。項目2902は、項目2901によって示される機器が起動した総数を示す。つまり、項目2902は、予測に利用される利用区間データにおける各機器の利用区間の総数を示す。
項目2903は、項目2901によって示される機器が起動してから所定時間△T2以内に最上行に示される機器が起動した回数を示す。項目2904は、項目2901に示される機器が起動してから所定時間△T2以内に最上行に示される機器が起動する確率を表す。具体的には、項目2904は、項目2903の対応する位置に示された値を項目2902の対応する行に示された値で除した値である。
図29の説明に戻る。
予測区間予測部106は、機器間に起動関係が有るか否かを決定する(S2703)。つまり、予測区間予測部106は、ある機器の起動に連動して他の機器の電力を供給するか否かの決定を行う。
例えば、予測区間予測部106は、項目2904に示される確率が閾値Th以上であれば、項目2901の対応する行に示される機器と項目2904の対応する列の最上行に示される機器とは、起動関係があると決定する。
そして、予測区間予測部106は、このように決定された機器間の起動関係の有無を示す起動関係データを生成し、予測結果記憶部107に格納する。
図33は、予測結果記憶部107に格納される起動関係の有無を示す起動関係データの一例を示す図である。なお、図33には、予測区間予測部106が、図32に示された確率と閾値Th「0.1」とを用いて起動関係の有無を決定したときの起動関係データが示されている。
項目3001は第1機器の機器名を示し、項目3002は、項目3001に示された第1機器と最上行に示される第2機器との起動関係の有無を示す。なお、予測区間予測部106は、この機器間の起動関係の有無を予測結果記憶部107に格納する。
最後に、予測区間予測部106は、起動関係データに基づいて、各機器の予測区間を予測する(S2704)。例えば、起動関係データが第1機器と第2機器との起動関係が有ることを示す場合、予測区間予測部106は、第2機器の予測区間の開始時刻が第1機器の利用区間の開始時刻と一致する、第2機器の予測区間を予測する。このとき、予測区間の時間長は、例えば、予め定められた時間長(第2時間幅)とすればよい。
具体的には、予測区間予測部106は、例えば、ユーザ負荷予測部108及び節電効果予測部109によって利用される予測対象データを利用して、予測区間を予測する。
より具体的には、予測区間予測部106は、例えば以下のように、予測対象データを利用して予測区間を予測する。まず、予測区間予測部106は、予測対象データから時系列順に利用区間の開始時刻を取得する。そして、予測区間予測部106は、起動関係データを参照することにより、取得した開始時刻に対応する機器(第1機器)と起動関係が有る機器(第2機器)を特定する。最後に、予測区間予測部106は、特定した機器(第2機器)において、取得した開始時刻から予め定められた時間長の時間区間を予測区間として予測する。
なお、予測区間予測部106は、複数の所定時間△T2の値又は閾値Thに対して、上述した予測区間予測処理を実行する。
本実施の形態に係る予測方法において、所定時間△T2と機器間の起動関係を決定する際に用いた確率に対する閾値Thとが変数値に相当する。所定時間△T2を長くすれば、所定時間△T2以内に起動する機器の数が増えるため、項目2904の確率値が増加する。よって、多くの機器間に起動関係が有ると決定されるため、予測区間が多くなる、又は、予測区間が長くなる。また、確率に対する閾値Thを小さくすれば、所定時間△T2を長くしたときと同様に、予測区間が多くなる。この所定時間△T2を長くする及び確率の閾値Thを小さくすることにより、ユーザ負荷値は小さくなるが、節電効果値も小さくなる。よって予測区間予測部106は、本予測手法を用いる場合、所定時間△T2の値又は確率に対する閾値Thを変化させて、複数の予測結果を作成し、予測結果記憶部107に格納する。
なお、予測区間予測部106は、必ずしも、第2機器の予測区間の開始時刻が第1機器の利用区間の開始時刻と一致するように、第2機器の予測区間を予測する必要はない。例えば、予測区間予測部106は、例えば、第2機器の予測区間の開始時刻が第1機器の利用区間の開始時刻から所定時間△T3経過した後の時刻と一致するように、第2機器の予測区間を予測してもよい。これにより、電源制御装置101は、図18Aに示した無駄な電力供給区間を短くすることができるので、節電効果を向上させることができる。
ここで、所定時間△T3は、例えば機器起動後、所定時間△T2以内の他の機器の起動回数を計算する際に、各機器別に機器起動からどれだけ後に起動しているかの分布を計算し、その分布情報を基に決定されてもよい。
例えば、図34に示すように、予測区間予測部106は、テレビの起動後、所定時間△T2(図34では60分)以内にエアコンが起動する回数を計算して分布を求める。つまり、予測区間予測部106は、第1機器の利用区間の開始時刻から第2機器の利用区間の開始時刻までの経過時間の分布を算出する。
図34では、エアコンの起動時刻は、テレビの起動時刻から20分以降にしか分布していない。このような場合、予測区間予測部106は、テレビの起動に基づいてエアコンの予測区間を予測するときは、予測区間の開始時刻をテレビの利用開始時刻の20分経過後の時刻としてもよい。つまり、予測区間予測部106は、第2機器の予測区間の開始時刻が第1機器の利用区間の開始時刻から所定時間△T3(例えば上記では20分)経過した時刻と一致するように、予測区間を予測してもよい。
また、20分から30分におけるエアコンの起動の回数は少ない。そこで、より節電効果を大きくするために、予測区間予測部106は、エアコンの予測区間の開始時刻を、テレビの起動後30分経過した時刻としてもよい。この場合、予測区間予測部106は、ユーザ負荷が増加することを抑制するために、例えば、経過時間の分布から計算される累積確率と閾値との比較に基づいて、予測経過時間を決定してもよい。
このように、電源制御装置101は、他の機器の起動時刻からどのくらい経過した時刻を予測区間の開始時刻とするかは、予測区間を予測する際に入力される変数値として変化させ、ユーザ負荷値と節電効果値との関係を計算してもよい。つまり、本実施の形態に係る予測手法において、予測区間予測部106は、予測経過時間を変数値として予測区間を予測してもよい。
図4の説明に戻る。
表示部1007に設定情報が表示された後、電源制御部110は、ユーザにより選択された組合せに対応する変数値(所定時間△T2、又は閾値Thなど)を決定する。そして、電源制御部110は、決定した変数値を用いて計算された起動関係データに従って、各機器への電力供給を制御する(S407)。
具体的には、電源制御部110は、例えば、以下のように各機器への電力供給を制御する。
まず、電源制御部110は、機器の利用区間の開始時刻をリアルタイムに取得する。例えば、電源制御部110は、機器から利用開始信号を受信することにより、機器の利用区間の開始時刻を取得する。また例えば、電源制御部110は、利用区間特定部104によってリアルタイムに特定された利用区間データを用いて、機器の利用区間の開始時刻を取得する。
そして、電源制御部110は、起動関係データを参照することにより、利用区間の開始時刻を取得した機器と起動関係が有る機器を決定する。さらに、電源制御部110は、決定した機器へ電力が供給されるように、電源制御実行部1005を制御する。
このように、本実施の形態で述べた機器間の起動関係を利用した予測手法による予測時刻は、他の機器の利用に影響される。したがって、機器間の起動関係を利用した予測手法では、計算処理が終了した時点では、予測対象の1日に対して予測時間が決定されない。
以上、説明したように、本実施の形態に係る電源制御装置101は、複数の機器の利用履歴から機器間の起動関係を求めることにより、同一機器の過去の利用履歴から予測する予測区間とは異なる時間区間の予測区間の予測が可能となり、ユーザ負荷を減少させることができる。
なお、本発明の一態様に係る電源制御装置には、本実施の形態に係る電源制御装置101に各種変形を施したものも含まれる。以下に、本実施の形態の変形例について説明する。
(実施の形態2の変形例1)
上記実施の形態2において、予測区間予測部106は、機器の起動時刻同士の時間的な依存関係を利用して、機器間の起動関係の有無を決定した。それに対し、本変形例に係る予測区間予測部106は、さらに、利用区間の終了時刻と開始時刻との時間的な依存関係を利用して、機器間の起動関係の有無を決定する。
すなわち、ステップS2702において、予測区間予測部106は、さらに、ある機器の終了時刻から所定時間△T2以内に起動する機器の回数をカウントしてその確率を計算する。つまり、予測区間予測部106は、さらに、第1機器の利用区間の終了時刻から所定時間△T2内に、第2機器の利用区間の開始時刻が含まれる確率を算出する。より具体的には、予測区間予測部106は、第2機器の利用区間の開始時刻から所定時間△T2前までの時間区間に第1機器の利用区間の開始時刻が含まれる、第2機器の利用区間に対する確率を算出する。
この場合、電源制御部110は、ある機器の利用が終了した時刻において、その機器に対する機器間の起動関係の確率が所定値以上の機器に対して電力を供給する。つまり、起動関係データが第1機器と第2機器との起動関係が有ることを示す場合、予測区間予測部106は、第2機器の予測区間の開始時刻が第1機器の利用区間の終了時刻と一致するように、第2機器の予測区間を予測する。
これにより、電源制御装置101は、第1機器の利用が終了した後に第2機器の利用が開始される場合に、節電効果を向上させることができる。また、電源制御装置101は、第1機器の利用が終了した後に第2機器の利用が開始される場合であって、第1機器の利用区間が長い場合に、ユーザ負荷を低下させることもできる。
なお、予測区間予測部106は、第1機器の利用区間の開始時刻及び終了時刻の両方を利用して、予測区間を予測してもよい。これにより、電源制御装置101は、第1機器の利用区間の開始時刻及び終了時刻の両方に対して予測区間を予測することができるので、機器の利用開始時に電力供給が遮断されていることによるユーザ負荷を減少させることができる。
さらに、予測区間予測部106は、第1機器ごとに、開始時刻又は終了時刻を利用するか、又は開始時刻及び終了時刻を利用するかを変更してもよい。具体的には、予測区間予測部106は、例えば、ユーザ負荷を小さくしたい場合に、開始時刻と終了時刻との両方を利用して、予測区間を予測する。一方、予測区間予測部106は、例えば、少しでも節電効果を大きくしたい場合に、終了時刻のみを利用して、予測区間を予測する。
また、開始時刻及び終了時刻のどちらを利用するかを以下のように決定してもよい。予測区間予測部106は、利用区間データにおいて、第1機器の利用区間の開始時刻から予め定められた時間が経過するまでの間に第2機器の利用区間の開始時刻が含まれる確率を第1確率として算出する。さらに、予測区間予測部106は、利用区間データにおいて、第1機器の利用区間の終了時刻から予め定められた時間が経過するまでの間に第2機器の利用区間の開始時刻が含まれる確率を第2確率として算出する。
ここで、第1確率と第2確率との差分値が所定値以上である場合、予測区間予測部106は、第1機器の利用区間の開始時刻を含む第2時間幅の時間区間を第2機器の予測区間として予測する。一方、第1確率と第2確率との差分値が所定値未満である場合、予測区間予測部106は、第1機器の利用区間の終了時刻を含む第3時間幅の時間区間を第2機器の予測区間として予測する。
この第3時間幅は、第2時間幅よりも短くすることができる。したがって、第1確率と第2確率とが所定値未満である場合には、節電効果を向上させることが可能となる。また、所定値を適切に設定することにより、ユーザ負荷が高くなることも抑制することができる。
(実施の形態2の変形例2)
上記実施の形態2では、予測区間予測部106は、1つの第1機器と第2機器との起動関係の有無を利用して、第2機器の予測区間を予測した。これに対し、本変形例に係る予測区間予測部106は、複数の第1機器と第2機器との起動関係の有無を利用して、第2機器の予測区間を予測する。
具体例を、図35を用いて説明する。
図35は、本発明の実施の形態2の変形例2に係る予測区間予測処理を説明するための図である。具体的には、図35の(a)、(b)は、実施の形態2に係る予測区間予測部により予測された予測区間を示す図である。また、図35の(c)は、本変形例に係る予測区間予測部により予測された予測区間を示す図である。
なお、図35において、機器Bが起動した後に、所定時間△T2以内に機器Aが起動する確率は、「0.4」である。また、機器Cが起動した後に、所定時間△T2以内に機器Aが起動する確率は、「0.3」である。
閾値Thが「0.2」である場合、図35の(a)に示すように、予測区間予測部106は、機器Aの予測区間の開始時刻が機器Bの利用区間の開始時刻と一致するように、かつ、予測区間の時間長が所定時間△T2と一致するように、機器Aの予測区間を予測する。
ここで、閾値Thが「0.5」である場合、予測区間予測部106は、機器B及び機器Cと機器Aとが起動関係が無いと決定する。したがって、図35の(b)に示すように、予測区間予測部106は、機器B及び機器Cの起動に基づいて、予測区間を予測しない。
そこで、本変形例に係る予測区間予測部106は、複数の第1機器のそれぞれと第2機器との間で計算された確率の和集合を利用して、起動関係の有無を決定する。
具体的には、まず、予測区間予測部106は、所定時間△T2以内に機器B、機器C及び機器Aの順に各機器が起動する確率と、所定時間△T2以内に機器C、機器B及び機器Aの順に各機器が起動する確率との和である和確率「0.1」を算出する。
そして、予測区間予測部106は、機器Bが起動してから所定時間△T2が経過するまでの時間区間3601と、機器Cが起動してから所定時間△T2が経過するまでの時間区間3602との重複する時間区間3603を特定する。さらに、予測区間予測部106は、機器Bに対する起動確率「0.3」と機器Cに対する起動確率「0.4」との和から、和確率「0.1」を減算することにより、特定した時間区間3603の機器Aの起動確率「0.6」を計算する。予測区間予測部106は、起動確率が閾値「0.5」を超える時間区間3603を予測区間として予測する。このように複数の機器間の起動確率を用いることにより、予測区間予測部106は、予測区間の予測精度を向上させることが可能となる。
なお、図35では、予測区間予測部106は、予測区間の時間長が所定時間△T2と一致するように、予測区間を予測している。また、図35の(a)に示すように、予測区間予測部106は、機器Bの起動により機器Aの予測区間が予測されている場合は、機器Cの起動による機器Aの予測区間を予測していない。つまり、予測区間予測部106は、第1機器の利用区間の開始時刻が第2機器の予測区間に含まれる場合は、第1機器の利用区間の開始時刻に基づいて第2機器の予測区間を予測しない。
しかし、予測区間予測部106は、機器Cの起動も考慮し、機器Aの予測区間の延長を行ってもよい。つまり、予測区間予測部106は、第1機器の利用区間の開始時刻が第2機器の予測区間に含まれる場合は、当該予測区間の終了時刻が当該開始時刻から所定時間経過した時刻となるように、当該予測区間の終了時刻を変更する。
(実施の形態2の変形例3)
上記実施の形態2では、予測区間予測部106は、起動関係の有無を決定するために利用した利用区間データの期間全体に対して、機器間の起動関係の有無を示す起動関係データを1つ生成した。これに対し、本変形例に係る予測区間予測部106は、利用区間データに含まれる時間区間の属性に従って、複数の時間区間に対して起動関係データを生成する。
具体的には、予測区間予測部106は、例えば、曜日ごとに起動関係データを生成する。この場合、予測区間予測部106は、予測対象日の曜日に応じて、同一曜日の起動関係データを利用して、予測区間を予測する。
さらには、予測区間予測部106は、同様の傾向がある曜日をまとめた曜日群ごとに起動関係データを生成してもよい。曜日群は、例えば、平日(月〜金)及び週末(土、日)とすればよい。また、火曜日と木曜日とをまとめて、1つの曜日群としてもよい。
また、予測区間予測部106は、例えば、時間帯ごとに起動関係データを生成してもよい。例えば、予測区間予測部106は、1時間単位の時間帯ごとの利用区間データを用いて、時間帯ごとに起動関係データを生成してもよい。また例えば、予測区間予測部106は、朝・昼・晩の3つの時間帯ごとに、起動関係データを生成してもよい。
時間区間の属性に従った機器間の起動関係の計算は、システム開発者やユーザが指定してもよいし、自動的に行ってもよい。自動的に行う場合は、例えば過去の利用履歴の中で、機器間の起動関係を計算する期間と、計算した機器間の起動関係で予測を行い、その予測精度に基づいてまとめてもよい。または、属性に従って分けない場合と分けた場合の平均情報量(entropy)をそれぞれ計算し、その差分値である情報利得に基づいてまとめてもよい。
(実施の形態2の変形例4)
上記実施の形態2では、予測区間予測部106は、第1機器が起動してから所定時間△T2以内に第2機器が起動される確率を計算した。これに対して、本変形例に係る予測区間予測部106は、第1機器が起動した次に第2機器が起動する確率で計算する。
具体的には、予測区間予測部106は、1週間の利用区間データから各機器の利用開始時刻を取得する。そして、例えば、予測区間予測部106は、機器(第2機器)ごとに、テレビ(第1機器)の次に起動した回数を計算する。そして、予測区間予測部106は、機器ごとに、計算した回数をテレビの起動回数で除算することにより、各機器(第2機器)がテレビ(第1機器)の次に起動する確率を計算する。このようにして、予測区間予測部106は、全ての機器(第1機器)に対し、当該機器が起動した次に起動する確率を機器(第2機器)ごとに計算する。予測区間予測部106は、このように計算した確率と閾値とを比較することにより、起動関係データを生成する。
例えば、テレビが起動して次に録画機器が起動する確率が「0.5」であり、洗濯機が起動する確率が「0.1」とする。閾値を「0.3」とすると、予測区間予測部106は、録画機器の予測区間の開始時刻がテレビの利用区間の開始時刻と一致するように、録画機器の予測区間を予測する。一方、予測区間予測部106は、テレビの利用区間に基づいて洗濯機の予測区間を予測しない。
なお、予測区間予測部106は、機器ごとに確率を計算する際に、第1機器の次に起動し、かつ、第1機器が起動してから所定時間以内に起動する確率を機器ごとに計算してもよい。具体的には、所定時間が30分である場合、予測区間予測部106は、テレビが起動してから30分以内にどの機器も起動しない場合、すべての機器の確率を「0」と計算する。このように計算することにより、予測区間予測部106は、第1機器の次に起動した機器であっても、第1機器が起動してから時間的に離れて起動した機器を、第1機器と起動関係が有ると決定することを防ぐことができる。
なお、本手法は次に起動する機器のみでなく、機器Aの後機器Bが起動された後にどの機器が起動されるかというように複数先の起動に関してその確率を計算してもよい。
(実施の形態2の変形例5)
本変形例に係る電源制御装置101は、図36Aに示すように、連続する機器の起動系列にその間に存在する時間間隔(以後「起動間隔」と記述する)を含めて系列を作成し、確率を計算することで、機器の起動の予測を行ってもよい。具体的には、予測区間予測部106は、これまでの第1機器の利用区間の開始時刻又は終了時刻を第2機器の予測区間の開始時刻として予測区間を予測していたが、第1機器の利用区間の開始時刻又は終了時刻から所定の時間だけ機器の起動が無いと判断された時点で、その時刻を第2機器の予測区間の開始時刻として、予測区間を予測する。
より具体的に説明する。
はじめに、機器の利用履歴から図36Aに示すように、予測区間予測部106は、機器間の起動間隔を計測し、機器の起動と共に時系列に並べる。この際、前記起動間隔は所定の時間単位で表現する。ここで起動間隔は、上記の時間間隔に相当する。例えば10分単位で表現する場合、起動間隔が0分から4分までは0分、5分から14分までは10分、15分から24分までは、20分と表現する。
次に、予測区間予測部106は、ある機器が起動した後に、どのような単位の起動間隔が起こるかを計算し、機器の起動と起動間隔との関係を確率により表現する。
例えば、機器Aが100回起動したとする。機器Aの起動の後の起動間隔を計算したところ、10分の起動間隔が50回、20分の起動間隔が30回、1時間の起動間隔が20回起こっていたとする。この場合、予測区間予測部106は、機器Aが起動した後に10分の起動間隔が起こる可能性を0.5(=50/100)と計算する。図36Bは、第1機器と起動間隔とに対応する確率の計算結果の一例を示す図である。
同様に、10分の起動間隔が100回あり、10分の起動間隔の後に機器Bが30回起動していた場合、予測区間予測部106は、10分の起動間隔の後に機器Bが起動する確率を0.3と計算する。つまり、予測区間予測部106は、第2利用区間に対応する機器Bの確率を0.3と計算する。図36Cは、起動間隔と第2機器とに対応する確率の計算結果の一例を示す図である。
機器への電力供給を制御する際は、これまで同様に、電源制御部110は、上記機器と起動間隔との関係を表現した確率が閾値以上である場合、その機器と起動間隔は依存関係が有ると判定し、その機器へ電力供給を行う。より具体的には、閾値を0.1とした場合、電源制御部110は、ある機器が起動した時点からタイマーにより機器が起動されない時間を計測する。10分経過した時点で、電源制御部110は、10分の起動間隔の後に起動する機器で確率が0.1以上の機器(例えば機器B)に対して電力供給を行う。つまり、予測区間予測部106は、利用区間の開始時刻から10分経過した時点を、10分の起動間隔の後に起動する機器で確率が0.1以上の機器(例えば機器B)の予測区間の開始時刻と予測する。
もし、機器Bを含む全ての機器が起動されずに、20分経過した場合、その時点で、電源制御部110は、機器Bに対しての電力供給を停止し、20分の起動間隔の後に起動する確率が0.1以上の機器へ電力供給を行う。
ここで、起動間隔の計測トリガとして、1日ごとに利用履歴を分けて計算している場合の1日の開始時刻を含めると、予測区間予測部106は、1日の開始時刻から所定時間後に起動する機器の確率を計算できる。例えば、1日の開始時刻を2時0分として、ある家族がおおよそ6時に起床して活動を始める場合、おおよそ4時間の起動間隔の後、機器の起動が確認されるため、1日の開始時刻からおおよそ4時間後の起動確率が高くなる。さらに起床後まず使う機器が同じ場合、予測区間予測部106は、2時0分から4時間後の6時0分を、その機器の予測区間の開始時刻として予測することが可能となる。
なお、上記の例では時間単位として、10分を用いたが、所定時間以上といった単位を利用しても良い。例えば5時間以上という単位のみを利用した場合、予測区間予測部106は、他の機器の起動が無く、5時間以上経過した後に起動する機器の確率が計算できる。
上記例では、予測区間予測部106は、起動間隔の長さに基づいて、起動間隔の後に起動する機器の起動予測を行ったが、さらに起動間隔の前に起動した機器の情報も含めて確率を計算した結果を用いて機器の起動予測を行ってもよい。すなわち、図36Dに示すように、予測区間予測部106は、第1機器の起動の後、どのくらいの起動間隔が起こり、その次に第2機器が起動する確率を計算して記憶しておき、この結果に基づいて機器の起動予測を行う。電力供給の具体的な例としては、電源制御部110は、確率の閾値を0.1とした場合、まず、機器Aが起動した時点からタイマーにより機器が起動されない時間を計測する。10分が経過した時点で、機器Aが起動して10分の起動間隔が起こった後、0.1以上の確率で起動している機器Aと機器Bが起動されると予測し、電源制御部110は、両機器に対して電力供給を行う。もし、機器Aが起動した場合、機器Bへの電源供給を停止し、機器が起動されていない時間を計測する。一方、20分経っても両機器が起動しない場合は、20分が経過した時点で、電源制御部110は、両機器への電力供給を停止し、機器Aが起動して、20分の起動間隔が起こった後に起動する確率が0.1以上の機器に対して電力供給を行う。
また、予測区間予測部106は、上記確率を時間あるいは曜日などの利用履歴の属性ごと計算し、利用する際の属性にあった確率値を用いて予測を行ってもよい。例えば、予測区間予測部106は、時間ごとに、機器の起動の後に起こる起動間隔を計算する。より具体的には、ある家庭では食洗機を朝8時台と夜の10時台に利用しているとする。朝8時台の食洗機の起動の後の起動間隔で最も確率が大きいのは10分であり、1時間を越える起動間隔の確率は0であったとする。一方、夜10時台の食洗機の起動の後の起動間隔は1時間以内の確率は0ではないが、1時間から8時間における確率は0であり、8時間に最も大きな確率がある場合、10時台の食洗機の起動から1時間以内に家族が就寝しているという予測も可能となる。つまり、予測区間予測部106は、第1機器(例えば食洗機)と時間間隔(例えば8時間)との依存関係が有る場合、第1機器の利用区間の開始時刻から時間間隔(例えば8時間)が経過するまでの期間において、予測区間を予測することを禁止する。なお、第1機器と時間間隔との依存関係が有るか否かは、確率と閾値との比較によって判定されればよい。
(実施の形態2の変形例6)
上記実施の形態2では、予測区間予測部106は、第1機器の利用区間の開始時刻又は終了時刻から所定時間△T2以内に第2機器の利用区間が開始する、第1機器の利用区間に対する確率を計算する。そして、予測区間予測部106は、計算した確率が閾値より大きい場合に、第1機器と第2機器との間に起動関係が有ると決定する。この手法を用いた場合、利用頻度が小さい第2機器は、利用頻度が大きい第2機器よりも、確率値が小さくなるため、起動関係が無いと決定されることが多くなる。
例えば、複数の機器の1週間の利用区間データに基づいて機器間の起動関係を計算した際、テレビの起動回数が1週間で100回あり、エアコンの起動回数が8回であったとする。このエアコン(第2機器)の起動は常にテレビ(第1機器)の起動後、所定時間△T2以内に起動していたとすると、テレビが起動した後にエアコンが起動する確率は「0.08(=8/100)となる。閾値Thが0.1である場合、テレビの起動に基づいてエアコンの予測区間は予測されない。もし、エアコンが他の機器の起動後、所定時間△T2以内に起動することが無かったとすると、エアコンの予測区間は予測されないという問題が生じる。
そこで、本変形例に係る予測区間予測部106は、さらに、第2機器の利用区間の開始時刻から所定時間△T2前までの時間区間に第1機器の利用区間の開始時刻又は終了時刻が含まれる、第2機器の利用区間に対する確率を計算する。
すなわち、予測区間予測部106は、実施の形態2のように機器が起動した後の所定時間内に起動する機器の回数及びその確率(以後「後ろ向き確率」と記述)を計算することに加え、図37のように機器が起動した前の所定時間△T2以内に起動する機器の回数及びその確率(以後前向き確率と記述)を計算する。そして、予測区間予測部106は、両確率値から計算されるスコアに対する閾値Thに基づいて予測区間を予測する。例えば、前記スコアとして両確率値の平均値を利用すると、前記のテレビとエアコンの例では、テレビの起動の後にエアコンが起動する確率は「0.08」であり、エアコンの起動の前にテレビが起動していた確率は「1.0」であるので、スコアはその平均の「0.54」となる。スコアの閾値が「0.2」であったとすると、テレビの起動に基づいてエアコンの利用区間が予測される。
本方法によりエアコンの予測区間の予測が可能となるが、テレビが100回起動するのに対し、その全てに対して、エアコンの予測区間を予測していては節電効果が小さくなってしまうという問題が生じる。
そこで、前記スコアの計算方法は、時間や曜日などの利用履歴の属性に応じて変更してもよい。例えば、時間別にスコアの計算方法を変えてもよい。具体的には前向き確率の値が所定の値より小さく、後ろ向き確率の値が所定の値より大きいという機器の関係があった場合、予測区間予測部106は、後機器の起動された時間帯のみ後ろ向き確率を考慮したスコアの計算を行ってもよい。上記例では、エアコンの8回の利用履歴が6、7、20、21時台のみにおいて利用されていたとすると、予測区間予測部106は、6、7、20、21時台のみテレビの起動に基づいてエアコンの予測区間を予測する。なお、時間などの属性で分ける場合は、予測区間予測部106は、その属性ごとに前向き確率と後ろ向き確率を計算し、スコアを計算してもよい。また、予測区間予測部106は、属性ごとに前向き確率と後ろ向き確率を計算し、その結果をもとに判断してもよい。
さらに、予測区間予測部106は、間違った前機器の起動による予測区間の予測を減らすため、前向き確率を計算する際、1つの機器に対してではなく、複数の機器に対して前向き確率を計算してもよい。具体的には、予測区間予測部106は、ある機器が起動した時刻から所定時間△T2以前の時間帯において、起動された複数の機器に対しての前向き確率を計算する。より具体的には、予測区間予測部106は、エアコンが起動された前の所定時間△T2以内に起動された2つの機器に対する前向き確率を計算する場合、例えばエアコンの起動の前に洗濯機とテレビが起動されていた確率を計算する。このように複数の機器が起動していることを条件にすることにより、予測区間予測部106は、予測区間がより多く予測されることによる電力供給を減らすことができる。
より制限を厳しくする場合、予測区間予測部106は、エアコンが起動された時刻から所定時間△T2以前に共通して含まれる機器の最大個数に対する前向き確率を利用してもよい。例えば、予測区間予測部106は、エアコンが起動された全ての場合に、テレビと洗濯機と炊飯器のみが共通して起動されていた場合、3つの機器に対する前向き確率を計算する。閾値が例えば1である場合、予測区間予測部106は、テレビと洗濯機と炊飯器が利用されたときのみエアコンの予測区間を予測する。
(実施の形態3)
次に、本発明の実施の形態3について説明する。
実施の形態2のように、機器間の起動関係を用いた予測手法では、所定時間△T2内に機器が1つも起動していないような機器又は時間帯については、予測区間が予測されない。
そこで、本実施の形態に係る予測区間予測部106は、実施の形態2で説明したような機器間の起動関係を用いた予測手法(第2予測手法)と、実施の形態1で説明したような周期性を利用した予測手法(第1予測手法)との少なくとも一方を用いて、予測区間を予測する。
なお、本実施の形態に係る電源制御装置101の全体構成は、図3に示した実施の形態1に係る電源制御装置101の構成と同様であるので、図示を省略する。なお、本実施の形態に係る予測区間予測部106の機能の一部が、実施の形態1又は2に係る予測区間予測部106の機能と異なる。そこで、予測区間予測部106の詳細な機能構成を図38に示す。
本実施の形態に係る予測区間予測部106は、第1予測手法と第2予測手法との少なくとも一方を用いて、各機器の予測区間を予測する。具体的には、予測区間予測部106は、複数の機器のうち、第2機器と時間的な依存関係が有る第1機器の数に応じて、第1又は第2予測手法を選択する。そして、予測区間予測部106は、選択した第1又は第2予測手法を用いて第2機器の予測区間を予測する。
より具体的には、予測区間予測部106は、図38に示すように、評価部106aと決定部106bと予測部106cとを備える。
評価部106aは、各機器のための予測手法を決定するための評価値を、利用区間の履歴データを用いて算出する。本実施の形態では、評価部106aは、利用区間データにおいて、第2機器の利用区間の開始時刻より予め定められた時間前までの間に第1機器の開始時刻又は終了時刻が含まれる確率を第1機器ごとに計算する。そして、評価部106aは、計算した確率が閾値以上となる第1機器の数を評価値として算出する。
決定部106bは、算出された評価値に基づいて、少なくとも機器ごとに、第1予測手法と第2予測手法との少なくとも一方を当該機器のための予測手法として決定する。本実施の形態では、決定部106bは、算出された評価値が閾値以上である場合に、第2予測手法を第2機器のための予測手法として決定する。また、決定部106bは、算出された評価値が閾値未満である場合に、第1予測手法を第2機器のための予測手法として決定する。
予測部106cは、決定された予測手法を用いて、少なくとも機器ごとに予測区間を予測する。具体的には、予測部106cは、第1予測手法が決定された場合、利用区間データに含まれる利用区間の開始時刻と周期的に対応する時刻を含む第1時間幅の時間区間を予測区間として予測する。
また、予測部106cは、第2予測手法が決定された場合、第2機器に対応する第1機器が記載された起動関係データを参照することにより、第1機器の利用が開始された時刻又は終了した時刻を含む第2時間幅の時間区間を第2機器の予測区間として予測する。具体的には、予測部106cは、例えばリアルタイムに第1機器の利用が開始された時刻又は終了した時刻を取得する。続いて、予測部106cは、起動関係データを参照することにより、第1機器に対応する第2機器を特定する。そして、予測部106cは、第1機器の利用が開始された時刻又は終了した時刻を含む第2時間幅の時間区間を、特定された第2機器の予測区間として予測する。
なお、第1予測手法とは、各機器において特定された利用区間の周期性に基づいて予測区間を予測する予測手法である。つまり、第1予測手法は、実施の形態1において説明した周期性を利用した予測手法に相当する。すなわち、第1予測手法とは、機器が予め定められた周期で利用される特性を利用した予測手法である。
また、第2予測手法とは、特定された利用区間同士の時間的な依存関係に基づいて予測区間を予測する予測手法である。つまり、第2予測手法は、実施の形態2において説明した機器間の起動関係を利用した予測手法に相当する。すなわち、第2予測手法とは、第1機器の利用が開始又は終了してから予め定められた時間が経過するまでの間に第2機器の利用が開始される特性を利用した予測手法である。
次に、以上のように構成された電源制御装置101における各種動作について説明する。
なお、本実施の形態では、図4のフローチャートのうち、ステップS403における処理の内容が実施の形態1と異なる。したがって、以下に、第1予測手法及び第2予測手法を用いて予測区間を予測する予測区間予測処理(S403)の詳細について説明する。
機器間の起動関係を用いた予測手法では、機器が起動する前に他の機器の起動が必要となる。しかし、時間帯によっては機器の起動が少ない時間帯もある。そこで、利用履歴から機器が起動した所定時間前にどの程度機器が起動しているかに基づいて、時間区間別に両手法のどちらを利用するかを選択する。予測区間予測部106が行うこの処理を図39A及び図39Bのフローチャートを用いて説明する。
図39Aは、本発明の実施の形態3に係る予測区間予測処理の流れを示すフローチャートである。つまり、図39Aは、図4に示すステップS403の処理の詳細を示すフローチャートである。
まず、予測区間予測部106は、機器ごと及び時間区間ごとに、第1予測手法及び第2予測手法の一方を選択する(S3901)。なお、この予測区間選択処理の詳細については、図39Bを用いて後述する。
次に、予測区間予測部106は、第1予測手法が選択された機器及び時間区間について、第1予測手法を用いて予測区間を予測する(S3902)。具体的には、予測区間予測部106は、図10に示したフローチャートに従って予測区間を予測する。
最後に、予測区間予測部106は、第2予測手法が選択された機器及び時間区間について、第2予測手法を用いて予測区間を予測する(S3903)。具体的には、予測区間予測部106は、図29に示したフローチャートに従って、予測区間を予測する。
このように、予測区間予測部106は、複数の変数値に対する予測区間を予測する。
次に、予測手法選択処理の詳細について説明する。
図39Bは、本発明の実施の形態3に係る予測手法選択処理の流れを示すフローチャートである。つまり、図39Bは、図39Aに示すステップS3901の処理の詳細を示すフローチャートである。以下は対象機器としてエアコンを具体例にして説明する。
まず、予測区間予測部106は、処理対象となる所定期間に含まれる利用区間のうち、未処理の利用区間を1つ取得する(S4001)。なお、予測区間予測部106は、例えば時間的に最も古い利用区間から順に時間的に新しい利用区間を取得する。したがって、予測区間予測部106は、時系列順に利用区間を取得する。
続いて、予測区間予測部106は、取得した利用区間の開始時刻が、予め定められた時間区間のいずれに属するかを判定する(S4002)。具体的には、予測区間予測部106は、例えば、取得した利用区間の開始時刻が、何時台かを判定する。より具体的には、取得したエアコンの利用区間の開始時刻が6時15分である場合、予測区間予測部106は、利用区間の開始時刻が6時台であると判定する。
次に、予測区間予測部106は、取得した利用区間の開始時刻より前の所定時間以内に開始時刻が含まれる利用区間に関する情報を取得する(S4003)。利用区間に関する情報とは、例えば、利用区間の数、並びに各利用区間の機器名及び起動時刻などである。具体的には、予測区間予測部106は、例えば、エアコンの利用開始時刻6時15分より1時間前の5時15分から6時15分の期間に開始時刻が含まれる利用区間を抽出し、抽出した利用区間に対応する機器名、開始時刻などを取得する。
そして、予測区間予測部106は、ステップS4003で取得した結果をこれまでに処理した結果とマージして予測結果記憶部107に格納する(S4004)。
このとき格納される結果の一例を図40に示す。項目4101は、機器IDを示し、項目4102は、機器IDに対応した機器名を示し、項目4103はS4003において利用された所定時間を示す。項目4104は時間区間別の総起動数を示す。具体的には、エアコンが6時台に起動したのは10回であることが分かる。
項目4105と項目4106とは、項目4101によって特定される対象機器が起動した際に、起動時刻前の所定時間以内に起動していた機器名とその回数を示す。具体的には、6時台に起動したエアコンの起動時刻の前60分以内に起動した機器の起動回数の総数は34回であり、そのうちテレビの起動回数は10回である。よって、6時台に起動するエアコンの起動時刻前60分以内には平均1回テレビが起動していることになる。
次に、予測区間予測部106は、対象機器の利用区間で未処理の利用区間が有るか否かを判定する(S4005)。ここで未処理の利用区間が有る場合は(S4005のYES)、S4001へ戻り、予測区間予測部106は、未処理の利用区間を取得する。
一方、未処理の利用区間が無い場合(S4005のNO)、評価部106aは、時間区間別に、起動関係の大きさを示す確率を計算する(S4006)。つまり、評価部106aは、例えば図32に示したような機器間の起動関係の大きさを示す確率を時間区間別に計算する。ここで計算される確率は、ある機器の起動前の所定時間以内に機器が起動していた確率であり、前述の前向き確率である。つまり、評価部106aは、利用区間データにおいて、第2機器の利用区間の開始時刻より予め定められた時間前までの間に第1機器の開始時刻又は終了時刻が含まれる確率を第1機器ごとに計算する。
具体的には、6時台におけるエアコンの起動に対するテレビの起動の前向き確率は、6時台のエアコンの起動が10回であったのに対し、テレビの起動も10回であったので、1となる。一方、7時台のエアコンの起動は3回であったのに対し、テレビの起動は0回であったので、7時台におけるエアコンの起動に対するテレビの起動の前向き確率は0となる。
続いて、評価部106aは、機器間の起動関係の大きさを示す確率が第1閾値以上であるか否かを判定する(S4007)。具体的には、評価部106aは、第1閾値が「0.2」である場合、6時台のエアコン起動に対するテレビ起動の前向き確率「1」が第1閾値以上であると判定する。一方、評価部106aは、7時台のエアコン起動に対するテレビ起動の前向き確率「0」が、第1閾値より小さいと判定する。
ここで、機器間の起動関係の大きさを示す確率が第1閾値以上である場合(S4007のYES)、評価部106aは、当該確率に対応する時間区間と機器とに対して、機器間の起動関係を用いた予測手法(第2予測手法)が利用可能であることを予測結果記憶部107に格納する(S4008)。
一方、機器間の起動関係の大きさを示す確率が第1閾値未満である場合(S4007のNO)、評価部106aは、当該確率に対応する時間区間と機器とに対して、機器間の起動関係を用いた予測手法(第2予測手法)が利用困難であることを予測結果記憶部107に格納する(S4009)。
ステップS4008とステップS4009で予測結果記憶部107に格納される時間区間別、機器別の判定結果の一例を図41に示す。
項目4201〜4203は、図40の項目4101〜4103と同じである。項目4204は、対象機器が起動した際に起動時刻前の所定時間以内に起動していた機器名であり、項目4205は機器ごとに前向き確率と第1閾値を比較した結果である。図41では、前向き確率が第1閾値以上であった場合に「1」を、前向き確率が第1閾値未満であった場合は「0」を格納する例を示した。
決定部106bは、ステップS4008及びステップS4009において格納された時間別、機器別の判定結果を用いて、同一時間において、機器間の起動関係を用いた予測手法が可能である機器の数を計算し、計算した機器の数が第2閾値以上であるか否かを判定する(S4010)。この第1閾値は、消費電力データが収集される機器の数に基づいて決められる値である。
ここで、機器の数が第2閾値以上である場合(S4010のYES)、決定部106bは、その時間区間において、機器間の起動関係を用いた予測手法を用いることを示す情報を予測結果記憶部107に格納する(S4011)。つまり、決定部106bは、第2予測手法を選択する。すなわち、決定部106bは、計算した確率が第1閾値以上となる第1機器の数が第2閾値以上である場合に、第2予測手法を第2機器のための予測手法として決定する。
一方、機器の数が第2閾値未満である場合(S4010のNO)、決定部106bは、その時間区間において、周期性を利用した予測手法(第1予測手法)を用いることを示す情報を予測結果記憶部107に格納する。つまり、決定部106bは第1予測手法を選択する(S4012)。すなわち、決定部106bは、計算した確率が第1閾値以上となる第1機器の数が第2閾値未満である場合に、第1予測手法を第2機器のための予測手法として決定する。
予測部106cは、このように選択された予測手法に従って、実施の形態1又は2と同様に予測区間を予測する。
ステップS4011とステップS4012において格納される情報の一例を図42に示す。ここで項目4301〜4303は、図40の項目4101から4103と同じである。項目4304は、時間区間別にどの予測手法を用いるか示す。図42では、「1」は周期性を利用した予測手法(第1予測手法)を示し、「2」は機器間の起動関係を用いた予測手法(第2予測手法)を示す。
項目4305は、機器間の起動関係を用いた予測手法を用いる際に、前機器(第1機器)となる機器を示す。つまり、項目4305は、第2機器に対応する第1機器を示す。具体的には、図42において、6時台のエアコンの予測区間は、機器間の起動関係を用いた予測手法に基づいて予測され、テレビ、DVDレコーダ、又は洗濯機が起動した後にエアコンが起動すると予測される。一方、7時台及び8時台におけるエアコンの予測区間は、周期性を利用した予測手法に基づいて予測される。
以上のように、本実施の形態に係る電源制御装置101によれば、第1予測手法と第2予測手法とを適応的に用いて予測区間を予測することができるので、予測区間に基づいて機器への電力供給を制御する際に、節電効果の減少を抑制しつつ、ユーザ負荷を減少させることができる。
なお、利用区間データを用いた予測は、予測開始当初、予測区間データが少なく、消費電力データの収集開始から日数が経過するほど、予測区間データが多くなる。したがって、例えば、予測区間予測部106は、1日単位で上記の予測手法選択処理を行い、毎日、両予測手法のどちらを利用するかを選択してもよい。
また、上記実施の形態では、電源制御装置101は、ユーザ負荷予測部108、節電効果予測部109、及び電源制御部110などを備えていたが、必ずしもこれらの処理部を備える必要はない。例えば、電源制御装置101は、少なくとも、利用区間特定部104と予測区間予測部106とを備えればよい。また、電源制御装置101は、必ずしも、複数の変数値に対して予測区間を予測する必要はない。この場合、電源制御装置101は、利用開始区間予測装置に相当する。そして、このような利用開始区間予測装置も、第1予測手法と第2予測手法とを適応的に用いて各機器の予測区間を予測することができるので、予測区間に基づいて機器への電力供給が制御される場合に、節電効果の減少を抑制しつつ、ユーザ負荷を減少させることができる。
また、上記実施の形態では、電源制御装置101は、機器ごとに、かつ時間区間ごとに、第1予測手法又は第2予測手法を選択していたが、必ずしもこのように選択する必要はない。例えば、電源制御装置101は、機器ごとに又は時間区間ごとに、第1予測手法又は第2予測手法を選択してもよい。
(実施の形態3の変形例1)
なお、予測手法の選択は、上述したような選択方法に限らない。例えば、消費電力データ又は利用区間データのデータ量が少ない場合、機器間の起動関係の大きさを示す確率の精度が低い。
そこで、本変形例に係る予測区間予測部106は、消費電力データ又は利用区間データのデータ量が所定値未満である場合、周期性を利用した予測手法を選択する。一方、予測区間予測部106は、消費電力データ又は利用区間データのデータ量が所定値以上である場合、機器間の起動関係を利用した手法を選択する。
具体的には、予測区間予測部106は、例えば、消費電力データのデータ量が閾値以上であるか否かを機器ごとに判定する。ここで、消費電力データのデータ量が閾値未満である場合、予測区間予測部106は、第1予測手法を用いて当該機器の予測区間を予測する。一方、消費電力データのデータ量が閾値以上である場合、第2予測手法を用いて当該機器の予測区間を予測する。
また例えば、予測区間予測部106は、利用区間データに含まれる利用区間の数(利用区間データのデータ量)が閾値以上であるか否かを機器ごとに判定してもよい。この場合、利用区間の数が閾値未満である場合、決定部106bは、第1予測手法を当該機器のための予測手法として決定する。一方、利用区間の数が閾値以上である場合、決定部106bは、第2予測手法を当該機器のための予測手法として決定する。
これにより、予測区間予測部106は、利用区間の数が少ないために機器間の起動関係の大きさを示す確率の精度が低いときには、周期性を利用した予測手法を選択することができる。また、予測区間予測部106は、利用区間の数が多いために節電効果が低下する場合には、機器間の起動関係を利用した予測手法を選択することができる。その結果、予測区間予測部106は、ユーザ負荷を低減させるとともに、節電効果を向上させるように、予測区間を予測することが可能となる。
なお、実施の形態3と同様に、予測区間予測部106は、上記の選択を行なう際に、時間区間ごとに選択してもよい。
また、両手法の切り替えは、時間区間ごとの機器の利用区間の回数の変化に基づいて行ってもよい。これは、周期性を用いて予測を行うと、1度でも利用区間が存在する場合、その起動時間周辺の時間帯に対してその後常に電源供給を行うため、無駄な電力供給をしてしまうことがある。そこで、予測区間予測部106は、所定期間内における利用回数が所定値より少ない場合、その時間区間を予測区間としないように、予測区間を予測してもよい。さらに、このような所定期間内の利用回数が所定値より少ない時間区間がある機器に対しては、予測区間予測部106は、前記利用回数が少ない時間区間において、機器間の起動関係を利用した予測手法を用いてもよい。
例えば、洗濯機が11時台に利用開始された履歴が以前あり、11時台には洗濯機が利用開始されると予測して電力供給を行っていたが、1ヶ月11時台に洗濯機が利用されて無いことが分かった場合、11時台の洗濯機の利用予測を中止する。その代わりに、11時台に利用された際の起動前に起動又は終了している機器を前機器としてその機器の起動に応じて電力供給を行う制御に変更する。この際、前機器として利用する機器が11時台において毎日利用されていると、結局その時間帯はその機器の起動に対応して洗濯機の電力供給が行われ、無駄な電力供給が行われることになる。そこで、前記前機器としては、その起動回数に基づいて決定される。具体的には所定回数以上起動している機器は前機器としない。または、実施の形態2の変形例6で述べたような、複数の機器に対する前向き確率が所定値以上あるときのみ、その複数の機器に対する前向き確率を利用して機器間の起動関係を用いた予測を行ってもよい。
(実施の形態3の変形例2)
また、両予測手法の切り替えを上記実施の形態2の変形例5の時間間隔も考慮した機器間の起動関係を利用して行ってもよい。例えば、ある時間帯において、機器の利用区間が開始又は終了した後は、他の機器の起動が所定時間以上無いことが分かるため、予測区間予測部106は、そのような機器が起動した後の時間帯は周期性による予測を利用しないよう制御する。具体的には、夜9時台から11時台に食洗機が起動した後は他の機器が6時間以上起動しない確率が高い場合、夜9時台から11時台に食洗機が動いた後の時間帯に、以前洗濯機が起動していたことがあるからといって、予測区間予測部106は、周期性を用いた予測手法により9時台から11時台に開始時刻が含まれる予測区間を予測しない。これにより、電源制御装置101は、就寝や外出の傾向を所定の機器の利用区間の開始や終了を用いて予測して、その時間における無駄な電力供給を停止することができる。
(実施の形態3の変形例3)
また、予測区間予測部106は、過去の利用履歴に対して両予測手法を適応し、その結果を用いてどちらの手法を用いるか判断してもよい。つまり、本変形例では、評価部106aは、利用区間データのうちの一部の時間区間の利用区間データに基づいて第1予測手法及び第2予測手法の各々を用いて予測された予測区間に対して、利用区間データのうちの他の一部の時間区間の利用区間データを用いて評価値を算出する。
具体的には、過去の利用履歴を実施の形態1で述べたように、予測区間を作成する期間と、ユーザ負荷値及び節電効果値を計算(予測を評価)する期間とに分ける。予測区間予測部106は、前記予測区間を作成する期間に対して、予測手法ごとに予測区間の予測を行う。そして、評価部106aは、前記予測区間の評価を行う期間に対して、両手法によりユーザ負荷値と節電効果値とを計算する。ここで、評価部106aは、ユーザ負荷値と節電効果値との計算結果を用いて、どちらの手法を用いるかを判断するためのスコア(評価値)を計算する。そして、決定部106bは、このスコアを用いてどちらの手法を利用するかを判断する。
具体的には、ユーザ負荷予測部108は、ユーザ負荷値を機器の利用数に対してユーザが手動で電源をONする割合を計算する。そして、ユーザ負荷予測部108は、1からこの割合を引いた数を予測精度として計算する。この予測精度は、利用数に対して予測により自動的にONされた割合である。また、節電効果予測部109は、節電効果値を利用区間以外の期間に対する予測により自動的にOFFされた期間の割合として計算する。そして、評価部106aは、前記予測精度と節電効果値との積を前記スコアとして計算する。このスコアは予測精度が高いほど、また節電効果値が大きいほど大きな値となる。よって、決定部106bは、両予測手法に対するユーザ負荷値と節電効果値との計算結果から得られる両予測手法のスコアを比較し、スコアが大きい予測手法を選択する。
なお、予測区間予測部106は、両予測手法を用いた予測区間の予測及びスコアの計算及び比較を、時間区間ごとや同一曜日など利用履歴の属性ごとに行い、比較を行った属性ごとにどちらの手法を用いるかを判断してもよい。例えば、予測区間予測部106は、予測の評価を行う期間に対し時間区間ごとに両予測手法によるスコアを計算し、時間区間ごとにどちらの手法の方がスコアが大きいかを判定する。予測区間予測部106は、この結果を用いて時間区間別に両予測手法を切り替える。
つまり、予測区間予測部106は、ユーザ負荷値が示すユーザの負荷が小さいほど評価が高くなり、かつ節電効果値が示す節電効果が大きいほど評価が高くなる評価値に基づいて予測手法を選択する。
(実施の形態3の変形例4)
なお、機器の起動には、機器がタイマーにより自動的に起動した起動(自動起動)と、ユーザの直接的な起動要求に対して起動した起動(手動起動)と2種類の起動がある。タイマーによる機器の起動には、例えば録画機器における番組の録画の開始、あるいは炊飯器における炊飯の開始などによる起動がある。このようなタイマーによる自動起動を機器の起動関係の計算に反映させてもよい。
具体的には、利用区間特定部104は、録画機器などの機器の利用区間の中で、利用区間が自動起動であるか否かを判定する。そして、予測区間予測部106は、自動起動であると判定された利用区間に対しては、機器間の起動関係の計算に利用しない。つまり、評価部106aは、利用区間データに含まれる利用区間のうち手動で開始された利用区間のみを用いて評価値を算出する。
ここで、利用区間特定部104は、例えば、日単位や週単位など、所定の時間間隔で同一時刻が開始時刻である利用区間に対しては自動起動であると判定する。
また、利用区間特定部104は、自動起動を考慮する機器と、そうでない機器とを保持してもよい。具体的には、番組録画の予約による自動起動は機器間の起動関係の計算に利用しないが、炊飯器の予約炊飯による自動起動は機器間の起動関係の計算に利用してもよい。これは、予約炊飯の場合、自動起動により炊飯が行われた後に、炊けたご飯を食事に利用する場合が多い。これは1日の生活の一連の活動の1つであり、続いて他の機器が起動する確率が高いという思想に基づく。
(実施の形態3の変形例5)
両予測手法を用いた予測結果に基づいて、予測される節電効果値とユーザ負荷値との組合せを、表示部1007に表示した画面の一例を図43に示す。画面はタブ形式の表示になっており、機器別に表示するのか時間別に表示するかについてタブ4401を選択することで切り替えることができる。
図43では、機器別に表示するタブが選ばれているため、機器ごとに周期性を利用した予測手法を用いて予測区間を予測した場合と、機器間の起動関係を利用した予測手法を用いて予測区間を予測した場合との、節電効果値とユーザ負荷値との組合せが表示されている。ユーザは表示される節電効果値とユーザ負荷値との組合せから、好みの予測手法を排他的な選択用のチェックボックス4402により選択する。
なお、表示制御部111は、デフォルトの選択を自動で決定してもよい。この場合、表示制御部111は、例えば、ユーザ負荷値が小さくかつ節電効果値が大きい予測手法がある場合は、その予測手法を自動的にデフォルトとして選択しておく。
また、図43では、表示制御部111は、どちらかの予測手法を選択可能なように電力情報を表示したが、両方の予測手法を同時に選択可能なように電力情報を表示してもよい。ここで、両方の予測手法が同時に選択された場合は、表示制御部111は、上記で述べたような両方の予測手法を用いた予測を行った場合のユーザ負荷値と節電効果値との組合せを表示する。表示部1007に表示される画面としては、両方を選択した場合のユーザ負荷値と節電効果値との予測結果を表示して、両手法と同様に選択可能としてもよいし、図43のような画面で両手法が選択できるようなチェックボックスとし、両手法がチェックされた場合は図43の両手法の下に書かれているユーザ負荷と節電効果の予測結果を消去し、両手法が同時に利用された場合のユーザ負荷と節電効果の予測結果を中央に表示してもよい。
以上、本発明の一態様に係る電源制御装置101について、実施の形態に基づいて説明したが、本発明は、これらの実施の形態に限定されるものではない。本発明の趣旨を逸脱しない限り、当業者が思いつく各種変形を本実施の形態に施したもの、あるいは異なる実施の形態における構成要素を組み合わせて構築される形態も、本発明の範囲内に含まれる。
例えば、上記実施の形態において、電源制御装置101は、電力値を含む消費電力データを受信したが、必ずしも電力値を含む必要はない。例えば、電源制御装置101は、電力値の代わりに電流値を含む消費電力データを受信してもよい。この場合であっても、電源制御装置101は、利用区間を特定することができる。
また、上記実施の形態において、機器が家電製品である場合を中心に説明したが、機器は必ずしも家電製品である必要はない。機器は、例えば、照明器具あるは給湯器などの電化機器であってもよい。
また、上記実施の形態において、電源制御装置101は、電源制御部110などを備えていたが、必ずしも電源制御部110などを備える必要はない。例えば、電源制御装置101は、利用区間特定部104と、予測区間予測部106と、ユーザ負荷予測部108と、節電効果予測部109と、表示制御部111とを備える装置であってもよい。この場合、電源制御装置101は電力情報表示装置に相当する。このような電力情報表示装置も、複数の変数値に対する、ユーザ負荷値と節電効果値との組合せを、表示することができるので、ユーザ負荷と節電効果とのバランスを図るために必要な情報をユーザに表示することができる。
また、本発明は、電源制御装置101として実現することができるだけでなく、電源制御装置101が備える構成要素の一部を備える利用開始区間予測装置としても実現できる。図44は、本発明の一態様に係る利用開始区間予測装置の機能構成を示すブロック図である。
図44に示すように、利用開始区間予測装置200は、利用区間データ記憶部105と、予測区間予測部106とを備える。利用区間データ記憶部105には、実施の形態1〜3と同様に、各機器の利用区間の履歴データを含む利用区間データが記憶されている。また、予測区間予測部106は、実施の形態3と同様に、評価部106aと、決定部106bと、予測部106cとを有する。このような利用開始区間予測装置200によれば、実施の形態3の電源制御装置101と同様に、利用区間の履歴データに応じて第1予測手法と第2予測手法との少なくとも一方を各機器の予測手法として決定することができる。このように決定された予測手法に従って予測した予測区間を用いて各機器への電力供給を制御すれば、節電効果の減少を抑制しつつ、ユーザ負荷を減少させることも可能となる。
また、本発明は、このような特徴的な処理部を備える利用開始区間予測装置として実現することができるだけでなく、利用開始区間予測装置に含まれる特徴的な処理部をステップとする利用開始区間予測方法として実現することができる。また、利用開始区間予測方法に含まれる特徴的なステップをコンピュータに実行させるコンピュータプログラムとして実現することもできる。そして、そのようなコンピュータプログラムを、CD−ROM等のコンピュータ読取可能な記録媒体あるいはインターネット等の通信ネットワークを介して流通させることができるのは、言うまでもない。