JPWO2011101942A1 - 電池モジュール - Google Patents
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Abstract
電池モジュールの電池モジュールは、複数の電池から構成されたセル群と、ECUとを含んでいる。電池の安全弁は、対向部材と対向している。対向部材とセル群との間には、音センサが配置されており、音センサは、ECUの弁作動検知部と接続されている。弁作動検知部は、音センサの出力信号に基づいて、セル群の少なくとも1つの電池の安全弁が作動したことを検知する。その結果、複数の電池に対して、1つ、もしくは少数の音センサを設けるだけで、複数の電池の安全弁の作動を検知することができる。したがって、システムの複雑化及び大型化を招くことなく、十分な精度で安全弁の作動を検知することができる。
Description
本発明は、電池モジュールに関し、より具体的には、電池モジュールの安全性を向上させる技術に関する。
例えば、電気自動車やハイブリッド自動車の駆動用電源には、多数個の電池(例えば二次電池)が、直列または並列に、あるいは並列と直列とを組み合わせて接続された状態で使用されている。そして、1または複数個の電池を1単位として、それに充放電の制御回路や安全装置を付加して1つにまとめたものを電池パックもしくは電池モジュールと呼ぶ。電気自動車やハイブリッド自動車では、通常、複数個の電池モジュールを互いに電気的に接続して使用している。
そのような電池モジュールに使用される高容量電池、特にリチウムイオン電池には、通常、防爆弁等の安全弁が備えられている。電池が異常な高温環境下に置かれた場合や過充電状態になった場合には電池内部で多量のガスが発生する。この際に、電池内圧が異常に上昇すると、ガスを外部に逃がすために安全弁が作動する。
安全弁が作動した電池は、それ以上の使用を中止するために、電流が遮断される。よって、安全弁の作動を検知する必要性が生じる。このため、例えば特許文献1では、安全弁の近傍に噴出ガスの温度を検知する温度センサを配置することが提案されている。特許文献2では、安全弁が作動すると同時に切断されるように、安全弁にワイヤを取り付け、そのワイヤの切断を検知して、安全弁の作動を検知することが提案されている。
ところが、安全弁の近傍に温度センサを配置する場合には、複数の電池のそれぞれに温度センサを設ける必要があり、コストが上昇するとともに、電池モジュールが大型化する。特に、電気自動車等の駆動用電源においては、電池の個数が100個以上に達する場合もある。そのような場合には、温度センサの数も大量になり、コストが大幅に上昇する。また、温度センサを制御回路等と接続するための配線も非常に長くなる。このため、配線へのノイズの混入による誤検知も増大する。
さらに、安全弁の作動の検知に温度センサを使用する方法には、検知に時間を要するという根本的な問題がある。安全弁の作動直後は噴出ガスの温度も低いために、安全弁の作動を検知するまでには時間を要する。その結果、電池に異常が発生したときに、迅速に電流を遮断することができないことも考えられる。
また、安全弁にワイヤを取り付けて、安全弁の作動を検知する方法では、電池の製造工程で個々の電池に煩雑な加工を行う必要があり、工数が増大する。その結果、電池の製造ラインを組み替える必要性も生じる。このため、コストはさらに増大する。また、この場合にも配線長が長くなることにより誤検知が増大することは、温度センサを設ける場合と同様である。
本発明は、電池モジュールを構成する電池の安全弁の作動を簡易かつ十分な精度で検知することを目的としている。
本発明の一局面は、互いに電気的に接続されるとともに、内圧が所定値以上になると内部ガスを外部に放出する安全弁をそれぞれ有する複数の電池と、
前記複数の電池の前記安全弁と対向する少なくとも1つの対向部材と、
前記対向部材と、前記複数の電池との間に配置され、前記安全弁の作動音を検出する少なくとも1つの音センサと、を具備する、電池モジュールに関する。
前記複数の電池の前記安全弁と対向する少なくとも1つの対向部材と、
前記対向部材と、前記複数の電池との間に配置され、前記安全弁の作動音を検出する少なくとも1つの音センサと、を具備する、電池モジュールに関する。
電池モジュールは、前記音センサの出力信号に基づいて、前記安全弁が作動したことを検知する弁作動検知部を具備することができる。
ここで、互いに電気的に接続された複数の電池は、電池集合体もしくはセル群とも称される。そして、電池集合体の少なくとも一部を覆う前記対向部材は、遮音部材として機能することが好ましい。音センサは、前記対向部材と電池集合体との間、すなわち対向部材の電池集合体側に配置される。安全弁は、例えば前記電池の内圧が所定値以上であると破断して、内部ガスを外部に放出する易破断部を含む弁機構を有する。前記音センサの出力信号に基づいて、前記安全弁(弁機構)が作動したことを検知する弁作動検知部は、所定の制御部(ECU等)に設けることができる。
本発明においては、複数の電池に対して、1つ、もしくは少数の音センサを設けるだけで、複数の電池の安全弁の作動を検知することができる。したがって、システムの複雑化及び大型化を招くことなく、十分な精度で安全弁の作動を検知することができる。
本発明の新規な特徴を添付の請求の範囲に記述するが、本発明は、構成及び内容の両方に関し、本発明の他の目的及び特徴と併せ、図面を照合した以下の詳細な説明によりさらによく理解されるであろう。
本発明の電池モジュールは、互いに電気的に接続されるとともに、内圧が所定値以上になると内部ガスを外部に放出する安全弁をそれぞれ有する複数の電池と、それらの電池の安全弁と間隔をあけて対向配置される少なくとも1つの対向部材と、その対向部材と電池との間に配置され、安全弁の作動音を検出する音センサと、を具備する。ここで、電池モジュールには、音センサの出力信号に基づいて、安全弁が作動したことを検知する弁作動検知部を具備させることができる。ただし、弁作動検知部は、音センサと連携して機能できる態様であれば、電池モジュールと一体に設置されていなくてもよく、電池モジュールが装着される負荷機器等、電池モジュールの外部に設けることもできる。
安全弁は、電池内圧が異常に上昇したような場合に、電池内部のガスを外部に噴出するように作動する。したがって、安全弁が作動すると比較的に大きな音が発生する。よって、各電池の安全弁と対向する対向部材を、安全弁とは間隔をあけて配置するとともに、その対向部材と電池との間に音センサを配置することで、音センサにより安全弁の作動音を容易に検出することができる。よって、電池モジュールに少なくとも1つの音センサを設けるだけで、その音センサの出力信号に基づいて、複数の電池の中の少なくとも1つの電池の安全弁が作動したことを検知することが可能となる。
ここで、音センサを、全ての電池の安全弁の比較的近傍の位置に配置し、その外側に対向部材を配置すれば、たとえ音センサの感度を低くしても、安全弁の作動音を容易に検出することができる。さらに、音センサの感度を低くすることで、外部の音が検出され難くなり、安全弁の作動を誤検知するのを防止することができる。よって、音センサと、対向部材の配置を適切なものとすることで、十分な精度で安全弁の作動を検知することが可能となる。このとき、音センサは、1つに限らず、各電池の安全弁と音センサとの距離が大きくなりすぎないように、2以上の音センサを使用することができる。
また、複数の電池の安全弁が全て同じ方向にガスを放出するのではなく、2以上の方向にガスを放出するように各電池が配置されているような場合には、その全ての方向に対向部材を配置するとともに、それらの対向部材と電池との間にそれぞれ音センサを配置すれば、全ての電池の安全弁の作動を十分な精度で検知するができる。
なお、複数の電池の安全弁のガスを放出する方向が2以下となるように各電池を配置するのが、音センサの数の増大を抑えるためには好ましい。これにより、コストの増大を抑えることができるとともに、配線長の増大も抑えることができる。したがって、ノイズの混入による誤検知を抑制して、高い精度で安全弁の作動を検知することができる。
ここで、対向部材は、外部の音を遮断するという観点からは、できるだけ高い遮音性を有する材料から形成するのが好ましい。これにより、検知精度が向上する。特に限定されないが、JIS−A1416に基づいて測定される500Hzの音成分の音響透過損失が、20〜40dBとなるように対向部材を形成することができる。
以上のように、本発明は、少なくとも1つの音センサを使用するだけで、電池モジュールの全ての電池について、簡易かつ十分な精度で安全弁の作動を検知することができる。よって、システムの複雑化及び大型化を招くことなく、簡易かつ十分な精度で全ての電池の安全弁の作動を検知することができる。よって、コスト上昇を抑えることができる。さらに、安全弁が作動すると、その作動を、ほとんど間をおくことなく、直ちに検知することができる。よって、安全弁が作動したときに、電池の電流を遮断する等の必要な処置を迅速に行うことができる。
なお、安全弁が、電池の発電要素を収容する金属製の電池ケース、ないしはその電池ケースの開口を封口する金属製の封口板に設けられた薄肉部(易破断部)を含む態様では、その薄肉部が金属であることにより、一般的に、安全弁の作動音は比較的大きくなる。したがって、そのような場合には、安全弁の作動を、より高い精度で検知することができる。
本発明の一形態においては、音センサは、検出した音の大きさに応じた第1信号を出力し、弁作動検知部は、第1信号が基準値以上の音の大きさに対応するときに、安全弁が作動したものと判断する。
このような方法で安全弁の作動を検知することで、機構が複雑化するのを防止することができる。上記以外で安全弁の作動を検知する方法としては、例えば、安全弁の作動音をあらかじめ周波数解析し、その結果を記憶しておくことが考えられる。そして、電池モジュールの使用中に音センサで検出された音を周波数解析し、その結果が、上記記憶された結果と一致すれば、安全弁が作動したと判定することができる。そのような検知方法では、音センサで検出された音を周波数解析するための回路が必要となる。
これに対して、音センサにより検出される音の大きさ(例えば音圧レベル)を基準値と比較することで安全弁の作動を検知する本形態では、高い処理能力を有する演算処理装置等を弁作動検知部に使用することなく、十分な精度で安全弁の作動を検知することができる。よって、コスト上昇を抑えることができる。また、処理に時間を要しないので、安全弁が作動したことを直ちに検知することができる。
本発明の他の形態においては、電池モジュールの複数の電池の安全弁の少なくとも1つの作動音の周波数が、他の安全弁の作動音の周波数と異なっている。音センサは、第1信号とともに、検出した作動音の周波数に応じた第2信号を出力する。そして、弁作動検知部は、第1信号及び第2信号に基づいて、複数の電池のいずれの安全弁が作動したかを判別する。
例えば、複数の電池の安全弁の作動音の周波数を2種類にすれば、複数の電池を2つのグループに分けることができる。そして、音センサにより検出された作動音を周波数解析することで、どちらのグループの電池の安全弁が作動したのかを知ることができる。よって、安全弁が作動した電池を特定しやすくなる。さらに、例えば電池モジュールに含まれる全ての電池の安全弁の作動音の周波数を互いに異ならせれば、音センサにより検出された作動音を周波数解析することで、どの電池の安全弁が作動したのかを正確に知ることができる。なお、第1信号は、安全弁が作動した電池があるのか否かを判別するのに使用することができる。
その結果、安全弁が作動した電池の電流だけを遮断することも可能となる。さらに、後でその電池を交換するときの作業を効率よく行うことができる。特に、電池モジュールの構造が、各電池の安全弁を外部から視認し難いような構造となっているような場合には、その効果が顕著となる。
本発明のさらに他の形態においては、音センサは、複数の電池の安全弁のそれぞれからの距離が全て異なるように配設されている。そして、弁作動検知部は、上記第1信号に基づいて、安全弁が作動した電池を判別する。
上述したとおり、音センサにより検出された音が基準値以上の大きさであれば電池モジュールの少なくとも1つの電池の安全弁が作動したことが分かる。さらに、安全弁の作動音の大きさが常に一定であるような場合には、音センサの検出した作動音の大きさに基づいて、音センサと、安全弁との距離を知ることができる。よって、電池モジュールの複数の電池の中で、安全弁が作動した電池を判別することができ、上述の効果と同様の効果を達成することができる。
本発明のさらに他の形態においては、音センサは、所定距離をおいて配置される第1センサ及び第2センサを有する。そして、弁作動検知部は、第1センサ及び第2センサがそれぞれ出力する第1信号に基づいて、安全弁が作動した電池を判別する。
例えば、各電池の安全弁が一列に並ぶように電池モジュールの複数の電池が配置されているような場合には、その並びの方向の異なった位置に第1センサ及び第2センサを配置する。これにより、安全弁が作動した電池の位置に応じて、第1センサ及び第2センサが検出する作動音の大きさの比が決まる。よって、安全弁の作動音の大きさが常に一定ではない場合にも、各センサが検出した作動音を比較することにより、安全弁が作動した電池を正確に特定することが可能となる。よって、上述の効果と同様の効果を達成することができる。
本発明の他の形態においては、複数の電池が2以上のグループに分けられるとともに、2以上のグループのそれぞれに対応して、音センサが少なくとも1つずつ配設される。そして、弁作動検知部は、グループ単位で安全弁の作動を検知する。
上述した通り、複数の電池の安全弁が2以上の方向にガスを放出するような態様では、音センサも複数個配設する必要性が生じる。そのような場合には、弁作動検知部が、グループ単位で安全弁の作動を検知するように構成する。これにより、例えば各グループを並列に接続しているような場合には、安全弁の作動が検知されたグループの電池の電流だけを遮断するような制御が可能となる。よって、安全弁の作動が検知されていないグループの電池からは、負荷機器への電力の供給が可能となり、例えば負荷機器が電気自動車であれば、所定の施設まで運転を継続させることも可能となる。
以下、図面を参照して、本発明の実施形態を説明する。
(実施形態1)
図1に、本発明の一実施形態に係る電池モジュールの概略構成をブロック図により示す。
電池モジュール10は、所定数(図示例では10個)の電池12から構成されるセル群14と、ECU(Electronic Control Unit:電子制御ユニット)16とを具備する。各電池12の安全弁42は、板状の対向部材18と対向している。対向部材18は遮音性の高い材料から形成するのが好ましい。
(実施形態1)
図1に、本発明の一実施形態に係る電池モジュールの概略構成をブロック図により示す。
電池モジュール10は、所定数(図示例では10個)の電池12から構成されるセル群14と、ECU(Electronic Control Unit:電子制御ユニット)16とを具備する。各電池12の安全弁42は、板状の対向部材18と対向している。対向部材18は遮音性の高い材料から形成するのが好ましい。
そして、各電池12の安全弁42の作動音を検出するために、所定数(図示例では1つ)の音センサ20が対向部材18と各電池12との間に配設されている。なお、音センサ20は、対向部材18と接触するように設けてもよいし、接触しないように設けてもよい。
音センサ20には、静電型(コンデンサ)マイクロフォン、動電型マイクロフォン等を使用することができる。ECU16は、マイクロプロセッサ、またはCPU(Central Processing Unit:中央処理装置)、RAM(Random Access Memory:ランダム・アクセス・メモリ)及びROM(Read Only Memory:リードオンリーメモリ)等のメモリ、入出力装置及び通信モジュールを含む。そして、ECU16は、電池容量の算出、必要充放電量の決定、及び充放電のコントロール等の制御を行う。また、ECU16は、後で説明する弁作動検知部17を含む。音センサ20の出力信号は、弁作動検知部17に入力される。
図2に、ECU及び対向部材18を取り外した状態の電池モジュールの外観を斜視図により示す。図3に、各電池12を積み重ねた状態で拘束する拘束部材の外観を斜視図により示す。電池12は、扁平角形であり、それらの厚み方向に積み重ねられることで、セル群14を構成している。セル群14の積層方向の外側には、それぞれ、一対のエンドプレート22が配置されている。
一対のエンドプレート22は、それぞれ、略長方形状であり、棒状の4本の拘束部材24により四隅が互いに連結されている。また、各エンドプレート22は、2つの長辺のそれぞれの中央位置で棒状の連結部材26により互いに連結されている。
拘束部材24の素材には、例えば、GF−PET(ガラス繊維強化ポリエチレンテレフタレート)やPC(ポリカーボネート)のような、軽量かつ高強度のエンジニアリングプラスチックを使用するのが好ましい。連結部材26には、例えば、アルマイト加工したアルミニウムを使用することができる。
図3に示すように、拘束部材24には、軸方向に並ぶように、所定数(図示例では10個)のセル係合部24aが設けられている。各電池12は、それぞれ、4本の拘束部材24のセル係合部24aと四隅がそれぞれ係合することで、一対のエンドプレート22の間で、4本の拘束部材24により支持されている。
図4に、セル群の一部分を斜視図により示す。図4は、セル群14の中で隣り合う2つの電池12に着目したものである。
セル群14において、隣り合う2つの電池12の間には、冷却用の流体を導入するための隙間が設けられている。上記隙間には、電池12の膨張を抑制し、かつ流体流路を確保するために、波状部32を有する略長方形のスペーサ30が配置されている。波状部32の両面には、流体流路として、スペーサ30の短辺と平行で真っ直ぐな複数の溝が、スペーサ30の長辺と平行な方向に一定のピッチで設けられている。スペーサ30の各面の間で、複数の溝の位相は1/2ピッチだけずれている。スペーサ30の素材には、例えば、GF−PETやPCを使用することができる。
電池12は、図示はしないが、正極、負極、およびこれらの間に介在させたセパレータ、並びに電解質で構成された発電要素を、金属製の電池ケース34に収納した二次電池である。このような二次電池としては、ニッケル水素電池やリチウムイオン電池が挙げられる。ニッケル水素電池の場合、正極にオキシ水酸化ニッケル、負極に水素吸蔵合金、電解質に水酸化カリウム水溶液が用いられる。リチウムイオン電池の場合、正極にコバルト酸リチウム、負極に黒鉛などの炭素材料が用いられる。
より具体的には、電池12は、一端部に開口を有する、有底角型の電池ケース34と、その開口を封口する封口板36とを備えている。封口板36は、全体が金属(例えば、アルミニウム)から構成されており、その表面には、負極と接続された負極外部端子38及び注液口40が突設されている。電池ケース34は正極と接続されており、電池ケース34及び封口板36が正極外部端子として機能する。
また、封口板36には、薄肉部を含む安全弁42が設けられている。その薄肉部は、封口板36に切り欠き状の溝を形成することで設けることができる。そのような安全弁42は、電池内圧が異常に上昇すると、薄肉部が比較的容易に破断して、電池ケース34の内部のガスを外部に放出する。そして、金属からなる薄肉部が破断するときに音を発生する。このように、図示例の電池12においては、安全弁42が金属部分を含んでいるので作動音が大きくなり、安全弁42の作動の検知精度が良好となる。
電池12の容量は、3〜100Ahとすることができる。電池12の容量がこのような範囲であれば、安全弁42の作動音がかなり大きくなるために、本発明を適用するのに好適である。より好適な電池12の容量の範囲は、5〜30Ahである。本発明は、そのような大型の二次電池に好適に適用することができる。
図4に示すように、図示例のセル群14において、隣り合う2つの電池12は、安全弁42の設けられた封口板36が同じ向きとなるように配設されている。その結果、セル群14全体で、各電池12の安全弁42は同じ方向にガスを放出するように、一列に並んでいる。
さらに、隣り合う2つの電池12の一方の電池12(図4では、手前側の電池12)の負極外部端子38は、他方の電池12の正極外部端子(封口板36)と、導体からなる接続板44により接続されている。そして、他方の電池12の負極外部端子38は、さらに、図示はしないが、隣の電池12の正極外部端子(封口板36)と接続板44により接続されている。このようにして、セル群14の全ての電池12が直列に接続されている。
以上のように、全ての電池12の封口板36を同じ向きに配置することで、全ての電池12の安全弁42が同じ向きにガスを放出する。このため、1つの音センサで全ての電池の安全弁42の作動音を検出することが可能となる。
なお、隣り合う電池12の封口板36が互いに反対側を向くように、各電池12を積み重ねることも可能である。この場合には、それぞれの方向に対向部材18を配置するとともに、各対向部材とセル群14との間に少なくとも1つずつ音センサを配置することで、全ての電池12の安全弁42の作動音を検出することができる。
このとき、各電池12は、封口板36の向きが異なる2つのグループに分けられていると考えることができる。そして、そのような場合には、弁作動検知部17は、各グループ単位で安全弁42の作動を検知することができる。
セル群14において、電池12の積層方向の一端部の電池12は、負極外部端子38が他の電池モジュール10または図示しない負荷機器と接続され、他端部の電池12は、正極外部端子(封口板36等)が他の電池モジュール10または図示しない負荷機器と接続されている。
図5に、図1の対向部材と対応する蓋板によりセル群の一端部を覆った状態を、斜視図により示す。蓋板46は、セル群14で各電池12の封口板36が並ぶ端部を覆っている。上記端部の反対側の端部は、別の蓋板48により覆われている。蓋板46は、図1の対向部材18と対応している。よって、蓋板46は、遮音性の高い材料から形成するのが好ましい。音センサ20は、例えば蓋板46の内側の面の中央部に取り付けることができる。
次に、安全弁の作動検知について説明する。
ECU16の弁作動検知部17は、音センサ20の出力信号に基づいて、セル群14の少なくとも1つの電池12の安全弁42が作動したことを検知する。例えば、音センサ20として、検出した音の大きさに応じた信号を出力するセンサ(前述のコンデンサマイクロフォン等)を使用する。そして、弁作動検知部17は、音センサ20の出力信号から音センサ20が検出した音の大きさ(音圧レベル)Lpを求める。そして、その音の大きさLpを基準値LpRと比較する。
ECU16の弁作動検知部17は、音センサ20の出力信号に基づいて、セル群14の少なくとも1つの電池12の安全弁42が作動したことを検知する。例えば、音センサ20として、検出した音の大きさに応じた信号を出力するセンサ(前述のコンデンサマイクロフォン等)を使用する。そして、弁作動検知部17は、音センサ20の出力信号から音センサ20が検出した音の大きさ(音圧レベル)Lpを求める。そして、その音の大きさLpを基準値LpRと比較する。
このとき、音センサ20が検出した音の大きさLpが基準値LpRに達していると(Lp≧LpR)、弁作動検知部17は、セル群14の少なくとも1つの電池12の安全弁42が作動したものと判断する。このようにして、弁作動検知部17は、音センサ20の出力信号に基づいて、セル群14に属する少なくとも1つの電池12の安全弁42が作動したことを検知することができる。ここで、基準値LpRは、ECU16のメモリ(例えばROM)に格納しておくことができる。
蓋板46(対向部材18)は、例えば、JIS−A1416に基づいて測定したときの500Hzの音成分の音響透過損失が、20〜40dBであるような部材から形成することができる。
そのような材料としては、ガラス繊維や無機フィラーを含有させた樹脂等が考えられる。また、そのような樹脂は、絶縁性および耐熱性を有するとともに、高い遮音性を備えさせることができる。エンドプレート22および拘束部材24の素材もまた、外部からの音の回り込みを抑えるために、ガラス繊維や無機フィラーを含有させた樹脂等の遮音性の高い材料を使用することが好ましい。なお、蓋板46の厚みや密度を調節することで、所望の遮音性能を得ることができる。
電池12の容量にもよるが、基準値LpRは、70〜100dBの音量に設定すればよい。より好ましくは、基準値LpRを80〜90dBの音量に設定することで、安全弁42の作動の検知精度を向上させることができる。
ECU16は、弁作動検知部17がセル群14の少なくとも1つの電池12の安全弁42が作動したことを検知すると、当該セル群14の全ての電池12の電流を遮断するように制御する。これは、図2〜図5の電池モジュール10では、各電池12が直列に接続されているからである。加えて、電池モジュール10が例えば車載用の電池モジュールであれば、その旨を運転者に警告する処理(警告灯の点灯処理等)を行ってもよい。
以上の構成により、電池モジュール10に少なくとも1つの音センサ20を設けるだけで、電池モジュール10に含まれる少なくとも1つの電池12の安全弁42が作動したことを検知することが可能となる。これにより、コストの上昇を抑えることができるとともに、配線が長大になることによる誤検知を防止することができる。
なお、音センサ20が検出音の大きさ及び周波数成分に応じた信号を出力するとともに、弁作動検知部17が、音センサ20が検出する音の大きさと、音センサ20により検出される音の周波数成分とに基づいて、安全弁42の作動を検知してもよい。あるいは、音センサ20により検出される音の周波数成分だけに基づいて、安全弁42の作動を検知してもよい。
より具体的には、電池モジュール10で各電池12の安全弁42を作動させたときの音を、あらかじめ、高速フーリエ変換法や自己回帰型の最大エントロピー法等により周波数解析する。そして、その解析結果をECU16のメモリに格納する。
安全弁42の作動を検知するときには、音センサ20により検出された音の大きさが基準値LpR以上であるか否かと、検出された音の周波数成分が周波数解析基準値に所定程度以上当てはまるか否かを判定する。そして、検出された音の大きさが基準値LpR以上であり、かつ検出された音の周波数成分が周波数解析基準値に所定程度以上当てはまる場合に、安全弁42が作動したことを検知する。以上の構成により、安全弁42の作動の誤検知を抑制することが可能となる。または、簡易的に、音センサ20により検出された音を周波数解析した結果だけから安全弁42の作動を検知することもできる。
なお、本実施形態では、電池12を扁平角形であるとしたが、電池12の形状をその他の円筒型、或いは、角柱型等としても良い。その場合にも、複数の電池12の安全弁42の設けられた封口板36が同じ向きとなるように配設し、その結果、セル群14全体で、各電池12の安全弁42が同じ方向にガスを放出するように並ばせればよい。
(実施形態2)
次に、本発明の実施形態2を説明する。実施形態2は、実施形態1を改変したものであり、その電池モジュールの構成は、基本的には、図1〜図5により示したものと同一である。よって、図1〜図5を流用して説明する。
次に、本発明の実施形態2を説明する。実施形態2は、実施形態1を改変したものであり、その電池モジュールの構成は、基本的には、図1〜図5により示したものと同一である。よって、図1〜図5を流用して説明する。
実施形態2が実施形態1と異なるのは、セル群14の各電池12の安全弁42が、それぞれ、異なる周波数の作動音を発生することである。そして、ECU16のメモリに、セル群14の各電池12の安全弁42の作動音の周波数成分を記憶させる。弁作動検知部17は、音センサ20により検出された音が基準値LpRであるときに、その音を周波数解析し、その解析結果を上記記憶された周波数成分と比較する。
そして、その解析結果が上記記憶された周波数成分のいずれかと一致すれば、その一致した電池の安全弁42が作動したと判定する。一方、その解析結果が上記記憶された周波数成分のいずれとも一致しない場合には、その音は外部の音と考えられるので、安全弁42が作動した電池12はないと判定する。これにより、各電池12の安全弁42の作動の誤検知を防止しつつ、検出音が、セル群14のいずれの電池12の安全弁42の作動音であるかを判別することが可能となる。
その結果、例えば各電池12が並列に接続されているような場合には、その電池12の電流だけを遮断することも可能となる。さらに、後で安全弁42が作動した電池12を交換するときにも、その電池12が特定されていることから、作業を効率的に行うことができる。特に、電池モジュールの構造が、外部から各電池12の安全弁42を視認し難い構造である場合には、その効果は顕著となる。
(実施形態3)
次に、図6を参照して、本発明の実施形態3を説明する。実施形態3は、実施形態1を改変したものである。図1及び図5に示したように、実施形態1の電池モジュール10においては、セル群14における電池12の並びの方向の中央部に音センサ20が配置されている。これにより、音センサ20と、セル群14の端にある電池12の安全弁42とが離れすぎないようにしている。
次に、図6を参照して、本発明の実施形態3を説明する。実施形態3は、実施形態1を改変したものである。図1及び図5に示したように、実施形態1の電池モジュール10においては、セル群14における電池12の並びの方向の中央部に音センサ20が配置されている。これにより、音センサ20と、セル群14の端にある電池12の安全弁42とが離れすぎないようにしている。
これに対して、図6の電池モジュール10Aにおいては、セル群14における電池12の並びの方向の一方の端に音センサ20を配置している。このように、電池12の並びの方向の偏った位置に音センサ20を配置することで、音センサ20と、各電池12の安全弁42との距離が全て異なったものとなる。よって、電池12毎に、音センサ20により検出される安全弁42の作動音の大きさが異なる。このため、音センサ20により検出された作動音の大きさで、安全弁42が作動した電池12の位置を知ることができる。よって、安全弁42の作動した電池12を特定することができる。
より具体的には、電池モジュール10Aで、セル群14の各電池12の安全弁42を作動させ、そのときに音センサ20により検出される音の大きさを全ての電池12についてあらかじめ計測しておく。そして、その結果をECU16のメモリに記憶させておき、音センサ20により実際に安全弁42の作動音が検出されたときに、その検出音の大きさと、メモリに記憶されたデータとを照合する。これにより、いずれの電池12で安全弁42が作動したのかを判別することができる。よって、実施形態2と同様の効果を達成することができる。このとき、基準値LpRは、音センサ20から最も遠い安全弁42の作動音をあらかじめ計測し、それをECU16のメモリに記憶させた値と等しくすることができる。
(実施形態4)
次に、図7を参照して、本発明の実施形態4を説明する。実施形態4は、実施形態1を改変したものである。図1及び図5に示したように、実施形態1の電池モジュール10においては、セル群14における電池12の並びの方向の中央部に1つの音センサ20だけが配置されている。
次に、図7を参照して、本発明の実施形態4を説明する。実施形態4は、実施形態1を改変したものである。図1及び図5に示したように、実施形態1の電池モジュール10においては、セル群14における電池12の並びの方向の中央部に1つの音センサ20だけが配置されている。
これに対して、図7の電池モジュール10Bにおいては、一対の音センサ20A及び20Bが、セル群14における電池12の並びの方向の両端に1つずつ配置されている。このように、複数の音センサ20A及び20Bを、所定距離をおいて配設することにより、安全弁42が作動した電池12の位置に応じて各音センサ20A及び20Bの検出音の大きさの比が決まる。よって、安全弁42が作動した電池12をより正確に特定することが可能となる。
より具体的には、電池モジュール10Bで、セル群14の各電池12の安全弁42を作動させ、そのときに音センサ20A及び20Bにより検出される音の大きさの比を、全ての電池12についてあらかじめ算出しておく。そして、その結果をECU16のメモリに記憶させておく。
音センサ20A及び20Bにより実際に安全弁42の作動音が検出されたときに、各検出音と基準値LpRとを比較する。その結果、両方の音センサ20A及び20Bの検出音が基準値LpR以上であれば、セル群14の少なくとも1つの電池12の安全弁42が作動したと判定する。そして、各音センサ20A及び20Bの検出音の大きさの比を算出し、算出された比と、メモリに記憶されたデータとを照合する。これにより、いずれの電池12で安全弁42が作動したのかを判別することができる。また、算出された比と、メモリに記憶されたデータとが全く一致しない場合には、その音は外部の音と考えられるので、安全弁42が作動した電池12はないと判定することもできる。よって、実施形態2と同様の効果を達成することができる。
このように、実施形態4では、複数の音センサ20A及び20Bの検出音の大きさの比に基づいて安全弁42が作動した電池12を特定するので、たとえ安全弁42の作動音の大きさが常に一定でなくとも安全弁42が作動した電池12を特定することができる。よって、正確に安全弁42が作動した電池12を判別することができる。
本発明の電池モジュールは、それに含まれる電池の安全弁の作動を簡易に検出することができる。これにより、メンテナンス等が容易となるので、電気自動車、ハイブリッド自動車用電源などの大容量かつ高出力用途として好適に用いられる。
本発明を現時点での好ましい実施態様に関して説明したが、そのような開示を限定的に解釈してはならない。種々の変形及び改変は、上記開示を読むことによって本発明に属する技術分野における当業者には間違いなく明らかになるであろう。したがって、添付の請求の範囲は、本発明の真の精神及び範囲から逸脱することなく、すべての変形及び改変を包含する、と解釈されるべきものである。
10…電池モジュール、
12…電池、
14…セル群、
16…ECU、
17…弁作動検知部、
18…対向部材、
20、20A、20B…音センサ、
42…安全弁、
46…蓋板、
12…電池、
14…セル群、
16…ECU、
17…弁作動検知部、
18…対向部材、
20、20A、20B…音センサ、
42…安全弁、
46…蓋板、
本発明は、電池モジュールに関し、より具体的には、電池モジュールの安全性を向上させる技術に関する。
例えば、電気自動車やハイブリッド自動車の駆動用電源には、多数個の電池(例えば二次電池)が、直列または並列に、あるいは並列と直列とを組み合わせて接続された状態で使用されている。そして、1または複数個の電池を1単位として、それに充放電の制御回路や安全装置を付加して1つにまとめたものを電池パックもしくは電池モジュールと呼ぶ。電気自動車やハイブリッド自動車では、通常、複数個の電池モジュールを互いに電気的に接続して使用している。
そのような電池モジュールに使用される高容量電池、特にリチウムイオン電池には、通常、防爆弁等の安全弁が備えられている。電池が異常な高温環境下に置かれた場合や過充電状態になった場合には電池内部で多量のガスが発生する。この際に、電池内圧が異常に上昇すると、ガスを外部に逃がすために安全弁が作動する。
安全弁が作動した電池は、それ以上の使用を中止するために、電流が遮断される。よって、安全弁の作動を検知する必要性が生じる。このため、例えば特許文献1では、安全弁の近傍に噴出ガスの温度を検知する温度センサを配置することが提案されている。特許文献2では、安全弁が作動すると同時に切断されるように、安全弁にワイヤを取り付け、そのワイヤの切断を検知して、安全弁の作動を検知することが提案されている。
ところが、安全弁の近傍に温度センサを配置する場合には、複数の電池のそれぞれに温度センサを設ける必要があり、コストが上昇するとともに、電池モジュールが大型化する。特に、電気自動車等の駆動用電源においては、電池の個数が100個以上に達する場合もある。そのような場合には、温度センサの数も大量になり、コストが大幅に上昇する。また、温度センサを制御回路等と接続するための配線も非常に長くなる。このため、配線へのノイズの混入による誤検知も増大する。
さらに、安全弁の作動の検知に温度センサを使用する方法には、検知に時間を要するという根本的な問題がある。安全弁の作動直後は噴出ガスの温度も低いために、安全弁の作動を検知するまでには時間を要する。その結果、電池に異常が発生したときに、迅速に電流を遮断することができないことも考えられる。
また、安全弁にワイヤを取り付けて、安全弁の作動を検知する方法では、電池の製造工程で個々の電池に煩雑な加工を行う必要があり、工数が増大する。その結果、電池の製造ラインを組み替える必要性も生じる。このため、コストはさらに増大する。また、この場合にも配線長が長くなることにより誤検知が増大することは、温度センサを設ける場合と同様である。
本発明は、電池モジュールを構成する電池の安全弁の作動を簡易かつ十分な精度で検知することを目的としている。
本発明の一局面は、互いに電気的に接続されるとともに、内圧が所定値以上になると内部ガスを外部に放出する安全弁をそれぞれ有する複数の電池と、
前記複数の電池の前記安全弁と対向する少なくとも1つの対向部材と、
前記対向部材と、前記複数の電池との間に配置され、前記安全弁の作動音を検出する少なくとも1つの音センサと、を具備する、電池モジュールに関する。
前記複数の電池の前記安全弁と対向する少なくとも1つの対向部材と、
前記対向部材と、前記複数の電池との間に配置され、前記安全弁の作動音を検出する少なくとも1つの音センサと、を具備する、電池モジュールに関する。
電池モジュールは、前記音センサの出力信号に基づいて、前記安全弁が作動したことを検知する弁作動検知部を具備する。前記音センサは、検出した音の大きさに応じた第1信号を出力する。前記弁作動検知部は、前記第1信号が基準値以上の音の大きさに対応するときに、前記安全弁が作動したものと判断する。
ここで、互いに電気的に接続された複数の電池は、電池集合体もしくはセル群とも称される。そして、電池集合体の少なくとも一部を覆う前記対向部材は、遮音部材として機能することが好ましい。音センサは、前記対向部材と電池集合体との間、すなわち対向部材の電池集合体側に配置される。安全弁は、例えば前記電池の内圧が所定値以上であると破断して、内部ガスを外部に放出する易破断部を含む弁機構を有する。前記音センサの出力信号に基づいて、前記安全弁(弁機構)が作動したことを検知する弁作動検知部は、所定の制御部(ECU等)に設けることができる。
本発明においては、複数の電池に対して、1つ、もしくは少数の音センサを設けるだけで、複数の電池の安全弁の作動を検知することができる。したがって、システムの複雑化及び大型化を招くことなく、十分な精度で安全弁の作動を検知することができる。
本発明の新規な特徴を添付の請求の範囲に記述するが、本発明は、構成及び内容の両方に関し、本発明の他の目的及び特徴と併せ、図面を照合した以下の詳細な説明によりさらによく理解されるであろう。
本発明の電池モジュールは、互いに電気的に接続されるとともに、内圧が所定値以上になると内部ガスを外部に放出する安全弁をそれぞれ有する複数の電池と、それらの電池の安全弁と間隔をあけて対向配置される少なくとも1つの対向部材と、その対向部材と電池との間に配置され、安全弁の作動音を検出する音センサと、を具備する。ここで、電池モジュールには、音センサの出力信号に基づいて、安全弁が作動したことを検知する弁作動検知部を具備させる。音センサは、検出した音の大きさに応じた第1信号を出力する。弁作動検知部は、第1信号が基準値以上の音の大きさに対応するときに、安全弁が作動したものと判断する。ただし、弁作動検知部は、音センサと連携して機能できる態様であれば、電池モジュールと一体に設置されていなくてもよく、電池モジュールが装着される負荷機器等、電池モジュールの外部に設けることもできる。
安全弁は、電池内圧が異常に上昇したような場合に、電池内部のガスを外部に噴出するように作動する。したがって、安全弁が作動すると比較的に大きな音が発生する。よって、各電池の安全弁と対向する対向部材を、安全弁とは間隔をあけて配置するとともに、その対向部材と電池との間に音センサを配置することで、音センサにより安全弁の作動音を容易に検出することができる。よって、電池モジュールに少なくとも1つの音センサを設けるだけで、その音センサの出力信号に基づいて、複数の電池の中の少なくとも1つの電池の安全弁が作動したことを検知することが可能となる。
ここで、音センサを、全ての電池の安全弁の比較的近傍の位置に配置し、その外側に対向部材を配置すれば、たとえ音センサの感度を低くしても、安全弁の作動音を容易に検出することができる。さらに、音センサの感度を低くすることで、外部の音が検出され難くなり、安全弁の作動を誤検知するのを防止することができる。よって、音センサと、対向部材の配置を適切なものとすることで、十分な精度で安全弁の作動を検知することが可能となる。このとき、音センサは、1つに限らず、各電池の安全弁と音センサとの距離が大きくなりすぎないように、2以上の音センサを使用することができる。
また、複数の電池の安全弁が全て同じ方向にガスを放出するのではなく、2以上の方向にガスを放出するように各電池が配置されているような場合には、その全ての方向に対向部材を配置するとともに、それらの対向部材と電池との間にそれぞれ音センサを配置すれば、全ての電池の安全弁の作動を十分な精度で検知するができる。
なお、複数の電池の安全弁のガスを放出する方向が2以下となるように各電池を配置するのが、音センサの数の増大を抑えるためには好ましい。これにより、コストの増大を抑えることができるとともに、配線長の増大も抑えることができる。したがって、ノイズの混入による誤検知を抑制して、高い精度で安全弁の作動を検知することができる。
ここで、対向部材は、外部の音を遮断するという観点からは、できるだけ高い遮音性を有する材料から形成するのが好ましい。これにより、検知精度が向上する。特に限定されないが、JIS−A1416に基づいて測定される500Hzの音成分の音響透過損失が、20〜40dBとなるように対向部材を形成することができる。
以上のように、本発明は、少なくとも1つの音センサを使用するだけで、電池モジュールの全ての電池について、簡易かつ十分な精度で安全弁の作動を検知することができる。よって、システムの複雑化及び大型化を招くことなく、簡易かつ十分な精度で全ての電池の安全弁の作動を検知することができる。よって、コスト上昇を抑えることができる。さらに、安全弁が作動すると、その作動を、ほとんど間をおくことなく、直ちに検知することができる。よって、安全弁が作動したときに、電池の電流を遮断する等の必要な処置を迅速に行うことができる。
なお、安全弁が、電池の発電要素を収容する金属製の電池ケース、ないしはその電池ケースの開口を封口する金属製の封口板に設けられた薄肉部(易破断部)を含む態様では、その薄肉部が金属であることにより、一般的に、安全弁の作動音は比較的大きくなる。したがって、そのような場合には、安全弁の作動を、より高い精度で検知することができる。
本発明の一形態においては、音センサは、検出した音の大きさに応じた第1信号を出力し、弁作動検知部は、第1信号が基準値以上の音の大きさに対応するときに、安全弁が作動したものと判断する。
このような方法で安全弁の作動を検知することで、機構が複雑化するのを防止することができる。上記以外で安全弁の作動を検知する方法としては、例えば、安全弁の作動音をあらかじめ周波数解析し、その結果を記憶しておくことが考えられる。そして、電池モジュールの使用中に音センサで検出された音を周波数解析し、その結果が、上記記憶された結果と一致すれば、安全弁が作動したと判定することができる。そのような検知方法では、音センサで検出された音を周波数解析するための回路が必要となる。
これに対して、音センサにより検出される音の大きさ(例えば音圧レベル)を基準値と比較することで安全弁の作動を検知する本形態では、高い処理能力を有する演算処理装置等を弁作動検知部に使用することなく、十分な精度で安全弁の作動を検知することができる。よって、コスト上昇を抑えることができる。また、処理に時間を要しないので、安全弁が作動したことを直ちに検知することができる。
本発明の他の形態においては、電池モジュールの複数の電池の安全弁の少なくとも1つの作動音の周波数が、他の安全弁の作動音の周波数と異なっている。音センサは、第1信号とともに、検出した作動音の周波数に応じた第2信号を出力する。そして、弁作動検知部は、第1信号及び第2信号に基づいて、複数の電池のいずれの安全弁が作動したかを判別する。
例えば、複数の電池の安全弁の作動音の周波数を2種類にすれば、複数の電池を2つのグループに分けることができる。そして、音センサにより検出された作動音を周波数解析することで、どちらのグループの電池の安全弁が作動したのかを知ることができる。よって、安全弁が作動した電池を特定しやすくなる。さらに、例えば電池モジュールに含まれる全ての電池の安全弁の作動音の周波数を互いに異ならせれば、音センサにより検出された作動音を周波数解析することで、どの電池の安全弁が作動したのかを正確に知ることができる。なお、第1信号は、安全弁が作動した電池があるのか否かを判別するのに使用することができる。
その結果、安全弁が作動した電池の電流だけを遮断することも可能となる。さらに、後でその電池を交換するときの作業を効率よく行うことができる。特に、電池モジュールの構造が、各電池の安全弁を外部から視認し難いような構造となっているような場合には、その効果が顕著となる。
本発明のさらに他の形態においては、音センサは、複数の電池の安全弁のそれぞれからの距離が全て異なるように配設されている。そして、弁作動検知部は、上記第1信号に基づいて、安全弁が作動した電池を判別する。
上述したとおり、音センサにより検出された音が基準値以上の大きさであれば電池モジュールの少なくとも1つの電池の安全弁が作動したことが分かる。さらに、安全弁の作動音の大きさが常に一定であるような場合には、音センサの検出した作動音の大きさに基づいて、音センサと、安全弁との距離を知ることができる。よって、電池モジュールの複数の電池の中で、安全弁が作動した電池を判別することができ、上述の効果と同様の効果を達成することができる。
本発明のさらに他の形態においては、音センサは、所定距離をおいて配置される第1センサ及び第2センサを有する。そして、弁作動検知部は、第1センサ及び第2センサがそれぞれ出力する第1信号に基づいて、安全弁が作動した電池を判別する。
例えば、各電池の安全弁が一列に並ぶように電池モジュールの複数の電池が配置されているような場合には、その並びの方向の異なった位置に第1センサ及び第2センサを配置する。これにより、安全弁が作動した電池の位置に応じて、第1センサ及び第2センサが検出する作動音の大きさの比が決まる。よって、安全弁の作動音の大きさが常に一定ではない場合にも、各センサが検出した作動音を比較することにより、安全弁が作動した電池を正確に特定することが可能となる。よって、上述の効果と同様の効果を達成することができる。
本発明の他の形態においては、複数の電池が2以上のグループに分けられるとともに、2以上のグループのそれぞれに対応して、音センサが少なくとも1つずつ配設される。そして、弁作動検知部は、グループ単位で安全弁の作動を検知する。
上述した通り、複数の電池の安全弁が2以上の方向にガスを放出するような態様では、音センサも複数個配設する必要性が生じる。そのような場合には、弁作動検知部が、グループ単位で安全弁の作動を検知するように構成する。これにより、例えば各グループを並列に接続しているような場合には、安全弁の作動が検知されたグループの電池の電流だけを遮断するような制御が可能となる。よって、安全弁の作動が検知されていないグループの電池からは、負荷機器への電力の供給が可能となり、例えば負荷機器が電気自動車であれば、所定の施設まで運転を継続させることも可能となる。
以下、図面を参照して、本発明の実施形態を説明する。
(実施形態1)
図1に、本発明の一実施形態に係る電池モジュールの概略構成をブロック図により示す。
電池モジュール10は、所定数(図示例では10個)の電池12から構成されるセル群14と、ECU(Electronic Control Unit:電子制御ユニット)16とを具備する。各電池12の安全弁42は、板状の対向部材18と対向している。対向部材18は遮音性の高い材料から形成するのが好ましい。
(実施形態1)
図1に、本発明の一実施形態に係る電池モジュールの概略構成をブロック図により示す。
電池モジュール10は、所定数(図示例では10個)の電池12から構成されるセル群14と、ECU(Electronic Control Unit:電子制御ユニット)16とを具備する。各電池12の安全弁42は、板状の対向部材18と対向している。対向部材18は遮音性の高い材料から形成するのが好ましい。
そして、各電池12の安全弁42の作動音を検出するために、所定数(図示例では1つ)の音センサ20が対向部材18と各電池12との間に配設されている。なお、音センサ20は、対向部材18と接触するように設けてもよいし、接触しないように設けてもよい。
音センサ20には、静電型(コンデンサ)マイクロフォン、動電型マイクロフォン等を使用することができる。ECU16は、マイクロプロセッサ、またはCPU(Central Processing Unit:中央処理装置)、RAM(Random Access Memory:ランダム・アクセス・メモリ)及びROM(Read Only Memory:リードオンリーメモリ)等のメモリ、入出力装置及び通信モジュールを含む。そして、ECU16は、電池容量の算出、必要充放電量の決定、及び充放電のコントロール等の制御を行う。また、ECU16は、後で説明する弁作動検知部17を含む。音センサ20の出力信号は、弁作動検知部17に入力される。
図2に、ECU及び対向部材18を取り外した状態の電池モジュールの外観を斜視図により示す。図3に、各電池12を積み重ねた状態で拘束する拘束部材の外観を斜視図により示す。電池12は、扁平角形であり、それらの厚み方向に積み重ねられることで、セル群14を構成している。セル群14の積層方向の外側には、それぞれ、一対のエンドプレート22が配置されている。
一対のエンドプレート22は、それぞれ、略長方形状であり、棒状の4本の拘束部材24により四隅が互いに連結されている。また、各エンドプレート22は、2つの長辺のそれぞれの中央位置で棒状の連結部材26により互いに連結されている。
拘束部材24の素材には、例えば、GF−PET(ガラス繊維強化ポリエチレンテレフタレート)やPC(ポリカーボネート)のような、軽量かつ高強度のエンジニアリングプラスチックを使用するのが好ましい。連結部材26には、例えば、アルマイト加工したアルミニウムを使用することができる。
図3に示すように、拘束部材24には、軸方向に並ぶように、所定数(図示例では10個)のセル係合部24aが設けられている。各電池12は、それぞれ、4本の拘束部材24のセル係合部24aと四隅がそれぞれ係合することで、一対のエンドプレート22の間で、4本の拘束部材24により支持されている。
図4に、セル群の一部分を斜視図により示す。図4は、セル群14の中で隣り合う2つの電池12に着目したものである。
セル群14において、隣り合う2つの電池12の間には、冷却用の流体を導入するための隙間が設けられている。上記隙間には、電池12の膨張を抑制し、かつ流体流路を確保するために、波状部32を有する略長方形のスペーサ30が配置されている。波状部32の両面には、流体流路として、スペーサ30の短辺と平行で真っ直ぐな複数の溝が、スペーサ30の長辺と平行な方向に一定のピッチで設けられている。スペーサ30の各面の間で、複数の溝の位相は1/2ピッチだけずれている。スペーサ30の素材には、例えば、GF−PETやPCを使用することができる。
電池12は、図示はしないが、正極、負極、およびこれらの間に介在させたセパレータ、並びに電解質で構成された発電要素を、金属製の電池ケース34に収納した二次電池である。このような二次電池としては、ニッケル水素電池やリチウムイオン電池が挙げられる。ニッケル水素電池の場合、正極にオキシ水酸化ニッケル、負極に水素吸蔵合金、電解質に水酸化カリウム水溶液が用いられる。リチウムイオン電池の場合、正極にコバルト酸リチウム、負極に黒鉛などの炭素材料が用いられる。
より具体的には、電池12は、一端部に開口を有する、有底角型の電池ケース34と、その開口を封口する封口板36とを備えている。封口板36は、全体が金属(例えば、アルミニウム)から構成されており、その表面には、負極と接続された負極外部端子38及び注液口40が突設されている。電池ケース34は正極と接続されており、電池ケース34及び封口板36が正極外部端子として機能する。
また、封口板36には、薄肉部を含む安全弁42が設けられている。その薄肉部は、封口板36に切り欠き状の溝を形成することで設けることができる。そのような安全弁42は、電池内圧が異常に上昇すると、薄肉部が比較的容易に破断して、電池ケース34の内部のガスを外部に放出する。そして、金属からなる薄肉部が破断するときに音を発生する。このように、図示例の電池12においては、安全弁42が金属部分を含んでいるので作動音が大きくなり、安全弁42の作動の検知精度が良好となる。
電池12の容量は、3〜100Ahとすることができる。電池12の容量がこのような範囲であれば、安全弁42の作動音がかなり大きくなるために、本発明を適用するのに好適である。より好適な電池12の容量の範囲は、5〜30Ahである。本発明は、そのような大型の二次電池に好適に適用することができる。
図4に示すように、図示例のセル群14において、隣り合う2つの電池12は、安全弁42の設けられた封口板36が同じ向きとなるように配設されている。その結果、セル群14全体で、各電池12の安全弁42は同じ方向にガスを放出するように、一列に並んでいる。
さらに、隣り合う2つの電池12の一方の電池12(図4では、手前側の電池12)の負極外部端子38は、他方の電池12の正極外部端子(封口板36)と、導体からなる接続板44により接続されている。そして、他方の電池12の負極外部端子38は、さらに、図示はしないが、隣の電池12の正極外部端子(封口板36)と接続板44により接続されている。このようにして、セル群14の全ての電池12が直列に接続されている。
以上のように、全ての電池12の封口板36を同じ向きに配置することで、全ての電池12の安全弁42が同じ向きにガスを放出する。このため、1つの音センサで全ての電池の安全弁42の作動音を検出することが可能となる。
なお、隣り合う電池12の封口板36が互いに反対側を向くように、各電池12を積み重ねることも可能である。この場合には、それぞれの方向に対向部材18を配置するとともに、各対向部材とセル群14との間に少なくとも1つずつ音センサを配置することで、全ての電池12の安全弁42の作動音を検出することができる。
このとき、各電池12は、封口板36の向きが異なる2つのグループに分けられていると考えることができる。そして、そのような場合には、弁作動検知部17は、各グループ単位で安全弁42の作動を検知することができる。
セル群14において、電池12の積層方向の一端部の電池12は、負極外部端子38が他の電池モジュール10または図示しない負荷機器と接続され、他端部の電池12は、正極外部端子(封口板36等)が他の電池モジュール10または図示しない負荷機器と接続されている。
図5に、図1の対向部材と対応する蓋板によりセル群の一端部を覆った状態を、斜視図により示す。蓋板46は、セル群14で各電池12の封口板36が並ぶ端部を覆っている。上記端部の反対側の端部は、別の蓋板48により覆われている。蓋板46は、図1の対向部材18と対応している。よって、蓋板46は、遮音性の高い材料から形成するのが好ましい。音センサ20は、例えば蓋板46の内側の面の中央部に取り付けることができる。
次に、安全弁の作動検知について説明する。
ECU16の弁作動検知部17は、音センサ20の出力信号に基づいて、セル群14の少なくとも1つの電池12の安全弁42が作動したことを検知する。例えば、音センサ20として、検出した音の大きさに応じた信号を出力するセンサ(前述のコンデンサマイクロフォン等)を使用する。そして、弁作動検知部17は、音センサ20の出力信号から音センサ20が検出した音の大きさ(音圧レベル)Lpを求める。そして、その音の大きさLpを基準値LpRと比較する。
ECU16の弁作動検知部17は、音センサ20の出力信号に基づいて、セル群14の少なくとも1つの電池12の安全弁42が作動したことを検知する。例えば、音センサ20として、検出した音の大きさに応じた信号を出力するセンサ(前述のコンデンサマイクロフォン等)を使用する。そして、弁作動検知部17は、音センサ20の出力信号から音センサ20が検出した音の大きさ(音圧レベル)Lpを求める。そして、その音の大きさLpを基準値LpRと比較する。
このとき、音センサ20が検出した音の大きさLpが基準値LpRに達していると(Lp≧LpR)、弁作動検知部17は、セル群14の少なくとも1つの電池12の安全弁42が作動したものと判断する。このようにして、弁作動検知部17は、音センサ20の出力信号に基づいて、セル群14に属する少なくとも1つの電池12の安全弁42が作動したことを検知することができる。ここで、基準値LpRは、ECU16のメモリ(例えばROM)に格納しておくことができる。
蓋板46(対向部材18)は、例えば、JIS−A1416に基づいて測定したときの500Hzの音成分の音響透過損失が、20〜40dBであるような部材から形成することができる。
そのような材料としては、ガラス繊維や無機フィラーを含有させた樹脂等が考えられる。また、そのような樹脂は、絶縁性および耐熱性を有するとともに、高い遮音性を備えさせることができる。エンドプレート22および拘束部材24の素材もまた、外部からの音の回り込みを抑えるために、ガラス繊維や無機フィラーを含有させた樹脂等の遮音性の高い材料を使用することが好ましい。なお、蓋板46の厚みや密度を調節することで、所望の遮音性能を得ることができる。
電池12の容量にもよるが、基準値LpRは、70〜100dBの音量に設定すればよい。より好ましくは、基準値LpRを80〜90dBの音量に設定することで、安全弁42の作動の検知精度を向上させることができる。
ECU16は、弁作動検知部17がセル群14の少なくとも1つの電池12の安全弁42が作動したことを検知すると、当該セル群14の全ての電池12の電流を遮断するように制御する。これは、図2〜図5の電池モジュール10では、各電池12が直列に接続されているからである。加えて、電池モジュール10が例えば車載用の電池モジュールであれば、その旨を運転者に警告する処理(警告灯の点灯処理等)を行ってもよい。
以上の構成により、電池モジュール10に少なくとも1つの音センサ20を設けるだけで、電池モジュール10に含まれる少なくとも1つの電池12の安全弁42が作動したことを検知することが可能となる。これにより、コストの上昇を抑えることができるとともに、配線が長大になることによる誤検知を防止することができる。
なお、音センサ20が検出音の大きさ及び周波数成分に応じた信号を出力するとともに、弁作動検知部17が、音センサ20が検出する音の大きさと、音センサ20により検出される音の周波数成分とに基づいて、安全弁42の作動を検知してもよい。あるいは、音センサ20により検出される音の周波数成分だけに基づいて、安全弁42の作動を検知してもよい。
より具体的には、電池モジュール10で各電池12の安全弁42を作動させたときの音を、あらかじめ、高速フーリエ変換法や自己回帰型の最大エントロピー法等により周波数解析する。そして、その解析結果をECU16のメモリに格納する。
安全弁42の作動を検知するときには、音センサ20により検出された音の大きさが基準値LpR以上であるか否かと、検出された音の周波数成分が周波数解析基準値に所定程度以上当てはまるか否かを判定する。そして、検出された音の大きさが基準値LpR以上であり、かつ検出された音の周波数成分が周波数解析基準値に所定程度以上当てはまる場合に、安全弁42が作動したことを検知する。以上の構成により、安全弁42の作動の誤検知を抑制することが可能となる。または、簡易的に、音センサ20により検出された音を周波数解析した結果だけから安全弁42の作動を検知することもできる。
なお、本実施形態では、電池12を扁平角形であるとしたが、電池12の形状をその他の円筒型、或いは、角柱型等としても良い。その場合にも、複数の電池12の安全弁42の設けられた封口板36が同じ向きとなるように配設し、その結果、セル群14全体で、各電池12の安全弁42が同じ方向にガスを放出するように並ばせればよい。
(実施形態2)
次に、本発明の実施形態2を説明する。実施形態2は、実施形態1を改変したものであり、その電池モジュールの構成は、基本的には、図1〜図5により示したものと同一である。よって、図1〜図5を流用して説明する。
次に、本発明の実施形態2を説明する。実施形態2は、実施形態1を改変したものであり、その電池モジュールの構成は、基本的には、図1〜図5により示したものと同一である。よって、図1〜図5を流用して説明する。
実施形態2が実施形態1と異なるのは、セル群14の各電池12の安全弁42が、それぞれ、異なる周波数の作動音を発生することである。そして、ECU16のメモリに、セル群14の各電池12の安全弁42の作動音の周波数成分を記憶させる。弁作動検知部17は、音センサ20により検出された音が基準値LpRであるときに、その音を周波数解析し、その解析結果を上記記憶された周波数成分と比較する。
そして、その解析結果が上記記憶された周波数成分のいずれかと一致すれば、その一致した電池の安全弁42が作動したと判定する。一方、その解析結果が上記記憶された周波数成分のいずれとも一致しない場合には、その音は外部の音と考えられるので、安全弁42が作動した電池12はないと判定する。これにより、各電池12の安全弁42の作動の誤検知を防止しつつ、検出音が、セル群14のいずれの電池12の安全弁42の作動音であるかを判別することが可能となる。
その結果、例えば各電池12が並列に接続されているような場合には、その電池12の電流だけを遮断することも可能となる。さらに、後で安全弁42が作動した電池12を交換するときにも、その電池12が特定されていることから、作業を効率的に行うことができる。特に、電池モジュールの構造が、外部から各電池12の安全弁42を視認し難い構造である場合には、その効果は顕著となる。
(実施形態3)
次に、図6を参照して、本発明の実施形態3を説明する。実施形態3は、実施形態1を改変したものである。図1及び図5に示したように、実施形態1の電池モジュール10においては、セル群14における電池12の並びの方向の中央部に音センサ20が配置されている。これにより、音センサ20と、セル群14の端にある電池12の安全弁42とが離れすぎないようにしている。
次に、図6を参照して、本発明の実施形態3を説明する。実施形態3は、実施形態1を改変したものである。図1及び図5に示したように、実施形態1の電池モジュール10においては、セル群14における電池12の並びの方向の中央部に音センサ20が配置されている。これにより、音センサ20と、セル群14の端にある電池12の安全弁42とが離れすぎないようにしている。
これに対して、図6の電池モジュール10Aにおいては、セル群14における電池12の並びの方向の一方の端に音センサ20を配置している。このように、電池12の並びの方向の偏った位置に音センサ20を配置することで、音センサ20と、各電池12の安全弁42との距離が全て異なったものとなる。よって、電池12毎に、音センサ20により検出される安全弁42の作動音の大きさが異なる。このため、音センサ20により検出された作動音の大きさで、安全弁42が作動した電池12の位置を知ることができる。よって、安全弁42の作動した電池12を特定することができる。
より具体的には、電池モジュール10Aで、セル群14の各電池12の安全弁42を作動させ、そのときに音センサ20により検出される音の大きさを全ての電池12についてあらかじめ計測しておく。そして、その結果をECU16のメモリに記憶させておき、音センサ20により実際に安全弁42の作動音が検出されたときに、その検出音の大きさと、メモリに記憶されたデータとを照合する。これにより、いずれの電池12で安全弁42が作動したのかを判別することができる。よって、実施形態2と同様の効果を達成することができる。このとき、基準値LpRは、音センサ20から最も遠い安全弁42の作動音をあらかじめ計測し、それをECU16のメモリに記憶させた値と等しくすることができる。
(実施形態4)
次に、図7を参照して、本発明の実施形態4を説明する。実施形態4は、実施形態1を改変したものである。図1及び図5に示したように、実施形態1の電池モジュール10においては、セル群14における電池12の並びの方向の中央部に1つの音センサ20だけが配置されている。
次に、図7を参照して、本発明の実施形態4を説明する。実施形態4は、実施形態1を改変したものである。図1及び図5に示したように、実施形態1の電池モジュール10においては、セル群14における電池12の並びの方向の中央部に1つの音センサ20だけが配置されている。
これに対して、図7の電池モジュール10Bにおいては、一対の音センサ20A及び20Bが、セル群14における電池12の並びの方向の両端に1つずつ配置されている。このように、複数の音センサ20A及び20Bを、所定距離をおいて配設することにより、安全弁42が作動した電池12の位置に応じて各音センサ20A及び20Bの検出音の大きさの比が決まる。よって、安全弁42が作動した電池12をより正確に特定することが可能となる。
より具体的には、電池モジュール10Bで、セル群14の各電池12の安全弁42を作動させ、そのときに音センサ20A及び20Bにより検出される音の大きさの比を、全ての電池12についてあらかじめ算出しておく。そして、その結果をECU16のメモリに記憶させておく。
音センサ20A及び20Bにより実際に安全弁42の作動音が検出されたときに、各検出音と基準値LpRとを比較する。その結果、両方の音センサ20A及び20Bの検出音が基準値LpR以上であれば、セル群14の少なくとも1つの電池12の安全弁42が作動したと判定する。そして、各音センサ20A及び20Bの検出音の大きさの比を算出し、算出された比と、メモリに記憶されたデータとを照合する。これにより、いずれの電池12で安全弁42が作動したのかを判別することができる。また、算出された比と、メモリに記憶されたデータとが全く一致しない場合には、その音は外部の音と考えられるので、安全弁42が作動した電池12はないと判定することもできる。よって、実施形態2と同様の効果を達成することができる。
このように、実施形態4では、複数の音センサ20A及び20Bの検出音の大きさの比に基づいて安全弁42が作動した電池12を特定するので、たとえ安全弁42の作動音の大きさが常に一定でなくとも安全弁42が作動した電池12を特定することができる。よって、正確に安全弁42が作動した電池12を判別することができる。
本発明の電池モジュールは、それに含まれる電池の安全弁の作動を簡易に検出することができる。これにより、メンテナンス等が容易となるので、電気自動車、ハイブリッド自動車用電源などの大容量かつ高出力用途として好適に用いられる。
本発明を現時点での好ましい実施態様に関して説明したが、そのような開示を限定的に解釈してはならない。種々の変形及び改変は、上記開示を読むことによって本発明に属する技術分野における当業者には間違いなく明らかになるであろう。したがって、添付の請求の範囲は、本発明の真の精神及び範囲から逸脱することなく、すべての変形及び改変を包含する、と解釈されるべきものである。
10…電池モジュール、
12…電池、
14…セル群、
16…ECU、
17…弁作動検知部、
18…対向部材、
20、20A、20B…音センサ、
42…安全弁、
46…蓋板、
12…電池、
14…セル群、
16…ECU、
17…弁作動検知部、
18…対向部材、
20、20A、20B…音センサ、
42…安全弁、
46…蓋板、
Claims (7)
- 互いに電気的に接続されるとともに、内圧が所定値以上になると内部ガスを外部に放出する安全弁をそれぞれ有する複数の電池と、
前記複数の電池の前記安全弁と対向する少なくとも1つの対向部材と、
前記対向部材と、前記複数の電池との間に配置され、前記安全弁の作動音を検出する少なくとも1つの音センサと、を具備する、電池モジュール。 - 前記音センサの出力信号に基づいて、前記安全弁が作動したことを検知する弁作動検知部を具備する、請求項1記載の電池モジュール。
- 前記音センサが、検出した音の大きさに応じた第1信号を出力し、前記弁作動検知部は、前記第1信号が基準値以上の音の大きさに対応するときに、前記安全弁が作動したものと判断する、請求項2記載の電池モジュール。
- 前記複数の電池の前記安全弁の少なくとも1つの作動音の周波数が、他の前記安全弁の作動音の周波数と異なっており、
前記音センサが、さらに、検出した音の周波数に応じた第2信号を出力し、
前記弁作動検知部は、前記第1信号及び第2信号に基づいて、前記安全弁が作動した電池を判別する、請求項3に記載の電池モジュール。 - 前記音センサが、前記複数の電池の前記安全弁のそれぞれからの距離が全て異なるように配設されており、
前記弁作動検知部は、前記第1信号に基づいて、前記安全弁が作動した電池を判別する、請求項3記載の電池モジュール。 - 前記音センサが、所定距離をおいて配置される第1センサ及び第2センサを有し、
前記弁作動検知部は、前記第1センサ及び第2センサがそれぞれ出力する前記第1信号に基づいて、前記安全弁が作動した電池を判別する、請求項3記載の電池モジュール。 - 前記複数の電池が2以上のグループに分けられるとともに、
前記2以上のグループのそれぞれと対応して、前記音センサが少なくとも1つずつ配設されており、
前記弁作動検知部は、前記グループ単位で前記安全弁の作動を検知する、請求項2〜6のいずれか1項に記載の電池モジュール。
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