JPWO2011052426A1 - 太陽電池の評価装置及び評価方法 - Google Patents
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Abstract
この太陽電池の評価方法は、基板(11)上に少なくとも第一電極層(13),半導体層(14),及び第二電極層(15)をこの順に重ねられた光電変換体(12)と、光電変換効率が評価される所定領域と、前記所定領域の周辺に位置する周辺領域とを含む太陽電池(10)を準備し、前記所定領域の前記半導体層(14)及び前記第二電極層(15)を前記周辺領域から電気的に絶縁し、前記半導体層(14)及び前記第二電極層(15)が前記周辺領域から電気的に絶縁された前記所定領域を含む領域に光を照射し、前記所定領域を含む領域に光を照射されている時の前記所定領域における電流電圧特性を測定する。
Description
本発明は、太陽電池の所望の領域において、光電変換効率を簡便かつ高精度に局所的に評価できる評価方法及び評価装置に関する。
本願は、2009年10月26日に出願された特願2009−245672号に基づき優先権を主張し、その内容をここに援用する。
本願は、2009年10月26日に出願された特願2009−245672号に基づき優先権を主張し、その内容をここに援用する。
エネルギーの効率的な利用の観点から、近年、太陽電池はますます広く一般に利用されつつある。特に、シリコン単結晶を利用した太陽電池は単位面積当たりのエネルギー変換効率に優れている。しかし一方でシリコン単結晶を利用した太陽電池は、シリコン単結晶インゴットをスライスしたシリコンウエハを用いるため、インゴットの製造に大量のエネルギーが費やされ、製造コストが高い。特に、屋外などに設置される大面積の太陽電池を実現する場合、シリコン単結晶を利用して太陽電池を製造すると、現状では相当にコストが掛かる。そこで、より安価に製造可能なアモルファス(非晶質)シリコン薄膜を利用した太陽電池が、低コストの太陽電池として普及している。
アモルファスシリコン太陽電池は、光を受けると電子とホールを発生するアモルファスシリコン膜(i型)が、p型およびn型のシリコン膜によって挟まれたpin接合と呼ばれる層構造の半導体膜を用いている。この半導体膜の両面には、それぞれ電極が形成されている。太陽光によって発生した電子及びホールは、p型・n型半導体の電位差によって活発に移動し、これが連続的に繰り返されることで両面の電極に電位差が生じる。
こうしたアモルファスシリコン太陽電池の具体的な構成としては、例えば、ガラス基板にTCO(Transparent Conductive Oxide)などの透明電極を下部電極として成膜し、この上にアモルファスシリコンからなる半導体膜と、上部電極となるAg薄膜などが形成された構成が採用される。
このような上下電極と半導体膜からなる光電変換体を備えたアモルファスシリコン太陽電池においては、基板上に広い面積で均一に各層を成膜しただけでは電位差が小さく、また抵抗値が大きくなる問題がある。そのため、例えば、光電変換体を所定のサイズごとに電気的に区画した区画素子を形成し、互いに隣接する区画素子を電気的に接続することにより、アモルファスシリコン太陽電池が構成されている。具体的には、基板上に広い面積で均一に形成された光電変換体に、レーザ光などでスクライブ線(スクライブライン)と称される溝を形成して多数の短冊状の区画素子を得て、この区画素子が電気的に直列に接続された構造が採用される。
このような上下電極と半導体膜からなる光電変換体を備えたアモルファスシリコン太陽電池においては、基板上に広い面積で均一に各層を成膜しただけでは電位差が小さく、また抵抗値が大きくなる問題がある。そのため、例えば、光電変換体を所定のサイズごとに電気的に区画した区画素子を形成し、互いに隣接する区画素子を電気的に接続することにより、アモルファスシリコン太陽電池が構成されている。具体的には、基板上に広い面積で均一に形成された光電変換体に、レーザ光などでスクライブ線(スクライブライン)と称される溝を形成して多数の短冊状の区画素子を得て、この区画素子が電気的に直列に接続された構造が採用される。
ところで、こうした構造の薄膜太陽電池においては、製造段階にて幾つかの構造欠陥が生じることが知られている。例えば、薄膜の成膜時にパーティクルが薄膜太陽電池に混入したり、ピンホールが生じたりすることにより、上部電極と下部電極とが局所的に短絡することがある。また、基板上に光電変換体を形成した後に、スクライブ線によって光電変換体を多数の区画素子に分割する際に、このスクライブ線に沿って上部電極を構成する金属膜が溶融して下部電極に達し、上部電極と下部電極とが溶融金属によって局所的に短絡することもある。このように短絡すると、薄膜面に平行な方向において、光電変換効率が局所的に変化し、不均一な光電変換効率の分布(偏り)が生じる。
更に、薄膜太陽電池の大型化に伴い、成膜条件や成膜装置の状態に起因して、薄膜面に平行な方向において不均一な光電変換効率の分布が生じ易く、太陽電池の品質にばらつきが生じ易い。
そこで、光電変換効率を精度良く測定でき、不均一な光電変換効率の分布が生じている場合には、不均一な分布を生じさせている箇所を精度良く特定できる技術の開発が望まれている。
更に、薄膜太陽電池の大型化に伴い、成膜条件や成膜装置の状態に起因して、薄膜面に平行な方向において不均一な光電変換効率の分布が生じ易く、太陽電池の品質にばらつきが生じ易い。
そこで、光電変換効率を精度良く測定でき、不均一な光電変換効率の分布が生じている場合には、不均一な分布を生じさせている箇所を精度良く特定できる技術の開発が望まれている。
これに対して従来は、例えば、複数の小型の薄膜太陽電池(ミニセル)を作製し、光電変換効率を測定する手法が採用されている(特許文献1及び2参照)。以下、図6A〜図6Fを引用して、具体的に説明する。図6A〜図6Fは、太陽電池の一部の光電変換効率を局所的に測定する従来の測定法を説明するための概略断面図である。
まず、図6Aに示すように、光透過性を有する基板11’上に第一電極層13(下部電極)及び半導体層14’をこの順に積層する。
次いで、図6Bに示すように、半導体層14’上に、所望のパターンを有する第二電極層15’(上部電極)を形成するために用いられるマスク91をパターニングによって半導体層14’上に形成する。マスクを形成する方法としては、例えば、半導体層14’上にフォトレジストを積層し、露光及び現像を行うなど、公知のパターニング方法が用いられる。
次いで、図6Cに示すように、マスク91がパターニングされた半導体層14’上に、第二電極層15’を積層する。その後、図6Dに示すように、マスク91を除去し、第二電極層15’をパターニングする。
次いで、図6Eに示すように、マスク91の除去により露出されている半導体層14’の一部を除去し、除去部を形成する。その後、図6Fに示すように、除去部の一部において、第一電極層13及び半導体層14’に接触するように、且つ第二電極層15’に接触しないように、導電層92を設ける。導電層92の材料としては、例えば、はんだを用いることができる。図7は、このようなミニセル10aを備えた太陽電池10’の概略平面図を示す。
まず、図6Aに示すように、光透過性を有する基板11’上に第一電極層13(下部電極)及び半導体層14’をこの順に積層する。
次いで、図6Bに示すように、半導体層14’上に、所望のパターンを有する第二電極層15’(上部電極)を形成するために用いられるマスク91をパターニングによって半導体層14’上に形成する。マスクを形成する方法としては、例えば、半導体層14’上にフォトレジストを積層し、露光及び現像を行うなど、公知のパターニング方法が用いられる。
次いで、図6Cに示すように、マスク91がパターニングされた半導体層14’上に、第二電極層15’を積層する。その後、図6Dに示すように、マスク91を除去し、第二電極層15’をパターニングする。
次いで、図6Eに示すように、マスク91の除去により露出されている半導体層14’の一部を除去し、除去部を形成する。その後、図6Fに示すように、除去部の一部において、第一電極層13及び半導体層14’に接触するように、且つ第二電極層15’に接触しないように、導電層92を設ける。導電層92の材料としては、例えば、はんだを用いることができる。図7は、このようなミニセル10aを備えた太陽電池10’の概略平面図を示す。
上記のように得られた太陽電池10’を使用して、図8に示すように、遮光板93を使用してミニセル10aに局所的に光を照射し、ミニセル10aの光電変換効率を局所的に測定する。図8は、ミニセルに光を照射する従来法を説明するための概略断面図である。図8において、符号330は、電流電圧測定器等のプローブを示し、ミニセル10a内に形成された第二電極層15’に導電層92が接触されている。このように電流電圧特性を測定する装置を使用して、ミニセルにおける光電変換効率を局所的に測定する。
しかし、上記の従来法では、図6Eに示す半導体層14’の一部の除去作業が手作業により針を使用して行われている。この作業は、熟練を要する作業であり、容易に除去作業を行うことができないという問題点があった。更に、太陽電池は一般的に大型であり、基板面に平行な方向における太陽電池の中央部に近い領域で光電変換効率を測定するためには、例えば、図9に示すように、太陽電池10’を複数の小型電池に分割してから光電変換効率を測定する必要がある。このため、光電変換効率を測定する工程が煩雑であるという問題点があった。図9は、太陽電池10’が複数の小型電池に分割された例を示す概略図である。更に、図8に示すように、ミニセル10aに局所的に光を照射するためには、遮光板93のような、光が照射される領域を限定する部材を使用する必要があり、光電変換効率を測定する工程が煩雑であるという問題点があった。このように、太陽電池の光電変換効率を測定する工程は、煩雑であり、汎用性が低く、自動化も困難であるという問題があった。
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、薄膜太陽電池の所望の領域において、光電変換効率を簡便かつ高精度に局所的に評価できる評価方法及び評価装置を提供することを目的とする。
上記課題を解決するため、本発明の第1態様の太陽電池の評価方法は、基板上に少なくとも第一電極層,半導体層,及び第二電極層をこの順に重ねられた光電変換体と、光電変換効率が評価される所定領域と、前記所定領域の周辺に位置する周辺領域とを含む太陽電池を準備し、前記所定領域の前記半導体層及び前記第二電極層を前記周辺領域から電気的に絶縁し、前記半導体層及び前記第二電極層が前記周辺領域から電気的に絶縁された前記所定領域を含む領域に光を照射し、前記所定領域を含む領域に光を照射されている時の前記所定領域における電流電圧特性を測定する。
本発明の第1態様の太陽電池の評価方法においては、前記基板は、光透過性を有し、前記第一電極層が形成される第1面と、前記第1面とは反対の第2面とを有し、前記第2面にレーザを入射させながら前記第1面上に形成されている前記第一電極層にレーザを照射することによって、前記半導体層及び第二電極層が除去された絶縁領域を形成し、前記周辺領域から前記所定領域を絶縁させることが好ましい。
本発明の第1態様の太陽電池の評価方法においては、前記所定領域の前記第二電極層と前記絶縁領域の前記第一電極層とにプローブを接触させて、電流電圧特性を測定することが好ましい。
上記課題を解決するため、本発明の第2態様の太陽電池の評価装置は、基板上に少なくとも第一電極層,半導体層,及び第二電極層をこの順に重ねられた光電変換体と、光電変換効率が評価される所定領域と、前記所定領域の周辺に位置する周辺領域とを含む太陽電池を評価する。この評価装置は、前記所定領域の前記半導体層及び前記第二電極層を前記周辺領域から電気的に絶縁する絶縁部と、前記半導体層及び前記第二電極層が前記周辺領域から電気的に絶縁された前記所定領域を含む領域に光を照射する照射部と、前記所定領域を含む領域に光を照射されている時の前記所定領域における電流電圧特性を測定する測定部とを含む。
本発明の第2態様の太陽電池の評価装置においては、前記絶縁部はレーザ光源を含み、前記照射部は光源を含み、前記測定部は電流又は電圧を検出するプローブを含み、前記レーザ光源,光源,及びプローブの少なくとも一つは、前記所定領域上を独立して移動可能であることが好ましい。
本発明によれば、薄膜太陽電池の所望の領域において、光電変換効率を簡便かつ高精度に局所的に評価できる。
以下、本発明に係る太陽電池の評価方法及び評価装置の一実施形態について、図面に基づき説明する。
本発明の技術範囲は、以下に述べる実施形態に限定されることなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることが可能である。
また、以下の説明に用いる各図面では、各部材を認識可能な大きさとするため、各部材の縮尺を適宜変更している。
本発明の技術範囲は、以下に述べる実施形態に限定されることなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることが可能である。
また、以下の説明に用いる各図面では、各部材を認識可能な大きさとするため、各部材の縮尺を適宜変更している。
<太陽電池の評価方法>
図1Aは、本発明の一実施形態の評価方法によって評価される太陽電池を示す概略断面図である。図1Bは、図1Aの符号Aで示された部分を示す拡大断面図である。
太陽電池10は、基板11の第1面11aに、少なくとも第一電極層13(下部電極),半導体層14,及び第二電極層15(上部電極)がこの順に積層された光電変換体12を備える。
図1Aは、本発明の一実施形態の評価方法によって評価される太陽電池を示す概略断面図である。図1Bは、図1Aの符号Aで示された部分を示す拡大断面図である。
太陽電池10は、基板11の第1面11aに、少なくとも第一電極層13(下部電極),半導体層14,及び第二電極層15(上部電極)がこの順に積層された光電変換体12を備える。
基板11は、例えば、ガラスや透明樹脂等、太陽光の透過性に優れ、かつ耐久性を有する絶縁材料で形成されている。このような基板11の第2面11bに太陽光を入射させることで、太陽電池10を発電させることができる。
第一電極層13は、透明な導電材料、例えば、TCO、ITOなどの光透過性の金属酸化物で形成されている。また、第二電極層15は、Ag、Cuなど導電性の金属膜で形成されている。
例えば、太陽電池10が薄膜シリコン太陽電池である場合、半導体層14は、図1Bに示すように、p型シリコン膜17とn型シリコン膜18との間にi型シリコン膜16が挟まれたpin接合構造を有する。そして、この半導体層14に太陽光が入射すると、電子とホールが生じ、p型シリコン膜17とn型シリコン膜18との電位差によって電子とホールは活発に移動し、これが連続的に繰り返されることで第一電極層13と第二電極層15との間に電位差が生じる(光電変換)。なお、シリコン膜の材料としては、アモルファス型、ナノクリスタル型等、いずれの材料が採用される。
光電変換体12は、通常、スクライブ線によって、例えば、外形が短冊状の多数の区画素子に分割されている(図示略)。この区画素子は、互いに電気的に区画されるとともに、互いに隣接する区画素子の間で、例えば、電気的に直列に接続される。これにより、光電変換体12は、多数の区画素子が全て電気的に直列に接続された構造を有し、高い電位差の電流を取り出すことができる。スクライブ線は、例えば、基板11の第1面11aに均一に光電変換体12を形成した後、レーザ等によって光電変換体12に所定の間隔で溝を形成することにより形成される。本実施形態においては、以下に説明する操作を、スクライブ線が形成されていない領域において行う。
本実施形態の太陽電池10の光電変換体12が形成されている面においては、以下に述べるように、光電変換効率が評価される所定領域、及び所定領域の周辺に位置する周辺領域になる領域が設定されている。
本実施形態においては、光電変換体12を構成する第二電極15上に、更に絶縁性の樹脂等からなる保護層(図示略)が形成されていてもよい。
本実施形態においては、光電変換体12を構成する第二電極15上に、更に絶縁性の樹脂等からなる保護層(図示略)が形成されていてもよい。
(絶縁工程)
本実施形態の評価方法においては、太陽電池が有する所定領域(評価対象である所定領域)における光電変換効率を測定するために、所定領域を周辺領域から電気的に絶縁させる工程(絶縁工程)を行う。絶縁工程は、例えば、図2A及び図2Bに示すように行われる。図2A及び図2Bは、絶縁工程後の太陽電池を示す図であり、図2Aは太陽電池を示す平面図、図2Bは図2AのI−I線における太陽電池を示す断面図である。即ち、半導体層14及び第二電極層15を除去することによって絶縁領域19を形成し、絶縁領域19によって包囲された領域Rが周辺領域から電気的に絶縁された所定領域として規定される。
本実施形態の評価方法においては、太陽電池が有する所定領域(評価対象である所定領域)における光電変換効率を測定するために、所定領域を周辺領域から電気的に絶縁させる工程(絶縁工程)を行う。絶縁工程は、例えば、図2A及び図2Bに示すように行われる。図2A及び図2Bは、絶縁工程後の太陽電池を示す図であり、図2Aは太陽電池を示す平面図、図2Bは図2AのI−I線における太陽電池を示す断面図である。即ち、半導体層14及び第二電極層15を除去することによって絶縁領域19を形成し、絶縁領域19によって包囲された領域Rが周辺領域から電気的に絶縁された所定領域として規定される。
絶縁領域19は、例えば、レーザを光電変換体12に照射することで設けられる。レーザの波長は、500〜560nm程度の範囲内であることが好ましく、通常、532nmの緑色レーザを用いることが好ましい。
レーザは、基板11の第2面11b(第1面11aとは反対の面)に入射し、レーザで太陽電池10を照射することが好ましい。光電変換体12を照射するレーザの軌道(レーザ走査パターン)は、例えば、図3に示すように、x軸方向(形成される領域Rの一辺に直交する方向)及びx軸方向と直交するy軸方向(形成される領域Rの前記一辺に対して略平行な方向)の2つの方向が組み合わされた軌道である。また、図3において、記号「→」(矢印)で示された方向に沿って、交互にレーザを光電変換体12に照射することにより、簡便且つ高精度に絶縁領域19を形成することができる。ただし、本発明において、光電変換体12を照射するレーザの軌道は、本実施形態に限定されない。領域Rの形状,領域Rの個数,領域Rの位置等に応じて、レーザの軌道は適切に決定される。
レーザは、基板11の第2面11b(第1面11aとは反対の面)に入射し、レーザで太陽電池10を照射することが好ましい。光電変換体12を照射するレーザの軌道(レーザ走査パターン)は、例えば、図3に示すように、x軸方向(形成される領域Rの一辺に直交する方向)及びx軸方向と直交するy軸方向(形成される領域Rの前記一辺に対して略平行な方向)の2つの方向が組み合わされた軌道である。また、図3において、記号「→」(矢印)で示された方向に沿って、交互にレーザを光電変換体12に照射することにより、簡便且つ高精度に絶縁領域19を形成することができる。ただし、本発明において、光電変換体12を照射するレーザの軌道は、本実施形態に限定されない。領域Rの形状,領域Rの個数,領域Rの位置等に応じて、レーザの軌道は適切に決定される。
基板11の面に平行な方向における領域Rの表面積(図2Aの平面図における領域Rの表面積)は、目的に応じて任意に設定することができ、例えば、評価時に使用される電流電圧測定器等のプローブ間の距離等を考慮して、領域Rの表面積を適切に設定してもよい。通常、領域Rの表面積は、1〜100mm2程度であることが好ましく、9〜49mm2程度であることがより好ましい。領域Rの形状が、例えば、本実施形態に示すように略四角形状である場合には、領域Rの一辺の長さは1〜10mm程度であることが好ましく、3〜7mm程度であることがより好ましい。
一方、基板11の面に平行な方向における絶縁領域19の表面積(図2Aの平面図における絶縁領域19の表面積)も、目的に応じて任意に設定できるが、領域Rと同様に、評価時に使用される電流電圧測定器等のプローブ間の距離等を考慮して、絶縁領域19の表面積を設定してもよい。絶縁領域19のうち、広域部19aの表面積は、通常、領域Rの表面積と同じであることが好ましい。そして、絶縁領域19のうち、帯状部19bの幅は、通常、10〜200μm程度であることが好ましく、80〜120μm程度であることがより好ましい。
本実施形態においては、領域R及び絶縁領域19の広域部19aの表面形状が略四角形状である場合を述べた。換言すると、領域R及び絶縁領域19の広域部19aの立体形状(全体の形状)が略四角柱状である場合を述べた。本発明において、領域R及び絶縁領域19の広域部19aの形状は、本実施形態に示された形状に限定されず、その他の形状でもよい。
また、本実施形態においては、第一電極層13が除去されていない構造が例示されているが、半導体層14に近い第一電極層13の一部が除去されていてもよい。
また、本実施形態においては、第一電極層13が除去されていない構造が例示されているが、半導体層14に近い第一電極層13の一部が除去されていてもよい。
上述した絶縁工程は、手作業による熟練作業が不要であり、簡便かつ高精度に絶縁工程を行うことができ、絶縁工程の自動化も可能である。また、太陽電池が大型である場合であっても、基板面に平行な方向における太陽電池の中央部に近い領域で光電変換効率を測定するために、太陽電池を複数個に分割する工程も不要である。更に、はんだ等からなる導電層を設けることによって基板11と第二電極層15とを電気的に接続する工程も不要である。
(照射工程)
本実施形態の評価方法においては、上述した絶縁工程を行った後に、絶縁された所定領域を含む領域に光を照射する工程(照射工程)を行う。
例えば、図2A及び図2Bに示す絶縁工程後の太陽電池の場合、光が照射される領域は、領域Rを含む必要があり、領域Rの外側の領域を含んでもよい。照射工程においては、基板11の第2面11bに光を入射させ、光を基板11に通過させ、太陽電池に光を照射する。
絶縁工程において評価対象である領域Rが周辺領域から電気的に絶縁されているので、照射工程においては遮光板等を用いることによって光が照射される領域を限定する工程が不要であり、照射工程を簡便に行うことできる。
本実施形態の評価方法においては、上述した絶縁工程を行った後に、絶縁された所定領域を含む領域に光を照射する工程(照射工程)を行う。
例えば、図2A及び図2Bに示す絶縁工程後の太陽電池の場合、光が照射される領域は、領域Rを含む必要があり、領域Rの外側の領域を含んでもよい。照射工程においては、基板11の第2面11bに光を入射させ、光を基板11に通過させ、太陽電池に光を照射する。
絶縁工程において評価対象である領域Rが周辺領域から電気的に絶縁されているので、照射工程においては遮光板等を用いることによって光が照射される領域を限定する工程が不要であり、照射工程を簡便に行うことできる。
(測定工程)
本実施形態の評価方法においては、次いで、照射工程による光照射時に、所定領域における電流電圧特性を測定する工程(測定工程)を行う。
例えば、図2A及び図2Bに示す絶縁工程後の太陽電池においては、図4に示すように領域Rの第二電極層15(即ち、光の照射面とは反対の太陽電池10の面に設けられた第二電極層15)と、絶縁領域19の第一電極層13とに接触するようにプローブ330,330を配置して、電流電圧特性を測定する。この時、領域Rは、領域Rが形成されていない領域(その他の領域、周辺領域)から確実に絶縁されているので、領域Rは、周辺領域の影響を受けることがない。
本実施形態の評価方法においては、次いで、照射工程による光照射時に、所定領域における電流電圧特性を測定する工程(測定工程)を行う。
例えば、図2A及び図2Bに示す絶縁工程後の太陽電池においては、図4に示すように領域Rの第二電極層15(即ち、光の照射面とは反対の太陽電池10の面に設けられた第二電極層15)と、絶縁領域19の第一電極層13とに接触するようにプローブ330,330を配置して、電流電圧特性を測定する。この時、領域Rは、領域Rが形成されていない領域(その他の領域、周辺領域)から確実に絶縁されているので、領域Rは、周辺領域の影響を受けることがない。
以上のように、本実施形態の評価方法によって、太陽電池の所定領域における光電変換効率を簡便かつ高精度に評価できる。また、本実施形態の方法を用いることにより、上述した工程(評価方法)の自動化を好適に行うこともできる。
<太陽電池の評価装置>
次に、上述した評価方法を行うための本発明の一実施形態の評価装置について説明する。この評価装置は、絶縁部と、照射部と、測定部とを備える。絶縁部は、所定領域を周辺領域から電気的に絶縁する。照射部は、周辺領域から電気的に絶縁された所定領域を含む領域に光を照射する。測定部は、所定領域を含む領域に光を照射されている時の所定領域における電流電圧特性を測定する。
評価対象である所定領域は、例えば、図2A及び図2Bに示す絶縁工程後の太陽電池における領域Rである。
次に、上述した評価方法を行うための本発明の一実施形態の評価装置について説明する。この評価装置は、絶縁部と、照射部と、測定部とを備える。絶縁部は、所定領域を周辺領域から電気的に絶縁する。照射部は、周辺領域から電気的に絶縁された所定領域を含む領域に光を照射する。測定部は、所定領域を含む領域に光を照射されている時の所定領域における電流電圧特性を測定する。
評価対象である所定領域は、例えば、図2A及び図2Bに示す絶縁工程後の太陽電池における領域Rである。
絶縁部としては、例えば、レーザ光源を備えたレーザ照射装置を採用することができる。照射部としては、例えば、光源を備えた光照射装置を採用することができる。なお、本実施形態においては、「光源」は「照射部を構成する光源」を表し、「絶縁部を構成するレーザ光源」とは区別される。測定部としては、例えば、プローブを複数備えた電流電圧測定器を採用することができる。
本実施形態の評価装置は、レーザ光源,光源,及びプローブの少なくとも一つ(移動可能な装置)が、独立して、評価対象である所定領域上を移動できるように構成されていることが好ましい。この場合、評価装置は、レーザ光源,光源,及びプローブの少なくとも一つを所定領域上に移動させる第一固定部を備えることが好ましい。この場合、第一固定部に設けられた装置(レーザ光源,光源,及びプローブ)が移動である。
また、複数の第一固定部を評価装置に設け、第一固定部がレーザ光源,光源,及びプローブの各々に独立して設けられてもよい。この場合、複数の第一固定部によって、レーザ光源,光源,及びプローブの各々を独立して移動させ、所望の位置に停止させ、位置決めを行うことが可能になる。
また、このような第一固定部には、第一固定部と電気的に接続されたコンピュータ等からなる第一制御部が設けられていることが好ましい。この場合、第一制御部は、第一固定部の動きを自動的に制御することが可能になる。
更に、本実施形態の評価装置においては、評価される太陽電池が固定されると共に、太陽電池を移動させ、所望の位置に停止させ、位置決めを行う第二固定部が設けられていることが好ましい。
また、このような第二固定部には、第二固定部と電気的に接続されたコンピュータ等からなる第二制御部が設けられていることが好ましい。この場合、第二制御部は、第二固定部の動きを自動的に制御することが可能になる。
また、第一制御部及び第二制御部は、一体に構成されてもよい。なお、ここで、レーザ光源等が移動する「所定領域上」とは、「太陽電池の基板上」又は「光電変換体上」であってもよい。
また、複数の第一固定部を評価装置に設け、第一固定部がレーザ光源,光源,及びプローブの各々に独立して設けられてもよい。この場合、複数の第一固定部によって、レーザ光源,光源,及びプローブの各々を独立して移動させ、所望の位置に停止させ、位置決めを行うことが可能になる。
また、このような第一固定部には、第一固定部と電気的に接続されたコンピュータ等からなる第一制御部が設けられていることが好ましい。この場合、第一制御部は、第一固定部の動きを自動的に制御することが可能になる。
更に、本実施形態の評価装置においては、評価される太陽電池が固定されると共に、太陽電池を移動させ、所望の位置に停止させ、位置決めを行う第二固定部が設けられていることが好ましい。
また、このような第二固定部には、第二固定部と電気的に接続されたコンピュータ等からなる第二制御部が設けられていることが好ましい。この場合、第二制御部は、第二固定部の動きを自動的に制御することが可能になる。
また、第一制御部及び第二制御部は、一体に構成されてもよい。なお、ここで、レーザ光源等が移動する「所定領域上」とは、「太陽電池の基板上」又は「光電変換体上」であってもよい。
図5は、本実施形態の評価装置を示す概略構成図である。
図5に示された評価装置3は、レーザ照射装置31,光照射装置32,及び電流電圧測定器33を備える。レーザ照射装置31においては、レーザ光源が太陽電池10の基板11に対向するように配置されている。光照射装置32においては、光源が太陽電池10の基板11に対向するように配置されている。電流電圧測定器33においては、太陽電池10の第二電極層15に接触可能な四つのプローブ330,330,・・・が配置されている。
図5に示された評価装置3は、レーザ照射装置31,光照射装置32,及び電流電圧測定器33を備える。レーザ照射装置31においては、レーザ光源が太陽電池10の基板11に対向するように配置されている。光照射装置32においては、光源が太陽電池10の基板11に対向するように配置されている。電流電圧測定器33においては、太陽電池10の第二電極層15に接触可能な四つのプローブ330,330,・・・が配置されている。
電流電圧測定器33は、電圧プローブと電流プローブが別々に設けられたプローブを二つ備えた、いわゆる四端子型の測定器である。また、レーザ照射装置31は、波長が500〜560nm程度の範囲内、通常は532nmの緑色レーザを太陽電池10に照射する構造を有することが好ましい。
レーザ照射装置31,光照射装置32,電流電圧測定器33,及び太陽電池10の各々は、第一固定部又は第二固定部(図示略)に固定されており、独立して図5のX軸方向,Y軸方向,及びZ軸方向にも移動可能である。
ただし、レーザ照射装置31,光照射装置32,電流電圧測定器33,及び太陽電池10から選択される移動可能な装置、移動可能な装置の組合せ、及び移動方向は、上述した実施形態に限定されない。移動可能な装置、移動可能な装置の組合せ、及び移動方向は、目的に応じて任意に選択され、設定される。例えば、レーザ照射装置31がX軸方向及びY軸方向に移動可能であってもよいし、光照射装置32及び電流電圧測定器33がY軸方向に移動可能であってもよいし、太陽電池10がX軸方向に移動可能であってもよい。また、レーザ照射装置31,光照射装置32,電流電圧測定器33,及び太陽電池10の少なくとも一つがZ軸方向において固定されてもよい。ただし、上述した実施形態は、本発明の一例であり、状況に応じた実施形態が採用される。
レーザ照射装置31,光照射装置32,電流電圧測定器33,及び太陽電池10の各々は、第一固定部又は第二固定部(図示略)に固定されており、独立して図5のX軸方向,Y軸方向,及びZ軸方向にも移動可能である。
ただし、レーザ照射装置31,光照射装置32,電流電圧測定器33,及び太陽電池10から選択される移動可能な装置、移動可能な装置の組合せ、及び移動方向は、上述した実施形態に限定されない。移動可能な装置、移動可能な装置の組合せ、及び移動方向は、目的に応じて任意に選択され、設定される。例えば、レーザ照射装置31がX軸方向及びY軸方向に移動可能であってもよいし、光照射装置32及び電流電圧測定器33がY軸方向に移動可能であってもよいし、太陽電池10がX軸方向に移動可能であってもよい。また、レーザ照射装置31,光照射装置32,電流電圧測定器33,及び太陽電池10の少なくとも一つがZ軸方向において固定されてもよい。ただし、上述した実施形態は、本発明の一例であり、状況に応じた実施形態が採用される。
なお、本実施形態においては、四端子型の電流電圧測定器について説明したが、例えば、電圧プローブ及び電流プローブが一体に設けられたプローブを二つ備えた電流電圧測定器を使用することもできる。また、この場合、電流電圧測定器として、プローブを二つ備えた構造以外に、2n(nは2以上の整数を表す)個のプローブを備えた構造が採用されてもよい。このような構造を採用することにより、複数の所定領域における電流電圧特性を同時に測定したり、一つの所定領域について複数個のプローブを用いて同時に電流電圧特性を測定したりすることができる。また、電流電圧測定器と同様に、光源を一つ備えた光照射装置を用いてもよく、n(nは2以上の整数を表す)個の光源を備えた光照射装置を用いてもよい。
本実施形態の評価装置を用いることにより、半導体層及び第二電極層を容易かつ正確に除去できるので、評価対象である所定領域を、簡便かつ高精度に周辺領域から絶縁させることができる。また、本実施形態の評価装置を用いることにより、上述した工程(評価方法)の自動化を好適に行うこともできる。そして、大量のサンプル(複数の領域R)において、上述した評価方法を短時間に行うことができる。
本発明によれば、太陽電池において周辺領域から電気的に絶縁された所定領域を設け、この所定領域を含む領域に光を照射することで、周辺領域の影響を受けることなく、所定領域の電流電圧特性を測定でき、光電変換効率を局所的に高精度に評価できる。
例えば、複数の領域Rにおいて光電変換効率を評価した結果、複数の領域Rのうち一つの領域の光電変換効率が他の領域の光電変換効率とは大きく異なっている場合、領域中に構造欠陥が存在すると判断できる。一方、本発明の評価方法を適用しない場合には、得られた測定結果が、構造欠陥の影響を受けているか否かを正確に判断することが困難である。
このように、本発明は、太陽電池の薄膜面に平行な方向における光電変換効率の分布を簡便かつ高精度に評価し、分布が生じている場合には、その箇所を簡便かつ高精度に特定する装置及び方法を提供する。
例えば、複数の領域Rにおいて光電変換効率を評価した結果、複数の領域Rのうち一つの領域の光電変換効率が他の領域の光電変換効率とは大きく異なっている場合、領域中に構造欠陥が存在すると判断できる。一方、本発明の評価方法を適用しない場合には、得られた測定結果が、構造欠陥の影響を受けているか否かを正確に判断することが困難である。
このように、本発明は、太陽電池の薄膜面に平行な方向における光電変換効率の分布を簡便かつ高精度に評価し、分布が生じている場合には、その箇所を簡便かつ高精度に特定する装置及び方法を提供する。
本発明は、太陽電池の所望の領域において、光電変換効率を簡便かつ高精度に局所的に評価できる評価方法及び評価装置に広く適用可能である。
3・・・評価装置、10・・・太陽電池、11・・・基板、11a・・・第1面、11b・・・第2面、12・・・光電変換体、13・・・第一電極層、14・・・半導体層、15・・・第二電極層、19・・・絶縁領域、31・・・レーザ照射装置、32・・・光照射装置、33・・・電流電圧測定器、330・・・プローブ。
Claims (5)
- 太陽電池の評価方法であって、
基板上に少なくとも第一電極層,半導体層,及び第二電極層をこの順に重ねられた光電変換体と、光電変換効率が評価される所定領域と、前記所定領域の周辺に位置する周辺領域とを含む太陽電池を準備し、
前記所定領域の前記半導体層及び前記第二電極層を前記周辺領域から電気的に絶縁し、
前記半導体層及び前記第二電極層が前記周辺領域から電気的に絶縁された前記所定領域を含む領域に光を照射し、
前記所定領域を含む領域に光を照射されている時の前記所定領域における電流電圧特性を測定する
ことを特徴とする太陽電池の評価方法。 - 請求項1に記載の太陽電池の評価方法であって、
前記基板は、光透過性を有し、前記第一電極層が形成される第1面と、前記第1面とは反対の第2面とを有し、
前記第2面にレーザを入射させながら前記第1面上に形成されている前記第一電極層にレーザを照射することによって、前記半導体層及び第二電極層が除去された絶縁領域を形成し、前記周辺領域から前記所定領域を絶縁させる
ことを特徴とする太陽電池の評価方法。 - 請求項1又は請求項2に記載の太陽電池の評価方法であって、
前記所定領域の前記第二電極層と前記絶縁領域の前記第一電極層とにプローブを接触させて、電流電圧特性を測定する
ことを特徴とする太陽電池の評価方法。 - 基板上に少なくとも第一電極層,半導体層,及び第二電極層をこの順に重ねられた光電変換体と、光電変換効率が評価される所定領域と、前記所定領域の周辺に位置する周辺領域とを含む太陽電池を評価する評価装置であって、
前記所定領域の前記半導体層及び前記第二電極層を前記周辺領域から電気的に絶縁する絶縁部と、
前記半導体層及び前記第二電極層が前記周辺領域から電気的に絶縁された前記所定領域を含む領域に光を照射する照射部と、
前記所定領域を含む領域に光を照射されている時の前記所定領域における電流電圧特性を測定する測定部と、
を含むことを特徴とする太陽電池の評価装置。 - 請求項4に記載の太陽電池の評価装置であって、
前記絶縁部はレーザ光源を含み、前記照射部は光源を含み、前記測定部は電流又は電圧を検出するプローブを含み、
前記レーザ光源,光源,及びプローブの少なくとも一つは、前記所定領域上を独立して移動可能である
ことを特徴とする太陽電池の評価装置。
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