JPWO2010137702A1 - カラーフィルタ用熱硬化性インクジェットインク - Google Patents
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Abstract
保存安定性及び硬化性に優れ、熱硬化後の耐薬品性に優れ、色域再現性の良いカラーフィルタ用熱硬化性インクジェットインク、又は、熱硬化後の密着性、表面硬度、及び平坦性に優れたカラーフィルタ用熱硬化性インクジェットインクを提供する。多官能性モノマー、バインダ樹脂、顔料、顔料分散剤、及び溶剤を含有するカラーフィルタ用熱硬化性インクジェットインクであって、前記多官能性モノマーが、1分子内にエチレン性不飽和結合を4個以上有する化合物であり、且つ、前記バインダ樹脂が、(A)エポキシ基とエチレン性不飽和結合とを有するエポキシ基含有モノマーと(B)脂環式炭化水素基とエチレン性不飽和結合とを有する脂環式炭化水素含有モノマーとを少なくとも含んで共重合させてなるアクリル系共重合体であることを特徴とする、カラーフィルタ用熱硬化性インクジェットインクである。
Description
本発明は、インクジェット方式を用いて所定パターンの画素を形成するのに用いられるカラーフィルタ用熱硬化性インクジェットインクに関する。
近年、パーソナルコンピュータの発達、特に携帯用パーソナルコンピュータの発達に伴い、液晶ディスプレイ、とりわけカラー液晶ディスプレイの需要が増加する傾向にある。
このような液晶ディスプレイのカラーフィルタにおいては、通常赤(R)、緑(G)、および青(B)の3原色の着色パターンを備え、R、G、およびBのそれぞれの画素に対応する電極をON、OFFさせることで液晶がシャッタとして作動し、R、G、およびBのそれぞれの画素を光が通過してカラー表示が行われるものである。
従来より行われているカラーフィルタの製造方法としては、例えば染色法が挙げられる。この染色法は、まずガラス基板上に染色用の材料である水溶性の高分子材料を形成し、これをフォトリソグラフィー工程により所望の形状にパターニングした後、得られたパターンを染色浴に浸漬して着色されたパターンを得る。これを3回繰り返すことによりR、G、およびBの画素を形成する。また、他の方法としては顔料分散法がある。この方法は、まず基板上に顔料を分散した感光性樹脂層を形成し、これをパターニングすることにより単色のパターンを得る。さらにこの工程を3回繰り返すことにより、R、G、およびBの画素を形成する。さらに他の方法としては、電着法や、熱硬化樹脂に顔料を分散させてR、G、およびBの3回印刷を行った後、樹脂を熱硬化させる方法等を挙げることができる。
このような液晶ディスプレイのカラーフィルタにおいては、通常赤(R)、緑(G)、および青(B)の3原色の着色パターンを備え、R、G、およびBのそれぞれの画素に対応する電極をON、OFFさせることで液晶がシャッタとして作動し、R、G、およびBのそれぞれの画素を光が通過してカラー表示が行われるものである。
従来より行われているカラーフィルタの製造方法としては、例えば染色法が挙げられる。この染色法は、まずガラス基板上に染色用の材料である水溶性の高分子材料を形成し、これをフォトリソグラフィー工程により所望の形状にパターニングした後、得られたパターンを染色浴に浸漬して着色されたパターンを得る。これを3回繰り返すことによりR、G、およびBの画素を形成する。また、他の方法としては顔料分散法がある。この方法は、まず基板上に顔料を分散した感光性樹脂層を形成し、これをパターニングすることにより単色のパターンを得る。さらにこの工程を3回繰り返すことにより、R、G、およびBの画素を形成する。さらに他の方法としては、電着法や、熱硬化樹脂に顔料を分散させてR、G、およびBの3回印刷を行った後、樹脂を熱硬化させる方法等を挙げることができる。
しかしながら、いずれの方法も、R、G、及びBの3色を着色するために、同一の工程を3回繰り返す必要があり、コスト高になるという問題や、同様の工程を繰り返すため歩留まりが低下するという問題がある。
これらの問題点を解決したカラーフィルタの製造方法として、特許文献1には、熱硬化性樹脂を含有する着色インクをインクジェット方式で基板上に吹き付け、加熱することにより画素部を形成することが記載されている。
これらの問題点を解決したカラーフィルタの製造方法として、特許文献1には、熱硬化性樹脂を含有する着色インクをインクジェット方式で基板上に吹き付け、加熱することにより画素部を形成することが記載されている。
従来、熱硬化性樹脂を用いてカラーフィルタの画素部を形成する場合には、酸成分とエポキシ成分の重合及び/又は架橋反応を利用するのが一般的であった。しかしながら、酸成分とエポキシ成分の反応性は非常に高いため、経時で徐々に粘度が上昇し、保存安定性に問題があった。経時で徐々に粘度が上昇すると、インクジェット方式によるインクの安定的な吐出を損ね、インクジェットヘッドに目詰まりを生じさせる恐れがある。更に、酸成分とエポキシ成分の重合及び/又は架橋反応を利用した場合、得られる着色層の耐薬品性が不十分であるという課題もあった。
また、カラーフィルタの色特性としては、近年、特にカラーテレビの用途において、色域再現性、高コントラストおよび高輝度が要求されているが、画素部分の耐薬品性が不十分であると、画素部の亀裂や色の変化を招くため、得られるカラーフィルタの輝度や色純度の低下を招く恐れがある。
また、カラーフィルタの色特性としては、近年、特にカラーテレビの用途において、色域再現性、高コントラストおよび高輝度が要求されているが、画素部分の耐薬品性が不十分であると、画素部の亀裂や色の変化を招くため、得られるカラーフィルタの輝度や色純度の低下を招く恐れがある。
近年のカラーフィルタに対する高輝度、高色純度化の要請のため、当該インクジェットインクに含まれる顔料の微細化、高濃度化が求められている。顔料の微細化や顔料濃度を高くすることに伴って、当該インクジェットインク中に含まれる顔料の量とともに顔料分散剤の量も増加させる必要がある。しかしながら、カラーフィルタ用インクジェットインクに含まれる顔料、および顔料分散剤の量を増加させると、バインダ等の硬化膜の膜物性に寄与する成分が相対的に減少する結果、当該インクの硬化性が低下し、硬化膜の密着性、及び表面硬度が低下するという問題がある。また、顔料濃度を高くすると、インクの乾燥を促進させ、インクジェットでブラックマトリックス内に吐出されたインクの乾燥ムラを引き起こし、画素の平坦性を悪化させる問題がある。画素の平坦性が悪化すると、輝度や色純度を低下させるという問題がある。
上記実情に鑑み、本発明は次の第1及び第2の目的を達成しようとするものである。
本発明の第1の目的は、保存安定性及び硬化性に優れ、熱硬化後の耐薬品性に優れ、色域再現性の良いカラーフィルタを実現可能なカラーフィルタ用熱硬化性インクジェットインクを提供することである。
また本発明の第2の目的は、顔料濃度を高くした場合であっても、熱硬化後の密着性、表面硬度、及び平坦性に優れたカラーフィルタ用熱硬化性インクジェットインクを提供することである。
本発明の第1の目的は、保存安定性及び硬化性に優れ、熱硬化後の耐薬品性に優れ、色域再現性の良いカラーフィルタを実現可能なカラーフィルタ用熱硬化性インクジェットインクを提供することである。
また本発明の第2の目的は、顔料濃度を高くした場合であっても、熱硬化後の密着性、表面硬度、及び平坦性に優れたカラーフィルタ用熱硬化性インクジェットインクを提供することである。
本発明者らは、鋭意検討の結果、カラーフィルタ用インクジェットインクの熱硬化性バインダ成分として、エチレン性不飽和結合を有する多官能モノマー、及び、エポキシ基含有モノマーと脂環式炭化水素含有モノマーとを少なくとも含むモノマー群を共重合させてなるアクリル系共重合体とを組み合わせて用いることにより、上記目的が解決されるという知見を見出し、本発明を完成させるに至った。本発明においては、エチレン性不飽和結合を有する多官能モノマーを熱硬化性バインダ成分として利用するのであり、インクジェットインクを硬化させる際に、当該多官能モノマーを熱によって重合及び/又は架橋反応させる。
より具体的には、上記第1の目的を達成するために次の第1のカラーフィルタ用熱硬化性インクジェットインクが提供される。
すなわち本発明に係る第1のカラーフィルタ用熱硬化性インクジェットインクは、多官能性モノマー、バインダ樹脂、顔料、顔料分散剤、及び溶剤を含有するカラーフィルタ用熱硬化性インクジェットインクであって、前記多官能性モノマーが、1分子内にエチレン性不飽和結合を4個以上有する化合物であり、且つ、前記バインダ樹脂が、(A)エポキシ基とエチレン性不飽和結合とを有するエポキシ基含有モノマーと(B)脂環式炭化水素基とエチレン性不飽和結合とを有する脂環式炭化水素含有モノマーとを少なくとも含むモノマー群を共重合させてなるアクリル系共重合体であることを特徴とする。
すなわち本発明に係る第1のカラーフィルタ用熱硬化性インクジェットインクは、多官能性モノマー、バインダ樹脂、顔料、顔料分散剤、及び溶剤を含有するカラーフィルタ用熱硬化性インクジェットインクであって、前記多官能性モノマーが、1分子内にエチレン性不飽和結合を4個以上有する化合物であり、且つ、前記バインダ樹脂が、(A)エポキシ基とエチレン性不飽和結合とを有するエポキシ基含有モノマーと(B)脂環式炭化水素基とエチレン性不飽和結合とを有する脂環式炭化水素含有モノマーとを少なくとも含むモノマー群を共重合させてなるアクリル系共重合体であることを特徴とする。
第1のインクジェットインクにおいては、前記アクリル系共重合体において、前記(A)エポキシ基含有モノマーが全共重合成分中20重量%〜80重量%であり、且つ前記(B)脂環式炭化水素含有モノマーが全共重合成分中20重量%〜80重量%であることが、インクの保存安定性や低粘度化、また、硬化膜の耐薬品性、色域再現性の点から好ましい。
第1のカラーフィルタ用熱硬化性インクジェットインクにおいては、前記(B)脂環式炭化水素含有モノマーが、有橋脂環式炭化水素基を有することが、硬化膜の耐薬品性、色域再現性の点から好ましい。有橋脂環式炭化水素基とは、脂環式炭化水素基内において橋かけ構造を有し、分子内に多環構造を有する多環状脂肪族炭化水素基をいう。
また、上記第2の目的を達成するために次の第2のカラーフィルタ用熱硬化性インクジェットインクが提供される。
すなわち本発明に係る第2のカラーフィルタ用熱硬化性インクジェットインクは、多官能性モノマー、バインダ樹脂、顔料、顔料分散剤、及び溶剤を含有するカラーフィルタ用熱硬化性インクジェットインクであって、前記多官能性モノマーが、1分子内にエチレン性不飽和結合を4個以上有する化合物であり、且つ、前記バインダ樹脂が、(A)エポキシ基とエチレン性不飽和結合とを有するエポキシ基含有モノマーと(B)脂環式炭化水素基とエチレン性不飽和結合とを有する脂環式炭化水素含有モノマーとを少なくとも含むモノマー群を共重合させてなるアクリル系共重合体と、前記アクリル系共重合体とは異なるエポキシ樹脂とを含有することを特徴とする。
すなわち本発明に係る第2のカラーフィルタ用熱硬化性インクジェットインクは、多官能性モノマー、バインダ樹脂、顔料、顔料分散剤、及び溶剤を含有するカラーフィルタ用熱硬化性インクジェットインクであって、前記多官能性モノマーが、1分子内にエチレン性不飽和結合を4個以上有する化合物であり、且つ、前記バインダ樹脂が、(A)エポキシ基とエチレン性不飽和結合とを有するエポキシ基含有モノマーと(B)脂環式炭化水素基とエチレン性不飽和結合とを有する脂環式炭化水素含有モノマーとを少なくとも含むモノマー群を共重合させてなるアクリル系共重合体と、前記アクリル系共重合体とは異なるエポキシ樹脂とを含有することを特徴とする。
第2のインクジェットインクにおいては、前記アクリル系共重合体が、前記(A)エポキシ基含有モノマーと(B)脂環式炭化水素含有モノマーとを少なくとも含むモノマー群を共重合させてなる共重合体が有するエポキシ基の1個以上に、カルボキシル基とエチレン性不飽和結合とを有するカルボキシル基含有モノマー(C)を反応させてなるアクリル系共重合体であることが好ましい。このような場合、アクリル系共重合体の側鎖にエチレン性不飽和結合を有するようになり、前記多官能性モノマーとも架橋可能になることから、熱硬化後の密着性、表面硬度、及び平坦性に優れ、更に、耐ITO形成性に優れるようになる点から好ましい。
第2のインクジェットインクにおいては、前記アクリル系共重合体において、前記(A)エポキシ基含有モノマーが全共重合成分中20重量%〜80重量%であり、且つ前記(B)脂環式炭化水素含有モノマーが全共重合成分中20重量%〜80重量%であることが、インク中の各成分との相溶性、インクの熱硬化後の密着性、表面硬度の点から好ましい。
第2のインクジェットインクにおいては、前記(B)脂環式炭化水素含有モノマーが、有橋脂環式炭化水素基を有することが、インクの熱硬化後の表面硬度、耐溶剤性の点から好ましい。
第2のインクジェットインクにおいては、前記多官能性モノマー、前記アクリル系共重合体と、前記エポキシ樹脂の含有割合において、前記多官能性モノマーと前記アクリル系共重合体の和に対する前記エポキシ樹脂の重量比(エポキシ樹脂/(多官能性モノマー+アクリル系共重合体))が0.25〜4であり、且つ、前記多官能性モノマーに対する前記アクリル系共重合体の重量比(アクリル系共重合体/多官能性モノマー)が0.125〜8であることが、インクの熱硬化後の密着性、表面硬度、及び平坦性に優れる点から好ましい。
本発明の第1のカラーフィルタ用熱硬化性インクジェットインクは、保存安定性及び硬化性に優れ、熱硬化後の耐薬品性に優れ、色域再現性の良いカラーフィルタを実現可能である。
また、本発明の第2のカラーフィルタ用熱硬化性インクジェットインクは、熱硬化後の密着性、表面硬度、及び平坦性に優れている。
また、本発明の第2のカラーフィルタ用熱硬化性インクジェットインクは、熱硬化後の密着性、表面硬度、及び平坦性に優れている。
<第1のインクジェットインク>
本発明に係る第1のカラーフィルタ用熱硬化性インクジェットインクは、多官能性モノマー、バインダ樹脂、顔料、顔料分散剤、及び溶剤を含有するカラーフィルタ用熱硬化性インクジェットインクであって、前記多官能性モノマーが、1分子内にエチレン性不飽和結合を4個以上有する化合物であり、且つ、前記バインダ樹脂が、(A)エポキシ基とエチレン性不飽和結合とを有するエポキシ基含有モノマーと(B)脂環式炭化水素基とエチレン性不飽和結合とを有する脂環式炭化水素含有モノマーとを少なくとも含むモノマー群を共重合させてなるアクリル系共重合体であることを特徴とする。
本発明のカラーフィルタ用熱硬化性インクジェットインクにおいては、熱硬化性バインダ成分として、従来のエポキシ樹脂及び酸成分を主体とせず、1分子内にエチレン性不飽和結合を4個以上有する多官能性モノマー、及び、エポキシ基含有モノマーと脂環式炭化水素含有モノマーとを少なくとも含むモノマー群を共重合させてなるアクリル系共重合体を組み合わせて用いることにより、保存安定性及び硬化性に優れ、熱硬化後の耐薬品性に優れ、色域再現性の良いカラーフィルタを実現することができる。
また、本発明においては、熱硬化性樹脂を用いているため、光照射をはじめとする特別な附帯設備が不要となり、生産性が高いという利点もある。
本発明に係る第1のカラーフィルタ用熱硬化性インクジェットインクは、多官能性モノマー、バインダ樹脂、顔料、顔料分散剤、及び溶剤を含有するカラーフィルタ用熱硬化性インクジェットインクであって、前記多官能性モノマーが、1分子内にエチレン性不飽和結合を4個以上有する化合物であり、且つ、前記バインダ樹脂が、(A)エポキシ基とエチレン性不飽和結合とを有するエポキシ基含有モノマーと(B)脂環式炭化水素基とエチレン性不飽和結合とを有する脂環式炭化水素含有モノマーとを少なくとも含むモノマー群を共重合させてなるアクリル系共重合体であることを特徴とする。
本発明のカラーフィルタ用熱硬化性インクジェットインクにおいては、熱硬化性バインダ成分として、従来のエポキシ樹脂及び酸成分を主体とせず、1分子内にエチレン性不飽和結合を4個以上有する多官能性モノマー、及び、エポキシ基含有モノマーと脂環式炭化水素含有モノマーとを少なくとも含むモノマー群を共重合させてなるアクリル系共重合体を組み合わせて用いることにより、保存安定性及び硬化性に優れ、熱硬化後の耐薬品性に優れ、色域再現性の良いカラーフィルタを実現することができる。
また、本発明においては、熱硬化性樹脂を用いているため、光照射をはじめとする特別な附帯設備が不要となり、生産性が高いという利点もある。
熱硬化性バインダ成分として、1分子内にエチレン性不飽和結合を4個以上有する多官能性モノマーに、エポキシ基含有モノマーと脂環式炭化水素含有モノマーとを少なくとも含むモノマー群を共重合させてなるアクリル系共重合体を組み合わせて用いることにより、上述した効果を発揮する理由としては、以下のように推測される。
熱硬化性バインダ成分として、従来のエポキシ樹脂及び酸成分を主体として用いると、酸成分とエポキシ樹脂の反応性が非常に高いため、経時で徐々に粘度が上昇し、保存安定性に問題があった。また、耐薬品性が不十分であるという問題があった。
それに対して、本願では、熱硬化性バインダ成分として従来のエポキシ樹脂及び酸成分の重合及び/又は架橋反応を利用することなく、側鎖にエポキシ基と脂環式炭化水素を有するアクリル共重合体と、1分子内にエチレン性不飽和結合を4個以上有する多官能性モノマーを組み合わせて用い、熱によるエチレン性不飽和結合の重合及び/又は架橋反応、並びに熱によるエポキシ基の重合及び/又は架橋反応を利用する。
本願では、エポキシ基と酸成分の反応を本質的に利用せず、エポキシ基に酸成分を共存させないため、エポキシ基が反応し難く、保存安定性に優れる。
側鎖にエポキシ基と脂環式炭化水素を有するアクリル共重合体は、エポキシ基が熱により反応して重合及び/又は架橋をし、脂環式炭化水素を有することで硬化性に優れ、また脂環式炭化水素を有することで熱履歴による黄変も受けにくいため、色域再現性が良好である。
一方、1分子内にエチレン性不飽和結合を4個以上有する多官能性モノマーは、熱重合することで架橋密度の高い高硬度の塗膜が得られる。
本発明においては、これらの側鎖にエポキシ基と脂環式炭化水素を有するアクリル共重合体と1分子内にエチレン性不飽和結合を4個以上有する多官能性モノマーの組み合わせの相乗効果により、保存安定性に優れながら、硬化性に優れるため熱硬化後の耐薬品性に優れ、色域再現性の良いカラーフィルタを実現することができる。
熱硬化性バインダ成分として、従来のエポキシ樹脂及び酸成分を主体として用いると、酸成分とエポキシ樹脂の反応性が非常に高いため、経時で徐々に粘度が上昇し、保存安定性に問題があった。また、耐薬品性が不十分であるという問題があった。
それに対して、本願では、熱硬化性バインダ成分として従来のエポキシ樹脂及び酸成分の重合及び/又は架橋反応を利用することなく、側鎖にエポキシ基と脂環式炭化水素を有するアクリル共重合体と、1分子内にエチレン性不飽和結合を4個以上有する多官能性モノマーを組み合わせて用い、熱によるエチレン性不飽和結合の重合及び/又は架橋反応、並びに熱によるエポキシ基の重合及び/又は架橋反応を利用する。
本願では、エポキシ基と酸成分の反応を本質的に利用せず、エポキシ基に酸成分を共存させないため、エポキシ基が反応し難く、保存安定性に優れる。
側鎖にエポキシ基と脂環式炭化水素を有するアクリル共重合体は、エポキシ基が熱により反応して重合及び/又は架橋をし、脂環式炭化水素を有することで硬化性に優れ、また脂環式炭化水素を有することで熱履歴による黄変も受けにくいため、色域再現性が良好である。
一方、1分子内にエチレン性不飽和結合を4個以上有する多官能性モノマーは、熱重合することで架橋密度の高い高硬度の塗膜が得られる。
本発明においては、これらの側鎖にエポキシ基と脂環式炭化水素を有するアクリル共重合体と1分子内にエチレン性不飽和結合を4個以上有する多官能性モノマーの組み合わせの相乗効果により、保存安定性に優れながら、硬化性に優れるため熱硬化後の耐薬品性に優れ、色域再現性の良いカラーフィルタを実現することができる。
本発明のカラーフィルタ用熱硬化性インクジェットインクは、少なくとも、多官能性モノマー、バインダ樹脂、顔料、顔料分散剤、及び溶剤を含有し、必要に応じて他の成分を含有していてもよいものである。以下、本発明のカラーフィルタ用熱硬化性インクジェットインクに用いられる各成分を説明する。
<多官能性モノマー>
本発明において多官能性モノマーは、1分子内にエチレン性不飽和結合を4個以上有する化合物を用いる。ここでエチレン性不飽和結合とは、ラジカル重合可能な炭素原子間の二重結合をいい、そのようなエチレン性不飽和結合を有する官能基としては、例えば、ビニル基(CH2=CH−)、(メタ)アクリル基(CH2=CH−CH2−及びCH2=C(CH3)−CH2−)、(メタ)アクリロイル基(CH2=CH−CO−及びCH2=C(CH3)−CO−)、(メタ)アクリロイルオキシ基(CH2=CH−COO−及びCH2=C(CH3)−COO−)、及び−COO−CH=CH−COO−等を例示できる。本発明において用いられる多官能性モノマーにおいて、エチレン性不飽和結合を有する官能基は、4個以上有すれば、1種単独であっても2種以上組み合わせて有していてもよい。また、本発明において用いられる多官能性モノマーは、1種単独で又は2種以上組み合わせて用いられても良い。中でも、エチレン性不飽和結合としては、(メタ)アクリロイルオキシ基、及び/又は(メタ)アクリロイル基を4個以上有することが、熱重合及び/または架橋による硬化膜の硬化性の点から好ましい。なお本発明においては、アクリル酸エステルとメタクリル酸エステルを総称して「(メタ)アクリレート」という。その他も同様である。
本発明において多官能性モノマーは、1分子内にエチレン性不飽和結合を4個以上有する化合物を用いる。ここでエチレン性不飽和結合とは、ラジカル重合可能な炭素原子間の二重結合をいい、そのようなエチレン性不飽和結合を有する官能基としては、例えば、ビニル基(CH2=CH−)、(メタ)アクリル基(CH2=CH−CH2−及びCH2=C(CH3)−CH2−)、(メタ)アクリロイル基(CH2=CH−CO−及びCH2=C(CH3)−CO−)、(メタ)アクリロイルオキシ基(CH2=CH−COO−及びCH2=C(CH3)−COO−)、及び−COO−CH=CH−COO−等を例示できる。本発明において用いられる多官能性モノマーにおいて、エチレン性不飽和結合を有する官能基は、4個以上有すれば、1種単独であっても2種以上組み合わせて有していてもよい。また、本発明において用いられる多官能性モノマーは、1種単独で又は2種以上組み合わせて用いられても良い。中でも、エチレン性不飽和結合としては、(メタ)アクリロイルオキシ基、及び/又は(メタ)アクリロイル基を4個以上有することが、熱重合及び/または架橋による硬化膜の硬化性の点から好ましい。なお本発明においては、アクリル酸エステルとメタクリル酸エステルを総称して「(メタ)アクリレート」という。その他も同様である。
本発明において多官能性モノマーの分子量は、インク粘度の点から、2000以下であることが好ましく、更に1000以下であることが好ましい。
1分子内にエチレン性不飽和結合を4個以上有する化合物としては、例えば、テトラメチロールメタンテトラ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、アルキル変性ジペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールモノヒドロキシペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、アルキル変性ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ウレタンヘキサ(メタ)アクリレート、ポリエステルヘキサ(メタ)アクリレート、コハク酸変性ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
その他にも、例えば、ペンタエリスリトールテトラカプロラクトネートテトラ(メタ)アクリレート、ジグリセリンテトラ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラカプロラクトネートテトラ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールエタンテトラ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールブタンテトラ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールヘキサンテトラ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールオクタンテトラ(メタ)アクリレート、トリペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、トリペンタエリスリトールヘプタ(メタ)アクリレート、トリペンタエリスリトールオクタ(メタ)アクリレート、トリペンタエリスリトールポリアルキレンオキサイドヘプタ(メタ)アクリレート及びそれらのエチレンオキサイド付加体、プロピレンオキサイド付加体等が挙げられる。更に、例えば、エトキシ化ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールオリゴアクリレート、1,4−ブタンジオールオリゴアクリレート、1,6−ヘキサンジオールオリゴアクリレート、トリメチロールプロパンオリゴアクリレート、ペンタエリスリトールオリゴアクリレート、ウレタンアクリレート、エポキシアクリレート等が挙げられる。
また、ヘキサキス(メタクリロイルオキシエチル)シクロトリホスファゼン(例えば、共栄社化学株式会社製「PPZ」)、ジペンタエリスリトールペンタアクリレートヘキサメチレンジイソシアネート・ウレタンプレポリマー(例えば、共栄社化学株式会社製「UA−510H」)等も挙げられる。
その他にも、例えば、ペンタエリスリトールテトラカプロラクトネートテトラ(メタ)アクリレート、ジグリセリンテトラ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラカプロラクトネートテトラ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールエタンテトラ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールブタンテトラ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールヘキサンテトラ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールオクタンテトラ(メタ)アクリレート、トリペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、トリペンタエリスリトールヘプタ(メタ)アクリレート、トリペンタエリスリトールオクタ(メタ)アクリレート、トリペンタエリスリトールポリアルキレンオキサイドヘプタ(メタ)アクリレート及びそれらのエチレンオキサイド付加体、プロピレンオキサイド付加体等が挙げられる。更に、例えば、エトキシ化ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールオリゴアクリレート、1,4−ブタンジオールオリゴアクリレート、1,6−ヘキサンジオールオリゴアクリレート、トリメチロールプロパンオリゴアクリレート、ペンタエリスリトールオリゴアクリレート、ウレタンアクリレート、エポキシアクリレート等が挙げられる。
また、ヘキサキス(メタクリロイルオキシエチル)シクロトリホスファゼン(例えば、共栄社化学株式会社製「PPZ」)、ジペンタエリスリトールペンタアクリレートヘキサメチレンジイソシアネート・ウレタンプレポリマー(例えば、共栄社化学株式会社製「UA−510H」)等も挙げられる。
1分子内にエチレン性不飽和結合を4個以上有する多官能性モノマーの含有量は、インクの固形分に対して、5重量%〜80重量%の範囲内であることが好ましく、更に10重量%〜60重量%の範囲内であること好ましい。上記範囲より少ないと、硬化膜の硬化性、耐薬品性が不十分となる恐れがあるからである。また、上記範囲より多いと、所望の色が再現できない恐れがあるからである。
また、1分子内にエチレン性不飽和結合を4個以上有する多官能性モノマーの含有量は、後述する顔料及び顔料分散剤以外の固形分中に、10〜90重量%含まれることが好ましく、更に20〜80重量%含まれることが、インクの低粘度化、保存安定性、硬化膜の硬化性、耐薬品性の点から好ましい。なお、本発明において固形分とは、溶剤を除く全ての成分が含まれ、液状の化合物等も固形分に含まれる。
また、1分子内にエチレン性不飽和結合を4個以上有する多官能性モノマーの含有量は、後述する顔料及び顔料分散剤以外の固形分中に、10〜90重量%含まれることが好ましく、更に20〜80重量%含まれることが、インクの低粘度化、保存安定性、硬化膜の硬化性、耐薬品性の点から好ましい。なお、本発明において固形分とは、溶剤を除く全ての成分が含まれ、液状の化合物等も固形分に含まれる。
本発明において多官能性モノマーは、1分子内にエチレン性不飽和結合を4個以上有する化合物を用いるが、本発明の効果を損なわない限り、低粘度化、インクジェット吐出適正確保の目的で、1分子内にエチレン性不飽和結合を2〜3個有する化合物を併用しても良い。この場合においても、多官能性モノマー全量中に、1分子内にエチレン性不飽和結合を4個以上有する化合物は、50重量%以上含まれることが好ましく、更に70重量%以上含まれることが好ましい。本発明において、多官能性モノマー全量中に、1分子内にエチレン性不飽和結合を4個以上有する化合物が100重量%であることが好ましい。
併用しても良い分子内にエチレン性不飽和結合を2〜3個有する化合物としては、(メタ)アクリロイル基を2〜3個有する化合物であることが好ましく、例えば、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールエタントリ(メタ)アクリレート、グリセロールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、アルキル変性ジペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、リン酸トリ(メタ)アクリレート、トリス(アクリロキシエチル)イソシアヌレート、トリス(メタクリロキシエチル)イソシアヌレート等を挙げることができるが、これらに限定されるものではなく、適宜選択して各種(メタ)アクリレート類を用いることができる。
<バインダ樹脂>
本発明において用いられるバインダ樹脂は、(A)エポキシ基とエチレン性不飽和結合とを有するエポキシ基含有モノマーと(B)脂環式炭化水素基とエチレン性不飽和結合とを有する脂環式炭化水素含有モノマーとを少なくとも含むモノマー群を共重合させてなるアクリル系共重合体である。
本発明で用いられるアクリル系共重合体は、(A)エポキシ基とエチレン性不飽和結合とを有するエポキシ基含有モノマーと(B)脂環式炭化水素基とエチレン性不飽和結合とを有する脂環式炭化水素含有モノマーとを少なくとも含むモノマー群を共重合させれば、各モノマーをランダムに共重合させたものであっても、ブロック共重合体となるように共重合させたものであっても良い。
本発明において用いられるバインダ樹脂は、(A)エポキシ基とエチレン性不飽和結合とを有するエポキシ基含有モノマーと(B)脂環式炭化水素基とエチレン性不飽和結合とを有する脂環式炭化水素含有モノマーとを少なくとも含むモノマー群を共重合させてなるアクリル系共重合体である。
本発明で用いられるアクリル系共重合体は、(A)エポキシ基とエチレン性不飽和結合とを有するエポキシ基含有モノマーと(B)脂環式炭化水素基とエチレン性不飽和結合とを有する脂環式炭化水素含有モノマーとを少なくとも含むモノマー群を共重合させれば、各モノマーをランダムに共重合させたものであっても、ブロック共重合体となるように共重合させたものであっても良い。
共重合成分として(A)エポキシ基とエチレン性不飽和結合とを有するエポキシ基含有モノマーを含むことにより、アクリル系共重合体がエポキシ基を含有するようになる。これにより、熱による反応性が向上し、硬化膜の硬化性が向上するという作用をもたらす。(A)エポキシ基とエチレン性不飽和結合とを有するエポキシ基含有モノマーとしては、例えば、グリシジル(メタ)アクリレート、メチルグリシジル(メタ)アクリレート、3,4−エポキシシクロヘキシル(メタ)アクリレート、3,4−エポキシシクロヘキシルメチル(メタ)アクリレート等を挙げることができる。中でも本発明においては、グリシジル(メタ)アクリレートを好ましく用いることができる。
(A)エポキシ基含有モノマーとしては、1種単独で用いても良いし、2種以上混合して用いられても良い。
(A)エポキシ基含有モノマーとしては、1種単独で用いても良いし、2種以上混合して用いられても良い。
アクリル系共重合体において、前記(A)エポキシ基含有モノマーの含有量としては、上記バインダ樹脂を所望の硬化膜の硬化適性を有することができれば良いが、全共重合成分中に20〜80重量%であることが好ましく、更に30〜70重量%であることが好ましく、更に40〜60重量%であることが好ましい。上記含有量が上記範囲内であることにより、硬化膜の硬化性、他成分との相溶性に優れたものとすることができるからである。
共重合成分として(B)脂環式炭化水素基とエチレン性不飽和結合とを有する脂環式炭化水素含有モノマーを含むことにより、アクリル系共重合体が脂環式炭化水素基を含有するようになる。これにより、硬化膜の硬化性が上がり、また、熱履歴による黄変を受けにくいという作用をもたらす。脂環式炭化水素基とエチレン性不飽和結合とを有する脂環式炭化水素含有モノマーとしては、例えば、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、シクロヘキシルメチル(メタ)アクリレート、3−シクロヘキセニルメチル(メタ)アクリレート、4−イソプロピルシクロヘキシル(メタ)アクリレート、1−メチルシクロヘキシル(メタ)アクリレート、2−メチルシクロヘキシル(メタ)アクリレート、3−メチルシクロヘキシル(メタ)アクリレート、4−メチルシクロヘキシル(メタ)アクリレート、1−エチルシクロヘキシル(メタ)アクリレート、4−エチルシクロヘキシル(メタ)アクリレート、2−tert−ブチルシクロヘキシル(メタ)アクリレート、4−tert−ブチルシクロヘキシル(メタ)アクリレート、メチル(メタ)アクリレート、3,3,5−トリメチルシクロヘキシル(メタ)アクリレート、シクロヘプチル(メタ)アクリレート、シクロオクチル(メタ)アクリレート、シクロノニル(メタ)アクリレートシクロデシル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニルオキシ(メタ)アクリレート、アダマンチル(メタ)アクリレート、2−アルキル−2−アダマンチル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシ−1−アダマンチル(メタ)アクリレートや1−パーフルオロアダマンチル(メタ)アクリレート等を挙げることができる。2−アルキル−2−アダマンチル(メタ)アクリレートとしては、具体的には、2−メチル−2−アダマンチル(メタ)アクリレート、及び2−エチル−2−アダマンチル(メタ)アクリレート等を挙げることができる。
上記脂環式炭化水素含有モノマーとしては、中でも、熱履歴による黄変を抑制し、色域再現性を低下させない点から、有橋脂環式炭化水素基とエチレン性不飽和結合とを有する脂環式炭化水素含有モノマーであることが好ましい。有橋脂環式炭化水素基とエチレン性不飽和結合とを有する脂環式炭化水素含有モノマーとしては、イソボルニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニルオキシ(メタ)アクリレート、アダマンチル(メタ)アクリレート、2−アルキル−2−アダマンチル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシ−1−アダマンチル(メタ)アクリレート、及び1−パーフルオロアダマンチル(メタ)アクリレートよりなる群から選ばれる1種以上であることが、熱履歴による黄変を抑制し、色域再現性を低下させない点から好ましい。中でも特に、本発明においては、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート、アダマンチル(メタ)アクリレート、2−アルキル−2−アダマンチル(メタ)アクリレートを好ましく用いることができる。
(B)脂環式炭化水素含有モノマーとしては、1種単独で用いても良いし、2種以上混合して用いられても良い。
(B)脂環式炭化水素含有モノマーとしては、1種単独で用いても良いし、2種以上混合して用いられても良い。
アクリル系共重合体において、前記(B)脂環式炭化水素含有モノマーの含有量としては、上記バインダ樹脂を所望の硬化膜の硬化適性を有することができれば良いが、全共重合成分中に20〜80重量%であることが好ましく、更に30〜70重量%であることが好ましく、更に40〜60重量%であることが好ましい。上記含有量が上記範囲内であることにより、硬化膜の硬化性、他成分との相溶性に優れたものとすることができるからである。
上記アクリル系共重合体は、本発明の効果が損なわれず、カラーフィルタの各細部に必要とされる性能、例えば硬度や透明性等が確保できる限り、上記(A)エポキシ基含有モノマー及び上記(B)脂環式炭化水素含有モノマー以外の共重合可能なモノマーを更に用いて共重合させてなるものであっても良い。そのようなモノマーとして具体的には、例えば、メチル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、アリル(メタ)アクリレート、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシルエチル(メタ)アクリレート等;N−メチルマレイミド、N−シクロヘキシルマレイミド等のN置換マレイミド類等を例示することができる。
上記(A)エポキシ基含有モノマー及び上記(B)脂環式炭化水素含有モノマー以外の他の共重合可能なモノマーの含有量は、全共重合成分中に0重量%〜50重量%であることが好ましく、更に0重量%〜30重量%であることが好ましく、更に0重量%〜20重量%であることが好ましい。
上記(A)エポキシ基含有モノマー及び上記(B)脂環式炭化水素含有モノマー以外の他の共重合可能なモノマーの含有量は、全共重合成分中に0重量%〜50重量%であることが好ましく、更に0重量%〜30重量%であることが好ましく、更に0重量%〜20重量%であることが好ましい。
本発明のアクリル系共重合体においては、芳香環が含まれないことが、黄変を抑制する点から好ましい。また、本発明のアクリル系共重合体においては、(メタ)アクリル酸に誘導された構成単位等、酸成分が実質的に含まれないことが、保存安定性を良好にする点から好ましい。本発明のアクリル系共重合体において、酸成分が実質的に含まれないとは、共重合成分としてカルボキシル基等の酸成分が含まれるモノマーを意図的に用いないアクリル系共重合体をいう。
また、上記アクリル系共重合体の重量平均分子量は、特に限定されないが、1,000〜30,000であることが好ましく、更に3000〜20,000であることが好ましい。上記アクリル系共重合体の重量平均分子量が1,000よりも小さすぎるとカラーフィルターの細部としての硬化層に要求される強度、耐溶剤性等の物性が不足し易くなる恐れがある。一方、上記アクリル系共重合体の重量平均分子量が30,000よりも大きすぎると粘度上昇が起こり易くなる恐れがあり、インクジェット方式で吐出ヘッドから吐出する時の吐出量の安定性や吐出方向の直進性が悪くなる恐れや、長期保存の安定性が悪くなる恐れがあるからである。ここで、重量平均分子量は、ゲル・パーミエーション・クロマトグラフィー(GPC)により、標準ポリスチレン換算値として求めることができる。
本発明に用いられるアクリル系共重合体の合成方法としては、上記各モノマーが所望の割合で含まれるように共重合させる方法であれば良く、一般的な重合方法を用いることができる。具体的には、上記各モノマーおよび重合開始剤を溶媒に溶解または分散させた後、重合させる方法を挙げることができる。
上記アクリル系共重合体の含有量は、インクの固形分に対して、5重量%〜80重量%の範囲内であることが好ましく、更に10重量%〜60重量%の範囲内であること好ましい。上記範囲より少ないと、硬化膜の硬化性に乏しく、クラックが入りやすい恐れがあるからである。また、上記範囲より多いと、粘度上昇が起こり易くなる恐れがあり、インクジェット方式で吐出ヘッドから吐出する時の吐出量の安定性や吐出方向の直進性が悪くなる恐れや、長期保存の安定性が悪くなる恐れがあるからである。また、上記アクリル系共重合体の含有量は、後述する顔料及び顔料分散剤以外の固形分中に10〜90重量%含まれることが好ましく、更に20〜80重量%含まれることが、保存安定性、硬化膜の硬化性、耐薬品性、色域再現性の点から好ましい。
また、本発明に用いられる上記多官能性モノマーの上記バインダ樹脂に対する含有比率としては、所望の、インク適性、硬化膜の硬化適性とすることができるものであれば良いが、上記カラーフィルタ用熱硬化性インクジェットインクに含まれる多官能性モノマーとバインダ樹脂の重量比(多官能性モノマー/バインダ樹脂)が10/90〜90/10の範囲内であることが好ましく、なかでも、20/80〜80/20の範囲内であることが、インクの低粘度化、保存安定性、インクジェットでの吐出安定性、硬化膜の硬化性、耐薬品性、色域再現性の点から好ましい。
<顔料>
本発明に用いられる顔料としては、公知の顔料を用いることができる。本発明において使用可能な有機顔料の具体例を下記表1および表2に示す。
本発明に用いられる顔料としては、公知の顔料を用いることができる。本発明において使用可能な有機顔料の具体例を下記表1および表2に示す。
また、用いることができる無機顔料としては、酸化チタン、亜鉛華、硫酸鉛、黄色鉛、亜鉛黄、ベンガラ、カドミウム赤、群青、紺青、酸化クロム緑、コバルト緑、アンバー、チタンブラック、合成鉄黒、カーボンブラック等を挙げることができる。
なお、これらの顔料は単独で用いてもよく2種以上を混合して用いても良い。
なお、これらの顔料は単独で用いてもよく2種以上を混合して用いても良い。
また、本発明に用いられる顔料の分散平均粒径としては、当該カラーフィルタ用熱硬化性インクジェットインクを用いてカラーフィルターの着色層を形成した場合に、所望の発色が可能なものであれば特に限定されるものではなく、通常、0.01μm〜0.30μmの範囲内であることが好ましく、なかでも0.01μm〜0.10μmの範囲内であることが好ましい。本発明のカラーフィルタ用熱硬化性インクジェットインクを用いてカラーフィルタの着色層を形成した場合に、輝度、コントラストに優れた着色層とすることができるからである。なお、上記顔料の分散平均粒径は、光散乱方式の粒度分布測定装置により測定することができる。
本発明に係るインクジェットインクにおいて、顔料の含有量としては、カラーフィルターの着色層を形成した場合に、所望の発色が可能なものであれば特に限定されるものではなく、用いる顔料の種類によっても異なり特に限定されない。顔料の含有量としては、インクの固形分中において、5重量%〜70重量%の範囲内であることが好ましく、なかでも10重量%〜60重量%の範囲内であることが好ましい。上記顔料の含有量が、上記範囲より多くても少なくても、インクジェットインクの粘度の安定性を欠いたり、また分散粒径が適切な範囲でないものになる可能性があるからである。
本発明に係るインクジェットインクにおいて、上記顔料(P)と顔料以外の固形分(V)の配合重量比(P/V)は、0.25〜1.2、特に、0.5〜1.2であることが、インクの吐出性能、インクの決壊防止、及び得られる膜物性のバランスの点から好ましい。P/V比が低すぎると、充分な着色力を得るためには画素形成領域に付着させるインクの液滴量を多くしなければならないため、画素形成領域からインクが決壊するなどの問題が起こる場合がある。一方、P/V比が高すぎると、吐出ヘッドで目詰まりや飛行曲がりが発生する等の吐出性能が低下したり、膜の表面が荒れるなどの問題が起こる場合がある。
<顔料分散剤>
本発明のカラーフィルタ用熱硬化性インクジェットインクには、顔料を良好に分散させるために顔料分散剤を配合する。顔料分散剤としては、例えば、カチオン系、アニオン系、ノニオン系、両性、シリコーン系等の界面活性剤などを使用できる。界面活性剤の中でも、次に例示するような高分子界面活性剤(高分子分散剤)が好ましい。また、特殊アクリル系重合体などの分散補助樹脂を更に用いても良い。
すなわち、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンステアリルエーテル、ポリオキシエチレンオレイルエーテル等のポリオキシエチレンアルキルエーテル類;ポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル等のポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル類;ポリエチレングリコールジラウレート、ポリエチレングリコールジステアレート等のポリエチレングリコールジエステル類;ソルビタン脂肪酸エステル類;脂肪酸変性ポリエステル類;3級アミン変性ポリウレタン類などの高分子界面活性剤が好ましく用いられる。
上記顔料分散剤の含有量は、インクの固形分全体に対して5〜50重量%、更に固形分全体に対して10〜30重量%であることが好ましい。
本発明のカラーフィルタ用熱硬化性インクジェットインクには、顔料を良好に分散させるために顔料分散剤を配合する。顔料分散剤としては、例えば、カチオン系、アニオン系、ノニオン系、両性、シリコーン系等の界面活性剤などを使用できる。界面活性剤の中でも、次に例示するような高分子界面活性剤(高分子分散剤)が好ましい。また、特殊アクリル系重合体などの分散補助樹脂を更に用いても良い。
すなわち、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンステアリルエーテル、ポリオキシエチレンオレイルエーテル等のポリオキシエチレンアルキルエーテル類;ポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル等のポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル類;ポリエチレングリコールジラウレート、ポリエチレングリコールジステアレート等のポリエチレングリコールジエステル類;ソルビタン脂肪酸エステル類;脂肪酸変性ポリエステル類;3級アミン変性ポリウレタン類などの高分子界面活性剤が好ましく用いられる。
上記顔料分散剤の含有量は、インクの固形分全体に対して5〜50重量%、更に固形分全体に対して10〜30重量%であることが好ましい。
<溶剤>
本発明のカラーフィルタ用熱硬化性インクジェットインクには、当該インクを高濃度液又は直ちにヘッドから吐出できるように調製するために、溶剤を配合する。
本発明のカラーフィルタ用熱硬化性インクジェットインクを、保存用の高濃度インク又は直ちに塗工可能な濃度のインクに調製するために、固形分を好適に溶解及び分散させる溶剤であれば、特に限定されない。
本発明のカラーフィルタ用熱硬化性インクジェットインクには、当該インクを高濃度液又は直ちにヘッドから吐出できるように調製するために、溶剤を配合する。
本発明のカラーフィルタ用熱硬化性インクジェットインクを、保存用の高濃度インク又は直ちに塗工可能な濃度のインクに調製するために、固形分を好適に溶解及び分散させる溶剤であれば、特に限定されない。
溶剤としては、例えば、エチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテルのようなグリコールエーテル類;エチレングリコールモノメチルエーテルアセテートのようなグリコールエーテルエステル類;ジエチレングリコールモノメチルエーテルのようなグリコールオリゴマーエーテル類;ジエチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテートのようなグリコールオリゴマーエーテルエステル類;酢酸エチル、安息香酸プロピルのような脂肪族又は芳香族エステル類;炭酸ジエチルのようなジカルボン酸ジエステル類;3−メトキシプロピオン酸メチルのようなアルコキシカルボン酸エステル類;アセト酢酸エチルのようなケトカルボン酸エステル類;エタノール、イソプロパノール、フェノールのようなアルコール類又はフェノール類;ジエチルエーテル、アニソールのような脂肪族又は芳香族エーテル類;2−エトキシエタノール、1−メトキシ−2−プロパノールのようなアルコキシアルコール類;ジエチレングリコール、トリプロピレングリコールのようなグリコールオリゴマー類;2−エトキシエチルアセテートのようなアルコキシアルコールエステル類;アセトン、メチルイソブチルケトンのようなケトン類等が挙げられる。
また、本発明に係るカラーフィルタ用熱硬化性インクジェットインクには顔料が含まれるため、溶剤としては、顔料の分散性、分散安定性の点から、水酸基を含有しないものを用いることが好ましい。
溶剤として好ましいものとしては、エチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールジブチルエーテル、アジピン酸ジエチル、シュウ酸ジブチル、マロン酸ジメチル、マロン酸ジエチル、コハク酸ジメチル、及び、コハク酸ジエチルなどを例示することができる。また、これらの溶剤は、3−メトキシブチルアセテートやプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)のような従来から顔料分散液の調製に用いられている分散性の高い溶剤と混合し或いは混合せずそのまま分散溶剤として用い、顔料分散液を調製することができる。
溶剤として好ましいものとしては、エチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールジブチルエーテル、アジピン酸ジエチル、シュウ酸ジブチル、マロン酸ジメチル、マロン酸ジエチル、コハク酸ジメチル、及び、コハク酸ジエチルなどを例示することができる。また、これらの溶剤は、3−メトキシブチルアセテートやプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)のような従来から顔料分散液の調製に用いられている分散性の高い溶剤と混合し或いは混合せずそのまま分散溶剤として用い、顔料分散液を調製することができる。
また、溶剤中に水分が混入している場合も溶剤中に水分子の水酸基が存在することになるので、水酸基を有する溶剤を用いる場合と同様の問題を生じるおそれがある。従って、酸−エポキシ間の架橋反応系から水分を実質的に排除するために、水との混和性の低い有機溶剤を用いてインクジェットインクを調製するのが好ましい。かかる観点から、インクジェットインクを調製する溶剤の水に対する溶解性は、液温が20℃の水100重量部に対して20重量部以下であることが好ましい。
具体例として挙げた上記溶剤の中では、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテートは水酸基を有しておらず、また、液温が20℃の水100重量部に対する溶解性も6.5重量部と低い水混和性を示すので、特に好ましい。
具体例として挙げた上記溶剤の中では、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテートは水酸基を有しておらず、また、液温が20℃の水100重量部に対する溶解性も6.5重量部と低い水混和性を示すので、特に好ましい。
溶剤は、当該溶剤を含むインクジェットインクの全量に対して、通常は40〜95重量%の割合で用いてインクジェットインクを調製する。溶剤が少なすぎると、インクジェットインクの粘度が高く、インクジェットインクの場合にはインクジェットヘッドからの吐出が困難になる。また、溶剤が多すぎると、所定のインク層形成部位からインクが決壊し、当該インク層形成部位に堆積させることのできるインク堆積量が不充分となり、乾燥後の膜厚が薄すぎて、それに伴い充分な透過濃度を得ることができなくなる。
<熱重合開始剤>
本発明においては、熱により上記エチレン性不飽和結合を重合乃至架橋反応させることにより硬化させるため、熱重合開始剤を含有していても良い。エチレン性不飽和結合を熱硬化させる熱重合開始剤としては、例えば、過酸化ベンゾイルなどの各種過酸化物や、アゾビスブチロニトリルなどのアゾ系化合物、オニウム塩、トリハロメチル基を有するトリアジン化合物、アジド化合物、キノンジアジド、オキシムエステル化合物、トリアリールモノアルキルボレート化合物などを用いることができる。
本発明においては、熱により上記エチレン性不飽和結合を重合乃至架橋反応させることにより硬化させるため、熱重合開始剤を含有していても良い。エチレン性不飽和結合を熱硬化させる熱重合開始剤としては、例えば、過酸化ベンゾイルなどの各種過酸化物や、アゾビスブチロニトリルなどのアゾ系化合物、オニウム塩、トリハロメチル基を有するトリアジン化合物、アジド化合物、キノンジアジド、オキシムエステル化合物、トリアリールモノアルキルボレート化合物などを用いることができる。
上記の熱重合開始剤は、1種単独でも2種以上の混合でも用いることができる。本発明に用いられる熱重合開始剤の配合量は、上記多官能性モノマー100重量部当たり、通常は0.1〜10重量部の範囲であり、好ましくは0.5〜5重量部である。熱重合開始剤の配合量が0.1重量部未満であると、硬化が不充分となり、強靭な塗膜を形成することができないおそれがある。また、熱重合開始剤の配合量が10重量部を超えると、インクの保存安定性が劣るおそれがある。
<硬化剤・促進剤>
本発明においては、アクリル共重合体中のエポキシ基を効率良く反応させる目的で、エポキシ硬化剤・促進剤を含有していても良い。エポキシ硬化剤・促進剤としては、未変性脂肪族ポリアミン、変性脂肪族ポリアミン、未変性芳香族ポリアミン、変性芳香族ポリアミン、変性脂環式ポリアミン、未変性脂環式ポリアミン、未変性ポリアミノアミド、変性ポリアミノアミド、第3アミン、酸無水物、ヒドラジド誘導体、ジシアンジアミドとその誘導体、ボロンハライド錯体、有機金属錯体、オニウム塩類、ポリチオール、フェノールホルムアルデヒド縮合体、フェノールとその誘導体、水酸基を持つその他化合物、イソシアネート、ブロックイソシアネート、ケチミン、イミダゾールとその誘導体などを用いることができる。
本発明においては、アクリル共重合体中のエポキシ基を効率良く反応させる目的で、エポキシ硬化剤・促進剤を含有していても良い。エポキシ硬化剤・促進剤としては、未変性脂肪族ポリアミン、変性脂肪族ポリアミン、未変性芳香族ポリアミン、変性芳香族ポリアミン、変性脂環式ポリアミン、未変性脂環式ポリアミン、未変性ポリアミノアミド、変性ポリアミノアミド、第3アミン、酸無水物、ヒドラジド誘導体、ジシアンジアミドとその誘導体、ボロンハライド錯体、有機金属錯体、オニウム塩類、ポリチオール、フェノールホルムアルデヒド縮合体、フェノールとその誘導体、水酸基を持つその他化合物、イソシアネート、ブロックイソシアネート、ケチミン、イミダゾールとその誘導体などを用いることができる。
上記の硬化剤・促進剤は、1種単独でも2種以上の混合でも用いることができる。本発明に用いられる硬化剤・促進剤の配合量は、上記アクリル系共重合体100重量部当たり、通常は0.1〜10重量部の範囲であり、好ましくは0.5〜5重量部である。硬化剤・促進剤の配合量が0.1重量部未満であると、硬化が不充分となり、強靭な塗膜を形成することができないおそれがある。また、硬化剤・促進剤の配合量が10重量部を超えると、インクの保存安定性が劣るおそれがある。
<その他の成分>
更に、本発明のカラーフィルタ用熱硬化性インクジェットインクには、必要に応じて、その他の添加剤を1種又は2種以上配合することができる。そのような添加剤としては、次のようなものを例示できる。
a)充填剤:例えば、ガラス、アルミナなど。
b)密着促進剤:例えば、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリス(2−メトキシエトキシ)シラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルメチルジメトキシシランなど。
c)レベリング剤:例えば、ポリオキシアルキレン系界面活性剤、脂肪酸エステル系界面活性剤、特殊アクリル系重合体、ビニルエーテル系重合体等のビニル系重合体など。
d)凝集防止剤:例えば、ポリアクリル酸ナトリウムなど。
更に、本発明のカラーフィルタ用熱硬化性インクジェットインクには、必要に応じて、その他の添加剤を1種又は2種以上配合することができる。そのような添加剤としては、次のようなものを例示できる。
a)充填剤:例えば、ガラス、アルミナなど。
b)密着促進剤:例えば、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリス(2−メトキシエトキシ)シラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルメチルジメトキシシランなど。
c)レベリング剤:例えば、ポリオキシアルキレン系界面活性剤、脂肪酸エステル系界面活性剤、特殊アクリル系重合体、ビニルエーテル系重合体等のビニル系重合体など。
d)凝集防止剤:例えば、ポリアクリル酸ナトリウムなど。
<インクの製造方法>
本発明のカラーフィルタ用熱硬化性インクジェットインクは、各成分を溶剤に投入して混合し、固形成分を溶解又は分散させて製造しても良い。
しかしながら、顔料を樹脂等の他の成分と共に溶剤全体中に直接投入し攪拌混合すると、顔料を溶剤中に十分に分散させられないことが多い。そこで通常は、顔料の分散性及び分散安定性が良好な溶剤を用意し、そこに顔料を分散剤と共に投入してディソルバーなどにより十分攪拌し、顔料分散液を調製する。そして、得られた顔料分散液を、顔料以外の成分と共に、溶剤に投入し、ディソルバーなどにより十分に攪拌混合することによって、本発明に係るインクジェットインクとすることができる。
本発明のカラーフィルタ用熱硬化性インクジェットインクは、各成分を溶剤に投入して混合し、固形成分を溶解又は分散させて製造しても良い。
しかしながら、顔料を樹脂等の他の成分と共に溶剤全体中に直接投入し攪拌混合すると、顔料を溶剤中に十分に分散させられないことが多い。そこで通常は、顔料の分散性及び分散安定性が良好な溶剤を用意し、そこに顔料を分散剤と共に投入してディソルバーなどにより十分攪拌し、顔料分散液を調製する。そして、得られた顔料分散液を、顔料以外の成分と共に、溶剤に投入し、ディソルバーなどにより十分に攪拌混合することによって、本発明に係るインクジェットインクとすることができる。
顔料分散液を投入する残部の溶剤としては、最終的な溶剤全体の組成から顔料分散液の調製に用いた溶剤の分を差し引いた組成を有するものを用い、最終濃度にまで希釈してインクジェットインクを完成させても良い。また、顔料分散液を比較的少量の溶剤に投入して高濃度のインクジェットインクを調製しても良い。高濃度のインクジェットインクは、そのまま保存し、使用直前に最終濃度に希釈してインクジェット方式に使用することができる。
本発明のカラーフィルタ用熱硬化性インクジェットインクの用途としては、カラーフィルタの着色層をインクジェット方式で形成する際に用いることができるが、なかでも、色域再現性が良好で高輝度であることが要求される着色層の形成に好ましく用いられる。
なお、本発明は、上記実施形態に限定されるものではない。上記実施形態は、例示であり、本発明の特許請求の範囲に記載された技術的思想と実質的に同一な構成を有し、同様な作用効果を奏するものは、いかなるものであっても本発明の技術的範囲に包含される。
<第2のインクジェットインク>
本発明に係る第2のカラーフィルタ用熱硬化性インクジェットインクは、多官能性モノマー、バインダ樹脂、顔料、顔料分散剤、及び溶剤を含有するカラーフィルタ用熱硬化性インクジェットインクであって、前記多官能性モノマーが、1分子内にエチレン性不飽和結合を4個以上有する化合物であり、且つ、前記バインダ樹脂が、(A)エポキシ基とエチレン性不飽和結合とを有するエポキシ基含有モノマーと(B)脂環式炭化水素基とエチレン性不飽和結合とを有する脂環式炭化水素含有モノマーとを少なくとも含んで共重合させてなるアクリル系共重合体と、前記アクリル系共重合体とは異なるエポキシ樹脂とを含有することを特徴とする。
本発明のカラーフィルタ用熱硬化性インクジェットインクにおいては、熱硬化性バインダ成分として、1分子内にエチレン性不飽和結合を4個以上有する多官能性モノマーとエポキシ基含有モノマーと、脂環式炭化水素含有モノマーとを少なくとも含んで共重合させてなるアクリル系共重合体と、当該アクリル系共重合体とは異なるエポキシ樹脂とを組み合わせて用いることにより、顔料濃度を高くした場合であっても、熱硬化後の密着性、表面硬度、及び平坦性に優れた着色層を有するカラーフィルタを実現することができる。
また、本発明においては、熱硬化性樹脂を用いているため、光照射をはじめとする特別な附帯設備が不要となり、生産性が高いという利点もある。
本発明に係る第2のカラーフィルタ用熱硬化性インクジェットインクは、多官能性モノマー、バインダ樹脂、顔料、顔料分散剤、及び溶剤を含有するカラーフィルタ用熱硬化性インクジェットインクであって、前記多官能性モノマーが、1分子内にエチレン性不飽和結合を4個以上有する化合物であり、且つ、前記バインダ樹脂が、(A)エポキシ基とエチレン性不飽和結合とを有するエポキシ基含有モノマーと(B)脂環式炭化水素基とエチレン性不飽和結合とを有する脂環式炭化水素含有モノマーとを少なくとも含んで共重合させてなるアクリル系共重合体と、前記アクリル系共重合体とは異なるエポキシ樹脂とを含有することを特徴とする。
本発明のカラーフィルタ用熱硬化性インクジェットインクにおいては、熱硬化性バインダ成分として、1分子内にエチレン性不飽和結合を4個以上有する多官能性モノマーとエポキシ基含有モノマーと、脂環式炭化水素含有モノマーとを少なくとも含んで共重合させてなるアクリル系共重合体と、当該アクリル系共重合体とは異なるエポキシ樹脂とを組み合わせて用いることにより、顔料濃度を高くした場合であっても、熱硬化後の密着性、表面硬度、及び平坦性に優れた着色層を有するカラーフィルタを実現することができる。
また、本発明においては、熱硬化性樹脂を用いているため、光照射をはじめとする特別な附帯設備が不要となり、生産性が高いという利点もある。
熱硬化性バインダ成分として、1分子内にエチレン性不飽和結合を4個以上有する多官能性モノマーと、エポキシ基含有モノマーと脂環式炭化水素含有モノマーとを少なくとも含んで共重合させてなるアクリル系共重合体と、当該アクリル系共重合体とは異なるエポキシ樹脂と少なくとも3種類を組み合わせて用いることにより、上述した効果を発揮する理由としては、以下のように推測される。
すなわち、アクリル系共重合体のエポキシ基とそれと異なるエポキシ樹脂が、熱重合開始剤(もしくは、熱)により開環して重合及び/又は架橋することで、硬化膜の密着性が向上する。更に、アクリル系共重合体に導入されている脂環式炭化水素により、硬化膜の表面硬度及び耐溶剤性が優れるようになる。そこに1分子内にエチレン性不飽和結合を4個以上有する多官能性モノマーを組み合わせることで、硬化膜の架橋密度が上昇して、更に表面硬度が向上し、またガラス等の基材への濡れ広がり性が向上して、平坦性に優れるようになる。そして、これら3成分の相乗効果により、顔料濃度を高くした場合であっても、熱硬化後の密着性、表面硬度、及び平坦性に優れた着色層を実現できると推測される。
すなわち、アクリル系共重合体のエポキシ基とそれと異なるエポキシ樹脂が、熱重合開始剤(もしくは、熱)により開環して重合及び/又は架橋することで、硬化膜の密着性が向上する。更に、アクリル系共重合体に導入されている脂環式炭化水素により、硬化膜の表面硬度及び耐溶剤性が優れるようになる。そこに1分子内にエチレン性不飽和結合を4個以上有する多官能性モノマーを組み合わせることで、硬化膜の架橋密度が上昇して、更に表面硬度が向上し、またガラス等の基材への濡れ広がり性が向上して、平坦性に優れるようになる。そして、これら3成分の相乗効果により、顔料濃度を高くした場合であっても、熱硬化後の密着性、表面硬度、及び平坦性に優れた着色層を実現できると推測される。
第2のインクジェットインクは、第1のインクジェットインクと同様に、少なくとも、多官能性モノマー、バインダ樹脂としてアクリル系共重合体及びエポキシ樹脂、顔料、顔料分散剤、及び溶剤を含有し、必要に応じて他の成分を含有していてもよいものである。以下、第2のインクジェットインクに用いられる各成分を説明する。第1のインクジェットインクと同様の事項については記載を省略し、第1のインクジェットインクと相違する事項を強調して説明する。第1のインクジェットインクに関し記載した事項は、後述する相違点に該当しない限り、第2のインクジェットインクに関する説明のために引用する。
<多官能性モノマー>
第2のインクジェットインクにおいては、第1のインクジェットインクで用いる多官能性モノマーと同じものが用いられる。
第2のインクジェットインクにおいても、エチレン性不飽和結合としては、(メタ)アクリロイルオキシ基、及び/又は(メタ)アクリロイル基を4個以上有することが、表面硬度及び密着性の点から好ましい。
多官能性モノマーの分子量は、第2のインクジェットインクにおいても、第1のインクジェットインクにおけるのと同様の範囲であることが好ましい。すなわち多官能性モノマーの分子量は、インク粘度及び硬化膜の平坦性の点から、2000以下であることが好ましく、更に1000以下であることが好ましい。
第2のインクジェットインクにおいては、第1のインクジェットインクで用いる多官能性モノマーと同じものが用いられる。
第2のインクジェットインクにおいても、エチレン性不飽和結合としては、(メタ)アクリロイルオキシ基、及び/又は(メタ)アクリロイル基を4個以上有することが、表面硬度及び密着性の点から好ましい。
多官能性モノマーの分子量は、第2のインクジェットインクにおいても、第1のインクジェットインクにおけるのと同様の範囲であることが好ましい。すなわち多官能性モノマーの分子量は、インク粘度及び硬化膜の平坦性の点から、2000以下であることが好ましく、更に1000以下であることが好ましい。
第2のインクジェットインクにおいて、1分子内にエチレン性不飽和結合を4個以上有する多官能性モノマーの含有量は、インクの固形分に対して、0.5重量%〜30重量%の範囲内であることが好ましく、更に5.0重量%〜20重量%の範囲内であること好ましい。上記範囲より少ないと、濡れ広がり性低下による平坦性の劣化、及び表面硬度の劣化の恐れがあるからである。また、上記範囲より多いと、アクリル系共重合体含有量とのバランスの関係でインク硬化膜の耐溶剤性劣化の恐れがあるからである。
<バインダ樹脂>
第2のインクジェットインクにおいて用いられるバインダ樹脂は、(A)エポキシ基含有モノマーと(B)脂環式炭化水素含有モノマーとを少なくとも含むモノマー群を共重合させてなるアクリル系共重合体と、前記アクリル系共重合体とは異なるエポキシ樹脂とを含有する。
[アクリル系共重合体]
第2のインクジェットインクにおいては、第1のインクジェットインクで用いるアクリル系共重合体と同じものが用いられる。
アクリル系共重合体がエポキシ基を含有するので、インク付着面に対する密着性の向上、及び他成分との相溶性が良好になるという作用をもたらす。
また、アクリル系共重合体が脂環式炭化水素基を含有するので、硬化膜の硬化性が向上して、表面硬度が向上し、また耐溶剤性が良好になるという作用をもたらす。
第2のインクジェットインクにおいて用いられるバインダ樹脂は、(A)エポキシ基含有モノマーと(B)脂環式炭化水素含有モノマーとを少なくとも含むモノマー群を共重合させてなるアクリル系共重合体と、前記アクリル系共重合体とは異なるエポキシ樹脂とを含有する。
[アクリル系共重合体]
第2のインクジェットインクにおいては、第1のインクジェットインクで用いるアクリル系共重合体と同じものが用いられる。
アクリル系共重合体がエポキシ基を含有するので、インク付着面に対する密着性の向上、及び他成分との相溶性が良好になるという作用をもたらす。
また、アクリル系共重合体が脂環式炭化水素基を含有するので、硬化膜の硬化性が向上して、表面硬度が向上し、また耐溶剤性が良好になるという作用をもたらす。
上記脂環式炭化水素含有モノマーとしては、中でも、硬化膜の表面硬度及び耐溶剤性の点から、有橋脂環式炭化水素基とエチレン性不飽和結合とを有する脂環式炭化水素含有モノマーであることが好ましい。有橋脂環式炭化水素基とエチレン性不飽和結合とを有する脂環式炭化水素含有モノマーとしては、第1のインクジェットインクにとって好ましいとされるものが、硬化膜の平坦性、表面硬度及び耐溶剤性の点からも好ましい。
中でも特に、第2のインクジェットインクにおいては、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート、1−アダマンチル(メタ)アクリレート、2−アダマンチル(メタ)アクリレートを好ましく用いることができる。
中でも特に、第2のインクジェットインクにおいては、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート、1−アダマンチル(メタ)アクリレート、2−アダマンチル(メタ)アクリレートを好ましく用いることができる。
アクリル系共重合体において、前記(B)脂環式炭化水素含有モノマーの含有量としては、上記バインダ樹脂を所望の硬化膜の表面硬度及び耐溶剤性を有することができれば良いが、第1のインクジェットインクの場合と同様、全共重合成分中に20〜80重量%であることが好ましく、更に30〜70重量%であることが好ましく、更に40〜60重量%であることが好ましい。
第2のインクジェットインクにおいては、(A)エポキシ基とエチレン性不飽和結合とを有するエポキシ基含有モノマーと(B)脂環式炭化水素基とエチレン性不飽和結合とを有する脂環式炭化水素含有モノマーとを少なくとも含むモノマー群を共重合させてなる共重合体が有するエポキシ基の1個以上に、カルボキシル基とエチレン性不飽和結合とを有するカルボキシル基含有モノマー(C)を反応させてなるアクリル系共重合体であることが好ましい。
このような場合、アクリル系共重合体の側鎖にエチレン性不飽和結合を有するようになり、当該アクリル系共重合体が前記多官能性モノマーともエチレン性不飽和結合によって重合及び/又は架橋反応することから、熱硬化後の密着性、表面硬度、及び平坦性に優れ、更に、耐ITO形成性に優れるようになる。
なお、耐ITO形成性とは、透明電極膜(例えばITO)形成時に当該インクを用いて着色層等の硬化させた層(以下、硬化層という)を作成した場合に、しわやクラックが生じにくく、隣接する層にしわやクラックを生じさせ難い特性をいう。カラーフィルタの着色層を、インクジェットインクを用いて形成する場合には、基板上に着色層を形成後、必要によってこの上に保護膜を形成し、その後、透明電極膜を形成するが、この透明電極膜形成時に透明電極膜表面にしわが発生するという問題が起こる。透明電極膜の形成方法は、真空蒸着法、スパッタ法やイオンプレーティング法など、いずれも減圧雰囲気下で基板を加熱することが必要である。たとえば、透明電極膜として代表的なITO膜の真空蒸着成膜を行う場合には、下地となる着色層や保護膜は高温及び真空による超低圧にさらされる。インクから形成された着色層等の硬化層がこのような超低圧高温条件にさらされると、硬化層が熱膨張収縮してしわを発生するために、透明電極膜等の隣接層を歪ませて、その表面にしわやクラックが発生すると考えられる。透明電極膜表面のしわやクラックが起こると、発生箇所で局所的な抵抗率が高くなり断線し、残像が起こったり、ひいては表示不良の原因となる。従って、耐ITO形成性に優れると、表示不良が低減した高輝度なカラーフィルタを得ることができる。
このような場合、アクリル系共重合体の側鎖にエチレン性不飽和結合を有するようになり、当該アクリル系共重合体が前記多官能性モノマーともエチレン性不飽和結合によって重合及び/又は架橋反応することから、熱硬化後の密着性、表面硬度、及び平坦性に優れ、更に、耐ITO形成性に優れるようになる。
なお、耐ITO形成性とは、透明電極膜(例えばITO)形成時に当該インクを用いて着色層等の硬化させた層(以下、硬化層という)を作成した場合に、しわやクラックが生じにくく、隣接する層にしわやクラックを生じさせ難い特性をいう。カラーフィルタの着色層を、インクジェットインクを用いて形成する場合には、基板上に着色層を形成後、必要によってこの上に保護膜を形成し、その後、透明電極膜を形成するが、この透明電極膜形成時に透明電極膜表面にしわが発生するという問題が起こる。透明電極膜の形成方法は、真空蒸着法、スパッタ法やイオンプレーティング法など、いずれも減圧雰囲気下で基板を加熱することが必要である。たとえば、透明電極膜として代表的なITO膜の真空蒸着成膜を行う場合には、下地となる着色層や保護膜は高温及び真空による超低圧にさらされる。インクから形成された着色層等の硬化層がこのような超低圧高温条件にさらされると、硬化層が熱膨張収縮してしわを発生するために、透明電極膜等の隣接層を歪ませて、その表面にしわやクラックが発生すると考えられる。透明電極膜表面のしわやクラックが起こると、発生箇所で局所的な抵抗率が高くなり断線し、残像が起こったり、ひいては表示不良の原因となる。従って、耐ITO形成性に優れると、表示不良が低減した高輝度なカラーフィルタを得ることができる。
上記カルボキシル基とエチレン性不飽和結合とを有するカルボキシル基含有モノマー(C)としては、具体的には、メタクリル酸、アクリル酸、クロトン酸、イタコン酸、マレイン酸、フマル酸、α−(ヒドロキシメチル)アクリル酸、(メタ)アクリロイルオキシエチルコハク酸モノエステル、(メタ)アクリロイルオキシフタル酸モノエステル等を挙げることができる。なかでも本発明においては、アクリル酸、メタクリル酸、およびマレイン酸を好ましく用いることができ、特にアクリル酸、メタクリル酸を好ましく用いることができる。
(A)エポキシ基含有モノマーと(B)脂環式炭化水素含有モノマーとを少なくとも含んで共重合させてなる共重合体が有するエポキシ基の1個以上に、カルボキシル基含有モノマー(C)を反応させてなるアクリル系共重合体においては、共重合体の側鎖に有するエポキシ基の一部がカルボキシル基含有モノマー(C)との反応に使用され、側鎖にエチレン性不飽和結合を有する繰り返し単位を有するようになる。
このようなアクリル系共重合体において、側鎖にエチレン性不飽和結合を有する繰り返し単位の含有量としては、共重合体の全繰り返し単位中に10〜80モル%であることが好ましく、更に20〜60モル%であることが好ましい。含有量が上記範囲内であることにより、多官能性モノマーとの反応性が向上し、特に、耐ITO形成性に優れたものとすることができるからである。
なお、側鎖にエチレン性不飽和結合を有する繰り返し単位を有するアクリル系共重合体において、側鎖にエポキシ基を含有する繰り返し単位の含有量としては、共重合体の全繰り返し単位中に10〜70モル%であることが好ましく、更に20〜40モル%であることが好ましく、また、側鎖に脂環式炭化水素を含有する繰り返し単位の含有量としては、共重合体の全繰り返し単位中に10〜70モル%であることが好ましく、更に20〜50モル%であることが、硬化膜の密着性、表面硬度、及び耐ITO形成性の点から好ましい。
このようなアクリル系共重合体において、側鎖にエチレン性不飽和結合を有する繰り返し単位の含有量としては、共重合体の全繰り返し単位中に10〜80モル%であることが好ましく、更に20〜60モル%であることが好ましい。含有量が上記範囲内であることにより、多官能性モノマーとの反応性が向上し、特に、耐ITO形成性に優れたものとすることができるからである。
なお、側鎖にエチレン性不飽和結合を有する繰り返し単位を有するアクリル系共重合体において、側鎖にエポキシ基を含有する繰り返し単位の含有量としては、共重合体の全繰り返し単位中に10〜70モル%であることが好ましく、更に20〜40モル%であることが好ましく、また、側鎖に脂環式炭化水素を含有する繰り返し単位の含有量としては、共重合体の全繰り返し単位中に10〜70モル%であることが好ましく、更に20〜50モル%であることが、硬化膜の密着性、表面硬度、及び耐ITO形成性の点から好ましい。
第2のインクジェットインクにおいては、上記アクリル系共重合体の含有量は、インクの固形分に対して、0.5重量%〜30重量%の範囲内であることが好ましく、更に1.0重量%〜15重量%の範囲内であること好ましい。上記範囲より少ないと、インク硬化膜の耐溶剤性の悪化の恐れがあるからである。また、上記範囲より多いと、表面硬度が悪化する恐れがあるからである。また、上記アクリル系共重合体の含有量は、後述する顔料及び顔料分散剤以外の固形分中に、10〜70重量%含まれることが好ましく、更に10〜40重量%含まれることが、表面硬度の点から好ましい。
[エポキシ樹脂]
本発明においてバインダ樹脂として併用されるエポキシ樹脂は、前記エポキシ基を側鎖に有するアクリル系共重合体とは異なる樹脂である。本発明に用いられるエポキシ樹脂は、インクジェットインクにより形成された画素の耐溶剤性、密着性等の膜物性の点から、1分子中にエポキシ基を2個以上有することが好ましい。エポキシ基としては、エポキシド構造を有する基であればよく、例えば、グリシジル基、オキシエチレン基、エポキシシクロヘキシル基等を示すことができる。
本発明においてバインダ樹脂として併用されるエポキシ樹脂は、前記エポキシ基を側鎖に有するアクリル系共重合体とは異なる樹脂である。本発明に用いられるエポキシ樹脂は、インクジェットインクにより形成された画素の耐溶剤性、密着性等の膜物性の点から、1分子中にエポキシ基を2個以上有することが好ましい。エポキシ基としては、エポキシド構造を有する基であればよく、例えば、グリシジル基、オキシエチレン基、エポキシシクロヘキシル基等を示すことができる。
エポキシ樹脂としては、硬化膜の架橋密度を高くしたり、低粘度化によりインクジェット吐出性能を向上させる点から、ポリスチレン換算の重量平均分子量が3000〜20000であることが好ましく、更に好ましくは4000〜15000である。
上記エポキシ樹脂の分子量が3000よりも小さすぎるとカラーフィルタの細部としての硬化層に要求される強度、耐溶剤性等の物性が不足し易く、当該分子量が20000よりも大きすぎると粘度上昇が起こり易くなり、インクジェット方式で吐出ヘッドから吐出する時の吐出量の安定性や吐出方向の直進性が悪くなるおそれや、長期保存の安定性が悪くなるおそれがあるからである。
上記エポキシ樹脂の分子量が3000よりも小さすぎるとカラーフィルタの細部としての硬化層に要求される強度、耐溶剤性等の物性が不足し易く、当該分子量が20000よりも大きすぎると粘度上昇が起こり易くなり、インクジェット方式で吐出ヘッドから吐出する時の吐出量の安定性や吐出方向の直進性が悪くなるおそれや、長期保存の安定性が悪くなるおそれがあるからである。
エポキシ樹脂としては、一分子中にエポキシ基を2個以上含有するものであれば特に制限はなく、例えば、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、臭素化ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールS型エポキシ樹脂、ジフェニルエーテル型エポキシ樹脂、ハイドロキノン型エポキシ樹脂、ナフタレン型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂、フルオレン型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、オルソクレゾールノボラック型エポキシ樹脂、トリスヒドロキシフェニルメタン型エポキシ樹脂、3官能型エポキシ樹脂、テトラフェニロールエタン型エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエンフェノール型エポキシ樹脂、水添ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールA含核ポリオール型エポキシ樹脂、ポリプロピレングリコール型エポキシ樹脂、グリシジルエステル型エポキシ樹脂、グリシジルアミン型エポキシ樹脂、グリオキザール型エポキシ樹脂、脂環型エポキシ樹脂、複素環型エポキシ樹脂などを使用できる。
より具体的には、商品名エピコート828(ジャパンエポキシレジン社製)などのビスフェノールA型エポキシ樹脂、商品名エピコート807(ジャパンエポキシレジン社製)、商品名YDF−175S(東都化成社製)などのビスフェノールF型エポキシ樹脂、商品名YDB−715(東都化成社製)などの臭素化ビスフェノールA型エポキシ樹脂、商品名EPICLON EXA1514(大日本インキ化学工業社製)などのビスフェノールS型エポキシ樹脂、商品名YDC−1312(東都化成社製)などのハイドロキノン型エポキシ樹脂、商品名EPICLON EXA4032(大日本インキ化学工業社製)などのナフタレン型エポキシ樹脂、商品名エピコートYX4000H(ジャパンエポキシレジン社製)などのビフェニル型エポキシ樹脂、商品名エピコート157S70(ジャパンエポキシレジン社製)などのビスフェノールA型ノボラック系エポキシ樹脂、商品名エピコート154(ジャパンエポキシレジン社製)、商品名YDPN−638(東都化成社製)などのフェノールノボラック型エポキシ樹脂、商品名YDCN−701(東都化成社製)などのクレゾールノボラック型エポキシ樹脂、商品名EPICLON HP−7200(大日本インキ化学工業社製)などのジシクロペンタジエンフェノール型エポキシ樹脂、商品名エピコート1032H60(ジャパンエポキシレジン社製)などのトリスヒドロキシフェニルメタン型エポキシ樹脂、商品名VG3101M80(三井化学社製)などの3官能型エポキシ樹脂、商品名エピコート1031S(ジャパンエポキシレジン社製)などのテトラフェニロールエタン型エポキシ樹脂、商品名デナコールEX−411(ナガセ化成工業社製)などの4官能型エポキシ樹脂、商品名ST−3000(東都化成社製)などの水添ビスフェノールA型エポキシ樹脂、商品名エピコート190P(ジャパンエポキシレジン社製)などのグリシジルエステル型エポキシ樹脂、商品名YH−434(東都化成社製)などのグリシジルアミン型エポキシ樹脂、商品名YDG−414(東都化成社製)などのグリオキザール型エポキシ樹脂、商品名EHPE3150(ダイセル化学工業社製)などの脂環式エポキシ樹脂、商品名エポリードGT−401(ダイセル化学工業社製)などの脂環式多官能エポキシ化合物、トリグリシジルイソシアネート(TGIC)などの複素環型エポキシ樹脂などを例示することができる。また、必要であれば、エポキシ反応性希釈剤として、商品名ネオトートE(東都化成社製)などを混合することができる。
これらのエポキシ樹脂の中でも、商品名EHPE3150(ダイセル化学工業社製)などの脂環式エポキシ樹脂、及び、エピコート157S70(ジャパンエポキシレジン社製)などのビスフェノールA型ノボラック系エポキシ樹脂が好ましく、中でも更に商品名EHPE3150(ダイセル化学工業社製)などの脂環式エポキシ樹脂が好ましい。
これらのエポキシ樹脂は、1種のみを単独で使用してもよく、2種以上を併用して使用してもよい。
これらのエポキシ樹脂は、1種のみを単独で使用してもよく、2種以上を併用して使用してもよい。
上記エポキシ樹脂の含有量は、インクの固形分に対して、2.0重量%〜35重量%であることが好ましく、より好ましくは5.0重量%〜30重量%である。エポキシ樹脂の含有量が少な過ぎると、充分な熱硬化性が得られない場合が生じるからである。また、エポキシ樹脂の含有量が多過ぎると、硬化不良を生じるからである。
また、本発明に用いられる、前記多官能性モノマー、前記アクリル系共重合体と、前記エポキシ樹脂の含有割合においては、所望の密着性、表面硬度、及び平坦性にすることができるものであれば良く、特に限定されないが、前記多官能性モノマーと前記アクリル系共重合体の和に対する前記エポキシ樹脂の重量比(エポキシ樹脂/(多官能性モノマー+アクリル系共重合体))が0.25〜4であり、且つ、前記多官能性モノマーに対する前記アクリル系共重合体の重量比(アクリル系共重合体/多官能性モノマー)が0.125〜8であることが、密着性、表面硬度、平坦性、耐溶剤性及び、保存安定性の点から好ましい。中でも、前記多官能性モノマーと前記アクリル系共重合体の和に対する前記エポキシ樹脂の重量比(エポキシ樹脂/(前記多官能性モノマー+前記アクリル系共重合体))が0.3〜1であり、且つ、前記多官能性モノマーに対する前記アクリル系共重合体の重量比(前記アクリル系共重合体/前記多官能性モノマー)が0.15〜3であることが好ましい。
<顔料>
第2のインクジェットインクにおいては、第1のインクジェットインクで用いる顔料と同じものが用いられる。
顔料の含有量としては、カラーフィルターの着色層を形成した場合に、所望の発色が可能なものであれば特に限定されるものではなく、用いる顔料の種類によっても異なり特に限定されない。第2のインクジェットインクにおいては、顔料濃度を高くするという第二の目的を達成するために、含有量を比較的高く設定する。具体的に顔料の含有量は、インクの固形分中において、20重量%〜70重量%の範囲内であることが好ましく、なかでも30重量%〜60重量%の範囲内であることが好ましい。
第2のインクジェットインクにおいては、第1のインクジェットインクで用いる顔料と同じものが用いられる。
顔料の含有量としては、カラーフィルターの着色層を形成した場合に、所望の発色が可能なものであれば特に限定されるものではなく、用いる顔料の種類によっても異なり特に限定されない。第2のインクジェットインクにおいては、顔料濃度を高くするという第二の目的を達成するために、含有量を比較的高く設定する。具体的に顔料の含有量は、インクの固形分中において、20重量%〜70重量%の範囲内であることが好ましく、なかでも30重量%〜60重量%の範囲内であることが好ましい。
<顔料分散剤>
第2のインクジェットインクにおいては、第1のインクジェットインクで用いる顔料分散剤と同じものが用いられる。
<溶剤>
第2のインクジェットインクにおいては、第1のインクジェットインクで用いる溶剤と同じものが用いられる。
第2のインクジェットインクにおいては、第1のインクジェットインクで用いる顔料分散剤と同じものが用いられる。
<溶剤>
第2のインクジェットインクにおいては、第1のインクジェットインクで用いる溶剤と同じものが用いられる。
<熱重合開始剤>
第2のインクジェットインクにおいては、熱により上記エチレン性不飽和結合を重合乃至架橋反応させることにより硬化させるため、第1のインクジェットインクで用いる熱重合開始剤と同じものを用いることができる。
また、熱により上記エポキシ樹脂、及び上記アクリル系共重合体中のエポキシ基を重合乃至架橋反応させることにより硬化させるため、熱重合開始剤を含有していても良い。このような熱重合開始剤としては、特に制限されないが、酸無水物であることが、保存安定性が高く、発熱量が少ない点から好ましい。
酸無水物としては、例えば、多価カルボン酸無水物が挙げられ、具体的には、無水フタル酸、無水イタコン酸、無水コハク酸、無水シトラコン酸、無水ドデセニルコハク酸、無水トリカルバリル酸、無水マレイン酸、無水ヘキサヒドロフタル酸、無水ジメチルテトラヒドロフタル酸、無水ハイミック酸、無水ナジン酸などの脂肪族または脂環族ジカルボン酸二無水物などの脂肪族多価カルボン酸二無水物;無水ピロメリット酸、無水トリメリット酸、無水ベンゾフェノンテトラカルボン酸などの芳香族多価カルボン酸無水物;エチレングリコールビストリメリレイト、グリセリントリストリメリレイトなどのエステル基含有酸無水物を挙げることができ、また、市販のカルボン酸無水物からなるエポキシ樹脂硬化剤も好適に用いることができる。
第2のインクジェットインクにおいては、熱により上記エチレン性不飽和結合を重合乃至架橋反応させることにより硬化させるため、第1のインクジェットインクで用いる熱重合開始剤と同じものを用いることができる。
また、熱により上記エポキシ樹脂、及び上記アクリル系共重合体中のエポキシ基を重合乃至架橋反応させることにより硬化させるため、熱重合開始剤を含有していても良い。このような熱重合開始剤としては、特に制限されないが、酸無水物であることが、保存安定性が高く、発熱量が少ない点から好ましい。
酸無水物としては、例えば、多価カルボン酸無水物が挙げられ、具体的には、無水フタル酸、無水イタコン酸、無水コハク酸、無水シトラコン酸、無水ドデセニルコハク酸、無水トリカルバリル酸、無水マレイン酸、無水ヘキサヒドロフタル酸、無水ジメチルテトラヒドロフタル酸、無水ハイミック酸、無水ナジン酸などの脂肪族または脂環族ジカルボン酸二無水物などの脂肪族多価カルボン酸二無水物;無水ピロメリット酸、無水トリメリット酸、無水ベンゾフェノンテトラカルボン酸などの芳香族多価カルボン酸無水物;エチレングリコールビストリメリレイト、グリセリントリストリメリレイトなどのエステル基含有酸無水物を挙げることができ、また、市販のカルボン酸無水物からなるエポキシ樹脂硬化剤も好適に用いることができる。
第2のインクジェットインクに用いられる熱重合開始剤の配合量は、インクの固形分中において、0.1重量%〜5.0重量%の範囲内であることが好ましく、中でも0.15重量%〜3.0重量%の範囲内であることが好ましい。熱重合開始剤の含有量が少なすぎると、硬化が不充分となり、強靭な塗膜を形成することができないおそれがある。また、熱重合開始剤の含有量が多すぎると、保存安定性が劣るおそれがある。
<インクの製造方法>
第2のインクジェットインクは、第1のインクジェットインクを製造する方法と同様に手順で製造することができる。
また、第2のインクジェットインクの用途も第1のインクジェットインクと同様であり、特に、色域再現性が良好で高輝度であることが要求される着色層の形成に好ましく用いられる。
第2のインクジェットインクは、第1のインクジェットインクを製造する方法と同様に手順で製造することができる。
また、第2のインクジェットインクの用途も第1のインクジェットインクと同様であり、特に、色域再現性が良好で高輝度であることが要求される着色層の形成に好ましく用いられる。
以下に実施例を示し、本発明を更に具体的に説明する。
実施例Aシリーズは、第1のインクジェットインクに関する実験である。一方、実施例Bシリーズは、第2のインクジェットインクに関する実験である。
<実施例Aシリーズ>
以下の手順により、実施例A1〜A9、及び、比較例A1〜A9を行った。
1.顔料分散液の調製
顔料、顔料分散剤、及び溶剤を下記の割合で混合し、直径0.5mmのジルコニアビーズを200重量部加え、ペイントシェーカー(浅田鉄工社製)を用いて3時間分散し、顔料分散液を調製した。
実施例Aシリーズは、第1のインクジェットインクに関する実験である。一方、実施例Bシリーズは、第2のインクジェットインクに関する実験である。
<実施例Aシリーズ>
以下の手順により、実施例A1〜A9、及び、比較例A1〜A9を行った。
1.顔料分散液の調製
顔料、顔料分散剤、及び溶剤を下記の割合で混合し、直径0.5mmのジルコニアビーズを200重量部加え、ペイントシェーカー(浅田鉄工社製)を用いて3時間分散し、顔料分散液を調製した。
(1)赤色顔料分散液の調製
[顔料分散液の組成]
・C.I.ピグメントレッド254:4.5重量部
・C.I.ピグメントレッド177:7.5重量部
・C.I.ピグメントイエロー150:3.0重量部
・顔料分散剤(Disperbyk161:商品名、ビックケミー・ジャパン製、溶剤中に固形分30重量%):30重量部
・BDGAC(ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート):55重量部
[顔料分散液の組成]
・C.I.ピグメントレッド254:4.5重量部
・C.I.ピグメントレッド177:7.5重量部
・C.I.ピグメントイエロー150:3.0重量部
・顔料分散剤(Disperbyk161:商品名、ビックケミー・ジャパン製、溶剤中に固形分30重量%):30重量部
・BDGAC(ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート):55重量部
(2)緑色顔料分散液の調製
[顔料分散液の組成]
・C.I.ピグメントグリーン36:10重量部
・C.I.ピグメントイエロー150:5重量部
・顔料分散剤(Disperbyk161:商品名、ビックケミー・ジャパン製、溶剤中に固形分30重量%):30重量部
・BDGAC(ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート):55重量部
[顔料分散液の組成]
・C.I.ピグメントグリーン36:10重量部
・C.I.ピグメントイエロー150:5重量部
・顔料分散剤(Disperbyk161:商品名、ビックケミー・ジャパン製、溶剤中に固形分30重量%):30重量部
・BDGAC(ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート):55重量部
(3)青色顔料分散液の調製
[顔料分散液の組成]
・C.I.ピグメントブルー15:6:9.5重量部
・C.I.ピグメントバイオレット23:0.5重量部
・顔料分散剤(Disperbyk161:商品名、ビックケミー・ジャパン製、溶剤中に固形分30重量%):20重量部
・BDGAC(ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート):70重量部
[顔料分散液の組成]
・C.I.ピグメントブルー15:6:9.5重量部
・C.I.ピグメントバイオレット23:0.5重量部
・顔料分散剤(Disperbyk161:商品名、ビックケミー・ジャパン製、溶剤中に固形分30重量%):20重量部
・BDGAC(ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート):70重量部
2.アクリル系共重合体の合成
ガス導入管、温度計、コンデンサー、攪拌機を備えた反応容器にジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート(BDGAC)を150重量部仕込み、窒素ガスで置換し、100℃に加熱した。そこに、グリシジルメタクリレート(GMA)50重量部、ジシクロペンタニルメタクリレート(DCPMA)50重量部、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート10重量部の混合液を2時間かけて滴下した。
滴下終了後100℃で3時間反応させることにより、GMA/DCPMA共重合体(溶液)を得た。
同様にして、1−アダマンチルメタクリレート(ADAMA)、2−メチル−2−アダマンチルメタクリレート(MADAMA)、ベンジルメタクリレート(BzMA)を下記表3に示す割合としてアクリル系共重合体を合成した。
得られたアクリル系共重合体a−1〜a−5について重量平均分子量(Mw)を、GPC測定装置(東ソー(株)製、HLC−8220GPC)にて、ポリスチレン標準の条件で測定した。
ガス導入管、温度計、コンデンサー、攪拌機を備えた反応容器にジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート(BDGAC)を150重量部仕込み、窒素ガスで置換し、100℃に加熱した。そこに、グリシジルメタクリレート(GMA)50重量部、ジシクロペンタニルメタクリレート(DCPMA)50重量部、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート10重量部の混合液を2時間かけて滴下した。
滴下終了後100℃で3時間反応させることにより、GMA/DCPMA共重合体(溶液)を得た。
同様にして、1−アダマンチルメタクリレート(ADAMA)、2−メチル−2−アダマンチルメタクリレート(MADAMA)、ベンジルメタクリレート(BzMA)を下記表3に示す割合としてアクリル系共重合体を合成した。
得られたアクリル系共重合体a−1〜a−5について重量平均分子量(Mw)を、GPC測定装置(東ソー(株)製、HLC−8220GPC)にて、ポリスチレン標準の条件で測定した。
3.インクの調製
上記で得られたアクリル系共重合体(a−1〜a−5)、多官能性モノマー(b−1〜b−3)、溶剤(BDGAC)を下記表4に示すように配合して実施例A1〜A9のインクジェットインクを調製した。また、下記表5に示すように配合して比較例A1〜A9のインクジェットインクを調製した。
次に、赤色インクとしては上記赤色顔料分散液と上記樹脂組成物とを充分に混合し、顔料(P)と顔料以外の固形分(V)との配合重量比(P/V)が0.6、及び混合液中の固形分が20重量%となるようにBDGACを加えて、カラーフィルタ用熱硬化性インクジェットインクを調製した。
緑色インクとしては上記緑色顔料分散液と上記樹脂組成物とを充分に混合し、顔料(P)と顔料以外の固形分(V)との配合重量比(P/V)が0.7、及び混合液中の固形分が20重量%となるようにBDGACを加えて、カラーフィルタ用熱硬化性インクジェットインクを調製した。
青色インクとしては上記青色顔料分散液と上記樹脂組成物とを充分に混合し、顔料(P)と顔料以外の固形分(V)との配合重量比(P/V)が0.25、及び混合液中の固形分が20重量%となるようにBDGACを加えて、カラーフィルタ用熱硬化性インクジェットインクを調製した。
多官能性モノマーとしては、b−1:ジペンタエリスリトールヘキサ及びペンタアクリレート混合物(製品名:アロニックスM403、ペンタアクリレート50〜60%、東亜合成製)、b−2:ジトリメチロールプロパンテトラアクリレート(製品名:アロニックスM408、東亞合成製)を用いた。b−3:イソシアヌル酸EO 変性ジ及びトリアクリレート(製品名:アロニックスM315、東亞合成社製)を用いた。
上記で得られたアクリル系共重合体(a−1〜a−5)、多官能性モノマー(b−1〜b−3)、溶剤(BDGAC)を下記表4に示すように配合して実施例A1〜A9のインクジェットインクを調製した。また、下記表5に示すように配合して比較例A1〜A9のインクジェットインクを調製した。
次に、赤色インクとしては上記赤色顔料分散液と上記樹脂組成物とを充分に混合し、顔料(P)と顔料以外の固形分(V)との配合重量比(P/V)が0.6、及び混合液中の固形分が20重量%となるようにBDGACを加えて、カラーフィルタ用熱硬化性インクジェットインクを調製した。
緑色インクとしては上記緑色顔料分散液と上記樹脂組成物とを充分に混合し、顔料(P)と顔料以外の固形分(V)との配合重量比(P/V)が0.7、及び混合液中の固形分が20重量%となるようにBDGACを加えて、カラーフィルタ用熱硬化性インクジェットインクを調製した。
青色インクとしては上記青色顔料分散液と上記樹脂組成物とを充分に混合し、顔料(P)と顔料以外の固形分(V)との配合重量比(P/V)が0.25、及び混合液中の固形分が20重量%となるようにBDGACを加えて、カラーフィルタ用熱硬化性インクジェットインクを調製した。
多官能性モノマーとしては、b−1:ジペンタエリスリトールヘキサ及びペンタアクリレート混合物(製品名:アロニックスM403、ペンタアクリレート50〜60%、東亜合成製)、b−2:ジトリメチロールプロパンテトラアクリレート(製品名:アロニックスM408、東亞合成製)を用いた。b−3:イソシアヌル酸EO 変性ジ及びトリアクリレート(製品名:アロニックスM315、東亞合成社製)を用いた。
得られた各カラーフィルタ用熱硬化性インクジェットインクについて、評価を行った。色度、耐NMP性、耐NaOH性、表面硬度については、下記のように樹脂硬化膜を形成して評価を行った。その評価結果を表6に示す。
(塗膜の形成)
厚み0.7mmのガラス基板(コーニング社製、1737)上に、スピンコートにより上記各インクジェットインクを塗布した。
その後、90℃のホットプレート上で10分間プリベークを行った。その後、クリーンオーブン内で、200℃で30分間加熱してポストベークを行い、更に240℃で30分加熱してポストベークを行って、着色層を形成した。
(塗膜の形成)
厚み0.7mmのガラス基板(コーニング社製、1737)上に、スピンコートにより上記各インクジェットインクを塗布した。
その後、90℃のホットプレート上で10分間プリベークを行った。その後、クリーンオーブン内で、200℃で30分間加熱してポストベークを行い、更に240℃で30分加熱してポストベークを行って、着色層を形成した。
〔評価方法〕
(1)保存安定性
得られた各インクジェットインクをガラス瓶に50g分取し、密閉した状態で、60℃にて1週間放置した。放置後のインクジェットインクの粘度を測定した。
[評価基準]
○:粘度の測定値の差が放置前後で5%未満であった。
△:粘度の測定値の差が放置前後で5%以上10%未満であった。
×:粘度の測定値の差が放置前後で10%以上であった。
(1)保存安定性
得られた各インクジェットインクをガラス瓶に50g分取し、密閉した状態で、60℃にて1週間放置した。放置後のインクジェットインクの粘度を測定した。
[評価基準]
○:粘度の測定値の差が放置前後で5%未満であった。
△:粘度の測定値の差が放置前後で5%以上10%未満であった。
×:粘度の測定値の差が放置前後で10%以上であった。
(2)色度
C光源での色度(Y、x、y)を顕微分光光度計(オリンパス光学社製「OPS−SP200」)を用いて測定した。
C光源での色度(Y、x、y)を顕微分光光度計(オリンパス光学社製「OPS−SP200」)を用いて測定した。
(3)耐NMP性
着色層を形成した基板をNMP溶液に30分間浸漬させ、浸漬前後の色差を測定した。
[評価基準]
○:色差がNMP浸漬前後で2以下であった。
△:色差がNMP浸漬前後で2超過5以下であった。
×:色差がNMP浸漬前後で5超過であった。
着色層を形成した基板をNMP溶液に30分間浸漬させ、浸漬前後の色差を測定した。
[評価基準]
○:色差がNMP浸漬前後で2以下であった。
△:色差がNMP浸漬前後で2超過5以下であった。
×:色差がNMP浸漬前後で5超過であった。
(4)耐NaOH性
着色層を形成した基板を10%NaOHaq溶液に15分間浸漬させ、浸漬前後の色差を測定した。
[評価基準]
○:色差が10%NaOHaq溶液に浸漬前後で2以下であった。
△:色差が10%NaOHaq溶液に浸漬前後で2超過5以下であった。
×:色差が10%NaOHaq溶液に浸漬前後で5超過であった。
着色層を形成した基板を10%NaOHaq溶液に15分間浸漬させ、浸漬前後の色差を測定した。
[評価基準]
○:色差が10%NaOHaq溶液に浸漬前後で2以下であった。
△:色差が10%NaOHaq溶液に浸漬前後で2超過5以下であった。
×:色差が10%NaOHaq溶液に浸漬前後で5超過であった。
(5)表面硬度(鉛筆硬度)
上記カラーフィルタ層の表面の鉛筆硬度をJIS K 5400−1990 8.4.1に準じて「鉛筆引っかき試験」により評価した。
上記カラーフィルタ層の表面の鉛筆硬度をJIS K 5400−1990 8.4.1に準じて「鉛筆引っかき試験」により評価した。
表6の結果から、第1の発明に係るインクジェットインクは、保存安定性に優れ、硬化性に優れ、熱硬化後の耐薬品性に優れ、輝度が高くて色域再現性が良好であることが確認できた。
<実施例Bシリーズ>
以下の手順により、実施例B1〜B14、及び、比較例B1〜B6を行った。
1.顔料分散液の調製
顔料、顔料分散剤、及び溶剤を下記の割合で混合し、直径0.5mmのジルコニアビーズを200重量部加え、ペイントシェーカー(浅田鉄工社製)を用いて3時間分散し、顔料分散液を調製した。
以下の手順により、実施例B1〜B14、及び、比較例B1〜B6を行った。
1.顔料分散液の調製
顔料、顔料分散剤、及び溶剤を下記の割合で混合し、直径0.5mmのジルコニアビーズを200重量部加え、ペイントシェーカー(浅田鉄工社製)を用いて3時間分散し、顔料分散液を調製した。
(1)赤色顔料分散液の調製
[顔料分散液の組成]
・顔料(C.I.ピグメントレッド254):4.5重量部
・顔料(C.I.ピグメントレッド177):7.5重量部
・顔料(C.I.ピグメントイエロー150):3.0重量部
・顔料分散剤(Disperbyk161:商品名、ビックケミー・ジャパン製、溶剤中に固形分30重量%):30.0重量部
・BDGAC(ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート):55.0重量部
[顔料分散液の組成]
・顔料(C.I.ピグメントレッド254):4.5重量部
・顔料(C.I.ピグメントレッド177):7.5重量部
・顔料(C.I.ピグメントイエロー150):3.0重量部
・顔料分散剤(Disperbyk161:商品名、ビックケミー・ジャパン製、溶剤中に固形分30重量%):30.0重量部
・BDGAC(ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート):55.0重量部
(2)緑色顔料分散液の調製
[顔料分散液の組成]
・顔料(C.I.ピグメントグリーン36):7.1重量部
・顔料(C.I.ピグメントイエロー150):7.9重量部
・顔料分散剤(Disperbyk161:商品名、ビックケミー・ジャパン製、溶剤中に固形分30重量%):30.0重量部
・BDGAC(ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート):55.0重量部
[顔料分散液の組成]
・顔料(C.I.ピグメントグリーン36):7.1重量部
・顔料(C.I.ピグメントイエロー150):7.9重量部
・顔料分散剤(Disperbyk161:商品名、ビックケミー・ジャパン製、溶剤中に固形分30重量%):30.0重量部
・BDGAC(ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート):55.0重量部
(3)青色顔料分散液の調製
[顔料分散液の組成]
・顔料(C.I.ピグメントブルー15:6):14.1重量部
・顔料(C.I.ピグメントバイオレット23):0.9重量部
・顔料分散剤(Disperbyk161:商品名、ビックケミー・ジャパン製、溶剤中に固形分30重量%):30.0重量部
・BDGAC(ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート):55.0重量部
[顔料分散液の組成]
・顔料(C.I.ピグメントブルー15:6):14.1重量部
・顔料(C.I.ピグメントバイオレット23):0.9重量部
・顔料分散剤(Disperbyk161:商品名、ビックケミー・ジャパン製、溶剤中に固形分30重量%):30.0重量部
・BDGAC(ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート):55.0重量部
2.アクリル系共重合体の合成
(1)アクリル系共重合体の重合
ガス導入管、温度計、コンデンサー、攪拌機を備えた反応容器にジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート(BDGAC)150重量部を仕込み、窒素ガスで置換し、100℃に加熱した。そこに、グリシジルメタクリレート(GMA)50重量部、ジシクロペンタニルメタクリレート(DCPMA)50重量部、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート10重量部の混合液を2時間かけて滴下した。
滴下終了後100℃で3時間反応させることにより、GMA/DCPMA共重合体(主鎖)溶液を得た。
同様にして、1−アダマンチルメタクリレート(ADAMA)、シクロヘキシルメタクリレート(CHMA)、イソボルニルメタクリレート(IBMA)、ジシクロペンテニルメタクリレート(DCPEMA)、2−メチル−2−アダマンチルメタクリレート(MADAMA)、2−エチル−2−アダマンチルメタクリレート(EADAMA)を下記表7に示す割合としてアクリル系共重合体を重合した。
比較例用のアクリル系共重合体j〜lについては、表7に示すように、更に、芳香環含有モノマー(ベンジルメタクリレート;BzMA)及びメチル基含有モノマー(メタクリル酸メチル;MMA)を用いて、同様にして重合をおこなった。
なお、表7中の数値は、重量%を示すものである。
(2)エチレン性不飽和結合の導入
上記方法で得られたアクリル系共重合体に、表7に示す量のアクリル酸(AA)、並びに、アクリル系共重合体中の含有モノマーの合計(エポキシ基含有モノマー、脂環式炭化水素含有モノマー、及びアクリル酸)1モル部に対して、p−メトキシフェノール0.0004モル部、及び、N,N−ジメチルベンジルアミン0.002モル部を加え、窒素導入管の代わりに空気導入管を接続し、110℃で10時間反応させることにより、エポキシ基にカルボキシル基含有モノマーが反応した、側鎖にエチレン性不飽和結合を有するアクリル系共重合体d〜iを得た。
(1)アクリル系共重合体の重合
ガス導入管、温度計、コンデンサー、攪拌機を備えた反応容器にジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート(BDGAC)150重量部を仕込み、窒素ガスで置換し、100℃に加熱した。そこに、グリシジルメタクリレート(GMA)50重量部、ジシクロペンタニルメタクリレート(DCPMA)50重量部、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート10重量部の混合液を2時間かけて滴下した。
滴下終了後100℃で3時間反応させることにより、GMA/DCPMA共重合体(主鎖)溶液を得た。
同様にして、1−アダマンチルメタクリレート(ADAMA)、シクロヘキシルメタクリレート(CHMA)、イソボルニルメタクリレート(IBMA)、ジシクロペンテニルメタクリレート(DCPEMA)、2−メチル−2−アダマンチルメタクリレート(MADAMA)、2−エチル−2−アダマンチルメタクリレート(EADAMA)を下記表7に示す割合としてアクリル系共重合体を重合した。
比較例用のアクリル系共重合体j〜lについては、表7に示すように、更に、芳香環含有モノマー(ベンジルメタクリレート;BzMA)及びメチル基含有モノマー(メタクリル酸メチル;MMA)を用いて、同様にして重合をおこなった。
なお、表7中の数値は、重量%を示すものである。
(2)エチレン性不飽和結合の導入
上記方法で得られたアクリル系共重合体に、表7に示す量のアクリル酸(AA)、並びに、アクリル系共重合体中の含有モノマーの合計(エポキシ基含有モノマー、脂環式炭化水素含有モノマー、及びアクリル酸)1モル部に対して、p−メトキシフェノール0.0004モル部、及び、N,N−ジメチルベンジルアミン0.002モル部を加え、窒素導入管の代わりに空気導入管を接続し、110℃で10時間反応させることにより、エポキシ基にカルボキシル基含有モノマーが反応した、側鎖にエチレン性不飽和結合を有するアクリル系共重合体d〜iを得た。
3.カラーフィルタ用熱硬化性インクジェットインクの調製
上記で得られたアクリル系共重合体(a〜l)、エポキシ樹脂、多官能性モノマー、熱重合開始剤、溶剤(BDGAC)を下記表8に示すように配合して樹脂組成物を調製した。
次に、上記顔料分散液と上記樹脂組成物とを充分に混合し、顔料(P)と顔料以外の固形分(V)との配合重量比(P/V)が0.6、及び混合液中の固形分が20重量%となるようにBDGACを加えて、カラーフィルタ用熱硬化性インクジェットインクを調製した。
エポキシ樹脂としては、1分子中に2個以上のエポキシ基を有する脂環式エポキシ樹脂(製品名:EHPE−3150(表8中、EHPEと表示)、ダイセル化学工業(株)製)、及び、ビスフェノールA型ノボラック系エポキシ樹脂(製品名:エピコート157S70(表8中、エピコートと表示)、ジャパンエポキシレジン社製)を用いた。
多官能性モノマーとしては、ジペンタエリスリトールヘキサ及びペンタアクリレート混合物(製品名:アロニックスM403、ペンタアクリレート50〜60%、東亜合成製)、ジペンタエリスリトールヘキサ及びペンタアクリレート混合物(製品名:アロニックスM405、ペンタアクリレート10〜20%、東亜合成製)を用いた。
熱重合開始剤としては、グリセリンビス(アンヒドロトリメリテート)モノアセテートと脂環式ジカルボン酸無水物の混合物(新日本理化製)を用いた。
上記で得られたアクリル系共重合体(a〜l)、エポキシ樹脂、多官能性モノマー、熱重合開始剤、溶剤(BDGAC)を下記表8に示すように配合して樹脂組成物を調製した。
次に、上記顔料分散液と上記樹脂組成物とを充分に混合し、顔料(P)と顔料以外の固形分(V)との配合重量比(P/V)が0.6、及び混合液中の固形分が20重量%となるようにBDGACを加えて、カラーフィルタ用熱硬化性インクジェットインクを調製した。
エポキシ樹脂としては、1分子中に2個以上のエポキシ基を有する脂環式エポキシ樹脂(製品名:EHPE−3150(表8中、EHPEと表示)、ダイセル化学工業(株)製)、及び、ビスフェノールA型ノボラック系エポキシ樹脂(製品名:エピコート157S70(表8中、エピコートと表示)、ジャパンエポキシレジン社製)を用いた。
多官能性モノマーとしては、ジペンタエリスリトールヘキサ及びペンタアクリレート混合物(製品名:アロニックスM403、ペンタアクリレート50〜60%、東亜合成製)、ジペンタエリスリトールヘキサ及びペンタアクリレート混合物(製品名:アロニックスM405、ペンタアクリレート10〜20%、東亜合成製)を用いた。
熱重合開始剤としては、グリセリンビス(アンヒドロトリメリテート)モノアセテートと脂環式ジカルボン酸無水物の混合物(新日本理化製)を用いた。
得られた各カラーフィルタ用熱硬化性インクジェットインクについて、下記のように樹脂硬化膜を形成して、表面硬度、密着性、耐ITO形成性について評価を行った。また、インクジェット方式により着色層を形成して平坦性を評価した。その評価結果を表8に併せて示す。
(樹脂硬化膜の形成)
厚み0.7mmのガラス基板(コーニング社製、1737)上に、スピンコートにより上記各インクジェットインクを塗布した。
その後、90℃のホットプレート上で10分間プリベークを行った。その後、クリーンオーブン内で、200℃で30分間加熱してポストベークを行い、更に240℃で30分加熱してポストベークを行って、着色層を形成した。
(樹脂硬化膜の形成)
厚み0.7mmのガラス基板(コーニング社製、1737)上に、スピンコートにより上記各インクジェットインクを塗布した。
その後、90℃のホットプレート上で10分間プリベークを行った。その後、クリーンオーブン内で、200℃で30分間加熱してポストベークを行い、更に240℃で30分加熱してポストベークを行って、着色層を形成した。
〔評価方法〕
(1)表面硬度(鉛筆硬度)
上記カラーフィルタ層の表面の鉛筆硬度をJIS K 5400−1990 8.4.1に準じて「鉛筆引っかき試験」により評価した。
(1)表面硬度(鉛筆硬度)
上記カラーフィルタ層の表面の鉛筆硬度をJIS K 5400−1990 8.4.1に準じて「鉛筆引っかき試験」により評価した。
(2)密着性
上記着色層と基板との密着性を、JIS K 5400−1990 8.5.3に準じて「付着性碁盤目テープ法」により評価した。なお、表8には、碁盤目100個中のカラーフィルタ層が剥がれずに残った碁盤目の数を表記した。
上記着色層と基板との密着性を、JIS K 5400−1990 8.5.3に準じて「付着性碁盤目テープ法」により評価した。なお、表8には、碁盤目100個中のカラーフィルタ層が剥がれずに残った碁盤目の数を表記した。
(3)平坦性
(インクジェット方式による着色層の形成)
厚み0.7mmで10cm×10cmのガラス基板(コーニング社製、1737)上に、ブラックマトリックス用硬化性樹脂組成物を用いてフォトリソグラフィー法により線幅20μm、膜厚2.2μmのブラックマトリックスパターンを形成した。
上記基板のブラックマトリックスにより区画された画素形成部に、上記インクジェットインクをインクジェット方式によって付着させた。
その後、120秒間10Torrで減圧乾燥を行い、更に、90℃のホットプレート上で10分間プリベークを行った。その後、クリーンオーブン内で、200℃で30分加熱してポストベークを行い、更に240℃で30分加熱してポストベークを行って、基板上に着色層のパターンを形成した。
(表面形状測定)
上記のようにインクジェット方式で得られた着色層を、非接触式表面形状測定装置 New View 6K(Zygo社製)を用いて測定し、表面形状のプロファイルを算出した。着色層の表面形状プロファイルのうち最も低い部分をA、最も高い部分をBとし、高低差(B−A)により平坦性の評価を、以下の評価基準で行った。
[評価基準]
○:B−A<0.5μm
△:0.5μm≦B−A<1.0μm
×:1.0μm≦B−A
(インクジェット方式による着色層の形成)
厚み0.7mmで10cm×10cmのガラス基板(コーニング社製、1737)上に、ブラックマトリックス用硬化性樹脂組成物を用いてフォトリソグラフィー法により線幅20μm、膜厚2.2μmのブラックマトリックスパターンを形成した。
上記基板のブラックマトリックスにより区画された画素形成部に、上記インクジェットインクをインクジェット方式によって付着させた。
その後、120秒間10Torrで減圧乾燥を行い、更に、90℃のホットプレート上で10分間プリベークを行った。その後、クリーンオーブン内で、200℃で30分加熱してポストベークを行い、更に240℃で30分加熱してポストベークを行って、基板上に着色層のパターンを形成した。
(表面形状測定)
上記のようにインクジェット方式で得られた着色層を、非接触式表面形状測定装置 New View 6K(Zygo社製)を用いて測定し、表面形状のプロファイルを算出した。着色層の表面形状プロファイルのうち最も低い部分をA、最も高い部分をBとし、高低差(B−A)により平坦性の評価を、以下の評価基準で行った。
[評価基準]
○:B−A<0.5μm
△:0.5μm≦B−A<1.0μm
×:1.0μm≦B−A
(4)耐ITO形成性
上記のように樹脂硬化膜を形成した基板を、イソプロピルアルコールに5分間浸漬させ、次いでイソプロピルアルコール蒸気にて乾燥を行い、洗浄した後、基板設定温度200℃にて、6×10−3Torrの真空下でITO(酸化インジウムスズ)電極を120nmの厚さになるように成膜し、下記基準に従って評価した。また成膜されたITO膜の表面粗度(Ra)をAFMで測定した。AFMは日本ビーコ株式会社のNanoScopeIIIaを用いた。
[耐ITO形成性の評価基準]
○:ITO電極にしわやクラックなどの異常が観測されなかった。
△:ITO電極にしわやクラックなどの異常が数点観測された。
×:ITO電極にしわやクラックなどの異常が全面に観測された。
上記のように樹脂硬化膜を形成した基板を、イソプロピルアルコールに5分間浸漬させ、次いでイソプロピルアルコール蒸気にて乾燥を行い、洗浄した後、基板設定温度200℃にて、6×10−3Torrの真空下でITO(酸化インジウムスズ)電極を120nmの厚さになるように成膜し、下記基準に従って評価した。また成膜されたITO膜の表面粗度(Ra)をAFMで測定した。AFMは日本ビーコ株式会社のNanoScopeIIIaを用いた。
[耐ITO形成性の評価基準]
○:ITO電極にしわやクラックなどの異常が観測されなかった。
△:ITO電極にしわやクラックなどの異常が数点観測された。
×:ITO電極にしわやクラックなどの異常が全面に観測された。
表8の結果から、第2の発明に係るインクジェットインクは、熱硬化後の密着性、表面硬度、及び平坦性に優れた着色層を実現することができることが確認できた。
Claims (10)
- 多官能性モノマー、バインダ樹脂、顔料、顔料分散剤、及び溶剤を含有するカラーフィルタ用熱硬化性インクジェットインクであって、
前記多官能性モノマーが、1分子内にエチレン性不飽和結合を4個以上有する化合物であり、且つ、前記バインダ樹脂が、(A)エポキシ基とエチレン性不飽和結合とを有するエポキシ基含有モノマーと(B)脂環式炭化水素基とエチレン性不飽和結合とを有する脂環式炭化水素含有モノマーとを少なくとも含むモノマー群を共重合させてなるアクリル系共重合体であることを特徴とする、カラーフィルタ用熱硬化性インクジェットインク。 - 前記アクリル系共重合体において、前記(A)エポキシ基含有モノマーが全共重合成分中20重量%〜80重量%であり、且つ前記(B)脂環式炭化水素含有モノマーが全共重合成分中20重量%〜80重量%であることを特徴とする、請求項1に記載のカラーフィルタ用熱硬化性インクジェットインク。
- 前記アクリル系共重合体において、前記(B)脂環式炭化水素含有モノマーが、有橋脂環式炭化水素基を有することを特徴とする、請求項1に記載のカラーフィルタ用熱硬化性インクジェットインク。
- 前記(B)脂環式炭化水素含有モノマーが、イソボルニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニルオキシ(メタ)アクリレート、アダマンチル(メタ)アクリレート、2−アルキル−2−アダマンチル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシ−1−アダマンチル(メタ)アクリレート、及び1−パーフルオロアダマンチル(メタ)アクリレートよりなる群から選ばれる1種以上であることを特徴とする、請求項1に記載のカラーフィルタ用熱硬化性インクジェットインク。
- 多官能性モノマー、バインダ樹脂、顔料、顔料分散剤、及び溶剤を含有するカラーフィルタ用熱硬化性インクジェットインクであって、
前記多官能性モノマーが、1分子内にエチレン性不飽和結合を4個以上有する化合物であり、且つ、前記バインダ樹脂が、(A)エポキシ基とエチレン性不飽和結合とを有するエポキシ基含有モノマーと(B)脂環式炭化水素基とエチレン性不飽和結合とを有する脂環式炭化水素含有モノマーとを少なくとも含むモノマー群を共重合させてなるアクリル系共重合体と、前記アクリル系共重合体とは異なるエポキシ樹脂とを含有することを特徴とする、カラーフィルタ用熱硬化性インクジェットインク。 - 前記アクリル系共重合体が、(A)エポキシ基とエチレン性不飽和結合とを有するエポキシ基含有モノマーと(B)脂環式炭化水素基とエチレン性不飽和結合とを有する脂環式炭化水素含有モノマーとを少なくとも含んで共重合させてなる共重合体が有するエポキシ基の1個以上に、カルボキシル基とエチレン性不飽和結合とを有するカルボキシル基含有モノマー(C)を反応させてなるアクリル系共重合体であることを特徴とする、請求項5に記載のカラーフィルタ用熱硬化性インクジェットインク。
- 前記アクリル系共重合体において、前記(A)エポキシ基含有モノマーが全共重合成分中20重量%〜80重量%であり、且つ前記(B)脂環式炭化水素含有モノマーが全共重合成分中20重量%〜80重量%であることを特徴とする、請求項5に記載のカラーフィルタ用熱硬化性インクジェットインク。
- 前記アクリル系共重合体において、前記(B)脂環式炭化水素含有モノマーが、有橋脂環式炭化水素基を有することを特徴とする、請求項5に記載のカラーフィルタ用熱硬化性インクジェットインク。
- 前記(B)脂環式炭化水素含有モノマーが、イソボルニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニルオキシ(メタ)アクリレート、アダマンチル(メタ)アクリレート、2−アルキル−2−アダマンチル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシ−1−アダマンチル(メタ)アクリレート及び1−パーフルオロアダマンチル(メタ)アクリレートよりなる群から選ばれる1種以上であることを特徴とする、請求項5に記載のカラーフィルタ用熱硬化性インクジェットインク。
- 前記多官能性モノマー、前記アクリル系共重合体と、前記エポキシ樹脂の含有割合において、前記多官能性モノマーと前記アクリル系共重合体の和に対する前記エポキシ樹脂の重量比(エポキシ樹脂/(多官能性モノマー+アクリル系共重合体))が0.25〜4であり、且つ、前記多官能性モノマーに対する前記アクリル系共重合体の重量比(アクリル系共重合体/多官能性モノマー)が0.125〜8であることを特徴とする、請求項5に記載のカラーフィルタ用熱硬化性インクジェットインク。
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