JPWO2010137471A1 - 凝集量計測装置及び凝集量計測方法 - Google Patents

凝集量計測装置及び凝集量計測方法 Download PDF

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Abstract

短時間且つ低コストで凝集量を算出する。そのための凝集量計測装置は、血液の流れを撮影するTVカメラ3と、TVカメラ3によって得られた血流画像から血球Cの速度又は流れ角度を算出し、当該血球Cの速度又は流れ角度に基づいて凝集領域R1,R2を判別し、当該凝集領域R1,R2における凝集量を算出する演算処理部70とを備える。

Description

本発明は、凝集量計測装置及び凝集量計測方法に関する。
近年、健康に対する関心の高まりとともに、健康のバロメータとして血液の流動性が注目されるようになっている。この血液の流動性を調べる方法としては、微細な溝を有するフィルタに血液を通過させて、通過に要する時間を計測する方法が知られている(例えば、特許文献1参照)。
ところで、流動性が低い血液では、血球が滞留して集塊状に結合していく凝集が発生しやすい。この凝集の発生は血液の流動性に大きく影響するため、凝集の発生の程度を凝集量として定量化することや、その高精度な計測方法の確立が望まれている。
そこで、白血球だけを抽出した血液の血流画像を解析し、滞留する白血球の数量及び面積を凝集量として算出する方法(例えば、特許文献2参照)や、赤血球だけを抽出した血液の血流画像を解析し、赤血球の凝集率(凝集量)を算出する方法(例えば、特許文献3参照)が提案されている。
特許第2685544号公報 特開2001−264318号公報 特開2006−71475号公報
しかしながら、上記特許文献2,3に記載の方法では、凝集の発生の程度に拘らず所定の画像範囲全てについて解析処理を行うため、凝集が発生していない領域に対しても解析処理がなされてしまう。その結果、解析時間が長くなり、解析コストもかさんでしまう。
本発明は、上記事情を鑑みてなされたもので、従来に比べ、短時間且つ低コストで凝集量を算出することのできる凝集量計測装置及び凝集量計測方法の提供を課題とする。
前記の課題を解決するために、請求項1に記載の発明は、凝集量計測装置であって、
血液の流れを撮影する撮影手段と、
前記撮影手段によって得られた血流画像から、血球の速度、又は血球の流れ方向と基準方向のなす流れ角度を算出する血流情報算出手段と、
前記血球の速度又は流れ角度に基づいて、凝集が発生している凝集領域を判別する凝集領域判別手段と、
前記凝集領域における凝集量を算出する凝集量算出手段と、
を備えることを特徴とする。
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の凝集量計測装置であって、
前記凝集量算出手段は、前記血流画像中の前記凝集領域における血球のエッジ量又は濃度に基づいて、血球が滞留している血球滞留部を当該凝集領域から抽出し、当該血球滞留部の面積を前記凝集量として算出することを特徴とする。
請求項3に記載の発明は、請求項1又は2に記載の凝集量計測装置であって、
前記凝集領域判別手段は、
前記血流画像中の各位置において、前記血球の速度又は流れ角度が、血球が流れている状態に対して判定基準よりも大きく変化したか否かを判定し、判定基準よりも大きく変化した部分を変化部分として抽出し、
前記血液が流れる流路が前記血球の径よりも広い幅に形成された場合であって、当該流路中に前記変化部分に囲まれた領域があるときは、当該領域を前記凝集領域として判別し、
前記血液が流れる流路が、前記血球の径以下の幅に形成されたゲートを有する場合であって、当該ゲートへの前記血液の流入部に前記変化部分があるときは、当該ゲート内部の領域を前記凝集領域として判別することを特徴とする。
請求項4に記載の発明は、請求項3に記載の凝集量計測装置であって、
前記撮影手段は、前記血液の流し始めの状態と、当該流し始めの状態から時間が経過した時間経過状態とにおける前記血液の流れを撮影し、
前記凝集領域判別手段は、前記流し始めの状態を血球が流れている状態として、前記時間経過状態における前記凝集領域を判別することを特徴とする。
請求項5に記載の発明は、凝集量計測方法であって、
血液の流れを撮影する撮影工程と、
前記撮影工程で得られた血流画像から、血球の速度、又は血球の流れ方向と基準方向のなす流れ角度を算出する血流情報算出工程と、
前記血球の速度又は流れ角度に基づいて、凝集が発生している凝集領域を判別する凝集領域判別工程と、
前記凝集領域における凝集量を算出する凝集量算出工程と、
を備えることを特徴とする。
請求項6に記載の発明は、請求項5に記載の凝集量計測方法であって、
前記凝集量算出工程では、前記血流画像中の前記凝集領域における血球のエッジ量又は濃度に基づいて、血球が滞留している血球滞留部を当該凝集領域から抽出し、当該血球滞留部の面積を前記凝集量として算出することを特徴とする。
請求項7に記載の発明は、請求項5又は6に記載の凝集量計測方法であって、
前記凝集領域判別工程では、
前記血流画像中の各位置において、前記血球の速度又は流れ角度が、血球が流れている状態に対して判定基準よりも大きく変化したか否かを判定し、判定基準よりも大きく変化した部分を変化部分として抽出し、
前記血液が流れる流路が前記血球の径よりも広い幅に形成された場合であって、当該流路中に前記変化部分に囲まれた領域があるときは、当該領域を前記凝集領域として判別し、
前記血液が流れる流路が、前記血球の径以下の幅に形成されたゲートを有する場合であって、当該ゲートへの前記血液の流入部に前記変化部分があるときは、当該ゲート内部の領域を前記凝集領域として判別することを特徴とする。
請求項8に記載の発明は、請求項7に記載の凝集量計測方法であって、
前記撮影工程では、前記血液の流し始めの状態と、当該流し始めの状態から時間が経過した時間経過状態とにおける前記血液の流れを撮影し、
前記凝集領域判別工程は、前記流し始め状態を血球が流れている状態として、前記時間経過状態における前記凝集領域を判別することを特徴とする。
本発明によれば、凝集が発生している凝集領域が血球の速度又は流れ角度に基づいて判別された後、この凝集領域に対して凝集量の算出が行われる。これにより、凝集が発生していない領域に対して解析処理を行うことがなく、解析時間を短縮し解析コストを低減しつつ凝集量を算出することができる。したがって、従来に比べ、短時間且つ低コストで凝集量を算出することができる。
また更に、血流画像中の凝集領域における血球のエッジ量又は濃度に基づいて、血球が滞留している血球滞留部を当該凝集領域から抽出し、当該血球滞留部の面積を凝集量として算出するようにした場合には、血球の速度又は流れ角度に基づいて凝集領域が判別された上で、更にその凝集領域に対して血球のエッジ量又は濃度に基づいて凝集量の算出が行われる。つまり、凝集の発生の判定が2重になされることになる。したがって、凝集の発生をより高精度に判定することができる。
凝集量計測装置の全体構成を示すブロック図である。 フィルタの断面図である。 (a)流路部の平面図であり、(b)側断面図である。 凝集量計測方法のフローチャートである。 (a)血液の流し始め状態における血球の速度ベクトル図であり、(b)時間経過状態における血球の速度ベクトル図である。
以下、本発明の実施形態について、図を参照して説明する。
図1は、本発明に係る凝集量計測装置1の全体構成を示すブロック図である。
この図に示すように、凝集量計測装置1は、血液を供給槽10からフィルタ2に通して排出槽11へ導き、その過程で取得される情報から血液中の血球の凝集量を求めるものである。なお、本実施形態において、凝集量とは、凝集の発生の程度を表す後述の定量値をいい、凝集とは、血球が滞留して集塊状に結合することをいう。
具体的には、凝集量計測装置1は、主に、フィルタ2と、フィルタ2内の血液の流れを撮影するTVカメラ3と、TVカメラ3によって得られた血流画像に基づいて凝集量を算出するパソコン(PC)7と、血流画像等を表示するディスプレイ8と、フィルタ2内の血流を制御する差圧制御部9とを備えている。なお、本実施形態における凝集量計測装置1には、生理食塩水や生理活性物質などの液体を血液と混合してフィルタ2に導けるよう、ミクサー12を介して流路に連結された複数の溶液びん13等が更に具備されている。そして、生理食塩水や生理活性物質などの液体と混合した血液(以下、血液という)は、差圧制御部9が加圧ポンプ15及び減圧ポンプ16を制御してフィルタ2前後の差圧を調整することにより、フィルタ2内を所望量だけ流れるようになっている。また、上述の差圧制御部9やミクサー12の他、供給槽10のバルブ10a等は、シーケンス制御部17によって統合制御されている。
図2は、フィルタ2の断面図である。
フィルタ2は、図2に示すように、ベース板21、シリコン単結晶基板22,22、外側板23及びガラス平板24を含んで構成されている。
ベース板21は、平板状に形成されており、中央近傍の上面と外側面とを連通する導入孔21a、及び一側端寄りの上面と外側面とを連通する排出孔21bを有している。これら導入孔21a及び排出孔21bは、ベース板21の外側面から血液チューブ(図示せず)を介して供給槽10及び排出槽11に連結されている。
2つのシリコン単結晶基板22,22は、いずれも略平板状に形成されており、互いに所定の隙間を介した状態でベース板21の上面に並設されている。この2つのシリコン単結晶基板22,22間の隙間には、ベース板21の導入孔21aが開口している。また、シリコン単結晶基板22,22の上端部には、隆起部22aが矢印Xの方向(以下、X方向という)に延在しており、この隆起部22aの上端部には、六角形状の土手部22bが頂面をガラス平板24に当接させてX方向に複数配列されている(図3参照)。
外側板23は、シリコン単結晶基板22,22の周囲を囲んでベース板21の上面端に固定されている。外側板23とシリコン単結晶基板22,22との間には所定の隙間が設けられ、この隙間にベース板21の排出孔21bが開口している。
ガラス平板24は、平板状に形成されており、外側板23の上面に固定されている。また、ガラス平板24の下面と隆起部22aの上面との間には、微細な流路群の流路部25が形成されている。
図3(a)は、流路部25を上面から見た図(平面図)であり、図3(b)は、その側断面図である。
流路部25は、図3(a),(b)に示すように、隆起部22a上端部の複数の土手部22b,…に挟まれて形成される複数のゲート25aと、当該ゲート25aよりもフィルタ2中央側(図中の上側)の空間である上流テラス25bと、ゲート25aよりもフィルタ2外側(図中の下側)の空間である下流テラス25cとから構成されている。
このうち、ゲート25aは、本実施形態においては、赤血球の血球径(約8μm)よりも狭い幅tに形成されている。また、特に限定はされないが、上流テラス25b,ゲート25a,下流テラス25cにおける矢印Yの方向(以下、Y方向という)の各長さla,lb,lcは、いずれも約30μmに形成されている。なお、ゲート25aの幅tは、凝集量を計測する計測対象の血球種の血球径以下であればよいが、これに限定されず、上流テラス25b及び下流テラス25cの幅よりも狭ければよい。より好ましくは、ゲート25aの幅tは、凝集量を計測する計測対象の血球種の血球径に対し、当該血球径と同程度の幅として、血球1個が通過可能な幅であって血球2個が並列して同時に通過できない程度の幅であるのがよい。但し、ゲート25aの幅tが血球径よりも狭い幅であると、当該ゲート25aを通過する血球の変形の様子を容易に観察できる点で好ましい。このゲート25aの幅tの下限としては、血球が通過可能な最小の幅である。また、上流テラス25b及び下流テラス25cは、血球径よりも広い幅に形成されていればよい。
以上の構成を具備するフィルタ2においては、供給槽10から導入孔21aを通じて導入された血液は、当該フィルタ2の中央側から外側へ向かって流路部25を通過した後、排出孔21bを通じて排出槽11へ排出されることとなる。より詳細には、流路部25を流れる血液中の血球C、例えば赤血球は、まず上流テラス25bを通過した後、ゲート25aを変形しながら通過し、最後に下流テラス25cを通過することとなる。
また、フィルタ2の上流及び下流には、図1に示すように、圧力センサE1,E2が設けられており、この圧力センサE1,E2は、計測したフィルタ上流圧力P1,フィルタ下流圧力P2を差圧制御部9へ出力するようになっている。
TVカメラ3は、例えばデジタルCCDカメラであり、血液の流れを撮影するのに十分な解像度及びシャッタースピードを有した高速カメラである。このTVカメラ3は、フィルタ2におけるガラス平板24に対向して設置され、流路部25を通過する血液の流れをガラス平板24超しに撮影する。TVカメラ3によって得られた血流画像は、パソコン7に出力されるとともに、ディスプレイ8に表示されるようになっている。なお、TVカメラ3は、特に限定はされないが、動画が撮影可能なカメラである。
パソコン7は、TVカメラ3から入力された血流画像を解析して血球Cの凝集量を算出する演算処理部70を備えている。このような演算処理部70としては、従来より公知のものを用いることができる。
ディスプレイ8は、TVカメラ3から入力された血流画像や、パソコン7によって解析された解析画像等を表示する。
差圧制御部9は、シーケンス制御部17,加圧ポンプ15及び減圧ポンプ16と接続されており、シーケンス制御部17からの制御指令に応じてフィルタ2前後の差圧を制御するようになっている。より詳細には、差圧制御部9は、フィルタ上流圧力P1及びフィルタ下流圧力P2が所定の圧力となるように、フィルタ2上流の加圧ポンプ15とフィルタ2下流の減圧ポンプ16とをそれぞれ制御する。なお、この差圧制御部9やシーケンス制御部17は、パソコン7と一体に構成してもよい。
続いて、凝集量計測装置1を用いて血球Cの凝集量を計測する凝集量計測方法について、主に図4を参照して説明する。
図4は、凝集量計測方法のフローチャートである。
この図に示すように、まず、フィルタ2へ計測対象の血液を流す(ステップS1)。具体的には、供給槽10へ計測対象の血液を注ぐとともに、必要に応じて溶液びん13へ生理食塩水等を加える。すると、差圧制御部9によりフィルタ2に所定の差圧が加えられて血液がフィルタ2へ流される。
次に、TVカメラ3により、流路部25を通過する血液の流れを撮影する(ステップS2)。このとき、TVカメラ3は、少なくとも、血液の流し始めの状態(流し始め状態)と、当該流し始めの状態から所定の時間が経過した状態(時間経過状態)とにおける血液の流れをそれぞれ動画撮影する。ここで、所定の時間とは、流路部25で凝集が発生するのに十分な時間である。
次に、血球Cの速度ベクトルを算出する(ステップS3)。このステップは、パソコン7の演算処理部70がステップS2で得られた血流画像を解析することにより行われる。この速度ベクトルの算出には、特開2006−223761号公報や特開2002−148270号公報等に記載の公知の方法を用いることができる。そして、この速度ベクトルの算出を、血液の流し始め状態と時間経過状態との少なくとも2つの状態に対して行う。
このステップS3での速度ベクトルの算出により、図5(a),(b)に示すような解析画像が得られる。ここで、図5(a)は、血液の流し始め状態における血球Cの速度ベクトル図であり、図5(b)は、時間経過状態における血球Cの速度ベクトル図である。但し、図5(b)では、滞留している血球Cをその状態のまま図示している。これらの図に示すように、血液の流し始めでは血球Cは滞留することなく滑らかに流路部25を流れるが、時間の経過に伴って滞留していき、凝集が発生する。
次に、図4に示すように、血球Cの速度と流れ角度とを算出する(ステップS4)。このステップでは、演算処理部70は、ステップS3で算出された血球Cの速度ベクトルから、血球Cの速度、及び血球Cの流れ方向と基準方向とのなす流れ角度を、血液の流し始め状態及び時間経過状態それぞれでの各血球Cについて算出する。
ここで基準方向とは、撮影領域の各位置でそれぞれ任意の方向を設定可能であり、本実施形態としては血液の流し始め状態における各位置での流れ方向(流線)を基準方向としている。なおこれに限られず、撮影領域全体の流れ方向としてY方向(図3参照)を各位置共通の基準方向として用いてもよい。
次に、凝集が発生している凝集領域を判別する(ステップS5)。このステップでは、演算処理部70は、ステップS4で算出した血球Cの速度又は流れ角度に基づいて、時間経過状態における凝集領域を判別する。具体的には、演算処理部70は、血流画像中の各位置における時間経過状態における血球Cの速度又は流れ角度を、血球が流れている流し始め状態のものと比較する。そして、流し始め状態に比べて血球Cの速度又は流れ角度の変化量を算出する。算出した変化量が判定基準よりも大きいか否かを判定し、判定基準よりも大きく、つまり大きく変化した部分を変化部分Dとして抽出する。なお変化量としては差分量でもよく比率でもよい。
つまり、図5(b)での速度ベクトルを表す矢印の長さ又は方向を、図5(a)での同一位置のものと比較し、判定基準よりも大きく変化している部分を変化部分Dとして抽出する。それから、演算処理部70は、前述のように血球の径よりも広い幅に形成された流路である上流テラス25b及び下流テラス25c中に変化部分Dに囲まれた領域があるときは、当該領域を凝集領域Rとして判別する。また血球の径以下の幅に形成されたゲートであるゲート25aへの血液の流入部に変化部分Dがあるときは、ゲート25a内部の領域を凝集領域Rとして判別する。ゲート内部の領域とは、血球の径以下の幅に形成された領域及びこの領域に少なくとも一部が含まれる変化部分Dに囲まれた領域を加えた領域である。
なお、変化部分Dの抽出方法の変形例として以下のようにしてもよい。血流画像中の各位置において、時間経過状態における血球Cの速度又は流れ角度の血球が流れている「流し始め状態」に対する変化量を算出する。そして、算出した変化量が他の位置との比較において、他の位置よりも大きく変化した部分を変化部分Dとして抽出する。
次に、凝集領域R,Rにおける凝集量を算出する(ステップS6)。このステップでは、演算処理部70は、血流画像中の凝集領域R,Rにおける血球Cのエッジ量又は濃度に基づいて、血球Cが滞留している血球滞留部を凝集領域R,Rから抽出し、当該血球滞留部の面積を凝集量として算出する。
具体的には、エッジ量に基づいて血球滞留部を抽出する場合には、演算処理部70は、血流画像中の凝集領域R,Rに対し垂直及び水平の両方向へSobelフィルタをかけることで凝集領域R,R内の血球Cのエッジを取り出した後、このエッジ量が所定の閾値以上の部分を血球滞留部として抽出し、その面積を算出する。なお、必要に応じて、予め設定した値より小さい面積の部分をノイズとして血球滞留部から減じてもよいし、色相や輝度を利用して血球滞留部内の血球種を判別してもよい。
また、濃度に基づいて血球滞留部を抽出する場合には、演算処理部70は、色の濃い部分を血球Cが含まれる部分とし、色の薄い部分を血球Cが含まれない部分として、凝集領域R,R内の画像色の濃度が所定の閾値以上の部分を血球滞留部として抽出し、その面積を算出する。
以上の凝集量計測装置1によれば、凝集領域R,Rが血球Cの速度又は流れ角度に基づいて判別された後、この凝集領域R,Rに対して凝集量の算出が行われる。これにより、凝集が発生していない領域に対して解析処理を行うことがなく、解析時間を短縮し解析コストを低減しつつ凝集量を算出することができる。したがって、従来に比べ、短時間且つ低コストで凝集量を算出することができる。
また、血球Cの速度又は流れ角度に基づいて凝集領域R,Rが判別された上で、更にその凝集領域R,Rに対して血球Cのエッジ量又は濃度に基づいて凝集量の算出が行われる。つまり、凝集の発生の判定が2重になされることになる。したがって、凝集の発生をより高精度に判定することができる。
なお、本発明は上記実施形態に限定して解釈されるべきではなく、適宜変更・改良が可能であることはもちろんである。
例えば、上記実施形態では、凝集量計測方法フローのステップS4において血球Cの速度と流れ角度との2つを算出することとしたが、ステップS5での凝集領域の判別に用いるいずれか一方のみを算出することとしてもよい。
また、凝集領域R,R内の血球滞留部の面積を凝集量として算出することとしたが、ステップS4で算出した血球Cの速度の標準偏差や流れ角度を凝集量としてもよいし、予め設けた変換テーブルでこれらを変換した他の凝集量を求めてもよい。この場合には、滞留した血球を特定する必要がなく、容易に凝集量を算出することができる。また、一般に、血球Cの速度は変形能の算出に用いられるため、凝集量と併せて変形能も同時に算出することができる。
1 凝集量計測装置
3 TVカメラ(撮影手段)
25 流路部(流路)
25a ゲート
70 演算処理部(血流情報算出手段、凝集領域判別手段、凝集量算出手段)
C 血球
D 変化部分
,R 凝集領域

Claims (8)

  1. 血液の流れを撮影する撮影手段と、
    前記撮影手段によって得られた血流画像から、血球の速度、又は血球の流れ方向と基準方向のなす流れ角度を算出する血流情報算出手段と、
    前記血球の速度又は流れ角度に基づいて、凝集が発生している凝集領域を判別する凝集領域判別手段と、
    前記凝集領域における凝集量を算出する凝集量算出手段と、
    を備えることを特徴とする凝集量計測装置。
  2. 前記凝集量算出手段は、前記血流画像中の前記凝集領域における血球のエッジ量又は濃度に基づいて、血球が滞留している血球滞留部を当該凝集領域から抽出し、当該血球滞留部の面積を前記凝集量として算出することを特徴とする請求項1に記載の凝集量計測装置。
  3. 前記凝集領域判別手段は、
    前記血流画像中の各位置において、前記血球の速度又は流れ角度が、血球が流れている状態に対して判定基準よりも大きく変化したか否かを判定し、判定基準よりも大きく変化した部分を変化部分として抽出し、
    前記血液が流れる流路が前記血球の径よりも広い幅に形成された場合であって、当該流路中に前記変化部分に囲まれた領域があるときは、当該領域を前記凝集領域として判別し、
    前記血液が流れる流路が、前記血球の径以下の幅に形成されたゲートを有する場合であって、当該ゲートへの前記血液の流入部に前記変化部分があるときは、当該ゲート内部の領域を前記凝集領域として判別することを特徴とする請求項1又は2に記載の凝集量計測装置。
  4. 前記撮影手段は、前記血液の流し始めの状態と、当該流し始めの状態から時間が経過した時間経過状態とにおける前記血液の流れを撮影し、
    前記凝集領域判別手段は、前記流し始めの状態を血球が流れている状態として、前記時間経過状態における前記凝集領域を判別することを特徴とする請求項3に記載の凝集量計測装置。
  5. 血液の流れを撮影する撮影工程と、
    前記撮影工程で得られた血流画像から、血球の速度、又は血球の流れ方向と基準方向のなす流れ角度を算出する血流情報算出工程と、
    前記血球の速度又は流れ角度に基づいて、凝集が発生している凝集領域を判別する凝集領域判別工程と、
    前記凝集領域における凝集量を算出する凝集量算出工程と、
    を備えることを特徴とする凝集量計測方法。
  6. 前記凝集量算出工程では、前記血流画像中の前記凝集領域における血球のエッジ量又は濃度に基づいて、血球が滞留している血球滞留部を当該凝集領域から抽出し、当該血球滞留部の面積を前記凝集量として算出することを特徴とする請求項5に記載の凝集量計測方法。
  7. 前記凝集領域判別工程では、
    前記血流画像中の各位置において、前記血球の速度又は流れ角度が、血球が流れている状態に対して判定基準よりも大きく変化したか否かを判定し、判定基準よりも大きく変化した部分を変化部分として抽出し、
    前記血液が流れる流路が前記血球の径よりも広い幅に形成された場合であって、当該流路中に前記変化部分に囲まれた領域があるときは、当該領域を前記凝集領域として判別し、
    前記血液が流れる流路が、前記血球の径以下の幅に形成されたゲートを有する場合であって、当該ゲートへの前記血液の流入部に前記変化部分があるときは、当該ゲート内部の領域を前記凝集領域として判別することを特徴とする請求項5又は6に記載の凝集量計測方法。
  8. 前記撮影工程では、前記血液の流し始めの状態と、当該流し始めの状態から時間が経過した時間経過状態とにおける前記血液の流れを撮影し、
    前記凝集領域判別工程は、前記流し始め状態を血球が流れている状態として、前記時間経過状態における前記凝集領域を判別することを特徴とする請求項7に記載の凝集量計測方法。
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