JPWO2010134218A1 - 変形クラウンギア減速機構 - Google Patents

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高い減速比を実現することと、回転の滑らかさを確保してバックラッシが生じにくくすることと、機構全体のコンパクト化や軽量化を図ることとを、いずれも高水準で両立することのできる減速機構を提供する。本発明の減速機構は、回転駆動される押し付け機構16と、外部部材15に固着される固定クラウンギア2と、固定クラウンギア2との歯数差が1の可動クラウンギア1と、可動クラウンギア1に可撓的に取り付けられた出力軸3とから成る変形クラウンギア減速機構である。押し付け機構16から付与される押し付け力によって、可動クラウンギア1は固定クラウンギア2に対して傾斜して噛み合う。このとき、固定クラウンギア2と可動クラウンギア1の歯の接触位置が傾斜中心線を挟んで左右の2箇所に分散するように設けてある。

Description

本発明は、大きな減速比を実現できる歯車減速機構の分野に属する。
大きな減速比を実現できる歯車減速機構として、調和駆動型減速機構や、揺動傘歯車型減速機構が周知である。
前者の機構である調和駆動型減速機構は、サーキュラー・スプラインとこれより歯数が2枚少ないフレクスプラインを備え、ウェーブ・ジェネレータによりフレクスプラインを連続的に撓ませることで、該フレクスプラインとサーキュラー・スプラインを2箇所で噛み合わせるといった機構である(日本公開特許第7−103291号公報等参照)。
上記の調和駆動型減速機構では、2箇所で噛み合うので円滑に回転しやすく、バックラッシも生じにくいという利点がある。しかし、歯数差を2以上の偶数枚だけ設けることが構造上必要であり、そのため減速比が最大でも2/N(N:歯数)にしかならないという問題がある。また、調和駆動型減速機構においてはギアの起動トルクが大きくなり、そのために大型のモータが必要になって機構全体が大型化し、また高重量化しやすいという問題がある。
後者の機構である揺動傘歯車型減速機構は、固定傘歯車と可動傘歯車を歯数が1枚異なるように備え、入力軸と一体になった傾斜円盤によって可動傘歯車を固定傘歯車に押し付け、1箇所で噛み合わせながら歳差運動を与えるといった機構である(日本公開特許第7−248047号公報等参照)。
上記の揺動傘歯車型減速機構では、歯数差が1であるから減速比を1/N(N:歯数)にでき、高い減速比が実現できるという利点がある。しかし、傘歯車同士の接触部分が1箇所であるため回転の滑らかさが低下し、バックラッシも生じやすいという問題がある。また、複数の傘歯車同士を組み合わせるので、特に軸方向の寸法が嵩んで機構全体が大型化し、また高重量化するという問題がある。
つまり、従来周知である上記の調和駆動型減速機構や揺動傘歯車型減速機構では、高い減速比を実現することと、回転の滑らかさを確保してバックラッシが生じにくくすることと、機構全体のコンパクト化や軽量化を図ることとは、両立が困難である。そのため、ロボットハンドの指関節等に内蔵するには不向きであった。
本発明は上記問題点に鑑みて発明したものであって、高い減速比を実現することと、回転の滑らかさを確保してバックラッシが生じにくくすることと、機構全体のコンパクト化や軽量化を図ることとを、いずれも高水準で両立することのできる減速機構を提供することを、課題とする。
上記課題を解決することのできる本発明は、回転駆動される押し付け機構16と、外部部材15に固着される固定クラウンギア2と、固定クラウンギア2との歯数差が1の可動クラウンギア1と、可動クラウンギア1に可撓的に取り付けられた出力軸3とから成る変形クラウンギア減速機構である。押し付け機構16から付与される押し付け力によって可動クラウンギア1が固定クラウンギア2に対して傾斜して噛み合い、且つ、固定クラウンギア2と可動クラウンギア1の歯の接触位置が傾斜中心線を挟んで左右の2箇所に分散するように設けたことを特徴としている。
上記構成を具備する本発明の変形クラウンギア減速機構にあっては、可動クラウンギア1と固定クラウンギア2の歯数差が1であるから、高い減速比が実現できる。また、可動クラウンギア1と固定クラウンギア2が噛み合う位置は、傾斜中心線を挟む左右2箇所に分散されるため、回転の滑らかさが確保されるとともに、バックラッシも生じにくいものとなる。さらに、可動クラウンギア1と固定クラウンギア2は、互いの歯が噛み合った状態で組み合わされるので、特に軸方向の寸法がコンパクト化される。また、大きな起動トルクが必要とされないため、押し付け機構16を回転駆動させるために大型のモータを使用する必要もない。そのため、機構全体がコンパクト化、軽量化される。つまり、本発明の変形クラウンギア減速機構では、高い減速比を実現することと、回転の滑らかさを確保してバックラッシが生じにくくすることと、機構全体のコンパクト化や軽量化を図ることとが、両立されるのである。
本発明の変形クラウンギア減速機構では、上記押し付け機構16を、入力軸6に対して回転方向に一体に駆動されるように取り付け、入力軸6及び押し付け機構16の一体回転に伴って、可動クラウンギア1及び出力軸3が減速回転駆動されるように設けることが好ましい。このようにすることで、入力軸6に連結させた押し付け機構16を回転駆動させるだけで、該押し付け機構16により固定クラウンギア2に押し付けられた可動クラウンギア1が自ずと歳差運動を行い、その回転を出力軸3に出力させるようになる。そのため、機構全体がコンパクト化されるとともに、加工精度や組み立ての負担も軽減されたものとなる。
さらに、上記押し付け機構16は、入力軸6に対して軸方向に揺動可能なものであることが好ましい。このようにすることで、部品の加工精度の誤差等を上記押し付け機構16の揺動によって吸収することができ、加工精度や組み立ての負担がさらに軽減される。
さらに、上記押し付け機構16は、入力軸6に取り付けられて一体に回転する押し付け軸7と、該押し付け軸7から径方向に延設されたアーム8と、該アーム8の先端部に設けられて可動クラウンギア1の背面を押圧する押圧体17とから成ることが好ましい。このようにすることで、各構成の重心を極力同軸上に集め、振動低減を図ることができる。また、軸方向の寸法がコンパクト化され、機構全体が軽量化される。
さらに、上記押圧体17は、可動クラウンギア1の背面を周方向に転動するローラ9又は球であることが好ましい。このようにすることで、さらに円滑な回転が実現される。
また、本発明の変形クラウンギア減速機構では、上記固定クラウンギア2と上記可動クラウンギア1の両方又は一方を、可撓性材料で形成することが好ましい。このようにすることで、左右の2箇所で噛み合う歯の数を増加させ、回転をさらに円滑にすることにより一層の低振動、低バックラッシを実現することができる。
さらに、上記可撓性材料は、ポリアセタールであることが好ましい。このようにすることで、可動クラウンギア1や固定クラウンギア2を、可撓性、強度、耐衝撃性をともに高水準で有するものにすることができる。
本発明の実施形態における一例の変形クラウンギア減速機構の側断面図である。 同上の変形クラウンギア減速機構の斜視図である。 同上の変形クラウンギア減速機構の他の方向からみた斜視図である。 同上の変形クラウンギア減速機構のモデル図である。 同上の変形クラウンギア減速機構の噛み合い歯のモデル図である。 同上の変形クラウンギア減速機構の歯の噛み合い状態図である。 本発明の実施形態における他例の変形クラウンギア減速機構の噛み合い歯のモデル図である。 同上の変形クラウンギア減速機構でhr=1.00の場合のω−h分布を示すグラフ図である。 同上の変形クラウンギア減速機構でhr=1.00、0.9、0.8、0.7、0.6の場合のω−h分布を示すグラフ図である。 同上の変形クラウンギア減速機構でhr=0.80の場合の歯の噛み合い状態図である。 同上の変形クラウンギア減速機構でhr=0.80の場合の各歯の歯間距離を示すグラフ図である。 同上の変形クラウンギア減速機構でhr=0.92の場合の歯の噛み合い状態図である。 同上の変形クラウンギア減速機構でhr=0.92の場合の各歯の歯間距離を示すグラフ図である。
本発明を、添付図面に示す実施形態に基づいて説明する。図1〜図3には、本発明の実施形態における一例の変形クラウンギア減速機構を示している。
図1に示すように、変形クラウンギア減速機構を配置するための外部部材15は、所定距離を隔てて平行に対向配置される前壁部11と後壁部12とから成る。前壁部11には、後壁部12と対向する面上に固定クラウンギア2を固着しており、この固定クラウンギア2に対して可動クラウンギア1を傾斜状態で噛み合わせている。固定クラウンギア2と可動クラウンギア1とは、互いの外径を等しく設ける一方で歯数差は1となるように設けているので、後述の押し付け機構16によって可動クラウンギア1を固定クラウンギア2に押し付けることで、両クラウンギア1,2の歯がぴたりと嵌合することなく、必然的に傾斜状態が生じるようになっている。
可動クラウンギア1は、可動クラウンギア1の内周縁から中心側に延設される複数本のスポーク4と、可動クラウンギア1の中央にて全てのスポーク4が連結されるハブ5とを有している。ハブ5には、前壁部11が軸受けを介して回動自在に支持する出力軸3の一端側を固着させている。出力軸3の他端側は、前壁部11の固定クラウンギア2を固定してある面と反対側の面から突出させている。上記スポーク4は、可動クラウンギア1と出力軸3を可撓的に連結させる部材であればよく、アームやリブ、ダイアフラムのような板状体であっても構わない。
押し付け機構16は、入力軸6の先端部に固着されて一体に回転する押し付け軸7と、押し付け軸7から径方向に延設される十字状のアーム8と、アーム8の先端部に設けた押圧体17とから成る(図2、図3参照)。押圧体17は可動クラウンギア1の背面(つまり、固定クラウンギア2側とは反対側を向く面)に対して押圧力を付与し、可動クラウンギア1を固定クラウンギア2に押し付ける。この状態において、軸方向に揺動自在であるアーム8は可動クラウンギア1の背面の傾斜に倣う姿勢となる。なお、アーム8は押し付け安定性を増すために十字状の棒状体としているが、一本の棒状体であってもよい。また、棒状体以外の形状であってもよい。
アーム8は、押し付け軸7の軸方向と直交する軸13(図1参照)を中心として、押し付け軸7の軸方向に1自由度で揺動自在であり、且つ、回転方向には該押し付け軸7と一体に回転駆動される構造となっている。可動クラウンギア1と押し付け機構16とは、このアーム8の揺動方向が可動クラウンギア1の傾斜方向と一致するように組み合わせる。各アーム8先端の押圧体17は、周方向に回動自在に支持されたローラ9であるが、回動自在な球体であってもよい。また、アーム8に固定されて可動クラウンギア1に摺動するものであってもよい。
入力軸6を回転駆動させるモータ10は、後壁部12の前壁部11と対向する面とは反対側の面に取り付けてある。モータ10に連結される入力軸6は、後壁部12の貫通孔を通じて突出され、前壁部11と後壁部12の間のスペースにて押し付け軸7に固着される。
モータ10により入力軸6を回転駆動させると、押し付け機構16を構成する十字状のアーム8は入力軸6と一体に回転し、可動クラウンギア1の背面を周方向に転動するローラ9を介して該可動クラウンギア1を固定クラウンギア2に押し付ける。固定クラウンギア2と可動クラウンギア1との間の歯数差は1であるから、可動クラウンギア1は、該可動クラウンギア1の歯数分の1の大きな減速比で回転される。この可動クラウンギア1の回転は、可撓性のスポーク4およびハブ5を介して出力軸3に取り出される。
以下においては、可動クラウンギア1と固定クラウンギア2の噛み合いについて、さらに述べる。本発明の変形クラウンギア減速機構では、押し付け機構16から付与される押し付け力によって可動クラウンギア1が固定クラウンギア2に対して傾斜して噛み合ったとき、可動クラウンギア1と固定クラウンギア2の歯の接触位置がその傾斜中心線を挟んで左右の2箇所に分散するように設けてあることを特徴としている。
図4には、減速機構のモデル図を示している。ここでは可動クラウンギア1と固定クラウンギア2の歯底の外周縁を参照円と定義する。図4に実線で描いた円は可動クラウンギア1の参照円であり、点線で描いた円は固定クラウンギア2の参照円であり、どちらの参照円の半径もRである。Σsは、固定クラウンギア2に固定された座標系である。
可動クラウンギア1は、その全体をXs−Ys平面に対して垂直な向きに押し付けられるが、特に図4に矢印Fで示す箇所で最も深く押し付けられるものとする。この場所は、Xs−Zs平面と可動クラウンギア1の参照円が交わる点である。このとき、可動クラウンギア1は固定クラウンギア2に対して角度ωだけ傾き、いずれかの歯が接触しているとする。また、可動クラウンギア1と固定クラウンギア2の中心は、Zs軸方向に距離hだけ離れているとする。押し付け場所から角度θrだけ回転した可動クラウンギア1上の点をPとし、この点PをXs−Ys平面に垂直に写像した点をPsとし、Psの角度をθsとする。なお、この点Psは、固定クラウンギア2の参照円上からは中心方向に僅かに離れている。
本例では、簡単のため可動クラウンギア1および固定クラウンギア2の歯の形状を三角形状としている。この接触モデルを図5に示している。この図は、接触状態を参照円の外側からΣsの原点方向に見た図である。実際には円筒形の曲面であるが、平面に近似している。
固定クラウンギア2の歯丈をht、歯の圧力角をα、歯数をnとし、隙間なく歯を配置すると仮定すれば、この歯のピッチは2πR/nとなり、歯丈は
ht=πR/(ntanα) (1)
となる。可動クラウンギア1の歯を同一形状とし、歯数を(n−1)とすれば、可動クラウンギア1のピッチは2πR/(n−1)となる。なお、歯数を(n+1)とすることもできるが、ここでは(n−1)を用いて説明する。座標系Σsでみた点Pの高さPzと、Xs軸を基準とした円周方向の点Psの位置は、それぞれ
Pz=h−Rsinωcosθr (2)
Ps=Rarctan2(sinθr,cosωcosθr) (3)
となる。なお、式(3)のarctan2は、arctanの定義域を[−π,π]に拡張した関数である。
図5のQの位置は、Pと角度βから求められる。なお、このβは次式
sinβ=d/dθr×Pz/R=sinωsinθr (4)
より求められる。また、A、Bはピッチと歯数から容易に求められる。これらA,B,P,Qにより、接触状態を判定する。
ところで、可動クラウンギア1と固定クラウンギア2の相対位置を決定する変数はhとωである。この機構は歯数が1枚異なることから、固定クラウンギア2の歯数が奇数のときθr=θs=πで歯は頂点が向かい合い、干渉しない。この条件より、
h+Rsinω≧2ht (5)
という関係がある。なお固定クラウンギア2の歯数が偶数のときはθr=θs=πで谷と谷が向かい合うが、解析は同様にできるので、ここでは固定クラウンギア2の歯数が奇数として解析を行う。ところで、ωが大きいと明らかに可動クラウンギア1の振動が大きくなり、またスポーク4を変形させるロスも増えるので、ωはできるだけ小さくしたい。そこで、式(5)より
h+Rsinω=2ht (6)
とした。これは、θr=θs=πで固定クラウンギア2と可動クラウンギア1の歯の先が接するという条件である。これにより、ωとhは従属関係にある。そこで、接触する位置を探すために、ωのみを変化させることとする。
歯の形状を決めるパラメータはαとnであり、また、大きさはRで決定される。これらの選択は適宜行われるものであるが、ここでは試作の都合によりα=20deg,n=51枚,R=50mmとした。そして、計算機でωを0.000001radおきに変化させ、接触する位置を模索した結果、ω=3.29degで接触することがわかった。
この場合の接触状態を、図6に示している。可動クラウンギア1の歯先と固定クラウンギア2との距離(以下「歯間距離」という。)を見ると、接触している場所は固定クラウンギア2の12番目の歯であることがわかる。この前後の歯間距離は、計算上、11番目の歯が0.002017mm、13番目の歯が0.008654mmであり、極めて微小な歯間距離となっている。
この結果は、可動クラウンギア1と固定クラウンギア2の噛み合わせが、可動クラウンギア1の傾斜中心線(図4中の線A参照)を挟んで左右の2箇所に分散していることを意味している。また、接触している歯の近傍にある歯においても限りなく接触に近い状態にあることがわかる。
上記構成からなる変形クラウンギア減速機構によれば、可動クラウンギア1と固定クラウンギア2の歯数差が1であるから、高い減速比が実現できる。なお、可動クラウンギア1の歯数をNとすると減速比は1/Nとなる。また、可動クラウンギア1と固定クラウンギア2が実質的に噛み合う位置は、傾斜中心線を挟む左右2箇所に分散されるため、バックラッシも生じにくくなる。そして、接触している歯の近傍にある歯においても限りなく接触に近い状態にあることから回転の滑らかさが確保される。さらに、可動クラウンギア1と固定クラウンギア2は共に薄型であるとともに、僅かに傾いて自然に噛み合った状態で組み合わさるので、特に軸方向の寸法が非常にコンパクト化される(図1参照)。また、大きな起動トルクが必要とされないため、モータ10として小型のものが使用可能となる。そのため、機構全体のコンパクト化や軽量化が実現される。
つまり、上記構成の変形クラウンギア減速機構では、高い減速比を実現することと、回転の滑らかさを確保してバックラッシが生じにくくすることと、機構全体のコンパクト化や軽量化を図ることとが、両立される。そのため、ロボットハンドの指関節等に、好適に内蔵することができるのである。
なお、可動クラウンギア1と固定クラウンギア2の少なくとも一方を可撓性材料で形成した場合には、噛み合う歯近傍の他の歯でも噛み合いが生じるようになるので、回転がさらに滑らかとなって一層の低振動、低バックラッシが実現される。可撓性材料としては、ポリアセタール、ナイロン等が挙げられるが、他の材料も採用可能である。
次に、本発明の実施形態における他例の変形クラウンギア減速機構について述べる。
他例の変形クラウンギア減速機構では、可動クラウンギア1と固定クラウンギア2の歯型を一例のような三角形状とするのでなく、三角形状の頂部を削った台形状としていることを特徴とする。なお、他例の基本的な構成は一例と同様であるため、以下においては他例の特徴的な構成についてのみ詳述する。
図7には、他例の接触モデルを示している。固定クラウンギア2の歯丈をht、歯の圧力角をα、歯数をnとし、隙間なく歯を配置すると仮定すれば、この歯のピッチは2πR/nとなり、歯丈が取り得る値は係数hr(=0.5〜1.0)を導入して
ht=hr×htmax=hr×πR/(ntanα) (7)
となる。なお、hr=1.0の場合は、一例と同様の三角歯となる。可動クラウンギア1の歯も同一形状の台形歯とする。可動クラウンギア1のピッチは2πR/(n−1)とする。座標系Σsでみた点Pの高さPzと、Xs軸を基準とした円周方向の点Psの位置は、それぞれ一例の式(2)(3)を用いて求められる。図5のQとTの位置は、Pと角度βから求められる。なお、このβは一例の式(4)を用いて求められる。A、Bはピッチと歯数から容易に求められる。他例においては、これらA,B,P,Q,Tより、接触状態を判定する。
ところで、可動クラウンギア1と固定クラウンギア2の相対位置を決定する変数はhとωである。一例においては、hとωに拘束条件を設けることで接触点を探索したが、台形歯ではこの拘束条件を使用できないため、hとωを共に変化させて接触点を探索した。
ここでは、α=20deg,n=50枚,R=50mmとし、計算機でωを0.0002radおきに[0.01:0.19]の範囲内で変化させ、hを0.00001mmおきに[0:2.5htmax]の範囲内で変化させながら探索した。図8には、説明のため、hr=1.0の場合(つまり一例と同様の三角歯となる場合)の結果を示している。図8は、横軸をω、縦軸をhとして接触と非接触の分布をプロットしたものである。図中の実線は接触分布を示し、この実線よりも上方の斜線領域は非接触分布を示している。実線よりも下方の領域は、歯の干渉によって使用できない領域である。
図8中のaの位置でhを固定した場合について述べると、このとき押し付け機構16にはアーム8を揺動させる自由度があるため、ωが変位可能である。そのため、例えば図中の点線矢印に示すように、接触状態にあるaの位置から非接触状態を経て、他の接触状態であるbの位置にまで変位することができる。このとき、バックラッシが発生することが明らかである。これに対して、図8中のcの位置でhを固定した場合には、ωも固定され、バックラッシが発生しなくなる。
図9は、図8にhr=0.6,0.7,0.8,0.9の場合(つまり台形歯の場合)を追加した図である。図から明らかなように、hr=0.6,0.7の場合には、hが極小となる場所が存在しない。これは、ω=0となるhまで押し込めることを意味する。この場合、可動クラウンギア1は固定クラウンギア2と平行になり、歯が噛み合わない状態となる。以上より、低バックラッシでの噛み合いを実現するためには、ω−hの分布でhが極小値を持つ必要があることがわかる。
ところで、一例においても述べたように、ωが大きいと可動クラウンギア1の振動が大きくなり、またスポーク4を変形させるロスも増えるので、ωをできるだけ小さくしたい。また、回転の滑らかさと強度を確保するために、歯間距離が極めて小さい(0.01mm未満)歯の枚数(以下「nc」とする。)を増やしたい。
そこで、hrを[0.8:1.0]の範囲で変化させながら、ω、hの極小値(以下「hm」とする。)、ncをそれぞれ計算した。その結果を下記の表1に示す。
Figure 2010134218
表1によれば、ωを極力小さくすることを優先した場合にはhr=0.80の場合が適している。一方、歯間距離が極めて小さな歯の枚数を増やすことを優先した場合には、hr=0.92の場合が適している。これらの場合の噛み合い状態と歯間距離とを、図10〜図13に示している。
図10、図11は、hr=0.80の場合である。表1によれば、hr=0.80の場合には、一例のような三角歯の場合(hr=1.0の場合)と比べてωが半分以下に減少している。しかし、ncの値は2と少なく、噛み合わせは浅い。また、図9から分かるように、hの極小値の谷が非常に浅いため、噛み合わせが不安定である。
図12、図13は、hr=0.92の場合である。表1によれば、hr=0.92の場合には、一例のような三角歯の場合(hr=1.0の場合)と比べてncの値が大幅に増加している。また、図9からも分かるように、hの極小値が深く、噛み合わせが安定的である。また、ωについても三角歯の場合と比べれば1割以上減少している。以上を考慮すれば、hr=0.92が有利と思われる。
以上、本発明を添付図面に示す実施形態に基づいて説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の意図する範囲内であれば、適宜の設計変更を行うことが可能である。
例えば、可動クラウンギア1と固定クラウンギア2の歯形状について述べると、歯形状は三角形状や台形状に限定されず、各種曲面を有するような他の歯形状であってもよいことは勿論である。なお、このような他の歯形状においても、低バックラッシでの噛み合いを実現するためには、ω−hの分布でhが極小値を持つことが好ましいと考えられる。また、可動クラウンギア1の背面に押し付けられるアーム8は、部材の加工精度が十分に高精度のときには揺動自在である必要はなく、固定クラウンギア2に対して傾斜した姿勢となるように押し付け軸7に固定されていてもよい。この場合、可動クラウンギア1と押し付け機構16とは、このアーム8の傾斜方向が可動クラウンギア1の傾斜方向と一致するように組み合わせる。

Claims (7)

  1. 回転駆動される押し付け機構と、外部部材に固着される固定クラウンギアと、固定クラウンギアとの歯数差が1の可動クラウンギアと、可動クラウンギアに可撓的に取り付けられた出力軸とから成る変形クラウンギア減速機構であって、押し付け機構から付与される押し付け力によって可動クラウンギアが固定クラウンギアに対して傾斜して噛み合い、且つ、固定クラウンギアと可動クラウンギアの歯の接触位置が傾斜中心線を挟んで左右の2箇所に分散するように設けたことを特徴とする変形クラウンギア減速機構。
  2. 上記押し付け機構を、入力軸に対して回転方向に一体に駆動されるように取り付け、入力軸及び押し付け機構の一体回転に伴って、可動クラウンギア及び出力軸が減速回転駆動されるように設けたことを特徴とする請求項1記載の変形クラウンギア減速機構。
  3. 上記押し付け機構は、入力軸に対して軸方向に揺動可能なものであることを特徴とする請求項2に記載の変形クラウンギア減速機構。
  4. 上記押し付け機構は、入力軸に取り付けられて一体に回転する押し付け軸と、該押し付け軸から径方向に延設されたアームと、該アームの先端部に設けられて可動クラウンギアの背面を押圧する押圧体とから成ることを特徴とする請求項2又は3記載の変形クラウンギア減速機構。
  5. 上記押圧体は、可動クラウンギアの背面を周方向に転動するローラ又は球であることを特徴とする請求項4記載の変形クラウンギア減速機構。
  6. 上記固定クラウンギアと上記可動クラウンギアの両方又は一方を、可撓性材料で形成したことを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項記載の変形クラウンギア減速機構。
  7. 上記可撓性材料は、ポリアセタールであることを特徴とする請求項6記載の変形クラウンギア減速機構。
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