JPWO2010131405A1 - 能動騒音制御装置 - Google Patents
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Abstract
本発明の能動騒音制御装置(210)は、より小規模の制御手段によって所定音を第1の領域では減衰させ、第1の領域とは異なる第2の領域では所望の音質にする。能動騒音制御装置(200)は、所定音に関する電気信号を取得する信号取得部(210)と、信号取得部(210)が取得した電気信号の振幅と位相を調整する制御部(220)と、制御部(220)の出力に対応して振動する加振器(272)と振動板(271)から構成される振動部(270)とを備える。振動板(271)から第1の領域(302)への放射音の位相と振動板(271)から第2の領域(301)への放射音の位相が略逆位相となるので、制御部(220)は、所定音が第1の領域(302)で減衰し、第2の領域(301)で所望の周波数特性とする音を振動板(271)に発生させるように、加振器(272)を制御する。
Description
本発明は、所定空間の音響特性を所望特性に制御する能動騒音制御装置に関するものである。
近年、テレビ画面の大型化、高精細化とともに、テレビの薄型化が急速に進んでいる。従来、テレビはテレビ台あるいはスタンドへ設置することが一般的であったが、テレビの薄型化によりテレビを壁に掛けて設置できるようになった。今後、テレビが更なる薄型化すると共に、テレビを壁に掛けて設置するユーザが増えることが予想される。
テレビを壁に掛けて設置すると、室内空間を有効に活用できる利点がある。その一方、テレビが設置された壁面を介して接する隣室では、従来の設置方法に比べ、音源であるテレビ内蔵スピーカが壁面に近くなる。このため、この内蔵スピーカから隣室に漏れてくる音がより大きくなる。
図28は、一般的な住宅の壁の音響透過損失特性の例として、集合住宅の内壁構造として広く採用される石膏ボード(12cm厚)2重構造の音響透過損失特性を示したものである。これによると、高い周波数の音は、音響透過損失が大きいため、音漏れが小さいのに対し、低い周波数の音は、音響透過損失が小さいため、音漏れが大きくなる。したがって、隣室においては、特に、低い周波数の音の漏れを低減することが課題となる。
また、テレビを薄型にすると、内蔵スピーカを小型薄型にする必要があるが、小型薄型のスピーカは低い周波数の音を十分なレベルで出力できない。このため、近年の壁掛けテレビは、大画面、高精細の映像に比べ、迫力ある音が提供することが難しく、視聴者に違和感を生じさせていた。したがって、視聴者が存在する空間では、逆に、低い周波数の音圧レベルを上げることが課題となる。
このように、テレビの進化、特に薄型化によって、視聴者が存在する空間では低い周波数の音圧レベルを上げ、その隣室の空間では低い周波数の音圧レベルを低減する、という相反するニーズが生じている。従来、所定領域で所望の音響出力特性を実現し、異なる所定領域で音を消す技術として、例えば特許文献1にその構成が公開されている。
図29は、特許文献1に示される拡声装置の構成を示すブロック図である。従来の拡声装置は、第1の信号処理手段1aと、第2の信号処理手段1bと、遅延器2と、第1の音源3aと、第2の音源3bと、第1の検出器4aと、第2の検出器4bと、加算器5とを備える。第1の信号処理手段1aは、音響信号を入力する。第2の信号処理手段1bは、第1の信号処理手段1aで処理された信号を入力する。遅延器2は、音響信号を入力し、音響信号に任意の遅延制御を施し出力する。第1の音源3aは、第1の信号処理手段1aで処理された信号を音響出力する。第2の音源3bは、第2の信号処理手段1bで処理された信号を音響出力する。なお、第1の音源3aと第2の音源3bは、それぞれ第1の信号処理手段1a、第2の信号処理手段1bで処理された信号に基づいて変換された音のみを出力する理想的なスピーカを想定している。第1の検出器4aは、第1の音源3aの近傍に設置して第1の音源3aの放射音を検出する。第2の検出器4bは、第2の音源3bの近傍に設置して第2の音源3bの放射音を検出する。加算器5は、遅延器2の出力と第1の検出器4aの出力とを加算処理し、第1の信号処理手段1aに入力する。以下、図29の拡声装置の動作について説明する。
遅延器2には、音響信号が第1の信号処理手段1aに入力されてから第1の検出器4aが音響を検出するまでに要する時間とほぼ同じ時間の遅延量が設定されている。第1の信号処理手段1aは加算器5の出力が小さくなるように音響信号を制御し、第1の音源3aと第2の信号処理手段1bとに出力する。第2の信号処理手段1bは第2の検出器4bの出力が小さくなるように第1の信号処理手段1aの出力を制御し、第2の音源3bに出力する。
以上の動作によって、第1の検出器4aの出力と遅延器2の出力の和が零に近づく。すなわち、第1の検出器4aの位置では、音響信号を位相反転し所定時間だけ遅らせた音圧が得られる。したがって、所望の音響信号の逆位相の信号を与えておけば、第1の音源3aは、第1の検出器4aの位置で所望の音響特性を有する音を放射することが出来る。
一方、第2の検出器4bの出力は零に近づく。すなわち、第2の検出器4bの位置では、第1の音源3aから放射された音が第2の音源3bの放射音によって打ち消される。
よって、図29に示される構成から成る拡声装置は、第1の検出器4aで検出される放射音を所望の音響特性にすることができると同時に、第2の検出器4bで検出される放射音を低減することができる。
しかしながら、従来の発明を、先に示したニーズ、すなわち視聴者が存在する空間では低い周波数の音圧レベルを上げ、隣室の空間では低い周波数の音圧レベルを低減するというニーズに適用することは難しい。一般に、周波数の低い音は、指向性が弱く、全方位に広がる性質がある。したがって、周波数の低い音を放射する2つの音源が互いに近い位置にあると、各放射音が形成する音圧分布の一致度合いが高まるため、所定の位置で音圧レベルを下げると同時に、異なる位置で音圧レベルを上げることは困難となる。
図30は、この理由を詳細に説明するための図面である。図30は、第1の音源3aと第2の音源3bがそれぞれ周波数の低い音を放射し、それぞれの音が全方位に広がったため、第1の検出器4aと第2の検出器4bの両方に伝播した例を示している。図30中の符号の意味は以下の通りである。
S1:第1の音源3aから第1の検出器4aに伝播した音波
S2:第2の音源3bから第2の検出器4bに伝播した音波
DS1:第1の音源3aから第2の検出器4bに伝播した音波
DS2:第2の音源3bから第2の検出器4bに伝播した音波
D:第1の音源3aと第2の音源3bとの間の距離
d1:第1の音源3aと第1の検出器4aとの間の距離(音波S1の伝播経路長)
d2:第2の音源3bと第2の検出器4bとの間の距離(音波S2の伝播経路長)
なお、第1の検出器4aは第1の音源3aの近傍に設置され、第2の検出器4bは第2の音源3bの近傍に設置されているので、d1及びd2は同じ距離dであるとする。
S1:第1の音源3aから第1の検出器4aに伝播した音波
S2:第2の音源3bから第2の検出器4bに伝播した音波
DS1:第1の音源3aから第2の検出器4bに伝播した音波
DS2:第2の音源3bから第2の検出器4bに伝播した音波
D:第1の音源3aと第2の音源3bとの間の距離
d1:第1の音源3aと第1の検出器4aとの間の距離(音波S1の伝播経路長)
d2:第2の音源3bと第2の検出器4bとの間の距離(音波S2の伝播経路長)
なお、第1の検出器4aは第1の音源3aの近傍に設置され、第2の検出器4bは第2の音源3bの近傍に設置されているので、d1及びd2は同じ距離dであるとする。
また、第1の検出器4aによって検出される音波S1の強さをI1、第2の検出器4bによって検出される音波S2の強さをI2、第2の検出器4bによって検出される音波DS1の強さをDI1、第1の検出器4aによって検出される音波DS2の強さをDI2、第1の検出器4aの位置での所望の音波の強さをIとする。そして、音波DS1の伝播経路長をL1、音波DS2の伝播経路長をL2とする。なお、図30に示した空間において、音波伝播特性が均一である場合、音波DS1と音波DS2の経路長は同じとなる。このときのL1及びL2をLとする。
ここで、音波は、距離の2乗に反比例して減衰するので、(数1)および(数2)が成り立つ。ただし、(数1)および(数2)におけるδはd/Lの2乗であり、δを減衰率と呼ぶ。
このとき、第2の検出器4bの場所において、音波S2が音波DS1を打ち消すためには、第2の検出器4bの場所において、音波S2の位相は音波DS1の位相の逆となり、DI1とI2が等しくなければならない。したがって、以下の(式3)が成り立つ。
このように、第2の音源3bが、第2の検出器4bの場所において音波DS1を打ち消すような音波S2を放射したとする。このとき、音波DS2と音波S1の経路長の差は、音波DS2と音波S1の経路長の差が等しいことから、第1の検出器4aの場所においても、音波S2の位相は音波DS1の位相の逆となる。したがって、第1の検出器4aが検出する音波の強さIrは、(数2)及び(数3)を利用して、以下の(数4)のように表される。
このIrが所望の強さIとなるためには、I1が以下の(数5)で表される値とならなければならない。
ここで、第1の音源3aと第2の音源3bとの間の距離Dが短い場合、δが1に近づくので、第1の音源3aは非常に大きい音を放射する必要が生じる。ところが、第1の音源3aが放射できる音の強さには限界があるので、その限界を超えない程度の距離Dを確保しなければならない。したがって、距離Dが短いと、所定の位置で音圧レベルを下げると同時に、異なる位置で音圧レベルを上げることはできない。
以上の理由により、テレビ内蔵スピーカとして、第1の音源3aと第2の音源3bに相当する2つのスピーカを離して設置する構成としなければならない。これは、テレビの厚みを増加してしまうため、テレビの壁掛けによって室内空間を有効に活用できるという壁掛けテレビの利点に相反する。
それ故に、本発明は、音を制御する2つの音源を近づけて設置でき、かつ、所定の位置で音圧レベルを低減すると同時に、異なる位置で音圧レベルを上げることを目的とする。特に、本発明は、低い周波数の音圧レベルを、所定の位置で低減させると同時に、異なる位置で上げることを目的とする。
上記目的を達成するために、本発明は、以下の特徴を有する。本発明の能動騒音制御装置は、スピーカの背面にある第1の領域において、スピーカが放射する第1の音を、減衰させる能動騒音制御装置であって、制御信号に対応して振動することによって、第2の音を第1の領域へ放射し、第2の音と逆位相となる第3の音を、スピーカの前面にある第2の領域へ放射する振動部と、スピーカへ入力される第1の音に関する電気信号をスピーカから取得する信号取得部と、第1の領域において第1の音が第2の音により減衰され、第2の領域において第1の音と第3の音との合成音が所望の周波数特性となるよう、信号取得部が取得した電気信号の振幅と位相を、予め格納された制御パラメータに基づいて調整し、当該調整した電気信号を制御信号として、振動部に出力する制御部とを具備する。
さらに、本発明の能動騒音制御装置は、第1の音と第3の音との合成音を検出し、電気信号として出力する信号検出マイクをさらに備えるとよい。そして、前述した信号取得部は、第1の音に関する電気信号に代え、信号検出マイクが出力する電気信号を取得するとよい。
さらに、本発明の能動騒音制御装置は、制御信号により振動部が発生した音を信号検出マイクが拾うことによって、信号検出マイクが後に出力すると予測される擬似エコー信号を、制御信号から生成するエコーキャンセラー部と、信号取得部が取得した電気信号から擬似エコー信号を減算する減算器とをさらに備えるとよい。そして、前述した制御部は、信号取得部が取得した信号に代え、減算器が出力する電気信号の振幅と位相を調整した制御信号を生成するとよい。
さらに、本発明の能動騒音制御装置は、第1の領域の音を検出し、電気信号として出力する第1検出マイクと、第1の音と第3の音との合成音を検出し、電気信号として出力する第2検出マイクとをさらに備えるとよい。そして、前述した制御部は、第1の音に関する電気信号と第1検出マイクが出力する電気信号と第2検出マイクが出力する電気信号に基づき、制御パラメータを設定する制御パラメータ設定部を含むとよい。
さらに、本発明の能動騒音制御装置は、第1の領域の音圧により励起される振動を検出し、電気信号として出力する振動検出部と、第1の音と第3の音との合成音を検出し、電気信号として出力する第2検出マイクとをさらに備えるとよい。そして、前述した制御部は、第1の音に関する電気信号と振動検出部が出力する電気信号と第2検出マイクが出力する電気信号に基づき、制御パラメータを設定する制御パラメータ設定部を含むとよい。
さらに、前述した信号取得部は、スピーカの音響出力特性を設定する特性設定信号を取得するとよい。そして、前述した制御部は、特性設定信号から音響出力特性を検出し、検出した音響出力特性に合わせて制御パラメータを更新する処理特性更新部を含むとよい。
さらに、本発明の能動騒音制御装置は、第1の領域の音を検出し、電気信号として出力する第1検出マイクをさらに備えるとよい。そして、前述した制御部は、第1検出マイクが検出する音を減衰させるよう、制御パラメータを更新する処理特性更新部を含むとよい。
さらに、本発明の能動騒音制御装置は、第1の領域の音圧により励起される振動を検出し、電気信号として出力する振動検出部をさらに備えるとよい。そして、前述した制御部は、振動検出部が検出する振動を減衰させるよう、制御パラメータを更新する処理特性更新部を含むとよい。
さらに、本発明の能動騒音制御装置は、第1の音と第3の音との合成音を検出し、電気信号として出力する第2検出マイクをさらに備えるとよい。そして、前述した制御部は、第2検出マイクが所望の周波数特性となるよう、制御パラメータを更新する処理特性更新部を含むとよい。
さらに、前述した制御部は、第1の領域での第1の音と第2の領域での第1の音との位相差と、第2の音と第3の音との位相差との差が略N×360度(Nは整数)となる周波数においては第1の音の振幅と位相が変化しないように、信号取得部が取得した電気信号の振幅と位相を調整するとよい。
さらに、本発明の能動騒音制御装置は、第2の音が第2の領域へ伝播するのを防止し、かつ第3の音が第1の領域へ伝搬するのを防止するバッフル部をさらに具備するとよい。
さらに、本発明の能動騒音制御装置は、第1の領域と第2の領域との間にあり、第2の音が振動部から伝播する閉空間を、少なくとも振動部および第1の領域と第2の領域との間の境界壁面により構成するとよい。
また、本発明の能動騒音制御装置の設置方法は、第1の部屋に配置されたスピーカが放射する音を、境界壁面を介して第1の部屋に隣接する第2の部屋において減衰させる能動騒音制御装置を設置する方法であって、少なくとも境界壁面および振動部により形成される閉空間を設けて、第2の部屋とスピーカとの間に本発明の能動騒音制御装置を設置するとよい。
また、本発明の音響システムは、第1の部屋に設置されるスピーカと、境界壁面を介して第1の部屋に隣接する第2の部屋とスピーカとの間に設置される本発明の能動騒音制御装置と、少なくとも第1の部屋の境界壁面、及び本発明の能動制御装置で形成される閉空間とを具備する。
本発明の能動騒音制御装置は、制御部からの制御信号により、スピーカからの音に合わせて振動部を振動させることによって、第1の領域において所定音を減衰させ、第1の領域とは異なる第2の領域において所定音を所望の音質にすることが出来る。しかも、振動部が第1の領域と第2の領域において逆相の音波を放射することができるので、スピーカと振動部を近接して設置することができる。
(第1の実施形態)
図1は、本発明の第1の実施形態における能動騒音制御装置の配置を示す。図1の左図は、テレビの横から見た側面図であり、右図は、テレビの正面から見た正面図である。
図1は、本発明の第1の実施形態における能動騒音制御装置の配置を示す。図1の左図は、テレビの横から見た側面図であり、右図は、テレビの正面から見た正面図である。
図1において、能動騒音制御装置200は、境界壁面300に近接して設置され、テレビ100は能動騒音制御装置200に固定される。能動騒音制御装置200は、視聴室301において、低い周波数の音圧レベルを上げた所望の特性にテレビ音声を改善する機能を有する。さらに、能動騒音制御装置200は、隣室302において、テレビ音声の音圧レベル、特に低い周波数のテレビ音声の音圧レベルを低減する機能を有する。
図2に、テレビ100及び能動騒音制御装置200の内部構成を示す。図2において、能動騒音制御装置200は、境界壁面300との間に空隙303を空けて設置される。テレビ100は、外部出力部110とスピーカ150とを備える。能動騒音制御装置200は、信号取得部210と制御部220と振動部270とを備える。振動部270は、振動板271と加振器272とを備える。
スピーカ150は、テレビ100の音声を出力する。図2において、スピーカ150はテレビ100に内蔵される形で記載されているが、テレビ100に外付けされていてもテレビ100と分離していてもよい。外部出力部110は、既存のテレビが通常備えている音響出力端子に該当し、テレビ100の音声に関する音響信号を電気信号として出力する。
信号取得部210は、テレビ100の外部出力部110の出力を取得する。制御部220は、信号取得部210が取得した信号を所定の振幅位相特性に補正する処理を行う。図3は、制御部220の内部構成を示す。図3において、制御部220は、FIRフィルタ221と反転器222とを備える。FIRフィルタ221は、入力信号を所定の振幅位相特性に補正して出力する。反転器222は、入力信号の位相を反転する。
図2において、加振器272は、振動板271の表面に貼付されており、制御部220からの制御信号に対応して振動板271の面外方向に振動を加える。これにより、振動板271は表裏双方向に音を放射する。能動騒音制御装置200は、視聴室301の領域内において、テレビ100の音声出力を所望特性に改善し、空隙303の領域内において、テレビ100の音声出力を消去する。
空隙303は、図1の正面図および図2に示されるように、振動板271、境界壁面300、天井310、床面311、側壁312によって密閉された閉空間である。空隙303は密閉されることにより音場として均一となるため、能動騒音制御装置200は、振動板271の一点のみを制御すれば、領域303の音場を制御できる。したがって、能動騒音制御装置200が空隙303の領域全体でテレビ100の音声出力を消すことは容易となる。
次に、図4、図5を用いて、スピーカ150から放射される音と、能動騒音制御装置200から放射される音との位相状態について説明する。スピーカ150は通常、テレビ100の画面と同じ向き(正面方向)に取り付けられており、正面方向へ音を放射する。しかし、周波数が低いほど音の回折現象によって背面方向へも音が伝搬する。その結果、スピーカ150からの低周波数の放射音は、図4に示されるように、スピーカ150を中心として同位相で一様に伝搬する。また、能動騒音制御装置200も、振動板271の振動によって領域301、領域303の双方向に音を放射する。しかし、各々の領域から見た振動板271の振動が互いに逆位相であるため、放射音も逆位相の関係となる。その結果、能動騒音制御装置200からの低周波数の放射音は、図5に示すように振動板271を中心として領域301と領域303の双方向に互いに逆位相の音が伝搬する。
次に、能動騒音制御装置200の動作について説明する。信号取得部210は、スピーカ150に出力される音響信号を、テレビ100の外部出力部110から取得する。信号取得部210が取得する音響信号は、図示されていない視聴者によるテレビ100の出力設定に基づくものである。この音響信号は、放送波から分離された音響信号に限らず、例えばブルーレイ録画再生機のような外部機器からテレビ100に入力される音響信号も含まれる。また、この音響信号は、アナログ信号であっても、デジタル信号であってもよい。
信号取得部210は、取得した音響信号を制御部220に出力する。制御部220は、領域301においてスピーカ150の放射音と能動騒音制御装置200の放射音との合成音が上述した所望の特性になり、領域302においてスピーカ150の放射音と能動騒音制御装置200の放射音が互いに打ち消しあうように、入力信号を所定の振幅位相特性に補正した制御信号を生成し、生成した制御信号を出力する。制御部220が出力する制御信号は、必要に応じて図示しない増幅器で所定レベルに増幅され、加振器272に入力される。
ここで、制御部220の制御パラメータの設定方法について説明する。図6は、制御部220aが制御パラメータを設定するために必要な構成を含むテレビ100及び能動騒音制御装置200aの内部構成の一例を示す。能動騒音制御装置200aは、信号取得部210と制御部220aと振動部270と第1検出マイク231と第2検出マイク232とを備える。制御部220aは、制御パラメータ設定部230を備える。
第1検出マイク231は、領域301に設置され、スピーカ150の放射音と能動騒音制御装置200の放射音の合成音を検出し、電気信号として出力する。第2検出マイク232は、領域303に設置され、スピーカ150の放射音と能動騒音制御装置200の放射音の合成音を検出し、電気信号として出力する。スピーカ150には、放送波等の音響信号では無く、ホワイトノイズ等の広帯域の参照信号が入力される。外部出力部110と信号取得部210は、図2に示された構成と同じ動作をするため、説明を省略する。
制御パラメータ設定部230には、信号取得部210からの出力に加えて、第1検出マイク231の出力と第2検出マイク232の出力が入力される。そして、それらの入力に基づいて制御部220aの制御パラメータ、具体的にはFIRフィルタ221のフィルタ係数を更新するよう動作する。図7は、制御部220aの内部構成を示す。図7において、制御パラメータ設定部230は、第1伝達関数模擬フィルタ234と第2伝達関数模擬フィルタ235と所望特性模擬フィルタ236と減算器237と適応更新部238とを備える。FIRフィルタ221と反転器222は、図3に示された構成と同じ動作をするため、説明を省略する。
第1伝達関数模擬フィルタ234は、信号取得部210が出力した信号に、加振器272の入力から第1検出マイク231の出力までの誤差経路特性を畳み込んだ濾波参照信号x1(n)(nはサンプリング時刻)を生成する。第1伝達関数模擬フィルタ234は、FIRフィルタであり、加振器272の入力から第1検出マイク231の出力までの伝達関数インパルス応答を離散化した値が係数として与えられる。第2伝達関数模擬フィルタ235は、信号取得部210が出力した信号に、加振器272の入力から第2検出マイク232の出力までの誤差経路特性を畳み込んだ濾波参照信号x2(n)(nはサンプリング時刻)を生成する。第2伝達関数模擬フィルタ235も同様で、加振器272の入力から第2検出マイク232の出力までの伝達関数インパルス応答を離散化した値が係数として与えられる。所望特性模擬フィルタ236は、信号取得部210が出力した信号に、領域301で実現したい音響特性を畳み込んだ参照信号を生成する。所望特性模擬フィルタ236もFIRフィルタであり、領域301で実現したい音響特性のインパルス応答を離散化した値が係数として与えられる。減算器237が出力する、所望特性模擬フィルタ236の出力と第1検出マイク231の出力の差分は、上述する所望特性に対する領域301の音圧特性の誤差に相当する。
適応更新部238は、サンプリング時刻nにおける減算器237の出力e1(n)と第2検出マイク232の出力e2(n)がともに小さくなるように、下記の(数6)のE(n)を最小とするFIRフィルタのフィルタ係数を求める。
適応更新部238は、次式で表されるFiltered−X LMSアルゴリズムに基づき、FIRフィルタのフィルタ係数を計算し、FIRフィルタ221に逐次設定する。
ただし、(数7)の各変数は以下の内容を表す。
n:サンプリング時刻
G(k):サンプリング時刻kにおいてFIRフィルタ221に設定するフィルタ係数
μ1、μ2:更新の大きさの程度を制御する所定値
x1(n):Gのタップ数と同じ大きさで、サンプリング時刻nにおける第1伝達関数模擬フィルタ234の出力ベクトル
x2(n):Gのタップ数と同じ大きさで、サンプリング時刻nにおける第2伝達関数模擬フィルタ235の出力ベクトル
n:サンプリング時刻
G(k):サンプリング時刻kにおいてFIRフィルタ221に設定するフィルタ係数
μ1、μ2:更新の大きさの程度を制御する所定値
x1(n):Gのタップ数と同じ大きさで、サンプリング時刻nにおける第1伝達関数模擬フィルタ234の出力ベクトル
x2(n):Gのタップ数と同じ大きさで、サンプリング時刻nにおける第2伝達関数模擬フィルタ235の出力ベクトル
よって、第2検出マイク232の出力と減算器237の出力が十分小さくなり、FIRフィルタ221のフィルタ係数が収束したときには、(数8)で示すように、領域301では、参照信号により発生するスピーカ150の放射音と参照信号により発生する能動騒音制御装置200の放射音の合成音が、所望特性模擬フィルタ236に与えられた特性にほぼ一致する。そして、(数9)で示すように、領域303では、参照信号により発生するスピーカ150の放射音が、参照信号により発生する能動騒音制御装置200の放射音により消される。
ただし、(数8)、(数9)の各変数は以下の内容を表す。
G:(数7)が収束したときのFIRフィルタ221のフィルタ係数
C1:加振器272の入力から第1検出マイク231の出力までの伝達関数
C2:加振器272の入力から第2検出マイク232の出力までの伝達関数
H1:スピーカ150の入力から第1検出マイク231の出力までの伝達関数
H2:スピーカ150の入力から第2検出マイク232の出力までの伝達関数
T:所望特性の伝達関数
G:(数7)が収束したときのFIRフィルタ221のフィルタ係数
C1:加振器272の入力から第1検出マイク231の出力までの伝達関数
C2:加振器272の入力から第2検出マイク232の出力までの伝達関数
H1:スピーカ150の入力から第1検出マイク231の出力までの伝達関数
H2:スピーカ150の入力から第2検出マイク232の出力までの伝達関数
T:所望特性の伝達関数
図3のFIRフィルタ221のフィルタ係数には、図7のFIRフィルタ221の収束したフィルタ係数が設定される。このように、制御部220aの制御パラメータを設定すれば、図2の領域301において合成音が上述した所望の特性にほぼ一致し、領域303においてスピーカ150の放射音が能動騒音制御装置200の放射音により消される。
ここで、スピーカ150の放射音の位相と能動騒音制御装置200の放射音の位相との関係が、(数7)におけるGの収束性に与える影響について説明する。上述したように、周波数の低い音を放射する2つの音源が互いに近い位置にあると、所定の位置で音圧レベルを下げると同時に、異なる位置で音圧レベルを上げることは極めて困難となる。すなわち、(数7)で示されるFiltered−X LMSアルゴリズムにおいて、Gを収束させることが困難であり、収束したとしても係数の制御精度が低いものとなる。
しかし、図2の構成では、図5に示したように、能動騒音制御装置200の放射音は領域301への放射音と、領域303への放射音の位相が逆位相の関係である。よって、2つの音源が近接しているにも関わらず、所定の位置で音圧レベルを下げると同時に、異なる位置で音圧レベルを上げるよう、制御パラメータを調整することは十分可能である。
図8は、この理由を詳細に説明するための図面である。図8では、スピーカ150が周波数の低い音を放射したことにより、その音が全方位に広がっており、第1検出マイク231と第2検出マイク232の両方に伝播している。そして、振動板271が第1検出マイク231の方向と第2検出マイク232の方向では逆位相となる周波数の低い音を放射し、それぞれの音が第1検出マイク231と第2検出マイク232の両方に伝播している。図8中の符号の意味は以下の通りである。
S1:スピーカ150から第1検出マイク231に伝播した音波
S2:振動板271からから第2検出マイク232に伝播した音波
DS1:スピーカ150から第2検出マイク232に伝播した音波
RDS2:振動板271から第1検出マイク231に伝播した音波
D:スピーカ150と振動板271との間の距離
d1:スピーカ150と第1検出マイク231との間の距離(音波S1の伝播経路長)
d2:振動板271と第2検出マイク232との間の距離(音波S2の伝播経路長)
なお、説明の便宜上、図30の説明と同様、d1及びd2は同じ距離dであるとする。
S1:スピーカ150から第1検出マイク231に伝播した音波
S2:振動板271からから第2検出マイク232に伝播した音波
DS1:スピーカ150から第2検出マイク232に伝播した音波
RDS2:振動板271から第1検出マイク231に伝播した音波
D:スピーカ150と振動板271との間の距離
d1:スピーカ150と第1検出マイク231との間の距離(音波S1の伝播経路長)
d2:振動板271と第2検出マイク232との間の距離(音波S2の伝播経路長)
なお、説明の便宜上、図30の説明と同様、d1及びd2は同じ距離dであるとする。
また、第1検出マイク231によって検出される音波S1の強さをI1、第2検出マイク232によって検出される音波S2の強さをI2、第2検出マイク232によって検出される音波DS1の強さをDI1、第1検出マイク231によって検出される音波RDS2の強さをDI2、第1検出マイク231の位置での所望の音波の強さをIとする。そして、音波DS1の伝播経路長をL1、音波RDS2の伝播経路長をL2とする。なお、図8に示した空間において、音波伝播特性が均一である場合、音波DS1と音波RDS2の経路長はほぼ同じとなる。このときのL1及びL2をLとする。
このとき、上述した(数1)〜(数3)の関係式は成り立つ。ここで、振動板271が、第2検出マイク232の場所において音波DS1を打ち消すような音波S2を放射したとする。この場合も、音波RDS2と音波S1の経路長の差は、音波RDS2と音波S1の経路長の差が等しい。しかし、音波RDS2と音波S2の位相が反対であることから、第1検出マイク231の場所において、音波S2の位相は音波DS1の位相と同じとなる。このため、第1検出マイク231が検出する音波の強さIrは、(数2)及び(数3)を利用して、以下の(数10)のように表される。
したがって、このIrが所望の強さIとなるためには、I1が以下の(数11)で表される値であればよい。
したがって、スピーカ150と振動板271との間の距離Dによってδが変化しても、I1はI以下の値として求めることができる。言い換えれば、(数7)で示されるLMSアルゴリズムにおいて、Gを容易に収束させることができ、収束した係数は精度が高いものとなる。
つぎに、本発明の効果について説明する。図9、図10は、図6の能動騒音制御装置200aが制御を実行した場合と実行しなかった場合のそれぞれについて、第1検出マイク231と第2検出マイク232が検出する音圧レベルの測定結果の一例を示す。この例では、領域301において、低域成分(100〜200Hz)のレベルを6dB上昇させるような目標特性があらかじめ所望特性模擬フィルタ236に与えられている。図9は、領域301において、低域成分(100〜200Hz)の音圧レベルが上昇していることを示している。一方、図10は、領域303において、低域成分(100〜600Hz)の音圧レベルが低下していることを示している。したがって、能動騒音制御装置200は、特定の領域において、スピーカ150の放射音を、低域成分の音圧レベルを上げた所望の特性に改善できると同時に、別の領域においてスピーカ150の放射音を消すことができるといえる。
なお、制御パラメータ設定部230の動作によって制御パラメータが設定される時のみ、図6に示される第1検出マイク231、第2検出マイク232は、制御部220aに取り付けられ、その後取り外されてもよい。また、第1検出マイク231、第2検出マイク232は、制御部220aに取り付けられたままにしておき、継続的に制御パラメータ設定部230を動作させ、制御パラメータを更新してもよい。
また、本発明の能動騒音制御装置200aは、第2検出マイク232に代えて、境界壁面300の振動を検出し、電気信号として出力する振動検出部を備えてもよい。この場合、制御パラメータ設定部230は、第2検出マイク232の出力に代えて、振動検出部の出力を入力し、制御パラメータを設定する。境界壁面300は、領域303からの音波によって振動が励起されるため、境界壁面300の振動と領域303の音圧とは高い相関を示すからである。
なお、本発明の能動騒音制御装置200の構成は、図1及び図2に示されるように、振動板271が天井310、床面311、側壁312により、領域303を密閉する構造に限らない。例えば、図11に示されるように、振動板271と、天井310、床面311、側壁312との間に隙間を設けることによって、空隙303が完全な密閉空間とならなくなっても、能動騒音制御装置200は空隙303において低域成分の音圧レベルを下げることは可能である。ただし、空隙303が音場として均一でなくなるので、能動騒音制御装置200は、領域303の音場全体を制御するには、振動板271の複数点を制御することが必要となる。ゆえに、能動騒音制御装置200は、複数の振動部270を備えなければならない。したがって、振動板271、境界壁面300、天井310、床面311、側壁312から形成される空隙303は閉空間に近い空間であることが、能動騒音制御装置200の構造を単純化できるため、望ましい。
さらに、能動騒音制御装置200は、図12に示されるように、振動板271を小さくし、振動板271の形にあわせて開けられた部分に振動板271が取り付けてあるバッフル板280を含む構成としてもよい。この構成では、加振器272が振動させる振動板271の面積が小さくなるので、加振器272として小型の圧電素子などが使用されても良くなり、制御信号の増幅レベルも抑えることができる。なお、このバッフル板280により、低周波数の放射音の回折が防止されるので、能動騒音制御装置200の領域301への放射音と領域303への放射音とが、それぞれ回折し、互いに打ち消しあうことはない。
また、振動部270は、図13に示されるように、図12の振動板271、加振器272に代えて、スピーカユニット275を備えてもよい。スピーカユニットは、通常のスピーカと異なり、逆位相の音の漏れを防止するスピーカボックスを有しないので、スピーカユニットによっても本発明と同様の効果を実現することができる。
上記の構成によって、スピーカユニットや圧電素子のように広く利用されるデバイスを用いれば、本発明の効果を損なうこと無く、装置コストを抑えることが出来る。
また、図14に示されるように、バッフル板280の代わりに、振動板271から領域301へ放射される音が伝播する空間を覆う形で矩形バッフル板281を構成しても良い。この構成では、振動板271から領域301へ放射される音が若干領域303へ回折することにより(図14中の一点鎖線)、音漏れを防ぐ効果は小さくなる。しかし、バッフル構造の面積が小さくなるので、装置コストを抑えることが出来る。
さらに、図15に示されるように、境界壁面300に沿って振動部を複数個配置する構成にしても良い。この場合、各振動部270x〜270zに合わせて制御部220x〜220zが設けられる。このような構成にすれば、領域303が閉空間でなかったとしても、領域303のより広い範囲でスピーカ150からの放射音を消すことが出来るので、隣室302へ漏れる音をより少なくすることが出来る。
また、本発明の能動騒音制御装置200は、テレビの音響信号を外部出力部110から取得して、領域301〜303に放射される音の制御を行っている。しかし、テレビが外部出力部110を備えなくても、能動騒音制御装置がスピーカ150の前にマイクを備え、そのマイクがテレビの音声出力を検出することによって同様の制御を行うことが可能である。図16を用いて、このような本発明の第1の実施形態の変形例について説明する。図16は、外部出力部110を備えないテレビ100bと能動騒音制御装置200bとの内部構成図である。
能動騒音制御装置200bは、信号取得部210bと制御部220と振動部270とエコーキャンセラー部250と減算器251と信号検出マイク252とを備える。ここで、図2と同じ符号を付しているものは、図2における動作と同じ動作をするため、説明を省略する。信号検出マイク252は、スピーカ150の近傍に設置され、スピーカ150からの放射音等を検出し、電気信号として出力する。信号取得部210bは、信号検出マイク252が出力した電気信号を取得する。エコーキャンセラー部250は、制御信号により振動部270が発生した音を信号検出マイク252が拾うことによって、信号検出マイク252が後に出力する電気信号を予測する。そして、エコーキャンセラー部250は、その予測される電気信号を擬似エコー信号として生成する。このために、エコーキャンセラー部250は、加振器272の入力から信号検出マイク252の出力までの伝達関数と同じ特性で処理するようにあらかじめ設計されている。そして、エコーキャンセラー部250は、制御部220からの制御信号を上述した特性で処理することによって、擬似エコー信号を生成する。そして、生成した擬似エコー信号を減算器251に出力する。減算器251は、信号取得部210bの出力信号から擬似エコー信号を減算して、制御部220に出力する。
能動騒音制御装置200bは、以上の構成を備えることにより、テレビが外部出力部110を備えなくても、能動騒音制御装置200と同じ動作を実現することができる。したがって、能動騒音制御装置200bは既存のテレビにも十分適用可能である。さらに、能動騒音制御装置200bは、テレビ100bの内部回路の特性と無関係に、能動騒音制御装置200と同じ動作を実現することができる。なお、エコーキャンセラー部250と減算器251の動作により、制御信号により振動部270が発生した音を信号検出マイク252が拾うことによって発生するエコーが除去される。したがって、エコーにより制御部220の出力が発散する危険はない。
なお、図6の第1検出マイク231と図16の信号検出マイク252は、スピーカ150の背面もしくは側面に配置され、テレビ100bに内蔵されていてもよい。この場合、信号検出マイク252は、スピーカ150が放射する音の回折音と、振動部270が領域301に向けて放射する音との合成音を検出する。さらに、スピーカ150が放射する音に比べて振動部270が放射する音が十分小さいなど、エコーキャンセラーが必要のない場合、図16において、能動騒音制御装置200bは、エコーキャンセラー部250及び減算器251を構えなくてもよい。
また、本発明の第1の実施形態では、能動騒音制御装置200をテレビに適用した例について説明したが、適用範囲はテレビに適用されない。たとえば、オーディオシステム、カラオケ店舗、会議場、結婚式場、学校、予備校などにおいて、隣室では音漏れを防止し、視聴室では音響等を所望の特性に改善する用途にも本発明は適用可能である。図17は、これらの用途への適用例を示す。図17に示す配置では、能動騒音制御装置200の前に、テレビ100の代わりにスピーカシステム151が設置されている。スピーカシステム151は、図示しないコンテンツ再生機器、マイク等から音響信号を受けて領域301に対して音響等を出力する。同時に、能動騒音制御装置200は、コンテンツ再生機器、マイク等から音響信号を受け、領域301でスピーカシステム151の放射音を所望の特性に改善すると同時に、領域302ではスピーカシステム151の放射音を消す。
(第2の実施形態)
第1の実施形態では、スピーカ150等に出力する音響信号と同じ信号が、能動騒音制御装置200の信号取得部210により取得されることが前提となっていた。しかし、テレビは通常、ユーザの音量やイコライザ等の設定に合わせて、放送波等から得られる音響信号の音響出力特性を調整し、調整された信号をスピーカ150等に出力する。そこで、図18に示される構成により、当該音響出力特性の調整に対応出来るようにしても良い。図18において、テレビ100cは、外部出力部110cと、出力特性設定受信部120と、出力特性設定送信部121と、出力特性制御部130と、スピーカ150とを備える。能動騒音制御装置200cは、信号取得部210cと、制御部220cと、振動部270とを備える。ここで、図2と同じ符号を付しているものは、第1の実施形態と同じ動作をするため、説明を省略する。
第1の実施形態では、スピーカ150等に出力する音響信号と同じ信号が、能動騒音制御装置200の信号取得部210により取得されることが前提となっていた。しかし、テレビは通常、ユーザの音量やイコライザ等の設定に合わせて、放送波等から得られる音響信号の音響出力特性を調整し、調整された信号をスピーカ150等に出力する。そこで、図18に示される構成により、当該音響出力特性の調整に対応出来るようにしても良い。図18において、テレビ100cは、外部出力部110cと、出力特性設定受信部120と、出力特性設定送信部121と、出力特性制御部130と、スピーカ150とを備える。能動騒音制御装置200cは、信号取得部210cと、制御部220cと、振動部270とを備える。ここで、図2と同じ符号を付しているものは、第1の実施形態と同じ動作をするため、説明を省略する。
出力特性設定送信部121は、ユーザが設定した音響出力特性に関する信号を、無線通信もしくは赤外線通信によりテレビ100cに送信する。出力特性設定受信部120は、出力特性設定送信部121からの信号を受信する。出力特性制御部130は、出力特性設定受信部120が受信した信号に含まれる出力特性設定に対応して、音響信号を処理する。外部出力部110cは、音響信号ばかりでなく、出力特性設定受信部120が受信した信号も電気信号として出力する。信号取得部210cは、テレビ100cの外部出力部110cの出力を取得する。制御部220cは、出力特性設定受信部120が受信した信号を参照し、スピーカ150が出力する音響の出力特性に合わせて適切な振幅位相特性に補正した制御信号を生成し、振動部270を制御する。制御部220cの詳細は後述する。
図19は、制御部220cの内部構成を示す。制御部220cは、FIRフィルタ221と反転器222と処理特性更新部240とを備える。処理特性更新部240は、係数データベース241と出力特性設定検出部242とFIRフィルタ243とを備える。ここで、図3と同じ符号を付しているものは、第1の実施形態と同じ動作をするため、説明を省略する。
係数データベース241は出力特性設定と、それに対応する出力特性制御部130のフィルタ係数の組み合わせを記憶している。出力特性設定検出部242は、出力特性設定受信部120が受信した信号を検出し、その出力特性設定に対応するフィルタ係数を係数データベース241から取得する。そして、出力特性設定検出部242は、そのフィルタ係数をFIRフィルタ243に設定する。FIRフィルタ243は、FIRフィルタ221に入力される信号をあらかじめ処理する。
つぎに、図18及び図19を用いて、本発明の第2の実施形態の動作について説明する。出力特性設定送信部121は、ユーザが所望する出力特性設定を、テレビ100cに送信する。出力特性設定受信部120は、出力特性設定送信部121からの信号を受信し、その信号に含まれる出力特性設定に対応して、あらかじめ記憶されたフィルタ係数を出力特性制御部130に設定する。出力特性制御部130は、設定されたフィルタ係数に基づいて、音響信号を処理する。以上の処理によって、スピーカ150は、ユーザが所望する特性を持つ音を出力する。
一方、出力特性設定検出部242は、出力特性設定受信部120が受信した信号を検出し、その信号に含まれる出力特性設定に対応するフィルタ係数を、係数データベース241から取得する。そして、出力特性設定検出部242は、そのフィルタ係数をFIRフィルタ243に設定する。したがって、FIRフィルタ221にもスピーカ150と同じ出力特性を持つ信号が入力されるので、領域301及び領域303における補正効果が変化することは無い。
図18及び図19の構成においては、出力特性設定と出力特性設定に対応する出力特性制御部130のフィルタ係数の組み合わせが係数データベース241にあらかじめ記憶されていなければならない。しかし、能動騒音制御装置は、このような係数データベース241を備えなくても、出力特性の変化にリアルタイムに適応することによって、領域301及び領域303における補正効果を実現しても良い。図20及び図21を用いて、このような本発明の第2の実施形態の変形例について説明する。図20において、能動騒音制御装置200dは、信号取得部210と、制御部220dと、第3検出マイク233と、振動部270とを備える。図6、図18と同じ符号を付しているものは、それぞれ図6、図18における動作と同じ動作をするため、説明を省略する。
第3検出マイク233は、図6において第2検出マイク232が設置された位置と同じ位置に設置され、スピーカ150の放射音と能動騒音制御装置200dの放射音の合成音を検出し、電気信号として出力する。制御部220dは、第3検出マイク233が検出した合成音を参照し、スピーカ150が出力する音が振動部270から放射される放射音により消されるように制御信号を生成し、振動部270を制御する。制御部220dの詳細は後述する。
図21は、制御部220dの内部構成を示す。制御部220dは、FIRフィルタ221と反転器222と処理特性更新部240dとを備える。処理特性更新部240dは、FIRフィルタ243と第3伝達関数模擬フィルタ244と適応更新部245とを備える。ここで、図19と同じ符号を付しているものは、図19における動作と同じ動作をするため、説明を省略する。
第3伝達関数模擬フィルタ244は、FIRフィルタであり、信号取得部210が取得した信号を処理する。適応更新部245は、第3伝達関数模擬フィルタ244の出力と第3検出マイク233の出力を用いてFIRフィルタ係数を計算する。第3伝達関数模擬フィルタ244には、図6及び図7の構成により求められたフィルタ係数Gと、加振器272の入力から第3検出マイク233の出力までの伝達関数インパルス応答C2とを畳み込んだ係数、すなわち、以下の(数12)によりあらかじめ算出されたFxがフィルタ係数として与えられている。
つぎに、図20及び図21を用いて、本発明の第2の実施形態の変形例の動作について説明する。スピーカ150は、図18の構成と同様に、出力特性制御部130の処理により、ユーザが所望する特性を持つ音を出力する。一方、加振器272には、所定の初期係数を有するFIRフィルタ243で処理された後、(数7)に基づいて設計されたフィルタ係数が与えられたFIRフィルタ221で処理された信号が入力される。よって、能動騒音制御装置200dが領域303に対して放射する音は、スピーカ150が放射する音を消していない。そこで、適応更新部245は、第3検出マイク233が検出する合成音、すなわち、スピーカ150が出力する音と能動騒音制御装置200dが放射する音との合成音がゼロに近づくように、FIRフィルタ243のフィルタ係数を更新する。FIRフィルタ243のフィルタ係数が収束したときには、次式が成り立つ。
ただし、(数13)の各変数は以下の内容を表す。
ΔG:FIRフィルタ243の伝達関数
ΔH:ユーザが設定した出力特性に対応する出力特性制御部130の伝達関数
ここで、(数9)及び(数13)より次式が成り立つ。
ΔG:FIRフィルタ243の伝達関数
ΔH:ユーザが設定した出力特性に対応する出力特性制御部130の伝達関数
ここで、(数9)及び(数13)より次式が成り立つ。
よって、第1検出マイク231の位置での合成音の伝達関数(H1ΔH−GC1ΔG)は、次式のように、低域成分の音圧レベルを上げた所望特性Tに、ユーザが設定した特性ΔHを掛けたものとなる。
なお、本発明の能動騒音制御装置200dは、第3検出マイク233に代えて、図22に示すように、第1検出マイク231が設置された位置と同じ位置またはスピーカ150の周辺位置に第4検出マイク233aを設置してもよい。この場合、制御部220dは、第4検出マイク233aが検出した合成音を参照し、スピーカ150が出力する音が所望の周波数特性になるように制御信号を生成し、振動部270を制御する。図23は、制御部220dの内部構成を示す。処理特性更新部240dは、FIRフィルタ243と第4伝達関数模擬フィルタ246と所望特性模擬フィルタ236と減算器237と適応更新部247とを備える。ここで、図7及び図19と同じ符号を付しているものは、図7及び図21における動作と同じ動作をするため、説明を省略する。
第4伝達関数模擬フィルタ246は、FIRフィルタであり、信号取得部210が取得した信号を処理する。第4伝達関数模擬フィルタ246には、図6及び図7の構成により求められたフィルタ係数Gと、加振器272の入力から第4検出マイク233aの出力までの伝達関数インパルス応答C1とを畳み込んだ係数、すなわち、以下の(数16)によりあらかじめ算出されたFxがフィルタ係数として与えられている。
適応更新部247は、第4検出マイク233aが検出する合成音、すなわち、スピーカ150が出力する音と能動騒音制御装置200dが放射する音との合成音が所望の特性に近づくように、FIRフィルタ243のフィルタ係数を更新する。
また、第1の実施形態と同様、本発明の能動騒音制御装置200dは、第3検出マイク233に代えて、境界壁面300の振動を検出し、電気信号として出力する振動検出部を備えてもよい。この場合、処理特性更新部240dは、第3検出マイク233の出力に代えて、振動検出部の出力を入力し、FIRフィルタ243のフィルタ係数を設定する。また、第3伝達関数模擬フィルタ244には、図6及び図7の構成により求められたフィルタ係数と、加振器272の入力から振動検出部の出力までの伝達関数インパルス応答とを畳み込んだ係数によりあらかじめ算出された値がフィルタ係数として与えられている。
さらに、図15のように境界壁面300に沿って振動部を複数個配置する構成にする場合、図24に示されるように、能動騒音制御装置200dは、領域303に、各振動部270x〜270zに対応して第3検出マイク233x〜233zを備える。各制御部220x〜220zのFIRフィルタ243のフィルタ係数は、それぞれ第3検出マイク233x〜233zが検出する音がゼロに近づくように更新することによって、求められる。
なお、本発明の第2の実施形態においても、図12〜図14に示されるように、能動騒音制御装置がバッフル板やスピーカユニットを備えたものであってもよい。また、図16に示されるように、能動騒音制御装置が信号検出マイク252を備えたものであってもよい。また、本発明の第2の実施形態に係る能動騒音制御装置は、図17に示されるようにオーディオシステム等の応用にも適用されうる。
(第3の実施形態)
第1、第2の実施形態では、図5に示されるように、振動板271から領域301に放射される音と振動板271から領域303に放射される音とがそれぞれ逆位相の関係にあることを前提に説明した。しかし、能動騒音制御装置の構造および視聴室301、隣室302の壁面構造によっては、特定の周波数の音を振動板271が放射すると、振動板271から領域301に放射される音と振動板271から領域303に放射される音とが同位相の関係になることがある。このような場合、振動板271によって音を放射しても、視聴者が存在する空間では低い周波数の音圧レベルを上げると同時に、隣室の空間では低い周波数の音圧レベルを低減することができない。そこで、第3の実施形態において、能動騒音制御装置は、このような周波数の音を振動板271が放射しないように制御する。
第1、第2の実施形態では、図5に示されるように、振動板271から領域301に放射される音と振動板271から領域303に放射される音とがそれぞれ逆位相の関係にあることを前提に説明した。しかし、能動騒音制御装置の構造および視聴室301、隣室302の壁面構造によっては、特定の周波数の音を振動板271が放射すると、振動板271から領域301に放射される音と振動板271から領域303に放射される音とが同位相の関係になることがある。このような場合、振動板271によって音を放射しても、視聴者が存在する空間では低い周波数の音圧レベルを上げると同時に、隣室の空間では低い周波数の音圧レベルを低減することができない。そこで、第3の実施形態において、能動騒音制御装置は、このような周波数の音を振動板271が放射しないように制御する。
図25は、本発明の第3の実施の形態に係るテレビ100及び能動騒音制御装置200eの内部構成を示す。能動騒音制御装置200eは、図6の制御部220aが制御部220eとなる以外は全て同じであるので、制御部220e以外の説明を省略する。制御部220eは、制御パラメータ設定部230eを備える。
図26は、制御パラメータ設定部230eの内部構成を示す。制御パラメータ設定部230eは、図7の制御パラメータ設定部230の構成に加えて、第1遮断処理部261と第2遮断処理部262と第3遮断処理部263と第4遮断処理部264とを備える。第1遮断処理部261は、第1伝達関数模擬フィルタ234の出力から第1の所定周波数の信号成分を除去する。第2遮断処理部262は、第2伝達関数模擬フィルタ235の出力から第2の所定周波数の信号成分を除去する。第3遮断処理部263は、第1検出マイク231の出力に所望特性模擬フィルタ236の出力を減算した値から第1の所定周波数の信号成分を除去する。第4遮断処理部264は、第2検出マイク232の出力から第2の所定周波数の信号成分を除去する。
この構成によって、適応更新部238は第1もしくは第2の所定周波数成分について係数更新を行わない。収束したFIRフィルタ221のフィルタ係数に基づいてFIRフィルタ221が動作しても、第1の所定周波数において、領域301でのスピーカ150の放射音は、低域成分の音圧レベルを上げた所望の特性に改善されない。同様に、第2の所定周波数において、領域303でのスピーカ150の放射音は、打ち消されない。
第1、第2の所定周波数は、(数7)による収束係数の制御精度が悪く、制御誤差が大きくなる場合に、制御部220eがその周波数成分を敢えて制御しないようにするために設定される。
先に説明した通り、図5に示されるように、振動板271から領域301に放射される音と振動板271から領域303に放射される音とがそれぞれ逆位相の関係にあると、(数7)が収束し精度の良い係数が得られる。言い換えれば、スピーカ150と振動部270が同じ周波数の音を発生する場合に、スピーカ150の出力音を第1検出マイク231が検出する検出波の位相と、同じ音を第2検出マイク232が検出する検出波の位相との位相差をΔΦHとし、振動部270の出力音を第1検出マイク231が検出する検出波の位相と、同じ音を第2検出マイク232が検出する検出波の位相との位相差をΔΦCとすると、ΔΦHとΔΦCとの差が180度に近い周波数においては、(数7)により精度が良い係数が得られる。一方、周波数が高くなると、音の波長が短くなりΔΦHとΔΦCはともに大きくなる。さらに、スピーカ150から各検出マイク231、232への音響伝搬経路と、能動騒音制御装置200eから各検出マイク231、232への音響伝搬経路の違いによってΔΦH及びΔΦCの変化の仕方が異なる。
図27に示された位相差は、各周波数におけるΔΦH及びΔΦCの一例である。これによると、ΔΦHがΔΦCと一致する周波数fnが存在する。周波数fnでは、第1検出マイク231におけるスピーカ150の放射音と能動騒音制御装置200eの放射音との位相差と、第2検出マイク232におけるスピーカ150の放射音と能動騒音制御装置200eの放射音との位相差とが一致する。そのため、周波数fnでは、能動騒音制御装置200eは、領域301で音響出力を所望の特性に改善すると同時に、領域303で音を打ち消すことはできない。そこで、能動騒音制御装置200eは、敢えて周波数fnの放射音を出力しないよう、FIRフィルタ221の処理係数を設定する。これを実現するには、周波数fnの信号を遮断するような特性が第1〜第4遮断処理部261〜264にあらかじめ設定されていれば良い。また、例えば、周波数fnにおいて音を打ち消す機能だけを有するような特性があらかじめ設定されていても良い。その場合、第1遮断処理部261と第3遮断処理部263に周波数fnの信号を遮断する特性が設定され、第2遮断処理部262と第4遮断処理部264に全帯域の信号が通過する特性が設定されていれば良い。
このように、能動騒音制御装置200eが領域301において音響出力を所望の特性に改善すると同時に、領域303において音を打ち消すことが困難な周波数の音を放射しないように、FIRフィルタ221の処理係数が設定される。したがって、能動騒音制御装置200eは、制御誤差により、異音を発する恐れはない。
なお、本発明の第3の実施形態においても、図12〜図14に示されるように、能動騒音制御装置がバッフル板やスピーカユニットを備えたものであってもよい。また、図16に示されるように、能動騒音制御装置が信号検出マイク252を備えたものであってもよい。また、本発明の第2の実施形態に係る能動騒音制御装置は、図17に示されるようにオーディオシステム等の応用にも適用されうる。
本発明の能動騒音制御装置によれば、所定音を第1領域では減衰させ、第1領域とは異なる第2領域では所望の音質にすることが出来るので、テレビ、オーディオシステム以外にも、カラオケ店舗、会議場、結婚式場、学校、予備校などのスピーカシステムにも適用可能である。
100、100b、100c テレビ
110、110c 外部出力部
120 出力特性設定受信部
121 出力特性設定送信部
130 出力特性制御部
150 スピーカ
151 スピーカシステム
200、200a、200b、200c、200d、200e 能動騒音制御装置
210、210b、210c 信号取得部
220、220a、220b、220c、220d、220e 制御部
220x、220y、220z 制御部
221、243 FIRフィルタ
222 反転器
230、230e 制御パラメータ設定部
231 第1検出マイク
232 第2検出マイク
233、233x、233y、233z 第3検出マイク
233a 第4検出マイク
234 第1伝達関数模擬フィルタ
235 第2伝達関数模擬フィルタ
236 所望特性模擬フィルタ
237、251 減算器
238、245、247 適応更新部
240、240d 処理特性更新部
241 係数データベース
242 出力特性設定検出部
244 第3伝達関数模擬フィルタ
246 第4伝達関数模擬フィルタ
250 エコーキャンセラー部
252 信号検出マイク
261 第1遮断処理部
262 第2遮断処理部
263 第3遮断処理部
264 第4遮断処理部
270、270x、270y、270z 振動部
271、271x、271y、271z 振動板
272、272x、272y、272z 加振器
275 スピーカユニット
280、281 バッフル板
300 境界壁面
301 視聴室
302 隣室
303 空隙
310 天井
311 床面
312 側壁
110、110c 外部出力部
120 出力特性設定受信部
121 出力特性設定送信部
130 出力特性制御部
150 スピーカ
151 スピーカシステム
200、200a、200b、200c、200d、200e 能動騒音制御装置
210、210b、210c 信号取得部
220、220a、220b、220c、220d、220e 制御部
220x、220y、220z 制御部
221、243 FIRフィルタ
222 反転器
230、230e 制御パラメータ設定部
231 第1検出マイク
232 第2検出マイク
233、233x、233y、233z 第3検出マイク
233a 第4検出マイク
234 第1伝達関数模擬フィルタ
235 第2伝達関数模擬フィルタ
236 所望特性模擬フィルタ
237、251 減算器
238、245、247 適応更新部
240、240d 処理特性更新部
241 係数データベース
242 出力特性設定検出部
244 第3伝達関数模擬フィルタ
246 第4伝達関数模擬フィルタ
250 エコーキャンセラー部
252 信号検出マイク
261 第1遮断処理部
262 第2遮断処理部
263 第3遮断処理部
264 第4遮断処理部
270、270x、270y、270z 振動部
271、271x、271y、271z 振動板
272、272x、272y、272z 加振器
275 スピーカユニット
280、281 バッフル板
300 境界壁面
301 視聴室
302 隣室
303 空隙
310 天井
311 床面
312 側壁
本発明は、所定空間の音響特性を所望特性に制御する能動騒音制御装置に関するものである。
近年、テレビ画面の大型化、高精細化とともに、テレビの薄型化が急速に進んでいる。従来、テレビはテレビ台あるいはスタンドへ設置することが一般的であったが、テレビの薄型化によりテレビを壁に掛けて設置できるようになった。今後、テレビが更なる薄型化すると共に、テレビを壁に掛けて設置するユーザが増えることが予想される。
テレビを壁に掛けて設置すると、室内空間を有効に活用できる利点がある。その一方、テレビが設置された壁面を介して接する隣室では、従来の設置方法に比べ、音源であるテレビ内蔵スピーカが壁面に近くなる。このため、この内蔵スピーカから隣室に漏れてくる音がより大きくなる。
図28は、一般的な住宅の壁の音響透過損失特性の例として、集合住宅の内壁構造として広く採用される石膏ボード(12cm厚)2重構造の音響透過損失特性を示したものである。これによると、高い周波数の音は、音響透過損失が大きいため、音漏れが小さいのに対し、低い周波数の音は、音響透過損失が小さいため、音漏れが大きくなる。したがって、隣室においては、特に、低い周波数の音の漏れを低減することが課題となる。
また、テレビを薄型にすると、内蔵スピーカを小型薄型にする必要があるが、小型薄型のスピーカは低い周波数の音を十分なレベルで出力できない。このため、近年の壁掛けテレビは、大画面、高精細の映像に比べ、迫力ある音が提供することが難しく、視聴者に違和感を生じさせていた。したがって、視聴者が存在する空間では、逆に、低い周波数の音圧レベルを上げることが課題となる。
このように、テレビの進化、特に薄型化によって、視聴者が存在する空間では低い周波数の音圧レベルを上げ、その隣室の空間では低い周波数の音圧レベルを低減する、という相反するニーズが生じている。従来、所定領域で所望の音響出力特性を実現し、異なる所定領域で音を消す技術として、例えば特許文献1にその構成が公開されている。
図29は、特許文献1に示される拡声装置の構成を示すブロック図である。従来の拡声装置は、第1の信号処理手段1aと、第2の信号処理手段1bと、遅延器2と、第1の音源3aと、第2の音源3bと、第1の検出器4aと、第2の検出器4bと、加算器5とを備える。第1の信号処理手段1aは、音響信号を入力する。第2の信号処理手段1bは、第1の信号処理手段1aで処理された信号を入力する。遅延器2は、音響信号を入力し、音響信号に任意の遅延制御を施し出力する。第1の音源3aは、第1の信号処理手段1aで処理された信号を音響出力する。第2の音源3bは、第2の信号処理手段1bで処理された信号を音響出力する。なお、第1の音源3aと第2の音源3bは、それぞれ第1の信号処理手段1a、第2の信号処理手段1bで処理された信号に基づいて変換された音のみを出力する理想的なスピーカを想定している。第1の検出器4aは、第1の音源3aの近傍に設置して第1の音源3aの放射音を検出する。第2の検出器4bは、第2の音源3bの近傍に設置して第2の音源3bの放射音を検出する。加算器5は、遅延器2の出力と第1の検出器4aの出力とを加算処理し、第1の信号処理手段1aに入力する。以下、図29の拡声装置の動作について説明する。
遅延器2には、音響信号が第1の信号処理手段1aに入力されてから第1の検出器4aが音響を検出するまでに要する時間とほぼ同じ時間の遅延量が設定されている。第1の信号処理手段1aは加算器5の出力が小さくなるように音響信号を制御し、第1の音源3aと第2の信号処理手段1bとに出力する。第2の信号処理手段1bは第2の検出器4bの出力が小さくなるように第1の信号処理手段1aの出力を制御し、第2の音源3bに出力する。
以上の動作によって、第1の検出器4aの出力と遅延器2の出力の和が零に近づく。すなわち、第1の検出器4aの位置では、音響信号を位相反転し所定時間だけ遅らせた音圧が得られる。したがって、所望の音響信号の逆位相の信号を与えておけば、第1の音源3aは、第1の検出器4aの位置で所望の音響特性を有する音を放射することが出来る。
一方、第2の検出器4bの出力は零に近づく。すなわち、第2の検出器4bの位置では、第1の音源3aから放射された音が第2の音源3bの放射音によって打ち消される。
よって、図29に示される構成から成る拡声装置は、第1の検出器4aで検出される放射音を所望の音響特性にすることができると同時に、第2の検出器4bで検出される放射音を低減することができる。
しかしながら、従来の発明を、先に示したニーズ、すなわち視聴者が存在する空間では低い周波数の音圧レベルを上げ、隣室の空間では低い周波数の音圧レベルを低減するというニーズに適用することは難しい。一般に、周波数の低い音は、指向性が弱く、全方位に広がる性質がある。したがって、周波数の低い音を放射する2つの音源が互いに近い位置にあると、各放射音が形成する音圧分布の一致度合いが高まるため、所定の位置で音圧レベルを下げると同時に、異なる位置で音圧レベルを上げることは困難となる。
図30は、この理由を詳細に説明するための図面である。図30は、第1の音源3aと第2の音源3bがそれぞれ周波数の低い音を放射し、それぞれの音が全方位に広がったため、第1の検出器4aと第2の検出器4bの両方に伝播した例を示している。図30中の符号の意味は以下の通りである。
S1:第1の音源3aから第1の検出器4aに伝播した音波
S2:第2の音源3bから第2の検出器4bに伝播した音波
DS1:第1の音源3aから第2の検出器4bに伝播した音波
DS2:第2の音源3bから第1の検出器4aに伝播した音波
D:第1の音源3aと第2の音源3bとの間の距離
d1:第1の音源3aと第1の検出器4aとの間の距離(音波S1の伝播経路長)
d2:第2の音源3bと第2の検出器4bとの間の距離(音波S2の伝播経路長)
なお、第1の検出器4aは第1の音源3aの近傍に設置され、第2の検出器4bは第2の音源3bの近傍に設置されているので、d1及びd2は同じ距離dであるとする。
S1:第1の音源3aから第1の検出器4aに伝播した音波
S2:第2の音源3bから第2の検出器4bに伝播した音波
DS1:第1の音源3aから第2の検出器4bに伝播した音波
DS2:第2の音源3bから第1の検出器4aに伝播した音波
D:第1の音源3aと第2の音源3bとの間の距離
d1:第1の音源3aと第1の検出器4aとの間の距離(音波S1の伝播経路長)
d2:第2の音源3bと第2の検出器4bとの間の距離(音波S2の伝播経路長)
なお、第1の検出器4aは第1の音源3aの近傍に設置され、第2の検出器4bは第2の音源3bの近傍に設置されているので、d1及びd2は同じ距離dであるとする。
また、第1の検出器4aによって検出される音波S1の強さをI1、第2の検出器4bによって検出される音波S2の強さをI2、第2の検出器4bによって検出される音波DS1の強さをDI1、第1の検出器4aによって検出される音波DS2の強さをDI2、第1の検出器4aの位置での所望の音波の強さをIとする。そして、音波DS1の伝播経路長をL1、音波DS2の伝播経路長をL2とする。なお、図30に示した空間において、音波伝播特性が均一である場合、音波DS1と音波DS2の経路長は同じとなる。このときのL1及びL2をLとする。
ここで、音波は、距離の2乗に反比例して減衰するので、(数1)および(数2)が成り立つ。ただし、(数1)および(数2)におけるδはd/Lの2乗であり、δを減衰率と呼ぶ。
このとき、第2の検出器4bの場所において、音波S2が音波DS1を打ち消すためには、第2の検出器4bの場所において、音波S2の位相は音波DS1の位相の逆となり、DI1とI2が等しくなければならない。したがって、以下の(式3)が成り立つ。
このように、第2の音源3bが、第2の検出器4bの場所において音波DS1を打ち消すような音波S2を放射したとする。このとき、音波DS 1 と音波S 2 の経路長の差は、音波DS2と音波S1の経路長の差と等しいことから、第1の検出器4aの場所においても、音波S 1 の位相は音波DS 2 の位相の逆となる。したがって、第1の検出器4aが検出する音波の強さIrは、(数2)及び(数3)を利用して、以下の(数4)のように表される。
このIrが所望の強さIとなるためには、I1が以下の(数5)で表される値とならなければならない。
ここで、第1の音源3aと第2の音源3bとの間の距離Dが短い場合、δが1に近づくので、第1の音源3aは非常に大きい音を放射する必要が生じる。ところが、第1の音源3aが放射できる音の強さには限界があるので、その限界を超えない程度の距離Dを確保しなければならない。したがって、距離Dが短いと、所定の位置で音圧レベルを下げると同時に、異なる位置で音圧レベルを上げることはできない。
以上の理由により、テレビ内蔵スピーカとして、第1の音源3aと第2の音源3bに相当する2つのスピーカを離して設置する構成としなければならない。これは、テレビの厚みを増加してしまうため、テレビの壁掛けによって室内空間を有効に活用できるという壁掛けテレビの利点に相反する。
それ故に、本発明は、音を制御する2つの音源を近づけて設置でき、かつ、所定の位置で音圧レベルを低減すると同時に、異なる位置で音圧レベルを上げることを目的とする。特に、本発明は、低い周波数の音圧レベルを、所定の位置で低減させると同時に、異なる位置で上げることを目的とする。
上記目的を達成するために、本発明は、以下の特徴を有する。本発明の能動騒音制御装置は、スピーカの背面にある第1の領域において、スピーカが放射する第1の音を、減衰させる能動騒音制御装置であって、制御信号に対応して振動することによって、第2の音を第1の領域へ放射し、第2の音と逆位相となる第3の音を、スピーカの前面にある第2の領域へ放射する振動部と、スピーカへ入力される第1の音に関する電気信号をスピーカから取得する信号取得部と、第1の領域において第1の音が第2の音により減衰され、第2の領域において第1の音と第3の音との合成音が所望の周波数特性となるよう、信号取得部が取得した電気信号の振幅と位相を、予め格納された制御パラメータに基づいて調整し、当該調整した電気信号を制御信号として、振動部に出力する制御部とを具備する。
さらに、本発明の能動騒音制御装置は、第1の音と第3の音との合成音を検出し、電気信号として出力する信号検出マイクをさらに備えるとよい。そして、前述した信号取得部は、第1の音に関する電気信号に代え、信号検出マイクが出力する電気信号を取得するとよい。
さらに、本発明の能動騒音制御装置は、制御信号により振動部が発生した音を信号検出マイクが拾うことによって、信号検出マイクが後に出力すると予測される擬似エコー信号を、制御信号から生成するエコーキャンセラー部と、信号取得部が取得した電気信号から擬似エコー信号を減算する減算器とをさらに備えるとよい。そして、前述した制御部は、信号取得部が取得した信号に代え、減算器が出力する電気信号の振幅と位相を調整した制御信号を生成するとよい。
さらに、本発明の能動騒音制御装置は、第1の領域の音を検出し、電気信号として出力する第1検出マイクと、第1の音と第3の音との合成音を検出し、電気信号として出力する第2検出マイクとをさらに備えるとよい。そして、前述した制御部は、第1の音に関する電気信号と第1検出マイクが出力する電気信号と第2検出マイクが出力する電気信号に基づき、制御パラメータを設定する制御パラメータ設定部を含むとよい。
さらに、本発明の能動騒音制御装置は、第1の領域の音圧により励起される振動を検出し、電気信号として出力する振動検出部と、第1の音と第3の音との合成音を検出し、電気信号として出力する第2検出マイクとをさらに備えるとよい。そして、前述した制御部は、第1の音に関する電気信号と振動検出部が出力する電気信号と第2検出マイクが出力する電気信号に基づき、制御パラメータを設定する制御パラメータ設定部を含むとよい。
さらに、前述した信号取得部は、スピーカの音響出力特性を設定する特性設定信号を取得するとよい。そして、前述した制御部は、特性設定信号から音響出力特性を検出し、検出した音響出力特性に合わせて制御パラメータを更新する処理特性更新部を含むとよい。
さらに、本発明の能動騒音制御装置は、第1の領域の音を検出し、電気信号として出力する第1検出マイクをさらに備えるとよい。そして、前述した制御部は、第1検出マイクが検出する音を減衰させるよう、制御パラメータを更新する処理特性更新部を含むとよい。
さらに、本発明の能動騒音制御装置は、第1の領域の音圧により励起される振動を検出し、電気信号として出力する振動検出部をさらに備えるとよい。そして、前述した制御部は、振動検出部が検出する振動を減衰させるよう、制御パラメータを更新する処理特性更新部を含むとよい。
さらに、本発明の能動騒音制御装置は、第1の音と第3の音との合成音を検出し、電気信号として出力する第2検出マイクをさらに備えるとよい。そして、前述した制御部は、第2検出マイクが検出する合成音が所望の周波数特性となるよう、制御パラメータを更新する処理特性更新部を含むとよい。
さらに、前述した制御部は、第1の領域での第1の音と第2の領域での第1の音との位相差と、第2の音と第3の音との位相差との差が略N×360度(Nは整数)となる周波数においては第1の音の振幅と位相が変化しないように、信号取得部が取得した電気信号の振幅と位相を調整するとよい。
さらに、本発明の能動騒音制御装置は、第2の音が第2の領域へ伝播するのを防止し、かつ第3の音が第1の領域へ伝搬するのを防止するバッフル部をさらに具備するとよい。
さらに、本発明の能動騒音制御装置は、第1の領域と第2の領域との間にあり、第2の音が振動部から伝播する閉空間を、少なくとも振動部および第1の領域と第2の領域との間の境界壁面により構成するとよい。
また、本発明の能動騒音制御装置の設置方法は、第1の部屋に配置されたスピーカが放射する音を、境界壁面を介して第1の部屋に隣接する第2の部屋において減衰させる能動騒音制御装置を設置する方法であって、少なくとも境界壁面および振動部により形成される閉空間を設けて、第2の部屋とスピーカとの間に本発明の能動騒音制御装置を設置するとよい。
また、本発明の音響システムは、第1の部屋に設置されるスピーカと、境界壁面を介して第1の部屋に隣接する第2の部屋とスピーカとの間に設置される本発明の能動騒音制御装置と、少なくとも第1の部屋の境界壁面、及び本発明の能動騒音制御装置で形成される閉空間とを具備する。
本発明の能動騒音制御装置は、制御部からの制御信号により、スピーカからの音に合わせて振動部を振動させることによって、第1の領域において所定音を減衰させ、第1の領域とは異なる第2の領域において所定音を所望の音質にすることが出来る。しかも、振動部が第1の領域と第2の領域において逆相の音波を放射することができるので、スピーカと振動部を近接して設置することができる。
(第1の実施形態)
図1は、本発明の第1の実施形態における能動騒音制御装置の配置を示す。図1の左図は、テレビの横から見た側面図であり、右図は、テレビの正面から見た正面図である。
図1は、本発明の第1の実施形態における能動騒音制御装置の配置を示す。図1の左図は、テレビの横から見た側面図であり、右図は、テレビの正面から見た正面図である。
図1において、能動騒音制御装置200は、境界壁面300に近接して設置され、テレビ100は能動騒音制御装置200に固定される。能動騒音制御装置200は、視聴室301において、低い周波数の音圧レベルを上げた所望の特性にテレビ音声を改善する機能を有する。さらに、能動騒音制御装置200は、隣室302において、テレビ音声の音圧レベル、特に低い周波数のテレビ音声の音圧レベルを低減する機能を有する。
図2に、テレビ100及び能動騒音制御装置200の内部構成を示す。図2において、能動騒音制御装置200は、境界壁面300との間に空隙303を空けて設置される。テレビ100は、外部出力部110とスピーカ150とを備える。能動騒音制御装置200は、信号取得部210と制御部220と振動部270とを備える。振動部270は、振動板271と加振器272とを備える。
スピーカ150は、テレビ100の音声を出力する。図2において、スピーカ150はテレビ100に内蔵される形で記載されているが、テレビ100に外付けされていてもテレビ100と分離していてもよい。外部出力部110は、既存のテレビが通常備えている音響出力端子に該当し、テレビ100の音声に関する音響信号を電気信号として出力する。
信号取得部210は、テレビ100の外部出力部110の出力を取得する。制御部220は、信号取得部210が取得した信号を所定の振幅位相特性に補正する処理を行う。図3は、制御部220の内部構成を示す。図3において、制御部220は、FIRフィルタ221と反転器222とを備える。FIRフィルタ221は、入力信号を所定の振幅位相特性に補正して出力する。反転器222は、入力信号の位相を反転する。
図2において、加振器272は、振動板271の表面に貼付されており、制御部220からの制御信号に対応して振動板271の面外方向に振動を加える。これにより、振動板271は表裏双方向に音を放射する。能動騒音制御装置200は、視聴室301の領域内において、テレビ100の音声出力を所望特性に改善し、空隙303の領域内において、テレビ100の音声出力を消去する。
空隙303は、図1の正面図および図2に示されるように、振動板271、境界壁面300、天井310、床面311、側壁312によって密閉された閉空間である。空隙303は密閉されることにより音場として均一となるため、能動騒音制御装置200は、振動板271の一点のみを制御すれば、領域303の音場を制御できる。したがって、能動騒音制御装置200が空隙303の領域全体でテレビ100の音声出力を消すことは容易となる。
次に、図4、図5を用いて、スピーカ150から放射される音と、能動騒音制御装置200から放射される音との位相状態について説明する。スピーカ150は通常、テレビ100の画面と同じ向き(正面方向)に取り付けられており、正面方向へ音を放射する。しかし、周波数が低いほど音の回折現象によって背面方向へも音が伝搬する。その結果、スピーカ150からの低周波数の放射音は、図4に示されるように、スピーカ150を中心として同位相で一様に伝搬する。また、能動騒音制御装置200も、振動板271の振動によって領域301、領域303の双方向に音を放射する。しかし、各々の領域から見た振動板271の振動が互いに逆位相であるため、放射音も逆位相の関係となる。その結果、能動騒音制御装置200からの低周波数の放射音は、図5に示すように振動板271を中心として領域301と領域303の双方向に互いに逆位相の音が伝搬する。
次に、能動騒音制御装置200の動作について説明する。信号取得部210は、スピーカ150に出力される音響信号を、テレビ100の外部出力部110から取得する。信号取得部210が取得する音響信号は、図示されていない視聴者によるテレビ100の出力設定に基づくものである。この音響信号は、放送波から分離された音響信号に限らず、例えばブルーレイ録画再生機のような外部機器からテレビ100に入力される音響信号も含まれる。また、この音響信号は、アナログ信号であっても、デジタル信号であってもよい。
信号取得部210は、取得した音響信号を制御部220に出力する。制御部220は、領域301においてスピーカ150の放射音と能動騒音制御装置200の放射音との合成音が上述した所望の特性になり、領域302においてスピーカ150の放射音と能動騒音制御装置200の放射音が互いに打ち消しあうように、入力信号を所定の振幅位相特性に補正した制御信号を生成し、生成した制御信号を出力する。制御部220が出力する制御信号は、必要に応じて図示しない増幅器で所定レベルに増幅され、加振器272に入力される。
ここで、制御部220の制御パラメータの設定方法について説明する。図6は、制御部220aが制御パラメータを設定するために必要な構成を含むテレビ100及び能動騒音制御装置200aの内部構成の一例を示す。能動騒音制御装置200aは、信号取得部210と制御部220aと振動部270と第1検出マイク231と第2検出マイク232とを備える。制御部220aは、制御パラメータ設定部230を備える。
第1検出マイク231は、領域301に設置され、スピーカ150の放射音と能動騒音制御装置200aの放射音の合成音を検出し、電気信号として出力する。第2検出マイク232は、領域303に設置され、スピーカ150の放射音と能動騒音制御装置200aの放射音の合成音を検出し、電気信号として出力する。スピーカ150には、放送波等の音響信号では無く、ホワイトノイズ等の広帯域の参照信号が入力される。外部出力部110と信号取得部210は、図2に示された構成と同じ動作をするため、説明を省略する。
制御パラメータ設定部230には、信号取得部210からの出力に加えて、第1検出マイク231の出力と第2検出マイク232の出力が入力される。そして、それらの入力に基づいて制御部220aの制御パラメータ、具体的にはFIRフィルタ221のフィルタ係数を更新するよう動作する。図7は、制御部220aの内部構成を示す。図7において、制御パラメータ設定部230は、第1伝達関数模擬フィルタ234と第2伝達関数模擬フィルタ235と所望特性模擬フィルタ236と減算器237と適応更新部238とを備える。FIRフィルタ221と反転器222は、図3に示された構成と同じ動作をするため、説明を省略する。
第1伝達関数模擬フィルタ234は、信号取得部210が出力した信号に、加振器272の入力から第1検出マイク231の出力までの誤差経路特性を畳み込んだ濾波参照信号x1(n)(nはサンプリング時刻)を生成する。第1伝達関数模擬フィルタ234は、FIRフィルタであり、加振器272の入力から第1検出マイク231の出力までの伝達関数インパルス応答を離散化した値が係数として与えられる。第2伝達関数模擬フィルタ235は、信号取得部210が出力した信号に、加振器272の入力から第2検出マイク232の出力までの誤差経路特性を畳み込んだ濾波参照信号x2(n)(nはサンプリング時刻)を生成する。第2伝達関数模擬フィルタ235も同様で、加振器272の入力から第2検出マイク232の出力までの伝達関数インパルス応答を離散化した値が係数として与えられる。所望特性模擬フィルタ236は、信号取得部210が出力した信号に、領域301で実現したい音響特性を畳み込んだ参照信号を生成する。所望特性模擬フィルタ236もFIRフィルタであり、領域301で実現したい音響特性のインパルス応答を離散化した値が係数として与えられる。減算器237が出力する、所望特性模擬フィルタ236の出力と第1検出マイク231の出力の差分は、上述する所望特性に対する領域301の音圧特性の誤差に相当する。
適応更新部238は、サンプリング時刻nにおける減算器237の出力e1(n)と第2検出マイク232の出力e2(n)がともに小さくなるように、下記の(数6)のE(n)を最小とするFIRフィルタのフィルタ係数を求める。
適応更新部238は、次式で表されるFiltered−X LMSアルゴリズムに基づき、FIRフィルタのフィルタ係数を計算し、FIRフィルタ221に逐次設定する。
ただし、(数7)の各変数は以下の内容を表す。
n:サンプリング時刻
G(k):サンプリング時刻kにおいてFIRフィルタ221に設定するフィルタ係数
μ1、μ2:更新の大きさの程度を制御する所定値
x1(n):Gのタップ数と同じ大きさで、サンプリング時刻nにおける第1伝達関数模擬フィルタ234の出力ベクトル
x2(n):Gのタップ数と同じ大きさで、サンプリング時刻nにおける第2伝達関数模擬フィルタ235の出力ベクトル
n:サンプリング時刻
G(k):サンプリング時刻kにおいてFIRフィルタ221に設定するフィルタ係数
μ1、μ2:更新の大きさの程度を制御する所定値
x1(n):Gのタップ数と同じ大きさで、サンプリング時刻nにおける第1伝達関数模擬フィルタ234の出力ベクトル
x2(n):Gのタップ数と同じ大きさで、サンプリング時刻nにおける第2伝達関数模擬フィルタ235の出力ベクトル
よって、第2検出マイク232の出力と減算器237の出力が十分小さくなり、FIRフィルタ221のフィルタ係数が収束したときには、(数8)で示すように、領域301では、参照信号により発生するスピーカ150の放射音と参照信号により発生する能動騒音制御装置200aの放射音の合成音が、所望特性模擬フィルタ236に与えられた特性にほぼ一致する。そして、(数9)で示すように、領域303では、参照信号により発生するスピーカ150の放射音が、参照信号により発生する能動騒音制御装置200aの放射音により消される。
ただし、(数8)、(数9)の各変数は以下の内容を表す。
G:(数7)が収束したときのFIRフィルタ221のフィルタ係数
C1:加振器272の入力から第1検出マイク231の出力までの伝達関数
C2:加振器272の入力から第2検出マイク232の出力までの伝達関数
H1:スピーカ150の入力から第1検出マイク231の出力までの伝達関数
H2:スピーカ150の入力から第2検出マイク232の出力までの伝達関数
T:所望特性の伝達関数
G:(数7)が収束したときのFIRフィルタ221のフィルタ係数
C1:加振器272の入力から第1検出マイク231の出力までの伝達関数
C2:加振器272の入力から第2検出マイク232の出力までの伝達関数
H1:スピーカ150の入力から第1検出マイク231の出力までの伝達関数
H2:スピーカ150の入力から第2検出マイク232の出力までの伝達関数
T:所望特性の伝達関数
図3のFIRフィルタ221のフィルタ係数には、図7のFIRフィルタ221の収束したフィルタ係数が設定される。このように、制御部220aの制御パラメータを設定すれば、図2の領域301において合成音が上述した所望の特性にほぼ一致し、領域303においてスピーカ150の放射音が能動騒音制御装置200の放射音により消される。
ここで、スピーカ150の放射音の位相と能動騒音制御装置200の放射音の位相との関係が、(数7)におけるGの収束性に与える影響について説明する。上述したように、周波数の低い音を放射する2つの音源が互いに近い位置にあると、所定の位置で音圧レベルを下げると同時に、異なる位置で音圧レベルを上げることは極めて困難となる。すなわち、(数7)で示されるFiltered−X LMSアルゴリズムにおいて、Gを収束させることが困難であり、収束したとしても係数の制御精度が低いものとなる。
しかし、図2の構成では、図5に示したように、能動騒音制御装置200の放射音は領域301への放射音と、領域303への放射音の位相が逆位相の関係である。よって、2つの音源が近接しているにも関わらず、所定の位置で音圧レベルを下げると同時に、異なる位置で音圧レベルを上げるよう、制御パラメータを調整することは十分可能である。
図8は、この理由を詳細に説明するための図面である。図8では、スピーカ150が周波数の低い音を放射したことにより、その音が全方位に広がっており、第1検出マイク231と第2検出マイク232の両方に伝播している。そして、振動板271が第1検出マイク231の方向と第2検出マイク232の方向では逆位相となる周波数の低い音を放射し、それぞれの音が第1検出マイク231と第2検出マイク232の両方に伝播している。図8中の符号の意味は以下の通りである。
S1:スピーカ150から第1検出マイク231に伝播した音波
S2:振動板271から第2検出マイク232に伝播した音波
DS1:スピーカ150から第2検出マイク232に伝播した音波
RDS2:振動板271から第1検出マイク231に伝播した音波
D:スピーカ150と振動板271との間の距離
d1:スピーカ150と第1検出マイク231との間の距離(音波S1の伝播経路長)
d2:振動板271と第2検出マイク232との間の距離(音波S2の伝播経路長)
なお、説明の便宜上、図30の説明と同様、d1及びd2は同じ距離dであるとする。
S1:スピーカ150から第1検出マイク231に伝播した音波
S2:振動板271から第2検出マイク232に伝播した音波
DS1:スピーカ150から第2検出マイク232に伝播した音波
RDS2:振動板271から第1検出マイク231に伝播した音波
D:スピーカ150と振動板271との間の距離
d1:スピーカ150と第1検出マイク231との間の距離(音波S1の伝播経路長)
d2:振動板271と第2検出マイク232との間の距離(音波S2の伝播経路長)
なお、説明の便宜上、図30の説明と同様、d1及びd2は同じ距離dであるとする。
また、第1検出マイク231によって検出される音波S1の強さをI1、第2検出マイク232によって検出される音波S2の強さをI2、第2検出マイク232によって検出される音波DS1の強さをDI1、第1検出マイク231によって検出される音波RDS2の強さをDI2、第1検出マイク231の位置での所望の音波の強さをIとする。そして、音波DS1の伝播経路長をL1、音波RDS2の伝播経路長をL2とする。なお、図8に示した空間において、音波伝播特性が均一である場合、音波DS1と音波RDS2の経路長はほぼ同じとなる。このときのL1及びL2をLとする。
このとき、上述した(数1)〜(数3)の関係式は成り立つ。ここで、振動板271が、第2検出マイク232の場所において音波DS1を打ち消すような音波S2を放射したとする。この場合も、音波DS 1 と音波S 2 の経路長の差は、音波RDS2と音波S1の経路長の差と等しい。しかし、音波RDS2と音波S2の位相が反対であることから、第1検出マイク231の場所において、音波S 1 の位相は音波RDS 2 の位相と同じとなる。このため、第1検出マイク231が検出する音波の強さIrは、(数2)及び(数3)を利用して、以下の(数10)のように表される。
したがって、このIrが所望の強さIとなるためには、I1が以下の(数11)で表される値であればよい。
したがって、スピーカ150と振動板271との間の距離Dによってδが変化しても、I1はI以下の値として求めることができる。言い換えれば、(数7)で示されるLMSアルゴリズムにおいて、Gを容易に収束させることができ、収束した係数は精度が高いものとなる。
つぎに、本発明の効果について説明する。図9、図10は、図6の能動騒音制御装置200aが制御を実行した場合と実行しなかった場合のそれぞれについて、第1検出マイク231と第2検出マイク232が検出する音圧レベルの測定結果の一例を示す。この例では、領域301において、低域成分(100〜200Hz)のレベルを6dB上昇させるような目標特性があらかじめ所望特性模擬フィルタ236に与えられている。図9は、領域301において、低域成分(100〜200Hz)の音圧レベルが上昇していることを示している。一方、図10は、領域303において、低域成分(100〜600Hz)の音圧レベルが低下していることを示している。したがって、能動騒音制御装置200aは、特定の領域において、スピーカ150の放射音を、低域成分の音圧レベルを上げた所望の特性に改善できると同時に、別の領域においてスピーカ150の放射音を消すことができるといえる。
なお、制御パラメータ設定部230の動作によって制御パラメータが設定される時のみ、図6に示される第1検出マイク231、第2検出マイク232は、制御部220aに取り付けられ、その後取り外されてもよい。また、第1検出マイク231、第2検出マイク232は、制御部220aに取り付けられたままにしておき、継続的に制御パラメータ設定部230を動作させ、制御パラメータを更新してもよい。
また、本発明の能動騒音制御装置200aは、第2検出マイク232に代えて、境界壁面300の振動を検出し、電気信号として出力する振動検出部を備えてもよい。この場合、制御パラメータ設定部230は、第2検出マイク232の出力に代えて、振動検出部の出力を入力し、制御パラメータを設定する。境界壁面300は、領域303からの音波によって振動が励起されるため、境界壁面300の振動と領域303の音圧とは高い相関を示すからである。
なお、本発明の能動騒音制御装置200の構成は、図1及び図2に示されるように、振動板271が天井310、床面311、側壁312により、領域303を密閉する構造に限らない。例えば、図11に示されるように、振動板271と、天井310、床面311、側壁312との間に隙間を設けることによって、空隙303が完全な密閉空間とならなくなっても、能動騒音制御装置200は空隙303において低域成分の音圧レベルを下げることは可能である。ただし、空隙303が音場として均一でなくなるので、能動騒音制御装置200は、領域303の音場全体を制御するには、振動板271の複数点を制御することが必要となる。ゆえに、能動騒音制御装置200は、複数の振動部270を備えなければならない。したがって、振動板271、境界壁面300、天井310、床面311、側壁312から形成される空隙303は閉空間に近い空間であることが、能動騒音制御装置200の構造を単純化できるため、望ましい。
さらに、能動騒音制御装置200は、図12に示されるように、振動板271を小さくし、振動板271の形にあわせて開けられた部分に振動板271が取り付けてあるバッフル板280を含む構成としてもよい。この構成では、加振器272が振動させる振動板271の面積が小さくなるので、加振器272として小型の圧電素子などが使用されても良くなり、制御信号の増幅レベルも抑えることができる。なお、このバッフル板280により、低周波数の放射音の回折が防止されるので、能動騒音制御装置200の領域301への放射音と領域303への放射音とが、それぞれ回折し、互いに打ち消しあうことはない。
また、振動部270は、図13に示されるように、図12の振動板271、加振器272に代えて、スピーカユニット275を備えてもよい。スピーカユニットは、通常のスピーカと異なり、逆位相の音の漏れを防止するスピーカボックスを有しないので、スピーカユニットによっても本発明と同様の効果を実現することができる。
上記の構成によって、スピーカユニットや圧電素子のように広く利用されるデバイスを用いれば、本発明の効果を損なうこと無く、装置コストを抑えることが出来る。
また、図14に示されるように、バッフル板280の代わりに、振動板271から領域301へ放射される音が伝播する空間を覆う形で箱型バッフル板281を構成しても良い。この構成では、振動板271から領域301へ放射される音が若干領域303へ回折することにより(図14中の一点鎖線)、音漏れを防ぐ効果は小さくなる。しかし、バッフル構造の面積が小さくなるので、装置コストを抑えることが出来る。
さらに、図15に示されるように、境界壁面300に沿って振動部を複数個配置する構成にしても良い。この場合、各振動部270x〜270zに合わせて制御部220x〜220zが設けられる。このような構成にすれば、領域303が閉空間でなかったとしても、領域303のより広い範囲でスピーカ150からの放射音を消すことが出来るので、隣室302へ漏れる音をより少なくすることが出来る。
また、本発明の能動騒音制御装置200は、テレビの音響信号を外部出力部110から取得して、領域301〜303に放射される音の制御を行っている。しかし、テレビが外部出力部110を備えなくても、能動騒音制御装置がスピーカ150の前にマイクを備え、そのマイクがテレビの音声出力を検出することによって同様の制御を行うことが可能である。図16を用いて、このような本発明の第1の実施形態の変形例について説明する。図16は、外部出力部110を備えないテレビ100bと能動騒音制御装置200bとの内部構成図である。
能動騒音制御装置200bは、信号取得部210bと制御部220と振動部270とエコーキャンセラー部250と減算器251と信号検出マイク252とを備える。ここで、図2と同じ符号を付しているものは、図2における動作と同じ動作をするため、説明を省略する。信号検出マイク252は、スピーカ150の近傍に設置され、スピーカ150からの放射音等を検出し、電気信号として出力する。信号取得部210bは、信号検出マイク252が出力した電気信号を取得する。エコーキャンセラー部250は、制御信号により振動部270が発生した音を信号検出マイク252が拾うことによって、信号検出マイク252が後に出力する電気信号を予測する。そして、エコーキャンセラー部250は、その予測される電気信号を擬似エコー信号として生成する。このために、エコーキャンセラー部250は、加振器272の入力から信号検出マイク252の出力までの伝達関数と同じ特性で処理するようにあらかじめ設計されている。そして、エコーキャンセラー部250は、制御部220からの制御信号を上述した特性で処理することによって、擬似エコー信号を生成する。そして、生成した擬似エコー信号を減算器251に出力する。減算器251は、信号取得部210bの出力信号から擬似エコー信号を減算して、制御部220に出力する。
能動騒音制御装置200bは、以上の構成を備えることにより、テレビが外部出力部110を備えなくても、能動騒音制御装置200と同じ動作を実現することができる。したがって、能動騒音制御装置200bは既存のテレビにも十分適用可能である。さらに、能動騒音制御装置200bは、テレビ100bの内部回路の特性と無関係に、能動騒音制御装置200と同じ動作を実現することができる。なお、エコーキャンセラー部250と減算器251の動作により、制御信号により振動部270が発生した音を信号検出マイク252が拾うことによって発生するエコーが除去される。したがって、エコーにより制御部220の出力が発散する危険はない。
なお、図6の第1検出マイク231と図16の信号検出マイク252は、スピーカ150の背面もしくは側面に配置され、テレビ100bに内蔵されていてもよい。この場合、信号検出マイク252は、スピーカ150が放射する音の回折音と、振動部270が領域301に向けて放射する音との合成音を検出する。さらに、スピーカ150が放射する音に比べて振動部270が放射する音が十分小さいなど、エコーキャンセラーが必要のない場合、図16において、能動騒音制御装置200bは、エコーキャンセラー部250及び減算器251を構えなくてもよい。
また、本発明の第1の実施形態では、能動騒音制御装置200をテレビに適用した例について説明したが、適用範囲はテレビに限定されない。たとえば、オーディオシステム、カラオケ店舗、会議場、結婚式場、学校、予備校などにおいて、隣室では音漏れを防止し、視聴室では音響等を所望の特性に改善する用途にも本発明は適用可能である。図17は、これらの用途への適用例を示す。図17に示す配置では、能動騒音制御装置200の前に、テレビ100の代わりにスピーカシステム151が設置されている。スピーカシステム151は、図示しないコンテンツ再生機器、マイク等から音響信号を受けて領域301に対して音響等を出力する。同時に、能動騒音制御装置200は、コンテンツ再生機器、マイク等から音響信号を受け、領域301でスピーカシステム151の放射音を所望の特性に改善すると同時に、領域302ではスピーカシステム151の放射音を消す。
(第2の実施形態)
第1の実施形態では、スピーカ150等に出力する音響信号と同じ信号が、能動騒音制御装置200の信号取得部210により取得されることが前提となっていた。しかし、テレビは通常、ユーザの音量やイコライザ等の設定に合わせて、放送波等から得られる音響信号の音響出力特性を調整し、調整された信号をスピーカ150等に出力する。そこで、図18に示される構成により、当該音響出力特性の調整に対応出来るようにしても良い。図18において、テレビ100cは、外部出力部110cと、出力特性設定受信部120と、出力特性設定送信部121と、出力特性制御部130と、スピーカ150とを備える。能動騒音制御装置200cは、信号取得部210cと、制御部220cと、振動部270とを備える。ここで、図2と同じ符号を付しているものは、第1の実施形態と同じ動作をするため、説明を省略する。
第1の実施形態では、スピーカ150等に出力する音響信号と同じ信号が、能動騒音制御装置200の信号取得部210により取得されることが前提となっていた。しかし、テレビは通常、ユーザの音量やイコライザ等の設定に合わせて、放送波等から得られる音響信号の音響出力特性を調整し、調整された信号をスピーカ150等に出力する。そこで、図18に示される構成により、当該音響出力特性の調整に対応出来るようにしても良い。図18において、テレビ100cは、外部出力部110cと、出力特性設定受信部120と、出力特性設定送信部121と、出力特性制御部130と、スピーカ150とを備える。能動騒音制御装置200cは、信号取得部210cと、制御部220cと、振動部270とを備える。ここで、図2と同じ符号を付しているものは、第1の実施形態と同じ動作をするため、説明を省略する。
出力特性設定送信部121は、ユーザが設定した音響出力特性に関する信号を、無線通信もしくは赤外線通信によりテレビ100cに送信する。出力特性設定受信部120は、出力特性設定送信部121からの信号を受信する。出力特性制御部130は、出力特性設定受信部120が受信した信号に含まれる出力特性設定に対応して、音響信号を処理する。外部出力部110cは、音響信号ばかりでなく、出力特性設定受信部120が受信した信号も電気信号として出力する。信号取得部210cは、テレビ100cの外部出力部110cの出力を取得する。制御部220cは、出力特性設定受信部120が受信した信号を参照し、スピーカ150が出力する音響の出力特性に合わせて適切な振幅位相特性に補正した制御信号を生成し、振動部270を制御する。制御部220cの詳細は後述する。
図19は、制御部220cの内部構成を示す。制御部220cは、FIRフィルタ221と反転器222と処理特性更新部240とを備える。処理特性更新部240は、係数データベース241と出力特性設定検出部242とFIRフィルタ243とを備える。ここで、図3と同じ符号を付しているものは、第1の実施形態と同じ動作をするため、説明を省略する。
係数データベース241は出力特性設定と、それに対応する出力特性制御部130のフィルタ係数の組み合わせを記憶している。出力特性設定検出部242は、出力特性設定受信部120が受信した信号を検出し、その出力特性設定に対応するフィルタ係数を係数データベース241から取得する。そして、出力特性設定検出部242は、そのフィルタ係数をFIRフィルタ243に設定する。FIRフィルタ243は、FIRフィルタ221に入力される信号をあらかじめ処理する。
つぎに、図18及び図19を用いて、本発明の第2の実施形態の動作について説明する。出力特性設定送信部121は、ユーザが所望する出力特性設定を、テレビ100cに送信する。出力特性設定受信部120は、出力特性設定送信部121からの信号を受信し、その信号に含まれる出力特性設定に対応して、あらかじめ記憶されたフィルタ係数を出力特性制御部130に設定する。出力特性制御部130は、設定されたフィルタ係数に基づいて、音響信号を処理する。以上の処理によって、スピーカ150は、ユーザが所望する特性を持つ音を出力する。
一方、出力特性設定検出部242は、出力特性設定受信部120が受信した信号を検出し、その信号に含まれる出力特性設定に対応するフィルタ係数を、係数データベース241から取得する。そして、出力特性設定検出部242は、そのフィルタ係数をFIRフィルタ243に設定する。したがって、FIRフィルタ221にもスピーカ150と同じ出力特性を持つ信号が入力されるので、領域301及び領域303における補正効果が変化することは無い。
図18及び図19の構成においては、出力特性設定と出力特性設定に対応する出力特性制御部130のフィルタ係数との組み合わせが係数データベース241にあらかじめ記憶されていなければならない。しかし、能動騒音制御装置は、このような係数データベース241を備えなくても、出力特性の変化にリアルタイムに適応することによって、領域301及び領域303における補正効果を実現しても良い。図20及び図21を用いて、このような本発明の第2の実施形態の変形例について説明する。図20において、能動騒音制御装置200dは、信号取得部210と、制御部220dと、第3検出マイク233と、振動部270とを備える。図6、図18と同じ符号を付しているものは、それぞれ図6、図18における動作と同じ動作をするため、説明を省略する。
第3検出マイク233は、図6において第2検出マイク232が設置された位置と同じ位置に設置され、スピーカ150の放射音と能動騒音制御装置200dの放射音の合成音を検出し、電気信号として出力する。制御部220dは、第3検出マイク233が検出した合成音を参照し、スピーカ150が出力する音が振動部270から放射される放射音により消されるように制御信号を生成し、振動部270を制御する。制御部220dの詳細は後述する。
図21は、制御部220dの内部構成を示す。制御部220dは、FIRフィルタ221と反転器222と処理特性更新部240dとを備える。処理特性更新部240dは、FIRフィルタ243と第3伝達関数模擬フィルタ244と適応更新部245とを備える。ここで、図19と同じ符号を付しているものは、図19における動作と同じ動作をするため、説明を省略する。
第3伝達関数模擬フィルタ244は、FIRフィルタであり、信号取得部210が取得した信号を処理する。適応更新部245は、第3伝達関数模擬フィルタ244の出力と第3検出マイク233の出力を用いてFIRフィルタ係数を計算する。第3伝達関数模擬フィルタ244には、図6及び図7の構成により求められたフィルタ係数Gと、加振器272の入力から第3検出マイク233の出力までの伝達関数インパルス応答C2とを畳み込んだ係数、すなわち、以下の(数12)によりあらかじめ算出されたFxがフィルタ係数として与えられている。
つぎに、図20及び図21を用いて、本発明の第2の実施形態の変形例の動作について説明する。スピーカ150は、図18の構成と同様に、出力特性制御部130の処理により、ユーザが所望する特性を持つ音を出力する。一方、加振器272には、所定の初期係数を有するFIRフィルタ243で処理された後、(数7)に基づいて設計されたフィルタ係数が与えられたFIRフィルタ221で処理された信号が入力される。よって、能動騒音制御装置200dが領域303に対して放射する音は、スピーカ150が放射する音を消していない。そこで、適応更新部245は、第3検出マイク233が検出する合成音、すなわち、スピーカ150が出力する音と能動騒音制御装置200dが放射する音との合成音がゼロに近づくように、FIRフィルタ243のフィルタ係数を更新する。FIRフィルタ243のフィルタ係数が収束したときには、次式が成り立つ。
ただし、(数13)の各変数は以下の内容を表す。
ΔG:FIRフィルタ243の伝達関数
ΔH:ユーザが設定した出力特性に対応する出力特性制御部130の伝達関数
ここで、(数9)及び(数13)より次式が成り立つ。
ΔG:FIRフィルタ243の伝達関数
ΔH:ユーザが設定した出力特性に対応する出力特性制御部130の伝達関数
ここで、(数9)及び(数13)より次式が成り立つ。
よって、第1検出マイク231の位置での合成音の伝達関数(H1ΔH−GC1ΔG)は、次式のように、低域成分の音圧レベルを上げた所望特性Tに、ユーザが設定した特性ΔHを掛けたものとなる。
なお、本発明の能動騒音制御装置200dは、第3検出マイク233に代えて、図22に示すように、第1検出マイク231が設置された位置と同じ位置またはスピーカ150の周辺位置に第4検出マイク233aを設置してもよい。この場合、制御部220dは、第4検出マイク233aが検出した合成音を参照し、スピーカ150が出力する音が所望の周波数特性になるように制御信号を生成し、振動部270を制御する。図23は、制御部220dの内部構成を示す。処理特性更新部240dは、FIRフィルタ243と第4伝達関数模擬フィルタ246と所望特性模擬フィルタ236と減算器237と適応更新部247とを備える。ここで、図7及び図21と同じ符号を付しているものは、図7及び図21における動作と同じ動作をするため、説明を省略する。
第4伝達関数模擬フィルタ246は、FIRフィルタであり、信号取得部210が取得した信号を処理する。第4伝達関数模擬フィルタ246には、図6及び図7の構成により求められたフィルタ係数Gと、加振器272の入力から第4検出マイク233aの出力までの伝達関数インパルス応答C1とを畳み込んだ係数、すなわち、以下の(数16)によりあらかじめ算出されたFxがフィルタ係数として与えられている。
適応更新部247は、第4検出マイク233aが検出する合成音、すなわち、スピーカ150が出力する音と能動騒音制御装置200dが放射する音との合成音が所望の特性に近づくように、FIRフィルタ243のフィルタ係数を更新する。
また、第1の実施形態と同様、本発明の能動騒音制御装置200dは、第3検出マイク233に代えて、境界壁面300の振動を検出し、電気信号として出力する振動検出部を備えてもよい。この場合、処理特性更新部240dは、第3検出マイク233の出力に代えて、振動検出部の出力を入力し、FIRフィルタ243のフィルタ係数を設定する。また、第3伝達関数模擬フィルタ244には、図6及び図7の構成により求められたフィルタ係数と、加振器272の入力から振動検出部の出力までの伝達関数インパルス応答とを畳み込んだ係数によりあらかじめ算出された値がフィルタ係数として与えられている。
さらに、図15のように境界壁面300に沿って振動部を複数個配置する構成にする場合、図24に示されるように、能動騒音制御装置200dは、領域303に、各振動部270x〜270zに対応して第3検出マイク233x〜233zを備える。各制御部220x〜220zのFIRフィルタ243のフィルタ係数は、それぞれ第3検出マイク233x〜233zが検出する音がゼロに近づくように更新することによって、求められる。
なお、本発明の第2の実施形態においても、図12〜図14に示されるように、能動騒音制御装置がバッフル板やスピーカユニットを備えたものであってもよい。また、図16に示されるように、能動騒音制御装置が信号検出マイク252を備えたものであってもよい。また、本発明の第2の実施形態に係る能動騒音制御装置は、図17に示されるようにオーディオシステム等の応用にも適用されうる。
(第3の実施形態)
第1、第2の実施形態では、図5に示されるように、振動板271から領域301に放射される音と振動板271から領域303に放射される音とがそれぞれ逆位相の関係にあることを前提に説明した。しかし、能動騒音制御装置の構造および視聴室301、隣室302の壁面構造によっては、特定の周波数の音を振動板271が放射すると、振動板271から領域301に放射される音と振動板271から領域303に放射される音とが同位相の関係になることがある。このような場合、振動板271によって音を放射しても、視聴者が存在する空間では低い周波数の音圧レベルを上げると同時に、隣室の空間では低い周波数の音圧レベルを低減することができない。そこで、第3の実施形態において、能動騒音制御装置は、このような周波数の音を振動板271が放射しないように制御する。
第1、第2の実施形態では、図5に示されるように、振動板271から領域301に放射される音と振動板271から領域303に放射される音とがそれぞれ逆位相の関係にあることを前提に説明した。しかし、能動騒音制御装置の構造および視聴室301、隣室302の壁面構造によっては、特定の周波数の音を振動板271が放射すると、振動板271から領域301に放射される音と振動板271から領域303に放射される音とが同位相の関係になることがある。このような場合、振動板271によって音を放射しても、視聴者が存在する空間では低い周波数の音圧レベルを上げると同時に、隣室の空間では低い周波数の音圧レベルを低減することができない。そこで、第3の実施形態において、能動騒音制御装置は、このような周波数の音を振動板271が放射しないように制御する。
図25は、本発明の第3の実施の形態に係るテレビ100及び能動騒音制御装置200eの内部構成を示す。能動騒音制御装置200eは、図6の制御部220aが制御部220eとなる以外は全て同じであるので、制御部220e以外の説明を省略する。制御部220eは、制御パラメータ設定部230eを備える。
図26は、制御パラメータ設定部230eの内部構成を示す。制御パラメータ設定部230eは、図7の制御パラメータ設定部230の構成に加えて、第1遮断処理部261と第2遮断処理部262と第3遮断処理部263と第4遮断処理部264とを備える。第1遮断処理部261は、第1伝達関数模擬フィルタ234の出力から第1の所定周波数の信号成分を除去する。第2遮断処理部262は、第2伝達関数模擬フィルタ235の出力から第2の所定周波数の信号成分を除去する。第3遮断処理部263は、第1検出マイク231の出力に所望特性模擬フィルタ236の出力を減算した値から第1の所定周波数の信号成分を除去する。第4遮断処理部264は、第2検出マイク232の出力から第2の所定周波数の信号成分を除去する。
この構成によって、適応更新部238は第1もしくは第2の所定周波数成分について係数更新を行わない。収束したFIRフィルタ221のフィルタ係数に基づいてFIRフィルタ221が動作しても、第1の所定周波数において、領域301でのスピーカ150の放射音は、低域成分の音圧レベルを上げた所望の特性に改善されない。同様に、第2の所定周波数において、領域303でのスピーカ150の放射音は、打ち消されない。
第1、第2の所定周波数は、(数7)による収束係数の制御精度が悪く、制御誤差が大きくなる場合に、制御部220eがその周波数成分を敢えて制御しないようにするために設定される。
先に説明した通り、図5に示されるように、振動板271から領域301に放射される音と振動板271から領域303に放射される音とがそれぞれ逆位相の関係にあると、(数7)が収束し精度の良い係数が得られる。言い換えれば、スピーカ150と振動部270が同じ周波数の音を発生する場合に、スピーカ150の出力音を第1検出マイク231が検出する検出波の位相と、同じ音を第2検出マイク232が検出する検出波の位相との位相差をΔΦHとし、振動部270の出力音を第1検出マイク231が検出する検出波の位相と、同じ音を第2検出マイク232が検出する検出波の位相との位相差をΔΦCとすると、ΔΦHとΔΦCとの差が180度に近い周波数においては、(数7)により精度が良い係数が得られる。一方、周波数が高くなると、音の波長が短くなりΔΦHとΔΦCはともに大きくなる。さらに、スピーカ150から各検出マイク231、232への音響伝搬経路と、能動騒音制御装置200eから各検出マイク231、232への音響伝搬経路の違いによってΔΦH及びΔΦCの変化の仕方が異なる。
図27に示された位相差は、各周波数におけるΔΦH及びΔΦCの一例である。これによると、ΔΦHがΔΦCと一致する周波数fnが存在する。周波数fnでは、第1検出マイク231におけるスピーカ150の放射音と能動騒音制御装置200eの放射音との位相差と、第2検出マイク232におけるスピーカ150の放射音と能動騒音制御装置200eの放射音との位相差とが一致する。そのため、周波数fnでは、能動騒音制御装置200eは、領域301で音響出力を所望の特性に改善すると同時に、領域303で音を打ち消すことはできない。そこで、能動騒音制御装置200eは、敢えて周波数fnの放射音を出力しないよう、FIRフィルタ221の処理係数を設定する。これを実現するには、周波数fnの信号を遮断するような特性が第1〜第4遮断処理部261〜264にあらかじめ設定されていれば良い。また、例えば、周波数fnにおいて音を打ち消す機能だけを有するような特性があらかじめ設定されていても良い。その場合、第1遮断処理部261と第3遮断処理部263に周波数fnの信号を遮断する特性が設定され、第2遮断処理部262と第4遮断処理部264に全帯域の信号が通過する特性が設定されていれば良い。
このように、能動騒音制御装置200eが領域301において音響出力を所望の特性に改善すると同時に、領域303において音を打ち消すことが困難な周波数の音を放射しないように、FIRフィルタ221の処理係数が設定される。したがって、能動騒音制御装置200eは、制御誤差により、異音を発する恐れはない。
なお、本発明の第3の実施形態においても、図12〜図14に示されるように、能動騒音制御装置がバッフル板やスピーカユニットを備えたものであってもよい。また、図16に示されるように、能動騒音制御装置が信号検出マイク252を備えたものであってもよい。また、本発明の第3の実施形態に係る能動騒音制御装置は、図17に示されるようにオーディオシステム等の応用にも適用されうる。
本発明の能動騒音制御装置によれば、所定音を第1領域では減衰させ、第1領域とは異なる第2領域では所望の音質にすることが出来るので、テレビ、オーディオシステム以外にも、カラオケ店舗、会議場、結婚式場、学校、予備校などのスピーカシステムにも適用可能である。
100、100b、100c テレビ
110、110c 外部出力部
120 出力特性設定受信部
121 出力特性設定送信部
130 出力特性制御部
150 スピーカ
151 スピーカシステム
200、200a、200b、200c、200d、200e 能動騒音制御装置
210、210b、210c 信号取得部
220、220a、220b、220c、220d、220e 制御部
220x、220y、220z 制御部
221、243 FIRフィルタ
222 反転器
230、230e 制御パラメータ設定部
231 第1検出マイク
232 第2検出マイク
233、233x、233y、233z 第3検出マイク
233a 第4検出マイク
234 第1伝達関数模擬フィルタ
235 第2伝達関数模擬フィルタ
236 所望特性模擬フィルタ
237、251 減算器
238、245、247 適応更新部
240、240d 処理特性更新部
241 係数データベース
242 出力特性設定検出部
244 第3伝達関数模擬フィルタ
246 第4伝達関数模擬フィルタ
250 エコーキャンセラー部
252 信号検出マイク
261 第1遮断処理部
262 第2遮断処理部
263 第3遮断処理部
264 第4遮断処理部
270、270x、270y、270z 振動部
271、271x、271y、271z 振動板
272、272x、272y、272z 加振器
275 スピーカユニット
280、281 バッフル板
300 境界壁面
301 視聴室
302 隣室
303 空隙
310 天井
311 床面
312 側壁
110、110c 外部出力部
120 出力特性設定受信部
121 出力特性設定送信部
130 出力特性制御部
150 スピーカ
151 スピーカシステム
200、200a、200b、200c、200d、200e 能動騒音制御装置
210、210b、210c 信号取得部
220、220a、220b、220c、220d、220e 制御部
220x、220y、220z 制御部
221、243 FIRフィルタ
222 反転器
230、230e 制御パラメータ設定部
231 第1検出マイク
232 第2検出マイク
233、233x、233y、233z 第3検出マイク
233a 第4検出マイク
234 第1伝達関数模擬フィルタ
235 第2伝達関数模擬フィルタ
236 所望特性模擬フィルタ
237、251 減算器
238、245、247 適応更新部
240、240d 処理特性更新部
241 係数データベース
242 出力特性設定検出部
244 第3伝達関数模擬フィルタ
246 第4伝達関数模擬フィルタ
250 エコーキャンセラー部
252 信号検出マイク
261 第1遮断処理部
262 第2遮断処理部
263 第3遮断処理部
264 第4遮断処理部
270、270x、270y、270z 振動部
271、271x、271y、271z 振動板
272、272x、272y、272z 加振器
275 スピーカユニット
280、281 バッフル板
300 境界壁面
301 視聴室
302 隣室
303 空隙
310 天井
311 床面
312 側壁
さらに、本発明の能動騒音制御装置は、第1の領域の音を検出し、電気信号として出力する第3検出マイクをさらに備えるとよい。そして、前述した制御部は、第3検出マイクが検出する音を減衰させるよう、制御パラメータを更新する処理特性更新部を含むとよい。
さらに、本発明の能動騒音制御装置は、第1の音と第3の音との合成音を検出し、電気信号として出力する第4検出マイクをさらに備えるとよい。そして、前述した制御部は、第4検出マイクが検出する合成音が所望の周波数特性となるよう、制御パラメータを更新する処理特性更新部を含むとよい。
Claims (14)
- スピーカ(150、151)の背面にある第1の領域(302)において、前記スピーカ(150、151)が放射する第1の音を、減衰させる能動騒音制御装置(200、200a〜e)であって、
制御信号に対応して振動することによって、第2の音を前記第1の領域(302)へ放射し、前記第2の音と逆位相となる第3の音を、前記スピーカ(150、151)の前面にある第2の領域(301)へ放射する振動部(270、270x〜z、275)と、
前記スピーカ(150、151)へ入力される前記第1の音に関する電気信号を、前記スピーカ(150、151)から取得する信号取得部(210、210b、210c)と、
前記第1の領域(302)において前記第1の音が前記第2の音により減衰され、前記第2の領域(301)において前記第1の音と前記第3の音との合成音が所望の周波数特性となるよう、前記信号取得部(210、210b、210c)が取得した電気信号の振幅と位相を、予め格納された制御パラメータに基づいて調整し、当該調整した電気信号を前記制御信号として、前記振動部(270、270x〜z、275)に出力する制御部(220、220a〜e、220x〜z)とを備える、能動騒音制御装置。 - 前記第1の音と前記第3の音との合成音を検出し、電気信号として出力する信号検出マイク(252)をさらに備え、
前記信号取得部(210b)は、前記第1の音に関する電気信号に代え、前記信号検出マイク(252)が出力する電気信号を取得する、請求項1に記載の能動騒音制御装置。 - 前記制御信号により前記振動部(270)が発生した音を前記信号検出マイク(252)が拾うことによって、前記信号検出マイク(252)が後に出力すると予測される擬似エコー信号を、前記制御信号から生成するエコーキャンセラー部(250)と、
前記信号取得部(210b)が取得した電気信号から前記擬似エコー信号を減算する減算器(251)とをさらに備え、
前記制御部(220)は、前記信号取得部(210、210b、210c)が取得した信号に代え、前記減算器(251)が出力する電気信号の振幅と位相を調整した前記制御信号を生成する、請求項2に記載の能動騒音制御装置。 - 前記第1の領域(302)の音を検出し、電気信号として出力する第1検出マイク(232)と、
前記第1の音と前記第3の音との合成音を検出し、電気信号として出力する第2検出マイク(231)とをさらに備え、
前記制御部(220a、220e)は、前記第1の音に関する電気信号と前記第1検出マイク(232)が出力する電気信号と前記第2検出マイク(231)が出力する電気信号に基づき、前記制御パラメータを設定する制御パラメータ設定部(230、230e)を含む、請求項1乃至3のいずれかに記載の能動騒音制御装置。 - 前記第1の領域(302)の音圧により励起される振動を検出し、電気信号として出力する振動検出部と、
前記第1の音と前記第3の音との合成音を検出し、電気信号として出力する第2検出マイク(231)とをさらに備え、
前記制御部(220a、220e)は、前記第1の音に関する電気信号と前記振動検出部が出力する電気信号と前記第2検出マイク(231)が出力する電気信号に基づき、前記制御パラメータを設定する制御パラメータ設定部(230、230e)を含む、請求項1乃至3のいずれかに記載の能動騒音制御装置。 - 前記信号取得部(210c)は、前記スピーカ(150)の音響出力特性を設定する特性設定信号をさらに取得し、
前記制御部(220c、220d)は、前記特性設定信号から前記音響出力特性を検出し、検出した前記音響出力特性に合わせて前記制御パラメータを更新する処理特性更新部(240、240d)を含む、請求項1乃至5のいずれかに記載の能動騒音制御装置。 - 前記第1の領域(302)の音を検出し、電気信号として出力する第1検出マイク(233)をさらに備え、
前記制御部(220d)は、前記第1検出マイク(233)が検出する音を減衰させるよう、前記制御パラメータを更新する処理特性更新部(240d)を含む、請求項1乃至5のいずれかに記載の能動騒音制御装置。 - 前記第1の領域(302)の音圧により励起される振動を検出し、電気信号として出力する振動検出部をさらに備え、
前記制御部(220d)は、前記振動検出部が検出する振動を減衰させるよう、前記制御パラメータを更新する処理特性更新部(240d)を含む、請求項1乃至5のいずれかに記載の能動騒音制御装置。 - 前記第1の音と前記第3の音との合成音を検出し、電気信号として出力する第2検出マイク(233a)をさらに備え、
前記制御部(220d)は、前記第2検出マイク(233a)が所望の周波数特性となるよう、前記制御パラメータを更新する処理特性更新部(240d)を含む、請求項1乃至5のいずれかに記載の能動騒音制御装置。 - 前記制御部(220e)は、前記第1の領域(302)での前記第1の音と前記第2の領域(301)での前記第1の音との位相差と、前記第2の音と前記第3の音との位相差との差がN×360度(Nは整数)となる周波数においては前記第1の音の振幅と位相が変化しないように、前記信号取得部(210、210b、210c)が取得した電気信号の振幅と位相を調整する、請求項1乃至9のいずれかに記載の能動騒音制御装置。
- 前記第2の音が前記第2の領域(301)へ伝播するのを防止し、かつ前記第3の音が前記第1の領域(302)へ伝搬するのを防止するバッフル部(280、281)をさらに備える請求項1乃至10のいずれかに記載の能動騒音制御装置。
- 前記第1の領域(302)と前記第2の領域(301)との間にあり、前記第2の音が前記振動部(270、270x〜z)から伝播する閉空間を、少なくとも前記振動部(270、270x〜z)および前記第1の領域(302)と前記第2の領域(301)との間の境界壁面(300)により構成することを特徴とする、請求項1乃至11のいずれかに記載の能動騒音制御装置。
- 第1の部屋(302)に配置されたスピーカ(150、151)が放射する音を、境界壁面(300)を介して前記第1の部屋(302)に隣接する第2の部屋(301)において減衰させる能動騒音制御装置(200、200a〜e)を設置する方法であって、
少なくとも前記境界壁面(300)および振動部(270、270x〜z)により形成される閉空間を設けて、前記第2の部屋(301)と前記スピーカ(150、151)との間に請求項1乃至11のいずれかに記載の能動騒音制御装置を設置する、設置方法。 - 第1の部屋に設置されるスピーカ(150、151)と、
境界壁面(300)を介して前記第1の部屋(302)に隣接する第2の部屋(301)と前記スピーカ(150、151)との間に設置される請求項1乃至11のいずれかに記載の能動騒音制御装置(200、200a〜e)と、
少なくとも前記第1の部屋の前記境界壁面(300)、及び前記能動制御装置により形成される閉空間とで構成される、音響システム。
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