以下、図面を参照しながら本発明の実施形態について詳しく説明する。
[1.基本説明]
まず、EUTRAにおける下りリンク構成及び上りリンク構成について、基本技術を説明する。
[1.1 下りリンクチャネル構成]
まず、EUTRAにおける下りリンク無線フレームの概略構成を説明する。下りリンク無線フレームは、無線リソース割り当てなどの単位であり、予め決められた幅の周波数帯および時間帯からなる下りリンクリソースブロックペアから構成されている。1個の下りリンクリソースブロックペアは時間領域で連続する2個の下りリンクリソースブロックから構成される。
1個の下りリンクリソースブロックは、周波数領域において12個の下りリンクサブキャリアから構成され、時間領域において7個のOFDMシンボルから構成される。基地局装置の下りリンクの通信帯域幅は、下りリンクシステム帯域幅と称す。時間領域においては、7個のOFDMシンボルから構成される下りリンクスロット、2個の下りリンクスロットから構成される下りリンクサブフレーム、10個の下りリンクサブフレームから構成される下りリンク無線フレームがある。なお、1個の下りリンクサブキャリアと1個のOFDMシンボルから構成されるユニットを、下りリンクリソースエレメントと呼ぶ。また、下りリンク無線フレームでは、下りリンクシステム帯域幅に応じて複数の下りリンクリソースブロックが配置される。
各下りリンクサブフレームには少なくとも、情報データの送信に用いる下りリンク共有データチャネル、制御データの送信に用いる下りリンク制御チャネルが配置される。また、下りリンク共有データチャネル及び下りリンク制御チャネルの伝搬路推定に用いる下りリンクパイロットチャネルの下りリンク参照信号が複数の下りリンクリソースエレメントに分散して配置される。ここで、下りリンク参照信号は、下りリンクパイロットチャネルに用いる既知の信号である。
下りリンク制御チャネルは、移動局識別子、下りリンク共有データチャネルの無線リソース割り当て情報、上りリンク共有データチャネルの無線リソース割り当て情報、上りリンク共有データチャネルの送信電力制御値、マルチアンテナ関連情報、変調方式、符号化率、再送パラメータなどの制御データから生成した信号が配置される。
[1.2 上りリンクチャネル構成]
つづいて、EUTRAにおける上りリンク無線フレームの概略構成を説明する。上りリンク無線フレームは、無線リソース割り当てなどの単位であり、予め決められた幅の周波数帯および時間帯からなる上りリンクリソースブロックペアから構成されている。1個の上りリンクリソースブロックペアは、時間領域で連続する2個の上りリンクリソースブロックから構成される。
また、1個の上りリンクリソースブロックは、周波数領域において12個の上りリンクサブキャリアから構成され、時間領域において7個のSC−FDMA(Single Carrier-Frequency Division Multiple Access)シンボルから構成される。基地局装置の上りリンクの通信帯域幅は、上りリンクシステム帯域幅と称す。上りリンクシステム帯域幅に応じて複数の上りリンクリソースブロックが配置される。
また、時間領域においては、7個のSC−FDMAシンボルから構成される上りリンクスロット、2個の上りリンクスロットから構成される上りリンクサブフレーム、10個の上りリンクサブフレームから構成される上りリンク無線フレームがある。なお、1個の上りリンクサブキャリアと1個のSC−FDMAシンボルから構成されるユニットを上りリンクリソースエレメントと呼ぶ。
各上りリンクサブフレームには少なくとも、情報データの送信に用いる上りリンク共有データチャネル、制御データの送信に用いる上りリンク制御チャネルが配置される。上りリンク制御チャネルは、下りリンクのチャネル品質指標CQI(Channel Quality Indicator)、下りリンク共有データチャネルに対する受信応答ACK/NACK(Acknowledgement/Negative-Acknowledgement)、またはスケジューリング要求SR(Scheduling Request)からなる制御データを送信する。
また、上りリンク制御チャネルは、チャネル品質指標CQIからなる制御データを送信する場合と、受信応答ACK/NACKからなる制御データを送信する場合と、スケジューリング要求SRからなる制御データを送信する場合とで異なる種類の上りリンク制御チャネルが用いられる。なお、異なる種類の上りリンク制御チャネルは、信号構成がそれぞれ異なる。
また、上りリンク制御チャネルに用いる上りリンクリソースブロックペアは、周波数領域において対象関係にあり、異なる上りリンクスロットに位置する2個の上りリンクリソースブロックから構成される。また、一の上りリンクリソースブロックにおいて異なる上りリンク制御チャネルの信号が符号多重される。
上りリンク共有データチャネル及び上りリンク制御チャネルの伝搬路推定に用いる上りリンクパイロットチャネルは、上りリンク共有データチャネルと同じ上りリンクリソースブロック内に配置される場合と、上りリンク制御チャネルと同じ上りリンクリソースブロック内に配置される場合で、異なる位置のSC−FDMAシンボルに上りリンク参照信号が配置される。
ここで、上りリンク参照信号とは、上りリンクパイロットチャネルに用いる既知の信号である。上りリンクパイロットチャネルは、上りリンク共有データチャネルと同じ上りリンクリソースブロック内に配置される場合、上りリンクスロット内の4番目の位置のSC−FDMAシンボルに上りリンク参照信号が配置される。上りリンクパイロットチャネルは、チャネル品質指標CQIからなる制御データを送信する上りリンク制御チャネルと同じ上りリンクリソースブロック内に配置される場合、上りリンクスロット内の2番目と6番目の位置のSC−FDMAシンボルに上りリンク参照信号が配置される。上りリンクパイロットチャネルは、受信応答ACK/NACKからなる制御データを送信する上りリンク制御チャネルと同じ上りリンクリソースブロック内に配置される場合、上りリンクスロット内の3番目と4番目と5番目の位置のSC−FDMAシンボルに上りリンク参照信号が配置される。上りリンクパイロットチャネルは、スケジューリング要求SRからなる制御データを送信する上りリンク制御チャネルと同じ上りリンクリソースブロック内に配置される場合、上りリンクスロット内の3番目と4番目と5番目の位置のSC−FDMAシンボルに上りリンク参照信号が配置される。
[2.無線通信システムの説明]
続いて、図1、図2、図3を用いて、本実施形態に係る無線通信システムの全体像及び無線フレームの構成について説明をする。次に、図4〜図9を用いて、本実施形態に係る無線通信システムの構成について説明をする。そして、図10〜図12を用いて、本実施形態に係る無線通信システムの動作処理について説明をする。
[2.1 無線通信システムの全体像]
図1は、本発明の実施形態に係る無線通信システムの全体像についての概略を説明する図である。
この図が示す無線通信システム1は、基地局装置BS1と、複数の移動局装置UE1、UE2及びUE3とが無線通信を行う。
また、この図は、基地局装置BS1から移動局装置UE1、UE2、UE3への通信方向である下りリンクが、下りリンクパイロットチャネル、下りリンク制御チャネル及び下りリンク共有データチャネルを含んで構成されることを示す。
また、この図は、移動局装置UE1、UE2、UE3から基地局装置BS1への通信方向である上りリンクが、上りリンク共有データチャネル、上りリンクパイロットチャネル及び上りリンク制御チャネルを含んで構成されることを示す。
以下、本実施形態において、基地局装置BS1を基地局装置10といい、移動局装置UE1、UE2、UE3を移動局装置20という。
[2.1.1 下りリンク無線フレームの構成]
図2は、本実施形態に係る基地局装置10から移動局装置20への下りリンク無線フレームの概略構成を示す図である。
この図において、横軸は周波数領域、縦軸は時間領域を表している。下りリンク無線フレームは、無線リソース割り当てなどの単位であり、予め決められた幅の周波数帯および時間帯からなる下りリンクリソースブロックペアから構成される。1個の下りリンクリソースブロックペアは時間領域で連続する2個の下りリンクリソースブロックから構成される。
また、この図において、1個の下りリンクリソースブロックは、周波数領域において12個の下りリンクサブキャリアから構成され、時間領域において7個のOFDMシンボルから構成される。下りリンクシステム帯域幅は、基地局装置10の下りリンクの通信帯域幅であり、複数の下りリンク要素周波数帯域幅から構成される。無線通信システム1において、下りリンク要素周波数帯域は予め定められた周波数帯域幅の帯域である。例えば、60MHzの帯域幅の下りリンクシステム帯域は、3個の20MHzの帯域幅の下りリンク要素周波数帯域から構成される。
また、下りリンク要素周波数帯域では下りリンク要素周波数帯域幅に応じて複数の下りリンクリソースブロックが配置される。例えば、20MHzの帯域幅の下りリンク要素周波数帯域は、100個の下りリンクリソースブロックから構成される。ここで、下りリンク要素周波数帯域幅は、一例として、EUTRAに対応した移動局装置20が通信に用いることができる周波数帯域幅であり、下りリンクシステム帯域幅はA−EUTRAに対応した移動局装置20が通信に用いることができる周波数帯域幅である。
また、この図が示す時間領域においては、7個のOFDMシンボルから構成される下りリンクスロット、2個の下りリンクスロットから構成される下りリンクサブフレーム、10個の下りリンクサブフレームから構成される下りリンク無線フレームがある。なお、1個の下りリンクサブキャリアと1個のOFDMシンボルから構成されるユニットを下りリンクリソースエレメントと呼ぶ。
各下りリンクサブフレームには少なくとも、情報データの送信に用いる下りリンク共有データチャネル、制御データの送信に用いる下りリンク制御チャネルが配置される。この図において図示は省略するが、下りリンク共有データチャネル及び下りリンク制御チャネルの伝搬路変動の推定に用いる下りリンクパイロットチャネルの下りリンク参照信号が複数の下りリンクリソースエレメントに分散して配置される。ここで、下りリンク参照信号は、下りリンクパイロットチャネルに用いる、無線通信システム1において既知の信号である。
下りリンク制御チャネルは、移動局識別子、下りリンク共有データチャネルの無線リソース割り当て情報、上りリンク共有データチャネルの無線リソース割り当て情報、上りリンク共有データチャネルの送信電力制御値、マルチアンテナ関連情報、変調方式、符号化率、再送パラメータなどの制御データから生成された信号が配置される。
[2.1.2 上りリンク無線フレームの構成]
図3は、本実施形態に係る移動局装置20から基地局装置10への上りリンク無線フレームの概略構成を示す図である。
この図において、横軸は周波数領域、縦軸は時間領域を表している。上りリンク無線フレームは、無線リソース割り当てなどの単位であり、予め決められた幅の周波数帯および時間帯からなる上りリンクリソースブロックペアから構成される。1個の上りリンクリソースブロックペアは、時間領域で連続する2個の上りリンクリソースブロックから構成される。
また、この図において、1個の上りリンクリソースブロックは、周波数領域において12個の上りリンクサブキャリアから構成され、時間領域において7個のSC−FDMAシンボルから構成される。上りリンクシステム帯域幅は、基地局装置10の上りリンクの通信帯域幅であり、複数の上りリンク要素周波数帯域幅から構成される。無線通信システム1において、上りリンク要素周波数帯域は予め定められた周波数帯域幅の帯域である。例えば、60MHzの帯域幅の上りリンクシステム帯域は、3個の20MHzの帯域幅の上りリンク要素周波数帯域から構成される。なお、上りリンク要素周波数帯域では上りリンク要素周波数帯域幅に応じて複数の上りリンクリソースブロックが配置される。また、20MHz帯域幅の上りリンク要素周波数帯域は、100個の上りリンクリソースブロックから構成される。
ここで、上りリンク要素周波数帯域幅は、EUTRAに対応した移動局装置20が通信に用いることができる周波数帯域幅であり、一例として、上りリンクシステム帯域幅はA−EUTRAに対応した移動局装置20が通信に用いることができる周波数帯域幅である。
また、この図が示す時間領域においては、7個のSC−FDMAシンボルから構成される上りリンクスロット、2個の上りリンクスロットから構成される上りリンクサブフレーム、10個の上りリンクサブフレームから構成される上りリンク無線フレームがある。なお、1個の上りリンクサブキャリアと1個のSC−FDMAシンボルから構成されるユニットを上りリンクリソースエレメントと呼ぶ。
各上りリンクサブフレームには少なくとも、情報データの送信に用いる上りリンク共有データチャネル、制御データの送信に用いる上りリンク制御チャネルが配置される。上りリンク制御チャネルは、下りリンクに対するチャネル品質指標CQI、下りリンク共有データチャネルに対する受信応答ACK/NACK、またはスケジューリング要求SRからなる制御データを送信する。
また、上りリンク制御チャネルは、チャネル品質指標CQIからなる制御データを送信する場合と、受信応答ACK/NACKからなる制御データを送信する場合と、スケジューリング要求SRからなる制御データを送信する場合とで異なる種類の信号構成が用いられる。また、上りリンク制御チャネルに用いる上りリンクリソースブロックペアは、上りリンク要素周波数帯域内において周波数領域で対象関係にあり、異なる上りリンクスロットに位置する2個の上りリンクリソースブロックから構成される。
例えば、図3において、最も周波数が低い上りリンク要素周波数帯域内の上りリンクサブフレーム内において、時間領域で一番目の上りリンクスロットの最も周波数が低い上りリンクリソースブロックと、時間領域で二番目の上りリンクスロットの最も周波数が高い上りリンクリソースブロックとにより、上りリンク制御チャネルに用いる上りリンクリソースブロックペアの1個が構成される。
上りリンク共有データチャネル及び上りリンク制御チャネルの伝搬路変動の推定に用いる上りリンクパイロットチャネルは、上りリンク共有データチャネルと同じ上りリンクリソースブロック内に配置される場合と、上りリンク制御チャネルと同じ上りリンクリソースブロック内に配置される場合とで、時間領域で異なる位置のSC−FDMAシンボルに上りリンク参照信号が配置される。
ここで、上りリンク参照信号とは、上りリンクパイロットチャネルに用いる、無線通信システム1において既知の信号である。上りリンクパイロットチャネルは、上りリンク共有データチャネルと同じ上りリンクリソースブロック内に配置される場合、上りリンクスロット内の4番目の位置のSC−FDMAシンボルに上りリンク参照信号が配置される。
上りリンクパイロットチャネルは、チャネル品質指標CQIからなる制御データを送信する上りリンク制御チャネルと同じ上りリンクリソースブロック内に配置される場合、上りリンクスロット内の2番目と6番目の位置のSC−FDMAシンボルに上りリンク参照信号が配置される。上りリンクパイロットチャネルは、受信応答ACK/NACKからなる制御データを送信する上りリンク制御チャネルと同じ上りリンクリソースブロック内に配置される場合、上りリンクスロット内の3番目と4番目と5番目の位置のSC−FDMAシンボルに上りリンク参照信号が配置される。
上りリンクパイロットチャネルは、スケジューリング要求SRからなる制御データを送信する上りリンク制御チャネルと同じ上りリンクリソースブロック内に配置される場合、上りリンクスロット内の3番目と4番目と5番目の位置のSC−FDMAシンボルに上りリンク参照信号が配置される。
この図では、上りリンク制御チャネルが各上りリンク要素周波数帯域の周波数領域で最も端の上りリンクリソースブロックに配置された場合を示しているが、上りリンク要素周波数帯域の端から2番目、3番目などの上りリンクリソースブロックが上りリンク制御チャネルに用いられる場合もある。
なお、本発明の実施形態に係る無線通信システムでは、下りリンクにおいてOFDM方式を適用し、上りリンクにおいてNxDFT−Spread OFDM方式を適用する。ここで、NxDFT−Spread OFDM方式とは、上りリンク要素周波数帯域単位でDFT−Spread OFDM方式を用いて信号を送受信する方式であり、複数の上りリンク要素周波数帯域を用いた無線通信システムの上りリンクサブフレームにおいて複数のDFT−Spread OFDM送受信に関する処理部を用いて通信を行なう方式である。
[2.2 基地局装置の全体構成]
つづいて、図4、図5、図6を用いて、本実施形態に係る基地局装置10の構成について説明する。
図4は、本実施形態に係る基地局装置10の構成を示す概略ブロック図である。この図に示すように、基地局装置10は、制御部100と、送信処理部110と、受信処理部120と、無線リソース制御部130とを含んで構成される。また、送信処理部110には送信アンテナ115が、受信処理部120には受信アンテナ125がそれぞれ接続されている。
制御部100は、無線リソース制御部130から入力された無線リソース制御情報に基づき、下りリンク共有データチャネル及び下りリンク制御チャネルの無線リソース割り当て・変調方式・符号化率の制御を送信処理部110に対して行なう。また、制御部100は、無線リソース制御情報に基づき、下りリンク制御チャネルを用いて送信する制御データを生成し、送信処理部110に出力する。
また、制御部100は、無線リソース制御部130から入力された無線リソース制御情報に基づき、上りリンク共有データチャネル及び上りリンク制御チャネルの無線リソース割り当て・送信電力・変調方式・符号化率の制御を受信処理部120に対して行なう。また、制御部100は、受信処理部120より入力された上りリンクチャネル品質を無線リソース制御部130に出力する。
また、制御部100は、無線リソース制御部130から入力された無線リソース制御情報に基づき、下りリンク制御チャネルを用いて送信する制御データを生成し、送信処理部110に出力する。制御部100は、上りリンク共有データチャネルの無線リソースを割り当てる上りリンク要素周波数帯域の数に応じて上りリンク共有データチャネルの送信電力制御値を示す制御データを設定する。
送信処理部110は、制御部100から入力された制御信号に基づき下りリンク制御チャネル、下りリンク共有データチャネルを用いて送信する信号を生成して、送信アンテナ115を介して送信する。送信処理部110は、上位層から入力された情報データを下りリンク共有データチャネルを用いて送信し、制御部100から入力された制御データを下りリンク制御チャネルを用いて送信する。
例えば、送信処理部110は、上りリンク共有データチャネルの無線リソース割り当て、上りリンク共有データチャネルの送信電力制御値に関する情報を含む制御データを下りリンク制御チャネルを用いて移動局装置20に送信する。送信処理部110の詳細については、後述する。
受信処理部120は、制御部100の指示に従い、受信アンテナ125により移動局装置20から受信した、上りリンク制御チャネル、上りリンク共有データチャネルの受信信号を検出し、復調し、復号して、制御データ、情報データを抽出する。受信処理部120は、抽出した制御データを制御部100に出力し、情報データを上位層に出力する。
また、受信処理部120は、受信した上りリンク参照信号に基づいて移動局装置20の上りリンクのチャネル品質(以下、上りリンクチャネル品質と称す)を測定し、測定した上りリンクチャネル品質を制御部100を通して、無線リソース制御部130に出力する。受信処理部120の詳細については、後述する。
無線リソース制御部130は、移動局装置20各々の送信電力、間欠送受信サイクル、下りリンク制御チャネルの無線リソース割り当て、上りリンク制御チャネルの無線リソース割り当て、下りリンク共有データチャネルの無線リソース割り当て、上りリンク共有データチャネルの無線リソース割り当て、各種チャネルの変調方式・符号化率などを設定する。
また、無線リソース制御部130は、制御部100を通して受信処理部120より入力された上りリンクチャネル品質に基づき上りリンク要素周波数帯域毎の送信電力制御値を設定する。ここで、無線リソース制御部130は、上りリンクの送信電力制御値の設定と共に、移動局装置20に上りリンク共有データチャネルの無線リソース割り当てとして上りリンクリソースブロックペアを配置する1個以上の上りリンク要素周波数帯域も設定する。
また、無線リソース制御部130は、上りリンク要素周波数帯域毎の送信電力制御値、1個以上の上りリンクリソースブロックペアを割り当てた上りリンク要素周波数帯域毎の上りリンク共有データチャネルの無線リソース割り当てに関する情報を含む無線リソース制御情報を制御部100に出力する。
[2.2.1 送信処理部の構成]
以下、基地局装置10の送信処理部110の詳細について説明をする。図5は、本実施形態に係る基地局装置10の送信処理部110の構成を示す概略ブロック図である。
この図に示すように、送信処理部は、複数の下りリンク共有データチャネル処理部1100と、複数の下りリンク制御チャネル処理部1110と、下りリンクパイロットチャネル処理部1120と、多重部1122と、IFFT(Inverse Fast Fourier Transform;高速逆フーリエ変換)部1124と、GI(Guard Interval;ガードインターバル)挿入部1126と、D/A(Digital/Analog;ディジタルアナログ)部1128と、送信RF(Radio Frequency;無線周波数)部1130とを備えており、送信アンテナ115が送信RF部1130に接続されている。
なお、各下りリンク共有データチャネル処理部1100及び各下りリンク制御チャネル処理部1110は、それぞれ、同様の構成及び機能を有するので、その一つを代表して説明する。
また、この図に示すように、下りリンク共有データチャネル処理部1100は、それぞれ、ターボ符号部1102及びデータ変調部1104を備えており、下りリンク制御チャネル処理部1110は、畳み込み符号部1112及びQPSK変調部1114を備えている。
下りリンク共有データチャネル処理部1100は、移動局装置20への情報データをOFDM方式で伝送するためのベースバンド信号処理を行う処理部である。
ターボ符号部1102は、入力された情報データを、制御部から入力された符号化率で、データの誤り耐性を高めるためのターボ符号化を行い、データ変調部1104に出力する。
データ変調部1104は、ターボ符号部1102が符号化した符号データを、制御部100から入力された変調方式、例えば、QPSK、16QAM、64QAMのような変調方式で変調し、変調シンボルの信号系列を生成する。データ変調部は、生成した信号系列を、多重部1122に出力する。
下りリンク制御チャネル処理部1110は、制御部から入力された制御データを、OFDM方式で伝送するためのベースバンド信号処理を行う処理部である。
畳み込み符号部1112は、制御部100から入力された符号化率に基づき、制御データの誤り耐性を高めるための畳み込み符号化を行う。ここで、制御データはビット単位で制御される。また、畳み込み符号部1112は、制御部100から入力された符号化率に基づき、畳み込み符号化処理を行なったビットに対して出力ビットの数を調整するためにレートマッチングも行なう。そして、畳み込み符号部1112は、符号化した制御データをQPSK変調部1114に出力する。
QPSK変調部1114は、畳み込み符号部1112が符号化した制御データを、QPSK変調方式で変調し、変調した変調シンボルの信号系列を、多重部1122に出力する。
下りリンクパイロットチャネル処理部1120は、移動局装置20において既知の信号である下りリンク参照信号を生成し、多重部1122に出力する。
多重部1122は、下りリンクパイロットチャネル処理部1120から入力された信号と、下りリンク共有データチャネル処理部1100各々から入力された信号と、下りリンク制御チャネル処理部1110各々から入力された信号とを、制御部100からの指示に従って、下りリンク無線フレームに多重する。
無線リソース制御部130によって設定された下りリンク共有データチャネルの無線リソース割り当て、下りリンク制御チャネルの無線リソース割り当てに関する無線リソース制御情報が制御部100に入力され、その無線リソース制御情報に基づき、制御部100は多重部1122の処理を制御する。
なお、多重部1122は、下りリンク共有データチャネルと下りリンク制御チャネル間の多重を、図2に示したように時間多重で行う。また、多重部1122は、下りリンクパイロットチャネルと、その他のチャネル間の多重は時間・周波数多重で行う。
また、多重部1122は、各移動局装置20宛ての下りリンク共有データチャネルの多重を下りリンクリソースブロック単位で行い、1つの移動局装置20に対して複数の下りリンクリソースブロックを用いて下りリンク共有データチャネルを多重することもある。
また、多重部1122は、各移動局装置20宛ての下りリンク制御チャネルの多重を同一の下りリンク要素周波数帯域内であり、ばらばらに分散した、複数の下りリンクリソースエレメントを用いて行う。さらに多重部1122は、多重化した信号を、IFFT部1124に出力する。
IFFT部1124は、多重部1122が多重化した信号を高速逆フーリエ変換し、OFDM方式の変調を行い、GI挿入部1126に出力する。
GI挿入部1126は、IFFT部1124がOFDM方式の変調を行った信号に、ガードインターバルを付加することで、OFDM方式におけるシンボルからなるベースバンドのディジタル信号を生成する。周知のように、ガードインターバルは、伝送するシンボルの先頭又は末尾の一部を複製することによって生成される。さらにGI挿入部1126は、生成したベースバンドのディジタル信号をD/A部1128に出力する。
D/A1128部は、GI挿入部1126から入力されたベースバンドのディジタル信号をアナログ信号に変換し、送信RF部1130に出力する。
送信RF部1130は、D/A部1128から入力されたアナログ信号から、中間周波数の同相成分及び直交成分を生成し、中間周波数帯域に対する余分な周波数成分を除去する。次に、送信RF部1130は、中間周波数の信号を高周波数の信号に変換(アップコンバート)し、余分な周波数成分を除去し、電力増幅し、送信アンテナ115を介して、移動局装置20に送信する。
[2.2.2 受信処理部の構成]
以下、基地局装置10の受信処理部120の詳細について説明をする。図6は、本実施形態に係る基地局装置10の受信処理部120の構成を示す概略ブロック図である。
この図に示すように、受信処理部は、受信RF部1202と、A/D(Analog/Digital;アナログディジタル変換)部1204と、要素周波数帯域分離部1206と、複数の上りリンク要素周波数帯域毎受信処理部1210とを含んで構成される。
また、この図に示すように、上りリンク要素周波数帯域毎受信処理部1210は、GI除去部1212と、シンボルタイミング検出部1216と、FFT部1214と、サブキャリアデマッピング部1220と、受信品質測定部1230と、伝搬路推定部1232と、上りリンク共有データチャネル用の伝搬路等化部1240と、上りリンク制御チャネル用の伝搬路等化部1222と、IDFT部1224と、データ復調部1226と、ターボ復号部1228と、上りリンク制御チャネル検出部1242とを備えている。なお、各上りリンク要素周波数帯域毎受信処理部1210は、同様の構成及び機能を有するので、その一つを代表して説明する。
受信RF部1202は、受信アンテナ125で受信した信号を、適切に増幅し、中間周波数に変換し(ダウンコンバート)、不要な周波数成分を除去し、信号レベルが適切に維持されるように増幅レベルを制御し、受信した信号の同相成分及び直交成分に基づいて、直交復調する。受信RF部1202は、直交復調したアナログ信号を、A/D部1204に出力する。
A/D部1204は、受信RF部1202が直交復調したアナログ信号をディジタル信号に変換し、変換したディジタル信号を要素周波数帯域分離部1206に出力する。
要素周波数帯域分離部1206は、上りリンクシステム帯域幅の上りリンク要素周波数帯域毎に受信信号を分離し、各上りリンク要素周波数帯域毎受信処理部1210に出力する。
上りリンク要素周波数帯域毎受信処理部1210は、上りリンク要素周波数帯域内の上りリンク共有データチャネル、上りリンク制御チャネルの復調、復号を行ない、情報データ、制御データを検出し、出力する。
ここで、シンボルタイミング検出部1216は、要素周波数帯域分離部1206より入力された信号に基づいて、シンボルのタイミングを検出し、検出したシンボル境界のタイミングを示す制御信号を、GI除去部1212に出力する。
GI除去部1212は、シンボルタイミング検出部1216からの制御信号に基づいて、要素周波数帯域分離部1206より入力された信号からガードインターバルに相当する部分を除去し、残りの部分の信号を、FFT部1214に出力する。
FFT部1214は、GI除去部1212から入力された信号を高速フーリエ変換し、DFT−Spread−OFDM方式の復調を行い、サブキャリアデマッピング部に出力する。なお、FFT部1214のポイント数は、後述する移動局装置20のIFFT部のポイント数と等しい。
サブキャリアデマッピング部1220は、制御部100から入力された制御信号に基づき、FFT部1214が復調した信号を、上りリンクパイロットチャネルの信号と、上りリンク共有データチャネルの信号と、上りリンク制御チャネルの信号とに分離する。
サブキャリアデマッピング部1220は、分離した上りリンクパイロットチャネルの信号を伝搬路推定部1232と、受信品質測定部1230とに出力し、分離した上りリンク共有データチャネルの信号を、上りリンク共有データチャネル用の伝搬路等化部1222に出力し、また、分離した上りリンク制御チャネルの信号を上りリンク制御チャネル用の伝搬路等化部1240に出力する。
伝搬路推定部1232は、サブキャリアデマッピング部1220が分離した上りリンクパイロットチャネルの上りリンク参照信号と既知の信号を用いて伝搬路の変動を推定する。伝搬路推定部1232は、推定した伝搬路推定値を、上りリンク共有データチャネル用の伝搬路等化部1222と、上りリンク制御チャネル用の伝搬路等化部1240に出力する。
受信品質測定部1230は、上りリンク要素周波数帯域単位で上りリンクパイロットチャネルの上りリンク参照信号を用いて受信品質を測定し、各上りリンク要素周波数帯域の受信品質の測定結果である上りリンクチャネル品質を制御部100に出力する。
上りリンク共有データチャネル用の伝搬路等化部1222は、サブキャリアデマッピング部1220が分離した上りリンク共有データチャネルの信号の振幅及び位相を、伝搬路推定部1232から入力された伝搬路推定値に基づいて等化する。ここで、等化とは、信号が無線通信中に受けた伝搬路の変動を元に戻す処理のことを表す。上りリンク共有データチャネル用の伝搬路等化部1222は、調整した信号をIDFT部1224に出力する。
IDFT部1224は、上りリンク共有データチャネル用の伝搬路等化部1222から入力された信号を離散逆フーリエ変換し、データ復調部1226に出力する。
データ復調部1226は、IDFT部1224が変換した上りリンク共有データチャネルの信号の復調を行い、復調した上りリンク共有データチャネルの信号をターボ復号部1228に出力する。この復調は、移動局装置20のデータ変調部で用いた変調方式に対応した復調であり、変調方式は制御部より入力される。
ターボ復号部1228は、データ復調部1226から入力され、復調された上りリンク共有データチャネルの信号から、情報データを復号する。符号化率は、制御部100より入力される。
上りリンク制御チャネル用の伝搬路等化部1240は、サブキャリアデマッピング部1220が分離した上りリンク制御チャネルの信号の振幅及び位相を、伝搬路推定部1232から入力された伝搬路推定値に基づいて等化する。上りリンク制御チャネル用の伝搬路等化部1240は、等化した信号を上りリンク制御チャネル検出部1242に出力する。
上りリンク制御チャネル検出部1242は、上りリンク制御チャネル用の伝搬路等化部1240から入力された信号を送信された制御データの種別に応じて信号を検出し、復調し、復号し、制御データを検出する。ここで、基地局装置10は、移動局装置20が送信する制御データの種別は予め把握している。上りリンク制御チャネル検出部1242は、検出した制御データを制御部100に出力する。
制御部100は、移動局装置20に下りリンク制御チャネルを用いて送信した制御データ、下りリンク共有データチャネルを用いて予め通知した無線リソース制御情報に基づいて、サブキャリアデマッピング部1220と、データ復調部1226と、ターボ復号部1228と、伝搬路推定部1232と、上りリンク制御チャネル検出部1242との制御を行う。
また、制御部は、移動局装置20に送信した制御データ、無線リソース制御情報に基づき、各移動局装置20が送信した上りリンク共有データチャネル、上りリンク制御チャネルがどの上りリンク要素周波数帯域の無線リソースに配置されているか把握している。
[2.3 移動局装置の全体構成]
以下、図7、図8、図9を用いて、本実施形態に係る移動局装置20の構成について説明する。
図7は、本実施形態に係る移動局装置20の構成を示す概略ブロック図である。この図に示すように、移動局装置20は、制御部200に、受信処理部210と、送信処理部220とが接続されて構成されている。
制御部200は、下りリンク共有データチャネルを用いて送信され、受信処理部210より入力されたデータを確認し、データの中で情報データを上位層に出力し、データの中で無線リソース制御情報に基づいて、受信処理部210及び送信処理部220を制御する。例えば、制御部200は、無線リソース制御情報に含まれる、上りリンク制御チャネルの各上りリンク要素周波数帯域での無線リソースと無線リソース割り当て周期に関する情報に基づき、送信処理部220における上りリンク制御チャネルに関する処理を制御する。
また、制御部200は、制御データに基づいて、受信処理部210及び送信処理部220を制御する。制御部200は、受信処理部210が上りリンク共有データチャネルの無線リソースの割り当てを示す下りリンク制御チャネルの信号を検出した場合、1個又は複数の上りリンク要素周波数帯域の上りリンク共有データチャネルの無線リソース割り当てを示す制御データ、上りリンク共有データチャネルの送信電力制御値を示す制御データを受信処理部210より入力される。
また、制御部200は、上りリンク共有データチャネルの無線リソースが割り当てられた上りリンク要素周波数帯域の数に応じて、各上りリンク要素周波数帯域のSC−FDMAシンボルの平均送信電力の上限値を設定し、設定した上りリンク要素周波数帯域のSC−FDMAシンボルの平均送信電力の上限値を用いて送信処理部220を制御する。
なお、上りリンク共有データチャネルの無線リソースを割り当てる上りリンク要素周波数帯域の数と、各上りリンク要素周波数帯域の平均送信電力の上限値の詳細は後述する。
また、制御部200は、受信処理部210より入力された下りリンクの受信品質(以降、下りリンクチャネル品質と称す)に基づいてチャネル品質指標CQIを生成し、上りリンク制御チャネルを用いて送信するように送信処理部220を制御すると共に、制御データを送信処理部220に出力する。
受信処理部210は、基地局装置10から受信アンテナ215を介して信号を受信し、制御部200の指示に従い、受信信号を復調し、復号する。受信処理部210は、自装置宛ての下りリンク制御チャネルの信号を検出した場合は、下りリンク制御チャネルの信号を復号して取得した制御データを制御部200に出力する。受信処理部210が、上りリンク共有データチャネルの無線リソースの割り当てを示す下りリンク制御チャネルの信号を検出した場合、制御データには上りリンク共有データチャネルの送信電力制御値などの情報が含まれる。
また、受信処理部は、下りリンク制御チャネルに含まれる制御データを制御部に出力した後の制御部200の指示に基づき、自装置宛ての下りリンク共有データチャネルを復号して得た情報データを、制御部200を介して上位層に出力する。また、受信処理部210は、下りリンク共有データチャネルを復号して得た無線リソース制御情報を制御部200に出力する。また、受信処理部は、各下りリンク要素周波数帯域の下りリンクパイロットチャネルの下りリンク参照信号を用いて受信品質を測定し、測定結果を制御部200に出力する。受信処理部210の詳細については後述する。
送信処理部は、制御部200の指示に従い、情報データ、制御データを符号化し、変調した信号の送信電力値を設定して上りリンクの無線リソースに信号を配置して、基地局装置10に送信アンテナを介して送信する。送信処理部220の詳細については後述する。
[2.3.1 受信処理部の構成]
以下、移動局装置20の受信処理部210の詳細について説明をする。
図8は、本実施形態に係る移動局装置20の受信処理部210の構成を示す概略ブロック図である。この図に示すように、受信処理部210は、受信アンテナ215が接続されており、受信RF部2102と、A/D部2104と、シンボルタイミング検出部2114と、GI除去部2106と、FFT部2108と、多重分離部2110と、伝搬路推定部2118と、受信品質測定部2116と、下りリンク共有データチャネル用の伝搬路補償部2112と、下りリンク共有データチャネル復号部2130と、下りリンク制御チャネル用の伝搬路補償部2120と、下りリンク制御チャネル復号部2140とを含んで構成されている。
また、この図に示すように、下りリンク共有データチャネル復号部2130は、データ復調部2132と、ターボ復号部2134とを備えており、下りリンク制御チャネル復号部2140は、QPSK復調部2142と、ビタビデコーダ部2144とを備えている。
受信RF部2102は、受信アンテナ215で受信した信号を、適切に増幅し、中間周波数に変換し(ダウンコンバート)、不要な周波数成分を除去し、信号レベルが適切に維持されるように増幅レベルを制御し、受信した信号の同相成分及び直交成分に基づいて、直交復調する。受信RF部2102は、直交復調したアナログ信号を、A/D部2104に出力する。
A/D部2104は、受信RF部2102が直交復調したアナログ信号をディジタル信号に変換し、変換したディジタル信号を、シンボルタイミング検出部2114と、GI除去部2106とに出力する。
シンボルタイミング検出部2114は、A/D部2104が変換したディジタル信号に基づいて、OFDMシンボルのタイミングを検出し、検出したシンボル境界のタイミングを示す制御信号を、GI除去部2106に出力する。
GI除去部2106は、シンボルタイミング検出部2114からの制御信号に基づいて、A/D部2104の出力したディジタル信号からガードインターバルに相当する部分を除去し、残りの部分の信号を、FFT部2108に出力する。
FFT部2108は、GI除去部2106から入力された信号を高速フーリエ変換し、OFDM方式の復調を行い、多重分離部2110に出力する。
多重分離部2110は、制御部200から入力された制御信号に基づき、FFT部2108が復調した信号を、下りリンク制御チャネルの信号と、下りリンク共有データチャネルの信号とに分離する。
多重分離部2110は、分離した下りリンク共有データチャネルの信号を、下りリンク共有データチャネル用の伝搬路補償部2112に出力し、また、分離した下りリンク制御チャネルの信号を、下りリンク制御チャネル用の伝搬路補償部2120に出力する。
また、多重分離部2110は、下りリンクパイロットチャネルが配置される下りリンクリソースエレメントを分離し、下りリンクパイロットチャネルの下りリンク参照信号を、伝搬路推定部2118と、受信品質測定部2116に出力する。
伝搬路推定部2118は、多重分離部2110が分離した下りリンクパイロットチャネルの下りリンク参照信号と既知の信号とを用いて伝搬路の変動を推定し、伝搬路の変動を補償するように、振幅及び位相を調整するための伝搬路補償値を、下りリンク共有データチャネル用の伝搬路補償部2112と、下りリンク制御チャネル用の伝搬路補償部2120に出力する。
受信品質測定部2116は、下りリンクパイロットチャネルの下りリンク参照信号を用いて下りリンクチャネル品質を測定し、測定結果を制御部200に出力する。
下りリンク共有データチャネル用の伝搬路補償部2112は、多重分離部が分離した下りリンク共有データチャネルの信号の振幅及び位相を、伝搬路推定部2118から入力された伝搬路補償値に従って、サブキャリア毎に調整する。下りリンク共有データチャネル用の伝搬路補償部2112は、伝搬路を調整した信号を下りリンク共有データチャネル復号部2130のデータ復調部2132に出力する。
下りリンク共有データチャネル復号部2130は、制御部200からの指示に基づき、下りリンク共有データチャネルの復調、復号を行ない、情報データを検出する処理部である。
データ復調部2132は、伝搬路補償部2112から入力された下りリンク共有データチャネルの信号の復調を行い、復調した下りリンク共有データチャネルの信号をターボ復号部に出力する。この復調は、基地局装置10のデータ変調部で用いた変調方式に対応した復調である。
ターボ復号部2134は、データ復調部2132から入力され、復調された下りリンク共有データチャネルの信号から情報データを復号し、制御部200を介して上位層に出力する。なお、下りリンク共有データチャネルを用いて送信された無線リソース制御情報も制御部200に出力される。
下りリンク制御チャネル用の伝搬路補償部2120は、多重分離部2110が分離した下りリンク制御チャネルの信号の振幅及び位相を、伝搬路推定部2118から入力された伝搬路補償値に従って調整する。下りリンク制御チャネル用の伝搬路補償部2120は、調整した信号を下りリンク制御チャネル復号部2140のQPSK復調部2142に出力する。
下りリンク制御チャネル復号部2140は、以下のように、伝搬路補償部2120から入力された信号を復調、復号し、制御データを検出する処理部である。
QPSK復調部2142は、下りリンク制御チャネルの信号に対してQPSK復調を行い、ビタビデコーダ部2144に出力する。
ビタビデコーダ部2144は、QPSK復調部2142が復調した信号を復号し、復号した制御データを制御部200に出力する。ここで、この信号はビット単位で表現され、ビタビデコーダ部2144は、入力ビットに対してビタビデコーディング処理を行なうビットの数を調整するためにレートデマッチングも行なう。
なお、制御部200は、ビタビデコーダ部2144より入力された制御データが誤りなく、自装置宛ての制御データかを判定し、誤りなく、自装置宛ての制御データと判定した場合、制御データに基づいて多重分離部、データ復調部、ターボ復号部、及び送信処理部、を制御する。制御データが上りリンク共有データチャネルの無線リソース割り当てに関する情報の場合、制御データに基づいて制御部200は後述する送信処理部220の上りリンク要素周波数帯域毎送信処理部に情報データを入力し、送信電力を制御する。
[2.3.2 送信処理部の構成]
図9は、本実施形態に係る移動局装置20の送信処理部220の構成を示す概略ブロック図である。
この図に示すように、送信処理部220は、複数の上りリンク要素周波数帯域毎送信処理部2200と、要素周波数帯域合成部2220と、D/A部2222と、送信RF部2224とを備えており、送信アンテナ225が接続されている。
また、この図に示すように、上りリンク要素周波数帯域毎送信処理部2200は、ターボ符号部2202と、データ変調部2204と、DFT部2206と、上りリンクパイロットチャネル処理部2208と、上りリンク制御チャネル処理部2210と、サブキャリアマッピング部2212と、IFFT部2214と、GI挿入部2216と、送信電力調整部2218とを含んでいる。移動局装置20は、対応可能な数の上りリンク要素周波数帯域分の上りリンク要素周波数帯域毎送信処理部2200を有する。
なお、各上りリンク要素周波数帯域毎送信処理部2200は、同様の構成及び機能を有するので、その一つを代表して説明する。
上りリンク要素周波数帯域毎送信処理部2200は、情報データ、制御データに対して符号化、変調、送信電力の設定を行い、上りリンク要素周波数帯域内の上りリンク共有データチャネル、上りリンク制御チャネルを用いて送信する信号を生成する処理部である。
ターボ符号部2202は、入力された情報データを、制御部200から指示された符号化率で、データの誤り耐性を高めるためのターボ符号化を行い、データ変調部2204に出力する。
データ変調部2204は、ターボ符号部2202が符号化した符号データを、制御部200から指示された変調方式、例えば、QPSK、16QAM、64QAMのような変調方式で変調し、変調シンボルの信号系列を生成する。データ変調部2204は、生成した変調シンボルの信号系列を、DFT部2206に出力する。
DFT部2206は、データ変調部2204が出力した信号を離散フーリエ変換し、サブキャリアマッピング部2212に出力する。
上りリンク制御チャネル処理部2210は、制御部200から入力された制御データを伝送するためのベースバンド信号処理を行う。上りリンク制御チャネル処理部2210に入力される制御データは、下りリンクのチャネル品質指標CQI、受信応答ACK/NACK、スケジューリング要求SRの何れかである。
上りリンク制御チャネル処理部2210は、処理を行なう制御データの種類に応じて異なる形式の信号を生成し、サブキャリアマッピング部に出力する。処理を行なう制御データの種類が、制御部200から上りリンク制御チャネル処理部2210に入力される。
上りリンクパイロットチャネル処理部2208は、基地局装置10において既知の信号である上りリンク参照信号を生成し、サブキャリアマッピング部2212に出力する。
サブキャリアマッピング部2212は、上りリンクパイロットチャネル処理部2208から入力された信号と、DFT部2206から入力された信号と、上りリンク制御チャネル処理部から入力された信号とを、制御部200からの指示に従ってサブキャリアに配置し、IFFT部2214に出力する。
なお、サブキャリアマッピング部2212は、送信信号のシングルキャリア属性を維持するため、上りリンク共有データチャネルの信号と上りリンク制御チャネルの信号を同一の上りリンクサブフレームに配置して、出力しない。同様に、サブキャリアマッピング部2212は、複数の上りリンク共有データチャネルの信号を同一の上りリンクサブフレームに配置して出力しない。
同様に、サブキャリアマッピング部2212は、複数の上りリンク制御チャネルの信号を同一の上りリンクサブフレームに配置して出力しない。なお、移動局装置20は、異なる上りリンク要素周波数帯域では、同一の上りリンクサブフレームに複数の上りリンク共有データチャネル、複数の上りリンク制御チャネル、上りリンク共有データチャネルと上りリンク制御チャネルを配置して送信を行う。
なお、サブキャリアマッピング部2212は、上りリンク共有データチャネル内における上りリンクパイロットチャネルの信号の配置と、上りリンク制御チャネル内における上りリンクパイロットチャネルの信号の配置とに関して、図3に示したように時間多重で配置して、出力する。
IFFT2214部は、サブキャリアマッピング部が出力した信号を高速逆フーリエ変換し、GI挿入部2216に出力する。
ここで、IFFT部2214のポイント数はDFT部2206のポイント数よりも多い。移動局装置20は、DFT部2206、サブキャリアマッピング部2212、IFFT部2214を用いることにより、上りリンク共有データチャネルを用いて送信する信号に対してDFT−Spread−OFDM方式の変調を行う。
GI挿入部2216は、IFFT部2214から入力された信号に、ガードインターバルを付加し、ガードインターバルを付加した信号を送信電力調整部2218に出力する。
送信電力調整部2218は、GI挿入部2216から入力された信号に対して、制御部200からの制御信号に基づき平均送信電力を調整して要素周波数帯域合成部2220に出力する。送信電力調整部2218は、制御部200から設定された平均送信電力の上限値に収まるように平均送信電力を調整する。具体的には、送信電力調整部2218は、移動局装置20で測定されたパスロスと、基地局装置10より移動局装置20に通知された送信電力制御値と、上りリンク共有データチャネルに割り当てられる上りリンクリソースブロックペアの数と、上りリンク共有データチャネルに適用される変調方式に基づく変調方式依存電力オフセット値と、通信接続時などに下りリンク共有データチャネルを用いて移動局装置20に通知される基準送信電力制御値と、下りリンク共有データチャネルを用いて基地局装置10の通信エリア内の移動局装置20に報知送信される、移動局装置20が測定したパスロスに乗算する係数と、に応じて仮の平均送信電力値を設定し、制御部200より入力された各上りリンク要素周波数帯域の平均送信電力の上限値と仮の平均送信電力値を比較し、低い値を実際に調整する平均送信電力値に設定する。
要素周波数帯域合成部2220は、各上りリンク要素周波数帯域毎送信処理部2200より入力された上りリンク要素周波数帯域毎の信号を合成し、D/A部2222に出力する。
D/A2222部は、要素周波数帯域合成部2220から入力されたベースバンドのディジタル信号をアナログ信号に変換し、送信RF部2224に出力する。
送信RF部2224は、D/A部2222から入力されたアナログ信号から、中間周波数の同相成分及び直交成分を生成し、中間周波数帯域に対する余分な周波数成分を除去する。次に、送信RF部は、中間周波数の信号を高周波数の信号に変換(アップコンバート)し、余分な周波数成分を除去し、送信RF部内の電力増幅器を用いて電力増幅し、送信アンテナ225を介して、基地局装置10に送信する。
[2.4 上りリンク共有データチャネルの無線リソース割り当てを示す下りリンク制御チャネルの制御データの情報フィールド]
図10は、上りリンク共有データチャネルの無線リソース割り当てを示す下りリンク制御チャネルの制御データの情報フィールドを示す図である。上りリンク共有データチャネルの無線リソース割り当てを示す下りリンク制御チャネルの制御データの情報フィールドは、一の上りリンク要素周波数帯域内で割り当てる上りリンクリソースブロックペアの位置を示す「無線リソース割り当て情報」と、「変調方式・符号化率」と、冗長バージョンの番号や新データ指示子を示す「再送パラメータ」と、「送信電力制御値」と、「移動局識別子」との情報フィールドを含んで構成される。なお、その他の情報フィールドが制御データに構成されてもよい。
基地局装置10は、無線リソースを割り当てる上りリンク要素周波数帯域毎に対して図10で示す制御データを含む下りリンク制御チャネルを移動局装置20に送信する。例えば、基地局装置10が3個の上りリンク要素周波数帯域に上りリンク共有データチャネルの無線リソースを割り当てる場合、基地局装置10は上りリンク共有データチャネルの無線リソース割り当てを示す制御データを含む、3個の下りリンク制御チャネルを移動局装置20に送信する。
[2.5 下りリンク要素周波数帯域と上りリンク要素周波数帯域との関係]
図11は、下りリンク要素周波数帯域と上りリンク要素周波数帯域との対応関係を説明するための図である。ここでは、下りリンク要素周波数帯域(下りリンク要素周波数帯域1、下りリンク要素周波数帯域2、下りリンク要素周波数帯域3)が3個、上りリンク要素周波数帯域(上りリンク要素周波数帯域1、上りリンク要素周波数帯域2、上りリンク要素周波数帯域3)が3個の場合について説明する。
下りリンク要素周波数帯域と上りリンク要素周波数帯域は一対一の対応関係にある。下りリンク要素周波数帯域1は上りリンク要素周波数帯域1と、下りリンク要素周波数帯域2は上りリンク要素周波数帯域2と、下りリンク要素周波数帯域3は上りリンク要素周波数帯域3と対応する。
つまり、下りリンク要素周波数帯域1に配置された下りリンク制御チャネルの上りリンク共有データチャネルの無線リソース割り当ては、上りリンク要素周波数帯域1の上りリンク共有データチャネルの無線リソース割り当てを示し、下りリンク要素周波数帯域2に配置された下りリンク制御チャネルの上りリンク共有データチャネルの無線リソース割り当ては、上りリンク要素周波数帯域2の上りリンク共有データチャネルの無線リソース割り当てを示し、下りリンク要素周波数帯域3に配置された下りリンク制御チャネルの上りリンク共有データチャネルの無線リソース割り当ては、上りリンク要素周波数帯域3の上りリンク共有データチャネルの無線リソース割り当てを示す。
[2.6 上りリンク共有データチャネルの無線リソースを割り当てる上りリンク要素周波数帯域の数と、各上りリンク要素周波数帯域の送信電力の上限値の詳細]
図12は、上りリンク共有データチャネルの無線リソースを割り当てる上りリンク要素周波数帯域の数と、各上りリンク要素周波数帯域の平均送信電力の上限値を示す図である。
移動局装置20に同時に1個の上りリンク要素周波数帯域で上りリンク共有データチャネルの無線リソースを割り当てた場合、各上りリンク要素周波数帯域の平均送信電力の上限値はx[dBm]に設定される。ここで、各上りリンク要素周波数帯域の平均送信電力の上限値は、自装置の平均送信電力の許容最大送信電力値と等しい。
移動局装置20に同時に2個の上りリンク要素周波数帯域で上りリンク共有データチャネルの無線リソースを割り当てた場合、各上りリンク要素周波数帯域の平均送信電力の上限値は(x−y)[dBm]に設定される。
移動局装置20に同時に3個の上りリンク要素周波数帯域で上りリンク共有データチャネルの無線リソースを割り当てた場合、各上りリンク要素周波数帯域の平均送信電力の上限値は(x−z)[dBm]に設定される。
ここで、z>y、x>0、y>0、z>0である。移動局装置20の制御部200は、上りリンク共有データチャネルの無線リソースを割り当てられた上りリンク要素周波数帯域の数に応じて各上りリンク要素周波数帯域の平均送信電力の上限値を設定して、送信処理部220の各上りリンク要素周波数帯域毎送信処理部2200の平均送信電力を設定し、各上りリンク要素周波数帯域毎送信処理部2200の送信電力調整部2218に設定した平均送信電力の上限値を超えないように平均送信電力を調整するように制御する。
送信電力調整部2218は、以下の式を用いて平均送信電力を設定する。
min{[各上りリンク要素周波数帯域の平均送信電力の上限値],10log10([割り当てられた上りリンクリソースブロックペアの数])+[基準送信電力制御値]+[パスロスに乗算する係数]×[パスロス]+[変調方式依存電力オフセット値]+[送信電力制御値]}。
ここで、min{A,B}はAとBを比較して、小さい値を選択するということを表す。
制御部200は、上りリンク共有データチャネルの無線リソースを割り当てられた上りリンク要素周波数帯域の数が増えるにつれて、各上りリンク要素周波数帯域の平均送信電力の上限値を低い値に設定する。
図12では、制御部200が、移動局装置20の平均送信電力の許容最大送信電力に対して、上りリンク共有データチャネルの無線リソースに割り当てられた上りリンク要素周波数帯域の数に応じて電力オフセット値を設定する場合について示しているが、上りリンク共有データチャネルの無線リソースに割り当てられる上りリンク要素周波数帯域の数に応じて直接的な値を設定してもよい。
例えば、移動局装置20は、同時に1個の上りリンク要素周波数帯域で上りリンク共有データチャネルの無線リソースを割り当てられた場合、各上りリンク要素周波数帯域の平均送信電力の上限値をo[dBm]に設定し、同時に2個の上りリンク要素周波数帯域で上りリンク共有データチャネルの無線リソースを割り当てられた場合、各上りリンク要素周波数帯域の平均送信電力の上限値をp[dBm]に設定し、同時に3個の上りリンク要素周波数帯域で上りリンク共有データチャネルの無線リソースを割り当てられた場合、各上りリンク要素周波数帯域の平均送信電力の上限値をq[dBm]に設定する。ここで、o>p>qである。
従来は1個の上りリンク要素周波数帯域を用いた送信しか想定しておらず、従来の平均送信電力の上限値の設定では、複数の上りリンク要素周波数帯域を用いた場合に適した平均送信電力の調整を行うことができなかった。また、従来は移動局装置20の平均送信電力の許容最大送信電力値に関する情報は、上りリンク共有データチャネル、下りリンク共有データチャネルを用いて基地局装置10と移動局装置20間で行なわれており、移動局装置20が平均送信電力の許容最大送信電力値を高速に、例えば上りリンクサブフレーム毎に変更することができなかった。
本実施形態によれば、上りリンク共有データチャネルの無線リソースを割り当てる上りリンク要素周波数帯域の数が増えるにつれて、各上りリンク要素周波数帯域の平均送信電力の上限値を低い値に調整できるようにすることができ、複数の上りリンク要素周波数帯域を用いることにより送信信号がマルチキャリア信号となって、PAPRが増大して送信電力のダイナミックレンジが広くなり、送信RF部内の電力増幅器への入力値が電力増幅器の能力を超えてしまう状況を低減することができる。
また、上りリンク共有データチャネルの無線リソースを割り当てる上りリンク要素周波数帯域の数に応じて各上りリンク要素周波数帯域の平均送信電力の上限値を調整できるようにすることができ、上りリンクサブフレーム毎に上りリンク要素周波数帯域の数が変化する可能性のある上りリンク共有データチャネルの無線リソースの割り当てに柔軟に対応することができる。
[3.変形例]
以上、この発明の実施形態について図面を参照して詳述してきたが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の設計等も特許請求の範囲に含まれる。
なお、上りリンク共有データチャネルの無線リソースを割り当てる上りリンク要素周波数帯域の数に応じた、平均送信電力の許容最大送信電力値に対する電力オフセット値は、移動局装置20毎に異なる電力オフセット値が設定されてもよい。通信接続開始時に、基地局装置10は下りリンク共有データチャネルを用いて移動局装置20に電力オフセット値に関する情報を送信する。また、上りリンク共有データチャネルの無線リソースを割り当てる上りリンク要素周波数帯域の数に応じた、平均送信電力の直接的な上限値に関する情報を、基地局装置10と移動局装置20でやり取りしてもよい。
また、上りリンク共有データチャネルの無線リソースを割り当てる上りリンク要素周波数帯域の数に応じた各上りリンク要素周波数帯域の平均送信電力の上限値に関する情報は、通信接続開始時以外のタイミングで、基地局装置10と移動局装置20でやり取りを行なってもよい。
本実施形態では、上りリンク要素周波数帯域の数に応じて、各上りリンク要素周波数帯域の平均送信電力の上限値(許容最大送信電力値)を上りリンクサブフレーム毎に随時「更新する」例を示しているが、基地局との通信開始時に移動局装置20が通信可能な上りリンク要素周波数帯域の最大数を設定し、その最大数を考慮した各上りリンク要素周波数帯域の平均送信電力の上限値を随時「更新せず」に使用してもよい。
例えば、データ量の変動が余りないアプリケーションサービスを基地局装置10と移動局装置20間で行なっている場合は、用いる上りリンク共有データチャネルの無線リソースの量の変動が余りないため、用いる上りリンク要素周波数帯域の数を基地局装置10と移動局装置20間で準静的に制御するようにしてもよい。
なお、上りリンクチャネル品質の測定に用いる上りリンク参照信号は、図3に示す上りリンク参照信号とは異なる信号構成の上りリンク参照信号を用いてもよい。上述した実施形態では、上りリンク共有データチャネルの復調用に付随する上りリンク参照信号を想定して説明したが、上りリンクチャネル品質の測定のみに用いる上りリンク参照信号を構成して用いてもよい。
例えば、予め基地局装置10より決められた周波数帯域であり、上りリンクサブフレームの時間領域で最後のSC−FDMAシンボルを用いて移動局装置20が上りリンク参照信号を送信するような構成でもよい。なお、移動局装置20は予め上りリンクチャネル品質の測定用の上りリンク参照信号を送信するタイミングが基地局装置10より設定される。
なお、上述した実施形態では、図11に示すように、下りリンク要素周波数帯域と上りリンク要素周波数帯域の数が同じで、下りリンク要素周波数帯域と上りリンク要素周波数帯域が一対一の対応関係にある場合について説明したが、その他の構成でもよい。
例えば、図10に示す制御データに対して上りリンク要素周波数帯域の番号を示す情報フィールドを構成し、上りリンク共有データチャネルの無線リソース割り当てを示す制御データを含む下りリンク制御チャネルを、何れの下りリンク要素周波数帯域にも基地局装置10が配置可能とする構成でもよい。
詳細には、基地局装置10は、上りリンク要素周波数帯域の番号を示す情報フィールドを用いて上りリンク要素周波数帯域1、または上りリンク要素周波数帯域2、または上りリンク要素周波数帯域3の何れかを示し、下りリンク制御チャネルを下りリンク要素周波数帯域1、または下りリンク要素周波数帯域2、または下りリンク要素周波数帯域3の何れかに下りリンク要素周波数帯域に配置する。
また、1個の下りリンク制御チャネルが複数の上りリンク要素周波数帯域における上りリンク共有データチャネルの無線リソース割り当てを示す情報をまとめて構成するようにしてもよい。
図13は、1個の下りリンク制御チャネルに複数の上りリンク要素周波数帯域における上りリンク共有データチャネルの無線リソース割り当て情報をまとめて構成する、下りリンク制御チャネルの制御データの情報フィールドを示す図である。ここでは、1個の下りリンク制御チャネルが3個の上りリンク要素周波数帯域に対して上りリンク共有データチャネルの無線リソース割り当てを示す構成について説明する。
無線リソース割り当て情報、変調方式・符号化率、再送パラメータ、送信電力制御値を示す情報フィールドは上りリンク要素周波数帯域毎に構成し、移動局識別子を示す情報フィールドは1個のみ構成する。基地局装置10は、前記下りリンク制御チャネルを何れかの下りリンク要素周波数帯域に配置して、送信する。
この場合、1個の下りリンク制御チャネルに構成する上りリンク要素周波数帯域の個数に応じて、送信電力制御値を示す情報フィールドのビット数を予め変更するようにしてもよい。1個の下りリンク制御チャネルに構成する上りリンク要素周波数帯域の個数が多くなるにつれて、送信電力制御値を示す情報フィールドのビット数が多くなるように予め情報フィールドを構成する。
例えば、1個の下りリンク制御チャネルに構成する上りリンク要素周波数帯域が1個の場合は、下りリンク制御チャネルの送信電力制御値を示す情報フィールドを2ビットにより構成し、1個の下りリンク制御チャネルに構成する上りリンク要素周波数帯域が2個の場合は、下りリンク制御チャネルの送信電力制御値を示す情報フィールドを3ビットにより構成し、1個の下りリンク制御チャネルに構成する上りリンク要素周波数帯域が3個の場合は、下りリンク制御チャネルの送信電力制御値を示す情報フィールドを4ビットにより構成する。これにより、上りリンク共有データチャネルの無線リソースを割り当てる上りリンク要素周波数帯域の数が多くなるにつれて、平均送信電力の値を調整できる範囲を拡張することができる。
また、下りリンク制御チャネルの制御データに対して上りリンク要素周波数帯域の番号を示す情報フィールドを構成した場合、1個の下りリンク制御チャネルに複数の上りリンク要素周波数帯域における上りリンク共有データチャネルの無線リソース割り当て情報をまとめて構成した場合は、1個の下りリンク制御チャネルを複数の下りリンク要素周波数帯域に亘って配置するような構成でもよい。
本実施形態では、上りリンクにおいて、移動局装置20の送信アンテナが1個、受信アンテナが1個の場合について示したが、複数の送受信アンテナを用いてMIMO(Multi−Input Multi−Output)通信を行う場合に、送信アンテナ毎に対して異なる平均送信電力の上限値の設定をしてもよい。なお、移動局装置20がMIMO通信を行なう場合、上りリンク要素周波数帯域毎送信処理部2200は送信アンテナ毎に対しても構成され、送信アンテナ毎に異なる送信RF部(電力増幅器)が構成される。
図14は、移動局装置20が複数の上りリンク要素周波数帯域でMIMO送信を行う状況の一例を示す図である。ここでは、送信アンテナの数が4個(Tx1、Tx2、Tx3、Tx4)、上りリンク要素周波数帯域の数が3個(上りリンク要素周波数帯域1、上りリンク要素周波数帯域2、上りリンク要素周波数帯域3)の場合について示す。
移動局装置20は、上りリンク要素周波数帯域1において2個の送信アンテナ(Tx1、Tx2)を用いてMIMO送信を行い、上りリンク要素周波数帯域2において2個の送信アンテナ(Tx1、Tx2)を用いてMIMO送信を行い、上りリンク要素周波数帯域3において4個の送信アンテナ(Tx1、Tx2、Tx3、Tx4)を用いてMIMO送信を行う。送信アンテナTx1と送信アンテナTx2に対応する電力増幅器では3個の上りリンク要素周波数帯域の信号を電力増幅し、送信アンテナTx3と送信アンテナTx4に対応する電力増幅器では1個の上りリンク要素周波数帯域の信号を電力増幅する。
よって、制御部は、送信アンテナTx1と送信アンテナTx2に対応する上りリンク要素周波数帯域毎送信処理部の送信電力調整部に対しては、同時に3個の上りリンク要素周波数帯域を用いる場合の平均送信電力の上限値を設定し、送信アンテナTx3と送信アンテナTx4に対応する上りリンク要素周波数帯域毎送信処理部の送信電力調整部に対しては、同時に1個の上りリンク要素周波数帯域を用いる場合の平均送信電力の上限値を設定する。
図15は、移動局装置20が複数の上りリンク要素周波数帯域でMIMO送信を行う状況の一例を示す図である。
移動局装置20は、上りリンク要素周波数帯域1において2個の送信アンテナ(Tx1、Tx2)を用いてMIMO送信を行い、上りリンク要素周波数帯域2において2個の送信アンテナ(Tx3、Tx4)を用いてMIMO送信を行い、上りリンク要素周波数帯域3において4個の送信アンテナ(Tx1、Tx2、Tx3、Tx4)を用いてMIMO送信を行う。送信アンテナTx1と送信アンテナTx2と送信アンテナTx3と送信アンテナTx4に対応する、全ての電力増幅器において2個の上りリンク要素周波数帯域の信号を電力増幅する。このような場合においては、制御部は、送信アンテナTx1と送信アンテナTx2と送信アンテナTx3と送信アンテナTx4に対応する、全ての上りリンク要素周波数帯域毎送信処理部の送信電力調整部に対して、同時に2個の上りリンク要素周波数帯域を用いる場合の平均送信電力の上限値を設定する。
このように送信アンテナ毎に各上りリンク要素周波数帯域の平均送信電力の上限値を設定するようにすれば、各上りリンク要素周波数単位で移動局装置20に対して独立してMIMO送信を行う送信データの割り当てを行っても、全ての送信アンテナで最大送信電力を越えてデータを送信することがなくなり、伝送特性の低下や他の移動局装置20と基地局装置10との通信に影響を与えることがなくなるといった効果がある。
また、移動局装置20が複数の下りリンクサブフレームで基地局装置10より通知された送信電力制御値を累積した値を用いて平均送信電力を制御する方法の場合、上りリンク共有データチャネルの無線リソースを割り当てる上りリンク要素周波数帯域の数が変更するタイミングでは移動局装置20が一の下りリンクサブフレームで基地局装置10より通知された送信電力制御値をそのまま用いて送信電力を制御する方法に切り替えてもよい。
例えば、1個の上りリンク要素周波数帯域の上りリンク共有データチャネルの無線リソースが割り当てられ続けられている状況では、基地局装置10より移動局装置20に通知された送信電力制御値に対して、移動局装置20が複数の下りリンクサブフレームで基地局装置10より通知された送信電力制御値を累積した値を用いて送信電力を制御する方法を適用して送信電力を調整し、2個の上りリンク要素周波数帯域の上りリンク共有データチャネルの無線リソースが割り当てられたタイミングでは基地局装置10より移動局装置20に通知された送信電力制御値に対して、移動局装置20が一の下りリンクサブフレームで基地局装置10より通知された送信電力制御値をそのまま用いて送信電力を制御する方法を適用して平均送信電力を調整する。
以降、上りリンク共有データチャネルの無線リソースの割り当てに用いられる上りリンク要素周波数帯域が変わらず2個の上りリンク要素周波数帯域が用いられている状況では移動局装置20が複数の下りリンクサブフレームで基地局装置10より通知された送信電力制御値を累積した値を用いて送信電力を制御する方法を適用し、上りリンク共有データチャネルの無線リソースの割り当てに用いられる上りリンク要素周波数帯域が変わったタイミングで移動局装置20が一の下りリンクサブフレームで基地局装置10より通知された送信電力制御値をそのまま用いて平均送信電力を制御する方法を適用する。
これにより、上りリンク共有データチャネルの無線リソースを割り当てる上りリンク要素周波数帯域の数が変更するタイミングにおいて、各上りリンク要素周波数帯域の送信電力制御値の累積回数を同レベルに制御することができる。
本発明に関わる移動局装置で動作するプログラムは、本発明に関わる上記実施形態の機能を実現するように、CPU等を制御するプログラム(コンピュータを機能させるプログラム)である。そして、これら装置で取り扱われる情報は、その処理時に一時的にRAMに蓄積され、その後、各種ROMやHDDに格納され、必要に応じてCPUによって読み出し、修正・書き込みが行われる。
プログラムを格納する記録媒体としては、半導体媒体(例えば、ROM、不揮発性メモリカード等)、光記録媒体(例えば、DVD、MO、MD、CD、BD等)、磁気記録媒体(例えば、磁気テープ、フレキシブルディスク等)等のいずれであってもよい。
また、ロードしたプログラムを実行することにより、上述した実施形態の機能が実現されるだけでなく、そのプログラムの指示に基づき、オペレーティングシステムあるいは他のアプリケーションプログラム等と共同して処理することにより、本発明の機能が実現される場合もある。
また市場に流通させる場合には、可搬型の記録媒体にプログラムを格納して流通させたり、インターネット等のネットワークを介して接続されたサーバコンピュータに転送することができる。この場合、サーバコンピュータの記憶装置も本発明に含まれる。
以上、この発明の実施形態を、図面を参照して詳述してきたが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の設計等も特許請求の範囲に含まれる。