JPWO2010095447A1 - 樹脂硬化物層を有する染料系偏光板 - Google Patents
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Abstract
Description
カラー液晶プロジェクターの場合、偏光板により光が大幅に吸収されること、および投射されて数十インチから百数十インチになる画像を0.5〜6インチの小面積の偏光板に集光させるために、その光密度の大きさから、光による劣化、および光を照射した際の熱の影響は避けられない。そのため、カラー液晶プロジェクターでは染料系偏光板が用いられていることが多い。そのような染料系偏光板を用いる液晶プロジェクターにおいては、偏光板の小型化に伴い偏光板にあたる光密度が上昇する。また、画像の明るさの向上が一層求められるため、光源をより明るくすることにより、該光密度は更に高くなる。そのような高い光密度での使用においても、高コントラストを有し、且つ初期光学特性を長期に維持出来る耐光性及び耐熱性に優れた偏光板が求められている。そのような要望に対して、特許文献1および特許文献2では、偏光板に発生した熱を逃がすために、放熱性を有する基板を設ける手法が開示されている。この方法は放熱という点では一定の効果を達成している。
また、偏光板が多種多様な場面で使用される様になるに従って、高い耐湿熱性も要求されている。その対策として、特許文献4では親水性高分子よりなる偏光素子に、(メタ)アクロイル基を有する重合性化合物の硬化物層を設けた偏光板が開示されている。
また、プロジェクターが高湿度の環境下で使用される場合、プロジェクターに使用されている偏光板は高温高湿下に曝されるため、長期使用によって、染料系偏光板であっても赤く変色(以後、赤変と記載)する問題もあり、無機基板を用いた偏光板においても、更なる改善が望まれていた。
本発明においては該課題を解決しようとするものである。
1. 偏光素子が二色性染料を含有し、且つ、該二色性染料の少なくとも一種がスチルベン骨格を有する水溶性アゾ染料またはその塩であり、該偏光素子の少なくとも片側に保護層を有し、該偏光素子と該保護層間に、(メタ)アクリレート化合物および重合開始剤を含有する樹脂組成物の硬化物層を有することを特徴とする偏光板。
2. 偏光素子が架橋剤を含有し、延伸された親水性高分子よりなる上記1に記載の偏光板。
3. スチルベン骨格を有する水溶性アゾ染料が遊離酸として下記式(1)
で表されるスチルベン骨格を少なくとも1つ有する水溶性アゾ染料、またはその塩、またはその銅錯塩染料であることを特徴とする上記1〜2の何れか1項に記載の偏光板。
4. 二色性染料がアゾ染料であり、該樹脂組成物が、該アゾ染料として少なくとも、スチルベン骨格を1つ有する水溶性アゾ染料とスチルベン骨格を有しない水溶性アゾ染料の両者を含む樹脂組成物である上記1〜3の何れか1項に記載の偏光板。
5. (メタ)アクリレート化合物の少なくとも一種が分子内に水酸基を少なくとも1つ有する(メタ)アクリレート化合物であることを特徴とする上記1〜4の何れか1項に記載の偏光板。
6. (メタ)アクリレート化合物の少なくとも1種がビスフェノールA誘導体からなる(メタ)アクリレート化合物であることを特徴とする上記1〜5の何れか1項に記載の偏光板。
8. 保護層と偏光素子の間に接着剤層を有し、該樹脂組成物の硬化物層が該保護層と該接着剤層との間に設けられていることを特徴とする上記1〜7の何れか1項に記載の偏光板。
9. 保護層が偏光素子の両側に配置され、かつ、該樹脂組成物の硬化物層が少なくとも偏光素子の光の入射側に設けられていることを特徴とする上記1〜8の何れか1項に記載の偏光板。
10. 上記1〜9の何れか1項に記載の偏光板の片側に粘着剤層を有することを特徴とする偏光板。
11. 保護層がセルロースアセテート樹脂であることを特徴とする上記1〜10の何れか1項に記載の偏光板。
12. 上記1〜11の何れか1項に記載の偏光板を用いた液晶表示装置。
13. 上記1〜11の何れか1項に記載の偏光板を青色光源用に用いることを特徴とする液晶プロジェクター。
15. 偏光素子が二色性染料を含有し、該二色性染料の少なくとも一種がスルホ基で置換されたスチルベン骨格を有する水溶性アゾ染料またはその塩であり、該偏光素子の少なくとも片面に保護層を有し、該偏光素子と該保護層間に、(メタ)アクリレート化合物および重合開始剤を含有する樹脂組成物の硬化物層を有し、かつ、該樹脂組成物の組成が、溶剤を除く該樹脂組成物の固形分(固形分含量)の総量に対して、(メタ)アクリレート化合物を70〜99重量%、光重合開始剤を1〜10重量%及びその他の任意成分を0〜20重量%の割合で含み、かつ、(メタ)アクリレート化合物として、ビスフェノールA骨格含有(メタ)アクリレート化合物を、(メタ)アクリレート化合物の総量に対して、5〜40重量%含むことを特徴とする偏光板。
16. ビスフェノールA骨格含有(メタ)アクリレート化合物がビスフェノールAジグリシジルエーテルとアクリル酸との反応生成物である上記1〜11、14及び15の何れか一項に記載の偏光板。
17. ビスフェノールA骨格含有(メタ)アクリレート化合物以外の(メタ)アクリレート化合物が、(メタ)アクリロイル基を3〜6個有する(メタ)アクリレート化合物である上記1〜11、14及び15の何れか一項に記載の偏光板。
18. 二色性染料を含有する偏光素子の少なくとも片側に保護層を有し、該偏光素子と該保護層間に樹脂硬化物層を有することを特徴とする偏光板。
19. 偏光素子が架橋剤を含有し、延伸された親水性高分子よりなる上記18に記載の偏光板。
本発明で使用する偏光素子は少なくとも一種の二色性染料、好ましくは少なくとも一種のスチルベン骨格を有する水溶性アゾ染料またはその塩(銅等の金属錯塩も含む)(以下単にスチルベン骨格含有水溶性アゾ染料とも言う)を含有する。該偏光素子としては、例えば、二色性染料を高分子などに吸着させて一軸延伸することにより得られた偏光素子、二色性染料を含有した液晶化合物を配向させた偏光素子、二色性染料を含有したポリビニルアルコールの脱水処理物やポリ塩化ビニルの脱塩酸処理物等からなるポリエン系配向フィルム(偏光素子)などが含まれる。偏光素子に使用される高分子としては親水性高分子が最も好ましい。親水性高分子としては、例えば、ポリビニルアルコール系樹脂、アミロース系樹脂、デンプン系樹脂、セルロース系樹脂又はポリアクリル酸塩系樹脂などがあるが、これに限定されるものではない。この中でも特に二色性染料を含有させる場合の染色性、および、架橋性などからポリビニルアルコール系樹脂が最も好ましい。
偏光素子を構成するポリビニルアルコール系樹脂の製造方法は、特に限定されるものではなく、公知の方法で作製することができる。ポリビニルアルコール系樹脂の製造方法としては、例えば、ポリ酢酸ビニル系樹脂をケン化することにより得ることができる。ポリ酢酸ビニル系樹脂としては、酢酸ビニルの単独重合体であるポリ酢酸ビニルのほか、酢酸ビニル及びこれと共重合可能な他の単量体(共重合成分)との共重合体、例えばエチレン−酢酸ビニル共重合体などが挙げられる。共重合体の場合、酢酸ビニル成分が50モル%より多く、共重合成分の割合は50モル%よリ少ない方が好ましい。通常酢酸ビニルの単独重合体が好ましい。酢酸ビニルと共重合する他の単量体としては、例えば、不飽和カルボン酸類、エチレンなどのオレフィン類、ビニルエーテル類又は不飽和スルホン酸類などが挙げられる。
ポリビニルアルコール系樹脂のケン化度は、通常85〜100モル%が好ましく、95モル%以上がより好ましい。このポリビニルアルコール系樹脂は、さらに変性されていてもよい。該変性されたポリビニルアルコール系樹脂としては、例えば、アルデヒド類で変性されたポリビニルアルコール類として、ポリビニルホルマールやポリビニルアセタールなどを挙げることが出来る。
ポリビニルアルコール系樹脂の重合度は、通常1,000〜10,000が好ましく、1,500〜5,000がより好ましい。
二色性染料を含有した溶液における二色性染料濃度は、特に限定はされないが、通常該溶液の総量に対して0.001〜2重量%程度、好ましくは0.005〜1重量%程度である。該二色性染料のうち、スチルベン骨格含有水溶性アゾ染料が占める割合は通常40〜100重量%程度であり、好ましくは、50〜90重量%であり、より好ましくは、60〜80重量%である。残部は二色性のその他の水溶性アゾ染料である。
該スチルベン骨格としては、下記式(1)
で表される骨格が好ましい。式(1)におけるスルホ基(−SO3H)は、その塩であってもよい。
該スチルベン骨格含有水溶性アゾ染料はバーニングおよび赤変の抑制に好ましい効果を発揮する。
該スチルベン骨格含有水溶性アゾ染料は、何れも使用が可能であり、好ましくは、ジスアゾ染料、トリスアゾ染料及びテトラアゾ染料等が好ましい。また、場合により、ジスアゾ染料及びまたはトリスアゾ染料がより好ましい。該スチルベン骨格含有水溶性アゾ染料の総量に対して、該ジスアゾ染料の割合は好ましくは50〜100重量%であり、より好ましくは60〜100重量%である。
なお本明細書においては、アゾ基に酸素原子を有するアゾキシ基(−N=N(O)−)も、アゾ基として数えて、ジスアゾ染料またはトリスアゾ染料と呼ぶ。 本発明において使用されるスチルベン骨格含有水溶性アゾ染料としては、シー.アイ.ダイレクト.オレンジ39がより好ましくは、アゾ染料の総量に対して、15重量%〜80重量%含むのが好ましい。
また、スチルベン骨格含有水溶性アゾ染料として好ましいトリスアゾ染料としては、例えば、
等を挙げることが出来る。
上記の中でシー.アイ.ダイレクト.オレンジ39がより好ましい。前記染料を含む偏光素子を用いた本発明の偏光板においては、顕著にバーニングが発生しにくいという効果を発揮する。
これらは必ずしも必須では無いが、通常、架橋剤として、ホウ酸を用いるのが好ましい。耐水化剤は必要に応じて、架橋剤と併用すればよい。
上記した少なくとも1種以上の架橋剤及び/又は耐水化剤を常法に従って上記洗浄後の染色樹脂フィルムに含有させる。通常は、架橋剤、必要に応じて更に耐水化剤を含有する溶液、好ましくは水溶液中に、洗浄後の染色樹脂フィルムを浸漬することにより、架橋剤(及び必要に応じて更に耐水化剤)を該樹脂フィルムに含浸させることができる。また、場合により、架橋剤、必要に応じて更に耐水化剤を含有する溶液を、洗浄後の染色樹脂フィルムの表面に塗布してもよい。 その際の溶媒としては、限定されるものではないが、水が好ましい。架橋剤及び/又は耐水化剤を含有させる工程での溶媒中の架橋剤の含有濃度は、ホウ酸を例にして示すと溶媒に対して濃度0.1〜6.0重量%が好ましく、1.0〜4.0重量%がより好ましい。この工程での溶媒温度は、5〜70℃が好ましく、5〜50℃がより好ましい。この工程での処理時間は30秒〜6分が好ましく、1〜5分がより好ましい。この工程は、架橋処理又は耐水化処理とも呼ばれる。
また、場合により、架橋処理又は耐水化処理が不必要な場合には、この処理工程を省略してもよい。
該透明保護層はポリマーからなる保護層であっても、また、無機基板からなる保護層であってもよい。ポリマーからなる保護層は塗布層として形成されていても、又はポリマーフィルムのラミネート層として設けられていてもよい。透明保護層を形成する透明ポリマーとしては、通常偏光素子の保護層として使用されている機械的強度が高く、熱安定性が良好な透明ポリマーを何れも使用することが出来る。透明保護層を形成するポリマーとしては、例えば、トリアセチルセルロースやジアセチルセルロースのようなセルロースアセテート樹脂、ポリ(メタ)アクリル酸樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリエステル樹脂、ポリ(メタ)アリレート樹脂、ポリオレフィン樹脂(例えば、ポリエチレンまたはポリプロピレン等の脂肪族鎖状ポリオレフィン、シクロ系ないしはノルボルネン骨格を有する環状ポリオレフィン)等を挙げることが出来、これらのポリマーは共重合体であってもよい。また、該ポリマーはポリイミド樹脂及び/又はポリアミド樹脂、ポリシロキサン系樹脂などであってもよい。また、更に、該透明保護層は液晶性を有するポリマー層であってもよい。該保護層の厚みは、例えば、0.5〜200μm程度である。無機基板からなる保護層としては、水晶やサファイヤ、ガラスなどの無機基板を挙げることが出来る。該保護層は偏光素子の片面だけでも、両面にあってもよい。好ましい保護層としてはセルロースアセテート樹脂からなる保護層を挙げることが出来る。
本発明の偏光板においては、偏光素子の少なくとも片面の、透明保護層と偏光素子の間に、前記樹脂硬化物層を必要とする。通常は、後記するように、透明保護層の、偏光素子と接着する側の表面に樹脂硬化物層を設け、その後該樹脂硬化物層を偏光素子と接着剤で接着するか、偏光素子の、保護層と接着する側の表面に樹脂硬化物層を設け、該樹脂硬化物層と保護層を接着剤で接着することにより、本発明の偏光板とすることが出来る。保護層は通常偏光素子の両側に設けるのが好ましい。
接着剤としては特に限定されないが、ポリビニルアルコール系接着剤が好ましい。ポリビニルアルコール系接着剤として、例えば、ゴーセノールRTMNH−26(日本合成株式会社製)、エクセバールRTMRS−2117(クラレ株式会社製)などが挙げられるが、これに限定されるものではない。なお、本明細書において、上付RTMは登録商標を意味する。
接着剤には、架橋剤及び/又は耐水化剤を添加しても良い。
ポリビニルアルコール系接着剤には、耐水化剤として無水マレイン酸-イソブチレン共重合体を含んでいてもよく、また、更に、該耐水化剤と共に架橋剤を含んでいても良い。無水マレイン酸-イソブチレン共重合体として、例えば、イソバンRTM#18、イソバンRTM#04、アンモニア変性イソバン#104、アンモニア変性イソバン#110、イミド化イソバン#304、イミド化イソバン#310などクラレ株式会社で製造販売している商品が挙げられる。
また、ポリビニルアルコール系樹脂以外の接着剤として、ウレタン系、アクリル系、エポキシ系といった公知の接着剤を用いることも出来る。また、接着剤の接着力の向上、または耐水性の向上を目的として、亜鉛化合物、塩化物、ヨウ化物等の添加物を同時に0.1〜10重量%程度の濃度で含有させることもできる。添加物についても限定されるものではない。
なお、上記の保護層(L)および接着剤層(L)等における(L)は、偏光板を表示装置に貼り合わせた時、その層が偏光素子の光の入射側(光の照射される側)にあることを示し、保護層(M)および接着剤層(M)等における(M)は、偏光板を表示装置に貼り合わせた時、その層が偏光素子の光の出射側にあることを示す。
偏光板を表示装置に貼り合わせた時、少なくとも1つの該樹脂硬化物層が、偏光素子の光の入射側になるように、該樹脂硬化物層を設けることで、より効果的に、耐光性、特にバーニングの抑制及び赤変の抑制を達成することができる。具体的には、該樹脂硬化物層は、例えば図1、または、図2のように保護層(L)と接着剤層(L)の間が好ましい。また、該樹脂硬化物層は、接着剤層(L)と偏光素子の間であってもよい。また、さらに効果を高めるに、該樹脂硬化物層を、2層以上設けてもよい。該樹脂硬化物層を2層以上設ける場合、偏光素子の光の入射側、及び出射側にそれぞれ各1層またはそれ以上存在するようにするのが好ましい。また、その際に偏光素子に近い個所に該樹脂硬化物層を設ける方が、より耐久性を向上させるには好ましい。製造し易さ等も考慮すると、保護層上に、該樹脂硬化物層を設け、該樹脂硬化物層を接着剤で、偏光素子に接着して、偏光板とするのがより好ましい。上記樹脂硬化物層としては、アクリル樹脂硬化物層が好ましい。
本発明の偏光板においては、該樹脂硬化物層に、接着剤層を介すること無く、直接偏光素子が接着していても良い(この場合、該樹脂硬化物層が接着剤層の役割も達成する)。しかし、通常、良好な密着性、及び、該樹脂硬化物層中の未反応モノマーの偏光素子への移行の防止などの点から、偏光素子と該樹脂硬化物層との間に接着剤層を設けるのが好ましい。該接着剤層は場合により、アンカーコート層であってもよい。また、より耐光性、または赤変に対して高耐久性を有する偏光板を得ようとする場合には、樹脂硬化物層を、偏光素子の両側に、各1層だけでなく、何れか一方若しくは両方に、2層以上の複数の樹脂硬化物層を設け、多層構造にすることも出来る。
該樹脂組成物は、通常、該樹脂組成物総量(固形分のみ:以下同じ)に対して、重合性樹脂、好ましくは(メタ)アクリレート化合物50〜99.9重量%、好ましくは70〜99重量%、更に好ましくは80〜98重量%、重合開始剤、好ましくは光重合開始剤0.1〜12重量%、好ましくは1〜10重量%、更に好ましくは2〜10重量%、及び他の任意成分0〜30重量%、好ましくは0〜20重量%、更に好ましくは0〜10重量%を含む重合性樹脂組成物である。また、該樹脂組成物は場合により、(メタ)アクリレート化合物90〜99.9重量%、好ましくは90〜99重量%と、重合開始剤、好ましくは光重合開始剤0.1〜10重量%、より好ましくは1〜10重量%を含む重合性樹脂組成物の場合、より好ましい。 上記の樹脂組成物は重合性樹脂、好ましくは(メタ)アクリレート化合物及び光重合開始剤以外の任意成分として、例えば、各種ポリマーや、オリゴマー、シリカゾル、その他各種助剤等を含有していてもよい。それらは、該樹脂組成物の硬化や硬化物の透明性等をを阻害しない成分およびその濃度であれば特に限定されず用いることが出来る。任意成分の含量は該樹脂組成物を支障なく硬化することができ、かつ、本発明の効果を発揮する範囲であれば、特に制限は無い。しかし、通常は、該樹脂組成物の総量に対して、0〜30重量%の範囲内、好ましくは0〜20重量%の範囲内、より好ましくは0〜10重量%の範囲内である。好ましい上記の樹脂組成物においては、溶剤を除く、該樹脂組成物の固形分総量に対して、重合性樹脂、好ましくは(メタ)アクリレート化合物、及び光重合開始剤の合計量が80重量%以上、より好ましくは95重量%以上、さらに好ましくは98重量%以上であり、上限は100重量%であってもよい。この場合、残部はその他の任意成分である。特に、(メタ)アクリレート化合物、及び光重合開始剤の合計量が95重量%以上、さらに好ましくは98重量%以上100重量%以下の時、硬化の安定性が向上し、優れたバーニング抑制効果を示す。また、その他の任意成分を該樹脂組成物の総量に対して0.01〜5重量%含むとき、残部は(メタ)アクリレート化合物と光重合開始剤であり、残部における両者の割合は、両者の総量に対して、(メタ)アクリレート化合物90〜99.9重量%、好ましくは90〜99重量%、重合開始剤0.1〜10重量%、より好ましくは1〜10重量%である。
上記樹脂組成物を塗布する方法は特に限定されず、例えば、スピンコート方式、ワイヤーバーコート方式、グラビアコート方式、マイクログラビアコート方式、カレンダーコート方式、スプレーコート方式又はメニスカスコート方式等などによる方法が挙げられる。
分子内に水酸基を少なくとも1つ有する(メタ)アクリレート化合物として、分子内に水酸基を1〜2個有する(メタ)アクリレート化合物が好ましい。それらとしては、水酸基を2〜6個有する炭素数2〜15の多価アルコールと(メタ)アクリル酸との縮合で得られる(メタ)アクリロイル基を1〜5個及び水酸基を1〜2個有する(メタ)アクリレート化合物(但し、水酸基と(メタ)アクリロイル基の合計は2〜6個)、または、上記多価アルコール、好ましくはグリコールのグリシジルエーテルと(メタ)アクリル酸との反応で得られる(メタ)アクリレート化合物等を挙げることができる。
また、場合により、前記樹脂組成物が(メタ)アクロイル基を2つ以上有するポリ(メタ)アクリレート化合物、好ましくは(メタ)アクロイル基を2〜6個有するポリ(メタ)アクリレート化合物を、(メタ)アクリレート化合物の総量に対して、大凡、50〜100重量%、好ましくは60〜100重量%含有し、残部はモノ(メタ)アクリレート化合物である時も好ましい。モノ(メタ)アクリレート化合物としては、グリコールのモノ(メタ)アクリレート化合物またはシクロ環含有モノ(メタ)アクリレート化合物等が好ましく、炭素数5〜10のシクロ環含有モノ(メタ)アクリレート化合物がより好ましく、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレートが更に好ましい。バーニング抑制等においてより好ましい樹脂組成物においては、(メタ)アクリレート化合物として、ポリアクリレート化合物のみを含む場合であり、(メタ)アクロイル基を1分子中に3〜6個有するポリ(メタ)アクリレート化合物を、(メタ)アクリレート化合物の総量に対して、50〜90重量%、より好ましくは60〜90重量%程度含み、残部がジ(メタ)アクリレート化合物の場合であり、ジ(メタ)アクリレート化合物が、前記式(2)のビスフェノールA骨格を含有するジ(メタ)アクリレート化合物の場合、更に好ましい。
後記するように、特に、ビスフェノールA誘導体からなる(メタ)アクリレート化合物、例えば、ビスフェノールAジグリシジルエーテルと(メタ)アクリル酸との反応生成物またはEO変性ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート等のビスフェノールA骨格含有(メタ)アクリレート化合物はバーニング耐性を向上させるために、好ましい。なかでも、ビスフェノールAジグリシジルエーテルと(メタ)アクリル酸との反応生成物は好ましい。
これらの(メタ)アクリレート化合物は、「紫外線硬化システム」(株式会社総合技術センター出版, 加藤清視著)P259−302等にも記載されており、上記例示化合物の他、この文献に記載の(メタ)アクリレートモノマーも用いることができる。
即ち、分子内に少なくとも下記式(2)
で表されるビスフェノールA骨格を1つ以上有している(メタ)アクリレート化合物が特に好ましい。分子内にビスフェノールA基を有する化合物は、少なくとも1種類以上を本発明で使用する樹脂組成物(固形分含量)100重量部中に1重量部以上含有してるだけでもバーニング耐性は向上するが、5重部以上が好ましく、より好ましくは10重量部以上、さらに好ましくは15重量部以上含むことが良い。上限は特に限定されないが、通常、50重量部以下、好ましくは40重量部以下、更に好ましくは30重量部以下程度である。
光重合開始剤としては例えば、2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルホリノプロパン−1(チバスペシャリティーケミカルズ株式会社製、イルガキュアーRTM907)、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン(チバスペシャリティーケミカルズ株式会社製、 イルガキュアーRTM184)、4−(2−ヒドロキシエトキシ)−フェニル(2−ヒドロキシ−2−プロピル)ケトン(チバスペシャリティーケミカルズ株式会社製、イルガキュアーRTM2959)、1−(4−ドデシルフェニル)−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパン−1−オン(メルク株式会社製、ダロキュアーRTM953)、1−(4−イソプロピルフェニル)−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパン−1−オン(メルク株式会社製、ダロキュアーRTM1116)、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン(チバスペシャリティーケミカルズ株式会社製、イルガキュアーRTM1173)、ジエトキシアセトフェノン等のアセトフェノン系化合物、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル、2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン(チバスペシャリティーケミカルズ株式会社製 イルガキュアーRTM651)等のベンゾイン系化合物、ベンゾイル安息香酸、ベンゾイル安息香酸メチル、4−フェニルベンゾフェノン、ヒドロキシベンゾフェノン、4−ベンゾイル−4’−メチルジフェニルサルファイド、3,3’−ジメチル−4−メトキシベンゾフェノン(日本化薬株式会社製、 カヤキュアーRTMMBP)等のベンゾフェノン系化合物、チオキサンソン、2−クロロチオキサンソン(日本化薬株式会社製、 カヤキュアーRTMCTX)、2−メチルチオキサンソン、2,4−ジメチルチオキサンソン(日本化薬株式会社製、 カヤキュアーRTMRTX)、イソプロピルチオキサンソン、2,4−ジクロロチオキサンソン(日本化薬株式会社製、 カヤキュアーRTMCTX)、2,4−ジエチルチオキサンソン(日本化薬株式会社製、 カヤキュアーRTMDETX)、2,4−ジイソプロピルチオキサンソン(日本化薬株式会社製、 カヤキュアーRTMDITX)等のチオキサンソン系化合物等が挙げられる。
(1)溶剤を除く樹脂組成物の固形分の総量に対して、(メタ)アクリレート化合物を70〜99重量%、好ましくは80〜99重量%、より好ましくは90〜99重量% 及び光重合開始剤を1〜10重量%及びその他の任意成分を残部含む樹脂組成物。
(2)(メタ)アクリレート化合物が、分子内に水酸基を少なくとも1つ有する(メタ)アクリレート化合物を含み、その含量が、(メタ)アクリレート化合物の総量に対して、20〜70重量%であり、残部が分子内に水酸基を有しない(メタ)アクリレート化合物である上記(1)に記載の樹脂組成物。
(3)分子内に水酸基を少なくとも1つ有する(メタ)アクリレート化合物が、(a)水酸基を2〜6個有する炭素数2〜15の多価アルコールと(メタ)アクリル酸との縮合で得られる(メタ)アクリロイル基を1〜5個及び水酸基を1〜2個有する(メタ)アクリレート化合物、及び(b)ビスフェノールAのグリシジルエーテルと(メタ)アクリル酸との反応で得られる(メタ)アクリレート化合物からなる群から選ばれる少なくとも一種である上記(2)に記載の樹脂組成物。
(4)分子内に水酸基を少なくとも1つ有する(メタ)アクリレート化合物として、上記(a)及び(b)の両者を含み、(a)1重量部に対する(b)の割合が、0.4〜1重量部である上記(3)に記載の樹脂組成物。
(6)(メタ)アクリレート化合物として(メタ)アクリロイル基を3〜6個有する(メタ)アクリレート化合物を、(メタ)アクリレート化合物の総量に対して、60〜90重量%含有する上記(1)〜(5)の何れか一項に記載の樹脂組成物。
(7)分子内に水酸基を含まない(メタ)アクリレート化合物が、(メタ)アクリロイル基を3〜6個有する(メタ)アクリレート化合物である上記(2)〜(6)の何れか一項に記載の樹脂組成物。
(8)分子内に水酸基を含まない(メタ)アクリレート化合物が、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレートである上記(2)〜(7)の何れか一項に記載の樹脂組成物。
(9)(メタ)アクリレート化合物の総量に対して、分子内に水酸基を少なくとも1つ有する(メタ)アクリレート化合物の含量が40〜60重量%であり、分子内に水酸基を有しない(メタ)アクリレート化合物が40〜60重量%である上記(2)〜(7)の何れか一項に記載の樹脂組成物。
(10)(メタ)アクリレート化合物として炭素数5〜10のシクロ環含有モノ(メタ)アクリレート化合物を、(メタ)アクリレート化合物の総量に対して、10〜30重量%含有する上記(1)〜(3)または(6)の何れか一項に記載の樹脂組成物。
(11)(メタ)アクリレート化合物の総量に対して、分子内に水酸基を有さず、かつ、(メタ)アクリロイル基を3〜6個有する(メタ)アクリレート化合物が40〜60重量%であり、残部が分子内に水酸基を少なくとも1つ有する(メタ)アクリレート化合物である上記(10)に記載の樹脂組成物。
上記(10)または(11)の樹脂組成物の樹脂硬化物層を有する偏光板、より好ましくは、偏光素子の両側に該樹脂硬化物層を設けた偏光板は、高湿熱耐性において優れ、赤変が少ない。
塗布する際に用いられる該組成物の希釈用の溶剤としては、該組成物の溶解性、塗布時の基板上へのぬれ性に優れ、表面性の低下を起こさないものであれば特に制限はない。そのような溶剤としては、例えば水、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類、アニソール、ジオキサン、テトラヒドロフラン等のエーテル類、メチルイソブチルケトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、シクロペンタノン、2−ペンタノン、3−ペンタノン、2−ヘキサノン、3−ヘキサノン、2−ヘプタノン、3−ヘプタノン、4−ヘプタノン又は2,6−ジメチル−4−ヘプタノン等のケトン類、n−ブタノール、2−ブタノール、シクロヘキサノール又はイソプロピルアルコール等のアルコール類、メチルセロソルブ、酢酸メチルセロソルブ等のセロソルブ類、酢酸エチル、酢酸ブチル、乳酸メチル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールエチルエーテルアセテート、酢酸メトキシエチル又はサクサンエトキシエチル等のエステル類、ジメチルスルホキシド、アセトニトリル、N,N−ジメチルアセトホルムアミドが挙げられるがこれらに限定されない。好ましくは、トルエン、シクロペンタノン又は酢酸エチルが良い。また、溶剤は単一でも混合物でもよい。該組成物を溶解する際の該組成物の濃度は溶剤溶解性、基板上へのぬれ性、塗布後の厚みなどによって異なるが、好ましくは5〜95重量%、より好ましくは10〜80重量%程度がよい。
樹脂硬化物層の厚みは0.1μm乃至10μmが良く、より好ましくは1μm乃至8μm、さらに好ましくは2μm乃至6μmが良い。10μmより厚いと、残留未反応モノマーが増えて、耐久性が不十分であり、かつ、乾熱耐久性試験において偏光板が赤変する可能性があるため不適である。0.1μmより薄い層では逆に耐光性向上はあまり得られない。
光硬化の場合の紫外線の照射量は、(メタ)アクリレート化合物の種類、光重合開始剤の種類と添加量、膜厚によって異なるが、例えば100〜2000mJ/cm2程度がよい。
樹脂硬化物層の偏光素子との貼り合わせ面を、アルカリ水溶液で処理することによって、偏光素子のポリビニルアルコール系フィルムと樹脂硬化物層との密着性が向上する。従って、樹脂硬化物層を偏光素子と接着剤で貼り合わせる場合、樹脂硬化物層の貼り合わせ面を予めアルカリ水溶液で処理することは密着性の向上ため好ましい。樹脂硬化物層の貼り合わせ面をアルカリ水溶液で処理した後は、その表面を水もしくは酸性水溶液で中和し、乾燥する。該処理後の樹脂硬化物層の貼り合わせ面に、10μリットルの水を滴下した時の接触角が60°以下、より好ましくは、50°以下、さらに好ましくは40°以下になるように、アルカリ水溶液での処理を行うのが好ましい。
液晶プロジェクターの青色光源に用いられる偏光板は、一般的に400〜500nm、特に430〜500nmの波長において、高い偏光度を有していることが必要である。例えば、好ましい偏光板の光学特性は、波長430〜500nmにおいて、偏光素子の吸収軸と平行した直線偏光光を照射したときに透過率が0.3%以下であり、偏光素子の吸収軸に直交した直線偏光光を照射したときの透過率が77%以上である。より好ましくは、該光学特性は、偏光素子の吸収軸と平行した直線偏光光を照射したときの透過率が0.1%以下であり、偏光素子の吸収軸に直交した直線偏光光を照射したときの透過率が80%以上である。
ケン化度が99%以上の膜厚75μmのポリビニルアルコール系樹脂フィルム( クラレ株式会社製 VF−XH、平均重合度4、000)を40℃の温水に2分浸漬し膨潤処理をした。膨潤処理したフィルムを、スチルベン骨格を有するアゾ染料(シー・アイ・ダイレクト・オレンジ39) 0.1重量%と、スチルベン骨格を有しないアゾ染料(シー・アイ・ダイレクト・レッド81) 0.05重量%及びトリポリ燐酸ナトリウム0.1重量%を含有した45℃の水溶液に浸漬し、染料の吸着を行った。染料が吸着されたフィルムを水にて洗浄し、次いで、2重量%のホウ酸を含有した40℃の水溶液で1分間処理を行った。ホウ酸処理して得られたフィルムを、5.0倍に延伸しながらホウ酸3.0重量%を含有した55℃の水溶液中で5分間処理を行った。その延伸処理して得られたフィルムの緊張状態を保ちつつ30℃において15秒間水洗した。得られたフィルムを直ちに70℃で9分間乾燥し、膜厚28μmの偏光素子を得た。
得られた偏光板を40mmx40mmにカットしアクリル系粘着剤(ポラテクノ株式会社製 AD−ROC)を介して厚さ1mmのガラス板と貼り合わせて、TAC/樹脂硬化物層/接着剤層/偏光素子/接着剤層/樹脂硬化物層/TAC/粘着剤層/ガラスとなる構成の、ガラス基板を有する耐光性試験用偏光板(サンプル)を作製した。
図5に、得られた偏光板の初期における絶対平行透過率Kyを、図6に、得られた偏光板の初期における絶対直交透過率Kzを示す。
耐光性試験は、高圧水銀ランプ耐光性試験機(ウシオ電機株式会社製、 超高圧水銀ランプ 2000W)を用いて、95℃の環境で、光照射を行い、84時間後と644時間後におけるサンプルの450nmにおける絶対平行透過率Kyを測定し、照射前のサンプルにおけるKy値と比較した。その結果を表1に示した。
なお、該試験においては、照射光が、TAC面から入射するようにサンプルの偏光板を設置した。
樹脂組成物としてジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(日本化薬株式会社製、 カヤラッドRTM DPHA)50重量部、ペンタエリスリトールトリアクリレート(日本化薬株式会社製、 カヤラッドRTM PET−30)30重量部、ビスフェノールAジグリシジルエーテルとアクリル酸との反応生成物(日本化薬株式会社製、 カヤラッドRTMR−115)20重量部、イルガキュアーRTM184(チバスペシャリティーケミカルズ株式会社製、)5重量部、トルエン 100重量部を用いる以外は実施例1と同様にして、本発明の偏光板を得た。
また、実施例1と同様にして、試験用のサンプルを作製し、バーニング劣化試験を行った。その結果を表1に示す。
樹脂組成物としてジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(日本化薬株式会社製、 カヤラッドRTM DPHA)50重量部、ペンタエリスリトールトリアクリレート(日本化薬株式会社製、 カヤラッドRTMPET−30)30重量部、ビスフェノールAジグリシジルエーテルとアクリル酸との反応生成物(日本化薬株式会社製、 カヤラッドRTMR−115)20重量部、アデカスタブRTMAO−50(ADEKA株式会社製) 1.0重量部、イルガキュアーRTM184(チバスペシャリティーケミカルズ株式会社製)5重量部を用いる以外は実施例1と同様にして、本発明の偏光板を得た。
また、実施例1と同様にして、試験用のサンプルを作製し、バーニング劣化試験を行った。その結果を表1に示す。
実施例1において、樹脂硬化物層を設けること無く、保護層用のTACフィルム2枚を、直接偏光素子の両面に、接着剤で接着する以外は、実施例1と同様にして、比較用の偏光板及び試験用サンプルの作製を行い、バーニング劣化試験を行った。その結果を表1に示す。
実施例1において、アゾ染料代替の2色性色素として、ヨウ素を0.028重量%、ヨウ化カリウム 2.06重量%を用いる以外は実施例1と同様にして、比較用の偏光板及び試験用サンプルの作製を行い、バーニング劣化試験を行った。その結果を表1に示す。
ケン化度が99%以上の膜厚75μmのポリビニルアルコール系樹脂フィルム(クラレ株式会社製、 VF−XH、平均重合度4,000)を40℃の温水に2分浸漬し膨潤処理をした。次いで、スチルベン骨格を有するアゾ染料として、シー・アイ・ダイレクト・オレンジ39を0.190重量%、特開平11−218611に記載の下記式(3)
で表される染料を0.222重量%及び特開2001−56412の化合物No.1の染料(下記式
で表される化合物)を0.173重量%、スチルベン骨格を有しないアゾ染料としてシー・アイ・ダイレクトレッド81を0.216重量%、トリポリ燐酸ナトリウム0.05重量%、及び無水芒硝0.03重量%を含有した45℃の水溶液に、上記で得られた、膨潤処理されたポリビニルアルコール系樹脂フィルムを浸漬し染料の吸着を行った。
染料が吸着されたフィルムを水で洗浄し、次いで2重量%のホウ酸を含有した40℃の水溶液で1分間処理を行った。ホウ酸処理して得られたフィルムを、5.0倍に延伸しながらホウ酸3.0重量%を含有した50℃の水溶液中で5分間処理を行った。この延伸処理されたフィルムの緊張状態を保ちつつ30℃において15秒間水洗し、直ちに70℃で9分間乾燥し、膜厚28μmの偏光素子を得た。
得られた偏光板を40mmx40mmにカットし、実施例1と同様にアクリル系粘着剤を介して厚さ1mmのガラス板と貼り合わせた。ハードコート層/TAC/樹脂硬化物層/接着剤層/偏光素子/接着剤層/樹脂硬化物層/TAC/液晶層/粘着層/ガラスとなる構成の、ガラス基板を有する偏光板(試験用サンプル)を作製した。
得られた偏光板を温度85℃、湿度85%の環境下に、624時間曝して、劣化加速試験を行った。
上記、実施例4によって得られた2枚の偏光板を、その吸収軸方向が同一となるように重ねた場合の透過率を平行位透過率Tp 、2枚の偏光板をその吸収軸が直交するように重ねた場合の透過率を直交位透過率Tc とし、得られた平行位透過率、および、直交位透過率から、偏光板の色相についてJIS Z8729(色の表示方法 L*、a*、b*表示系およびL*、u*、v*表色系)により示される表色系にて、平行色相のa*を測定した。その結果を表2に示した。また、両者の差(変化量)を求め、一緒に表2に示した。
なお、ここでいう平行色相とは、2枚の偏光板をそれぞれ吸収軸が平行になるように重ねた状態で測定された色相を意味する。L*、a*、b*表色系ではa*、b*のそれぞれがゼロに近いほど色相がニュートラル色を示すことを表している。
実施例4において、樹脂硬化物層を設けること無く、実施例4で使用したと同じ2枚のトリアセチルセルロースフィルム(TAC)を、偏光素子の両面に、実施例4で使用した接着剤を用いて貼り付ける以外は、実施例4と同様にして、比較用偏光板を作成した。次いで、それに、実施例4と同様にして、ガラス基板を粘着剤で貼り合わせ、傷防止加工剤よりなる層/TAC/接着剤層/偏光素子/接着剤層/TAC/液晶層/粘着剤層/ガラスとなる構成の、試験用サンプル(ガラス基板を有する偏光板)を作成した。
実施例4と同様に、耐湿熱性試験(劣化加速試験)を行い、その結果を表2に示した。
2樹脂硬化物層
3接着剤層
4偏光素子
5粘着剤層
6ガラス
Claims (19)
- 偏光素子が二色性染料を含有し、且つ、該二色性染料の少なくとも一種がスチルベン骨格を有する水溶性アゾ染料またはその塩であり、該偏光素子の少なくとも片側に保護層を有し、該偏光素子と該保護層間に、(メタ)アクリレート化合物および重合開始剤を含有する樹脂組成物の硬化物層を有することを特徴とする偏光板。
- 偏光素子が架橋剤を含有し、延伸された親水性高分子よりなる請求項1に記載の偏光板。
- 二色性染料がアゾ染料であり、該アゾ染料として少なくとも、スチルベン骨格を1つ有する水溶性ジスアゾ染料とスチルベン骨格を有しない水溶性アゾ染料の両者を含む偏光素子である請求項1に記載の偏光板。
- (メタ)アクリレート化合物の少なくとも一種が分子内に水酸基を少なくとも1つ有する(メタ)アクリレート化合物であることを特徴とする請求項1に記載の偏光板。
- (メタ)アクリレート化合物の少なくとも1種がビスフェノールA誘導体からなる(メタ)アクリレート化合物であることを特徴とする請求項1または4に記載の偏光板。
- 該樹脂組成物が少なくとも1種の劣化防止助剤を含有することを特徴とする請求項1に記載の偏光板。
- 保護層と偏光素子の間に接着剤層を有し、該樹脂組成物の硬化物層が該保護層と該接着剤層との間に設けられていることを特徴とする請求項1に記載の偏光板。
- 保護層が偏光素子の両側に配置され、かつ、該樹脂組成物の硬化物層が偏光素子の光の入射側に設けられていることを特徴とする請求項1に記載の偏光板。
- 請求項1に記載の偏光板の片側に粘着剤層を有することを特徴とする偏光板。
- 保護層がセルロースアセテート樹脂であることを特徴とする請求項1に記載の偏光板。
- 請求項1ないし11のいずれか1項に記載の偏光板を用いた液晶表示装置。
- 請求項1ないし11のいずれか1項に記載の偏光板を青色光源用に用いることを特徴とする液晶プロジェクター。
- スチルベン骨格を有するアゾ染料の一種として、少なくともシー・アイ・ダイレクトオレンジ39を含む請求項14に記載の偏光板。
- 偏光素子が二色性染料を含有し、該二色性染料の少なくとも一種がスルホ基で置換されたスチルベン骨格を有する水溶性アゾ染料またはその塩であり、該偏光素子の少なくとも片面に保護層を有し、該偏光素子と該保護層間に、(メタ)アクリレート化合物および重合開始剤を含有する樹脂組成物の硬化物層を有し、かつ、該樹脂組成物の組成が、溶剤を除く該樹脂組成物の固形分の総量に対して、(メタ)アクリレート化合物を70〜99重量%、光重合開始剤を1〜10重量%及びその他の任意成分を0〜20重量%の割合で含み、かつ、(メタ)アクリレート化合物として、ビスフェノールA骨格含有(メタ)アクリレート化合物を、(メタ)アクリレート化合物の総量に対して、5〜40重量%含むことを特徴とする偏光板。
- ビスフェノールA骨格含有(メタ)アクリレート化合物がビスフェノールAジグリシジルエーテルとアクリル酸との反応生成物である請求項15に記載の偏光板。
- ビスフェノールA骨格含有(メタ)アクリレート化合物以外の(メタ)アクリレート化合物が、(メタ)アクリロイル基を3〜6個有する(メタ)アクリレート化合物である請求項15または16に記載の偏光板。
- 二色性染料を含有する偏光素子の少なくとも片側に保護層を有し、該偏光素子と該保護層間に樹脂硬化物層を有することを特徴とする偏光板。
- 偏光素子が架橋剤を含有し、延伸された親水性高分子よりなる請求項18に記載の偏光板。
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