JPWO2010061894A1 - カプセル型医療装置誘導システム - Google Patents

カプセル型医療装置誘導システム Download PDF

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Abstract

被検体1内に導入される流体と、被検体1内に導入され、永久磁石を備えて前記流体内で被検体1内の検査または処置を行うカプセル本体2と、被検体1外に設けられ、前記永久磁石に対して磁気引力を発生し、カプセル本体2を誘導する磁界発生装置20と、を備えたカプセル型医療装置誘導システム11において、前記永久磁石を除くカプセル本体2の質量が、カプセル本体2の体積と前記流体の密度との積よりも小さく、磁界発生装置20は、磁界発生装置20がカプセル本体2に鉛直上方向に発生する磁気引力の最大値と鉛直下方向に発生する磁気引力の最大値とを等しくし、前記鉛直上下方向に発生する磁気引力の最大値を、前記永久磁石の質量に重力加速度を乗算した値よりも小さくしてカプセル本体2を誘導する。

Description

本発明は、被検体内に導入されるカプセル型医療装置を磁気誘導するカプセル型医療装置誘導システムに関する。
近年、内視鏡分野においては、撮像機能と無線通信機能とを設けたカプセル型の被検体内導入装置(例えばカプセル型内視鏡)が提案され、このカプセル型内視鏡を用いて被検体内の画像を取得する被検体内導入システムが開発されている。カプセル型内視鏡は、被検体内を観察(検査)するために、例えば被検体の口から飲込まれ、その後、自然排出されるまでの間、体腔内たとえば胃、小腸等の臓器の内部をその蠕動運動に従って移動するとともに、例えば0.5秒間隔で被検体内の画像を撮像するように機能する。
カプセル型内視鏡が被検体内を移動する間、このカプセル型内視鏡によって撮像された画像は、被検体の体表面に配置したアンテナを介して外部の画像表示装置に受信される。この画像表示装置は、カプセル型内視鏡に対する無線通信機能と画像のメモリ機能とを有し、被検体内のカプセル型内視鏡から受信した画像をメモリに順次格納する。医師または看護師は、かかる画像表示装置に蓄積された画像、すなわち被検体の消化管内の画像をディスプレイに表示することによって、被検体内を観察(検査)し、診断することができる。
ここで、特許文献1には、液体中で、磁界を用いてカプセル型内視鏡を誘導するものが記載されている。特に、カプセル型内視鏡を液体中で誘導する場合、カプセル型内視鏡の密度を液体の密度と同程度またはそれ未満とするものが記載されている。
特開2007−195961号公報
しかしながら、上述した特許文献1に記載されたシステムを用いて磁界を発生させてカプセル型内視鏡を誘導する場合、カプセル型内視鏡内の永久磁石のサイズによって発生すべき最適な磁界の大きさが異なり、各種のカプセル型内視鏡に対しても常に誘導できるようにするためには、磁界を発生させる磁界発生装置が大型化し、重量も大きくなってしまい、さらには無駄な電力消費を伴うという問題点があった。
この発明は、上記に鑑みてなされたものであって、カプセル型内視鏡などのカプセル型医療装置の誘導に必要な磁界を発生させる磁界発生装置の小型化あるいは省エネルギー化を実現することができるカプセル型医療装置誘導システムを提供することを目的とする。
上述した課題を解決し、目的を達成するために、この発明にかかるカプセル型医療装置誘導システムは、被検体内に導入され、永久磁石を備えて前記流体内で前記被検体内の検査または処置を行うカプセル本体と、前記被検体外に設けられ、前記永久磁石に対して磁気引力を発生し、前記カプセル本体を誘導する磁界発生装置と、前記永久磁石を除く前記カプセル本体の質量が、前記カプセル本体の体積と前記流体の密度との積よりも小さく、前記磁界発生装置は、該磁界発生装置が前記カプセル本体に鉛直上方向に発生する磁気引力の最大値と鉛直下方向に発生する磁気引力の最大値とを等しくし、前記鉛直上下方向に発生する磁気引力の最大値を、前記永久磁石の質量に重力加速度を乗算した値よりも小さくして前記カプセル本体を誘導することを特徴とする。
また、この発明にかかるカプセル型医療装置誘導システムは、前記被検体内に導入され、永久磁石を備えて前記流体内で前記被検体内の検査または処置を行うカプセル本体と、前記被検体外に設けられ、前記永久磁石に対して磁気引力を発生し、前記カプセル本体を誘導する磁界発生装置と、前記永久磁石を除く前記カプセル本体の質量が、前記カプセル本体の体積と前記流体の密度との積よりも小さく、前記磁界発生装置は、該磁界発生装置が前記カプセル本体に鉛直上方向に発生する磁気引力の最大値を、鉛直下方向に発生する磁気引力の最大値以上にし、前記鉛直上下方向に発生する磁気引力の最大値を、前記永久磁石の質量に重力加速度を乗算した値以上にして前記カプセル本体を誘導することを特徴とする。
また、この発明にかかるカプセル型医療装置誘導システムは、上述した発明において、前記カプセル本体の前記流体に対する比重が略1であることを特徴とする。
また、この発明にかかるカプセル型医療装置誘導システムは、上述した発明において、前記カプセル本体の前記流体に対する比重が1より大きいことを特徴とする。
また、この発明にかかるカプセル型医療装置誘導システムは、上述した発明において、前記磁界発生装置は、前記カプセル本体に鉛直上方向に発生する力の最大値を、前記カプセル本体の質量と、前記カプセル本体の体積と前記流体の密度との積との差の2倍に重力加速度を乗算した値以下にして前記カプセル本体を誘導することを特徴とする。
また、この発明にかかるカプセル型医療装置誘導システムは、上述した発明において、前記カプセル本体は、被検体内に経口で摂取され、経口で摂取され一時的に胃に溜められた前記流体の中で前記磁界発生装置が発生する磁界によって誘導されることを特徴とする。
また、この発明にかかるカプセル型医療装置誘導システムは、上述した発明において、前記カプセル本体は、被検体内に経肛門で導入され、経口もしくは経肛門で摂取され一時的に大腸に溜められた前記流体の中で前記磁界発生装置が発生する磁界によって誘導されることを特徴とする。
また、この発明にかかるカプセル型医療装置誘導システムは、上述した発明において、前記カプセル本体は、被検体内に経口で摂取され、食道、胃幽門部、十二指腸、小腸、大腸のいずれかの中で前記磁界発生装置が発生する磁界によって誘導されることを特徴とする。
また、この発明にかかるカプセル型医療装置誘導システムは、上述した発明において、前記カプセル本体は、被検体内に経肛門で導入され、大腸の中で前記磁界発生装置が発生する磁界によって誘導されることを特徴とする。
また、この発明にかかるカプセル型医療装置誘導システムは、前記被検体内に導入され、永久磁石を備えて前記流体内で前記被検体内の検査または処置を行うカプセル本体と、前記被検体外に設けられ、前記永久磁石に対して磁気引力を発生し、前記カプセル本体を誘導する磁界発生装置と、前記永久磁石を除く前記カプセル本体の質量が、前記カプセル本体の体積と前記流体の密度との積よりも小さく、前記カプセル本体は、前記永久磁石の大きさ、前記カプセル本体の体積、前記カプセル本体の形状のいずれかが異なる複数の種類の複数のカプセル本体からなり、前記カプセル本体の種類を入力する入力部を備え、前記磁界発生装置は、前記入力部によって入力されたカプセル本体の種類に応じて前記カプセル本体に発生する最大磁気引力を変更する磁界発生制御部を備えたことを特徴とする。
また、この発明にかかるカプセル型医療装置誘導システムは、上述した発明において、前記磁界発生制御部は、鉛直上方向に発生する磁気引力の最大値と鉛直下方向に発生する磁気引力の最大値とを等しくし、前記鉛直上下方向に発生する磁気引力の最大値が、前記永久磁石の質量に重力加速度を乗算した値よりも小さくなるように、磁気引力の最大値を設定して制御することを特徴とする。
また、この発明にかかるカプセル型医療装置誘導システムは、上述した発明において、前記磁界発生制御部は、鉛直上方向に発生する磁気引力の最大値を鉛直下方向に発生する磁気引力の最大値以上にし、前記鉛直上下方向に発生する磁気引力の最大値が、前記永久磁石の質量に重力加速度を乗算した値以上となるように、磁気引力の最大値を設定して制御することを特徴とする。
また、この発明にかかるカプセル型医療装置誘導システムは、上述した発明において、前記磁界発生制御部は、鉛直上方向に発生する力の最大値が、前記入力部に入力されたカプセル本体の種類の該カプセル本体の質量と、該カプセル本体の体積と前記流体の密度との積との差の2倍に重力加速度を乗算した値以下となるように、磁気引力の最大値を設定して制御することを特徴とする。
この発明によれば、永久磁石を除くカプセル本体の質量が、カプセル本体の体積と流体の密度との積よりも小さく、磁界発生装置が、該磁界発生装置が前記カプセル本体に鉛直上方向に発生する磁気引力の最大値と鉛直下方向に発生する磁気引力の最大値とを等しくし、前記鉛直上下方向に発生する磁気引力の最大値を、前記永久磁石の質量に重力加速度を乗算した値よりも小さくして前記カプセル本体を誘導するようにしているので、磁界発生装置のサイズの小型化を実現することができる。
また、この発明によれば、永久磁石を除くカプセル本体の質量が、カプセル本体の体積と流体の密度との積よりも小さく、磁界発生装置が、該磁界発生装置が前記カプセル本体に鉛直上方向に発生する磁気引力の最大値を、鉛直下方向に発生する磁気引力の最大値以上にし、前記鉛直上下方向に発生する磁気引力の最大値を、前記永久磁石の質量に重力加速度を乗算した値以上にして前記カプセル本体を誘導するようにしているので、磁界発生装置のサイズの小型化を実現することができる。
また、この発明によれば、永久磁石を除くカプセル本体の質量が、カプセル本体の体積と流体の密度との積よりも小さく、各カプセル本体は、前記永久磁石の大きさ、前記カプセル本体の体積、前記カプセル本体の形状のいずれかが異なる複数の種類の複数のカプセル本体からなり、磁界発生装置が、入力部によって入力されたカプセル本体の種類に応じて前記カプセル本体に発生する最大磁気引力を変更するようにしているので、磁界発生装置のサイズの小型化および省エネルギー化を実現することができる。
図1は、誘導対象のカプセル本体と磁気発生装置との関係を示す模式図である。 図2は、カプセル本体の概要構成を示す模式図である。 図3は、被検体に導入されたカプセル本体の状態を示す模式図である。 図4は、鉛直方向に抗力が発生する場合の状態を示す模式図である。 図5−1は、カプセル本体内の永久磁石の最大設置サイズと設置される永久磁石のサイズとの関係を示す模式図である。 図5−2は、条件1の場合における永久磁石のサイズと磁界発生装置のサイズとの関係を示す図である。 図5−3は、条件2の場合における永久磁石のサイズと磁界発生装置のサイズとの関係を示す図である。 図5−4は、条件3の場合における永久磁石のサイズと磁界発生装置のサイズとの関係を示す図である。 図6は、永久磁石が配置される最大容積を超えるサイズの永久磁石を配置するとともにカプセル本体のサイズを大きくした場合の永久磁石のサイズに対する磁界発生装置のサイズの変化を示す図である。 図7は、磁界発生装置をカプセル本体の鉛直下方に設けた場合であってカプセル本体に密度のばらつきがある場合の永久磁石の最適サイズ決定を説明する図である。 図8は、磁界発生装置をカプセル本体の鉛直上方に設けた場合であってカプセル本体に密度のばらつきがある場合の永久磁石の最適サイズ決定を説明する図である。 図9は、抗力が鉛直上方にのみ発生する場合の状態を示す模式図である。 図10は、抗力が鉛直上方にのみ発生する場合の永久磁石のサイズに対する磁界発生装置のサイズの変化を示す図である。 図11−1は、考察5の条件1の場合における永久磁石のサイズと磁界発生装置のサイズとの関係を示す図である。 図11−2は、考察5の条件2の場合における永久磁石のサイズと磁界発生装置のサイズとの関係を示す図である。 図11−3は、考察5の条件3の場合における永久磁石のサイズと磁界発生装置のサイズとの関係を示す図である。 図12は、この発明の実施の形態であるカプセル型医療装置誘導システムの構成を示す模式図である。
以下、図面を参照して、この発明にかかるカプセル型医療装置誘導システムの好適な実施の形態を詳細に説明する。なお、この実施の形態によってこの発明が限定されるものではない。
まず、このカプセル型医療装置誘導システムに適用されるカプセル型医療装置であるカプセル本体2を誘導するための磁気引力を発生させる磁界発生装置20のサイズと、カプセル本体2内の永久磁石24のサイズとの関係について考える。
カプセル本体2は、図1に示すように、磁界発生装置20に囲まれ、磁界発生装置20が発生する磁界によってカプセル本体2内の永久磁石24に磁気引力が発生し、この磁気引力によってカプセル本体2が誘導される。なお、磁界発生装置20は、少なくともカプセル本体2に対して鉛直方向の磁気引力を発生させることができればよい。
カプセル本体2は、図2に示すように、上述した永久磁石24を有し、その他、カプセル本体2外部を撮像する撮像部21、カプセル本体2全体を制御する制御回路22、カプセル本体2全体の電源を供給する電源23を有し、撮像部21で撮像された画像は、図示しない無線部などを介してカプセル本体2外部に送信される。なお、カプセル本体2は、略円筒形状をなし、両端部がドーム形状をなす、いわゆるカプセル型の液密な筐体に包まれる。また、ここで用いるカプセル本体2は、経口の場合、直径5〜15mmで長さ10〜40mm程度のものを想定し、経肛門の場合、直径5〜20mmで長さ10〜40mm程度のものを想定している。ここで、食道の直径は、20mm未満であり、小腸の直径は、30mm程度であり、大腸の直径は、30〜50mm程度である。すなわち、経肛門のカプセル本体2の方が、経口のカプセル本体2に比して直径を大きくすることができ、容積の大きなカプセル本体2を実現できる。
カプセル本体2を用いて被検体1内の観察や検査等を行う場合、図3に示すように、液体40を、例えば胃などに予め摂取し、この液体40が胃に摂取された状態で、カプセル本体2を経口して胃に導入し、胃の内部を観察あるいは検査する。この際、被検体1は、図1に示した磁界発生装置20内であってカプセル本体2が誘導可能な誘導範囲内となるように配置され、この液体40中で、カプセル本体2が誘導され、所望の被検体内画像を取得する観察や、細胞の採取などの検査を行う。
摂取される液体は、撮像な可能なように、光学的に透明な液体で、水を主成分とするものが好ましい。液体40が水の場合、被検体1の体温を下げないために、40℃程度の微温湯が望ましいが、30℃〜45℃であってもよい。このときの水の密度は、30℃で、0.995g/cmであり、40℃で、0.992g/cmであり、45℃で、0.990g/cmである。なお、密度は、水に砂糖などの溶質を混ぜて、1.0〜1.1g/cm程度に調整することができる。この液体40の密度を大きくすることは、カプセル本体2内の永久磁石24を大きくすることができるため好ましく、磁界発生装置20の小型化を促進することができる。
ここで、被検体1内に導入された液体40内で、鉛直方向に誘導する場合、カプセル本体の自重、浮力以外に、抗力が発生する。この抗力が、発生する方向に方向性がない場合、誘導に必要な力Fは、
F=|Mcap−Vcap×ρliq|×G+Fdis …(1)
で示される。なお、鉛直下方向誘導時に誘導に必要な力Fdownと、鉛直上方向に必要な力Fupとに分けることができ、各力Fdown,Fupは、
Fdown=|(Vcap×ρliq−Mcap)×G+Fdis| …(2)
Fup =|(Mcap−Vcap×ρliq)×G+Fdis| …(3)
で示される(図4参照)。ここで、Mcapは、カプセル本体2の質量であり、Vcapは、カプセル本体2の体積であり、ρliqは、胃1a内の液体40の密度であり、Gは、重力加速度であり、Fdisは、カプセル本体2の誘導方向に依存しない抗力である。
なお、抗力Fdisの発生原因としては、液体40の抵抗、カプセル本体2の設計ばらつきによる密度のばらつき、体位変換時の体内での液体40の揺れ、心拍や呼吸などによる液体40の揺れ、胃腸管の蠕動運動、胃腸壁からの圧力、などがある。
ここで、カプセル本体2を誘導するために必要な磁界発生装置20のサイズSMは、
SM=K×F/Mmag …(4)
で示される。なお、Mmagは、カプセル本体2内の永久磁石24の質量である。すなわち、式(4)から、磁界発生装置20のサイズSMは、永久磁石24の質量Mmagの大きさに相関があることを示している。ここで、磁界発生装置20のサイズSMは、鉛直下方向誘導時のサイズSMdownと、鉛直上方向誘導時のサイズSMupとに分けることができ、
SMdown=K×|(Vcap×ρliq−Mcap)×G+Fdis|/Mmag …(5)
SMup =K×|(Mcap−Vcap×ρliq)×G+Fdis|/Mmag …(6)
と表すことができる。そこで、磁界発生装置20のサイズSMdown,SMupと、永久磁石24のサイズVmagとの関係について考察する。サイズVmagは、永久磁石24の密度をρmagとすると、
Vmag=Mmag/ρmag
と表すことができる。したがって、永久磁石24のサイズVmagは、永久磁石24の質量Mmagから決定することができる。また、永久磁石24を除いたカプセル本体2が液体40に浮くことを条件とする。すなわち、カプセル本体2は、
Vcap×ρliq>Mcap−Mmag …(7)
を満足するものとする。
(考察1)
まず、図4に示すように液体40内でのカプセル本体2にかかる鉛直方向の力関係をもとに、永久磁石24の質量Mmag(体積Vmag、以下「サイズVmag」と記載する。)と磁界発生装置20のサイズSMdown,SMupとを変数とし、永久磁石24のサイズVmagを除くカプセル本体2の質量(Mcap+Mmag)、カプセル本体2の体積Vcap、液体40の密度ρliqを定数として考察した。なお、永久磁石24のサイズVmag(質量Mmag)は、図5−1に示すように、カプセル本体2内で増大することができる。ただし、永久磁石24が格納されるサイズ(質量)は、定数であり、予め最大領域25に相当する最大容積Vmaxmag(最大質量Mmaxmag)まで確保される。この場合、永久磁石24を除くカプセル本体2の質量(Mcap−Mmag)は、上述したように定数となり、この定数をMcap-magとおく。このとき、
SMdown=K×|(Vcap×ρliq−(Mcap-mag+Mmag))×G+Fdis|/Mmag
=K×|−G+((Vcap×ρliq−Mcap-mag)×G+Fdis)/Mmag|
…(8)
SMup =K×|((Mcap-mag+Mmag)−Vcap×ρliq)×G+Fdis|/Mmag
=K×|G+((Mcap-mag−Vcap×ρliq)×G+Fdis)/Mmag|
…(9)
と表せる。
ここで、SMdownは、Mmagに反比例し、K/Mmagとする係数が次式を満たす。
(K/Mmagの係数)=(Vcap×ρliq−Mcap-mag)×G+Fdis>0
…(10)
したがって、SMdown=f(Mmag)のグラフは、図5−2〜図5−4に示すように、第1象限、第3象限の反比例のグラフに対して、SMdown軸方向に−KG平行移動したものに絶対値の処理を行った(SMdown<0の領域を、SMdown>0の領域に反転する)グラフとなる。
一方、SMupは、Mmagに反比例し、FdisによってK/Mmagの係数の正負が変化する。したがって、Fdisの値によってSMupのグラフが変化する。
条件1:(Vcap×ρliq−Mcap-mag)×G>Fdisのとき
(K/Mmagの係数)=(Mcap-mag−Vcap×ρliq)×G+Fdis<0
…(11)
このとき、SMup=f(Mmag)のグラフは、図5−2に示すように、第2象限、第4象限の反比例のグラフに対してSMup軸方向にKG平行移動したものに絶対値の処理を行った(SMup<0の領域をSMup>0の領域に反転する)グラフとなる。
条件2:(Vcap×ρliq−Mcap-mag)×G=Fdisのとき
(K/Mmagの係数)=(Mcap-mag−Vcap×ρliq)×G+Fdis=0
…(12)
このとき、SMup=KGとなり、そのグラフは、図5−3に示すようになる。
条件3:(Vcap×ρliq−Mcap-mag)×G<Fdisのとき
(K/Mmagの係数)=(Mcap-mag−Vcap×ρliq)×G+Fdis>0
…(13)
このとき、SMup=f(Mmag)のグラフは、図5−4に示すように、第1象限、第3象限の反比例のグラフに対して、SMup軸方向にKG平行移動したものに絶対値の処理を行った(SMup<0の領域をSMup>0の領域に反転する)グラフとなる。
ここで、図5−2〜図5−4に示すように、永久磁石24の質量Mmag(サイズVmag)を変化させたときの磁界発生装置20のサイズSMは、SMdownとSMupの大きい方の値をとる。なお、上記の条件1〜3の境界条件となる(Vcap×ρliq−Mcap-mag)は、カプセル本体2の体積と液体40の密度との積(カプセル本体2に発生する浮力)と、永久磁石24を除くカプセル本体2の質量との差を示している。
図5−2〜図5−4は、永久磁石24のサイズVmagに対する磁界発生装置20のサイズSMの変化を示しており、パラメータとしての上述した条件1〜3のそれぞれに対する結果を、曲線L1〜L3として示している。図5−2〜図5−4に示すように、永久磁石のサイズVmag(Mmag)を大きくしていき、カプセル本体2の浮力がカプセル本体2の重力と等しくなる(Vcap×ρliq=Mcap)までは、条件1〜3のすべてに対して磁界発生装置20のサイズSMが、急激かつ単調減少するが、永久磁石24のサイズVmag(Mmag)がさらに大きくなると、すなわちVcap×ρliq=Mcapを超えてVcap×ρliq<Mcapとなると、磁界発生装置20のサイズSMは、条件1の場合、緩やかに単調増加し、条件2の場合、変化せず、条件3の場合、緩やかに単調減少する。
換言すれば、条件1の場合、永久磁石24のサイズVmagを、Vcap×ρliq=Mcap(=Voptmag)とするように設定すれば、磁界発生装置20のサイズSMを最小化することができる。また、条件2の場合、永久磁石24のサイズVmagを、Vcap×ρliq≦Mcapとなるように設定すれば、磁界発生装置20のサイズSMを最小化することができる。この条件1,2の場合、Fdisの磁気引力がカプセル本体2に発生するように磁気発生装置20を設定すればよい。また、条件3の場合、Vcap×ρliq<Mcapとなるように永久磁石24のサイズVmag(Mmag)を設定することで、磁界発生装置20のサイズSMを小型化できる。この場合、カプセル本体2内には、可能な限り大きな永久磁石24を設置することが望ましい。すなわち、Vcap×ρliq<Mcapの条件下では、曲線L3が緩やかに単調減少するため、最大容積Vmaxmag内で、McapがVcap×ρliqに比して可能な限り大きくすることによって磁界発生装置20のサイズSMを小さくすることができる。すなわち、永久磁石24のサイズVmagをVmaxmagとすればよい。
さらに、式(8)のSMdownの絶対値内が0以下となるように、永久磁石24のサイズVmag(Mmag)を設定してもよい。このとき、カプセル本体2を鉛直下方向に誘導する場合にも、鉛直上方向の力を発生させることになるため、鉛直下方向に磁気引力を発生させる必要がなくなる。これにより、鉛直下方向に磁気引力を発生するための電磁石が必要なくなるため、磁界発生装置20をさらに小型化することができる。この場合、永久磁石24のサイズVmag(Mmag)は、下記の条件を満たすように設定される。
(SMdownの絶対値内)
=−G+((Vcap×ρliq−Mcap-mag)×G+Fdis)/Mmag
≦0
((Vcap×ρliq−Mcap-mag)×G+Fdis)≦Mmag×G
Fdis≦(Mmag+Mcap-mag−Vcap×ρliq)×G
Fdis≦(Mcap−Vcap×ρliq)×G
したがって、鉛直上方向に発生する力が次式を満たすことになる。
Fup =|(Mcap−Vcap×ρliq)×G+Fdis|
≦2×(Mcap−Vcap×ρliq)×G
…(14)
よって、磁界発生装置20がカプセル本体2に鉛直上方向に発生する力が、カプセル本体2の質量と、カプセル本体2の体積と液体40の密度との積(カプセル本体2に発生する浮力)との差の2倍に重力加速度を乗算した値以下となるように、永久磁石24のサイズを設定することが望ましい。
(考察2)
ここで、永久磁石24が領域26(容積Va>Vmaxmag)を占めるように永久磁石24のサイズVmagが永久磁石24の最大容積Vmaxmagを超えて設置する場合、図6に示すように、永久磁石24のサイズVmagを大きくするに従って、カプセル本体2の体積Vcapを大きくすることが好ましい。この場合、各条件1〜3のいずれも、体積Vcapを大きくすることによって、最大容積Vmaxmagを超えると、曲線L1,L2,L3から曲線L1a,L2a,L3aのように、磁界発生装置20のサイズSMを小さくすることができる。このように、カプセル本体2のサイズVcapを大きくし、永久磁石24のサイズVmagを大きくすることによって、磁界発生装置20のサイズSMを小さくすることができる。特に、カプセル本体2を経肛門で大腸を検査する場合、大きなサイズのカプセル本体2を適用することができ、この場合に用いる磁界発生装置20を小型化することができる。
(条件1の適用例)
ここで、条件1の場合とは、カプセル本体2の浮力と、永久磁石24を除いた場合のカプセル本体2の重力との差に対して、液体中での抵抗が小さい場合を意味する。このような条件下でカプセル本体2を誘導する抗力Fdisの大きさは、比較的小さい。たとえば、液体の抵抗、カプセル本体の密度のばらつき、体位変換での液体の揺れ、心拍・呼吸などによる揺れなどによって発生する抗力Fdisである。
実際に水のような低粘度の液体を摂取することで、液体の抵抗は十分に無視することができる。また、体位変換での液体の揺れや心拍・呼吸などによって発生する液体の揺れは、主に水面の横方向の揺れであり、鉛直方向に与える影響は少ない。したがって、抗力Fdisのなかで、誘導に影響を与えるものは、カプセル本体2の密度のばらつきである。ここで、体内に導入可能なサイズのカプセル本体2の密度の誤差を、3%程度に抑えた場合、
F=Fdis=0.03×Vcap×ρliq×G
となる。ここで、液体の密度が約1g/cm(0.9〜1.1g/cm)で、経口導入のカプセル本体2の場合、
F<0.03×(0.75×3.14×4.00)×1.10×9.81
=2.3(mN)
となり、非常に小さな力Fで、カプセル本体2を誘導できるため、磁界発生装置20を小型化できる。さらに、カプセル本体2の密度の誤差を±1%程度に抑えることで、誘導に必要な力Fを1/3程度に小さくし、磁界発生装置20を小型化することができる。ただし、動作の安全率を考慮し、誘導に必要な力Fの1.1〜2倍程度の力が発生できる磁界発生装置にしてもよい。
このような条件1の比較的小さな抗力Fdis下で、カプセル本体2を誘導できるアプリケーションとしては、次のような検査が挙げられる。
1)経口して噴門部と胃と必要に応じて十二指腸、小腸、大腸とを検査する場合
この場合、まず側臥位でカプセル本体2を嚥下し、噴門部で一時的にカプセル本体2を呈しさせ、噴門部の画像を取得する。その後、カプセル本体2を胃に落下させる。その後、水、発泡剤を摂取して胃を拡張させる。なお、発泡剤の摂取は、カプセル本体2の嚥下前に行ってもよい。その後、カプセル本体2に対する胃内の液中での誘導と被検体の体位変換とを行って、カプセル本体2によって胃全体を観察する。その後、カプセル本体2を幽門部近傍に誘導し、幽門部の蠕動運動によってカプセル本体2を十二指腸に送出する。その後、蠕動運動を用いて、十二指腸以降の腸管の画像を取得する。
2)経肛門で大腸を検査する場合
この場合、まず、経口あるいは経肛門によって大腸の蠕動運動を抑制させる蠕動抑制剤を投与しておくことが好ましい。その後、経肛門でカプセル本体2と液体とを導入する。なお、等腸液などの液体は、事前に経口で導入しておいてもよい。その後、カプセル本体2を液中で拡張された大腸内を誘導し、さらに体位変換を行って、カプセル本体2によって大腸の観察を行う。なお、経肛門で導入されるカプセル本体2は、直径20mm×長さ40mm以下のサイズであることが好ましい。すなわち、大腸を容易に通過できる直径で、肛門に戻ることができる長さであることが好ましい。
(条件2,3の適用例)
一方、条件2,3の場合、カプセル本体2の浮力と、永久磁石24を除いたカプセル本体2の重力との差に対して、液中での抗力Fdisが等しいか大きい場合である。この場合、カプセル本体2の永久磁石24のサイズVmagを、Vcap×ρliq<Mcapを満足するように設定し、カプセル本体2内に、できるかぎり大きなサイズの永久磁石24を設置することが好ましい。特に、条件2の場合、永久磁石24のサイズVmagを大きくしても、磁界発生装置20のサイズSMは変わらないが、他の方向、たとえば水平方向に発生する力を考慮すると、永久磁石24のサイズVmagは、大きい方が好ましい。
この条件2,3の状態とは、体内で非常に大きな抗力が発生する場合である。この抗力Fdisとしては、胃腸管の蠕動運動や胃腸壁からの圧力によって発生する抗力が考えられる。たとえば、胃腸管の蠕動運動で発生する力として、幽門部を通過する場合に必要な力が挙げられる。幽門部の通過に必要な力は、100mN程度が必要であり、この場合、被検体1に導入可能なサイズのカプセル本体で、条件1を実現することはできない。
条件1のカプセル本体2にするためには、カプセル本体2内に、10g(=100mN/(9.8m/s))以上の永久磁石を設置できる必要がある。すなわち、液体40の密度がほぼ1であるため、少なくとも、カプセル本体2のサイズVmagを、10cm以上にする必要がある。しかし、経口投与の場合、カプセル本体2の最大サイズが、φ15mm×40mmであり、すなわちカプセル本体2の最大サイズが約7.0cmであり、実現できない。
さらに、カプセル本体2を、小腸や大腸内を誘導する場合、カプセル本体2の誘導速度が、1mm/s程度であっても、腸壁からの圧力に対抗して誘導するのに必要な力は、実験により、200mN以上である。したがって、この場合も、条件1を実現することができない。その他、食道で発生する蠕動運動についても、同様な結果の予測を容易に求めることができる。
このような条件2,3の下で、カプセル本体2を誘導することが求められる検査としては、次のような場合が挙げられる。すなわち、
1)経口で導入され、食道を誘導で観察する場合
2)経口で導入され、胃を観察後、幽門を誘導で通過させる場合
3)経口で導入され、小腸を誘導で観察する場合
4)経口で導入され、大腸を誘導で観察する場合
5)経肛門で導入され、大腸を誘導で観察する場合
である。
なお、液体40の摂取は、経口でカプセル本体2が導入される場合は経口摂取で行い、経肛門で導入される場合は経肛門で被検体1内に導入されることが好ましい。また、経口でカプセル本体2が導入される場合でも、カプセル本体2を大腸で誘導する場合には、経肛門で液体40を被検体1内に導入するようにしてもよい。さらに、経肛門でカプセル本体2を被検体1内に導入する場合、カプセル本体2のサイズVmagを、最大φ20mm×40mm程度まで大きくすることができる。この場合、カプセル本体2内に設置できる永久磁石24をさらに大きくすることができるため、磁界発生装置20を小型化することができる。
(考察3)
なお、磁界発生装置20の磁界発生部を被検体1の下部にのみ配置し、被検査者を磁界発生装置20で覆わないようにすると、被検査者の閉塞感を取り除くとともに、検査者が被検査者にアプローチし易くなる。
しかし、このような磁界発生装置では、磁気引力が下方にしか発生できないため、カプセル本体2を液体40に浮かせる必要がある。この場合、カプセル本体2の密度のばらつきは、図7に示すように、曲線L11のVcap×ρliq=Mcapの点からVcap×ρliq>Mcapの領域側、すなわち、永久磁石24のサイズVmagが小さい領域側に発生し、密度のばらつき幅σの中心を、永久磁石24の最適サイズV1として決定するとよい。
一方、磁界発生装置の磁気発生部をアームに取り付けて、被検体1の上部にのみ設置する場合、図8に示すように、曲線L12のVcap×ρliq=Mcapの点からVcap×ρliq<Mcapの領域側、すなわち、永久磁石24のサイズVmagが大きい領域側に発生し、密度のばらつき幅σの中心を、永久磁石24の最適サイズV2として決定するとよい。
(考察4)
つぎに、カプセル本体2を、被検体1に導入した液体40内で、鉛直方向に誘導する場合、カプセル本体2の自重、浮力以外にも抗力が発生するが、この抗力が鉛直上方向のみに発生する場合を考える。この場合に、誘導に必要な力Fは、図9を参照して、鉛直下方向誘導時に誘導に必要な力Fdownと、鉛直上方向に必要な力Fupとに分けることができ、
Fdown=|(Vcap×ρliq−Mcap)×G+Fdis|
…(15)
Fup =|(Mcap−Vcap×ρliq)×G|
…(16)
と表すことができる。なお、この鉛直上方向に発生する抗力としては、液面での表面張力や、幽門を下にした体位での幽門通過時の力などがある。
この場合、カプセル本体2を誘導するために必要な磁界発生装置20のサイズSMは、鉛直下方向誘導時のサイズSMdownと、鉛直上方向誘導時のサイズSMupとに分けることができ、
SMdown=K×|(Vcap×ρliq−Mcap)×G+Fdis|÷Mmag
…(17)
SMup =K×|(Mcap−Vcap×ρliq)×G|÷Mmag
…(18)
と表すことができる。なお、この場合も、永久磁石24を除いたカプセル本体2が液体40に浮くことを条件とする、式(7)を満足するものとする。この場合における永久磁石24のサイズVmag(質量Mmag)に対する磁界発生装置20のサイズSMの関係は、図10に示すように、鉛直上方向誘導時の曲線L21と鉛直下方向誘導時の曲線L22とによって示され、誘導の方向性によって異なった特性曲線を示す。
この場合において、磁界発生装置20のサイズSMを最小にする条件は、各曲線L21,L22の交点として求めることができる。すなわち、
K×|(Vcap×ρliq−Mcap)×G+Fdis|÷Mmag
=K×|(Mcap−Vcap×ρliq)×G|÷Mmag …(19)
から、Fdis=2(Mcap−Vcap×ρliq)×G を求めることができる。したがって、カプセル本体2にかかる重力と浮力との差の2倍が、磁界発生装置がカプセル本体2に鉛直上方向に発生する抗力と等しくなるように、カプセル本体2の永久磁石24のサイズVmagを設定することによって、磁界発生装置20のサイズSMを最小化することができる。すなわち、曲線L21と曲線L22の磁界発生装置20のサイズSMが大きい曲線部分の合成曲線に対して最小値を求めることができる。このときの永久磁石24の最適サイズは、図10に示したサイズV3であり、曲線L21と曲線L22との交点の値である。また、磁界発生装置20がカプセル本体2に発生する鉛直上下方向の力は、カプセル本体2の質量と、カプセル本体2の体積と液体40の密度との積(カプセル本体2に働く浮力)との差となる。
(考察4に対応する適用例)
ここで、鉛直上方向にのみ発生する抗力下で、カプセル本体2を誘導できるアプリケーションとしては、つぎのような検査が挙げられる。
1)抗力が液体の表面張力の場合であって、噴門部と胃と必要に応じて十二指腸,小腸,大腸とを検査する場合
この場合、まず側臥位でカプセル本体2を嚥下し、噴門部で一時的にカプセル本体2を呈しさせ、噴門部の画像を取得する。その後、カプセル本体2を胃に落下させる。その後、水、発泡剤を摂取して胃を拡張させる。なお、発泡剤の摂取は、カプセル本体2の嚥下前に行ってもよい。その後、カプセル本体2に対する胃内の液中での誘導と被検体の体位変換とを行って、カプセル本体2によって胃全体を観察する。その後、カプセル本体2を幽門部近傍に誘導し、幽門部の蠕動運動によってカプセル本体2を十二指腸に送出する。その後、蠕動運動を用いて、十二指腸以降の腸管の画像を取得する。
なお、胃の観察時に、カプセル本体2を液面から液中に誘導する場合、水(液体)の表面張力0.7mN〜3.0mNが抗力として発生する。また、外装が樹脂(ポリカーボネード)で形成されているカプセル本体2を長軸が下方向になるようにして沈める場合、カプセル本体2に発生する水(液体)の表面張力は、カプセル本体2がφ5mmの場合、0.7mNであり、φ11mmの場合、1.6mNであり、φ15mmの場合、2.3mNである。すなわち、表面張力は、カプセル本体2の直径に比例する。
2)抗力が幽門通過時の反力の場合であって、食道と胃と十二指腸と小腸と大腸とを検査する場合
この検査で、幽門通過時に、体位を右側臥位にし、下方向に幽門の通過に必要な力を発生させることで、能動的に幽門を通過する。この幽門の通過に必要な力は、100mN程度である。この場合、蠕動運動で幽門部を通過させる場合よりも、短時間で確実にカプセル本体2を十二指腸に導入することができる。また、これによって、カプセル本体2の電池寿命内に、胃観察後の十二指腸以降の腸管を一層多く観察することができる。
(考察5)
つぎに、カプセル本体2の鉛直方向誘導時に、発生する方向に方向性がない抗力Fdis1と、鉛直上方向にのみ働く抗力Fdis2とが共存する場合に、カプセル本体2を誘導するために必要な磁界発生装置20のサイズSMは、鉛直下方向誘導時のサイズSMdownと、鉛直上方向誘導時のサイズSMupとに分けることができ、
SMdown=K×(|(Vcap×ρliq−Mcap)×G+Fdis1+Fdis2|)÷Mmag …(20)
SMup =K×|(Mcap−Vcap×ρliq)×G+Fdis1|÷Mmag …(21)
と表すことができる。なお、この場合も、永久磁石24を除いたカプセル本体2が液体40に浮くことを条件とする、式(7)を満足するものとする。
この場合における永久磁石24のサイズVmag(質量Mmag)に対する磁界発生装置20のサイズSMの関係は、考察1と同様に、SMupを下記の条件1,条件2と条件3によって場合分けすることができる。すなわち、
条件1:(Vcap×ρliq−Mcap-mag)×G>Fdis1
条件2:(Vcap×ρliq−Mcap-mag)×G=Fdis1
条件3:(Vcap×ρliq−Mcap-mag)×G<Fdis1
に場合分けされる。この結果、図11−1〜図11−3に示すような結果になる。
すなわち、条件1の場合、磁界発生装置20のサイズSMを最小にする条件は、考察4と同様に、
K×|(Vcap×ρliq−Mcap)×G+Fdis2|÷Mmag
=K×|(Mcap−Vcap×ρliq)×G|÷Mmag
から、
Fdis2=2(Mcap−Vcap×ρliq)×G
…(22)
を求めることができる。したがって、カプセル本体2にかかる重力と浮力との差の2倍が、磁界発生装置20がカプセル本体2に鉛直上方向に発生する抗力と等しくなるように、カプセル本体2の永久磁石24のサイズVmagを設定することによって、磁界発生装置20のサイズSMを最小化することができる。すなわち、曲線L31と曲線L32の磁界発生装置20のサイズSMが大きい曲線部分の合成曲線L30に対して最小値を求めることができる。このときの永久磁石24の最適サイズは、図11−1に示したサイズV4であり、曲線L31と曲線L32との交点の値である。
なお、このときの磁界発生装置20は、カプセル本体2に発生する鉛直上方向の力の最大値と、鉛直下方向の力の最大値とは等しくなり、その値は、下記の条件を満たす。
Fdown=Fup
=|(Mcap−Vcap×ρliq)×G+Fdis1|
<|(Mcap−Vcap×ρliq)×G+(Vcap×ρliq−Mcap-mag)×G|
=Mmag×G
…(23)
よって、鉛直上下方向の力が、永久磁石24の質量と重力加速度との積よりも小さくなるように設定される。
一方、条件2の場合、SMup(曲線L41)≧SMdown(曲線L42)の範囲であれば、磁界発生装置20のサイズSMは一定となる(曲線L40参照)。したがって、
K×|(Vcap×ρliq−Mcap)×G+Fdis2|÷Mmag
≦K×|(Mcap−Vcap×ρliq)×G|÷Mmag
から、
Fdis2≦2(Mcap−Vcap×ρliq)×G
…(24)
であれば、磁界発生装置20のサイズSMを小さくすることができる。このとき、磁界発生装置20がカプセル本体2に発生する鉛直上方向の力の最大値は、鉛直下方向の力の最大値よりも大きくなり、その値は、下記の式で表される。
Fup=Mmag×G
…(25)
よって、鉛直上下方向の力が、永久磁石24の質量と重力加速度との積が等しくなるように設定される。
さらに、条件3の場合、磁界発生装置20のサイズSMを最小にする条件は、考察1の条件3と同様に、カプセル本体2内に、できる限り大きなサイズの永久磁石を設置することが好ましい。この場合の曲線は、曲線L51と曲線L52のうちのサイズSMが大きい曲線部分の合成曲線L50となり、極値をもたずに、永久磁石24のサイズVmagの増大とともに磁界発生装置20のサイズSMが小さくなる。
なお、鉛直上方向の力Fupと、鉛直下方向の力Fdownとが釣り合うとき(曲線L51と曲線L52との交点に相当)の永久磁石24のサイズVmag(Mmag)よりも大きなサイズの永久磁石を設置することが望ましい。これは、曲線L51上では、磁界発生装置20のサイズSMは、永久磁石24のサイズVmag(Mmag)の増大によって、急激に小さくなる。そのため、曲線L51と曲線L52との交点よりも永久磁石24のサイズVmag(Mmag)を大きくすることによって、永久磁石24のサイズVmag(Mmag)を増大させる場合の小型化の効果を確実に得ることができる(SMup≧SMdownの範囲)。したがって、条件2と同様に、
Fdis2≦2(Mcap−Vcap×ρliq)×G
…(26)
となるように、永久磁石24が設定される。このとき、磁界発生装置20がカプセル本体2に発生する鉛直上方向の力の最大値は、鉛直下方向の力の最大値よりも大きくなり、その値は、下記の式を満たす。
Fup≧Mmag×G
…(27)
よって、鉛直上下方向の力が、永久磁石24の質量と重力加速度との積以上になるように設定される。
また、考察1と同様に、さらにSMdownの絶対値内が0以下となるように、永久磁石24のサイズVmag(Mmag)を設定してもよい。このとき、カプセル本体2を鉛直下方向に誘導する場合にも、鉛直上方向の力を発生させることになるため、鉛直下方向に磁気引力を発生させる必要がなくなる。これにより、鉛直下方向に磁気引力を発生させるための電磁石が必要なくなるため、磁界発生装置20をさらに小型化することができる。この場合、永久磁石のサイズVmag(Mmag)は、下記の条件を満たすように設定される。
(SMdownの絶対値内)
=−G+((Vcap×ρliq−Mcap-mag)×G+Fdis1+Fdis2)/Mmag
≦0
((Vcap×ρliq−Mcap-mag)×G+Fdis1+Fdis2)≦Mmag×G
Fdis1+Fdis2≦(Mmag+Mcap-mag−Vcap×ρliq)×G
Fdis1+Fdis2≦(Mcap−Vcap×ρliq)×G
ここで、Fdis2>0 より、
Fdis1≦(Mcap−Vcap×ρliq)×G
…(28)
したがって、鉛直上方向に発生する力が次式を満たすことになる。
Fup =|(Mcap−Vcap×ρliq)×G+Fdis1|
≦|(Mcap−Vcap×ρliq)×G+(Mcap−Vcap×ρliq)×G|
≦2×(Mcap−Vcap×ρliq)×G
…(29)
よって、磁界発生装置20がカプセル本体2に鉛直上方向に発生する力が、カプセル本体2の質量と、カプセル本体2の体積と液体40の密度との積(カプセル本体2に発生する浮力)との差の2倍に重力加速度を乗算した値以下となるように、永久磁石24のサイズを設定することが望ましい。
(システム適用例:カプセル型医療装置誘導システム)
図12は、検査に対応して最適化されたカプセル本体の誘導を行うカプセル型医療装置誘導システムの構成を示す模式図である。このカプセル型医療装置誘導システム11は、被検体1の内部にカプセル型医療装置(カプセル本体)2を導入し、この被検体1内部のカプセル本体2を誘導しつつ、体内画像を取得し、あるいは体内組織などを採取するものである。このシステムは、被検体1の体表上に配置した複数のアンテナ3aを介して被検体1内部のカプセル本体2と無線通信を行う通信部3と、カプセル本体2によって撮像された被検体1の体内画像等の各種情報を表示する表示部4と、被検体1内部のカプセル本体2を誘導するための磁界を発生する磁界発生部5と、磁界発生部5に電力を供給する電力供給部6と、磁界発生部5を移動させる移動部7と、導入されるカプセル本体2の種別などの各種情報を入力する入力部8と、被検体1の体内画像等の各種情報を記憶する記憶部9と、被検体1内部のカプセル本体2の位置を検出する位置検出装置12と、位置検出装置12が用いる磁界の駆動を行う駆動部13と、上記各構成部を制御する制御部10とを備える。
磁界発生部5は、複数の電磁石を用いて実現され、電力供給部6から供給される電力によって回転磁界または勾配磁界等の3次元的な外部磁界を発生させる。特に、磁界発生部5は、少なくとも鉛直方向に対する勾配磁界を発生させることができる。この磁界発生部5は、ベッド32に載置された被検体1内部のカプセル本体2に外部磁界を印加し、この外部磁界の作用によって、被検体1内部の永久磁石に対して磁気引力を発生させて、カプセル本体2を所望の体内部位に誘導する。
移動部7は、被検体1内部のカプセル本体2に磁界発生部5による外部磁界が印加されるように被検体1に対して相対的に磁界発生部5を移動するためのものである。具体的には、被検体1を載置するベッド32の載置面に対して略平行なXY平面が設定され、移動部7は、制御部10の制御に基づいて、このXY平面内の座標位置に磁界発生部5を移動する。この場合、移動部7は、磁界発生部5による外部磁界が形成される3次元空間内に被検体1内部のカプセル本体2が位置するように磁界発生部5を移動する。
入力部8は、キーボード、マウス、ジョイスティック等の入力デバイスを用いて実現され、医師または看護師等のユーザによる入力操作に応じて制御部10に各種情報を入力する。また、入力部8は、表示部4の表示結果をもとに制御部10の制御を操作する操作手段としても機能する。この入力部8が制御部10に入力する各種情報は、例えば、制御部10に対して指示する指示情報、被検体の患者情報、被検体の検査情報等であり、特にカプセル本体2の種別(サイズ、密度など)情報が入力される。
制御部10は、被検体1の体内画像を生成する画像処理部10aと、被検体1内部におけるカプセル型医療装置2の位置を算出する位置算出部10bと、磁界発生部5に対する電力供給部6の通電量を制御して磁界発生部5が発生する磁界強度を制御する磁界発生制御部10cを有する。
画像処理部10aは、カプセル型医療装置2からの無線信号から復調された画像信号を通信部3から取得し、この取得した画像信号に対して所定の画像処理を行って、この画像信号に対応する画像情報すなわち被検体1の体内画像を生成する。画像処理部10aによって生成された体内画像群は、表示部4に表示され、記憶部9に記憶される。
位置算出部10bは、駆動部13によって発生した磁界によってカプセル本体2内のLCマーカなどから発生した検出磁界を検出する位置検出装置12が出力する信号をもとにカプセル本体2の位置を検出する。この位置検出結果は、表示部4に表示され、記憶部9に記憶される。この表示部4に表示されたカプセル本体2の位置をもとに、操作者は、入力部8を介してカプセル本体2を誘導させる誘導指示情報を制御部10に入力して誘導制御を行う。
磁界発生制御部10cは、入力された誘導指示情報をもとに磁界発生部5が発生する磁界強度を制御し、カプセル本体2の誘導制御を行う。ここで、磁界発生制御部10cは、制御テーブル10dを有し、制御テーブル10dは、最適な最大発生磁界と、入力部8から入力されるカプセル本体2の種別情報と、検査情報(検査内容)とを関連付けた対応テーブルである。磁界発生制御部10cは、カプセル本体2の種別情報と、検査情報とをもとに、制御テーブル10dを参照して、最適な最大発生磁界を制限する磁界発生制御を行う。
ここで、カプセル本体2は、上述した考察によって内部の永久磁石24のサイズVmagが最適化されていることを前提としている。そして、磁界発生制御部10cは、上述したように、被検体1に導入されるカプセル本体2の種別情報と、検査情報とをもとに、最適な最大発生磁界の範囲内で誘導に必要な磁界を発生させる通電制御を行う。これによって、各カプセル本体2の種別および検査内容に応じて省エネルギー化を図ることができる。また、このカプセル型医療装置誘導システム11が取り扱うカプセル本体2の種別と検査内容とが特定されているシステムである場合には、磁界発生装置20のサイズSMを最小化することができ、小型化を促進することができる。
つぎに、制御テーブル10dの内容を、具体例を挙げて説明する。ここでは、カプセル種別と検査内容とによって最大磁界を設定するようにしている。たとえば、以下のC−1〜C−5の対応関係が記載されている。
C−1)カプセル種別:密度が約1g/cm,サイズ(小)
検査内容:食道(噴門部)および胃の観察(幽門部は蠕動運動で通過)
最大磁界(磁界発生装置サイズ):小
C−2)カプセル種別:密度が約1g/cmよりも大きく、サイズ(小)
検査内容:食道(噴門部)、胃、十二指腸の観察(幽門部は誘導で通過)
最大磁界(磁界発生装置サイズ):中
C−3)カプセル種別:密度が約1g/cmよりも大きく、サイズ(小)
検査内容:全消化管の観察(誘導)
最大磁界(磁界発生装置サイズ):大
C−4)カプセル種別:サイズ(大)
検査内容:特定なし
最大磁界(磁界発生装置サイズ):小
C−5)カプセル種別:サイズ(大)
検査内容:大腸検査
最大磁界(磁界発生装置サイズ):大
この場合、磁界発生装置のサイズは、最も大きな最大磁界を必要とするC−3またはC−5によって決定される。なお、上記考察で述べたように、誘導方向あるいは誘導方向の組み合わせによって最大磁界をさらに詳細に設定してもよい。あるいは、誘導方向あるいは誘導方向の組み合わせによって磁界発生装置20のサイズSMをさらに詳細に決定するようにしてもよい。
なお、磁気勾配の発生によってカプセル本体2内の永久磁石に磁気引力を発生させて誘導するシステムを前提として説明したが、たとえば、カプセル本体2の外表面に螺旋構造をもたせ、永久磁石の磁化方向が、螺旋の中心軸と垂直になるように配置し、磁界発生装置20が回転磁界を発生させることで、カプセル本体2を誘導できるようにしてもよい。この場合、小腸や大腸内で管腔が十分に拡張されず、腸壁からの圧力が大きい場合であっても、腸壁との接触状態を利用し、回転螺旋方式によってカプセル本体を一層効率的に誘導することができ、磁界発生装置の小型化を促進することができる。
1 被検体
2 カプセル本体
3 通信部
3a アンテナ
4 表示部
5 磁界発生部
6 電力供給部
7 移動部
8 入力部
9 記憶部
10 制御部
10a 画像処理部
10b 位置算出部
10c 磁界発生制御部
10d 制御テーブル
11 カプセル型医療装置誘導システム
12 位置検出装置
13 駆動部
20 磁界発生装置
21 撮像部
22 制御回路
23 電源
32 ベッド
24 永久磁石
40 液体

Claims (14)

  1. 前記被検体内に導入され、永久磁石を備えて流体内で前記被検体内の検査または処置を行うカプセル本体と、
    前記被検体外に設けられ、前記永久磁石に対して磁気引力を発生し、前記カプセル本体を誘導する磁界発生装置と、
    前記永久磁石を除く前記カプセル本体の質量が、前記カプセル本体の体積と前記流体の密度との積よりも小さく、
    前記磁界発生装置は、該磁界発生装置が前記カプセル本体に鉛直上方向に発生する磁気引力の最大値と鉛直下方向に発生する磁気引力の最大値とを等しくし、前記鉛直上下方向に発生する磁気引力の最大値を、前記永久磁石の質量に重力加速度を乗算した値よりも小さくして前記カプセル本体を誘導することを特徴とするカプセル型医療装置誘導システム。
  2. 前記被検体内に導入され、永久磁石を備えて前記流体内で前記被検体内の検査または処置を行うカプセル本体と、
    前記被検体外に設けられ、前記永久磁石に対して磁気引力を発生し、前記カプセル本体を誘導する磁界発生装置と、
    前記永久磁石を除く前記カプセル本体の質量が、前記カプセル本体の体積と前記流体の密度との積よりも小さく、
    前記磁界発生装置は、該磁界発生装置が前記カプセル本体に鉛直上方向に発生する磁気引力の最大値を、鉛直下方向に発生する磁気引力の最大値以上にし、前記鉛直上下方向に発生する磁気引力の最大値を、前記永久磁石の質量に重力加速度を乗算した値以上にして前記カプセル本体を誘導することを特徴とするカプセル型医療装置誘導システム。
  3. 前記カプセル本体の前記流体に対する比重が略1であることを特徴とする請求項1に記載のカプセル型医療装置誘導システム。
  4. 前記カプセル本体の前記流体に対する比重が1より大きいことを特徴とする請求項1に記載のカプセル型医療装置誘導システム。
  5. 前記カプセル本体の前記流体に対する比重が1より大きいことを特徴とする請求項2に記載のカプセル型医療装置誘導システム。
  6. 前記磁界発生装置は、前記カプセル本体に鉛直上方向に発生する力の最大値を、前記カプセル本体の質量と、前記カプセル本体の体積と前記流体の密度との積との差の2倍に重力加速度を乗算した値以下にして前記カプセル本体を誘導することを特徴とする請求項5に記載のカプセル型医療装置誘導システム。
  7. 前記カプセル本体は、被検体内に経口で摂取され、経口で摂取され一時的に胃に溜められた前記流体の中で前記磁界発生装置が発生する磁界によって誘導されることを特徴とする請求項1に記載のカプセル型医療装置誘導システム。
  8. 前記カプセル本体は、被検体内に経肛門で導入され、経口もしくは経肛門で摂取され一時的に大腸に溜められた前記流体の中で前記磁界発生装置が発生する磁界によって誘導されることを特徴とする請求項1に記載のカプセル型医療装置誘導システム。
  9. 前記カプセル本体は、被検体内に経口で摂取され、食道、胃幽門部、十二指腸、小腸、大腸のいずれかの中で前記磁界発生装置が発生する磁界によって誘導されることを特徴とする請求項2に記載のカプセル型医療装置誘導システム。
  10. 前記カプセル本体は、被検体内に経肛門で導入され、大腸の中で前記磁界発生装置が発生する磁界によって誘導されることを特徴とする請求項2に記載のカプセル型医療装置誘導システム。
  11. 前記被検体内に導入され、永久磁石を備えて前記流体内で前記被検体内の検査または処置を行うカプセル本体と、
    前記被検体外に設けられ、前記永久磁石に対して磁気引力を発生し、前記カプセル本体を誘導する磁界発生装置と、
    前記永久磁石を除く前記カプセル本体の質量が、前記カプセル本体の体積と前記流体の密度との積よりも小さく、
    前記カプセル本体は、前記永久磁石の大きさ、前記カプセル本体の体積、前記カプセル本体の形状のいずれかが異なる複数の種類の複数のカプセル本体からなり、
    前記カプセル本体の種類を入力する入力部を備え、
    前記磁界発生装置は、前記入力部によって入力されたカプセル本体の種類に応じて前記カプセル本体に発生する最大磁気引力を変更する磁界発生制御部を備えたことを特徴とするカプセル型医療装置誘導システム。
  12. 前記磁界発生制御部は、鉛直上方向に発生する磁気引力の最大値と鉛直下方向に発生する磁気引力の最大値とを等しくし、前記鉛直上下方向に発生する磁気引力の最大値が、前記永久磁石の質量に重力加速度を乗算した値よりも小さくなるように、磁気引力の最大値を設定して制御することを特徴とする請求項11に記載のカプセル型医療装置誘導システム。
  13. 前記磁界発生制御部は、鉛直上方向に発生する磁気引力の最大値を鉛直下方向に発生する磁気引力の最大値以上にし、前記鉛直上下方向に発生する磁気引力の最大値が、前記永久磁石の質量に重力加速度を乗算した値以上となるように、磁気引力の最大値を設定して制御することを特徴とする請求項11に記載のカプセル型医療装置誘導システム。
  14. 前記磁界発生制御部は、鉛直上方向に発生する力の最大値が、前記入力部に入力されたカプセル本体の種類の該カプセル本体の質量と、該カプセル本体の体積と前記流体の密度との積との差の2倍に重力加速度を乗算した値以下となるように、磁気引力の最大値を設定して制御することを特徴とする請求項11に記載のカプセル型医療装置誘導システム。
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