JPWO2010026953A1 - エネルギー効率の高い蒸留水及び/又は濃縮水の製造方法と装置 - Google Patents

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Abstract

本発明は、原水から蒸留水及び/又は濃縮水を製造する方法および装置を提供する。この製造方法は、(i)沸点よりも5℃低い温度以上の原水を蒸発器に供給する段階と、(ii)蒸発器において、原水の少なくとも一部を水蒸気として蒸発させる段階と、(iii)濃縮水を排出する段階と、(iv)水蒸気を、水蒸気の凝縮温度が原水の沸点よりも高くなるように蒸発器内の圧力の1.01〜2.0倍だけ高くなるように加圧する段階と、(v)加圧された水蒸気を凝縮器で凝縮させ、蒸留水にする段階とを含み、蒸発器と凝縮器が伝熱板で仕切られており、凝縮器内での水蒸気の凝縮による凝縮熱を、凝縮器から蒸発器へ伝熱板を通して伝えることにより、蒸発器内で原水を沸騰させる。

Description

本発明は、広く言えば、塩などの不純物を含む原水からの蒸留水及び/又は濃縮水の製造に関し、とりわけ、熱交換器を利用してエネルギー効率を高めた、原水からの蒸留水の製造方法及びその装置、並びに蒸留に伴って発生する濃縮水を得る方法に係るものである。
世界的に清浄な淡水が足りず、水不足問題として最近はクローズアップされてきている。他方、エネルギーの使用による環境への問題も深刻化しており、淡水の一般用途にエネルギーを多量に使用する蒸留水を使用することは大きな問題である。このため、逆浸透膜法などのエネルギー使用の少ない海水淡水化などが検討されているが、膜の寿命、メンテナンスなどの問題が残っており、十分実用化されているとは言いがたい。また、逆浸透膜法では加圧のためのエネルギーが必要であり、エネルギーを使用しないわけではない。他方、蒸留による方法としては多段フラッシュ法が普及している。この方法では100℃以上に加熱した水を減圧室に送り込んでフラッシュ蒸発(沸騰)させ、発生した水蒸気を凝縮させると共にその凝縮熱を原水の加熱に利用している。しかし、水蒸気発生の潜熱は98℃では約540cal/g、48℃では約570cal/gもあり、多段フラッシュ法では熱水の約1/8程度の量しか蒸発させることができない。このため、エネルギー効率を高めるために最終段の40〜50℃程度の濃縮水を原水に混ぜ再利用せざるを得ず、多段フラッシュ法では1gの水を得るために、少なくとも30〜40calの熱量が必要になり、逆浸透膜法に比べ、エネルギーの使用が1桁以上高くなってしまう。しかし、逆浸透膜法の膜の取り扱いの困難さ、膜の価格と寿命の問題があり、蒸留法において、エネルギー使用率を下げることができれば、トータルで逆浸透膜法に比べ有利となるので、エネルギー使用量の少ない蒸留法が種々検討されている(例えば、特許文献1)が、未だ十分ではない。
国際公開第01/072638号パンフレット
上記のように、従来、海水等を原水として蒸留水を製造する場合には、原水を加熱して蒸発させるために、多大のエネルギーを消費している。そのため、太陽熱やボイラーの廃熱などを使用したとしても、逆浸透法など他の淡水製造方法に比べエネルギーコストが高くなる問題があった。
本発明は、このような問題を解決して、エネルギー効率の優れた蒸留水製造方法及び装置を提供することを目的とする。
蒸留水を製造すると必ず水の濃縮が起こるので、蒸留水製造装置は濃縮水の製造装置でもあると考えがちである。しかし、海水淡水化の主流となっている多段フラッシュ法は蒸留後に残る残渣水の濃縮率が低く、塩の製造を目的とするには濃縮率が低いため、塩の製造目的の濃縮水として使用されることはほとんどない。海水淡水化の副産物として、塩の製造のための濃縮率の高い塩水を得られれば、塩・食塩製造のためのエネルギー使用率を大きく低下させることが可能である。したがって、原水の濃縮方法及び装置を提供することも本発明の目的である。
本発明の第1の観点によれば、原水から蒸留水及び/又は濃縮水を製造する方法が提供される。この製造方法は、
(i)沸点よりも5℃低い温度以上の原水を蒸発器に供給する段階と、
(ii)蒸発器において、原水の少なくとも一部を水蒸気として蒸発させる段階と、
(iii)濃縮水を排出する段階と、
(iv)水蒸気を、水蒸気の凝縮温度が原水の沸点よりも高くなるように蒸発器内の圧力の1.01〜2.0倍だけ高くなるように加圧する段階と、
(v)加圧された水蒸気を凝縮器で凝縮させ、蒸留水にする段階と
を含む。この製造方法では、蒸発器と凝縮器が伝熱板で仕切られており、凝縮器内での水蒸気の凝縮による凝縮熱を、凝縮器から蒸発器へ伝熱板を通して伝えることにより、蒸発器内で原水を沸騰させる。
本発明の具体例によれば、(ii)の段階が、少なくとも一部を水蒸気として蒸発させた原水を水蒸気と濃縮水とに分離する段階を更に含むことができる。
本発明の具体例によれば、(vi)凝縮された蒸留水を冷却する段階及び/又は
(vii)排出された濃縮水を冷却する段階をさらに含むことができる。
本発明の具体例によれば、蒸発器に供給される原水を沸点よりも5℃低い温度以上に予熱する段階を更に含むことができる。
本発明の具体例によれば、原水を予熱する段階、蒸留水を冷却する段階、及び濃縮水を冷却する段階を、少なくとも1つの対向流式の熱交換器において行い、蒸留水及び/又は濃縮水から原水に熱を与えることにより原水を沸点より5℃低い温度以上に予熱することができる。
本発明の具体例によれば、この熱交換器はプレート式熱交換器であることができる。
本発明の具体例によれば、蒸発器における過熱度を小さくするため、加圧された水蒸気の一部を蒸発器に送り込み沸騰核とさせることができる。
本発明の具体例によれば、蒸発器で濃縮された水を原水として、(ii)、(iii)、(iv)、(v)の各段階を1回又は複数回のサイクルで繰り返すことができる。
本発明の具体例によれば、原水は、海水又は塩水湖水とすることができ、その場合には、加圧する段階が、凝縮器内の圧力が蒸発器内の圧力の1.02〜2.0倍だけ高くなるように加圧することが好ましい。また、原水は、重金属を含む要処理水、又は揮発性を有しない物質を含む要処理水にすることもできる。
本発明の更に別の観点によれば、蒸留水及び/又は濃縮水の製造装置が提供され、この蒸留水及び濃縮水の製造装置は、
原液を供給する原水供給手段と、
原水供給手段から供給された原水の少なくとも一部を蒸発させる蒸発器と、
蒸発器と連通する、水蒸気を凝縮させて蒸留水を作る凝縮器と、
蒸発器から凝縮器に通じるラインに設けられた加圧手段と
を備えた、蒸留水及び濃縮水の製造装置である。この加圧手段は、凝縮器内の水蒸気を、水蒸気の凝縮温度が原水の沸点よりも高くするように加圧するようになっていること、蒸発器と凝縮器が伝熱板で仕切られており、凝縮器内での水蒸気の凝縮による凝縮熱を、凝縮器から蒸発器へ伝熱板を通して伝えることにより、蒸発器内で原水を沸騰させるようになっている。
本発明の具体例によれば、この蒸留水及び/又は濃縮水の製造装置は、蒸発器と凝縮器との間に設けられた、原水を水蒸気と濃縮水に分離する気液分離装置を更に含むことができる。
本発明の具体例によれば、この蒸留水及び/又は濃縮水の製造装置は、原水供給手段と蒸発器との間に設けられた少なくとも1つのプレート式熱交換器を更に含み、蒸発器又は気液分離装置から排出された濃縮水、及び/又は凝縮器から排出された蒸留水が、プレート式熱交換器において原水と熱交換を行うようにできる。
本発明の具体例によれば、本発明の係る蒸留水及び/又は濃縮水の製造装置は、少なくとも1組の蒸発器、該蒸発器に連通する加圧手段、該加圧手段に連通する凝縮器を更に有し、前の組の凝縮器から排出された濃縮水を原水として次の組の蒸発器に導入するように、各組が連結できる。
本発明の具体例によれば、原水が淡水である場合には、加圧手段は、凝縮器内の圧力を蒸発器内の圧力よりも0.01〜1.0気圧高く加圧するようになっていることができる。
原水が海水又は塩水湖水である場合には、加圧手段は、凝縮器内の圧力を蒸発器内の圧力よりも0.02〜1.0気圧高く加圧するようになっていることが好ましい。海水などの塩を含む水は、塩の濃度に応じた沸点上昇があり、最小加圧力を塩の濃度の高まりと共に大きくする必要が生じる。
蒸留と濃縮は対になる行為であり、本方法は濃縮手段としても有利に利用できる。例えば上記蒸留水及び濃縮水の製造方法により得られた濃縮水を原料とする塩を製造する方法である。また、工場から排出される環境基準を超える重金属、その他の物質を含む排水・廃水あるいはゴルフ場、農場、畜産施設又は養鶏場からの排水のうち、環境基準以上の農薬を含む排水(要処理水と称す)を無害化するあるいは有価物質を抽出するための予備処理としての濃縮に利用できる。
原水を蒸留水と濃縮水に分けるための基本的な構成を表す図。 本発明に係る蒸留水製造装置の一例の構成を示す図。 本発明に係る蒸留水製造装置の別の構成を示す図。 本発明に係る多段蒸留水製造装置の一例の構成を示す図。 蒸発器・凝縮器の性能確認のための実験装置の概略図。
以下では、概略図面を参照して、本発明をより詳細に説明する。
本発明の原理の1つは、発生した水蒸気の凝縮熱をそのまま原水の蒸発に利用することである。良く知られているように、圧力が高くなると凝縮(液化)温度は高くなるので、水蒸気圧力を高くして凝縮温度を高くすれば、この温度で低圧側の原水を沸騰させることができる。
断熱的に気体の圧力を変化させた時の体積変化はポアッソン(Poisson)の式
PVγ=const
により求めることができる。ここで、Pは圧力Vは体積であり、γは比熱比と言われ、水蒸気ではγ=1.333333なので
PV1.333333=const
となる。
また、理想気体の状態方程式により、PV/T=nR=constなので、これらの式により、断熱膨張・圧縮による体積変化と温度変化を計算することができる。
例えば、100℃の水蒸気を1atm(気圧)から1.1atmに加圧した場合には体積は0.931倍となり、温度は108.99℃になると計算できる。
沸点(凝縮温度)の上昇程度は、温度により異なるが、10%の圧力増加の場合1.5〜3.0℃高くなる。例えば、1atm(気圧)から10%(=0.1atm)だけ圧力を高めると沸点(凝縮温度)は102.67℃となる。すなわち、1atm、100℃で蒸発した水蒸気は10%だけ圧力を高めると(1.1atmにすると)約109℃に昇温し、100℃の伝熱板に触れると102.67℃まで冷却され、102.67℃を保ちながら凝縮して水になるのである。
109℃から102.67℃まで6.33℃だけ冷やされる間に水蒸気が放出する熱量は水蒸気の定圧比熱1.95J/g・℃を使って計算すると6.33×1.95=12.3J/g=2.95cal/gであり、一方、102.67℃における凝縮潜熱は537cal/である。気体流体の伝熱面での熱伝達率は凝縮熱伝達あるいは沸騰熱伝達に比べ小さいが、伝達すべき熱量は僅かであるために凝縮温度までの伝熱面積は小さくてすみ、大部分の伝熱面は凝縮時の大量の熱量を蒸発器側に伝熱しながらの凝縮のために使われることになる。
本発明は、この現象を利用して、水蒸気の凝縮を、原水を沸騰させる熱源として使う。そのためには、発生する凝縮熱を効率よく蒸発熱として使うことを可能とする装置が必要である。そこで、本発明では、凝縮と蒸発が熱伝導率の高い金属製伝熱板の表と裏で同時に起こることを可能にした。
なお、蒸発に際しては沸騰核がないと、沸騰点よりも高くならないと沸騰しない。実際の沸騰温度と沸騰点との差を加熱度と言い、この加熱度をできるだけ小さく、0とすることがエネルギー効率(得られる水の量を必要なエネルギーで割った値)を高めるために望ましい。このために蒸発装置内に沸騰核を形成することが好ましい。一例としては、沸騰伝熱面の粗面化等により凹み部に気泡を残す方法がある。他の手段として気体を吹き込んでこれを沸騰核とさせることも有効である。本装置のように加圧水蒸気が存在すればこの方法は極めて効果的手段であり、この方法を採用することが好ましい。ただし、その他の沸騰核を配置又は形成してもよい。
図1により、原水を蒸留水と濃縮水(蒸発残水、残渣水)に分けるための基本的な構成を説明する。水蒸気と高温原水との間で熱交換を行う蒸発・凝縮装置2は、蒸発器10及び凝縮器11を有し、その間を伝熱板4で仕切られた一種の熱交換器である。その最上部には送風機(タービン)8が設けられており、蒸発器10から凝縮器11へ圧力を加えながら水蒸気を送り込むことができる。図中の蒸発・凝縮装置2の下側に記載された熱交換器20は、取り込んだ原水を加熱し、かつ、蒸留水及び濃縮水を冷却するための対向流式熱交換器であり、原水に熱を供給し終わった蒸留水と濃縮水(残渣水)が排出される。加熱された原水は熱交換器20から蒸発器10に送られる。高温原水を送るラインの途中にヒータ30が設けられている。このヒータ30は、装置の運転初期には熱上げのために必要である。ただし、蒸発器10及び凝縮器11の保温性を高め、外部に熱が逃げないようにし、また、熱交換器20の効率を高め、原水に十分な熱を伝えることができるようにすれば、運転開始後一定の時間経過の後定常状態になれば概ね送風機の持つエネルギーだけで蒸留水を製造することが可能である。しかし、外部への熱の飛散が多い場合や、熱交換器20の性能が低い場合には原水に熱を供給するためにヒータ30を継続して使う必要がある。
送風機8により加圧された蒸気の一部を蒸気配管17を通して蒸発器内に吹き込み沸騰核とすることにより沸騰に必要な加熱度を低めることができる。蒸気配管は図1のように凝縮器内を通しても良く、凝縮器の外部を通しても良いが、外部の場合は保温が必要なことは言うまでもない。沸騰核のための蒸気量は蒸発室の水が沸点に達している箇所であれば、僅かで良いが、沸点よりも僅かに低い場合は凝縮により蒸気核がなくならないよう多めに蒸気を送ることが望まれる。最適な吹き込み口の選択を行えるよう、図1に示すように複数の吹き込み口を設置しておけば、運転条件に合わせ蒸発器内の温度が適切な位置の吹き込み口を選択することができ、そこに通じる配管設けバルブを開き、蒸気流量の調整を行うことができる。
図1の例では、ヒータ30を作動させながら原水及び濃縮水のラインのバルブを少しずつ開きながら水を通すと、時間の経過と共に熱交換器20の働きにより蒸発器10に入る原水の温度が高くなり、ついにはヒータ30の位置から水蒸気が発生するようになる。蒸発が始まったら、送風機8により圧力を高めながら水蒸気を凝縮器11に送り込むと沸点(凝縮温度)が高くなった水蒸気は伝熱板4の表面で凝縮し、蒸留水となる。凝縮熱は凝縮器11の凝縮面から蒸発器10の蒸発面に伝熱板4を通して効率よく伝熱される。水蒸気の圧縮度を高めて行くと、圧縮によりエネルギーの増えた水蒸気は蒸発器10の高温水を蒸発させる以上の熱量を有するようになり、一部の水蒸気は凝縮器11で凝縮しきれずに熱交換器20に達し、凝縮する。蒸留水と濃縮水は熱交換器20を通り、原水をほぼ沸点近くの(沸点より5℃低い温度以上の)温度まで高めることができる。外部に熱が逃げないように断熱性を高くし、また、水蒸気の圧縮率を高くすれば、ある程度時間が経ち定常状態になれば、ヒータ30の加熱をほとんどなくすことも可能である。例えば、圧力を1atmから1.1atmまで10%高めた場合には前述のように水蒸気の持つ熱量が2.99cal/gだけ増加するので、凝縮分を補うだけの水蒸気を沸騰水側から連続して送り込み0.1atmだけ水蒸気の圧力を高くし、保温を良くして、熱交換器のロスも含めて全体の熱ロスを水の3℃の温度低下以下に抑えれば、定常状態ではヒータによる加熱なしに蒸留水が連続生産できる。
蒸発器10での蒸発と凝縮器11での凝縮はヒートパイプで言えば蒸発端と凝縮端に相当し、凝縮端の温度が蒸発端の温度よりも高いため、通常であれば熱の移動は起こらないが、ブロワ等の送風機8により凝縮端の圧力を高めることにより、水蒸気温度が上昇するので、熱の移動が可能になる。ヒートパイプは蒸発伝熱と凝縮伝熱の熱伝達が高いことと、水蒸気の移動速度が速いことから熱移動が極めて優れているのであるが、本発明でも、伝熱板の厚さを薄くして、蒸発熱伝達率及び凝縮熱伝達率を高めることにより、極めて生産性が高くエネルギー使用量の極めて少ない蒸留水の製造が可能になる。このような伝熱板としては、原水にもよるが、例えば材質はチタン又は高耐食ステンレス、厚さは薄いほど好ましいが、装置の強度上の問題から0.3〜1.0mmが一般的である。
原水が淡水又はそれに近いものであれば、濃縮による沸点の上昇は濃縮率が数倍程度では沸点はほとんど変化しない。しかし、海水を原水とする場合、純粋な水の沸点に対し、海水の沸点は約0.5℃、2倍に濃縮された海水の沸点は約1℃高い。また、水の沸点の100℃では水の蒸気圧は1気圧(1atm)=760mmHgであり、1℃の温度変化で0.03〜0.04atmだけ蒸気圧が変化する。この値から計算すると、濃縮率を2倍(蒸留水と濃縮水が等量)になるようにした場合、凝縮側の圧力を1atmから0.02atm弱(13mmHg程度)まで高くすると原水を海水とした場合の原水側と水蒸気の凝縮側の温度が等しくなる。したがって、海水からの蒸留水製造のためには少なくとも大気圧運転の場合には0.02atm以上の圧力差が必要である。
水蒸気の圧力を1atmから1.5atmに高めると、ポアッソンの式
PVγ=const
から水蒸気の温度は139.8℃まで高まり、体積は0.738倍になる。この時凝縮温度は111.6℃なので、水蒸気は28.2℃温度が降下してから凝縮することになり、この時に放出する熱量は定圧比熱1.95J/g・℃を使って計算すると28.2×1.95=54.99J/g=13.16cal/gである。また、2atmまで高めると170.6℃まで高まり、体積は0.595倍になる。この時凝縮温度は120.4℃なので、水蒸気は50.2℃温度が降下してから凝縮することになり、この時に放出する熱量は定圧比熱1.95J/g・℃を使って計算すると
50.2×1.95=97.89J/g=23.42cal/g
である。
これはかなりの熱量であり、送風機(タービン)の効率を考慮すると、圧力比を2.0以上に大きくすることはエネルギー効率からは得策ではなく、エネルギー効率が低下しても造水速度を高めたい緊急時以外は圧力比を1.5以下で使用することが望ましい。また、蒸発器と凝縮器の圧力差を大きく取ることは頑丈な装置としなければならず、装置の価格が上昇する。低価格化のため、差圧を小さくした場合には、その差圧以下で運転することになる。
図2Aに、本発明に係る蒸留水及び濃縮水の製造装置の一例の組み立ての構成を示す。本発明による蒸留水及び濃縮水の製造装置は市販の熱交換器、配管、ポンプなどを組み合わせることで製造できる。実際の装置は運転しやすく、メンテナンスが容易であることが必要である。そのため、送風機8は、蒸発・凝縮装置2から切り離した。
図2Aに示された蒸留水及び濃縮水の製造装置1の構成を原水、蒸留水及び水蒸気の流れに従って説明する。図2Aでは、冷水(原水、蒸留水を含む)の流れは細実線の矢印、熱水(原水、蒸留水を含む)の流れは太実線の矢印、水蒸気の流れは破線の矢印により、それぞれ示している。
示された蒸留水及び濃縮水の製造装置1の構成を原水、蒸留水及び水蒸気の流れに従って説明する。図2Aでは、冷水(原水、蒸留水を含む)の流れは細実線の矢印、熱水(原水、蒸留水を含む)の流れは太実線の矢印、水蒸気の流れは破線の矢印により、それぞれ示している。
蒸留水を得る目的に対しては、原水40は、河川水などの淡水、海水、塩水湖水などの塩分を含む水などの自然水が使用できる。また、濃縮の目的は、塩の製造に必要な海水、塩水湖水の濃縮水を得るなど、有用物の濃化であることの他、有害な重金属あるいは環境基準以上に含まれる有害物質を含む要処理水の処理負荷を軽減することもある。
原水40は、ポンプ等の供給手段(図示せず)により装置に送り込まれる。まず、原水は脱気装置22に入り、脱ガスを行う。水蒸気が凝縮する速度(凝縮熱伝達率)は水蒸気中に非凝縮性ガスが含まれるか否かで大きく異なる。そのため、効率よく凝縮させるために凝縮速度を低下させる非凝縮性ガス(空気成分)をあらかじめ除去(脱ガス)することが望ましい。脱気装置22としては、低温の原水を真空ポンプで減圧して溶存ガスを放出させる方法が既に確立されているので、これらの装置を利用することが簡便であり好ましいが、その他のものでも良い。また、大気と平衡している自然水中には大気成分とほぼ同程度の比率で窒素、酸素、アルゴン、炭酸ガスなどが存在し、これらは温度が高くなるほど溶解度が低くなるため昇温過程で気泡として分離されるので、脱気装置22を用いないで、或いは併用して、原水を昇温させる熱交換器24、26を2段以上とし、途中の温度で分離されたガス気泡を捕集する方法を採用してもよい。
次に原水は、熱交換器24、26に分かれて流れる。熱交換器24では、蒸発・凝縮装置2の凝縮器から排出された蒸留水との間で熱交換を行い、原水の温度を沸点よりも5℃低い温度以上に加熱する。ここで5℃とした理由は、この温度から沸点まで上昇させるためには5cal/gの熱量が必要であり、気液分離率を50%とすると生成水には10cal/gの熱量が必要となってしまい、沸点よりも5℃以上低下するとエネルギー効率が低くなるからである。なお、5cal/gの熱量に相当する圧縮は1atmからであれば1.172atmまで、0.5atmからであれば0.586気圧まで加圧することになる。同様に、熱交換器26では、気液分離器6から排出された濃縮水(残渣水)との間で熱交換を行い、原水の温度を原水の沸点よりも5℃低い温度以上に加熱する。
原水と高温の蒸留水及び濃縮水とを熱交換するために使用する熱交換器24、26としては対向流式熱交換器が望ましく、とりわけプレート式熱交換器が適しているが、かならずしもプレート式熱交換器には限定されない。効率の良いプレート式熱交換器を対向流式で使用した場合、一次側と二次側の温度差をわずか1℃にすることも可能であり、2〜3℃の温度差で運転可能である。これにより、脱ガスされた原水は熱交換器の出口付近で沸騰温度に近づくが、圧力差を大きくとり凝縮器側の温度が高い時には、熱交換器に沸騰温度よりも高い凝縮水が流れ込み、蒸発器に入る前に沸騰を開始するようにすることもできる。熱交換のための熱水は濃縮水(残渣水)と蒸留水があるので、これらが混じらないようにする。図2Aの例では、プレート式熱交換器を2台使用しているが、3台以上を使用してもよく、あるいは1台で流路を仕切る仕切り板(めくら板)を取り付けこともでき、或いはその他の方法を採ることもできる。
それぞれの熱交換器24、26により加熱された原水は、合流して熱上げヒータ30を通って高温原水流入ライン12から蒸発・凝縮装置2に入るが、定常状態以降はほとんどヒータ30を働かせなくても良い。図1に説明したように、蒸発器内で、水蒸気の凝縮熱により加熱されて原水の少なくとも一部が蒸発する。立ち上げ時には水蒸気を発生させるために水蒸気発生ヒータ32を用いるが、定常状態になれば、このヒータもほとんど働かせなくても良い。気液分離器6にて、水蒸気と濃縮水に分離されて、濃縮水は、濃縮水排出ライン16から熱の回収のための熱交換器26に送られて冷却される。
水蒸気は、タービン式などの送風機(ブロア)8により加圧されて蒸発・凝縮装置2の凝縮器に送られ、生成された蒸留水は蒸留水排出ライン14から排出されて熱交換器24に送られる。
水蒸気の加圧は、原水の種類にもよるが圧力比を1.01〜2.0にすることが好ましい。大気圧であれば0.01〜1.0atmの加圧に相当する。その理由は、大気圧下の加圧が0.01atm以下では淡水の蒸留であっても実用的には圧力が低すぎ、凝縮器と蒸発器の温度差が小さいため、蒸留水製造能力が低いからである。加圧が大きいほど凝縮器と蒸発器の温度差が大きくなり、凝縮速度と蒸発速度が速くなり、蒸留水の生成速度は高まるが、加圧の圧力比が2.0を超えるような圧力では水を20℃以上も上昇させるほどのエネルギーを供給することになり、エネルギーコストが高くなるからである。装置の運転に際しては供給能力に余裕があれば、加圧を低め、水の需要が増えて供給能力の余裕がなくなったら、加圧を高めるフレキシビリティのある運転が可能である。
プレート式熱交換器は分解点検が容易であり、流体の方向の入れ替えも容易にできる。そのため、原水の流れるライン(流路)と、蒸留水又は濃縮水の流れるライン(流路)が交換できるようになっていることが好ましい。運転停止・清掃後、原水の流れていた流路に熱水を流し、熱水側流路に原水を流すことにより、原水側に付着したスケールが熱水に溶け出すので、スケール除去が完全でなくても良く、メンテナンスが容易となる。
蒸発器の沸騰部は大気圧でも良く、また、減圧していても良い。大気圧であれば装置の強度の問題が少ない利点がある。しかし、大気圧では100℃の沸騰温度となるため、減圧の場合よりも熱ロスが生じやすく、腐食性の海水を原水とする場合には温度が高いだけに熱交換器を構成する材料の耐食性も高くする必要があり、材料費が若干嵩むことになる。圧力を低めると、低温で蒸留が可能となり、また、装置へのスケール付着は強固ではなく、量も少なくなる、熱損失も少ない利点があるが、蒸留速度が低下する、あるいは減圧用に真空ポンプが必要となるなどの問題がある。
一方、圧力を高めると、装置の耐圧強度を高めるためコスト的問題が生じるほか、沸騰温度が高くなり、原水又は濃縮水の腐食性が高まるため、高価な材料が必要となる他、装置へのスケール付着が強固となり、量も多くなり、スケール除去の手間が増える。しかし、蒸留速度が高まるので、用途によっては圧力を高めることも有効である。
図2Bには、蒸発・凝縮装置としてのプレート式熱交換器3を2台連結し、連結部に蒸気配管17を通じて沸騰核となる加圧蒸気を吹き込めるようにした例を示す。蒸発・凝縮装置2はプレート式熱交換器であれば、1台で流路を仕切る仕切り板(めくら板)を取り付けることもできる。
図3に蒸発・凝縮装置を多段に組み合わせた本発明に係る装置の1例を示す。各組は、それぞれ、蒸発・凝縮装置2、2′、2″、気液分離装置6、6′、6″、送風機8、8′、8″、蒸留水排出ライン14、14′、14″、濃縮水排出ライン16、16′、16″を有し、1段目の蒸発・凝縮装置2に熱交換器(図示せず)で加熱された高温原水が高温原水流入ライン12から流入するが、2段目及び3段目の蒸発・凝縮装置2、2′、2″には、それぞれ1段目及び2段目の気液分離器6、6′から排出された濃縮水を原水として導入する。3段目の気液分離装置6″から排出された濃縮水及び各段の蒸発・凝縮装置2、2′、2″から排出された蒸留水は熱交換器に送られて原水の予熱のために熱交換が行われる。図3の例では、気液分離器6、6′から排出された濃縮水は、高温のため予熱の必要はない。図3の例は、蒸発・凝縮装置を3段に組み合わせているが、組み合わせは2段でもよく、4段以上にすることも可能である。この例でも沸騰核となる蒸気導入を行うことにより効率は高めることができる。
海水などの蒸留後に残る濃縮水を飽和まで濃縮すると沸点が10℃程度上昇するので、加圧力を高める必要が出てくる事になりエネルギーの消費が大きくなる。海水淡水化の場合には濃縮水の濃縮度を高くするとエネルギー的に不利となること、及び濃縮水の熱を熱交換器により回収することを考慮すると、濃縮率は2〜8倍程度が適切である。しかし、大型の設備では図3に示すように多段に蒸発・凝縮器を組み合わせれば、濃縮率を3倍程度の2段でも9倍に濃縮できることになり、効率が高まる。一方、海水などの蒸留後に残る濃縮水を製塩用として有効利用することも可能であり、この場合には濃縮する濃度は高いほど良い。しかし、10倍以上の高濃度の製塩用濃縮塩水を一挙に製造するとエネルギー的に不利となることから、図3に示すように濃縮工程を2回あるいはそれ以上に分割した多段蒸留が有利である。濃縮度が高く、より高い加圧力を必要とする段になるほど水量が少なくなるので小型の熱交換器で済み、多段化によりエネルギー効率が高まるのである。また、濃縮度が高くなるほど、塩の析出による閉塞を起こしやすくなるが、閉塞防止対策は最終段にだけ施せば良いなど、装置の価格、メンテナンスの費用などが全体として安くなる。
本発明による蒸留水及び/又は濃縮水の製造装置と方法により、メンテナンスの容易な装置により、エネルギーの使用が少ない状態で蒸留水を得ることができ、淡水の得にくい離島、乾燥地帯などでの利用から、工業用高純度水としての利用まで低コストの水を得られるようになる。逆浸透膜法と比較してもエネルギー効率を高めることが可能であり、しかもメンテナンスが容易である。
また、濃縮水の製造は食塩製造原料としての濃縮海水の製造、各種水処理の前処理など広い利用に対し、これまでより安価に行うことができるようになる。
なお、蒸留水の製造装置と方法ならびに濃縮水の製造装置と方法は、両方を使うことはエネルギー効率の観点から望ましいが、使用者の環境と必要性に応じてどちらか一方のみの使用で事足りるのであれば、どちらかだけを使用できることは当然である。
実験例
上記のとおり、伝熱板で仕切られた蒸発器と凝縮器とに送風機により圧力差を形成することにより、蒸発器と凝縮器との間で熱伝達が起こり、それにより凝縮器での蒸気の凝縮熱を蒸発器での蒸発に使用できる。このことを実証する実験装置の概略図を図4に示す。この実験装置では蒸発器10は外径122mm、内径121mm、高さ400mmのステンレス製円筒とし、その内部に5mm程度の流路幅を確保するため直径111mm、高さ300mmの上部に丸みを持たせたステンレス製円筒(内筒)5を下から5mm浮かせた状態で数点で固定した。凝縮器内円筒容器5の上部約100mmの蒸発器出口部分には送風機8を取り付けた。蒸気中に含まれる水滴は蒸発器上部に設置したミストトラップ9で捕集し、蒸発器壁に戻るようにした。次に、送風機8及び蒸発器全体を包みこむよう、その外側に内径約180mm、高さ430mmの凝縮器11を配し、凝縮器11の周囲および配管の必要箇所に保温材を配置した。図中の符号35は圧力計、36、36′、36″、36″′は温度計をそれぞれ示す。凝縮器11内の蒸気の一部を沸騰核として蒸発器に導入するために蒸気配管17が蒸発器高さの下から約1/5の位置で蒸発器に周方向に4箇所取り付け、それぞれの蒸気配管17には調整弁を設けて予め微量の蒸気が通るように調整した。供給する原水の温度を正確なものとするために、熱交換器20は使用せずに、その代わりに温度調節器付き原水槽27から望みの温度の原水を蒸発器4に供給できるようにした。凝縮器で生成した蒸留水は出口配管を出た後に冷却器29により冷却後、蒸留水溜め水槽39に導き、蒸留水の生成量を重量計47′により測定した。また、温度調節器付き原水槽27と原水流量調節弁43との間は軟らかなシリコンゴムホースで繋ぎ、槽も含めた原水重量を測定できるようにした。
圧力については、凝縮側を大気圧とし、送風機(タービン)8の入力電圧調整と原水流量調節弁43により蒸発器内を0.8atmまで下げることができるようにした。試験は、蒸発器内を0.9atm、凝縮器内を1atmとした時に次の結果が得られた。
(1) 実験前に原水流量調節弁43より上部の配管と蒸発器内に保持される水の重量(約1.2kg)をあらかじめ測定する。
(2) 温度調節付き原水加熱ヒータ37により、原水槽27の水を一旦沸騰させる。沸騰による水蒸気はフレキシブルカバー28により遮られ、圧力逃がし弁19を通って溶存空気と共に排出され、その後の原水への空気溶け込みはフレキシブルカバー28により防止された。この状態で原水を97℃の一定温度に保たせた。
(3) これとは別に水蒸気発生ヒータ31により、水蒸気供給器33を加熱して水蒸気を発生させ、これを水蒸気供給弁32を通して蒸発器10に蒸気を十分に供給してやると蒸発器内の温度計36′及び凝縮器内の温度計36が100℃を示し、圧力逃がし弁18から水蒸気が出てくるようになる。
(4) 水蒸気供給器付属弁32を閉じ、原水重量を重量計47により測定する。
(5) 送風機8を運転し蒸発器内圧力が0.9atmになるように送風機モーターの電圧を調整し、流量調整弁43を少しずつ開き蒸発器内に97℃の原水を供給する。
(6) この時蒸発器内の圧力が1atmに少し近づくが、そのまま97℃の原水を供給し、重量からみて蒸発器内の水の高さが130mmまで上がったと判断した後、流量調整弁43を閉じる直前まで細くする。そうすると蒸発器内圧力は0.9atmにほぼ戻り、蒸留水の流れ38が観察されるようになる。この時、蒸留水流量調節弁44は蒸留水の流れを阻害しないように開けておく。
(7) これ以降、原水重量と蒸留水の重量の合計が等しくなるよう流量調整弁43を調整する。このことは、蒸発器内の水の高さを一定に保つことである。
(8) 2分ほど経過すると蒸発器内下部の温度はほぼ97℃であるが、送風機から出てくる水蒸気の温度を温度計36で測定したところ、106℃程度に高まり、圧力逃がし弁18から漏れる水蒸気量がほぼ一定になる。
(9) この状態で蒸発器内圧力が一定になるよう送風機モーター供給電圧を微調整したところ約49V、4.9Aと約240Wとなった。また、安定状態の10分間に約270mlの蒸留水が得られた。この時の伝熱面積は約0.05mと計算される。
(10)次に流量調整弁43を開き、原水の重量から蒸発器内の水の高さが260mmまで上がったと判断できたところで流量調整弁43を調整し、その高さを維持するようにした。
(11)これにより圧力逃がし弁18から漏れる水蒸気量は目視では増え、また、蒸留水の流れは多くなった。
(12)安定状態になってからの10分間の蒸留水生成量は約500mlとなった。この時、0.9atmを維持するに必要な送風機電力は約250Wであり、伝熱面積は約0.1mと計算される。
(13)次に蒸発器に入る原水温度の影響を見るため、送風機の運転をそのまま継続しながら、原水槽27の設定温度を97℃から96℃に下げた。約3分後原水の温度が96℃に達した。また、蒸発器内下部の温度も96℃となった。一方、送風機から出てくる水蒸気の温度は106℃と変化がなかったが、圧力逃がし弁18から吹き出す水蒸気量は徐々に減り、吹き出し量は目視で半減した。しかし蒸留水の流れの様子は変化が見られなかった。また、0.9atmを維持するに必要な送風機電力は250Wのままであった。
(14)この状態で10分間運転したところ、蒸留水生成量はほとんど同じで、やはり10分間に約500mlが得られた。
(15)さらに蒸発器に入る原水温度を95℃まで徐々に低下させたところ、圧力逃がし弁18から吹き出す水蒸気量は徐々に減ったが、蒸留水生成速度はほとんど変化しなかった。さらに原水温度を下げたところ、95℃を僅かに下回ったところで圧力逃がし弁18から吹き出す水蒸気が停止した。それと共に蒸留水の流れ18もなくなったので、流量調整弁43を閉じた。
(16)送風機モーターに供給する電圧を上げ、電力を800Wにしたところ、蒸発器内の圧力は約0.8atmとなり、この瞬間圧力逃がし弁18から蒸気が吹き出たが、すぐに吹き出しは停止した。0.8atmにしたことで沸点が下がり水蒸気は一時的に発生したが、蒸留水の流れ出しは回復しなかった。凝縮器と大気とを完全にシールしていない構造のため、凝縮器内に空気が入って凝縮速度が低下し、十分な熱量が蒸発室に伝えられなくなったことが理由として考えられる。
今回の実験では伝熱面積が約0.05mと0.1mで、この伝熱面積に対し、240〜250W/hのエネルギー投入で、約1.6リットル/hおよび3リットル/hの蒸留水が得られた。また、沸点より1〜2℃低い温度の水を蒸発器に送り込んでも凝縮器からの熱により沸点まで加熱され、沸点で送り込む時と同程度の蒸留水が得られることが判明した。
以上述べたように、本発明による蒸留水及び/又は濃縮水の製造方法及び装置の構成を一例として説明したが、この構成に限定されるものではなく、請求の範囲から離脱することなく種々の変更が可能であることは言うまでもない。
1 蒸留水及び/又は濃縮水製造装置
2、2′、2″ 蒸発・凝縮装置
3 蒸発・凝縮装置
4 伝熱板
6、6′、6″ 気液分離機
8、8′、8″ 送風機
9 ミストトラップ
10 蒸発器
11 凝縮器
12 高温原水流入ライン
14、14′、14″ 蒸留水排出ライン
16、16′、16″ 濃縮水排出ライン
17 蒸気配管
18 圧力逃がし弁(凝縮器用)
19 圧力逃がし弁(原水槽用)
20 熱交換器
22 脱気装置
24、26 プレート式熱交換器
27 温度調節器付き原水槽
28 フレキシブルカバー
29 冷却器
30 熱上げヒータ
31 水蒸気発生ヒータ
32 水蒸気供給弁
33 水蒸気供給器
35 圧力計
36、36′、36″、36″′ 温度計
37 原水加熱ヒータ
38 蒸留水流
39 蒸留水溜め水槽
40 原水
43 原水流量調節弁
44 蒸留水流量調節弁
47 47′ 重量計(秤)

Claims (17)

  1. 原水から蒸留水及び/又は濃縮水を製造する方法において、該方法が、
    (i)沸点よりも5℃低い温度以上の原水を蒸発器に供給する段階と、
    (ii)前記蒸発器において、前記原水の少なくとも一部を水蒸気として蒸発させる段階と、
    (iii)濃縮水を排出する段階と、
    (iv)前記水蒸気を、前記水蒸気の凝縮温度が前記原水の沸点よりも高くなるように蒸発器内の圧力の1.01〜2.0倍だけ高くなるように加圧する段階と、
    (v)加圧された前記水蒸気を凝縮器で凝縮させ、蒸留水にする段階と
    を含み、
    前記蒸発器と前記凝縮器とが伝熱板により仕切られており、前記凝縮器内での前記水蒸気の凝縮による凝縮熱を、前記凝縮器から前記蒸発器へ前記伝熱板を通して伝えることにより、前記蒸発器内で前記原水を沸騰させる、蒸留水及び/又は濃縮水の製造方法。
  2. 前記(ii)の段階が、少なくとも一部を水蒸気として蒸発させた前記原水を水蒸気と濃縮水とに分離する段階を更に含む、請求項1に記載された蒸留水及び/又は濃縮水の製造方法。
  3. (vi)凝縮された前記蒸留水を冷却する段階及び/又は
    (vii)排出された前記濃縮水を冷却する段階
    をさらに含む、請求項1又は請求項2に記載された蒸留水及び/又は濃縮水の製造方法。
  4. 前記蒸発器に供給される前記原水を沸点よりも5℃低い温度以上に予熱する段階を更に含む、請求項1から請求項3までのいずれか1項に記載された蒸留水及び/又は濃縮水の製造方法。
  5. 前記原水を予熱する段階、前記蒸留水を冷却する段階、及び前記濃縮水を冷却する段階を、少なくとも1つの対向流式の熱交換器において行い、前記蒸留水及び/又は前記濃縮水から前記原水に熱を与えることにより前記原水を沸点より5℃低い温度以上に予熱する、請求項4に記載された蒸留水及び/又は濃縮水の製造方法。
  6. 前記熱交換器がプレート式熱交換器である、請求項5に記載された蒸留水及び/又は濃縮水の製造方法。
  7. 加圧された前記水蒸気の一部を蒸発器に戻して、沸騰の加熱度を小さくするための水蒸気核を形成する、請求項1から請求項6までのいずれか1項に記載された蒸留水及び/又は濃縮水の製造方法。
  8. 前記蒸発器で濃縮された水を原水として、前記(ii)、(iii)、(iv)、(v)の各段階を1回又は複数回のサイクルで繰り返す、請求項1から請求項7までのいずれか1項に記載された蒸留水及び/又は濃縮水の製造方法。
  9. 前記原水が海水又は塩水湖水であり、前記加圧する段階が、前記凝縮器内の圧力が前記蒸発器内の圧力の1.02〜2.0倍だけ高くなるように加圧する、請求項1から請求項8までのいずれか1項に記載された蒸留水及び/又は濃縮水の製造方法。
  10. 前記原水が、重金属を含む要処理水、又は揮発性を有しない物質を含む要処理水である請求項1から請求項9までのいずれか1項に記載された蒸留水及び/又は濃縮水の製造方法。
  11. 原水から蒸留水及び/又は濃縮水を製造する蒸留水及び/又は濃縮水製造装置において、該蒸留水及び/又は濃縮水製造装置が、
    原液を供給する原水供給手段と、
    前記原水供給手段から供給された前記原水の少なくとも一部を蒸発させる蒸発器と、
    前記蒸発器と連通する、水蒸気を凝縮させて蒸留水を作る凝縮器と、
    前記蒸発器から前記凝縮器に通じるラインに設けられた加圧手段と
    を備え、
    前記加圧手段は、前記凝縮器内の水蒸気を、前記水蒸気の凝縮温度が前記原水の沸点よりも高くするように加圧するようになっており、
    前記蒸発器と前記凝縮器が伝熱板で仕切られており、前記凝縮器内での水蒸気の凝縮による凝縮熱を、前記凝縮器から前記蒸発器へ前記伝熱板を通して伝えることにより、前記蒸発器内で前記原水を沸騰させるようになっている、蒸留水及び/又は濃縮水の製造装置。
  12. 前記蒸発器と前記凝縮器との間に設けられた、前記原水を水蒸気と濃縮水に分離する気液分離装置を更に含む、請求項11に記載された蒸留水及び/又は濃縮水の製造装置。
  13. 前記原水供給手段と前記蒸発器との間に設けられた少なくとも1つのプレート式熱交換器を更に含み、
    前記蒸発器又は前記気液分離装置から排出された濃縮水、及び/又は前記凝縮器から排出された前記蒸留水が、前記プレート式熱交換器において前記原水と熱交換を行うようになっている、請求項11または請求項12に記載された蒸留水及び/又は濃縮水の製造装置。
  14. 加圧された水蒸気の一部を蒸発器内に戻すための配管を更に有する、請求項11から請求項13までのいずれか1項に記載された蒸留水及び/又は濃縮水の製造装置。
  15. 少なくとも1組の蒸発器、該蒸発器に連通する加圧手段、該加圧手段に連通する凝縮器を更に有し、前の組の凝縮器から排出された濃縮水を原水として次の組の蒸発器に導入するように、各組が連結されている、請求項11から請求項14までのいずれか1項に記載された蒸留水及び/又は濃縮水の製造装置。
  16. 前記原水が海水又は塩水湖水であり、前記加圧手段が、前記凝縮器内の圧力が前記蒸発器内の圧力の1.02〜2.0倍だけ高くなるように加圧する、請求項11から請求項15までのいずれか1項に記載された蒸留水及び/又は濃縮水の製造装置。
  17. 前記プレート式熱交換器は、原水の流れるラインと、蒸留水又は濃縮水の流れるラインが交換できるようになっている、請求項11から請求項16までのいずれか1項に記載された蒸留水及び/又は濃縮水の製造装置。
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