JPWO2010013789A1 - タンパク質製造方法,融合タンパク質及び抗血清 - Google Patents

タンパク質製造方法,融合タンパク質及び抗血清 Download PDF

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Abstract

微生物を利用した異種タンパク質の製造のための高効率の製造方法並びに融合タンパク質及び抗血清が開示されている。当該製造方法は,タンパク質(A)を融合タンパク質の形で製造するための方法であって,(a)タンパク質(A)を構成するペプチド鎖をBacillus thuringiensisが産生するCryタンパク質のC末端側ペプチド鎖又はその断片(B)のN末端側又はC末端側に連結させてなる融合タンパク質をコードするDNAを作製するステップと,(b)該DNAを宿主細菌に導入して該宿主細菌を形質転換するステップと,(c)形質転換された宿主細菌中で融合タンパク質を発現させるステップとを含んでなるものである製造方法,並びに得られた融合タンパク質からペプチド鎖(B)を除去するステップを含んでなるタンパク質(A)の製造方法である。

Description

本発明は,タンパク質の製造方法に関し,特に,細菌を宿主に用いて行う異種タンパク質の製造方法であって,Bacillus thuringiensisが形成するCryタンパク質の特性を利用した,異種タンパク質の高効率の製造方法に関する。更に本発明は,当該製造方法で製造される融合タンパク質,そのような融合タンパク質に対する抗血清,抗体並びにそれらを含む検査用試薬及び分析方法に関する。
従来,生物関連製品の主要成分であるタンパク質/酵素の製造は,遺伝子が単離されている場合にはこれを大腸菌などの微生物に導入/発現させるといった簡便で低コストの調製法が模索されてきた。しかし,異種タンパク質を微生物細胞内で発現/蓄積させる場合,不成功に終わるケースも多い。その原因は生成効率を挙げようとした場合に特に顕著である。すなわち,微生物細胞内で生合成された異種タンパク質が不溶性封入体を形成して蓄積し,その過程で失活するためである。このような不溶性タンパク質封入体を可溶化して生物活性を回復させることは一般には極めて困難である。
あるいは,製造しようとする異種タンパク質が細胞毒性を有する場合にはその毒素タンパク質の蓄積によって宿主細胞自身が増殖/生存に悪影響を受け,生産収量の低下,さらには宿主細胞の死を引き起こしてしまう。
このような問題点があるために生物関連製品の主要成分であるタンパク質/酵素の製造には,元々それを産生する各生物個体などを用いた時間とコストのかかる方法を取らざるを得ない場合が多い。工業的生産においてはこのようなことが効率的製造法開発の阻害要因となっているケースが多いと思われ,克服すべき重要な問題点の一つである。
一方,好気性土壌細菌Bacillus thuringiensis が産生する殺虫タンパク質が古くより知られている(例えば,総説として,非特許文献1参照)。Bacillus thuringiensisは,芽胞を形成する際に,芽胞とは別に結晶体タンパク質(「Cryタンパク質」と呼ばれる。)を主成分とする大きな副芽胞封入体(parasporal inclusion)を,通常1個形成する。Cryタンパク質は,およそ1000〜1200個程度のアミノ酸よりなり,Bacillus thuringiensisの種々の菌株が産生する多数のものが知られている。それらの半数程度に,何らかの昆虫に対する特異的な殺虫活性が見出され,そのような活性を有するCryタンパク質を形成する菌株には,現在BT殺虫剤として広く用いられているものも存在する。殺虫活性を有するCryタンパク質は,それぞれ,これを摂食した標的昆虫の幼虫内において消化液により,アミノ酸配列の所定の位置においてC末端側ペプチド(アミノ酸約400〜500個よりなる。「Cter」と略記。)が切断除去され,N末端側に残ったペプチド鎖(但し,N末端の短いアミノ酸鎖も,除去される)が,強い殺虫活性を示す。例えば,Cry4Aaと命名されているタンパク質は,そのアミノ酸配列中N末端側のMet1〜Gln695の領域(特にそのうちMet1〜Tyr57が除去された残りのペプチド鎖)が直接の殺虫成分として標的昆虫(アカイエカ等)に作用する。Ile696以降のアミノ酸よりなるCterは切断除去され,殺虫活性の発現には不要な部分である(非特許文献2)。また,Cry1Aaとして知られるタンパク質は,鱗翅目昆虫(蝶や蛾)に対して特異的な殺虫活性を有する毒素であるが,そのアミノ酸配列中N末端側のMet1〜Lys621の領域(特にそのうちMet1〜Arg28が除去された残り)が直接の殺虫成分として働いており,Ala622以降のCterは,切断除去される(非特許文献3)。また,Cry1Aaと同様に鱗翅目昆虫(蝶や蛾)に特異的な殺虫毒素であるCry1Acも,そのアミノ酸配列中N末端のMet1〜Lys623(特にそのうちMet1〜Arg28が除去された残り)が直接の殺虫成分であり,それよりC末端側のAla624以降のCterは殺虫活性の決定に関与せず,昆虫幼虫の消化液により切断除去される(非特許文献4)。近年では更に,未だ殺虫活性の知られていないCryタンパク質も見出されており,それらの内にはヒトの癌細胞を特異的に破壊するものや,ヒトのトリコモナス症の病原性原虫であるTricomonas vaginalis を特異的に殺すもの,線虫に強い殺虫活性を示すものも見られる。これらCryタンパク質は,その生物活性やそれが障害作用を発揮する標的細胞は異なるものの,何れもBacillus thuringiensisの細胞内に大きな副芽胞封入体を形成して存在する,という点において共通している。
大庭道夫,堀秀隆,酒井裕篇,「Bacillus thuringiensis 殺虫タンパク質の科学」,株式会社アイピーシー,2005年2月28日 M. Yamagiwa et al., Appl. Environ. Microbiol. 65: 3464-3469 (1999) P. Grochulski et al., J. Mol. Biol. 254: 447-464 (1995) J.N. Aronson and H.C. Arvidson, Appl. Environ. Microbiol. 53: 416-421 (1999)
上記の背景において,本発明の目的は,微生物を利用した異種タンパク質/酵素の製造のための,従来に比して効率の高い製造方法を提供することである。
本発明者らは,大腸菌等の宿主細菌中において,上記Cryタンパク質のCterに別のタンパク質を融合させたものを細菌中で発現させると,細胞内に不溶性の融合タンパク質を含んだ封入体(以下,「クリスタル」という。)が形成されて当該異種タンパク質が大量に蓄積されること,及びそのようなクリスタルが,これまで知られていた他の不溶性封入体と異なり,次のような優れた性質を有することを見出した。
a.クリスタルには,異種タンパク質/酵素が生物活性を保持したまま取り込まれていること。
b.クリスタルは,pH10〜11程度のアルカリ性緩衝液中で効率よく可溶化すること。
c.上記可溶化によって,生物活性を保持した異種タンパク質/酵素を,上清画分に容易に回収できること。
d.細胞毒性を有する異種タンパク質であってもクリスタル形成により効率よく生産できること。
e.クリスタルは,そのまま長期間安定に保存できること。
本発明者はまた,そのようなクリスタルの形成には,Cterの全長は必須でなく,CterのうちN末端側の約140〜160個程度のアミノ酸よりなる部分を用いれば十分であることも見出した。特に,他のタンパク質と融合させたとき融合タンパク質がクリスタルを形成することが最初に確認されたCry4Aa2の4AaCter(696-851)(CterのN末端側約1/3長の断片)に基き,当該断片とのアラインメントにより,各種のCterのアミノ酸配列から類似性に基いて断片を選択して検討したところ,それらにも同様のクリスタル形成能が確認された。また,本発明により得られる融合タンパク質で動物を免疫して得られる抗血清は,Cterと融合させる前のもとのタンパク質に対して反応性であることが確認された。本発明は,これらの発見に更に検討を加えて完成させたものである。
すなわち本発明は,以下を提供する。
1.タンパク質(A)を融合タンパク質の形で製造するための方法であって,
(a) 該タンパク質(A)を構成するペプチド鎖を別のペプチド鎖(B)のN末端側又はC末端側に連結させてなる融合タンパク質をコードするDNAを作製するステップであって,ここに該ペプチド鎖(B)が, Bacillus thuringiensisが産生する次の表1又は2,
に示した何れかのCryタンパク質のアミノ酸配列中,該表に示にした部分配列を含んだC末端側ペプチド鎖よりなるものであるステップと,
(b) 該DNAを宿主細菌に導入して該宿主細菌を形質転換するステップと,そして
(c) 形質転換された該宿主細菌中で該融合タンパク質を発現させるステップと
を含んでなるものである製造方法。
2.該タンパク質(A)を構成するペプチド鎖を別のペプチド鎖(B)のN末端側又はC末端側に連結させてなる融合タンパク質をコードするDNAを作製するステップにおいて,該タンパク質(A)を構成するペプチド鎖をコードするDNAと該ペプチド鎖BをコードするDNAとの間にタンパク質分解酵素の特異的切断部位を構成するアミノ酸配列をコードするDNAを介在させるものである,上記1の製造方法。
3.発現された該融合タンパク質を含んだ宿主細菌を破壊して該融合タンパク質を回収するステップを更に含むものである,上記1又は2の製造方法。
4.回収された該融合タンパク質をアルカリ性水溶液中で可溶化して精製するステップとを更に含むものである,上記3の製造方法。
5.上記4により得られた該融合タンパク質から該ペプチド鎖(B)を除去するステップを含んでなる,タンパク質(A)の製造方法。
6.該ペプチド部分(B)の除去が,該融合タンパク質が該タンパク質(A)を構成するペプチド鎖と該ペプチド部分(B)との間に有するタンパク質分解酵素の特異的切断部位を該タンパク質分解酵素で処理することによりなされるものである,上記5の製造方法。
7.上記3又は4の製造方法により製造された融合タンパク質。
8.上記7の融合タンパク質によって哺乳動物を免疫し,該動物の血清を回収することにより得られる,該タンパク質(A)に対し反応性である抗血清。
9.該タンパク質(A)がC−反応性タンパク質である,上記7又は8の抗血清。
10.上記8又は9の該抗血清より単離された,該タンパク質(A)に対する抗体。
11.上記8又は9の抗血清を含んでなる,検査用試薬。
12.上記10の抗体を含んでなる,検査用試薬。
13.タンパク質(A)についてサンプルを分析する方法であって,
該サンプルに上記8の抗血清又は上記9の抗体を接触させ,抗原抗体複合体を形成させるステップと,
該抗原抗体複合体を検出するステップと
を含んでなるものである方法。
14.該タンパク質(A)がC−反応性タンパク質である,上記13の方法。
本発明によれば,大腸菌等の細菌を宿主として用いて,異種タンパク質を融合タンパク質の形で,もとのタンパク質の活性を保持(但し,潜在的に)した不溶性のクリスタルとして細胞内に大量に産生させることができる。不溶性のクリスタルは,その状態のままでは宿主細菌に対してもとの異種タンパク質の活性を呈することはないため,宿主にとって有害ないし致死的なタンパク質でも,大量産生が可能である。またクリスタルは,容易に単離しアルカリ条件下で可溶化して回収,精製することができる。可溶化された融合タンパク質はもとの異種タンパク質の活性を有しており,またCter部分を適宜な方法で除去することにより,もとの異種タンパク質を容易に得ることもできる。従って,本発明によれば,大腸菌等の細菌を宿主とした異種タンパク質の製造の効率を,これまでに比して飛躍的に高めることができる。
また,従来微量にしか得られなかったタンパク質であっても,本発明により,Cryタンパク質のC末端側ペプチド鎖と融合させた形で大量に得ることができる。このため,当該融合タンパク質で哺乳動物(例えば,家兎,ヤギ)を免疫して血清を回収することにより,もとのタンパク質に対して反応性の抗血清を得ることが容易となる。そのような抗血清は,サンプル(例えば,生体組織,血液,血漿,血清等の生体サンプル)中におけるもとのタンパク質の検出や定量に,例えば検査用試薬の形で利用できる。また同抗血清からもとのタンパク質に対する抗体(ポリクローナル抗体)を単離でき,当該抗体も同じ目的に使用することができる。
4AaCter (696-851)をコードする遺伝子を反復PCR法で構築するための合成DNAの作製のためのプライマーセット 反復PCRによる4AaCter(696-851)の全体をコードするDNAの作製方法の概要図 GSTと4AaCter (696-851)との融合タンパク質の連結順序を示す図 4AaCter (696-851)をコードするDNAの作製から融合タンパク質の発現ベクターの構築までの流れ示す概要図 4AaCter(696-851)をコードするDNA断片の増幅に用いたプライマー対 発現ベクターpGEX-6P-1のマップ pGST-4AaCterで形質転換し発現誘導した大腸菌中におけるクリスタル形成を示す図面代用写真 pGST-4AaCterで形質転換し発現誘導した大腸菌中におけるクリスタルの不溶性画分局在性を示す図面代用写真。図において,M:サイズマーカー,1:発現誘導後の細胞全体,2:細胞破砕後上清,3:細胞破砕後沈殿,4:可溶化後上清 Cry4AaのCterの種々の断片との融合タンパク質のクリスタル形成性の検討結果を示す図 MM29kDと4AaCter (696-851)との融合タンパク質の2通りの連結順序を示す図 4AaCter-MM29kDの製造のための発現ベクターの構築の流れを示す概要図 pGEX-4T-3のマップ "ATG"をのみを残してGSTのオープンリーディングフレーム(ORF)の全体を除去するために用いたプライマー対 "ATG" とMM29kDをコードするDNAの5’末端との接続部付近の塩基配列を示す図 MM29kD-4AaCterの製造のための発現ベクターの構築の流れを示す概要図 pΔGST-4AaCter-MM29kD及びpΔGST-MM29kD-4AaCterでそれぞれ形質転換し発現誘導した大腸菌中におけるクリスタル形成を示す図面代用写真 4AaCter-MM29kD及びMM29kD-4AaCterのSDA-PAGE結果を示す図面代用写真 発現ベクターpGST-1AaCterを構築の流れを示す概要図 pGST-1AaCterで形質転換し発現誘導した大腸菌中におけるクリスタル形成を示す図面代用写真 pGST-1AaCterで形質転換し発現誘導した大腸菌から得られたクリスタルの不溶性画分局在性を示す,SDS-PAGE結果の図面代用写真。図において,M:サイズマーカー,1:IPTG(-) 総タンパク質,2:IPTG(+) ,3:IPTG(+) 遠心上清(可溶性タンパク質画分),4:IPTG(+) 遠心沈殿(不溶性タンパク質画分) pGST-1AaCterで形質転換し発現誘導した大腸菌から得られたクリスタルのアルカリ可溶化後のSDA-PAGE結果の図面代用写真。図において,M:サイズマーカー,1:遠心上清(可溶性タンパク質画分),2:遠心沈殿(不溶性タンパク質画分) pGST-1AcCterで形質転換し発現誘導した大腸菌中におけるクリスタル形成を示す図面代用写真 pGST-1AcCterで形質転換し発現誘導した大腸菌から得られたクリスタルの不溶性画分局在性を示す,SDS-PAGE結果の図面代用写真。図において,M:サイズマーカー,1:IPTG(-) 総タンパク質,2:IPTG(+) 総タンパク質,3:IPTG(+) 遠心沈殿(不溶性タンパク質画分),4:IPTG(+) 遠心上清(可溶性タンパク質画分) 1AcCterにより形成されたクリスタルの可溶性調査結果を示す。pGST-1AcCterで形質転換し発現誘導した大腸菌から得られたクリスタルのアルカリ可溶化後のSDA-PAGE結果の図面代用写真。図において,M:サイズマーカー,1:遠心沈殿(不溶性タンパク質画分),2:遠心上清(可溶性タンパク質画分) CRP及び4AaCter-CRPの発現確認用SDS-PAGEの結果を示す図面代用写真 4AaCter-CRP及びヒト生体由来CRPのウェスタンブロッティングの結果を示す図面代用写真 4AaCter及び4AaCter-CRPのウェスタンブロッティングの結果を示す図面代用写真
本明細書において,アミノ酸番号は,元のCryタンパク質の開始コドンに対応するメチオニン(Met)残基を1とする。
実施例の部に示すように,複数の異なるCter及び複数の異種タンパク質の組み合わせを用いた実施例においてクリスタルの形成が同じように確認されたこと,及びCterの構造が殺虫毒素間で高度に保存されていることから,融合タンパク質のクリスタル化能は,大きな副芽胞封入体を形成するという特徴を有するCryタンパク質のCter部分に共通する性質と考えられる。
Cryタンパク質としては,多数のものが知られている(Bacillus thuringiensis Toxin Nomenclature: http://www.lifesci.sussex.ac.uk/home/Neil_Crickmore/Bt/)。本発明の目的には,Cryタンパク質を構成する全長アミノ酸配列のうち,殺虫効力等の生物活性の決定に関与しているN末端側は必要がなく,残り部分のC末端側ペプチド鎖(Cter)を,目的とするタンパク質との融合タンパク質の形成に用いればよい。またCterを使用するに当たっても,その全長は必須でなく,そのN末端側約140〜160個程度のアミノ酸よりなる部分を用いれば十分であり,また更に,その断片を用いることもできる。
例えば,Cry4Aa1,Cry4Aa2及びCry4Aa3(Cry4Aa群)の場合,Cter(Ile696以降の部分)中の部分配列Ile696-Pro851(配列番号6)は何れも共通であるが,当該部分配列よりなるペプチドと異種タンパク質との融合タンパク質がクリスタルを形成することが確認された(実施例を参照)。更に,当該部分配列中の種々の部分配列のうち,Ile801-Ser829(配列番号7)と又はこれを包含する部分配列よりなるペプチドと異種タンパク質との融合タンパク質も,同様にクリスタルを形成する一方,これを包含しない部分配列は,クリスタルを形成しなかった(実施例)。従って,Ile801-Ser829(配列番号7)は,融合タンパク質にクリスタル形成能を付与する配列であると考えられる。当該配列を含んだCterの適宜の部分配列を,クリスタル形成能の付与を目的として異種タンパク質との融合タンパク質の形成に使用することができる。
また,Cry4Ba1,Cry4Ba2及びCry4Ba5の相互間では,Cry4Aa1の上記Cter断片Ile696-Pro851に対応するものである部分配列Val652-Pro807(配列番号8)のアミノ酸配列が完全に一致しており,且つ,何れもCry4Aa1のIle801-Ser829(配列番号7)と等しい配列をその中に含んでいる(Ile757-Ser785:配列番号9)。従って,Cry4Ba1,Cry4Ba2及びCry4Ba5については,Cter(Val652以降の部分)そのもの,又はIle757-Ser785を含んだCterの適宜の部分配列を,本発明のために使用することができる。
Cry4Ba4において,Cter(Val651以降の部分)中,Cry4Aa1の上記Cter断片Ile696-Pro851に対応するものである部分配列Val651-Pro806(配列番号10)は,Cry4Ba1,Cry4Ba2及びCry4Ba5の部分配列Val652-Pro807とアミノ酸配列が完全に一致しており,Cryタンパク質における開始部分を異にするのみである。従ってまた,Cry4Ba4は,Cry4Aa1のIle801-Ser829(配列番号7)と等しい配列をその中に含んでいる(Ile756-Ser784:配列番号11)。このため,Cry4Ba4についても,Cter(Val651以降の部分)そのもの,又はIle756-Ser784を含んだCterの適宜の断片を,本発明のために使用することができる。
Cry4Ba3において,Cter(Val652以降の部分)中,Cry4Aa1の上記Cter断片Ile696-Pro851に対応するものである部分配列Val652-Pro807(配列番号12)も,Cry4Aa1のIle801-Ser829(配列番号7)と等しい配列をその中に含んでいる(Ile757-Ser785:配列番号13)。従って,Cry4Ba3についても,Cter(Val652以降の部分)そのもの,又はIle757-Ser785を含んだCterの適宜の断片を,本発明のために使用することができる。
Cry1Aa1等の上記表に示したCry1Aa群については,何れもCterはAla622以降の部分であり,そのうちの部分配列Ala622-Pro777はアミノ酸が相互に完全に一致している。この一致部分よりなるペプチドと異種タンパク質との融合タンパク質がクリスタルを形成することが確認された(Cry1Aa3由来のペプチドを用いた実施例を参照)。従って,当該Cry1Aa群については,Cter(Ala622以降の部分)そのもの,又はAla622-Pro777を含んだCterの適宜の断片を,本発明において使用することができる。
Cry1Ab3等の上記表に示したCryAb群(但しCry1Ab2を除く)については, Cterは何れもAla623以降の部分であり,そのうち,Cry4Aa1の上記Cter断片Ile696-Pro851に対応するものである部分配列Ala623-Pro778は,アミノ酸が相互に完全に一致している。また,当該部分配列は,上記Cry1Aa群のCterの部分配列Ala622-Pro777と較べたとき,Cry1Aa群におけるGln664がCryAb群においては665Lysに置換されているだけであり,それ以外は,アミノ酸番号が全体として1だけ増しているに過ぎない。CryAb群タンパク質が副芽胞封入体を形成するタンパク質であること及びそのCterの部分配列Ala623-Pro778がCry1Aa群のCterの部分配列Ala622-Pro777(実施例にてクリスタル形成を確認)と1個のアミノ酸においてのみの相違であることから,CryAb群のCter(Ala623以降の部分)そのもの,又はAla623-Pro778を含んだCterの適宜の断片を,本発明において使用することができる。
Cry1Ab2のCterはAla624以降の部分であり,そのうちAla624-Pro779のアミノ酸配列は,上記のCry1Ab群におけるSer703とAsp712が,Asn704とHis713にそれぞれ置き換わっているだけであり,それ以外はアミノ酸番号が全体として1だけ相違するに過ぎない。このこと及びCry1Ab2が副芽胞封入体を形成するタンパク質であることから,そのCter(Ala624以降の部分)そのもの,又はAla624-Pro779を含んだCterの適宜の断片を,本発明において使用することができる。,
上記表中,Cry1Ac1,Cry1Ac4,Cry1Ac7,Cry1Ac8,Cry1Ac9,Cry1Ac10,Cry1Ac11,Cry1Ac16及びCry1Ac19よりなる群(Cry1Ac(I)群)については,CterはAla624以降の部分であり,Cry1Ac5,Cry1Ac12,Cry1Ac14,Cry1Ac15,及びCry1Ac20よりなる群(Cry1Ac(II)群)については,CterはAla623以降の部分である。また前者における部分配列Ala624-Pro779と後者における部分配列Ala623-Pro778は,アミノ酸配列が完全に一致する。Cry1Ac1の部分配列Ala624-Pro779よりなるペプチドと異種タンパク質との融合タンパク質がクリスタルを形成することが確認されたことから(実施例を参照),これらCry1Ac(I)群及びCry1Ac(II)群についても,それらのCter部分そのもの,又はCry1Ac(I)群では部分配列Ala624-Pro779を含んだCterの適宜の断片,Cry1Ac(II)群では部分配列Ala623-Pro778を含んだCterの適宜の断片を,本発明において使用することができる。
本発明においては,製造しようとするタンパク質をコードするDNAの3’側末端又は5’側末端に,Cter又はその上記した断片をコードするDNAが,読み枠を合わせて〔インフレーム(in-frame)で〕連結されることにより,目的のタンパク質とCter(又は断片)との融合タンパク質をコードするDNAが作製される。
本発明において,Cter(又は断片)のDNAは,用いようとする特定のCryタンパク質の遺伝子を有するBacillus thuringiensis菌の全DNAを鋳型として,PCRにより調製することができる。調製に際し,常法に従い発現ベクターへの組み込みのための制限酵素部位をプライマーに予め設けておくことができる。また,鋳型として用いるためのBacillus thuringiensis菌の全DNAが入手できない場合は,公表/登録(DDBJなど)されている遺伝子塩基配列/アミノ酸配列情報に基づき,常法に従って,Cter(又は断片)の領域全体をカバーする数本〜10本程度のプライマーDNA(長さは,最長で50〜60塩基)を化学合成により作製し,それらを用いて反復(recursive)PCRを行うことにより,当該領域のDNAを合成すればよい。
反復(recursive)PCRの手法は当業者に周知である。これを用いたCter(又は断片)領域のDNA合成は,4AaCter(696-851)〔Cry4Aa群のIle696-Pro851〕の場合を例として挙げれば,次のようにして行うことができる。すなわち,4AaCter(696-851)の塩基配列を10個の領域に分け,隣接する領域と末端部分で相互にハイブリダイズするよう相補的塩基を末端に残して作製した次の化学合成プライマー(図1)を用いて,4AaCter (696-851)の全体をコードするDNAを反復(recursive)PCRにより作製する。なお図1に示すこれらの塩基配列において,大文字で示した塩基は4AaCter (696-851)をコードする塩基配列内の塩基,小文字で示した塩基は実験操作の都合上付加した塩基である。
(1) プライマーC1-1-f(配列番号15)
(2) プライマーC1-1&2-r(配列番号16)
(3) プライマーC1-2&3-f(配列番号17)
(4) プライマーC1-3&4-r(配列番号18)
(5) プライマーC1-4&5-f(配列番号19)
(6) プライマーC1-5&6-r(配列番号20)
(7) プライマーC1-6&7-f(配列番号21)
(8) プライマーC1-7&8-r(配列番号22)
(9) プライマーC1-8&9-f(配列番号23)
(10) プライマーC1-9-r(配列番号24)
相互に相補的な配列を一端に有するプライマー対C1-1-f及びC1-1&2rを用いてPCRにより作製したDNA断片と,相補的配列を末端に有して一連のプライマー対C1-2&3-f,C1-3&4-r,C1-4&5f,C1-5&6-r,C1-6&7-f及びC1-7&8-rを用いたPCRにより作製した断片と,C1-8&9-f及びC1-9rを用いてPCRにより作製した断片とを用いて, PCRにより,4AaCter(696-851)の全体をコードするDNA(配列番号25)が作製される(図2)。
また,目的の異種タンパク質とCter(又は断片)の間に,酵素により特異的に切断できる部位を構成するアミノ酸配列(たとえばプロテアーゼの標的となるアミノ酸配列)がスペーサーとして挿入されるようこれをコードするDNAを予め挿入しておいてもよい。そのようなDNAの挿入はプライマーの塩基配列を適宜選択することで行うことができ,そのような方法も当業者に周知である。
作製された遺伝子を大腸菌等の宿主細菌に導入し,融合タンパク質を発現させることにより,この融合タンパク質はクリスタルを形成して細胞内に大量に蓄積する。クリスタルの形成は光学顕微鏡観察で容易に確認することができる。
上記で得られた,クリスタルを大量に蓄積した宿主細胞を破砕し,遠心分離することにより,沈殿画分としてクリスタルを回収することができる。回収されたクリスタルをアルカリ性の水溶液,例えば,pH 10.5〜12程度の炭酸ナトリウム緩衝液等に懸濁させ,30〜37℃で30分〜2時間インキュベートすることにより,クリスタルを溶解させることができる。クリスタル溶解後,遠心分離することにより,生物活性を保持した融合タンパク質が上清中に回収される。
上記で回収された活性な融合タンパク質は,用途によってはそのまま使用してもよく,また必要に応じてイオン交換クロマトグラフィー等汎用の精製手段を用いて更に精製してもよい。
また,目的の異種タンパク質とCter(又は断片)の間に酵素による特異的切断部位を挿入してある場合には,融合タンパク質を当該酵素で処理して当該配列で切断し,Cter(又は断片)部分を除去して目的タンパク質のみを回収することができる。
また,宿主細胞に融合タンパク質の形で産生させるためにCryタンパク質のCter(又は断片)と融合させる異種タンパク質としては,分子量が50kDa以下のタンパク質であることが好ましい。
なお,本発明の方法により得られる融合タンパク質の検出は,簡便な一方法として,融合に用いるCterにより常法に従って免疫した動物(特に哺乳類,例えば,家兎,ヤギ等)から回収できるCterに対する抗血清(又は当該抗血清から単離された抗Cter抗体)を用いて,融合タンパク質のCter部分を検出することにより行うことができる(実施例8参照)。検出には,例えば,ウエスタンブロッティング,ELISA法,免疫沈降法等,当業者に周知の手法を用いればよい。またCterに対する抗血清又は抗Cter抗体を適宜の担体に固定した抗体カラムを作製し,これを融合タンパク質の単離精製に用いてもよい。
また,本発明により得られる融合タンパク質を用いて動物を常法により免疫し血清を回収することにより,Cterと融合させる前のもとのタンパク質に対し反応性の抗血清を得ることができる(実施例7を参照)。そのような抗血清を,又は当該抗血清からもとのタンパク質に対する抗体(ポリクローナル)を単離して同抗体を,サンプル(例えば,動物特に哺乳類の生体サンプル,とりわけヒトの組織,血液,血漿,血清)の分析(当該タンパク質の検出,半定量又は定量)に使用することができる。具体的には,例えば,そのような抗血清又は抗体を,ラテックス粒子,ゼラチン粒子,金コロイド,ポリスチレンビーズ,ポリスチレンプレート等の適宜の担体に固定し,免疫凝集法,酵素標識法,化学発光法等,当業者周知の手法を用いることにより,サンプル中に含まれるもとのタンパク質について,その存在を検出し,又は標準品との対比により,定量若しくは半定量することができる。従ってまた,本発明の融合タンパク質で免疫した動物から得られるもとのタンパク質に反応性の抗血清(又はもとのタンパク質に対する抗体)は,検査用試薬として,例えば,そのまま溶液若しくは凍結乾燥品として,又はラテックス粒子,ゼラチン粒子,金コロイド,ポリスチレンビーズ,ポリスチレンプレート等の適宜の担体に固定した形で,提供することができる。
なお融合タンパク質に対する抗血清からのもとのタンパク質に対する抗体の単離,精製は,常法により,もとのタンパク質又は融合に用いたCterを結合させたアフィニティーカラムを作製し,それにより,それぞれ,もとのタンパク質に対する抗体又はCterに対する抗体を,特異的に吸着させることによって,行うことができる。
以下実施例を参照して本発明を更に詳細に記述するが,本発明がそれらの実施例に限定されることは意図しない。
〔実施例1〕4AaCter(696-851)とグルタチオン−S−トランスフェラーゼとの融合タンパク質の製造
下記の手順で,Schistosoma japonicum(日本住血吸虫)由来のグルタチオン−S−トランスフェラーゼ(GST)を,4AaCter (696-851)(Cryタンパク質の一種Cry4Aa2のCterの断片。Cry4Aa2のアミノ酸Ile 698〜Pro 851に相当する。)との融合タンパク質(図3)として大腸菌細胞内で大量発現させ,蓄積させた。
1.4AaCter(696-851)をコードするDNAの作製(図4)
cry4Aa-S2遺伝子(優先権書類中における旧名称:syn4A遺伝子)(Cry4Aa全長1180アミノ酸からなるポリペプチドを発現するように設計した遺伝子)を,反復(recursive)PCRにより全合成した。全合成には,目的の塩基配列全体をカバーし且つ隣り合うもの同士で互いに10〜15塩基が重複し塩基対を形成するよう設計した50〜55塩基の合成オリゴヌクレオチドよりなるプライマーを用いた。cry4Aa-S2遺伝子のオープンリーディングフレーム(ORF)の塩基配列を配列番号26に示す。これを鋳型としてPCRを行い,4AaCter(696-851)をコードするDNA断片を増幅した。用いたプライマーの塩基配列を図5及び次に示す。これにより得られるDNA断片は両末端が,XhoI部位となる。
(1) プライマーX-Syn4A-C1-f:5'-GGCTCGAGATCATCAACACCTTCTAC-3'〔塩基3-26(図5上段の一重下線部)はXhoI部位,塩基9-26(同二重下線部)は4AaCter(696-851)の末端配列である。〕(配列番号27)
(2)プライマーX-S-Syn4A-C1-r:5'-GGCTCGAGCCCGGGCCGGCACATTCATGATT-3'〔塩基3-8(図5下段の一重下線部)はXhoI部位,塩基17-31(同二重下線部)は4AaCter(696-851)の末端配列である。〕(配列番号28)
<反応溶液>
10×PCR緩衝液(KOD plus用) ・・・・・・ 5.0 μL
2mM dNTP ・・・・・・・・・・・・・・ 5.0 μL
25 mM MgSO4 ・・・・・・・・・・・・・ 2.4 μL
プライマーX-Syn4A-C1-f (10 μM) ・・・・・ 1.5 μL
プライマーX-S-Syn4A-C1-r (10 μM) ・・・ 1.5 μL
鋳型DNA(25 ng)・・・・・・・・・・・・ 1.0 μL
滅菌水 (DDW)・・・・・・・・・・・・・ 32.6 μL
DNAポリメラーゼ (KOD plus, TOYOBO) ・・ 1.0 μL
全量・・・・・・・・・・・・・・・・・・・50.0 μL
<反応条件>
サーマルサイクラー(Gene Amp PCR system 9700,PE Applied Biosystems)に上記の反応溶液をセットし,次の条件で反応させた。94℃,2分;(94℃,15 秒→55℃,30秒→ 72℃,1分)×25サイクル;72℃,7分;4℃,∞
3.発現ベクターpGST-4AaCterの構築
上記で増幅された断片をXhoIで処理した。市販の発現用ベクターpGEX-6P-1(GE Healthcare Bio-Science,図6)を用意した。当該ベクターのマルチクローニング領域の塩基配列を配列番号29で,同領域がコードするアミノ酸配列を配列番号30で,それぞれ示す。当該領域内のXhoI部位に,増幅されたXhoIで処理された上記4AaCter(696-851)断片を常法により挿入して発現ベクターpGST-4AaCterを構築した(図4)。この4AaCter(696-851)断片は,正しい向きで挿入されれば,GSTと4AaCter(696-851)とがインフレームに連結されるようにデザインされている。挿入された4AaCter(696-851)遺伝子の向きは,内部に存在するユニークなKpnI及びNaeIサイトを利用した制限酵素による切断パターン及びシーケンシングで確認した。
4.遺伝子の導入による宿主大腸菌の形質転換
上記で構築したpGST-4AaCterを大腸菌BL21株に導入して形質転換した。すなわち,大腸菌BL21の一晩培養液0.1 mLを5 mLのLB培地に植菌し,濁度が0.5になるまで37℃で振盪培養した(約2時間)。1 mLを遠心分離により集菌し,0.5 mLの氷冷50 mM CaCl2に懸濁させ,氷上に30分放置した。懸濁液を0.2 mL分取し,pGST-4AaCterを添加し,氷上に30分放置後,42℃で30秒間ヒートショックを与え,LB培地0.8 mLを添加(全量1 mL)した。37℃で1時間振盪培養の後,アンピシリン含有LB寒天プレートにストリークして37℃で一夜培養することにより,pGST-4AaCterで形質転換された大腸菌株を得た。
5.発現誘導
大腸菌の前培養を行う。試験管に5mLの培地(TB)を入れ終夜培養した。この一晩培養液の2mLを200 mLのTB培地に加えた。培養は,振とう培養機(New Brunswick scientific INOVA4230)を用いて, 240 rpm,2〜3 時間,37℃でOD600が0.6〜0.8となるまで培養した。培養液に最終濃度0.06 mMとなるようにIPTG(イソプロピル−β−D−チオガラクトピラノシド)を加えた。更に2〜4時間培養(240 rpm,37℃)し,発現を誘導した。細胞内にクリスタルの形成が認められた(図7,矢印)。
6.クリスタルの可溶化,回収及び活性測定
GST-4AaCter発現大腸菌を集菌し,菌体を25 mLのPBSに懸濁させ,リゾチーム(最終濃度1mg/mL)とフッ化フェニルメチルスルホニル(PMSF:最終濃度 1 mg/mL)を加えた。次いで菌体を超音波破砕(20秒間オン,10秒間オフで合計6分)し,遠心11000 rpmにて 15分遠心して不溶性画分を沈殿させた。GST-4AaCterクリスタルを含む沈殿を適当量のPBSで遠心洗浄し,沈殿を100 mM Na2CO3(pH 10.5)溶液に懸濁させ,室温で1〜2時間インキュベートして,GST-4AaCterクリスタルを可溶化させた。GST-4AaCterを含む遠心上清を常法によりSDS-PAGEで分析した。融合タンパク質は不溶性画分に局在し,アルカリ処理することで可溶化することが判明した(図8)。
pH 10.5の緩衝液中で可溶化したGST-4AaCterのGST活性をCDNB(1−クロロ−2,4−ジニトロベンゼン)法でアッセイした。すなわち,GSTを含むタンパク質サンプルを96ウェルプレートに入れ,そこに下記の基質液200 μLを加え,室温で1分静置した。サンプルを吸光度計(Spectra MAX 250, Molecular Devices)にセットし,単位時間あたりの340 nmの吸光度変化を測定した。
<基質液(4サンプル分)>
100 mM リン酸カリウム [pH 7.4]・・・・960 μL
50 mM GSH* ・・・・・・・・・・・・・ 20 μL
50 mM CDNB ・・・・・・・・・・・・・20 μL
全量・・・・・・・・・・・・・・・・・ 1 mL
*GSH:還元型グルタチオン
その結果,GST-4AaCterは,コントロールGST(GST発現ベクターpGEX-6P-1を保持する大腸菌から精製)には及ばないものの,強いGST活性を示すことが確認された(表3)。なお,これまでに得られたGST-4AaCterの収量は最大で3mL培養当たり0.6 mgである。
〔実施例2〕 Cry4Aの種々の断片とグルタチオン−S−トランスフェラーゼとの融合タンパク質の製造
4AaCterにおいて融合タンパク質のクリスタル形成をもたらすに不可欠な領域がどこに存するかにつき次に検討した。図9に示すように,Cry4Aaのアミノ酸配列の種々の部分を増幅し,実施例1と同様の手順に従って,GSTと融合させたタンパク質を作製した。それらの各々につき実施例1と同様にしてクリスタル形成の有無を調べたところ,GST-4AaCter(852-1180)との融合タンパク質には明らかなクリスタルの形成は認められず,またGST-4AaCter(696-799)との融合タンパク質にもクリスタル形成は認められなかった。これに対し,GST-4AaCter(696-851)〔Cter(696-851)部分のアミノ酸配列:配列番号6〕,及びこれを順次短縮したペプチド鎖であるGST-4AaCter(801-851),GST-4AaCter(801-834)〔4AaCter(801-834)部分のアミノ酸配列:配列番号31〕,及びGST-4AaCter(801-829)〔4AaCter(801-829)部分のアミノ酸配列:配列番号7〕との融合タンパク質には,クリスタル形成が認められた。このことは,4AaCterにおいて,クリスタルの形成にとって必要な配列が,これら後者に共通して含まれる部分である29個のアミノ酸801〜829よりなるポリペプチド鎖部分に含まれているることを示している。
〔実施例3〕 4AaCter (696-851)とMM29kDとの融合タンパク質の製造
B. thuringiensis 菌由来の細胞毒性タンパク質MM29kDは,哺乳類細胞(特に白血病ガン細胞)に対して強い細胞毒性を示す。MM29kDは,B. thuringiensis細胞内で,304個のアミノ酸よりなる前駆体として生成蓄積され(その塩基配列を配列番号32で,アミノ酸配列を配列番号33で,それぞれ示す。),プロテイナーゼKによりN末端側の28個のアミノ酸と,C末端側のアミノ酸が一部が除去されて活性型となる。天然におけるC末端側のアミノ酸除去数は未確定であるが,23個除去したものは活性型であり,天然においても,タンパク質の分子サイズの検討から,およそ23個が除去されるものと推定される。N末端側の28個及びC末端側の23個のアミノ酸がそれぞれ除去された活性型MM29kDをコードする塩基配列を配列番号34で,そのアミノ酸配列を配列番号35で,それぞれ示す。
MM29kDは従来,GSTとの融合タンパク質GST-MM29kDとして大腸菌細胞内で発現,調製されているが,高収量を得ることは困難であった。すなわちMM29kDは難発現性のタンパク質ではあるが, これはMM29kD自身が可溶性画分に蓄積し,大腸菌の生存と増殖に悪影響を及ぼすためであると考えられる。このような悪影響を回避し,高収量を得る目的で,クリスタル形成により(すなわち可溶性画分には存在しない様式で)蓄積させることを試みた。このために,4AaCterを,MM29kDのN末端又はC末端の一方にそれぞれインフレームで付加した融合タンパク質,すなわち4AaCter-MM29kD及びMM29kD-4AaCterを構築した(図10)。
1.融合タンパク質4AaCter-MM29kDの製造のための発現ベクターの構築(図11)
B. thuringiensis MM50G2株の総DNAを鋳型とし,下記のプライマーセットを用いてPCRを行い,上流側末端にBamHI部位,下流側末端にEcoRI部位を有するMM29kD遺伝子DNAを作製した。
(1)プライマーCytox-N-f-Bam:GTGGATCCGTTATTCAAGAATACCTTACGTTTAATG(配列番号36)
(2)プライマーCytox-r-999-Eco:AGGAATTCAAGCTTCTTGCTGTTCAGC(配列番号37)
タンパク質発現ベクターとして市販のpGEX-4T-3を用意した(図12)。この発現ベクターのマルチクローニング領域の塩基配列を配列番号38で,それがコードするアミノ酸配列を配列番号39で,それぞれ示す。PCRによるone day mutagenesisを常法に従って用いて,当該ベクターのGSTの開始コドン"ATG"をのみを残してGSTのオープンリーディングフレーム(ORF)の全体を除去することにより,pΔGST-4T-3を作製した(図11)。図13に一部を示したpΔGST-4T-3の塩基配列を,配列番号40で示す。また,この操作に用いた,図13に記載のフォワードプライマーを配列番号41で,リバースプライマーを配列番号42で,それぞれ示す。これらのプライマーの使用により,pΔGST-4T-3に残った当該開始コドン"ATG"の直後にBamHI部位が挿入された。
次いで,上記のDNA断片(上流側末端にBamHI部位,下流側末端にEcoRI部位を有する)をpΔGST-4T-3 のBamHI/EcoRI部位に,常法により挿入し,ベクターpΔGST-MM29kD を構築した。GSTの開始コドンと"ATG" と上記MM29kDをコードするDNAの5’末端との接続部付近の塩基配列を図14及び配列番号43に示す。
作製したベクターpΔGST-MM29kD のBamHI部位に,(BamHI)-4AaCter-(BamHI)のDNA断片を挿入することにより,ベクターpΔGST-4AaCter-(MM29kD)を構築し,続いてこれを鋳型としてOne day mutagenesisを行って,4AaCterとMM29kDとを繋ぐ塩基配列"GCGGATCC"を"GCG"に変更することにより4AaCterとMM29kDとをインフレームで接続し,pΔGST-4AaCter-MM29kDを構築した(図11)。
2.融合タンパク質MM29kD-4AaCterの製造のための発現ベクターの構築(図15)
MM29kD(活性型)をコードするDNA配列の5’側末端に塩基配列"GGATCC"を,3’側末端に塩基配列"TGAATTC"を,PCRによりそれぞれ付加したDNA断片(BamHI)-MM29kD-(HindIII)を作製した。これにより,MM29kDの3’側末端に停止コドン"TGA"が付加され且つEcoRI部位が付与された。同時に,このEcoRI部位の直上流にHindIII部位が新たに生じた。
また,4AaCterをコードするDNAを鋳型としてPCRを行った。これに際し,当該DNAの両端にHindIII制限酵素切断部位が付加されるよう,またMM29kDのHindIII末端にインフレームで連結できるように,(すなわち,4AaCterをコードするDNAの5’末端側に配列"AAGCTTTA"が,3’末端側に配列"AAGCTT"が,それぞれ付加されるように)プライマーDNAの塩基配列を設計しておいた。
市販のクローニングベクターpBluescript II SK+(pBSII, Stratagene, USA)のBamHI/HindIII 部位に,上記(BamHI)-MM29kD-(HindIII) DNA断片を挿入して,組換ベクターpBSII-MM29kDを作製した。
この組換えベクターpBSII-MM29kDのHindIII部位に,(HindIII)-4AaCter-(HindIII) DNA断片を挿入することにより(MM29kDと4AaCterがインフレームで連結),pBSII-MM29kD-4AaCter を構築した。
pBSII-MM29kD-4AaCter をBamHI/XhoI 制限酵素処理することにより,(BamHI)-MM29kD-4AaCter-(HindIII)領域を含むBamHI/XhoI DNA断片を切り出し,pGEX-4T-3のBamHI/XhoI 部位に挿入して,pGST-MM29kD-4AaCter を構築した。
pGST-MM29kD-4AaCter DNAを鋳型としたPCRによるOne-day mutagenesisを行い,GSTのORFのうち1番目の"ATG"(開始コドン)のみを残してBamHI認識配列まで除去し,GST上流のtacプロモーター−開始コドン"ATG"とMM29kD遺伝子とを直接にインフレームで連結して,pΔGST-MM29kD-4AaCterを構築した(図15)。
3.遺伝子の導入による宿主大腸菌の形質転換及びクリスタルの回収
上記1及び2でそれぞれ構築したpΔGST-4AaCter-MM29kD及びpΔGST- MM29kD-4AaCterを,大腸菌BL21に導入して形質転換した。大腸菌BL21形質転換株を5mLのTB培地に植菌し,10μLの50 mg/mL Ampを添加し,37℃で12時間振盪培養した(前培養)。前培養物500μLを50 mLのTB培地に植菌し,100μLの50 mg/mL Ampを添加した。37℃で3時間振盪培養した(OD600=0.8程度)。これに50μLの100 mM IPTGを添加し,37℃で3時間振盪培養した。4AaCter-MM29kD及びMM29kD-4AaCterの何れで形質転換した大腸菌内にも,クリスタルの形成が確認された(図16,矢印)。集菌し,菌体を20 mLのPBS[pH7.5]に懸濁させ,遠心分離した(10000 rpm,4℃,10分: RS-18 IV/TOMY)。沈殿を15 mLの氷冷滅菌水に懸濁超音波破砕(10秒オン−10秒オフで計5分)した後,遠心分離(10000 rpm,4℃,10分)し,沈殿を氷冷滅菌水で遠心洗浄(3回以上)してから2 mLの50 mM Tris-HCl[pH 7.4]に懸濁させた。これにつきショ糖密度勾配遠心を行ない,クリスタルが含まれる層(白い帯状)を回収し,20 mLのPBS[pH7.5]に懸濁させた。遠心分離(12000 rpm,4℃,10分)し沈殿を氷冷滅菌水で遠心洗浄(3回以上)し,上清を完全に取り除いて,沈殿を20 mLの氷冷滅菌水に懸濁させた。再度遠心分離(12000 rpm,4℃,10分)し,沈殿を2mLの氷冷滅菌水に懸濁させ,サンプルチューブに分注し,−80℃にて保存した。
4.クリスタルの可溶化,
沈殿を可溶化バッファー(100 mM Na2CO3[pH10.5],10 mM DTT)に懸濁させ,クリスタルを可溶化した(37℃,30分)(クリスタルはpH10〜12で容易に可溶化され回収される)。遠心分離(14000 rpm,4℃,10分)の後,上清(4AaCter-MM29kD又はMM29kD-4AaCter)を回収した。次いでそれぞれを陰イオン交換クロマトグラフィー(HiTrap Q XL, GE Healthcare Bioscience)で精製した。カラムに吸着したタンパク質を100 mM,200 mM,300 mMのNaClで段階的に溶出した。4AaCter-MM29kD及びMM29kD-4AaCterは300 mMのNaClで溶出された。SDS-PAGEで調査した結果,これらの標品は単一バンドにまで精製されていた(図17)。
5.融合タンパク質からのMM29kDの遊離及び回収
次いで,4AaCter-MM29kD又はMM29kD-4AaCterを含む上清,適量(上清に含まれるそれらタンパク質の1/10量)のプロテイナーゼK(Roche)を加え,MM29kD上流及び下流の4AaCter配列を除去した(37℃,1 時間)。MM29kDは,プロテイナーゼKによる分解に対してかなり抵抗性があり,この処理によってもコアポリペプチドとして残存する。1 mMの濃度となるように0.1 M PMSF(フッ化フェニルメチルスルホニル)を加えることにより,反応を停止させた。タンパク質を再度陰イオン交換クロマトグラフィーで精製した。MM29kDはカラムに吸着せず,フロースルーに出てくる。精製したMM29kDは,SDS-PAGEで解析し,何れも単一バンドであることを確認した。
6.細胞毒性の評価
上記で精製した各タンパク質,4AaCter-MM29kD,MM29kD-4AaCter,遊離MM29kDについて,白血病ガン細胞由来のJurkat 細胞を標的として,精製した融合タンパク質の細胞毒性(致死活性)をMTTアッセイにより評価した。すなわち,Jurkat 細胞(理化学研究所より購入)の細胞数を,Burker Turk Deep (1/10 mm) を用いて計数した。細胞数が5.0×105 個/mLになるように,アッセイ用の測定培地(RPMI 1640 フェノールレッド不含,ニッスイ)を用いて細胞を希釈した。96 ウェルプレートの必要なウェルに,細胞培養液を90 μLずつ分注した。PBS[pH7.5]で適当な濃度に希釈したサンプルを10 μLずつ各ウェルに添加し,インキュベートした(37℃,3時間)。次いで,5 mg/mL MTT(臭化3−[4,5−ジメチルチアゾール−2−イル]−2,5−ジフェニルテトラゾリウム,Sigma,測定培地に溶かしたもの)を10μLずつ各ウェルに添加し,インキュベートした(37℃,3時間)。酸性イソプロパノールを各ウェルに100μLずつ加え,よくピペッティングした後,分光光度計で吸光度(570 nm)を測定し細胞生存率を算出した。その結果,4AaCter-MM29kDは,これまでのMM29kD研究の過程で標準的な試料として用いられてきたGST-MM29kDと同等の活性を示した。これらに比べてMM29kD-4AaCterの活性は数倍高かった(表4)。また遊離のMM29kDは,4AaCter-MM29kD及びMM29kD-4AaCterのいずれから調製してもEC50は0.4〜0.5 ng/mLであり(表4),このことは,4AaCterをMM29kDのN末端に付加した場合,MM29kDは不可逆的に失活するのではなく,おそらく立体的な障害によって見かけ上生物活性が低下するものと考えられる。なお,上記で得られた4AaCter-MM29kD及びMM29kD-4AaCterの収量は,50 mL培養当たり0.3〜0.5 mgであり,従来MM29kDを大腸菌を宿主として産生にさせるのに用いていたGST-MM29kDの収量(通常,50 mL培養当たり約50μg)の少なくとも6倍に達した。
〔実施例4〕 Cry1Aa由来のCterとグルタチオン−S−トランスフェラーゼとの融合タンパク質の製造
実施例1〜3で示したように4AaCterの断片との融合タンパク質の形としたときGSTやMM29kDを融合タンパク質の形で大腸菌に大量発現させることができることが確認されたことから,次いで,異なったCryタンパク質のCterについても,融合タンパク質の製造を試みた。Cry4Aa〔双翅目昆虫(蚊)特異的な殺虫毒素〕とは全く異なる殺虫スペクトルを示すCry1Aa〔鱗翅目昆虫(蝶や蛾)特異的な殺虫毒素〕のCter(1AaCter)を利用して,下記のとおりにGSTの大量発現を試みた。
1.GST-1AaCter(622-777)をコードする遺伝子の作製及び発現ベクターpGST-1AaCterの構築
4AaCter(696-851)のアミノ酸配列とのアラインメント〔ソフトウェアClustalWを使用〕の結果に従って,これに対応する1AaCter(622-777)が選択された。このペプチド鎖との融合タンパク質を作製するため,1AaCter(622-777)(アミノ酸配列を配列番号1で示す。)のコード領域を含む遺伝子断片をPCRで増幅した。PCRは,B. thuringiensis subsp. sotto T84A1株から抽出したDNAを鋳型とし,1AaCterに特異的な次のプライマー:
(1) プライマー1Aa3-C1-f:GGATCCGCGGTGAATGAGCTG(配列番号44)
(2) プライマー1Aa3-C1-r:CTCGAGACCCACATTTACTGT(配列番号45)
を用いて行った。こうして増幅された遺伝子断片(塩基配列を配列番号46で示す)には,上流末端にBamHI部位,下流末端にXhoI部位が,それぞれ設けられている。これを発現ベクターpGEX-6P-1のGST遺伝子下流にあるマルチクローニングサイト内の制限酵素BamHI−XhoI部位にインフレームで挿入することにより,発現ベクターpGST-1AaCterを構築した(図18)。pGST-1AaCterはGSTと1AaCterの融合タンパク質(GST-1AaCter)を発現するように設計されている。
2.遺伝子の導入による宿主大腸菌の形質転換
宿主として大腸菌BL21を用い,実施例1,2と同様の仕方でこれに上記発現ベクターpGST-1AaCterを導入して形質転換し,発現誘導することにより,GST-1AaCterが発現し,GST-4AaCterの場合と同様に細胞内のクリスタル形成が認められた(図19,矢印)。遠心分離によって分画した上清(可溶性タンパク質画分)と沈殿(不溶性タンパク質画分)をSDS-PAGEで解析した結果,約45 kDaと見積もられるGST-1AaCterは,主に不溶性タンパク質画分に局在していた(図20)。GST-1AcCterの発現量は,画像をコンピュータに取り込み発現量を解析した結果,大腸菌総タンパク質10μgあたり約5μgと見積もられた。GST-1AaCterクリスタルの可溶性は,pH 9〜11のアルカリ緩衝液中で弱かったが,pH 12の緩衝液中では可溶化した(図21)。CDNBアッセイによるGST活性の測定では,GST精製標品〔pGEX-6P-1を導入した大腸菌からGlutathione Sepharose 4B(GE Healthcare)を用いて精製)と類似する高い活性を示した(表5)。
〔実施例5〕 Cry1Ac由来のCterとグルタチオン−S−トランスフェラーゼとの融合タンパク質の製造
Cry1Acは実施例4で用いたCry1Aaと同様に鱗翅目昆虫(蝶や蛾)特異的な殺虫毒素である。しかしながらCry1Acは,N−アセチルガラクトサミン(GalNAc)を認識するレクチン活性を持つ等,Cry1Aaとは異なる特徴を示す。このタンパク質Cry1AcのCter(1AcCter)と連結したタンパク質(GST)がクリスタルを形成して大腸菌内で蓄積するか否かにつき,以下のとおり検討した。
1.GST-1AcCter(624-779)をコードする遺伝子の作製及び発現ベクターpGST-1AcCterの構築
4AaCter(696-851)のアミノ酸配列とのアラインメント〔ソフトウェアClustalWを使用〕の結果に従って,これに対応する1AcCter(624-779)部分がCry1Ac1の配列から選択された。これとの融合タンパク質を作製するため,1AcCter(624-779)(アミノ酸配列を配列番号4で示す)をコード領域を含む遺伝子断片をPCRで増幅した。PCRは,B. thuringiensis subsp. kurstaki HD73株から抽出したDNAを鋳型とし,1AcCter(624-779)に特異的な次のプライマー:
(1) プライマー1Ac1-C1-f:GGATCCGCGGTGAATGCGCTG(配列番号47)
(2) プライマー1Ac1-C1-r:CTCGAGTGGCACATTTACTGT(配列番号48)
を用いて行った。こうして増幅された遺伝子断片(塩基配列を配列番号49で示す)には,上流末端にBamHI部位,下流末端にXhoI部位が,それぞれ設けられている。これを発現ベクターpGEX-6P-1のGST遺伝子下流にあるBamHI−XhoI部位にインフレームで挿入して,GSTと1AcCterの融合タンパク質(GST-1AcCter)の発現ベクターpGST-1AcCterを構築した。
2.遺伝子の導入による宿主大腸菌の形質転換
大腸菌BL21を用いて実施例1と同様にしてGST-1AcCterを発現させた。その結果,GST-4AaCterやGST-1AaCterの場合と同様,細胞内のクリスタル形成が認められた(図22,矢印)。遠心分離によって分画した上清(可溶性タンパク質画分)と沈殿(不溶性タンパク質画分)をSDS-PAGEで解析した結果,約45 kDaと見積もられるGST-1AcCterは主に不溶性タンパク質画分に局在していた(図23)。GST-1AcCterの発現量は,画像をコンピュータに取り込み発現量を解析した結果,大腸菌総タンパク質10μgあたり約5μgと見積もられ,GST-4AaCterやGST-1AaCterと同様の値であった。GST-1AcCterクリスタルの可溶性はpH9〜11のアルカリ緩衝液中で弱かったが,pH 12の緩衝液中では可溶化した(図24)。可溶化したGST-1AcCterのGST活性をCDNB法でアッセイした結果,GST精製標品と同様の活性を示した(表6)。
〔実施例6〕 Cry8Ca由来のCterとの融合タンパク質の製造
Cry8Ca1由来のCterとの融合タンパク質の製造を次に試みた。4AaCter(696-851)のアミノ酸配列とのアラインメント(ソフトウェアClustalWを使用)の結果に従って,これに対応する8CaCter(672-829)が選択された。これとの融合タンパク質を作製するため,実施例1と同様の手順で,8CaCter(Lys672-Pro829)(アミノ酸配列を配列番号14で示す)をコードする遺伝子断片を,GSTをコードする遺伝子断片の下流にインフレームで連結したDNAを有するベクターを大腸菌BL21株に導入してこれを形質転換し,融合タンパク質を発現させた。その結果,大腸菌細胞内にクリスタルの形成が認められた。
〔実施例7〕 4AaCterを利用したC−反応性タンパク質(C-reactive protein:CRP)の製造
炎症に応答して血中に現れるC−反応性タンパク質(CRP)は,炎症マーカーであり,CRPに特異的に反応する抗体(抗CRP抗体)を用いて血中のCRP量を測定することにより,炎症性疾患の活動性や重症度,経過観察および予後判定の指標とすることができる。抗CRP抗体の需要は高く,その抗体作製に必要な免疫原であるCRP自体の需要も高い。しかしながら,生体から精製したCRPは少なからず生体由来の混入物があるために,これを免疫原とした抗CRP抗体は,生体内に存在するCRP以外の物質と反応し,測定に影響を及ぼす可能性がある。これらの理由や免疫原であるCRPの安定供給という面から,微生物で生産した組換えCRPを免疫原として抗CRP抗体を作製する事が望まれている。そこで,4AaCterを利用してCRPを製造することを検討した。
<融合タンパク質のための発現ベクターの構築>
前述のpΔGST-4T-3のBamHI部位とXhoI部位の間に,以下のとおり遺伝子合成により作製したヒトCRP遺伝子をインフレームで挿入しpΔGST-CRPを構築した。
すなわち,ヒトCRPはデータベース(GenBnak NM_000567)を参考に,反復(recursive)PCRによって合成した。用いたプライマーは,相互に相補的な配列を一端に有するプライマー対CRP_1f(配列番号97)(5’−末端の6塩基はBamHI部位を示す。)及びCRP_2r(配列番号98)を用いてPCRにより作製したDNA断片と,相補的な配列を末端に有する一連のプライマーCRP_3f(配列番号99),CRP_4r(配列番号100),CRP_5f(配列番号101),CRP_6f(配列番号102),CRP_7f(配列番号103),CRP_8r(配列番号104),CRP_9f(配列番号105),CRP_10r(配列番号106),CRP_11f(配列番号107)及びCRP_12r(配列番号108)(5’−末端の6塩基はXhoI部位を示す)を用いてPCRにより作製した断片を用いて,PCRによりヒトCRPの全体をコードするDNA(配列番号109)(5’−末端及び3’−末端の各6塩基は,サブクローニングに必要な制限酵素部位を示す)を作製した。これによりコードされるアミノ酸配列(配列番号110)においてN末端及びC末端の各2個のアミノ酸よりなる部分は,制限酵素サイトによって発生したリンカー配列である。BamHI及びXhoIで消化したpΔGST-4T-3に,ヒトCRPの全体をコードするDNA(配列番号109)をインフレームで挿入してpΔGST-CRPを構築した。
次いで,pΔGST-CRPのBamHI部位に,4AaCterをコードする遺伝子断片をインフレームで挿入しpΔGST-4AaCter-CRPを構築した。すなわち,前述のcry4Aa-S2遺伝子のオープンリーディングフレームを鋳型としてプライマーB-Syn4A-C1-f(配列番号111)(5’−末端の6塩基はBamHI部位である。)及びB-Syn4A-C1-rn(配列番号112)(5’−末端の6塩基はBamHI部位である。)を用いてPCRを行い,4AaCter(696-851)をコードするDNA断片を増幅した。これにより得られたDNA断片は,両末端がBamHI部位となる。PCRの反応溶液および反応条件は次のとおりとした。
<反応溶液>
10×PCR緩衝液(KOD plus用) ・・・・・・ 5.0 μL
2mM dNTP ・・・・・・・・・・・・・・ 5.0 μL
25 mM MgSO4 ・・・・・・・・・・・・・ 2.4 μL
プライマーB-Syn4A-C1-f (10 μM) ・・・・ 1.5 μL
プライマーB-Syn4A-C1-rn (10 μM) ・・・・ 1.5 μL
鋳型DNA(25 ng)・・・・・・・・・・・・ 1.0 μL
滅菌水 (DDW)・・・・・・・・・・・・・・ 32.6 μL
DNAポリメラーゼ (KOD plus, TOYOBO) ・・ 1.0 μL
全量・・・・・・・・・・・・・・・・・・・50.0 μL
<反応条件>
サーマルサイクラー(Gene Amp PCR system 9700,PE Applied Biosystems)に上記の反応溶液をセットし,次の条件で反応させた。94℃,2分;(94℃,15 秒→55℃,30秒→ 72℃,1分)×25サイクル;72℃,7分;4℃,∞
作製した4AaCter(696-851)を,pΔGST-CRPをBamHIで消化したプラスミドに挿入してpΔGST-4AaCter-CRPを構築した。pΔGST-4AaCter-CRPは,4AaCterとCRPとの融合タンパク質(4AaCter-CRP)を発現する。
<融合タンパク質の発現>
構築したpΔGST-4AaCter-CRPを大腸菌BL21株に導入した。この発現ベクターの導入及び大腸菌の発現誘導は,前述のpGST-4AaCterの大腸菌への導入及び発現誘導の手順と同様とした。4AaCter-CRPの発現確認は,菌体を回収後,10 mLのPBSに懸濁させ,超音波破砕(20秒オン,10秒間オフ)した菌体破砕液を用いて,ヒトCRP(BamHIおよびXhoIで消化した後のpΔGST-4T-3プラスミドにヒトCRP遺伝子を挿入し,同様に大腸菌に導入して発現誘導することにより取得。)と共に,SDS-PAGEによって展開することにより確認した。その結果,タンパク質発現誘導前と比較し,4AaCterを融合させたCRPについては目的の48kDa付近にバンドの出現を確認出来たが,4AaCterを融合させずに発現させたCRPについては目的の29kDa付近にバンドの出現を確認することが出来なかった。(図25)。
また,抗4AaCter-CRPヤギ抗血清を用いて,生体由来のヒト天然(native)CRPと共にウェスタンブロッティング法により解析したところ,4AaCter-CRP及びnative CRPの双方に反応することが確認できた(図26)。以上の結果は,4AaCterをCRPと融合させることにより,C−反応性タンパク質の発現が可能になること,及び4AaCter-CRPを免疫源としたとき native CRPに反応する抗体を得ることが可能であることを示している。
(抗4AaCter-CRPヤギ抗血清の作製方法)
予備飼育を1週間以上したヤギにフロイントの完全アジュバンドとともに4AaCter-CRPを2mg,2週間の間隔で5回免疫した後に頚静脈より血液を採取した。得られた血液を37℃,1時間保温した後,4℃に一昼夜静置した。得られた上清を3000 rpm で5分間遠心し,得られた上清を4AaCter-CRP抗血清とした。
〔実施例8〕 抗4AaCter血清の作製
組換えタンパク質を発現させた際に,発現したものが目的タンパク質であるか否かをタンパク質レベルで確認するための方法として,抗体を用いたイムノアッセイを行う場合が多い。しかし目的のタンパク質に対する特異的な抗体を用意するのは手間とコストがかかる。そこで,目的タンパク質を既知のタンパク質の融合タンパク質として発現させ,既知のタンパク質に対する抗体を用いる事により,目的タンパク質の発現確認をする方法が用いられている。4AaCter融合タンパク質においても上記のように抗4AaCter抗体を用いたタンパク質発現の確認が可能であるか否かを検討した。
pGEX4T-3のGST遺伝子を削除したpΔGSTのBamHI部位に4AaCterをコードする遺伝子断片をインフレームで挿入することによりpΔGST-4AaCterを構築した。pΔGST-4AaCterは,大腸菌において4AaCterを発現する。
大腸菌BL21を用いて4AaCterを発現させ,菌体破砕後,遠心分離により分画した沈殿をpH12のアルカリ緩衝液で可溶化した。可溶化した4AaCterを定法に従い家兎に免疫し,抗4AaCter家兎血清を得た。すなわち,予備飼育を1週間行った家兎(ニュージーランドホワイト)にフロイント完全アジュバンドと共に4AaCterを0.5 mg,2週間の間隔で5回免疫した後,頚静脈より血液を採取した。得られた血液を37℃,1時間保温したのち,4℃に一昼夜静置した。得られた上清を3000 rpmで5分間遠心し,得られた上清を4AaCter抗血清とした。
得られた4AaCter抗血清を用いて4AaCterおよび4AaCter-CRPをウェスタンブロッティング法により解析したところ,4AaCterおよび4AaCter-CRPの双方に反応することが確認できた(図27)。この結果は,4AaCterを免疫源としたとき,4AaCterに反応する抗血清を得る事が可能であること,及び4AaCter抗血清が4AaCter融合タンパク質に対しても反応することを示している。
本発明は,異種タンパク質をCterとの融合タンパク質として,活性を保持した不溶性のクリスタルとして大腸菌等の細胞内に大量に産生させることができ,また可溶化して活性なタンパク質として回収することができることから,大腸菌等の細菌を宿主とした異種タンパク質の製造に利用することができる。また本発明の融合タンパク質を用いて得られる抗血清は,Cterと融合させる前のもとのタンパク質について生体サンプルを分析するために,例えば検査用試薬として利用することができる。

Claims (14)

  1. タンパク質(A)を融合タンパク質の形で製造するための方法であって,
    (a) 該タンパク質(A)を構成するペプチド鎖を別のペプチド鎖(B)のN末端側又はC末端側に連結させてなる融合タンパク質をコードするDNAを作製するステップであって,ここに該ペプチド鎖(B)が, Bacillus thuringiensisが産生する次の表1又は2


    に示した何れかのCryタンパク質のアミノ酸配列中,該表に示にした部分配列を含んだC末端側ペプチド鎖よりなるものであるステップと,
    (b) 該DNAを宿主細菌に導入して該宿主細菌を形質転換するステップと,そして
    (c) 形質転換された該宿主細菌中で該融合タンパク質を発現させるステップと
    を含んでなるものである製造方法。
  2. 該タンパク質(A)を構成するペプチド鎖を別のペプチド鎖(B)のN末端側又はC末端側に連結させてなる融合タンパク質をコードするDNAを作製するステップにおいて,該タンパク質(A)を構成するペプチド鎖をコードするDNAと該ペプチド鎖BをコードするDNAとの間にタンパク質分解酵素の特異的切断部位を構成するアミノ酸配列をコードするDNAを介在させるものである,請求項1の製造方法。
  3. 発現された該融合タンパク質を含んだ宿主細菌を破壊して該融合タンパク質を回収するステップを更に含むものである,請求項1又は2の製造方法。
  4. 回収された該融合タンパク質をアルカリ性水溶液中で可溶化して精製するステップとを更に含むものである,請求項3の製造方法。
  5. 請求項4により得られた該融合タンパク質から該ペプチド鎖(B)を除去するステップを含んでなる,タンパク質(A)の製造方法。
  6. 該ペプチド部分(B)の除去が,該融合タンパク質が該タンパク質(A)を構成するペプチド鎖と該ペプチド部分(B)との間に有するタンパク質分解酵素の特異的切断部位を該タンパク質分解酵素で処理することによりなされるものである,請求項5の製造方法。
  7. 請求項3又は4の製造方法により製造された融合タンパク質。
  8. 請求項7の融合タンパク質によって哺乳動物を免疫し,該動物の血清を回収することにより得られる,該タンパク質(A)に対し反応性である抗血清。
  9. 該タンパク質(A)がC−反応性タンパク質である,請求項7又は8の抗血清。
  10. 請求項8又は9の該抗血清より単離された,該タンパク質(A)に対する抗体。
  11. 請求項8又は9の抗血清を含んでなる,検査用試薬。
  12. 請求項10の抗体を含んでなる,検査用試薬。
  13. タンパク質(A)についてサンプルを分析する方法であって,
    該サンプルに請求項8の抗血清又は請求項9の抗体を接触させ,抗原抗体複合体を形成させるステップと,
    該抗原抗体複合体を検出するステップと
    を含んでなるものである方法。
  14. 該タンパク質(A)がC−反応性タンパク質である,請求項13の方法。
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