JPWO2009145132A1 - 消しゴム - Google Patents
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Abstract
本発明は、紙面上の筆跡を軽く擦り、軽いタッチにてよく消字することができるポリウレタンを基材とする消しゴムを提供する。本発明は、ひまし油と硬化ひまし油から選ばれる少なくとも1種のポリオール20〜50重量%とポリイソシアネート5〜17重量%を反応させて得られるポリウレタンと可塑剤3〜30重量%と研磨剤10〜40重量%と充填剤5〜20重量%を含有させてなる消しゴムである。本発明の消しゴムは、可塑剤3〜30重量%と研磨剤10〜40重量%と充填剤5〜20重量%と共に、ひまし油と硬化ひまし油から選ばれる少なくとも1種のポリオール20〜50重量%を含む混合物に常温下又は必要に応じて加熱下にポリイソシアネート5〜17重量%を溶解させ、得られた混合物を金型中に注入して、加熱下に上記ポリイソシアネートと上記ポリオールとの反応を完了させ、得られた成形物を金型から取り出し、所要の形状に裁断することによって得れる。
Description
本発明は、代表的には紙面上に鉛筆で形成した筆跡を擦って、これを消去するための消しゴムに関する。
古くは、消しゴムは、軟質ゴムを基材として構成されていた。このような消しゴムは消字性能にすぐれる反面、紙面上の筆跡を擦ったとき、消しゴムの表面に黒鉛のような汚れが付着しやすく、それによって紙面も汚れやすい等の問題があった。
そこで、近年、基材として軟質塩化ビニル樹脂を用い、これに可塑剤や充填剤のほか、無機球状中空微粒子を含有させてなる消しゴムが広く実用化されている(例えば、特許文献1参照)。しかし、最近になって、塩化ビニル樹脂が塩素原子を含むところから、例えば、消しゴムや消し屑の焼却に際して有害なダイオキシンの生成が懸念されており、また、フタル酸系可塑剤に由来する環境汚染も懸念されている。そこで、消しゴムに水酸化アルミニウムを充填剤として配合して、焼却の際のダイオキシンの生成を抑えることや(特許文献2参照)、また、基材として、塩素を含まないスチレン−ブタジエン−スチレン共重合体を用いた消しゴムが提案されているが(特許文献3参照)、塩化ビニル樹脂を基剤とする消しゴムに比べて、消字性能に劣る。
このように、塩化ビニル樹脂を基剤とする消しゴムについて、従来、種々の改良が提案されてきているが、基材として、塩化ビニル樹脂を用いる限りは、環境汚染の問題を完全に払拭することはできないようにみえる。
そこで、最近、従来の塩化ビニル樹脂に代えて、ポリウレタンを基材とする消しゴムが提案されている(特許文献4参照)。しかし、この消しゴムにおいては、ポリウレタンの形成のためにゴム系ポリオールを用いるので、消字する際のタッチ、即ち、滑りが悪く、従って、消字性能にも尚、改善の余地がある。
本発明者らは、上述した従来のポリウレタンを基材とする消しゴムにおける問題を解決するために鋭意、研究した結果、ひまし油と硬化ひまし油から選ばれる少なくとも1種のポリオールとポリイソシアネートを反応させて得られるポリウレタンを基材とし、これに可塑剤と研磨剤と充填剤を含有させることによって、消字する際のタッチ、即ち、滑りを改善すると共に、消字性能をも一層高めることに成功して、本発明に至ったものである。従って、本発明は、消字する際の滑りと共に消字性能に一層すぐれるポリウレタンを基材とする消しゴムを提供することを目的とする。
本発明によれば、ひまし油と硬化ひまし油から選ばれる少なくとも1種のポリオール20〜50重量%とポリイソシアネート5〜17重量%を反応させて得られるポリウレタンと可塑剤3〜30重量%と研磨剤10〜40重量%と充填剤5〜20重量%を含有させてなる消しゴムが提供される。
また、本発明によれば、可塑剤3〜30重量%と研磨剤10〜40重量%と充填剤5〜20重量%と共に、ひまし油と硬化ひまし油から選ばれる少なくとも1種のポリオール20〜50重量%を含む混合物に常温下又は必要に応じて加熱下にポリイソシアネート5〜17重量%を溶解させ、得られた混合物を金型中に注入して、加熱下に上記ポリイソシアネートと上記ポリオールとの反応を完了させ、得られた成形物を金型から取り出し、所要の形状に裁断する消しゴムの製造方法が提供される。
また、本発明によれば、可塑剤3〜30重量%と研磨剤10〜40重量%と充填剤5〜20重量%と共に、ひまし油と硬化ひまし油から選ばれる少なくとも1種のポリオール20〜50重量%を含む混合物に常温下又は必要に応じて加熱下にポリイソシアネート5〜17重量%を溶解させ、得られた混合物を金型中に注入して、加熱下に上記ポリイソシアネートと上記ポリオールとの反応を完了させ、得られた成形物を金型から取り出し、所要の形状に裁断する消しゴムの製造方法が提供される。
本発明によれば、ひまし油と硬化ひまし油から選ばれる少なくとも1種のポリオールとポリイソシアネートを反応させて得られる架橋密度の高いポリウレタンを基材とし、これに可塑剤と研磨剤と充填剤を組み合わせて、均一な組成物とすることによって、紙面上の筆跡を軽く擦ることによって、即ち、滑りよく、軽いタッチにて、よく消字することができる消しゴムを得ることができる。
本発明による消しゴムは、ひまし油と硬化ひまし油から選ばれる少なくとも1種のポリオール20〜50重量%とポリイソシアネート5〜17重量%を反応させて得られるポリウレタンと可塑剤3〜30重量%と研磨剤10〜40重量%と充填剤5〜20重量%を含有してなるものである。本発明においては、消しゴムの製造に用いるそれぞれの成分の割合を、得られる消しゴムの重量に基づく百分率(即ち、重量%)にて規定しており、従って、上記それぞれの成分を用いて得られる消しゴムが100重量%を構成する。
本発明によれば、基材であるポリウレタンを得るためのポリオールとして、ひまし油と硬化ひまし油から選ばれる少なくとも1種が用いられる。よく知られているように、ひまし油の主成分(約90%)はリシノール酸トリグリセリドであり、リシノール酸は分子中にヒドロキシ基と二重結合を有する不飽和オキシ酸である。従って、ひまし油は3官能ポリオールが主成分であり、ひまし油の水酸基価は、通常、150〜170mgKOH/gの範囲である。
また、硬化ひまし油は、ひまし油を触媒の存在下に水添して得られる融点が約85℃のワックス状のものであり、ひまし油に対応して、その主成分は12−ヒドロキシステアリン酸トリグリセリドである。硬化ひまし油の水酸基価は、通常、150〜170mgKOH/g範囲である。
本発明によれば、このようなポリオールを後述するポリイソシアネートと反応させてなる架橋密度の高いポリウレタンを基材とし、これに可塑剤と研磨剤と充填剤を組み合わせて含有させることによって、紙面上の筆跡を軽く擦ることによって、即ち、滑りよく、軽いタッチにて、よく消字することができる消しゴムを得ることができる。
本発明によれば、基材であるポリウレタンを得るためのポリオールとして、ひまし油と硬化ひまし油から選ばれる少なくとも1種が用いられる。よく知られているように、ひまし油の主成分(約90%)はリシノール酸トリグリセリドであり、リシノール酸は分子中にヒドロキシ基と二重結合を有する不飽和オキシ酸である。従って、ひまし油は3官能ポリオールが主成分であり、ひまし油の水酸基価は、通常、150〜170mgKOH/gの範囲である。
また、硬化ひまし油は、ひまし油を触媒の存在下に水添して得られる融点が約85℃のワックス状のものであり、ひまし油に対応して、その主成分は12−ヒドロキシステアリン酸トリグリセリドである。硬化ひまし油の水酸基価は、通常、150〜170mgKOH/g範囲である。
本発明によれば、このようなポリオールを後述するポリイソシアネートと反応させてなる架橋密度の高いポリウレタンを基材とし、これに可塑剤と研磨剤と充填剤を組み合わせて含有させることによって、紙面上の筆跡を軽く擦ることによって、即ち、滑りよく、軽いタッチにて、よく消字することができる消しゴムを得ることができる。
本発明によれば、ポリオールは、消しゴムの重量に基づいて、通常、20〜50重量%の範囲で用いられる。ポリオールの使用量が上記範囲を外れるときは、後述する可塑剤と研磨剤と充填剤と共に、ポリイソシアネートを本発明で規定する割合で用いても、固形化物を得ることができない。
また、本発明において、ポリイソシアネートとしては、常温又は必要に応じて加熱下に、用いるポリオールと後述する可塑剤の混合物に溶解するものであれば、脂肪族、脂環族、芳香族及び芳香脂肪族ポリイソシアネートのいずれでも用いることができる。
このようなポリイソシアネートの具体例として、テトラメチレンジイソシアネート、ドデカメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、2,2,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、2,4,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、リジンジイソシアネート、2−メチルペンタン−1,5−ジイソシアネート、3−メチルペンタン−1,5−ジイソシアネート等の脂肪族ポリイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、水添キシリレンジイソシアネート、4,4’−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、1,4−シクロヘキサンジイソシアネート、メチルシクロヘキシレンジイソシアネート、1,3−ビス(イソシアネートメチル)シクロヘキサン等の脂環族ポリイソシアネート、トリレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、ポリメチレンポリフェニルポリイソシアネート、トリジンジイソシアネート、4,4’−ジベンジルジイソシアネート、1,5−ナフチレンジイソシアネート、1,3−フェニレンジイソシアネート、1,4−フェニレンジイソシアネート等の芳香族ポリイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、テトラメチルキシリレンジイソシアネート等の芳香脂肪族ポリイソシアネートを挙げることができる。
なかでも、本発明において好ましく用いられるポリイソシアネートとして、例えば、トリレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、ポリメチレンポリフェニルポリイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、テトラメチルキシリレンジイソシアネート、水添キシリレンジイソシアネート等を挙げることができる。しかし、本発明においては、なかでも、トリレンジイソシアネート、ポリメチレンポリフェニルポリイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート又はイソホロンジイソシアネートが好ましく用いられる。これらは、単独で用いられてもよく、また、2種以上が併用されてもよい。
本発明においては、これらのポリイソシアネートは、予め、上述したポリオールと反応させて、プレポリマーとして用いてもよい。
更に、上記ポリイソシアネートのアダクト体やイソシアヌレートも、常温又は必要に応じて加熱下に、用いるポリオールと後述する可塑剤の混合物に溶解するものであれば、本発明において、前記ポリイソシアネートと共に、又は単独にて、ポリイソシアネートとして用いられる。アダクト体は、例えば、トリメチロールプロパンやグリセリンのような3価アルコール1モル部にジイソシアネート3モル部を付加反応させて得られる3官能ポリイソシアネートであって、トリレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート等のアダクト体を挙げることができる。
また、イソシアヌレートは、ジイソシアネートを3量化させて得られる3官能ポリイソシアネートであって、同じく、トリレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート等のシアヌレートを挙げることができる。
本発明によれば、ポリイソシアネートは、消しゴムの重量に基づいて、通常、5〜17重量%の範囲、好ましくは、5〜10重量%の範囲で用いられる。ポリイソシアネートの使用量が上記範囲を外れるときは、後述する可塑剤と研磨剤と充填剤と共に、ポリオールを本発明で規定する割合で用いても、固形化物を得ることができない。
かくして、本発明によれば、消しゴムは、その重量に基づいてポリイソシアネート5〜17重量%、好ましくは、5〜10重量%とポリオール20〜50重量%との反応によって得られるポリウレタンを基材として有する。用いるポリイソシアネートとポリオールの量が共に少なすぎるとき、又は多すぎるときは、ポリイソシアネートとポリオールの反応によって形成される基材の割合が得られる消しゴムにおいて過小又は過大となって、固形化物が得られたとしても、適度の弾力性と消字性能を有する消しゴムを得ることができない。
可塑剤は、得られる消しゴムに適度の弾性与えて、消字の際のタッチをよくして、使い勝手をよくすると共に、紙面上の筆跡を擦るときに、黒鉛からなる筆跡を吸着して、消字性能を高める役割を担っている。本発明によれば、このような可塑剤として、種々のものが用いられる。
このようなポリイソシアネートの具体例として、テトラメチレンジイソシアネート、ドデカメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、2,2,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、2,4,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、リジンジイソシアネート、2−メチルペンタン−1,5−ジイソシアネート、3−メチルペンタン−1,5−ジイソシアネート等の脂肪族ポリイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、水添キシリレンジイソシアネート、4,4’−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、1,4−シクロヘキサンジイソシアネート、メチルシクロヘキシレンジイソシアネート、1,3−ビス(イソシアネートメチル)シクロヘキサン等の脂環族ポリイソシアネート、トリレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、ポリメチレンポリフェニルポリイソシアネート、トリジンジイソシアネート、4,4’−ジベンジルジイソシアネート、1,5−ナフチレンジイソシアネート、1,3−フェニレンジイソシアネート、1,4−フェニレンジイソシアネート等の芳香族ポリイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、テトラメチルキシリレンジイソシアネート等の芳香脂肪族ポリイソシアネートを挙げることができる。
なかでも、本発明において好ましく用いられるポリイソシアネートとして、例えば、トリレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、ポリメチレンポリフェニルポリイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、テトラメチルキシリレンジイソシアネート、水添キシリレンジイソシアネート等を挙げることができる。しかし、本発明においては、なかでも、トリレンジイソシアネート、ポリメチレンポリフェニルポリイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート又はイソホロンジイソシアネートが好ましく用いられる。これらは、単独で用いられてもよく、また、2種以上が併用されてもよい。
本発明においては、これらのポリイソシアネートは、予め、上述したポリオールと反応させて、プレポリマーとして用いてもよい。
更に、上記ポリイソシアネートのアダクト体やイソシアヌレートも、常温又は必要に応じて加熱下に、用いるポリオールと後述する可塑剤の混合物に溶解するものであれば、本発明において、前記ポリイソシアネートと共に、又は単独にて、ポリイソシアネートとして用いられる。アダクト体は、例えば、トリメチロールプロパンやグリセリンのような3価アルコール1モル部にジイソシアネート3モル部を付加反応させて得られる3官能ポリイソシアネートであって、トリレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート等のアダクト体を挙げることができる。
また、イソシアヌレートは、ジイソシアネートを3量化させて得られる3官能ポリイソシアネートであって、同じく、トリレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート等のシアヌレートを挙げることができる。
本発明によれば、ポリイソシアネートは、消しゴムの重量に基づいて、通常、5〜17重量%の範囲、好ましくは、5〜10重量%の範囲で用いられる。ポリイソシアネートの使用量が上記範囲を外れるときは、後述する可塑剤と研磨剤と充填剤と共に、ポリオールを本発明で規定する割合で用いても、固形化物を得ることができない。
かくして、本発明によれば、消しゴムは、その重量に基づいてポリイソシアネート5〜17重量%、好ましくは、5〜10重量%とポリオール20〜50重量%との反応によって得られるポリウレタンを基材として有する。用いるポリイソシアネートとポリオールの量が共に少なすぎるとき、又は多すぎるときは、ポリイソシアネートとポリオールの反応によって形成される基材の割合が得られる消しゴムにおいて過小又は過大となって、固形化物が得られたとしても、適度の弾力性と消字性能を有する消しゴムを得ることができない。
可塑剤は、得られる消しゴムに適度の弾性与えて、消字の際のタッチをよくして、使い勝手をよくすると共に、紙面上の筆跡を擦るときに、黒鉛からなる筆跡を吸着して、消字性能を高める役割を担っている。本発明によれば、このような可塑剤として、種々のものが用いられる。
本発明において好ましく用いられている可塑剤として、例えば、アジピン酸ジ−2−エチルヘキシル、アジピン酸ジイソノニル、セバシン酸ジブチル、セバシン酸ジ−2−エチルヘキシル、アゼライン酸ジ−2−エチルヘキシル等の脂肪族二塩基酸ジアルキルエステル、アセチルクエン酸トリエチル、アセチルクエン酸トリブチル等のアセチルクエン酸トリアルキルエステル、メチルアセチルリシノレート、ブチルアセチルリシノレート等のアセチルリシノール酸アルキルエステル、アルキルスルホン酸フェニル等のアルキルスルホン酸エステル、安息香酸ジアルキレングリコールエステル、トリメリット酸トリス(2−エチルヘキシル)等のトリメリット酸トリアルキルエステル、4,5−エポキシ−1,2−シクロヘキサンジカルボン酸ビス(2−エチルヘキシル)等のエポキシ化シクロヘキサンジカルボン酸ジアルキルエステル、リン酸トリブチル、リン酸トリ−2−エチルヘキシル、リン酸トリフェニル、リン酸トリクレジル等の有機リン酸エステル等が好ましく用いられる。これらの可塑剤は、単独で用いてもよく、また、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
このような可塑剤は、消しゴムに基づいて、通常、3〜30重量%の範囲、好ましくは、10〜30重量%の範囲で用いられる。消しゴムにおける可塑剤の割合が3重量%よりも少ないときは、得られる消しゴムが硬く、消字する際のタッチが悪く、また、消字性能も低い。しかし、消しゴムにおける可塑剤の割合が30重量%よりも多いときは、得られる消しゴムが柔らかすぎて、使い勝手が悪い。
研磨剤は、紙面上の筆跡を擦って消字する際に、紙面及び筆跡を削って、消字を助けると共に、消しゴムの表面を摩耗脱落させて、消し屑を生じさせる作用を促進し、かくして、紙面上への黒鉛等の汚れの付着を防止する役割を担っている。
このような研磨剤としては、例えば、炭酸カルシウム、タルク、クレー、マイカ、水酸化アルミニウム、水酸化カルシウム、水酸化マグネシウム、硫酸カルシウム、酸化亜鉛、酸化アルミニウム、酸化チタン、無水珪酸、ガラスフレーク、珪石等が用いられる。
本発明において、研磨剤は、消しゴムに基づいて、通常、10〜40重量%の範囲で用いられる。消しゴムにおける研磨剤の割合が10重量%よりも少ないときは、得られる消しゴムが十分な消字性能をもたない。反面、消しゴムにおける研磨剤の割合が40重量%よりも多いときは、消字に際して、紙面を必要以上に傷付けるのみならず、消字性能を低くする。また、消し屑がまとまりにくい。
本発明において、充填剤としては、球状中空微粒子が好ましく用いられる。球状中空微粒子には無機球状中空微粒子と有機球状中空微粒子が知られており、これらは単独で、又は組み合わせて用いられる。
有機球状中空微粒子の具体例としては、例えば、フェノールバルーンや塩化ビニリデンバルーン等を挙げることができる。これらの有機球状中空微粒子は、例えば、ポリ塩化ビニリデン─アクリロニトリル共重合体、アクリロニトリル−アクリルエステル共重合体、ポリエチレン、ポリプロピレン、スチレン−アクリル共重合体等の樹脂からなる外壁を有する平均粒径50μm程度の球状中空微粒子である。
無機球状中空微粒子としては、ガラスバルーン、シラスバルーン、シリカバルーン等が好ましく用いられる。このような無機球状中空微粒子は、通常、数μm乃至数十μm程度の中空の球体である。
本発明によれば、球状中空微粒子は、消しゴムに基づいて、5〜20重量%の範囲で用いられ、これによって、消字に際して、紙面と消しゴムとの間の摩擦抵抗を低減して、軽い擦過にて、即ち、軽いタッチにて、消字することができる。消しゴムにおける無機球状中空微粒子の割合が5重量%よりも少ないときは、上記効果を得ることができない。しかし、消しゴムにおける無機球状中空微粒子の割合が20重量%よりも多いときは、消字に際して、筆跡を擦ったときに、消しゴムが割れやすい欠点を有する。
本発明においては、上述したように、消字に際して、紙面と消しゴムとの間の摩擦抵抗を低減する効果にすぐれる点から、特に、無機球状中空微粒子が好ましく用いられる。
本発明による消しゴムは、その製造方法において、特に限定されるものではないが、通常、好ましくは、反応容器中、それぞれ前記所定量の可塑剤と研磨剤と充填剤とポリオールを含む混合物に常温下又は必要に応じて加熱下に前記所定量のポリイソシアネートを溶解させ、得られた混合物を金型中に注入し、加熱下に上記ポリイソシアネートと上記ポリオールとの反応を完了させ、得られた成形物を金型から取り出し、所要の形状に裁断することによって得ることができる。
より詳細には、例えば、適宜の反応容器内に前記所定量の可塑剤と研磨剤と充填剤と共にポリオールを仕込み、常温又は必要に応じて50〜100℃の加熱下に攪拌して、均一な混合物とした後、50〜100℃に加熱する。この混合物の温度が安定した後、これに前記所定量のポリイソシアネートを加え、10分乃至1時間程度攪拌する。この後、このようにして獲られた混合物を脱気し、金型中に注入し、110〜150℃、好ましくは、115〜130℃のオーブン中にて、限定されるものではないが、30分乃至3時間程度加熱し、上記ポリイソシアネートと上記ポリオールとの反応を完了させる。このようにして得られた成形物を金型から取り出し、所要の形状に裁断すれば、本発明による消しゴムを得る。
より詳細には、例えば、適宜の反応容器内に前記所定量の可塑剤と研磨剤と充填剤と共にポリオールを仕込み、常温又は必要に応じて50〜100℃の加熱下に攪拌して、均一な混合物とした後、50〜100℃に加熱する。この混合物の温度が安定した後、これに前記所定量のポリイソシアネートを加え、10分乃至1時間程度攪拌する。この後、このようにして獲られた混合物を脱気し、金型中に注入し、110〜150℃、好ましくは、115〜130℃のオーブン中にて、限定されるものではないが、30分乃至3時間程度加熱し、上記ポリイソシアネートと上記ポリオールとの反応を完了させる。このようにして得られた成形物を金型から取り出し、所要の形状に裁断すれば、本発明による消しゴムを得る。
ポリイソシアネートとポリオールとの反応に際しては、これを促進するために、必要に応じて、例えば、トリエチレンジアミンや、N,N’−ジメチルヘキサメチレンジアミン、N,N’−ジメチルブタンジアミン等の第3級アミン類や、オクチル酸鉛、ラウリル酸ジブチルスズ等の有機金属化合物等、従来、知られているウレタン化触媒を用いてもよい。
更に、本発明による消しゴムには、必要に応じて、着色剤、難燃剤等の添加剤を含有させてもよく、また、得られる消しゴムの耐久性や安定性を向上させるために、熱安定剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤等を適宜に含有させてもよい。
以下に実施例を挙げて本発明を説明するが、本発明はこれら実施例によって何ら限定されるものではない。
実施例1〜22及び比較例1〜9
(消しゴムの製造)
前述した方法に従って、表1〜3に示す原料を用いて、それぞれの消しゴムを製造した。表1〜3において、各原料の量は重量部である。また、表1〜3に示す各原料は次のとおりである。
ひまし油:豊国製油(株)製工業用1号ひまし油(中和滴定法による水酸基価161mgKOH/g)
硬化ひまし油:伊藤製油(株)製ヒマシ硬化油(中和滴定法による水酸基価160mgKOH/g)
可塑剤1:大八化学工業(株)製リン酸トリクレジル
可塑剤2:新日本理化(株)製サンソサイザー(アジピン酸ジイソノニル)
可塑剤3:旭化成ファインケム(株)製アセチルクエン酸トリブチル
可塑剤4:Lanxess (株)製アルキル基の炭素原子数10〜21のアルキルスルホン酸フェニル「Mesamoll II」
可塑剤5:DIC(株)製4,5−エポキシ−1,2−シクロヘキサンカルボン酸ビス(2−エチルヘキシル)「モノサイザーW−150」
可塑剤6:DIC(株)製ジアルキレングリコールベンゾエート「モノサイザーPB−3A」
可塑剤7:DIC(株)製トリメリット酸トリス(2−エチルヘキシル)「モノサイザーW−705」
可塑剤8:伊藤製油(株)製メチルアセチルリシノレート「リックサイザーC−101」
可塑剤9:伊藤製油(株)製ブチルアセチルリシノレート「リックサイザーC−401」
研磨剤:丸釜釜戸陶料(株)製雪印珪石特級4号
充填剤:富士シリシア化学(株)製フジバルーンS−35(ガラスバルーン)
着色剤:堺化学工業(株)製酸化チタン「R−25」
ポリイソシアネート1:日本ポリウレタン工業(株)製2,4−トリレンジイソシアネート80%/2,6−トリレンジイソシアネート20%の混合物「コロネートT−80」
ポリイソシアネート2:日本ポリウレタン工業(株)製ポリメチレンポリフェニルポリイソシアネート「ミリオネートMR−100」
ポリイソシアネート3:住化バイエルウレタン(株)製トリレンジイソシアネート付加体「スミジュールL−75」(固形分濃度75%の酢酸エチル溶液)
ポリイソシアネート4:日本ポリウレタン工業(株)製ヘキサメチレンジイソシアネート3量体(イソシアヌレート)「コロネートHX」
ポリイソシアネート5:日本ポリウレタン工業(株)製ヘキサメチレンジイソシアネート)「HDI」
ポリイソシアネート6:住化バイエルウレタン(株)製イソホロンジイソシアネート「デスモジュールI」
反応物の成形性
消しゴムの製造において、ポリオールとポリイソシアネートとの反応によって得られた反応物の成形性を調べた。反応物を固形化物として得ることができ、その固形化物が消しゴムとしての機能を有するときをAとし、反応物は辛うじて固形化したが、柔らか過ぎて、消しゴムのとしての機能を有しないときをBとした。得られた反応物が固形化せず、流動性を有するときをCとした。
消しゴムの性能評価
原稿用紙に鉛筆にて筆記し、その筆跡をそれぞれの消しゴムにて擦って、それぞれについて、消字性能と消字の際の感触を調べた。
(消字性能)
よく消字することができるときをAとし、消字することはできるが、やや強く擦ることを必要とするときをBとし、複数回にわたって擦っても、消字することができないときをCとした。
(消字の際の感触)
軽く擦ることによって、即ち、軽いタッチによって、よく消字することができるときをAとし、消字することはできるが、ややタッチが重いときをBとし、タッチが重く、消字によって紙面が撓むときをCとした。
結果を表1、表2及び表3に示す。
実施例1〜22及び比較例1〜9
(消しゴムの製造)
前述した方法に従って、表1〜3に示す原料を用いて、それぞれの消しゴムを製造した。表1〜3において、各原料の量は重量部である。また、表1〜3に示す各原料は次のとおりである。
ひまし油:豊国製油(株)製工業用1号ひまし油(中和滴定法による水酸基価161mgKOH/g)
硬化ひまし油:伊藤製油(株)製ヒマシ硬化油(中和滴定法による水酸基価160mgKOH/g)
可塑剤1:大八化学工業(株)製リン酸トリクレジル
可塑剤2:新日本理化(株)製サンソサイザー(アジピン酸ジイソノニル)
可塑剤3:旭化成ファインケム(株)製アセチルクエン酸トリブチル
可塑剤4:Lanxess (株)製アルキル基の炭素原子数10〜21のアルキルスルホン酸フェニル「Mesamoll II」
可塑剤5:DIC(株)製4,5−エポキシ−1,2−シクロヘキサンカルボン酸ビス(2−エチルヘキシル)「モノサイザーW−150」
可塑剤6:DIC(株)製ジアルキレングリコールベンゾエート「モノサイザーPB−3A」
可塑剤7:DIC(株)製トリメリット酸トリス(2−エチルヘキシル)「モノサイザーW−705」
可塑剤8:伊藤製油(株)製メチルアセチルリシノレート「リックサイザーC−101」
可塑剤9:伊藤製油(株)製ブチルアセチルリシノレート「リックサイザーC−401」
研磨剤:丸釜釜戸陶料(株)製雪印珪石特級4号
充填剤:富士シリシア化学(株)製フジバルーンS−35(ガラスバルーン)
着色剤:堺化学工業(株)製酸化チタン「R−25」
ポリイソシアネート1:日本ポリウレタン工業(株)製2,4−トリレンジイソシアネート80%/2,6−トリレンジイソシアネート20%の混合物「コロネートT−80」
ポリイソシアネート2:日本ポリウレタン工業(株)製ポリメチレンポリフェニルポリイソシアネート「ミリオネートMR−100」
ポリイソシアネート3:住化バイエルウレタン(株)製トリレンジイソシアネート付加体「スミジュールL−75」(固形分濃度75%の酢酸エチル溶液)
ポリイソシアネート4:日本ポリウレタン工業(株)製ヘキサメチレンジイソシアネート3量体(イソシアヌレート)「コロネートHX」
ポリイソシアネート5:日本ポリウレタン工業(株)製ヘキサメチレンジイソシアネート)「HDI」
ポリイソシアネート6:住化バイエルウレタン(株)製イソホロンジイソシアネート「デスモジュールI」
反応物の成形性
消しゴムの製造において、ポリオールとポリイソシアネートとの反応によって得られた反応物の成形性を調べた。反応物を固形化物として得ることができ、その固形化物が消しゴムとしての機能を有するときをAとし、反応物は辛うじて固形化したが、柔らか過ぎて、消しゴムのとしての機能を有しないときをBとした。得られた反応物が固形化せず、流動性を有するときをCとした。
消しゴムの性能評価
原稿用紙に鉛筆にて筆記し、その筆跡をそれぞれの消しゴムにて擦って、それぞれについて、消字性能と消字の際の感触を調べた。
(消字性能)
よく消字することができるときをAとし、消字することはできるが、やや強く擦ることを必要とするときをBとし、複数回にわたって擦っても、消字することができないときをCとした。
(消字の際の感触)
軽く擦ることによって、即ち、軽いタッチによって、よく消字することができるときをAとし、消字することはできるが、ややタッチが重いときをBとし、タッチが重く、消字によって紙面が撓むときをCとした。
結果を表1、表2及び表3に示す。
これに対して、比較例1の消しゴムは、用いたポリイソシアネート量が少なすぎて、固形化物を得ることができない。反対に、比較例2においては、用いたポリイソシアネート量が多すぎて、固形化物を得ることができない。
比較例3においては、用いたポリオール量が多すぎ、そのために、研磨剤や充填剤の割合が少なすぎて、固形化物が得られるものの、それは殆ど消字性能をもたない。比較例4による消しゴムは研磨剤を含まず、消字性能に劣る。比較例5による消しゴムは充填剤を含まず、消字の際に比較的強く擦らなければ、消字することができない。比較例6による消しゴムは、充填剤の割合が高すぎて、紙面が撓むほどに強く擦れば消字することができるが、タッチが悪い。
比較例7による消しゴムは、可塑剤量が多すぎるため、柔らか過ぎて、使いかってが悪い。比較例8は可塑剤を含まず、消字する際の感触が悪い。比較例9は、用いたポリイソシアネートとポリオールの量が共に少なすぎて、辛うじて固形化物を得ることができたものの、柔らかすぎて、消しゴムとしての機能をもたない。
Claims (12)
- ひまし油と硬化ひまし油から選ばれる少なくとも1種のポリオール20〜50重量%とポリイソシアネート5〜17重量%を反応させて得られるポリウレタンと可塑剤3〜30重量%と研磨剤10〜40重量%と充填剤5〜20重量%を含有してなる消しゴム。
- ポリイソシアネートがトリレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、ポリメチレンポリフェニルポリイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、テトラメチルキシリレンジイソシアネート、水添キシリレンジイソシアネート、これらのアダクト体又はイソシアヌレートである請求項1に記載の消しゴム。
- 可塑剤が脂肪族二塩基酸ジアルキルエステル、アセチルクエン酸トリアルキルエステル、アセチルリシノール酸アルキルエステル、アルキルスルホン酸エステル、安息香酸ジアルキレングリコールエステル、トリメリット酸トリアルキルエステル、エポキシ化シクロヘキサンジカルボン酸ジアルキルエステル及び有機リン酸エステルから選ばれる少なくとも1種である請求項1に記載の消しゴム。
- 研磨剤が炭酸カルシウム、タルク、クレー、マイカ、水酸化アルミニウム、水酸化カルシウム、水酸化マグネシウム、硫酸カルシウム、酸化亜鉛、酸化アルミニウム、酸化チタン、無水珪酸、ガラスフレーク及び珪石から選ばれる少なくとも1種である請求項1に記載の消しゴム。
- 充填剤が有機球状中空微粒子及び無機球状中空微粒子から選ばれる少なくとも1種である請求項1に記載の消しゴム。
- 充填剤が無機球状中空微粒子である請求項1に記載の消しゴム。
- 可塑剤3〜30重量%と研磨剤10〜40重量%と充填剤5〜20重量%と共に、ひまし油と硬化ひまし油から選ばれる少なくとも1種のポリオール20〜50重量%を含む混合物に常温下又は必要に応じて加熱下にポリイソシアネート5〜17重量%を溶解させ、得られた混合物を金型中に注入して、加熱下に上記ポリイソシアネートと上記ポリオールとの反応を完了させ、得られた成形物を金型から取り出し、所要の形状に裁断する消しゴムの製造方法。
- ポリイソシアネートがトリレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、ポリメチレンポリフェニルポリイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、これらのアダクト体又はイソシアヌレートである請求項7に記載の消しゴムの製造方法。
- 可塑剤が脂肪族二塩基酸ジアルキルエステル、アセチルクエン酸トリアルキルエステル、アセチルリシノール酸アルキルエステル、アルキルスルホン酸エステル、安息香酸ジアルキレングリコールエステル、トリメリット酸トリアルキルエステル、エポキシ化シクロヘキサンジカルボン酸ジアルキルエステル及び有機リン酸エステルから選ばれる少なくとも1種である請求項7に記載の消しゴムの製造方法。
- 研磨剤が炭酸カルシウム、タルク、クレー、マイカ、水酸化アルミニウム、水酸化カルシウム、水酸化マグネシウム、硫酸カルシウム、酸化亜鉛、酸化アルミニウム、酸化チタン、無水珪酸、ガラスフレーク及び珪石から選ばれる少なくとも1種である請求項7に記載の消しゴムの製造方法。
- 充填剤が有機球状中空微粒子及び無機球状中空微粒子から選ばれる少なくとも1種である請求項7に記載の消しゴムの製造方法。
- 充填剤が無機球状中空微粒子である請求項7に記載の消しゴムの製造方法。
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