JPWO2009113287A1 - 芳香性血圧降下剤 - Google Patents

芳香性血圧降下剤 Download PDF

Info

Publication number
JPWO2009113287A1
JPWO2009113287A1 JP2010502716A JP2010502716A JPWO2009113287A1 JP WO2009113287 A1 JPWO2009113287 A1 JP WO2009113287A1 JP 2010502716 A JP2010502716 A JP 2010502716A JP 2010502716 A JP2010502716 A JP 2010502716A JP WO2009113287 A1 JPWO2009113287 A1 JP WO2009113287A1
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
blood pressure
aromatic
linalool
citral
pressure lowering
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP2010502716A
Other languages
English (en)
Other versions
JP4562807B2 (ja
Inventor
健 下野
健 下野
岡 弘章
弘章 岡
雅登 鈴木
雅登 鈴木
佳苗 千田
佳苗 千田
章治 駒井
章治 駒井
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Panasonic Corp
Panasonic Holdings Corp
Original Assignee
Panasonic Corp
Matsushita Electric Industrial Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Panasonic Corp, Matsushita Electric Industrial Co Ltd filed Critical Panasonic Corp
Application granted granted Critical
Publication of JP4562807B2 publication Critical patent/JP4562807B2/ja
Publication of JPWO2009113287A1 publication Critical patent/JPWO2009113287A1/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Classifications

    • AHUMAN NECESSITIES
    • A61MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
    • A61KPREPARATIONS FOR MEDICAL, DENTAL OR TOILETRY PURPOSES
    • A61K31/00Medicinal preparations containing organic active ingredients
    • A61K31/11Aldehydes
    • AHUMAN NECESSITIES
    • A61MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
    • A61KPREPARATIONS FOR MEDICAL, DENTAL OR TOILETRY PURPOSES
    • A61K31/00Medicinal preparations containing organic active ingredients
    • A61K31/045Hydroxy compounds, e.g. alcohols; Salts thereof, e.g. alcoholates
    • AHUMAN NECESSITIES
    • A61MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
    • A61PSPECIFIC THERAPEUTIC ACTIVITY OF CHEMICAL COMPOUNDS OR MEDICINAL PREPARATIONS
    • A61P9/00Drugs for disorders of the cardiovascular system
    • A61P9/12Antihypertensives

Landscapes

  • Health & Medical Sciences (AREA)
  • Public Health (AREA)
  • Medicinal Chemistry (AREA)
  • Veterinary Medicine (AREA)
  • Chemical & Material Sciences (AREA)
  • General Health & Medical Sciences (AREA)
  • Animal Behavior & Ethology (AREA)
  • Pharmacology & Pharmacy (AREA)
  • Life Sciences & Earth Sciences (AREA)
  • Epidemiology (AREA)
  • Chemical Kinetics & Catalysis (AREA)
  • General Chemical & Material Sciences (AREA)
  • Bioinformatics & Cheminformatics (AREA)
  • Engineering & Computer Science (AREA)
  • Heart & Thoracic Surgery (AREA)
  • Cardiology (AREA)
  • Organic Chemistry (AREA)
  • Nuclear Medicine, Radiotherapy & Molecular Imaging (AREA)
  • Medicines Containing Plant Substances (AREA)
  • Pharmaceuticals Containing Other Organic And Inorganic Compounds (AREA)
  • Acyclic And Carbocyclic Compounds In Medicinal Compositions (AREA)

Abstract

本発明は、降圧作用の優れた血圧降下剤と、そのような血圧降下剤を鼻孔から吸引させることにより、哺乳類の血圧を下げる方法とを提供する。本発明の血圧降下剤は、シトラールとリナロールを含有し、シトラールとリナロールの質量比が10:1以上40:1以下である。この血圧降下剤は優れた降圧作用を有するため、医薬品、飲食品、飼料等の血圧降下組成物として利用しうる。

Description

本発明は、血圧降下剤に関し、さらに詳しくは植物等に含まれる特定の芳香性成分を含有する血圧降下剤に関するものである。また、本発明は、そのような血圧降下剤を鼻から吸入させることにより、哺乳類の血圧を下げる方法に関するものである。
古来より、香りには種々の心理的および生理的作用があることが経験的に知られており、植物から採取された芳香油(精油)等を用いて、精神安定、ストレス解消や不眠症などを対象とした芳香療法(アロマテラピー)が普及している。
アロマテラピーなどで用いられる芳香性組成物が生理作用を及ぼすことを示した例としては、リナロールを有効成分とする芳香性組成物が、麻酔下ラットにおいて血圧や体温調節などの種々の生理的変化を引き起こすという報告(特許文献1)がある。
植物等に含まれる特定の芳香成分が血圧降下作用(特許文献2)や脳機能改善作用(特許文献3)を持つことも報告されている。
しかしながら、植物精油の香りが病気の治療など対してどのように効果を発揮するかについてはまだ不明な点が多く、それぞれの成分がどのような働きを持つかについての知見も少ない。
特開2005−206596号公報 特公平3−019210号公報 特開2007−302572号公報(特に段落番号0016) 特開2005−206597号公報(特に段落番号0008) 特開平3−277368号公報(特に第1図、第4図、第7図及び第8図、並びにそれらに関する明細書中の説明) 実公平5−4840号公報
アロマテラピーなどで用いられる植物精油は、従来技術などで示されるとおり、血圧降下作用を示すものがある。しかしながら、植物より精製される精油には、さまざま成分含まれ、さらに、産地によりその構成比が異なる場合もあり、実際にどの成分が血圧降下作用をもつか不明であった。
本発明は、前記従来の課題を解決するもので、産地別あるいは精製方法にとらわれず、効果的に血圧降下作用を持つ成分を特定することにより、安定した効果を有する血圧降下剤を提供することを目的とする。
前記従来の課題を解決する本発明に係る血圧降下剤は、シトラールとリナロールを含有し、シトラールとリナロールの質量比が10:1以上40:1以下である。シトラールとリナロールの質量比は20:1であることが望ましい。
本発明の上記目的、他の目的、特徴および利点は、添付図面参照の下、以下の好適な実施態様の詳細な説明から明らかにされる。
本発明によれば、降圧作用の優れた血圧降下剤を提供することができる。また、本発明によれば、そのような血圧降下剤を鼻孔から吸引させることにより、哺乳類の血圧を下げることができる。なお、本発明の方法では、ヒトの血圧を降下させることも可能であり、非ヒト哺乳類の血圧を下げることも可能である。
図1は、様々な芳香性組成物をラットに提示した場合の拡張期血圧の変化を示すグラフである。 図2は、芳香性組成物の配合比を変化させた場合のラット拡張期血圧の変化を示すグラフである。 図3は、本発明の血圧降下剤を鼻孔から吸入させるための電子機器の一例として利用しうる血圧測定器を示す斜視図である。 図4は、図3の一部拡大断面図である。 図5は、図3の制御ブロック図である。 図6は、本発明の血圧降下剤を鼻孔から吸入させるための電子機器の一例として利用しうるサウナ装置を示す構成図である。 図7は、図6の制御ブロック図である。 図8は、本発明の血圧降下剤を鼻孔から吸入させるための電子機器の一例として利用しうるトイレ装置を示す構成図である。 図9は、図8の一部拡大断面図である。 図10は、図8の制御ブロック図である。
符号の説明
1 腕
2 装着帯(カフ)
3 本体ケース
3c マイク
4 加圧袋
5a 送風路
5b 送風路
6 送風機(送風ポンプ)
7 血圧測定部(圧力センサー)
8 表示部
9 血圧降下剤収納部
10 開口部
11 担体
12 蓋
13 ばね
14 スイッチ
15 風路切換手段
16 本体ケース
17 浴室
18 天井
19 吸気口
20 排気口
21 送風路
22 加熱器
23 送風機
24 加湿器
25 ノズル
25a 衝突板
26 給水パイプ
27 ドア
28 制御盤
29 スイッチ
30 制御器
31 ポンプ
32 温度センサ
33 バルブ
34 ポンプ
35 パイプ
36 血圧降下剤収納部36
37 トイレ室
38 ドア
39 便器
40 暖房便座
41 排水タンク
42 本体ケース
43 吸気口
44 排気口
45 仕切板
46 血圧降下剤収納部46
47 制御収容部
48 担体
49 制御器
50 送風機
51 開口
52 蓋
53 制御器
54 センサ
55 電源回路
以下、本発明を具体化した血圧降下剤の一実施形態を詳細に説明する。
本実施形態の血圧降下剤は、シトラールとリナロールを含有する血圧降下剤であって、シトラールとリナロールの質量比が10:1以上40:1以下であること特徴とする。
高血圧症は、心臓や血管の病変を促し、心臓病や脳卒中などにおける最も重視すべき危険要因だと考えられている。高血圧症の治療法としては、食事療法、適度な運動といった非薬物療法とβ遮断薬やカルシウム拮抗薬などを用いる薬物療法が行われてきた。しかし、食事制限や運動療法では高血圧を改善できない場合も多く、血圧降下剤の効果も症例によって一様ではない。さらに、高血圧治療は長期にわたって継続する場合があるので、副作用の恐れのない、安全な療法が望まれている。
血圧は大きく分けて、心収縮機能による調節、腎臓における体液量の調節、自律神経による血管収縮状態の調節、ホルモンなどの液性因子による血管収縮状態の調節の4つの方法によって制御されている。神経による調節は、頚動脈洞と大動脈弓に存在する圧受容器において、血圧上昇が感知されることから始まる。圧受容器が興奮し、迷走神経と舌咽神経を介して血管運動中枢と心臓抑制中枢に伝えられる。そして、交感神経の緊張が低下し、血管が拡張すると同時に、迷走神経の緊張が亢進し、心拍数が減少し、血圧が低下する。低下時には逆の反応が起こる。
一方、自律神経系に関与するとされる大脳辺縁系には匂い物質を受容する嗅覚神経系から強く投射することが知られている。つまり、ある匂い物質は、嗅覚神経系および大脳辺縁系を介し、種々の生理作用に影響を与えると考えられる。
本実施形態の血圧降下剤は、シトラールとリナロールからなる芳香性組成物であるため、嗅覚神経系、大脳辺縁系および自律神経系を介し、効果的に血圧を降下させる作用をもつ。また、シトラールに対するリナロールの割合が10分の1を上限とし40分の1を下限とすることを特徴とする芳香性組成物は、特に効果的な降圧作用を有する。なお、かかる血圧降下現象は、腎臓を支配する交感神経の抑制と副腎を支配する交感神経の抑制とが併行して働いて生じるものと考えられる。このことから、本発明の血圧降下剤は、血圧を降下するための組成物として、また高血圧状態を改善するために組成物として好適に用いることができる。
本発明の血圧降下組成物は、各種の製品に血圧降下作用を有する香料(芳香性成分)として、対象の製品に当該機能(効能)を付する目的で配合することができる。本発明は、上記本発明の血圧降下剤を含有する血圧降下組成物を提供する。
本発明において血圧降下組成物とは、上記本発明の血圧降下剤を含有し、その結果、シトラールとリナロールに起因する匂い(香り)を発生する製品を意味する。本発明が対象とする血圧降下組成物は、上記シトラールとリナロールに起因する匂いを発することに基づいて、血圧を降下させる作用を有するものである。本発明の血圧降下組成物は、血圧降下作用を有し、好ましくは、さらにその作用を利用した用途(血圧降下用)に使用されるものであれば、特に制限されない。具体的な血圧降下組成物としては、たとえば、芳香剤、香粧剤、吸入投与剤、繊維製品用洗剤、繊維製品、建材、食品および電化製品がある。
なお、これらの血圧降下組成物は、本発明の血圧降下剤を含有することに基づいて、それが有する上記血圧降下作用や用途に応じて、特定の機能(効能)や用途を示す表示が付されてなる製品であってもよい。
芳香剤としては、本発明の血圧降下剤を含有することによって血圧を降下させる作用を有し、血圧降下用に使用される芳香剤を挙げることができる。この限りにおいて、室内用芳香剤、トイレ用芳香剤、自動車用芳香剤、玄関用芳香剤、浴室用芳香剤、クローゼット用芳香剤、衣類等の繊維用芳香剤、タンス用芳香剤等のいずれの芳香剤であってもよい。
なお、消臭効果を兼ね備えているものもここでいう芳香剤に含まれる。芳香剤の形態も固体状、半固体状(ゼリー状、ゲル状等)、液体状、エアゾール状等の様々な形態が使用される。
香粧品としては、本発明の血圧降下剤を含有することによって血圧を降下させる作用を有し、血圧降下用に使用される香粧品を挙げることができる。これらの香粧品には、化粧料、石鹸等の生体洗浄剤や入浴剤、香水などのフレグランス、練歯磨、液体歯磨、洗口剤、マウスペット、及び口中清涼剤等が包含される。香粧品として、具体的には、例えばクリーム、乳液、化粧パウダー、ボディーローション、整髪料、洗髪料、石鹸、ボディーソープ、制汗剤、シャンプー、リンス、香水、化粧水、口紅、リップクリーム、サンスクリーン、マッサージオイル、マッサージクリーム、及びスキンケアオイル等が挙げられる。
吸入投与剤としては、本発明の血圧降下剤を含有することによって血圧を降下させる作用を有し、血圧降下用に使用される吸入投与剤を挙げることができる。これらの具体的な形態は特に制限されないが、スプレーや芳香成分の揮発等によって鼻孔付近で芳香を発生させ、意図的に芳香を吸入させるもの等をいい、例えば、点鼻薬、噴霧剤、吸入液等を挙げることができる。
食品としては、本発明の血圧降下剤を含有することによって血圧を降下させる作用を有し、血圧降下用に使用される食品であることができる。本発明の血圧降下剤の芳香性成分(シトラールとリナロール)による効果を効率よく得るためには、口中に比較的長い時間留まり鼻腔を経由して芳香が吸入されるものや、口に入れる前に香り成分が鼻腔から吸入されるものが好ましい。具体的には、ガム、飴、グミ、及びトローチなどの菓子類; ヨーグルトやアイスクリーム等の冷菓やデザート; 茶等の清涼飲料水: 口中清涼剤; サプリメントなどを挙げることができる。
繊維製品用洗剤としては、本発明の血圧降下剤を含有することによって血圧を降下させる作用を有するものであって、例えば、陰イオン性、陽イオン性、非イオン性若しくは両性イオン性の洗剤、繊維製品柔軟剤、繊維製品柔軟用製品、乾燥機用繊維柔軟剤製品等が挙げられる。
繊維製品としては、本発明の血圧降下剤を含有することによって血圧を降下させる作用を有するものであって、肌着(靴下、タイツ及びストッキングも含まれる)や上着などの衣料品、ハンカチやタオル類、マスクや汗吸収パットなどの衛生用品、敷物、バッグや袋、カーテン、寝装品(掛布団、敷布団、敷きマット、ブランケット、タオルケット、枕、ベッドマット、ソファー、クッション、座布団、及びこれらのカバー等)及び小物等を挙げることができる。
建材としては、本発明の血圧降下剤を含有することによって血圧を降下させる作用を有するものであって、好ましくは当該作用に基づいて血圧降下作用に使用される建材を挙げることができる。これらの具体的な形態は特に制限されないが、壁紙、諸氏神、ふすま紙、ボードおよび塗材等が含まれる。
電化製品としては、本発明の血圧降下剤を含有することによって血圧を降下させる作用を有するものであって、当該作用に基づいて血圧降下作用に使用される電化製品を挙げることができる。これらの具体的な形態は特に制限されないが、エアコンあるいは空気清浄機などが含まれる。
また、医薬部外品としては、本発明の血圧降下剤を含有することによって血圧を降下させる作用を有するものであって、当該作用に基づいて血圧降下作用に使用される医薬部外__品を挙げることができる。これらの具体的な形態は特に制限されないが、練り歯磨き、液体歯磨き、洗口剤、マウスペット、口中清涼剤、パップ剤などが含まれる。
以上説明する本発明の血圧降下組成物は、その芳香性成分としてシトラールとリナロールが10分の1を上限とし40分の1を下限とすることを特徴とする組成物が含有するものである。従って、本発明の血圧降下組成物によれば、それが発する芳香性成分が嗅覚を刺激し、交感神経の活動抑制または迷走神経の活動亢進に起因する血圧降下作用を発揮することができる。すなわち、本発明の血圧降下組成物は、血圧を降下するための用途で、また高血圧状態を改善するための用途で好適に用いることができる。
次に各試験例をあげて前記実施形態をさらに具体的に説明する。
試験例1(芳香性組成物の血圧変化作用の評価)
植物精油の1つであるメリッサ精油に含まれる芳香性成分に着目し、Wister系雄ラットに様々な芳香性組成物を提示し、提示前後での尾動脈圧の変化について評価を行った。なお、ラットが血圧測定の環境下において、出来る限り負荷を与えず、安静を保つことが出来る条件で試験を実施した。
<試験動物>
Wistar系雄ラットを7週齢で購入し、1週間の順応期間の後、8週齢で血圧測定を行った。全ての実験動物は、8時から20時を明期とする12時間の明暗サイクル下で、食餌と水は自由に摂取できるように飼育した。
<試験順応トレーニング>
7週齢のラットを血圧測定用ホルダーに順応させるためのトレーニングを1週間行った。測定日1週間前よりトレーニングを開始し、ホルダーに入れる時間を日ごとに延ばし、測定日3日前からは、ラットの鼻孔付近にミネラルオイルを通したエアーを提示した。さらに、測定日2日前からは、ラットの尾部に血圧測定用のカフの装着し、測定時に加わる圧力へ順応も行った。なお、トレーニングは全て明期に行い、測定2日前からはそれぞれの測定時間と同じ時間帯に行った。
<血圧測定方法>
トレーニング終了後から3日間、ラットに芳香性組成物を提示した際の血圧変化を測定した。日内変動の影響を出来る限り排除するように、測定スケジュールを立案した。血圧測定には、マウス・ラット用無加温型非観血式血圧計(室町機械、Model MK−2000ST)を用い、付属のホルダーにラットを入れ、尾部の付け根に血圧測定用カフを装着した。測定開始10分前よりラットをホルダーに入れ、ラットが安静であることを頭部、および尾部の動きにより目視で確認した後、血圧測定を開始した。芳香性組成物提示前と提示終了時より30分後の血圧を測定し、その変化を比較した。各時点での測定データは、それぞれ5回の測定の平均値を、その時点における拡張期血圧とした。なお、血圧計の波形表示、あるいはラットの体動を観察し、異常値と判断される値については除外した。
<芳香性組成物の提示方法>
血圧測定中は、常に活性炭とシリカゲルを通したエアー(流量50cc/min)を、ミネラルオイルに通気させたエアーをラットの鼻孔近傍に与え続けた。芳香性組成物を提示する場合には、あらかじめミネラルオイルによって希釈された液体に通気させたエアーをラットの鼻孔近傍に10分間提示した。なお、提示させる芳香性組成物は、それぞれのラットにとって全て新規のものであるように選択した。
<提示した芳香性組成物>
本試験で使用した芳香性組成物は、メリッサ精油とメリッサ精油に含まれる成分であるシトラール(和光純薬製;比重0.89g/ml)、リナロール(アルドリッチ製;比重0.86g/ml)、そして、シトラールとリナロールの混合物である。メリッサ、シトラール、リナロールはそれぞれ0.5μLをミネラルオイル500μL(ナカライタスク製;比重0.87g/ml)で希釈させたものを用いた。シトラールとリナロールの混合物は、シトラール2μLとリナロール0.1μLをミネラルオイル502.9μLに溶かした溶液(シトラールとリナロールの質量比約20:1)を用いた。
<試験結果>
図1に示されるように、本試験で使用した全ての芳香性組成物において、提示後30分で提示前に比べて血圧の低下が見られた。特にシトラールとリナロールを20:1に混合させた組成物では、ミネラルオイルだけを含んだエアーを提示したコントロールの場合と比較して顕著な差(危険率1%以下)が見られた。
試験例2(シトラールとリナロールの配合比による血圧降下作用の評価)
試験例1で判明したシトラールとリナロールの混合物のなかで、配合比による血圧降下作用の評価を行った。なお、本試験における血圧変化の測定方法は試験例1の場合と同様である。
<提示した芳香性組成物>
本試験で使用した芳香性組成物は、シトラールとリナロールの質量比がそれぞれ、4:1、10:1、20:1、40:1、100:1に混合させたもの5種類を使用した。具体的には、
(1)シトラール2μLとリナロール0.5μLをミネラルオイル502.5μLに溶かした溶液(シトラールとリナロールの質量比約4:1)、
(2)シトラール2μLとリナロール0.2μLをミネラルオイル502.8μLに溶かした溶液(シトラールとリナロールの質量比約10:1)、
(3)シトラール2μLとリナロール0.1μLをミネラルオイル502.9μLに溶かした溶液(シトラールとリナロールの質量比約20:1)、
(4)シトラール2μLとリナロール0.05μLをミネラルオイル503μLに溶かした溶液(シトラールとリナロールの質量比約40:1)、
(5)シトラール2μLとリナロール0.02μLをミネラルオイル503μLに溶かした溶液(シトラールとリナロールの質量比約100:1)の5種類を用いた。
<試験結果>
図2に示されるように、本試験で使用した配合例においても、提示後30分で提示前に比べて血圧の低下が見られた。シトラールとリナロールの質量比を4:1、100:1に混合させた組成物では、前記試験1の結果で血圧降下が見られたメリッサ、シトラール、リナロールの場合と同程度の効果しか見られなかった。一方、シラールとリナロールの質量比を10:1、20:1、40:1に混合させた組成物では、前記試験1の結果で血圧降下の見られたメリッサ、シトラール、リナロールと比較して有意な差が確認された。この中で最も血圧降下作用が大きかったのは、20:1の場合であった。
本発明の血圧降下剤は、以下に説明するような電子機器を用いることで、哺乳類に鼻孔から吸入させることによって、当該哺乳類の血圧を降下させることができる。
図3〜図5は、本発明の血圧降下剤を哺乳類の鼻孔から吸入させるために使用しうる電子機器の一例である血圧測定器を示す。
本血圧測定器は、図3、図4に示すように人体の腕1に装着する装着帯(カフ)2と、この装着帯2に取付けられた略偏平箱状の本体ケース3と、この本体ケース3、または前記装着帯2の少なくとも一方に設けた加圧袋4と、この加圧袋4に送風路5aを介して空気を圧入させる送風機(送風ポンプ)6と、この加圧袋4よる腕1への加圧後に、人体の血圧を測定する血圧測定部(圧力センサー)7とを備えている。
前記本体ケース3の上面中央には図3に示すごとく、前記血圧測定部(圧力センサー)7による測定値を表示する表示部8が設けられている。
この表示部8の上段8aには最高血圧値が表示され、また中段8bには最低血圧値が表示され、さらに下段8cには脈拍が表示されるようになっている。
つまり、本血圧測定器も、既存の血圧測定器と同じように、血圧測定時には、腕1に装着帯(カフ)2を装着し、その状態で、図3、図5のスイッチ3aを閉成する。
すると、制御素子3bにより、送風機(送風ポンプ)6が駆動され、加圧袋4に、送風路5を介して送風機(送風ポンプ)6からの空気が圧入され、以降はコロトコフ音をマイク3cで確認しながら、上記最高血圧値、最低血圧値、および脈拍を検出することが出来るようになっているである。
以上の説明で血圧測定器の基本的な構成、動作が理解されてところで、以下、本血圧測定器の特徴点について説明する。
すなわち、本血圧測定器においては、図4に示すように、上記本体ケース3に、容器状の血圧降下剤収納部9と、この血圧降下剤収納部9内に収納された芳香性血圧降下剤からの芳香性血圧降下剤成分を、本体ケース3外に流出させる開口部10とを設けている。
また、前記血圧降下剤収納部9内の下方には、液体状の芳香性血圧降下剤をスポンジや綿花などの担体11に含浸させたものを、収納させている。
さらに、上方の開口部10は、開閉自在となった蓋12で覆っている。この蓋12には、本体ケース3外からこの蓋12を図2の左側に可動操作する中央上方のつまみ12aと、本体ケース3内において送風機(送風ポンプ)6からの送風圧力を受けてこの蓋12を図2の左側に可動させる右側端の風圧板12bと、これらつまみ12aと風圧板12b間に設けた開口部12cとを設けている。
また、この蓋12の左側端には、ばね13が装着され、このばね13により蓋12は常時右側に付勢され、これにより蓋12の開口部12cと、本体ケース3の開口部10は、この図4に示すように持ち運び時や、血圧の測定時には、非合致状態となっている。
このため、持ち運び時や、血圧の測定時に、血圧降下剤収容部9に収納された液体状の芳香性血圧降下剤が本体ケース3の開口部10から流出することはない。
また、血圧測定後、上記表示部8に表示された最高血圧値や最低血圧値を見た測定者が、血圧が高いと感じたときには、図3に示した本体ケース3の下部左側のスイッチ14を操作する。
すると、図5の制御素子3bにより、図4に示した風路切換手段15が、加圧袋4への送風路5aから、血圧降下剤収容部9への送風路5bへと切換り、これにともない、送風機(送風ポンプ)6からの送風は、風路切換手段15、送風路5bを介して血圧降下剤収納部9へと送り込まれる。
血圧降下剤収納部9内に送込まれた送風機(送風ポンプ)6からの送風は、上記蓋12右側端の風圧板12bを図4の左側に押しながら血圧降下剤収納部9内に流入する。
そして、この蓋12が図4の左側へ移動することにより、蓋12の開口部12cが、本体ケース3の開口部10に合致すると、本体ケース3の開口部10を介して血圧降下剤収容部9内の芳香性血圧降下剤(すなわち、シトラールとリナロールとを含有する血圧降下剤であって、シトラールとリナロールの質量比が10:1以上40:1以下である、血圧降下剤)成分が送風に搬送される状態で流出し、これを血圧測定者が嗅ぐこととなる。この時、芳香性血圧降下剤成分は、送風に搬送される状態で開口部10から流出するので、使用者は必要以上に、鼻孔を開口部10に近づける必要は無く、非常に使い勝手の良いものとなる。
また、この芳香性血圧降下剤成分を嗅いだ後は、上記スイッチ14を再度操作すれば、制御素子3bにより送風機(送風ポンプ)6の運転は停止され、また風路切換手段15も、加圧袋4への送風路5へと切換るので、蓋12がばね13で右側に押されて、この図4の状態となり、この結果としてこの芳香性血圧降下剤成分を嗅ぐ動作は終了することになる。
図6、図7は、本発明の血圧降下剤を哺乳類の鼻孔から吸入させるために使用しうる電子機器の一例であるサウナ装置を示す。
図6において、16はサウナ装置の本体ケースで、この本体ケース16は浴室17の天井18上に設置されている。
本体ケース16は浴室17内から吸気を行う吸気口19、および前記浴室17内に排気を行う排気口20を有し、この本体ケース16内で前記吸気口19と排気口20を結んだ送風路21には、温水タイプの加熱器22、送風機23、および加湿器24を順次配置している。
前記加湿器24は、液体の微細化手段としてノズル25を有し、このノズル25には給水手段として給水パイプ26が連結されている。また、この給水パイプ26の一部は、図示していないが、加熱器22に当接し、この加熱器22からの熱伝導で給水パイプ26内の水は加熱され、よってノズル25からは温水が噴出するようになっている。
つまり、浴室17内でサウナを楽しむためには、先ず浴室17のドア27外の制御盤28に設けた図7に示すスイッチ29を閉成し、電源回路29aに通電する。
すると、図7の制御器30により、スイッチ31aが閉成されてポンプ31が駆動され、これにより温水器(図示せず)からの温水が加熱器22に流入する。
温水流入により加熱器22の温度が所定温度に上昇したことを温度センサ32が検出すると、スイッチ23aが閉成されて送風機23が駆動される。
送風機23が駆動されると、図6に示すごとく浴室17内の空気が、先ず吸気口19から本体ケース16内に吸気され、次に加熱器22で加熱され、その後排気口20から浴室17へと排気され、浴室17内の暖房が行われることとなる。
そしてこの様に状態に浴室17内の暖房が開始されると、給水パイプ26を介して1分間に60ccの温水がノズル25に供給され、これによりこの温水がノズル25から勢い良く衝突板25aに噴射される。
この衝突板25aへの温水衝突で、大部分の温水はこの衝突板25a部分で微細化され、これが上記加熱器22で加熱され、排気口20へ向かう温風に搬送され、蒸発しながら浴室17へと供給され、これにて浴室17内でサウナを楽しむ準備が進む。
浴室17内でサウナを楽しむためには、上記浴室17内の暖房とノズル25からの温水噴射が5分以上継続された状態で、使用者はこの浴室17内に入室することとなる。
そして使用者の入室中は、上記浴室17内の暖房とノズル25からの温水噴射が、継続的に行われることとなる。
以上の説明でサウナ装置の基本的な構成、動作が理解されてところで、以下、本サウナ装置の特徴点について説明する。
本サウナ装置の特徴は、上記図6の給水パイプ26に、図7のバルブ33と図6、図7のポンプ34とパイプ35を介して血圧降下剤収納部36を連結したことである。
血圧降下剤収納部36は、芳香性血圧降下剤の充填のために本体ケース16外に設けることが好ましく、本サウナ装置では図9に示すごとく浴室17のドア27外に、着脱自在に設けた。
血圧降下剤収納部36内には、液体状の芳香性血圧降下剤を充填している。
本サウナ装置では、上記サウナ運転中に、例えば断続的にバルブ33を開放するとともにポンプ34を駆動する。
具体的には、サウナ運転中(浴室17内の暖房とノズル25からの温水噴射が、継続的に行われている状態)に、5分に1回、30秒間だけ制御器30のスイッチ33aと34aが閉成され、これによりポンプ34駆動され、バルブ33が開放される。
すると、血圧降下剤収納部36内に充填された液体状の血圧降下剤がパイプ35を介して給水パイプ26に流入されることとなる。
給水パイプ26には上述のごとく1分間に60ccの温水がノズル25に向けて流れており、よってこの温水中に芳香性血圧降下剤が混入し、ノズル25から勢い良く衝突板25aに噴射される。
この衝突板25aへの衝突で、大部分の温水と血圧降下剤はこの衝突板25a部分で微細化され、これが上記加熱器22で加熱され、排気口20へ向かう温風に搬送され、蒸発しながら浴室17へと供給される。
したがって、入浴者は、排気口20に鼻孔を近づけることなく、浴室17への入室とともに、芳香性血圧降下剤成分を嗅ぐことができ、非常に使い勝手の良いものとなる。
本サウナ装置では、あくまでもサウナ装置の機能を優先すべく、ノズル25から噴出させる温水量を、芳香性血圧降下剤よりも十分に多くしている。
逆に説明すれば、温水中に混入させる芳香性血圧降下剤の量を、温水に比べて少なくしているが、これでも十分に浴室17内に芳香性血圧降下剤成分(すなわち、シトラールとリナロールとを含有する血圧降下剤であって、シトラールとリナロールの質量比が10:1以上40:1以下である、血圧降下剤)を充満させることが出来るということである。
なお、本サウナ装置では、血圧降下剤収納部36内に充填された液体状の血圧降下剤がパイプ35を介して非加熱状態で給水パイプ26に流入させたが、パイプ35の一部を加熱器22に当接させ、この加熱器22からの熱伝導でパイプ35内の血圧降下剤を加熱し、それを給水パイプ26に流入されるようにしても良い。
図8〜図10は、本発明の血圧降下剤を哺乳類の鼻孔から吸入させるために使用しうる電子機器の一例である暖房便座を示す。
図8において、37はトイレ室で、入口にはドア38が開閉自在に設けられ、内部には便器39が設けられている。
また、便器39の上方開口部には暖房便座40が設けられている。さらに、便器39の後方には排水タンク41が設けられ、この排水タンク41の上方には芳香性血圧降下剤を収納した本体ケース42が設置されている。
本体ケース42は図9に示すように箱状で、上方に吸気口43、排気口44が設けられている。
また、この本体ケース42内部はこの図9に示すように仕切板45で左右に仕切られ、左側が血圧降下剤収納部46、右側が制御収容部47となっている。
そして、左側の血圧降下剤収納部46には、液体状の芳香性血圧降下剤をスポンジや綿花などの担体48に含浸させたものを、収納させている。
また、右側の制御収容部47には制御器49と送風機50が設けられている。
つまり、送風機50が駆動すると、先ず本体ケース42の吸気口43からトイレ室37内の空気が吸引され、次にこの空気は仕切板45上方の開口51を通過して血圧降下剤収容部46に流入する。
血圧降下剤収納部46内には上述のごとく、液体状の血圧降下剤を含浸させた担体48が設けられているので、この担体48上面に空気が流れると、芳香性血圧降下剤成分(すなわち、シトラールとリナロールとを含有する血圧降下剤であって、シトラールとリナロールの質量比が10:1以上40:1以下である、血圧降下剤)が蒸発しながら搬送され、排気口44からトイレ室37内へと放出される。
排気口44は開閉自在な蓋52を設けているが、この蓋52は送風機50の駆動による送風圧力でこの図7に示すごとく開放されるようになっている。
図10は制御回路を示し、暖房便座40への通電制御は制御器53で行われるようになっている。
つまり、暖房便座40を設定温度に保つために、その温度をセンサ54で検出し、スイッチ40aを開閉するようになっているのである。
本暖房便座における特徴の一つとして、送風機50つまり、日本の冬のような低温季節では、寒くなればなるほど暖房便座40は頻繁な通電が行われており、本暖房便座ではこのように寒くなればなるほど送風機50の駆動も頻繁に行われるようにしているのである。
この点をさらに説明すると、寒くなればなるほど、トイレ室37利用時の血圧上昇に気を配る必要があるといわれているので、本暖房便座では、上述のごとく寒くなればなるほど送風機50の駆動も頻繁に行わせ、トイレ室37内に芳香性血圧降下剤成分を放出するようにしたものである。
またトイレ室37の利用は、使用者の都合により、突然に、不規則に行われるので、本暖房便座のように暖房便座40への通電タイミングに連動させて送風機50に通電し、トイレ室37内に芳香性血圧降下剤成分を自動的に搬送・放出させるようにしたほうが、使用実態に合致することとなり、利便性の高いものとなる。
また、暖房便座40への着座時に使用する温水シャワー装置(図示せず)を用いた場合は、このシャワー用の水を加熱するヒータ(図示せず)への通電に連動して送風機50を駆動する構成としても良い。なお、図12の55は電源回路である。
なお、図2〜図10で説明した各電子機器で用いた芳香性血圧降下剤は、シトラールとリナロールの混合物であって、それをミネラルオイルで希釈させた液体状のものを用いることが好ましい。
また、シトラールとリナロールの質量比は、10:1、20:1、40:1に混合させた組成物で血圧降下が確認できたので、その内から適宜の質量比のものを活用するが、20:1が最も効果的であったので、その近傍の質量比のものを活用することが好ましい。
上記説明から、当業者にとっては、本発明の多くの改良や他の実施の形態が明らかである。したがって、上記説明は例示としてのみ解釈されるべきであり、本発明を実行する最良の態様を当業者に教示する目的で提供されたものである。本発明の精神を逸脱することなく、その構造および/または機能の詳細を実質的に変更できる。
本発明にかかる芳香性組成物は、効果的な血圧降下作用を有し、高血圧症またはその傾向にある被験者(患者)の血圧降下剤として有用である。
本発明は、血圧降下剤に関し、さらに詳しくは植物等に含まれる特定の芳香性成分を含有する血圧降下剤に関するものである。また、本発明は、そのような血圧降下剤を鼻から吸入させることにより、哺乳類の血圧を下げる方法に関するものである。
古来より、香りには種々の心理的および生理的作用があることが経験的に知られており、植物から採取された芳香油(精油)等を用いて、精神安定、ストレス解消や不眠症などを対象とした芳香療法(アロマテラピー)が普及している。
アロマテラピーなどで用いられる芳香性組成物が生理作用を及ぼすことを示した例としては、リナロールを有効成分とする芳香性組成物が、麻酔下ラットにおいて血圧や体温調節などの種々の生理的変化を引き起こすという報告(特許文献1)がある。
植物等に含まれる特定の芳香成分が血圧降下作用(特許文献2)や脳機能改善作用(特許文献3)を持つことも報告されている。
しかしながら、植物精油の香りが病気の治療など対してどのように効果を発揮するかについてはまだ不明な点が多く、それぞれの成分がどのような働きを持つかについての知見も少ない。
特開2005−206596号公報 特公平3−019210号公報 特開2007−302572号公報(特に段落番号0016) 特開2005−206597号公報(特に段落番号0008) 特開平3−277368号公報(特に第1図、第4図、第7図及び第8図、並びにそれらに関する明細書中の説明) 実公平5−4840号公報
アロマテラピーなどで用いられる植物精油は、従来技術などで示されるとおり、血圧降下作用を示すものがある。しかしながら、植物より精製される精油には、さまざま成分含まれ、さらに、産地によりその構成比が異なる場合もあり、実際にどの成分が血圧降下作用をもつか不明であった。
本発明は、前記従来の課題を解決するもので、産地別あるいは精製方法にとらわれず、効果的に血圧降下作用を持つ成分を特定することにより、安定した効果を有する血圧降下剤を提供することを目的とする。
前記従来の課題を解決する本発明に係る血圧降下剤は、シトラールとリナロールを含有し、シトラールとリナロールの質量比が10:1以上40:1以下である。シトラールとリナロールの質量比は20:1であることが望ましい。
本発明の上記目的、他の目的、特徴および利点は、添付図面参照の下、以下の好適な実施態様の詳細な説明から明らかにされる。
本発明によれば、降圧作用の優れた血圧降下剤を提供することができる。また、本発明によれば、そのような血圧降下剤を鼻孔から吸引させることにより、哺乳類の血圧を下げることができる。なお、本発明の方法では、ヒトの血圧を降下させることも可能であり、非ヒト哺乳類の血圧を下げることも可能である。
図1は、様々な芳香性組成物をラットに提示した場合の拡張期血圧の変化を示すグラフである。 図2は、芳香性組成物の配合比を変化させた場合のラット拡張期血圧の変化を示すグラフである。 図3は、本発明の血圧降下剤を鼻孔から吸入させるための電子機器の一例として利用しうる血圧測定器を示す斜視図である。 図4は、図3の一部拡大断面図である。 図5は、図3の制御ブロック図である。 図6は、本発明の血圧降下剤を鼻孔から吸入させるための電子機器の一例として利用しうるサウナ装置を示す構成図である。 図7は、図6の制御ブロック図である。 図8は、本発明の血圧降下剤を鼻孔から吸入させるための電子機器の一例として利用しうるトイレ装置を示す構成図である。 図9は、図8の一部拡大断面図である。 図10は、図8の制御ブロック図である。
以下、本発明を具体化した血圧降下剤の一実施形態を詳細に説明する。
本実施形態の血圧降下剤は、シトラールとリナロールを含有する血圧降下剤であって、シトラールとリナロールの質量比が10:1以上40:1以下であること特徴とする。
高血圧症は、心臓や血管の病変を促し、心臓病や脳卒中などにおける最も重視すべき危険要因だと考えられている。高血圧症の治療法としては、食事療法、適度な運動といった非薬物療法とβ遮断薬やカルシウム拮抗薬などを用いる薬物療法が行われてきた。しかし、食事制限や運動療法では高血圧を改善できない場合も多く、血圧降下剤の効果も症例によって一様ではない。さらに、高血圧治療は長期にわたって継続する場合があるので、副作用の恐れのない、安全な療法が望まれている。
血圧は大きく分けて、心収縮機能による調節、腎臓における体液量の調節、自律神経による血管収縮状態の調節、ホルモンなどの液性因子による血管収縮状態の調節の4つの方法によって制御されている。神経による調節は、頚動脈洞と大動脈弓に存在する圧受容器において、血圧上昇が感知されることから始まる。圧受容器が興奮し、迷走神経と舌咽神経を介して血管運動中枢と心臓抑制中枢に伝えられる。そして、交感神経の緊張が低下し、血管が拡張すると同時に、迷走神経の緊張が亢進し、心拍数が減少し、血圧が低下する。低下時には逆の反応が起こる。
一方、自律神経系に関与するとされる大脳辺縁系には匂い物質を受容する嗅覚神経系から強く投射することが知られている。つまり、ある匂い物質は、嗅覚神経系および大脳辺縁系を介し、種々の生理作用に影響を与えると考えられる。
本実施形態の血圧降下剤は、シトラールとリナロールからなる芳香性組成物であるため、嗅覚神経系、大脳辺縁系および自律神経系を介し、効果的に血圧を降下させる作用をもつ。また、シトラールに対するリナロールの割合が10分の1を上限とし40分の1を下限とすることを特徴とする芳香性組成物は、特に効果的な降圧作用を有する。なお、かかる血圧降下現象は、腎臓を支配する交感神経の抑制と副腎を支配する交感神経の抑制とが併行して働いて生じるものと考えられる。このことから、本発明の血圧降下剤は、血圧を降下するための組成物として、また高血圧状態を改善するために組成物として好適に用いることができる。
本発明の血圧降下組成物は、各種の製品に血圧降下作用を有する香料(芳香性成分)として、対象の製品に当該機能(効能)を付する目的で配合することができる。本発明は、上記本発明の血圧降下剤を含有する血圧降下組成物を提供する。
本発明において血圧降下組成物とは、上記本発明の血圧降下剤を含有し、その結果、シトラールとリナロールに起因する匂い(香り)を発生する製品を意味する。本発明が対象とする血圧降下組成物は、上記シトラールとリナロールに起因する匂いを発することに基づいて、血圧を降下させる作用を有するものである。本発明の血圧降下組成物は、血圧降下作用を有し、好ましくは、さらにその作用を利用した用途(血圧降下用)に使用されるものであれば、特に制限されない。具体的な血圧降下組成物としては、たとえば、芳香剤、香粧剤、吸入投与剤、繊維製品用洗剤、繊維製品、建材、食品および電化製品がある。
なお、これらの血圧降下組成物は、本発明の血圧降下剤を含有することに基づいて、それが有する上記血圧降下作用や用途に応じて、特定の機能(効能)や用途を示す表示が付されてなる製品であってもよい。
芳香剤としては、本発明の血圧降下剤を含有することによって血圧を降下させる作用を有し、血圧降下用に使用される芳香剤を挙げることができる。この限りにおいて、室内用芳香剤、トイレ用芳香剤、自動車用芳香剤、玄関用芳香剤、浴室用芳香剤、クローゼット用芳香剤、衣類等の繊維用芳香剤、タンス用芳香剤等のいずれの芳香剤であってもよい。
なお、消臭効果を兼ね備えているものもここでいう芳香剤に含まれる。芳香剤の形態も固体状、半固体状(ゼリー状、ゲル状等)、液体状、エアゾール状等の様々な形態が使用される。
香粧品としては、本発明の血圧降下剤を含有することによって血圧を降下させる作用を有し、血圧降下用に使用される香粧品を挙げることができる。これらの香粧品には、化粧料、石鹸等の生体洗浄剤や入浴剤、香水などのフレグランス、練歯磨、液体歯磨、洗口剤、マウスペット、及び口中清涼剤等が包含される。香粧品として、具体的には、例えばクリーム、乳液、化粧パウダー、ボディーローション、整髪料、洗髪料、石鹸、ボディーソープ、制汗剤、シャンプー、リンス、香水、化粧水、口紅、リップクリーム、サンスクリーン、マッサージオイル、マッサージクリーム、及びスキンケアオイル等が挙げられる。
吸入投与剤としては、本発明の血圧降下剤を含有することによって血圧を降下させる作用を有し、血圧降下用に使用される吸入投与剤を挙げることができる。これらの具体的な形態は特に制限されないが、スプレーや芳香成分の揮発等によって鼻孔付近で芳香を発生させ、意図的に芳香を吸入させるもの等をいい、例えば、点鼻薬、噴霧剤、吸入液等を挙げることができる。
食品としては、本発明の血圧降下剤を含有することによって血圧を降下させる作用を有し、血圧降下用に使用される食品であることができる。本発明の血圧降下剤の芳香性成分(シトラールとリナロール)による効果を効率よく得るためには、口中に比較的長い時間留まり鼻腔を経由して芳香が吸入されるものや、口に入れる前に香り成分が鼻腔から吸入されるものが好ましい。具体的には、ガム、飴、グミ、及びトローチなどの菓子類; ヨーグルトやアイスクリーム等の冷菓やデザート; 茶等の清涼飲料水: 口中清涼剤; サプリメントなどを挙げることができる。
繊維製品用洗剤としては、本発明の血圧降下剤を含有することによって血圧を降下させる作用を有するものであって、例えば、陰イオン性、陽イオン性、非イオン性若しくは両性イオン性の洗剤、繊維製品柔軟剤、繊維製品柔軟用製品、乾燥機用繊維柔軟剤製品等が挙げられる。
繊維製品としては、本発明の血圧降下剤を含有することによって血圧を降下させる作用を有するものであって、肌着(靴下、タイツ及びストッキングも含まれる)や上着などの衣料品、ハンカチやタオル類、マスクや汗吸収パットなどの衛生用品、敷物、バッグや袋、カーテン、寝装品(掛布団、敷布団、敷きマット、ブランケット、タオルケット、枕、ベッドマット、ソファー、クッション、座布団、及びこれらのカバー等)及び小物等を挙げることができる。
建材としては、本発明の血圧降下剤を含有することによって血圧を降下させる作用を有するものであって、好ましくは当該作用に基づいて血圧降下作用に使用される建材を挙げることができる。これらの具体的な形態は特に制限されないが、壁紙、諸氏神、ふすま紙、ボードおよび塗材等が含まれる。
電化製品としては、本発明の血圧降下剤を含有することによって血圧を降下させる作用を有するものであって、当該作用に基づいて血圧降下作用に使用される電化製品を挙げることができる。これらの具体的な形態は特に制限されないが、エアコンあるいは空気清浄機などが含まれる。
また、医薬部外品としては、本発明の血圧降下剤を含有することによって血圧を降下させる作用を有するものであって、当該作用に基づいて血圧降下作用に使用される医薬部外__品を挙げることができる。これらの具体的な形態は特に制限されないが、練り歯磨き、液体歯磨き、洗口剤、マウスペット、口中清涼剤、パップ剤などが含まれる。
以上説明する本発明の血圧降下組成物は、その芳香性成分としてシトラールとリナロールが10分の1を上限とし40分の1を下限とすることを特徴とする組成物が含有するものである。従って、本発明の血圧降下組成物によれば、それが発する芳香性成分が嗅覚を刺激し、交感神経の活動抑制または迷走神経の活動亢進に起因する血圧降下作用を発揮することができる。すなわち、本発明の血圧降下組成物は、血圧を降下するための用途で、また高血圧状態を改善するための用途で好適に用いることができる。
[実施例]
次に各試験例をあげて前記実施形態をさらに具体的に説明する。
試験例1(芳香性組成物の血圧変化作用の評価)
植物精油の1つであるメリッサ精油に含まれる芳香性成分に着目し、Wister系雄ラットに様々な芳香性組成物を提示し、提示前後での尾動脈圧の変化について評価を行った。なお、ラットが血圧測定の環境下において、出来る限り負荷を与えず、安静を保つことが出来る条件で試験を実施した。
<試験動物>
Wistar系雄ラットを7週齢で購入し、1週間の順応期間の後、8週齢で血圧測定を行った。全ての実験動物は、8時から20時を明期とする12時間の明暗サイクル下で、食餌と水は自由に摂取できるように飼育した。
<試験順応トレーニング>
7週齢のラットを血圧測定用ホルダーに順応させるためのトレーニングを1週間行った。測定日1週間前よりトレーニングを開始し、ホルダーに入れる時間を日ごとに延ばし、測定日3日前からは、ラットの鼻孔付近にミネラルオイルを通したエアーを提示した。さらに、測定日2日前からは、ラットの尾部に血圧測定用のカフの装着し、測定時に加わる圧力へ順応も行った。なお、トレーニングは全て明期に行い、測定2日前からはそれぞれの測定時間と同じ時間帯に行った。
<血圧測定方法>
トレーニング終了後から3日間、ラットに芳香性組成物を提示した際の血圧変化を測定した。日内変動の影響を出来る限り排除するように、測定スケジュールを立案した。血圧測定には、マウス・ラット用無加温型非観血式血圧計(室町機械、Model MK−2000ST)を用い、付属のホルダーにラットを入れ、尾部の付け根に血圧測定用カフを装着した。測定開始10分前よりラットをホルダーに入れ、ラットが安静であることを頭部、および尾部の動きにより目視で確認した後、血圧測定を開始した。芳香性組成物提示前と提示終了時より30分後の血圧を測定し、その変化を比較した。各時点での測定データは、それぞれ5回の測定の平均値を、その時点における拡張期血圧とした。なお、血圧計の波形表示、あるいはラットの体動を観察し、異常値と判断される値については除外した。
<芳香性組成物の提示方法>
血圧測定中は、常に活性炭とシリカゲルを通したエアー(流量50cc/min)を、ミネラルオイルに通気させたエアーをラットの鼻孔近傍に与え続けた。芳香性組成物を提示する場合には、あらかじめミネラルオイルによって希釈された液体に通気させたエアーをラットの鼻孔近傍に10分間提示した。なお、提示させる芳香性組成物は、それぞれのラットにとって全て新規のものであるように選択した。
<提示した芳香性組成物>
本試験で使用した芳香性組成物は、メリッサ精油とメリッサ精油に含まれる成分であるシトラール(和光純薬製;比重0.89g/ml)、リナロール(アルドリッチ製;比重0.86g/ml)、そして、シトラールとリナロールの混合物である。メリッサ、シトラール、リナロールはそれぞれ0.5μLをミネラルオイル500μL(ナカライタスク製;比重0.87g/ml)で希釈させたものを用いた。シトラールとリナロールの混合物は、シトラール2μLとリナロール0.1μLをミネラルオイル502.9μLに溶かした溶液(シトラールとリナロールの質量比約20:1)を用いた。
<試験結果>
図1に示されるように、本試験で使用した全ての芳香性組成物において、提示後30分で提示前に比べて血圧の低下が見られた。特にシトラールとリナロールを20:1に混合させた組成物では、ミネラルオイルだけを含んだエアーを提示したコントロールの場合と比較して顕著な差(危険率1%以下)が見られた。
試験例2(シトラールとリナロールの配合比による血圧降下作用の評価)
試験例1で判明したシトラールとリナロールの混合物のなかで、配合比による血圧降下作用の評価を行った。なお、本試験における血圧変化の測定方法は試験例1の場合と同様である。
<提示した芳香性組成物>
本試験で使用した芳香性組成物は、シトラールとリナロールの質量比がそれぞれ、4:1、10:1、20:1、40:1、100:1に混合させたもの5種類を使用した。具体的には、
(1)シトラール2μLとリナロール0.5μLをミネラルオイル502.5μLに溶かした溶液(シトラールとリナロールの質量比約4:1)、
(2)シトラール2μLとリナロール0.2μLをミネラルオイル502.8μLに溶かした溶液(シトラールとリナロールの質量比約10:1)、
(3)シトラール2μLとリナロール0.1μLをミネラルオイル502.9μLに溶かした溶液(シトラールとリナロールの質量比約20:1)、
(4)シトラール2μLとリナロール0.05μLをミネラルオイル503μLに溶かした溶液(シトラールとリナロールの質量比約40:1)、
(5)シトラール2μLとリナロール0.02μLをミネラルオイル503μLに溶かした溶液(シトラールとリナロールの質量比約100:1)の5種類を用いた。
<試験結果>
図2に示されるように、本試験で使用した配合例においても、提示後30分で提示前に比べて血圧の低下が見られた。シトラールとリナロールの質量比を4:1、100:1に混合させた組成物では、前記試験1の結果で血圧降下が見られたメリッサ、シトラール、リナロールの場合と同程度の効果しか見られなかった。一方、シラールとリナロールの質量比を10:1、20:1、40:1に混合させた組成物では、前記試験1の結果で血圧降下の見られたメリッサ、シトラール、リナロールと比較して有意な差が確認された。この中で最も血圧降下作用が大きかったのは、20:1の場合であった。
本発明の血圧降下剤は、以下に説明するような電子機器を用いることで、哺乳類に鼻孔から吸入させることによって、当該哺乳類の血圧を降下させることができる。
図3〜図5は、本発明の血圧降下剤を哺乳類の鼻孔から吸入させるために使用しうる電子機器の一例である血圧測定器を示す。
本血圧測定器は、図3、図4に示すように人体の腕1に装着する装着帯(カフ)2と、この装着帯2に取付けられた略偏平箱状の本体ケース3と、この本体ケース3、または前記装着帯2の少なくとも一方に設けた加圧袋4と、この加圧袋4に送風路5aを介して空気を圧入させる送風機(送風ポンプ)6と、この加圧袋4よる腕1への加圧後に、人体の血圧を測定する血圧測定部(圧力センサー)7とを備えている。
前記本体ケース3の上面中央には図3に示すごとく、前記血圧測定部(圧力センサー)7による測定値を表示する表示部8が設けられている。
この表示部8の上段8aには最高血圧値が表示され、また中段8bには最低血圧値が表示され、さらに下段8cには脈拍が表示されるようになっている。
つまり、本血圧測定器も、既存の血圧測定器と同じように、血圧測定時には、腕1に装着帯(カフ)2を装着し、その状態で、図3、図5のスイッチ3aを閉成する。
すると、制御素子3bにより、送風機(送風ポンプ)6が駆動され、加圧袋4に、送風路5を介して送風機(送風ポンプ)6からの空気が圧入され、以降はコロトコフ音をマイク3cで確認しながら、上記最高血圧値、最低血圧値、および脈拍を検出することが出来るようになっているである。
以上の説明で血圧測定器の基本的な構成、動作が理解されてところで、以下、本血圧測定器の特徴点について説明する。
すなわち、本血圧測定器においては、図4に示すように、上記本体ケース3に、容器状の血圧降下剤収納部9と、この血圧降下剤収納部9内に収納された芳香性血圧降下剤からの芳香性血圧降下剤成分を、本体ケース3外に流出させる開口部10とを設けている。
また、前記血圧降下剤収納部9内の下方には、液体状の芳香性血圧降下剤をスポンジや綿花などの担体11に含浸させたものを、収納させている。
さらに、上方の開口部10は、開閉自在となった蓋12で覆っている。この蓋12には、本体ケース3外からこの蓋12を図2の左側に可動操作する中央上方のつまみ12aと、本体ケース3内において送風機(送風ポンプ)6からの送風圧力を受けてこの蓋12を図2の左側に可動させる右側端の風圧板12bと、これらつまみ12aと風圧板12b間に設けた開口部12cとを設けている。
また、この蓋12の左側端には、ばね13が装着され、このばね13により蓋12は常時右側に付勢され、これにより蓋12の開口部12cと、本体ケース3の開口部10は、この図4に示すように持ち運び時や、血圧の測定時には、非合致状態となっている。
このため、持ち運び時や、血圧の測定時に、血圧降下剤収容部9に収納された液体状の芳香性血圧降下剤が本体ケース3の開口部10から流出することはない。
また、血圧測定後、上記表示部8に表示された最高血圧値や最低血圧値を見た測定者が、血圧が高いと感じたときには、図3に示した本体ケース3の下部左側のスイッチ14を操作する。
すると、図5の制御素子3bにより、図4に示した風路切換手段15が、加圧袋4への送風路5aから、血圧降下剤収容部9への送風路5bへと切換り、これにともない、送風機(送風ポンプ)6からの送風は、風路切換手段15、送風路5bを介して血圧降下剤収納部9へと送り込まれる。
血圧降下剤収納部9内に送込まれた送風機(送風ポンプ)6からの送風は、上記蓋12右側端の風圧板12bを図4の左側に押しながら血圧降下剤収納部9内に流入する。
そして、この蓋12が図4の左側へ移動することにより、蓋12の開口部12cが、本体ケース3の開口部10に合致すると、本体ケース3の開口部10を介して血圧降下剤収容部9内の芳香性血圧降下剤(すなわち、シトラールとリナロールとを含有する血圧降下剤であって、シトラールとリナロールの質量比が10:1以上40:1以下である、血圧降下剤)成分が送風に搬送される状態で流出し、これを血圧測定者が嗅ぐこととなる。この時、芳香性血圧降下剤成分は、送風に搬送される状態で開口部10から流出するので、使用者は必要以上に、鼻孔を開口部10に近づける必要は無く、非常に使い勝手の良いものとなる。
また、この芳香性血圧降下剤成分を嗅いだ後は、上記スイッチ14を再度操作すれば、制御素子3bにより送風機(送風ポンプ)6の運転は停止され、また風路切換手段15も、加圧袋4への送風路5へと切換るので、蓋12がばね13で右側に押されて、この図4の状態となり、この結果としてこの芳香性血圧降下剤成分を嗅ぐ動作は終了することになる。
図6、図7は、本発明の血圧降下剤を哺乳類の鼻孔から吸入させるために使用しうる電子機器の一例であるサウナ装置を示す。
図6において、16はサウナ装置の本体ケースで、この本体ケース16は浴室17の天井18上に設置されている。
本体ケース16は浴室17内から吸気を行う吸気口19、および前記浴室17内に排気を行う排気口20を有し、この本体ケース16内で前記吸気口19と排気口20を結んだ送風路21には、温水タイプの加熱器22、送風機23、および加湿器24を順次配置している。
前記加湿器24は、液体の微細化手段としてノズル25を有し、このノズル25には給水手段として給水パイプ26が連結されている。また、この給水パイプ26の一部は、図示していないが、加熱器22に当接し、この加熱器22からの熱伝導で給水パイプ26内の水は加熱され、よってノズル25からは温水が噴出するようになっている。
つまり、浴室17内でサウナを楽しむためには、先ず浴室17のドア27外の制御盤28に設けた図7に示すスイッチ29を閉成し、電源回路29aに通電する。
すると、図7の制御器30により、スイッチ31aが閉成されてポンプ31が駆動され、これにより温水器(図示せず)からの温水が加熱器22に流入する。
温水流入により加熱器22の温度が所定温度に上昇したことを温度センサ32が検出すると、スイッチ23aが閉成されて送風機23が駆動される。
送風機23が駆動されると、図6に示すごとく浴室17内の空気が、先ず吸気口19から本体ケース16内に吸気され、次に加熱器22で加熱され、その後排気口20から浴室17へと排気され、浴室17内の暖房が行われることとなる。
そしてこの様に状態に浴室17内の暖房が開始されると、給水パイプ26を介して1分間に60ccの温水がノズル25に供給され、これによりこの温水がノズル25から勢い良く衝突板25aに噴射される。
この衝突板25aへの温水衝突で、大部分の温水はこの衝突板25a部分で微細化され、これが上記加熱器22で加熱され、排気口20へ向かう温風に搬送され、蒸発しながら浴室17へと供給され、これにて浴室17内でサウナを楽しむ準備が進む。
浴室17内でサウナを楽しむためには、上記浴室17内の暖房とノズル25からの温水噴射が5分以上継続された状態で、使用者はこの浴室17内に入室することとなる。
そして使用者の入室中は、上記浴室17内の暖房とノズル25からの温水噴射が、継続的に行われることとなる。
以上の説明でサウナ装置の基本的な構成、動作が理解されてところで、以下、本サウナ装置の特徴点について説明する。
本サウナ装置の特徴は、上記図6の給水パイプ26に、図7のバルブ33と図6、図7のポンプ34とパイプ35を介して血圧降下剤収納部36を連結したことである。
血圧降下剤収納部36は、芳香性血圧降下剤の充填のために本体ケース16外に設けることが好ましく、本サウナ装置では図9に示すごとく浴室17のドア27外に、着脱自在に設けた。
血圧降下剤収納部36内には、液体状の芳香性血圧降下剤を充填している。
本サウナ装置では、上記サウナ運転中に、例えば断続的にバルブ33を開放するとともにポンプ34を駆動する。
具体的には、サウナ運転中(浴室17内の暖房とノズル25からの温水噴射が、継続的に行われている状態)に、5分に1回、30秒間だけ制御器30のスイッチ33aと34aが閉成され、これによりポンプ34駆動され、バルブ33が開放される。
すると、血圧降下剤収納部36内に充填された液体状の血圧降下剤がパイプ35を介して給水パイプ26に流入されることとなる。
給水パイプ26には上述のごとく1分間に60ccの温水がノズル25に向けて流れており、よってこの温水中に芳香性血圧降下剤が混入し、ノズル25から勢い良く衝突板25aに噴射される。
この衝突板25aへの衝突で、大部分の温水と血圧降下剤はこの衝突板25a部分で微細化され、これが上記加熱器22で加熱され、排気口20へ向かう温風に搬送され、蒸発しながら浴室17へと供給される。
したがって、入浴者は、排気口20に鼻孔を近づけることなく、浴室17への入室とともに、芳香性血圧降下剤成分を嗅ぐことができ、非常に使い勝手の良いものとなる。
本サウナ装置では、あくまでもサウナ装置の機能を優先すべく、ノズル25から噴出させる温水量を、芳香性血圧降下剤よりも十分に多くしている。
逆に説明すれば、温水中に混入させる芳香性血圧降下剤の量を、温水に比べて少なくしているが、これでも十分に浴室17内に芳香性血圧降下剤成分(すなわち、シトラールとリナロールとを含有する血圧降下剤であって、シトラールとリナロールの質量比が10:1以上40:1以下である、血圧降下剤)を充満させることが出来るということである。
なお、本サウナ装置では、血圧降下剤収納部36内に充填された液体状の血圧降下剤がパイプ35を介して非加熱状態で給水パイプ26に流入させたが、パイプ35の一部を加熱器22に当接させ、この加熱器22からの熱伝導でパイプ35内の血圧降下剤を加熱し、それを給水パイプ26に流入されるようにしても良い。
図8〜図10は、本発明の血圧降下剤を哺乳類の鼻孔から吸入させるために使用しうる電子機器の一例である暖房便座を示す。
図8において、37はトイレ室で、入口にはドア38が開閉自在に設けられ、内部には便器39が設けられている。
また、便器39の上方開口部には暖房便座40が設けられている。さらに、便器39の後方には排水タンク41が設けられ、この排水タンク41の上方には芳香性血圧降下剤を収納した本体ケース42が設置されている。
本体ケース42は図9に示すように箱状で、上方に吸気口43、排気口44が設けられている。
また、この本体ケース42内部はこの図9に示すように仕切板45で左右に仕切られ、左側が血圧降下剤収納部46、右側が制御収容部47となっている。
そして、左側の血圧降下剤収納部46には、液体状の芳香性血圧降下剤をスポンジや綿花などの担体48に含浸させたものを、収納させている。
また、右側の制御収容部47には制御器49と送風機50が設けられている。
つまり、送風機50が駆動すると、先ず本体ケース42の吸気口43からトイレ室37内の空気が吸引され、次にこの空気は仕切板45上方の開口51を通過して血圧降下剤収容部46に流入する。
血圧降下剤収納部46内には上述のごとく、液体状の血圧降下剤を含浸させた担体48が設けられているので、この担体48上面に空気が流れると、芳香性血圧降下剤成分(すなわち、シトラールとリナロールとを含有する血圧降下剤であって、シトラールとリナロールの質量比が10:1以上40:1以下である、血圧降下剤)が蒸発しながら搬送され、排気口44からトイレ室37内へと放出される。
排気口44は開閉自在な蓋52を設けているが、この蓋52は送風機50の駆動による送風圧力でこの図7に示すごとく開放されるようになっている。
図10は制御回路を示し、暖房便座40への通電制御は制御器53で行われるようになっている。
つまり、暖房便座40を設定温度に保つために、その温度をセンサ54で検出し、スイッチ40aを開閉するようになっているのである。
本暖房便座における特徴の一つとして、送風機50つまり、日本の冬のような低温季節では、寒くなればなるほど暖房便座40は頻繁な通電が行われており、本暖房便座ではこのように寒くなればなるほど送風機50の駆動も頻繁に行われるようにしているのである。
この点をさらに説明すると、寒くなればなるほど、トイレ室37利用時の血圧上昇に気を配る必要があるといわれているので、本暖房便座では、上述のごとく寒くなればなるほど送風機50の駆動も頻繁に行わせ、トイレ室37内に芳香性血圧降下剤成分を放出するようにしたものである。
またトイレ室37の利用は、使用者の都合により、突然に、不規則に行われるので、本暖房便座のように暖房便座40への通電タイミングに連動させて送風機50に通電し、トイレ室37内に芳香性血圧降下剤成分を自動的に搬送・放出させるようにしたほうが、使用実態に合致することとなり、利便性の高いものとなる。
また、暖房便座40への着座時に使用する温水シャワー装置(図示せず)を用いた場合は、このシャワー用の水を加熱するヒータ(図示せず)への通電に連動して送風機50を駆動する構成としても良い。なお、図12の55は電源回路である。
なお、図2〜図10で説明した各電子機器で用いた芳香性血圧降下剤は、シトラールとリナロールの混合物であって、それをミネラルオイルで希釈させた液体状のものを用いることが好ましい。
また、シトラールとリナロールの質量比は、10:1、20:1、40:1に混合させた組成物で血圧降下が確認できたので、その内から適宜の質量比のものを活用するが、20:1が最も効果的であったので、その近傍の質量比のものを活用することが好ましい。
上記説明から、当業者にとっては、本発明の多くの改良や他の実施の形態が明らかである。したがって、上記説明は例示としてのみ解釈されるべきであり、本発明を実行する最良の態様を当業者に教示する目的で提供されたものである。本発明の精神を逸脱することなく、その構造および/または機能の詳細を実質的に変更できる。
本発明にかかる芳香性組成物は、効果的な血圧降下作用を有し、高血圧症またはその傾向にある被験者(患者)の血圧降下剤として有用である。
1 腕
2 装着帯(カフ)
3 本体ケース
3c マイク
4 加圧袋
5a 送風路
5b 送風路
6 送風機(送風ポンプ)
7 血圧測定部(圧力センサー)
8 表示部
9 血圧降下剤収納部
10 開口部
11 担体
12 蓋
13 ばね
14 スイッチ
15 風路切換手段
16 本体ケース
17 浴室
18 天井
19 吸気口
20 排気口
21 送風路
22 加熱器
23 送風機
24 加湿器
25 ノズル
25a 衝突板
26 給水パイプ
27 ドア
28 制御盤
29 スイッチ
30 制御器
31 ポンプ
32 温度センサ
33 バルブ
34 ポンプ
35 パイプ
36 血圧降下剤収納部36
37 トイレ室
38 ドア
39 便器
40 暖房便座
41 排水タンク
42 本体ケース
43 吸気口
44 排気口
45 仕切板
46 血圧降下剤収納部46
47 制御収容部
48 担体
49 制御器
50 送風機
51 開口
52 蓋
53 制御器
54 センサ
55 電源回路
本発明は、血圧降下剤に関し、さらに詳しくは植物等に含まれる特定の芳香性成分を含有する血圧降下剤に関するものである。
古来より、香りには種々の心理的および生理的作用があることが経験的に知られており、植物から採取された芳香油(精油)等を用いて、精神安定、ストレス解消や不眠症などを対象とした芳香療法(アロマテラピー)が普及している。
アロマテラピーなどで用いられる芳香性組成物が生理作用を及ぼすことを示した例としては、リナロールを有効成分とする芳香性組成物が、麻酔下ラットにおいて血圧や体温調節などの種々の生理的変化を引き起こすという報告(特許文献1)がある。
植物等に含まれる特定の芳香成分が血圧降下作用(特許文献2)や脳機能改善作用(特許文献3)を持つことも報告されている。
しかしながら、植物精油の香りが病気の治療など対してどのように効果を発揮するかについてはまだ不明な点が多く、それぞれの成分がどのような働きを持つかについての知見も少ない。
特開2005−206596号公報 特公平3−019210号公報 特開2007−302572号公報(特に段落番号0016) 特開2005−206597号公報(特に段落番号0008) 特開平3−277368号公報(特に第1図、第4図、第7図及び第8図、並びにそれらに関する明細書中の説明) 実公平5−4840号公報
アロマテラピーなどで用いられる植物精油は、従来技術などで示されるとおり、血圧降下作用を示すものがある。しかしながら、植物より精製される精油には、さまざま成分含まれ、さらに、産地によりその構成比が異なる場合もあり、実際にどの成分が血圧降下作用をもつか不明であった。
本発明は、前記従来の課題を解決するもので、産地別あるいは精製方法にとらわれず、効果的に血圧降下作用を持つ成分を特定することにより、安定した効果を有する血圧降下剤を提供することを目的とする。
前記従来の課題を解決する本発明に係る芳香性血圧降下剤は、シトラールとリナロールを含有し、鼻孔から吸引され、シトラールリナロールに対する質量比が10以上40以下である。シトラールリナロールに対する質量比は20であることが望ましい。
本発明の上記目的、他の目的、特徴および利点は、添付図面参照の下、以下の好適な実施態様の詳細な説明から明らかにされる。
本発明によれば、降圧作用の優れた血圧降下剤を提供することができる。また、本発明によれば、そのような血圧降下剤を鼻孔から吸引させることにより、哺乳類の血圧を下げることができる。なお、本発明の方法では、ヒトの血圧を降下させることも可能であり、非ヒト哺乳類の血圧を下げることも可能である。
図1は、様々な芳香性組成物をラットに提示した場合の拡張期血圧の変化を示すグラフである。 図2は、芳香性組成物の配合比を変化させた場合のラット拡張期血圧の変化を示すグラフである。 図3は、本発明の血圧降下剤を鼻孔から吸入させるための電子機器の一例として利用しうる血圧測定器を示す斜視図である。 図4は、図3の一部拡大断面図である。 図5は、図3の制御ブロック図である。 図6は、本発明の血圧降下剤を鼻孔から吸入させるための電子機器の一例として利用しうるサウナ装置を示す構成図である。 図7は、図6の制御ブロック図である。 図8は、本発明の血圧降下剤を鼻孔から吸入させるための電子機器の一例として利用しうるトイレ装置を示す構成図である。 図9は、図8の一部拡大断面図である。 図10は、図8の制御ブロック図である。
以下、本発明を具体化した血圧降下剤の一実施形態を詳細に説明する。
本実施形態の血圧降下剤は、シトラールとリナロールを含有する芳香性血圧降下剤であって、鼻孔から吸引され、シトラールリナロールに対する質量比が10以上40以下であること特徴とする。
高血圧症は、心臓や血管の病変を促し、心臓病や脳卒中などにおける最も重視すべき危険要因だと考えられている。高血圧症の治療法としては、食事療法、適度な運動といった非薬物療法とβ遮断薬やカルシウム拮抗薬などを用いる薬物療法が行われてきた。しかし、食事制限や運動療法では高血圧を改善できない場合も多く、血圧降下剤の効果も症例によって一様ではない。さらに、高血圧治療は長期にわたって継続する場合があるので、副作用の恐れのない、安全な療法が望まれている。
血圧は大きく分けて、心収縮機能による調節、腎臓における体液量の調節、自律神経による血管収縮状態の調節、ホルモンなどの液性因子による血管収縮状態の調節の4つの方法によって制御されている。神経による調節は、頚動脈洞と大動脈弓に存在する圧受容器において、血圧上昇が感知されることから始まる。圧受容器が興奮し、迷走神経と舌咽神経を介して血管運動中枢と心臓抑制中枢に伝えられる。そして、交感神経の緊張が低下し、血管が拡張すると同時に、迷走神経の緊張が亢進し、心拍数が減少し、血圧が低下する。低下時には逆の反応が起こる。
一方、自律神経系に関与するとされる大脳辺縁系には匂い物質を受容する嗅覚神経系から強く投射することが知られている。つまり、ある匂い物質は、嗅覚神経系および大脳辺縁系を介し、種々の生理作用に影響を与えると考えられる。
本実施形態の芳香性血圧降下剤は、シトラールとリナロールからなる芳香性組成物であるため、嗅覚神経系、大脳辺縁系および自律神経系を介し、効果的に血圧を降下させる作用をもつ。また、シトラールに対するリナロールの割合が10分の1を上限とし40分の1を下限とすることを特徴とする芳香性組成物は、特に効果的な降圧作用を有する。なお、かかる血圧降下現象は、腎臓を支配する交感神経の抑制と副腎を支配する交感神経の抑制とが併行して働いて生じるものと考えられる。このことから、本発明の芳香性血圧降下剤は、血圧を降下するための組成物として、また高血圧状態を改善するために組成物として好適に用いることができる。
本発明の芳香性血圧降下組成物は、各種の製品に血圧降下作用を有する香料(芳香性成分)として、対象の製品に当該機能(効能)を付する目的で配合することができる。本発明は、上記本発明の芳香性血圧降下剤を含有する血圧降下組成物を提供する。
本発明において血圧降下組成物とは、上記本発明の芳香性血圧降下剤を含有し、その結果、シトラールとリナロールに起因する匂い(香り)を発生する製品を意味する。本発明が対象とする血圧降下組成物は、上記シトラールとリナロールに起因する匂いを発することに基づいて、血圧を降下させる作用を有するものである。本発明の血圧降下組成物は、血圧降下作用を有し、好ましくは、さらにその作用を利用した用途(血圧降下用)に使用されるものであれば、特に制限されない。具体的な血圧降下組成物としては、たとえば、芳香剤、香粧剤、吸入投与剤、繊維製品用洗剤、繊維製品、建材、食品および電化製品がある。
なお、これらの血圧降下組成物は、本発明の芳香性血圧降下剤を含有することに基づいて、それが有する上記血圧降下作用や用途に応じて、特定の機能(効能)や用途を示す表示が付されてなる製品であってもよい。
芳香剤としては、本発明の芳香性血圧降下剤を含有することによって血圧を降下させる作用を有し、血圧降下用に使用される芳香剤を挙げることができる。この限りにおいて、室内用芳香剤、トイレ用芳香剤、自動車用芳香剤、玄関用芳香剤、浴室用芳香剤、クローゼット用芳香剤、衣類等の繊維用芳香剤、タンス用芳香剤等のいずれの芳香剤であってもよい。
なお、消臭効果を兼ね備えているものもここでいう芳香剤に含まれる。芳香剤の形態も固体状、半固体状(ゼリー状、ゲル状等)、液体状、エアゾール状等の様々な形態が使用される。
香粧品としては、本発明の芳香性血圧降下剤を含有することによって血圧を降下させる作用を有し、血圧降下用に使用される香粧品を挙げることができる。これらの香粧品には、化粧料、石鹸等の生体洗浄剤や入浴剤、香水などのフレグランス、練歯磨、液体歯磨、洗口剤、マウスペット、及び口中清涼剤等が包含される。香粧品として、具体的には、例えばクリーム、乳液、化粧パウダー、ボディーローション、整髪料、洗髪料、石鹸、ボディーソープ、制汗剤、シャンプー、リンス、香水、化粧水、口紅、リップクリーム、サンスクリーン、マッサージオイル、マッサージクリーム、及びスキンケアオイル等が挙げられる。
吸入投与剤としては、本発明の芳香性血圧降下剤を含有することによって血圧を降下させる作用を有し、血圧降下用に使用される吸入投与剤を挙げることができる。これらの具体的な形態は特に制限されないが、スプレーや芳香成分の揮発等によって鼻孔付近で芳香を発生させ、意図的に芳香を吸入させるもの等をいい、例えば、点鼻薬、噴霧剤、吸入液等を挙げることができる。
食品としては、本発明の芳香性血圧降下剤を含有することによって血圧を降下させる作用を有し、血圧降下用に使用される食品であることができる。本発明の芳香性血圧降下剤の芳香性成分(シトラールとリナロール)による効果を効率よく得るためには、口中に比較的長い時間留まり鼻腔を経由して芳香が吸入されるものや、口に入れる前に香り成分が鼻腔から吸入されるものが好ましい。具体的には、ガム、飴、グミ、及びトローチなどの菓子類; ヨーグルトやアイスクリーム等の冷菓やデザート; 茶等の清涼飲料水: 口中清涼剤; サプリメントなどを挙げることができる。
繊維製品用洗剤としては、本発明の芳香性血圧降下剤を含有することによって血圧を降下させる作用を有するものであって、例えば、陰イオン性、陽イオン性、非イオン性若しくは両性イオン性の洗剤、繊維製品柔軟剤、繊維製品柔軟用製品、乾燥機用繊維柔軟剤製品等が挙げられる。
繊維製品としては、本発明の芳香性血圧降下剤を含有することによって血圧を降下させる作用を有するものであって、肌着(靴下、タイツ及びストッキングも含まれる)や上着などの衣料品、ハンカチやタオル類、マスクや汗吸収パットなどの衛生用品、敷物、バッグや袋、カーテン、寝装品(掛布団、敷布団、敷きマット、ブランケット、タオルケット、枕、ベッドマット、ソファー、クッション、座布団、及びこれらのカバー等)及び小物等を挙げることができる。
建材としては、本発明の芳香性血圧降下剤を含有することによって血圧を降下させる作用を有するものであって、好ましくは当該作用に基づいて血圧降下作用に使用される建材を挙げることができる。これらの具体的な形態は特に制限されないが、壁紙、諸氏神、ふすま紙、ボードおよび塗材等が含まれる。
電化製品としては、本発明の芳香性血圧降下剤を含有することによって血圧を降下させる作用を有するものであって、当該作用に基づいて血圧降下作用に使用される電化製品を挙げることができる。これらの具体的な形態は特に制限されないが、エアコンあるいは空気清浄機などが含まれる。
また、医薬部外品としては、本発明の芳香性血圧降下剤を含有することによって血圧を降下させる作用を有するものであって、当該作用に基づいて血圧降下作用に使用される医薬部外品を挙げることができる。これらの具体的な形態は特に制限されないが、練り歯磨き、液体歯磨き、洗口剤、マウスペット、口中清涼剤、パップ剤などが含まれる。
以上説明する本発明の血圧降下組成物は、その芳香性成分としてシトラールリナロールに対する質量比10以上40以下であることを特徴とする組成物が含有するものである。従って、本発明の血圧降下組成物によれば、それが発する芳香性成分が嗅覚を刺激し、交感神経の活動抑制または迷走神経の活動亢進に起因する血圧降下作用を発揮することができる。すなわち、本発明の血圧降下組成物は、血圧を降下するための用途で、また高血圧状態を改善するための用途で好適に用いることができる。
[実施例]
次に各試験例をあげて前記実施形態をさらに具体的に説明する。
試験例1(芳香性組成物の血圧変化作用の評価)
植物精油の1つであるメリッサ精油に含まれる芳香性成分に着目し、Wister系雄ラットに様々な芳香性組成物を提示し、提示前後での尾動脈圧の変化について評価を行った。なお、ラットが血圧測定の環境下において、出来る限り負荷を与えず、安静を保つことが出来る条件で試験を実施した。
<試験動物>
Wistar系雄ラットを7週齢で購入し、1週間の順応期間の後、8週齢で血圧測定を行った。全ての実験動物は、8時から20時を明期とする12時間の明暗サイクル下で、食餌と水は自由に摂取できるように飼育した。
<試験順応トレーニング>
7週齢のラットを血圧測定用ホルダーに順応させるためのトレーニングを1週間行った。測定日1週間前よりトレーニングを開始し、ホルダーに入れる時間を日ごとに延ばし、測定日3日前からは、ラットの鼻孔付近にミネラルオイルを通したエアーを提示した。さらに、測定日2日前からは、ラットの尾部に血圧測定用のカフの装着し、測定時に加わる圧力へ順応も行った。なお、トレーニングは全て明期に行い、測定2日前からはそれぞれの測定時間と同じ時間帯に行った。
<血圧測定方法>
トレーニング終了後から3日間、ラットに芳香性組成物を提示した際の血圧変化を測定した。日内変動の影響を出来る限り排除するように、測定スケジュールを立案した。血圧測定には、マウス・ラット用無加温型非観血式血圧計(室町機械、Model MK−2000ST)を用い、付属のホルダーにラットを入れ、尾部の付け根に血圧測定用カフを装着した。測定開始10分前よりラットをホルダーに入れ、ラットが安静であることを頭部、および尾部の動きにより目視で確認した後、血圧測定を開始した。芳香性組成物提示前と提示終了時より30分後の血圧を測定し、その変化を比較した。各時点での測定データは、それぞれ5回の測定の平均値を、その時点における拡張期血圧とした。なお、血圧計の波形表示、あるいはラットの体動を観察し、異常値と判断される値については除外した。
<芳香性組成物の提示方法>
血圧測定中は、活性炭とシリカゲルを通したエアー(流量50cc/min)を、ミネラルオイルに通気させ、ラットの鼻孔近傍に与え続けた。芳香性組成物を提示する場合には、あらかじめミネラルオイルによって希釈された液体に通気させたエアーをラットの鼻孔近傍に10分間提示した。なお、提示させる芳香性組成物は、それぞれのラットにとって全て新規のものであるように選択した。
<提示した芳香性組成物>
本試験で使用した芳香性組成物は、メリッサ精油とメリッサ精油に含まれる成分であるシトラール(和光純薬製;比重0.89g/ml)、リナロール(アルドリッチ製;比重0.86g/ml)、そして、シトラールとリナロールの混合物である。メリッサ、シトラール、リナロールはそれぞれ0.5μLをミネラルオイル500μL(ナカライタスク製;比重0.87g/ml)で希釈させたものを用いた。シトラールとリナロールの混合物は、シトラール2μLとリナロール0.1μLをミネラルオイル502.9μLに溶かした溶液(シトラールとリナロールの質量比約20:1)を用いた。
<試験結果>
図1に示されるように、本試験で使用した全ての芳香性組成物において、提示後30分で提示前に比べて血圧の低下が見られた。特にシトラールとリナロールを20:1に混合させた組成物では、ミネラルオイルだけを含んだエアーを提示したコントロールの場合と比較して顕著な差(危険率1%以下)が見られた。
試験例2(シトラールとリナロールの配合比による血圧降下作用の評価)
試験例1で判明したシトラールとリナロールの混合物のなかで、配合比による血圧降下作用の評価を行った。なお、本試験における血圧変化の測定方法は試験例1の場合と同様である。
<提示した芳香性組成物>
本試験で使用した芳香性組成物は、シトラールとリナロールの質量比がそれぞれ、4:1、10:1、20:1、40:1、100:1に混合させたもの5種類を使用した。具体的には、
(1)シトラール2μLとリナロール0.5μLをミネラルオイル502.5μLに溶かした溶液(シトラールとリナロールの質量比約4:1)、
(2)シトラール2μLとリナロール0.2μLをミネラルオイル502.8μLに溶かした溶液(シトラールとリナロールの質量比約10:1)、
(3)シトラール2μLとリナロール0.1μLをミネラルオイル502.9μLに溶かした溶液(シトラールとリナロールの質量比約20:1)、
(4)シトラール2μLとリナロール0.05μLをミネラルオイル503μLに溶かした溶液(シトラールとリナロールの質量比約40:1)、
(5)シトラール2μLとリナロール0.02μLをミネラルオイル503μLに溶かした溶液(シトラールとリナロールの質量比約100:1)の5種類を用いた。
<試験結果>
図2に示されるように、本試験で使用した配合例においても、提示後30分で提示前に比べて血圧の低下が見られた。シトラールとリナロールの質量比を4:1、100:1に混合させた組成物では、前記試験1の結果で血圧降下が見られたメリッサ、シトラール、リナロールの場合と同程度の効果しか見られなかった。一方、シトラールとリナロールの質量比を10:1、20:1、40:1に混合させた組成物では、前記試験1の結果で血圧降下の見られたメリッサ、シトラール、リナロールと比較して有意な差が確認された。この中で最も血圧降下作用が大きかったのは、20:1の場合であった。
本発明の芳香性血圧降下剤は、以下に説明するような電子機器を用いることで、哺乳類に鼻孔から吸入させることによって、当該哺乳類の血圧を降下させることができる。
図3〜図5は、本発明の芳香性血圧降下剤を哺乳類の鼻孔から吸入させるために使用しうる電子機器の一例である血圧測定器を示す。
本血圧測定器は、図3、図4に示すように人体の腕1に装着する装着帯(カフ)2と、この装着帯2に取付けられた略偏平箱状の本体ケース3と、この本体ケース3、または前記装着帯2の少なくとも一方に設けた加圧袋4と、この加圧袋4に送風路5aを介して空気を圧入させる送風機(送風ポンプ)6と、この加圧袋4よる腕1への加圧後に、人体の血圧を測定する血圧測定部(圧力センサー)7とを備えている。
前記本体ケース3の上面中央には図3に示すごとく、前記血圧測定部(圧力センサー)7による測定値を表示する表示部8が設けられている。
この表示部8の上段8aには最高血圧値が表示され、また中段8bには最低血圧値が表示され、さらに下段8cには脈拍が表示されるようになっている。
つまり、本血圧測定器も、既存の血圧測定器と同じように、血圧測定時には、腕1に装着帯(カフ)2を装着し、その状態で、図3、図5のスイッチ3aを閉成する。
すると、制御素子3bにより、送風機(送風ポンプ)6が駆動され、加圧袋4に、送風路5を介して送風機(送風ポンプ)6からの空気が圧入され、以降はコロトコフ音をマイク3cで確認しながら、上記最高血圧値、最低血圧値、および脈拍を検出することが出来るようになっているである。
以上の説明で血圧測定器の基本的な構成、動作が理解されところで、以下、本血圧測定器の特徴点について説明する。
すなわち、本血圧測定器においては、図4に示すように、上記本体ケース3に、容器状の血圧降下剤収納部9と、この血圧降下剤収納部9内に収納された芳香性血圧降下剤からの芳香性血圧降下剤成分を、本体ケース3外に流出させる開口部10とを設けている。
また、前記血圧降下剤収納部9内の下方には、液体状の芳香性血圧降下剤をスポンジや綿花などの担体11に含浸させたものを、収納させている。
さらに、上方の開口部10は、開閉自在となった蓋12で覆っている。この蓋12には、本体ケース3外からこの蓋12を図2の左側に可動操作する中央上方のつまみ12aと、本体ケース3内において送風機(送風ポンプ)6からの送風圧力を受けてこの蓋12を図2の左側に可動させる右側端の風圧板12bと、これらつまみ12aと風圧板12b間に設けた開口部12cとを設けている。
また、この蓋12の左側端には、ばね13が装着され、このばね13により蓋12は常時右側に付勢され、これにより蓋12の開口部12cと、本体ケース3の開口部10は、この図4に示すように持ち運び時や、血圧の測定時には、非合致状態となっている。
このため、持ち運び時や、血圧の測定時に、血圧降下剤収部9に収納された液体状の芳香性血圧降下剤が本体ケース3の開口部10から流出することはない。
また、血圧測定後、上記表示部8に表示された最高血圧値や最低血圧値を見た測定者が、血圧が高いと感じたときには、図3に示した本体ケース3の下部左側のスイッチ14を操作する。
すると、図5の制御素子3bにより、図4に示した風路切換手段15が、加圧袋4への送風路5aから、血圧降下剤収部9への送風路5bへと切換り、これにともない、送風機(送風ポンプ)6からの送風は、風路切換手段15、送風路5bを介して血圧降下剤収納部9へと送り込まれる。
血圧降下剤収納部9内に送込まれた送風機(送風ポンプ)6からの送風は、上記蓋12右側端の風圧板12bを図4の左側に押しながら血圧降下剤収納部9内に流入する。
そして、この蓋12が図4の左側へ移動することにより、蓋12の開口部12cが、本体ケース3の開口部10に合致すると、本体ケース3の開口部10を介して血圧降下剤収部9内の芳香性血圧降下剤(すなわち、シトラールとリナロールとを含有する芳香性血圧降下剤であって、シトラールリナロールに対する質量比が10以上40以下である、芳香性血圧降下剤)成分が送風に搬送される状態で流出し、これを血圧測定者が嗅ぐこととなる。この時、芳香性血圧降下剤成分は、送風に搬送される状態で開口部10から流出するので、使用者は必要以上に、鼻孔を開口部10に近づける必要は無く、非常に使い勝手の良いものとなる。
また、この芳香性血圧降下剤成分を嗅いだ後は、上記スイッチ14を再度操作すれば、制御素子3bにより送風機(送風ポンプ)6の運転は停止され、また風路切換手段15も、加圧袋4への送風路5へと切換るので、蓋12がばね13で右側に押されて、この図4の状態となり、この結果としてこの芳香性血圧降下剤成分を嗅ぐ動作は終了することになる。
図6、図7は、本発明の芳香性血圧降下剤を哺乳類の鼻孔から吸入させるために使用しうる電子機器の一例であるサウナ装置を示す。
図6において、16はサウナ装置の本体ケースで、この本体ケース16は浴室17の天井18上に設置されている。
本体ケース16は浴室17内から吸気を行う吸気口19、および前記浴室17内に排気を行う排気口20を有し、この本体ケース16内で前記吸気口19と排気口20を結んだ送風路21には、温水タイプの加熱器22、送風機23、および加湿器24を順次配置している。
前記加湿器24は、液体の微細化手段としてノズル25を有し、このノズル25には給水手段として給水パイプ26が連結されている。また、この給水パイプ26の一部は、図示していないが、加熱器22に当接し、この加熱器22からの熱伝導で給水パイプ26内の水は加熱され、よってノズル25からは温水が噴出するようになっている。
つまり、浴室17内でサウナを楽しむためには、先ず浴室17のドア27外の制御盤28に設けた図7に示すスイッチ29を閉成し、電源回路29aに通電する。
すると、図7の制御器30により、スイッチ31aが閉成されてポンプ31が駆動され、これにより温水器(図示せず)からの温水が加熱器22に流入する。
温水流入により加熱器22の温度が所定温度に上昇したことを温度センサ32が検出すると、スイッチ23aが閉成されて送風機23が駆動される。
送風機23が駆動されると、図6に示すごとく浴室17内の空気が、先ず吸気口19から本体ケース16内に吸気され、次に加熱器22で加熱され、その後排気口20から浴室17へと排気され、浴室17内の暖房が行われることとなる。
そしてこの様に状態に浴室17内の暖房が開始されると、給水パイプ26を介して1分間に60ccの温水がノズル25に供給され、これによりこの温水がノズル25から勢い良く衝突板25aに噴射される。
この衝突板25aへの温水衝突で、大部分の温水はこの衝突板25a部分で微細化され、これが上記加熱器22で加熱され、排気口20へ向かう温風に搬送され、蒸発しながら浴室17へと供給され、これにて浴室17内でサウナを楽しむ準備が進む。
浴室17内でサウナを楽しむためには、上記浴室17内の暖房とノズル25からの温水噴射が5分以上継続された状態で、使用者はこの浴室17内に入室することとなる。
そして使用者の入室中は、上記浴室17内の暖房とノズル25からの温水噴射が、継続的に行われることとなる。
以上の説明でサウナ装置の基本的な構成、動作が理解されところで、以下、本サウナ装置の特徴点について説明する。
本サウナ装置の特徴は、上記図6の給水パイプ26に、図7のバルブ33と図6、図7のポンプ34とパイプ35を介して血圧降下剤収納部36を連結したことである。
血圧降下剤収納部36は、芳香性血圧降下剤の充填のために本体ケース16外に設けることが好ましく、本サウナ装置では図9に示すごとく浴室17のドア27外に、着脱自在に設けた。
血圧降下剤収納部36内には、液体状の芳香性血圧降下剤を充填している。
本サウナ装置では、上記サウナ運転中に、例えば断続的にバルブ33を開放するとともにポンプ34を駆動する。
具体的には、サウナ運転中(浴室17内の暖房とノズル25からの温水噴射が、継続的に行われている状態)に、5分に1回、30秒間だけ制御器30のスイッチ33aと34aが閉成され、これによりポンプ34駆動され、バルブ33が開放される。
すると、血圧降下剤収納部36内に充填された液体状の芳香性血圧降下剤がパイプ35を介して給水パイプ26に流入されることとなる。
給水パイプ26には上述のごとく1分間に60ccの温水がノズル25に向けて流れており、よってこの温水中に芳香性血圧降下剤が混入し、ノズル25から勢い良く衝突板25aに噴射される。
この衝突板25aへの衝突で、大部分の温水と芳香性血圧降下剤はこの衝突板25a部分で微細化され、これが上記加熱器22で加熱され、排気口20へ向かう温風に搬送され、蒸発しながら浴室17へと供給される。
したがって、入浴者は、排気口20に鼻孔を近づけることなく、浴室17への入室とともに、芳香性血圧降下剤成分を嗅ぐことができ、非常に使い勝手の良いものとなる。
本サウナ装置では、あくまでもサウナ装置の機能を優先すべく、ノズル25から噴出させる温水量を、芳香性血圧降下剤よりも十分に多くしている。
逆に説明すれば、温水中に混入させる芳香性血圧降下剤の量を、温水に比べて少なくしているが、これでも十分に浴室17内に芳香性血圧降下剤成分(すなわち、シトラールとリナロールとを含有する芳香性血圧降下剤であって、シトラールのリナロールに対する質量比が10以上40以下である、芳香性血圧降下剤)を充満させることが出来るということである。
なお、本サウナ装置では、血圧降下剤収納部36内に充填された液体状の芳香性血圧降下剤がパイプ35を介して非加熱状態で給水パイプ26に流入させたが、パイプ35の一部を加熱器22に当接させ、この加熱器22からの熱伝導でパイプ35内の芳香性血圧降下剤を加熱し、それを給水パイプ26に流入されるようにしても良い。
図8〜図10は、本発明の芳香性血圧降下剤を哺乳類の鼻孔から吸入させるために使用しうる電子機器の一例である暖房便座を示す。
図8において、37はトイレ室で、入口にはドア38が開閉自在に設けられ、内部には便器39が設けられている。
また、便器39の上方開口部には暖房便座40が設けられている。さらに、便器39の後方には排水タンク41が設けられ、この排水タンク41の上方には芳香性血圧降下剤を収納した本体ケース42が設置されている。
本体ケース42は図9に示すように箱状で、上方に吸気口43、排気口44が設けられている。
また、この本体ケース42内部はこの図9に示すように仕切板45で左右に仕切られ、左側が血圧降下剤収納部46、右側が制御収容部47となっている。
そして、左側の血圧降下剤収納部46には、液体状の芳香性血圧降下剤をスポンジや綿花などの担体48に含浸させたものを、収納させている。
また、右側の制御収容部47には制御器49と送風機50が設けられている。
つまり、送風機50が駆動すると、先ず本体ケース42の吸気口43からトイレ室37内の空気が吸引され、次にこの空気は仕切板45上方の開口51を通過して血圧降下剤収部46に流入する。
血圧降下剤収納部46内には上述のごとく、液体状の芳香性血圧降下剤を含浸させた担体48が設けられているので、この担体48上面に空気が流れると、芳香性血圧降下剤成分(すなわち、シトラールとリナロールとを含有する芳香性血圧降下剤であって、シトラールとリナロールの質量比が10:1以上40:1以下である、芳香性血圧降下剤)が蒸発しながら搬送され、排気口44からトイレ室37内へと放出される。
排気口44は開閉自在な蓋52を設けているが、この蓋52は送風機50の駆動による送風圧力でこの図7に示すごとく開放されるようになっている。
図10は制御回路を示し、暖房便座40への通電制御は制御器53で行われるようになっている。
つまり、暖房便座40を設定温度に保つために、その温度をセンサ54で検出し、スイッチ40aを開閉するようになっているのである。
本暖房便座における特徴の一つとして、送風機50つまり、日本の冬のような低温季節では、寒くなればなるほど暖房便座40は頻繁な通電が行われており、本暖房便座ではこのように寒くなればなるほど送風機50の駆動も頻繁に行われるようにしているのである。
この点をさらに説明すると、寒くなればなるほど、トイレ室37利用時の血圧上昇に気を配る必要があるといわれているので、本暖房便座では、上述のごとく寒くなればなるほど送風機50の駆動も頻繁に行わせ、トイレ室37内に芳香性血圧降下剤成分を放出するようにしたものである。
またトイレ室37の利用は、使用者の都合により、突然に、不規則に行われるので、本暖房便座のように暖房便座40への通電タイミングに連動させて送風機50に通電し、トイレ室37内に芳香性血圧降下剤成分を自動的に搬送・放出させるようにしたほうが、使用実態に合致することとなり、利便性の高いものとなる。
また、暖房便座40への着座時に使用する温水シャワー装置(図示せず)を用いた場合は、このシャワー用の水を加熱するヒータ(図示せず)への通電に連動して送風機50を駆動する構成としても良い。なお、図12の55は電源回路である。
なお、図2〜図10で説明した各電子機器で用いた芳香性血圧降下剤は、シトラールとリナロールの混合物であって、それをミネラルオイルで希釈させた液体状のものを用いることが好ましい。
また、シトラールとリナロールの質量比は、10:1、20:1、40:1に混合させた組成物で血圧降下が確認できたので、その内から適宜の質量比のものを活用するが、20:1が最も効果的であったので、その近傍の質量比のものを活用することが好ましい。
上記説明から、当業者にとっては、本発明の多くの改良や他の実施の形態が明らかである。したがって、上記説明は例示としてのみ解釈されるべきであり、本発明を実行する最良の態様を当業者に教示する目的で提供されたものである。本発明の精神を逸脱することなく、その構造および/または機能の詳細を実質的に変更できる。
本発明にかかる芳香性組成物は、効果的な血圧降下作用を有し、高血圧症またはその傾向にある被験者(患者)の血圧降下剤として有用である。
1 腕
2 装着帯(カフ)
3 本体ケース
3c マイク
4 加圧袋
5a 送風路
5b 送風路
6 送風機(送風ポンプ)
7 血圧測定部(圧力センサー)
8 表示部
9 血圧降下剤収納部
10 開口部
11 担体
12 蓋
13 ばね
14 スイッチ
15 風路切換手段
16 本体ケース
17 浴室
18 天井
19 吸気口
20 排気口
21 送風路
22 加熱器
23 送風機
24 加湿器
25 ノズル
25a 衝突板
26 給水パイプ
27 ドア
28 制御盤
29 スイッチ
30 制御器
31 ポンプ
32 温度センサ
33 バルブ
34 ポンプ
35 パイプ
36 血圧降下剤収納
37 トイレ室
38 ドア
39 便器
40 暖房便座
41 排水タンク
42 本体ケース
43 吸気口
44 排気口
45 仕切板
46 血圧降下剤収納
47 制御収容部
48 担体
49 制御器
50 送風機
51 開口
52 蓋
53 制御器
54 センサ
55 電源回路

Claims (4)

  1. シトラールとリナロールとを含有する血圧降下剤であって、前記シトラールと前記リナロールの質量比が10:1以上40:1以下である、血圧降下剤。
  2. 前記質量比が20:1である、請求項1に記載の血圧降下剤。
  3. 哺乳類の血圧を降下させる方法であって、
    前記方法は、シトラールとリナロールとを含有する組成物を前記哺乳類の鼻孔から吸引させる工程を包含し、
    前記組成物に含まれるシトラールとリナロールとの質量比が1:10以上1:40以下である、方法。
  4. 前記質量比が20:1である、請求項3に記載の方法。
JP2010502716A 2008-03-13 2009-03-09 芳香性血圧降下剤 Active JP4562807B2 (ja)

Applications Claiming Priority (5)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2008063658 2008-03-13
JP2008063658 2008-03-13
JP2008256028 2008-10-01
JP2008256028 2008-10-01
PCT/JP2009/001039 WO2009113287A1 (ja) 2008-03-13 2009-03-09 芳香性血圧降下剤、および哺乳類の血圧を下げる方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP4562807B2 JP4562807B2 (ja) 2010-10-13
JPWO2009113287A1 true JPWO2009113287A1 (ja) 2011-07-21

Family

ID=41064961

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2010502716A Active JP4562807B2 (ja) 2008-03-13 2009-03-09 芳香性血圧降下剤

Country Status (4)

Country Link
US (1) US20100216891A1 (ja)
JP (1) JP4562807B2 (ja)
CN (1) CN101969968B (ja)
WO (1) WO2009113287A1 (ja)

Families Citing this family (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US8021702B2 (en) * 2009-02-21 2011-09-20 Alevtina Brady Method for improving human blood circulation
JP2011183012A (ja) * 2010-03-10 2011-09-22 Terumo Corp 血圧計
CN103976987A (zh) * 2014-06-04 2014-08-13 古天津 一种用于治疗动脉粥状硬化的组合物

Family Cites Families (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPS61246133A (ja) * 1985-04-22 1986-11-01 Remon Glass Food Kk 血圧降下剤
JP3810668B2 (ja) * 2001-11-01 2006-08-16 高砂香料工業株式会社 蚊忌避効果を有する香料組成物
KR20060114328A (ko) * 2003-11-07 2006-11-06 코그니스 프랑스 에스.에이.에스. 스키산드라 키넨시스의 과일의 추출물 및 그의 약학용 및화장용 용도
JP2005206596A (ja) * 2003-12-26 2005-08-04 Osaka Industrial Promotion Organization 芳香療法用組成物

Also Published As

Publication number Publication date
JP4562807B2 (ja) 2010-10-13
CN101969968B (zh) 2012-06-20
WO2009113287A1 (ja) 2009-09-17
CN101969968A (zh) 2011-02-09
US20100216891A1 (en) 2010-08-26

Similar Documents

Publication Publication Date Title
TWI230076B (en) Composition for inhibiting body odor and uses thereof
JP5007833B2 (ja) 自律神経調整剤
KR20170129194A (ko) 개선된 유기 화합물
US20130064726A1 (en) Appliance for at least partially sterilizing a contaminated surface
Romine et al. Lavender aromatherapy in recovery from exercise
ES2888300T3 (es) Composiciones de fragancia novedosas y productos con efectos de mejora del estado de ánimo
JP4562807B2 (ja) 芳香性血圧降下剤
JP2007197334A (ja) 自律神経調整剤、睡眠改善剤又はストレス緩和剤用組成物
JP5019016B2 (ja) 睡眠改善剤及び香料製剤
WO2020004182A1 (ja) 睡眠改善剤
JP2014023594A (ja) 局部ミスト式健康椅子
JP3951271B2 (ja) 体脂肪燃焼促進剤
JPWO2005049773A1 (ja) 香りの多次元的機能評価方法および神経活動促進香料
JP2005206596A (ja) 芳香療法用組成物
KR102356157B1 (ko) 원터치 멀티 위생 필터 시스템
WO2007120477A2 (en) Products containing a pheromone component
JP2018524457A (ja) 衛生フレグランス組成物
JP4632895B2 (ja) 睡眠改善用組成物
US20040076694A1 (en) Peppermint isopropyl alcohol
JP2012171944A (ja) θ波発現増強剤
JP6283579B2 (ja) 疲労抑制剤
WO2022225011A1 (ja) 腸活動調整装置、腸活動調整システム、及び腸活動調整プログラム
WO2007013581A1 (ja) 鎮静用組成物
WO2023168069A1 (en) Fragrance compositions for sleep improvement
JP2022163271A (ja) 認知機能低下抑制用の香料組成物

Legal Events

Date Code Title Description
TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20100706

A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20100727

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130806

Year of fee payment: 3

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 4562807

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150