JPWO2009102001A1 - 鳥類探査システム、鳥類探査方法およびコンピュータプログラム - Google Patents

鳥類探査システム、鳥類探査方法およびコンピュータプログラム Download PDF

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Abstract

本発明は、撮像手段が風力発電装置の周囲を微小時間間隔で撮像し、取得した複数の時刻の輝度パターン分布を比較することによって、画像処理手段が被写体内における所定の画点の移動方向及び移動量を計測して飛来物を抽出して飛来物データとしてデータ化する。鳥類判別手段が鳥類飛行パターンデータベースに蓄積された飛行パターンデータと前記飛来物データとを照合して当該飛来物データから鳥類の飛行か否かを判別する。その鳥類判別手段が鳥類の飛行であると判別した場合には、鳥類飛行経路予測手段がその鳥類の飛行経路を予測する。飛来物が鳥類であるか否かを正確に判別できるため、鳥類の接近時に必要な風力発電装置の制御を正確に行うことができる。

Description

本発明は、上空を飛翔する鳥類の探査の技術に関し、特に風力発電装置の周囲の鳥類探査を実行可能な技術に関する。
近年、単機あたりの出力を向上させるため、風力発電装置は大型化している。一般的な大型の風力発電装置は、高さ30〜80メートル程度のタワーに設置され、そのような風力発電装置のブレードは20〜50メートルであるので、最高位は地上から130メートルにも達する。
このような高さは、当該風力発電装置が設置された場所の近隣に生息する鳥類(猛禽類など)の飛行高さ、渡り鳥の巡航飛行の高さに相当する場合もある。そして、飛行する鳥類は高速で回転するブレードを視認しにくいためか、ブレードに衝突して絶命する事故(バードストライク)が発生している。
鳥類を含む飛来物の衝突事故を防止するための技術として、特許文献1に開示される技術がある。
特開2006−125266号公報
この特許文献1に開示される風力発電装置は、当該特許文献1の図5に示すように、風上前方の飛来物を検知可能な障害物探査装置と、回転停止ポジションを含めたブレードの角度変更を制御するブレード角度制御手段とを備える。飛来物が接近してきたと判断した場合に、前記ブレード角度制御手段がブレードを回転停止ポジションに変更するのである。
一方、遠方から煙(例えば、発電施設などの煙突から排出される煙)を観測するシステムとして、特許文献2、特許文献3に開示された技術が知られている。これらは、ITVカメラやカラーカメラを複数台用い、各カメラ間の視差や色差を利用して煙突から排出される煙の有無を検知する。
特開昭63−88428号公報 特開平10−232198号公報
近年では、複雑な流れ場の流動を高精度かつ精密に測定する粒子画像流速計(以下、「PIVシステム」という)が知られている。簡単に説明すれば、被測定流体の流れ場にレーザ光をシート状に投入してレーザシートを形成して、レーザシート上における二つの時刻での粒子画像を連続撮像し、その輝度パターン分布を比較して流体の流速や方向を測定する技術である。
さて、前述したように、遠方からの測定においては、特許文献2、特許文献3に記載の技術やPIVシステムを用いることで実現することが可能である。しかし、風力発電装置の周囲を飛行する鳥類を検知するには、以下のような特有の問題がある。
鳥類の飛行速度と風力発電装置の制御時間との関係において、素早い計測およびその計測結果に伴う制御出力が必要である。具体的には、風力発電装置の運転制御には3秒程度必要であり、鳥類の飛行速度は20メートル/秒である。3秒で制御を完了するには、鳥類が風力発電装置から60メートルに接近した時点で、制御変更の判断をしなければならない。しかし、60メートル以上の距離での撮影画像では、鳥類か否かの判別が困難である。特許文献1の技術の場合、鳥類以外の飛来物の接近でもブレードの回転を停止しなければならず、運転コストの点で無駄がある。
本発明が解決しようとする課題は、鳥類の探査性能を向上して、鳥類の衝突(バードストライク)を効率的に抑制し、運転コストの上昇を抑えることが可能な技術を提供することである。
上記課題を解決するため、本発明の鳥類探査システムは、風力発電装置の周囲を撮影して鳥類を識別する鳥類探査システムであって、前記風力発電装置の周囲を微小時間間隔で撮像する撮像手段と、前記撮像手段で取得した複数の時刻の輝度パターン分布を比較することによって被写体内における所定の画点の移動方向及び移動量を計測し、それを飛来物データとしてデータ化する画像処理手段と、鳥類の飛行を撮像してその飛行パターンデータを予め蓄積した鳥類飛行パターンデータベースと、前記鳥類飛行パターンデータベースに蓄積された飛行パターンデータと前記飛来物データとを照合して当該飛来物データから鳥類の飛行か否かを判別する鳥類判別手段と、前記鳥類判別手段が鳥類の飛行であると判別した場合に、鳥類と判別された前記画点の移動方向及び移動量から、当該鳥類の飛行経路を予測する鳥類飛行経路予測手段とを備えたことを特徴とする。
本発明の鳥類探査システムを、前記風力発電装置が複数設置されてなる風力発電システムに用いる場合には、前記撮像手段を、前記風力発電装置の設置数よりも少ない設置数とすることが好ましい。
本発明の鳥類探査システムは、前記画像処理手段が、粒子追跡法を用いて前記画点の移動方向及び移動量を計測する手段であることが好ましい。また、前記画像処理手段においては、降雨または降雪の画点を除去する降雨雪除去フィルタを備えていることが好ましい。また、本発明の鳥類探査システムは、前記鳥類飛行経路予測手段により予測される鳥類の飛行経路が風力発電装置に接近する飛行経路である場合、前記風力発電装置に対して制御用の信号を出力する制御信号出力手段を備えていることが好ましい。
本発明の鳥類探査方法は、風力発電装置の周囲を撮影して鳥類を識別する鳥類探査方法であって、鳥類の飛行を撮像手段により撮像してその飛行パターンデータを予め鳥類飛行パターンデータベースに蓄積しておき、前記風力発電装置の周囲を撮像手段により微小時間間隔で撮像し、撮像した複数の時刻の輝度パターン分布を比較することによって被写体内における所定の画点の移動方向及び移動量を計測し、それを飛来物データとしてデータ化し、前記鳥類飛行パターンデータベースに蓄積された飛行パターンデータと前記飛来物データとを照合して当該飛来物データから鳥類の飛行か否かを判別し、鳥類の飛行であると判別した場合に、鳥類と判別された前記画点の移動方向及び移動量から、当該鳥類の飛行経路を予測することを特徴とする。
本発明の鳥類探査方法を、前記風力発電装置が複数設置されてなる風力発電システムに用いる場合には、前記撮像手段を、前記風力発電装置の設置数よりも少ない設置数で実施することが好ましい。
また、本発明の鳥類探査方法は、予測した前記鳥類の飛行経路が前記風力発電装置に接近する飛行経路である場合、前記風力発電装置に対して制御用の信号を出力して、前記風力発電装置の運転を制御することが好ましい。
本発明のコンピュータプログラムは、風力発電装置の周囲を撮影して鳥類を識別する鳥類探査を実行するためのコンピュータプログラムであって、鳥類の飛行を撮像手段により撮像してその飛行パターンデータを予め鳥類飛行パターンデータベースに蓄積する鳥類飛行パターンデータ蓄積手順と、前記風力発電装置の周囲を撮像手段により微小時間間隔で撮像して取得した複数の時刻の輝度パターン分布を比較することにより、被写体内における所定の画点の移動方向及び移動量を計測して、それを飛来物データとしてデータ化する画像処理手順と、前記鳥類飛行パターンデータベースに蓄積された飛行パターンデータと前記飛来物データとを照合して当該飛来物データから鳥類の飛行か否かを判別する鳥類判別手順と、前記鳥類判別手順にて鳥類の飛行であると判別した場合に、鳥類と判別された前記画点の移動方向及び移動量から、当該鳥類の飛行経路を予測する鳥類飛行経路予測手順とを備えることを特徴とする。
本発明のコンピュータプログラムは、前記鳥類飛行経路予測手順により予測される鳥類の飛行経路が風力発電装置に接近する飛行経路である場合、前記風力発電装置に対して制御用の信号を出力する制御信号出力手順を備えた構成とすることが好ましい。また、本発明のコンピュータプログラムは、前記画像処理手順が、粒子追跡法を用いて前記画点の移動方向及び移動量を計測する手段であることが好ましい。また、前記画像処理手順においては、降雨または降雪の画点を除去する降雨雪除去手順を備えた構成とすることが好ましい。
本発明では、撮像手段が風力発電装置の周囲を微小時間間隔で撮像し、取得した複数の時刻の輝度パターン分布を比較することによって、画像処理手段が被写体内における所定の画点の移動方向及び移動量を計測して飛来物を抽出し、それを飛来物データとしてデータ化する。そして、鳥類判別手段が鳥類飛行パターンデータベースに蓄積された飛行パターンデータと前記飛来物データとを照合して当該飛来物データが鳥類の飛行か否かを判別する。その鳥類判別手段が鳥類の飛行であると判別した場合には、鳥類飛行経路予測手段がその鳥類の飛行経路を予測する。
本発明によれば、鳥類飛行パターンデータベースに蓄積された飛行パターンデータを用いることで、飛来物が鳥類であるか否かを正確に判別できる。従って、鳥類の接近時に必要な風力発電装置の制御を従来よりも正確に行うことができる。すなわち、鳥類の予測経路に該当する風力発電装置のブレードの回転停止などによってバードストライクを未然に防止できる確率を高めることができ、しかも、鳥類が接近していないのに運転を停止するといった不必要な制御を抑制できるため、運用にかかるコストを抑制できる。
また、降雨または降雪の画点を除去する降雨雪除去フィルタを設けた構成とすることにより、撮像手段が取得した画像データから規則的な動きをする降雨や降雪の画像データを除去することができ、飛行する鳥類などの画像データが処理しやすくなる。
本発明の一の実施形態に係る鳥類探査システムの概念図である。 本発明の一の実施形態に係る鳥類探査システムによる鳥類探査方法のフローチャートを示した図である。 本発明の一の実施形態に係る鳥類探査システムによる鳥類探査方法を説明するための概念図である。 風力発電装置を複数台備えた風力発電システムにおいて鳥類探査システムを適用する場合の概念図である。 本発明の一の実施形態で用いたPIVの解析手法を説明するための図である。 本発明の一の実施形態で用いたPIVの解析手法を説明するための図である。 風雨の中を飛ぶ鳥類の画像に関する説明図である。
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて更に詳しく説明する。図1は、本発明の一の実施形態に係る鳥類探査システムの概念図であり、図2は、当該鳥類探査システムを用いた鳥類探査方法を説明するためのフローチャートであり、図3は、同じく鳥類探査方法を説明するための概念図である。図4は、風力発電装置を複数台備えた風力発電システムにおいて鳥類探査システムを適用する場合の概念図である。図5および図6は、鳥類探査システムの実施形態に用いるPIVの概念図である。図7は、風雨の中を飛ぶ鳥類の画像に関する説明図である。
本実施形態に係る鳥類探査システムは、図1に示したように、撮像手段と、画像処理手段(画像処理手順)と、鳥類飛行パターンデータベースと、鳥類判別手段(鳥類判別手順)と、鳥類飛行経路予測手段(鳥類飛行経路予測手順)、制御信号出力手段(制御信号出力手順)等を有して構成されている。
撮像手段は、風力発電装置の周囲を微小時間間隔で撮像するものであり、例えば、CCD撮像素子を備えたカメラ(CCDカメラ)やC−MOS撮像素子を備えたカメラからなり、このほか、ボアスコープ、光ファイバケーブルなどを備えて構成されている。撮像手段としてのカメラは、例えば、風力発電装置のタワーに付設される(図4参照)。なお、「風力発電装置の周囲」とは、制御対象の風力発電装置に鳥類が接近するか否かを判断できる範囲のことであり、制御対象の風力発電装置自体と、当該風力発電装置の周辺部(当該風力発電装置を中心として半径数十メートルから数百メートルの範囲)とを含む意味である。
画像処理手段(画像処理手順)は、撮像手段で取得した複数の時刻の輝度パターン分布を比較することによって風力発電装置の周囲における所定の画点の移動方向及び移動量を計測し、この計測した画点の移動方向及び移動量を飛来物データとして電子データ化するものである。本実施形態における画像処理手段(画像処理手順)は、粒子画像流速測定法(以下、「PIV」という)による解析を行うコンピュータプログラムからなり、撮像手段からのデータを取り込むことができるコンピュータ(図1参照)に設定されている。
図5および図6は、前述のPIVに関する一般的な説明のための概念図である。すなわち、PIVは、一般的には、流体の「流れ場」の一部に対して、「シート照明」を照射し、「計測領域」の画像を上記の撮像手段にて取得する。取得した画像は時刻t0とt1の2回である。二つの時刻の「所定のトレーサ粒子(画点)」の動きから、「速度ベクトル」を抽出し、トレーサ粒子の移動量を算出する。
PIVには、画像相関法や粒子追跡法(PTV)等があるが、そのいずれでも適用可能である。但し、撮像手段により撮像される鳥類を含む飛来物を上記の「所定のトレーサ粒子(画点)」として利用するため、粒子追跡法(PTV)を用いることが好ましい。粒子追跡法(PTV)は、個々の画点(鳥類(飛来物))の移動を求める解析手法であるため、各鳥類(飛来物)を画点とみなす本実施形態では、画像相関法よりも適している。なお、本実施形態では、鳥類(飛来物)自体を画点とみなすため、通常のPIVにおいて適用される上記の「シート照明」の照射は行っていない。但し、夜間において撮像する場合には、照明が必要となるが、バードストライクの対象となりやすい鳥類の飛行が少ないため、照射の必要性が小さい。なお、本明細書において、「飛来物」とは、鳥類などの生き物の他、風に飛ばされてくる物体を含む意味である。
鳥類飛行パターンデータベース(鳥類飛行パターンDB)とは、各種鳥類の飛行パターンデータを蓄積したデータベースである。鳥類飛行パターンデータベースは、例えば、上記の画像処理手段(画像処理手順)が設定されたコンピュータの記憶部に記憶されている(図1参照)。予め各種鳥類の飛行を撮像し、そのデータをコンピュータプログラムである鳥類飛行パターンデータ蓄積手順によって読み込ませると、その飛行パターンデータが、例えば、鳥類の種類と関連付けて鳥類飛行パターンデータベースに蓄積される。
鳥類判別手段(鳥類判別手順)は、撮像手段により撮像されて画像処理手段によってデータ化された飛来物データを、鳥類飛行パターンデータベースに蓄積された飛行パターンデータと照合して、鳥類の飛行か否かを判別するコンピュータプログラムである。画像中の形状のみによる判別よりも、一定時間(例えば1秒間)の飛行経路(トラジェクトリー)に基づく判別のほうが鳥類か否かの特定を正確に行うことができる。
鳥類飛行経路予測手段(鳥類飛行経路予測手順)は、所定の画点(飛来物)の飛来物データが前記鳥類判別手段によって鳥類の飛行であると判別された場合に、鳥類と判別されたこの画点(鳥類)の移動方向及び移動量から当該鳥類の飛行経路を予測するコンピュータプログラムである。具体的には、当該画点の2点間の時間毎の位置情報から、速度、移動距離、移動方向を求め、数秒後(例えば、3秒後)の位置を予測する。これにより、風力発電装置のブレードに到達する時刻も予測できる。
制御信号出力手段(制御信号出力手順)は、鳥類飛行経路予測手段により予測される鳥類の飛行経路がいずれかの風力発電装置に接近する飛行経路と判断した場合に、鳥類が接近する方向に位置する風力発電装置に対して制御用の信号を出力するコンピュータプログラムであり、例えば、上記の画像処理手段(画像処理手順)が設定されたコンピュータに設定される。制御信号出力手段から風力発電装置に対して出力される制御用の信号は、例えば、風力発電装置のブレードに組み込まれた制御装置に向けて出力される。そして、この制御装置が信号を受信すると、例えば、ブレードを回転停止ポジション(フェザリング)に変更するように制御し、鳥類の到達予測時刻前にブレードの回転を停止させる。
なお、画像処理手順、鳥類判別手順、鳥類飛行経路予測手順、制御信号出力手順等のコンピュータプログラムは、記録媒体(たとえば、CD−R、DVD−Rなど)に記憶させて提供することもできるし、通信回線を通じて他の記録媒体に送信することにより提供することも可能である。
次に、本実施形態の作用を説明する。図2に示したように、撮像手段が撮影したら、その画像データを上記コンピュータが取得し、当該コンピュータに設定された画像処理手段(画像処理手順)によって飛来物を抽出し、それを飛来物データとして電子データにする。なお、図3に示したように、撮像手段であるカメラ(モノクロのC−MOSセンサ)に対応してドームミラーを設け、そのドームミラーが反射する映像を撮影することが好ましい。ドームミラーは、半球状の曲面を鏡面とした鏡であり、頂点の延長上では、360度の視角を得ることができる。また、撮像手段としてモノクロのC−MOSを採用すると、CCDよりも曇天などで自然光が不足している場合の撮影に適し、また、カラーのC−MOSセンサよりも約3倍の感度を引き出せる。例えば、ローノイズでダイナミックレンジを採用した高感度、500fpsの高速度での静止画撮影が可能なモノクロのC−MOSセンサであれば、曇天時における30fps程度のシャッター速度での撮影が可能となる。
画像処理手段(画像処理手順)によって上記の飛来物データが得られると、コンピュータに設定された鳥類判別手段(鳥類判別手順)が、この飛来物データを、予め蓄積している鳥類飛行パターンデータベースのデータと比較し、動きの解析を行う。その解析結果によって、飛来物データが鳥か否かを判断する。
「飛来物=鳥」と判断されたならば、鳥類飛行経路予測手段(鳥類飛行経路予測手順)が、その飛行経路を求める。そして、その移動方向が風力発電装置に接近していると判断された場合には、風力発電装置への到達時間を算出し、到達が予想される風力発電装置のブレード角度をフェザリングに変更するよう、制御信号出力手段(制御信号出力手順)によってブレードに組み込まれた制御装置に制御信号を発信する。この際、本実施形態によれば、一定時間(例えば1秒間)の飛行経路(トラジェクトリー)に基づいて鳥類か否かを判定しているため、60メートル以上の距離での撮影画像であっても、鳥類か否かの判別を正確に行うことができる。従って、風力発電装置のブレードに組み込まれた制御装置がブレード角度を変更してブレードの回転を停止させるために必要な時間(たとえば3秒前後)を確保することができ、バードストライクの発生を従来よりも効果的に防止できる。
ここで、図4は、4基の風力発電装置(A,B,C,D)を備えた風力発電システムを示す。各々の風力発電装置(A,B,C,D)は、地上に立設させたタワー、そのタワーに固定されたナセル、およびそのナセルに対してハブを介して回転自在に固定された複数のブレードを備えている。また、2基の風力発電装置(A,B)には その風力発電装置の周囲の飛来物を検知可能な撮像手段としてのカメラを備えている。また、各カメラに対応してドームミラーを設け、そのドームミラーが反射する映像を撮影することによって飛来物を連続的に探査するものである。そして、飛来物を検知した場合には、各々の風力発電装置(A,B,C,D)のブレードについて、回転停止ポジションを含めたブレードの角度変更を制御できることとしている。
風力発電装置が複数基設定される場合、撮像手段であるカメラは、風力発電装置のそれぞれに対応させて設けてもよいが、カメラの撮影可能領域に応じて風力発電装置複数台に対して一台といった割合でカメラを設けてもよい。それにより、設備コストおよびその運用にかかるコストを抑制できる。
なお、撮像手段であるカメラは、いずれの場合においても、二台以上使用することが好ましい。例えば、相互に所定距離をおいた二台のカメラを使用することにより、鳥類を含む飛来物の位置を三次元的に捉えることができ、より正確な位置情報を得ることができる。
また、上記した画像処理手段(画像処理手順)においては、降雨または降雪の画点を除去するコンピュータプログラムからなる降雨雪除去フィルタ(降雨雪除去手順)が設定されていることが好ましい。
降雨雪除去フィルタ(降雨雪除去手順)は、図7に示したように、規則的な動きや下方に向かう動きをする降雨や降雪の画像データを除去するものである。これにより、降雨や降雪に比べて複雑な動きをする、鳥類を含む飛来物の画像データを抽出しやすくなる。
本発明は、風力発電装置の製造業、風力発電装置の保守メンテナンス業、風力発電装置の制御のためのソフトウェア開発業などにおいて、利用可能性がある。

Claims (12)

  1. 風力発電装置の周囲を撮影して鳥類を識別する鳥類探査システムであって、
    前記風力発電装置の周囲を微小時間間隔で撮像する撮像手段と、
    前記撮像手段で取得した複数の時刻の輝度パターン分布を比較することによって被写体内における所定の画点の移動方向及び移動量を計測し、それを飛来物データとしてデータ化する画像処理手段と、
    鳥類の飛行を撮像してその飛行パターンデータを予め蓄積した鳥類飛行パターンデータベースと、
    前記鳥類飛行パターンデータベースに蓄積された飛行パターンデータと前記飛来物データとを照合して当該飛来物データから鳥類の飛行か否かを判別する鳥類判別手段と、
    前記鳥類判別手段が鳥類の飛行であると判別した場合に、鳥類と判別された前記画点の移動方向及び移動量から、当該鳥類の飛行経路を予測する鳥類飛行経路予測手段と
    を備えたことを特徴とする鳥類探査システム。
  2. 前記風力発電装置が複数設置されてなる風力発電システムに用いられ、
    前記撮像手段の設置数が、前記風力発電装置の設置数よりも少ないことを特徴とする請求項1記載の鳥類探査システム。
  3. 前記画像処理手段が、粒子追跡法を用いて前記画点の移動方向及び移動量を計測する手段であることを特徴とする請求項1記載の鳥類探査システム。
  4. 前記画像処理手段においては、降雨または降雪の画点を除去する降雨雪除去フィルタを備えたことを特徴とする請求項1記載の鳥類探査システム。
  5. 前記鳥類飛行経路予測手段により予測される鳥類の飛行経路が風力発電装置に接近する飛行経路である場合、前記風力発電装置に対して制御用の信号を出力する制御信号出力手段を備えたことを特徴とする請求項1記載の鳥類探査システム。
  6. 風力発電装置の周囲を撮影して鳥類を識別する鳥類探査方法であって、
    鳥類の飛行を撮像手段により撮像してその飛行パターンデータを予め鳥類飛行パターンデータベースに蓄積しておき、
    前記風力発電装置の周囲を撮像手段により微小時間間隔で撮像し、
    撮像した複数の時刻の輝度パターン分布を比較することによって被写体内における所定の画点の移動方向及び移動量を計測し、それを飛来物データとしてデータ化し、
    前記鳥類飛行パターンデータベースに蓄積された飛行パターンデータと前記飛来物データとを照合して当該飛来物データから鳥類の飛行か否かを判別し、
    鳥類の飛行であると判別した場合に、鳥類と判別された前記画点の移動方向及び移動量から、当該鳥類の飛行経路を予測することを特徴とする鳥類探査方法。
  7. 前記風力発電装置が複数設置されてなる風力発電システムにおいて、前記撮像手段を、前記風力発電装置の設置数よりも少ない設置数で実施することを特徴とする請求項6記載の鳥類探査方法。
  8. 予測した前記鳥類の飛行経路が前記風力発電装置に接近する飛行経路である場合、前記風力発電装置に対して制御用の信号を出力して、前記風力発電装置の運転を制御することを特徴とする請求項7記載の鳥類探査方法。
  9. 風力発電装置の周囲を撮影して鳥類を識別する鳥類探査を実行するためのコンピュータプログラムであって、
    鳥類の飛行を撮像手段により撮像してその飛行パターンデータを予め鳥類飛行パターンデータベースに蓄積する鳥類飛行パターンデータ蓄積手順と、
    前記風力発電装置の周囲を微小時間間隔で撮像手段により撮像して取得した複数の時刻の輝度パターン分布を比較することにより、被写体内における所定の画点の移動方向及び移動量を計測して、それを飛来物データとしてデータ化する画像処理手順と、
    前記鳥類飛行パターンデータベースに蓄積された飛行パターンデータと前記飛来物データとを照合して当該飛来物データから鳥類の飛行か否かを判別する鳥類判別手順と、
    前記鳥類判別手順にて鳥類の飛行であると判別した場合に、鳥類と判別された前記画点の移動方向及び移動量から、当該鳥類の飛行経路を予測する鳥類飛行経路予測手順と
    をコンピュータに実行させることとしたコンピュータプログラム。
  10. 前記鳥類飛行経路予測手順により予測される鳥類の飛行経路が風力発電装置に接近する飛行経路である場合、前記風力発電装置に対して制御用の信号を出力する制御信号出力手順を備えたことを特徴とする請求項9記載のコンピュータプログラム。
  11. 前記画像処理手順が、粒子追跡法を用いて前記画点の移動方向及び移動量を計測する手順であることを特徴とする請求項9記載のコンピュータプログラム。
  12. 前記画像処理手順においては、降雨または降雪の画点を除去する降雨雪除去手順を備えたことを特徴とする請求項9記載のコンピュータプログラム。
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