JPWO2009096167A1 - 膨張機一体型圧縮機およびそれを用いた冷凍サイクル装置 - Google Patents
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Abstract
膨張機一体型圧縮機(100A)は、圧縮機構(2)、膨張機構(3)、シャフト(5)、オイルポンプ(6)および給油量調節機構(30)を備えている。圧縮機構(2)および膨張機構(3)は、動力伝達がなされるようにシャフト(5)によって連結されている。圧縮機構(2)および膨張機構(3)は、密閉容器(1)内において、上下に配列している。オイルポンプ(6)は、シャフト(5)の下部に設けられている。シャフト(5)の内部には、軸方向に延びるように給油路(29)が形成されている。給油量調節機構(30)は、オイルポンプ(6)によって膨張機構(3)に供給されるオイルの量を調節する。
Description
本発明は、膨張機一体型圧縮機およびそれを用いた冷凍サイクル装置に関する。
昨今、資源問題や地球温暖化問題の深刻化を受けて、給湯機や空調機に応用される冷凍サイクル装置の省エネルギー化に関する研究開発が活発に行われている。例えば、従来の冷凍サイクル装置は、膨張弁で冷媒を膨張させる仕組みになっているが、膨張弁に代えて容積式の膨張機を採用することにより、冷媒の膨張エネルギーを回収して圧縮機の補助動力に利用する試みがある。冷媒の膨張エネルギーの回収および利用により、理論的には20%前後、実機でも10%前後の省電力化が期待できる。そのような試みを実現する流体機械として、特開2005−299632号公報に開示されているような流体機械(膨張機一体型圧縮機)の開発が急ピッチで進められている。
図11は、代表的な膨張機一体型圧縮機の縦断面図である。膨張機一体型圧縮機200は、2段ロータリ型の圧縮機構121、電動機122、2段ロータリ型の膨張機構123およびこれらを収容している密閉容器120を備えている。圧縮機構121、電動機122および膨張機構123は、シャフト124により連結されている。
密閉容器120の底部は、オイル(冷凍機用潤滑油)を貯留するためのオイル貯まり125になっている。オイル貯まり125に貯まっているオイルを汲み上げるために、シャフト124の下端部にはオイルポンプ126が取り付けられている。オイルポンプ126によって汲み上げられたオイルは、シャフト124内に形成された給油路127を経由して、圧縮機構121および膨張機構123に供給される。これにより、圧縮機構121および膨張機構123の各摺動部分における潤滑性とシール性を確保することができる。
また、膨張機構123の上部には、オイル戻し管128が配置されている。オイル戻し管128は、一端がシャフト124内に形成された給油路127に連通し、他端が膨張機構123の下方に向かって開口している。通常、膨張機構123の信頼性確保のため、オイルは過剰に供給される。余剰のオイルは、オイル戻し管128を経由してオイル貯まり125に戻る。
圧縮機構121と膨張機構123を共通の密閉容器120内に配置することにより、圧縮機構121および膨張機構123の両者をオイル貯まり125に貯められたオイルで潤滑できる利点がある。
図11に示す膨張機一体型圧縮機200によれば、オイル貯まり125から汲み上げられたオイルは、高温の圧縮機構121を通過するため、圧縮機構121によって加熱される。圧縮機構121によって加熱されたオイルは、電動機122によってさらに加熱され、膨張機構123に到達する。膨張機構123に到達したオイルは、低温の膨張機構123において冷却されたのち、オイル戻し管128を経由して、膨張機構123の下方に排出される。膨張機構123やオイル戻し管128から排出されたオイルは、電動機122の側面を通過する際に再び加熱され、さらに圧縮機構121の側面を通過する際にも加熱されて密閉容器120のオイル貯まり125に戻る。
以上のように、オイルが圧縮機構121と膨張機構123との間を循環することによって、圧縮機構121から膨張機構123への熱移動が起こる。このような熱の移動により、圧縮機構121から吐出された冷媒の温度が低下し、膨張機構123から吐出された冷媒の温度が上昇する。このことは、空調機で考えると、暖房時の室内加熱能力の低下または冷房時の室内冷却能力の低下を意味する。
サイクル効率を向上させるためには、上述の熱移動を極力少なくすることが重要である。特に、システムを高出力で運転する場合には、膨張機一体型圧縮機の回転数も高くなるので、オイルポンプ126による送油量、ひいてはオイルによって移動する熱量も大きくなる。
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、圧縮機構から膨張機構への熱移動を抑制することを目的とする。
すなわち、本発明は、
作動流体を圧縮するための圧縮機構と、
作動流体から動力を回収するための膨張機構と、
前記膨張機構で回収された動力が前記圧縮機構に伝達されるように前記圧縮機構と前記膨張機構とを連結しているシャフトと、
前記圧縮機構および前記膨張機構が上下に配列するように前記圧縮機構、前記膨張機構および前記シャフトを収容しており、底部がオイル貯まりとして利用され、圧縮後の作動流体で内部空間が満たされる密閉容器と、
前記シャフトの下部に設けられたオイルポンプと、
前記オイルポンプによって前記オイル貯まりのオイルを前記密閉容器内の上側に位置している前記圧縮機構または前記膨張機構に供給するために、軸方向に延びるように前記シャフトの内部に形成された給油路と、
前記密閉容器内の上側に位置している前記圧縮機構または前記膨張機構よりも下方に設けられ、前記給油路を通じて前記密閉容器内の上側に位置している前記圧縮機構または前記膨張機構に供給されるオイルの量を調節するための給油量調節機構と、
を備えた、膨張機一体型圧縮機を提供する。
作動流体を圧縮するための圧縮機構と、
作動流体から動力を回収するための膨張機構と、
前記膨張機構で回収された動力が前記圧縮機構に伝達されるように前記圧縮機構と前記膨張機構とを連結しているシャフトと、
前記圧縮機構および前記膨張機構が上下に配列するように前記圧縮機構、前記膨張機構および前記シャフトを収容しており、底部がオイル貯まりとして利用され、圧縮後の作動流体で内部空間が満たされる密閉容器と、
前記シャフトの下部に設けられたオイルポンプと、
前記オイルポンプによって前記オイル貯まりのオイルを前記密閉容器内の上側に位置している前記圧縮機構または前記膨張機構に供給するために、軸方向に延びるように前記シャフトの内部に形成された給油路と、
前記密閉容器内の上側に位置している前記圧縮機構または前記膨張機構よりも下方に設けられ、前記給油路を通じて前記密閉容器内の上側に位置している前記圧縮機構または前記膨張機構に供給されるオイルの量を調節するための給油量調節機構と、
を備えた、膨張機一体型圧縮機を提供する。
他の側面において、本発明は、
上記本発明の膨張機一体型圧縮機と、
前記膨張機一体型圧縮機の前記圧縮機構で圧縮された冷媒を放熱させるための放熱器と、
前記膨張機一体型圧縮機の前記膨張機構で膨張した冷媒を蒸発させるための蒸発器と、
を備えた、冷凍サイクル装置を提供する。
上記本発明の膨張機一体型圧縮機と、
前記膨張機一体型圧縮機の前記圧縮機構で圧縮された冷媒を放熱させるための放熱器と、
前記膨張機一体型圧縮機の前記膨張機構で膨張した冷媒を蒸発させるための蒸発器と、
を備えた、冷凍サイクル装置を提供する。
さらに他の側面において、本発明は、
作動流体を圧縮するための圧縮機構と、
作動流体から動力を回収するための膨張機構と、
前記膨張機構で回収された動力が前記圧縮機構に伝達されるように前記圧縮機構と前記膨張機構とを連結しているシャフトと、
前記圧縮機構、前記膨張機構および前記シャフトを収容しており、底部がオイル貯まりとして利用され、圧縮後の作動流体で内部空間が満たされる密閉容器と、
前記シャフトの端部に設けられたオイルポンプと、
前記オイルポンプによって前記オイル貯まりのオイルを前記シャフトの軸方向に関して前記オイルポンプから見て遠い側に位置している前記圧縮機構または前記膨張機構に供給するために、軸方向に延びるように前記シャフトの内部に形成された給油路と、
前記圧縮機構または前記膨張機構に前記給油路を通じて供給されるオイルの量を調節するための給油量調節機構と、
を備えた、膨張機一体型圧縮機を提供する。
作動流体を圧縮するための圧縮機構と、
作動流体から動力を回収するための膨張機構と、
前記膨張機構で回収された動力が前記圧縮機構に伝達されるように前記圧縮機構と前記膨張機構とを連結しているシャフトと、
前記圧縮機構、前記膨張機構および前記シャフトを収容しており、底部がオイル貯まりとして利用され、圧縮後の作動流体で内部空間が満たされる密閉容器と、
前記シャフトの端部に設けられたオイルポンプと、
前記オイルポンプによって前記オイル貯まりのオイルを前記シャフトの軸方向に関して前記オイルポンプから見て遠い側に位置している前記圧縮機構または前記膨張機構に供給するために、軸方向に延びるように前記シャフトの内部に形成された給油路と、
前記圧縮機構または前記膨張機構に前記給油路を通じて供給されるオイルの量を調節するための給油量調節機構と、
を備えた、膨張機一体型圧縮機を提供する。
上記本発明の膨張機一体型圧縮機によれば、給油量調節機構が設けられているので、シャフトの回転数によらず、適正な量のオイルが圧縮機構または膨張機構に供給されうる。この結果、オイルの循環に基づく圧縮機構から膨張機構への熱移動を抑制できる。
(第1実施形態)
図1は、本発明の第1実施形態にかかる膨張機一体型圧縮機の縦断面図である。膨張機一体型圧縮機100Aは、密閉容器1、圧縮機構2、膨張機構3、電動機4、シャフト5、オイルポンプ6および給油量調節機構30を備えている。圧縮機構2は、密閉容器1内の下側に配置されている。膨張機構3は、密閉容器1内の上側に配置されている。圧縮機構2と膨張機構3との間に電動機4が配置されている。圧縮機構2、電動機4および膨張機構3は、動力伝達がなされるようにシャフト5によって連結されている。オイルポンプ6はシャフト5の下部に設けられている。給油量調節機構30は、膨張機構3に供給されるオイルの量を調節するためのものである。本実施形態では、給油量調節機構30として、調節弁(典型的にはニードル弁)が採用されている。
図1は、本発明の第1実施形態にかかる膨張機一体型圧縮機の縦断面図である。膨張機一体型圧縮機100Aは、密閉容器1、圧縮機構2、膨張機構3、電動機4、シャフト5、オイルポンプ6および給油量調節機構30を備えている。圧縮機構2は、密閉容器1内の下側に配置されている。膨張機構3は、密閉容器1内の上側に配置されている。圧縮機構2と膨張機構3との間に電動機4が配置されている。圧縮機構2、電動機4および膨張機構3は、動力伝達がなされるようにシャフト5によって連結されている。オイルポンプ6はシャフト5の下部に設けられている。給油量調節機構30は、膨張機構3に供給されるオイルの量を調節するためのものである。本実施形態では、給油量調節機構30として、調節弁(典型的にはニードル弁)が採用されている。
電動機4がシャフト5を駆動することによって、圧縮機構2が作動する。膨張機構3は、膨張する作動流体から動力を回収してシャフト5に与え、電動機4によるシャフト5の駆動をアシストする。作動流体は、例えば、二酸化炭素やハイドロフルオロカーボンなどの冷媒である。
本実施形態では、シャフト5の軸方向が垂直方向に一致するように、圧縮機構2、電動機4および膨張機構3の配置が定められている。ただし、圧縮機構2と膨張機構3との位置関係は、本実施形態と逆であってもよい。すなわち、圧縮機構2が密閉容器1内の上側に配置され、膨張機構3が密閉容器1内の下側に配置されていてもよい。
密閉容器1は、各構成要素を収容するための内部空間24を有する。密閉容器1の内部空間24は、圧縮機構2で圧縮された冷媒で満たされる。密閉容器1の底部はオイル貯まり25として利用されている。オイルは、圧縮機構2および膨張機構3の摺動部分における潤滑性とシール性を確保するために使用される。オイル貯まり25のオイル量は、電動機4よりも下に油面が位置するように規定されている。これにより、電動機4の回転子がオイルを撹拌することに基づく電動機効率の低下や冷媒回路へのオイル吐出量の増大を防止できる。膨張機一体型圧縮機100Aの動作時において、圧縮機構2が高温となるので、オイル貯まり25に貯められたオイルの温度も高くなる。
圧縮機構2は、シリンダ17,18と、ピストン7,8と、軸受部材10,11とを有しており、従来の2段ロータリ圧縮機と同じ構造のものである。シリンダ17に吸入管13が接続され、シリンダ18に吸入管14が接続されている。吸入管13および吸入管14を通じて、各シリンダ17,18内に形成された圧縮室19,20に冷媒が導かれる。圧縮室19,20で圧縮された冷媒は、密閉容器1の内部空間24に吐出される。電動機4と膨張機構3との間に開口部が位置するように、密閉容器1に吐出管15が接続されている。内部空間24に吐出された冷媒は、電動機4の周囲を上方に向かって流れ、吐出管15から密閉容器1の外部の流路に導かれる。この際、重力や遠心力の影響で冷媒とオイルとが分離されうる。
本実施形態では、圧縮機構2として、ロータリ型流体機構が採用されている。「ロータリ型」には、ベーンがピストンの外周面を摺動するローリングピストン型やベーンがシリンダの内周面を摺動するスライディングベーン型だけでなく、ピストンとベーンとが一体化されているスイングピストン型が含まれる。さらに、圧縮機構2の型式は、ロータリ型に限定されない。圧縮機構2として、スクロール型、往復型、スクリュー型等の他の型式の流体機構を採用してもよい。このことは、後述する膨張機構3についても同様である。
電動機4は、密閉容器1に固定された固定子21と、シャフト5に固定された回転子22とを備えている。密閉容器1の上部に設けられたターミナル(図示省略)を介して電動機4に電力が供給される。
シャフト5の内部には、膨張機構3の摺動部分に通ずる給油路29が軸方向に延びるように形成されている。シャフト5の内部に給油路29を形成することによって、部品点数の増加やレイアウトの問題が新たに生じないので好適である。オイルは、給油路29を通じて膨張機構3の摺動部分に供給される。
本実施形態において、給油路29は、シャフト5の上端面に開口していない。このようにすれば、図11で説明した従来例のように、オイルが膨張機構3の上部に流れ出ない。これにより、オイルが膨張機構3によって冷却されにくくなる。言い換えれば、圧縮機構2から膨張機構3への熱移動をより効果的に抑制することが可能となる。ただし、給油路29がシャフト5の上端面に開口していてもよい。
シャフト5は、単一の部品で作られていてもよいし、複数の部品を組み合わせる(連結する)ことによって作られていてもよい。具体的には、シャフト5が、圧縮機構2側の第1シャフトと、膨張機構3側の第2シャフトとを含んでいてもよい。第1シャフトと第2シャフトとは、嵌め合わせによって直接連結されていてもよいし、他の部品(連結器)を介して連結されていてもよい。シャフト5が複数の部品の組み合わせでできていると、組立、特に圧縮機構2と膨張機構3との調心が容易になる。
膨張機構3は、第1シリンダ42と、第1シリンダ42の内径よりも大きい内径を有する第2シリンダ44と、第1シリンダ42と第2シリンダ44とを仕切っている中板43とを備えている。第1シリンダ42および第2シリンダ44は、互いに同心状に配置されている。図2Aおよび図2Bに示すように、膨張機構3は、さらに、第1ピストン46、第1ベーン48、第1ばね50、第2ピストン47、第2ベーン49および第2ばね51を備えている。
図2Aに示すように、第1ピストン46は、シャフト5の偏心部5cに嵌合しており、第1シリンダ42の中で偏心回転運動する。第1ベーン48は、第1シリンダ42に形成されたベーン溝42aに往復動自在に保持されている。第1ベーン48の一端部は、第1ピストン46に接している。第1ばね50は、第1ベーン48の他端部に接しており、第1ベーン48を第1ピストン46に向けて付勢する。
図2Bに示すように、第2ピストン47は、シャフト5の偏心部5dに嵌合しており、第2シリンダ44の中で偏心回転運動する。第2ベーン49は、第2シリンダ44に形成されたベーン溝44aに往復動自在に保持されている。第2ベーン49の一端部は、第2ピストン47に接している。第2ばね51は、第2ベーン49の他端部に接しており、第2ベーン49を第2ピストン47に向けて付勢する。
膨張機構3は、さらに、軸受部材45および軸受部材41を備えている。軸受部材41は、密閉容器1に隙間無く嵌め合わされている。シリンダや中板等の部品は、軸受部材41を介して密閉容器1に固定されている。軸受部材41および中板43は第1シリンダ42を上下から挟持し、中板43および軸受部材45は第2シリンダ44を上下から挟持する。軸受部材45、中板43および軸受部材41による挟持により、第1シリンダ42および第2シリンダ44内に作動室55,56がそれぞれ形成されている。
図2Aに示すように、第1シリンダ42の内側には、吸入側の作動室55a(第1吸入側空間)および吐出側の作動室55b(第1吐出側空間)が形成されている。作動室55aと作動室55bとは、第1ピストン46および第1ベーン48によって区画されている。図2Bに示すように、第2シリンダ44の内側には、吸入側の作動室56a(第2吸入側空間)および吐出側の作動室56b(第2吐出側空間)が形成されている。作動室56aと作動室56bとは、第2ピストン47および第2ベーン49により区画されている。第2シリンダ44における2つの作動室56a,56bの合計容積は、第1シリンダ42における2つの作動室55a,55bの合計容積よりも大きい。第1シリンダ42の吐出側の作動室55bと、第2シリンダ44の吸入側の作動室56aとが、中板43に形成された貫通孔43aを介してつながることによって、作動室55bおよび作動室56aが一つの作動室(膨張室)として機能する。
なお、作動室56a,56bの合計容積を作動室55a,55bの合計容積よりも大きくする方法として、第1シリンダ42の内径と第2シリンダ44の内径を異ならせる方法だけでなく、シリンダ42,44の厚みやピストン46,47の外径を適切に設定する方法を採用してもよい。
また、膨張機構3は、膨張前の冷媒を密閉容器1の外部の流路から直接吸入するための吸入路としての吸入管52と、膨張後の冷媒を密閉容器1の外部の流路に直接吐出するための吐出路としての吐出管53とを備えている。具体的に、吸入管52は、密閉容器1の外部の流路から第1シリンダ42の作動室55へと冷媒を導くことができるように、第1シリンダ42に直接挿入されている。吐出管53は、第2シリンダ44の作動室56から密閉容器1の外部の流路へと冷媒を導くことができるように、第2シリンダ44に直接挿入されている。吸入管52が軸受部材41に挿入され、吐出管53が軸受部材45に挿入されていてもよい。
膨張前の冷媒は、吸入管52を経て第1シリンダ42の作動室55aに流入する。第1シリンダ42の作動室55aに流入した作動流体は、シャフト5の回転に応じて作動室55bに移り、作動室55b、貫通孔43aおよび作動室56aからなる膨張室においてシャフト5を回転させながら膨張して低圧になる。膨張後の冷媒は、作動室56bおよび吐出管53を経て密閉容器1の外部へと導かれる。
オイルポンプ6が設けられている位置は、シャフト5の下部である。具体的には、シャフト5の下部における給油路29にオイルポンプ6が配置されている。給油路29にオイルポンプ6を配置することによって、給油管を別途設ける必要がなくなる。
オイルポンプ6は、シャフト5から動力を与えられて動作する。本実施形態では、オイルポンプ6として、速度型ポンプ(タービン型ポンプ)が採用されている。具体的に、オイルポンプ6は、ポンプ羽根6aおよび羽根留め6bを有する。ポンプ羽根6aは、羽根留め6bによってシャフト5に固定されている。ポンプ羽根6aがシャフト5とともに回転することによって、オイルが上方に圧送される。一般には、オイルポンプ6の回転数がシャフト5の回転数に等しいので、シャフト5の回転数が増大するにつれて、オイルポンプ6の送出容積および送出圧力が増大する。ただし、オイルポンプ6の送出圧力が増大するにつれて給油量調節機構30の効力が強くなるため、シャフト5の回転数に比例した量のオイルが膨張機構3に供給されるわけではない。
なお、オイルポンプの種類は速度型ポンプに限定されず、容積型ポンプを用いてもよい。容積型ポンプとしては、ロータリ型のオイルポンプやトロコイドポンプ(日本オイルポンプ社の登録商標)が挙げられる。ただし、本実施形態における給油量調節機構30との相性は、容積型ポンプよりも速度型ポンプの方がよい。本実施形態では、後述する第2および第3実施形態のようなオイルの逃げ道が無いからである。
給油量調節機構30は、給油路29を通じて膨張機構3に供給されるオイルの量がシャフト5の回転数の増大に追従するのを妨げる構造を含む。先に説明したように、オイルの循環に基づく圧縮機構2から膨張機構3への熱移動を極力小さくすることが、膨張機一体型圧縮機100Aを用いた冷凍サイクル装置(図10参照)の効率向上にとって重要である。シャフト5の回転数が増大すると、オイルポンプ6の送出容積および送出圧力も増大する傾向を示すが、給油量調節機構30の働きによって、オイルの過剰供給が防止される。場合によっては、シャフト5の回転数によらず、膨張機構3への給油量をほぼ一定に維持しうる。この結果、オイルの循環に基づく圧縮機構2から膨張機構3への熱移動を抑制することが可能となる。
本実施形態において、給油量調節機構30は給油路29内に設けられている。そのため、給油量調節機構30のための専用のスペースを確保せずに済む。給油量調節機構30を設けるべき位置は、密閉容器1内の上側に位置している膨張機構3よりも下方であればよい。典型的には、シャフト5の軸方向に関して圧縮機構2の作動室20と電動機4との間に給油量調節機構30が設けられている。
図3は、図1の部分拡大図である。図3に示すように、給油量調節機構30は、弁座31、ニードル32(弁体)、ばね33およびニードル止め34を備えている。弁座31は、膨張機構3に近づくほど内径が縮小するオリフィスの形状を有している。弁座31に向かい合うように、ニードル32が配置されている。ニードル32は円錐状の先端部を有している。弁座31とニードル32との間にオイルが流通できる隙間が形成されるように、弁座31とニードル32との間にばね33が配置されている。給油路29におけるオイルの圧力変動に応じて、ばね33が伸縮することによって、弁座31とニードル32との隙間の広さが調節されうる。ニードル32を挟んで弁座31の反対側に、ニードル32の可動範囲を規定するニードル止め34が配置されている。なお、弁座31またはニードル止め34がシャフト5の一部によって形成されていてもよい。
給油量調節機構30によれば、膨張機構3に送られるべきオイルが給油路29を流れ、ニードル32の背面に当たる。その後、オイルは、ニードル32の周囲を通過して弁座31に向かって流れる。ニードル32の背面にオイルが当たることによって、ニードル32が弁座31に向かってオイルの流量に応じた力で押される。また、ニードル32は、ばね33の変位に比例した力で押し返される。すなわち、弁座31とニードル32との隙間の広さ(隙間の断面積)はオイルの流量に応じて変化する。シャフト5の回転数の増大に応じてオイルポンプ6の送油能力が高まる一方で、弁座31とニードル32との隙間が狭まることによってオイルの流れに対する抵抗が増大する。結果として、オイルの供給量が制限(適正化)される。
シャフト5が高回転数となった場合でも、給油量調節機構30の働きによって、膨張機構3に必要以上のオイルが供給されない。言い換えれば、膨張機構3に適正な量のオイルが供給されうる。この結果、オイルの循環に基づく圧縮機構2から膨張機構3への熱移動を抑制できる。また、膨張機構3にオイルが過剰供給されないので、膨張機構3において、作動流体にオイルが多量に混入するのを防ぐことができる。そのため、蒸発器102(図10参照)にオイルが過剰に流入することに基づく熱交換効率の著しい低下を防ぐことができる。なお、図4に示すように、給油路29に弁座31を設けるだけでも、給油量を適正化する効果が得られる。つまり、給油路29にオリフィスを設けるだけでも、オイル流量の増加に伴ってオリフィスでの圧力損失も増大するため、膨張機構3にオイルが過剰供給されることを抑制できる。
本実施形態では、給油路29のオイルを膨張機構3にのみ供給しているが、給油路29のオイルを圧縮機構2に供給してもよい。
(第2実施形態)
図5は、本発明の第2実施形態にかかる膨張機一体型圧縮機の縦断面図である。図5に示すように、本実施形態の膨張機一体型圧縮機100Bと、第1実施形態の膨張機一体型圧縮機100Aとの主な相違点は、給油量調節機構にある。図1に示す実施形態と共通の部材には共通の符号を付し、説明を省略することとする。
図5は、本発明の第2実施形態にかかる膨張機一体型圧縮機の縦断面図である。図5に示すように、本実施形態の膨張機一体型圧縮機100Bと、第1実施形態の膨張機一体型圧縮機100Aとの主な相違点は、給油量調節機構にある。図1に示す実施形態と共通の部材には共通の符号を付し、説明を省略することとする。
図6は、図5の部分拡大図である。本実施形態では、給油路29から径方向に分岐してシャフト5の外周面に開口している分岐通路29sがシャフト5に形成されている。そして、給油量調節機構60が、その分岐通路29s内に設けられている。このようにすれば、シャフト5の外部から給油量調節機構60の取り付けが可能なので、第1実施形態よりも組み立てが容易である。また、分岐通路29sがオイルの逃げ道として振る舞うので、オイルポンプが容積型ポンプの場合にも好適である。
図6に示すように、給油量調節機構60は、弁座61、ニードル62、ばね63およびニードル止め64を備えている。弁座61は、給油路29に近づくほど内径が縮小するオリフィスの形状を有しており、分岐通路29sにおける給油路29に面する部分に配置されている。弁座61に向かい合うように、円錐状のニードル62が配置されている。ニードル62は、弁座61に接近する方向および弁座61から離れる方向(シャフト5の径方向)に変位可能である。ニードル止め64は、分岐通路29sにおけるシャフト5の外部に面する部分に配置されている。ニードル止め64によってニードル62の可動範囲が規定されている。ばね63は、ニードル62とニードル止め64との間に配置されている。
軸受部材10は、シャフト5を支持する軸受部10aを有する。軸受部10aは、分岐通路29sが形成されている位置でシャフト5の外周面を覆っている。軸受部10aの内周面には、環状のチャンバー67が形成されている。分岐通路29sはチャンバー67に向かって開口している。軸受部10aには、さらに、当該軸受部10aを径方向に貫通するように、チャンバー67と密閉容器1の内部空間24とを結ぶオイル排出路66が形成されている。分岐通路29s、チャンバー67およびオイル排出路66によって、給油路29から密閉容器1の内部空間24へとオイルが流通しうる。
給油路29の内圧が所定圧力よりも小さい場合、給油量調節機構60は閉状態となる。閉状態とは、弁座61にニードル62が嵌ることによって分岐通路29sが塞がれた状態のことである。閉状態では、分岐通路29sをオイルが流通できない。一方、シャフト5の回転数が増大することによって給油路29の内圧が所定圧力よりも高くなると、給油量調節機構60は開状態となる。開状態とは、ニードル62が弁座61から離れることによって弁座61とニードル62との間に隙間が生じた状態のことである。開状態になれば、分岐通路29sをオイルが流通できる。
給油路29の内圧が所定圧力よりも高くなると、ニードル62を押しのけながら弁座61を通じて分岐通路29sにオイルが入ってくる。オイルがニードル62を押しのける力は、給油路29の内圧に比例する。給油路29内のオイル等(詳細にはオイルの圧力および遠心力)によってニードル62に加わる外向きの荷重が、給油量調節機構60が閉状態のときにばね63がニードル62を押す力を上回ることを条件として、給油量調節機構60が閉状態から開状態へと切り替わる。
すなわち、シャフト5の回転数が増大し、給油路29に必要以上のオイルが送り込まれた場合、給油路29の内圧が上昇することによって給油量調節機構60が開状態になる。給油量調節機構60が開状態になると、給油路29を流通するオイルの一部が分岐通路29sを通じてシャフト5の外部に導かれる。シャフト5の外部に出たオイルは、軸受部材10の軸受部10aに形成されたチャンバー67およびオイル排出路66を通じて、密閉容器1の内部空間24に放出される。この結果、膨張機構3への給油量が適正化される。このように、本実施形態では、給油量調節機構60がリリーフ弁で構成されている。
また、本実施形態では、分岐通路29sを通じてシャフト5の外部にオイルを逃がすようになっている。そのため、給油量調節機構60が開状態となった場合、給油路29におけるオイルの流量は、給油量調節機構60が設けられている位置の前後で差が生ずる。具体的には、給油量調節機構60とオイルポンプ6との間で流量が多くなり、膨張機構3と給油量調節機構60との間で流量が少なくなる。オイルの流量の多い部分が膨張機構3から離れている方が、オイルの循環に基づく圧縮機構2から膨張機構3への熱移動を抑制する観点から好ましい。したがって、電動機4と圧縮機構2との間において、シャフト5に分岐通路29sが形成されているのが望ましい。
(第3実施形態)
図7は、本発明の第3実施形態にかかる膨張機一体型圧縮機の縦断面図である。図7に示すように、本実施形態の膨張機一体型圧縮機100Cと、第1実施形態の膨張機一体型圧縮機100A(図1)との主な相違点は、給油量調節機構にある。
図7は、本発明の第3実施形態にかかる膨張機一体型圧縮機の縦断面図である。図7に示すように、本実施形態の膨張機一体型圧縮機100Cと、第1実施形態の膨張機一体型圧縮機100A(図1)との主な相違点は、給油量調節機構にある。
図8は、図7の部分拡大図である。本実施形態では、給油路29から径方向に分岐してシャフト5の外周面に開口している分岐通路29tがシャフト5に形成されている。そして、余分なオイルが分岐通路29tを通じて密閉容器1の内部空間24に導かれるように、給油量調節機構70がシャフト5の外部に設けられている。給油量調節機構70がシャフト5の外部にあるので、先の2つの実施形態よりも給油量調節機構70のために広いスペースを確保できる。
オイルの逃げ道として、シャフト5に分岐通路29tが形成されている点に関して、本実施形態は第2実施形態と共通である。他方、給油量調節機構70がシャフト5とともに回転しない点で、本実施形態は第2実施形態と相違する。分岐通路29tがオイルの逃げ道として振る舞うので、オイルポンプが容積型ポンプの場合にも好適である。
図8に示すように、本実施形態において、給油量調節機構70は、軸受部材10の内部に設けられている。軸受部材10は、シャフト5を支持する軸受部10aを有する。軸受部10aは、分岐通路29tが形成されている位置でシャフト5の外周面を覆っている。軸受部10aの内周面には、環状のチャンバー77が形成されている。分岐通路29tはチャンバー77に向かって開口している。軸受部10aには、さらに、チャンバー77と密閉容器1の内部空間24とを結ぶ通路としてのオイル排出路76が形成されている。そして、このオイル排出路76に給油量調節機構70が設けられている。
給油量調節機構70は、弁座71、弁体72、ばね73および弁体止め74を備えている。オイル排出路76は、オイルの流通方向に沿う方向の断面がT字形の部分を含み、そのT字形の部分に弁座71が配置されている。弁座71に向かい合うように、球の形状を有する弁体72が配置されている。弁体止め74は、弁体72を挟んで弁座71の反対側に配置されている。弁体止め74によって弁体72の可動範囲が規定されている。ばね73は、弁体72と弁体止め74との間に配置されている。なお、給油量調節機構70の構造は、第2実施形態と同じであってもよい。
給油路29の内圧が所定圧力よりも小さい場合、給油量調節機構70は閉状態となる。閉状態とは、弁座71に弁体72が嵌ることによってオイル排出路76が塞がれた状態のことである。閉状態では、オイル排出路76をオイルが流通できない。一方、シャフト5の回転数が増大することによって給油路29の内圧が所定圧力よりも高くなると、給油量調節機構70は開状態となる。開状態とは、弁体72が弁座71から離れることによって弁座71と弁体72との間に隙間が生じた状態のことである。開状態になれば、オイル排出路76をオイルが流通できる。
給油路29の内圧が所定圧力よりも高くなると、弁体72がオイルによって押しのけられ、オイル排出路76が開通する。オイルが弁体72を押しのける力は、給油路29の内圧に比例する。給油路29内のオイルによって弁体72に加わる荷重が、給油量調節機構70が閉状態のときにばね73が弁体72を押す力を上回ることを条件として、給油量調節機構70が閉状態から開状態へと切り替わる。
すなわち、シャフト5の回転数が増大し、給油路29に必要以上のオイルが送り込まれた場合、給油路29の内圧が上昇することによって給油量調節機構70が開状態になる。給油量調節機構70が開状態になると、給油路29を流通するオイルの一部が分岐通路29tを通じてシャフト5の外部に導かれる。シャフト5の外部に出たオイルは、軸受部材10の軸受部10aに形成されたチャンバー77およびオイル排出路76を通じて、密閉容器1の内部空間24に放出される。この結果、膨張機構3への給油量が適正化される。このように、本実施形態においても、給油量調節機構70がリリーフ弁で構成されている。
なお、給油量調節機構70は、オイル排出路76の出口に配置されていてもよいし、チャンバー77に配置されていてもよい。
また、本実施形態においても、分岐通路29tを通じてシャフト5の外部にオイルを逃がすようになっている。そのため、電動機4と密閉容器1内の下側に位置している圧縮機構2との間において、シャフト5に分岐通路29tが形成されているのが望ましい。
(第4実施形態)
図9に示すように、本実施形態の膨張機一体型圧縮機100Dは、シャフト5の軸方向が水平方向に平行である。密閉容器1の長手方向に沿ってオイル貯まり25が形成されている。膨張機構3と電動機4との間には隔壁27が設けられている。隔壁27は、内部空間24を膨張機構3側の空間と圧縮機構2側の空間とに仕切っている。圧縮機構2側の空間には電動機4も配置されている。この隔壁27にも圧縮機構2および電動機4から膨張機構3への熱移動を抑制する機能がある。隔壁27は、オイルの流通を許容する通路27hを有する。
図9に示すように、本実施形態の膨張機一体型圧縮機100Dは、シャフト5の軸方向が水平方向に平行である。密閉容器1の長手方向に沿ってオイル貯まり25が形成されている。膨張機構3と電動機4との間には隔壁27が設けられている。隔壁27は、内部空間24を膨張機構3側の空間と圧縮機構2側の空間とに仕切っている。圧縮機構2側の空間には電動機4も配置されている。この隔壁27にも圧縮機構2および電動機4から膨張機構3への熱移動を抑制する機能がある。隔壁27は、オイルの流通を許容する通路27hを有する。
シャフト5の端部には、容積型のオイルポンプ26が設けられている。シャフト5の軸方向に沿って、オイルポンプ26、膨張機構3、電動機4および圧縮機構2がこの順番で並んでいる。給油量調節機構60は、図6を参照して第3実施形態で説明したものと同一である。オイル貯まり25のオイルを吸入できるように、オイルポンプ26のノズル26kがオイル貯まり25に向かって延びている。オイルポンプ26に吸入されたオイルは、シャフト5の軸方向に関してオイルポンプ26から見て遠い側に位置している圧縮機構2に給油路29を通じて供給される。本実施形態では、オイルポンプ26からのオイルがオイルポンプ26から見て近い側に位置している膨張機構3にも供給される。給油量調節機構60を通じて給油路29から排出されたオイルは、膨張機構3側の空間に戻る。
先に説明した実施形態と同様に、給油量調節機構60によってオイルの過剰供給が防止される。これにより、圧縮機構2から膨張機構3への熱移動が抑制される。なお、図9に示す例では、膨張機構3側にオイルポンプ26が設けられているが、圧縮機構2側にオイルポンプ26が設けられていてもよい。また、給油量調節機構60に代えて、給油量調節機構30(第1実施形態)や給油量調節機構70(第3実施形態)を設けてもよい。
本発明の膨張機一体型圧縮機は、例えば、空気調和装置、給湯装置、乾燥機または冷凍冷蔵庫のための冷凍サイクル装置(ヒートポンプ)に好適に採用できる。図10に示すように、冷凍サイクル装置110は、膨張機一体型圧縮機100A(,100B,100C,100D)と、圧縮機構2で圧縮された冷媒を放熱させるための放熱器101と、膨張機構3で膨張した冷媒を蒸発させるための蒸発器114とを備えている。圧縮機構2、放熱器101、膨張機構3および蒸発器102が配管によって接続され、冷媒回路が形成されている。
例えば、冷凍サイクル装置110が空気調和装置に適用される場合、圧縮機構2から膨張機構3への熱移動を抑制することにより、暖房運転時における圧縮機構2の吐出温度の低下による暖房能力の低下、冷房運転時における膨張機構3の吐出温度の上昇による冷房能力の低下を防ぐことができる。結果として、空気調和装置の成績係数が向上する。
本発明は、膨張機一体型圧縮機およびそれを用いた冷凍サイクル装置に関する。
昨今、資源問題や地球温暖化問題の深刻化を受けて、給湯機や空調機に応用される冷凍サイクル装置の省エネルギー化に関する研究開発が活発に行われている。例えば、従来の冷凍サイクル装置は、膨張弁で冷媒を膨張させる仕組みになっているが、膨張弁に代えて容積式の膨張機を採用することにより、冷媒の膨張エネルギーを回収して圧縮機の補助動力に利用する試みがある。冷媒の膨張エネルギーの回収および利用により、理論的には20%前後、実機でも10%前後の省電力化が期待できる。そのような試みを実現する流体機械として、特開2005−299632号公報に開示されているような流体機械(膨張機一体型圧縮機)の開発が急ピッチで進められている。
図11は、代表的な膨張機一体型圧縮機の縦断面図である。膨張機一体型圧縮機200は、2段ロータリ型の圧縮機構121、電動機122、2段ロータリ型の膨張機構123およびこれらを収容している密閉容器120を備えている。圧縮機構121、電動機122および膨張機構123は、シャフト124により連結されている。
密閉容器120の底部は、オイル(冷凍機用潤滑油)を貯留するためのオイル貯まり125になっている。オイル貯まり125に貯まっているオイルを汲み上げるために、シャフト124の下端部にはオイルポンプ126が取り付けられている。オイルポンプ126によって汲み上げられたオイルは、シャフト124内に形成された給油路127を経由して、圧縮機構121および膨張機構123に供給される。これにより、圧縮機構121および膨張機構123の各摺動部分における潤滑性とシール性を確保することができる。
また、膨張機構123の上部には、オイル戻し管128が配置されている。オイル戻し管128は、一端がシャフト124内に形成された給油路127に連通し、他端が膨張機構123の下方に向かって開口している。通常、膨張機構123の信頼性確保のため、オイルは過剰に供給される。余剰のオイルは、オイル戻し管128を経由してオイル貯まり125に戻る。
圧縮機構121と膨張機構123を共通の密閉容器120内に配置することにより、圧縮機構121および膨張機構123の両者をオイル貯まり125に貯められたオイルで潤滑できる利点がある。
図11に示す膨張機一体型圧縮機200によれば、オイル貯まり125から汲み上げられたオイルは、高温の圧縮機構121を通過するため、圧縮機構121によって加熱される。圧縮機構121によって加熱されたオイルは、電動機122によってさらに加熱され、膨張機構123に到達する。膨張機構123に到達したオイルは、低温の膨張機構123において冷却されたのち、オイル戻し管128を経由して、膨張機構123の下方に排出される。膨張機構123やオイル戻し管128から排出されたオイルは、電動機122の側面を通過する際に再び加熱され、さらに圧縮機構121の側面を通過する際にも加熱されて密閉容器120のオイル貯まり125に戻る。
以上のように、オイルが圧縮機構121と膨張機構123との間を循環することによって、圧縮機構121から膨張機構123への熱移動が起こる。このような熱の移動により、圧縮機構121から吐出された冷媒の温度が低下し、膨張機構123から吐出された冷媒の温度が上昇する。このことは、空調機で考えると、暖房時の室内加熱能力の低下または冷房時の室内冷却能力の低下を意味する。
サイクル効率を向上させるためには、上述の熱移動を極力少なくすることが重要である。特に、システムを高出力で運転する場合には、膨張機一体型圧縮機の回転数も高くなるので、オイルポンプ126による送油量、ひいてはオイルによって移動する熱量も大きくなる。
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、圧縮機構から膨張機構への熱移動を抑制することを目的とする。
すなわち、本発明は、
作動流体を圧縮するための圧縮機構と、
作動流体から動力を回収するための膨張機構と、
前記膨張機構で回収された動力が前記圧縮機構に伝達されるように前記圧縮機構と前記膨張機構とを連結しているシャフトと、
前記圧縮機構および前記膨張機構が上下に配列するように前記圧縮機構、前記膨張機構および前記シャフトを収容しており、底部がオイル貯まりとして利用され、圧縮後の作動流体で内部空間が満たされる密閉容器と、
前記シャフトの下部に設けられたオイルポンプと、
前記オイルポンプによって前記オイル貯まりのオイルを前記密閉容器内の上側に位置している前記圧縮機構または前記膨張機構に供給するために、軸方向に延びるように前記シャフトの内部に形成された給油路と、
前記密閉容器内の上側に位置している前記圧縮機構または前記膨張機構よりも下方に設けられ、前記給油路を通じて前記密閉容器内の上側に位置している前記圧縮機構または前記膨張機構に供給されるオイルの量を調節するための給油量調節機構と、
を備えた、膨張機一体型圧縮機を提供する。
作動流体を圧縮するための圧縮機構と、
作動流体から動力を回収するための膨張機構と、
前記膨張機構で回収された動力が前記圧縮機構に伝達されるように前記圧縮機構と前記膨張機構とを連結しているシャフトと、
前記圧縮機構および前記膨張機構が上下に配列するように前記圧縮機構、前記膨張機構および前記シャフトを収容しており、底部がオイル貯まりとして利用され、圧縮後の作動流体で内部空間が満たされる密閉容器と、
前記シャフトの下部に設けられたオイルポンプと、
前記オイルポンプによって前記オイル貯まりのオイルを前記密閉容器内の上側に位置している前記圧縮機構または前記膨張機構に供給するために、軸方向に延びるように前記シャフトの内部に形成された給油路と、
前記密閉容器内の上側に位置している前記圧縮機構または前記膨張機構よりも下方に設けられ、前記給油路を通じて前記密閉容器内の上側に位置している前記圧縮機構または前記膨張機構に供給されるオイルの量を調節するための給油量調節機構と、
を備えた、膨張機一体型圧縮機を提供する。
他の側面において、本発明は、
上記本発明の膨張機一体型圧縮機と、
前記膨張機一体型圧縮機の前記圧縮機構で圧縮された冷媒を放熱させるための放熱器と、
前記膨張機一体型圧縮機の前記膨張機構で膨張した冷媒を蒸発させるための蒸発器と、
を備えた、冷凍サイクル装置を提供する。
上記本発明の膨張機一体型圧縮機と、
前記膨張機一体型圧縮機の前記圧縮機構で圧縮された冷媒を放熱させるための放熱器と、
前記膨張機一体型圧縮機の前記膨張機構で膨張した冷媒を蒸発させるための蒸発器と、
を備えた、冷凍サイクル装置を提供する。
さらに他の側面において、本発明は、
作動流体を圧縮するための圧縮機構と、
作動流体から動力を回収するための膨張機構と、
前記膨張機構で回収された動力が前記圧縮機構に伝達されるように前記圧縮機構と前記膨張機構とを連結しているシャフトと、
前記圧縮機構、前記膨張機構および前記シャフトを収容しており、底部がオイル貯まりとして利用され、圧縮後の作動流体で内部空間が満たされる密閉容器と、
前記シャフトの端部に設けられたオイルポンプと、
前記オイルポンプによって前記オイル貯まりのオイルを前記シャフトの軸方向に関して前記オイルポンプから見て遠い側に位置している前記圧縮機構または前記膨張機構に供給するために、軸方向に延びるように前記シャフトの内部に形成された給油路と、
前記圧縮機構または前記膨張機構に前記給油路を通じて供給されるオイルの量を調節するための給油量調節機構と、
を備えた、膨張機一体型圧縮機を提供する。
作動流体を圧縮するための圧縮機構と、
作動流体から動力を回収するための膨張機構と、
前記膨張機構で回収された動力が前記圧縮機構に伝達されるように前記圧縮機構と前記膨張機構とを連結しているシャフトと、
前記圧縮機構、前記膨張機構および前記シャフトを収容しており、底部がオイル貯まりとして利用され、圧縮後の作動流体で内部空間が満たされる密閉容器と、
前記シャフトの端部に設けられたオイルポンプと、
前記オイルポンプによって前記オイル貯まりのオイルを前記シャフトの軸方向に関して前記オイルポンプから見て遠い側に位置している前記圧縮機構または前記膨張機構に供給するために、軸方向に延びるように前記シャフトの内部に形成された給油路と、
前記圧縮機構または前記膨張機構に前記給油路を通じて供給されるオイルの量を調節するための給油量調節機構と、
を備えた、膨張機一体型圧縮機を提供する。
上記本発明の膨張機一体型圧縮機によれば、給油量調節機構が設けられているので、シャフトの回転数によらず、適正な量のオイルが圧縮機構または膨張機構に供給されうる。この結果、オイルの循環に基づく圧縮機構から膨張機構への熱移動を抑制できる。
(第1実施形態)
図1は、本発明の第1実施形態にかかる膨張機一体型圧縮機の縦断面図である。膨張機一体型圧縮機100Aは、密閉容器1、圧縮機構2、膨張機構3、電動機4、シャフト5、オイルポンプ6および給油量調節機構30を備えている。圧縮機構2は、密閉容器1内の下側に配置されている。膨張機構3は、密閉容器1内の上側に配置されている。圧縮機構2と膨張機構3との間に電動機4が配置されている。圧縮機構2、電動機4および膨張機構3は、動力伝達がなされるようにシャフト5によって連結されている。オイルポンプ6はシャフト5の下部に設けられている。給油量調節機構30は、膨張機構3に供給されるオイルの量を調節するためのものである。本実施形態では、給油量調節機構30として、調節弁(典型的にはニードル弁)が採用されている。
図1は、本発明の第1実施形態にかかる膨張機一体型圧縮機の縦断面図である。膨張機一体型圧縮機100Aは、密閉容器1、圧縮機構2、膨張機構3、電動機4、シャフト5、オイルポンプ6および給油量調節機構30を備えている。圧縮機構2は、密閉容器1内の下側に配置されている。膨張機構3は、密閉容器1内の上側に配置されている。圧縮機構2と膨張機構3との間に電動機4が配置されている。圧縮機構2、電動機4および膨張機構3は、動力伝達がなされるようにシャフト5によって連結されている。オイルポンプ6はシャフト5の下部に設けられている。給油量調節機構30は、膨張機構3に供給されるオイルの量を調節するためのものである。本実施形態では、給油量調節機構30として、調節弁(典型的にはニードル弁)が採用されている。
電動機4がシャフト5を駆動することによって、圧縮機構2が作動する。膨張機構3は、膨張する作動流体から動力を回収してシャフト5に与え、電動機4によるシャフト5の駆動をアシストする。作動流体は、例えば、二酸化炭素やハイドロフルオロカーボンなどの冷媒である。
本実施形態では、シャフト5の軸方向が垂直方向に一致するように、圧縮機構2、電動機4および膨張機構3の配置が定められている。ただし、圧縮機構2と膨張機構3との位置関係は、本実施形態と逆であってもよい。すなわち、圧縮機構2が密閉容器1内の上側に配置され、膨張機構3が密閉容器1内の下側に配置されていてもよい。
密閉容器1は、各構成要素を収容するための内部空間24を有する。密閉容器1の内部空間24は、圧縮機構2で圧縮された冷媒で満たされる。密閉容器1の底部はオイル貯まり25として利用されている。オイルは、圧縮機構2および膨張機構3の摺動部分における潤滑性とシール性を確保するために使用される。オイル貯まり25のオイル量は、電動機4よりも下に油面が位置するように規定されている。これにより、電動機4の回転子がオイルを撹拌することに基づく電動機効率の低下や冷媒回路へのオイル吐出量の増大を防止できる。膨張機一体型圧縮機100Aの動作時において、圧縮機構2が高温となるので、オイル貯まり25に貯められたオイルの温度も高くなる。
圧縮機構2は、シリンダ17,18と、ピストン7,8と、軸受部材10,11とを有しており、従来の2段ロータリ圧縮機と同じ構造のものである。シリンダ17に吸入管13が接続され、シリンダ18に吸入管14が接続されている。吸入管13および吸入管14を通じて、各シリンダ17,18内に形成された圧縮室19,20に冷媒が導かれる。圧縮室19,20で圧縮された冷媒は、密閉容器1の内部空間24に吐出される。電動機4と膨張機構3との間に開口部が位置するように、密閉容器1に吐出管15が接続されている。内部空間24に吐出された冷媒は、電動機4の周囲を上方に向かって流れ、吐出管15から密閉容器1の外部の流路に導かれる。この際、重力や遠心力の影響で冷媒とオイルとが分離されうる。
本実施形態では、圧縮機構2として、ロータリ型流体機構が採用されている。「ロータリ型」には、ベーンがピストンの外周面を摺動するローリングピストン型やベーンがシリンダの内周面を摺動するスライディングベーン型だけでなく、ピストンとベーンとが一体化されているスイングピストン型が含まれる。さらに、圧縮機構2の型式は、ロータリ型に限定されない。圧縮機構2として、スクロール型、往復型、スクリュー型等の他の型式の流体機構を採用してもよい。このことは、後述する膨張機構3についても同様である。
電動機4は、密閉容器1に固定された固定子21と、シャフト5に固定された回転子22とを備えている。密閉容器1の上部に設けられたターミナル(図示省略)を介して電動機4に電力が供給される。
シャフト5の内部には、膨張機構3の摺動部分に通ずる給油路29が軸方向に延びるように形成されている。シャフト5の内部に給油路29を形成することによって、部品点数の増加やレイアウトの問題が新たに生じないので好適である。オイルは、給油路29を通じて膨張機構3の摺動部分に供給される。
本実施形態において、給油路29は、シャフト5の上端面に開口していない。このようにすれば、図11で説明した従来例のように、オイルが膨張機構3の上部に流れ出ない。これにより、オイルが膨張機構3によって冷却されにくくなる。言い換えれば、圧縮機構2から膨張機構3への熱移動をより効果的に抑制することが可能となる。ただし、給油路29がシャフト5の上端面に開口していてもよい。
シャフト5は、単一の部品で作られていてもよいし、複数の部品を組み合わせる(連結する)ことによって作られていてもよい。具体的には、シャフト5が、圧縮機構2側の第1シャフトと、膨張機構3側の第2シャフトとを含んでいてもよい。第1シャフトと第2シャフトとは、嵌め合わせによって直接連結されていてもよいし、他の部品(連結器)を介して連結されていてもよい。シャフト5が複数の部品の組み合わせでできていると、組立、特に圧縮機構2と膨張機構3との調心が容易になる。
膨張機構3は、第1シリンダ42と、第1シリンダ42の内径よりも大きい内径を有する第2シリンダ44と、第1シリンダ42と第2シリンダ44とを仕切っている中板43とを備えている。第1シリンダ42および第2シリンダ44は、互いに同心状に配置されている。図2Aおよび図2Bに示すように、膨張機構3は、さらに、第1ピストン46、第1ベーン48、第1ばね50、第2ピストン47、第2ベーン49および第2ばね51を備えている。
図2Aに示すように、第1ピストン46は、シャフト5の偏心部5cに嵌合しており、第1シリンダ42の中で偏心回転運動する。第1ベーン48は、第1シリンダ42に形成されたベーン溝42aに往復動自在に保持されている。第1ベーン48の一端部は、第1ピストン46に接している。第1ばね50は、第1ベーン48の他端部に接しており、第1ベーン48を第1ピストン46に向けて付勢する。
図2Bに示すように、第2ピストン47は、シャフト5の偏心部5dに嵌合しており、第2シリンダ44の中で偏心回転運動する。第2ベーン49は、第2シリンダ44に形成されたベーン溝44aに往復動自在に保持されている。第2ベーン49の一端部は、第2ピストン47に接している。第2ばね51は、第2ベーン49の他端部に接しており、第2ベーン49を第2ピストン47に向けて付勢する。
膨張機構3は、さらに、軸受部材45および軸受部材41を備えている。軸受部材41は、密閉容器1に隙間無く嵌め合わされている。シリンダや中板等の部品は、軸受部材41を介して密閉容器1に固定されている。軸受部材41および中板43は第1シリンダ42を上下から挟持し、中板43および軸受部材45は第2シリンダ44を上下から挟持する。軸受部材45、中板43および軸受部材41による挟持により、第1シリンダ42および第2シリンダ44内に作動室55,56がそれぞれ形成されている。
図2Aに示すように、第1シリンダ42の内側には、吸入側の作動室55a(第1吸入側空間)および吐出側の作動室55b(第1吐出側空間)が形成されている。作動室55aと作動室55bとは、第1ピストン46および第1ベーン48によって区画されている。図2Bに示すように、第2シリンダ44の内側には、吸入側の作動室56a(第2吸入側空間)および吐出側の作動室56b(第2吐出側空間)が形成されている。作動室56aと作動室56bとは、第2ピストン47および第2ベーン49により区画されている。第2シリンダ44における2つの作動室56a,56bの合計容積は、第1シリンダ42における2つの作動室55a,55bの合計容積よりも大きい。第1シリンダ42の吐出側の作動室55bと、第2シリンダ44の吸入側の作動室56aとが、中板43に形成された貫通孔43aを介してつながることによって、作動室55bおよび作動室56aが一つの作動室(膨張室)として機能する。
なお、作動室56a,56bの合計容積を作動室55a,55bの合計容積よりも大きくする方法として、第1シリンダ42の内径と第2シリンダ44の内径を異ならせる方法だけでなく、シリンダ42,44の厚みやピストン46,47の外径を適切に設定する方法を採用してもよい。
また、膨張機構3は、膨張前の冷媒を密閉容器1の外部の流路から直接吸入するための吸入路としての吸入管52と、膨張後の冷媒を密閉容器1の外部の流路に直接吐出するための吐出路としての吐出管53とを備えている。具体的に、吸入管52は、密閉容器1の外部の流路から第1シリンダ42の作動室55へと冷媒を導くことができるように、第1シリンダ42に直接挿入されている。吐出管53は、第2シリンダ44の作動室56から密閉容器1の外部の流路へと冷媒を導くことができるように、第2シリンダ44に直接挿入されている。吸入管52が軸受部材41に挿入され、吐出管53が軸受部材45に挿入されていてもよい。
膨張前の冷媒は、吸入管52を経て第1シリンダ42の作動室55aに流入する。第1シリンダ42の作動室55aに流入した作動流体は、シャフト5の回転に応じて作動室55bに移り、作動室55b、貫通孔43aおよび作動室56aからなる膨張室においてシャフト5を回転させながら膨張して低圧になる。膨張後の冷媒は、作動室56bおよび吐出管53を経て密閉容器1の外部へと導かれる。
オイルポンプ6が設けられている位置は、シャフト5の下部である。具体的には、シャフト5の下部における給油路29にオイルポンプ6が配置されている。給油路29にオイルポンプ6を配置することによって、給油管を別途設ける必要がなくなる。
オイルポンプ6は、シャフト5から動力を与えられて動作する。本実施形態では、オイルポンプ6として、速度型ポンプ(タービン型ポンプ)が採用されている。具体的に、オイルポンプ6は、ポンプ羽根6aおよび羽根留め6bを有する。ポンプ羽根6aは、羽根留め6bによってシャフト5に固定されている。ポンプ羽根6aがシャフト5とともに回転することによって、オイルが上方に圧送される。一般には、オイルポンプ6の回転数がシャフト5の回転数に等しいので、シャフト5の回転数が増大するにつれて、オイルポンプ6の送出容積および送出圧力が増大する。ただし、オイルポンプ6の送出圧力が増大するにつれて給油量調節機構30の効力が強くなるため、シャフト5の回転数に比例した量のオイルが膨張機構3に供給されるわけではない。
なお、オイルポンプの種類は速度型ポンプに限定されず、容積型ポンプを用いてもよい。容積型ポンプとしては、ロータリ型のオイルポンプやトロコイドポンプ(日本オイルポンプ社の登録商標)が挙げられる。ただし、本実施形態における給油量調節機構30との相性は、容積型ポンプよりも速度型ポンプの方がよい。本実施形態では、後述する第2および第3実施形態のようなオイルの逃げ道が無いからである。
給油量調節機構30は、給油路29を通じて膨張機構3に供給されるオイルの量がシャフト5の回転数の増大に追従するのを妨げる構造を含む。先に説明したように、オイルの循環に基づく圧縮機構2から膨張機構3への熱移動を極力小さくすることが、膨張機一体型圧縮機100Aを用いた冷凍サイクル装置(図10参照)の効率向上にとって重要である。シャフト5の回転数が増大すると、オイルポンプ6の送出容積および送出圧力も増大する傾向を示すが、給油量調節機構30の働きによって、オイルの過剰供給が防止される。場合によっては、シャフト5の回転数によらず、膨張機構3への給油量をほぼ一定に維持しうる。この結果、オイルの循環に基づく圧縮機構2から膨張機構3への熱移動を抑制することが可能となる。
本実施形態において、給油量調節機構30は給油路29内に設けられている。そのため、給油量調節機構30のための専用のスペースを確保せずに済む。給油量調節機構30を設けるべき位置は、密閉容器1内の上側に位置している膨張機構3よりも下方であればよい。典型的には、シャフト5の軸方向に関して圧縮機構2の作動室20と電動機4との間に給油量調節機構30が設けられている。
図3は、図1の部分拡大図である。図3に示すように、給油量調節機構30は、弁座31、ニードル32(弁体)、ばね33およびニードル止め34を備えている。弁座31は、膨張機構3に近づくほど内径が縮小するオリフィスの形状を有している。弁座31に向かい合うように、ニードル32が配置されている。ニードル32は円錐状の先端部を有している。弁座31とニードル32との間にオイルが流通できる隙間が形成されるように、弁座31とニードル32との間にばね33が配置されている。給油路29におけるオイルの圧力変動に応じて、ばね33が伸縮することによって、弁座31とニードル32との隙間の広さが調節されうる。ニードル32を挟んで弁座31の反対側に、ニードル32の可動範囲を規定するニードル止め34が配置されている。なお、弁座31またはニードル止め34がシャフト5の一部によって形成されていてもよい。
給油量調節機構30によれば、膨張機構3に送られるべきオイルが給油路29を流れ、ニードル32の背面に当たる。その後、オイルは、ニードル32の周囲を通過して弁座31に向かって流れる。ニードル32の背面にオイルが当たることによって、ニードル32が弁座31に向かってオイルの流量に応じた力で押される。また、ニードル32は、ばね33の変位に比例した力で押し返される。すなわち、弁座31とニードル32との隙間の広さ(隙間の断面積)はオイルの流量に応じて変化する。シャフト5の回転数の増大に応じてオイルポンプ6の送油能力が高まる一方で、弁座31とニードル32との隙間が狭まることによってオイルの流れに対する抵抗が増大する。結果として、オイルの供給量が制限(適正化)される。
シャフト5が高回転数となった場合でも、給油量調節機構30の働きによって、膨張機構3に必要以上のオイルが供給されない。言い換えれば、膨張機構3に適正な量のオイルが供給されうる。この結果、オイルの循環に基づく圧縮機構2から膨張機構3への熱移動を抑制できる。また、膨張機構3にオイルが過剰供給されないので、膨張機構3において、作動流体にオイルが多量に混入するのを防ぐことができる。そのため、蒸発器102(図10参照)にオイルが過剰に流入することに基づく熱交換効率の著しい低下を防ぐことができる。なお、図4に示すように、給油路29に弁座31を設けるだけでも、給油量を適正化する効果が得られる。つまり、給油路29にオリフィスを設けるだけでも、オイル流量の増加に伴ってオリフィスでの圧力損失も増大するため、膨張機構3にオイルが過剰供給されることを抑制できる。
本実施形態では、給油路29のオイルを膨張機構3にのみ供給しているが、給油路29のオイルを圧縮機構2に供給してもよい。
(第2実施形態)
図5は、本発明の第2実施形態にかかる膨張機一体型圧縮機の縦断面図である。図5に示すように、本実施形態の膨張機一体型圧縮機100Bと、第1実施形態の膨張機一体型圧縮機100Aとの主な相違点は、給油量調節機構にある。図1に示す実施形態と共通の部材には共通の符号を付し、説明を省略することとする。
図5は、本発明の第2実施形態にかかる膨張機一体型圧縮機の縦断面図である。図5に示すように、本実施形態の膨張機一体型圧縮機100Bと、第1実施形態の膨張機一体型圧縮機100Aとの主な相違点は、給油量調節機構にある。図1に示す実施形態と共通の部材には共通の符号を付し、説明を省略することとする。
図6は、図5の部分拡大図である。本実施形態では、給油路29から径方向に分岐してシャフト5の外周面に開口している分岐通路29sがシャフト5に形成されている。そして、給油量調節機構60が、その分岐通路29s内に設けられている。このようにすれば、シャフト5の外部から給油量調節機構60の取り付けが可能なので、第1実施形態よりも組み立てが容易である。また、分岐通路29sがオイルの逃げ道として振る舞うので、オイルポンプが容積型ポンプの場合にも好適である。
図6に示すように、給油量調節機構60は、弁座61、ニードル62、ばね63およびニードル止め64を備えている。弁座61は、給油路29に近づくほど内径が縮小するオリフィスの形状を有しており、分岐通路29sにおける給油路29に面する部分に配置されている。弁座61に向かい合うように、円錐状のニードル62が配置されている。ニードル62は、弁座61に接近する方向および弁座61から離れる方向(シャフト5の径方向)に変位可能である。ニードル止め64は、分岐通路29sにおけるシャフト5の外部に面する部分に配置されている。ニードル止め64によってニードル62の可動範囲が規定されている。ばね63は、ニードル62とニードル止め64との間に配置されている。
軸受部材10は、シャフト5を支持する軸受部10aを有する。軸受部10aは、分岐通路29sが形成されている位置でシャフト5の外周面を覆っている。軸受部10aの内周面には、環状のチャンバー67が形成されている。分岐通路29sはチャンバー67に向かって開口している。軸受部10aには、さらに、当該軸受部10aを径方向に貫通するように、チャンバー67と密閉容器1の内部空間24とを結ぶオイル排出路66が形成されている。分岐通路29s、チャンバー67およびオイル排出路66によって、給油路29から密閉容器1の内部空間24へとオイルが流通しうる。
給油路29の内圧が所定圧力よりも小さい場合、給油量調節機構60は閉状態となる。閉状態とは、弁座61にニードル62が嵌ることによって分岐通路29sが塞がれた状態のことである。閉状態では、分岐通路29sをオイルが流通できない。一方、シャフト5の回転数が増大することによって給油路29の内圧が所定圧力よりも高くなると、給油量調節機構60は開状態となる。開状態とは、ニードル62が弁座61から離れることによって弁座61とニードル62との間に隙間が生じた状態のことである。開状態になれば、分岐通路29sをオイルが流通できる。
給油路29の内圧が所定圧力よりも高くなると、ニードル62を押しのけながら弁座61を通じて分岐通路29sにオイルが入ってくる。オイルがニードル62を押しのける力は、給油路29の内圧に比例する。給油路29内のオイル等(詳細にはオイルの圧力および遠心力)によってニードル62に加わる外向きの荷重が、給油量調節機構60が閉状態のときにばね63がニードル62を押す力を上回ることを条件として、給油量調節機構60が閉状態から開状態へと切り替わる。
すなわち、シャフト5の回転数が増大し、給油路29に必要以上のオイルが送り込まれた場合、給油路29の内圧が上昇することによって給油量調節機構60が開状態になる。給油量調節機構60が開状態になると、給油路29を流通するオイルの一部が分岐通路29sを通じてシャフト5の外部に導かれる。シャフト5の外部に出たオイルは、軸受部材10の軸受部10aに形成されたチャンバー67およびオイル排出路66を通じて、密閉容器1の内部空間24に放出される。この結果、膨張機構3への給油量が適正化される。このように、本実施形態では、給油量調節機構60がリリーフ弁で構成されている。
また、本実施形態では、分岐通路29sを通じてシャフト5の外部にオイルを逃がすようになっている。そのため、給油量調節機構60が開状態となった場合、給油路29におけるオイルの流量は、給油量調節機構60が設けられている位置の前後で差が生ずる。具体的には、給油量調節機構60とオイルポンプ6との間で流量が多くなり、膨張機構3と給油量調節機構60との間で流量が少なくなる。オイルの流量の多い部分が膨張機構3から離れている方が、オイルの循環に基づく圧縮機構2から膨張機構3への熱移動を抑制する観点から好ましい。したがって、電動機4と圧縮機構2との間において、シャフト5に分岐通路29sが形成されているのが望ましい。
(第3実施形態)
図7は、本発明の第3実施形態にかかる膨張機一体型圧縮機の縦断面図である。図7に示すように、本実施形態の膨張機一体型圧縮機100Cと、第1実施形態の膨張機一体型圧縮機100A(図1)との主な相違点は、給油量調節機構にある。
図7は、本発明の第3実施形態にかかる膨張機一体型圧縮機の縦断面図である。図7に示すように、本実施形態の膨張機一体型圧縮機100Cと、第1実施形態の膨張機一体型圧縮機100A(図1)との主な相違点は、給油量調節機構にある。
図8は、図7の部分拡大図である。本実施形態では、給油路29から径方向に分岐してシャフト5の外周面に開口している分岐通路29tがシャフト5に形成されている。そして、余分なオイルが分岐通路29tを通じて密閉容器1の内部空間24に導かれるように、給油量調節機構70がシャフト5の外部に設けられている。給油量調節機構70がシャフト5の外部にあるので、先の2つの実施形態よりも給油量調節機構70のために広いスペースを確保できる。
オイルの逃げ道として、シャフト5に分岐通路29tが形成されている点に関して、本実施形態は第2実施形態と共通である。他方、給油量調節機構70がシャフト5とともに回転しない点で、本実施形態は第2実施形態と相違する。分岐通路29tがオイルの逃げ道として振る舞うので、オイルポンプが容積型ポンプの場合にも好適である。
図8に示すように、本実施形態において、給油量調節機構70は、軸受部材10の内部に設けられている。軸受部材10は、シャフト5を支持する軸受部10aを有する。軸受部10aは、分岐通路29tが形成されている位置でシャフト5の外周面を覆っている。軸受部10aの内周面には、環状のチャンバー77が形成されている。分岐通路29tはチャンバー77に向かって開口している。軸受部10aには、さらに、チャンバー77と密閉容器1の内部空間24とを結ぶ通路としてのオイル排出路76が形成されている。そして、このオイル排出路76に給油量調節機構70が設けられている。
給油量調節機構70は、弁座71、弁体72、ばね73および弁体止め74を備えている。オイル排出路76は、オイルの流通方向に沿う方向の断面がT字形の部分を含み、そのT字形の部分に弁座71が配置されている。弁座71に向かい合うように、球の形状を有する弁体72が配置されている。弁体止め74は、弁体72を挟んで弁座71の反対側に配置されている。弁体止め74によって弁体72の可動範囲が規定されている。ばね73は、弁体72と弁体止め74との間に配置されている。なお、給油量調節機構70の構造は、第2実施形態と同じであってもよい。
給油路29の内圧が所定圧力よりも小さい場合、給油量調節機構70は閉状態となる。閉状態とは、弁座71に弁体72が嵌ることによってオイル排出路76が塞がれた状態のことである。閉状態では、オイル排出路76をオイルが流通できない。一方、シャフト5の回転数が増大することによって給油路29の内圧が所定圧力よりも高くなると、給油量調節機構70は開状態となる。開状態とは、弁体72が弁座71から離れることによって弁座71と弁体72との間に隙間が生じた状態のことである。開状態になれば、オイル排出路76をオイルが流通できる。
給油路29の内圧が所定圧力よりも高くなると、弁体72がオイルによって押しのけられ、オイル排出路76が開通する。オイルが弁体72を押しのける力は、給油路29の内圧に比例する。給油路29内のオイルによって弁体72に加わる荷重が、給油量調節機構70が閉状態のときにばね73が弁体72を押す力を上回ることを条件として、給油量調節機構70が閉状態から開状態へと切り替わる。
すなわち、シャフト5の回転数が増大し、給油路29に必要以上のオイルが送り込まれた場合、給油路29の内圧が上昇することによって給油量調節機構70が開状態になる。給油量調節機構70が開状態になると、給油路29を流通するオイルの一部が分岐通路29tを通じてシャフト5の外部に導かれる。シャフト5の外部に出たオイルは、軸受部材10の軸受部10aに形成されたチャンバー77およびオイル排出路76を通じて、密閉容器1の内部空間24に放出される。この結果、膨張機構3への給油量が適正化される。このように、本実施形態においても、給油量調節機構70がリリーフ弁で構成されている。
なお、給油量調節機構70は、オイル排出路76の出口に配置されていてもよいし、チャンバー77に配置されていてもよい。
また、本実施形態においても、分岐通路29tを通じてシャフト5の外部にオイルを逃がすようになっている。そのため、電動機4と密閉容器1内の下側に位置している圧縮機構2との間において、シャフト5に分岐通路29tが形成されているのが望ましい。
(第4実施形態)
図9に示すように、本実施形態の膨張機一体型圧縮機100Dは、シャフト5の軸方向が水平方向に平行である。密閉容器1の長手方向に沿ってオイル貯まり25が形成されている。膨張機構3と電動機4との間には隔壁27が設けられている。隔壁27は、内部空間24を膨張機構3側の空間と圧縮機構2側の空間とに仕切っている。圧縮機構2側の空間には電動機4も配置されている。この隔壁27にも圧縮機構2および電動機4から膨張機構3への熱移動を抑制する機能がある。隔壁27は、オイルの流通を許容する通路27hを有する。
図9に示すように、本実施形態の膨張機一体型圧縮機100Dは、シャフト5の軸方向が水平方向に平行である。密閉容器1の長手方向に沿ってオイル貯まり25が形成されている。膨張機構3と電動機4との間には隔壁27が設けられている。隔壁27は、内部空間24を膨張機構3側の空間と圧縮機構2側の空間とに仕切っている。圧縮機構2側の空間には電動機4も配置されている。この隔壁27にも圧縮機構2および電動機4から膨張機構3への熱移動を抑制する機能がある。隔壁27は、オイルの流通を許容する通路27hを有する。
シャフト5の端部には、容積型のオイルポンプ26が設けられている。シャフト5の軸方向に沿って、オイルポンプ26、膨張機構3、電動機4および圧縮機構2がこの順番で並んでいる。給油量調節機構60は、図6を参照して第3実施形態で説明したものと同一である。オイル貯まり25のオイルを吸入できるように、オイルポンプ26のノズル26kがオイル貯まり25に向かって延びている。オイルポンプ26に吸入されたオイルは、シャフト5の軸方向に関してオイルポンプ26から見て遠い側に位置している圧縮機構2に給油路29を通じて供給される。本実施形態では、オイルポンプ26からのオイルがオイルポンプ26から見て近い側に位置している膨張機構3にも供給される。給油量調節機構60を通じて給油路29から排出されたオイルは、膨張機構3側の空間に戻る。
先に説明した実施形態と同様に、給油量調節機構60によってオイルの過剰供給が防止される。これにより、圧縮機構2から膨張機構3への熱移動が抑制される。なお、図9に示す例では、膨張機構3側にオイルポンプ26が設けられているが、圧縮機構2側にオイルポンプ26が設けられていてもよい。また、給油量調節機構60に代えて、給油量調節機構30(第1実施形態)や給油量調節機構70(第3実施形態)を設けてもよい。
本発明の膨張機一体型圧縮機は、例えば、空気調和装置、給湯装置、乾燥機または冷凍冷蔵庫のための冷凍サイクル装置(ヒートポンプ)に好適に採用できる。図10に示すように、冷凍サイクル装置110は、膨張機一体型圧縮機100A(,100B,100C,100D)と、圧縮機構2で圧縮された冷媒を放熱させるための放熱器101と、膨張機構3で膨張した冷媒を蒸発させるための蒸発器114とを備えている。圧縮機構2、放熱器101、膨張機構3および蒸発器102が配管によって接続され、冷媒回路が形成されている。
例えば、冷凍サイクル装置110が空気調和装置に適用される場合、圧縮機構2から膨張機構3への熱移動を抑制することにより、暖房運転時における圧縮機構2の吐出温度の低下による暖房能力の低下、冷房運転時における膨張機構3の吐出温度の上昇による冷房能力の低下を防ぐことができる。結果として、空気調和装置の成績係数が向上する。
Claims (13)
- 作動流体を圧縮するための圧縮機構と、
作動流体から動力を回収するための膨張機構と、
前記膨張機構で回収された動力が前記圧縮機構に伝達されるように前記圧縮機構と前記膨張機構とを連結しているシャフトと、
前記圧縮機構および前記膨張機構が上下に配列するように前記圧縮機構、前記膨張機構および前記シャフトを収容しており、底部がオイル貯まりとして利用され、圧縮後の作動流体で内部空間が満たされる密閉容器と、
前記シャフトの下部に設けられたオイルポンプと、
前記オイルポンプによって前記オイル貯まりのオイルを前記密閉容器内の上側に位置している前記圧縮機構または前記膨張機構に供給するために、軸方向に延びるように前記シャフトの内部に形成された給油路と、
前記密閉容器内の上側に位置している前記圧縮機構または前記膨張機構よりも下方に設けられ、前記給油路を通じて前記密閉容器内の上側に位置している前記圧縮機構または前記膨張機構に供給されるオイルの量を調節するための給油量調節機構と、
を備えた、膨張機一体型圧縮機。 - 前記給油路から径方向に分岐して前記シャフトの外周面に開口している分岐通路が前記シャフトに形成され、
前記給油量調節機構が、前記分岐通路内に設けられている、請求項1に記載の膨張機一体型圧縮機。 - 前記圧縮機構と前記膨張機構との間に配置され、前記シャフトを駆動するための電動機をさらに備え、
前記電動機と、前記密閉容器内の下側に位置している前記圧縮機構または前記膨張機構との間において、前記シャフトに前記分岐通路が形成されている、請求項2に記載の膨張機一体型圧縮機。 - 前記給油量調節機構は、前記給油路を通じて前記圧縮機構または前記膨張機構に供給されるオイルの量が前記シャフトの回転数の増大に追従するのを妨げる構造を含む、請求項1に記載の膨張機一体型圧縮機。
- 前記給油量調節機構が、オリフィス、ニードル弁またはリリーフ弁を含む、請求項1に記載の膨張機一体型圧縮機。
- 前記給油量調節機構が、前記給油路内に設けられている、請求項1に記載の膨張機一体型圧縮機。
- 前記給油路から径方向に分岐して前記シャフトの外周面に開口している分岐通路が前記シャフトに形成され、
オイルが前記分岐通路を通じて前記密閉容器の内部空間に導かれるように、前記給油量調節機構が前記シャフトの外部に設けられている、請求項1に記載の膨張機一体型圧縮機。 - 前記給油量調節機構は、弁座と、前記弁座に向かい合う位置に配置された弁体と、前記給油路におけるオイルの圧力変動に応じて伸縮することによって前記弁座と前記弁体との隙間の広さを調節するためのバネとを含む、請求項1に記載の膨張機一体型圧縮機。
- 前記弁体の形状が球状である、請求項8に記載の膨張機一体型圧縮機。
- 前記分岐通路が形成されている位置で前記シャフトに面するように設けられたチャンバーをさらに備え、
前記給油量調節機構が前記チャンバー内またはそのチャンバーと前記密閉容器の内部空間と結ぶ経路上に配置されている、請求項7に記載の膨張機一体型圧縮機。 - 前記オイルポンプが速度型ポンプである、請求項1に記載の膨張機一体型圧縮機。
- 請求項1に記載の膨張機一体型圧縮機と、
前記膨張機一体型圧縮機の前記圧縮機構で圧縮された冷媒を放熱させるための放熱器と、
前記膨張機一体型圧縮機の前記膨張機構で膨張した冷媒を蒸発させるための蒸発器と、
を備えた、冷凍サイクル装置。 - 作動流体を圧縮するための圧縮機構と、
作動流体から動力を回収するための膨張機構と、
前記膨張機構で回収された動力が前記圧縮機構に伝達されるように前記圧縮機構と前記膨張機構とを連結しているシャフトと、
前記圧縮機構、前記膨張機構および前記シャフトを収容しており、底部がオイル貯まりとして利用され、圧縮後の作動流体で内部空間が満たされる密閉容器と、
前記シャフトの端部に設けられたオイルポンプと、
前記オイルポンプによって前記オイル貯まりのオイルを前記シャフトの軸方向に関して前記オイルポンプから見て遠い側に位置している前記圧縮機構または前記膨張機構に供給するために、軸方向に延びるように前記シャフトの内部に形成された給油路と、
前記圧縮機構または前記膨張機構に前記給油路を通じて供給されるオイルの量を調節するための給油量調節機構と、
を備えた、膨張機一体型圧縮機。
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