JPWO2009090787A1 - 生理活性ペプチドまたはタンパク質製造方法、および組換え動物細胞 - Google Patents

生理活性ペプチドまたはタンパク質製造方法、および組換え動物細胞 Download PDF

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Abstract

所望の生理活性ペプチドまたはタンパク質をコードする遺伝子により形質変換させた組換え動物細胞を、タンパク性の増殖因子を添加していない培地で増殖させて、所望の生理活性ペプチドまたはタンパク質を生産する方法、および所望の生理活性ペプチドまたはタンパク質をコードする遺伝子により形質変換され、タンパク性の増殖因子を添加していない培地で浮遊状態で増殖可能になるように馴化させた組換え動物細胞を提供する。本発明は、所望の生理活性ペプチドまたはタンパク質をコードする遺伝子により形質変換させて組換え動物細胞をタンパク性の増殖因子を添加していない培地で浮遊状態で増殖可能になるように馴化させ、この馴化した動物細胞をタンパク性の増殖因子を添加していない培地で増殖させることで、所望の生理活性ペプチドまたはタンパク質を製造する。

Description

本発明は、所望の生理活性ペプチドまたはタンパク質を製造する生理活性ペプチドまたはタンパク質製造方法、および組換え動物細胞に関する。
近年、動物細胞、とりわけ、遺伝子組換え動物を大量培養し、生理活性ペプタイドやタンパク質を製造することが行われている。これらの生理活性ペプタイドやタンパク質を製造するために、ほ乳類細胞、例えばCHO細胞(チャイニーズハムスター卵巣細胞)、COS細胞(アフリカミドリザルの腎線維芽細胞のSV40形質転換体)、ミエローマ細胞(骨髄腫細胞)、BHK細胞(ハムスター腎臓細胞)、HeLa細胞(ヒト子宮頸癌由来細胞)、Vero細胞(アフリカミドリザルの腎臓上皮由来動物培養細胞)などの接着性細胞が用いられている。
これらの接着性細胞に対しては、通常ローラーボトル培養やマイクロキャリアー培養など固定化床に細胞を付着させて培養する固定化培養法が行われている。例えば、特許文献1には、ヒトエリスロポエチン(以下、ヒト「EPO」という)製剤を、遺伝子組換えCHO細胞を用いて製造する技術が開示されている。この文献に記載の方法では、使用する遺伝子組換えCHO細胞株は、その増殖にウシ胎児血清を必要とする。このため、ウシ胎児血清に由来するウイルスやプリオンなどの病原性因子の危険性がある。
また、この文献に記載の方法では、遺伝子組換えCHO細胞をローラーボトルの壁面に接着させて培養する。接触細胞が十分に増殖した後、ローラーボトル内を無血清培地で洗浄する。その後、再度無血清培地をローラーボトル内に充填し、数日間培養する。培養後、培養上清中に分泌生産されたヒトEPOを回収することで、ヒトEPOを生産する。
無血清培地を用いて動物細胞などを培養する場合に、血清をできるだけ使わず、安定して細胞を増殖させる必要がある。インスリンなどの成長促進因子やホルモンを添加する方法では、成長促進因子やホルモンが高価であるために、培養細胞の維持にコストがかさむ。このため、培養細胞自体が分泌し、その細胞自身の増殖を促進させる細胞培養因子を安定化させることが試みられている(例えば、特許文献2参照)。この方法では、接着細胞を、直鎖ポリリン酸を含有する培地で、培養する。直鎖ポリリン酸が、細胞培養因子を安定化させている。
一方、固定化培養法では、工業的に有用物質を大量生産するには、操作面やスケールアップの点から問題がある。このため、操作やスケールアップが容易な浮遊細胞を用いて浮遊培養する浮遊培養法が望まれる。浮遊培養法では、浮遊細胞を攪拌培養するので、大量生産に適する。このため、接着性細胞を浮遊化することが試みられている。
遺伝子組換え動物培養細胞においても、浮遊培養法が検討されている。また、浮遊培養法においても、無血清培地で培養する方法が開発されている(例えば、特許文献3参照)。特許文献3に記載の方法では、浮遊細胞を無機または有機鉄化合物、シクロデキストリンおよび非イオン性界面活性剤を無血清培地に含有させた培地で培養する。
しかし、この文献に記載の方法を用いても、インスリンやインスリン用増殖因子(IGF−I)などのタンパク性の増殖因子を含む培地のほうが、タンパク性の増殖因子を添加していない培地より、生理活性ペプチドやタンパク質の生産量が多い。
特公平5−35159号公報 特開2007−54080号公報 特開平8−70859号公報
本発明は、上記問題に鑑みなされたものであり、その目的は、所望の生理活性ペプチドまたはタンパク質をコードする遺伝子により形質変換させた組換え動物細胞を、タンパク性の増殖因子を添加していない培地で増殖させて、所望の生理活性ペプチドまたはタンパク質を生産する方法を提供することにある。
また、本発明の別の目的は、所望の生理活性ペプチドまたはタンパク質をコードする遺伝子により形質変換され、タンパク性の増殖因子を添加していない培地で浮遊状態で増殖可能になるように馴化させた組換え動物細胞を提供することにある。
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意検討をした結果、所望の生理活性ペプチドまたはタンパク質をコードする遺伝子により形質変換させて組換え動物細胞をタンパク性の増殖因子を添加していない培地で浮遊状態で増殖可能になるように馴化させ、この馴化した動物細胞をタンパク性の増殖因子を添加していない培地で増殖させることで、所望の生理活性ペプチドまたはタンパク質を製造できることを見出し、本発明を完成させた。すなわち、本発明は以下のとおりである。
本発明の生理活性ペプチドまたはタンパク質製造方法は、所望の生理活性ペプチドまたはタンパク質をコードする遺伝子により形質変換させた組換え動物細胞であって、タンパク性の増殖因子を添加していない培地で増殖可能な組換え動物細胞を、タンパク性の増殖因子を添加していない培地で馴化する工程と、前記タンパク性の増殖因子を添加していない培地で馴化した細胞を、前記タンパク性の増殖因子を添加していない培地で増殖させる工程と、前記培地の培養上清から所望の生理活性ペプチドまたはタンパク質を回収する工程とを含む。
本発明の生理活性ペプチドまたはタンパク質製造方法は、動物細胞を、所望の生理活性ペプチドまたはタンパク質をコードする遺伝子により形質変換させて組換え動物細胞を作る工程と、前記組換え動物細胞を、タンパク性の増殖因子を添加していない培地で浮遊状態で増殖可能になるように馴化させる工程と、前記馴化した組換え動物細胞を、タンパク性の増殖因子を添加していない培地で増殖させる工程と、前記培地の培養上清から所望の生理活性ペプチドまたはタンパク質を回収する工程とを含む。
前記所望の生理活性ペプチドまたはタンパク質は、ネコエリスロポエチンであると好ましい。また、前記動物細胞は、チャイニーズハムスター卵巣組織由来細胞であると好ましい。
前記タンパク性の増殖因子を添加していない培地は、ポリリン酸を含む。前記ポリリン酸の濃度は、10nM〜10mMであると好ましい。
前記生理活性ペプチドまたはタンパク質を回収する工程は、前記培養上清を銅キレート担体に通過させる工程を含むものであるとよい。また、前記生理活性ペプチドまたはタンパク質を回収する工程は、前記培養上清を銅キレート担体に通過させる工程と、前記培養上清に含まれる生理活性ペプチドまたはタンパク質を陰イオン交換担体に吸着させる工程とを含むものであってもよい。
本発明は、所望の生理活性ペプチドまたはタンパク質をコードする遺伝子により形質変換され、タンパク性の増殖因子を添加していない培地により浮遊状態で増殖可能になるように馴化されている、組換え動物細胞である。前記所望の生理活性ペプチドまたはタンパク質をコードする遺伝子が、配列番号1に記載のネコネコエリスロポエチン遺伝子であるとよい。前記動物細胞が、チャイニーズハムスター卵巣組織由来細胞であるとよい。この組換えチャイニーズハムスター卵巣組織由来細胞は、FERM ABP−11017、FERM ABP−11018として寄託されている。
本発明の生理活性ペプチドまたはタンパク質製造方法では、血清を含まない培地で培養する。この結果、未知ウイルスやプリオンなどの混入のおそれがない安全な生理活性ペプチドまたはタンパク質製造方法を提供することができる。
また、本発明の生理活性ペプチドまたはタンパク質製造方法で生理活性ペプチドまたはタンパク質を製造する培地は、通常の基本培地にポリリン酸を添加する。したがって、成分組成が明らかであり、ロット間で差のない均一な培養条件を提供できる。
さらに、組換え動物細胞を、タンパク性の増殖因子を添加していない培地で増殖することができきる。このため、タンパク性の増殖因子を除去する必要がない。この結果、安価に所望の生理活性ペプチドまたはタンパク質を製造できる。また、組換え動物細胞を浮遊化して用いる。この結果、浮遊培養法により、所望の生理活性ペプチドまたはタンパク質を大量に製造できる。
さらにまた、製造した所望の生理活性ペプチドまたはタンパク質は、銅キレート担体または銅キレート担体と陰イオン交換担体とを用いて精製することにより、純度の高い所望の生理活性ペプチドまたはタンパク質を容易に得ることができる。
図1は、本発明の無タンパク培地馴化細胞(E1C2クローン1)を培地No1、2で培養した場合の細胞濃度の変化を示すグラフである。 図2は、本発明の無タンパク培地馴化細胞(E1C2クローン2)を培地No1、2で培養した場合の細胞濃度の変化を示すグラフである。 図3は、血清要求性細胞(rFeEPO/CHO1)を血清培地で培養し、インスリン要求性細胞(rFeEPO/CHO1’)をDMEMおよびインスリン添加DMEM培地で培養した場合の細胞濃度の変化を示すグラフである。 図4は、無タンパク馴化細胞(E1C2クローン1)をDMEMおよびインスリン添加DMEM培地で培養した場合の細胞濃度の変化を示すグラフである。 図5は、無タンパク馴化細胞(E1C2クローン2)をDMEMおよびインスリン添加DMEM培地で培養した場合の細胞濃度の変化を示すグラフである。
以下に、本発明を詳細に説明する。
[組換え動物細胞の作成]
本発明の組換え動物細胞は、所望の生理活性ペプチドまたはタンパク質をコードする遺伝子により形質変換され、タンパク性の増殖因子を添加していない培地で浮遊状態で増殖可能になるように馴化されている。具体的には、(1)動物細胞を所望の生理活性ペプチドまたはタンパク質をコードする遺伝子により形質変換し、組換え動物細胞株を樹立し、(2)この組換え動物細胞株を、液体培地で浮遊化し、(3)タンパク性の増殖因子を添加していない培地で増殖可能にすることによって、得られる。
(1)組換え動物細胞株の樹立
本発明で用いる組換え動物細胞は、所望の生理活性ペプチドまたはタンパク質をコードする遺伝子により形質変換されているものであれば、公知の組換え動物細胞を用いてもよい。また、以下の方法により、動物細胞に所望の生理活性ペプチドまたはタンパク質をコードする遺伝子により形質変換させたものであってもよい。
(所望の生理活性ペプチドまたはタンパク質)
本発明で、「所望の生理活性ペプチドまたはタンパク質」としては、ホルモン,鎮痛物質,リンホカイン,血球作用性因子,酵素,神経伝達因子,成長因子などおよびこれらの活性型誘導体またはムテインが挙げられる。その具体例として例えばホルモンとしては、黄体形成ホルモン放出ホルモン(LH−RH),甲状腺刺激ホルモン放出ホルモン(TRH)、インスリン,ソマトスタチン,成長ホルモン,プロラクチン,副腎皮質刺激ホルモン(ACTH),メラノサイト刺激ホルモン(MSH),甲状腺刺激ホルモン(TSH),黄体形成ホルモン(LH),卵胞刺激ホルモン(FSH),バソプレシン,バソプレシン誘導体{デスモプレシン〔日本内分泌学会雑誌,第54巻第5号第676〜691頁(1978)〕など},オキシトシン,カルシトニン,副甲状腺ホルモン(PTH),グルカゴン,ガストリン,セクレチン,パンクレオザイミン,コレシストキニン,アンジオテンシン,ヒト胎盤ラクトーゲン,ヒト絨毛性ゴナドトロピン(HCG),セルレイン,モチリンなどが挙げられる。鎮痛物質としては、エンケファリン,エンケファリン誘導体〔米国特許第4277394号,ヨーロッパ特許出願公開第31567号公報参照〕,エンドルフィン,ディノルフィン,キョウトルフィンなどが挙げられる。リンホカインとしては、インターフェロン(α型,β型,γ型),インターロイキン類(IL−1,−2,−3,−4,−5,−6,−7,−8,−9,−10,−11など)などが挙げられる。血球作用因子としては、顆粒球コロニー刺激因子,顆粒球マクロファージコロニー刺激因子,マクロファージコロニー刺激因子,エリスロポエチン,サイモポエチン,サイモシンなどが挙げられる。酵素としては、ウロキナーゼ,ティシュープラスミノーゲンアクチベータ,カリクレインなどが挙げられる。神経伝達物質としては、ボムベシン,ニュウロテンシン,ブラジキニン,サブスタンスPなどが挙げられる。成長因子としては、神経成長因子(NGF)ファミリー(NGF,BDNF,NGF−2,NT−4,NT−5など),上皮細胞増殖因子(EGF),繊維芽細胞増殖因子(FGF)ファミリー(aFGF,bFGF,INT−2,HST−1,FGF−5,FGF−6など)などが挙げられる。
なかでも、本発明は、エリスロポエチン(EPO)、特にネコEPOの製造に好ましく用いられる。EPOは、赤血球産生を促進するホルモンで、主に腎臓において生産される。ヒトEPOは192残基のアミノ酸で構成されており、その内27残基がシグナルペプチド、165残基が成熟タンパク質のアミノ酸配列からなり、N型結合糖鎖およびO型結合糖鎖修飾を受けた分子量約34,000Daの糖タンパク質である。EPOは、組織が低酸素ストレスを受けた際に骨髄中の原始前駆細胞が前赤芽球に変換されるのを促進し、もって赤血球の産生を増大させる作用を有する。EPO cDNAクローニングは、ヒト以外にも、マウス、ラット、イヌ、ネコなどで行われている(ヴェンら、ブラッド(Blood)、1993年、第82巻、pp1507−)。
ヒトで報告のある慢性腎不全、化学療法剤又は外科手術によって引き起こされる貧血は、コンパニオンアニマルであるイヌおよびネコにおいても見られ、これらの動物の死亡および能力障害の主な原因となっている。現在、イヌやネコの輸血などに際して、さらにほとんどのネコの慢性腎疾患および感染症(FeLV感染)による貧血症状に対して、利用可能な唯一の方法は、組換えヒトエリスロポエチンの投与である。この動物種が異なるヒトEPOの投薬は、イヌ、ネコの生活の質を改善するものの、2つの欠点を有するとされている。まず、第一の欠点は、ネコに対するヒトEPOの活性は、ネコEPOに比べて低下することが予想され、目的の治療効果を得るためには大量の投与を余儀なくされることである。第二の欠点は、ヒト由来EPOを投与されたイヌ、ネコは、その投与によって中和抗体が発現し、この抗体により投与したEPOの有効性が減弱し、またイヌ、ネコ本来のEPOと交叉反応して貧血を悪化させる(ヴェンら、ブラッド(Blood)、82,1507(1993))。イヌ、ネコのEPO製剤が得られれば、これらの免疫学的な問題は克服され、ヒトEPO製剤投与による諸問題は解決される。
(遺伝子の取得)
プラスミドの作成のために、まず、所望の生理活性ペプチドまたはタンパク質をコードする遺伝子を有する細胞から、(1)ポリ(A)RNAを抽出した後、(2)cDNAを合成し、(3)所望の生理活性ペプチドまたはタンパク質をコードする遺伝子配列を元にしたプライマーを用いて、ポリメラーゼ連鎖反応(以下、「PCR」と略す)を行い、所望の生理活性ペプチドまたはタンパク質をコードする遺伝子を得る。
(RNAの抽出)
ネコEPOのポリ(A)RNAは、虚血状態のネコの腎臓を処理して得られる細胞から、ポリ(A)RNAを抽出する。
動物の細胞から、RNAを抽出する方法としては、(1)グアニジン・チオシアネート処理後CsCl密度勾配遠心を行うグアニジン・チオシアネート−塩化セシウム法(チルインら:バイオケミストリー(Biochemistry)、18、5294(1979))、(2)バナジウム複合体を用いてリボヌクレアーゼインヒビター存在下に界面活性剤で処理したのちフェノール抽出を行う方法、(3)グアニジン・チオシアネート−ホット・フェノール法、(4)グアニジン・チオシアネート−グアニジン塩酸法、(5)グアニジン・チオシアネート−フェノール・クロロホルム法、(6)グアニジン・チオシアネートで処理したのち塩化リチウムで処理してRNAを沈殿させる方法などの公知の方法から適当な方法を選んで行えばよい。
(cDNAの合成)
mRNAからcDNAを合成するには、例えばトリ骨芽球ウイルス(AMV)などの逆転写酵素などを用いる方法のほか、一部プライマーを用いてDNAポリメラーゼなどを用いる方法を組み合わせてもよい。市販の合成あるいはクローニング用キットを用いるのが便利である。
上記RNA抽出方法のうち、塩化リチウム/尿素法、グアニジン・イソチオシアネート法、オリゴdTセルロース法などによりmRNAを単離し、得られたmRNAから通常の方法、Gublerらの方法(ガブラーら:ジーン(Gene).25,236−269(1983))、H.Okayamaらの方法(オカヤマら:モレキュラーセルバイオロジー(Mol.Cell.Biol),2,161,(1982)&3,280,(1983))などによりcDNAを合成することができる。
(プライマーの設計)
以上のようにして得られたcDNAを鋳型として、所望の生理活性ペプチドまたはタンパク質をコードする遺伝子の塩基配列を基にし、かつベクターに組込みが可能なように適切な制限酵素サイトを付加したプライマーを設計する。
このプライマーを用いて、PCRを行い、所望の生理活性ペプチドまたはタンパク質をコードする遺伝子(DNA)を得る。
上記のようにして得られた所望の生理活性ペプチドまたはタンパク質をコードする遺伝子を、発現ベクターに導入し、動物細胞に組み込む。本発明で用いることのできる発現ベクターとしては、プラスミド、ウイルスベクターなどを用いることができる。発現ベクターは、複製起点、マーカー遺伝子、プロモーター、ターミネーターなどを備えていればよい。
プロモーターは、宿主である動物細胞により、SV40初期プロモーター、SV40後期プロモーター、hCMV(ヒトサイトロメガウイルス)など、所望の生理活性ペプチドまたはタンパク質が生産できるものであれば、公知のプロモーターを使用できる。
マーカー遺伝子は、アミノグリコシド3’ホスホトランスフェラーゼ(neo)遺伝子やジヒドロ葉酸レダクターゼ(dhfr)遺伝子などが公知のマーカー遺伝子が用いられる。選択用添加物質として、G‐418、メトトレキセートが例示される。
動物細胞としてCHO細胞(チャイニーズハムスター卵巣細胞)を用いる場合には、マーカー遺伝子として、所望の生理活性ペプチドまたはタンパク質をコードする遺伝子を増幅させるために、マウスジヒドロ葉酸レダクターゼ酵素(mdhfr)をコードする遺伝子を用いると、特に好ましい。所望の生理活性ペプチドまたはタンパク質遺伝子とマウスジヒドロ葉酸レダクターゼ酵素遺伝子の両遺伝子が導入された動物細胞の培養液中にメトトレキセート(MTX)を段階的に添加していくことで、動物細胞内のmdhfrの発現量が向上する。また、同時に、目的の所望の生理活性ペプチドまたはタンパク質遺伝子が増幅され、結果的に所望の生理活性ペプチドまたはタンパク質発現量が向上する。
mdhfrのcDNAは、例えば、マウスキラーT(TK)細胞などのマウス細胞から、上記所望の生理活性ペプチドまたはタンパク質遺伝子の取得方法と同様の方法を用いて、得られる。mdhfrのcDNAは、上記所望の生理活性ペプチドまたはタンパク質をコードする遺伝子が導入された発現ベクターに導入するか、別個の発現ベクターに導入する。
上記発現ベクターを動物細胞に導入し、動物細胞を形質転換する。動物細胞への形質転換は、公知の方法、例えばリン酸カルシウム法、DEAEデキストラン法、リポフェクチン法などの沈殿法、プロトプラストポリエチレン法、エレクトロポレーション法などが利用できる。
形質転換に用いることができる動物細胞としては、ほ乳類細胞、例えばCHO細胞(チャイニーズハムスター卵巣細胞)、COS細胞、ミエローマ細胞、BHK細胞、HeLa細胞、Vero細胞などが挙げられる。これらのうち、CHO細胞が好ましく用いられる。CHO細胞としては、dhfr遺伝子を欠損したCHO細胞であるCHO/dhfr−細胞やCHO K−I細胞を好適に使用することができる。具体的には、ネコEPOのタンパク質の発現はチャイニーズハムスター卵巣細胞のDHFR−(CHO/dhfr‐)株を用いることができる。CHO/dhfr−細胞は、構造遺伝子の突然変異によりジヒドロ葉酸レダクターゼ酵素(DHFR)を欠如しており、このため培地中にグリシン、ヒポキサンチン、チミジンの存在を要求する(ウルラシブら:プロシーディング・オブ・ナショナルアカデミー・オブ・サインス.77,4461−4469(1980))。
上記発現ベクターが導入された動物細胞は、(1)血清培地中で、培養し、所望の生理活性ペプチドまたはタンパク質を産生する細胞を選択分離し、(2)無血清培地への馴化と浮遊細胞化、(3)無タンパク培地への馴化、(4)無タンパク培地への馴化した細胞からの単クローンのスクリーニングを行う。
接着性の血清要求性のある動物細胞培養に用いる培地としては、各種血清(例えばウシ胎児血清(FBS))を加えたHamF10培地、HamF12培地、ダルベッコMEM培地、RPMI−1640培地、MEM−α培地、およびこれらの混合培地を用いる。無血清培地とは、血清非存在下各種タンパク性の増殖因子(例えば、インスリン、トランスフェリン、EGF(上皮成長因子(Epidermal Growth Factor))など)を加えたHamF10培地、HamF12培地、ダルベッコMEM培地、RPMI−1640培地、MEM−α培地、およびこれらの混合培地を用いる。
(所望の生理活性ペプチドまたはタンパク質を産生する細胞の選択分離)
上記発現ベクターを導入した動物細胞から、発現ベクターが発現した動物細胞をスクリーニングする。例えば、上記発現ベクターを導入した動物細胞を、培地中にヒポキサンチン、チミジンを含み、グリシンを含まない、血清培地中で培養する。この培地中では、発現ベクター中のdhfr遺伝子が発現した動物細胞のみが生存することができる。この結果、生存した細胞を選択することで、発現ベクターが発現した動物細胞が得られる。
次に、選択した動物細胞を、血清培地で増殖させた培養液中にメトトレキセート(MTX)を段階的に添加する。これにより、動物細胞内のmdhfrの発現量が向上する。これにより、mdhfrの発現量が増加した動物細胞を選択することができる。
mdhfrの発現量が増加した動物細胞を培養した培養液を分析し、所望の生理活性ペプチドまたはタンパク質が産生されていることを確認する。これにより、高濃度で所望の生理活性ペプチドまたはタンパク質を産生できる動物細胞を選択することができる。
所望の生理活性ペプチドまたはタンパク質が産生されていることは、公知の方法を用いて確認すればよい。例えば、ネコEPO産生は以下のようにして確認する。
分子量は、例えば、ドデシル硫酸ナトリウムポリアクリルアミドゲル電気泳動(SDS−PAGE)を用いて測定する。後述の実施例で得られた細胞形質転換動物細胞により生産されたネコEPOは還元条件下、ドデシル硫酸ナトリウムポリアクリルアミドゲル電気泳動(SDS−PAGE)により決定すると、分子量が約30〜35kDである。
ネコEPOは、in vitroでヒトTF細胞による細胞増殖活性や赤血球前駆細胞の細胞増殖活性により生理活性が主に特性化される。したがって、ヒトTF細胞による細胞増殖活性や赤血球前駆細胞の細胞増殖活性を測定することにより、ネコEPOの比活性を評価する。
本発明によるネコEPOの比活性とは、ネコEPOタンパク質1mgあたりの生理活性の強さを意味する。比活性はタンパク質の精製が進むに従って増大するために純度の指標ともなりうる。ネコEPOの比活性は、以下のように算出することができる。すなわち、ヒトEPO ELISA kit(R&D system社製)に添付の方法に従い、キット中のヒトEPO国際標準品をスタンダードとして用いて、溶液中のネコEPOの活性値(U/mL)を算出する。次に、ネコEPO溶液のタンパク定量をBCA protein assay(PIERCE社製)を用いて行い、タンパク濃度(mg/L)の算出を行う。得られた活性値(U/mL)をタンパク濃度(mg/L)で除した数値の商を比活性値とした。すなわち、比活性値は、溶液あたりのネコEPO活性値(U/mL)/溶液あたりのネコEPOタンパク濃度(mg/L)で表される。
(無血清培地への馴化と浮遊細胞化)
形質転換された動物細胞の無血清培地への馴化方法としては、公知の方法、例えば血清を含有する培地で継代した細胞を、市販の無血清培地等へ直接馴化させる方法や連続馴化させる方法(セルアンドティシューカルチャーラボラトリープロセジャー ジョン ウイリーアンド ソンズ)などが挙げられる。
好ましくは、上記形質変換された組換え動物細胞を無血清培地へ馴化させる。血清培地と、インスリン等のタンパク性の増殖因子と抗生物質とを含む培地とを作成する。形質変換された組換え動物細胞を、(1)血清培地、(2)血清培地とタンパク性の増殖因子と抗生物質とを含む培地との混合培地、(3)タンパク性の増殖因子と抗生物質とを含む培地の順で培養する。この培養により、生育してきた細胞を取得する。この培養により、形質変換された組換え動物細胞は、無血清培地へ馴化する。
上記無血清培地へ馴化する際に、攪拌手段を備えた小型の培養器を用いて培養をする。攪拌手段を備えた小型の培養器とは、例えば各種容量のスピナーフラスコ、テクネ・スピナーフラスコ、エルレンマイヤーフラスコおよびジャーファーメンターなどが用いられる。このように攪拌しながら培養することで、接着性の形質変換された組換え動物細胞を浮遊化することができる。
タンパク性の増殖因子としては、インスリン、トランスフェリン、インスリン様成長因子(IGF)、神経成長因子(NGF)、上皮増殖因子(EGF)などが挙げられる。培地に、これらの増殖因子を添加する場合の増殖因子の濃度は、インスリン0.2〜20μg/mL、トランスフェリン0.2〜20μg/mL、IGF 0.1〜10μg/mL、NGF 0.1〜10μg/mL、EGF 0.1〜10μg/mLである。但し、増殖因子の種類や濃度は、これらに限定されない。また、これらの増殖因子は細胞の増殖性に寄与するタンパク質である。これらの増殖因子の定量は、公知の方法によればよい。また、各増殖因子のELISAキットが市販されており、キットを使用して、濃度を定量してもよい。各増殖因子のELISAキットおよび検出限界の一例を以下に列記する。すなわち、インスリン:〜10ng/mL(森永株式会社製)、トランスフェリン:〜3.9ng/mL(コスモバイオ社製)、EGF:〜100ng/mL(フナコシ株式会社製)、IGF:〜0.09ng/mL(コスモバイオ社製)。
浮遊攪拌および無血清培地に細胞を馴化するための培養方法自体は、公知の方法に従えばよい。通常、約30〜40℃、攪拌回転数20〜100rpmで約3日〜7日毎に継代を繰り返して行い、必要に応じてpH調節や通気を行う。具体的には、通常種細胞濃度5×10〜1×10cells/mLで培養を開始し、細胞濃度が、1×10〜2×10cells/mLに達すると、境内を行う。これらの馴化に要する全期間は約1ヵ月〜5ヵ月である。上記のようにして得られた馴化細胞株より高産生クローンを選択して用いる。高産生クローン選択のためのクローニングの方法は公知であり、例えばコロニー分離法、限界希釈法、マイクロウェル法(日本生化学会編・新生化学実験講座18、細胞培養技術第12〜13頁(1990)、東京化学同人)などが挙げられる。また、例えば限界希釈法などを用いる高産生クローンの選択を繰り返す、培地中の選択薬剤(MTXなど)の濃度を徐々に上げながら継代し、選択薬剤耐性にすることにより、生理活性ペプチドの構造遺伝子を増幅させる、あるいはこれらを組み合わせることにより、株レベルでの生産性を向上させるとよい。
(無タンパク培地への馴化)
次に、無血清培地への馴化した動物細胞を、無タンパク培地へ馴化させる。具体的には、タンパク性の増殖因子と抗生物質とを含む培地と、抗生物質とポリリン酸とを含む無タンパク培地(以下に記載する「タンパク性の増殖因子を添加していない培地」のことをいう。以下に、「無タンパク培地」または「ポリリン酸を含む培地」ということもある。)とを作成する。無血清培地への馴化した形質変換された組換え動物細胞を、(1)タンパク性の増殖因子と抗生物質とを含む培地、(2)タンパク性の増殖因子と抗生物質とを含む培地と抗生物質とポリリン酸とを含む培地との混合培地、(3)抗生物質とポリリン酸とを含む培地の順で培養する。この培養により、形質変換された組換え動物細胞は、無タンパク培地へ馴化する。
タンパク性の増殖因子を添加していない培地とは、血清およびインスリンなどのタンパク性の増殖因子を添加していない培地である。基本培地に、ポリリン酸を含有させた培地である。本発明の動物細胞用培地は血清を含まないので、未知ウイルスやプリオンなどの混入のおそれがない。また、本発明の動物細胞用培地はタンパク性の増殖因子を添加していないので、培養物からの生理活性ペプチドまたはタンパク質の分離精製が極めて容易になる。
基本培地としては、一般的に用いられる基礎培地が挙げられる。一般的に用いられる基礎培地とは、通常動物細胞が同化しうる炭素源、消化しうる窒素源および無機塩などを含有させたものをいう。また、必要に応じて、微量栄養促進物質、前駆物質などの微量有効物質を配合してもよい。このような基礎培地としては、細胞培養のための全ての公知培地を使用することができる。具体的には、HamF10培地、HamF12培地、ダルベッコ改変MEM(DMEM)培地、RPMI(Roswell Park Memorial Institute)−1640培地、MEM−α培地、CD(Chemically Defined)−CHO培地などのケミカリー・ディファインド培地、およびこれらの混合培地が挙げられる。動物細胞培養培地として用いる場合には、グルタミン0.5〜5mM、抗生物質(ペニシリン(100U/mL)、ストレプトマイシン(100μg/mL)、G418(0.3mg/mL))などを添加してもよい。
基本培地に添加するポリリン酸としては、オルトリン酸が脱水縮合して得られる直鎖縮合ポリリン酸が挙げられる。特に、一般式P(3n+1)(n+2)で、2個以上のPO四面体が頂点の酸素原子を共有して直鎖状になった直鎖縮合ポリリン酸が好ましい。nは、通常15〜2000である。また、ポリリン酸の水酸基の水素が金属と置換した分子構造を持つポリリン酸塩であってもよい。金属としてはナトリウム、カリウムが挙げられる。
なお、この無タンパク培地への馴化の方法を、無血清培地で増殖可能な公知の組換え動物細胞に適用して、無タンパク培地への馴化させることとしてもよい。
(無タンパク培地馴化細胞のスクリーニング)
上記操作により、無タンパク培地への馴化した組換え動物細胞を、ポリリン酸を含む培地中で継代培養する。この操作により、増殖性のある細胞を選択することで、タンパク性の増殖因子を添加していない培地で好適に増殖できるクローンを得ることができる。クローンの取得方法は、上記と同様である。
さらに、タンパク性の増殖因子を添加していない培地で好適に増殖できるクローンから、所望の生理活性ペプチドまたはタンパク質を効率よく生産できるクローンを選択することにより、より効率的に生理活性ペプチドまたはタンパク質を製造することができる。形質変換された組換え動物細胞を浮遊化することができる。
動物細胞の培養には、種々の培養ビン、ディッシュ、ローラーボトル、スピナーフラスコ、ジャーファーメンターなどを用いることができる。通常種細胞濃度5×10〜1×10cells/mLとし、培養温度30〜40℃で、2〜10日間培養を行うと、各細胞濃度に応じ、所望の生理活性ペプチドまたはタンパク質が主に細胞外に分泌される。
上記のようにして得られた所望の生理活性生理活性ペプチドまたはタンパク質の高産生株を用いて、目的の生理活性ペプチドを大量に生産するべく無血清培地で大量培養を実施する。この時の培養装置としては、通気手段、攪拌手段、温度調節手段、pH制御ならびに溶存酸素(DO)制御手段など培養に必要な部材が必要に応じて具備された公知の浮遊攪拌培養槽(日本生化学会編・新生化学実験講座1、タンパク質VI合成および発現282頁、286頁(1992)、東京化学同人;日本生化学会編・新生化学実験講座18、細胞培養技術第313〜323頁(1990)、東京化学同人)が用いられる。またエアーリフト式培養槽(J.R.Birchら,トレンズ イン バイオテクノロジー(Trends in Biotechnol.)第3巻,162頁(1985)も用いられる。培養法としては、バッチ培養,フィード培養(フェッド・バッチ培養),灌流培養などが挙げられる。これらのうち、フィード培養は、新鮮な培地を間欠的に供給し、細胞の増殖および組換えタンパクの生産を向上させることができる点で好ましい。フィード培養の場合の新鮮培地の供給は、通常、対数増殖期から静止期までの期間において、培養開始後約2〜10日目、好ましくは約3〜7日目から行われることが好ましい。また、灌流培養は、新鮮な培地を連続的にまたは間欠的に供給し、同量の培養上清液を連続的にまたは間欠的に排出することにより、細胞を生存状態で高密度に保ちつつ長期間維持することが可能である点で好ましい。また、フィード培養は、コンタミネーションの危険が低いことから、特にGMP管理下の製造設備が求められる医薬品製造において有用である。
本発明の生理活性ペプチドまたはタンパク質製造方法では、タンパク性の増殖因子を添加していない培地で所望の生理活性ペプチドまたはタンパク質を製造する。このため、所望の生理活性ペプチドまたはタンパク質の分離・精製が容易である。具体的には、公知の分離、精製法を適切に組み合わせて実施すればよい。これらの公知の分離、精製法としては、塩析、硫安沈殿および溶媒沈殿法などの溶解度の差を利用する法、透析法、限外ろ過法、およびSDS−ポリアクリルアミドゲル電気泳動法などの主として分子量の差を利用する方法、イオン交換クロマトグラフィーなどの荷電の差を利用する方法、アフィニティークロマトグラフィーなどの特異的新和性を利用する方法、例えば抗体カラムおよびCu2+カラムなどのメタルキレートカラム、逆相高速液体クロマトグラフィー(HPLC)などの疎水性の差を利用する方法、等電点電気泳動法などの等電点の差を利用する方法などが挙げられる。
本発明の生理活性ペプチドまたはタンパク質の製造方法において、上記のようにして動物細胞を培養して培養上清中に得られた生理活性ペプチドまたはタンパク質は、銅キレート担体を用いて好ましく精製される。
銅キレート担体は、銅キレートを形成するのに適当なリガンドが結合されているセファロースなどの担体に銅イオンを接触させて調製された、銅イオンをキレート結合させた担体である。タンパク質を構成するアミノ酸は、キレート形成している銅イオンと複合体を形成するため、銅キレート担体にタンパク質を接触させることにより担体に吸着する。しかし、この担体への吸着はpHに依存する。またキレート形成するアミノ酸(主にヒスチジン、システイン)が糖鎖などでマスクされると銅キレート担体に結合しない場合もある。この性質を利用し、所望の生理活性ペプチドまたはタンパク質を含む動物細胞の培養液や精製された溶液中の不純物すべてを銅キレートに吸着させる。これにより、特別な塩溶液を通液することなく、所望の生理活性ペプチドまたはタンパク質の高純度化が可能になる。逆に、予め所望の生理活性ペプチドまたはタンパク質のみを銅キレートに吸着させ、塩の使用により、イオン強度を上げることで、溶出させ高純度化することも可能である。
本発明において生理活性ペプチドまたはタンパク質の精製に使用される銅キレート担体としては、アガロース、セルロース、セファロース、合成ポリマーゲルなどに、銅キレートを形成するリガンド、例えばイミノジ酢酸などを親水性のスペーサーを介して、導入したものが挙げられる。好ましくは、イミノジ酢酸を導入したハイトラップキレーティング(GE社製)やキレーティングセファロースファーストフロー(GE社製)などが用いられる。
銅キレート担体は、例えば次のようにして作製することができる。まず、上述した担体を精製水で予め平衡化しておき、0.1M硫酸銅水溶液を通液させる。その後に再度精製水を通液して余分な銅を除去し、精製に使用する平衡化緩衝液を通液する。以上のようにして作製した銅キレート担体を、本発明の生理活性ペプチドまたはタンパク質の精製に用いることができる。
本発明の製造方法では、生理活性ペプチドまたはタンパク質を含む溶液(培養上清)を銅キレート担体に接触させ、生理活性ペプチドまたはタンパク質はフロースルー画分で回収する方法が好ましく採用される。
銅キレート担体を用いた精製操作における、溶出剤の組成、液量などは特に限定されるものではなく、最適な分離条件は存在する夾雑タンパク質、生理活性ペプチドまたはタンパク質各成分の量、およびカラムの寸法などに応じて適宜決定される。好ましくは、次の条件を適用することができる。すなわち、20〜100mLの銅キレート担体を用い、これを100〜500mLの10mM Tris緩衝液で平衡化する。次に、生理活性ペプチドまたはタンパク質を含む溶液を通液した後、再度40〜125mLの10mM Tris緩衝液を通液することで、生理活性ペプチドまたはタンパク質を精製することができる。
本発明の生理活性ペプチドまたはタンパク質の製造方法においては、銅キレート担体を用いる精製工程に加えて、陰イオン交換担体(アニオン交換担体)を用いる精製工程を組み合わせることで、目的の生理活性タンパク質またはペプチドをさらに高純度化することが可能になる。
陰イオン交換担体としては、アガロース、セルロース、セファロース、合成ポリマーゲルなどに、親水性のスペーサーを介して、化学的に安定なエーテル結合によってジエチルアミノエチル基やクオータナリーアンモニウム基を導入したものが挙げられる。好ましくは、ジエチルアミノエチル基を有する陰イオン(アニオン)交換担体、例えばDEAEセファロース(登録商標)(GE社製)などが用いられる。本発明の方法では、生理活性ペプチドまたはタンパク質を含む溶液を陰イオン交換担体であるDEAEセファロースに接触させ、担体への吸着物を溶出剤で溶出させる方法が好ましく採用される。
陰イオン交換担体としてDEAEセファロースを用いた精製は、例えば次のように行う。まずpHを下げて生理活性ペプチドまたはタンパク質の等電点に近づけることで不純物を効果的に除去する。次にイオン強度を上げること、すなわち塩などの溶出剤による溶出を行うことで、純度の高いネコエリスロポエチンなどの所望の生理活性ペプチドまたはタンパク質を含む画分を溶出させる。溶出剤としては、例えば塩化ナトリウムや塩化カルシウムなどが挙げられる。目的の生理活性ペプチドまたはタンパク質の溶出は、溶出剤の濃度に依存し、溶出剤の濃度を変化させることにより、DEAEセファロースに吸着したタンパク質を個々に分離・分画することができる。
陰イオン交換担体を用いた精製操作における、溶出剤の組成、液量などは特に限定されるものではなく、最適な分離条件は存在する夾雑タンパク質、生理活性ペプチドまたはタンパク質の量、およびカラムの寸法などに応じて適宜決定される。好ましくは、次の条件を適用することができる。すなわち、5mL〜20mLのDEAEセファロースを用い、これを50mL〜200mLの10mM Tris緩衝液で平衡化する。次に、生理活性ペプチドまたはタンパク質を含む溶液を通液し、再度50mL〜200mLの10mM Tris緩衝液で平衡化する。次に、0.5M NaClを含む10mM Tris緩衝液を溶出剤として、塩濃度を段階的に上げて担体に吸着した生理活性ペプチドまたはタンパク質を溶出させる。溶出剤は、Tris緩衝液20mL〜100mLを通液する
また、陰イオン交換担体による精製は、銅キレート担体による精製工程の後に実施しても、前に実施してもよいが、銅キレート担体による精製工程の後に実施することが好ましい。
上記の銅キレート担体を用いて精製する工程、陰イオン交換担体を用いて精製する工程を含め、本発明の生理活性ペプチドまたはタンパク質を精製する工程においては、生理活性ペプチドまたはタンパク質を含む溶液(培養上清)やカラムクロマトで使用する溶出液に、界面活性剤を添加してもよい。界面活性剤としては、ラウロイルザルコシン酸ナトリウム等のイオン系界面活性剤又はHCO60、Tween80等の非イオン系界面活性剤が挙げられる。これらの中でもTween80等の非イオン系界面活性剤が好ましい。また、界面活性剤の添加量としては、生理活性ペプチドまたはタンパク質上清液中又は溶出液中に0.005重量%〜1重量%の範囲とすることが可能である。具体的には、界面活性剤としてTween80を用い、添加量0.01重量%の濃度とすることが好ましい。
本発明の生理活性ペプチド又はタンパク質の製造方法においては、さらにタンデンシャルウルトラフィルトレーションの工程を加えてもよい。これにより目的の生理活性ペプチドまたはタンパク質のさらなる高純度化が可能になる。タンデンシャルウルトラフィルトレーションは、主に限外ろか膜(UF膜)を用いたタンパク質の濃縮やバッファー交換を行う工程を意味する。この工程において、膜表面に対し溶液を平行に流すことによってファルリング(膜の目詰まり)を抑制し、安定で短時間での濾過工程を可能にする。UF膜としては、材質がポリエーテルスルホンや再生セルロースなどの膜を用いることができる。また、UF膜の分子量サイズは、目的となるタンパク質の分子量サイズに合わせて選択することができ、本発明によって好ましく製造されるネコエリスロポエチンの場合は1000−100000が好ましい。UF膜としては、具体的にはYM−10(ミリポア社製)などが好ましいものとして挙げられる。
本発明において、精製された生理活性ペプチドまたはタンパク質の純度の確認は、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)により行うことができる。例えば、精製により得られたネコEPOを含む溶液10〜100μgをHPLCに導入したとき、得られた検量線から全てのピークの面積値における生理活性ペプチドまたはタンパク質以外の不純物のピーク面積値の割合を算出し、純度100%から不純物の割合を差し引いた値を生理活性ペプチドまたはタンパク質の純度とすることができる。
以下本発明を詳細に説明するため実施例を挙げるが、本発明は実施例に限定されるものではない。なお、後述の実施例で得られた動物細胞は、独立行政法人 産業技術総合研究所 特許生物寄託センター に、FERM ABP−11017、FERM ABP−11018として寄託されている(寄託日:平成20年(2008年)9月16日)。
(実施例1) 組換えネコEPO生産CHO細胞株の取得
(1)CHO細胞へのネコEPO遺伝子およびマウスdhfr遺伝子のトランスフェクション
ネコEPO遺伝子(配列番号1)およびマウスdhfr遺伝子(配列番号2)をそれぞれ含む発現用遺伝子ベクターDNAをそれぞれ100μg,10μgを調製し、CHO/dhfr細胞1×10cells/750μL DMEM/F12培地を調製したものと混合した。室温で30分静置し、エレクトロポレーション装置(バイオラッド社製)に設置し、330μF,400Vで通電した。5分間静置後、氷上でさらに10分静置し、10%FBS、ヒポキサンチン、チミジンを含むIMDM培地(インビトロジェン社製)10ccに懸濁し、10cmシャーレに撒いた。37℃、5%CO条件下2日間培養し、細胞を遠心操作により回収し、10%FBS、0.3mg/mLG−418を含むIMDM培地(インビトロジェン社製)10ccに懸濁し、100μL/wellの割合で96穴プレートに処理した。3日毎に10%FBS、0.3mg/mL G−418を含むIMDM培地で交換し、15日間培養を行った。15日後、顕微鏡観察を行い、生存している細胞を選択し、コロニー単離を行った。

配列番号1:
atggggtcgt gcgaatgtcc tgccctgctg cttctgctat ctttgctgct gcttcccctg
ggcctcccag tcctgggcgc cccccctcgc ctcatctgtg acagccgagt cctggagagg
tacattctgg gggccaggga ggccgaaaat gtcacgatgg gctgtgctga aggctgcagc
ttcagtgaga atatcactgt cccagacacc aaggtcaact tctatacctg gaagaggatg
gacgtcgggc agcaggctgt ggaagtctgg cagggcctcg ccctgctctc agaagccatc
ctgcggggcc aggccctgct ggccaactcc tcccagccat ctgagaccct gcagctgcag
tggataaagc cgtcagcagc ctgcgcagcc tcacctccct gcttcgggca ctgggagccc
agaaggaagc cacctccctt ccagaggcaa cctctgctgc tccactccga acattcactg
tcgatacttt gtgcaaactt ttccgaatct actccaactt cctgcgggga aagctgacgc
tgtacacagg ggaggcctgc cgaagaggag acaggtga

配列番号2:
atgaagctga ccgccctgca gctgctgctg tggcacagcg cactctggat ggtgcaagaa
gccgcccccc tgggccctac cggccccctg ccccagagct tcctgctcaa gtgcctagag
caaatgagga aggtccaggc tgatggcacg gcgctgcagg agacgctgtg tgccacccac
cagctgtgcc atcctgagga gttggtgctg ctcgggcacg ctctgggcat cccccagcct
cccctgagca gctgctccag ccaggccctg cagctgatgg gctgcctgcg tcaactccac
agcggcctct tcctctacca gggcctcctg caggccctgg cagggatatc ccccgagtta
gcgcccacct tggacacact gcagctggac accaccgact ttgccatcaa catctggcag
cagatggaag atctaggaat ggcccccgcc gtgccaccta cccagggcac catgccagcc
ttcacctcgg ccttccagcg ccgggcagga ggtgtcctgg tggcctccaa cctgcagagc
(2)メトトレキセートによる遺伝子増幅
上記(1)で得られたクローンを10%FBS、0.3mg/mLG−418を含むIMDM培地(インビトロジェン社製)で増殖させ、2×10cells/10cc/10cmシャーレを準備し、最終濃度5nM メトトレキセート(MTX)を添加した。3日毎に5nM MTXを含む上記培地と交換し、10−15日間培養を継続し、細胞が生存していてコロニーを形成しているものについて、細胞を回収し、2×10cells/10cc/10cmシャーレを準備し、最終濃度50nM メトトレキセート(MTX)を添加した。同様の方法で、500nM MTXまで処理を行い、細胞の生存が確認できる2クローンを選別した。
ここで作製したネコEPOをコードするDNA及びマウスdhfrをコードするDNAを含む組換えCHO細胞を、それぞれ「rFeEPO/CHO1」および「rFeEPO/CHO2」とした。
これらの細胞は、10%FBS存在下生育可能な血清要求性の細胞であり、接着性を有する細胞である。
(3)ネコEPOの活性測定
上記(2)の培養上清中に生産されたネコEPOの活性測定は、ヒトEPOの活性測定法を適応し、TF−1細胞(ATCCより入手)を用いて以下のようにして行った。
TF−1細胞をRPMI1640/10%FBS培地に懸濁し、2×10cells/mLに調製し、96穴マイクロプレートに100μL添加した。さらに標準品として、ヒトEPOの10U、5U、1U、0.5U、0.1U、0Uをそれぞれ10μL、上記(2)で得られた培養液の原液、10倍希釈液、100倍希釈液、1000倍希釈液それぞれを10μL添加し、5%CO2、37℃条件下、24時間培養し、cell counting kit−8を用いて細胞増殖の程度を測定した。すなわち、kitのWST−8を各穴10μLずつ添加し、1時間培養後、ELISA Plate reader(アマシャム社製)により吸光度A450を測定した。
標準品として用いたヒトEPOの各添加量(10U、5U、1U、0.5U、0.1U、0U)における吸光度A450をプロットしたグラフを検量用に用いて、上記(2)で得られた培養液の×1000、×100希釈液の吸光度から、ネコEPO含有量を定量した。その結果、上記(2)で得られた培養液中のネコEPOの含有量は、いずれも1500〜2000U/mLであった。また、濃度依存的なTF−1細胞の増殖が確認できた。すなわち、ネコEPOの活性が確認できた。
(4)ネコEPOの検出
上記(2)で得られた培養上清中のネコEPOをウエスタンブロッティング法によって検出した。培養上清をアトー(株)製のパジェル中、SDS−PAGEに供した。その後、アトー(株)製のクリアブロットメンブランに常法に従ってブロッティング後、メンブランを、抗ヒトEPOポリクローナル抗体を含むウサギ血清を含むブロックエース(大日本製薬(株)製)溶液に6時間反応させた。その後、0.02%Tween20を含むPBSにて3回洗浄し、さらにペルオキシダーゼ標識ヤギ抗ウサギIgG(バイオラット(株)製)を含むブロックエース溶液に6時間反応させ、同様に洗浄した後、コニカ(株)製のコニカイムノステインHRP1000にて発色を行った。その結果、rFeEPO/CHO1およびrFeEPO/CHO2ともに約30〜35kDのバンドを検出した。ヒトEPO ELISA kit(R & D system社製)を用いて、培養液中のネコEPOの定量を行った。その結果、ネコEPOの生産速度は800〜1200U/10cells/48hであった。ネコEPOの推定分子量がおよそ30〜35kDaであり、ヒトEPO ELISA kitによる測定の結果、EPOの定量が可能であったことから、上記(2)の培養上清中にネコEPOが発現したものと考えられた。
(実施例2)無血清培地への馴化
上記実施例1の(2)で得られた動物細胞形質転換体(rFeEPO/CHO1、rFeEPO/CHO2)を用いて、無血清培地への馴化を行った。無血清培地として、20ug/mLインスリンおよび抗生物質としてペニシリン(100U/mL)、ストレプトマイシン(100μg/mL)を添加したDMEM/F12(インビトロジェン社製)を準備した。上記(2)の10%FBSを含むIMDM培地(血清培地とする)で継代した細胞を用いて以下の方法で馴化した。無血清培地:血清培地=0:100(培地A),50:50(培地B),100:0(培地C)の混合液をそれぞれ用意し、細胞接種時に細胞密度5×10cells/mLとなるように調製し、250mL三角フラスコによる浮遊撹拌培養を行った。まず培地Aで37℃、5%CO存在下、100rpmでの撹拌条件で細胞培養を行った。継代を4−6回行い、次に培地Bで37℃、5%CO存在下、100rpmでの撹拌条件で細胞培養を行った。継代を4−6回行い、次に培地Cで37℃、5%CO存在下、100rpmでの撹拌条件で細胞培養を行い、継代を4−6回実施した。得られた各細胞をそれぞれ「rFeEPO/CHO1’」および「rFeEPO/CHO2’」とした。これらの細胞は、20ug/mLインスリン存在下生育可能なインスリン要求性の細胞であり、浮遊性細胞である。
(実施例3) 無タンパク培地への馴化
実施例2で得られた無血清培地馴化動物細胞形質転換体(rFeEPO/CHO1’、rFeEPO/CHO2’)を用いて、無タンパク培地への馴化を行った。無タンパク培地として、抗生物質としてペニシリン(10U/mL)、ストレプトマイシン(10μg/mL)を添加したDMEM/F12(インビトロジェン社製)を準備した。実施例2の20ug/mLインスリン、抗生物質としてペニシリン(100U/mL)、ストレプトマイシン(100μg/mL)を添加したDMEM/F12(インビトロジェン社製)(無血清培地)で馴化した細胞を用いて以下の方法で馴化した。無タンパク培地:無血清培地=0:100(培地A),50:50(培地B),100:0(培地C)の混合液をそれぞれ用意し、細胞接種時に細胞密度5×10cells/mLとなるように調製し、250mL三角フラスコによる浮遊撹拌培養を行った。まず培地Aで37℃、5%CO存在下、100rpmでの撹拌条件で細胞培養を行った。継代を4−6回行い、次に培地Bで37℃、5%CO存在下、100rpmでの撹拌条件で細胞培養を行った。継代を4−6回行い、次に培地Cで37℃、5%CO存在下、100rpmでの撹拌条件で細胞培養を行い、継代を4−6回実施した。得られた各細胞をそれぞれ「rFeEPO/CHO1’’」および「rFeEPO/CHO2’’」とした。
(実施例4) 無タンパク培地馴化細胞のスクリーニング
実施例3で得られた無タンパク培地馴化動物細胞形質転換体(rFeEPO/CHO1’’)を用いて、スクリーニングによる単クローンの取得を行った。すなわち無タンパク培地であるDMEM/F12(インビトロジェン社製)に0.1mMポリリン酸の培地を調製し、96穴プレートを用いて1ウエル当たり1cells入るように細胞培養液を調製した。1ウエル辺り細胞培養液が100μL入るように96穴プレートに処理した。2週間37℃、5%CO存在下培養し、死滅せず、増殖性のある細胞を選択した結果、2つのクローンを得た(2クローンをそれぞれE1C2クローン1,E1C2クローン2とする)。
(実施例5) 無タンパク馴化細胞を用いたポリリン酸の効果
無タンパク馴化細胞(E1C2クローン1,E1C2クローン2)を用いて、培地中にポリリン酸を添加した場合の各クローンの細胞増殖性およびネコEPO生産性を検討した。培地条件は表1に示す通りである。
Figure 2009090787
無タンパク培地馴化細胞を培地No1、2でそれぞれ1×10cells/mLに調製し、12穴プレート1ウエルあたり培地が、1mLになるように処置し、37℃、5%CO存在下培養した。培養を6日間継続し、各ウエルの細胞数の計測および培養6日目の培養上清を回収しネコEPO生産性を比較した。ネコEPO生産性については実施例1(3)に従って行った。細胞増殖の結果を図1、2に示す。図1、2は、本発明の無タンパク培地馴化細胞(E1C2クローン1、E1C2クローン1)を培地No1、2で培養した場合の細胞濃度を示すグラフである。図1、2において、横軸は培養日数(日)を、縦軸は培地中の細胞濃度(10cells/mL)を示す。
図1、2から、細胞増殖性はポリリン酸を添加しても問題がないことがわかる。また、ネコEPO生産性は、培養6日目においてコントロールである培地No.1で約1.0μg/10cellsであり、ポリリン酸を添加した場合(培地No.2)の生産量は約1.5/10cellsと、培地No.2のほうが、培地No.1に比較してと約1.5倍高かった。
(実施例6) ミニジャーファーメンターによる組換えネコEPO生産無タンパク馴化細胞の培養
75cmフラスコ(コーニング社製)を用いて、細胞接種濃度2×10cells/mLとなるよう培地(培地No.2:20mL)で調製し、3日間37℃5%CO存在下細胞培養を行った。次に、250mL三角フラスコ(コーニング社製)を用いて、細胞接種濃度2×10cells/mLとなるよう培地(培地No.2:50〜100mL)で調製し、3日間100rpm,37℃、5%CO2、存在下細胞培養を行った。次に、前培養液を遠心操作(2000rpm,10min)により細胞ペレットにし、最終濃度が4×10cells/mLになるように培地(培地No.2)で懸濁し、ミニジャーファーメンターへ植え継ぎ、37℃、125rpm、40%DO、pH7.5の条件で培養を開始した(ABLE社製250mLスケール動物細胞培養用ミニジャーファーメンター)。培養7日目に、培養上清を回収した。
(実施例7) CHO細胞生産ネコEPOの精製
1.限外濾過法による濃縮・バッファー交換
実施例6で得られたネコEPOを含む細胞培養上清を、限外ろ過装置(ミリポア社製)により、分子量10000以下の物質の除去およびTween80を含む10mM Tris緩衝液(pH7)にバッファー置換を行い、30倍濃縮を行った。限外ろかに使用した膜は、YM10(ミリポア社製、分子量10000カット)を使用した。
2.銅キレートカラムクロマトグラフィー
次に、銅イオンをキレート結合させた銅キレーティングセファロースファーストフロー(GE社製)を予めTween80を含む10mM Tris緩衝液(pH5)で平衡化させた後、通液した。さらにTween80を含む10mM Tris−AcOH緩衝液(pH5)でカラムに通液したところ、ネコEPO以外の高分子量不純物が除去され、これらのフロースルーを回収した。
3.陰イオン交換カラムクロマトグラフィー
次に、上記2のフロースルーを、Tween80を含む10mM Tris緩衝液(pH7)で平衡化した陰イオン(アニオン)交換担体であるDEAEセファロース(GE社製)を用意し、濃縮したネコEPOを含む溶液を導入した。十分にカラムの洗浄を行った後、Tween80を含む10mM Tris−AcOH(酢酸)緩衝液(pH6)、Tween80を含む10mM Tris−AcOH緩衝液(pH5)を通液し、カラム内のpHを低下させて不純物を除去した。次に、通過液のpHが5に達したところで、50mM NaCl/10mM Tris−AcOH(pH5)/0.01% Tween80、100mM NaCl/10mM Tris−AcOH(pH5)/0.01% Tween80、200mM NaCl/10mM Tris−HCl(pH5)/0.01%Tween80、500mM NaCl/10mM Tris−AcOH(pH5)/0.01% Tween80で段階的に溶出させ、200mM NaCl/10mM Tris−AcOH(pH5)/0.01% Tween80の画分を次のゲル濾過に供した。
4.ゲル濾過
最後に、上記3の精製フラクションを、セファクリルS−200(GE社製)のカラムに導入し脱塩操作を行った。このカラムは、pH6.8〜7.0の20mM クエン酸ナトリウム/150mM 塩化ナトリウム/0.01% Tween80で展開した。
5.得られたネコEPOの純度、精製収率および比活性
上記1〜4の操作の結果得られたネコEPOサンプルをSDS−PAGEを行い、図1のレーン5に示すように銀染色によるゲル染色において、ネコEPOの単一化を確認した。また、イメージアナライザー(Bio−Rad社製)により染色したゲルを用いた純度検定を行った結果、90%の純度を確認することができた。さらに、得られたネコEPOサンプルをC4樹脂カラム(VYDAC社製)に供した。測定条件は、流速1mL/minで通液し、0〜80体積%エタノール/10mM Tris−HCl(pH7)のグラジエント溶出を行い、230nmのUV吸光度測定を行った。その結果、リテンションタイム50−60min、約66−80体積%エタノールの画分に溶出が見られ、得られたネコEPOの純度は約90%であった。
さらに、上記1〜4の操作の結果得られたネコEPOの最終的な精製収率をヒトEPO ELISA kitによる測定した結果、35−50%であった。また、ゲル濾過精製溶液のタンパク定量をBCA protein assay(PIERCE社製)を用いて定量した結果、比活性は約100000U/mgであった。また、エンドトキシン含量は0.9ng/mg蛋白量であった。
(実施例8) ネコEPOの活性測定
実施例7で製造されたネコEPOの活性測定は、ヒトEPOの活性測定法を適応し、TF−1細胞(ATCCより入手)を用いて以下のようにして行った。
TF−1細胞をRPMI1640/10%FBS培地に懸濁し、2×10cells/mLに調製し、96穴microplateに100μL添加した。さらに標準品として、ヒトEPOの10U、5U、1U、0.5U、0.1U、0Uをそれぞれ10μL、実施例7で得られたネコEPO精製サンプルの原液、10倍希釈液、100倍希釈液、1000倍希釈液それぞれを10μL添加し、5%CO、37℃条件下、24時間培養し、cell counting kit−8を用いて細胞増殖の程度を測定した。すなわち、kitのWST−8を各穴10μLずつ添加し、1時間培養後、ELISA Plate reader(アマシャム社製)により吸光度A450を測定した。
標準品として用いたヒトEPOの各添加量(10U、5U、1U、0.5U、0.1U、0U)における吸光度A450をプロットしたグラフを検量用に用いて、実施例3または4で得られたネコEPO精製液×1000、×100希釈液の吸光度から、各ネコEPO精製液中のネコEPO含有量を定量した。その結果、実施例7で得られたネコEPO精製液中のネコEPOの含有量は、いずれも2000〜3000U/mLであった。また、濃度依存的なTF−1細胞の増殖が確認できた。すなわち、ネコEPOの活性が確認できた。
(比較例1) 血清要求性細胞「rFeEPO/CHO1」およびインスリン要求性細胞「rFeEPO/CHO1’」の細胞増殖性およびネコEPO生産性
実施例1で得られた血清要求性細胞(rFeEPO/CHO1)および実施例2で得られたインスリン要求性細胞(rFeEPO/CHO1’)を用いて、各クローンの細胞増殖性およびネコEPO生産性を検討した。培地条件は表2に示す通りである。
Figure 2009090787
各細胞を各培地条件でそれぞれ1×10cells/mLに調製し、12穴プレート1ウエルあたり培地が1mLになるように処置し、37℃、5%CO存在下培養した。培養を6日間継続し、各ウエルの細胞数の計測および培養6日目の培養上清を回収しネコEPO生産性を比較した。ネコEPO生産性については実施例1(3)に従って行った。細胞増殖の結果を図3に示す。図3において、横軸は培養日数(日)を、縦軸は培地中の細胞濃度(10cells/mL)を示す。
図3から、血清培地中の血清要求性細胞(rFeEPO/CHO1)およびインスリン添加培地中のインスリン要求性細胞(rFeEPO/CHO1’)は、上記実施例5の本発明の無タンパク培地馴化細胞と同等以上に、細胞増殖性が認められることがわかる。
一方、ネコEPO生産性は、血清要求性細胞(rFeEPO/CHO1)を血清培地で培養した場合およびインスリン要求性細胞(rFeEPO/CHO1’)をインスリン存在下で培養した場合は約1μg/10cellsであった。インスリン要求性細胞(rFeEPO/CHO1’)をインスリン非存在下で培養した場合は約0.7μg/10cellsであった。
このことから、本発明の無タンパク培地馴化細胞を、ポリリン酸を添加した培地で培養した場合は、ネコEPO生産性が高いことがわかる。
(比較例2) 無タンパク培地馴化細胞を用いたインスリンの効果
無タンパク馴化細胞(E1C2クローン1,E1C2クローン2)を用いて、DMEM培地中にインスリンを添加した場合の各クローンの細胞増殖性およびネコEPO生産性を検討した。培地条件は表3に示す通りである。
Figure 2009090787
無タンパク培地馴化細胞を培地No1、3でそれぞれ1×10cells/mLに調製し、12穴プレート1ウエルあたり1mLになるように処置し、37℃、5%CO存在下培養した。培養を6日間継続し、各ウエルの細胞数の計測および培養6日目の培養上清を回収しネコEPO生産性を比較した。ネコEPO生産性については実施例1(3)に従って行った。細胞増殖の結果を図4、5に示す。図4、5において、横軸は培養日数(日)を、縦軸は培地中の細胞濃度(10cells/mL)を示す。
図4、5から、無タンパク培地馴化細胞においては、DMEMにインスリンを加えても、細胞増殖性に大きな影響を与えないことがわかる。一方、ネコEPO生産性は培養6日目においてコントロールである培地No1で約1.0μg/10cellsであり、インスリンを添加した場合(培地No3)の生産量は培地No1と同等であった。すなわち、本発明の無タンパク培地馴化細胞では、タンパク製の増殖因子であるインスリンを添加しても、ネコEPO生産性は影響を与えないことがわかった。
以上から、本発明の遺伝子組換え動物細胞は、無タンパク培地における細胞増殖性は、タンパク製の増殖因子を必要とする遺伝子組換え動物細胞にくらべ、やや劣るが、生理活性ペプチドまたはタンパク質の生産性には、優れることがわかった。本発明の遺伝子組換え動物細胞を用いれば、所望の生理活性ペプチドまたはタンパク質を、安全に、効率よく生産できることがわかる。

Claims (12)

  1. 生理活性ペプチドまたはタンパク質をコードする遺伝子により形質変換させた組換え動物細胞であって、タンパク性の増殖因子を添加していない培地で増殖可能な組換え動物細胞を、タンパク性の増殖因子を添加していない培地で馴化する工程と、
    前記タンパク性の増殖因子を添加していない培地で馴化した細胞を、前記タンパク性の増殖因子を添加していない培地で増殖させる工程と、
    前記培地の培養上清から所望の生理活性ペプチドまたはタンパク質を回収する工程と
    を含む、生理活性ペプチドまたはタンパク質製造方法。
  2. 動物細胞を、生理活性ペプチドまたはタンパク質をコードする遺伝子により形質変換させて組換え動物細胞を作る工程と、
    前記組換え動物細胞を、タンパク性の増殖因子を添加していない培地で浮遊状態で増殖可能になるように馴化させる工程と、
    前記馴化した組換え動物細胞を、タンパク性の増殖因子を添加していない培地で増殖させる工程と、
    前記培地の培養上清から前記生理活性ペプチドまたはタンパク質を回収する工程と
    を含む、生理活性ペプチドまたはタンパク質製造方法。
  3. 前記タンパク性の増殖因子を添加していない培地は、ポリリン酸を含む、請求項1または2に記載の生理活性ペプチドまたはタンパク質製造方法。
  4. 前記ポリリン酸の濃度は、10nM〜10mMである、請求項3に記載の生理活性ペプチドまたはタンパク質製造方法。
  5. 前記生理活性ペプチドまたはタンパク質が、ネコエリスロポエチンである、請求項1から4のいずれかに記載の生理活性ペプチドまたはタンパク質製造方法。
  6. 前記動物細胞が、チャイニーズハムスター卵巣組織由来細胞である、請求項1に記載の生理活性ペプチドまたはタンパク質製造方法。
  7. 前記生理活性ペプチドまたはタンパク質を回収する工程は、前記培養上清を銅キレート担体に通過させる工程を含む、請求項1に記載の生理活性ペプチドまたはタンパク質製造方法。
  8. 前記生理活性ペプチドまたはタンパク質を回収する工程は、前記培養上清を銅キレート担体に通過させる工程と、前記培養上清に含まれる生理活性ペプチドまたはタンパク質を陰イオン交換担体に吸着させる工程とを含む、請求項1に記載の生理活性ペプチドまたはタンパク質製造方法。
  9. 生理活性ペプチドまたはタンパク質をコードする遺伝子により形質変換され、
    タンパク性の増殖因子を添加していない培地で浮遊状態で増殖可能になるように馴化されている、組換え動物細胞。
  10. 前記所望の生理活性ペプチドまたはタンパク質をコードする遺伝子が、配列番号1に記載のネコエリスロポエチン遺伝子である、請求項8に記載の組換え動物細胞。
  11. 前記動物細胞が、チャイニーズハムスター卵巣組織由来細胞である、請求項9または10に記載の組換え動物細胞。
  12. FERM ABP−11017、FERM ABP−11018として寄託されている、請求項9に記載の組換え動物細胞。

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