JPWO2009078201A1 - スピンバルブ素子の駆動方法及びスピンバルブ素子 - Google Patents

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Abstract

スピンバルブ素子に印加する外部磁場を弱くして、あるいは全く用いずに駆動してマイクロ波を発振させるために、一対の強磁性層の各層の保磁力が互いに異なっているスピンバルブ素子から電磁信号を得るスピンバルブ素子の駆動方法またはそのようなスピンバルブ素子。一対の強磁性層のうち保磁力の大きい強磁性層である固定層を、固定層の膜面にほぼ垂直になるような向きに磁化し、一対の強磁性層の一方から他方へ中間層を通過させて電流を流す。駆動の際、外部磁場の大きさの値とスピンバルブ素子に流す電流の値とからなる値の組を所定の条件を満たすようにする。あるいは、一対の強磁性層のうち保持力の小さい強磁性層であるフリー層の物性をこのような条件を実現し得るようなものとする。

Description

本発明は、トンネル磁気抵抗効果(TMR)または巨大磁気抵抗効果(GMR)を用いるスピンバルブ素子の駆動方法およびスピンバルブ素子に関し、特に、電流によって駆動することにより電磁信号を得る駆動方法及び素子に関する。
近年、ナノエレクトロニクスの進展に伴い、微小サイズの磁性材料固有の物理現象を応用した製品の開発が進められている。
それらのうちでも、特に、磁性材料の自由電子が持つスピンを利用するスピンエレクトロニクス分野が急速に発展している。
このスピンエレクトロニクス分野の中で、現在最も実用可能性が高いと見られているのは、強磁性層、絶縁層、強磁性層の積層構造において生じるトンネル磁気抵抗(TMR:Tunnel Magnetic Resistance)効果、または強磁性層、非磁性層(導電層)、強磁性層の積層構造において生じる巨大磁気抵抗(GMR:Giant Magnetic Resistance)効果を応用したスピンバルブ素子である。従来のスピンバルブ素子の構成例を図10および図11に示す。このうち図10にはTMRを利用したスピンバルブ素子の基本構成部分を示す。このスピンバルブ素子は、基板5の上に作製された、1層の絶縁層24と、該絶縁層を挟む一対の強磁性層23(固定層)および25(フリー層)と、電極層21、27とを有しており、必要に応じて、反強磁性層(ピン止め層)22、キャッピング層26などを含むものである。固定層23の磁化は反強磁性層22との磁気結合などにより固定されている。この素子に固定層23から電子を流すと、フリー層25のスピン(磁化または磁気モーメント)には固定層23と平行となろうとするようなトルクが働く。また、また逆にフリー層25から固定層23に向かって電子を流すと、フリー層25のスピンには固定層23とは反平行となろうとするようなトルクが働く。これらの作用により、フリー層25の磁化の方向を電流の向きにより制御することが可能となる。この効果はスピン注入磁化反転と呼ばれている。図10には、さらに絶縁層30を設けており、これにより素子の大きさを単一の磁区が得られるサイズに定めている。図11にはGMRを利用したスピンバルブ素子の基本構成部分を示す。この場合、図10のTMRを利用した素子との違いは絶縁層24が非磁性層51に置き換わっている点であり、それ以外の機能は基本的に同じである。これらの技術を用いることにより、磁気ランダムアクセスメモリ(MRAM:Magnetic Random Access Memory)を実現することが可能なため最も注目を浴びている。このMRAMは、従来のDRAM(Dynamic Random Access Memory)やSRAM(Synchronous DRAM)の代替として期待されている。
また、これらのスピンバルブ素子に電流と外部磁場を同時に印加すると、マイクロ波の発振が得られることが知られている(例えば、非特許文献1)。即ち、例えば電流の向きを、フリー層25の磁化には固定層23と反平行となるようなトルクが働く向きとし、外部磁場をフリー層25の磁化が固定層23と平行となるようにすると、両者のトルクが拮抗する条件において高周波数の電磁信号が得られる。
特に、固定層とフリー層の磁化方向が膜面に垂直な場合、即ち、フリー層材料の結晶異方性に起因した結晶異方性磁場、膜形状に依存した反磁場、外部磁場、及び注入スピンの総てがフリー層膜面に垂直である場合についての発振メカニズムは以下のようになる(非特許文献1)。
まず、対象の物理系の状態記述するために、ランダウ・リフシツ・ギルバートの方程式にスピン注入項を加えた以下の基本式を用いる。以下、mおよびHはいずれもベクトルである。
dm/dt=γm×Heff+αm×dm/dt+βST(θ)Im×(m×m) (14)
βST(θ)=g(θ)μ/(Ms×V×e) (15)
但し、mおよびmは、それぞれ、固定層およびフリー層の磁化の方向を示す単位ベクトル、γは磁気ジャイロ定数、Heffは有効磁場、αはギルバートのダンピング定数、Iは電流、θはベクトルmとmの角度、μはボーア磁子、Msはフリー層の飽和磁化、Vはフリー層の体積、eは電子電荷である。角度θ(mとmの角度)は、膜面をxy平面にとり膜面に垂直な方向をz方位とする極座標表示を行った場合には、z軸方向からの極角となる。また、2つのベクトルの間に明示された記号「×」はベクトルの外積をあらわす。式15においては、第3項がスピン注入(スピントランスファー)によるトルクへの寄与を表している。
定義より、θ=0は、固定層とフリー層の磁化が平行であることを示し、θ=πは両者が反平行であることを示す。また、g(θ)はθとスピン偏極度Pの関数で、下式で表される。
g(θ)=1/[−4+(P1/2+P−1/2(3+cosθ)/4] (for GMR) (16)
g(θ)=P/(1+Pcosθ) (for TMR) (17)
これらの式により、フリー層の有効磁場と注入スピンとがともに膜面に垂直である場合について、フリー層全体を一つのスピンによって近似して、電流と磁場の発振条件を求める。
式14を図12のように固定層の磁化の向きをz軸とし膜面をxy平面とするような極座標で表すと、
dm/dt=Tθθ+Tφφ (18)
φ=γ(Heff・eθ) (19)
θ=−αeffφ (20)
αeff=α−βST(θ)I(sin(θ)/γ(Heff・eθ)) (21)
を得る。また、TθとTφは、それぞれ、フリー層の磁化モーメントの他にベクトルmに作用するトルクの極角θと方位φの成分である。また、eθ、eφは、それぞれ、極角θと方位角φを互いに他を固定して増加させる際に動径ベクトルの先端が動く方向の単位ベクトルである。(・)は、ベクトルの内積を表す。有効磁場Heffは下式で表わされる。
eff=Hext+Hucosθ (22)
ここで、Hextは外部磁場、Huは1軸異方性磁場で結晶異方性磁場と反磁場の和であり、ともに膜面に垂直方向(図12のz軸方向)である。これにより、
θ=−αγHusinθcosθ−αγHextzsinθ+βST(θ)Isin(θ) (23)
を得る。ここで、Hu、Hextzは、それぞれ、ベクトルHu、Hextのz軸成分である。スピンバルブ素子が発振を起こす条件は、θ方向のトルクTθが下記の2つの式の条件を同時に満たすことである。
θ=0 (24)
dTθ/dθ<0 (25)
即ち、式24を満たすθ=θの周辺で式25が満たされれば、θ=θはエネルギーの極小点であり、フリー層のスピンはそこで安定した歳差運動をすることになる。
磁化の歳差運動から電磁信号を得る方法としては、例えば、フリー層(第1のフリー層)、絶縁層、固定層(第1の固定層)からなるスピンバルブ素子に、検出用のスピンバルブ素子を設ける手法が知られている。この検出用のスピンバルブ素子は、第1のフリー層に近接し、当該第1のフリー層に対して交換結合した面内磁化を有する強磁性層(第2のフリー層)と、絶縁層と、磁化が面内方向に固定された強磁性層(第2の固定層)とを互いに積層して有している。これにより、第1のフリー層での歳差運動によって回転する磁化が、第2のフリー層の磁化の回転を誘起し、その回転する磁化と第2の固定層の磁化との間の相対角度に起因して検出用のスピンバルブ層の磁気抵抗が周期的に変化するので、歳差運動の周期に相当した電磁信号が得られるものである。
鈴木義茂等、「スピン注入素子の高周波特性 -発振・ダイオード効果とマグネティックノイズ-」、まぐね、日本磁気学会、2007年、第2巻第6号, p282
前述のように、これらのスピンバルブ素子からマイクロ波の発振を得るには、直流電流と直流外部磁揚を同時にスピンバルブ素子に印加することが必要とされている。このうち、外部磁場を印加するには、コイルと鉄心を備えた電磁石や永久磁石などが必要となる。これらの磁石を用いるためには付随する部品も含めると、通常数10nmの寸法であるスピンバルブ素子本体に比較して容積の大きな部品が必要であり、その大きさは、印加する外部磁場が強くなるほど大きくする必要がある。さらに、電磁石などの電流を用いて磁場を発生させるためにはそのための電力が必要となるが、その電力を供給するための手段についても大きな容積を占めるとともに、消費電力を増大させ、発生させる磁場の強さに応じて大きなものが必要となる。このため、外部磁場として強い磁界を印加することや、外部磁場そのものを用いることそれ自体が、素子全体を小型化するためには大きな障害となっている。以上のように、外部磁場をできるだけ弱くし、あるいは全く用いずにスピンバルブ素子からマイクロ波の発振を得る駆動方法が求められている。
また、スピンバルブ素子の初期状態は素子作製時には特定出来ないという問題がある。例えば多数のスピンバルブ素子に一定のスピン注入電流を流した場合、マイクロ波発振が得られる素子と得られない素子が混在し、特性が一定しないという問題があった。
このように、スピンバルブ素子を電流駆動する場合の、スピンバルブ素子の初期状態を特定し、よって、スピンバルブ素子からのマイクロ波発振特性を安定化する手段が求められていた。
本発明は上記事情に鑑み、弱い外部磁場によって、または、全く外部磁場を用いずにスピンバルブ素子を駆動してマイクロ波を発振させること、そのようなスピンバルブ素子を得ること、さらに、スピンバブル素子の発振の可否を制御することの少なくともいずれかの問題を解決することを課題とする。
本発明は、方法の発明として実施することができる。すなわち、絶縁層または非磁性層である中間層と該中間層を挟む一対の強磁性層とを備え、該一対の強磁性層の各層の保磁力が互いに異なっているスピンバルブ素子から電磁信号を得るスピンバルブ素子の駆動方法であって、
該一対の強磁性層のうち保磁力の大きい強磁性層である固定層は、該固定層の膜面にほぼ垂直になるような向きに磁化されており、
該一対の強磁性層の一方から他方へ前記中間層を通過させて電流を流す駆動ステップ
を含んでなり、
該駆動ステップにおいて、前記スピンバルブ素子に流す電流の値Xと外部磁場の大きさの値Yとからなる値の組が、第1条件である
(A+BYD)−4AD(BY−CX)>0 (1)
と、第2条件である
A>0の場合に、
−1<((A+BYD)−((A+BYD)−4AD(BY−CX))0.5)/(2AD)<((A+BYD)+((A+BYD)−4AD(BY−CX))0.5)/(2AD)<1 (2)、
A<0の場合に、
((A+BYD)−((A+BYD)−4AD(BY−CX))0.5)/(2AD)<1 (3)

をともに満たす値の組にされる、スピンバルブ素子の駆動方法が提供される。
ただし、前記電流の値は、前記一対の強磁性層のうちの保磁力の小さい強磁性層であるフリー層へ前記固定層から向かう向きを正とするように表現した電流の値であり、AおよびBは、それぞれA=αγHuおよびB=αγであり、ここで、αはギルバートのダンピング定数、γは磁気ジャイロ定数、Huはフリー層の結晶異方性磁場と反磁場の和からなる磁場のフリー層に垂直な成分であり、CおよびDは、Pをスピン偏極度、μをボーア磁子、Msをフリー層の飽和磁化、Vをフリー層の体積、eを電子の電荷として、前記中間層が絶縁層である場合は、
C=μP/(Ms×V×e) (4)
D=P(5)
であり、前記中間層が非磁性層である場合は、
C=(μP/(Ms×V×e))/(−16+3(P1/2+P−1/2) (6)
D=(P1/2+P−1/2/(−16+3(P1/2+P−1/2) (7)
である。
さらに本発明は、上述の駆動方法であって、前記駆動ステップにおいて、前記スピンバルブ素子が外部磁場を印加せずに駆動され、前記電流の値Xが、前記第1条件においてY=0として得られる第3条件である
+4ADCX>0 (8)
と、前記第2条件においてY=0として得られる第4条件である
A>0の場合に、
−1<(A−(A+4ADCX)0.5)/(2AD)<(A+(A+4ADCX)0.5)/(2AD)<1 (9)、
A<0の場合に、
(A−(A+4ADCX)0.5)/(2AD)<1 (10)
とをともに満たすXの値にすることができる。
本発明のいずれかの態様により、外部磁場を弱くしても発振することができるマイクロ波発振素子をスピンバルブ素子によって実現することができる。また、外部磁場を印加しなくとも発振することができるマイクロ波発振素子の駆動方法またはそのような発振素子を得ることができる。
GMR素子において、外部磁場とスピン注入電流が支配的な場合のトルクTθのθ依存性を示した説明図。 TMR素子において、結晶異方性磁場とスピン注入電流が支配的な場合のトルクTθのθ依存性を示した説明図。 図2の条件で、電流値をパラメータとして、トルクTθのθ依存性への影響を示した説明図。 垂直磁化スピンバルブ素子の発振可能領域の計算例。 本発明におけるTMR素子において、結晶異方性磁場とスピン注入電流が支配的な場合のトルクTθのθ依存性を示した説明図(異方性磁場−900kA/m、外部磁場0A/m、電流30μA)。 実施例1における歳差運動の計算例。図6aは磁化単位ベクトルの時間変化を示し、m、m、mはそれぞれ、x軸、y軸、z軸方向のベクトル成分を表す。図6bは磁化単位ベクトルの軌跡を示す説明図。 実施例1におけるトルクTθのθ依存性を示す特性図。 実施例2におけるトルクTθのθ依存性を示す特性図。 実施例3におけるトルクTθのθ依存性を示す特性図。 TMRを利用したスピンバルブ素子の基本構成部分を示す断面図。 GMRを利用したスピンバルブ素子の基本構成部分を示す断面図。 極座標における磁化ベクトルと磁場の方向を示した説明図。
符号の説明
5 基板
21 下部電極層
22 反強磁性層(ピン止め層)
23 強磁性層(固定層)
24 絶縁層
25 強磁性層(フリー層)
26 キャッピング層
27 電極層
29 中間電極層
30 絶縁層
51 非磁性層
以下、本発明の実施の形態について図面を適宜参照して説明する。本発明の主な技術的ポイントは、固定層の磁化方向が膜面に垂直な場合、電流により注入されるスピンの影響により、フリー層の磁化は、外部磁場とフリー層内部における異方性磁場および膜面に垂直な反磁場とによって作られる実効的な磁場(局所的な見かけの磁場)に拮抗して安定な歳差運動を行うことが可能であることや、その結果外部磁場を弱めても、あるいは全く印加しない場合であっても、電流のみによってマイクロ波の発振が可能であることを見出した点にある。
まず、本願発明者は、現実の素子において生じている現象について理論的解析を行い、スピンバルブ素子の発振において、どのような外部磁場、駆動電流に対して発振が実現するかを検討した。
最も簡単な場合を示す一例として、異方性磁場が小さく、外部磁場とスピン注入電流が支配的な場合をモデルとして考える。このために、上述の式23で第2,3項のみを考慮し、外部磁場の向きは、フリー層の磁化が固定層の磁化と平行よりも反平行を向こうとするような向きにし、スピン注入電流の向きを、フリー層の磁化が固定層の磁化と反平行よりも平行を向こうとするような電流の向きとする設定を考える。注意すべきことは、この設定のためには外部磁場の空間的な向きの設定が二つ選べて、固定層の磁化の向きをそれぞれの場合で外部磁場の向きとは逆に設定する必要があることである。すなわち、第1の場合は、外部磁場をθ=0の向き、固定層の磁化をθ=πの向きとする場合であり、図12と同じ向きである。もう一つの第2の場合は、外部磁場をθ=πの向き、固定層の磁化をθ=0とする場合であり、図12の磁場の向きとは逆になる。いずれの場合であっても、電流はフリー層から固定層に(電子が固定層からフリー層に)向かう向きとすれば、動作面からみれば、上述のように、外部磁場の向きは、固定層の磁化と平行よりも反平行を向こうとするような向きとなり、スピン注入電流の向きは、フリー層の磁化が固定層の磁化と反平行よりも平行を向こうとするような電流の向き(つまり電子が固定層からフリー層に向かう向き)となる。以下の計算においては、上記設定の第2の場合(θ=πの場合)としているが、第1の場合(図12の場合)であっても数式上は同等である。
この場合についてのトルクTθのθ依存性をGMRの場合について算出すると図1のようになる。ここで、計算の条件は、異方性磁場0kA/m、外部磁場−100A/m、電流−50μAである。トルクTθの符号は、フリー層の磁化をz軸の正から負に向ける向きのトルクを正となるように示している。また、電流の符号は、フリー層の磁化にz軸の正の向きから負の向きに向けるようなトルク(正のトルク)を与えるような向きの電流が正になるようにしている。図1では、外部磁場とスピン注入電流の効果を比較しやすいよう、スピン注入電流起因の項につき極性を逆にした値も示している。図1の場合、フリー層の磁化に作用する総トルクTθは、点S1に示したように、θ=1.88付近でゼロとなり、かつ式25を満足するので、そこで安定した歳差運動が得られる。なお、図12とは逆の場合、つまり、z軸の正の向きを固定層の磁化の向き(膜面に垂直)に合わせるように座標軸を定めると、上記の計算の条件は、外部磁場の向きがz軸の負の方向に向いていて、注入電流の向きが、電子が固定層からフリー層へと流れるような向きとして実現され、そのときの計算結果も同様となる。
上記に加えて、本願発明者は、フリー層の材料の結晶異方性に起因した結晶異方性磁界と膜形状に依存した反磁界が存在する点にも注目した。この場合の解析例を図2に示す。ここで、異方性磁場を考慮する場合には、膜面に垂直な方向に結晶異方性磁場と反磁場とは互いにトルクに対する効果が相殺するように作用する。具体的には、結晶異方性磁場は、フリー層の磁化を膜面の面内方向よりも膜面垂直方向(z軸の正負の方向)に向かせるような磁場として生成されるが、反磁場は、その逆に、フリー層の磁化を膜面垂直方向(z軸の正負の方向)よりも膜面の面内方向に向かせるような磁場として生成される。図2の例では反磁場に比べて結晶異方性磁場が支配的な場合(異方性磁場>0)について試算している。ここでは、異方性磁場900kA/m、外部磁場−100A/m、電流−40μAとした。磁化の歳差運動が得られる条件をあたえる安定点は、点S2に示すように、θ=2.5付近に存在し、安定な歳差運動が可能であることがわかる。この歳差運動を直観的に説明するなら、フリー層の磁化を固定層の磁化に対して反平行状態から平行状態へ向かわせるためのスピン注入電流起因のトルクと、平行状態から反平行状態へ向かわせるためのトルクであって、外部磁場と垂直方向を好む異方性磁場とを起源とするトルクとが互いに拮抗しているためであると理解することができる。結晶異方性磁場に比べて反磁場が支配的な場合(異方性磁場<0)には、スピン注入電流の極性を上記と逆とする事等により、両者のトルクが拮抗する条件を見出すことができる。異方性磁場より充分大きい外部磁場を与えれば、GMRに小さな異方性磁場の計算例を示した図1と同様な特性となる。
次に、図2の結果をさらに条件を変更して理論解析を試みた。図3は、図2と同様にフリー層材料の結晶異方性に起因した結晶異方性磁場、膜形状に依存した反磁場、外部磁場、及び注入スピンの総てがフリー層膜面に垂直である素子を用いた場合において、異方性磁場を900kA/m、外部磁場を−100A/mとして、発振が得られる角度付近のTθの変化を、注入電流をパラメータとして示したものである。発振を得るために必要な安定した歳差運動が得られるためには、注入電流が特定の範囲に限定されることがわかる。具体的には、注入電流が−50μAの場合には、式24と式25を同時に満たす点つまり、θ方向のトルクの値が0となり右下がりの接線を有するような点はθが0より大きくπ未満の領域には得られない。注入電流を−40μAとすると、このような条件を満たす点が、点S3Aに示すようにθ=2.5付近に存在するため、安定な歳差運動がこの点において可能であることがわかる。なお、注入電流を−40μAとするのは図2の結果が得られた計算条件と同一である。さらに注入電流を−30μAとすると、点S3Bに示すように、θ=2.85付近にそのような点が移動するが、まだ安定な歳差運動が可能である。しかし、注入電流を−20μAとすると、このような条件を満たす点が再び見られなくなる。
上記のような理論解析の詳細をさらに説明する。理論的な特性を解析的に表わすと以下のようになる。即ち、式23、つまりTθ=−αγHusinθcosθ−αγHextsinθ+βST(θ)Isin(θ)=0におけるθ=0,π以外の一般解は、
αγHucosθ+αγHext−βST(θ)I=0 (26)
を解いて得られる。βST(θ)の一般形をβST(θ)=C/(1+Dcosθ)とおき、式26を、
Acosθ+BY−CX/(1+Dcosθ)=0 (27)
(但しA=αγHu、B=αγ、X=1、Y=Hext
と表わすと、これはcosθに関する2次方程式となるので、
cosθ=(−(A+BYD)±((A+BYD)−4AD(BY−CX))0.5)/(2AD)
を得る。つまり、式27が−1<cosθ<1に実数解を有することが発振を得る条件となる。具体的には、
(A+BYD)−4AD(BY−CX)>0 (28)
−1<((A+BYD)+((A+BYD)−4AD(BY−CX))0.5)/(2AD)<1 (29)
−1<((A+BYD)−((A+BYD)−4AD(BY−CX))0.5)/(2AD)<1 (30)
となる。式28〜30を満足するX(=注入電流I)とY(=外部磁場Hext)を求めれば発振可能領域が求まる。
上記のような解析を電流と外部磁場との組み合わせについて行った具体的な計算例を図4に示す。図4(a)は結晶異方性磁場が支配的な場合(異方性磁場>0)、図4(b)は反磁場が支配的な場合(異方性磁場<0)について、それぞれ式28〜30式の数値計算例を示したものである。例えば図4(a)において、曲線L1の右側では式28が満たされ、曲線L2の左側では式29および30が同時に満足されるので、曲線L1と曲線L2の間の領域では、cosθに実数解がθ=0,π以外に2つ存在する。これは図2に相当する条件である。曲線L2の右側では式30が満足されなくなり、cosθの実数解は1つとなるが、これは、例えば図3における電流−20μAの場合に相当し、式25が満たされないので、安定な歳差運動は実現されない。曲線L3の右側では式29も満たされなくなり、cosθの実数解は存在しなくなる。このように、結晶異方性磁場が支配的な場合(異方性磁場>0)、即ち、A>0の場合には、安定な歳差運動が得られる条件は曲線L1と曲線L2の間の領域、即ち、以下の条件となる。
(A+BYD)−4AD(BY−CX)>0 (1)
であって、
−1<((A+BYD)−((A+BYD)−4AD(BY−CX))0.5)/(2AD) < ((A+BYD)+((A+BYD)−4AD(BY−CX))0.5)/(2AD) < 1 (2)
一方、図4(b)においては、曲線L4の左側では式28が満足され、曲線L5の右側では式29および30が同時に満足されるので、曲線L4と曲線L5の間の領域では、cosθに実数解が2つ存在する。曲線L5の左側では式29が満足されなくなり、cosθの実数解は1つとなるが、この場合は式25が満足されるので、安定な歳差運動が実現される。曲線L6の左側では式29も満足されなくなり、cosθの実数解は存在しなくなる。このように、反磁場が支配的な場合(異方性磁場<0)、即ち、A<0の場合には、安定な歳差運動が得られる条件は曲線L5と曲線L6の間の領域、即ち、以下の条件となる。
(A+BYD)−4AD(BY−CX)>0 (1)
であって、((A+BYD)−((A+BYD)−4AD(BY−CX))0.5)/(2AD)<1 (3)
なお、同一内容の表式には同一の式番号を用いている。
図4は、フリー層の飽和磁化、異方性磁場、フリー層体積等として特定の値を使用して試算したものであるが、上述の解析によって得られた条件は、これらの値を任意の値とした場合である一般の場合にも適用可能な汎用性を有するものである。計算に用いたパラメータと主な物理定数を表1に示す。
Figure 2009078201
また、この解析によって明らかになったことは、上記の解析において外部磁場をゼロとした場合でも発振条件を満たす電流条件が存在することである。即ち、式28〜30においてY=0とおくと、
+4ADCX >0 (31)
−1< (A+(A+4ADCX)0.5)/(2AD)<1 (32)
−1< (A−(A+4ADCX)0.5)/(2AD)<1 (33)
を得る。上記と同様な考察により、スピンバルブ素子に流す電流の値Xが下記の範囲であれば、安定な歳差運動が実現して、マイクロ波を発振することが出来る。即ち、
+4ADCX>0 (8)
であって、
A>0の場合には、
−1<(A−(A+4ADCX)0.5)/(2AD)<(A+(A+4ADCX)0.5)/(2AD)<1 (9)
を満たし、A<0の場合には、
(A−(A+4ADCX)0.5)/(2AD)<1 (10)
を満たすような電流の値Xに対しては、マイクロ波を発振することができる。特に、A<0の場合のトルクTθのθ依存性の一例を図5に示す。反磁場は、フリー層の磁化を膜面垂直方向(z軸の正負の方向)よりも膜面の面内方向に向かせる性質があるが、スピン注入電流と拮抗して安定な歳差運動が可能であることがわかる。
上記の試算は、フリー層材料の結晶異方性に起因した結晶異方性磁場、膜形状に依存した反磁場、外部磁場、及び注入スピンの総てがフリー層膜面に垂直である素子についてのものであった。薄膜における反磁場は、基本的に膜面に垂直方向にあるので、上記の試算の前提に適合する。また、固定層の磁化が膜面に垂直であることから、注入スピンも膜面に垂直である。これに対し、結晶異方性磁場は強磁性体材料の種類と製法により膜面に垂直または平行になり得るものである。しかしながら、通常用いられるフリー層では、磁化反転しやすい材料と構造となっており、結晶異方性磁場は実用上、充分小さく、式28〜30は良い近似で成り立っている。
また、上記の試算では主としてTMRの例を用いたが、GMRの場合も同様の結論が得られることは明らかである。
ところで、例えば図2の例から、式24を満たすcosθの実数解がθ=0,π以外に2つ存在する場合には、スピンバルブ素子にマイクロ波発振状態に相当する電流を流した時に、総トルクは、θが約1.8〜2.5の範囲でプラス、約2.5〜3.14の範囲でマイナス値となる。このため、初期状態のθが約1.8〜3.14の範囲の位置にあれば、磁化はスムーズに発振状態(θ=2.5付近)に移行する。一方、初期状態のθが約1.8以下であると、磁化はθ=0の位置に移行して発振状態に到らない。これはマイクロ波の発振が得られるか得られないかが一定しないという状況に対して、初期状態の制御によってマイクロ波発振の可否を制御しうることを意味している。この具体的な手段としては、A>0の場合には、0〜πの範囲でトルクが正となるようにしておいてθ=πに初期化することが有効である。θが0〜πの範囲でトルクが正となるのは、図4(a)において、曲線L1の左側の領域である。すなわち、駆動初期に下記式11を満たす電流をスピンバルブ素子に流すことで初期化を行うことができる。
1<((A+BYD)+((A+BYD)−4AD(BY−CX))0.5)/(2AD) (11)
また、A<0の場合には、例えば図5においてはθ=π付近の状態をθ=1.8以下に移行させればよい。これは、図4(b)では曲線L5の左側に移行させることに相当する。すなわち、A<0の場合には、駆動初期に下記式12を満たす電流をスピンバルブ素子に流すことによって初期化を行うことができる。
((A+BYD)+((A+BYD)−4AD(BY−CX))0.5)/(2AD)<−1 (12)
本発明の駆動方法を用いるスピンバルブ素子を構成する材料としては、基板5としてはシリコン基板、ガラス基板が可能であり、またヒートシンクとしての機能が高い銅基板も可能であり、必要に応じてこれらを水冷などの方法で冷却することも可能である。電極層21、29、31としてTa、Pt、Cu、Au、Ag、Al、Mo、反強磁性層22として、IrMn、PtMn、強磁性層23(固定層)としては垂直磁化が得やすいCoCrTa、CoCrPt、TbFe、TbFeCo、GdFe、GdCoが好適であり、絶縁層24として、MgO、AI酸化物、非磁性層51としてCu、強磁性層25(フリー層)としては、一般に用いられるCoFe、CoFeBの他、垂直異方性の得やすいTbFe、TbFeCo、GdFe、GdFeCoなどや、結晶異方性の小さいNiFeが好適であるが、これに限定されるものではない。また、キャッッピング層27としてはCu、Pdが代表例としてあげられるが、これに限定されるものではない。また、強磁性層23(固定層)と強磁性層25(フリー層)の材質を同じにして、前者の膜厚を後者の膜厚より大きくすることにより保磁力差をつけてスピンバルブ機能を発現することも広く行われている。これらを積層後、各層の結晶性や固定層の磁気異方性を調整するため、磁場中アニールを施すことが有効である。また必要に応じて、強磁性層23(固定層)を、例えばCoFeB/Ru/CoFeBなど反強磁性結合膜とすることも可能である。
このようにして、スピンバルブ素子を電流のみの駆動でマイクロ波の発振を得る手段を提供することができる。以下、上記の実施の形態において実際に得られる実施例について説明する。
TMR方式のスピンバルブ素子を以下の手順で作製した。即ち、厚さ10nmの酸化膜付きのシリコン基板5上に、電極層21としてCu(30nm)薄膜を形成した。その後、強磁性層23としてCoCrTa(20nm)、絶縁層24としてMgO(0.6nm)、強磁性層25としてNiFe(21nm)、センシング層としてCoFe(2nm)、Cu(0.6nm)、CoFe(20nm)、キャッピング層26としてCu(2nm)を順次積層した。さらに、ネガレジストを塗布し、電子線照射によりパターニングを施し、イオンミリングにより100nm×100nmの円形柱状のスピンバルブ素子を50個形成した。CVD法によりSiO2膜を形成した後、スピンバルブ素子上のレジストをリフトオフにより除去し、上部電極を形成した後、4kOe程度の磁場中、350℃でアニールを行い実施例1の試料とした。このアニール処理では強磁性層23(固定層)の磁化は膜面に垂直になるようにされた(以下、「垂直磁場」という)。
TMR方式のスピンバルブ素子を以下の手順で作製した。即ち、厚さ10nmの酸化膜付きのシリコン基板5上に、電極層21としてCn(30nm)薄膜を形成した。その後、強磁性層23としてTbFeCo(20nm)、絶縁層24としてMgO(0.6nm)、強磁性層25としてGdFeCo(2nm)、センシング層としてCoFe(2nm)、Cn(0.6nm)、CoFe(20nm)、キャッピング層26としてCu(2nm)を順次積層した。さらに、ネガレジストを塗布し、電子線照射によりパターニングを施し、イオンミリングにより100nm×100nmの円形柱状のスピンバルブ素子を50個形成した。CVD法によりSiO2膜を形成した後、スピンバルブ素子上のレジストをリフトオフにより除去し、上部電極を形成した後、4kOe程度の垂直磁場中において、350℃でアニールを行い実施例2の試料とした。
GMR方式のスピンバルブ素子を以下の手順で作製した。即ち、厚さ10nmの酸化膜付きのシリコン基板5上に、電極層21としてCu(30nm)薄膜を形成した。その後、強磁性層23としてCoCrTa(20nm)、非磁性層51としてCu(0.6nm)、強磁性層25としてNiFe(2nm)、センシング層としてCoFe(2nm)、Cu(0.6nm)、CoFe(20nm)、キャッピング層26としてCu(2nm)を順次積層した。さらに、ネガレジストを塗布し、電子線照射によりパターニングを施し、イオンミリングにより100nm×100nmの円形柱状のスピンバルブ素子を50個形成した。CVD法によりSiO2膜を形成した後、スピンバルブ素子上のレジストをリフトオフにより除去し、上部電極を形成した後、4kOe程度の垂直磁場中において、250℃でアニールを行い実施例3の試料とした。
これらの実施例1〜3の素子に、以下の条件の電流を流して試験を行った。各50個測定結果の平均を表2に、計算結果を図6〜図9に示す。
Figure 2009078201
このうち、図6は、実施例1の条件に対して、式14のLLG方程式を4次のルンゲクッタ法により数値解析した結果であるが、図7で得られたTθ=1.88(点S7)に対応する座標で、安定な歳差運動をしていることがわかる。但し、図7の横軸の時間は、(γMs)−1で規格化しており(γ:ジャイロ定数、Ms:飽和磁化)、単位時間は約42psecに相当する。図示は省略するが、実施例2,3についても同様の結果を得た。図7〜図9より実施例1〜3の条件が式8〜10の条件を満足していることは明らかである。図8、9には安定な歳差運動が実現するθの位置を点S8および点S9により示している。また、実施例1〜3の素子を測定する際において、作製直後の素子に表1の電流を印加したとき、50個の試料のうち発振がえられたのは、それぞれ、42個、17個、50個であった。次に、実施例1と2の試料すべてに、それぞれ−5μA、5μAの電流を1秒間印加し同様の測定を行うと、いずれの実施例試料でも、50個中50個の素子で発振が認められた。それぞれの電流値は式12および式11を満足するものである。これらの結果、及び、表1の結果から明らかなように、本発明により、外部磁場を加えず、電流のみの駆動で、安定したマイクロ波出力が得られた。
以上、本発明により、スピンバルブ素子を電流のみの駆動でマイクロ波の発振を得る手段を提供することができた。本発明の実施の形態につき述べたが、本発明は既述の実施の形態に限定されるものではなく、本発明の技術的思想に基づいて各種の変形、変更および組合せが可能である。例えば、スピンバルブ素子として動作させるために、所定の発振条件を満たすような電流を調整するステップや手段を設けて外部磁場が印加されない際に安定した発振信号を得ることができる。このために必要な電流を調整する手段は、任意の電流制御機構や制限機構を用いることができる。
このスピンエレクトロニクス分野の中で、現在最も実用可能性が高いと見られているのは、強磁性層、絶縁層、強磁性層の積層構造において生じるトンネル磁気抵抗(TMR:Tunnel Magnetic Resistance)効果、または強磁性層、非磁性層(導電層)、強磁性層の積層構造において生じる巨大磁気抵抗(GMR:Giant Magnetic Resistance)効果を応用したスピンバルブ素子である。従来のスピンバルブ素子の構成例を図10および図11に示す。このうち図10にはTMRを利用したスピンバルブ素子の基本構成部分を示す。このスピンバルブ素子は、基板5の上に作製された、1層の絶縁層24と、該絶縁層を挟む一対の強磁性層23(固定層)および25(フリー層)と、電極層21、27とを有しており、必要に応じて、反強磁性層(ピン止め層)22、キャッピング層26などを含むものである。固定層23の磁化は反強磁性層22との磁気結合などにより固定されている。この素子に固定層23から電子を流すと、フリー層25のスピン(磁化または磁気モーメント)には固定層23と平行となろうとするようなトルクが働く。また、また逆にフリー層25から固定層23に向かって電子を流すと、フリー層25のスピンには固定層23とは反平行となろうとするようなトルクが働く。これらの作用により、フリー層25の磁化の方向を電流の向きにより制御することが可能となる。この効果はスピン注入磁化反転と呼ばれている。図10には、さらに絶縁層30を設けており、これにより素子の大きさを単一の磁区が得られるサイズに定めている。図11にはGMRを利用したスピンバルブ素子の基本構成部分を示す。この場合、図10のTMRを利用した素子との違いは絶縁層24が非磁性層51に置き換わっている点であり、それ以外の機能は基本的に同じである。これらの技術を用いることにより、磁気ランダムアクセスメモリ(MRAM:Magnetic Random Access Memory)を実現することが可能なため最も注目を浴びている。このMRAMは、従来のDRAM(Dynamic Random Access Memory)やSRAM(Synchronous DRAM)の代替として期待されている。
上記のような解析を電流と外部磁場との組み合わせについて行った具体的な計算例を図4に示す。図4(a)は結晶異方性磁場が支配的な場合(異方性磁場>0)、図4(b)は反磁場が支配的な場合(異方性磁場<0)について、それぞれ式28〜30式の数値計算例を示したものである。例えば図4(a)において、曲線L1の右側では式28が満たされ、曲線L2の左側では式29および30が同時に満足されるので、曲線L1と曲線L2の間の領域では、cosθに実数解がθ=0,π以外に2つ存在する。これは図2に相当する条件である。曲線L2の右側では式29が満足されなくなり、cosθの実数解は1つとなるが、これは、例えば図3における電流−20μAの場合に相当し、式25が満たされないので、安定な歳差運動は実現されない。曲線L3の右側では式30も満たされなくなり、cosθの実数解は存在しなくなる。このように、結晶異方性磁場が支配的な場合(異方性磁場>0)、即ち、A>0の場合には、安定な歳差運動が得られる条件は曲線L1と曲線L2の間の領域、即ち、以下の条件となる。
(A+BYD)−4AD(BY−CX)>0 (1)
であって、
−1<((A+BYD)−((A+BYD)−4AD(BY−CX))0.5)/(2AD)
< ((A+BYD)+((A+BYD)−4AD(BY−CX))0.5)/(2AD) < 1 (2)
一方、図4(b)においては、曲線L4の左側では式28が満足され、曲線L5の右側では式29および30が同時に満足されるので、曲線L4と曲線L5の間の領域では、cosθに実数解が2つ存在する。曲線L5の左側では式30が満足されなくなり、cosθの実数解は1つとなるが、この場合は式25が満足されるので、安定な歳差運動が実現される。曲線L6の左側では式29も満足されなくなり、cosθの実数解は存在しなくなる。このように、反磁場が支配的な場合(異方性磁場<0)、即ち、A<0の場合には、安定な歳差運動が得られる条件は曲線L5と曲線L6の間の領域、即ち、以下の条件となる。
(A+BYD)−4AD(BY−CX)>0 (1)
であって、((A+BYD)−((A+BYD)−4AD(BY−CX))0.5)/(2AD)<1 (3)
なお、同一内容の表式には同一の式番号を用いている。
また、A<0の場合には、例えば図5においてはθ=π付近の状態をθ=1.8以下に移行させればよい。これは、図4(b)では曲線L6の左側に移行させることに相当する。すなわち、A<0の場合には、駆動初期に下記式12を満たす電流をスピンバルブ素子に流すことによって初期化を行うことができる。
((A+BYD)+((A+BYD)−4AD(BY−CX))0.5)/(2AD)<−1 (12)
TMR方式のスピンバルブ素子を以下の手順で作製した。即ち、厚さ10nmの酸化膜付きのシリコン基板5上に、電極層21としてCn(30nm)薄膜を形成した。その後、強磁性層23としてTbFeCo(20nm)、絶縁層24としてMgO(0.6nm)、強磁性層25としてGdFeCo(2nm)、センシング層としてCoFe(2nm)、C(0.6nm)、CoFe(20nm)、キャッピング層26としてCu(2nm)を順次積層した。さらに、ネガレジストを塗布し、電子線照射によりパターニングを施し、イオンミリングにより100nm×100nmの円形柱状のスピンバルブ素子を50個形成した。CVD法によりSiO2膜を形成した後、スピンバルブ素子上のレジストをリフトオフにより除去し、上部電極を形成した後、4kOe程度の垂直磁場中において、350℃でアニールを行い実施例2の試料とした。

Claims (8)

  1. 絶縁層または非磁性層である中間層と該中間層を挟む一対の強磁性層とを備え、該一対の強磁性層の各層の保磁力が互いに異なっているスピンバルブ素子から電磁信号を得るスピンバルブ素子の駆動方法であって、
    該一対の強磁性層のうち保磁力の大きい強磁性層である固定層は、該固定層の膜面にほぼ垂直になるような向きに磁化されており、
    該一対の強磁性層の一方から他方へ前記中間層を通過させて電流を流す駆動ステップ
    を含んでなり、
    該駆動ステップにおいて、前記スピンバルブ素子に流す電流の値Xと外部磁場の大きさの値Yとからなる値の組が、第1条件である
    (A+BYD)−4AD(BY−CX)>0
    と、第2条件である
    A>0の場合に、
    −1<((A+BYD)−((A+BYD)−4AD(BY−CX))0.5)/(2AD)<((A+BYD)+((A+BYD)−4AD(BY−CX))0.5)/(2AD)<1、
    A<0の場合に、
    ((A+BYD)−((A+BYD)−4AD(BY−CX))0.5)/(2AD)<1

    をともに満たす値の組にされる、スピンバルブ素子の駆動方法。
    ただし、前記電流の値は、前記一対の強磁性層のうちの保磁力の小さい強磁性層であるフリー層へ前記固定層から向かう向きを正とするように表現した電流の値であり、AおよびBは、それぞれA=αγHuおよびB=αγであり、ここで、αはギルバートのダンピング定数、γは磁気ジャイロ定数、Huはフリー層の結晶異方性磁場と反磁場の和からなる磁場のフリー層に垂直な成分であり、CおよびDは、Pをスピン偏極度、μをボーア磁子、Msをフリー層の飽和磁化、Vをフリー層の体積、eを電子の電荷として、前記中間層が絶縁層である場合は、
    C=μP/(Ms×V×e)
    D=P
    であり、前記中間層が非磁性層である場合は、
    C=(μP/(Ms×V×e))/(−16+3(P1/2+P−1/2
    D=(P1/2+P−1/2/(−16+3(P1/2+P−1/2
    である。
  2. 前記駆動ステップにおいて、前記スピンバルブ素子が外部磁場を印加せずに駆動され、前記電流の値Xが、前記第1条件においてY=0として得られる第3条件である
    +4ADCX>0
    と、
    前記第2条件においてY=0として得られる第4条件である
    A>0の場合に、
    −1<(A−(A+4ADCX)0.5)/(2AD)<(A+(A+4ADCX)0.5)/(2AD)<1、
    A<0の場合に、
    (A−(A+4ADCX)0.5)/(2AD)<1

    をともに満たす値にされる、請求1項に記載のスピンバルブ素子の駆動方法。
  3. A>0の場合には、前記駆動ステップの開始前の所定期間に下記式を満たすXの値をもつ電流をスピンバルブ素子に流す、請求1項に記載のスピンバルブ素子の駆動方法。
    1<((A+BYD)+((A+BYD)−4AD(BY−CX))0.5)/(2AD)
  4. A<0の場合には、前記駆動ステップの開始前の所定期間に下記式を満たすXの値をもつ電流をスピンバルブ素子に流す、請求1項に記載のスピンバルブ素子の駆動方法。
    ((A+BYD)+((A+BYD)−4AD(BY−CX))0.5)/(2AD)<−1
  5. 絶縁層または非磁性層である中間層と、
    該中間層を挟む一対の強磁性層と
    を備えてなり、該一対の強磁性層の各層の保磁力が互いに異なるようにされ、前記中間層を通過し該一対の強磁性層の一方から他方へ流れる電流によって駆動して電磁信号を得るためのスピンバルブ素子であって、
    前記駆動の際に、該一対の強磁性層のうち保磁力の大きい強磁性層である固定層が該固定層の膜面にほぼ垂直になるような向きに磁化されていて、
    前記一対の強磁性層のうちの保磁力の小さい強磁性層であるフリー層は、前記駆動の際に、スピンバルブ素子に流す電流の値Xと外部磁場の大きさの値Yとからなる値の組が、第1条件である
    (A+BYD)−4AD(BY−CX)>0
    と、第2条件である
    A>0の場合に、
    −1<((A+BYD)−((A+BYD)−4AD(BY−CX))0.5)/(2AD)<((A+BYD)+((A+BYD)−4AD(BY−CX))0.5)/(2AD)<1
    A<0の場合に、
    ((A+BYD)−((A+BYD)−4AD(BY−CX))0.5)/(2AD)<1

    をともに満たすような値の組をとりうるようにされている強磁性層である、スピンバルブ素子。
    ただし、前記電流の値は、前記固定層から前記フリー層へ向かう向きを正とするように表現した電流の値であり、AおよびBは、それぞれA=αγHuおよびB=αγであり、ここで、αはギルバートのダンピング定数、γは磁気ジャイロ定数、Huはフリー層の結晶異方性磁場と反磁場の和からなる磁場のフリー層に垂直な成分であり、CおよびDは、Pをスピン偏極度、μをボーア磁子、Msをフリー層の飽和磁化、Vをフリー層の体積、eを電子の電荷として、前記中間層が絶縁層である場合は、
    C=μP/(Ms×V×e)
    D=P
    であり、前記中間層が非磁性層である場合は、
    C=(μP/(Ms×V×e))/(−16+3(P1/2+P−1/2
    D=(P1/2+P−1/2/(−16+3(P1/2+P−1/2
    である。
  6. 前記駆動の際に外部磁場が印加されず、前記フリー層は、前記駆動の際に、前記第1条件においてY=0として得られる第3条件である
    +4ADCX>0 (8)
    と、
    前記第2条件においてY=0として得られる第4条件である
    A>0の場合に、
    −1<(A−(A+4ADCX)0.5)/(2AD)<(A+(A+4ADCX)0.5)/(2AD)<1、
    A<0の場合に、
    (A−(A+4ADCX)0.5)/(2AD)<1

    を前記電流の値Xがともに満たしうるようにされている強磁性層である、請求項5に記載のスピンバルブ素子。
  7. 絶縁層または非磁性層である中間層と該中間層を挟む一対の強磁性層とを備え、該一対の強磁性層の各層の保磁力が互いに異なっており、該一対の強磁性層のうち保磁力の大きい強磁性層である固定層が該固定層の膜面にほぼ垂直になるような向きに磁化されてなるスピンバルブ素子から電磁信号を得るスピンバルブ素子の駆動方法であって、
    前記一対の強磁性層のうちの保磁力の小さい強磁性層であるフリー層には外部磁場が印加されずに、該一対の強磁性層の一方から他方へ前記中間層を通過させて電流を流す駆動ステップを含んでなり、
    前記フリー層は、スピンバルブ素子に流す電流の値が前記駆動ステップにおいて所定の発振条件を満たす値をとりうるような飽和磁化と異方性磁場とを示す強磁性層とされていて、
    該駆動ステップにおいて、駆動のための前記電流が前記所定の発振条件を満たすように電流を調整するステップ
    をさらに含むスピンバルブ素子の駆動方法。
  8. 絶縁層または非磁性層である中間層と、
    該中間層を挟む一対の強磁性層と
    を備えてなり、該一対の強磁性層の各層の保磁力が互いに異なるようにされ、前記中間層を通過して該一対の強磁性層の一方から他方へ流れる電流によって駆動して外部磁場を印加せずに電磁信号を得るスピンバルブ素子であって、
    該一対の強磁性層のうち保磁力の大きい強磁性層である固定層が該固定層の膜面にほぼ垂直になるような向きに磁化されていて、
    前記一対の強磁性層のうちの保磁力の小さい強磁性層であるフリー層は、スピンバルブ素子に流す電流の値が前記駆動の際に所定の発振条件を満たす値をとりうるような飽和磁化と異方性磁場とを示す強磁性層とされていて、
    前記固定層または前記フリー層の少なくともいずれかに接続されて、前記駆動のための電流を前記所定の発振条件とするための電流調整手段を備えている、スピンバルブ素子。
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