JPWO2009069805A1 - エラストマー多孔質体及びその製造方法 - Google Patents

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Abstract

所定断面を所定倍率とした第1の観察領域の各セルを観察した際に、各セルの面積Aと周長Pとを用いて下記式で表される不整度を表す形状係数SF2が130以下のセルが全セル数の80%以上であり、且つ前記所定断面と直交する断面を所定倍率とした第2の観察領域の各セルを観察した際に、各セルの面積Aと周長Pとを用いて下記式で表される不整度を表す形状係数SF2が130以下のセルが全セル数の80%以上であることを特徴とするエラストマー多孔質体。

Description

本発明は、シリコーンエラストマー多孔質体などのエラストマー多孔質体及びその製造方法に係り、より具体的には、実質的に真球状セルを有するエラストマー多孔質体及びその製造方法に関する。
シリコーンエラストマー多孔質体は、種々の分野で利用されており、例えば、複写機、レーザプリンタなどの作像部品、例えば、現像ローラ、トナー供給ローラ、転写ローラ、クリーニングローラに、また複写機、各種プリンタ、プロッタの用紙搬送ローラに使用され、さらには定着部品、例えば、定着ローラ、加圧ローラなどに使用されている。
従来、多孔質体は、主に、発泡現象を利用して製造されている。発泡を生じさせる発泡剤として、化学発泡剤を用いる手法、気体を用いる手法、および水を用いる手法がある。
シリコーンエラストマー多孔質体の製造も例外ではなく、ほとんどの場合、これら発泡剤を用いて製造されている。しかしながら、従来のシリコーンエラストマー多孔質体の製造方法では、シリコーンゴムの硬化と発泡を同時に行っているため、得られる多孔質体中のセル(気泡)のサイズが均一でなく、大きくばらつくばかりでなく、球状の微細なサイズのセルを形成させることが困難である。
これに対し、特許文献1には、シラノール基を有するオルガノポリシロキサン、特定の架橋剤、硬化触媒、乳化剤等を含有する室温硬化型のオルガノポリシロキサンエマルジョンを冷凍して凍結し、解凍することなく水を昇華させて乾燥することによってシリコーンエラストマー多孔質体を製造する方法が開示されている。しかしながら、この方法でも、均一で微細なサイズのセルを有する多孔質体を製造することが困難である。
発泡剤を用いて製造されたシリコーンエラストマー多孔質体を用いた定着用ローラは、セルのサイズが大きく不均一であるため、加熱時の形状が安定しないとともに、トルクがかかったときにその力を均一に分散させることができず、破断しやすいという問題がある。また、セルのサイズが大きいと、多孔質体を例えば加圧ローラに使用したとき、セル目が画像に現れてしまう。従って、セルサイズが小さく均一なシリコーンエラストマー多孔質体が望まれている。
そこで、本出願人は、基本的に、硬化してシリコーンエラストマーを生成する液状シリコーンゴム材、および水を含有する油中水型エマルジョンから製造した独立気泡型のシリコーンエラストマー多孔質体を先に出願した(特許文献2参照)。
しかしながら、その後の研究により、製造されたシリコーンエラストマー多孔質体には、油中水型エマルジョンに起因したセルと共に、油中水型エマルジョンを調製する際に抱き込まれた気泡に起因するセルも存在するため、かかる多孔質体は、シリコーンエラストマー多孔質体の特性、特に耐久性が十分でないことを知見した。
特開平6−287348号公報 特開2005−206784号公報
本発明は、このような事情に鑑み、エマルジョンを経由して製造される多孔質体であって、実質的に真球状のセルを有するエラストマー多孔質体及びその製造方法を提供することを目的とする。
前記目的を達成する本発明の第1の態様は、所定断面を所定倍率とした第1の観察領域の各セルを観察した際に、各セルの面積Aと周長Pとを用いて下記式で表される不整度を表す形状係数SF2が130以下のセルが全セル数の80%以上であり、且つ前記所定断面と直交する断面を所定倍率とした第2の観察領域の各セルを観察した際に、各セルの面積Aと周長Pとを用いて下記式で表される不整度を表す形状係数SF2が130以下のセルが全セル数の80%以上であることを特徴とするエラストマー多孔質体にある。
Figure 2009069805
本発明の第2の態様は、硬化してエラストマーを生成する液状ゴム材を連続相とするエマルジョン組成物を経由して製造されたエラストマー多孔質体であることを特徴とするエラストマー多孔質体にある。
本発明の第3の態様は、前記液状ゴム材が液状シリコーンゴム材であることを特徴とするエラストマー多孔質体にある。
本発明の第4の態様は、前記第1の観察領域又は第2の観察領域において、50μm以下の径を有するセルが全セル数の50%以上を占めることを特徴とするエラストマー多孔質体にある。
本発明の第5の態様は、前記第1の観察領域及び前記第2の観察領域のそれぞれにおいて、各セルの最大直径である長径aとそれと直交する方向の径bとの比であるアスペクト比a/bが1.3以下のセルが全セル数の70%以上であることを特徴とするエラストマー多孔質体にある。
本発明の第6の態様は、空隙率が30%以上であり、断面で観察される一平方mm当たりのセルの数が200以上であることを特徴とするエラストマー多孔質体にある。
本発明の第7の態様は、第1〜6の何れかの態様に記載のエラストマー多孔質体からなることを特徴とするロール部材にある。
本発明の第8の態様は、第1〜6の何れかの態様に記載のエラストマー多孔質体からなることを特徴とする定着部材にある。
本発明の第9の態様は、硬化してエラストマーを生成する液状ゴム材を連続相とするエマルジョン組成物を減圧下で調製し、このエマルジョン組成物を硬化すると共に分散相を脱液処理し、所定断面を所定倍率とした第1の観察領域の各セルを観察した際に、各セルの面積Aと周長Pとを用いて下記式で表される不整度を表す形状係数SF2が130以下のセルが全セル数の80%以上であり、且つ前記所定断面と直交する断面を所定倍率とした第2の観察領域の各セルを観察した際に、各セルの面積Aと周長Pとを用いて下記式で表される不整度を表す形状係数SF2が130以下のセルが全セル数の80%以上であるエラストマー多孔質体とすることを特徴とするエラストマー多孔質体の製造方法にある。
Figure 2009069805
本発明の第10の態様は、前記液状ゴム材が液状シリコーンゴム材であることを特徴とするエラストマー多孔質体の製造方法にある。
本発明の第11の態様は、前記エマルジョン組成物が、液状シリコーンゴム材、界面活性作用を有するシリコーンオイル材、および水を含有する油中水型エマルジョン組成物であることを特徴とするエラストマー多孔質体の製造方法にある。
本発明の第12の態様は、前記第1の観察領域又は第2の観察領域において、50μm以下の径を有するセルが全セル数の50%以上を占めるエラストマー多孔質体を得ることを特徴とするエラストマー多孔質体の製造方法にある。
本発明の第13の態様は、前記第1の観察領域及び前記第2の観察領域のそれぞれにおいて、各セルの最大直径である長径aとそれと直交する方向の径bとの比であるアスペクト比a/bが1.3以下のセルが全セル数の70%以上であるエラストマー多孔質体を得ることを特徴とするエラストマー多孔質体の製造方法にある。
本発明の第14の態様は、空隙率が30%以上であり、断面で観察される一平方mm当たりのセルの数が200以上であるエラストマー多孔質体を得ることを特徴とするエラストマー多孔質体の製造方法にある。
本発明によれば、実質的に真球状の微細なセルを有し、耐久性に優れたエラストマー多孔質体及びその製造方法を提供することができる。
実施例1の径方向切断面のSEM写真及び第1の観察領域を示す図である。 実施例1の長手方向切断面のSEM写真及び第2の観察領域を示す図である。 実施例2の径方向切断面のSEM写真及び第1の観察領域を示す図である。 実施例2の長手方向切断面のSEM写真及び第2の観察領域を示す図である。 実施例3の径方向切断面のSEM写真及び第1の観察領域を示す図である。 実施例3の長手方向切断面のSEM写真及び第2の観察領域を示す図である。 比較例1の径方向切断面のSEM写真及び第1の観察領域を示す図である。 比較例1の長手方向切断面のSEM写真及び第2の観察領域を示す図である。 比較例2の径方向切断面のSEM写真及び第1の観察領域を示す図である。 比較例2の長手方向切断面のSEM写真及び第2の観察領域を示す図である。 比較例3の径方向切断面のSEM写真及び第1の観察領域を示す図である。 比較例3の長手方向切断面のSEM写真及び第2の観察領域を示す図である。 実施例1の第1の観察領域のSF1の分布状態を示すグラフである。 実施例1の第2の観察領域のSF1の分布状態を示すグラフである。 実施例2の第1の観察領域のSF1の分布状態を示すグラフである。 実施例2の第2の観察領域のSF1の分布状態を示すグラフである。 実施例3の第1の観察領域のSF1の分布状態を示すグラフである。 実施例3の第2の観察領域のSF1の分布状態を示すグラフである。 比較例1の第1の観察領域のSF1の分布状態を示すグラフである。 比較例1の第2の観察領域のSF1の分布状態を示すグラフである。 比較例2の第1の観察領域のSF1の分布状態を示すグラフである。 比較例2の第2の観察領域のSF1の分布状態を示すグラフである。 比較例3の第1の観察領域のSF1の分布状態を示すグラフである。 比較例3の第2の観察領域のSF1の分布状態を示すグラフである。 実施例1の第1の観察領域のSF2の分布状態を示すグラフである。 実施例1の第2の観察領域のSF2の分布状態を示すグラフである。 実施例2の第1の観察領域のSF2の分布状態を示すグラフである。 実施例2の第2の観察領域のSF2の分布状態を示すグラフである。 実施例3の第1の観察領域のSF2の分布状態を示すグラフである。 実施例3の第2の観察領域のSF2の分布状態を示すグラフである。 比較例1の第1の観察領域のSF2の分布状態を示すグラフである。 比較例1の第2の観察領域のSF2の分布状態を示すグラフである。 比較例2の第1の観察領域のSF2の分布状態を示すグラフである。 比較例2の第2の観察領域のSF2の分布状態を示すグラフである。 比較例3の第1の観察領域のSF2の分布状態を示すグラフである。 比較例3の第2の観察領域のSF2の分布状態を示すグラフである。 試験例3のベルト定着装置の内部構造の概略図である。
符号の説明
10 ベルト定着装置
21 定着ローラ
22 加圧ローラ
23 加熱ローラ
24 加熱源
25 定着ベルト
本発明のエラストマー多孔質体は、エラストマーで作られた母体(マトリックス)とこの母体中に分散・分布し且つ実質的に真球状の微細なセルを多数含むものである。
ここで、マトリックスを構成するエラストマーとしては、シリコーン、ウレタン、クロロプレン、エチレンプロピレン共重合体(EPM)、エチレンプロピレン三元重合体(EPDM)、スチレンゴム(SBR)、ニトリルゴム(NBR)、ポリエステル系エラストマー、及びポリエーテル系エラストマー、ポリオレフィン系エラストマー、エピクロルヒドリン系ゴムなどを挙げることができる。
すなわち、本発明のエラストマー多孔質体は、エラストマーを生成する液状ゴム材を連続相とするエマルジョン組成物を経由して、具体的には、エマルジョン組成物の連続相である液状ゴムを、エマルジョン状態を保持したまま硬化してエラストマーマトリックスとした後、分散相を除去してセルを形成したものであり、各セルは真球状でそれぞれが実質的に独立して存在する。そして、エマルジョン組成物を調製する際に減圧状態とすることにより、エマルジョン組成物に含有される気泡を除去することにより、分散相が除去されて形成されるセルのみを有する多孔質体とすることにより、実質的に真球状のセルを有するものとなる。
さらに詳言すると、エマルジョン組成物に抱き込まれた気泡に起因するセルを排除することにより、実質的に真球状のセルのみを有するエラストマー多孔質体となる。ここで、エマルジョン組成物に抱き込まれた気泡に起因するセルの多くは、例えば、エマルジョンに起因するセル径の正規分布状態から外れる、例えば、直径が50〜60μmのものであり、また、これらは精密に観察するとエラストマーの硬化時に扁平するためか、真球形状ではなく、扁平する状態が大きい傾向にあり、これらの影響が大きいと、エラストマー多孔質体の特性、特に耐久性の低下の原因となることを知見した。
本発明のエラストマー多孔質体が実質的に真球状のセルのみを有することは、任意の一断面の観察ではなく、直交する2つの断面を観察することにより認定することができ、直交する2つの断面で真円状であれば、これらの断面に直交するもう一つの断面においても真円状となる。
本発明では、観察断面において観察されるセルの断面が真円状で表面に凹凸を有さず平滑である点は、各セルの面積Aと周長Pとを用いて下記式で表される不整度を表す形状係数SF2が130以下のセルが全セル数の80%以上であることにより認定することとした。
Figure 2009069805
すなわち、本発明のエラストマー多孔質体は、各セルの面積Aと周長Pとを用いて下記式で表される不整度を表す形状係数SF2が130以下のセルが全セル数の80%以上であり、且つ前記所定断面と直交する断面を所定倍率とした第2の観察領域の各セルを観察した際に、各セルの面積Aと周長Pとを用いて下記式で表される不整度を表す形状係数SF2が130以下のセルが全セル数の80%以上であるものである。
ここで、SF2の観察は、直交する2つの断面をそれぞれSEMで観察し、第1の観察領域及び第2の観察領域に例えば、40〜80個のセルが観察されるようにし、各セルについて各セルの面積Aと周長Pとを測定し、SF2を求め、条件を満足するか否かを判定する。
このような作業は、SEM画像をコンピュータに取り込み、各種画像解析ソフトなどを用いて行うことができる。
このような形状係数SF2による指標は、第1及び第2の観察領域の何れかで所定の条件を満たせば十分であるが、互いに直交する第1及び第2の観察領域の両方で所定の条件を満たすことにより、実質的に真球状であることが確実に確認できる。
なお、第1の観察領域及び第2の観察領域は、例えば、各観察領域にセルが、例えば、40〜80個程度存在するような観察条件とすればよい。また、観察領域は、SEMの観察視野全体としてもよいし、観察視野の中の所定の範囲としてもよい。
また、本発明のエラストマー多孔質体が実質的に真球状であることは、各セルの最大直径である長径aとそれと直交する方向の径bとの比であるアスペクト比a/bが1.3以下のセルが全セル数の70%以上であることにより各確認することができる。
すなわち、本発明のエラストマー多孔質体は、所定断面を所定倍率とした第1の観察領域の各セルを観察した際に、各セルの最大直径である長径aとそれと直交する方向の径bとの比であるアスペクト比a/bが1.3以下のセルが全セル数の70%以上であり、且つ前記所定断面と直交する断面を所定倍率とした第1の観察領域の各セルを観察した際に、各セルの最大直径である長径aとそれと直交する方向の径bとの比であるアスペクト比a/bが1.3以下のセルが全セル数の70%以上であるものであるのが好ましい。
ここで、アスペクト比の観察は、SF2と同様に直交する2つの断面をそれぞれSEMで観察し、第1の観察領域及び第2の観察領域に例えば、40〜80個のセルが観察されるようにし、各セルについて最大径である長径aと、これに直交する径bとを測定し、アスペクト比a/bを求め、条件を満足するか否かを判定することができる。
このような長径a及び径bをセル毎に測定する作業は、SF2と同様に、SEM画像をコンピュータに取り込み、各種画像解析ソフトなどを用いて行うことができる。
先に出願した特開2005−206784号公報では、セルが真球であることの指標として、下記式(A)又は(B)によって与えられる条件を満足するセルが50%としていたが、あくまでも1つの断面を観察したものであり、真に真球状であることの指標としては不十分であった。なお、下記式(B)で与えられる条件は、本発明で用いるアスペクト比と同等であり、式(B)の0.5はアスペクト比1.5に相当する。そして、本発明では、これにより厳しい条件とし、且つさらに直交する2つの断面での観察を条件とすることにより、真に真球状であることの指標としている。
(A):0≦(m−n)/m≦0.5
(B):0≦(m−n)/n≦0.5
(ここで、mは、セルの長径を表し、nは、セルの短径を表す)
さらに、本発明のエラストマー多孔質体が実質的に真球状のセルを有することは、さらに、第1の観察領域及び第2の観察領域のそれぞれにおいて、各セルの長径aと面積Aとを用いて下記式で表される円形度を表す形状係数SF1が150以下のセルが全セル数の80%以上であることにより確実に把握することができる。
Figure 2009069805
また、本発明のエラストマー多孔質体は、多孔質体全体においてセルの大きさ、分布状態が均一であり、多層質体の何れの箇所を切断して観察しても、上述したような観察結果になる。
さらに、本発明のエラストマー組成物は、非常に微細なセルを多数且つ緻密に有するものである。従って、従来の化学発泡などによる多孔質体で、空隙率が同程度のものと比較すると、単位面積当たりのセルの数が大きく異なる。本発明のエラストマー多孔質体は、空隙率は例えば30%以上、好ましくは40%以上であり、一平方mm当たりのセルの数が200以上、好ましくは1000以上、さらに好ましくは2000以上である。
以下、本発明のエラストマー多孔質体及びその製造方法について、シリコーンエラストマー多孔質体を例にとりながら説明する。
シリコーンエラストマー多孔質体は、基本的に、硬化してシリコーンエラストマーを生成する液状シリコーンゴム材、および分散相として水又はアルコールなどの水系溶媒を含有した水を含有する油中水型エマルジョンから製造することができる。この際、液状シリコーンゴム材が好ましくは低い粘度を有する液状シリコーンゴム材と水を減圧下で十分に攪拌し、エマルジョンを生成させ、その後すぐに加熱して硬化させることができる。
本発明のシリコーンエラストマー多孔質体は、硬化してシリコーンエラストマーを生成する液状シリコーンゴム材および水とともに、界面活性作用を有するシリコーンオイル材を含有する油中水型エマルジョンを減圧下で製造し、これを経由して好適に製造することができる。
液状シリコーンゴム材は、加熱により硬化してシリコーンエラストマーを生成するものであれば特に制限はないが、いわゆる付加反応硬化型液状シリコーンゴムを使用することが好ましい。
また、本発明のエラストマー多孔質体は、上述したように実質的に真球状のセルを有するが、これを製造するためには、減圧下でエマルジョン組成物を調製する必要がある。ここで、減圧下でエマルジョン組成物を調製するとは、原料を混合攪拌してエマルジョンとするプロセスを減圧下で行うことであり、調製した後のエマルジョン組成物を減圧状態として脱気する工程を付与しても不十分である。
本発明では、液状シリコーンゴム材は、市販されているものを用いることができる。例えば、付加反応硬化型液状シリコーンゴムは、それを構成する不飽和脂肪族基を有するポリシロキサンと活性水素含有ポリシロキサンとは別々のパッケージで提供され、以後詳述する両者の硬化に必要な硬化触媒は、不飽和脂肪族基を有するポリシロキサンに添加されている。いうまでもなく、液状シリコーンゴム材は、2種類以上を併用して用いることができる。
界面活性作用を有するシリコーンオイル材は、エマルジョン中に水を安定に分散させるための分散安定剤として作用するものである。すなわち、この界面活性作用を有するシリコーンオイル材は、水に対し親和性を示すとともに、液状シリコーンゴム材に対しても親和性を示すものである。
水は、いうまでもなく、上記油中水型エマルジョン中において、粒子(水滴)の形態で不連続相(分散相)として分散して存在する。後に詳述するように、この水粒子の粒径が、本発明のシリコーンエラストマー多孔質体のセル(気泡)の径を実質的に決定する。
上記油中水型エマルジョンにおいて、液状シリコーンゴム材100重量部に対し、界面活性作用を有するシリコーンオイル材を0.2〜10重量部の割合で、水を10〜250重量部の割合で使用することが、水分散安定性に特に優れたエマルジョンを得る上で好ましい。そのような水分散安定性に優れたエマルジョンを使用することにより、良好な多孔質体をより一層安定に製造することができる。また、界面活性作用を有するシリコーンオイル材は二種以上併用してもよいことはいうまでもない。
ここで、液状ゴム材がシリコーン以外の場合には、エマルジョン組成物は、液状ゴム材を連続相として連続相と相分離する溶媒を分散相とし、必要に応じて界面活性剤や界面活性作用を有する物質を添加してエマルジョンとしたものをエマルジョン組成物とすればよい。
本発明のエラストマー多孔質体は、その用途に応じて、種々の添加剤を含有することができる。そのような添加剤としては、着色料(顔料、染料)、導電性付与材(カーボンブラック、金属粉末等)、充填材(シリカ等)を例示することができる。
本発明で用いるエマルジョン組成物は、種々の方法により製造することができる。シリコーンエラストマーを含有する油中水型エマルジョン組成物を例とすると、一般的には、液状シリコーンゴム材、界面活性作用を有するシリコーンオイル材、および水を、必要に応じてさらなる添加剤とともに、減圧下で混合し、十分に撹拌することによって製造される。なお、エマルジョン組成物を得る場合の材料の混合の順番、混合の方法は特に限定されず、各材料を順番に加えていってもよく、いくつかの材料を混合したもの同士を混合するようにしてもよい。
ここで、減圧条件は、例えば、−30kPa以下、好ましくは−60kPa以下であり、下限は約−100kPaである。
また、減圧下で混合・攪拌するかわりに、各原料を予め脱気した後、空気などの気体に接触しない状態で攪拌してエマルジョンとしてもよい。
エマルジョン組成物を用いてエラストマー多孔質体を製造するためには、必要に応じて硬化触媒の存在下に、エマルジョン組成物の成分を揮発させない状態で一次加熱を行って硬化を行い、その後、二次加熱を行って脱液処理をしながら完全に硬化させるようにする。
シリコーンエラストマー多孔質体を製造するには、エマルジョン組成物を、まず一次加熱する。一次加熱では、エマルジョン中の水を揮発させることなく、液状シリコーンゴム材を加熱硬化させるために、130℃以下の加熱温度を用いることが好ましい。一次加熱の際の加熱温度は、通常、80℃以上であり、加熱時間は、通常、5分〜60分程度である。この一次加熱により、液状シリコーンゴム材が硬化し、エマルジョン中の水粒子をエマルジョン中の状態のまま閉じ込める。硬化したシリコーンゴムは、以下述べる二次加熱による水分の蒸発の際の膨張力に耐える程度までに硬化する。水粒子を閉じ込めた硬化シリコーンゴムから水分を除去するために、二次加熱を行う。この二次加熱は、70℃〜300℃の温度で行うことが好ましい。加熱温度が70℃未満では水の除去に長時間を要し、加熱温度が300℃を超えると、硬化したシリコーンゴムが劣化し得る。70℃〜300℃の加熱では、1時間〜24時間で水分は揮発除去される。二次加熱により水分が揮発除去されるとともに、シリコーンゴム材の最終的な硬化も達成される。揮発除去された水分は、硬化したシリコーンゴム材(シリコーンエラストマー)中に、水粒子の粒径にほぼ等しい径を有するセルを残す。
このように、本発明のエラストマー多孔質体は、化学発泡などの発泡現象を伴うことなくエマルジョン組成物から製造することができる。エマルジョン組成物中の水粒子などの分散相は、一次加熱により硬化したエラストマーに閉じ込められ、二次加熱の際には、単に揮発するだけである。
本発明のシリコーンエラストマー多孔質体は、種々の分野で利用することができる。例えば、複写機、レーザプリンタなどの作像部品、例えば、現像ローラ、トナー供給ローラ、転写ローラ、クリーニングローラに、また複写機、各種プリンタ、プロッタの用紙搬送ローラに使用することができ、さらには定着部品、例えば、定着ローラ、加圧ローラなどにも使用することができる。いずれのローラも基本構成は同じであり、芯金の周りに、本発明のシリコーンエラストマー多孔質体からなる弾性層を有する。弾性層の厚さは、個々のローラにより異なるが、一般的に、0.1mm〜15mm程度であり、長さは通常、400mmまでである。芯金の外径も、個々のローラにより異なるが、通常、5mm〜50mm程度である。
(実施例1)
減圧攪拌装置内において、−98kPa減圧下で以下の通り混合、攪拌を行い、油中水型エマルジョン組成物を調製した。
液状シリコーンゴム材として、東レ・ダウコーニング社から入手した液状シリコーンゴム(商品名DY35−7002)100重量部に、フィラー5重量部、界面活性作用のあるシリコーンオイル5重量部を加え、混合、攪拌して混合物を得た。次に、この混合物に水140重量部を徐々に添加しながら攪拌し、油中水型エマルジョン組成物を調製した。
得られたエマルジョンを、ゴム面長の長さが310mm、外径φ20mmの鉄製芯金をセットした金型内に流し込み、設定温度130℃で40分間加熱(一次加熱)し、成形した。得られた成形体(多孔質体前駆体)を電気炉中、200℃で6時間加熱(二次加熱)し、水を除去した。その後研磨して、外径φ35mm、硬度(Asker C)40°のローラを得た。
(実施例2)
減圧攪拌装置内において、−60kPa減圧下で以下の通り混合、攪拌を行い、油中水型エマルジョン組成物を調製した。
液状シリコーンゴム材として、東レ・ダウコーニング社から入手した液状シリコーンゴム(商品名DY35−7002)100重量部に、フィラー5重量部、界面活性作用のあるシリコーンオイル5重量部を加え、混合、攪拌して混合物を得た。次に、この混合物に水140重量部を徐々に添加しながら攪拌し、油中水型エマルジョン組成物を調製した。
以下、実施例1と同様にして、外径φ35mm、硬度(Asker C)40°のローラを得た。
(実施例3)
減圧攪拌装置内において、−30kPa減圧下で以下の通り混合、攪拌を行い、油中水型エマルジョン組成物を調製した。
液状シリコーンゴム材として、東レ・ダウコーニング社から入手した液状シリコーンゴム(商品名DY35−7002)100重量部に、フィラー5重量部、界面活性作用のあるシリコーンオイル5重量部を加え、混合、攪拌して混合物を得た。次に、この混合物に水140重量部を徐々に添加しながら攪拌し、油中水型エマルジョン組成物を調製した。
以下、実施例1と同様にして、外径φ35mm、硬度(Asker C)40°のローラを得た。
(比較例1)
φ35mm、硬度(Asker C)40°のシリコーンエラストマー多孔質体(信越化学工業社製シリコーンゴムKE−951Uとそれに適合する加硫剤、及び、化学発泡剤を混錬して発泡させたもの)を比較例1のローラとした。
(比較例2)
液状シリコーンゴム材として、東レ・ダウコーニング社から入手した液状シリコーンゴム(商品名DY35−7002)100重量部に、フィラー5重量部、界面活性作用のあるシリコーンオイル5重量部を混合してハンドミキサーで攪拌し、この混合物に水140重量部を徐々に添加しながら攪拌し、油中水型エマルジョン組成物を調製した。
得られたエマルジョンを真空減圧機内で脱泡させ、混入空気を除去した後、ゴム面長の長さが310mm、外径20mmの鉄製芯金をセットした金型内に流し込み、設定温度130℃で40分間加熱(一次加熱)し、成形した。得られた成形体(多孔質体前駆体)を電気炉中、200℃で6時間加熱(二次加熱)し、水を除去した。その後研磨して、外径φ35mm、硬度(Asker C)40°のローラを得た。
(比較例3)
減圧攪拌装置内において、−20kPa減圧下で以下の通り混合、攪拌を行い、油中水型エマルジョン組成物を調製した。
液状シリコーンゴム材として、東レ・ダウコーニング社から入手した液状シリコーンゴム(商品名DY35−7002)100重量部に、フィラー5重量部、界面活性作用のあるシリコーンオイル5重量部を加え、混合、攪拌して混合物を得た。次に、この混合物に水140重量部を徐々に添加しながら攪拌し、油中水型エマルジョン組成物を調製した。
以下、比較例2と同様にして、外径φ35mm、硬度(Asker C)40°のローラを得た。
(試験例1)
実施例1〜3及び比較例1〜3のローラの軸方向中央付近を、径方向及びこれと直交する長手方向に切断し、それぞれの切断面を電子顕微鏡(日本電子製 JSM5600)により観察し、セルが40〜80個ある状態の画像を撮影した(実施例は倍率1000、比較例は倍率100)。そして、各切断面の画像から、全体が観察できるセルを含む所定の矩形領域をそれぞれ第1の観察領域、第2の観察領域とし、この矩形領域に含まれる(境界線にかかるセルは全て含まれるものとした)について、以下の測定を行った。なお、この試験では、径方向の切断面に第1の観察領域を、長手方向の切断面を第2の観察領域を設定したが、これに限定されるものではなく、任意の互いに直交する切断面の第1及び第2の切断面を設定すればよい。
各実施例1〜3及び比較例1〜3それぞれの径方向切断面のSEM写真及び第1の観察領域並びに長手方向切断面のSEM写真及び第2の観察領域を図1〜図12に示す。
撮影画像をマイクロソフト社製EXCEL上で稼動するマクロソフトlenaraf200に取り込み、基準長さを設定し、各観察領域に含まれる各セルの周上をなぞり、それぞれのセルの形状を抽出し、以下に示す方法によりアスペクト比、SF1、SF2を算出した。結果を表1に示す。
<アスペクト比>
1個のセルに対して20ポイント程度の点を打ち、形状の抽出点における最大長さa及び最大長さaに直交する方向の径bを読み取り、各セルのアスペクト比a/bを算出した。
<SF1>
1個のセルに対して20ポイント程度の点を打ち、形状の抽出点における最大長さaの数値及びソフト上で計算されるセル面積を読み取り、これらの数値からSF1を算出した。各実施例1〜3及び比較例1〜3のSF1のヒストグラムを図13〜図24に示す。
<SF2>
1個のセルに対して20ポイント程度の点を打ち、ソフト上で計算されるセル周長及びソフト上で計算されるセル面積を読み取り、これらの数値からSF2を算出した。各実施例1〜3及び比較例1〜3のSF2のヒストグラムを図25〜図36に示す。
(試験例2)
試験例1で得た撮影画像をプリントアウトし、第1の観察領域及び第2の観察領域に含まれるセルの内部を黒マジックにて塗りつぶした。この画像をスキャナーで読み取り、TOYOBO製V10 for Windows(登録商標)95にてセル径・セル個数を計算させた。なお、ソフト上にてセルの認識状態を良好とするため、鮮明度は150とした。また、空隙率は、画像面積に占める面積(平均セル径×セル個数)の割合から算出し、一平方mmあたりのセル数は、セル個数/観察領域面積から算出した。結果を表1に示す。
Figure 2009069805
(結果のまとめ)
実施例1のローラは、第1の観察領域及び第2の観察領域のいずれにおいても、セル径が約10μmを中心として正規分布し、何れにおいてもアスペクト比が1.3以下のセルの割合が87%以上であった。また、図13及び図14から明らかなように、実施例1のローラは形状係数SF1が第1の観察領域及び第2の観察領域において差がほとんどなく、いずれにおいても分布の幅が狭く、120近傍を中心として分布してほとんどが130以下の範囲に分布していた。これより、実施例1のローラは、セルが真球状に近い形であることがわかった。さらに、不整度、すなわち、周面の凹凸状態を表すSF2については、図25及び図26に示すように、何れの観察領域においても、ほとんどが130以下で分布の幅が小さいことがわかった。
また、実施例2、3のローラも第1の観察領域及び第2の観察領域のいずれにおいても、セル径が約10μmを中心として正規分布し、アスペクト比が1.3以下のセルの割合が70%以上であった。また、図15〜図18から明らかなように、実施例2、3のローラも形状係数SF1が第1の観察領域及び第2の観察領域において差がほとんどなく、いずれにおいても分布の幅が狭く、80%以上が150以下の範囲に分布していた。これより、実施例2、3のローラもセルが真球状に近い形であることがわかった。さらに、不整度、すなわち、周面の凹凸状態を表すSF2については、図27〜図30に示すように、何れの観察領域においても、80%以上が130以下に分布していることがわかった。
これに対し、比較例1のローラは、いずれもアスペクト比が1.3以下のセルの割合が小さく、扁平した球状のセルの方が多いことが確認された。また、図19及び図20から明らかなように、比較例1のローラは、第1の観察領域及び第2の観察領域においてもSF1が非常に大きく、また、いずれにおいても分布にばらつきがあり、セルが不均一で大きく扁平していることがわかった。さらに、図31及び図32に示すように、形状係数SF2についても実施例1〜3より大きく且つ分布がばらついており、セルの形状が均一ではなく、ゆがんだ球状であることがわかった。
また、比較例2、3のローラは、いずれもアスペクト比が1.3以下のセルの割合が62〜67%と小さく、扁平した球状のセルが実施例1〜3より多いことが確認された。また、図21〜図24から明らかなように、比較例2、3のローラは、第1の観察領域及び第2の観察領域においてSF1が大きく、150以下が60%台であり、分布にばらつきがあり、セルが不均一で大きく扁平していることがわかった。さらに、図33〜図36に示すように、形状係数SF2についても実施例1〜3より大きく、130以下が70%台で且つ分布がばらついており、セルの形状が均一ではなく、ゆがんだ球状であることがわかった。
また、実施例1のローラはセル径が50μm以下のセルの割合が100%であり、セルの個数/mm2が4884以上であったのに対し、比較例1のローラはセル径が50μm以下のセルの割合が0であり、セルの個数/mm2が22以下であった。これより、実施例1のローラは、比較例1と比べて非常に微細なセルが緻密に存在することがわかった。
(試験例3)
図37に示すように、定着ローラ21、加圧ローラ22、加熱ローラ23及び定着ベルト25を具備するベルト定着装置10を用いて耐久試験を行った。このベルト定着装置10は、回転自在に軸支された定着ローラ21の下方に加圧ローラ22が転接する状態で回転自在に支持されており、略上方に加熱ローラ23が回転自在に支持されている。そして、加熱ローラ23の内部には加熱源24が配設され、加熱ローラ23と定着ローラ21とに渡って、定着ベルト(熱伝達ベルト)25がエンドレスに巻回されている。
このようなベルト定着装置10において、実施例1〜3及び各比較例1〜3のローラを定着ローラとして搭載し、定着ローラが破壊されるまでの時間を測定した。なお、加圧ローラ22には、φ35mm、厚さ2.5mm、硬度がAsker C68°のシリコーンスポンジに厚さ30μmのPFAチューブを被覆したローラを用い、ニップ幅は10.5〜11.5mmであった。ここでの耐久運転の条件は、ベルト表面を160〜170℃に加熱して8時間/日の連続運転を行うと共に、加熱源(ヒータ)をOFFにした16時間/日の連続運転である。それぞれ同様の試験を5回行った。また、このときのウォーミングアップ時間を測定し、比較例1のウォーミングアップ時間に対する比率を測定した。ここで、ウォーミングアップ時間とは待機状態からの立ち上がり時間のことである。結果を表2に示す。
Figure 2009069805
(結果のまとめ)
表2に示すように、実施例1〜3及び比較例2〜3のローラは、比較例1のローラと同程度のウォーミングアップ時間であった。これより、実施例1〜3のローラは従来のスポンジローラと同程度の断熱性があることがわかった。
また、実施例1〜3のローラは、いずれも500時間以上まで連続運転できることがわかった。これに対し、比較例1のローラは大部分が100時間以下の時間の運転で破壊されてしまい、比較例2〜3のローラは300時間程度の運転で破壊されてしまう可能性があることがわかった。これより、実施例1〜3のローラは、比較例1〜3の従来のローラよりも高い耐久性を示すことがわかった。

Claims (14)

  1. 所定断面を所定倍率とした第1の観察領域の各セルを観察した際に、各セルの面積Aと周長Pとを用いて下記式で表される不整度を表す形状係数SF2が130以下のセルが全セル数の80%以上であり、且つ前記所定断面と直交する断面を所定倍率とした第2の観察領域の各セルを観察した際に、各セルの面積Aと周長Pとを用いて下記式で表される不整度を表す形状係数SF2が130以下のセルが全セル数の80%以上であることを特徴とするエラストマー多孔質体。
    Figure 2009069805
  2. 硬化してエラストマーを生成する液状ゴム材を連続相とするエマルジョン組成物を経由して製造されたエラストマー多孔質体であることを特徴とする請求項1に記載のエラストマー多孔質体。
  3. 前記液状ゴム材が液状シリコーンゴム材であることを特徴とする請求項1又は2に記載のエラストマー多孔質体。
  4. 前記第1の観察領域又は第2の観察領域において、50μm以下の径を有するセルが全セル数の50%以上を占めることを特徴とする請求項1〜3の何れか1項に記載のエラストマー多孔質体。
  5. 前記第1の観察領域及び前記第2の観察領域のそれぞれにおいて、各セルの最大直径である長径aとそれと直交する方向の径bとの比であるアスペクト比a/bが1.3以下のセルが全セル数の70%以上であることを特徴とする請求項1〜4の何れか1項に記載のエラストマー多孔質体。
  6. 空隙率が30%以上であり、断面で観察される一平方mm当たりのセルの数が200以上であることを特徴とする請求項1〜5の何れか1項に記載のエラストマー多孔質体。
  7. 請求項1〜6の何れか1項に記載のエラストマー多孔質体からなることを特徴とするロール部材。
  8. 請求項1〜6の何れか1項に記載のエラストマー多孔質体からなることを特徴とする定着部材。
  9. 硬化してエラストマーを生成する液状ゴム材を連続相とするエマルジョン組成物を減圧下で調製し、このエマルジョン組成物を硬化すると共に分散相を脱液処理し、所定断面を所定倍率とした第1の観察領域の各セルを観察した際に、各セルの面積Aと周長Pとを用いて下記式で表される不整度を表す形状係数SF2が130以下のセルが全セル数の80%以上であり、且つ前記所定断面と直交する断面を所定倍率とした第2の観察領域の各セルを観察した際に、各セルの面積Aと周長Pとを用いて下記式で表される不整度を表す形状係数SF2が130以下のセルが全セル数の80%以上であるエラストマー多孔質体とすることを特徴とするエラストマー多孔質体の製造方法。
    Figure 2009069805
  10. 前記液状ゴム材が液状シリコーンゴム材であることを特徴とする請求項9記載のエラストマー多孔質体の製造方法。
  11. 前記エマルジョン組成物が、液状シリコーンゴム材、界面活性作用を有するシリコーンオイル材、および水を含有する油中水型エマルジョン組成物であることを特徴とする請求項9又は10記載のエラストマー多孔質体の製造方法。
  12. 前記第1の観察領域又は第2の観察領域において、50μm以下の径を有するセルが全セル数の50%以上を占めるエラストマー多孔質体を得ることを特徴とする請求項9〜11の何れか1項に記載のエラストマー多孔質体の製造方法。
  13. 前記第1の観察領域及び前記第2の観察領域のそれぞれにおいて、各セルの最大直径である長径aとそれと直交する方向の径bとの比であるアスペクト比a/bが1.3以下のセルが全セル数の70%以上であるエラストマー多孔質体を得ることを特徴とする請求項9〜12の何れか1項に記載のエラストマー多孔質体の製造方法。
  14. 空隙率が30%以上であり、断面で観察される一平方mm当たりのセルの数が200以上であるエラストマー多孔質体を得ることを特徴とする請求項9〜13の何れか1項に記載のエラストマー多孔質体の製造方法。
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