JPWO2009054367A1 - 標的dnaの検出方法及び標的dna検出キット - Google Patents

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Abstract

本発明は、標的DNAのセンス鎖とアンチセンス鎖の同時解析により、簡便、高精度に標的DNAを検出する方法、及びそのためのキットを提供する。本発明の標的DNAを検出する方法は、標的塩基配列を有するセンス鎖と、これに相補的なアンチセンス鎖とからなる標的DNAの検出方法であり、センス鎖とハイブリダイズする第1のオリゴヌクレオチドと、アンチセンス鎖とハイブリダイズする第2のオリゴヌクレオチドとを用い、アンチセンス鎖のうち、第2のオリゴヌクレオチドとハイブリダイズする領域の少なくとも一部分が、センス鎖の第1のオリゴヌクレオチドとハイブリダイズする領域の少なくとも一部と相補的であり、第1のオリゴヌクレオチドと第2のオリゴヌクレオチドとを、一の反応溶液に同時添加して、標的DNAとそれぞれハイブリダイズさせた後、ライゲーション反応及び/又はPCRを行い、産物を検出する。

Description

本発明は、ハイブリダイゼーション法を応用した方法であって、標的塩基配列を有するセンス鎖と、前記センス鎖と相補的なアンチセンス鎖を、同時に解析することにより、精度よく標的DNAを検出する方法、及び該方法に用いられるキットに関する。
近年の遺伝子操作技術や遺伝子組換え技術等の進歩に伴い、核酸分析による遺伝子検査は、医療、研究、産業への応用に広く用いられている。このような検査は試料中の標的塩基配列を有するDNAの存在の検出を行うものであり、疾患の診断、治療だけでなく、食品検査等の様々な分野において応用されている。特に、SNP(一塩基多型)は、癌等の特定の疾患に対する罹り易さや、薬物代謝能等の個体差の主要な一因と考えられており、学術研究においてのみならず、実際の臨床検査においても、SNP解析が広く行われている。このため、高精度かつ迅速にSNPを検出し得る方法の開発が盛んである。
SNPを検出する方法として、プローブやプライマー等の人工合成した短鎖のオリゴヌクレオチドを用いて核酸の塩基配列を調べる方法が多数報告されている。例えばあるSNPにおいて、あるアレルに特異的に結合し得るプライマーを用いてPCR(Polymerase Chain Reaction、ポリメラーゼ連鎖反応)を行い、PCR産物の有無によりSNPを検出する方法や、検出対象であるSNPを3'末端に有するプローブと、該SNPの5'側の隣の塩基を5'末端に有するプローブを用いて、ライゲーション反応を行い、2つのプローブが結合された一のオリゴヌクレオチドが得られるか否かによりSNPを検出する方法等のように、分子生物学的な酵素反応を用いて、解析対象であるSNP及びその近傍の塩基配列を解析する方法が汎用されている。
このような酵素反応を用いた解析法は、SNP解析のように塩基配列のうちのたった1つの塩基の相違のみを解析する場合には、非特異的な反応が生じ易いという問題がある。例えば、臨床検査のように、測定対象である試料が少量である場合や、不純物が多い等の質的な問題がある場合には、しばしば非特異的な反応が生じる結果、解析にエラーが生じてしまう。一方で、医療を目的とした遺伝子解析では、検査の誤りは患者に対して致命的な結果をもたらすおそれが大きく、高い正確性が強く求められている。さらに、臨床検査では、限られた時間のなかで非常に多くの検体を処理する場合が多く、検査の迅速性や作業性の改善も求められている。
従来の生化学的な検査では、複数項目の結果の比較により、生化学的な知見から、エラーデータの検出がなされている。SNPの検出においても、他の検査と同様に、複数の検査結果を比較検討することにより、より精度の高い結果が得られると考えられる。例えば、センス鎖だけではなく、アンチセンス鎖の塩基配列も解析して、両鎖の塩基を検出することにより、塩基の相補性から検査の正確性を高めることができる。
その他にも、SNP検出の精度を向上させるために、種々の方法が開示されている。例えば、(1)部分的には標的核酸配列と相補するが完全には相補的ではない改変されたオリゴヌクレオチドプローブを用いて、SNPの標的のアレルに対するアフィニティーが、対照のアレルに対するアフィニティーよりも高くするようにして、標的のアレルの検出精度を高める方法が開示されている(例えば、特許文献1参照。)。また、(2)特定の塩基配列を有する標的DNAと特異的に結合するプローブであって、プローブ同士の会合体の安定性よりも該標的DNAとの会合体の安定性のほうが高くなるように設計したプローブを用いる方法がある。このように、プローブ同士に対するアフィニティーを下げることにより、非特異的な酵素反応等を抑えて、SNP検出の精度を向上させることができる。
このようなプローブを擬相補性プローブといい、例えば、2−チオウラシル/2,6−ジアミノプリンの組み合わせを利用する方法(例えば、非特許文献1参照。)や、人工核酸の導入に加えて主鎖をPNA(ペプチド核酸)に変えた人工的な核酸が提案されている(例えば、非特許文献2参照。)。
特表2000−511434号公報 クツィァビン(Kutyavin)ら、バイオケミストリー(Biochemistry)、第35巻第34号、11170〜11176ページ、1996年。 ロース(Lohse)ら、プロシーディング・オブ・ナショナルアカデミー・オブ・サイエンス・オブ・ユナイテッドステーツ・オブ・アメリカ(Proceedings of the National Academy of Sciences of the United States of America)、第96巻第21号、11804〜11808ページ、1999年。 西田ら、アナリティカル・バイオケミストリー(Analytical Biochemistry)、第364巻、78〜85ページ、2007年。
センス鎖を解析するためのプローブと、センス鎖の解析領域に対応するアンチセンス鎖を解析するためのプローブは、必然的に互いに相補的なプローブとなる。したがって、センス鎖とアンチセンス鎖の両方を解析するために、それぞれを検出するためのプローブを検査対象に同時に添加した場合は、プローブ同士がハイブリダイズし、プローブとセンス鎖又はアンチセンス鎖とのハイブリダイゼーションが阻害されるため、解析反応が失敗することが多いと考えられていた。このため、プローブの競合を防止するために、センス鎖の解析とアンチセンス鎖の解析を、それぞれ単独に行う必要があり、迅速性や作業性の簡便さの点で問題があった。
一方、上記(2)の方法によれば、プローブ同士のハイブリダイズ産物の安定性よりも、プローブと標的DNAとの会合体の安定性をより高くすることができるが、2−チオウラシルや2,6−ジアミノプリン等の修飾核酸や、ペプチド核酸を用いることから、プローブの合成コストが高くなり、多検体を処理する必要がある臨床検査等には好ましくない。また、上記(1)の方法は、塩基配列の識別の特異性の向上を目的とするものであり、上記特許文献1には、センス鎖とアンチセンス鎖の両方を同時に解析する方法については、一切記載されてはいない。
本発明は、ハイブリダイゼーション法を応用した方法であって、標的DNAのセンス鎖とアンチセンス鎖を同時に解析することより、簡便にかつ精度よく標的DNAを検出する方法、及び該方法に用いられるキットを提供することを目的とする。
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意研究した結果、センス鎖とハイブリダイズするオリゴヌクレオチドと、アンチセンス鎖とハイブリダイズするオリゴヌクレオチドとを、一の反応溶液に同時に添加してハイブリダイゼーションを行うことにより、センス鎖とアンチセンス鎖を同時に解析できること、及び、前記各オリゴヌクレオチドに適宜ミスマッチを導入することにより、オリゴヌクレオチドと標的DNAの会合体の熱力学的安定性を、オリゴヌクレオチド同士との会合体よりも高くすることにより、高精度にセンス鎖とアンチセンス鎖を同時に解析できることを見出し、本発明を完成させた。
すなわち、本発明は、標的塩基配列を有するセンス鎖と、前記センス鎖と相補的なアンチセンス鎖とからなる標的DNAを検出する方法であって、前記センス鎖とハイブリダイズする第1のオリゴヌクレオチドと、前記アンチセンス鎖とハイブリダイズする第2のオリゴヌクレオチドとを用いるものであり、前記アンチセンス鎖のうち、前記第2のオリゴヌクレオチドとハイブリダイズする領域の少なくとも一部分が、前記センス鎖の前記第1のオリゴヌクレオチドとハイブリダイズする領域の少なくとも一部と相補的であり、前記第1のオリゴヌクレオチドと前記第2のオリゴヌクレオチドとを、一の反応溶液に同時に添加して、前記標的DNAとそれぞれハイブリダイズさせた後、ライゲーション反応及び/又はPCR(Polymerase Chain Reaction)を行い、産物を検出することを特徴とする標的DNAの検出方法を提供するものである。
また、本発明は、前記第1のオリゴヌクレオチドと前記第2のオリゴヌクレオチドとからなる会合体が有するミスマッチの数が、前記センス鎖と前記第1のオリゴヌクレオチドとからなる会合体が有するミスマッチの数又は前記アンチセンス鎖と前記第2のオリゴヌクレオチドとからなる会合体が有するミスマッチの数よりも多いことを特徴とする標的DNAの検出方法を提供するものである。
また、本発明は、前記第1のオリゴヌクレオチドと前記第2のオリゴヌクレオチドに、それぞれ1以上のミスマッチを導入することを特徴とする標的DNAの検出方法を提供するものである。
また、本発明は、前記標的塩基配列が、SNP(一塩基多型)を含む塩基配列であることを特徴とする標的DNAの検出方法を提供するものである。
また、本発明は、前記センス鎖と、前記センス鎖の前記第1のオリゴヌクレオチドとハイブリダイズする領域とは異なる領域でハイブリダイズする第3のオリゴヌクレオチドと、前記アンチセンス鎖と、前記アンチセンス鎖の前記第2のオリゴヌクレオチドとハイブリダイズする領域とは異なる領域でハイブリダイズする第4のオリゴヌクレオチドとを用いるものであり、前記アンチセンス鎖のうち、前記第4のオリゴヌクレオチドとハイブリダイズする領域の少なくとも一部分が、前記センス鎖の前記第3のオリゴヌクレオチドとハイブリダイズする領域の少なくとも一部と相補的であり、前記第1のオリゴヌクレオチド、前記第2のオリゴヌクレオチド、前記第3のオリゴヌクレオチド、及び前記第4のオリゴヌクレオチドを、一の反応溶液に同時に添加して、前記標的DNAとそれぞれハイブリダイズさせた後、ライゲーション反応及び/又はPCRを行い、産物を検出することを特徴とする標的DNAの検出方法を提供するものである。
また、本発明は、前記いずれか記載の標的DNAの検出方法に用いられるキットであって、前記第1のオリゴヌクレオチドと前記第2のオリゴヌクレオチドとを有することを特徴とする標的DNA検出キットを提供するものである。
また、本発明は、前記記載の標的DNAの検出方法に用いられるキットであって、前記第1のオリゴヌクレオチド、前記第2のオリゴヌクレオチド、前記第3のオリゴヌクレオチド、前記第4のオリゴヌクレオチドを有することを特徴とする標的DNA検出キットを提供するものである。
本発明の標的DNAの検出方法は、センス鎖とアンチセンス鎖を同時に解析できるため、SNPの検出において、正確性を高めるためにセンス鎖とアンチセンス鎖の双方を解析する場合であっても、多検体を簡便かつ迅速に解析することが可能となる。特に、解析に用いるオリゴヌクレオチドに適宜ミスマッチを導入することにより、オリゴヌクレオチド同士の会合体の熱力学的安定性を低下させることができるため、オリゴヌクレオチドとセンス鎖又はアンチセンス鎖とのハイブリダイゼーションが高効率になされる結果、SNPの検出精度を向上させることができる。
DigiTag2法を用いた本発明の標的DNAの検出方法の一態様の概要を示した図である。 rs17822931の近傍の塩基配列を示した図であり、図中、[C/T]がSNPである。 参考例1において計測した各会合体のTm値を示した図である。図中、左カラムはセンス鎖−Commonプローブ会合体のTm値であり、右カラムはCommonプローブ−Queryプローブ会合体のTm値を示している。また、(A)はCommonプローブとQueryプローブとを用いた場合であり、(B)はCommonプローブとQuery2プローブとを用いた場合であり、(C)はCommon2プローブとQuery2プローブとを用いた場合である。 実施例1において、ライゲーション量を測定した結果を示した図である。図中、「サンプル型」とは、用いたDNAサンプルのSNPの型を表したものであり、「NC」は対照を意味する。また、「プローブ型」とは、用いたプローブが検出対象とするSNPを意味しており、「C−Probe」は、5'側センス(C)プローブ又は5'側アンチセンス(C)プローブのいずれかを用いたことを示しており、「T−Probe」は、5'側センス(T)プローブ又は5'側アンチセンス(T)プローブのいずれかを用いたことを示している。
符号の説明
1…5'側(センス鎖)プローブ、2…3'側 (アンチセンス鎖)プローブ、3…3'側(センス鎖)プローブ、4…5'側(アンチセンス鎖)プローブ、5…5'側(センス鎖)プローブ1と3'側 (センス鎖)プローブ3が結合したオリゴヌクレオチド、6…3'側(アンチセンス鎖)プローブ2と5'側(アンチセンス鎖)プローブ4が結合したオリゴヌクレオチド
本発明における標的塩基配列とは、検出の対象となる塩基配列であって、遺伝子組換え技術等により検出が可能な程度に塩基配列が明らかになっているものであれば、特に限定されるものではない。例えば、動物や植物の染色体や、細菌やウィルスの遺伝子に存在する塩基配列であってもよく、mRNA等の生物のRNAに存在する塩基配列であってもよい。SNPを有する塩基配列であることが好ましく、ヒトのSNPを有する塩基配列であることがより好ましい。
本発明における標的塩基配列を有する標的DNAは、標的塩基配列を有するセンス鎖と、前記センス鎖と相補的なアンチセンス鎖とからなる二本鎖DNAである。該標的DNAとして、例えば、血液や体液等の生体試料(検体)中に含有されるDNAや、これらの生体試料等から抽出されたDNAであってもよく、これらのDNAを鋳型として増幅されたDNAであってもよい。また、生体試料中に含有されるRNAから逆転写酵素を用いて合成されたcDNAであってもよい。
本発明の標的DNAの検出方法は、標的塩基配列を有するセンス鎖と、前記センス鎖と相補的なアンチセンス鎖とからなる標的DNAを検出する方法であって、前記センス鎖とハイブリダイズする第1のオリゴヌクレオチドと、前記アンチセンス鎖とハイブリダイズする第2のオリゴヌクレオチドとを用いるものであり、前記アンチセンス鎖のうち、前記第2のオリゴヌクレオチドとハイブリダイズする領域の少なくとも一部分が、前記センス鎖の前記第1のオリゴヌクレオチドとハイブリダイズする領域の少なくとも一部と相補的であり、前記第1のオリゴヌクレオチドと前記第2のオリゴヌクレオチドとを、一の反応溶液に同時に添加して、前記標的DNAとそれぞれハイブリダイズさせた後、ライゲーション反応及び/又はPCRを行い、産物を検出することを特徴とする。
すなわち、本発明の標的DNAの検出方法は、第1のオリゴヌクレオチドと第2のオリゴヌクレオチドとを、標的DNAとそれぞれハイブリダイズさせることを特徴とするものであり、ハイブリダイゼーション法を用いた標的核酸の検出方法の精度や作業性を向上させ得る方法である。
ここで、アンチセンス鎖のうち、第2のオリゴヌクレオチドとハイブリダイズする領域の少なくとも一部分が、センス鎖の第1のオリゴヌクレオチドとハイブリダイズする領域の少なくとも一部と相補的であるとは、アンチセンス鎖の第2のオリゴヌクレオチドとハイブリダイズする領域と、センス鎖の第1のオリゴヌクレオチドとハイブリダイズする領域が、部分的に塩基対を形成し得ることを意味する。センス鎖の第1のオリゴヌクレオチドとハイブリダイズする領域と、アンチセンス鎖の第2のオリゴヌクレオチドとハイブリダイズする領域は、必ずしも完全に塩基対を形成し得る必要はなく、各領域は、それぞれのハイブリダイゼーション効率を考慮して、適宜決定することができる。
つまり、標的DNAの一部分においては、該一部分のセンス鎖には第1のオリゴヌクレオチドがハイブリダイズし、アンチセンス鎖には第2のオリゴヌクレオチドがハイブリダイズすることになる。本発明においては、このような、第1のオリゴヌクレオチドと第2のオリゴヌクレオチドのような関係を、「表裏の関係」ということがある。
このように、第1のオリゴヌクレオチドと第2のオリゴヌクレオチドは、少なくとも一部は互いに相補的な塩基配列を有しており、これらのオリゴヌクレオチドを一の反応溶液に同時に添加した場合には、ハイブリダイズによりオリゴヌクレオチド同士の会合体を形成し得る。このため、標的DNAとともに一の反応溶液に添加すると、第1のオリゴヌクレオチドに対して、本来の目的である標的DNAのセンス鎖と第2のオリゴヌクレオチドが、ハイブリダイゼーションにおいて互いに競合する。同様に、第2のオリゴヌクレオチドに対して、本来の目的である標的DNAのアンチセンス鎖と第1のオリゴヌクレオチドが互いに競合する。しかしながら、このようにオリゴヌクレオチド同士で会合体を形成するものは、反応溶液に添加したオリゴヌクレオチドの一部にすぎない。このため、オリゴヌクレオチド同士で会合体を形成しなかった残りのオリゴヌクレオチドのうち、第1のオリゴヌクレオチドを本来の目的である標的DNAのうちのセンス鎖と、第2のオリゴヌクレオチドを本来の目的であるアンチセンス鎖と、それぞれハイブリダイズさせることができ、このハイブリダイゼーションを利用して、標的DNAを検出することができる。
また、第1のオリゴヌクレオチドの、センス鎖とハイブリダイズする領域は、センス鎖とハイブリダイズし得る塩基配列を有するものであれば、特に限定されるものではなく、センス鎖と完全に相補的な塩基配列を有する領域であってもよく、ミスマッチを含む塩基配列であってもよい。同様に、第2のオリゴヌクレオチドの、アンチセンス鎖とハイブリダイズする領域も、アンチセンス鎖と完全に相補的な塩基配列を有する領域であってもよく、ミスマッチを含む塩基配列であってもよい。ここで、ミスマッチとは、互いに塩基対を形成しない塩基を意味する。
特に、第1のオリゴヌクレオチドと第2のオリゴヌクレオチドとからなる会合体が有するミスマッチの数が、センス鎖と第1のオリゴヌクレオチドとからなる会合体が有するミスマッチの数又はアンチセンス鎖と第2のオリゴヌクレオチドとからなる会合体が有するミスマッチの数よりも多くなるように、それぞれのオリゴヌクレオチドにミスマッチを導入することが好ましい。DNAのハイブリダイゼーションの安定性は、形成される会合体の連続した塩基対の長さに大きく影響される。形成される会合体の連続した塩基対の長さが短くなるほど、該会合体の熱力学的な安定性が損なわれるためと考えられる。ミスマッチを有する場合には、形成される会合体が、該ミスマッチの箇所で分断されるため、該会合体が熱力学的に不安定になり、ハイブリダイゼーション効率が低下する。したがって、オリゴヌクレオチド同士の会合体が有するミスマッチの数を、オリゴヌクレオチドとセンス鎖又はアンチセンス鎖との会合体が有するミスマッチの数よりも多くすることにより、オリゴヌクレオチド同士のハイブリダイズよりも、センス鎖又はアンチセンス鎖とのハイブリダイズを優先的に行うことができるという擬相補性を持たせることができる。
例えば、第1のオリゴヌクレオチドと前記第2のオリゴヌクレオチドに、会合体を形成した場合にミスマッチが重ならないように、それぞれ1のミスマッチを導入した場合には、各オリゴヌクレオチドとセンス鎖又はアンチセンス鎖との会合体のミスマッチは1箇所だが、オリゴヌクレオチド同士の会合体のミスマッチは2箇所となるために、それぞれの会合体の安定性に差を設けることができ、各オリゴヌクレオチドに擬相補性を持たせることができる。
各オリゴヌクレオチドに導入するミスマッチの数や位置は、擬相補性を維持し得る限り、特に限定されるものではなく、形成され得る3種類の会合体(第1のオリゴヌクレオチドと第2のオリゴヌクレオチドとからなる会合体、センス鎖と第1のオリゴヌクレオチドとからなる会合体、及びアンチセンス鎖と第2のオリゴヌクレオチドとからなる会合体)のTm値(二重鎖融解温度)やハイブリダイゼーション効率等を考慮して、適宜決定することができる。第1のオリゴヌクレオチドと前記第2のオリゴヌクレオチドに、それぞれ1以上のミスマッチを、会合体を形成した場合にミスマッチが重ならないように設計して導入することが好ましい。両方のオリゴヌクレオチドにミスマッチを導入することにより、より効果的にオリゴヌクレオチド同士の会合体の熱力学的安定性を低下させることができるためである。但し、導入するミスマッチの数があまりに多くなりすぎると、本来の目的であるセンス鎖又はアンチセンス鎖とのハイブリダイゼーション効率の低下や、標的DNA以外のDNAとのハイブリダイゼーションの促進等を招くおそれがあるため、ミスマッチの数は、オリゴヌクレオチドのセンス鎖等とのハイブリダイズする領域の塩基数の20%以下であることが好ましい。
本発明の第1のオリゴヌクレオチドと第2のオリゴヌクレオチドを構成する塩基は、天然の塩基であってもよく、修飾された塩基等の合成された塩基であってもよいが、天然の塩基であることが好ましい。ハイブリダイゼーション等の標的DNAの検出反応に対する影響が小さいため、及び、合成塩基を用いた場合よりも簡便かつ安価に合成し得るためである。
本発明の第1のオリゴヌクレオチドと第2のオリゴヌクレオチドは、センス鎖等とのハイブリダイズを阻害しない限り、センス鎖等とハイブリダイズするための領域以外に、付加的な塩基配列を有していてもよい。該付加的な配列として、例えば、制限酵素認識配列や、核酸の標識に供される配列等がある。
このようなオリゴヌクレオチドは、当該技術分野においてよく知られている方法のいずれを用いても設計することができる。例えば、公知のゲノム配列データやSNPデータと、汎用されているプライマー設計ツールを用いて、簡便に設計することができる。該プライマー設計ツールとして、例えば、Web上で利用可能なPrimer3(Rozen,S., H.J. Skaletsky、1996年、http: //www−genome.wi.mit.edu/genome_software/other/primer3. html)や、Visual OMP(DNA Software社製)等がある。このようなプライマー設計ツールにより、Tm値やハイブリダイゼーション効率の計測が簡便に行えるため、より好ましいミスマッチを効率よく導入することができる。公知のゲノム配列データは、通常、国際的な塩基配列データベースである、NCBI(National center for Biotechnology Information)や、DDBJ(DNA Data Bank of Japan)等において入手することができる。また、公知のSNPデータは、例えば、東大医科学研究所の整備した日本人のSNPのデータベースJSNP(http://snp.ims.u−tokyo.ac.jp/index_ja.html)等のデータベースから入手することができる。
このようにして設計したオリゴヌクレオチドは、当該技術分野においてよく知られている方法のいずれを用いても合成することができる。例えば、オリゴ合成メーカーに合成をされ依頼してもよく、市販の合成機を用いて独自に合成してもよい。
また、本発明の標的DNAの検出方法において用いられるオリゴヌクレオチドは、標的DNAの検出を容易にするために、標識されたものであってもよい。該標識をするための物質は、核酸の標識に用いることができるものであれば、特に限定されるものではなく、放射性同位体、蛍光物質、化学発光物質、ビオチン等がある。
第1のオリゴヌクレオチドと第2のオリゴヌクレオチドとを、標的DNAとそれぞれハイブリダイズさせた後に、得られた会合体を用いてライゲーション反応やPCRを行い、産物を検出することにより、標的DNAを検出することができる。該検出方法は、ライゲーション反応やPCRを用いるものであれば、特に限定されるものではなく、ハイブリダイゼーション法を応用した標的核酸の検出方法として、公知の手法を用いることができる。特にSNPの検出に用いられている手法であることが好ましい。
また、一の反応溶液中に複数の表裏の関係にあるオリゴヌクレオチドを同時に添加する方法であってもよい。具体的には、第1のオリゴヌクレオチドと第2のオリゴヌクレオチドに加えて、互いに表裏の関係にある第3のオリゴヌクレオチドと第4のオリゴヌクレオチドを用いてもよい。ここで、該第3のオリゴヌクレオチドは、センス鎖と、センス鎖の第1のオリゴヌクレオチドとハイブリダイズする領域とは異なる領域でハイブリダイズするオリゴヌクレオチドであり、該第4のオリゴヌクレオチドは、アンチセンス鎖と、アンチセンス鎖の第2のオリゴヌクレオチドとハイブリダイズする領域とは異なる領域でハイブリダイズするオリゴヌクレオチドである。
PCRを行い、産物を検出する方法として、例えば、第1のオリゴヌクレオチドを、センス鎖を鋳型として増幅を行うためのフォワードプライマー、第3のオリゴヌクレオチドを、センス鎖を鋳型として増幅を行うためのリバースプライマー、第4のオリゴヌクレオチドを、アンチセンス鎖を鋳型として増幅を行うためのフォワードプライマー、第2のオリゴヌクレオチドを、アンチセンス鎖を鋳型として増幅を行うためのリバースプライマーとして、一の反応溶液中でPCRを行い、標的DNAのセンス鎖とアンチセンス鎖を同時に増幅し、それぞれの産物を検出することにより、標的DNAを検出することができる。
また、それぞれの産物の塩基配列を確認することにより、該産物の検出をより高精度に行うこともできる。
ライゲーション反応を行い、産物を検出する方法として、例えば、第1のオリゴヌクレオチドと第3のオリゴヌクレオチドを、センス鎖の隣接した領域にハイブリダイズするプローブとし、第2のオリゴヌクレオチドと第4のオリゴヌクレオチドを、アンチセンス鎖の隣接した領域にハイブリダイズするプローブとし、一の反応溶液中でライゲーション反応を行い、産物を検出することにより、標的DNAを検出することができる。具体的には、第1のオリゴヌクレオチドと第3のオリゴヌクレオチドが結合したオリゴヌクレオチドと、第2のオリゴヌクレオチドと第4のオリゴヌクレオチドが結合したオリゴヌクレオチドが、それぞれ得られるか否かを確認することにより、標的DNAのセンス鎖とアンチセンス鎖を同時に検出することができる。
本発明の標的DNAの検出方法としては、SNPの検出に優れているDigiTag2法(非特許文献3)を用いることが特に好ましい。
図1は、DigiTag2法を用いた本発明の標的DNAの検出方法の一態様の概要を示したものである。具体的には、野生型アレルがCであり、変異型アレルがTであるSNPの、野生型アレルの塩基配列を標的塩基配列とした場合に、検体DNAが野生型アレル(標的DNA)であるか否かを検出する方法である。例えば、第1のオリゴヌクレオチドとして、3'末端の塩基が野生型アレルのセンス鎖のSNP(C)に相補的なGであり、野生型アレルのセンス鎖とハイブリダイズする領域を3'側に有し、5'側にタグ配列であるrEDを有する5'側(センス鎖)プローブ1を用いる。第2のオリゴヌクレオチドとして、5'末端の塩基が野生型アレルのアンチセンス鎖のSNP(G)の5'側隣の塩基に相補的な塩基であり、野生型アレルのアンチセンス鎖とハイブリダイズする領域を5'側に有し、3'側にタグ配列であるrDCN2を有する3'側 (アンチセンス鎖)プローブ2を用いる。第3のオリゴヌクレオチドとして、5'末端の塩基が野生型アレルのセンス鎖のSNP(C)の5'側隣の塩基に相補的な塩基であり、野生型アレルのセンス鎖とハイブリダイズする領域を5'側に有し、3'側にタグ配列であるrDCN1を有する3'側(センス鎖)プローブ3を用いる。第4のオリゴヌクレオチドとして、3'末端の塩基が野生型アレルのアンチセンス鎖のSNP(G)に相補的なCであり、野生型アレルのアンチセンス鎖とハイブリダイズする領域を3'側に有し、5'側にタグ配列であるrEDを有する5'側(アンチセンス鎖)プローブ4を用いる。
これら4種類のオリゴヌクレオチドと、SNPの検出対象である検体DNAを一の反応溶液に添加し、変性工程とアニール工程を行うと、野生型アレル及び変異型アレルのセンス鎖に5'側(センス鎖)プローブ1と3'側 (センス鎖)プローブ3が、野生型アレル及び変異型アレルのアンチセンス鎖に3'側 (アンチセンス鎖)プローブ2と5'側(アンチセンス鎖)プローブ4が、それぞれハイブリダイズする。ここで、5'側(センス鎖)プローブ1と3'側(アンチセンス鎖)プローブ2、及び、3'側(センス鎖)プローブ3と5'側(アンチセンス鎖)プローブ4も、それぞれハイブリダイズし、会合体を形成する。しかし、各オリゴヌクレオチドに適宜ミスマッチを導入することにより、擬相補性を持たせることができるため、各オリゴヌクレオチドを一の反応溶液に添加した場合であっても、優先的にセンス鎖又はアンチセンス鎖とハイブリダイズさせることができる。
その後、DNAリガーゼを反応溶液に添加してライゲーション反応を行うことにより、図1に示すように、検体DNAが野生型である場合には、5'側(センス鎖)プローブ1と3'側 (センス鎖)プローブ3が結合したオリゴヌクレオチド5と、3'側(アンチセンス鎖)プローブ2と5'側(アンチセンス鎖)プローブ4が結合したオリゴヌクレオチド6が、ライゲーション産物として得られる。これらのライゲーション産物に、さらにrEDと相同的な塩基配列を有するrEDプライマー、rDCN1と相補的な塩基配列を有するDCN1プライマー、及びrDCN2と相補的な塩基配列を有するDCN2プライマーを用いてPCRを行うと、増幅されたオリゴヌクレオチド5とオリゴヌクレオチド6がPCR産物として得られる。一方で、検体DNAが変異型である場合には、これらのプローブが結合したオリゴヌクレオチドはライゲーション産物として得ることができず、PCR増幅もなされない。このため、PCR産物の有無を測定することにより、検体DNAのSNPを検出することができる。なお、ライゲーション産物の増幅を、リアルタイムPCRで行うことにより、迅速かつ半定量的にSNPを検出することができる。また、検出を簡便にするために、PCRに用いられるrEDプライマーやDCN1プライマー等は蛍光物質等を用いて標識されたものであってもよい。
オリゴヌクレオチド5とオリゴヌクレオチド6のいずれか一方の増幅のみが検出された場合には、一連の操作に問題があった可能性や、擬陽性である可能性が考えられる。つまり、表裏の関係にあるオリゴヌクレオチドを用いて、センス鎖とアンチセンス鎖の両方を解析することにより、標的DNAの検出精度を高めることができる。
このように、本発明の標的DNAの検出方法は、一度の検出反応により、標的DNAのセンス鎖とアンチセンス鎖の両方を迅速に解析し得る。また、得られた2つの解析結果を比較検討して、標的DNAの検出の有無を判定することにより、標的DNA検出の精度及び成功率を向上させることができる。例えば、ある検体において、センス鎖とアンチセンス鎖の解析結果が共に陽性である、つまり標的DNAが検出されたと解析された場合に限り、該検体は陽性であると判定することにより、擬陽性を可能な限り排除し得るため、標的DNAの検出精度を向上させることができる。一方、センス鎖とアンチセンス鎖の解析結果のいずれかにおいて陽性と測定されたもの全てを、該検体は陽性であると判定することにより、陽性の可能性のある検体を、取りこぼすことなく全て検出することができるため、標的DNAの検出成功率を向上させることができる。つまり、SNPを検出する場合において、精度を向上させる場合には、塩基の相補性を利用して2つの解析結果の論理積をとり、成功率を向上させる場合には、同一多型集団内のシグナル分布に着目して、2つの解析結果の論理和をとることが好ましい。
なお、PCRやDigiTag2法において用いられるDNAポリメラーゼやDNAリガーゼ等の酵素、ヌクレオチド、バッファー等の試薬は、PCRやDigiTag2法において通常用いられるものを通常用いられる濃度で用いることができる。また、PCRやライゲーション反応等の反応条件は、用いる酵素の種類やオリゴヌクレオチドのTm値等を考慮して、適宜決定することができる。
また、本発明の標的DNAの検出方法に用いられるオリゴヌクレオチド群を一のキットとすることもできる。例えば、前記第1のオリゴヌクレオチドと前記第2のオリゴヌクレオチドとを一のキットとすることができる。前記第1のオリゴヌクレオチド、前記第2のオリゴヌクレオチド、前記第3のオリゴヌクレオチド、及び前記第4のオリゴヌクレオチドを有するキットとすることもできる。また、該キットには、ライゲーション反応やPCRのためのDNAリガーゼやDNAポリメラーゼ等の酵素、ヌクレオチド、バッファー等の試薬を含めることが好ましい。さらに、ライゲーション産物やPCR産物の検出に用いられるプライマーやプローブを含むキットとしてもよい。このようなキットを用いることにより、迅速かつ簡便に標的DNAを検出することが可能となる。
次に実施例を示して本発明をさらに詳細に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
(参考例1)
ヒト16番染色体上のSNPの一つであり、NCBIのアクセッション番号がrs17822931であるSNP(野生型:C、変異型:T)に対して、DigiTag2法を用いたSNP検出方法にも使用可能なプローブを設計し、ミスマッチの導入による擬相補性効果を調べた。なお、図2はrs17822931の近傍の塩基配列を示した図であり、図中、[C/T]がSNPである。
標的塩基配列を、rs17822931の野生型アレルのセンス鎖の塩基配列とし、第1のオリゴヌクレオチドを、3'末端の塩基がSNP(C)に相補的なGであり、野生型アレルのセンス鎖とハイブリダイズする塩基配列を有するCommonプローブとし、第2のオリゴヌクレオチドを、5'末端の塩基が野生型アレルのアンチセンス鎖のSNP(G)の5'側隣の塩基に相補的な塩基であり、野生型アレルのアンチセンス鎖とハイブリダイズする塩基配列を有するQueryプローブとして、各プローブの設計を、Tm値が58℃となる条件でVisual OMP Ver.6を用いて行った。さらに、Commonプローブの5'末端から10番目の塩基にミスマッチを導入したCommon2プローブと、Queryプローブの3'末端から4番目の塩基にミスマッチを導入したQuery2プローブを設計した。設計された各プローブの塩基配列を表1にそれぞれ示した。
Figure 2009054367
Commonプローブと野生型アレルのセンス鎖との会合体、CommonプローブとQueryプローブとの会合体の、それぞれのTm値を求めて、ミスマッチの導入の有無による変化を、Visual OMP Ver.6を用いて計測した。結果を図3に示す。図中、左カラムはセンス鎖−Commonプローブ会合体のTm値であり、右カラムはCommonプローブ−Queryプローブ会合体のTm値を示している。また、(A)はCommonプローブとQueryプローブとを用いた場合であり、(B)はCommonプローブとQuery2プローブとを用いた場合であり、(C)はCommon2プローブとQuery2プローブとを用いた場合である。すなわち、(A)はミスマッチのないプローブを用いた場合であり、(B)はQueryプローブのみミスマッチを導入した場合であり、(C)は両プローブともミスマッチを導入した場合である。
この結果、Queryプローブにミスマッチを導入することにより、センス鎖−Commonプローブ会合体とCommonプローブ−Queryプローブ会合体のいずれもTm値が低下していた。また、さらにCommonプローブにもミスマッチを導入した場合には、センス鎖−Commonプローブ会合体のTm値はほとんど変化しなかったが、競合するCommonプローブ−Queryプローブ会合体のTm値は約40℃程度も低下していた。すなわち、図3の結果から、第1のオリゴヌクレオチドと第2のオリゴヌクレオチドの両方にミスマッチを導入することにより、各オリゴヌクレオチドの擬相補性をより向上させ得ることが明らかであり、本発明の標的DNAの検出方法によって、同時に標的DNAのセンス鎖とアンチセンス鎖の解析が可能であることが示唆される。
図1に示したDigiTag2法を用いた本発明の標的DNAの検出方法により、rs17822931であるSNPを検出した。
DNAサンプルとして、野生型ホモ体(C/C)、ヘテロ体(C/T)、変異型ホモ体(T/T)を用いた。また、DNAサンプルに代えて純水を用いたものを対照とした。
検出用プローブとして、表2記載の6種類のプローブを用いた。表2中、上の3種類はセンス鎖を解析するプローブであり、下の3種類はアンチセンス鎖を解析するプローブである。「5'側センス(C)」は配列番号5の塩基配列を有するプローブであって、3'末端の塩基がセンス鎖の野生型SNPに相補的なGであり、野生型アレルのセンス鎖とハイブリダイズする領域を3'側に有し、5'側にタグ配列であるrEDを有するものであり、「5'側センス(T)」は配列番号6の塩基配列を有するプローブであって、3'末端の塩基がセンス鎖の変異型SNPに相補的なAであり、変異型アレルのセンス鎖とハイブリダイズする領域を3'側に有し、5'側にタグ配列であるrED'を有するものであり、「3'側センス」は配列番号7の塩基配列を有するプローブであって、5'末端の塩基がSNPの5'側隣の塩基に相補的な塩基であり、センス鎖とハイブリダイズする領域を5'側に有し、3'側にタグ配列であるrDCN2を有するものである。また、「5'側アンチセンス(C)」は配列番号8の塩基配列を有するプローブであって、3'末端の塩基がアンチセンス鎖の野生型SNPに相補的なCであり、野生型アレルのアンチセンス鎖とハイブリダイズする領域を3'側に有し、5'側にタグ配列であるrEDを有するものであり、「5'側アンチセンス(T)」は配列番号9の塩基配列を有するプローブであって、3'末端の塩基がアンチセンス鎖の変異型SNPに相補的なTであり、変異型アレルのアンチセンス鎖とハイブリダイズする領域を3'側に有し、5'側にタグ配列であるrED'を有するものであり、「3'側アンチセンス」は配列番号10の塩基配列を有するプローブであって、5'末端の塩基がアンチセンス鎖のSNPの5'側隣の塩基に相補的な塩基であり、アンチセンス鎖とハイブリダイズする領域を5'側に有し、3'側にタグ配列であるrDCN1を有するものである。ここで、5'側センス(C)プローブ、5'側センス(T)プローブ、5'側アンチセンス(C)プローブ、及び5'側アンチセンス(T)プローブは、参考例1のQuery2プローブと同様に、3'末端から4番目の塩基にミスマッチが導入されたプローブである。また、3'側センスプローブは、5'末端から10番目の塩基に、3'側アンチセンスプローブは、5'末端から11番目と16番目の塩基に、それぞれミスマッチが導入されたプローブである。なお、タグ配列であるrED、rED'、rDCN1、及びrDCN2の塩基配列を表3に示す。
Figure 2009054367
Figure 2009054367
理論的には、DNAサンプル中に、野生型アレルのセンス鎖が存在する場合には、DigiTag2法により、5'側センス(C)プローブと3'側センスプローブが結合して得られるライゲーション産物が検出される。一方で、DNAサンプル中に、変異型アレルのセンス鎖が存在する場合には、5'側センス(T)プローブと3'側センスプローブが結合して得られるライゲーション産物が検出される。同様に、野生型アレルのアンチセンス鎖が存在する場合には、5'側アンチセンス(C)プローブと3'側 アンチセンスプローブが結合して得られるライゲーション産物が検出され、変異型アレルのアンチセンス鎖が存在する場合には、5'側アンチセンス(T)プローブと3'側 アンチセンスプローブが結合して得られるライゲーション産物が検出される。
まず、配列番号15の塩基配列を有するフォワードプライマーと、配列番号16の塩基配列を有するリバースプライマーを用いたPCRにより、SNPを含むDNA断片の増幅を行った。具体的には、5μLの2×QIAGEN Multiplex PCR Master Mix(QIAGEN社製)に対して、5ngのDNAサンプルと、フォワードプライマーとリバースプライマーを最終濃度が0.1μMとなるようにそれぞれ添加し、10μLのPCR溶液を調製した。該PCR溶液を、95℃で15秒間処理した後、95℃で30秒間、68℃で6分間の熱サイクルを40サイクル行うことにより、PCRを行った。
次に、得られたPCR産物の100倍希釈溶液を用いて、表2記載の6種類のプローブを同時に添加して、変性・アニーリングを行った後、ライゲーション反応を行った。具体的には、1μLのPCR産物希釈溶液に対して、8UのTaq ligaseと、各プローブを最終濃度が333pMとなるようにそれぞれ添加し、純水を添加して最終容量が15μLである反応溶液を調製した。該反応溶液を、95℃で1分間の変性処理をした後、58℃で15分間処理することにより、各プローブとDNAサンプルをハイブリダイズさせた上で、ライゲーション反応を行った。
更にその後、タグ配列rEDと相同的な塩基配列を有するrEDプライマーと、タグ配列rDCN2と相補的な塩基配列を有するDCN2プライマーを用いてリアルタイムPCRを行うことにより、5'側センス(C)プローブと3'側センスプローブが結合して得られたライゲーション産物を検出した。同様にして、タグ配列rED'と相同的な塩基配列を有するrED'プライマーとDCN2プライマーを用いてリアルタイムPCRを行うことにより、5'側センス(T)プローブと3'側センスプローブが結合して得られたライゲーション産物を検出した。さらに、rEDプライマーと、タグ配列rDCN1と相補的な塩基配列を有するDCN1プライマーを用いてリアルタイムPCRを行うことにより、5'側アンチセンス(C)プローブと3'側 アンチセンスプローブが結合して得られたライゲーション産物を、rED'プライマーとDCN1プライマーを用いてリアルタイムPCRを行うことにより、5'側アンチセンス(T)プローブと3'側 アンチセンスプローブが結合して得られたライゲーション産物を、それぞれ検出した。
具体的には、10μLの2×SYBR Premix(TaKaRa社製)に対して、1μLのライゲーション産物と、各プライマーを最終濃度が0.1μMとなるようにそれぞれ添加し、20μLのリアルタイムPCR溶液を調製した。該リアルタイムPCR溶液を、95℃で10秒間処理した後、95℃で5秒間、61℃で7秒間の熱サイクルを60サイクル行うことにより、リアルタイムPCRを行い、各ライゲーション産物の量を相対的に測定した。
図4は得られた測定結果を表した図である。図中、「サンプル型」とは、用いたDNAサンプルのSNPの型を表したものであり、「NC」は対照を意味する。また、「プローブ型」とは、用いたプローブが検出対象とするSNP型を意味しており、「C−Probe」は、5'側センス(C)プローブ又は5'側アンチセンス(C)プローブのいずれかを用いたことを示しており、「T−Probe」は、5'側センス(T)プローブ又は5'側アンチセンス(T)プローブのいずれかを用いたことを示している。野生型SNPのセンス鎖を検出するための5'側センス(C)プローブを用いた場合には、ライゲーション産物量は、DNAサンプルのSNP型が野生型ホモ体の場合に最も多く検出され、次いでヘテロ体においても検出されたが、変異型ホモ体や対照では検出されなかった。変異型SNPのセンス鎖を検出するための5'側センス(T)プローブを用いた場合には、ライゲーション産物量は、DNAサンプルのSNP型が変異型ホモ体の場合に最も多く検出され、次いでヘテロ体でも検出されたが、野生型ホモ体や対照では検出されなかった。アンチセンス鎖の解析でも同様の傾向が観察された。つまり、全ての測定結果において、DNAサンプルのSNP型と検出用プローブの型が一致した場合に、不一致の場合に比べて著しくライゲーション産物量が増えており、ライゲーション産物量の多寡に基づくSNPの判定結果と、実際のSNP型が一致した。したがって、これらの結果から、本発明の標的DNAの検出方法を用いることにより、標的DNAのセンス鎖とアンチセンス鎖を同時に解析し得ることが明らかである。
本発明の標的DNAの検出方法を用いることにより、ハイブリダイゼーション法を応用し、標的DNAのセンス鎖とアンチセンス鎖を同時に解析することができるため、簡便にかつ精度よく標的DNAを検出することが可能であることから、特にSNPの検出をはじめとする遺伝子解析等の分野において利用が可能である。

Claims (7)

  1. 標的塩基配列を有するセンス鎖と、前記センス鎖と相補的なアンチセンス鎖とからなる標的DNAを検出する方法であって、前記センス鎖とハイブリダイズする第1のオリゴヌクレオチドと、前記アンチセンス鎖とハイブリダイズする第2のオリゴヌクレオチドとを用いるものであり、前記アンチセンス鎖のうち、前記第2のオリゴヌクレオチドとハイブリダイズする領域の少なくとも一部分が、前記センス鎖の前記第1のオリゴヌクレオチドとハイブリダイズする領域の少なくとも一部と相補的であり、前記第1のオリゴヌクレオチドと前記第2のオリゴヌクレオチドとを、一の反応溶液に同時に添加して、前記標的DNAとそれぞれハイブリダイズさせた後、ライゲーション反応及び/又はPCR(Polymerase Chain Reaction)を行い、産物を検出することを特徴とする標的DNAの検出方法。
  2. 前記第1のオリゴヌクレオチドと前記第2のオリゴヌクレオチドとからなる会合体が有するミスマッチの数が、前記センス鎖と前記第1のオリゴヌクレオチドとからなる会合体が有するミスマッチの数又は前記アンチセンス鎖と前記第2のオリゴヌクレオチドとからなる会合体が有するミスマッチの数よりも多いことを特徴とする請求項1記載の標的DNAの検出方法。
  3. 前記第1のオリゴヌクレオチドと前記第2のオリゴヌクレオチドに、それぞれ1以上のミスマッチを導入することを特徴とする請求項2記載の標的DNAの検出方法。
  4. 前記標的塩基配列が、SNP(一塩基多型)を含む塩基配列であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか記載の標的DNAの検出方法。
  5. 前記センス鎖と、前記センス鎖の前記第1のオリゴヌクレオチドとハイブリダイズする領域とは異なる領域でハイブリダイズする第3のオリゴヌクレオチドと、前記アンチセンス鎖と、前記アンチセンス鎖の前記第2のオリゴヌクレオチドとハイブリダイズする領域とは異なる領域でハイブリダイズする第4のオリゴヌクレオチドとを用いるものであり、前記アンチセンス鎖のうち、前記第4のオリゴヌクレオチドとハイブリダイズする領域の少なくとも一部分が、前記センス鎖の前記第3のオリゴヌクレオチドとハイブリダイズする領域の少なくとも一部と相補的であり、前記第1のオリゴヌクレオチド、前記第2のオリゴヌクレオチド、前記第3のオリゴヌクレオチド、及び前記第4のオリゴヌクレオチドを、一の反応溶液に同時に添加して、前記標的DNAとそれぞれハイブリダイズさせた後、ライゲーション反応及び/又はPCRを行い、産物を検出することを特徴とする請求項1〜4のいずれか記載の標的DNAの検出方法。
  6. 請求項1〜4のいずれか記載の標的DNAの検出方法に用いられるキットであって、前記第1のオリゴヌクレオチドと前記第2のオリゴヌクレオチドとを有することを特徴とする標的DNA検出キット。
  7. 請求項5記載の標的DNAの検出方法に用いられるキットであって、前記第1のオリゴヌクレオチド、前記第2のオリゴヌクレオチド、前記第3のオリゴヌクレオチド、前記第4のオリゴヌクレオチドを有することを特徴とする標的DNA検出キット。
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