JPWO2009054321A1 - 免疫グロブリンIgAクラススイッチング剤 - Google Patents

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Abstract

【課題】新生児臍帯血CD34陽性細胞から樹立した樹状細胞とヒトCD40リガンド発現L細胞存在下で新生児臍帯血未熟B細胞をIgA産生細胞へ分化誘導する試験管内(in vitro)実験システム系を用いて、母乳に含まれるIgA産生誘導因子の候補として従来から知られているTGF−β、IL−10、IL−6と異なる液性因子の存在の可能性を観察した。【解決手段】シンテニン−1又はシンテニン−1と実質的に同一の改変体を含有することを特徴とする。【選択図】 図2

Description

本発明は、免疫グロブリンA(以下、IgAと称する。)の産生を誘導するタンパク質に関し、特にこのタンパク質を含有するB細胞のIgAのクラススイッチング剤に関するものである。
母乳は、本来の栄養補給源に加えて、乳児の未熟な腸管免疫機能を補完する意味で分泌型IgA、補体、リゾチーム、ラクトフェリンなどの感染防御因子が豊富に含まれる。
一方、母乳中には乳児の月齢に伴う腸管免疫機能の成熟を促すと予想される様々な液性因子が存在する。
中でも、腸管免疫機能の主要な液生成分であるIgAの未熟B細胞からの産生誘導に促進作用を有するサイトカインとしてTGF−β、IL−10、IL−6等が知られている(非特許文献1)。
Early Human Development 77 (2004)67−75
我々は、新生児臍帯血CD34陽性細胞から樹立した樹状細胞とヒトCD40リガンド発現L細胞存在下で新生児臍帯血未熟B細胞をIgA産生細胞へ分化誘導する試験管内(in vitro)実験システム系を用いて、母乳に含まれるIgA産生誘導因子の候補として従来から知られているTGF−β、IL−10、IL−6と異なる液性因子の存在の可能性を観察した。
上記した予備的観察を基に、新生児ナイーブB細胞からIgA産生細胞へのin vitro実験システム系を用いて、母乳(初乳)から新規なIgA産生誘導因子の同定を行った。
ゲル濾過カラムクロマトグラフィー、イオン交換カラム等から有効分画を得、さらに2次元電気泳動を展開し、質量分析の結果、候補蛋白の一つとしてシンテニン−1(syntenin−1)を同定した。
シンテニン−1のIgA産生誘導活性については今まで報告がない。そこで遺伝子組み換えシンテニン−1を作製し、その作用を確認した。
本発明は、シンテニン−1をB細胞のIgAのクラススイッチング剤として利用する方法を提供するものである。
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明におけるシンテニン−1に関して、具体的には、公知のシンテニン−1(プロシージングズ・オブ・ザ・ナショナル・アカデミー・オブ・サイエンシイズ・オブ・ザ・ユーエスエー(Proc Natl Acad Sci USA) 94巻、13683−13688頁、1997年)などが挙げられる。
また、(i)配列番号:1で表わされるアミノ酸配列と同一もしくは実質的に同一のアミノ酸配列を含有することを特徴とするポリペプチド(以下、シンテニン−1と略称する)、または(ii)ポリペプチドが、配列番号:1で表わされるアミノ酸配列中の1個以上30個以下、好ましくは1個以上10個以下のアミノ酸が欠失したアミノ酸配列、配列番号:1で表わされるアミノ酸配列に1個以上30個以下、好ましくは1個以上10個以下のアミノ酸が付加した(または挿入された)アミノ酸配列、あるいは配列番号:1で表わされるアミノ酸配列中の1個以上30個以下、好ましくは1個以上10個以下のアミノ酸が他のアミノ酸で置換されたアミノ酸配列を含有する蛋白質である上記(i)項記載のシンテニン−1が挙げられる。
本明細書において、「実質的に同一」とはポリペプチドなどの活性、例えば、リガンド(シンテニン−1)のレセプターへの結合活性、生理的な特性などが、実質的に同じことを意味する。
アミノ酸の置換、欠失、付加あるいは挿入はしばしばポリペプチドの生理的な特性や化学的な特性に大きな変化をもたらさないが、こうした場合その置換、欠失、付加あるいは挿入を施されたポリペプチド(いわゆるシンテニン−1改変体など)は、そうした置換、欠失、付加あるいは挿入のされていないものと実質的に同一であるとされる。
該アミノ酸配列中のアミノ酸の実質的に同一な置換物としては、例えばそのアミノ酸が属するところのクラスのうち他のアミノ酸類から選ぶことができうる。
非極性(疎水性)アミノ酸としては、アラニン、ロイシン、イソロイシン、バリン、プロリン、フェニルアラニン、トリプトファン、メチオニンなどが挙げられる。
極性(中性)アミノ酸としてはグリシン、セリン、スレオニン、システイン、チロシン、アスパラギン、グルタミンなどが挙げられる。
陽電荷をもつ(塩基性)アミノ酸としてはアルギニン、リジン、ヒスチジンなどが挙げられる。
負電荷をもつ(酸性)アミノ酸としては、アスパラギン酸、グルタミン酸などが挙げられる。
本発明で用いられるシンテニン−1の製造法を以下にさらに詳細に説明する。
本発明で用いられるシンテニン−1としては、ヒトおよび哺乳動物(例えば、モルモット、ラット、マウス、ブタ、ヒツジ、ウシ、ウマ、サルなど)の乳または組織・細胞に由来するポリペプチドが挙げられ、配列番号:1で表わされるアミノ酸配列と同一もしくは実質的に同一のアミノ酸配列を含有するポリペプチドであれば如何なるものであってもよい。
配列番号:1で表わされるアミノ酸配列と実質的に同一のアミノ酸配列としては、配列番号:1で表わされるアミノ酸配列と約70%以上、好ましくは約80%以上、より好ましくは約90%以上、さらに好ましくは約95%以上の相同性を有するアミノ酸配列などが挙げられる。
本発明で用いられるシンテニン−1は、公知の方法もしくはそれに準じた方法、即ち、ヒトや哺乳動物の乳または組織・細胞からポリペプチドを精製する方法によって製造することもできるし、後述のポリペプチド合成法に準じて製造することもできる。
また、後述するポリペプチドをコードするDNAを含有する形質転換体を培養することによっても製造することができる。
例えば、プロシージングズ・オブ・ザ・ナショナル・アカデミー・オブ・サイエンシイズ・オブ・ザ・ユーエスエー(Proc Natl Acad Sci USA) 93巻、11780−11785頁、1996年に記載の方法などが挙げられる。
ヒト、哺乳動物の乳または組織・細胞から製造する場合、ヒト、哺乳血動物の乳または組織・細胞をホモジナイズした後、酸、有機溶媒などで抽出を行い、該抽出液を、塩析、透析、ゲル濾過、逆相クロマトグラフィー、イオン交換クロマトグラフィー、アフィニティークロマトグラフィーなどのクロマトグラフィーを組み合わせることにより精製単離することができる。
本発明で用いられるシンテニン−1は、自体公知のポリペプチドの合成法に従って、あるいはシンテニン−1を含有するポリペプチドを適当なペプチダーゼで切断することによって製造することができる。
ペプチドの合成法としては、例えば固相合成法、液相合成法のいずれによっても良い。
すなわち、ポリペプチドを構成し得る部分ペプチドもしくはアミノ酸と残余部分とを縮合させ、生成物が保護基を有する場合は保護基を脱離することにより目的のペプチドを製造することができる。
公知の縮合方法や保護基の脱離方法としては例えば、日本生化学会編、新生化学実験講座1、タンパク質IV (1992年)などを参考にすればよい。
また、反応後は通常の精製法、例えば、溶媒抽出・蒸留・カラムクロマトグラフィー・液体クロマトグラフィー・再結晶などを組み合わせてポリペプチドを精製単離することができる。
本発明で用いられるシンテニン−1をコードするDNAとしては、配列番号:1で表わされるアミノ酸配列と同一もしくは実質的に同一のアミノ酸配列を含有する蛋白質をコードするDNAを含有するDNAであればいかなるものであってもよい。
また、ゲノムDNA、ゲノムDNAライブラリー、前記した組織・細胞由来のcDNA、前記した組織・細胞由来のcDNAライブラリー、合成DNAのいずれでもよい。
ライブラリーに使用するベクターはバクテリオファージ、プラスミド、コスミド、ファージミドなどいずれであってもよい。
また、前記した組織・細胞よりRNA画分を調製したものを用いて直接Reverse Transcriptase Polymerase Chain Reaction(以下、RT−PCR法と略称する)によって増幅することもできる。
より具体的には、(1)ストリンジェントな条件下で、配列番号:1で表わされるアミノ酸配列と同一もしくは実質的に同一のアミノ酸配列を含有する蛋白質をコードするDNAを含有するDNAの有する配列とハイブリダイズするDNA、(2)遺伝コードの縮重のため、配列番号:1で表わされるアミノ酸配列と同一もしくは実質的に同一のアミノ酸配列を含有する蛋白質をコードするDNAを含有するDNAの有する配列および(1)に定められている配列とハイブリッド形成しないが、同一アミノ酸配列をもつポリペプチドをコードするDNAなどが用いられる。
ハイブリダイゼーションは、それ自体公知の方法あるいはそれに準じた方法に従って行うことができる。
シンテニン−1をコードするDNAとしては例えば配列番号:2で表わされる塩基配列を含有するDNA、配列番号:2で表わされる塩基配列と約70%以上、好ましくは約80%以上、より好ましくは約90%以上、さらに好ましくは約95%以上の相同性を有する塩基配列を含有するDNAなどが用いられる。
本発明で用いられるシンテニン−1をコードするDNAは以下の遺伝子工学的手法によっても製造することができる。
シンテニン−1を完全にコードするDNAのクローニングの手段としては、ポリペプチドの部分塩基配列を有する合成DNAプライマーを用いて自体公知のPCR法によって前記DNAライブラリー等から目的とするDNAを増幅するか、または適当なベクターに組み込んだDNAを例えばポリペプチドの一部あるいは全領域を有するDNA断片もしくは合成DNAを用いて標識したものとのハイブリダイゼーションによって選別することができる。
ハイブリダイゼーションの方法は、例えば、生化学実験講座2、核酸の化学I(東京化学同人,1975年に記載の方法などに従って行えばよい。
また、市販のライブラリーを使用する場合、添付の使用説明書に記載の方法に従って行う。
クローン化された本発明で用いられるシンテニン−1をコードするDNAは目的によりそのまま、または所望により制限酵素で消化したり、リンカーを付加したりして使用することができる。
該DNAはその5’末端側に翻訳開始コドンとしてのATGを有し、また3’末端側には翻訳終止コドンとしてのTAA、TGAまたはTAGを有していてもよい。これらの翻訳開始コドンや翻訳終止コドンは、適当な合成DNAアダプターを用いて付加することもできる。
本発明で用いられるシンテニン−1の発現ベクターは、例えば、(イ)本発明で用いられるシンテニン−1をコードするDNAから目的とするDNA断片を切り出し、(ロ)該DNA断片を適当な発現ベクター中のプロモーターの下流に連結することにより製造することができる。
ベクターとしては、大腸菌由来のプラスミド(例、pBR322、pBR325、pUC12、pUC13、pGEX−5X−2)、枯草菌由来のプラスミド(例、pUB110、pTP5、pC194)、酵母由来プラスミド(例、pSH19、pSH15)、λ ファージなどのバクテリオファージ、レトロウイルス、ワクシニアウイルス、バキュロウイルスなどの動物ウイルスなどが用いられる。
用いられるプロモーターとしては、遺伝子の発現に用いる宿主に対応して適切なプロモーターであればいかなるものでもよい。
形質転換する際の宿主が動物細胞である場合には、SV40由来のプロモーター、レトロウイルスのプロモーター、メタロチオネインプロモーター、ヒートショックプロモーター、サイトメガロウイルスプロモーター、SRαプロモーターなどが利用できる。
宿主がエシェリヒア属菌である場合は、Trpプロモーター、T7プロモーター、lacプロモーター、recAプロモーター、λPLプロモーター、lppプロモーターなどが、宿主がバチルス属菌である場合は、SPO1プロモーター、SPO2プロモーター、penPプロモーターなど、宿主が酵母である場合は、PHO5プロモーター、PGKプロモーター、GAPプロモーター、ADH1プロモーター、GALプロモーターなどが好ましい。
宿主が昆虫細胞である場合は、ポリヘドリンプロモーター、P10プロモーターなどが好ましい。
発現ベクターには、以上の他に、所望によりエンハンサー、スプライシングシグナル、ポリA付加シグナル、選択マーカー、SV40複製オリジン(以下、SV40oriと略称する場合がある)などを含有しているものを用いることができる。
選択マーカーとしては、例えば、ジヒドロ葉酸還元酵素(以下、dhfrと略称する場合がある)遺伝子〔メソトレキセート(MTX)耐性〕、アンピシリン耐性遺伝子(以下、Amprと略称する場合がある)、ネオマイシン耐性遺伝子(以下、Neoと略称する場合がある、G418耐性)等が挙げられる。
特に、CHO(dhfr−)細胞を用いてDHFR遺伝子を選択マーカーとして使用する場合、チミジンを含まない培地によっても選択できる。
また、必要に応じて、宿主に合ったシグナル配列を、ポリペプチドまたはその部分ペプチドのN端末側に付加する。
宿主がエシェリヒア属菌である場合は、phoA・シグナル配列、OmpA・シグナル配列などが、宿主がバチルス属菌である場合は、α−アミラーゼ・シグナル配列、サブチリシン・シグナル配列などが、宿主が酵母である場合は、メイテイングファクターα(MFα)・シグナル配列、インベルターゼ・シグナル配列など、宿主が動物細胞である場合には、例えばインシュリン・シグナル配列、α−インターフェロン・シグナル配列、抗体分子・シグナル配列などがそれぞれ利用できる。
このようにして構築されたシンテニン−1をコードするDNAを含有するベクターを用いて、形質転換体を製造することができる。
宿主としては、例えば、エシェリヒア属菌、バチルス属菌、酵母、昆虫または昆虫細胞、動物細胞などが用いられる。
エシェリヒア属菌としては、エシェリヒア・コリ(Escherichia coli)K12・DH1、JM103、JA221、HB101、C600、DH10B、BL21(DE3)などが用いられる。
バチルス属菌としては、例えば、バチルス・ズブチルス(Bacillus subtilis)MI114、207−21などが用いられる。
酵母としては、例えば、サッカロマイセス セレビシエ(Saccharomyces cerevisiae)AH22、AH22R−、NA87−11A、DKD−5D、20B−12などが用いられる。昆虫としては、例えばカイコの幼虫などが用いられる。
昆虫細胞としては、例えば、ウイルスがAcNPVの場合は、夜盗蛾の幼虫由来株化細胞(Spodoptera frugiperda cell;Sf細胞)、Trichoplusia niの中腸由来のMG1細胞、Trichoplusia niの卵由来のHigh FiveTM細胞、Mamestra brassicae由来の細胞またはEstigmena acrea由来の細胞などが用いられる。
ウイルスがBmNPVの場合は、蚕由来株化細胞(Bombyx mori N;BmN細胞)などが用いられる。該Sf細胞としては、例えば、Sf9細胞(ATCC CRL1711)、Sf21細胞などが用いられる。
動物細胞としては、例えば、サルCOS−7細胞,Vero細胞,チャイニーズハムスター細胞CHO,DHFR遺伝子欠損チャイニーズハムスター細胞CHO(dhfr−CHO細胞),マウスL細胞,マウス3T3細胞、マウスミエローマ細胞,ヒトHEK293細胞、ヒトFL細胞、293細胞、C127細胞、BALB3T3細胞、Sp−2/O細胞、マウスB細胞株WEHI231細胞、P3U1プラズマサイトなどが用いられる。
エシェリヒア属菌を形質転換するには、例えば、プロシージングズ・オブ・ザ・ナショナル・アカデミー・オブ・サイエンジイズ・オブ・ザ・ユーエスエー(Proc. Natl. Acad. Sci. USA)、69巻、2110頁(1972年)やジーン(Gene)、17巻、107頁(1982年)などに記載の方法に従って行なわれる。
バチルス属菌を形質転換するには、例えば、モレキュラー・アンド・ジェネラル・ジェネティックス(Molecular & General Genetics)、168巻、111頁(1979年)などに記載の方法に従って行われる。
酵母を形質転換するには、例えば、プロシージングズ・オブ・ザ・ナショナル・アカデミー・オブ・サイエンシイズ・オブ・ザ・ユーエスエー(Proc. Natl.Acad. Sci. USA)、75巻、1929頁(1978年)に記載の方法に従って行なわれる。
昆虫細胞または昆虫を形質転換するには、例えば、バイオ/テクノロジー(Bio / Technology)、6巻、47−55頁(1988年)などに記載の方法に従って行なわれる。
動物細胞を形質転換するには、例えば、ヴィロロジー(Virology)、52巻、456頁(1973年)に記載の方法に従って行なわれる。
発現ベクターの細胞への導入方法としては、例えば、リポフェクション法[プロシージングズ・オブ・ザ・ナショナル・アカデミー・オブ・サイエンジイズ・オブ・ザ・ユーエスエー(Proceedings of The National Academy of Sciences of The United States of America)、84巻、7413頁(1987年)]、リン酸カルシウム法[ヴィロロジー(Virology),52巻,456−467頁(1973年)〕、電気穿孔法[エンボ・ジャーナル(EMBO J.)、1巻、841−845頁(1982年)]等が挙げられる。
このようにして、本発明で用いられるシンテニン−1をコードするDNAを含有する発現ベクターで形質転換された形質転換体が得られる。
動物細胞を用いて、本発明で用いられるシンテニン−1を安定に発現させる方法としては、上記の動物細胞に導入された発現ベクターが染色体に組み込まれた細胞をクローン選択によって選択する方法がある。
具体的には、上記の選択マーカーを指標にして形質転換体を選択する。
さらに、このように選択マーカーを用いて得られた動物細胞に対して、繰り返しクローン選択を行なうことによりシンテニン−1の高発現能を有する安定な動物細胞株を得ることができる。
また、dhfr遺伝子を選択マーカーとして用いた場合、MTX濃度を徐々に上げて培養し、耐性株を選択することにより、dhfr遺伝子とともに、シンテニン−1をコードするDNAを細胞内で増幅させて、さらに高発現の動物細胞株を得ることもできる。
上記の形質転換体を、シンテニン−1をコードするDNAが発現可能な条件下で培養し、シンテニン−1を生成、蓄積せしめることによって、シンテニン−1を製造することができる。
宿主がエシェリヒア属菌、バチルス属菌である形質転換体を培養する際、培養に使用される培地としては液体培地が適当であり、その中には該形質転換体の生育に必要な炭素源、窒素源、無機物その他が含有せしめられる。
炭素源としては、例えば、グルコース、デキストリン、可溶性澱粉、ショ糖など、窒素源としては、例えば、アンモニウム塩類、硝酸塩類、コーンスチープ・リカー、ペプトン、カゼイン、肉エキス、大豆粕、バレイショ抽出液などの無機または有機物質、無機物としては、例えば、塩化カルシウム、リン酸二水素ナトリウム、塩化マグネシウムなどが挙げられる。
また、酵母エキス、ビタミン類、生長促進因子などを添加してもよい。培地のpHは約5〜8が望ましい。
エシェリヒア属菌を培養する際の培地としては、例えば、グルコース、カザミノ酸を含むM9培地[ジャーナル・オブ・エクスペリメンツ・イン・モレキュラー・ジェネティックス(Journal of Experiments in Molecular Genetics)、431−433、Cold Spring Harbor Laboratory、New York 1972年]が好ましい。
ここに必要によりプロモーターを効率よく働かせるために、例えば、3β−インドリルアクリル酸のような薬剤を加えることができる。
宿主がエシェリヒア属菌の場合、培養は通常約15〜43℃で約3〜24時間行い、必要により、通気や撹拌を加えることもできる。
宿主がバチルス属菌の場合、培養は通常約30〜40℃で約6〜24時間行ない、必要により通気や撹拌を加えることもできる。
宿主が酵母である形質転換体を培養する際、培地としては、例えば、バークホールダー(Burkholder)最小培地[プロシージングズ・オブ・ザ・ナショナル・アカデミー・オブ・サイエンシイズ・オブ・ザ・ユーエスエー(Proc. Natl. Acad. Sci. USA)、77巻、4505頁(1980年)]や0.5%カザミノ酸を含有するSD培地[プロシージングズ・オブ・ザ・ナショナル・アカデミー・オブ・サイエンシイズ・オブ・ザ・ユーエスエー(Proc. Natl. Acad. Sci. USA)、81巻、5330頁(1984年)〕が挙げられる。
培地のpHは約5〜8に調整するのが好ましい。培養は通常約20℃〜35℃で約24〜72時間行い、必要に応じて通気や撹拌を加える。
宿主が昆虫細胞である形質転換体を培養する際、培地としては、Grace’s Insect Medium(ネイチャー(Nature)、195巻、788頁(1962年))に非動化した10%ウシ血清等の添加物を適宜加えたものなどが用いられる。
培地のpHは約6.2〜6.4に調整するのが好ましい。培養は通常約27℃で約3〜5日間行い、必要に応じて通気や撹拌を加える。
宿主が動物細胞である形質転換体を培養する際、培地としては、例えば、約5〜20%の胎児牛血清を含むMEM培地[サイエンス(Seience)、122巻、501頁(1952年)],DMEM培地[ヴィロロジー(Virology)、8巻、396頁(1959年)]、RPMI1640培地[ジャーナル・オブ・ザ・アメリカン・メディカル・アソシエーション(The Jounal of The American Medical Association)、199巻、519頁(1967年)]、199培地[プロシージング・オブ・ザ・ソサイエティ・フォー・ザ・バイオロジカル・メディスン(Proceeding of The Society for The Biological Medicine)、73巻、1巻(1950年)]などが用いられる。
pHは約6〜8であるのが好ましい。
培養は通常約30℃〜40℃で約15〜60時間行い、必要に応じて通気や撹拌を加える。
特にCHO(dhfr−)細胞およびdhfr遺伝子を選択マーカーとして用いる場合には、チミジンをほとんど含まない透析ウシ胎児血清を含むDMEM培地を用いるのが好ましい。
上記培養物から本発明で用いられるシンテニン−1を分離精製するには、例えば下記の方法により行なうことができる。
本発明で用いられるシンテニン−1を培養菌体あるいは細胞から抽出するに際しては、培養後、公知の方法で菌体あるいは細胞を集め、これを適当な緩衝液に懸濁し、超音波、リゾチームおよび/または凍結融解などによって菌体あるいは細胞を破壊したのち、遠心分離やろ過によりシンテニン−1の粗抽出液を得る方法などが適宜用い得る。
緩衝液の中に尿素や塩酸グアニジンなどのたんぱく変性剤や、トリトンX−100(登録商標。以下、TMと省略することがある。)などの界面活性剤が含まれていてもよい。
培養液中に本発明で用いられるシンテニン−1が分泌される場合には、培養終了後、自体公知の方法で菌体あるいは細胞と上清とを分離し、上清を集める。
このようにして得られた培養上清、あるいは抽出液中に含まれる本発明で用いられるシンテニン−1の精製は、自体公知の分離・精製法を適切に組み合わせて行なうことができる。
これらの公知の分離、精製法としては、塩析や溶媒沈澱法などの溶解度を利用する方法、透析法、限外ろ過法、ゲルろ過法、およびSDS−ポリアクリルアミドゲル電気泳動法などの主として分子量の差を利用する方法、イオン交換クロマトグラフィーなどの荷電の差を利用する方法、アフィニティークロマトグラフィーなどの特異的親和性を利用する方法、逆相高速液体クロマトグラフィーなどの疎水性の差を利用する方法、等電点電気泳動法やクロマトフォーカシングなどの等電点の差を利用する方法などが用いられる。
本発明で用いられるシンテニン−1が遊離体で得られた場合には、それ自体公知の方法あるいはそれに準じる方法によって塩に変換することができ、逆に塩で得られた場合には自体公知の方法あるいはそれに準じる方法により、遊離体または他の塩に変換することができる。
なお、組換え体が産生する本発明で用いられるシンテニン−1を、精製前または精製後に適当な蛋白修飾酵素を作用させることにより、任意に修飾を加えたり、ポリペプチドを部分的に除去することもできる。蛋白修飾酵素としては、例えば、トリプシン、キモトリプシン、アルギニルエンドペプチダーゼ、プロテインキナーゼ、グリコシダーゼなどが用いられる。かくして生成するシンテニン−1の存在は特異抗体を用いたエンザイムイムノアッセイなどにより測定することができる。
シンテニン−1、およびシンテニン−1をコードするDNAはIgAグロブリンのクラススイッチを誘導することから、IgA免疫グロブリンのクラススイッチ誘導作用剤、抗体産生誘導剤、免疫賦活剤などとして用いることができる。
したがって、シンテニン−1、およびシンテニン−1をコードするDNAは、ウイルスによる感染症または疾病、細菌または真菌による感染症または疾病、癌、抗体産生低下を伴う免疫不全症などの予防・治療薬などとして用いることができる。
例えば、生体内においてIgAグロブリンが減少しているヒトまたは哺乳動物がいる場合に、(イ)シンテニン−1をコードするDNAを該ヒトまたは哺乳動物に投与し、生体内でシンテニン−1を発現させることによって、(ロ)細胞にシンテニン−1をコードするDNAを挿入し、シンテニン−1を発現させた後に、該細胞をヒトまたは哺乳動物に移植することによって、または(ハ)シンテニン−1を該ヒトまたは哺乳動物に投与することなどによって、該ヒトまたは哺乳動物におけるシンテニン−1の役割を十分に、あるいは正常に発揮させることができる。
シンテニン−1をコードするDNAを上記の治療・予防剤として使用する場合は、該DNAを単独あるいはレトロウイルスベクター、アデノウイルスベクター、アデノウイルスアソシエーテッドウイルスベクターなどの適当なベクターに挿入した後、常套手段に従って、ヒトまたは哺乳動物に投与することができる。
シンテニン−1をコードするDNAは、そのままで、あるいは摂取促進のための補助剤などの生理学的に認められる担体とともに製剤化し、遺伝子銃やハイドロゲルカテーテルのようなカテーテルによって投与できる。
シンテニン−1を医薬として使用する場合、常套手段に従って実施することができる。
例えば、必要に応じて糖衣や腸溶性被膜を施した錠剤、カプセル剤、エリキシル剤、マイクロカプセル剤などとして経口的に、あるいは水もしくはそれ以外の薬学的に許容し得る液との無菌性溶液、または懸濁液剤などの注射剤の形で非経口的に使用できる。
例えば、該シンテニン−1を生理学的に認められる担体、香味剤、賦形剤、ベヒクル、防腐剤、安定剤、結合剤などとともに一般に認められた製薬実施に要求される単位用量形態で混和することによって医薬組成物を製造することができる。
これら製剤における有効成分量は指示された範囲の適当な容量が得られるようにするものである。
錠剤、カプセル剤などに混和することができる添加剤としては、例えばゼラチン、コーンスターチ、トラガントガム、アラビアゴムのような結合剤、結晶性セルロースのような賦形剤、コーンスターチ、ゼラチン、アルギン酸などのような膨化剤、ステアリン酸マグネシウムのような潤滑剤、ショ糖、乳糖またはサッカリンのような甘味剤、ペパーミント、アカモノ油またはチェリーのような香味剤などが用いられる。
調剤単位形態がカプセルである場合には、前記タイプの材料にさらに油脂のような液状担体を含有することができる。
注射のための無菌組成物は注射用水のようなベヒクル中の活性物質、胡麻油、椰子油などのような天然産出植物油などを溶解または懸濁させるなどの通常の製剤実施に従って処方することができる。
注射用の水性液としては、例えば、生理食塩水、ブドウ糖やその他の補助薬を含む等張液(例えば、D−ソルビトール、D−マンニトール、塩化ナトリウムなど)などがあげられ、適当な溶解補助剤、たとえばアルコール(たとえばエタノール)、ポリアルコール(たとえばプロピレングリコール、ポリエチレングリコール)、非イオン性界面活性剤(たとえばポリソルベート80(TM)、HCO−50)などと併用してもよい。
油性液としてはゴマ油、大豆油などがあげられ、溶解補助剤として安息香酸ベンジル、ベンジルアルコールなどと併用してもよい。
また、緩衝剤(例えば、リン酸塩緩衝液、酢酸ナトリウム緩衝液)、無痛化剤(例えば、塩化ベンザルコニウム、塩酸プロカインなど)、安定剤(例えば、ヒト血清アルブミン、ポリエチレングリコールなど)、保存剤(例えば、ベンジルアルコール、フェノールなど)、酸化防止剤などと配合してもよい。
調製された注射液は通常、適当なアンプルに充填される。
このようにして得られる製剤は安全で低毒性であるので、例えばヒトや哺乳動物(例えば、マウス、ラット、モルモット、ウサギ、ヒツジ、ブタ、ウシ、ウマ、ネコ、イヌ、サル、チンパンジーなど)に対して投与することができる。
シンテニン−1の投与量は、症状などにより差異はあるが、経口投与の場合、一般的に成人(体重60kgとして)においては、一日につき約0.1から1000mg、好ましくは約1.0から300mg、より好ましくは約3.0から50mgである。
非経口的に投与する場合は、その1回投与量は投与対象、対象臓器、症状、投与方法などによっても異なるが、たとえば注射剤の形では成人(体重60kgとして)への投与においては、一日につき約0.01から30mg程度、好ましくは約0.1から20mg程度、より好ましくは約0.1から10mg程度を静脈注射により投与するのが好都合である。
他の動物の場合も、60kg当たりに換算した量を投与することができる。
[配列番号:1]ヒトシンテニン−1のアミノ酸配列を示す。
[配列番号:2]ヒトシンテニンの塩基配列を示す。
[配列番号:3]実施例8に記載されるシンテニン−1融合タンパク質を作製するために使用されたN端側のプライマーの塩基配列を示す。
[配列番号:4]実施例8に記載されるシンテニン−1融合タンパク質を作製するために使用されたC端側のプライマーの塩基配列を示す。
[配列番号:5]実施例8に記載されるラクトアデヘリン融合タンパク質を作製するために使用されたN端側のプライマーの塩基配列を示す。
[配列番号:6]実施例8に記載されるラクトアデヘリン融合タンパク質を作製するために使用されたC端側のプライマーの塩基配列を示す。
初乳によるB細胞からIgA分泌細胞への分化誘導。 活性サンプルによる優先的IgA誘導。 IL−10、rTGF−β1、IL−6、IL−1βに対する中和抗体による初乳のIgA誘導能。最初の棒グラフは中和抗体なし、その次からの棒グラフは中和抗体を増量した場合。 活性サンプル、非活性サンプルに対する、2度目のゲルクロマトグラフィー。矢印は分子量を示す。青色デキストラン(2000kDa), フェリチン(440kDa), アルブミン(67kDa), オボアルブミン(43kDa), リボ核酸A(13.7kDa) 2次元ゲル電気泳動による解析活性サンプル(A), 非活性サンプル(B)を2次元ゲル電気泳動で比較した。活性サンプル(A)において37スポットが認められた。同じ分子量のスポットで異なる等電点を示すものは同一のタンパクと考えられる。 GST−シンテニン−1によるIgA誘導。 Superdex 200, 10/300 GLカラムクロマトグラフィーによるシンテニン−1の溶出パターン。A:活性サンプル、点線領域がIgA誘導能を有している。B:非活性サンプルでAと同じ領域を示している。C:440kDa以上の領域でシンテニン−1(32kDa)を検出。その他の領域ではシンテニン−1は、検出されない。シンテニン−1のバンドは活性サンプルで非常に強く認められた。 初乳中のシンテニン−1濃度とIgA誘導能との関連性。IgA誘導能を有する初乳にのみシンテニン−1の発現を認めた。
実施例1
[初乳サンプル]
書面で同意を取った満期産の35人の妊婦から、分娩後7日以内に初乳約10mlを集め直に−70℃で保存した。
培養使用時にはサンプルを溶解し遠心(3000rpm, 30min,4℃)後、脂質層と細胞層を取り除き、上澄みだけを透析した。
透析液は、1日間はリン酸緩衝食塩液を、3日間はRPMI1640を使用し、透析膜は、1000Daカット膜(Spectra/Pro ;Spectrum Laboratories)を使用した。
透析後、サンプルを分注し−70℃で保存した(この研究は富山大学倫理委員会の承認を受けて実施されている)。
実施例2
[ナイーブB細胞と樹状細胞(DC)の調整]
臍帯血を満期産の臍帯から採取し、Ficoll法にて単核細胞(MNC)のみを分離した。
このMNCをEロゼット法にてT細胞を除去し、磁気ビーズ(MACSビーズ)にてナイーブB細胞を分離した。
このB細胞をフローサイトで確認したところ99%がIgD+ナイーブB細胞であった。
樹状細胞作製には、まず臍帯血MNCから磁気ビーズ(CD34MACSビーズ)にてCD34 +細胞を分離し、その分離した細胞をrGM−CSF(100ng/ml)、rTNF−α(2.5ng/ml)、rSCF (25ng/ml)で培養する。
12〜14日後、これらの細胞の86%以上がCD1aを発現する樹状細胞へ分化していた。
実施例3
初乳によって臍帯血B細胞からどのような免疫グロブリンが産生されるかを調べた。
実験は、35人分の初乳サンプルで行い、免疫グロブリンのサブクラスの陽性細胞のカウントには固層化酵素抗体法(Enzyme−linked immunosorbent spot:ELISPOTを使用した。
臍帯血B細胞からIg産生細胞を誘導する方法は公知方法に従った(J. Exp. Med.,185:1909−1918)。
培養は、IMDM (Iscove’s Modified Dulbecco’s Medium)培養液に、50μg/mLヒトトランスフェリン、5μg/mlウシインシュリン(Sigma)、5%−FCS (Flow Laboratories)、 ゲンタマイシン(0.08μg/ml) (GIBCO)を加えて行った。
96穴プレートを用い、1×10/mlのB細胞および1×10/mlの樹状細胞(3,400 rad照射)を、3.75×10/mlのCD40L−transfected L cells (7,500 rad照射)の存在下で、培養液量200μlとして培養し、サイトカインrhIL−10(200ng/ml)および初乳(25%v/v)を加えた。
培養細胞を6日目に回収し、IgG、IgAおよびIgM陽性細胞数をカウントした。実験は3度繰り返した。
結果を図1に示す。
多くの初乳サンプル(Colostrum)がナイーブB細胞を優先的にIgA分泌細胞へと分化させた。
反対に、IL−10はすべてのサブクラス(IgM,IgA,IgG)の分泌細胞へと分化促進した。
実施例4
IgA分泌細胞分化誘導能をもつプールした初乳を活性サンプル(active sample)と定義した。
培養は、実施例3と同様に行い、IgA分泌細胞分化誘導能を調べた。
すなわち、96穴プレートを用い、1×10/mlのB細胞および1×10/mlの樹状細胞(3,400 rad照射)を、3.75×10/mlのCD40L−transfected L cells (7,500 rad照射)の存在下で、培養液量200μlとして培養し、サイトカインrhIL−10(200ng/ml)、rhTGF−β1(0.3ng/ml)、rIL−6(0.3ng/ml)[いずれもR&D systems製]および活性サンプル(25%v/v)を加えた。
培養細胞を6日目に回収し、IgG、IgAおよびIgM陽性細胞数をELISPOTでカウントした。
実験は3度繰り返した。
結果を図2に示す。
rIL−10はすべてのサブクラスを同様に促進したが、活性サンプルは選択的にIgA分泌細胞へと分化させた。
一方、rTGF−β1、rIL−6はIgA分泌細胞へと分化促進しなかった。
実施例5
初乳のIgA誘導能について、rIL−10、rTGF−β1, IL−6,IL−1βに対する中和抗体を用い調べた。
培養は、実施例3と同様に行った。
すなわち、96穴プレートを用い、1×10/mlのB細胞および1×10/mlの樹状細胞(3,400 rad照射)を、3.75×10/mlのCD40L−transfected L cells (7,500 rad照射)の存在下で、培養液量200μlとして培養し、サイトカインrhIL−10(200ng/ml)、rhTGF−β1(0.3ng/ml)、rIL−6(0.3ng/ml)[いずれもR&D systems製]および活性サンプル(25%v/v) を加えた。
また、中和抗体として、抗IL−6、抗IL−10、抗IL−1βおよび抗TGF−β1抗体を活性サンプルに徐々に加えた。
培養細胞を6日目に回収し、IgG、IgAおよびIgM陽性細胞数をELISPOTでカウントした。実験は3度繰り返した。
結果を図3に示す。
抗IL−10、抗rTGF−β1、抗IL−1β抗体は全く活性サンプルのIgA誘導能を阻害しなかった。
一方、抗IL−6抗体は容量依存的に、活性サンプルのIgA誘導能を部分的に阻害した。
実施例6
[初乳中におけるIgA分泌細胞分化誘導因子の精製]
活性サンプルを炭酸水素アンモニウムで平衡化したSuperdex 200、10/300 GLカラムに通した。
カラムは0.4ml/分の速さで同じ緩衝液で溶出し、溶出されたタンパクはUVモニターで監視した。
タンパクを24分画(1ml/分画)に分け、それぞれの分画について、実施例3と同様の方法でIgA分泌細胞分化誘導能を調べた。
IgA分泌細胞分化誘導能を持つ分画を、炭酸水素アンモニウムで平衡化したUNO Q1 陰イオン交換カラムに通した。
吸着されたタンパクを0〜1M NaClの直線的な濃度勾配で溶出し、45分画のタンパクを回収した。
各分画のタンパクを20mM炭酸水素アンモニウムで透析を行い凍結乾燥した。
そして再び各分画においてIgA分泌細胞分化誘導能を調べ、活性を持つ分画を保存してSuperdex 200, 10/300 GLカラムにもう一度通した。
溶出されたタンパクについてIgA分泌細胞分化誘導能を調べ、活性を持つ分画を−70℃で保存した。
一方、IgA分泌細胞分化誘導能を持たないプールした初乳を非活性サンプル(non−active sample)と定義した。
非活性サンプルを用い、上述のタンパク分離を同じように施行して、活性サンプルの分化誘導能を持つ分画と同じ非活性サンプルの分画を−70℃で保存した。
活性サンプルおよび非活性サンプルから溶出された分画は、SDS−電気泳動および銀染色で解析した。
結果を図4に示す。
図4A:activeサンプル、図4B :non−activeサンプルは、炭酸水素アンモニウムで平衡化したSuperdex 200, 10/300 GLカラムに通された。
カラムは0.4ml/分の速さで同じバッファーで溶出され、溶出されたタンパクはUVモニターで監視した。
図4C:2度目のゲルクロマトグラフィーによるIgA誘導能。
第5,6分画にIgA誘導能をもつ物質が存在している。
図4D:activeサンプル, non−activeサンプルをCy5で標識して比べたが両者に差はなかった。
実施例7
[2次元ゲル電気泳動とタンパク同定]
公知の方法(Proteomics 7:781−795)に準じて行った。
すなわち、活性サンプルと非活性サンプルを、それぞれ蛍光色素(Cy5およびCy3)で100mgタンパクに対して200pmol染料の割合で標識した。
それぞれのゲルにおける内部標準として蛍光色素Cy2で2分画プールを標識した。
標識されたサンプルは、2倍希釈のサンプル緩衝液[8M尿素、4%(W/V)CHAPS、20mg/ml DTT、2%(V/V) 固定化pH勾配(Immobilized pH Gradient, IPG)緩衝液(GE Healthcare)]でよく混ぜ合わせた。
これらのサンプルを、IPGストリップ(strips)(24cm、pI 3−10)を使用してMultiPhor II電気泳動器に注入した。
泳動は暗室で40KVhr、20℃で行った。
ストリップを10分間、50mM トリス塩酸緩衝液(pH8.8)、6M尿素、30%(v/v) グリセロール、65mMDTT含有2%−SDSで平衡化し、さらに10分間240mMヨウ化アセタミド(idoacetamide)を含んだ同じ緩衝液で平衡化した。
平衡化したストリップを12%ポリアクリルアミドゲル(24cm×20cm)に移し、25mMトリス塩基、01%SDS、192mMグリシンおよび01%ブロムフェノールブルー含有の0.5%低温溶解アガロースを上塗した。
ゲルを15℃、3W/gelで、Ettan DALTTM II system(GE Healthcare)により泳動した。
2−Dゲルは、2920 2D−Master Imager(GE Healthcare)によって直接走査した。
3つの蛍光色素における標準化は露出時間を変化させて55,000カウントに対する最大ピクセル値を調節することで行った。
泳動パターンを図5に示す。
ゲルイメージを、Decyder software(GE Healthcare)で解析するためにtif形式ファイルに変換した。
ゲル解析によるサンプル間の相違を見つけるために、蛍光色素(Cy2,Cy3,Cy5)のイメージを重ね合わせて、目的のスポットと標準化したスポットの濃度比を比べることで、有意にactive sampleに高発現しているタンパクを同定した。
このスポット比較と統計は、Decyder Biological Variation Analysis (BVA)ソフトウェア(GE Healthcare)で行った。
一部のスポットは、自動収集機で2−Dゲルから切り出した。
そのゲルを15時間、30℃でトリプシン処理し、マススペクトル解析をLC−MS/MS(CapLC Waters)で行った。
LC−MS/MSの操作、データの取り込みおよび解析のすべてをMassLynx3.2ソフトウェア(Micromass)で行った。
結果を表1に示す。
Figure 2009054321
活性サンプル(A)、非活性サンプル(B)を2次元ゲル電気泳動で比較した。
活性サンプル(A)において37スポットが、非活性サンプルより2倍以上高く発現していた。
同じ分子量のスポットで異なる等電点を示すものは同一のタンパクと考えられるので図5のように円で囲ってある。
その中で太字で示したものだけをLC−MS/MSにかけてタンパクを同定した。
実施例8
[組み換えタンパク]
グルタチオントランフェラーゼ(GST)−シンテニン−1融合タンパクおよびマルトース結合タンパク (MBP)−ラクトアデヘリン融合タンパクを作成するために、ヒトシンテニン−1(GeneBank BC013254)、ヒトラクトアデヘリン(GeneBank:U58516)のコーディング領域全体を末梢血単核球のcDNAからPCRで増幅した。
PCR増幅したシンテニン1のフラグメントは、BamHIおよびNotIで処理し、pGEX−5X−2ベクター(GE Healthcare)に挿入した。
また、PCR増幅したラクトアデヘリンのフラグメントは、XbaIおよびHindIIIで処理し、pMAL−C2Xベクター(New England Biolabs)へ挿入した。
PCRに使用したプライマーは、以下のとおりである。
(シンテニン−1)
forward primer:5’−CGCGGATCCCCTCTCTCTATCCATCTCTCGAAGAC−3’
reverse primer: 5’−ATAAGAATGCGGCCGCTTAAACCTCAGGAATGGTGTGGTC−3’
(ラクトアデヘリン)
forward primer: 5’−CTAGTCTAGAATGCCGCGCCCCCGCCTGCTGGCCGCGCTG−3’
reverse primer: 5’−CAGGCAAGCTTCTAACAGCCCAGCAGCTCCAGGCGCAGGGC−3’
全てのPCR増幅には、Pfuポリメラーゼ(Stratagene)を使用した。
DNA配列の確認はABI310DNAシークンエンサー(Perkin Elmer Life science)で行った。
ベクターに組み込んだプラスミド(pGEX−5X−2/シンテニン−1およびpMAL−C2X/ラクトアデヘリン)でコンピテント細胞(大腸菌BL21(DE3))を形質転換した。
形質転換された大腸菌を37℃、0.1μg/mlアンピシリン含有LB培地で培養した。
3時間、イソプロピル−β−D−チオガラクシド(IPTG)で誘導し、細胞密度0.5(OD600)のタンパクを発現させた。
GST−シンテニン−1を発現した大腸菌を回収し、冷却しながら超音波破砕器(Astrason XL−2020、Misonix)で20分間、細胞を破砕した。
溶解物を遠心(20,000×g、20分)し、GST−シンテニン−1融合タンパクをグルタチオン−セファロース4Bカラム(GE Healthcare)で精製した。
MBP)−ラクトアデヘリンについても同様の方法で精製した。
それぞれのタンパクの純度はSDS−PAGE、CBB染色とヒトシンテニン−1抗体およびラクトアデヘリン抗体によるウエスタンブロットで確認した。
実施例9
A:GST−シンテニン−1を、実施例3に記載したCD40L培養システムに添加してナイーブB細胞からIgA分泌細胞へと分化させることができるかを調べた。
結果を図6Aに示す。
GST−シンテニン−1は、容量依存的にナイーブB細胞からIgA分泌細胞へと分化させることができた。
しかし5μg/ml以上GST−シンテニン−1を増加しても結果は変わらなかった。
B:rIL−10はすべてのサブクラスを同様に促進したが、GST−シンテニン−1は選択的にIgA分泌細胞へと分化させた。結果を図6Bに示す。
C: 同じ実験を行い、ELISPOTではなくフローサイトを使用して表面IgA(+)B細胞数を調べた。
結果は、IL−10ほど強くはないが、GST−シンテニン−1はナイーブB細胞から表面IgA(+)B細胞へと分化促進した。
結果を図6Cに示す。
実施例10
10人の初乳について、実施例3と同様にIgA誘導能を調べ、同時にその初乳中のシンテニン−1の発現をウェスタンブロット法にて調べた。
結果を図8に示す。
シンテニン−1、およびシンテニン−1をコードするDNAはIgAグロブリンのクラススイッチを誘導することから、IgA免疫グロブリンのクラススイッチ誘導作用剤、抗体産生誘導剤、免疫賦活剤などとして用いることができる。
したがって、シンテニン−1、およびシンテニン−1をコードするDNAは、ウイルスによる感染症または疾病、細菌または真菌による感染症または疾病、癌、抗体産生低下を伴う免疫不全症などの予防・治療薬などとして用いることができる。

Claims (6)

  1. シンテニン−1又はシンテニン−1と実質的に同一の改変体を含有することを特徴とするB細胞のIgAクラススイッチング剤。
  2. シンテニン−1又はシンテニン−1と実質的に同一の改変体をコードするDNAを含有することを特徴とするB細胞のIgAクラススイッチング剤。
  3. シンテニン−1又はシンテニン−1と実質的に同一の改変体を含有することを特徴とする抗体産生誘導剤。
  4. シンテニン−1又はシンテニン−1と実質的に同一の改変体をコードするDNAを含有することを特徴とする抗体産生誘導剤。
  5. シンテニン−1又はシンテニン−1と実質的に同一の改変体を含有することを特徴とする免疫賦活剤。
  6. シンテニン−1又はシンテニン−1と実質的に同一の改変体をコードするDNAを含有することを特徴とする免疫賦活剤。
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