本発明は、レーザ穿刺装置を駆動する高電圧発生回路と、この高電圧発生回路を用いた穿刺装置と、この穿刺装置を用いた血液検査装置に関するものである。
糖尿病患者は、定期的に血糖値を測定し、この測定した血糖値に基づいてインスリンを注射したり、食事制限などを行い、血糖値を正常にコントロールする必要がある。このため、患者は測定機器を常時携帯し、日常的に患者自ら血糖値を測定する必要がある。そのため、患者は穿刺装置を用いて指先等の皮膚を穿刺し、皮膚から滲出した血液を血糖値測定機につけて血糖値を測定する。血糖値以外にも乳酸やヘモグロビンA1Cなどの生体情報なども穿刺装置を用いて得られた血液を使って測定を行う。
現在、針式の穿刺装置が一般的となっているが、感染などの危険性が重要視されてきており、レーザを用いたレーザ穿刺装置を備える穿刺装置が知られている。この従来のレーザ穿刺装置を駆動する高電圧発生回路1は、図1に示すように、電池2に接続されるスイッチ3と、このスイッチ3に接続された昇圧回路4と、この昇圧回路4の出力に接続されるとともにレーザ穿刺装置5を構成するフラッシュランプ(光源の一例として用いた)5aに接続されるコンデンサ6と、昇圧回路4の出力に接続されるとともに、患者の操作によりトリガ信号を発生させるトリガスイッチ7aと、このトリガスイッチ7aに接続されたトリガ回路7とで構成されており、このトリガ回路7は、フラッシュランプ5aに設けられたトリガ電極5bに接続されていた。
ここで、電池2は、起電力3.7Vのリチウムイオン電池を用い、コンデンサ6は、300μFのものを用いている。そして、昇圧回路4からコンデンサ6への充電電流は1.2Aで充電しており、レーザ穿刺装置5は発振電圧400Vであって、最低発振電圧は300Vのものを用いている。
この高電圧発生回路1では、スイッチ3をオンすることにより、電池2の出力電流が昇圧回路4を介してコンデンサ6に入力され、コンデンサ6は充電(チャージ)される。コンデンサ6への充電に伴いコンデンサ6の端子電圧は上昇する。これによってフラッシュランプ5aの両端電圧も同じく上昇する。
約7秒間の充電で、フラッシュランプ5aの両端電圧が発振電圧(約400V)まで上昇し、その後、患者がトリガスイッチ7aをオンする。そうするとフラッシュランプ5aが点灯し、その光エネルギ5dでレーザ結晶5eを励起させる。レーザ結晶5eからは、レーザ光5fが発射され、このレーザ光5fはレンズ5gを通過して、皮膚9を穿刺する。皮膚9が穿刺されると皮膚9からは血液10が滲出する。
なお、この出願の発明に関連する先行技術文献情報としては、例えば、特許文献1、特許文献2が知られている。
特開2003−38662号公報
特開2004−195245号公報
しかしながら、このような従来の高電圧発生回路1では、コンデンサ6を充電して発振電圧になるまでに7秒以上かかっていた。即ち、スイッチ3をオンした後、7秒以上後待たなければトリガスイッチ7aをオンしても予め設定された強さのレーザ光は発射されなかった。
今、この様子を少し詳細に説明する。図2は、コンデンサ6を充電する電流(チャージ電流)と、その充電に要する時間(チャージ時間)及びその際の電量損失との関係を示す図である。図2に示すようにチャージ電流は、チャージ時間及び電量損実と反比例の関係となっている。即ち、特性曲線C1に示すように、充電する電流が大きく(図2で右方)なれば、充電に要するチャージ時間が短く(図2で下方)なり、充電するチャージ電流が小さければ、充電に要するチャージ時間が長くなる。
一方、電池2の内部抵抗によって、特性曲線C2で示すように、チャージ電流が大きくなると、内部抵抗による電量損失が大きく(図2で上方)なり、チャージ電流が少なくなれば、電量損失は小さくなる。なお、電量損失はチャージ電流の2乗に比例して増大する。
よって、コンデンサ6へのチャージ電流を大きくすれば、チャージ時間は短くなるが、電力損失の増加、電池への負荷の増大によって電池寿命の短縮につながる。これは医療機器においては重大な問題であり、患者が必要なときに穿刺が行えず、患者の状態を著しく悪化させる原因となりうる。
このような、電池の内部抵抗による電量損失とチャージ充電に要するチャージ時間の兼ね合いを踏まえて、電池の電量損失及びチャージ電流量を極力小さくしつつ、極力短時間で、コンデンサに充電したいという要望がある。例えば、コンデンサを充電する電流(チャージ電流)を1.2Aに設定し、この設定により充電に要する時間(チャージ時間)は7秒となり、この時間の更なる短縮が望まれる。なお、相反する関係ではあるが、このときの電池の電量損失は7.06Jであり、この電池の電量損失の低減も望まれている。
本発明の目的は、レーザ穿刺用の電圧を、少ない電力損失で、且つ、短時間にレーザ発振レベルまで昇圧できるレーザ穿刺用の高電圧発生回路、穿刺装置及び血液検査装置を提供することである。
本発明の高電圧発生回路は、レーザ光を発振させて皮膚に穿刺するレーザ穿刺ユニットを駆動する高電圧発生回路であって、電荷を充電し、前記レーザ穿刺ユニットに電源を供給するコンデンサと、前記コンデンサに電流を供給する昇圧回路と、前記コンデンサの電圧を測定する電圧測定部と、ユーザからの指示または前記コンデンサの電圧に基づいて前記昇圧回路を制御する制御部とを備え、前記制御部は、前記昇圧回路に、第1のタイミングにおいて第1の電流値による前記コンデンサへの充電を開始させ、前記第1のタイミングより後の第2のタイミングにおいて前記第1の電流値よりも高い第2の電流値により前記コンデンサへの充電を開始させる構成を採る。
本発明の高電圧発生回路は、レーザ光を発振させて皮膚に穿刺するレーザ穿刺ユニットを駆動する高電圧発生回路であって、電荷を充電し、前記レーザ穿刺ユニットに電源を供給する複数のコンデンサと、前記複数のコンデンサの接続状態を直列接続又は並列接続に切り替える切替部と、複数のコンデンサに電流を供給する昇圧回路と、複数のコンデンサの電圧を測定する電圧測定部と、ユーザからの指示または前記コンデンサの電圧に基づいて前記昇圧回路及び前記切替部を制御する制御部と、を備え、前記制御部は、第1のタイミングにおいて、前記切替部を切替えて前記複数のコンデンサを並列接続にした状態で、前記昇圧回路に前記複数のコンデンサへの充電を開始させ、前記第1のタイミングより後の第2のタイミングにおいて、前記切替部を切替えて前記複数のコンデンサを直列接続する構成を採る。
本発明の穿刺装置は、上記構成の高電圧発生回路と、前記レーザ穿刺ユニットとを有する構成を採る。
本発明の血液検査装置は、上記構成の穿刺装置と、穿刺された皮膚から滲出した血液成分を分析する血液センサとを有する構成を採る。
本発明によれば、レーザ穿刺用の電圧を、少ない電力損失で、且つ、短時間にレーザ発振レベルまで昇圧できる。
従来の高電圧発生回路とその周辺のブロック図
同、特性図
本発明の実施の形態1における高電圧発生回路を備える穿刺装置の要部構成を示すブロック図
昇圧回路部の構成の一例を示すブロック図
図4に示すパルス発生器から出力されるパルス波形を示す図同、動作概略説明図
レーザユニット部のブロック図
本発明の実施の形態1に係る高電圧発生回路の動作を説明するための動作タイミング図
制御部の構成を示す機能ブロック図
記録部に記録される患者の使用回数を記録したテーブルの一例を示す図
学習機能による予備チャージ開始を行う場合の制御を説明するシーケンス図
予備チャージ後、患者の操作によって穿刺する場合における高電圧発生回路の動作を説明するための動作タイミング図
本発明の実施の形態2における高電圧発生回路を備える穿刺装置の要部構成を示すブロック図
降圧回路部の構成の一例を示すブロック図
図13に示すパルス発生器から出力されるパルス波形を示す図
制御部の構成を示す機能ブロック図
本発明の実施の形態2に係る高電圧発生回路の動作を説明するための動作タイミング図
電力回生制御部の動作を説明するためのシーケンス図
本発明の実施の形態3における高電圧発生回路を備える穿刺装置の要部構成を示すブロック図
図18に示す穿刺装置において、切替スイッチによってコンデンサを直列に接続した状態を示すブロック図
制御部の構成を示す機能ブロック図
実施の形態4における穿刺装置の斜視図
実施の形態5における血液検査装置の断面図
センサユニットの断面図
センサの断面図
センサの透視平面図
センサの透視平面図
本発明の実施の形態5に係る血液検査装置における電気回路部とその周辺のブロック図
同血液検査装置の検査方法を説明するためのフローチャート
以下、本発明の実施の形態について、図面に基づいて説明する。
(実施の形態1)
図3は、実施の形態1における高電圧発生回路21を備える穿刺装置20の要部構成を示すブロック図である。穿刺装置20は、高電圧発生回路21と、電池22と、レーザユニット部(レーザ穿刺ユニット)26とを有する。
高電圧発生回路21の入力は、電池22に接続されており、出力はレーザユニット部26に接続されている。
電池22としては、ここでは、内部抵抗0.7Ω、起電力3.7Vの二次電池が用いられているが、二次電池に限らず一次電池を用いてもよい。本実施の形態では、二次電池のリチウムイオン電池を使用している。この他に二次電池としては、ニッケル水素電池、ニカド電池等がある。なお、一次電池としてはリチウム電池、マンガン乾電池、アルカリ乾電池等があり、何れでも使用することができる。電池22は、高電圧発生回路21の昇圧回路部24の入力に接続され、昇圧回路部24を介して高電圧発生回路21のコンデンサ25に電力供給を行う。
高電圧発生回路21は、昇圧回路部24と、チャージ電流測定部23と、コンデンサ25と、コンデンサ電圧測定部27と、制御部28と、入力部29と、表示部39とを有する。
チャージ電流測定部23は、昇降回路部24から出力される電流を測定し、その測定結果を制御部28に出力する。
昇圧回路部24は、入力電圧よりも高い電圧を出力する。昇圧回路部24の入力側は、電池22のプラス側に接続されている。昇圧回路部24の出力側は、チャージ電流測定部23を介してコンデンサ25の一端部に接続されている。すなわち、昇圧回路部24の出力と電池22のマイナス側の間にはチャージ電流測定部23を介してコンデンサ25が接続されている。なお、昇圧回路部24は、出力側でチャージ電流測定部23に接続されている。
ここでは、昇圧回路部24は、入力された3〜5Vの電圧を200〜700Vまで可変して昇圧する。
図4は、昇圧回路部24の構成の一例を示すブロック図であり、図5は、図4に示すパルス発生器から出力されるパルス波形を示す図である。
図4に示す昇圧回路部24としてのコンバータは、入力される電圧を昇圧して出力するものであり、ここでは昇圧チョッパ回路を用いている。昇圧回路部24では、入力部24aを介して電池22からの電圧が入力される電流平滑用インダクタンスLに、スイッチング用トランジスタQのスイッチング出力端及び整流用ダイオードDの一端が接続されている。整流用ダイオードDの他端には、電圧平滑用コンデンサCと出力端子部24bとが接続されている。また、スイッチング用トランジスタQのスイッチング入力端には、パルス発生器24cが接続されている、このパルス発生器24cには、外部の制御部28(図3参照)が接続されており、制御部28から制御入力信号が入力されることによって、スイッチング用トランジスタQにパルス波を出力する。
パルス発生器24cは、制御入力信号を受けて図5に示すように、所定の周期(1kHz〜40kHz)において、オン時間Tonの割合を変化させるパルス波を発生する。このオン時間の割合によってスイッチング用トランジスタQを介して、出力の電圧または電流を変化させる。
この昇圧回路部24の出力側で接続されるチャージ電流測定部23は、昇圧回路部24から出力されてコンデンサ25に入力される電流を測定する。なお、チャージ電流測定部23の出力端は、コンデンサ25、レーザユニット部26、コンデンサ電圧測定部27を介して電池22(電池22のマイナス側)に接続されている。
コンデンサ25は、昇圧回路部24から出力される電気(電荷)を充電して、レーザユニット部26の電源となる。コンデンサ25の両端は、レーザユニット部26のコンデンサ入力電源部及びコンデンサ電圧測定部27が接続されている。例えば、コンデンサ25は、静電容量は300μFで、耐圧500Vのものを用いてもよい。
図6はレーザユニット部26のブロック図である。
図6に示すレーザユニット部26において、鏡筒26aは、円または楕円形をした筒形状であり、その内周面は、光源を効率よく反射するために鏡面に仕上げられている。
ここでは、鏡筒26aを共焦点系となるような楕円形状とし、この鏡筒26aの一方の焦点にはフラッシュランプ(光源の一例とする)26bを配置し、他方の焦点には、レーザロッド26cを配置している。これにより、フラッシュランプ26bから発射された光が効率良くレーザロッド26cに照射される。
レーザロッド26cの一方の端面には、反射率が85%〜95%程度の第1の反射膜26dを成膜している。また、レーザロッド26cの他方の端面には、反射率が99%以上の第2の反射膜26eを成膜している。
フラッシュランプ26bは、キセノンガスなどを封入してなる。このフラッシュランプ26bの両端には、第1コンデンサ接続部26m、第2コンデンサ接続部26nを介して、コンデンサ25の両端部が接続されている。また、フラッシュランプ26bには、トリガ回路部26hが接続されている。
トリガ回路部26hは、トリガ信号入力部26pを介して、制御部28に接続されている。トリガ回路部26hは、トリガ信号入力部26pを介して入力される制御部28からのトリガ信号によって、コンデンサ25から高電圧が印加されたフラッシュランプ26bに、電圧を瞬間的に印加して発光させる。
すなわち、コンデンサ25の電圧が200V〜700Vになるようにチャージされた際には、フラッシュランプ26b中は絶縁状態であるため発光しない。この状態の後で、つまり、コンデンサ25が、フラッシュランプ26bに、当該フラッシュランプ26bの両端から200V〜700Vの電圧を印加した後で、トリガ回路部26hによって5〜10kVの電圧を瞬間的に印加すると、フラッシュランプ26bでは誘導放電が開始され、その後、コンデンサ25から電流が流れ込み発光する。この発光した光が鏡筒26aによってレーザロッド26cに集光される。
このようにレーザロッド26cに集光された光は、レーザロッド26c内に存在するドープされたレーザ動作物質(本例ではEr:YAG)を励起し、波長が約2.94μmの光を発生させる。
発生した光は、レーザロッド26c内で第1の反射膜26dと第2の反射膜26e間を共振するとともに増幅される。
増幅された光の強度がある閾値よりも高くなった光は、第1反射膜26dを通過し、出射口26kを通ってレーザ出力光(レーザ光)として外部に出力される。本実施の形態におけるレーザユニット部26では、Er:YAGをドープしたレーザロッド26cを用いるため、レーザユニット部26は、レーザ波長が約2.94μmのレーザ光を出射する。
なお、出射口26kの前方には、図示しない凸レンズが、透過するレーザ光の焦点が患者の皮膚で結ぶように設けられている。皮膚が穿刺されると、皮膚からは血液が滲出する。
図3に戻り、コンデンサ電圧測定部27は、電池22及びコンデンサ25の両端(入出力端)に接続され、コンデンサ25の電圧を測定する。コンデンサ電圧測定部27は、ここでは、A/D(アナログ/デジタル)コンバータで構成されている。コンデンサ電圧測定部27は、測定したコンデンサ25の電圧値を制御部28に出力する。
入力部29は、スイッチ等から構成されており、制御部28に接続されている。患者からの入力があった場合、制御部28に通知し、この通知に基づいて、制御部28は、各部を制御する。
表示部39は、LCDやLEDなどで構成されており、制御部28に接続されており、制御部28から入力される情報を表示し、患者に視認させる。
制御部28は、チャージ電流測定部23とコンデンサ電圧測定部27からの入力に基づいて、コンデンサ25へのチャージ量(電流値)を決定し、決定したチャージ量を出力する指示信号を昇圧回路部24に出力する。この昇圧回路部24への制御信号の出力によって、制御部28は、昇圧回路部24から出力される電流量と昇圧電圧を制御する。また、制御部28は、各部の入力に基づいて、レーザの発射を制御するトリガ出力信号を、トリガ信号入力部26pに出力し、レーザユニット部26にレーザ光を発射させる。
このように制御部28は、コンデンサ25のチャージ状態を制御し、且つ、レーザ発射のタイミングを制御する。
制御部28は、コンデンサ25のチャージ状態を制御することによって、レーザユニット部26が穿刺可能なレーザ光を発振する穿刺レーザ発振電圧(第2のチャージ電圧)までの電圧を制御する。
具体的には、制御部28は、所定のタイミングで、昇圧回路部24を制御し、第1の電流値によるコンデンサ25の充電を開始し、第1の電流値でコンデンサ25を充電した後、所定のタイミングで、第1の電流値より大きい第2の電流値でコンデンサ25を充電する。
ここで、第1の電流値は、コンデンサ25を電源部とするレーザユニット部26においてレーザ発振が行われる電圧(最低レーザ発振電圧)以下の電圧(第1閾値)が印加されるまでの電流値である。つまり、第1の電流値は、昇圧回路部24を介して、コンデンサ25に、レーザユニット部26からレーザ光が発射されない電圧を印加する値である。この第1の電流値を用いて制御部28が昇圧回路部24を制御することを予備チャージと称し、レーザユニット部26においてレーザ発振が行われる電圧以下の電圧である電圧(レーザ光が発射されない電圧)を予備チャージ電圧(第1のチャージ電圧)と称する。制御部28は、レーザ発振が行われる電圧(最低レーザ発振電圧)よりも少し低い電圧、例えば10V低い電圧に到達した時点で、昇圧回路部24を制御して、コンデンサ25への電流の供給を停止させる。
この第1の電流値は、レーザユニット部26(図6参照)固有の構成によって決定される。具体的には、第1の電流値は、フラッシュランプ26bのランプ径、アーク長と、鏡筒26aの配置、反射率と、レーザロッド26cの共振器反射率、径、長さ等により決定される。
なお、制御部28が予備チャージを行う所定のタイミング(開始タイミング)は、例えば、1)「穿刺後直ぐに開始する場合」、2)「学習機能により自動開始する場合」、3)「患者の穿刺準備動作により開始する場合」が挙げられる。なお、これら3つの開始タイミングの詳細は後述する。
また、第2の電流値は、コンデンサ25を電源部とするレーザユニット部26において穿刺可能なレーザ発振が行われる穿刺レーザ発振電圧(第2閾値)を印加する電流値である。つまり、第2の電流値は、昇圧回路部24を介して、コンデンサ25に、レーザユニット部26にレーザ穿刺可能な状態の電圧を印加する値である。この第2の電圧値を用いて制御部28が昇圧回路部24を制御することを本チャージ、レーザユニット部26においてレーザ穿刺可能な状態の電圧である穿刺レーザ発振電圧を、本チャージ電圧(第2のチャージ電圧)とも称する。
また、制御部28は、本チャージ終了により穿刺可能なレーザの発射準備が完了した状態のレーザユニット部26に、トリガ信号を出力し、レーザ発振によって穿刺させる。具体的に、制御部28は、コンデンサ電圧測定部27から、コンデンサ25が穿刺レーザ発振電圧まで充電された情報(穿刺レーザ発振電圧値)が入力されると、トリガ信号をトリガ信号入力部26pに出力する。トリガ信号入力部26pを介してトリガ信号がトリガ回路部26hに入力されることによって、レーザユニット部26からレーザ光が発射する。
さらに、制御部28は、チャージ電流測定部23、コンデンサ電圧測定部27等の各部から入力や、決定したチャージ量などを示す情報を表示部39に出力して、患者に対してシステムの状態を通知する。
以上のように構成された高電圧発生回路21は、高電圧発生回路21を起動すると、昇圧回路部24を介して電荷がコンデンサ25に充電される。このときのチャージの電流値は電池22の損失の影響が小さくなるような電流である。コンデンサ25には、レーザ発振電圧(例えば、約300V)以下の電圧(例えば、290V)になるまで充電される。即ち、予備チャージ電圧になるまで充電される。なお、コンデンサ25の両端の電圧は、コンデンサ電圧測定部27で測定されている。この予備チャージ電圧では、レーザユニット部26からレーザ光が発射されることはなく安全である。
続いて、例えば、患者の操作により入力部29のスイッチがオンすると、電池22から昇圧回路部24を介して更に電荷がコンデンサ25に充電される。このときコンデンサ25では、穿刺レーザ発振電圧(例えば、約400V)まで充電される。従って、レーザユニット部26から予め定められた強度のレーザ光の発射が可能となり、レーザ光が発射される。
本高電圧発生回路21を備える穿刺装置において、「本チャージ後、すぐに穿刺する」場合について、時間に基づいて説明する。図7は、本発明の実施の形態1に係る高電圧発生回路21の動作を説明するための動作タイミング図である。図7において、横軸は時間、縦軸はチャージ電圧及びチャージ電流の大きさを示し、実線L1はチャージ電流を示し、一点鎖線L2はチャージ電圧を示す。
高電圧発生回路21のシステムが、起動すると、制御部28は、「予備チャージ開始」時刻t1において、昇圧回路部24を介して、コンデンサ25に予備チャージを開始する。このときのチャージ電流は、電池22の電力損失(電池22内の内部抵抗による損失)が小さくなるように、例えば100mAでチャージされる。この状態において制御部28は、コンデンサ電圧測定部27を介してコンデンサ25の両端の電圧を監視する。
チャージ電流L1が0.1Aで制御されることによって、コンデンサ25は、点t2まで35秒かけてチャージされる。即ち、コンデンサ25へのチャージ量が290V(予備チャージ電圧E1)になるまでチャージする。このように従来に比べて小電流(0.1A)でチャージする目的は、電池22の電力損失を少なくするためである。また、チャージ量(L2)を最低発振電圧(300V)未満の290Vに制御するのは、誤ってレーザ光を発射させないためである。
コンデンサ25の電圧がレーザ発振レベル以下の電圧である予備チャージ電圧E1(本実施の形態では290V)になる「予備チャージ終了」時刻t2になると制御部28は、昇圧回路部24を介して、コンデンサ25への予備チャージを終了する。
この状態でシステムは患者による操作、つまり、入力部29からの穿刺ボタン等のスイッチ押下による穿刺開始(本チャージを含む穿刺指示)の旨の入力を待つ。
穿刺ボタンなどがスイッチ押下されると、入力部29から穿刺開始の旨の信号が制御部28に入力される。これにより、制御部28は、「ユーザによる操作」及び「本チャージ開始」時刻t3において、昇圧回路部24を用いて本チャージを開始する。本チャージにおけるチャージ電流はチャージ時間を短くするために、例えば2Aでチャージされる。この状態において、制御部28は、コンデンサ電圧測定部27を用いて、予備チャージと同じようにコンデンサの両端の電圧を監視する。コンデンサ25の電圧が設定電圧、本実施の形態においては穿刺レーザ発振電圧である本チャージ電圧E2(例えば、400V)になるとシステム(制御部28)は、レーザユニット部26にトリガ信号を出力して、レーザユニット部26にレーザを発射させる。図7ではコンデンサ25の電圧が本チャージ電圧E2に達した際の点を「本チャージ終了」及び「レーザ穿刺」時刻t4で示す。
なお、本チャージにおけるチャージ電流は従来に比べて大きくなるが、それ以上にチャージ時間が短い(2.7秒)ため、電池22の電力損失は少ない。
また、この本チャージ時における待ち時間(例えば2秒程度)はブザー等の放音部(図示しない)や表示部39などによって患者にわかるようにするのがよい。例えば、制御部28は、コンデンサ電圧測定部27を介してコンデンサ25の電圧が設定電圧であることが測定された際に、接続された放音部や表示部39を介して、t4点までブザー音を放音させたり、表示部39に本チャージ中である旨を表示させたりする。
レーザユニット部26からレーザが発射されると、コンデンサ25のチャージ量はほぼ0となり、システム(制御部28)は、次の穿刺に備えて、昇圧回路部24を用いて再び予備チャージを開始する。
このように、制御部28は、コンデンサ電圧測定回路部27を介して、コンデンサ25の両端の電圧を測定し、この測定した電圧に基づいて、制御部28では予備チャージ電圧E1、レーザ発振電圧E2を認識して昇圧回路部24を制御する。よって、レーザ穿刺用のコンデンサ25の電圧を、少ない電力損失で、且つ、短時間にレーザ発振レベルまで昇圧できる。
例えば、本実施の形態では、予備チャージをしているので、トリガスイッチ(入力部29の一部)をオンしてからレーザ光が発射するまでの待ち時間は、2.7秒と短い。また、本チャージ電流は大きいが予備チャージに要する時間が短いので、全体として電池22の電力損失は少なくなる。一般に、コンデンサ25のチャージエネルギQcは(式1)で表される。
このコンデンサ25を発振電圧の400Vまでチャージするために必要なエネルギは、コンデンサ25の静電容量を300μF、電圧Vcを400Vとすると24Jとなる。ここで、昇圧回路部24の損失は少ないので無視するものとする。また、コンデンサ25にチャージされるエネルギQbは(式2)で表される。
この(式2)において、Vb・I・tは電池22から流出するエネルギであり、r・I2乗・tはその内電池22により消費されるエネルギである。(式2)において、従来の高電圧発生回路1におけるチャージ時間は、電流を1.2Aとすると、7秒となり、損失は約7.06Jとなる。
これに対して本実施の形態における予備チャージでは、予備チャージ電圧E1を290Vとし、電流を0.1Aとすると、予備チャージ時間は35秒となり、損失は0.25Jとなる。また、本チャージにおける本チャージ電圧(レーザ発振電圧E2)を400Vし、電流を1.7Aとすると、本チャージ時間は2.7秒となり、損失は5.46Jとなる。この比較を(表1)に示す。
以上、説明したように、本実施の形態では、合計の損失は5.71Jとなり、ユーザによるチャージ開始動作からの待ち時間は2.7秒となる。このように、従来の高電圧発生回路1に比べて、待ち時間と損失が改善される。
本実施の形態においては、先の穿刺が完了した時点で予備チャージを開始しておけばユーザはチャージ開始動作後、直ぐ(2.7秒後)に穿刺することができる。
すなわち、高電圧発生回路21を備える穿刺装置では、穿刺後直ぐに予備チャージを開始して、次の穿刺のための準備を行うため、一日の使用頻度が多い患者或いは、病院などで連続して使用する場合においては好適である。
このような高電圧発生回路21の制御部28よる予備チャージの開始は、放電による電量損失を防止するために、レーザ穿刺後すぐに予備チャージを開始(「穿刺後直ぐに開始する場合」に対応)せず、学習機能によって予備チャージの開始を決定する(「学習機能により自動開始する場合」に対応)か、患者による穿刺準備動作によって予備チャージを開始(「患者の穿刺準備動作により開始する場合」に対応)してもよい。
例えば、予備チャージ後、6時間が経過(毎食事後に穿刺すると仮定)すると、約30V自然放電によりチャージ電圧が減少する。この自然放電による損失を補うためにエネルギが必要となる。この損失を少なくするために、例えば学習機能を持たせることもできる。即ち、タイマ等を用いて患者の穿刺時間を時間データとして保存し、それを基に予想される次回の穿刺時間の少し前(過去の統計で算出)に自動的に予備チャージを開始する。このことにより、予備チャージの効果により損失を減少させることができる。
このように、高電圧発生回路21において、患者の毎日の穿刺時間を記録し、その穿刺時間の所定時間前に予備チャージを開始する「学習機能による自動開始」機能を有する高電圧発生回路21について説明する。
図8は、制御部28の構成を示す機能ブロック図である。
制御部28は、チャージ制御部281と、タイマ282と、学習回路部(穿刺タイミング学習部)284と、記録部286とを有する。
チャージ制御部281は、上述した制御部28の機能を有するものであり、チャージ電流測定部23とコンデンサ電圧測定部27からの入力に基づいて、コンデンサ25へのチャージ量(電流値)を決定し、決定したチャージ量を出力する指示信号を昇圧回路部24に出力する。この昇圧回路部24への制御信号の出力によって、チャージ制御部281は、昇圧回路部24から出力される電流量と昇圧電圧を制御する。
すなわち、チャージ制御部281は、入力部29を介したユーザからの指示またはコンデンサ電圧測定部27からのコンデンサの電圧に基づいて昇圧回路部24を制御し、入力部29又は学習回路部284等の外部から入力される予備チャージ開始タイミングにおいて、第1の電流値によりコンデンサ25への充電を開始させる。
また、チャージ制御部281は、コンデンサ25の電圧が、レーザ発振が行われる電圧(最低レーザ発振電圧)よりも例えば10V低い電圧に到達した時点で、昇圧回路部24を制御して、コンデンサ25への電流の供給を停止させる。
チャージ制御部281は、昇圧回路部24を制御して、予備チャージ開始タイミングより後の本チャージ開始タイミングにおいて、第1の電流値よりも高い第2の電流値によりコンデンサ25への充電を開始させる。
このようにチャージ制御部281は、チャージ電流測定部23およびコンデンサ電圧測定部27からの入力を基に昇圧回路部24に指令を与え、昇圧回路部24を任意の電圧または電流になるように制御する。
また、チャージ制御部281は、コンデンサ25へのレーザ発振電圧の印加によって、レーザの発射を制御するトリガ出力信号を、トリガ信号入力部26pに出力し、レーザユニット部26にレーザ光を発射させる。
タイマ282は、高電圧発生回路21のシステムの時間を計時して、チャージ制御部281に出力し、この出力された信号に基づいて、チャージ制御部281では、予備チャージの開始時間が決定される。
また、チャージ制御部281がレーザユニット部26にレーザ発射のためのトリガ信号を出力した際に、そのトリガ信号を出力した時間は学習回路部284に入力される。
学習回路部284は、チャージ制御部281からトリガ信号出力時間、つまり、レーザ穿刺が行われた時間が入力され、この入力された情報を記録部286に出力して保存する。学習回路部284は、記録部286に保存されたデータ(過去にレーザ穿刺を行った時間のデータ)を用いて患者の使用する時間を推測し、推定した患者の使用時間の所定時間前になるとその旨の信号をチャージ制御部281に出力する。この出力された信号に基づいてチャージ制御部281は、昇圧回路部24に昇圧出力制御信号(第1の電流値)を出力して、昇圧回路部24を制御して、コンデンサ25への予備チャージを開始する。
患者の1日の使用回数(血糖値の測定回数)は1〜6回と様々である。しかしながら使用時刻は基本的には食前食後であるため、おおよそ定期的に穿刺が行われる。学習機能によって予備チャージを開始する高電圧発生回路21のシステムは、定期的に行われる穿刺の時間を記録しておき、毎日のその時刻の所定時間前、例えば2時間前に予備チャージを自動的に開始する。このように推定した、患者の使用時間の所定時間前に行うのは、患者が毎日穿刺装置を使用する使用時刻のバラツキを吸収する目的である。
図9は、記録部に記録される患者の使用回数を記録したテーブルの一例を示す図である。
図9に示すテーブルは、1日に3回穿刺を行う患者の10分毎の使用回数を記録する記録部に使用回数を記録した使用回数の分布図である。
図9に示すテーブルに示すように、患者による穿刺装置の使用回数(穿刺回数)の分布を示すグラフL3は、患者は毎食後に穿刺を行うため、毎食後あたりの使用頻度が高いことを示している。この使用回数の分布(実線のグラフL3で示す)の移動平均、例えば1時間ごとの移動平均を計算すると破線で示すグラブL4で示される。このようなテーブルを用いて、学習回路部284は、破線L4のピーク点をこの患者の使用時刻(A、B、C)と(見積もる。この見積もった使用時刻において予備チャージが既に完了している状態となるように、患者の使用時刻(A、B、C)よりも所定時間前の予備チャージ開始タイミングを推定する。例えば、図9では、学習回数の2時間前(それぞれA’、B’、C’で示す時刻)を予備チャージの開始タイミングとすれば、(ここでは予備チャージは30秒程度)患者が使用するとき(時刻A、B、C)には既に予備チャージは完了されている状態となる。このように、推定した開始タイミング時刻A’、B’、C’で予備チャージを開始すれば、予備チャージの完了から使用時刻A、B、Cまでの時間は、長時間経過していないためコンデンサ25の自己放電も小さくなる。
なお、使用頻度が低い時刻、つまり、いつもとは違う時刻に穿刺をおこなう場合に予備チャージを行う場合、患者による入力部29のスイッチの押下によって、予備チャージの開始、つまり、「患者の穿刺準備動作による開始」の旨を示す信号を制御部28に入力させて、この入力によって制御部28が予備チャージを開始する構成にする。
図10は、学習機能による予備チャージ開始を行う場合の制御を説明するシーケンス図である。なお、ここでは、患者の使用期間が十分長く、学習機能が動作している状態、つまり、予備チャージ開始を患者の操作で行わずに、記録部286に記録された患者の使用回数データ(学習データ)を用いて行う動作として説明する。
予備チャージの開始は、この機能を有する学習回路部284からの信号によって開始される。
図10に示すように、先ずステップS1では、学習回路部284は、推定した予備チャージ開始タイミングをチャージ制御部281に通知し、この通知を受けてチャージ制御部281は予備チャージを開始する。具体的には、学習回路部284は過去のデータから計算した患者の使用時間の2時間前になるとチャージ制御部281に対して予備チャージ開始信号を出力する。
ステップS2では、予備チャージ開始信号が入力されたチャージ制御部281は、コンデンサ電圧測定部27からコンデンサ25の電圧を取得する。
さらに、ステップS3において、チャージ制御部281は、チャージ電流測定部23からチャージ電流を取得して、ステップS4に移行する。
ステップS4では、チャージ制御部281は、取得したチャージ電流が100mAとなるように制御信号を計算して、ステップS5に移行する。
ステップS5では、チャージ制御部281は、計算した制御信号(昇圧出力制御信号)を昇圧回路部24に出力する。これによって、昇圧回路部24を介してコンデンサ25へのチャージが開始される。
なお、チャージ制御部281は、ステップS2からステップS5までの処理を、コンデンサ25の電圧が予備チャージ電圧である290V以下であることをコンデンサ電圧測定部27からの入力される信号に基づいて監視しつつ制御する。
チャージ制御部281は、コンデンサ25の電圧が290Vに達したことを示すコンデンサ25電圧の入力によって、昇圧回路部24を制御して、予備チャージを終了し、ステップS6において、入力部29からの入力を待機する。
つまり、ステップS6では、チャージ制御部281は、入力部29における患者の操作によって、入力部29を介した、患者からの入力を待機する。
ステップS7では、患者から押しボタンなどによって穿刺を行う旨が入力部29に入力されて、その入力がチャージ制御部281に入力される。
ステップS8では、チャージ制御部281は、コンデンサ電圧測定部27からコンデンサ25の電圧と、チャージ電流測定部23からチャージ電流とを取得し、これらに基づいて、本チャージのための制御信号(昇圧出力制御信号)を計算し、昇圧回路部24に出力する。これによって、昇圧回路部24を介してコンデンサ25へ本チャージが開始される。
具体的には、ステップS8では、チャージ制御部281は本チャージ制御を行う。このステップS8では、チャージ制御部281は、チャージ電流が2Aになるように制御を行い、コンデンサ25の電圧が本チャージ電圧である400Vに達するまで、入力されるコンデンサ25の電圧及びチャージ電流に基づいて制御信号を計算して昇圧回路部24に出力する動作を繰り返した制御を行う。
コンデンサ25の電圧が400Vに達するとチャージ制御部281は、昇圧回路部24を介して行うコンデンサ25への充電を終了し、ステップS9に移行する。
ステップS9では、チャージ制御部281は、レーザユニット部26にトリガ信号を出力する。
ステップS10では、トリガ信号の入力によって、レーザユニット部26はトリガ電圧を発生させて、レーザ光を出力する。これにより、患者は穿刺される。
穿刺が終了すると、ステップS11では、チャージ制御部281は、学習回路部284に今回穿刺を行った時間を出力しステップS12に移行する。
ステップS12では、学習回路部284は、まず今回の時間を記録部286に保存し、記録部286に今回の穿刺時間が記録され、ステップS13に移行する。
ステップS13では、学習回路部284は、記録部286に保存された過去の穿刺時間をすべて取得しにいき、ステップS14に移行する。
ステップS14では、学習回路部284は、過去の穿刺時間を統計的に処理し、この患者が次回穿刺を行う時間、つまり、患者が行う次回の穿刺のために予備チャージを開始するタイミング(時間)を計算し、ステップS15に移行する。
ステップS15では、学習回路部284は、チャージ制御部281を介して入力されるタイマ282からの信号を用いて、次回の穿刺時間の2時間前になるまで、つまり、予備チャージ開始まで待機する。
このように学習回路部284を用いて、患者の毎日の穿刺時間を記録し、その穿刺時間の所定時間前にコンデンサ25に予備チャージを開始するようにすれば、穿刺直後に予備チャージが行われない。これにより、予備チャージ後のコンデンサ25の自己放電による電力損失は、穿刺時間よりも所定時間前からの分だけとなる。よって、患者の使用頻度が少ない場合でも、穿刺直後に予備チャージされ、穿刺されない状態のコンデンサ25と比較して、コンデンサ25の自己放電による損失を比較的容易な構成で防ぐことができる。
なお、記録部286に学習すべきデータ(患者の毎日における穿刺装置の使用回数を示すデータ)がない場合には、「患者による予備チャージの開始」で対応し、記録部286に学習データが所定量分、溜まった際に、学習機能部による学習機能を実行するのがよい。
ここで、「患者による予備チャージの開始」について説明する。
これは患者が高電圧発生回路21を備える穿刺装置を使用するときに行う準備動作に連動して、予備チャージを開始するものである。
具体的には、例えば、穿刺装置20において、レーザユニット部26のレーザ発射部(穿刺部)に穿刺保護カバーを設け、更に、保護カバーの開閉を検知する検知手段(スイッチなど)を設ける。この検知手段からの出力信号を制御部28(詳細にはチャージ制御部281)に入力し、この入力信号を受けて予備チャージを開始する。これにより、患者が穿刺を行う際に、この保護カバーを開ける(外す)等の動作を行うと、予備チャージが開始する。
また、例えば、高電圧発生回路21を有する穿刺装置において、使用時以外は、スリープ状態(システムは低消費電力状態で動作している状態)とし、使用時、例えば、患者が入力部29の操作ボタンを押下した際に、スリープ状態が解除され、患者からの穿刺を行う入力を待つようにしてもよい。
この場合の制御部28は、レーザユニット部26にトリガ信号を出力した後、高電圧発生回路21全体を省電力状態で制御し、入力部29からの予備チャージ開始の旨を示す信号が入力された際に、昇圧回路部24を含むシステム全体を制御する。また、制御部28は、予備チャージ開始の旨を示す信号が入力された状態で、入力部29からの本チャージ開始、ここでは穿刺指示を示す信号の入力を待機する。この本チャージ開始の信号を受けて制御部28は、昇圧回路部24を制御してコンデンサ25を本チャージする。なお、穿刺装置における予備チャージは、システムのスリープ解除と同時に開始するように設定してもよい。この場合、準備動作によって予備チャージを開始しても、患者が穿刺を行うまでに予備チャージを完了しない場合が想定される。その場合、制御部28は、予備チャージが途中であっても本チャージを開始するように昇圧回路部24を制御する。この構成では、穿刺までの患者の待ち時間及び電力損失ともに従来と同じように大きくなるが、記録部286に記録される使用回数のデータが増えて、この問題は解消される。
このように、患者が予備チャージの開始を行う構成、つまり「患者の穿刺準備動作により開始する場合」では、患者が使用する前に、コンデンサ25へのチャージを、早すぎることなく確実に行うことができる。
ここで、「予備チャージ後、患者の操作によって穿刺する」場合について説明する。
図11は、予備チャージ後、患者の操作によって穿刺する場合における高電圧発生回路21の動作を説明するための動作タイミング図である。図11において、横軸は時間、縦軸はチャージ電圧及びチャージ電流の大きさを示し、実線L5はチャージ電流を示し、一点鎖線L6はチャージ電圧を示す。
高電圧発生回路を備える穿刺装置において、「予備チャージ後、患者の操作によって穿刺する」場合の制御は、図7で示す「本チャージ後、すぐに穿刺する」場合と比較して、本チャージ終了後(時刻t4)に再び患者の操作を待つ部分が異なる。なお、本チャージ終了後t4までの制御は、図7と同様のタイミングで同様の制御が行われるため説明は省略する。
本チャージが完了した後(時刻t4)、システムは、再び患者の入力を待つ状態となる。すなわち、制御部28は、昇圧回路部24を制御しつつ、コンデンサ電圧測定部27を用いて、予備チャージと同じようにコンデンサ25の両端の電圧を監視する。コンデンサ25の電圧が設定電圧、本実施の形態においては穿刺レーザ発振電圧である本チャージ電圧E2(例えば、400V)になると、制御部28は、入力部29からレーザ発射指示を示す信号の入力を待機(時刻t4〜t6まで)する。
患者は好きなタイミングにおいて、例えば入力部29の穿刺ボタンを再び押下すると、時刻t6において、入力部29から制御部28に、レーザ発射の指示(レーザ穿刺指示)の信号が出力される。この信号を受けて制御部28は、トリガ信号をレーザユニット部26に出力してレーザ光が発射させ、皮膚を穿刺する。図11では、時刻t6において「患者によるレーザ光発射指示操作」と、「レーザ穿刺」動作が行われている。この時刻t6において、レーザ穿刺が終了するとコンデンサ25の電圧は0になり、制御部28は、昇圧回路部24を制御して、コンデンサ25に再び予備チャージを開始する。
このように穿刺装置20では、患者は、入力部29の穿刺ボタンの押下と同時にレーザが発射される。よって患者は患者の好きなタイミングで穿刺することが可能となる。
ただし、本チャージが完了した状態が一定時間、例えば1分間継続すると、安全性を確保するために、再びチャージ電圧をレーザ発振レベル以下まで下げる必要が生じる。この場合、コンデンサ25を電力回生の方法か、放電による対策がある。
ここで、高電圧発生回路21を備える穿刺装置において、本チャージされたコンデンサ25の電圧を回生する構成を実施の形態2として説明する。
(実施の形態2)
図12は、本発明の実施の形態2における高電圧発生回路31を備える穿刺装置30の要部構成を示すブロック図である。
図12に示す穿刺装置30は、穿刺装置20と同様の基本的構成であり、穿刺装置20の構成に、電池電圧測定部32、降圧回路部33、回生電流測定部34を加えた構成である。よって、同構成要素には同名称、同符号を付して説明は省略する。
図12に示す穿刺装置30では、高電圧発生回路31の入力は、電池22に接続されており、出力はレーザ穿刺装置26に接続されている。
高電圧発生回路31は、高電圧発生回路21の機能に加えて、コンデンサ25の電圧を、電池22に戻す回生機能を備える。
電池22は、ここでは、例えば、リチウムイオン2次電池のような2次電池で構成されている。
高電圧発生回路31は、具体的には、昇圧回路部24と、チャージ電流測定部(以下「電流測定部」という)23と、コンデンサ25と、コンデンサ電圧測定部(以下「電圧測定部」という)27と、制御部38と、入力部29と、表示部39とに加えて、回生機能を実現させるための電池電圧測定部32、降圧回路部33及び回生電流測定部34を有する。
電池電圧測定部32は、電池22の両端に接続され、電池22の電圧を測定し、その測定結果を制御部38に出力する。
降圧回路部33は、コンデンサ25に接続され、制御部38からの指示によって、コンデンサ25にチャージされた高電圧を3〜5Vに降圧して、回生電流測定部34を介して電池22に出力する。
回生電流測定部34は、コンデンサ25から電池22に出力される回生電流を測定して、制御部38に出力する。
制御部38は、回生電流測定部34と電池電圧測定部32からの入力に基づいて回生制御を行う。
図13は、降圧回路部33の構成の一例を示すブロック図であり、図14は、図13に示すパルス発生器から出力されるパルス波形を示す図である。
図13に示す降圧回路部33は、入力される電圧を降圧して出力するものであり、ここでは、降圧チョッパ回路を用いている。本実施の形態の降圧回路部33は、入力された200〜700Vの電圧を降圧して、3〜5Vにして出力する。降圧回路部33では、入力部33aを介してコンデンサ25の一端に接続されたスイッチング用トランジスタQにコンデンサの電圧が入力される。このスイッチング用トランジスタQのスイッチング入力には、パルス発生器33cが接続されており、スイッチング用トランジスタQの他端(出力側)には、電流平滑用リアクタンスLと還流用ダイオードDが接続されている。
また、リアクタンスLの他端は、出力部33bに接続されており、出力部から降圧回路部33によって降圧された電圧が出力される。
パルス発生器33cは、外部の制御部38に接続され、制御部38から制御入力信号が入力される。
パルス発生器33cは、制御入力信号を受けて、図14に示すように、所定の周期(1kHz〜40kHz)において、オン時間Tonの割合を変化させるパルス波を発生する。このオン時間の割合によってスイッチング用トランジスタQを介して、降圧回路部33の出力の電圧または電流を変化させることができる。
図15は、制御部38の構成を示す機能ブロック図である。なお、制御部38は、上述した実施の形態1の制御部28と同様の基本的構成を有する。このため、制御部28の構成要素と同様の構成要素については、同名称、同符号を付して詳細な説明は省略する。
制御部38は、チャージ制御部281と、タイマ282と、学習回路部284と、記録部286とを有し、加えて、タイマ282に接続された電力回生制御部382を有する。
すなわち、制御部38では、タイマ282は、穿刺装置30におけるシステムの時間を計時して、接続されたチャージ制御部281と電力回生制御部382に出力する。
チャージ制御部281は、タイマ282からの時間を示す入力信号を用いて、予備チャージの開始時間を決定する。また、チャージ制御部281は、レーザ発射のためのトリガ信号をレーザユニット部26に出力し、加えて、トリガ信号の出力時間を学習回路部284に出力する。
また、学習回路部284は、入力されるトリガ信号の出力時間を記録部286に保存し、上述のように過去のデータを基に患者の使用する時間を推測する(図8参照)。そして、学習回路部284は、患者が使用する時間の所定時間前になるとチャージ制御部281にその旨を出力し、チャージ制御部281は、この信号を受けて昇圧回路部24を制御してコンデンサ25への予備チャージを開始する。
電力回生制御部382は、制御部38の外部の電池電圧測定部32、降圧回路部33、回線電流測定部34、入力部29に接続され、入力された信号に基づいて、降圧回路部33を用いて電力回生制御を行う。また、電力回生部382は、タイマ282の入力を受けて本チャージ完了後のタイムアウトを判定し、タイムアウトが発生すると電力回生制御を開始する。
具体的には、電力回生制御部382は、接続された電池電圧測定部32及び回生電流測定部34から得られる電池電圧、回生電流を示す信号に基づいて、降圧回路部33の制御入力に指令を与える。
これにより電力回生制御部382は、降圧回路部33の出力が任意の電圧または電流になるように制御して、電池22(ここでは2次電池)の電池特性に最適な充電制御を行う。
ここでは、電池22は、リチウムイオン電池としている。リチウムイオン電池の電池特性に対応した一般的な充電制御は、電池22の電圧が3.7Vより低い場合は定電流制御を行い、3.7Vに達する際には、3.7Vの定電圧制御を行う。
よって、制御部38における充電制御(回生制御)では、電力回生制御部382は、電池電圧値が3.7Vよりも低い場合は、電流値が例えば100mAを超えないように、回生電流測定部34の入力を用いて、降圧回路部33を定電流制御する。
また、電力回生制御部382は、電池電圧値が3.7Vに達すると3.7Vを超えないように、回生電圧測定部34の入力を用いて降圧回路部33を定電圧制御する。このとき、本チャージ電圧:400Vから予備チャージ電圧:290Vまでかかる時間はおよそ30秒で、さらにチャージ電圧を完全に0にするまでさらに30秒程度で回生可能である。但し、電池22の残量が多く、電池電圧が3.7Vの場合、回生電流を抑えるために、さらに多くの時間を要することがある。
このように電力回生制御部382は、降圧回路部33に制御信号を出力することによって任意に電池22への電流値と電圧値を制御することでき、二次電池である電池22の種類が変わってもその電池22に、公知の技術によって適切な充電制御を行う。
これにより、実施の形態1の穿刺装置20において、「予備チャージ後、患者の操作によって穿刺する」場合、患者による入力部29を介した操作(入力部29の穿刺スイッチの押下操作等)が、ある一定時間(例えば、1分間)以上行われなかったときに、穿刺装置30のシステム(制御部38の電力回生制御部382)が、タイマ282を用いてタイムアウトを検知し、降圧回路部33を制御して、コンデンサ25のチャージ電圧をレーザ発振レベル以下、又は0まで降圧させるといった電力回生動作を行う。またはチャージ制御部281が強制放電を行う。これによって、長時間、コンデンサ25において高いチャージ電圧が保持された状態を回避して、誤作動によるレーザユニット部26からのレーザ発射の危険性を回避できる。
図16は、本発明の実施の形態2に係る高電圧発生回路31の動作を説明するための動作タイミング図である。図16において、横軸は時間、縦軸はチャージ電圧及びチャージ電流の大きさを示し、実線L7はチャージ電流を示し、一点鎖線L8はチャージ電圧を示す。なお、本実施の形態2の穿刺装置30における本チャージ終了後t4までの制御は、図7及び図11で示す動作タイミングと同様のタイミングで同様の制御が行われるため説明は省略する。
本チャージが完了した後(時刻t4)、システムは再び患者の入力を待つ状態となる。システムは、本チャージの完了後、時間計測を開始し、その時間が所定時間を越え、タイムアウトを検知すると、降圧回路部33を用いた電力回生、または抵抗を用いた強制放電を開始する。
具体的には、制御部38では、チャージ制御部281及び電力回生制御部382が、入力部29からの入力を待機しつつ、タイマ282が時間計測を開始する。
電力回生を行う場合では、入力部29からの入力が無く、タイマ282の計測時間が所定時間を越えると、電力回生制御部382がタイムアウトを検知し、降圧回路部33を用いて電力回生を開始する。
一方、強制放電を行う場合では、入力部29からの入力が無く、タイマ282の計測時間が所定時間を越えると、チャージ制御部281は、タイムアウトを検知する。そしてチャージ制御部281は、トランジスタなどのスイッチング素子(図示略)を制御して、コンデンサ25と並行に接続された抵抗(図示略)に、コンデンサ25を接続して、チャージ電力を抵抗で消費させる。これにより、コンデンサ25のチャージ電圧を下げる。
その後、システム(チャージ制御部281又は電力回生制御部382)は、コンデンサ電圧測定部27の測定結果を用いてコンデンサ25の電圧を監視し、コンデンサ25の電圧がレーザ発振レベルE1以下になると、電力回生または強制放電を終了し、再び患者による本チャージの操作(入力部29からの本チャージ開始を示す入力信号)を待つ。
このとき、予備チャージの開始タイミングを、学習回路部284を用いて決定するか、予備チャージ開始要因によって予備チャージを開始する場合には、コンデンサ25へのチャージ量が0になるまで、電力回生または強制放電を行うことが望ましい。この場合、システムは、予備チャージの開始を待つ。
なお、強制放電を行う場合、チャージした電力を放電するため、レーザを発射していないのにも関わらず、電力が消費される。これに対して、電力回生を行う場合、コンデンサ25にチャージした電力を、再び2次電池に電力を戻すため、電力の消費を最小限にとどめることができる。これによって患者が外出先などシステムを充電できない状態であっても、レーザ穿刺を所定の回数で行うことができる。
図17は、電力回生制御部382の動作を説明するためのシーケンス図である。
ここでは、本チャージが完了した後の電力回生制御部382の動作を説明する。なお、本チャージまでの穿刺装置30(特に制御部38)の動作は、図10のステップS8までの処理と同様である。よって、図17に示す処理は、ステップS8(図10参照)において、本チャージが完了した後の処理となり、ステップS8の後、ステップ20では、電力回生制御部382は、患者からが穿刺を行う旨を押しボタン等(入力部29)を介した入力を検知するまで待機する。
この待機時間がある所定時間、例えば1分を越えると、ステップS21では、タイマ282から計時信号が入力される電力回生制御部382は、タイムアウトを検知する。これは、長時間、コンデンサ25において高電圧がチャージされた状態(本チャージ状態)が継続することによって、誤作動によるレーザ発射等の危険性を低減させるためである。
ステップS21において、電力回生制御部382がタイムアウトを検知すると、降圧回路部33を制御して電力回生動作を開始する。
ステップS22では、電力回生制御部382は、コンデンサ電圧測定部27からコンデンサ25の電圧を取得する。なお、これはコンデンサ25の電圧が予備チャージ電圧以下になるのを監視するためである。
さらに、ステップS23では、電力回生制御部382は、電池電圧測定部32から電池22の電圧を取得し、ステップS24では、電力回生制御部382は、回生電流測定部34から回生電流を取得する。
ステップS25では、電力回生制御部382は、接続されている二次電池(例えば、リチウムイオン2次電池)において適切な回生制御(充電制御)になるように、降圧回路部33の制御量を計算する。
ステップS26では、電力回生制御部382は、降圧回路部33に、降圧する電圧の制御量を出力する。これによって降圧回路部33は、適切な電流値と電圧値で電池22を充電できる。
以上のステップ22からステップ26の処理を繰り返すことで電力を回生する。電力回生部はコンデンサの電圧が予備チャージ未満になるとステップ22からステップ26の処理を終了し、待機状態となる。
このように本実施の形態では、コンデンサ25に本チャージが行われて、レーザユニット部26がレーザ発振可能な状態において、所定時間の経過後、コンデンサ25の電力を、レーザ発振レベル以下の電圧である予備チャージ電圧E1まで減少させる。
これによって、例えば、本チャージ後、患者がレーザ穿刺開始の操作を忘れる場合でも、コンデンサ25において高いチャージ電圧が長時間保持された状態を回避することができ、誤作動によるレーザユニット部26からのレーザ発射を防止できる。
(実施の形態3)
図18は、本発明の実施の形態3における高電圧発生回路40を備える穿刺装置400の要部構成を示すブロック図である。
なお、本実施の形態3で説明する高電圧発生回路40は、実施の形態1の高電圧発生回路21と比較して、レーザユニット部26の電源となるコンデンサを複数用いた構成である。
具体的には、高電圧発生回路40は、実施の形態1の高電圧発生回路21で用いた1個のコンデンサ25に替えて、2個(複数)のコンデンサ41、42を用い、これらのコンデンサ41,42を切り替えて、並列或いは直列に接続させる点で、高電圧発生回路21と相違する。すなわち、高電圧発生回路40は、少なくとも二つ以上接続されたコンデンサ41、42の接続状態を並列接続と直列接続に切替可能なように接続されたメカニカルリレーやトランジスタなどで構成された切替スイッチ43、44と、切替スイッチを切り替える切替部47とを有する。高電圧発生回路40では、その他の点に付いては実施の形態1と略同様であるので、異なる点のみ説明し、同構成要素には同名称、同符号を付して説明は省略する。
高電圧発生回路40の入力は、電池22に接続されており、出力はレーザユニット部26に接続されている。
高電圧発生回路40は、昇圧回路部24と、チャージ電流測定部(以下「電流測定部」という)23と、コンデンサ電圧測定部(以下「電圧測定部」という)27と、入力部29と、表示部39と、コンデンサ41、42と、切替スイッチ43、44と、切替部47と、制御部48とを有する。
図18に示す高電圧発生回路40では、コンデンサ41のプラス側端子が、チャージ電流測定部23を介して昇圧回路24の出力側に接続されており、コンデンサ41のマイナス側端子には切り替えスイッチ43の共通端子43aが接続されている。
切り替えスイッチ43の一方の端子43bは電池22のマイナス側に接続されており、他方の端子43cは切り替えスイッチ44の他方の端子44cに接続されている。
また、コンデンサ42のプラス側端子には、切り替えスイッチ44の一方の端子44bが接続されており、この切り替えスイッチ44の共通端子44aは、コンデンサ42のプラス側端子に接続されている。コンデンサ42のマイナス側端子は電池22のマイナス側に接続されている。
これらコンデンサ41、42の両端はそれぞれレーザユニット部26の両端に接続されている。
ここで、コンデンサ41,42は共に静電容量600μFの同容量のものを用い、切り替えスイッチ43,44は共にIGBTを用いている。なお、IGBT以外にも、メカニカルリレーやFETなどスイッチの状態を電気的に切り替えられるものであればよい。
切替部47は、制御部48、切替スイッチ43、44に接続されている。切替部47は、制御部48から入力される切替信号によって、コンデンサ41、42が直列または並列になるように切替スイッチ43、44を切り替える。
図19は、図18において、切替スイッチ43、44によってコンデンサ41,42を直列に接続した状態を示すブロック図である。
制御部48は、制御部28と略同様の機能に加えて、入力される信号に基づいて、切替部47への切替信号を出力し、コンデンサ41、42を並列接続或いは直列接続する。
図20は、制御部48の構成を示す機能ブロック図である。図19に示すように、制御部48は、切替信号を出力してチャージ電圧を制御する点のみ異なり、その他の構成は、制御部28と同様であり、説明は省略する。
具体的には、チャージ制御部281は、チャージ制御部481と、タイマ282と、学習回路部284と、記録部286とを有する。
チャージ制御部481は、チャージ電流測定部23、昇圧回路部24、コンデンサ電圧測定部27、入力部29、表示部39、切替部47が接続されている。
チャージ制御部481には、チャージ電流測定部23から昇圧出力電流、コンデンサ電圧測定部27からコンデンサ電圧、入力部29から患者による穿刺開始を示す信号が入力される。また、チャージ制御部481には、タイマ282から時間、学習回路部284から予備チャージのタイミング情報などが入力される。
チャージ制御部481は、各部からの入力に基づいて、昇圧回路部24には、昇圧回路部24の昇圧出力を制御する制御信号、レーザユニット部26には、レーザ発射させるトリガ信号、表示部39には表示情報、切替部47には切替信号をそれぞれ出力する。なお、チャージ制御部481は、学習回路部284に、トリガ信号出力時間を出力して、実施の形態1と同様に、患者の使用時刻に則した予備チャージ開始タイミングを推定させる。
チャージ制御部481は、入力部29からの患者の予備チャージ開始を示す入力、学習回路部284からの予備チャージ開始タイミング、又は、その他、所定の予備チャージ開始のタイミングを示す情報の入力によって、切替部47及び切替スイッチ43、44を用いてコンデンサ41、42を並列にしてコンデンサ41、42を充電する。
一方、チャージ制御部481は、入力部29からの患者のレーザ穿刺開始或いは本チャージ開始を示す信号の入力によって、切替部47に切替信号を出力して、コンデンサ41、42を直列で接続にする。
すなわち、制御部48は、切替部47を制御してコンデンサ41,42を並列に接続した状態において予備チャージを行い、切替部47を制御してコンデンサ41,42を直列に接続することによってフラッシュランプ26bの両端の電圧を発振電圧にする。つまり本実施の形態では、本チャージは、コンデンサ41、42を直列に接続することをいう。また、直列に接続した状態においてトリガ信号を出力し、フラッシュランプ26bを発光させる。このように、制御部48は、本チャージにおいて、コンデンサ41、42を直列接続することで、瞬時に発振電圧まで電圧を高めることが可能である。
以上のように構成された高電圧発生回路40の動作に付いて以下説明する。
図18では、切り替えスイッチ43,44は、共に一方の端子43b、44b側に切り替えられて、コンデンサ41,42を並列接続している。この状態において制御部48(詳細にはチャージ制御部481)は、昇圧回路部24を制御して、コンデンサ41、42に予備チャージを開始する。このときのコンデンサ41、42へのチャージ電流は、例えば、実施の形態1と同様にチャージ制御部481で0.1Aに制御する。そして、電圧測定回路部27でコンデンサ41、42の電圧を測定し、コンデンサ41、42の両端の電圧が200V(レーザ発振レベル以下の電圧である予備チャージ電圧)になった時点で、チャージ制御部481は、昇圧回路部24を制御して、昇圧回路部24からコンデンサ41、42への供給をオフにする。
この場合、コンデンサ41、42の両端の電圧は、最低発振電圧(300V)未満であり、レーザユニット部26が誤ってレーザ光を発射することはなく安全である。また、電池22の内部抵抗による損失も少ない。
次に、患者が入力部29の穿刺ボタンを押下する等して、入力部29から穿刺開始を示す情報がチャージ制御部481に入力されると、チャージ制御部481は、図19に示すように、切替部47を介して切り替えスイッチ43、44を共に他方の端子43c、44c側に切り替える。即ち、コンデンサ41、42は直列接続され、コンデンサ41、42レーザユニット部26が直列に接続された閉回路を形成する。これにより、コンデンサ41,42の両端の電圧が夫々加算されて、本チャージ電圧(穿刺に十分な穿刺レーザ発振電圧)である400Vの電圧(発振電圧)となる。この電圧がレーザユニット部26のフラッシュランプ26b(図6参照)の両電極に印加される。
この状態において、チャージ制御部481からトリガ信号が出力され、レーザユニット部26におけるトリガ信号入力部26pを介してトリガ回路26hに入力される。この入力により、トリガ回路26hが動作して、フラッシュランプ26bが発光し、光エネルギが放出される。この光エネルギは、Er:YAGをドープしたレーザロッド26c内に入りレーザ光を発射する。
なお、レーザユニット部26による穿刺の完了、或いはタイマ(図20参照)を用いてチャージ制御部481は、予め定められた時間(3秒)の経過により、切替部47を介して、再び切り替えスイッチ43、44を、共に一方の端子43b、44b側に切り替えて、コンデンサ41,42を並列接続する。従って、何らかの原因でレーザユニット部26が動作しなかったとしても、再びコンデンサ41,42両端の電圧は200Vになり、最低発振電圧以下となるので安全である。
このように本実施の形態では、患者の操作による入力部29からの穿刺開始指示が入力される場合において、コンデンサ41、42の接続を切り替えるだけで、コンデンサ41、42への予備チャージ状態及び本チャージ状態を設定できる。つまり、切り替えスイッチ43、44の切り替えだけで、レーザユニット部26が穿刺レーザ発振可能な本チャージ状態となる。よって、本チャージのためのチャージ時間は、切換部47の切換時間、つまりメカニカルスイッチの場合およそ100ms程度、IGBTなら1ms以下であり、コンデンサ41,42への追加チャージは不要となる。従って、実質的には、患者は入力部29における穿刺ボタンのオンと同時に穿刺を行うことができる。また、そのための追加電力も不要となる。
また、予備チャージの後、コンデンサ41,42を充電する本チャージは切換部47の切換時間のみとなり、電池22からの電流供給は予備チャージのみである。従って、電池22の内部抵抗による損失はなくなる。
なお、予備チャージ後、6時間が経過(毎食事後に穿刺すると仮定)すると、約30V自然放電によりチャージ電圧が減少する。この自然放電による損失を補うためにエネルギが必要となるが、本実施の形態では、学習回路部284によって、タイマ282を用いて患者の穿刺時間を時間データとして記録部286に保存し、保存されたデータ(図9に示す過去の統計を示すテーブル参照)を用いて、予想される次回の穿刺時間より少し前の時間を算出している。これにより、この算出された時間になった際に、学習回路部284はチャージ制御部481に予備チャージ開始タイミングを出力して、チャージ制御部481に予備チャージを開始させる。すなわち、穿刺装置400は、予想される穿刺時間の前に自動的に予備チャージを開始する。これにより、コンデンサ41,42における自然放電によるチャージ電圧の損失を減少させることができる。
なお、穿刺装置400において、コンデンサ41、42を直列接続又は並列接続に切り替える切り替えスイッチ43、44によってコンデンサ41、42を並列接続状態にしておけば、高いチャージ電圧が長時間保持された状態を回避することができ、誤作動によるレーザユニット部26からのレーザ発射を防止できる。
また、本実施の形態に係る穿刺装置400の高電圧回路40において、チャージ制御部481により、複数のコンデンサ41、42を充電し、複数のコンデンサ41、42の電圧が所定の閾値(例えば、予備チャージ電圧値)に到達した時点で、コンデンサ41、42の充電を停止してもよい。
また、チャージ制御部481において切替部47を介してコンデンサ41,42を直列に接続する切り替えタイミングは、穿刺装置400の筐体に入力部29の一部として設置された例えば押しボタンを患者が操作したことを検知したタイミングでもよいし、所定の穿刺位置に皮膚があることを検知したタイミングでもよい。さらに、直列に接続する切り替えタイミング直後にレーザユニット部を駆動して穿刺を行ってもよいし、患者からの操作を待ってからレーザユニット部を駆動して穿刺してもよい。
また、コンデンサ41、42を並列に接続した状態にして、これらコンデンサ41、42を充電するタイミングは、穿刺装置400の筐体の開口を開閉する蓋体を取り付け、この蓋体が開いたタイミングであってもよい。また、学習回路部284によって、過去に穿刺を行った時刻に基づいて次に行われる穿刺の時刻を推定したタイミングとしてもよい。
(実施の形態4)
図21は、実施の形態4における穿刺装置50の斜視図であり、実施の形態1で説明した高電圧発生回路21と、電池22と、レーザユニット部26とを備える穿刺装置20の一例としての穿刺装置50である。なお、実施の形態1と同じものに付いては同符号を付して説明を簡略化している。
図21に示す穿刺装置50は、患者が片手で持って操作を行うよう構成されている。この穿刺装置50の筐体51は、内部に穿刺装置20(図示せず)を備えた樹脂等で形成された略直方体形状をなし、一面側(ここでは底面側)で開口する筐体本体51aと、筐体本体51aに支点51cを介して回動自在に取り付けられ、筐体本体51aの開口を開閉する蓋体(保護カバー)51bとを有する。
筐体本体51aの他面(ここでは表面)には、表示部39が配置され、高電圧発生回路21(図3参照)の制御部28からの入力によって、穿刺装置の状態を表示する。ここでは、表示部はLCD等からなる。また、他面には、患者の穿刺開始を入力するための、押しボタン(穿刺ボタンを含む)などで構成された入力部29が配置されている。
筐体本体51aは、蓋体51bにより一側面側(ここでは底面側)が閉塞される。筐体本体51aにおいて閉塞される開口51dの角部に、内部のレーザユニット部26の前側に配置され、レーザユニット部26からのレーザ光が通過する穿刺口52を備える。
穿刺口52は、筐体本体51a内に、筐体本体51aの開口に臨むように設けられ、蓋体51bを開くと外部に露出する。
穿刺装置のレーザユニット部26(図示せず)は、出射口が穿刺口52に向くように、筐体本体51a内に配置されており、これによって穿刺口52にレーザ光を照射する。これにより、筐体本体51aに対して蓋体51bを開くことによって、穿刺口52が、外部に露出し、この穿刺口52を介して患者の皮膚等を穿刺可能となる。
蓋体51bは、筐体51が閉じられた状態で、すなわち支点51cの反対端(基端側を支点51cとした際の先端)が筐体本体51aに接触し、穿刺口52を被覆した状態で停止する。
蓋体51bの開閉は、筐体本体51aにおいて蓋体51bにより閉塞される一方の端部(ここでは下端部)に設けられた蓋開閉検知センサ53により検知される。蓋開閉検知センサ53は、高電圧発生回路21(図3参照)の制御部28に接続(図示省略)され、蓋の開閉状態を検知して制御部28に出力する。なお、蓋開閉検知センサ53は、ここでは、メカ的なスイッチを用いているがこれに限らず、電気的な導通を検知するものであってもよい。また、蓋開閉検知センサ53は、発光ダイオードと受光トランジスタを用いた光学的なセンサであってもよく、磁気的なセンサであってもよい。
なお、本実施の形態の穿刺装置50では、制御部28は、蓋開閉検知センサ53が蓋体51bの開を検知すると、電池22から電力供給を受けて穿刺装置50を起動させて、表示部39にその旨を出力して電源オン状態を表示する。
また、制御部28は、蓋開閉検知センサ53が蓋51bの閉を検知すると、蓋開閉検知センサ53の入力と、予備チャージタイミングの入力とを待機するとともに、タイマ282(図8参照)を起動させた状態の省電力モードとなるように穿刺装置を制御する。なお、ここでは、予備チャージタイミングは学習回路部284(図8参照)から取得する構成とする。
なお、本実施の形態では、学習回路部284からの出力を用いずに、蓋開閉検知センサ53が蓋体52bの開を検知した際に、これに連動して、制御部28が予備チャージを開始するようにしてもよい。これにより、患者が穿刺装置50の蓋体51bを開けるだけで、制御部28によって予備チャージを自動的に開始することができる。これにより、患者は、蓋体51bを開けて、入力部29の穿刺ボタンを押下するだけでレーザ穿刺を行うことができる。
また、本実施の形態において、蓋開閉検知センサ53が蓋体52bの開を検知した際に、これに連動して、制御部28が本チャージを開始するようにしてもよい。この場合、蓋体52bが開く前に、予備チャージを終了しておくことになるが、これは、前回の穿刺直後に、予備チャージを開始したり、学習回路部284(図3参照)からの出力を用いて、予想使用時刻より前に予備チャージを終了したりすることにより実現できる。これにより、蓋体51bを開けるだけで、直ぐにコンデンサ25にレーザ発振電圧が印加されて、穿刺レーザ発振可能状態となる。よって、患者は、穿刺装置50を用いて穿刺する際に、蓋体51bを開けて、穿刺ボタンを押下するだけで短い待機時間で、直ぐにレーザ穿刺を行うことができる。
なお、蓋体51bの開閉を検知する蓋開閉検知センサ53に代えて、穿刺口52周辺の皮膚との当接部分に、皮膚検知センサを設けても良い。この皮膚検知センサを設けて、皮膚の当接を検知し、皮膚当接を示す信号を制御部28(詳細には図8に示すチャージ制御部281)に出力することによって、制御部28が予備チャージの開始を行うようにしてもよい。これにより、穿刺装置50の蓋体51bが開くだけで、予備チャージを自動的に開始させることができる。これにより、患者は、蓋体51bを開けて、入力部29の穿刺ボタンを押下するだけでレーザ穿刺を行うことができる。また、同様に、本チャージの開始を、皮膚検知センサの入力に基づいて行うようにしてもよい。
これにより、患者が皮膚を穿刺位置に位置させるだけで、直ぐにコンデンサ25にレーザ発振電圧が印加されて、穿刺レーザ発振可能状態となり、皮膚を穿刺位置に位置させた患者は、穿刺ボタンを押下して直ぐにレーザ穿刺を行うことができる。
入力部29は、本チャージとレーザ光の発射を指示する穿刺開始信号を制御部28(詳細には、図8に示すチャージ制御部281)に出力する。制御部28では、各部からの入力に基づいて、本チャージ電圧がコンデンサ25に印加されるまでの時間を算出して表示部39にカウントダウン表示させる。
このように構成された穿刺装置50では、患者は、まず、はじめに蓋体51bを開く。このとき、蓋体51bの開を検知する蓋開閉検知センサ53に連動して、穿刺装置50は省電力モードから起動し、その旨を表示部39に表示する。
その後、指先を穿刺装置50の穿刺口52に押し当てる。この状態で入力部29の押しボタンを押下すると、穿刺装置50は、本チャージ開始し、同時に表示部39に穿刺を行うまでの残り時間を表示する。これにより、患者は穿刺されるタイミングを視認できる。
表示部39に表示されるカウントダウンの終了後、レーザユニット部26(図3参照)からレーザ光が発射され、穿刺口52を通して患者の皮膚に照射される。これによって皮膚はアブレーションによって穿刺され、血液が滲出する。このように穿刺により皮膚から滲出した血液を血液検査装置等に用いることによって、血糖値などが測定される。
穿刺装置50の使用後、蓋体51bを閉じて穿刺動作は終了する。蓋体51bの閉塞によって、穿刺装置50は、省電力モードで動作し、次回の予備チャージに備える。このように穿刺装置50は、電源が切れることはなく、使用時以外も省電力モードによって動作している。そして、制御部28が、予備チャージの開始タイミングを検出すると自動的に予備チャージを開始する。
なお、本実施の形態では、先の穿刺が完了した時点で予備チャージを開始してもよい。これにより患者は、本チャージ開始動作後、直ぐ(2.7秒後)に穿刺することができる。なお、図8に示す学習回路部284から予備チャージ開始タイミングを出力すれば、例えば、予備チャージ後、6時間が経過(毎食事後に穿刺すると仮定)した際の約30V自然放電によるチャージ電圧の損失を少なくできる。即ち、上述したように学習回路部284では、タイマ282等を用いて患者の穿刺時間を時間データとして記録部286に保存し、この保存した過去の統計に基づいて、予想される次回の穿刺時間を算出し、この算出した次回の予想穿刺時間より少し前の時間を予備チャージ開始タイミングとしてチャージ制御部281に出力する構成である。これにより、穿刺装置50では、次回の穿刺時間が近づくと、自動的に予備チャージが開始され、穿刺を行わない時間におけるコンデンサ25に印加されたチャージ電圧の損失を減少させることができる。なお、本実施の形態の穿刺装置50において、高電圧発生回路21に代えて、実施の形態32の高電圧発生回路31或いは実施の形態3の高電圧発生回路40を用いても良い。
(実施の形態5)
図22は、実施の形態5における血液検査装置100の断面図である。なお、実施の形態1〜3と同じ構成要素には同符号を付して説明を省略する。なお、本実施の形態の血液検査装置100は、実施の形態1の高電圧発生回路21において表示部39及び入力部29を除く構成に対応する高電圧発生回路21a(図26参照)を電気回路部103に含むとともに、電池22、レーザユニット部26を有する。なお、高電圧発生回路21の表示部39及び入力部29は、血液検査装置100の筐体101に設けられた表示部57及び入力部49に相当している。
図22に示す血液検査装置100の筐体101は樹脂で形成され、この筐体101の一方101cには穿刺部101aを有する円筒形状の筒体101bが設けられている。この筒体101bの内側には、穿刺部101aに対向してレーザユニット部26が装着されている。また、筒体101bには、負圧路102aで連結された負圧手段102が装着されている。筒体101bと筐体101の他方101dとの間には、レーザ穿刺装置26と、負圧手段102に接続された電気回路部103が装着されている。この電気回路部103内には、高電圧発生回路21に相当する高電圧発生回路21aと測定回路部104とが設けられている。更に、筒体101bに隣接して電池22が交換自在に収納されている。
筐体101の他方101dには、入力部49と表示部57が設けられている。入力部49には、電源スイッチ49a(図26参照)、予備チャージボタン49b(図26参照)、本チャージボタン49c(図26参照)、穿刺ボタン49d(図26参照)、レーザパワー調整つまみ49e(図26参照)が設けられている。なお、予備チャージボタン49b、本チャージボタン49cが実施の形態1の高電圧発生回路21における入力部29に対応する。
筒体101bの先端と穿刺部101aとの間にはセンサユニット110が着脱自在に装着される。このセンサユニット110は、ホルダ110aと血液センサ(以下センサという)121とで構成されており、このホルダ110a内にはセンサ121が着脱自在に装着されている。
センサ121に設けられた接続電極131a〜135a、133c(図25A参照)は、筒体101bの先端に設けられたコネクタ146a〜146fを介して電気回路部103に接続されている。
負圧手段102は、負圧により皮膚から血液を吸引する。なお、本実施の形態では、高電圧発生回路21aは、負圧手段102を備えた血液検査装置100に適用しているが、負圧手段102が無い場合(もむだけ、など)の血液検査装置でも適用可能である。この負圧手段102による負圧は、負圧路102aとセンサ121に形成された貫通孔136(図24、図25A参照)を介して、負圧室102bへ導かれる。
図23はセンサユニット110の断面図である。センサユニット110では、ホルダ110a内に、中央に孔110bを有する受け台110cが設けられており、この受け台110cにセンサ121が載置される。そして、このセンサ121は、ホルダ110a内に形成された係止凸部110eで係止される。また、受け台110cの下側には下方に突出するリング状の凸部110fが形成されており、負圧室102bを形成している。
凸部110fには、皮膚への当接を検知する皮膚検知センサ110dが設けられている。この皮膚検知センサ110dの信号は導線でガイド112bに形成された凹部112d内で露出する端子に接続されている。
皮膚検知センサ110dは皮膚9の当接抵抗を検知するものであり、導体電極で構成されている。そして、皮膚検知センサ110dの信号は、複数個の凹部112dを180度離れて2分するように接続されている。これは、この凹部112dに嵌合する凸部112cから得る信号を180度離れた位置から得ることにより、センサユニット110の挿入方向(角度)に関係なく信号を取り出すことを可能にするためである。なお、センサユニット110に形成された凹部112dと筒体101bの外側に形成された凸部112cは逆の関係であっても良い。
図24は、センサ121の断面図である。このセンサ121を構成する基体121aは、基板122と、この基板122の上面に貼り合わされた第1のスペーサ123と、このスペーサ123の上面に貼り合わされたカバー124と、このカバー124の上面に貼り合わされたフィルム125とで構成されており、その形状は略円形状をするとともに板体で形成されている。
基体121aの略中央には、皮膚に当接され、当接された皮膚からの血液を採取する貯留部126が形成されている。貯留部126は、基体121aの下面121bに向かって開口126dし、上面121d側はフィルム125で密封されている。貯留部126は円筒形状をしており、開口126dを形成する開口面からの高さ寸法126bは、円筒形の半径(直径126aの2分の1)126cより大きくしている。従って、十分大きな血液滴を得ることができる。
この貯留部126には、血液の供給路127の一方の端が連結されており、供給路127は、貯留部126に溜められた血液を毛細管現象で供給路127上に形成された検出部128へ導く路である。また、この供給路127の他方の端は、空気孔129に連結されている。ここで、供給路127内は親水性材料を用いている。
検出部128上には試薬130が載置されている。この試薬130は、0.01〜2.0wt%CMC水溶液に、PQQ−GDHを0.1〜5.0U/センサ、フェリシアン化カリウムを10〜200mM、マルチトールを1〜50mM、タウリンを20〜200mM添加して融解させて試薬溶液を調整し、これを基板122に形成された検出部128を形成する検出電極131,133(図25A参照)上に滴下し、乾燥させることで形成したものである。
貯留部126と基体121aの外周との間には、センサ121における負圧路となる貫通孔136が形成されている。なお、この貫通孔136は、ここでは、直径1.500mmとしている。この貫通孔136により形成される負圧路は、カバー124にスリットを設けて、フィルム125側から貯留部126へ連結しても良い。
図25A及び図25Bは、それぞれセンサの透視平面図を示す図である。なお、図25Aにおけるセンサ121は、正六角形をしており、図25Bにおけるセンサ201は、四角形をしている。それぞれ形状は異なるが、両方とも断面構造は図24に示すとおりであり同一である。従って同様の機能を有する。
図25Aは、センサ121の透視平面図である。センサ121の形状は正6角形をしており、その夫々6個の頂部には、血液検査装置100に設けられた筒体101bの先端(図11参照)に設けられたコネクタ146(146a〜146f)に接続される接続電極131a〜135aと、基準電極133cが形成されている。
正六角形状をなすセンサ121の略中央には、貯留部126が設けられている。また、センサ121には、貯留部126に一方の端が接続された供給路127が検出電極132に向かって設けられている。そして、この供給路127の他方の端は空気孔129に連結している。この供給路127上には、貯留部126から順次接続電極134aに接続された検出電極134と、接続電極135aに接続された検出電極135と、再度接続電極134aに接続された検出電極134と、接続電極133a及び基準電極133cに接続された検出電極133と、接続電極131aに接続された検出電極131と、再度接続電極133a及び基準電極133cに接続された検出電極133と、接続電極132aに接続された検出電極132が設けられている。また、検出電極131,133上には、試薬130(図24参照)が載置される。貯留部126と接続電極134aとの間には貫通孔136が設けられている。
本実施の形態におけるセンサ121は、センサ121にレーザ光を透過させるフィルム125が既に装着されているので、レーザ穿刺装置26に装着されたレンズ26cが穿刺時の飛散物で汚れることはない。また、センサ121を交換すると同時にフィルム125も交換されることになる。従って、フィルム125の交換を意識することなくセンサ121を交換することにより、フィルム125も同時に交換されるので、交換に関しての煩わしさはなく、容易に交換することができる。
更に、開口126d面からフィルム125までの高さ寸法126bは円筒形の半径寸法126cより大きくしているので、貯留部126に十分の大きさの血液滴10aを生成することができる。更にまた、このセンサ121は、フィルム125を別部品として用意する必要が無いので、全体として低価格化が実現できる。更にまた、このセンサ121をホルダ110aに装着してセンサユニット110とすれば、センサ121の厚みは全く目立たないものとなる。
次に、図25Bを用いて、本実施の形態におけるもう一つの例である四角形状のセンサ201について説明する。
図25Bに示すセンサ201は識別電極227aを含む6電極(221a、222a、223a、224a、225a、227a)の構造をしている。このセンサ201の断面形状は、上述した六角形センサ121の場合と同様の断面形状を有し、図24に示すとおりであり、フィルムを有した4層構造である。
センサ201の略中央には、貯留部210が形成され、一方の端には接続電極221a〜225a(図25Aに示す接続電極131a〜135aに相当)と識別電極227a(図25Aに示す基準電極133cに相当)が形成されている。この接続電極221a〜225a及び識別電極227aと前記貯留部210との間に貫通口215(図25Aに示す貫通口136に相当)が形成される。なお、貯留部210に取り込まれた血液は、供給路211による毛細管現象により一気に(定まった流速で)検出部212に取り込まれる。そして、血液の血糖値が測定される。なお、検出部212は、図25Aで示す検出部128と同様の機能を有する。
供給路211(図25Aのセンサ121に示す供給路127に相当)上には、貯留部210から順に、検出電極224、検出電極225、再度、検出電極224、検出電極223、検出電極221、再度、検出電極223、検出電極222が設けられる。また、検出電極221,223上には、試薬130(図24参照)が載置される。検出電極223と識別電極227aとの間に、導電体パターンで形成された識別部227が形成される。なお、供給路211の他方の端は空気孔213に連結され、図25Aで示す供給路127が空気孔129に連結された構成と同様の効果を奏する。
血液検査装置100(図22参照)は、接続電極223aと識別電極227a間の電気的な導通があるか否かを検知して、センサ201がホルダ110aに装着後、筒体101bに装着されたか否かを検知することができる。
また、識別部227の電気抵抗値を変えることにより、使用する検量線の情報を格納したり、製造情報を格納したりすることができる。従って、これらの情報を用いて、より精密な血液検査を行なうことができる。なお、図25Bでは、識別電極227aを有した例を示したが、省略は可能である。
図25Bのセンサ201は長方形の板状体で形成されているが、本発明では、センサ201の形状について限定は無く、センサ201の形状は正方形でも良く、また四角形以外の多角形または半円形状などでもよい。
図26は、本発明の実施の形態5に係る血液検査装置における電気回路部103とその周辺のブロック図である。本実施の形態における電気回路部103は、主に、高電圧発生回路21に対応する高電圧発生回路21aに加えて、血液の測定回路部104を追加した構成である。従って、同構成には同符号を付して説明は省略し、追加した点を中心に説明する。
電気回路103は、高電圧発生回路21a、測定回路部104に加えて、電池22の電圧・電流を検出する電圧・電流検出部51、システム全体の消費電力を測定する消費電力測定部52、電池残量を測定する電池残量測定部53、メモリ54、穿刺残数算出部55、タイマ58、通信部154及び制御部156を有する。電気回路部103の制御部156には、電源スイッチ49a、予備チャージボタン49b(図3に示す入力部29に相当)、本チャージボタン49c(図3に示す入力部29に相当)、穿刺ボタン49d、レーザパワー調整つまみ49e等の入力部49からの操作情報が入力される。また、制御部156は、穿刺残回数算出部55によって算出した穿刺残数を、LCDからなる表示部57に出力させる。なお、高電圧発生回路21aの代わりに高電圧発生回路31、40において表示部39及び入力部29を除く部分に対応する高電圧発生回路を用いても良い。この場合、高電圧発生回路31、40の表示部39及び入力部29は、血液検査装置100の筐体101に設けられた入力部49、表示部57の構成として含まれる。
図26において、センサ121の接続電極131a〜135a(センサ201における接続電極221a〜225aに相当)、基準電極133c(センサ201における識別電極227aに相当)からの信号は、コネクタ146a〜146fを介して測定回路部104の切換回路150に入力される。センサ121の接続電極131a〜135a、基準電極133cから入力されると、切換回路150の出力は、電流/電圧変換器151の入力に接続されている。そして、その出力はアナログ/デジタル変換器(以後、A/D変換器という)152を介して演算部153の入力に接続されている。この演算部153の出力は、液晶で形成された表示部57と送信部154に接続されている。また、切換回路150は基準電圧源155が接続されている。なお、この基準電圧源155はグランド電位であっても良い。
制御部156は、マイクロコンピュータ等により構成され、穿刺動作及び血液測定動作を含む高電圧発生回路21a及び血液検査装置100全体の制御を行うとともに、穿刺残数算出部55による穿刺残数算出及び穿刺残数表示処理を実行する。制御部156には、入力部49、タイマ58、蓋開閉検知センサ59及び皮膚検知センサ110d(図23参照)から信号が入力される。制御部156は、切換回路150の制御端子、演算部153、高電圧発生回路21a、負圧手段102、穿刺残数算出部55及び通信部154に各制御信号を出力する。
電圧・電流検出部51は、電池22の電圧と電池22から流出する電流を検出し、電圧・電流検出結果を消費電力測定部52と電池残量測定部53に出力する。
消費電力測定部52は、消費電力を一回の検査動作(すなわち負圧、穿刺、測定の一連の動作)における電池22から流出した電流値(A)と電池22の電圧(V)と検査のために要した時間(h)との積で計算する。血液検査動作とは、検査に関わる動作、すなわち、皮膚当接し、負圧、穿刺、測定、結果表示の一連の動作をいう。
消費電力測定部52は、血液成分測定システム全体の消費電力を測定する消費電力測定部であり、レーザ消費電力測定部、負圧手段消費電力測定部及び血液検査回路消費電力測定部から構成される。なお、レーザ消費電力測定部は、1回分の検査(穿刺)動作時におけるレーザ発射装置26の消費電力を測定する。負圧手段消費電力測定部は、1回分の検査(穿刺及び測定)動作時における負圧手段102の消費電力を測定する。血液検査測定回路消費電力測定部は、測定回路部104の1回分の検査(測定)の消費電力を測定する。
ここで、消費電力測定部52は、血液検査における一連の動作分の消費電力を測定してもよいし、レーザユニット部26、負圧手段102及び測定回路部104それぞれの消費電力の和を求めてもよい。
電池残量測定部53は、残量測定専用ICなどからなり、電池22のバッテリ残量測定を測定する。電池残量測定部53は、無負荷時の電圧値や電流値を積算し、これを電池22の交換時の容量から減算することで電池残量を算出する。
メモリ54は、EEPROMやフラッシュメモリ等の不揮発性メモリなどからなり、穿刺の度に消費電力測定部52で測定された各消費電力データを格納する。本実施の形態では、メモリ54は、使用者の使用状態によって血液検査回数を学習するための、過去の消費電カデータを記憶する。メモリ54は、消費電力測定部52により測定された各測定データを記憶し、血液検査回数算出部55により読み出される。
穿刺残数算出部55は、測定した電池残量を、穿刺1回分の消費電力で除することで穿刺可能残回数を算出する。
レーザユニット部26と負圧手段102による消費電力が支配的であり、表示部57や電気回路部103などのシステムで消費される電力は無視することもできる。しかし、算出精度の向上のためには、レーザユニット部26及び負圧手段102の消費電力に加え、システムで消費される電力も含むことが好ましい。また、穿刺残数算出部55は、メモリ54に格納された過去の消費電力の平均値を基に、穿刺残数を算出する態様でもよい。メモリ54に格納された過去の消費電力の平均値を用いれば算出精度を向上させることが可能となる。
測定回路部104は、血液成分を測定検査する血液成分測定部であり、基準電圧源155、切換回路150、電流/電圧変換器151、A/D変換器152、及び演算部153から構成される。切換回路150の出力は、電流/電圧変換器151の入力に接続され、電流/電圧変換器151の出力は、A/D変換器152を介して、演算部153の入力に接続される。演算部153の出力は、通信部154及び表示部260に接続される。また、切換回路150には基準電圧源155が接続されている。基準電圧源155はグランド電位であってもよい。
タイマ58は、皮膚の盛り上がりに要する時間を経時する。高電圧チャージと皮膚の盛り上がり時間は、夫々異なる経時であってもよい。
表示部57は、LCD及び表示ドライバ回路等からなり、穿刺残数を含む穿刺情報を表示する。表示部57は、血液検査回数が所定以下のとき、その旨を報知・警告する報知手段としての機能を有する。例えば、表示部57は、血液検査回数が所定以下のとき、警告が目立つ赤色表示とする。また、表示の際、警告を目立たせる効果(警告マーク、点滅など)を表示する。
以下、上述のように構成された血液検査装置100の動作について説明する。
まず、電気回路部103の測定動作を説明する。
まず、切換回路150を切り換えて、血液成分量を測定するための作用極となる検出電極を、決定されたコネクタを介して電流/電圧変換器151に接続する。また、血液の流入を検知するための検知極となる検出電極を、決定されたコネクタを介して基準電圧源155に接続する。
そして、作用極となる検出電極と検知極となる検出電極との間に、一定の電圧を印加する。この状態で、血液が検出部に流入すると、2つの検出電極間に電流が流れる。この電流は、電流/電圧変換器151によって電圧に変換され、その電圧値はA/D変換器152によってデジタル値に変換される。このデジタル値は、演算部153に出力される。演算部153は、そのデジタル値に基づいて、血液が十分に流入したことを検出する。
あらかじめ定められた時間が経過しても、検出部で血液が検出されない場合や、血液の量が適正でない場合は、警報手段を働かせて警報するとともに処置の内容を表示部57に表示してもよい。
次に、血液成分であるグルコースの測定が行われる。グルコース成分量の測定は、まず制御部156の指令により切換回路150を切り換えて、グルコース成分量の測定のための作用極となる検出電極を、コネクタを介して電流/電圧変換器151に接続する。また、グルコース成分量の測定のための対極となる検出電極を、コネクタを介して基準電圧源155に接続する。
例えば、血液中のグルコースとその酸化還元酵素とを一定時間反応させる間は、電流/電圧変換器151及び基準電圧源155をオフにしておく。そして、一定時間(1〜10秒)の経過後に、制御部156の指令により、作用極となる検出電極と前記対極となる検出電極との間に、一定の電圧(0.2〜0.5V)を印加する。そして、2つの検出電極間に流れた電流を、電流/電圧変換器151によって電圧に変換する。この電圧値は、A/D変換器152によってデジタル値に変換される。このデジタル値は、演算部153に出力される。演算部153は、そのデジタル値に基づいて、グルコース成分量を求める。
グルコース成分量の測定後に、Hct値の測定が行われる。まず、制御部156からの指令により切換回路150切り換える。Hct値の測定のための作用極となる検出電極を、コネクタを介して電流/電圧変換器151に接続する。また、Hct値の測定のための対極となる検出電極を、コネクタを介して基準電圧源155に接続する。
次に、制御部156の指令により、作用極となる検出電極と対極となる検出電極との間に一定の電圧(2V〜3V)を印加する。2つの検出電極間に流れる電流は、電流/電圧変換器151によって電圧に変換される。この電圧値は、A/D変換器152によってデジタル値に変換される。このデジタル値は、演算部153に出力される。演算部153は、そのデジタル値に基づいて、Hct値を求める。
得られたHct値とグルコース成分量を用いて、あらかじめ求めておいた検量線又は検量線テーブルを参照して、グルコース成分量をHct値で補正する。補正された結果は表示部57に表示される。
また、補正された結果は、通信部154からインスリンを注射する注射装置に向けて送信されてもよい。電波を用いて送信してもよいが、医療器具への妨害のない光通信で送信することが好ましい。注射装置に送信された測定データに基づいて、インスリンの投与量を注射装置が自動的に設定できるようにすれば、投与するインスリン量を患者自身が注射装置に設定する必要がなくなり、煩わしさが軽減される。また、人為手段を介さずにインスリン量を注射装置に設定することができるので、設定ミスが防止される。
次に、図27を用いて血液検査装置100の検査方法を説明する。先ずステップS161では、予備チャージボタン49bの押下を待つ。この予備チャージボタン49bがオンされると、ステップS162へ移行し予備チャージの完了を待つ。なお、予備チャージは高電圧発生回路21aにより行う。
予備チャージが完了すると表示部57に予備チャージの完了と穿刺部101aを皮膚9に当接を促す表示を行う。患者はこの表示に従って、血液検査装置100の穿刺部101aを患者の皮膚9に当接させる。この皮膚9への当接検知は皮膚検知センサ110dの出力で行う。皮膚9への当接が確認されたらステップS164に移行し、負圧手段102を動作させて穿刺部101aに設けられた負圧室102b内に負圧を加える。負圧を加えることにより皮膚9は盛り上がる。
負圧手段102の動作に伴う電流の変化或いはタイマ58により予め定められた時間が経過すると、穿刺に充分な皮膚9が盛り上がったと判断し、ステップS165に移行する。ステップS165では、皮膚検知センサ110dの出力があることを条件(論理積条件)に、表示部57に穿刺可である旨の表示をする。そして、ステップS166に移行し、穿刺ボタン49dの押下を待つ。この穿刺ボタン49dが押下されると、この穿刺ボタン49dの押下信号は高電圧発生回路21aに入力され、ステップS167へ移行する。なお、この場合も皮膚検知センサ110dの出力があることが条件である。これは、血液検査装置100の穿刺部101aが、皮膚9に当接していないにもかかわらず、誤ってレーザ光を発射させないためである。
ステップS167では、ステップS165で行った表示をオフする。そして、ステップS168へ移行する。ステップS168では皮膚9の穿刺により、滲出した血液がセンサ121の貯留部126に取り込まれる。この貯留部126に取り込まれた血液は、供給路127による毛細管現象により一気に(定まった流速で)検出部128に取り込まれる。そして、血液の血糖値が測定される。
ステップS168で血糖値が測定されたら、ステップS169に移行し、負圧手段102をオフする。そして、ステップS170に移行する。ステップS170では、測定した血糖値を表示部57に表示する。なお、負圧手段102のオフは、血液が検出電極142へ到達した時点でオフにしても良い。
ステップS170において測定結果の表示をした後、ステップS171に移行し、穿刺日と穿刺時間をメモリ54に格納する。これは、穿刺時間の管理をするとともに、この穿刺時間の統計的処理を行い、穿刺時間が近づいたら予備チャージの実施と忘穿刺を予防するために患者へ告知するためである。
なお、本実施の形態においては、先の穿刺が完了した時点で予備チャージを開始しておけばユーザはチャージ開始動作後、直ぐ(2.7秒後)に穿刺することができる。なお、予備チャージ後、6時間が経過(毎食事後に穿刺すると仮定)すると、約30V自然放電によりチャージ電圧が減少する。この自然放電による損失を補うためにエネルギが必要となる。この損失を少なくするために、例えば学習機能を持たせることもできる。即ち、タイマ等を用いて患者の穿刺時間を時間データとして保存し、それを基に予想される次回の穿刺時間の少し前(過去の統計で算出)に自動的に予備チャージを開始する。このことにより、予備チャージの効果により損失を減少させることができる。
また、本実施の形態の血液検査装置100では、予備チャージボタン49bの押下により予備チャージを開始する構成としたが、これに限らず、予備チャージは、蓋開閉検知センサ59または皮膚検知センサ110d(図23参照)を用いて開始するようにしてもよい。
例えば、蓋開閉検知センサ59が蓋体52bの開を検知した際、或いは、皮膚検知10dが皮膚の当接を検知した際、検知結果が入力されるタイミングで、制御部156を介して高電圧発生回路21aにおいて予備チャージを開始する。これにより、患者が穿刺装置50の蓋体51bを開けたり或いは、指を穿刺位置に配置したりするだけで、高電圧発生回路21aにおける予備チャージを自動的に開始することができる。これにより、患者は、蓋体51bを開けたり、或いは、指を穿刺位置に配置したりするだけで、入力部29の穿刺ボタンを押下するだけでレーザ穿刺を行うことができる。
また、本チャージの開始タイミングを、蓋開閉検知センサ59(図23参照)が蓋体の開を検知した際、これに連動して、制御部28が本チャージを開始するようにしてもよい。これら場合、蓋体が開く前又は、穿刺位置に指が配置される前に、予備チャージを終了しておくことになるが、前回の穿刺直後に、予備チャージを開始したり、学習回路部284(図3参照)からの出力を用いて、予想使用時刻より前に予備チャージを終了したりすることにより実現する。
よって、蓋を開けたり、或いは穿刺位置に指を位置させるだけで、直ぐにコンデンサ25にレーザ発振電圧が印加されて、穿刺レーザ発振可能状態にすることができる。これにより、患者は、蓋体を開けたり、或いは、指を穿刺位置に位置させた後、穿刺ボタンを押下するだけで、待機することなく、直ぐにレーザ穿刺を行うことができる。
なお、本実施の形態の血液検査装置100は、実施の形態1の高電圧発生回路21を用いて説明したが、高電圧発生回路21に代えて、高電圧発生回路21a、31、40を適用してもよいことは勿論である。
2007年10月11日出願の特願2007−265175及び2007年10月11日出願の特願2007−265176の日本出願に含まれる明細書、図面及び要約書の開示内容は、すべて本願に援用される。
本発明にかかる高電圧発生回路は、レーザ穿刺用の電圧を、少ない電力損失で、且つ、短時間にレーザ発振レベルまで昇圧できる効果を有し、レーザ穿刺装置を用いた穿刺装置や血液検査装置等に有用である。
本発明は、レーザ穿刺装置を駆動する高電圧発生回路と、この高電圧発生回路を用いた穿刺装置と、この穿刺装置を用いた血液検査装置に関するものである。
糖尿病患者は、定期的に血糖値を測定し、この測定した血糖値に基づいてインスリンを注射したり、食事制限などを行い、血糖値を正常にコントロールする必要がある。このため、患者は測定機器を常時携帯し、日常的に患者自ら血糖値を測定する必要がある。そのため、患者は穿刺装置を用いて指先等の皮膚を穿刺し、皮膚から滲出した血液を血糖値測定機につけて血糖値を測定する。血糖値以外にも乳酸やヘモグロビンA1Cなどの生体情報なども穿刺装置を用いて得られた血液を使って測定を行う。
現在、針式の穿刺装置が一般的となっているが、感染などの危険性が重要視されてきており、レーザを用いたレーザ穿刺装置を備える穿刺装置が知られている。この従来のレーザ穿刺装置を駆動する高電圧発生回路1は、図1に示すように、電池2に接続されるスイッチ3と、このスイッチ3に接続された昇圧回路4と、この昇圧回路4の出力に接続されるとともにレーザ穿刺装置5を構成するフラッシュランプ(光源の一例として用いた)5aに接続されるコンデンサ6と、昇圧回路4の出力に接続されるとともに、患者の操作によりトリガ信号を発生させるトリガスイッチ7aと、このトリガスイッチ7aに接続されたトリガ回路7とで構成されており、このトリガ回路7は、フラッシュランプ5aに設けられたトリガ電極5bに接続されていた。
ここで、電池2は、起電力3.7Vのリチウムイオン電池を用い、コンデンサ6は、300μFのものを用いている。そして、昇圧回路4からコンデンサ6への充電電流は1.2Aで充電しており、レーザ穿刺装置5は発振電圧400Vであって、最低発振電圧は300Vのものを用いている。
この高電圧発生回路1では、スイッチ3をオンすることにより、電池2の出力電流が昇圧回路4を介してコンデンサ6に入力され、コンデンサ6は充電(チャージ)される。コンデンサ6への充電に伴いコンデンサ6の端子電圧は上昇する。これによってフラッシュランプ5aの両端電圧も同じく上昇する。
約7秒間の充電で、フラッシュランプ5aの両端電圧が発振電圧(約400V)まで上昇し、その後、患者がトリガスイッチ7aをオンする。そうするとフラッシュランプ5aが点灯し、その光エネルギ5dでレーザ結晶5eを励起させる。レーザ結晶5eからは、レーザ光5fが発射され、このレーザ光5fはレンズ5gを通過して、皮膚9を穿刺する。皮膚9が穿刺されると皮膚9からは血液10が滲出する。
なお、この出願の発明に関連する先行技術文献情報としては、例えば、特許文献1、特許文献2が知られている。
特開2003−38662号公報
特開2004−195245号公報
しかしながら、このような従来の高電圧発生回路1では、コンデンサ6を充電して発振電圧になるまでに7秒以上かかっていた。即ち、スイッチ3をオンした後、7秒以上後待
たなければトリガスイッチ7aをオンしても予め設定された強さのレーザ光は発射されなかった。
今、この様子を少し詳細に説明する。図2は、コンデンサ6を充電する電流(チャージ電流)と、その充電に要する時間(チャージ時間)及びその際の電量損失との関係を示す図である。図2に示すようにチャージ電流は、チャージ時間及び電量損実と反比例の関係となっている。即ち、特性曲線C1に示すように、充電する電流が大きく(図2で右方)なれば、充電に要するチャージ時間が短く(図2で下方)なり、充電するチャージ電流が小さければ、充電に要するチャージ時間が長くなる。
一方、電池2の内部抵抗によって、特性曲線C2で示すように、チャージ電流が大きくなると、内部抵抗による電量損失が大きく(図2で上方)なり、チャージ電流が少なくなれば、電量損失は小さくなる。なお、電量損失はチャージ電流の2乗に比例して増大する。
よって、コンデンサ6へのチャージ電流を大きくすれば、チャージ時間は短くなるが、電力損失の増加、電池への負荷の増大によって電池寿命の短縮につながる。これは医療機器においては重大な問題であり、患者が必要なときに穿刺が行えず、患者の状態を著しく悪化させる原因となりうる。
このような、電池の内部抵抗による電量損失とチャージ充電に要するチャージ時間の兼ね合いを踏まえて、電池の電量損失及びチャージ電流量を極力小さくしつつ、極力短時間で、コンデンサに充電したいという要望がある。例えば、コンデンサを充電する電流(チャージ電流)を1.2Aに設定し、この設定により充電に要する時間(チャージ時間)は7秒となり、この時間の更なる短縮が望まれる。なお、相反する関係ではあるが、このときの電池の電量損失は7.06Jであり、この電池の電量損失の低減も望まれている。
本発明の目的は、レーザ穿刺用の電圧を、少ない電力損失で、且つ、短時間にレーザ発振レベルまで昇圧できるレーザ穿刺用の高電圧発生回路、穿刺装置及び血液検査装置を提供することである。
本発明の高電圧発生回路は、レーザ光を発振させて皮膚に穿刺するレーザ穿刺ユニットを駆動する高電圧発生回路であって、電荷を充電し、前記レーザ穿刺ユニットに電源を供給するコンデンサと、前記コンデンサに電流を供給する昇圧回路と、前記コンデンサの電圧を測定する電圧測定部と、ユーザからの指示または前記コンデンサの電圧に基づいて前記昇圧回路を制御する制御部とを備え、前記制御部は、前記昇圧回路に、第1のタイミングにおいて第1の電流値による前記コンデンサへの充電を開始させ、前記第1のタイミングより後の第2のタイミングにおいて前記第1の電流値よりも高い第2の電流値により前記コンデンサへの充電を開始させる構成を採る。
本発明の高電圧発生回路は、レーザ光を発振させて皮膚に穿刺するレーザ穿刺ユニットを駆動する高電圧発生回路であって、電荷を充電し、前記レーザ穿刺ユニットに電源を供給する複数のコンデンサと、前記複数のコンデンサの接続状態を直列接続又は並列接続に切り替える切替部と、複数のコンデンサに電流を供給する昇圧回路と、複数のコンデンサの電圧を測定する電圧測定部と、ユーザからの指示または前記コンデンサの電圧に基づいて前記昇圧回路及び前記切替部を制御する制御部と、を備え、前記制御部は、第1のタイミングにおいて、前記切替部を切替えて前記複数のコンデンサを並列接続にした状態で、前記昇圧回路に前記複数のコンデンサへの充電を開始させ、前記第1のタイミングより後の第2のタイミングにおいて、前記切替部を切替えて前記複数のコンデンサを直列接続す
る構成を採る。
本発明の穿刺装置は、上記構成の高電圧発生回路と、前記レーザ穿刺ユニットとを有する構成を採る。
本発明の血液検査装置は、上記構成の穿刺装置と、穿刺された皮膚から滲出した血液成分を分析する血液センサとを有する構成を採る。
本発明によれば、レーザ穿刺用の電圧を、少ない電力損失で、且つ、短時間にレーザ発振レベルまで昇圧できる。
以下、本発明の実施の形態について、図面に基づいて説明する。
(実施の形態1)
図3は、実施の形態1における高電圧発生回路21を備える穿刺装置20の要部構成を示すブロック図である。穿刺装置20は、高電圧発生回路21と、電池22と、レーザユニット部(レーザ穿刺ユニット)26とを有する。
高電圧発生回路21の入力は、電池22に接続されており、出力はレーザユニット部26に接続されている。
電池22としては、ここでは、内部抵抗0.7Ω、起電力3.7Vの二次電池が用いられているが、二次電池に限らず一次電池を用いてもよい。本実施の形態では、二次電池のリチウムイオン電池を使用している。この他に二次電池としては、ニッケル水素電池、ニカド電池等がある。なお、一次電池としてはリチウム電池、マンガン乾電池、アルカリ乾電池等があり、何れでも使用することができる。電池22は、高電圧発生回路21の昇圧回路部24の入力に接続され、昇圧回路部24を介して高電圧発生回路21のコンデンサ25に電力供給を行う。
高電圧発生回路21は、昇圧回路部24と、チャージ電流測定部23と、コンデンサ25と、コンデンサ電圧測定部27と、制御部28と、入力部29と、表示部39とを有する。
チャージ電流測定部23は、昇降回路部24から出力される電流を測定し、その測定結果を制御部28に出力する。
昇圧回路部24は、入力電圧よりも高い電圧を出力する。昇圧回路部24の入力側は、電池22のプラス側に接続されている。昇圧回路部24の出力側は、チャージ電流測定部23を介してコンデンサ25の一端部に接続されている。すなわち、昇圧回路部24の出力と電池22のマイナス側の間にはチャージ電流測定部23を介してコンデンサ25が接続されている。なお、昇圧回路部24は、出力側でチャージ電流測定部23に接続されている。
ここでは、昇圧回路部24は、入力された3〜5Vの電圧を200〜700Vまで可変して昇圧する。
図4は、昇圧回路部24の構成の一例を示すブロック図であり、図5は、図4に示すパルス発生器から出力されるパルス波形を示す図である。
図4に示す昇圧回路部24としてのコンバータは、入力される電圧を昇圧して出力するものであり、ここでは昇圧チョッパ回路を用いている。昇圧回路部24では、入力部24aを介して電池22からの電圧が入力される電流平滑用インダクタンスLに、スイッチング用トランジスタQのスイッチング出力端及び整流用ダイオードDの一端が接続されている。整流用ダイオードDの他端には、電圧平滑用コンデンサCと出力端子部24bとが接続されている。また、スイッチング用トランジスタQのスイッチング入力端には、パルス発生器24cが接続されている、このパルス発生器24cには、外部の制御部28(図3参照)が接続されており、制御部28から制御入力信号が入力されることによって、スイッチング用トランジスタQにパルス波を出力する。
パルス発生器24cは、制御入力信号を受けて図5に示すように、所定の周期(1kH
z〜40kHz)において、オン時間Tonの割合を変化させるパルス波を発生する。このオン時間の割合によってスイッチング用トランジスタQを介して、出力の電圧または電流を変化させる。
この昇圧回路部24の出力側で接続されるチャージ電流測定部23は、昇圧回路部24から出力されてコンデンサ25に入力される電流を測定する。なお、チャージ電流測定部23の出力端は、コンデンサ25、レーザユニット部26、コンデンサ電圧測定部27を介して電池22(電池22のマイナス側)に接続されている。
コンデンサ25は、昇圧回路部24から出力される電気(電荷)を充電して、レーザユニット部26の電源となる。コンデンサ25の両端は、レーザユニット部26のコンデンサ入力電源部及びコンデンサ電圧測定部27が接続されている。例えば、コンデンサ25は、静電容量は300μFで、耐圧500Vのものを用いてもよい。
図6はレーザユニット部26のブロック図である。
図6に示すレーザユニット部26において、鏡筒26aは、円または楕円形をした筒形状であり、その内周面は、光源を効率よく反射するために鏡面に仕上げられている。
ここでは、鏡筒26aを共焦点系となるような楕円形状とし、この鏡筒26aの一方の焦点にはフラッシュランプ(光源の一例とする)26bを配置し、他方の焦点には、レーザロッド26cを配置している。これにより、フラッシュランプ26bから発射された光が効率良くレーザロッド26cに照射される。
レーザロッド26cの一方の端面には、反射率が85%〜95%程度の第1の反射膜26dを成膜している。また、レーザロッド26cの他方の端面には、反射率が99%以上の第2の反射膜26eを成膜している。
フラッシュランプ26bは、キセノンガスなどを封入してなる。このフラッシュランプ26bの両端には、第1コンデンサ接続部26m、第2コンデンサ接続部26nを介して、コンデンサ25の両端部が接続されている。また、フラッシュランプ26bには、トリガ回路部26hが接続されている。
トリガ回路部26hは、トリガ信号入力部26pを介して、制御部28に接続されている。トリガ回路部26hは、トリガ信号入力部26pを介して入力される制御部28からのトリガ信号によって、コンデンサ25から高電圧が印加されたフラッシュランプ26bに、電圧を瞬間的に印加して発光させる。
すなわち、コンデンサ25の電圧が200V〜700Vになるようにチャージされた際には、フラッシュランプ26b中は絶縁状態であるため発光しない。この状態の後で、つまり、コンデンサ25が、フラッシュランプ26bに、当該フラッシュランプ26bの両端から200V〜700Vの電圧を印加した後で、トリガ回路部26hによって5〜10kVの電圧を瞬間的に印加すると、フラッシュランプ26bでは誘導放電が開始され、その後、コンデンサ25から電流が流れ込み発光する。この発光した光が鏡筒26aによってレーザロッド26cに集光される。
このようにレーザロッド26cに集光された光は、レーザロッド26c内に存在するドープされたレーザ動作物質(本例ではEr:YAG)を励起し、波長が約2.94μmの光を発生させる。
発生した光は、レーザロッド26c内で第1の反射膜26dと第2の反射膜26e間を共振するとともに増幅される。
増幅された光の強度がある閾値よりも高くなった光は、第1反射膜26dを通過し、出射口26kを通ってレーザ出力光(レーザ光)として外部に出力される。本実施の形態におけるレーザユニット部26では、Er:YAGをドープしたレーザロッド26cを用いるため、レーザユニット部26は、レーザ波長が約2.94μmのレーザ光を出射する。
なお、出射口26kの前方には、図示しない凸レンズが、透過するレーザ光の焦点が患者の皮膚で結ぶように設けられている。皮膚が穿刺されると、皮膚からは血液が滲出する。
図3に戻り、コンデンサ電圧測定部27は、電池22及びコンデンサ25の両端(入出力端)に接続され、コンデンサ25の電圧を測定する。コンデンサ電圧測定部27は、ここでは、A/D(アナログ/デジタル)コンバータで構成されている。コンデンサ電圧測定部27は、測定したコンデンサ25の電圧値を制御部28に出力する。
入力部29は、スイッチ等から構成されており、制御部28に接続されている。患者からの入力があった場合、制御部28に通知し、この通知に基づいて、制御部28は、各部を制御する。
表示部39は、LCDやLEDなどで構成されており、制御部28に接続されており、制御部28から入力される情報を表示し、患者に視認させる。
制御部28は、チャージ電流測定部23とコンデンサ電圧測定部27からの入力に基づいて、コンデンサ25へのチャージ量(電流値)を決定し、決定したチャージ量を出力する指示信号を昇圧回路部24に出力する。この昇圧回路部24への制御信号の出力によって、制御部28は、昇圧回路部24から出力される電流量と昇圧電圧を制御する。また、制御部28は、各部の入力に基づいて、レーザの発射を制御するトリガ出力信号を、トリガ信号入力部26pに出力し、レーザユニット部26にレーザ光を発射させる。
このように制御部28は、コンデンサ25のチャージ状態を制御し、且つ、レーザ発射のタイミングを制御する。
制御部28は、コンデンサ25のチャージ状態を制御することによって、レーザユニット部26が穿刺可能なレーザ光を発振する穿刺レーザ発振電圧(第2のチャージ電圧)までの電圧を制御する。
具体的には、制御部28は、所定のタイミングで、昇圧回路部24を制御し、第1の電流値によるコンデンサ25の充電を開始し、第1の電流値でコンデンサ25を充電した後、所定のタイミングで、第1の電流値より大きい第2の電流値でコンデンサ25を充電する。
ここで、第1の電流値は、コンデンサ25を電源部とするレーザユニット部26においてレーザ発振が行われる電圧(最低レーザ発振電圧)以下の電圧(第1閾値)が印加されるまでの電流値である。つまり、第1の電流値は、昇圧回路部24を介して、コンデンサ25に、レーザユニット部26からレーザ光が発射されない電圧を印加する値である。この第1の電流値を用いて制御部28が昇圧回路部24を制御することを予備チャージと称し、レーザユニット部26においてレーザ発振が行われる電圧以下の電圧である電圧(レーザ光が発射されない電圧)を予備チャージ電圧(第1のチャージ電圧)と称する。制御
部28は、レーザ発振が行われる電圧(最低レーザ発振電圧)よりも少し低い電圧、例えば10V低い電圧に到達した時点で、昇圧回路部24を制御して、コンデンサ25への電流の供給を停止させる。
この第1の電流値は、レーザユニット部26(図6参照)固有の構成によって決定される。具体的には、第1の電流値は、フラッシュランプ26bのランプ径、アーク長と、鏡筒26aの配置、反射率と、レーザロッド26cの共振器反射率、径、長さ等により決定される。
なお、制御部28が予備チャージを行う所定のタイミング(開始タイミング)は、例えば、1)「穿刺後直ぐに開始する場合」、2)「学習機能により自動開始する場合」、3)「患者の穿刺準備動作により開始する場合」が挙げられる。なお、これら3つの開始タイミングの詳細は後述する。
また、第2の電流値は、コンデンサ25を電源部とするレーザユニット部26において穿刺可能なレーザ発振が行われる穿刺レーザ発振電圧(第2閾値)を印加する電流値である。つまり、第2の電流値は、昇圧回路部24を介して、コンデンサ25に、レーザユニット部26にレーザ穿刺可能な状態の電圧を印加する値である。この第2の電圧値を用いて制御部28が昇圧回路部24を制御することを本チャージ、レーザユニット部26においてレーザ穿刺可能な状態の電圧である穿刺レーザ発振電圧を、本チャージ電圧(第2のチャージ電圧)とも称する。
また、制御部28は、本チャージ終了により穿刺可能なレーザの発射準備が完了した状態のレーザユニット部26に、トリガ信号を出力し、レーザ発振によって穿刺させる。具体的に、制御部28は、コンデンサ電圧測定部27から、コンデンサ25が穿刺レーザ発振電圧まで充電された情報(穿刺レーザ発振電圧値)が入力されると、トリガ信号をトリガ信号入力部26pに出力する。トリガ信号入力部26pを介してトリガ信号がトリガ回路部26hに入力されることによって、レーザユニット部26からレーザ光が発射する。
さらに、制御部28は、チャージ電流測定部23、コンデンサ電圧測定部27等の各部から入力や、決定したチャージ量などを示す情報を表示部39に出力して、患者に対してシステムの状態を通知する。
以上のように構成された高電圧発生回路21は、高電圧発生回路21を起動すると、昇圧回路部24を介して電荷がコンデンサ25に充電される。このときのチャージの電流値は電池22の損失の影響が小さくなるような電流である。コンデンサ25には、レーザ発振電圧(例えば、約300V)以下の電圧(例えば、290V)になるまで充電される。即ち、予備チャージ電圧になるまで充電される。なお、コンデンサ25の両端の電圧は、コンデンサ電圧測定部27で測定されている。この予備チャージ電圧では、レーザユニット部26からレーザ光が発射されることはなく安全である。
続いて、例えば、患者の操作により入力部29のスイッチがオンすると、電池22から昇圧回路部24を介して更に電荷がコンデンサ25に充電される。このときコンデンサ25では、穿刺レーザ発振電圧(例えば、約400V)まで充電される。従って、レーザユニット部26から予め定められた強度のレーザ光の発射が可能となり、レーザ光が発射される。
本高電圧発生回路21を備える穿刺装置において、「本チャージ後、すぐに穿刺する」場合について、時間に基づいて説明する。図7は、本発明の実施の形態1に係る高電圧発生回路21の動作を説明するための動作タイミング図である。図7において、横軸は時間
、縦軸はチャージ電圧及びチャージ電流の大きさを示し、実線L1はチャージ電流を示し、一点鎖線L2はチャージ電圧を示す。
高電圧発生回路21のシステムが、起動すると、制御部28は、「予備チャージ開始」時刻t1において、昇圧回路部24を介して、コンデンサ25に予備チャージを開始する。このときのチャージ電流は、電池22の電力損失(電池22内の内部抵抗による損失)が小さくなるように、例えば100mAでチャージされる。この状態において制御部28は、コンデンサ電圧測定部27を介してコンデンサ25の両端の電圧を監視する。
チャージ電流L1が0.1Aで制御されることによって、コンデンサ25は、点t2まで35秒かけてチャージされる。即ち、コンデンサ25へのチャージ量が290V(予備チャージ電圧E1)になるまでチャージする。このように従来に比べて小電流(0.1A)でチャージする目的は、電池22の電力損失を少なくするためである。また、チャージ量(L2)を最低発振電圧(300V)未満の290Vに制御するのは、誤ってレーザ光を発射させないためである。
コンデンサ25の電圧がレーザ発振レベル以下の電圧である予備チャージ電圧E1(本実施の形態では290V)になる「予備チャージ終了」時刻t2になると制御部28は、昇圧回路部24を介して、コンデンサ25への予備チャージを終了する。
この状態でシステムは患者による操作、つまり、入力部29からの穿刺ボタン等のスイッチ押下による穿刺開始(本チャージを含む穿刺指示)の旨の入力を待つ。
穿刺ボタンなどがスイッチ押下されると、入力部29から穿刺開始の旨の信号が制御部28に入力される。これにより、制御部28は、「ユーザによる操作」及び「本チャージ開始」時刻t3において、昇圧回路部24を用いて本チャージを開始する。本チャージにおけるチャージ電流はチャージ時間を短くするために、例えば2Aでチャージされる。この状態において、制御部28は、コンデンサ電圧測定部27を用いて、予備チャージと同じようにコンデンサの両端の電圧を監視する。コンデンサ25の電圧が設定電圧、本実施の形態においては穿刺レーザ発振電圧である本チャージ電圧E2(例えば、400V)になるとシステム(制御部28)は、レーザユニット部26にトリガ信号を出力して、レーザユニット部26にレーザを発射させる。図7ではコンデンサ25の電圧が本チャージ電圧E2に達した際の点を「本チャージ終了」及び「レーザ穿刺」時刻t4で示す。
なお、本チャージにおけるチャージ電流は従来に比べて大きくなるが、それ以上にチャージ時間が短い(2.7秒)ため、電池22の電力損失は少ない。
また、この本チャージ時における待ち時間(例えば2秒程度)はブザー等の放音部(図示しない)や表示部39などによって患者にわかるようにするのがよい。例えば、制御部28は、コンデンサ電圧測定部27を介してコンデンサ25の電圧が設定電圧であることが測定された際に、接続された放音部や表示部39を介して、t4点までブザー音を放音させたり、表示部39に本チャージ中である旨を表示させたりする。
レーザユニット部26からレーザが発射されると、コンデンサ25のチャージ量はほぼ0となり、システム(制御部28)は、次の穿刺に備えて、昇圧回路部24を用いて再び予備チャージを開始する。
このように、制御部28は、コンデンサ電圧測定回路部27を介して、コンデンサ25の両端の電圧を測定し、この測定した電圧に基づいて、制御部28では予備チャージ電圧E1、レーザ発振電圧E2を認識して昇圧回路部24を制御する。よって、レーザ穿刺用
のコンデンサ25の電圧を、少ない電力損失で、且つ、短時間にレーザ発振レベルまで昇圧できる。
例えば、本実施の形態では、予備チャージをしているので、トリガスイッチ(入力部29の一部)をオンしてからレーザ光が発射するまでの待ち時間は、2.7秒と短い。また、本チャージ電流は大きいが予備チャージに要する時間が短いので、全体として電池22の電力損失は少なくなる。一般に、コンデンサ25のチャージエネルギQcは(式1)で表される。
このコンデンサ25を発振電圧の400Vまでチャージするために必要なエネルギは、コンデンサ25の静電容量を300μF、電圧Vcを400Vとすると24Jとなる。ここで、昇圧回路部24の損失は少ないので無視するものとする。また、コンデンサ25にチャージされるエネルギQbは(式2)で表される。
この(式2)において、Vb・I・tは電池22から流出するエネルギであり、r・I2乗・tはその内電池22により消費されるエネルギである。
(式2)において、従来の高電圧発生回路1におけるチャージ時間は、電流を1.2Aとすると、7秒となり、損失は約7.06Jとなる。
これに対して本実施の形態における予備チャージでは、予備チャージ電圧E1を290Vとし、電流を0.1Aとすると、予備チャージ時間は35秒となり、損失は0.25Jとなる。また、本チャージにおける本チャージ電圧(レーザ発振電圧E2)を400Vし、電流を1.7Aとすると、本チャージ時間は2.7秒となり、損失は5.46Jとなる。この比較を(表1)に示す。
以上、説明したように、本実施の形態では、合計の損失は5.71Jとなり、ユーザによるチャージ開始動作からの待ち時間は2.7秒となる。このように、従来の高電圧発生回路1に比べて、待ち時間と損失が改善される。
本実施の形態においては、先の穿刺が完了した時点で予備チャージを開始しておけばユーザはチャージ開始動作後、直ぐ(2.7秒後)に穿刺することができる。
すなわち、高電圧発生回路21を備える穿刺装置では、穿刺後直ぐに予備チャージを開始して、次の穿刺のための準備を行うため、一日の使用頻度が多い患者或いは、病院などで連続して使用する場合においては好適である。
このような高電圧発生回路21の制御部28よる予備チャージの開始は、放電による電量損失を防止するために、レーザ穿刺後すぐに予備チャージを開始(「穿刺後直ぐに開始する場合」に対応)せず、学習機能によって予備チャージの開始を決定する(「学習機能により自動開始する場合」に対応)か、患者による穿刺準備動作によって予備チャージを開始(「患者の穿刺準備動作により開始する場合」に対応)してもよい。
例えば、予備チャージ後、6時間が経過(毎食事後に穿刺すると仮定)すると、約30V自然放電によりチャージ電圧が減少する。この自然放電による損失を補うためにエネルギが必要となる。この損失を少なくするために、例えば学習機能を持たせることもできる。即ち、タイマ等を用いて患者の穿刺時間を時間データとして保存し、それを基に予想される次回の穿刺時間の少し前(過去の統計で算出)に自動的に予備チャージを開始する。このことにより、予備チャージの効果により損失を減少させることができる。
このように、高電圧発生回路21において、患者の毎日の穿刺時間を記録し、その穿刺時間の所定時間前に予備チャージを開始する「学習機能による自動開始」機能を有する高電圧発生回路21について説明する。
図8は、制御部28の構成を示す機能ブロック図である。
制御部28は、チャージ制御部281と、タイマ282と、学習回路部(穿刺タイミング学習部)284と、記録部286とを有する。
チャージ制御部281は、上述した制御部28の機能を有するものであり、チャージ電流測定部23とコンデンサ電圧測定部27からの入力に基づいて、コンデンサ25へのチャージ量(電流値)を決定し、決定したチャージ量を出力する指示信号を昇圧回路部24に出力する。この昇圧回路部24への制御信号の出力によって、チャージ制御部281は、昇圧回路部24から出力される電流量と昇圧電圧を制御する。
すなわち、チャージ制御部281は、入力部29を介したユーザからの指示またはコンデンサ電圧測定部27からのコンデンサの電圧に基づいて昇圧回路部24を制御し、入力部29又は学習回路部284等の外部から入力される予備チャージ開始タイミングにおいて、第1の電流値によりコンデンサ25への充電を開始させる。
また、チャージ制御部281は、コンデンサ25の電圧が、レーザ発振が行われる電圧(最低レーザ発振電圧)よりも例えば10V低い電圧に到達した時点で、昇圧回路部24を制御して、コンデンサ25への電流の供給を停止させる。
チャージ制御部281は、昇圧回路部24を制御して、予備チャージ開始タイミングより後の本チャージ開始タイミングにおいて、第1の電流値よりも高い第2の電流値によりコンデンサ25への充電を開始させる。
このようにチャージ制御部281は、チャージ電流測定部23およびコンデンサ電圧測定部27からの入力を基に昇圧回路部24に指令を与え、昇圧回路部24を任意の電圧または電流になるように制御する。
また、チャージ制御部281は、コンデンサ25へのレーザ発振電圧の印加によって、レーザの発射を制御するトリガ出力信号を、トリガ信号入力部26pに出力し、レーザユニット部26にレーザ光を発射させる。
タイマ282は、高電圧発生回路21のシステムの時間を計時して、チャージ制御部281に出力し、この出力された信号に基づいて、チャージ制御部281では、予備チャージの開始時間が決定される。
また、チャージ制御部281がレーザユニット部26にレーザ発射のためのトリガ信号を出力した際に、そのトリガ信号を出力した時間は学習回路部284に入力される。
学習回路部284は、チャージ制御部281からトリガ信号出力時間、つまり、レーザ穿刺が行われた時間が入力され、この入力された情報を記録部286に出力して保存する。学習回路部284は、記録部286に保存されたデータ(過去にレーザ穿刺を行った時間のデータ)を用いて患者の使用する時間を推測し、推定した患者の使用時間の所定時間前になるとその旨の信号をチャージ制御部281に出力する。この出力された信号に基づいてチャージ制御部281は、昇圧回路部24に昇圧出力制御信号(第1の電流値)を出力して、昇圧回路部24を制御して、コンデンサ25への予備チャージを開始する。
患者の1日の使用回数(血糖値の測定回数)は1〜6回と様々である。しかしながら使用時刻は基本的には食前食後であるため、おおよそ定期的に穿刺が行われる。学習機能によって予備チャージを開始する高電圧発生回路21のシステムは、定期的に行われる穿刺の時間を記録しておき、毎日のその時刻の所定時間前、例えば2時間前に予備チャージを自動的に開始する。このように推定した、患者の使用時間の所定時間前に行うのは、患者が毎日穿刺装置を使用する使用時刻のバラツキを吸収する目的である。
図9は、記録部に記録される患者の使用回数を記録したテーブルの一例を示す図である。
図9に示すテーブルは、1日に3回穿刺を行う患者の10分毎の使用回数を記録する記録部に使用回数を記録した使用回数の分布図である。
図9に示すテーブルに示すように、患者による穿刺装置の使用回数(穿刺回数)の分布を示すグラフL3は、患者は毎食後に穿刺を行うため、毎食後あたりの使用頻度が高いことを示している。この使用回数の分布(実線のグラフL3で示す)の移動平均、例えば1時間ごとの移動平均を計算すると破線で示すグラブL4で示される。このようなテーブルを用いて、学習回路部284は、破線L4のピーク点をこの患者の使用時刻(A、B、C)と(見積もる。この見積もった使用時刻において予備チャージが既に完了している状態となるように、患者の使用時刻(A、B、C)よりも所定時間前の予備チャージ開始タイミングを推定する。例えば、図9では、学習回数の2時間前(それぞれA’、B’、C’で示す時刻)を予備チャージの開始タイミングとすれば、(ここでは予備チャージは30秒程度)患者が使用するとき(時刻A、B、C)には既に予備チャージは完了されている状態となる。このように、推定した開始タイミング時刻A’、B’、C’で予備チャージを開始すれば、予備チャージの完了から使用時刻A、B、Cまでの時間は、長時間経過していないためコンデンサ25の自己放電も小さくなる。
なお、使用頻度が低い時刻、つまり、いつもとは違う時刻に穿刺をおこなう場合に予備チャージを行う場合、患者による入力部29のスイッチの押下によって、予備チャージの開始、つまり、「患者の穿刺準備動作による開始」の旨を示す信号を制御部28に入力させて、この入力によって制御部28が予備チャージを開始する構成にする。
図10は、学習機能による予備チャージ開始を行う場合の制御を説明するシーケンス図である。なお、ここでは、患者の使用期間が十分長く、学習機能が動作している状態、つまり、予備チャージ開始を患者の操作で行わずに、記録部286に記録された患者の使用回数データ(学習データ)を用いて行う動作として説明する。
予備チャージの開始は、この機能を有する学習回路部284からの信号によって開始される。
図10に示すように、先ずステップS1では、学習回路部284は、推定した予備チャージ開始タイミングをチャージ制御部281に通知し、この通知を受けてチャージ制御部281は予備チャージを開始する。具体的には、学習回路部284は過去のデータから計算した患者の使用時間の2時間前になるとチャージ制御部281に対して予備チャージ開始信号を出力する。
ステップS2では、予備チャージ開始信号が入力されたチャージ制御部281は、コンデンサ電圧測定部27からコンデンサ25の電圧を取得する。
さらに、ステップS3において、チャージ制御部281は、チャージ電流測定部23からチャージ電流を取得して、ステップS4に移行する。
ステップS4では、チャージ制御部281は、取得したチャージ電流が100mAとなるように制御信号を計算して、ステップS5に移行する。
ステップS5では、チャージ制御部281は、計算した制御信号(昇圧出力制御信号)を昇圧回路部24に出力する。これによって、昇圧回路部24を介してコンデンサ25へのチャージが開始される。
なお、チャージ制御部281は、ステップS2からステップS5までの処理を、コンデンサ25の電圧が予備チャージ電圧である290V以下であることをコンデンサ電圧測定部27からの入力される信号に基づいて監視しつつ制御する。
チャージ制御部281は、コンデンサ25の電圧が290Vに達したことを示すコンデンサ25電圧の入力によって、昇圧回路部24を制御して、予備チャージを終了し、ステップS6において、入力部29からの入力を待機する。
つまり、ステップS6では、チャージ制御部281は、入力部29における患者の操作によって、入力部29を介した、患者からの入力を待機する。
ステップS7では、患者から押しボタンなどによって穿刺を行う旨が入力部29に入力されて、その入力がチャージ制御部281に入力される。
ステップS8では、チャージ制御部281は、コンデンサ電圧測定部27からコンデンサ25の電圧と、チャージ電流測定部23からチャージ電流とを取得し、これらに基づいて、本チャージのための制御信号(昇圧出力制御信号)を計算し、昇圧回路部24に出力する。これによって、昇圧回路部24を介してコンデンサ25へ本チャージが開始される。
具体的には、ステップS8では、チャージ制御部281は本チャージ制御を行う。このステップS8では、チャージ制御部281は、チャージ電流が2Aになるように制御を行い、コンデンサ25の電圧が本チャージ電圧である400Vに達するまで、入力されるコンデンサ25の電圧及びチャージ電流に基づいて制御信号を計算して昇圧回路部24に出力する動作を繰り返した制御を行う。
コンデンサ25の電圧が400Vに達するとチャージ制御部281は、昇圧回路部24を介して行うコンデンサ25への充電を終了し、ステップS9に移行する。
ステップS9では、チャージ制御部281は、レーザユニット部26にトリガ信号を出力する。
ステップS10では、トリガ信号の入力によって、レーザユニット部26はトリガ電圧を発生させて、レーザ光を出力する。これにより、患者は穿刺される。
穿刺が終了すると、ステップS11では、チャージ制御部281は、学習回路部284に今回穿刺を行った時間を出力しステップS12に移行する。
ステップS12では、学習回路部284は、まず今回の時間を記録部286に保存し、記録部286に今回の穿刺時間が記録され、ステップS13に移行する。
ステップS13では、学習回路部284は、記録部286に保存された過去の穿刺時間をすべて取得しにいき、ステップS14に移行する。
ステップS14では、学習回路部284は、過去の穿刺時間を統計的に処理し、この患者が次回穿刺を行う時間、つまり、患者が行う次回の穿刺のために予備チャージを開始するタイミング(時間)を計算し、ステップS15に移行する。
ステップS15では、学習回路部284は、チャージ制御部281を介して入力されるタイマ282からの信号を用いて、次回の穿刺時間の2時間前になるまで、つまり、予備チャージ開始まで待機する。
このように学習回路部284を用いて、患者の毎日の穿刺時間を記録し、その穿刺時間の所定時間前にコンデンサ25に予備チャージを開始するようにすれば、穿刺直後に予備
チャージが行われない。これにより、予備チャージ後のコンデンサ25の自己放電による電力損失は、穿刺時間よりも所定時間前からの分だけとなる。よって、患者の使用頻度が少ない場合でも、穿刺直後に予備チャージされ、穿刺されない状態のコンデンサ25と比較して、コンデンサ25の自己放電による損失を比較的容易な構成で防ぐことができる。
なお、記録部286に学習すべきデータ(患者の毎日における穿刺装置の使用回数を示すデータ)がない場合には、「患者による予備チャージの開始」で対応し、記録部286に学習データが所定量分、溜まった際に、学習機能部による学習機能を実行するのがよい。
ここで、「患者による予備チャージの開始」について説明する。
これは患者が高電圧発生回路21を備える穿刺装置を使用するときに行う準備動作に連動して、予備チャージを開始するものである。
具体的には、例えば、穿刺装置20において、レーザユニット部26のレーザ発射部(穿刺部)に穿刺保護カバーを設け、更に、保護カバーの開閉を検知する検知手段(スイッチなど)を設ける。この検知手段からの出力信号を制御部28(詳細にはチャージ制御部281)に入力し、この入力信号を受けて予備チャージを開始する。これにより、患者が穿刺を行う際に、この保護カバーを開ける(外す)等の動作を行うと、予備チャージが開始する。
また、例えば、高電圧発生回路21を有する穿刺装置において、使用時以外は、スリープ状態(システムは低消費電力状態で動作している状態)とし、使用時、例えば、患者が入力部29の操作ボタンを押下した際に、スリープ状態が解除され、患者からの穿刺を行う入力を待つようにしてもよい。
この場合の制御部28は、レーザユニット部26にトリガ信号を出力した後、高電圧発生回路21全体を省電力状態で制御し、入力部29からの予備チャージ開始の旨を示す信号が入力された際に、昇圧回路部24を含むシステム全体を制御する。また、制御部28は、予備チャージ開始の旨を示す信号が入力された状態で、入力部29からの本チャージ開始、ここでは穿刺指示を示す信号の入力を待機する。この本チャージ開始の信号を受けて制御部28は、昇圧回路部24を制御してコンデンサ25を本チャージする。なお、穿刺装置における予備チャージは、システムのスリープ解除と同時に開始するように設定してもよい。この場合、準備動作によって予備チャージを開始しても、患者が穿刺を行うまでに予備チャージを完了しない場合が想定される。その場合、制御部28は、予備チャージが途中であっても本チャージを開始するように昇圧回路部24を制御する。この構成では、穿刺までの患者の待ち時間及び電力損失ともに従来と同じように大きくなるが、記録部286に記録される使用回数のデータが増えて、この問題は解消される。
このように、患者が予備チャージの開始を行う構成、つまり「患者の穿刺準備動作により開始する場合」では、患者が使用する前に、コンデンサ25へのチャージを、早すぎることなく確実に行うことができる。
ここで、「予備チャージ後、患者の操作によって穿刺する」場合について説明する。
図11は、予備チャージ後、患者の操作によって穿刺する場合における高電圧発生回路21の動作を説明するための動作タイミング図である。図11において、横軸は時間、縦軸はチャージ電圧及びチャージ電流の大きさを示し、実線L5はチャージ電流を示し、一点鎖線L6はチャージ電圧を示す。
高電圧発生回路を備える穿刺装置において、「予備チャージ後、患者の操作によって穿刺する」場合の制御は、図7で示す「本チャージ後、すぐに穿刺する」場合と比較して、本チャージ終了後(時刻t4)に再び患者の操作を待つ部分が異なる。なお、本チャージ終了後t4までの制御は、図7と同様のタイミングで同様の制御が行われるため説明は省略する。
本チャージが完了した後(時刻t4)、システムは、再び患者の入力を待つ状態となる。すなわち、制御部28は、昇圧回路部24を制御しつつ、コンデンサ電圧測定部27を用いて、予備チャージと同じようにコンデンサ25の両端の電圧を監視する。コンデンサ25の電圧が設定電圧、本実施の形態においては穿刺レーザ発振電圧である本チャージ電圧E2(例えば、400V)になると、制御部28は、入力部29からレーザ発射指示を示す信号の入力を待機(時刻t4〜t6まで)する。
患者は好きなタイミングにおいて、例えば入力部29の穿刺ボタンを再び押下すると、時刻t6において、入力部29から制御部28に、レーザ発射の指示(レーザ穿刺指示)の信号が出力される。この信号を受けて制御部28は、トリガ信号をレーザユニット部26に出力してレーザ光が発射させ、皮膚を穿刺する。図11では、時刻t6において「患者によるレーザ光発射指示操作」と、「レーザ穿刺」動作が行われている。この時刻t6において、レーザ穿刺が終了するとコンデンサ25の電圧は0になり、制御部28は、昇圧回路部24を制御して、コンデンサ25に再び予備チャージを開始する。
このように穿刺装置20では、患者は、入力部29の穿刺ボタンの押下と同時にレーザが発射される。よって患者は患者の好きなタイミングで穿刺することが可能となる。
ただし、本チャージが完了した状態が一定時間、例えば1分間継続すると、安全性を確保するために、再びチャージ電圧をレーザ発振レベル以下まで下げる必要が生じる。この場合、コンデンサ25を電力回生の方法か、放電による対策がある。
ここで、高電圧発生回路21を備える穿刺装置において、本チャージされたコンデンサ25の電圧を回生する構成を実施の形態2として説明する。
(実施の形態2)
図12は、本発明の実施の形態2における高電圧発生回路31を備える穿刺装置30の要部構成を示すブロック図である。
図12に示す穿刺装置30は、穿刺装置20と同様の基本的構成であり、穿刺装置20の構成に、電池電圧測定部32、降圧回路部33、回生電流測定部34を加えた構成である。よって、同構成要素には同名称、同符号を付して説明は省略する。
図12に示す穿刺装置30では、高電圧発生回路31の入力は、電池22に接続されており、出力はレーザ穿刺装置26に接続されている。
高電圧発生回路31は、高電圧発生回路21の機能に加えて、コンデンサ25の電圧を、電池22に戻す回生機能を備える。
電池22は、ここでは、例えば、リチウムイオン2次電池のような2次電池で構成されている。
高電圧発生回路31は、具体的には、昇圧回路部24と、チャージ電流測定部(以下「
電流測定部」という)23と、コンデンサ25と、コンデンサ電圧測定部(以下「電圧測定部」という)27と、制御部38と、入力部29と、表示部39とに加えて、回生機能を実現させるための電池電圧測定部32、降圧回路部33及び回生電流測定部34を有する。
電池電圧測定部32は、電池22の両端に接続され、電池22の電圧を測定し、その測定結果を制御部38に出力する。
降圧回路部33は、コンデンサ25に接続され、制御部38からの指示によって、コンデンサ25にチャージされた高電圧を3〜5Vに降圧して、回生電流測定部34を介して電池22に出力する。
回生電流測定部34は、コンデンサ25から電池22に出力される回生電流を測定して、制御部38に出力する。
制御部38は、回生電流測定部34と電池電圧測定部32からの入力に基づいて回生制御を行う。
図13は、降圧回路部33の構成の一例を示すブロック図であり、図14は、図13に示すパルス発生器から出力されるパルス波形を示す図である。
図13に示す降圧回路部33は、入力される電圧を降圧して出力するものであり、ここでは、降圧チョッパ回路を用いている。本実施の形態の降圧回路部33は、入力された200〜700Vの電圧を降圧して、3〜5Vにして出力する。降圧回路部33では、入力部33aを介してコンデンサ25の一端に接続されたスイッチング用トランジスタQにコンデンサの電圧が入力される。このスイッチング用トランジスタQのスイッチング入力には、パルス発生器33cが接続されており、スイッチング用トランジスタQの他端(出力側)には、電流平滑用リアクタンスLと還流用ダイオードDが接続されている。
また、リアクタンスLの他端は、出力部33bに接続されており、出力部から降圧回路部33によって降圧された電圧が出力される。
パルス発生器33cは、外部の制御部38に接続され、制御部38から制御入力信号が入力される。
パルス発生器33cは、制御入力信号を受けて、図14に示すように、所定の周期(1kHz〜40kHz)において、オン時間Tonの割合を変化させるパルス波を発生する。このオン時間の割合によってスイッチング用トランジスタQを介して、降圧回路部33の出力の電圧または電流を変化させることができる。
図15は、制御部38の構成を示す機能ブロック図である。なお、制御部38は、上述した実施の形態1の制御部28と同様の基本的構成を有する。このため、制御部28の構成要素と同様の構成要素については、同名称、同符号を付して詳細な説明は省略する。
制御部38は、チャージ制御部281と、タイマ282と、学習回路部284と、記録部286とを有し、加えて、タイマ282に接続された電力回生制御部382を有する。
すなわち、制御部38では、タイマ282は、穿刺装置30におけるシステムの時間を計時して、接続されたチャージ制御部281と電力回生制御部382に出力する。
チャージ制御部281は、タイマ282からの時間を示す入力信号を用いて、予備チャージの開始時間を決定する。また、チャージ制御部281は、レーザ発射のためのトリガ信号をレーザユニット部26に出力し、加えて、トリガ信号の出力時間を学習回路部284に出力する。
また、学習回路部284は、入力されるトリガ信号の出力時間を記録部286に保存し、上述のように過去のデータを基に患者の使用する時間を推測する(図8参照)。そして、学習回路部284は、患者が使用する時間の所定時間前になるとチャージ制御部281にその旨を出力し、チャージ制御部281は、この信号を受けて昇圧回路部24を制御してコンデンサ25への予備チャージを開始する。
電力回生制御部382は、制御部38の外部の電池電圧測定部32、降圧回路部33、回線電流測定部34、入力部29に接続され、入力された信号に基づいて、降圧回路部33を用いて電力回生制御を行う。また、電力回生部382は、タイマ282の入力を受けて本チャージ完了後のタイムアウトを判定し、タイムアウトが発生すると電力回生制御を開始する。
具体的には、電力回生制御部382は、接続された電池電圧測定部32及び回生電流測定部34から得られる電池電圧、回生電流を示す信号に基づいて、降圧回路部33の制御入力に指令を与える。
これにより電力回生制御部382は、降圧回路部33の出力が任意の電圧または電流になるように制御して、電池22(ここでは2次電池)の電池特性に最適な充電制御を行う。
ここでは、電池22は、リチウムイオン電池としている。リチウムイオン電池の電池特性に対応した一般的な充電制御は、電池22の電圧が3.7Vより低い場合は定電流制御を行い、3.7Vに達する際には、3.7Vの定電圧制御を行う。
よって、制御部38における充電制御(回生制御)では、電力回生制御部382は、電池電圧値が3.7Vよりも低い場合は、電流値が例えば100mAを超えないように、回生電流測定部34の入力を用いて、降圧回路部33を定電流制御する。
また、電力回生制御部382は、電池電圧値が3.7Vに達すると3.7Vを超えないように、回生電圧測定部34の入力を用いて降圧回路部33を定電圧制御する。このとき、本チャージ電圧:400Vから予備チャージ電圧:290Vまでかかる時間はおよそ30秒で、さらにチャージ電圧を完全に0にするまでさらに30秒程度で回生可能である。但し、電池22の残量が多く、電池電圧が3.7Vの場合、回生電流を抑えるために、さらに多くの時間を要することがある。
このように電力回生制御部382は、降圧回路部33に制御信号を出力することによって任意に電池22への電流値と電圧値を制御することでき、二次電池である電池22の種類が変わってもその電池22に、公知の技術によって適切な充電制御を行う。
これにより、実施の形態1の穿刺装置20において、「予備チャージ後、患者の操作によって穿刺する」場合、患者による入力部29を介した操作(入力部29の穿刺スイッチの押下操作等)が、ある一定時間(例えば、1分間)以上行われなかったときに、穿刺装置30のシステム(制御部38の電力回生制御部382)が、タイマ282を用いてタイムアウトを検知し、降圧回路部33を制御して、コンデンサ25のチャージ電圧をレーザ発振レベル以下、又は0まで降圧させるといった電力回生動作を行う。またはチャージ制
御部281が強制放電を行う。これによって、長時間、コンデンサ25において高いチャージ電圧が保持された状態を回避して、誤作動によるレーザユニット部26からのレーザ発射の危険性を回避できる。
図16は、本発明の実施の形態2に係る高電圧発生回路31の動作を説明するための動作タイミング図である。図16において、横軸は時間、縦軸はチャージ電圧及びチャージ電流の大きさを示し、実線L7はチャージ電流を示し、一点鎖線L8はチャージ電圧を示す。なお、本実施の形態2の穿刺装置30における本チャージ終了後t4までの制御は、図7及び図11で示す動作タイミングと同様のタイミングで同様の制御が行われるため説明は省略する。
本チャージが完了した後(時刻t4)、システムは再び患者の入力を待つ状態となる。システムは、本チャージの完了後、時間計測を開始し、その時間が所定時間を越え、タイムアウトを検知すると、降圧回路部33を用いた電力回生、または抵抗を用いた強制放電を開始する。
具体的には、制御部38では、チャージ制御部281及び電力回生制御部382が、入力部29からの入力を待機しつつ、タイマ282が時間計測を開始する。
電力回生を行う場合では、入力部29からの入力が無く、タイマ282の計測時間が所定時間を越えると、電力回生制御部382がタイムアウトを検知し、降圧回路部33を用いて電力回生を開始する。
一方、強制放電を行う場合では、入力部29からの入力が無く、タイマ282の計測時間が所定時間を越えると、チャージ制御部281は、タイムアウトを検知する。そしてチャージ制御部281は、トランジスタなどのスイッチング素子(図示略)を制御して、コンデンサ25と並行に接続された抵抗(図示略)に、コンデンサ25を接続して、チャージ電力を抵抗で消費させる。これにより、コンデンサ25のチャージ電圧を下げる。
その後、システム(チャージ制御部281又は電力回生制御部382)は、コンデンサ電圧測定部27の測定結果を用いてコンデンサ25の電圧を監視し、コンデンサ25の電圧がレーザ発振レベルE1以下になると、電力回生または強制放電を終了し、再び患者による本チャージの操作(入力部29からの本チャージ開始を示す入力信号)を待つ。
このとき、予備チャージの開始タイミングを、学習回路部284を用いて決定するか、予備チャージ開始要因によって予備チャージを開始する場合には、コンデンサ25へのチャージ量が0になるまで、電力回生または強制放電を行うことが望ましい。この場合、システムは、予備チャージの開始を待つ。
なお、強制放電を行う場合、チャージした電力を放電するため、レーザを発射していないのにも関わらず、電力が消費される。これに対して、電力回生を行う場合、コンデンサ25にチャージした電力を、再び2次電池に電力を戻すため、電力の消費を最小限にとどめることができる。これによって患者が外出先などシステムを充電できない状態であっても、レーザ穿刺を所定の回数で行うことができる。
図17は、電力回生制御部382の動作を説明するためのシーケンス図である。
ここでは、本チャージが完了した後の電力回生制御部382の動作を説明する。なお、本チャージまでの穿刺装置30(特に制御部38)の動作は、図10のステップS8までの処理と同様である。よって、図17に示す処理は、ステップS8(図10参照)におい
て、本チャージが完了した後の処理となり、ステップS8の後、ステップ20では、電力回生制御部382は、患者からが穿刺を行う旨を押しボタン等(入力部29)を介した入力を検知するまで待機する。
この待機時間がある所定時間、例えば1分を越えると、ステップS21では、タイマ282から計時信号が入力される電力回生制御部382は、タイムアウトを検知する。これは、長時間、コンデンサ25において高電圧がチャージされた状態(本チャージ状態)が継続することによって、誤作動によるレーザ発射等の危険性を低減させるためである。
ステップS21において、電力回生制御部382がタイムアウトを検知すると、降圧回路部33を制御して電力回生動作を開始する。
ステップS22では、電力回生制御部382は、コンデンサ電圧測定部27からコンデンサ25の電圧を取得する。なお、これはコンデンサ25の電圧が予備チャージ電圧以下になるのを監視するためである。
さらに、ステップS23では、電力回生制御部382は、電池電圧測定部32から電池22の電圧を取得し、ステップS24では、電力回生制御部382は、回生電流測定部34から回生電流を取得する。
ステップS25では、電力回生制御部382は、接続されている二次電池(例えば、リチウムイオン2次電池)において適切な回生制御(充電制御)になるように、降圧回路部33の制御量を計算する。
ステップS26では、電力回生制御部382は、降圧回路部33に、降圧する電圧の制御量を出力する。これによって降圧回路部33は、適切な電流値と電圧値で電池22を充電できる。
以上のステップ22からステップ26の処理を繰り返すことで電力を回生する。電力回生部はコンデンサの電圧が予備チャージ未満になるとステップ22からステップ26の処理を終了し、待機状態となる。
このように本実施の形態では、コンデンサ25に本チャージが行われて、レーザユニット部26がレーザ発振可能な状態において、所定時間の経過後、コンデンサ25の電力を、レーザ発振レベル以下の電圧である予備チャージ電圧E1まで減少させる。
これによって、例えば、本チャージ後、患者がレーザ穿刺開始の操作を忘れる場合でも、コンデンサ25において高いチャージ電圧が長時間保持された状態を回避することができ、誤作動によるレーザユニット部26からのレーザ発射を防止できる。
(実施の形態3)
図18は、本発明の実施の形態3における高電圧発生回路40を備える穿刺装置400の要部構成を示すブロック図である。
なお、本実施の形態3で説明する高電圧発生回路40は、実施の形態1の高電圧発生回路21と比較して、レーザユニット部26の電源となるコンデンサを複数用いた構成である。
具体的には、高電圧発生回路40は、実施の形態1の高電圧発生回路21で用いた1個のコンデンサ25に替えて、2個(複数)のコンデンサ41、42を用い、これらのコン
デンサ41,42を切り替えて、並列或いは直列に接続させる点で、高電圧発生回路21と相違する。すなわち、高電圧発生回路40は、少なくとも二つ以上接続されたコンデンサ41、42の接続状態を並列接続と直列接続に切替可能なように接続されたメカニカルリレーやトランジスタなどで構成された切替スイッチ43、44と、切替スイッチを切り替える切替部47とを有する。高電圧発生回路40では、その他の点に付いては実施の形態1と略同様であるので、異なる点のみ説明し、同構成要素には同名称、同符号を付して説明は省略する。
高電圧発生回路40の入力は、電池22に接続されており、出力はレーザユニット部26に接続されている。
高電圧発生回路40は、昇圧回路部24と、チャージ電流測定部(以下「電流測定部」という)23と、コンデンサ電圧測定部(以下「電圧測定部」という)27と、入力部29と、表示部39と、コンデンサ41、42と、切替スイッチ43、44と、切替部47と、制御部48とを有する。
図18に示す高電圧発生回路40では、コンデンサ41のプラス側端子が、チャージ電流測定部23を介して昇圧回路24の出力側に接続されており、コンデンサ41のマイナス側端子には切り替えスイッチ43の共通端子43aが接続されている。
切り替えスイッチ43の一方の端子43bは電池22のマイナス側に接続されており、他方の端子43cは切り替えスイッチ44の他方の端子44cに接続されている。
また、コンデンサ42のプラス側端子には、切り替えスイッチ44の一方の端子44bが接続されており、この切り替えスイッチ44の共通端子44aは、コンデンサ42のプラス側端子に接続されている。コンデンサ42のマイナス側端子は電池22のマイナス側に接続されている。
これらコンデンサ41、42の両端はそれぞれレーザユニット部26の両端に接続されている。
ここで、コンデンサ41,42は共に静電容量600μFの同容量のものを用い、切り替えスイッチ43,44は共にIGBTを用いている。なお、IGBT以外にも、メカニカルリレーやFETなどスイッチの状態を電気的に切り替えられるものであればよい。
切替部47は、制御部48、切替スイッチ43、44に接続されている。切替部47は、制御部48から入力される切替信号によって、コンデンサ41、42が直列または並列になるように切替スイッチ43、44を切り替える。
図19は、図18において、切替スイッチ43、44によってコンデンサ41,42を直列に接続した状態を示すブロック図である。
制御部48は、制御部28と略同様の機能に加えて、入力される信号に基づいて、切替部47への切替信号を出力し、コンデンサ41、42を並列接続或いは直列接続する。
図20は、制御部48の構成を示す機能ブロック図である。図19に示すように、制御部48は、切替信号を出力してチャージ電圧を制御する点のみ異なり、その他の構成は、制御部28と同様であり、説明は省略する。
具体的には、チャージ制御部281は、チャージ制御部481と、タイマ282と、学
習回路部284と、記録部286とを有する。
チャージ制御部481は、チャージ電流測定部23、昇圧回路部24、コンデンサ電圧測定部27、入力部29、表示部39、切替部47が接続されている。
チャージ制御部481には、チャージ電流測定部23から昇圧出力電流、コンデンサ電圧測定部27からコンデンサ電圧、入力部29から患者による穿刺開始を示す信号が入力される。また、チャージ制御部481には、タイマ282から時間、学習回路部284から予備チャージのタイミング情報などが入力される。
チャージ制御部481は、各部からの入力に基づいて、昇圧回路部24には、昇圧回路部24の昇圧出力を制御する制御信号、レーザユニット部26には、レーザ発射させるトリガ信号、表示部39には表示情報、切替部47には切替信号をそれぞれ出力する。なお、チャージ制御部481は、学習回路部284に、トリガ信号出力時間を出力して、実施の形態1と同様に、患者の使用時刻に則した予備チャージ開始タイミングを推定させる。
チャージ制御部481は、入力部29からの患者の予備チャージ開始を示す入力、学習回路部284からの予備チャージ開始タイミング、又は、その他、所定の予備チャージ開始のタイミングを示す情報の入力によって、切替部47及び切替スイッチ43、44を用いてコンデンサ41、42を並列にしてコンデンサ41、42を充電する。
一方、チャージ制御部481は、入力部29からの患者のレーザ穿刺開始或いは本チャージ開始を示す信号の入力によって、切替部47に切替信号を出力して、コンデンサ41、42を直列で接続にする。
すなわち、制御部48は、切替部47を制御してコンデンサ41,42を並列に接続した状態において予備チャージを行い、切替部47を制御してコンデンサ41,42を直列に接続することによってフラッシュランプ26bの両端の電圧を発振電圧にする。つまり本実施の形態では、本チャージは、コンデンサ41、42を直列に接続することをいう。また、直列に接続した状態においてトリガ信号を出力し、フラッシュランプ26bを発光させる。このように、制御部48は、本チャージにおいて、コンデンサ41、42を直列接続することで、瞬時に発振電圧まで電圧を高めることが可能である。
以上のように構成された高電圧発生回路40の動作に付いて以下説明する。
図18では、切り替えスイッチ43,44は、共に一方の端子43b、44b側に切り替えられて、コンデンサ41,42を並列接続している。この状態において制御部48(詳細にはチャージ制御部481)は、昇圧回路部24を制御して、コンデンサ41、42に予備チャージを開始する。このときのコンデンサ41、42へのチャージ電流は、例えば、実施の形態1と同様にチャージ制御部481で0.1Aに制御する。そして、電圧測定回路部27でコンデンサ41、42の電圧を測定し、コンデンサ41、42の両端の電圧が200V(レーザ発振レベル以下の電圧である予備チャージ電圧)になった時点で、チャージ制御部481は、昇圧回路部24を制御して、昇圧回路部24からコンデンサ41、42への供給をオフにする。
この場合、コンデンサ41、42の両端の電圧は、最低発振電圧(300V)未満であり、レーザユニット部26が誤ってレーザ光を発射することはなく安全である。また、電池22の内部抵抗による損失も少ない。
次に、患者が入力部29の穿刺ボタンを押下する等して、入力部29から穿刺開始を示
す情報がチャージ制御部481に入力されると、チャージ制御部481は、図19に示すように、切替部47を介して切り替えスイッチ43、44を共に他方の端子43c、44c側に切り替える。即ち、コンデンサ41、42は直列接続され、コンデンサ41、42レーザユニット部26が直列に接続された閉回路を形成する。これにより、コンデンサ41,42の両端の電圧が夫々加算されて、本チャージ電圧(穿刺に十分な穿刺レーザ発振電圧)である400Vの電圧(発振電圧)となる。この電圧がレーザユニット部26のフラッシュランプ26b(図6参照)の両電極に印加される。
この状態において、チャージ制御部481からトリガ信号が出力され、レーザユニット部26におけるトリガ信号入力部26pを介してトリガ回路26hに入力される。この入力により、トリガ回路26hが動作して、フラッシュランプ26bが発光し、光エネルギが放出される。この光エネルギは、Er:YAGをドープしたレーザロッド26c内に入りレーザ光を発射する。
なお、レーザユニット部26による穿刺の完了、或いはタイマ(図20参照)を用いてチャージ制御部481は、予め定められた時間(3秒)の経過により、切替部47を介して、再び切り替えスイッチ43、44を、共に一方の端子43b、44b側に切り替えて、コンデンサ41,42を並列接続する。従って、何らかの原因でレーザユニット部26が動作しなかったとしても、再びコンデンサ41,42両端の電圧は200Vになり、最低発振電圧以下となるので安全である。
このように本実施の形態では、患者の操作による入力部29からの穿刺開始指示が入力される場合において、コンデンサ41、42の接続を切り替えるだけで、コンデンサ41、42への予備チャージ状態及び本チャージ状態を設定できる。つまり、切り替えスイッチ43、44の切り替えだけで、レーザユニット部26が穿刺レーザ発振可能な本チャージ状態となる。よって、本チャージのためのチャージ時間は、切換部47の切換時間、つまりメカニカルスイッチの場合およそ100ms程度、IGBTなら1ms以下であり、コンデンサ41,42への追加チャージは不要となる。従って、実質的には、患者は入力部29における穿刺ボタンのオンと同時に穿刺を行うことができる。また、そのための追加電力も不要となる。
また、予備チャージの後、コンデンサ41,42を充電する本チャージは切換部47の切換時間のみとなり、電池22からの電流供給は予備チャージのみである。従って、電池22の内部抵抗による損失はなくなる。
なお、予備チャージ後、6時間が経過(毎食事後に穿刺すると仮定)すると、約30V自然放電によりチャージ電圧が減少する。この自然放電による損失を補うためにエネルギが必要となるが、本実施の形態では、学習回路部284によって、タイマ282を用いて患者の穿刺時間を時間データとして記録部286に保存し、保存されたデータ(図9に示す過去の統計を示すテーブル参照)を用いて、予想される次回の穿刺時間より少し前の時間を算出している。これにより、この算出された時間になった際に、学習回路部284はチャージ制御部481に予備チャージ開始タイミングを出力して、チャージ制御部481に予備チャージを開始させる。すなわち、穿刺装置400は、予想される穿刺時間の前に自動的に予備チャージを開始する。これにより、コンデンサ41,42における自然放電によるチャージ電圧の損失を減少させることができる。
なお、穿刺装置400において、コンデンサ41、42を直列接続又は並列接続に切り替える切り替えスイッチ43、44によってコンデンサ41、42を並列接続状態にしておけば、高いチャージ電圧が長時間保持された状態を回避することができ、誤作動によるレーザユニット部26からのレーザ発射を防止できる。
また、本実施の形態に係る穿刺装置400の高電圧回路40において、チャージ制御部481により、複数のコンデンサ41、42を充電し、複数のコンデンサ41、42の電圧が所定の閾値(例えば、予備チャージ電圧値)に到達した時点で、コンデンサ41、42の充電を停止してもよい。
また、チャージ制御部481において切替部47を介してコンデンサ41,42を直列に接続する切り替えタイミングは、穿刺装置400の筐体に入力部29の一部として設置された例えば押しボタンを患者が操作したことを検知したタイミングでもよいし、所定の穿刺位置に皮膚があることを検知したタイミングでもよい。さらに、直列に接続する切り替えタイミング直後にレーザユニット部を駆動して穿刺を行ってもよいし、患者からの操作を待ってからレーザユニット部を駆動して穿刺してもよい。
また、コンデンサ41、42を並列に接続した状態にして、これらコンデンサ41、42を充電するタイミングは、穿刺装置400の筐体の開口を開閉する蓋体を取り付け、この蓋体が開いたタイミングであってもよい。また、学習回路部284によって、過去に穿刺を行った時刻に基づいて次に行われる穿刺の時刻を推定したタイミングとしてもよい。
(実施の形態4)
図21は、実施の形態4における穿刺装置50の斜視図であり、実施の形態1で説明した高電圧発生回路21と、電池22と、レーザユニット部26とを備える穿刺装置20の一例としての穿刺装置50である。なお、実施の形態1と同じものに付いては同符号を付して説明を簡略化している。
図21に示す穿刺装置50は、患者が片手で持って操作を行うよう構成されている。この穿刺装置50の筐体51は、内部に穿刺装置20(図示せず)を備えた樹脂等で形成された略直方体形状をなし、一面側(ここでは底面側)で開口する筐体本体51aと、筐体本体51aに支点51cを介して回動自在に取り付けられ、筐体本体51aの開口を開閉する蓋体(保護カバー)51bとを有する。
筐体本体51aの他面(ここでは表面)には、表示部39が配置され、高電圧発生回路21(図3参照)の制御部28からの入力によって、穿刺装置の状態を表示する。ここでは、表示部はLCD等からなる。また、他面には、患者の穿刺開始を入力するための、押しボタン(穿刺ボタンを含む)などで構成された入力部29が配置されている。
筐体本体51aは、蓋体51bにより一側面側(ここでは底面側)が閉塞される。筐体本体51aにおいて閉塞される開口51dの角部に、内部のレーザユニット部26の前側に配置され、レーザユニット部26からのレーザ光が通過する穿刺口52を備える。
穿刺口52は、筐体本体51a内に、筐体本体51aの開口に臨むように設けられ、蓋体51bを開くと外部に露出する。
穿刺装置のレーザユニット部26(図示せず)は、出射口が穿刺口52に向くように、筐体本体51a内に配置されており、これによって穿刺口52にレーザ光を照射する。これにより、筐体本体51aに対して蓋体51bを開くことによって、穿刺口52が、外部に露出し、この穿刺口52を介して患者の皮膚等を穿刺可能となる。
蓋体51bは、筐体51が閉じられた状態で、すなわち支点51cの反対端(基端側を支点51cとした際の先端)が筐体本体51aに接触し、穿刺口52を被覆した状態で停止する。
蓋体51bの開閉は、筐体本体51aにおいて蓋体51bにより閉塞される一方の端部(ここでは下端部)に設けられた蓋開閉検知センサ53により検知される。蓋開閉検知センサ53は、高電圧発生回路21(図3参照)の制御部28に接続(図示省略)され、蓋の開閉状態を検知して制御部28に出力する。なお、蓋開閉検知センサ53は、ここでは、メカ的なスイッチを用いているがこれに限らず、電気的な導通を検知するものであってもよい。また、蓋開閉検知センサ53は、発光ダイオードと受光トランジスタを用いた光学的なセンサであってもよく、磁気的なセンサであってもよい。
なお、本実施の形態の穿刺装置50では、制御部28は、蓋開閉検知センサ53が蓋体51bの開を検知すると、電池22から電力供給を受けて穿刺装置50を起動させて、表示部39にその旨を出力して電源オン状態を表示する。
また、制御部28は、蓋開閉検知センサ53が蓋51bの閉を検知すると、蓋開閉検知センサ53の入力と、予備チャージタイミングの入力とを待機するとともに、タイマ282(図8参照)を起動させた状態の省電力モードとなるように穿刺装置を制御する。なお、ここでは、予備チャージタイミングは学習回路部284(図8参照)から取得する構成とする。
なお、本実施の形態では、学習回路部284からの出力を用いずに、蓋開閉検知センサ53が蓋体52bの開を検知した際に、これに連動して、制御部28が予備チャージを開始するようにしてもよい。これにより、患者が穿刺装置50の蓋体51bを開けるだけで、制御部28によって予備チャージを自動的に開始することができる。これにより、患者は、蓋体51bを開けて、入力部29の穿刺ボタンを押下するだけでレーザ穿刺を行うことができる。
また、本実施の形態において、蓋開閉検知センサ53が蓋体52bの開を検知した際に、これに連動して、制御部28が本チャージを開始するようにしてもよい。この場合、蓋体52bが開く前に、予備チャージを終了しておくことになるが、これは、前回の穿刺直後に、予備チャージを開始したり、学習回路部284(図3参照)からの出力を用いて、予想使用時刻より前に予備チャージを終了したりすることにより実現できる。これにより、蓋体51bを開けるだけで、直ぐにコンデンサ25にレーザ発振電圧が印加されて、穿刺レーザ発振可能状態となる。よって、患者は、穿刺装置50を用いて穿刺する際に、蓋体51bを開けて、穿刺ボタンを押下するだけで短い待機時間で、直ぐにレーザ穿刺を行うことができる。
なお、蓋体51bの開閉を検知する蓋開閉検知センサ53に代えて、穿刺口52周辺の皮膚との当接部分に、皮膚検知センサを設けても良い。この皮膚検知センサを設けて、皮膚の当接を検知し、皮膚当接を示す信号を制御部28(詳細には図8に示すチャージ制御部281)に出力することによって、制御部28が予備チャージの開始を行うようにしてもよい。これにより、穿刺装置50の蓋体51bが開くだけで、予備チャージを自動的に開始させることができる。これにより、患者は、蓋体51bを開けて、入力部29の穿刺ボタンを押下するだけでレーザ穿刺を行うことができる。また、同様に、本チャージの開始を、皮膚検知センサの入力に基づいて行うようにしてもよい。
これにより、患者が皮膚を穿刺位置に位置させるだけで、直ぐにコンデンサ25にレーザ発振電圧が印加されて、穿刺レーザ発振可能状態となり、皮膚を穿刺位置に位置させた患者は、穿刺ボタンを押下して直ぐにレーザ穿刺を行うことができる。
入力部29は、本チャージとレーザ光の発射を指示する穿刺開始信号を制御部28(詳
細には、図8に示すチャージ制御部281)に出力する。制御部28では、各部からの入力に基づいて、本チャージ電圧がコンデンサ25に印加されるまでの時間を算出して表示部39にカウントダウン表示させる。
このように構成された穿刺装置50では、患者は、まず、はじめに蓋体51bを開く。このとき、蓋体51bの開を検知する蓋開閉検知センサ53に連動して、穿刺装置50は省電力モードから起動し、その旨を表示部39に表示する。
その後、指先を穿刺装置50の穿刺口52に押し当てる。この状態で入力部29の押しボタンを押下すると、穿刺装置50は、本チャージ開始し、同時に表示部39に穿刺を行うまでの残り時間を表示する。これにより、患者は穿刺されるタイミングを視認できる。
表示部39に表示されるカウントダウンの終了後、レーザユニット部26(図3参照)からレーザ光が発射され、穿刺口52を通して患者の皮膚に照射される。これによって皮膚はアブレーションによって穿刺され、血液が滲出する。このように穿刺により皮膚から滲出した血液を血液検査装置等に用いることによって、血糖値などが測定される。
穿刺装置50の使用後、蓋体51bを閉じて穿刺動作は終了する。蓋体51bの閉塞によって、穿刺装置50は、省電力モードで動作し、次回の予備チャージに備える。このように穿刺装置50は、電源が切れることはなく、使用時以外も省電力モードによって動作している。そして、制御部28が、予備チャージの開始タイミングを検出すると自動的に予備チャージを開始する。
なお、本実施の形態では、先の穿刺が完了した時点で予備チャージを開始してもよい。これにより患者は、本チャージ開始動作後、直ぐ(2.7秒後)に穿刺することができる。なお、図8に示す学習回路部284から予備チャージ開始タイミングを出力すれば、例えば、予備チャージ後、6時間が経過(毎食事後に穿刺すると仮定)した際の約30V自然放電によるチャージ電圧の損失を少なくできる。即ち、上述したように学習回路部284では、タイマ282等を用いて患者の穿刺時間を時間データとして記録部286に保存し、この保存した過去の統計に基づいて、予想される次回の穿刺時間を算出し、この算出した次回の予想穿刺時間より少し前の時間を予備チャージ開始タイミングとしてチャージ制御部281に出力する構成である。これにより、穿刺装置50では、次回の穿刺時間が近づくと、自動的に予備チャージが開始され、穿刺を行わない時間におけるコンデンサ25に印加されたチャージ電圧の損失を減少させることができる。なお、本実施の形態の穿刺装置50において、高電圧発生回路21に代えて、実施の形態32の高電圧発生回路31或いは実施の形態3の高電圧発生回路40を用いても良い。
(実施の形態5)
図22は、実施の形態5における血液検査装置100の断面図である。なお、実施の形態1〜3と同じ構成要素には同符号を付して説明を省略する。なお、本実施の形態の血液検査装置100は、実施の形態1の高電圧発生回路21において表示部39及び入力部29を除く構成に対応する高電圧発生回路21a(図26参照)を電気回路部103に含むとともに、電池22、レーザユニット部26を有する。なお、高電圧発生回路21の表示部39及び入力部29は、血液検査装置100の筐体101に設けられた表示部57及び入力部49に相当している。
図22に示す血液検査装置100の筐体101は樹脂で形成され、この筐体101の一方101cには穿刺部101aを有する円筒形状の筒体101bが設けられている。この筒体101bの内側には、穿刺部101aに対向してレーザユニット部26が装着されている。また、筒体101bには、負圧路102aで連結された負圧手段102が装着され
ている。筒体101bと筐体101の他方101dとの間には、レーザ穿刺装置26と、負圧手段102に接続された電気回路部103が装着されている。この電気回路部103内には、高電圧発生回路21に相当する高電圧発生回路21aと測定回路部104とが設けられている。更に、筒体101bに隣接して電池22が交換自在に収納されている。
筐体101の他方101dには、入力部49と表示部57が設けられている。入力部49には、電源スイッチ49a(図26参照)、予備チャージボタン49b(図26参照)、本チャージボタン49c(図26参照)、穿刺ボタン49d(図26参照)、レーザパワー調整つまみ49e(図26参照)が設けられている。なお、予備チャージボタン49b、本チャージボタン49cが実施の形態1の高電圧発生回路21における入力部29に対応する。
筒体101bの先端と穿刺部101aとの間にはセンサユニット110が着脱自在に装着される。このセンサユニット110は、ホルダ110aと血液センサ(以下センサという)121とで構成されており、このホルダ110a内にはセンサ121が着脱自在に装着されている。
センサ121に設けられた接続電極131a〜135a、133c(図25A参照)は、筒体101bの先端に設けられたコネクタ146a〜146fを介して電気回路部103に接続されている。
負圧手段102は、負圧により皮膚から血液を吸引する。なお、本実施の形態では、高電圧発生回路21aは、負圧手段102を備えた血液検査装置100に適用しているが、負圧手段102が無い場合(もむだけ、など)の血液検査装置でも適用可能である。この負圧手段102による負圧は、負圧路102aとセンサ121に形成された貫通孔136(図24、図25A参照)を介して、負圧室102bへ導かれる。
図23はセンサユニット110の断面図である。センサユニット110では、ホルダ110a内に、中央に孔110bを有する受け台110cが設けられており、この受け台110cにセンサ121が載置される。そして、このセンサ121は、ホルダ110a内に形成された係止凸部110eで係止される。また、受け台110cの下側には下方に突出するリング状の凸部110fが形成されており、負圧室102bを形成している。
凸部110fには、皮膚への当接を検知する皮膚検知センサ110dが設けられている。この皮膚検知センサ110dの信号は導線でガイド112bに形成された凹部112d内で露出する端子に接続されている。
皮膚検知センサ110dは皮膚9の当接抵抗を検知するものであり、導体電極で構成されている。そして、皮膚検知センサ110dの信号は、複数個の凹部112dを180度離れて2分するように接続されている。これは、この凹部112dに嵌合する凸部112cから得る信号を180度離れた位置から得ることにより、センサユニット110の挿入方向(角度)に関係なく信号を取り出すことを可能にするためである。なお、センサユニット110に形成された凹部112dと筒体101bの外側に形成された凸部112cは逆の関係であっても良い。
図24は、センサ121の断面図である。このセンサ121を構成する基体121aは、基板122と、この基板122の上面に貼り合わされた第1のスペーサ123と、このスペーサ123の上面に貼り合わされたカバー124と、このカバー124の上面に貼り合わされたフィルム125とで構成されており、その形状は略円形状をするとともに板体で形成されている。
基体121aの略中央には、皮膚に当接され、当接された皮膚からの血液を採取する貯留部126が形成されている。貯留部126は、基体121aの下面121bに向かって開口126dし、上面121d側はフィルム125で密封されている。貯留部126は円筒形状をしており、開口126dを形成する開口面からの高さ寸法126bは、円筒形の半径(直径126aの2分の1)126cより大きくしている。従って、十分大きな血液滴を得ることができる。
この貯留部126には、血液の供給路127の一方の端が連結されており、供給路127は、貯留部126に溜められた血液を毛細管現象で供給路127上に形成された検出部128へ導く路である。また、この供給路127の他方の端は、空気孔129に連結されている。ここで、供給路127内は親水性材料を用いている。
検出部128上には試薬130が載置されている。この試薬130は、0.01〜2.0wt%CMC水溶液に、PQQ−GDHを0.1〜5.0U/センサ、フェリシアン化カリウムを10〜200mM、マルチトールを1〜50mM、タウリンを20〜200mM添加して融解させて試薬溶液を調整し、これを基板122に形成された検出部128を形成する検出電極131,133(図25A参照)上に滴下し、乾燥させることで形成したものである。
貯留部126と基体121aの外周との間には、センサ121における負圧路となる貫通孔136が形成されている。なお、この貫通孔136は、ここでは、直径1.500mmとしている。この貫通孔136により形成される負圧路は、カバー124にスリットを設けて、フィルム125側から貯留部126へ連結しても良い。
図25A及び図25Bは、それぞれセンサの透視平面図を示す図である。なお、図25Aにおけるセンサ121は、正六角形をしており、図25Bにおけるセンサ201は、四角形をしている。それぞれ形状は異なるが、両方とも断面構造は図24に示すとおりであり同一である。従って同様の機能を有する。
図25Aは、センサ121の透視平面図である。センサ121の形状は正6角形をしており、その夫々6個の頂部には、血液検査装置100に設けられた筒体101bの先端(図11参照)に設けられたコネクタ146(146a〜146f)に接続される接続電極131a〜135aと、基準電極133cが形成されている。
正六角形状をなすセンサ121の略中央には、貯留部126が設けられている。また、センサ121には、貯留部126に一方の端が接続された供給路127が検出電極132に向かって設けられている。そして、この供給路127の他方の端は空気孔129に連結している。この供給路127上には、貯留部126から順次接続電極134aに接続された検出電極134と、接続電極135aに接続された検出電極135と、再度接続電極134aに接続された検出電極134と、接続電極133a及び基準電極133cに接続された検出電極133と、接続電極131aに接続された検出電極131と、再度接続電極133a及び基準電極133cに接続された検出電極133と、接続電極132aに接続された検出電極132が設けられている。また、検出電極131,133上には、試薬130(図24参照)が載置される。貯留部126と接続電極134aとの間には貫通孔136が設けられている。
本実施の形態におけるセンサ121は、センサ121にレーザ光を透過させるフィルム125が既に装着されているので、レーザ穿刺装置26に装着されたレンズ26cが穿刺時の飛散物で汚れることはない。また、センサ121を交換すると同時にフィルム125
も交換されることになる。従って、フィルム125の交換を意識することなくセンサ121を交換することにより、フィルム125も同時に交換されるので、交換に関しての煩わしさはなく、容易に交換することができる。
更に、開口126d面からフィルム125までの高さ寸法126bは円筒形の半径寸法126cより大きくしているので、貯留部126に十分の大きさの血液滴10aを生成することができる。更にまた、このセンサ121は、フィルム125を別部品として用意する必要が無いので、全体として低価格化が実現できる。更にまた、このセンサ121をホルダ110aに装着してセンサユニット110とすれば、センサ121の厚みは全く目立たないものとなる。
次に、図25Bを用いて、本実施の形態におけるもう一つの例である四角形状のセンサ201について説明する。
図25Bに示すセンサ201は識別電極227aを含む6電極(221a、222a、223a、224a、225a、227a)の構造をしている。このセンサ201の断面形状は、上述した六角形センサ121の場合と同様の断面形状を有し、図24に示すとおりであり、フィルムを有した4層構造である。
センサ201の略中央には、貯留部210が形成され、一方の端には接続電極221a〜225a(図25Aに示す接続電極131a〜135aに相当)と識別電極227a(図25Aに示す基準電極133cに相当)が形成されている。この接続電極221a〜225a及び識別電極227aと前記貯留部210との間に貫通口215(図25Aに示す貫通口136に相当)が形成される。なお、貯留部210に取り込まれた血液は、供給路211による毛細管現象により一気に(定まった流速で)検出部212に取り込まれる。そして、血液の血糖値が測定される。なお、検出部212は、図25Aで示す検出部128と同様の機能を有する。
供給路211(図25Aのセンサ121に示す供給路127に相当)上には、貯留部210から順に、検出電極224、検出電極225、再度、検出電極224、検出電極223、検出電極221、再度、検出電極223、検出電極222が設けられる。また、検出電極221,223上には、試薬130(図24参照)が載置される。検出電極223と識別電極227aとの間に、導電体パターンで形成された識別部227が形成される。なお、供給路211の他方の端は空気孔213に連結され、図25Aで示す供給路127が空気孔129に連結された構成と同様の効果を奏する。
血液検査装置100(図22参照)は、接続電極223aと識別電極227a間の電気的な導通があるか否かを検知して、センサ201がホルダ110aに装着後、筒体101bに装着されたか否かを検知することができる。
また、識別部227の電気抵抗値を変えることにより、使用する検量線の情報を格納したり、製造情報を格納したりすることができる。従って、これらの情報を用いて、より精密な血液検査を行なうことができる。なお、図25Bでは、識別電極227aを有した例を示したが、省略は可能である。
図25Bのセンサ201は長方形の板状体で形成されているが、本発明では、センサ201の形状について限定は無く、センサ201の形状は正方形でも良く、また四角形以外の多角形または半円形状などでもよい。
図26は、本発明の実施の形態5に係る血液検査装置における電気回路部103とその
周辺のブロック図である。本実施の形態における電気回路部103は、主に、高電圧発生回路21に対応する高電圧発生回路21aに加えて、血液の測定回路部104を追加した構成である。従って、同構成には同符号を付して説明は省略し、追加した点を中心に説明する。
電気回路103は、高電圧発生回路21a、測定回路部104に加えて、電池22の電圧・電流を検出する電圧・電流検出部51、システム全体の消費電力を測定する消費電力測定部52、電池残量を測定する電池残量測定部53、メモリ54、穿刺残数算出部55、タイマ58、通信部154及び制御部156を有する。電気回路部103の制御部156には、電源スイッチ49a、予備チャージボタン49b(図3に示す入力部29に相当)、本チャージボタン49c(図3に示す入力部29に相当)、穿刺ボタン49d、レーザパワー調整つまみ49e等の入力部49からの操作情報が入力される。また、制御部156は、穿刺残回数算出部55によって算出した穿刺残数を、LCDからなる表示部57に出力させる。なお、高電圧発生回路21aの代わりに高電圧発生回路31、40において表示部39及び入力部29を除く部分に対応する高電圧発生回路を用いても良い。この場合、高電圧発生回路31、40の表示部39及び入力部29は、血液検査装置100の筐体101に設けられた入力部49、表示部57の構成として含まれる。
図26において、センサ121の接続電極131a〜135a(センサ201における接続電極221a〜225aに相当)、基準電極133c(センサ201における識別電極227aに相当)からの信号は、コネクタ146a〜146fを介して測定回路部104の切換回路150に入力される。センサ121の接続電極131a〜135a、基準電極133cから入力されると、切換回路150の出力は、電流/電圧変換器151の入力に接続されている。そして、その出力はアナログ/デジタル変換器(以後、A/D変換器という)152を介して演算部153の入力に接続されている。この演算部153の出力は、液晶で形成された表示部57と送信部154に接続されている。また、切換回路150は基準電圧源155が接続されている。なお、この基準電圧源155はグランド電位であっても良い。
制御部156は、マイクロコンピュータ等により構成され、穿刺動作及び血液測定動作を含む高電圧発生回路21a及び血液検査装置100全体の制御を行うとともに、穿刺残数算出部55による穿刺残数算出及び穿刺残数表示処理を実行する。制御部156には、入力部49、タイマ58、蓋開閉検知センサ59及び皮膚検知センサ110d(図23参照)から信号が入力される。制御部156は、切換回路150の制御端子、演算部153、高電圧発生回路21a、負圧手段102、穿刺残数算出部55及び通信部154に各制御信号を出力する。
電圧・電流検出部51は、電池22の電圧と電池22から流出する電流を検出し、電圧・電流検出結果を消費電力測定部52と電池残量測定部53に出力する。
消費電力測定部52は、消費電力を一回の検査動作(すなわち負圧、穿刺、測定の一連の動作)における電池22から流出した電流値(A)と電池22の電圧(V)と検査のために要した時間(h)との積で計算する。血液検査動作とは、検査に関わる動作、すなわち、皮膚当接し、負圧、穿刺、測定、結果表示の一連の動作をいう。
消費電力測定部52は、血液成分測定システム全体の消費電力を測定する消費電力測定部であり、レーザ消費電力測定部、負圧手段消費電力測定部及び血液検査回路消費電力測定部から構成される。なお、レーザ消費電力測定部は、1回分の検査(穿刺)動作時におけるレーザ発射装置26の消費電力を測定する。負圧手段消費電力測定部は、1回分の検査(穿刺及び測定)動作時における負圧手段102の消費電力を測定する。血液検査測定
回路消費電力測定部は、測定回路部104の1回分の検査(測定)の消費電力を測定する。
ここで、消費電力測定部52は、血液検査における一連の動作分の消費電力を測定してもよいし、レーザユニット部26、負圧手段102及び測定回路部104それぞれの消費電力の和を求めてもよい。
電池残量測定部53は、残量測定専用ICなどからなり、電池22のバッテリ残量測定を測定する。電池残量測定部53は、無負荷時の電圧値や電流値を積算し、これを電池22の交換時の容量から減算することで電池残量を算出する。
メモリ54は、EEPROMやフラッシュメモリ等の不揮発性メモリなどからなり、穿刺の度に消費電力測定部52で測定された各消費電力データを格納する。本実施の形態では、メモリ54は、使用者の使用状態によって血液検査回数を学習するための、過去の消費電カデータを記憶する。メモリ54は、消費電力測定部52により測定された各測定データを記憶し、血液検査回数算出部55により読み出される。
穿刺残数算出部55は、測定した電池残量を、穿刺1回分の消費電力で除することで穿刺可能残回数を算出する。
レーザユニット部26と負圧手段102による消費電力が支配的であり、表示部57や電気回路部103などのシステムで消費される電力は無視することもできる。しかし、算出精度の向上のためには、レーザユニット部26及び負圧手段102の消費電力に加え、システムで消費される電力も含むことが好ましい。また、穿刺残数算出部55は、メモリ54に格納された過去の消費電力の平均値を基に、穿刺残数を算出する態様でもよい。メモリ54に格納された過去の消費電力の平均値を用いれば算出精度を向上させることが可能となる。
測定回路部104は、血液成分を測定検査する血液成分測定部であり、基準電圧源155、切換回路150、電流/電圧変換器151、A/D変換器152、及び演算部153から構成される。切換回路150の出力は、電流/電圧変換器151の入力に接続され、電流/電圧変換器151の出力は、A/D変換器152を介して、演算部153の入力に接続される。演算部153の出力は、通信部154及び表示部260に接続される。また、切換回路150には基準電圧源155が接続されている。基準電圧源155はグランド電位であってもよい。
タイマ58は、皮膚の盛り上がりに要する時間を経時する。高電圧チャージと皮膚の盛り上がり時間は、夫々異なる経時であってもよい。
表示部57は、LCD及び表示ドライバ回路等からなり、穿刺残数を含む穿刺情報を表示する。表示部57は、血液検査回数が所定以下のとき、その旨を報知・警告する報知手段としての機能を有する。例えば、表示部57は、血液検査回数が所定以下のとき、警告が目立つ赤色表示とする。また、表示の際、警告を目立たせる効果(警告マーク、点滅など)を表示する。
以下、上述のように構成された血液検査装置100の動作について説明する。
まず、電気回路部103の測定動作を説明する。
まず、切換回路150を切り換えて、血液成分量を測定するための作用極となる検出電
極を、決定されたコネクタを介して電流/電圧変換器151に接続する。また、血液の流入を検知するための検知極となる検出電極を、決定されたコネクタを介して基準電圧源155に接続する。
そして、作用極となる検出電極と検知極となる検出電極との間に、一定の電圧を印加する。この状態で、血液が検出部に流入すると、2つの検出電極間に電流が流れる。この電流は、電流/電圧変換器151によって電圧に変換され、その電圧値はA/D変換器152によってデジタル値に変換される。このデジタル値は、演算部153に出力される。演算部153は、そのデジタル値に基づいて、血液が十分に流入したことを検出する。
あらかじめ定められた時間が経過しても、検出部で血液が検出されない場合や、血液の量が適正でない場合は、警報手段を働かせて警報するとともに処置の内容を表示部57に表示してもよい。
次に、血液成分であるグルコースの測定が行われる。グルコース成分量の測定は、まず制御部156の指令により切換回路150を切り換えて、グルコース成分量の測定のための作用極となる検出電極を、コネクタを介して電流/電圧変換器151に接続する。また、グルコース成分量の測定のための対極となる検出電極を、コネクタを介して基準電圧源155に接続する。
例えば、血液中のグルコースとその酸化還元酵素とを一定時間反応させる間は、電流/電圧変換器151及び基準電圧源155をオフにしておく。そして、一定時間(1〜10秒)の経過後に、制御部156の指令により、作用極となる検出電極と前記対極となる検出電極との間に、一定の電圧(0.2〜0.5V)を印加する。そして、2つの検出電極間に流れた電流を、電流/電圧変換器151によって電圧に変換する。この電圧値は、A/D変換器152によってデジタル値に変換される。このデジタル値は、演算部153に出力される。演算部153は、そのデジタル値に基づいて、グルコース成分量を求める。
グルコース成分量の測定後に、Hct値の測定が行われる。まず、制御部156からの指令により切換回路150切り換える。Hct値の測定のための作用極となる検出電極を、コネクタを介して電流/電圧変換器151に接続する。また、Hct値の測定のための対極となる検出電極を、コネクタを介して基準電圧源155に接続する。
次に、制御部156の指令により、作用極となる検出電極と対極となる検出電極との間に一定の電圧(2V〜3V)を印加する。2つの検出電極間に流れる電流は、電流/電圧変換器151によって電圧に変換される。この電圧値は、A/D変換器152によってデジタル値に変換される。このデジタル値は、演算部153に出力される。演算部153は、そのデジタル値に基づいて、Hct値を求める。
得られたHct値とグルコース成分量を用いて、あらかじめ求めておいた検量線又は検量線テーブルを参照して、グルコース成分量をHct値で補正する。補正された結果は表示部57に表示される。
また、補正された結果は、通信部154からインスリンを注射する注射装置に向けて送信されてもよい。電波を用いて送信してもよいが、医療器具への妨害のない光通信で送信することが好ましい。注射装置に送信された測定データに基づいて、インスリンの投与量を注射装置が自動的に設定できるようにすれば、投与するインスリン量を患者自身が注射装置に設定する必要がなくなり、煩わしさが軽減される。また、人為手段を介さずにインスリン量を注射装置に設定することができるので、設定ミスが防止される。
次に、図27を用いて血液検査装置100の検査方法を説明する。先ずステップS161では、予備チャージボタン49bの押下を待つ。この予備チャージボタン49bがオンされると、ステップS162へ移行し予備チャージの完了を待つ。なお、予備チャージは高電圧発生回路21aにより行う。
予備チャージが完了すると表示部57に予備チャージの完了と穿刺部101aを皮膚9に当接を促す表示を行う。患者はこの表示に従って、血液検査装置100の穿刺部101aを患者の皮膚9に当接させる。この皮膚9への当接検知は皮膚検知センサ110dの出力で行う。皮膚9への当接が確認されたらステップS164に移行し、負圧手段102を動作させて穿刺部101aに設けられた負圧室102b内に負圧を加える。負圧を加えることにより皮膚9は盛り上がる。
負圧手段102の動作に伴う電流の変化或いはタイマ58により予め定められた時間が経過すると、穿刺に充分な皮膚9が盛り上がったと判断し、ステップS165に移行する。ステップS165では、皮膚検知センサ110dの出力があることを条件(論理積条件)に、表示部57に穿刺可である旨の表示をする。そして、ステップS166に移行し、穿刺ボタン49dの押下を待つ。この穿刺ボタン49dが押下されると、この穿刺ボタン49dの押下信号は高電圧発生回路21aに入力され、ステップS167へ移行する。なお、この場合も皮膚検知センサ110dの出力があることが条件である。これは、血液検査装置100の穿刺部101aが、皮膚9に当接していないにもかかわらず、誤ってレーザ光を発射させないためである。
ステップS167では、ステップS165で行った表示をオフする。そして、ステップS168へ移行する。ステップS168では皮膚9の穿刺により、滲出した血液がセンサ121の貯留部126に取り込まれる。この貯留部126に取り込まれた血液は、供給路127による毛細管現象により一気に(定まった流速で)検出部128に取り込まれる。そして、血液の血糖値が測定される。
ステップS168で血糖値が測定されたら、ステップS169に移行し、負圧手段102をオフする。そして、ステップS170に移行する。ステップS170では、測定した血糖値を表示部57に表示する。なお、負圧手段102のオフは、血液が検出電極142へ到達した時点でオフにしても良い。
ステップS170において測定結果の表示をした後、ステップS171に移行し、穿刺日と穿刺時間をメモリ54に格納する。これは、穿刺時間の管理をするとともに、この穿刺時間の統計的処理を行い、穿刺時間が近づいたら予備チャージの実施と忘穿刺を予防するために患者へ告知するためである。
なお、本実施の形態においては、先の穿刺が完了した時点で予備チャージを開始しておけばユーザはチャージ開始動作後、直ぐ(2.7秒後)に穿刺することができる。
なお、予備チャージ後、6時間が経過(毎食事後に穿刺すると仮定)すると、約30V自然放電によりチャージ電圧が減少する。この自然放電による損失を補うためにエネルギが必要となる。この損失を少なくするために、例えば学習機能を持たせることもできる。即ち、タイマ等を用いて患者の穿刺時間を時間データとして保存し、それを基に予想される次回の穿刺時間の少し前(過去の統計で算出)に自動的に予備チャージを開始する。このことにより、予備チャージの効果により損失を減少させることができる。
また、本実施の形態の血液検査装置100では、予備チャージボタン49bの押下により予備チャージを開始する構成としたが、これに限らず、予備チャージは、蓋開閉検知センサ59または皮膚検知センサ110d(図23参照)を用いて開始するようにしてもよ
い。
例えば、蓋開閉検知センサ59が蓋体52bの開を検知した際、或いは、皮膚検知10dが皮膚の当接を検知した際、検知結果が入力されるタイミングで、制御部156を介して高電圧発生回路21aにおいて予備チャージを開始する。これにより、患者が穿刺装置50の蓋体51bを開けたり或いは、指を穿刺位置に配置したりするだけで、高電圧発生回路21aにおける予備チャージを自動的に開始することができる。これにより、患者は、蓋体51bを開けたり、或いは、指を穿刺位置に配置したりするだけで、入力部29の穿刺ボタンを押下するだけでレーザ穿刺を行うことができる。
また、本チャージの開始タイミングを、蓋開閉検知センサ59(図23参照)が蓋体の開を検知した際、これに連動して、制御部28が本チャージを開始するようにしてもよい。これら場合、蓋体が開く前又は、穿刺位置に指が配置される前に、予備チャージを終了しておくことになるが、前回の穿刺直後に、予備チャージを開始したり、学習回路部284(図3参照)からの出力を用いて、予想使用時刻より前に予備チャージを終了したりすることにより実現する。
よって、蓋を開けたり、或いは穿刺位置に指を位置させるだけで、直ぐにコンデンサ25にレーザ発振電圧が印加されて、穿刺レーザ発振可能状態にすることができる。これにより、患者は、蓋体を開けたり、或いは、指を穿刺位置に位置させた後、穿刺ボタンを押下するだけで、待機することなく、直ぐにレーザ穿刺を行うことができる。
なお、本実施の形態の血液検査装置100は、実施の形態1の高電圧発生回路21を用いて説明したが、高電圧発生回路21に代えて、高電圧発生回路21a、31、40を適用してもよいことは勿論である。
2007年10月11日出願の特願2007−265175及び2007年10月11日出願の特願2007−265176の日本出願に含まれる明細書、図面及び要約書の開示内容は、すべて本願に援用される。
本発明にかかる高電圧発生回路は、レーザ穿刺用の電圧を、少ない電力損失で、且つ、短時間にレーザ発振レベルまで昇圧できる効果を有し、レーザ穿刺装置を用いた穿刺装置や血液検査装置等に有用である。
従来の高電圧発生回路とその周辺のブロック図
同、特性図
本発明の実施の形態1における高電圧発生回路を備える穿刺装置の要部構成を示すブロック図
昇圧回路部の構成の一例を示すブロック図
図4に示すパルス発生器から出力されるパルス波形を示す図同、動作概略説明図
レーザユニット部のブロック図
本発明の実施の形態1に係る高電圧発生回路の動作を説明するための動作タイミング図
制御部の構成を示す機能ブロック図
記録部に記録される患者の使用回数を記録したテーブルの一例を示す図
学習機能による予備チャージ開始を行う場合の制御を説明するシーケンス図
予備チャージ後、患者の操作によって穿刺する場合における高電圧発生回路の動作を説明するための動作タイミング図
本発明の実施の形態2における高電圧発生回路を備える穿刺装置の要部構成を示すブロック図
降圧回路部の構成の一例を示すブロック図
図13に示すパルス発生器から出力されるパルス波形を示す図
制御部の構成を示す機能ブロック図
本発明の実施の形態2に係る高電圧発生回路の動作を説明するための動作タイミング図
電力回生制御部の動作を説明するためのシーケンス図
本発明の実施の形態3における高電圧発生回路を備える穿刺装置の要部構成を示すブロック図
図18に示す穿刺装置において、切替スイッチによってコンデンサを直列に接続した状態を示すブロック図
制御部の構成を示す機能ブロック図
実施の形態4における穿刺装置の斜視図
実施の形態5における血液検査装置の断面図
センサユニットの断面図
センサの断面図
センサの透視平面図
センサの透視平面図
本発明の実施の形態5に係る血液検査装置における電気回路部とその周辺のブロック図
同血液検査装置の検査方法を説明するためのフローチャート