JPWO2009028282A1 - 新規ナノ粒子発光体 - Google Patents

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Abstract

本発明は、発光する半導体ナノ粒子の表面処理において、従来避け難かった格子定数や立体障害による表面状態の不完全さを減少させることを課題とした。この課題を解決することにより、発光効率の増大、発光スペクトル幅の減少、化学的耐久性の増大を実現し、優れた発光材料を提供する。平均粒径が2ナノメートル以上かつ12ナノメートル以下でありバンドギャップが3.8エレクトロンボルト以下の半導体ナノ粒子が、ケイ素を含む層で被覆された発光材料であって、該発光材料中の半導体ナノ粒子の発光波長のピークが、半導体ナノ粒子単独が示す発光波長のピークよりも20ナノメートル以上長波長側に位置することを特徴とする発光材料。

Description

本発明は、半導体ナノ粒子の表面を被覆(不活性化)して作製される発光材料に関するものである。
発光材料は今日、照明、表示材料、各種検出装置用の3つの用途に広く使われ、我々の日常生活を支えている。この発光材料には、遷移元素イオン(遷移金属イオンや希土類イオン)を分散させた無機マトリックスなどからなる蛍光体の他に、有機分子がある。有機分子については、近年はエレクトロルミネッセンスへの応用が進んでおり、また、バイオ用の蛍光試薬としての用途もある。
一方でこの10年ほどの間で、溶液法によって作製した半導体ナノ粒子が高効率の発光を示すことが見出され、遷移元素イオン、有機分子に替わる第三の蛍光体として注目されている。このナノ粒子としては、セレン化カドミウム、テルル化カドミウム、セレン化亜鉛等のII-VI族化合物が代表的なものであり、他に硫化鉛、セレン化鉛やIII-V族のインジウムリンなどが知られている。これらは直径2から12ナノメートル程度の大きさで、発光の減衰時間が短く、また粒径によって発光波長が制御できるという特徴がある。なお、完全な球形でない場合、たとえばラグビーボール型(対称軸方向に長い回転楕円体)や、パンケーキ型(偏平な回転楕円体)の場合は、本願明細書では3つの軸の長さの平均を直径とみなす。
このような半導体ナノ粒子は、粒径が小さいために表面の割合が大きい。表面には、通常、多数の欠陥(活性点)があって無輻射失活の原因となるので、ナノ粒子のように粒径が小さい場合は特に、何らかの方法でこれを不活性化することが高い発光効率を得るためには必須となる。この不活性化には、大きく2つの方法が知られている。1つは、硫化亜鉛などのバンドギャップの大きい別の半導体で表面を覆うことであり、もう一つはチオールなどの硫黄を含む有機界面活性剤を表面に結合させることである。代表的な例として、前者は有機溶液法でセレン化カドミウムナノ粒子を作る場合、後者は水溶液法でテルル化カドミウムナノ粒子を作る場合が挙げられる。しかしながら、別の半導体で表面を覆う場合には、格子定数の違いから平均して1ないし2モノレイヤーを積層したときに最も高い発光効率が得られる。(ここで1モノレーヤーとは、積層方向に垂直な格子面の間隔1つ分のことである)また、有機界面活性剤で覆う場合には、立体障害のため表面の欠陥を全部、チオール分子で覆うことは出来ない。これが表面の不活性化を完全に行えない要因になっていると推定される。いずれの場合も溶液法で作られるのでそのままでは扱いにくく、工業的な応用のためには適切なマトリックス中に固定する必要がある。
一方で、ナノ粒子の溶液中での合成の際の理論的な検討(非特許文献1)から定量的に明らかになったことは、ナノ粒子はまわりの溶液と平衡状態にあり、常に構成原子が溶け出して粒径が小さくなったり、周りから構成原子を取り込んで成長したりしていると言うことである。これは、溶液がゲル状や固体のマトリックスに変わっても、程度の差があるだけで同じように起きている。ナノ粒子が時間と共に溶解する場合も成長する場合も、表面の状態が荒れるので欠陥が増え、結果として発光効率が低下する。オストワルドの法則として知られる粒成長の理論により、大きなナノ粒子はさらに成長し、小さいものは溶解する。成長するナノ粒子と溶解するナノ粒子の境目の大きさのナノ粒子は大きさが変わらず、このために表面が滑らかで欠陥が少なくなるために発光効率が高い(非特許文献2)。作製後のナノ粒子の発光効率を保つためにも、表面を滑らかに保って欠陥を少なくすることが大切である。
次にマトリックスとなりうる種々の物質を考えると、ガラスは透明性、耐化学薬品性、機械的特性、耐熱性などから見て理想的である。このため、我々はナノ粒子をガラスマトリックスに分散させる研究を続けてきた。その結果、合成中のナノ粒子の溶解や成長を防ぎ、発光効率を保つためには、以下の2点が重要であることを見出した。
1.ナノ粒子は常にその構成原子を溶液やマトリックスとの間でやり取りしているから、ガラスの原料となる金属アルコキシドに構成原子のカドミウムイオンなどを予め適量、添加して、ナノ粒子の溶解や成長を防ぐ。
2.さらに、ナノ粒子の表面劣化を抑えるために、加水分解と脱水縮合が進行してゲル液がある粘度(例えば500 mPa s)以上になってからナノ粒子を加え、固化までの時間を出来るだけ短くする。
このようにすることで、始めの発光効率を保ったままナノ粒子をガラス中に保持することに成功した。そして板状のガラス(特許文献1、非特許文献3)、薄膜(特許文献2、非特許文献4)、微小ガラスビーズ(特許文献3、4、非特許文献5)の3つの形態のものの作製に成功した。
冒頭に説明した蛍光体の3つの用途のうち、半導体ナノ粒子は各種検出装置用、特にバイオ関係の蛍光試薬用としての応用が始まっている。ここでは、ナノ粒子に抗体を取り付け、体液など様々な溶液中に分散させて使用する。このときたとえナノ粒子を他の物質で覆っても、溶液が滲みこみ、ナノ粒子の表面に影響を与えて発光効率の低下を招く。
このように、表面を不活性化するためには現状ではナノ粒子の表面に格子定数の違う別の半導体をコートする必要があるが、先に説明したように格子定数の違いや立体障害のために完全な不活性化は困難である。さらにはこのように不活性化したナノ粒子をそのまま、或いはマトリックス中に安定化させた後に溶液中に分散させた場合には、表面の溶解が進んで発光効率が低下する。現状の蛍光性ナノ粒子にはこのように大きく2つの問題点(表面の不活性化が不完全であること、溶液に溶解すること)があった。
国際公開第2004/000971号パンフレット 国際公開第2006/095633号パンフレット 特許第3677538号 国際公開第2006/318748号パンフレット タラピンら、ジャーナル オブ フィジカル ケミストリー、ビー、105巻、2260ページ、2001年。 タラピンら、ジャーナル オブ アメリカン ケミカル ソサイエティー、124巻、5782ページ、2002年。 リら、ラングミューア、20巻、1ページ、2004年。 ヤンら、ラングミューア、21巻、8913ページ、2005年。 ヤンら、日本セラミックス協会 第18回秋季シンポジウム、1C05(予稿集200ページ)、2005年9月。
本発明の目的は、表面層の格子定数の違いや立体障害が影響を与えないような表面不活性化法により、高い発光効率を示し、発光効率の劣化がほとんどない半導体ナノ粒子を含む発光材料及びその製造方法を提供することである。
本発明者らは、鋭意研究を重ねた結果、半導体ナノ粒子を透明層(特に、ケイ素を含むガラス層)で覆った後で加熱することで、上記の課題を克服した発光材料が作製できることを見出した。さらに、発光波長の簡便な調整も可能になった。
また、透明層に半導体ナノ粒子の原料となる各種の金属元素が多く含まれているとこの効果が顕著であることを見いだした。このメカニズムについては、以下のように考えている。
まず半導体ナノ粒子の性質を簡単に説明する。半導体ナノ粒子とは、通常、大きさ(直径)2から10ナノメートルくらいのものをさす。鉛などを含む場合には、これより少し大きく12ナノメートル程度までのものを含める。図1には、この粒径とバンドギャップ(電子とホールの1s−1s軌道エネルギーの差)の関係を示した。ナノ粒子と呼ばれる大きさの範囲では、粒径が大きくなるほどバンドギャップは狭くなる。このとき、構成原子の数は数百から数千個であるから、表面に配置された原子の数の割合は、数10%に達する。
このようなナノ粒子は、背景技術で説明したように構成元素を溶液中で加熱攪拌して粒成長させることで合成することができる。このナノ粒子のバンドギャップは光吸収が起きる波長から判別することができ、3.8エレクトロンボルト(波長約326ナノメートル)以下であれば、可視光から赤外光にかけての強い発光が得られるので都合が良い。この分野で通常用いられるII-VI族半導体は、全てこの範囲に含まれる。
なお、波長λ(単位ナノメートル)とエネルギーE(単位エレクトロンボルト)との関係は、次式のようである。
Figure 2009028282
本願明細書における半導体ナノ粒子の発光効率は、吸収された光子(フォトン)数(ΦA)に対するフォトルミネッセンスとして発光される光子(フォトン)数(ΦPL)の比率(ΦPL/ΦA)として定義される。この発光効率は、当該技術分野において標準的に用いられる値であり、「内部量子収率」と同義である。本願明細書が対象とする材料は、散乱が無視できる程度にまで溶液に単分散させることができる。このため、発光効率は溶液状態で測定できる。この場合の発光効率は、発光効率が既知の色素分子を用いて、該色素分子溶液と測定対象物における励起光波長での吸光度と発光強度とを比較することにより算出される。測定時には、通常は色素分子溶液と測定対象物の励起波長での吸光度を一致させて比較する。(例えば、既報の方法、ドーソンら、ジャーナル オブ フィジカル ケミストリー、72巻、3251ページ(1968年)を参照)。誤差を少なくするために、励起光波長での吸光度を0.05程度とすることが多い。色素としては、キニーネの0.1規定硫酸溶液を用いることができる。なお、粉体等の散乱が著しい場合においては、積分球を用いた測定を行えばよい。このときの測定法は、例えば大久保、重田、ジャーナル オブ ザ イルミネーティング エンジニアリング インスティチュート オブ ジャパンの第83巻、87ページ(1999年)に記載されている。
本発明では、ナノ粒子の周りに透明層を形成する。透明層を形成する物質としては、半導体ナノ粒子よりもバンドギャップが広いものを選択するのが有利であり、バンドギャップ3.8エレクトロンボルト以上で可視光の吸収のないものが好ましい。これには、ガラス、高分子などの非晶質が例示される。また、加熱過程で膨潤などが起こらないためには、ケイ素を含む透明ガラス層がより好ましい。
次に、これを加熱すると、発光波長の赤色側へのシフト、発光効率の増大、発光スペクトル幅の狭帯化などの現象が観察された。加熱に伴う発光波長の赤色側シフトは、上記したように公知の場合の加熱でも観察される。本発明のように透明層でコートしてから加熱した場合は、透明層中での物質の拡散は溶液中よりも小さくなるので、粒成長の速度も遅いはずである。しかしながら、実際には発光の赤色シフトの速度は通常の加熱攪拌の100倍程度に速い。さらに、発光効率の増大の程度が通常の加熱還流より大きく、また、半値幅の減少は通常の加熱還流では見られないものである。さらに、攪拌に伴って、ナノ粒子が示すよりも短波長側の吸収が増加することが光吸収スペクトルから観察された。
ここで同じ分子で構成されている半導体の粒子の大きさを、徐々に小さくしていったと考える。このとき、十分にサイズが大きいバルク体と比較すると、バンドギャップが広がって光吸収を開始する波長が短波長側にシフトする。このような小さい粒子については、平尾一之編、化学フロンティア7、ナノマテリアル最前線(化学同人、2002年発行)の23章 ナノ発行材料(村瀬至生)に書かれているように、粒子の大きさが直径2−10ナノメートル程度の場合をナノ粒子と呼び、それより小さくて分子より大きな範囲のもの(直径0.2−2ナノメートル程度)をクラスターと呼ぶ。クラスターの典型的な大きさとしては、1ナノメートル程度とされている。同様に、物理学辞典、三訂版(培風館、2005年)では、複数個の原子、分子が凝集してできる集合体と定義されている。本願明細書で観察された短波長側の吸収の増大も、加熱に伴うこのような半導体クラスターの成長によるものと解釈される。半導体クラスターの大きさの下限は、1個の分子の大きさに依存する。本願明細書で対象とする化合物半導体の場合、カドミウムやテルルのような重原子を含むので、大きさの下限は0.5ナノメートルの程度である。
加熱に伴う発光波長のレッドシフトや発光効率の増大などの現象の考えられるメカニズムに関して、模式図を用いて説明すると以下のようになる。
バルク体(十分に大きなサイズ)で赤色から赤外領域の波長に相当するバンドギャップを持つ半導体を粒径の小さいナノ粒子にすると、図1での説明のように量子サイズ効果によって緑色の発光を示す。このナノ粒子を透明層で覆った状態(図2の左側)では、同様に緑色の発光を示す。しかしながら、これを加熱すると、図2の右側に示したように発光波長が赤色側にシフトする。このとき、透明層中にはクラスターが成長していると考えられる。
半導体が光を吸収すると励起子が形成される。励起子は電子と正孔からなっている。ナノ粒子とクラスターとの距離が近い場合には、電子はナノ粒子とクラスターの間をトンネル効果によって移動して分布する。このように電子の分布が広がることで、粒径が大きくなったのと同じ効果が現れてバンドギャップが狭まり、赤色側シフトが起きると考えられる。また、クラスターが大きくなると、それに伴って電子の分布範囲が広がってさらに赤色側にシフトする。加熱に伴う発光波長の赤色側へのシフトは、このようなクラスター成長の過程を反映したものとして解釈できる。
また、ナノ粒子の表面は、さまざまな原因で不均一になっている。この表面に不活性化のために直接、他の原子の層を付けると、格子定数のミスマッチなどが原因でさらに不均一性が増大する傾向にある。一方、一定の距離を保ってクラスターで覆われていれば、表面の状態が均一化されて半値幅が減少し、発光効率が増大すると考えられる。
さらに半導体ナノ粒子は、各種元素が分散した透明層に覆われているために溶け出しにくく、さらにケイ素を含むマトリックスの場合には、網目構造が加熱によって比較的発達している。このため、イオンが多量に分散した水溶液に入れても劣化しにくい。これらの利点を確認し、本発明を完成するに至った。
本発明は、以下の半導体ナノ粒子を含む発光材料、及びその製造方法を提供する。
項1 平均粒径が2ナノメートル以上かつ12ナノメートル以下でありバンドギャップが3.8エレクトロンボルト以下の半導体ナノ粒子が、ケイ素を含む層で被覆された発光材料であって、該発光材料中の半導体ナノ粒子の発光波長のピークが、半導体ナノ粒子単独が示す発光波長のピークよりも20ナノメートル以上長波長側に位置することを特徴とする発光材料。
項2 前記ケイ素を含む層が、該半導体ナノ粒子を構成する成分を含有する直径0.5ナノメートル以上2ナノメートル以下のクラスターを濃度0.01モル/リットル以上含有することを特徴とする項1に記載の発光材料。
項3 前記発光材料中の半導体ナノ粒子の発光スペクトルの半値幅が、半導体ナノ粒子単独が示す発光スペクトルの半値幅よりも10%以上狭いことを特徴とする項1又は2に記載の発光材料。
項4 前記発光材料中の半導体ナノ粒子のフォトルミネッセンスの発光効率η及び半導体ナノ粒子が単独で示すフォトルミネッセンスの発光効率ηの関係がη≧1.3×ηであることを特徴とする項1又は2に記載の発光材料。
項5 前記ケイ素を含む層が、該半導体ナノ粒子表面にケイ素アルコキシドを用いたゾルゲル法により被覆層を形成し、これを加熱処理して得られるガラス層であることを特徴とする項1又は2に記載の発光材料。
項6 前記ケイ素を含む層が、半導体ナノ粒子分散液にケイ素アルコキシドを加えてゾルゲル法により半導体ナノ粒子表面に被覆層を形成し、これを加熱処理して得られる層である項1又は2に記載の発光材料。
項7 フォトルミネッセンスの発光効率が20%以上であることを特徴とする項1から6のいずれかに記載の発光材料。
項8 フォトルミネッセンスの発光効率が70%以上であることを特徴とする項1から7のいずれかに記載の発光材料。
項9 前記半導体ナノ粒子がII−VI族の半導体であることを特徴とする項1から8のいずれかに記載の発光材料。
項10 前記半導体ナノ粒子がIII−V族の半導体であることを特徴とする項1から8のいずれかに記載の発光材料。
項11 前記半導体ナノ粒子が、亜鉛、カドミウム、水銀、硫黄、セレン、テルル、アルミニウム、ガリウム、インジウム、リン、ヒ素、アンチモン、及び鉛からなる群より選ばれる少なくとも1種を含むことを特徴とする項1から8に記載の発光材料。
項12 前記項1〜11のいずれかに記載の発光材料を少なくとも2個以上含有する直径20ナノメートル以上2マイクロメートル以下のガラス球。
項13 前記項1〜11のいずれかに記載の発光材料を含む発光デバイス。
項14 前記項1〜11のいずれかに記載の発光材料を含むバイオ用蛍光体。
項15 半導体ナノ粒子がケイ素を含む層で被覆された発光材料の製造方法であって、
(1)平均粒径が2ナノメートル以上かつ12ナノメートル以下でありバンドギャップが3.8エレクトロンボルト以下の半導体ナノ粒子にケイ素アルコキシドを用いたゾルゲル法により被覆層を形成する工程、及び
(2)該被覆層が形成された半導体ナノ粒子を加熱処理する工程を含むことを特徴とする製造方法。
本発明の発光材料は、半導体ナノ粒子を透明なガラス層で被覆して表面を不活性化したのち加熱処理することにより得られる。そのため、加熱処理していない発光材料に比べて、発光効率が高く、発光スペクトル幅が狭く、また化学的耐久性が高い。このため、より実用に適した発光材料となる。また、従来の半導体ナノ粒子の粒径を変える方法に拠らずに発光スペクトルを赤色側にシフトさせることが可能になった。
以下、本発明について詳細に説明する。
I.発光材料
本発明の発光材料は、平均粒径が2ナノメートル以上かつ12ナノメートル以下でありバンドギャップが3.8エレクトロンボルト以下の半導体ナノ粒子を核として、その表面が透明層(特に、ケイ素を含むガラス層)で被覆された構造を有している。
半導体ナノ粒子の作製
本発明の半導体ナノ粒子としては、水分散性を有する蛍光性半導体ナノ粒子が好適に用いられる。具体的には直接遷移を示すII-VI族やIII-V族の化合物半導体であって、可視領域で発光するものが挙げられる。該半導体ナノ粒子としては、例えば、亜鉛、カドミウム、水銀、硫黄、セレン、テルル、アルミニウム、ガリウム、インジウム、リン、ヒ素、アンチモン、及び鉛からなる群より選ばれる少なくとも1種の元素を含むものが例示される。具体的には、例えば、硫化カドミウム、セレン化亜鉛、セレン化カドミウム、テルル化亜鉛、テルル化カドミウムなどが挙げられ、好ましくはテルル化カドミウム又はセレン化亜鉛である。他に硫化鉛、セレン化鉛や、III-V族のインジウムリン、ガリウムヒ素およびそれらの混合物が例示される。好ましくは、セレン化亜鉛、テルル化カドミウムが挙げられる。
これらの半導体は全て、バンドギャップが室温で3.8エレクトロンボルト未満である。
半導体ナノ粒子は、リら、ケミストリー レターズ、34巻、92ページ(2005年)に従って或いは準じて製造することが出来る。
具体的には、II族元素を含む水溶性化合物及び界面活性剤を溶解したアルカリ性水溶液中に、不活性雰囲気下においてVI族元素化合物を導入することによって、II-VI族半導体を得ることができる。VI族元素化合物は、気体状のものを用いることもできる。
II族元素を含む水溶性化合物としては、過塩素酸塩が好ましく、例えば、II族元素がカドミウムである場合には、過塩素酸カドミウムを用いることができる。水溶液中のII族元素を含む水溶性化合物の濃度は、通常、0.001〜0.05モル/リットル程度、さらに0.01〜0.02モル/リットル程度、特に0.013〜0.018モル/リットル程度とすることが好ましい。
界面活性剤としては、疎水基であるチオール基と親水基を有するものが好ましい。親水基としては、カルボキシル基などのアニオン性基、アミノ基などのカチオン性基、水酸基などを例示できるが、特に、カルボキシル基などのアニオン性基が好ましい。この界面活性剤の具体例としては、チオグリコール酸(TGA)、チオグリセロール、メルカプトエチルアミン等を例示できる。界面活性剤の使用量は、水溶液中に含まれるII族元素イオン1モルに対して、通常1〜2.5モル程度、好ましくは1〜1.5モル程度とする。界面活性剤の使用量が上記範囲を上回るかもしくは下回ると、得られるナノ粒子の発光効率が低下する傾向がある。
VI族元素化合物としては、例えば、VI族元素の水素化物などを用いることができ、VI族元素がテルルである場合には、テルル化水素を用いることができる。その他、テルル化水素を水酸化ナトリウムと反応させて得られるテルル化水素ナトリウムを水溶液として導入することも可能である。VI族元素化合物の使用量は、通常、II族イオン1モルに対して、VI族イオンが0.3〜1.5モル程度であればよく、さらに0.4〜0.9モル程度とすることが好ましい。
半導体ナノ粒子の製造に用いる水は高純度の水を用いることが好ましい。特に、比抵抗18MΩ・cm以上、且つ水中の有機系化合物の総量(TOC)が5ppb以下、好ましくは3ppb以下の超純水を用いることがより好適である。この様な高純度の水で反応容器等を十分に洗浄し、更に、反応溶媒としても高純度の水を用いることよって、優れた発光性能を有する半導体ナノ粒子を得ることが可能となる。
上記反応は、通常、不活性雰囲気下において、II族元素を含む水溶性化合物及び界面活性剤を溶解した水溶液中に、気体状のVI族元素化合物をバブリングさせるか、気体状のVI族化合物を水酸化ナトリウム溶液と反応させて水溶液とした後、注射器等でII族元素を含む水溶性化合物及び界面活性剤を溶解した水溶液中に注入することによって行うことができる。
不活性雰囲気としては、反応に関与しない気体の雰囲気であればよく、例えば、アルゴンガス、窒素ガス、ヘリウムガス等の不活性ガス雰囲気を好適に利用できる。
上記反応は、通常、室温(例えば、10〜30℃程度)において行うことができる。水溶液のpHは、10〜12程度、特に10.5〜11.5であることが好ましい。反応は、通常、VI族化合物を導入後、10分程度以内に終了する。
その後、大気中で還流することにより、所望のサイズの半導体ナノ粒子が分散した水溶液を得る。
製造される半導体ナノ粒子は、通常、平均粒径2〜12ナノメートル程度、さらに2〜8ナノメートル程度、特に3〜7ナノメートル程度の範囲にあることが好ましい。粒径は還流時間によって制御することができる。単色の発光を得るためには、還流時間を一定に制御し、半導体ナノ粒子の粒径分布の分散の標準偏差が、平均粒径に対して20%以下となるようにすればよい。
単色で発光するナノ粒子を得るためには、還流時間を一定に制御し、その粒径分布の分散の標準偏差が、粒径の平均値に対して20%以下、好ましくは15%以下となる様に調整すればよい。
例えば、テルル化カドミウムやセレン化カドミウムの場合、粒径は2〜5ナノメートル程度である。還流時間を長くすると、粒径を大きくすることができる。該半導体ナノ粒子の発光色は粒径によって決まり、粒径が小さいほど短波長の発光を示す。半導体ナノ粒子の粒径を揃えれば単色の発光が得られる。
この様にして得られる半導体ナノ粒子の水溶液(水分散液)には、通常、原料として用いたII族元素のイオン、界面活性剤などが含まれる。この半導体ナノ粒子の水溶液をそのまま無機マトリックス中に分散、乾燥させて蛍光体とすることができる。
さらに、該水溶液に含まれるナノ粒子を、粒子径のそろったナノ粒子毎に分離することができる。例えば、ナノ粒子の粒径が大きくなるほど溶解度が低くなることを利用して、該ナノ粒子の水溶液にイソプロパノールなどのアルコールやアセトンなどのケトンを貧溶媒として添加することで、サイズの大きなナノ粒子から順に沈殿させ、さらに遠心分離器にかけて分離する。
この様にして精製したナノ粒子を水に再分散させて水溶液とすることもでき、この場合も該ナノ粒子は高い発光効率を示す。該水溶液はそのままでもある程度は安定であるが、該水溶液にさらにII族元素を含む水溶性化合物及び界面活性剤を添加することによって、水溶液の安定性を向上させて凝集を防ぎ、発光効率を保つことができる。II族元素化合物の種類、該化合物の濃度、界面活性剤の量、水溶液のpH等は、上述したII-VI族半導体ナノ粒子を作製するために用いる水溶液と同様の範囲に調製すればよい。
具体的には、II-VI族半導体ナノ粒子(1×10-7〜3×10-6モル/リットル程度、好ましくは、3×10-7〜2×10-6モル/リットル程度)、II-VI族半導体ナノ粒子の原料であるII族元素を含む水溶性化合物(II族元素イオン)(0.001〜0.05モル/リットル程度、好ましくは0.01〜0.02モル/リットル程度、より好ましくは0.013〜0.018モル/リットル程度)、及び界面活性剤(水溶液中に含まれるII族元素イオン1モルに対し0.5〜5モル程度、好ましくは1〜1.5モル程度)を含むpH10〜12程度(好ましくは、10.5〜11.5程度)の水溶液が好適である。
その他に、セレン化カドミウム等の半導体ナノ粒子は、有機金属の熱分解を利用して有機溶媒中で作製することもできる。この半導体ナノ粒子表面をTGA等のチオール系の界面活性剤で置換したものも水分散性を有するので、半導体ナノ粒子の水溶液として用いることができる。これは、公知の方法(バベンディーら、特表2002-525394号公報)として知られている。
セレン化亜鉛ナノ粒子を用いる場合には、TGA等を界面活性剤として用いて上記の方法で作製した後に紫外線照射処理を行うと、発光効率が35%程度にまで上昇する。詳しくは、リら、コロイズ アンド サーフェスイズ エー、294巻、33ページ(2007年)に記載の方法によって行う。他に、III-V族のインジウムリン、ガリウムヒ素なども使用可能である。
半導体ナノ粒子の被覆
次いで、半導体ナノ粒子の表面に金属アルコキシドを用いたゾルゲル法により被覆層をコートする。特に、ケイ素アルコキシドを用いた場合には、透明なケイ素を含むガラス層が形成される。
その方法の一例では、水に分散した半導体ナノ粒子に金属アルコキシドを添加し、さらにアルカリ性にして攪拌する。これにより、加水分解した金属アルコキシドが半導体ナノ粒子表面に接着して該ナノ粒子表面を覆い、ガラス層で被覆された半導体ナノ粒子が形成される。
この方法では、上記で作製した半導体ナノ粒子の水分散液をそのまま用いることができ、或いは、作製した半導体ナノ粒子を単離しこれを水に再分散させたものを用いることができる。
半導体ナノ粒子分散液に、先に説明したように半導体ナノ粒子の構成元素が分散していると、それらは自然にガラス層に取り込まれる。
具体的には、好適な半導体ナノ粒子分散液としては、半導体ナノ粒子、ケイ素以外の金属元素を含む化合物(例えば、II又若しくはIII族元素を含む水溶性化合物であり、特に、過塩素酸カドミウム等)、界面活性剤(例えば、TGA、チオグリセロール等)、VI若しくはV族元素化合物(例えば、硫化ナトリウムやテルル化ナトリウム)及び水が含まれる。但し、界面活性剤にVI族又はV族元素が含まれているときには、該VI又はV族元素化合物を加えなくても良い。この半導体ナノ粒子分散液に金属(特に、ケイ素)アルコキシドを加えて、ゾルゲル法により半導体ナノ粒子表面をガラスコートする。
その後、例えば、ガラスコートされた半導体ナノ粒子を含む水溶液を加熱することで、ガラス層中でこれらの成分が反応して、半導体ナノ粒子を構成する成分を含有するクラスターを形成すると考えられる。
別の方法として、半導体ナノ粒子の構成元素とは別の元素を前記半導体ナノ粒子分散液に含有させておくことで、上記と同様の工程を経て、ガラス層中に半導体ナノ粒子とは別の種類元素を含むクラスターを成長させることも可能である。
金属アルコキシドとしてはケイ素アルコキシドが好ましく、該ケイ素アルコキシドとしてはテトラメトキシオルソシリケートやテトラエトキシオルソシリケートなどの4官能のケイ素アルコキシドが好適に用いられる。これらのケイ素アルコキシドは、
一般式(I):
Si(OR1)4 (I)
(R1は低級アルキル基)
で表されるものである。
上記一般式(I)で表される化合物以外に、有機官能基がついたアミノプロピルトリエトキシシランやメルカプトプロピルトリメトキシシランなどの3官能のケイ素アルコキシドを用いたり、4官能のアルコキシドに3官能のアルコキシドを一部、添加したりすることも可能である。ここで、3官能のケイ素アルコキシドは、
一般式(II):
R3 -Si(OR4)4-p (II)
(式中、R3はアミノ基、チオール基、又はカルボキシル基を有する低級アルキル基、R4は低級アルキル基を示し、pは1,2又は3を示す)で表される化合物である。この、一般式(II)で表される化合物は、1個のSi原子に、上記R3で表される有機官能基と、上記OR4で表されるアルコキシ基の両方が結合しているものであり、アルコキシドの中でも、特にシランカップリング剤と総称される。
また。溶液をアルカリ性にするためにはアンモニアや水酸化ナトリウムを用いるが、特にアンモニアが好ましい。
加熱処理
上記で作製したガラス層で被覆された半導体ナノ粒子を、さらに加熱処理することにより本発明の発光材料が製造される。好適には、ガラス層で被覆された半導体ナノ粒子が分散した水溶液中で加熱処理される。より好適には、ガラス層で被覆された半導体ナノ粒子、ケイ素以外の金属元素を含む化合物(例えば、II又若しくはIII族元素を含む水溶性化合物であり、特に、過塩素酸カドミウム等)、界面活性剤(例えば、TGA、チオグリセロール等)、VI族又はV族元素化合物(例えば、硫化ナトリウム、テルル化ナトリウム等)及び水を含む水溶液中で加熱処理される。なお、界面活性剤にVI族又はV族元素が含まれているときには、VI族又はV族元素化合物を添加しなくても良い。典型例としては、作製直後の半導体ナノ粒子分散水溶液をそのまま用いゾルゲル法によりこのナノ粒子をガラスコートした後に、加熱処理する方法が挙げられる。
この加熱処理により、ガラス層がより強固になり、かつガラス層中で半導体ナノ粒子を構成する成分を含有するクラスターが形成され、発光材料が得られる。クラスターの直径は、通常0.5ナノメートル以上、2ナノメートル以下となる。
ここで、II族元素を含む水溶性化合物としては、半導体ナノ粒子の原料に用いられる金属を含むものであり、例えば、亜鉛、カドミウム、水銀等の金属を含む化合物が挙げられ、III族元素を含む水溶性化合物としては、例えば、アルミニウム、ガリウム、インジウム等の金属を含む化合物が挙げられる。他に鉛や銅が含まれていても良い。これらは水に溶解し水溶液として存在し、上記II族又はIII族元素(金属)はイオンの状態で溶液中に分散している。
加熱時の水溶液中の半導体ナノ粒子の濃度は限定的でなく、例えば5×10−7モル/リットルから5×10−5モル/リットル、好ましくは、2×10−6モル/リットルから2×10−5モル/リットルである。この半導体ナノ粒子の濃度は、ナノ粒子の吸収スペクトルを文献値(II−VI族ナノ粒子の場合は、ウイリアム ユーら、ケミストリー オブ マテリアルズ、15巻、2854ページ、2003年および村瀬ら、ナノスケール リサーチ レターズ、2巻、230ページ、2007年)と比較することで求められる。
このときの、水溶液中における半導体ナノ粒子に対するケイ素以外の金属の相対濃度は、本願明細書の効果を得るためには、一定の範囲にすることが重要である。半導体ナノ粒子のモル濃度を1とした時には、ケイ素以外の金属のモル濃度の比(モル比)を7から700、より好ましくは20から350、さらに好ましくは50から100とする。また、金属と結合する陰イオンを供給する物質としては、チオールなどの界面活性剤や、リンを含む化合物を選ぶことがある。ケイ素以外の金属に対するこの界面活性剤のモル比は、1から15、より好ましくは、2から10、特に好ましくは4から6とする。
このときのガラス層は、まだ十分にガラス網目構造が発達していないために、加熱することによって物質の移動が容易になる。加熱温度は、通常50〜110℃程度であればよく、好ましくは70〜110℃、より好ましくは、80〜90℃である。沸点よりもわずかに低い温度で還流させることで、アンモニアなどの成分が過度に揮発するのを効果的に抑止することができる。
例えば、90〜100℃で5分から3時間程度、加熱する。これにより、ガラス層中にクラスターが成長する。半導体ナノ粒子の色調を細かく制御したい場合には、50℃から60℃の低温で3時間から20時間、加熱することも可能である。ガラス網目構造の形成を適度に進めながら物質の拡散も行わせるためには、本願明細書で示したような適度な反応温度を設定することが有効である。
このとき、ガラス層表面に新たな金属アルコキシドの付加が起きて、ガラス層の厚みが若干増加することが多い。時間と共に発光波長は赤色側にシフトするので、その変化をモニターしながら、所望の波長が得られるまで加熱する。このようにすることで、アルコキシドの加水分解と脱水縮合反応が促進されるのでガラス網目構造が発達する。これにより、該ナノ粒子はさらに発光効率が増大してスペクトル幅が狭くなるだけでなく、劣化に対しても強い優れた発光材料となる。
半導体ナノ粒子が光を吸収して形成される励起子(ホールと電子からなる)のうち、ホールの有効質量は電子に比べると通常は数倍程度、大きい。従って半導体ナノ粒子の近傍にクラスターがあれば、電子のトンネル効果によって電子の分布幅が広がる。これが観察された現象の原因である可能性がある。
ガラスマトリックスは、半導体ナノ粒子とクラスターの自由な運動を抑止してクラスターを成長させる反応場として働く。クラスターは半導体ナノ粒子と化学結合を作らないので、格子定数のミスマッチがなく、均一に表面を覆うことになるため、発光効率が増大してスペクトル幅が減少する。また、半導体ナノ粒子は周りのクラスターに守られているため、溶液中での劣化が少ないという利点もある。
クラスターは、半導体ナノ粒子よりも小さいサイズであり直径0.5ナノメートル以上、2.0ナノメートル以下である。望ましくは、0.7ナノメートル以上1.5ナノメートル以下であり、最も望ましくは0.8ナノメートル以上1.3ナノメートル以下である。さらに、ガラス層中に分散して本発明の効果を得るためには、クラスターのガラス層中の濃度として0.01モル/リットル以上が良く、さらに好ましくは0.03モル/リットル〜4モル/リットル、最も好ましくは0.1モル/リットル〜1モル/リットルである。
本発明の発光材料のガラス層の厚さは、通常0.3〜5ナノメートル、さらに0.4〜3ナノメートル、特に0.5〜2ナノメートルである。
従来、半導体ナノ粒子の不活性化は、表面に如何に他の物質を結合させるかを課題としていたが、本発明は、上記のようにそれとは異なる新しいタイプの表面不活性化方法を提供するものである。
本発明の発光材料の形状は特に限定はないが、球状、板状、または薄膜状である。球状の場合の平均粒子径は、3.5〜20ナノメートル、特に4〜7ナノメートルである。本発明の発光材料は、例えば大きさ20ナノメートルから2ミクロンのガラス球に複数個入れて、バイオ用の蛍光体として使用することが出来る。
本発明の発光材料中の半導体ナノ粒子の発光スペクトルの半値幅は、半導体ナノ粒子単独が示す発光スペクトルの半値幅よりも10%以上、さらに15%以上狭いことを特徴とする。また、発光材料中の半導体ナノ粒子のフォトルミネッセンスの発光効率ηは、一般に20%以上、さらに50%以上、特に70%以上である。この値は、半導体ナノ粒子単独が示すフォトルミネッセンスの発光効率ηより30%以上、さらに50%以上高いことを特徴とする。これを数式で表すと、η≧1.3×η、さらにη≧1.5×ηとなる。
ここで、ナノ粒子単独が示す発光スペクトルとは、ガラスコートを取り除いたあとの発光スペクトルである。本願明細書の場合、ガラスコートは強アルカリに溶解させることで取り除き、その後に発光スペクトルを測定している。このときの発光スペクトルは、ガラスコートする前の半導体ナノ粒子の発光スペクトルとほとんど変わらないことが確かめられている。このときの発光は、バンド端発光と呼ばれ、発光波長はバンドギャップのエネルギーに近い値を示す。このときの発光減衰時間は、典型的には10−50ナノ秒程度である。
一方で、従来技術を用いてゾルゲル法によって半導体ナノ粒子をガラス中に分散させると、ほとんどの場合は、発光スペクトルの強度が顕著に減少する。ナノ粒子が溶解した場合には、発光波長は青色側にシフトし、また、欠陥準位が出来た場合には赤色側にシフトする。いずれの場合も、ガラスを取り除いてもこのような発光波長は元には戻らない。欠陥準位からの発光は、スペクトル幅が広く、また、発光減衰時間も100ナノ秒より大きいことがある。
なお、本方法では加熱することによりガラス層中にクラスターが成長したが、予め成長したクラスターを透明な高分子層中に混ぜてから、目的とする半導体ナノ粒子を導入することも可能である。
本発明の発光材料は必ずしも小さな分離した球形にはならず、例えば肉眼で確認できる大きさの透明層からなる塊の中に半導体ナノ粒子が分散していることもあれば、基体上に薄膜として形成された透明層中に半導体ナノ粒子が分散していることもある。
クラスターは、サイズが小さくしかもマトリックスに覆われているために、透過型の電子顕微鏡で直接に観察するのは困難である。しかしながら、半導体ナノ粒子がない状態で同様に加熱して作製した試料を暗視野走査透過電子顕微鏡(ADF−STEM)で観察することで、マトリックス中に白い輝点として認められ、サイズを見積もることができる。さらに、吸収スペクトルにおいて短波長側(およそ400ナノメートル以下)の成分が増加していることで確かめられる。また、X線小角散乱において、散乱角度2シーターにして3度から10度付近の領域の散乱強度の増大として観察される。
ここで説明したシリカコートナノ粒子の加熱処理は、本願明細書の発光材料の作製法の一部をなすものである。従来、官能基を有するアルコキシドの加水分解を早めてナノ粒子にコートするために、加熱処理が行われた例はあった。(鳥本ら、ジャーナル オブ アメリカン ケミストリー、125巻、316ページ、2003年)この場合は、使用されるナノ粒子は加熱前、後ともに表面が適切な界面活性剤で覆われているわけではないので、発光材料としての機能は持たない。一方で、本願明細書における加熱処理は、発光材料の性能を従来のものよりもさらに良くするという役目を果たしている。
II.発光材料の用途
本発明の発光材料は、発光効率が高く、発光スペクトル幅が狭く、また耐薬品性に優れる。このため、透明層の表面に様々な抗体を取り付けることで、バイオ用の蛍光体(蛍光マーカー等)として各種抗原の検出に用いることが出来る。
あるいは前記特許文献3および4の方法で本発明によるガラスコート半導体ナノ粒子を複数含有させた直径20ナノメートル〜2マイクロメートル程度のガラスビーズ(ガラス球)を作製できる。これにより同じ発光色の半導体ナノ粒子を多数、含有させて発光強度を増大させることや、違う発光色の半導体ナノ粒子を混ぜて多色の発光を得ることが可能になる。このガラスビーズの表面に抗体を取り付けることで、検体中の複数の抗原を高感度で検出できる蛍光マーカーとなる。
他に、ディスプレイ(表示素子)や照明への用途がある。この場合、半導体ナノ粒子の劣化や発光色調のずれを防止するためには、出来るだけ使用温度が低いほど望ましく、出来る限り50℃以下、出来れば40℃以下が望ましい。そのためには冷却装置、熱放散材料を備えていることが好ましい。冷却装置としては、例えば強力な冷却ファン、水冷、ペルチェ素子等が、熱放散材料としては金属やセラミックスが挙げられる。
以下に、実施例に基づいて本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例により限定されるものではない。
発光効率の評価
発光効率は、上記の「課題を解決するための手段」に示した方法で、励起波長を365ナノメートルとして行った。さらに誤差を小さく簡便に測定するためには、予め各種濃度のキニーネの0.1規定硫酸溶液の励起波長での吸光度と発光強度の関係を求めて、図を作成する手法が有効である。この手法については、文献(村瀬ら、ジャーナル オブ ルミネッセンス、2008年、doi:10.1016/j.jlumin.2008.05.016、2007年6月4日投稿)に詳細が記されている。
実施例1
緑色発光のテルル化カドミウムナノ粒子を表面処理して、以下のように黄色から赤色発光のガラスコートナノ粒子を得た。
既報の方法(リ、村瀬、ケミストリー レターズ、34巻、92ページ、2005年)に従い、水分散の緑色発光テルル化カドミウムナノ粒子を作製した。すなわち、過塩素酸カドミウム(6水和物、1.095g)を水200ミリリットルに溶かし、これに界面活性剤のTGAを過塩素酸カドミウムに対し、1.25倍モル加えた。これに、1規定水酸化ナトリウム水溶液を加えて、pH11.4に調整した。30分脱気した後、不活性雰囲気下、激しく攪拌しながらテルル化水素ガスを導入した。さらに10分間の攪拌後、コンデンサーをつけて約100℃で還流した。還流とともにテルル化カドミウム粒子が成長し、およそ20分で緑色発光のナノ粒子(直径約2.6ナノメートル )が分散した水溶液を得た。
沈殿物を取り除いた後にこの水溶液を2ミリリットル取り出し、さらに純水2ミリリットル(ミリポア、ミリQシンセシスグレード)およびテトラエチルオルソシリケート(TEOS)0.15ミリリットルを加え、さらにアンモニア水(6.25重量%)を加え、3時間攪拌した。これにより、ガラスコートナノ粒子を得た。
このあと透過電子顕微鏡観察および動的光散乱法によりガラスコートナノ粒子の大きさを測定した。それによると、この操作でサイズが3.5 ナノメートルになった事がわかった。半導体ナノ粒子の粒径が約2.6 ナノメートルであるから、このナノ粒子表面に厚さ0.5ナノメートル程度のガラス層が形成されたことがわかった。
この溶液を三口フラスコに入れ、さらに純水6ミリリットルを加えて攪拌しつつ、マントルヒーターで加熱し、合計で2時間、還流させた(100℃程度)。還流時間と共に発光色が緑色から、黄色、赤色へと変わるのが観察された。還流の途中で、少量の試料を取り出し、吸収分光光度計(U-4000、日立製作所製)及び蛍光分光光度計(F-4500、日立製作所製)を用いて、吸収・発光スペクトルを測定したところ、図3のようになった。バンドギャップのエネルギーは、第一吸収ピークの波長から見積もることができる。この場合、始めの緑色発光のナノ粒子(図3(a)の吸収スペクトル)では515ナノメートル付近にピークがあるので、2.41エレクトロンボルトとなる。また、周りを覆っているガラスだけを取り出して吸収を測定すると220ナノメートル付近から短波長側で徐々に増えていくことがわかった。このとき、バンドギャップは5.6エレクトロンボルト以上である。さらに、還流に伴って、波長370ナノメートル付近の吸収が増大していることがわかる。これは、クラスター形成によるものと考えられる。
さらにこの結果から、発光効率と発光スペクトル半値幅の発光波長依存性をプロットすると図4のようになった。緑色発光(波長552 ナノメートル)では30%程度の発光効率であったが、還流に伴って65ナノメートル程度赤色側にシフトした時に発光効率は77%に増大した。このとき、発光効率は相対比で250%以上増加している。スペクトルの半値幅は、始め50ナノメートル程度であるが、還流に伴って、41ナノメートルにまで減少した。つまり18%程度、狭い半値幅を示している。また、透過電子顕微鏡観察および動的光散乱法によりガラスコートナノ粒子の大きさを測定したところ、還流30分で約5ナノメートル、還流2時間で約6ナノメートルに成長したことがわかった。つまり、還流によりガラス層が厚くなったことがわかった。
還流途中の溶液を取り出し、X線小角散乱測定を行った。株式会社リガク製Nano-Viewerを用い、入射X線波長は0.154ナノメートルとした。その結果を図5に示す。この図で、直径2.6ナノメートルのCdTeナノ粒子がガラス層に覆われて平均粒径5ナノメートル程度の粒子を形成している場合には、細い実線で示した理論曲線を与える。2シーターで表した角度0.4度以下では、試料に若干の凝集成分があるため、散乱強度が理論値よりも増えている。一方、角度3度以上には、別の散乱成分があることがわかる。この角度領域は、大きさ1ナノメートル程度の粒子に由来するものであり、確かにこの大きさのクラスターが存在していることがわかる。作製条件等からガラス層中のクラスターの濃度は、およそ0.3モル/リットルと見積もられた。
作製したガラスコートナノ粒子とその原料となったナノ粒子の溶液をそれぞれ取り出して、堀場製作所製FluoroCubeにより発光減衰時間を測定した。そうしたところ、原料となった緑色発光のナノ粒子については、主要な寿命成分は20ナノ秒および50ナノ秒であった。一方で、赤色発光のナノ粒子についても、同様に20ナノ秒および50ナノ秒が主要な成分であった。このように本方法で作製したガラスコートナノ粒子は、発光寿命に大きな変化が見られず、表面の状態が良好に保たれていることが示唆された。表面に欠陥が生じた場合には、発光効率の低下と共に、発光寿命の70%以上を占める主要な成分に大きな(相対比較で50%以上の)変動が見られることが多い。
このようなガラスコートナノ粒子分散液に水酸化ナトリウムを溶解してpH13程度にすることで、表面のガラスを溶解させた。その結果、図6に示したようにスペクトルは始めの緑色発光のものに戻った。この実験により、還流による発光の赤色側へのシフトがナノ粒子の成長によるものではないことが確かめられた。
さらに、このガラスコートナノ粒子をフィルターにかけて溶媒の水と遊離している界面活性剤やアンモニア、カドミウムイオンなどの小さな分子やイオンを取り除くことで、50ミリリットルから2ミリリットルに濃縮した。さらに水を加えて50ミリリットルにした後に、もう一度、同じ条件で濃縮した後、水を加えて攪拌し、孔サイズ0.2ミクロンのフィルターで凝集したガラスコートナノ粒子などをろ過して取り除いた。これをさらに2時間還流することで、ナノ粒子をさらに丈夫なガラス層で覆った。これを生体と同じ浸透圧のリン酸緩衝化生理食塩水(PBSバッファー溶液)に入れて20日間経過した後も発光スペクトルに変化は見られなかった。
一方で、ガラスコートする前のナノ粒子は、同じ溶液中では1日で発光効率が半分になった。このように、溶液に対してもガラスコートナノ粒子は高い耐久性を持つことがわかった。生体の蛍光プローブとしての応用を考える場合は、これは大変重要になる。
実施例2
上記において、沈殿物を取り除いたナノ粒子分散コロイド溶液をそのまま使わずに、一旦、貧溶媒であるアルコールを滴下することでナノ粒子を沈殿させた。これを遠心分離により取り出し、界面活性剤TGAおよび過塩素酸カドミウムを分散した水に溶解した。溶液のpHは、およそ10.5に調整した。実施例1と同様にして、TEOSおよびアンモニアを加えて攪拌した。
さらに、純水を加えて攪拌しつつ、還流した。還流時のナノ粒子の濃度はおよそ5.8×10−6モル/リットル、ナノ粒子に接着していないTGAの濃度(溶液中の遊離のTGA濃度)はおよそ2×10−3モル/リットル、ナノ粒子に取り込まれていないカドミウムの濃度(溶液中の遊離のカドミウム濃度)は、およそ4×10−4モル/リットルであった。このときのナノ粒子のモル濃度を1とすると、遊離のカドミウムの相対濃度は69と計算される。また、遊離のTGAの相対濃度は345であるから、カドミウムに対する比は、5と計算される。
還流時間と共に、実施例1と同様のスペクトル変化が見られた。
実施例3
赤色発光のテルル化カドミウムナノ粒子を表面処理して、以下のようにさらに赤色側(長波長側)に発光がシフトしたガラスコートナノ粒子を得た。
実施例1では、還流時間20分程度で取り出した緑色発光のテルル化カドミウムナノ粒子を用いたが、還流時間を120時間程度に延長することで、赤色発光のナノ粒子が得られた。これは、前述の既報の方法(リ、村瀬、ケミストリー レターズ、34巻、92ページ、2005年)によるものである。このときのナノ粒子の直径は約4.0 ナノメートル であった。また、発光効率は70%、発光スペクトル半値幅は53ナノメートルであった。
次に、実施例1と同様の方法で、ガラスコート、還流を2時間行ったところ、図7に示すように、発光波長がさらに赤色側にシフトするのが観察された。このときの発光効率は84%、発光スペクトル半値幅は47.4ナノメートルであった。つまり、半値幅は11%狭くなった。
但し、もとの粒径が大きいために、本発明の表面処理法によって電子の分布範囲が増えても、緑色発光の場合ほどには発光波長の赤色側シフトは大きくなかった。また、370ナノメートル付近にクラスター由来の吸収ピークが見られた。
実施例4
青色発光のセレン化亜鉛ナノ粒子においても、以下のように同様の赤色シフトが観察された。
既報の方法(リら、コロイズ アンド サーフェスイズ エー、294巻、33ページ(2007年))を参照して、セレン化亜鉛ナノ粒子を作製した。その後、実施例1および2と同様の方法により、ガラスコートおよび還流を行ったところ、図8に示したように、発光強度の著しい増大および発光波長の赤色シフトが観察された。図7および8の結果から、本発明の表面処理法は、一般性のあるものであることが示された。
半導体ナノ粒子の大きさとバンドギャップエネルギーを表す模式図。ナノ粒子はおよそ原子数が数百から数千、大きさにしておよそ2から10ナノメートルの範囲にある。 従来型の表面処理による半導体ナノ粒子からの発光(波長λ1)と、新規な表面処理法による発光(波長λ2)。波長λ2 > 波長λ1である。それぞれの場合について、半導体ナノ粒子(コア)と透明層(シェル)とその内部の状態を示した。 ガラスコートテルル化カドミウムナノ粒子の還流による吸収・発光スペクトルの変化。(a)もとの緑色発光ナノ粒子のスペクトル。(b)0.5時間還流後、(c)1.5時間還流後、(d) 3.0時間還流後。 ガラスコートナノ粒子の還流時間に伴う発光ピーク波長、発光効率、発光スペクトル半値幅の変化。 X線小角散乱の結果(実線)と、直径5ナノメートル程度の大きな構造のみを仮定した場合の理論曲線(破線)。1ナノメートル程度の小さな構造に由来する散乱が3°以上の領域に観察される。 アルカリによるガラス層除去に伴う発光スペクトル変化。(a) 緑色発光のテルル化カドミウムナノ粒子のコロイド溶液。(b)還流したガラスコートナノ粒子。(c)アルカリでガラス層を除去した後の発光スペクトル。 赤色発光テルル化カドミウムナノ粒子のガラスコートした後の還流による発光スペクトルの変化。(a)ガラスコートする前の吸収・発光スペクトル (b)ガラスコートしてから1.5時間還流後の吸収・発光スペクトル。 青色発光セレン化亜鉛ナノ粒子のガラスコートした後の還流による吸収・発光スペクトルの変化。(a)溶液法によって作製した直後のZnSeナノ粒子の吸収発光スペクトル。発光スペクトルは弱いので300倍に拡大。(b)ガラスコートしてから1.5時間還流後の吸収・発光スペクトル。

Claims (15)

  1. 平均粒径が2ナノメートル以上かつ12ナノメートル以下でありバンドギャップが3.8エレクトロンボルト以下の半導体ナノ粒子が、ケイ素を含む層で被覆された発光材料であって、該発光材料中の半導体ナノ粒子の発光波長のピークが、半導体ナノ粒子単独が示す発光波長のピークよりも20ナノメートル以上長波長側に位置することを特徴とする発光材料。
  2. 前記ケイ素を含む層が、該半導体ナノ粒子を構成する成分を含有する直径0.5ナノメートル以上2ナノメートル以下のクラスターを濃度0.01モル/リットル以上含有することを特徴とする請求項1に記載の発光材料。
  3. 前記発光材料中の半導体ナノ粒子の発光スペクトルの半値幅が、半導体ナノ粒子単独が示す発光スペクトルの半値幅よりも10%以上狭いことを特徴とする請求項1又は2に記載の発光材料。
  4. 前記発光材料中の半導体ナノ粒子のフォトルミネッセンスの発光効率η及び半導体ナノ粒子が単独で示すフォトルミネッセンスの発光効率ηの関係がη≧1.3×ηであることを特徴とする請求項1又は2に記載の発光材料。
  5. 前記ケイ素を含む層が、該半導体ナノ粒子表面にケイ素アルコキシドを用いたゾルゲル法により被覆層を形成し、これを加熱処理して得られる層である請求項1又は2に記載の発光材料。
  6. 前記ケイ素を含む層が、半導体ナノ粒子分散液にケイ素アルコキシドを加えてゾルゲル法により半導体ナノ粒子表面に被覆層を形成し、これを加熱処理して得られる層である請求項1又は2に記載の発光材料。
  7. フォトルミネッセンスの発光効率が20%以上であることを特徴とする請求項1から6のいずれかに記載の発光材料。
  8. フォトルミネッセンスの発光効率が70%以上であることを特徴とする請求項1から7のいずれかに記載の発光材料。
  9. 前記半導体ナノ粒子がII−VI族の半導体であることを特徴とする請求項1から8のいずれかに記載の発光材料。
  10. 前記半導体ナノ粒子がIII−V族の半導体であることを特徴とする請求項1から8のいずれかに記載の発光材料。
  11. 前記半導体ナノ粒子が、亜鉛、カドミウム、水銀、硫黄、セレン、テルル、アルミニウム、ガリウム、インジウム、リン、ヒ素、アンチモン、及び鉛からなる群より選ばれる少なくとも1種を含むことを特徴とする請求項1から8に記載の発光材料。
  12. 前記請求項1〜11のいずれかに記載の発光材料を少なくとも2個以上含有する直径20ナノメートル以上2マイクロメートル以下のガラス球。
  13. 前記請求項1〜11のいずれかに記載の発光材料を含む発光デバイス。
  14. 前記請求項1〜11のいずれかに記載の発光材料を含むバイオ用蛍光体。
  15. 半導体ナノ粒子がケイ素を含む層で被覆された発光材料の製造方法であって、
    (1)平均粒径が2ナノメートル以上かつ12ナノメートル以下でありバンドギャップが3.8エレクトロンボルト以下の半導体ナノ粒子に、ケイ素アルコキシドを用いたゾルゲル法により被覆層を形成する工程、及び
    (2)該被覆層が形成された半導体ナノ粒子を加熱処理する工程
    を含むことを特徴とする製造方法。
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