JPWO2009016726A1 - 吸収体物品 - Google Patents
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Abstract
Description
従来の吸収体物品は、尿を吸収し便を受容する部分の左右両側に、インナーギャザー又はアウターギャザーと呼ばれる、ゴムを挿通して伸縮可能としたひだ状の部材が設けられており、これにより尿や便の外部への漏れを防止するような構造となっている。
この吸収体物品は、尿による下半身の体表面の濡れが少なく、便排出による臀部の汚れが生じにくいという利点を有する。また、尿及び便の外部への漏れを効果的に防止することができるという利点も有する。
そこで、本発明は、尿又は便が吸収体物品の上側又は上端部に移動した場合であっても、体表面の濡れや汚れの発生を抑制し、また、尿又は便の外部への漏れを防止することができる吸収体物品を提供することを課題とする。
(1)底面部と、前記底面部の左右両側から上側に立ち上がり、内側に張り出した一対の側部とを有し、前記底面部と前記一対の側部とにより内部空間を形成している、シート状の防漏体と、
前記内部空間に少なくとも1層配置された、高吸水性樹脂を含有し体液を吸収しうる吸収体と
を具備し、
前記側部の内側に張り出した部分である上縁部の上側から前記内部空間への体液の移動を可能とする液移動性構造が設けられている、吸収体物品(本発明の第1の態様の吸収体物品)。
(2)前記液移動性構造として、前記上縁部に液透過性部が設けられている、上記(1)に記載の吸収体物品。
(3)前記液透過性部の下に前記吸収体が存在する、上記(2)に記載の吸収体物品。
(4)前記液透過性部が開口である、上記(2)又は(3)に記載の吸収体物品。
前記内部空間に少なくとも1層配置された、高吸水性樹脂を含有し体液を吸収しうる吸収体と、
前記防漏体の前記底面部と前記一対の側部の前端から上部の前側にかけての部分とに結合して、前記防漏体の前側の開口を閉鎖する前方防漏体、及び/又は、前記防漏体の前記底面部と前記一対の側部の後端から上部の後側にかけての部分とに結合して、前記防漏体の後側の開口を閉鎖する後方防漏体と
を具備し、
前記前方防漏体及び/又は前記後方防漏体の上側から前記内部空間への体液の移動を可能とする液移動性構造が設けられている、吸収体物品(本発明の第2の態様の吸収体物品)。
(6)前記液移動性構造として、前記前方防漏体及び/又は前記後方防漏体に液透過性部が設けられている、上記(5)に記載の吸収体物品。
(7)前記液透過性部の下に前記吸収体が存在する、上記(6)に記載の吸収体物品。
(8)前記液透過性部が開口である、上記(6)又は(7)に記載の吸収体物品。
前記内部空間に少なくとも1層配置された、高吸水性樹脂を含有し体液を吸収しうる吸収体と、
前記内部空間の前身頃部において、排出された尿の流れが直接当たる位置に配置され、尿が排出された場合に尿の流れが当たった位置から他の位置に移動させる液ガイドユニットと
を具備し、
前記液ガイドユニットの上側から前記内部空間の他の位置への体液の移動を可能とする液移動性構造が設けられている、吸収体物品(本発明の第3の態様の吸収体物品)。
(10)前記液移動性構造として、前記液ガイドユニットに液透過性部が設けられている、上記(9)に記載の吸収体物品。
(11)前記液透過性部の下に前記吸収体が存在する、上記(10)に記載の吸収体物品。
(12)前記液透過性部が開口である、上記(10)又は(11)に記載の吸収体物品。
12、12a、12b、12c 底面部
14、14a、14b、14c 側部
16、16a、16b、16c 上縁部
18、18a、18b 縁部形状保持部材
20、20a、20b、20c 吸収体
22、22a ガイドシート
30、30b、32、32a、34、34a、36 開口
30a、40 間隙
50、50a、50b、50c ウエストバンド
52、52a、52b フック材
54 ループ材
60、60a 尿便分離部材
62 尿便分離部材支持バンド
70、70a 便受容シート
80、80a、80b 前方防漏体
82、82a、82b 後方防漏体
90 液ガイドユニット
100、100a、100b、100c 吸収体物品
m 尿道口
S 内部空間
本発明の第1の態様の吸収体物品は、底面部と、前記底面部の左右両側から上側に立ち上がり、内側に張り出した一対の側部とを有し、前記底面部と前記一対の側部とにより内部空間を形成している、シート状の防漏体と、前記内部空間に少なくとも1層配置された、高吸水性樹脂を含有し体液を吸収しうる吸収体とを具備し、前記側部の内側に張り出した部分である上縁部の上側から前記内部空間への体液の移動を可能とする液移動性構造が設けられている、吸収体物品である。
本発明の第2の態様の吸収体物品は、底面部と、前記底面部の左右両側から上側に立ち上がり、内側に張り出した一対の側部とを有し、前記底面部と前記一対の側部とにより内部空間を形成している、シート状の防漏体と、前記内部空間に少なくとも1層配置された、高吸水性樹脂を含有し体液を吸収しうる吸収体と、前記防漏体の前記底面部と前記一対の側部の前端から上部の前側にかけての部分とに結合して、前記防漏体の前側の開口を閉鎖する前方防漏体、及び/又は、前記防漏体の前記底面部と前記一対の側部の後端から上部の後側にかけての部分とに結合して、前記防漏体の後側の開口を閉鎖する後方防漏体と
を具備し、前記前方防漏体及び/又は前記後方防漏体の上側から前記内部空間への体液の移動を可能とする液移動性構造が設けられている、吸収体物品である。
なお、添付した図面中の各平面図においては、図の上側に吸収体物品等の前側が位置するように図示してある。
また、前記樹脂のフィルムを用いる場合には、感触や外観を向上させるために、フィルムと不織布との複層シートとして用いることもできる。この場合、不織布としては、比較的低目付のSB、SMS、サーマルボンド不織布等が好適に用いられる。
また、前記樹脂のフィルムと後述するシート状吸収体との複層シートを用いることもできる。
また、高耐水性不織布を用いることもできる。この場合、単独で用いてもよく、フィルムと高耐水性不織布との複層シートとして用いることもできる。
底面部12は、図1においては吸収体20が存在する部分が平坦になっており、その両側が緩やかに立ち上がって、その端部が側部14の端部と相俟って伸縮性のレッグギャザーを形成している。レッグギャザーは、特に限定されず、例えば、従来公知の構成とすることができる。
一対の側部14は、図1においては底面部12の左右両側の端部から、底面部12に沿って存在し、底面部12の吸収体20が存在する部分において上側に立ち上がり、内側に張り出しているが、これは模式的に表したものにすぎず、一対の側部14の構造は、底面部12の左右両側から上側に立ち上がり内側に張り出した部分を有するものであれば、特に限定されない。例えば、図1においては一対の側部14全体が底面部12の左右両側の端部から内側に張り出しているが、一対の側部が底面部の左右両側から外側に拡がり、途中で内側に曲がって内側に張り出しているものであってもよい。
吸収体物品100においては、側部14の内側に張り出した部分である一対の上縁部16の端部が、伸縮性材料で構成されている。伸縮性材料は、特に限定されないが、例えば、ポリウレタンフィラメントが挙げられる。
間隙40がこのような形状であると、尿を収容する前身頃では尿を充分に収容できるポケットを形成しつつ、尿の着用者の肌への直接の接触を防止することができ、尿道口付近では尿の排出を妨げない程度の間隔(例えば、40〜50mm)を維持することができ、後身頃では後ろに行くに従ってその間隔が広がって着用者の臀部を包み込み、便の収容を容易にすることができる。
吸収体の種類は、用途に応じて適宜選択することができる。例えば、本発明の吸収体物品を子供用おむつとする場合、新生児用や月齢の低い乳児用(大きさで言えば、Sサイズ)としては、木材パルプの含有量が多いものが好ましく、また、月齢の高い乳児用(大きさで言えば、MサイズやLサイズ)としては、SAPの含有量が多いものが好ましい。
高吸水性シートは、SAPを主成分とする極薄のシート状吸収体である。高吸水性シートは、SAPの含有量が極めて高いため、厚さが極めて薄い。高吸水性シートの厚さは、1.5mm以下であるのが好ましく、1mm以下であるのがより好ましい。
高吸水性シートは、SAPを主成分とする極薄のシート状吸収体であれば、構成や製造方法を特に限定されない。
例えば、Air Laid法で得られる高吸水性シートが挙げられる。Air Laid法は、粉砕した木材パルプとSAPとを混合し、結合剤を添加してシート状に成形して高吸水性シートを得る方法である。この方法で得られる高吸水性シートとしては、例えば、米国レオニヤ(Rayonier)社製のNOVATHIN(米国登録商標)、王子キノクロス社製のB−SAPが知られている。
また、SAPの分散スラリーを不織布等の体液透過性シートの上にコーティングする方法で得られる高吸水性シートも挙げられる。ここで、SAPの分散スラリーは、SAPとミクロフィブリル化セルロース(MFC)とを、水とエタノールとの混合溶媒に分散させたものであるのが好ましい。この方法で得られる高吸水性シートとしては、例えば、(株)日本吸収体技術研究所製のMegaThin(登録商標)が知られている。
そのほかに、例えば、起毛状不織布にSAPを大量に担持させ、ホットメルトバインダー、エマルションバインダー、水性繊維等で固定する方法で得られる高吸水性シート、繊維状SAPをPET(ポリエチレンテレフタレート)繊維と混合してウェブ状に成形する方法で得られる高吸水性シート、SAP層の上下をティッシュ又は液透過性不織布で挟んだSAPシートが挙げられる。
また、吸収体は、折りたたんだ状態で配置することもできる。
図1に示される吸収体物品100における液移動性構造は、側部14の上縁部16に設けられた液透過性部であり、より具体的には、側部14の上縁部16に設けられた長方形の開口30である。
吸収体物品100は、一対の側部14の縁部の間にできた前後方向に延在する間隙40の上方に尿道口mが位置するように着用される。尿が排出されると、図1中、矢印で示されるように、その大部分は間隙40を通過して内部空間Sへと移動し、吸収体20に吸収される。一方、排出された尿のうち一部は、側部14の上縁部16の上側に移動する。この場合、その全量又は大部分は、図1中、矢印で示されるように、開口30を通過することにより、上縁部16の上側から内部空間Sへと移動し、吸収体20に吸収される。したがって、尿が上縁部16の上側に存在することによる体表面の濡れを抑制し、また、尿の外部への漏れを防止することができる。
図1に示されるように、液透過性部が側部の上縁部に設けられた長方形の開口であると、間隙40を通過せず、上縁部16上に溢出する尿が多くても、開口部30を通過させて吸収体20に吸収させることができるため、外部へ漏れるおそれがない。
図2は、種々の液透過性部の例を示す模式的な平面図である。
図2(A)〜図2(C)に示される液透過性部は、いずれも複数の開口からなる液透過性部である。図2(A)に示される液透過性部は、複数の細かい円形の開口からなる。円形の開口の径と数とを適正化することにより、液の透過性能を適宜調整することができる。
図2(B)に示される液透過性部は、複数の方形の切り欠き状の開口からなる。切り欠き状の開口の面積と数とを適正化することにより、液の透過性能を適宜調整することができる。
図2(C)に示される液透過性部は、前後方向に延在して並列する複数のスリット状の開口からなる。スリット状の開口を並列させて配置することにより、1列目(最も内側のもの)で尿の透過が十分に行えなくても、2列目・3列目で確実に尿を透過させて、外部への漏れを防止することができる。
図2(D)に示される液透過性部は、多孔質材料からなる液透過性部である。側部の上縁部の一部に多孔質材料からなる液透過性部を設け、多孔質材料の細かい空隙を通じて体液の移動を可能とする。多孔質材料を適切に選択することによって、この液透過性部から移動した体液が逆戻りすることを防止することができる。多孔質材料としては、例えば、親水化スパンメルト不織布、レーヨン、コットン等の親水性不織布;開孔フィルム、網状物(例えば、ネット、メッシュ類)が挙げられる。
これらの液透過性部は、複数種を組み合わせて使用することもできる。例えば、切り欠き状の開口と別の形状の切り欠き状の開口との組合せ、切り欠き状の開口とスリット状の開口との組合せが挙げられる。また、切り欠き状の開口の上を液透過性の多孔質材料で被覆した組合せ等、複数種の液透過性部を上下に配置した組合せも好適に挙げられる。
図1に示される吸収体物品100においては、開口30の下に吸収体20が存在している。
吸収体物品100の後端部付近には、ウエストバンド50が配置されている。ウエストバンド50は、複数(例えば、15本)のポリウレタンフィラメント(例えば、東レデュポン社製、470dtex)を2枚のSMS(例えば、Avgol社製、目付量13g/m2)で挟み込んだ構造を有している。
ウエストバンド50の左右両端には、フック材52が設けられ、防漏体10の前部の下側に設けられたループ材(図示せず。)と着脱可能になっている。吸収体物品100は、着用時に、フック材52とループ材(図示せず。)とが結合してウエストホールを形成する。
したがって、吸収体物品100aは、本発明の第1の態様の吸収体物品であるが、後述するように、本発明の第2の態様の吸収体物品にも該当する。
底面部12aは、折りたたまれて逆Ω字型の横端面を有しており、その両側の端部が側部14aの端部と結合している。底面部12aが折りたたまれていることにより、大量の尿が排出された場合でも保持する容積を確保することができる。
一対の側部14aは、底面部12aの左右両側の端部から、上側に立ち上がり、内側に張り出している。
側部14aの内側に張り出した部分である上縁部16aは、その端部が外側に曲がって縁部形状保持部材18を形成している。縁部形状保持部材18は、着用者の肌に接触するように配置されている。縁部形状保持部材18は、上縁部16aの端部が外側に曲がって更に折り返すことによって複数(例えば、5本)のポリウレタンフィラメント(例えば、東レデュポン社製、470dtex)を巻き込み、幅広に形成されている。
防漏体10aの材質としては、防漏体10の材質と同様のものを用いることができる。
底面部12aと一対の側部14aとにより、内部空間Sが形成されている。内部空間Sには、吸収体20aが配置されている。
吸収体物品を使用する際、着用者の姿勢、着用位置等により、吸収体に吸収される尿の量が位置により大幅に偏ってしまうことがある。このような場合、本発明の吸収体物品がガイドシートを有すると、尿を多く吸収した吸収体から少ない部分へと、尿が移動し、その結果、偏りが緩和される。これにより、吸収体物品の実質的な尿吸収量及び使用可能時間が長くなる。
また、開孔凹凸シート部材においては、開孔も体液の流路として機能する。
開孔凹凸シート部材の具体例としては、本発明者が国際公開第02/065965号パンフレットにおいて提案したものが挙げられる。
また、PP、PE又はPETのスパンボンド不繊布、PPのサーマルボンド不繊布、PE/PETのスルーエア不織布等の合繊不織布を界面活性剤等で表面処理することにより親水化した不繊布も挙げられる。
開孔凹凸シート部材と親水性拡散シートとは、単に重ね合わせて積層してもよく、ホットメルト、熱ラミネート等により複合化してもよい。
親水性拡散シートと体液不透過性シートとは、単に重ね合わせて積層してもよく、ホットメルト、熱ラミネート等により複合化してもよい。
また、親水性拡散シートを用いずに、開孔凹凸シート部材と体液不透過性シートとを組み合わせて用いてもよい。
開孔凹凸シート部材と体液不透過性シートとは、単に重ね合わせて積層してもよく、ホットメルト、熱ラミネート等により複合化してもよい。
図3及び図4に示される吸収体物品100aにおける液移動性構造は、側部14aの上縁部16aの端部にある縁部形状保持部材18と、その内側に存在する、後述する尿便分離部材支持バンド62との間の間隙30aである。
間隙30aの機能は、吸収体物品100の開口30の機能と同じである。具体的には、尿が上縁部16a(より具体的には、上縁部16aの端部にある縁部形状保持部材18)の上側に存在することによる体表面の濡れを抑制し、また、尿の外部への漏れを防止する機能である。この機能は、尿が尿道口から内部空間Sへと移動する際に、尿の一部があふれ出して、尿便分離部材支持バンド62を越え、直接に又は上縁部16aの端部にある縁部形状保持部材18の上側を経由して、前後方向の中央部に存在する間隙30aを通過し吸収体20aに吸収されることにより実現される。仮に、このような尿便分離部材支持バンド62や間隙30aがないとすると、尿の一部が上縁部16の端部にある縁部形状保持部材18を乗り越えて外部に漏出することが生じうる。間隙30aは、尿便分離部材60の左右両側に隣接して設けられている。これは、尿便分離部材60の上面を伝わった尿が外部へと漏れる問題を防止するためである。
吸収体物品100aにおいては、尿便分離部材60が一対の側部14a及び便受容シート70の先端部と結合することにより、内部空間Sが、前側から便受容シート70の下側に至る尿吸収用空間と後側の便受容シート70の上側の便収容用空間とに分離しており、尿吸収用空間には、吸収体20aが配置されている。すなわち、吸収体物品100aは、その後部において、防漏体10aの上に吸収体20aを介して便受容シート70を有し、防漏体10a上の吸収体20aで尿を吸収し、便受容シート70の上側で便を収容するという「二階建て構造」となっている。
尿便分離部材により内部空間Sを、尿吸収用空間と便収容用空間とに分離させることにより、尿便分離処理が可能となる。その結果、尿と便とが混じり合って、臭いが強くなったり、かぶれが発生しやすくなったりするなどの問題をなくすことができる。尿吸収用空間と便収容用空間との分離は、完全であるのが好ましいが、両者がつながっていても、その部分がわずかであれば、又は、尿が拡散しにくい吸収体を用いれば、実質的に尿便分離処理が可能となる。
尿便分離部材支持バンド62は、一対の側部14aの内側に張り出した部分である上縁部16aに沿って設けられたギャザー状のバンドであり、その下端部が上縁部16aに結合している。尿便分離部材支持バンド62は、前後方向の中央部において、尿便分離部材60と結合して、尿便分離部材60を支持している。
上縁部16aと尿便分離部材60との位置関係は、前後方向の中央部において、空隙30aを有し、それ以外の部分ではほぼ接触している。
吸収体物品100aにおいては、一対の尿便分離部材支持バンド62により、ほぼ長方形のかたちの間隙が形成されている。
便受容シート70は、例えば、疎水性SMS不織布(例えば、目付量15g/m2)からなり、便受容シート70の左右両端と防漏体10aの内面とが接着剤等によって、未結合部を残すように部分的に結合している。未結合部が残っているため、水様便等の極めて流動性の高い軟便が排出された場合には、軟便は、便受容シート70の左右両側から未結合部を経由してその下側に存在する吸収体20aへと移動して吸収される。
吸収体物品100aは、更に、防漏体10aの底面部12aと一対の側部14aの前端から上部の前側にかけての部分とに結合して、防漏体10aの前側の開口を閉鎖する前方防漏体80、及び、防漏体10aの底面部12aと一対の側部14aの後端から上部の後側にかけての部分とに結合して、防漏体10aの後側の開口を閉鎖する後方防漏体82を具備し、前方防漏体80及び後方防漏体82の上側から前記内部空間への体液の移動をそれぞれ可能とする液移動性構造が設けられている。
したがって、吸収体物品100aは、本発明の第2の態様の吸収体物品にも該当する。
本発明の吸収体物品100aにおいて、前方防漏体80及び後方防漏体82は、防漏体10aと結合して袋状になっている。これにより、前方防漏体80は、排出された尿が、防漏体10aの前側の開口から、外部へ漏れることを防止する。また、後方防漏体82は、排出された尿及び便が、防漏体10aの後の開口から、外部へ漏れることを防止する。
これらの液移動性構造は、前方防漏体80及び後方防漏体82のそれぞれに設けられた液透過性部であり、より具体的には、前方防漏体80及び後方防漏体82のそれぞれに設けられた長方形の開口32及び34である。
排出された尿のうち一部が前方防漏体80及び後方防漏体82の上側に移動した場合、その全量又は大部分は、開口32及び34を通過することにより、前方防漏体80及び後方防漏体82の上側から内部空間Sへと移動し、吸収体20aに吸収される。したがって、尿が前方防漏体80及び後方防漏体82の上側に存在することによる体表面の濡れを抑制し、また、尿の外部への漏れを防止することができる。
図3に示されるように、液透過性部が前方防漏体及び後方防漏体に設けられた横に長い長方形の開口であると、着用者の肌を伝わって前方防漏体及び後方防漏体の上に移動した尿を、幅方向の広い範囲にわたって確実に内部空間へ移動させることができる。
したがって、本発明の吸収体物品が尿便分離部材を具備する場合は、尿が上縁部の上側、更には前方防漏体及び/又は後方防漏体の上側に存在することによる体表面の濡れを抑制し、また、尿の外部への漏れを防止する必要性が大きく、液移動性構造が奏する効果も大きい。
吸収体物品100aの前端部付近及び後端部付近には、それぞれウエストバンド50aが配置されている。ウエストバンド50aは、吸収体物品100のウエストバンド50と同様のものとすることができる。吸収体物品100aは、図3に示される前後のウエストバンド50aの左右両端同士において前身頃と後身頃とが結合しており、ウエストホールを形成している。
したがって、吸収体物品100bは、本発明の第1の態様の吸収体物品であるが、後述するように、本発明の第2の態様の吸収体物品にも該当する。
底面部12bは、折りたたまれて逆Ω字型の横端面を有しており、その両側の端部が側部14bの端部と結合している。底面部12bが折りたたまれていることにより、大量の尿が排出された場合でも保持する容積を確保することができる。
一対の側部14bは、底面部12bの左右両側の端部から、上側に立ち上がり、内側に張り出している。
側部14bの内側に張り出した部分である上縁部16bは、その端部が外側に曲がって縁部形状保持部材18aを形成している。縁部形状保持部材18aは、着用者の肌に接触するように配置されている。縁部形状保持部材18aは、吸収体物品100aの縁部形状保持部材18と基本的に同じである。
防漏体10bの材質としては、防漏体10の材質と同様のものを用いることができる。
底面部12bと一対の側部14bとにより、内部空間Sが形成されている。内部空間Sには、吸収体20bが配置されている。
ガイドシート22aは、吸収体物品100aのガイドシート22と基本的に同じである。
図5及び図6に示される吸収体物品100bにおける液移動性構造は、側部14bの上縁部16bに設けられた液透過性部であり、より具体的には、側部14bの上縁部16bに設けられた長方形の開口30bである。
開口30bの機能は、吸収体物品100の開口30の機能と同じである。具体的には、尿が上縁部16b(より具体的には、上縁部16bの端部にある縁部形状保持部材18a)の上側に存在することによる体表面の濡れを抑制し、また、尿の外部への漏れを防止する機能である。この機能は、上縁部16bの端部にある縁部形状保持部材18aの上側に存在する尿が、その外側で、かつ、前後方向の中央部に存在する開口30bを通過することにより、上縁部16bの上側から内部空間Sへと移動し、吸収体20bに吸収されることにより実現される。
吸収体物品100bにおいては、尿便分離部材60aが一対の側部14b及び便受容シート70aの先端部と結合することにより、内部空間Sが、前側から便受容シート70aの下側に至る尿吸収用空間と後側の便受容シート70aの上側の便収容用空間とに分離しており、尿吸収用空間には、吸収体20bが配置されている。すなわち、吸収体物品100bは、その後部において、防漏体10bの上に吸収体20bを介して便受容シート70aを有し、防漏体10b上の吸収体20bで尿を吸収し、便受容シート70aの上側で便を収容するという「二階建て構造」となっている。
便受容シート70aは、吸収体物品100aの便受容シート70と基本的に同じである。
したがって、吸収体物品100bは、本発明の第2の態様の吸収体物品にも該当する。
これらの液移動性構造は、前方防漏体80a及び後方防漏体82aのそれぞれに設けられた液透過性部であり、より具体的には、前方防漏体80a及び後方防漏体82aのそれぞれに設けられた長方形の開口32a及びスリット状の二つの開口34aである。後方防漏体82aに設けられたスリット状の二つの開口34aは、ウエストバンド50bを貫通している。
開口32a及び34aの機能は、吸収体物品100aの開口32及び34の機能と同じである。
図5に示されるように、液透過性部が後方防漏体に設けられた前後2列のスリット状の開口であると、1列目(前側のもの)で尿の透過が十分に行えなくても、2列目で確実に尿を透過させて、外部への漏れを防止することができる。また、開口をスリット状とすることにより、開口面積を狭くすることができるので、下側から尿が逆流することを効果的に防止することができる。
吸収体物品100bの後端部付近には、ウエストバンド50bが着用者の肌に接触する側に配置されている。ウエストバンド50bは、吸収体物品100のウエストバンド50と同様である。
ウエストバンド50bの左右両端には、フック材52aが設けられ、防漏体10bの前部の下側に設けられたループ材54と着脱可能になっている。吸収体物品100bは、着用時に、フック材52bとループ材54とが結合してウエストホールを形成する。
本発明の第3の態様の吸収体物品は、底面部と、前記底面部の左右両側から上側に立ち上がり、内側に張り出した一対の側部とを有し、前記底面部と前記一対の側部とにより内部空間を形成している、シート状の防漏体と、前記内部空間に少なくとも1層配置された、高吸水性樹脂を含有し体液を吸収しうる吸収体と、前記内部空間の前身頃部において、排出された尿の流れが直接当たる位置に配置され、尿が排出された場合に尿の流れが当たった位置から他の位置に移動させる液ガイドユニットとを具備し、前記液ガイドユニットの上側から前記内部空間の他の位置への体液の移動を可能とする液移動性構造が設けられている、吸収体物品である。
この液移動性構造は、液ガイドユニット90に設けられた液透過性部であり、より具体的には、液ガイドユニット90に設けられたほぼ長方形の開口36である。
液ガイドユニット90の上側に排出された尿は、大部分が液ガイドユニット90の上を後方に移動し、防漏体10bの中央部付近まで移動するが、体位、排出量等によっては、一部が前方に移動することがある。この場合、その全量又は大部分は、開口36を通過することにより、液ガイドユニット90の上側から内部空間Sへと移動し、吸収体20cに吸収される。したがって、尿が液ガイドユニット90の上側に存在することによる体表面の濡れを抑制し、また、尿の外部への漏れを防止することができる。
図7に示されるように、液透過性部が液ガイドユニットに設けられたほぼ長方形の開口であると、長方形の縦横の長さ及び前端部からの距離を適正化することにより、尿の前方への移動を防止し、下側にある吸収体へと尿を誘導することができる。
前方防漏体80b及び後方防漏体82bは、それぞれ吸収体物品100aの前方防漏体80及び後方防漏体82と基本的に同じであるが、開口32及び34を有しない点で異なる。
また、各実施形態における各部の構成を任意に組み合わせて、別の実施形態とすることもできる。
本発明の吸収体物品において、液移動性構造として液移動性部材が設けられていると、体液を比較的離れた位置まで移動させることができる。
液透過性部材の内部空間の側の端部の付近に前記吸収体が存在するのが好ましい態様の一つである。これにより、液透過性部材を通じて内部空間へと移動した体液を吸収体により速やかに吸収することができる。
液移動性部材は、その全部又は一部が親水性であるのが好ましい。液移動性部材に用いられる親水性の材料としては、例えば、レーヨン、コットン不織布、ガーゼが挙げられる。
Claims (12)
- 底面部と、前記底面部の左右両側から上側に立ち上がり、内側に張り出した一対の側部とを有し、前記底面部と前記一対の側部とにより内部空間を形成している、シート状の防漏体と、
前記内部空間に少なくとも1層配置された、高吸水性樹脂を含有し体液を吸収しうる吸収体と
を具備し、
前記側部の内側に張り出した部分である上縁部の上側から前記内部空間への体液の移動を可能とする液移動性構造が設けられている、吸収体物品。 - 前記液移動性構造として、前記上縁部に液透過性部が設けられている、請求項1に記載の吸収体物品。
- 前記液透過性部の下に前記吸収体が存在する、請求項2に記載の吸収体物品。
- 前記液透過性部が開口である、請求項2又は3に記載の吸収体物品。
- 底面部と、前記底面部の左右両側から上側に立ち上がり、内側に張り出した一対の側部とを有し、前記底面部と前記一対の側部とにより内部空間を形成している、シート状の防漏体と、
前記内部空間に少なくとも1層配置された、高吸水性樹脂を含有し体液を吸収しうる吸収体と、
前記防漏体の前記底面部と前記一対の側部の前端から上部の前側にかけての部分とに結合して、前記防漏体の前側の開口を閉鎖する前方防漏体、及び/又は、前記防漏体の前記底面部と前記一対の側部の後端から上部の後側にかけての部分とに結合して、前記防漏体の後側の開口を閉鎖する後方防漏体と
を具備し、
前記前方防漏体及び/又は前記後方防漏体の上側から前記内部空間への体液の移動を可能とする液移動性構造が設けられている、吸収体物品。 - 前記液移動性構造として、前記前方防漏体及び/又は前記後方防漏体に液透過性部が設けられている、請求項5に記載の吸収体物品。
- 前記液透過性部の下に前記吸収体が存在する、請求項6に記載の吸収体物品。
- 前記液透過性部が開口である、請求項6又は7に記載の吸収体物品。
- 底面部と、前記底面部の左右両側から上側に立ち上がり、内側に張り出した一対の側部とを有し、前記底面部と前記一対の側部とにより内部空間を形成している、シート状の防漏体と、
前記内部空間に少なくとも1層配置された、高吸水性樹脂を含有し体液を吸収しうる吸収体と、
前記内部空間の前身頃部において、排出された尿の流れが直接当たる位置に配置され、尿が排出された場合に尿の流れが当たった位置から他の位置に移動させる液ガイドユニットと
を具備し、
前記液ガイドユニットの上側から前記内部空間の他の位置への体液の移動を可能とする液移動性構造が設けられている、吸収体物品。 - 前記液移動性構造として、前記液ガイドユニットに液透過性部が設けられている、請求項9に記載の吸収体物品。
- 前記液透過性部の下に前記吸収体が存在する、請求項10に記載の吸収体物品。
- 前記液透過性部が開口である、請求項10又は11に記載の吸収体物品。
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