JPWO2009001424A1 - ガス分解装置 - Google Patents

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Abstract

温室効果ガスおよび悪臭ガスの資化に伴って発生する空気より軽いガスと空気より重いガスを効率よく同時に排出するガス分解装置を提供する。ガス分解装置本体1は、密閉された金属製の円筒又は角筒であり、その上部に上部排出口7が設けられ、下部には下部排出口8が設けられ、且つ上部排出口7と下部排出口8の中間に位置してガス導入口6が設けられている。【選択図】 図1

Description

本発明は、光合成細菌及び/又は細菌等による二酸化炭素(CO)固定メカニズム及び生物学的脱臭メカニズムを利用したガス分解装置に係り、光合成細菌及び/又は細菌等の生育増殖促進に際して発生する可燃性ガスをその比重に応じて排出する特徴と、光合成細菌及び/又は細菌等の生育増殖促進と二酸化炭素(CO)固定促進能力及び悪臭ガス分解能力を高めるために散水器と光源とを設けたガス分解装置に関する。
環境に悪影響を及ぼすガスとして、温室効果ガスや悪臭ガスが社会的に大きく問題となっている。従来、例えば、生ごみ処理に際して発生する悪臭、食品工場やし尿処理場等から発生する悪臭、或いはバキュームカーから発生する悪臭を除去する方法として、生物学的脱臭方法が知られている。悪臭成分の主なものは、硫化水素、アンモニア、メチルメルカプタン等である。また、温室効果ガスについては、1998年に制定された「地球温暖化対策の推進に関する法律」の中で、二酸化炭素、メタンガス、一酸化二窒素、代替フロン等の6種類のガスが削減対象として定義され、排出量削減が世界的に推進されているが、従来、例えば温室効果ガスである二酸化炭素(CO)除去の方法としては、植物による光合成と二酸化炭素(CO)を液体にして地中に埋設する方法しか知られていない。
生物学的ガス分解方法を利用した脱臭装置としては、光合成細菌及び/又は細菌等を利用する装置が代表的である。光合成細菌を利用する脱臭装置は、光によって活性化する光合成細菌を多孔質材、竹炭、腐葉土等に光合成細菌を付着させて菌床剤層を形成し、この菌床剤層に十分な光量の光を照射する環境下において悪臭ガスを通過させることにより温室効果ガスもしくは悪臭ガスを除去する構成である(特許文献1参照)。
一方、細菌を利用するガス分解装置は、多孔質材、竹炭、腐葉土等に細菌を付着させて菌床剤層を形成し、この菌床剤層に栄養水分を供給しつつ温室効果ガスもしくは悪臭ガスを含むガスを通過させて、温室効果ガスもしくは悪臭ガスを除去する構成である。上記いずれの方式のガス分解装置においても温室効果ガスもしくは悪臭ガスが分解される過程で、空気より軽い水素ガスと共に空気より重いブタンガス等が生成される。これらの水素ガス、ブタンガスはいずれも可燃性を有する。
また、生物学的ガス分解方法を利用した生物学的温室効果ガス固定除去装置としては、例えば特開2000−32004号公報に開示されるものがある。この背景技術を図13に従来のガス分解装置の概略構成断面図として示す。従来のガス分解装置は、上面に凹部を形成してなる基板101aと、前記凹部にラン藻培養層を供給するラン藻培養層供給管(光合成微生物培養層供給手段)101bと、前記凹部の底部に開口するラン藻培養層排出管101cと、ラン藻培養層排出管101cにおけるラン藻培養層の排出量を規定するラン藻培養層排出バルブ101dとを備え、二酸化炭素分解機能付き建築物用外装材101(屋上用外装材)として構成されるものである(特許文献2参照)。
また、例えば特開2001−62248号公報に開示されるものがある。この背景技術を図14に従来のガス分解装置の概略構成断面図として示す。従来のガス分解装置は、排ガスを微生物の適するpH5〜9に調整する排ガスpH調整手段214と微生物の適する温度40℃〜50℃に調整する排ガス温度調整手段216を排ガス導入管218の導入口213に近接する位置に連設し、この排ガス導入管218の排ガス放出側に形成される分解槽201に生物処理反応手段を構設し、この分解層201を所要数を並列に設置する構成である。それぞれの分解槽201に分岐される排ガス導入管218とこの分解槽201内部を排ガス散布枝管221を横貫して洞貫する排ガス散布本管220を接続する。分解槽201底盤に近接する所定箇所に空気注入管224を長手方向に設ける。分解槽201の長手方向側壁の上面上に移動して空気と水を補充する菌床調整機230を設ける。分解槽201の生物処理反応手段の合成土壌238内に排ガスを散布して生物処理反応手段に汚染物質を吸着させる。吸着した汚染物質を微生物で分解処理する(特許文献3参照)。
特開2004−195423号公報 特開2000−320041号公報 特開2001−62248号公報
しかしながら、上記従来のガス分解装置では、いづれも処理されたガスの排出口が単一であるため、空気より軽い水素ガスと空気より重いブタンガス等を効率よく排出することができなかった。本発明は上記従来の課題を解決すべく創案されたものであって、温室効果ガス及び悪臭ガスの資化に伴って発生する空気より軽いガスと空気より重いガスを効率よく同時に排出することができるガス分解装置を提供することを目的とする。また、温室効果ガスである二酸化炭素(CO)除去は、実際には植物による光合成のみの二酸化炭素(CO)固定除去しかなく、年々増加する二酸化炭素(CO)排出量を削減することは出来ていない。
上記課題を解決するために、請求項1に記載の発明は、特定のガス成分を選択し分解する細菌を含有する菌床剤層が内部に収納され、ガス導入口から当該特定のガス成分を含有する分解対象ガスが導入される筒体状ガス分解装置本体を備え、当該ガス分解装置本体の上部に上部排出口が設けられ、且つ下部に下部排出口が設けられていることを特徴とする。
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載のガス分解装置において、前記特定のガス成分が、温室効果ガスもしくは悪臭ガスであることを特徴とする請求項3に記載の発明は、請求項1または2に記載のガス分解装置において、前記ガス導入口は前記上部排出口と下部排出口との中間部に設けられていることを特徴とする。
請求項4に記載の発明は、前記請求項1〜3のいずれか一項に記載のガス分解装置において、前記菌床剤層は、前記ガス導入口と上部排出口との間に設けられた上部菌床剤層と、前記ガス導入口と下部排出口との間に設けられた下部菌床剤層と、を備えていることを特徴とする。
請求項5に記載の発明は、前記請求項4に記載のガス分解装置において、前記上部菌床剤層又は下部菌床剤層は、複数の菌床剤層ユニットが層状に重ねられ、その層数を増減調節可能に設けられていることを特徴とする。
請求項6に記載の発明は、前記請求項1〜5のいずれか一項に記載のガス分解装置において、少なくとも前記ガス導入口、上部排出口または下部排出口のいずれかに送風ファンが設けられていることを特徴とする。
請求項7に記載の発明は、前記請求項1〜6のいずれか一項に記載のガス分解装置において、前記ガス分解装置本体は複数に分離可能に接続され、前記ガス分解装置本体の内部には当該ガス分解装置本体内に着脱可能な菌床剤層ユニットが収納されていることを特徴とする。
請求項8に記載の発明は、前記請求項1〜7のいずれか一項に記載のガス分解装置において、前記ガス導入口に、ガス分解装置本体側からガス導入口への前記分解対象ガスの逆流を防止する逆流防止装置が設けられていることを特徴とする。
請求項9に記載の発明は、請求項8に記載のガス分解装置において、前記逆流防止装置は、液体が充填され上部空間がガス分解装置本体内に連通されたタンクと、当該タンクの下部に設けられ前記分解対象ガスが供給される多孔性のガス噴出器と、を備えていることを特徴とする。
請求項10に記載の発明は、請求項8に記載のガス分解装置において、前記逆流防止装置は、前記ガス導入口において前記分解対象ガスの上流側から下流側への流れ方向のみ開く逆止弁であることを特徴とする。
請求項11に記載の発明は、請求項1〜10のいずれか一項に記載のガス分解装置において、前記ガス分解装置本体の内部上部に散水器が設けられ、当該散水器に光合成細菌及び/又は細菌等を含有する液体が充填されたタンク又は水を供給する水道管が接続されていることを特徴とする。
請求項12に記載の発明は、請求項1〜10のいずれか一項に記載のガス分解装置において、前記ガス分解装置本体内部の菌床剤層収納の上部に光源が設けられたことを特徴とする。
請求項13に記載の発明は、請求項1〜10のいずれか一項に記載のガス分解装置において、前記ガス分解装置本体内部の菌床剤層収納の上部と菌床剤層側面と又菌床剤層内の菌床剤内部まで光が照射するよう、前記ガス分解装置の側面に光源が設けられたことを特徴とする。
請求項14に記載の発明は、請求項1〜13のいずれか一項に記載のガス分解装置において、前記ガス分解装置本体は水平方向に長く形成され、その長手方向中央部にガス導入口が設けられ、両端部の各上部に上部排出口及び下部排出口が設けられ、ガス導入口と各上部及び下部排出口との間のそれぞれに菌床剤層が設けられていることを特徴とする。
請求項15に記載の発明は、請求項1に記載のガス分解装置において、
前記ガス分解装置本体の下部に仕切り壁によって少なくとも二つの分室が形成され、その一方の分室にガス導入口が設けられ、他方の分室に下部排出口が形成され、前記ガス分解装置本体の上部と前記一方の分室との間に菌床剤層が設けられ、且つ前記ガス分解装置本体の上部に上部排出口が設けられていることを特徴とする。
請求項16に記載の発明は、請求項1〜15のいずれか一項に記載のガス分解装置において、温室効果ガスを固定除去する細菌もしくは悪臭ガスを分解する細菌は、光合成細菌であることを特徴とする。
請求項17に記載の発明は、請求項1〜15のいずれか一項に記載のガス分解装置において、温室効果ガスを固定除去する細菌もしくは悪臭ガスを分解する細菌は、化学独立栄養生物細菌であることを特徴とする。
請求項18に記載の発明は、請求項1〜15のいずれか一項に記載のガス分解装置において、温室効果ガスを固定除去する細菌もしくは悪臭ガスを分解する細菌は、光合成細菌及び化学混合栄養生物細菌及び化学従属栄養生物細菌とを混合培養したことを特徴とする。
請求項19に記載の発明は、請求項1〜18のいずれか一項に記載のガス分解装置において、前記菌床剤層に、氷砂糖もしくは固形牛乳等の栄養剤が配置されるとともに、ラクトバチルス・アシドフィルス、ラクトバチルス・ブランタム、ラクトバチルス・ブレビス、ラクトバチルス・サリバリウス、ラクトバチルス・ペントース、ラクトバチルス・ロイテリ、ラクトバチルス・カゼイ等の乳酸菌が、1種類もしくは2種類以上配置されることを特徴とする。
請求項1〜18に記載の発明によれば、温室効果ガスもしくは悪臭ガスの資化に伴って発生する、空気より軽いガスと空気より重いガスを効率よく同時に排出することができる。また、細菌類が、細胞を作り上げるために温室効果ガスもしくは悪臭ガスを炭素源として取り入れることにより発生する、空気より軽い可燃性ガスもしくは空気より重い可燃性ガスが、菌床剤層に空気中浮遊の雑菌、又は菌床剤、菌床剤層取扱い中に雑菌が付着することも考えられ、その雑菌の働きにより空気より軽いガスと空気より重いガスが発生すれば効率よく同時に排出することができる。また、光合成細菌の他に化学混合栄養生物細菌及び化学従属栄養生物細菌とを混合培養することにより、光合成細菌が、単独で使用される場合に比べて高いガス分解能力を発揮することができる。また、栄養剤として氷砂糖もしくは固形牛乳を乳酸菌と共に加えることにより、氷砂糖もしくは固形牛乳が、乳酸菌による反応で乳酸に変化して効率よく光合成細菌に栄養を与えることができる。さらに、光合成細菌が、乳酸のような酸化レベルの低い基質との共存、すなわち還元力の過剰が共存する場合に、非サイクリック電子伝達系が作動することにより、二酸化炭素(CO)の固定反応が強く促進(約3倍)されるという利点も得られ、高いガス分解能力を発揮することができる。
本発明の第1の実施形態を示す断面図である。 上部排出口及び下部排出口の変形例を示す断面図である。 上部排出口及び下部排出口の他の変形例を示す断面図である。 水溜の例を示す断面図である。 送風ファンを設けた例を示す断面図である。 本発明の第2の実施形態を示す断面図である。 本発明の第3の実施形態を示す断面図である。 本発明の第4の実施形態を示す断面図である。 本発明の第5の実施形態を示す断面図である。 本発明の第6の実施形態を示す断面図である。 本発明の第7の実施形態を示す断面図である。 本発明の第8の実施形態を示す断面図である。 従来のガス分解装置の概略構成断面図である。 従来のガス分解装置の概略構成断面図である。
符号の説明
1 ガス分解装置本体
2 上部排気室
3 上部菌床剤層
4 下部菌床剤層
5 下部排気室
6 ガス導入口
7 上部排出口
8 下部排出口
9 悪臭ガス(または温室効果ガス)
10 水素ガス
11 ブタンガス
12、13 支持部
15〜22 光源
23、24 メッシュ材
25 水溜
26〜28 送風ファン
29 菌床剤層ユニット
30 係止部
31 菌床剤層ユニット
32 係止部
33 連結部
34 連結部
35、36 固定具
37 菌床剤層
38 排気室
39 菌床剤層
40〜42 排気室
43 脱臭層
44、45 吸気室
46 逆流防止フィルタ
47 培養液
48 排気室
49 ポンプ
50 給送パイプ
51 多孔性のガス噴出器
52 逆止弁
53 溶液タンク
54 培養液
55 給送パイプ
56 散水器
57 散水58 仕切り壁
59 保温層
60 ポンプ
〔第1の実施形態〕
本発明の第1の実施形態を図1〜図5に示す。同図に示すように、温室効果ガス固定除去装置本体1は、密閉された金属製の円筒又は角筒であり、その上部に上部排出口7が設けられ、下部には下部排出口8が設けられ、且つ上部排出口7と下部排出口8の中間に位置してガス導入口6が設けられている。
温室効果ガス固定除去装置本体1の内部において、その上方に上部排気室2を存して支持部12により支持された上部菌床剤層3が収納され、下方には支持部13により支持された下部菌床剤層4が収納され、下方には5が設けられている。上部排気室2は上部排出口7に連通され、下部排気室5は排出ガス11に連通されている。
上部菌床剤層3は、下面に敷設された通気性を有するメッシュ材23により支持されており、光合成細菌が付着された多孔質材、竹炭、腐葉土等に光合成細菌が付着された温室効果ガス分解材が充填されてなる。光合成細菌としては、紅色非硫黄細菌、紅色硫黄細菌、緑色硫黄細菌、滑走性糸状緑色硫黄細菌等が用いられる。光合成細菌の光合成に関する反応式を以下に示す。
(紅色または緑色硫黄細菌の関与する反応)
(1) CO2 + 2H2S + (光) → CH2O + H2O+ 2S
(2) S + CO2 + 3H2O + (光) → CH2O + H2SO4+ H2
(3) 2CO2 + NaS2O3 + 3H2O + (光) → 2{CH2O}+ Na2SO4 + H2SO4
(紅色非硫黄細菌の関与する反応)
(4) CO2 + 2H2Acceptor + (光) →{CH2O}+ H2O + 2Acceptor
(5) C4H7O2Na + 2H2O + 2CO2 + (光) → 5{CH2O}+ NaHCO3
(6) C4H6O5 + H2O + (光) →{CH2O}2+ 2CO2 + 2H2
同様に、下部菌床剤層4は、下面に敷設された通気性を有するメッシュ材24により支持され、光合成細菌が付着された多孔質材、竹炭、腐葉土等の菌床に光合成細菌が付着された温室効果ガス分解物(例えば、光合成細菌が培養された液体又は流動体)が充填されてなる。温室効果ガス分解材は3のものと同様である。温室効果ガス固定除去装置本体1内の所定位置には、光源15〜22は配置されている。これらの光源15〜22は、光によって活性化する光合成細菌に充分な光量の光を照射するためである。
なお、図2に示すように、上部排出口7を上方に向けて配置し、また下部排出口8を下方に向けても良い。また、図3に示すように、上部排出口7を互いに反対方向を向くように例えば2箇所設けても良く、また下部排出口8も同様に互いに反対方向を向くように例えば2箇所設けても良い。さらに、上部菌床剤層3及び/又は下部菌床剤層4は光合成細菌を付着させたものとして説明したが、上部菌床剤層3として光合成細菌を用いた菌床剤層とし、下部菌床剤層4として細菌を用いた菌床剤層とすることも可能であり、またその逆の組合せとしても良い。細菌としては、化学独立栄養生物細菌、化学混合栄養生物細菌、化学従属栄養生物細菌等が用いられる。また、光合成細菌とそれぞれ混合して、菌床剤に付着しても良い。さらに、氷砂糖又は固形牛乳を栄養剤として、乳酸菌と共に菌床剤に付着しても良い。
図4は、温室効果ガス固定除去装置本体1の底部に水溜25を設けた例を示している。すなわち、上部菌床剤層3及び/又は下部菌床剤層4に光合成細菌及び/又は細菌等の培養液を供給した場合に水分が適下されるので、その水分を受ける必要があるが、この図4の例は水溜25を矢印で示す方向に可動として引き出し上に形成した例である。この構成により、適宜水分を排気することができる。
図5は、ガス導入口6に送風ファン26、上部排出口7に送風ファン27、更に下部排出口8に送風ファン28をそれぞれ設け、温室効果ガス9を強制的に導入し且つ排気する例を示している。この構成により、温室効果ガス固定除去装置本体1内の流体抵抗に抗して温室効果ガスの流れを円滑にし、温室効果ガスの除去効率を高めることができる。
以上の構成において、光源15〜22の点灯させた状態で、ガス導入口6から温室効果ガス9を導入し、上部菌床剤層3及び下部菌床剤層4を通過させ、温室効果ガス9の二酸化炭素(CO)を、細胞を作り上げるための炭素源としての取り入れに伴って固定除去できる。又、菌床剤に、光合成細菌、化学独立栄養生物細菌、化学混合栄養生物細菌、化学従属栄養生物細菌を付着させるため、温室効果ガスの固定除去に伴って空気より軽い可燃性ガスである水素ガス、及び空気より重い可燃性ガスであるブタンガスが発生する。このとき、空気より軽い水素ガス10は上部排気室2を経由して上部排出口7から排出され、空気より重いブタンガス11は下部排気室5を経由して下部排出口8から排出される。
このように、空気より軽い水素ガス10と空気より重いブタンガス11を同時に排出することができる。したがって、これらの可燃性ガスが温室効果ガス固定除去装置本体1内に滞留することを防止することができ、安全性の向上に資することとなる。
〔第2の実施形態〕
本発明の第2の実施形態を図6に示す。この実施形態は、温室効果ガス固定除去装置本体1をその軸方向に複数に分解可能とし、且つ上部菌床剤層3及び下部菌床剤層4を着脱可能にユニット化した例である。なお、この第2の実施形態において、第1の実施形態(図1〜5)と重複もしくは同様な部分には同一の符号を付して詳細な説明を省略する。
図6に示すように、温室効果ガス固定除去装置本体1は上部ユニット1A、中間部ユニット1B、下部ユニット1Cの三つのユニットで構成され、それぞれの連結部33、34において固定具35、36により連結固定される構成である。
なお、上部ユニット1A、中間部ユニット1B、下部ユニット1Cは、その接続端部に雄雌一対のネジ部(図示せず)を形成し、互いに螺合するようにしても良い。
このように構成することにより、上部菌床剤層3や下部菌床剤層4の入れ替え、光合成細菌の補充、交換等のメンテナンスを簡単に行なうことができる。
〔第3の実施形態〕
本発明の第3の実施形態を図7に示す。この実施形態は、横長の温室効果ガス固定除去装置本体1を水平方向(横向き)に設置可能とし、ガス導入口6を左右に流すように構成した例である。なお、この第3の実施形態において、第1の実施形態(図1〜5)と重複もしくは同様な部分には同一の符号を付して詳細な説明を省略する。
図7に示すように、水平方向に設置された温室効果ガス固定除去装置本体1の長手方向左右のそれぞれに上部排出口7及び8が設けられ、且つ長手方向中央部にガス導入口6が設けられている。ガス導入口6と各上部排出口7及び下部排出口8との間には、菌床剤層37、39がそれぞれ収納されている。菌床剤層37、39には、上部菌床剤層3又は下部菌床剤層4(図1参照)と同様に、光合成細菌(又は細菌との組み合わせ)が付着された多孔質材、竹炭、腐葉土等からなる温室効果ガス分解材が用いられる。また、図示してないが、温室効果ガス固定除去装置本体1の内部には光合成細菌を活性化させるための光源が設けられている。
以上の構成において、ガス導入口6から流入する温室効果ガス(CO)9は吸気室45を経て菌床剤層37,39を通過する際に光合成細菌により固定除去される。その際に生成された空気より軽い水素ガス10は上部排出口7から排出され、また空気より重いブタンガス11は下部排出口8から排出される。
このように構成することにより、設置場所が特定されるような場所にも本発明の適用が可能となり、空気より軽い水素ガス10を排出すると同時に空気より重いブタンガス11も排出することができる。
〔第4の実施形態〕
本発明の第4の実施形態を図8に示す。この実施形態は、脱臭層43(前記第1〜第3の実施形態における菌床剤層)を単一とし、さらに悪臭ガスの脱臭を目的とした例である。ここに言う単一とは、脱臭層431自体が一つという意味であって、その内部が複数の層で形成されていることを妨げるものではない。なお、この第4の実施形態において、第1の実施形態(図1〜5)と重複もしくは同様な部分には同一の符号を付して詳細な説明を省略する。
図8に示すように、脱臭装置本体1の下部に仕切り壁58によって少なくとも二つの分室(吸気室44、排気室42)が形成されている。その一方の分室である吸気室44に連通してガス導入口6が設けられ、他方の分室である排気室42に連通して下部排出口8が形成されている。脱臭装置本体1の上部の形成された排気室41と吸気室44との間には脱臭層43が設けられ、且つ脱臭装置本体1の上部に上部排出口7が設けられている。なお、図示してないが、脱臭装置本体1の内部には光合成細菌を活性化させるための光源が設けられている。
以上の構成において、ガス導入口6から導入された悪臭ガス9は脱臭層43を経て一旦排気室41に出るが、空気より軽い水素ガス10は上部排出口7から排出され、空気より重いブタンガス11は排気室42を経由して下部排出口8に導かれ排出される。このように、単一の脱臭層43を用いた構成とすることにより、脱臭装置を小型化することが可能となる。その結果、可搬性をもたせることができるから、例えばバキュームカー等の移動車輌に搭載する等、その用途が広汎なものとなる。
〔第5の実施形態〕
本発明の第5の実施形態を図9に示す。この実施形態は、菌床剤層を複数の層で構成した例を示している。なお、この第5の実施形態において、第1の実施形態(図1〜5)と重複もしくは同様な部分には同一の符号を付して詳細な説明を省略する。すなわち、図9に示すように、ガス分解装置本体1内に収納された上部菌床剤層3は、複数の菌床剤層3A、3B及び3Cから成り、同様に下部菌床剤層4も複数の菌床剤層4A、4B及び4Cから成る。
複数の菌床剤層3A、3B及び3Cは、例えば、菌床剤層3A、3Cを光合成細菌付着層とし、3Bを光合成細菌と細菌の混合付着層としての組み合わせで各層を構成しても良いし、或いは菌床剤層の数を温室効果ガス9の濃度の度合いに応じて増減するように調整することができる。なお、図示してないが、温室効果ガス固定除去装置本体1の内部には光合成細菌を活性化させるための光源が設けられている。本実施形態によれば、温室効果ガス9の濃度及び排出量の度合いに応じた組み合わせが可能となり、種々の大きさに対応することができる。
〔第6の実施形態〕
本発明の第6の実施形態を図10に示す。この実施形態は温室効果ガス固定除去装置本体1からガス導入口6側への温室効果ガス9の逆流を防止すると共に、温室効果ガス固定除去装置本体1に温室効果ガス9を導入する前に温室効果ガス9に対する予備的な除去処理を施すようにしたものである。なお、この実施形態において、第1の実施形態(図1〜5)と重複もしくは同様な部分には同一の符号を付して詳細な説明を省略する。
図10に示すように、ガス導入口6は逆流防止フィルタ46を介して温室効果ガス固定除去装置本体1に接続されている。逆流防止フィルタ46は水槽であり、内部に光合成細菌及び/又は細菌等の培養液47が充填されている。逆流防止フィルタ46の底部には多孔性のガス噴出器が配置され、ポンプ49によって強制的に送られる温室効果ガス9を培養液47を通過させる際に予備的に温室効果ガス固定除去処理を施すようになっている。50は温室効果ガス9の給送パイプである。その他の構成は第1の実施形態(図1〜5)と同様である。
以上の構成において、ガス導入口6から導入された温室効果ガス9はポンプ49によって給送パイプ50を介し多孔性のガス噴出器に強制的に送られる。送られた温室効果ガス9は多孔性のガス噴出器において泡状に培養液47内を通過し、排気室48を経て温室効果ガス固定除去装置本体1の吸気室45内に送られる。このとき吸気室45内のガスは培養液47によってガス導入口6と遮断され、且つポンプ49の強制送気によりガス導入口6側に逆流することが防止される。
このように、本実施形態によれば、温室効果ガス9の予備処理及び逆流防止を実現することができる。
〔第7の実施形態〕
本発明の第7の実施形態を図11に示す。この実施形態は、菌床剤層内の光合成細菌及び/又は細菌等を最適な温度環境下に置いて活性化し、温室効果ガス成分の分解効率の向上を図ったものである。なお、この実施形態において、第1の実施形態(図1〜5)と重複もしくは同様な部分には同一の符号を付して詳細な説明を省略する。図11に示すように、温室効果ガス固定除去装置本体1の外壁に、保温層59が設けられている。
保温層59としては断熱材か、或いは図示しない温度制御装置により温度制御されるヒータが用いられる。温室効果ガス固定除去装置本体1内温度は、30〜40℃を保つのが好適である。ガス導入口6には逆止弁52が設けられ、吸気室45内のガス導入口6への逆流を防止している。
このように、本実施形態によれば、上部菌床剤層3及び下部菌床剤層4を常に最適な温度環境下におくことができるので、季節的或いは地理的な温度変化に影響を受けることなく、常に一定でしかも効率よく温室効果ガス固定除去性能を発揮させることが可能となる。
〔第8の実施形態〕
本発明の第8の実施形態を図12に示す。この実施形態は、温室効果ガス固定除去用の光合成細菌及び/又は細菌等を適宜補給するようにした例を開示する。なお、この実施形態において、第1の実施形態(図1〜5)と重複もしくは同様な部分には同一の符号を付して詳細な説明を省略する。
図12に示すように、温室効果ガス固定除去装置本体1の内部上方には散水器56が設けられている。この散水器56に給送パイプを通じて溶液タンク53が連結されている。溶液タンク53内には、光合成細菌及び/又は細菌等の培養液54が貯蔵されており、タイマー等を用いた流量制御器によりポンプ60を介して上部菌床剤層3及び下部菌床剤層4に適宜補給される。培養液54の供給補充タイミングは温室効果ガス固定除去装置本体1の規模又は大きさ等応じて決定する。なお、培養液54に代えて菌床剤層内の細菌に応じて栄養水としても良いし、通常の水をタンクないし、水道管に直結しても良いが、水道管に直結の場合、水道水に含まれる塩素を除去する必要がある。
また、図示しないが、ポンプ60や流量制御器の駆動用電源として、ソーラーパネルを溶液タンク53や温室効果ガス固定除去装置本体1に設けるか、或いはその近傍に設置しても良い。そうすることで、細菌の供給または栄養水の供給を自律的に行なうことができ、屋外に電源配線を引き回す必要がなくなる。
本実施形態によれば、細菌を適宜補給することができるため、温室効果ガス固定除去処理の安定化を図ることができる。
なお、本実施形態においては散水器56を温室効果ガス固定除去装置本体1の内部上方に設ける構成としたが、この構成に加え、上部菌床剤層3と下部菌床剤層4との間に配設することもできる。また、前記上方及び中間の散水器をまとめてガス導入口6の近傍に配設し、温室効果ガス9自体の湿度過多状態にして上部菌床剤層3と下部菌床剤層4へ供給する構成とすることもできる。このように温室効果ガス固定除去装置本体1内の湿度を光合成細菌及び/又は細菌等が活動する最適条件として温室効果ガスを確実に固定除去できる。
〔実験例〕
(ガス分解試験)
実施例1で得られた本発明のガス分解装置の効果を、光合成細菌と乳酸菌を含有した培養資材を通気条件下で培養した培養物を用いて調べた。前記ガス分解装置のガス分解状況を表1に示す。
Figure 2009001424
上記表1の結果から、ガス装置に導入ガスを通過させることにより、導入ガスの濃度が減少していることが判る。これは、光合成細菌が、炭素(C)及び水素(H)を必要とし、エネルギー源として消費するためと考えられる。

Claims (19)

  1. 特定のガス成分を選択し分解する細菌を含有する菌床剤層が内部に収納され、ガス導入口から当該特定のガス成分を含有する分解対象ガスが導入される筒体状ガス分解装置本体を備え、
    当該ガス分解装置本体の上部に上部排出口が設けられ、且つ下部に下部排出口が設けられていることを特徴とするガス分解装置。
  2. 請求項1に記載のガス分解装置において、
    前記特定のガス成分が、温室効果ガスもしくは悪臭ガスであることを特徴とするガス分解装置。
  3. 請求項1または2に記載のガス分解装置において、
    前記ガス導入口が、前記上部排出口と下部排出口との中間部に設けられていることを特徴とするガス分解装置。
  4. 前記請求項1〜3のいずれか一項に記載のガス分解装置において、
    前記菌床剤層が、前記ガス導入口と上部排出口との間に設けられた上部菌床剤層と、前記ガス導入口と下部排出口との間に設けられた下部菌床剤層と、を備えていることを特徴とするガス分解装置。
  5. 前記請求項4に記載のガス分解装置において、
    前記上部菌床剤層又は下部菌床剤層が、複数の菌床剤層ユニットが層状に重ねられ、その層数を増減調節可能に設けられていることを特徴とするガス分解装置。
  6. 前記請求項1〜5のいずれか一項に記載のガス分解装置において、
    少なくとも前記ガス導入口、上部排出口または下部排出口のいずれかに送風ファンが設けられていることを特徴とするガス分解装置。
  7. 前記請求項1〜6のいずれか一項に記載のガス分解装置において、
    前記ガス分解装置本体が、複数に分離可能に接続され、前記ガス分解装置本体の内部には当該ガス分解装置本体内に着脱可能な菌床剤層ユニットが収納されていることを特徴とするガス分解装置。
  8. 前記請求項1〜7のいずれか一項に記載のガス分解装置において、
    前記ガス導入口に、ガス分解装置本体側からガス導入口への前記分解対象ガスの逆流を防止する逆流防止装置が設けられていることを特徴とするガス分解装置。
  9. 請求項8に記載のガス分解装置において、
    前記逆流防止装置が、上部空間をガス分解装置本体内に連通され、下部に液体が充填されるタンクと、当該タンクの下部に設けられ前記分解対象ガスが供給される多孔性のガス噴出器と、を備えていることを特徴とするガス分解装置。
  10. 請求項8に記載のガス分解装置において、
    前記逆流防止装置が、前記ガス導入口において前記分解対象ガスの上流側から下流側への流れ方向のみ開く逆止弁であることを特徴とするガス分解装置。
  11. 請求項1〜10のいずれか一項に記載のガス分解装置において、
    前記ガス分解装置本体の内部上部に散水器が設けられ、当該散水器に光合成細菌及び/又は細菌等を含有する液体が充填されたタンク又は水を供給する水道管が接続されていることを特徴とするガス分解装置。
  12. 請求項1〜10のいずれか一項に記載のガス分解装置において、
    前記ガス分解装置本体内部の菌床剤層収納の上部に光源が設けられたことを特徴とするガス分解装置。
  13. 請求項1〜10のいずれか一項に記載のガス分解装置において、
    前記ガス分解装置の側面に光源が設けられ、当該ガス分解装置本体内部の菌床剤層収納の上部と菌床剤層側面と又菌床剤層内の菌床剤内部まで光が照射することを特徴とするガス分解装置。
  14. 請求項1〜13のいずれか一項に記載のガス分解装置において、
    前記ガス分解装置本体が、水平方向に長く形成され、その長手方向中央部にガス導入口が設けられ、両端部の各上部に上部排出口及び下部排出口が設けられ、ガス導入口と各上部及び下部排出口との間のそれぞれに菌床剤層が設けられていることを特徴とするガス分解装置。
  15. 請求項1に記載のガス分解装置において、
    前記ガス分解装置本体の下部に仕切り壁によって少なくとも二つの分室が形成され、その一方の分室にガス導入口が設けられ、他方の分室に下部排出口が形成され、前記ガス分解装置本体の上部と前記一方の分室との間に菌床剤層が設けられ、且つ前記ガス分解装置本体の上部に上部排出口が設けられていることを特徴とするガス分解装置。
  16. 請求項1〜15のいずれか一項に記載のガス分解装置において、
    温室効果ガスを除去する細菌もしくは悪臭ガスを分解する細菌が、光合成細菌であることを特徴とするガス分解装置。
  17. 請求項1〜15のいずれか一項に記載のガス分解装置において、
    温室効果ガスを除去する細菌もしくは悪臭ガスを分解する細菌が、化学独立栄養生物細菌であることを特徴とするガス分解装置。
  18. 請求項1〜15のいずれか一項に記載のガス分解装置において、
    温室効果ガスを除去する細菌もしくは悪臭ガスを分解する細菌が、光合成細菌及び化学混合栄養生物細菌及び化学従属栄養生物細菌とを混合培養したことを特徴とするガス分解装置。
  19. 請求項18に記載のガス分解装置において、
    前記菌床剤層に栄養剤が配置されるとともに、ラクトバチルス・アシドフィルス、ラクトバチルス・ブランタム、ラクトバチルス・ブレビス、ラクトバチルス・サリバリウス、ラクトバチルス・ペントース、ラクトバチルス・ロイテリ、ラクトバチルス・カゼイ等の乳酸菌が、1種類もしくは2種類以上配置されることを特徴とするガス分解装置。
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