JPWO2008152888A1 - 微生物の精製方法及び微生物の検出方法 - Google Patents

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Abstract

本発明は、一度のフィルター濾過操作により、迅速かつ高精度に血液製剤中の生きている微生物を精製する方法、及び、該方法により精製された微生物を検出する方法を提供することを目的とする。本発明は、(a)キレート剤を含まない血液製剤に対して、ポリオキシエチレンアルキルエーテルとタンパク質分解酵素とを添加し、試料溶液を調製する工程;(b)前記試料溶液を、前記タンパク質分解酵素に適する条件下でインキュベートし、タンパク質分解反応を行う工程;(c)微生物を通さないフィルターで、当該タンパク質分解反応済試料溶液を濾過し、当該フィルター上に微生物を捕集する工程;を有する、血液製剤中の微生物の精製方法を提供する。

Description

本発明は、血液製剤中に存在する微生物の精製方法、該方法を用いた微生物の検出方法、該微生物の精製方法に用いるキット、及び、該微生物の検出方法に用いるキットに関する。
輸血は、医療現場では必要不可欠な行為であるが、ウィルスや細菌に汚染された血液製剤の使用により、感染症に罹ることがある。特に血小板製剤は、他の製剤とは異なり、冷凍・冷蔵保存ができないため、採血時に混入した細菌が保存中に増殖し、その製剤を投与された患者に重篤な感染症を引き起こす危険性が最も高い。このため、血液製剤、特に血小板製剤に含まれる細菌等の微生物を速やかに検出することにより、血液製剤の安全性を高めることが強く望まれている。
血液製剤中に存在する病原性微生物の精製・検出方法については、種々の方法が開示されている。例えば、特許文献1には、a)血液製剤の試料に血液細胞の凝集処理を受けさせ、b)汚染菌を通すが、細胞の凝集体を通さない第1フィルターに、処理した試料を通過させることによってステップ(a)で形成した凝集体を除去し、c)ステップ(b)で得た濾液の残留細胞を選択的に溶解させ、d)細胞片を通す第2フィルターに、ステップ(c)の溶解物を通過させることによって汚染菌を回収し、そしてe)場合により精製された汚染菌を検出するために第2フィルターを分析する方法が開示されている。
その他、例えば、特許文献2には、生体成分と体液成分と微生物の溶解度の違いを利用し、キレート剤等の脱イオン剤による細胞膜あるいはタンパク質からのイオン除去、界面活性剤による細胞膜溶解、酵素によるタンパク質の分解を経て、体液成分を微細化し、微生物と区別化した後、該区別化した微生物をメンブレンフィルタで回収、染色し、検出する方法及び装置が開示されている。
特表2005−503803号公報 特開2007−14239号公報 特開2006−129722号公報 WO2003/008634
しかしながら、特許文献1の方法では、フィルター濾過の操作が2回必要であり、操作が煩雑である。また、血小板を凝集させるため、第1フィルターと第2フィルターの双方が目詰まりを起こしやすく、操作性が低下するという問題がある。さらに、血小板細胞の全てを凝集させることは困難であり、未凝集の血小板が微生物検出時のノイズとなり、微生物検出の精度や感度が低くなるという問題もある。その他、血小板凝集試薬は高価であり、経済的にも好ましくない。
一方、特許文献2の方法では、哺乳細胞及び哺乳細胞由来成分を、キレート剤等の脱イオン剤、界面活性剤、酵素等により、微生物よりも小さく分解することにより、一度のフィルター濾過により、フィルター上に微生物を捕集することができる。しかしながら、哺乳細胞と同様に、検出対象である微生物の細胞膜等も破壊されるおそれがある。このため、生きている微生物を検出する場合には、実際に試料中に含有されている微生物よりも、検出される微生物量は少なくなる結果、実際には生きている微生物により汚染されている血液製剤であっても、汚染されていないと誤って判断されてしまう危険性が非常に高い。
本発明は、一度のフィルター濾過操作により、迅速かつ高精度に血液製剤中の生きている微生物を精製・検出する方法を提供することを目的とする。
また、本発明は、該微生物を精製・検出する方法に用いるためのキットを提供することを目的とする。
本発明者らは上記課題を解決すべく鋭意研究した結果、血液製剤中の白血球や血小板等の哺乳細胞を微生物よりも小さく分解し、一度のフィルター濾過により、フィルター上に微生物を捕集する方法においては、血液製剤に界面活性剤及びタンパク質分解酵素のみならず、キレート剤を添加すると、生きている微生物の精製及び検出効率が顕著に低下することを見出した。そこで、キレート剤を使用することなく、フィルター上へ微生物を効率よく捕集し得る方法についてさらに検討した結果、ポリオキシエチレンアルキルエーテルとタンパク質分解酵素の組み合わせを用いることにより、微生物の生存度を保ったまま哺乳細胞から精度良く精製し、高感度に検出する方法を見出し、本発明を完成させた。
すなわち本発明は、
(a) 血液製剤に対して、ポリオキシエチレンアルキルエーテルとタンパク質分解酵素とを添加し、キレート剤を含まない試料溶液を調製する工程;
(b) 前記試料溶液を、前記タンパク質分解酵素に適する条件下でインキュベートし、タンパク質分解反応を行う工程;
(c) 微生物を通さないフィルターで、当該タンパク質分解反応済試料溶液を濾過し、当該フィルター上に微生物を捕集する工程;
を有する、血液製剤中の微生物の精製方法を提供するものである。
本発明においては、前記ポリオキシエチレンアルキルエーテルがポリオキシエチレンラウリルエーテルであることが好ましい。
また、本発明は、上記の精製方法において前記工程(c)の後、さらに(d)工程(c)により得られた微生物が捕集されたフィルターを1μM〜50mMのトリス(2−アミノ−2−ヒドロキシメチル−1,3−プロパンジオール)緩衝液で処理する工程と、を有することができる。
また、本発明は、前記工程(c)又は(d)の後、蛍光染色試薬を用いて微生物を検出する工程を更に含む微生物検出方法をも提供するものである。
更に本発明は、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、及びタンパク質分解酵素を有する微生物精製キットをも提供する。
また、本発明は、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、タンパク質分解酵素、及び微生物を検出するための蛍光染色試薬を有する微生物検出キットをも提供する。
本発明の微生物の精製方法によれば、一度のフィルター濾過により、簡便かつ迅速に、血液製剤中微生物を精製することができる。特に、血液製剤中に混入している被検出対象である微生物の生存度にほとんど影響を与えることなく、血小板や赤血球等を効果的に分解することができるため、微生物を高精度に精製することができる。フィルターの濾過性も良好であるため、操作性も優れている。さらに、高価な試薬等が不要であり、経済的にも好ましい。このような効果を有する本発明の微生物の精製方法を用いた微生物の検出方法により、微生物を高精度かつ高感度に検出することができる。
また、本発明に係る微生物精製キットにより、簡便に微生物を精製・検出することができる。
実施例1において、得られた検出効率を示した図である。図中、「EDTA(-)」はEDTAを添加しなかった試料溶液(実施例1)を、「EDTA(+)」はEDTAを添加した試料溶液(比較例1)を、それぞれ表している。 実施例2において、カウントされた血小板数を示した図である。図中、「TNTC」は、血小板数が多すぎてカウント不可能であったこと(Too Numerous To Count)を意味する。 参考例1において、得られた検出効率を示した図である。図中、「PLE」はPLEを添加した試料溶液(参考例1−1)を、「Tween」はTween80を添加した試料溶液(参考例1−2)を、「Triton」はTriton X100を添加した試料溶液(参考例1−3)を、それぞれ表している。 実施例4において、カウントされた血小板数を示した図である。図中、「トリス」がトリス−塩酸緩衝液で洗浄したフィルター上の血小板数を、「PBS」がPBSで洗浄したフィルター上の血小板数を、それぞれ表している。
本発明において用いられる血液製剤とは、血液及び血液から作り出される医療用製剤を意味する。したがって、血液製剤には、全血製剤、赤血球製剤、血小板製剤等が含まれる。これらのうち、血小板製剤であることが好ましい。血小板製剤は、常温保存のため細菌汚染の発生頻度が高いと考えられるからである。
本発明の微生物の精製方法は、(a) 血液製剤に対して、ポリオキシエチレンアルキルエーテルとタンパク質分解酵素とを添加し、キレート剤を含まない試料溶液を調製する工程;
(b) 前記試料溶液を、前記タンパク質分解酵素に適する条件下でインキュベートし、タンパク質分解反応を行う工程;
(c) 微生物を通さないフィルターで、当該タンパク質分解反応済試料溶液を濾過し、当該フィルター上に微生物を捕集する工程;を有する、血液製剤中の微生物の精製方法である。
一般に、哺乳細胞や哺乳細胞由来の成分が多種多様に含まれている試料中に混入した微生物を検出する場合には、哺乳細胞を分解等により除去した後、細胞の活性や遺伝子等の核酸を検出することにより、微生物を検出することができる。血液製剤の汚染検査のように、試料中の微生物を高精度かつ高感度に精製し検出することが求められる場合には、検出時のノイズを最小限に抑えることが非常に重要であり、ノイズの主要因である哺乳細胞は、全て分解されることが好ましい。
ここで、試料中の哺乳細胞を分解するために、界面活性剤やタンパク質分解酵素に加えて、EDTA(エチレンジアミン四酢酸)等のキレート剤を添加することが広く行われている。キレート剤は、細胞膜や細胞膜中を構成する生体成分からイオンを除去して細胞膜の溶解を促進し、哺乳細胞を効率よく分解することができるためである(例えば、特許文献2参照)。また、微生物の検出感度を向上させるため、微生物の検出工程だけではなく、精製工程においても、試料中に1〜10mMのEDTAを添加することが、広く行われている(例えば、特許文献1参照)。微生物は、哺乳細胞よりも細胞膜が強固であり、哺乳細胞が溶解する濃度のキレート剤でも、微生物は影響をほとんど受けず、また、微生物の細胞膜をキレート剤処理により透過性を上げることが、微生物の検出感度向上に寄与すると考えられているためである。
しかしながら、界面活性剤とタンパク質分解酵素の存在下で、さらにキレート剤を添加すると、微生物の検出感度が向上するどころか、むしろ、生きている微生物の精製及び検出効率が顕著に低下することが、本願発明者らにより、初めて明らかにされた。界面活性剤とタンパク質分解酵素に加えて、キレート剤を併用すると、微生物への影響が強くなり、分解される微生物が増加するためではないかと推察される。
通常、血液製剤中の哺乳細胞を分解するために用いられる界面活性剤として、Triton X100、Tween80、ポリオキシエチレンアルキルエーテル等が用いられている。本発明の微生物の精製方法においては、ポリオキシエチレンアルキルエーテルが好適に用いられる。界面活性剤として、特にポリオキシエチレンアルキルエーテルを用いることにより、微生物に対する影響を最小限に抑えることができ、かつ、キレート剤を添加しない試料であっても、フィルターの濾過性を良好に保つことができることを見出した。該ポリオキシエチレンアルキルエーテルとしては、例えば、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンオレイルエーテル、ポリオキシエチレンステアリルエーテル、及びポリオキシエチレントリデシルエーテル等がある。これらの中では特に、ポリオキシエチレンラウリルエーテルが好ましい。
本発明の微生物の精製方法は、具体的には、以下のように行うことができる。まず、工程(a)として、血液製剤に対して、ポリオキシエチレンアルキルエーテルとタンパク質分解酵素とを添加し、キレート剤を含まない試料溶液を調製する。該血液製剤は、原液であってもよく、滅菌水や緩衝液等を用いて調製した希釈液であってもよい。溶液中のタンパク質濃度を低く抑えることができ、哺乳細胞の分解効率が良好となるため、希釈液であることが好ましい。該希釈液を調製するために用いられる緩衝液は、通常、微生物の精製及び検出に用いられる緩衝液であれば、特に限定されるものではない。該緩衝液として、例えば、リン酸緩衝液、トリス緩衝液、HEPES(2−[4−(2−ヒドロキシエチル)−1−ピペラジニル]エタンスルホン酸)緩衝液等がある。該緩衝液のpHや濃度、塩濃度等の条件は、タンパク質分解酵素による酵素反応に適した条件等を考慮して、適宜決定することができる。
ポリオキシエチレンアルキルエーテルの添加量は、該血液製剤中のタンパク質濃度や血液細胞数等を考慮して、適宜決定することができる。哺乳細胞を効果的に分解することができ、かつ、フィルターの濾過性も良好に保つことができるため、最終的に調製された試料溶液における最終濃度が0.01〜5(重量/体積)%となるように添加することが好ましい。
また、高濃度のポリオキシエチレンアルキルエーテルを少量添加するよりも、該血液製剤の2倍量以上の低濃度のポリオキシエチレンアルキルエーテルを添加することがより好ましい。低濃度のポリオキシエチレンアルキルエーテルを添加することにより、ポリオキシエチレンアルキルエーテルが血液製剤中で均一に分散しやすくなり、かつ、局所的に高濃度のポリオキシエチレンアルキルエーテルによって試料中の微生物が影響を受けるおそれを低減することができるためである。また、血液製剤の希釈とポリオキシエチレンアルキルエーテルの添加を一の操作で行うことができるため、操作の簡便化の観点からも好ましい。該血液製剤に添加するポリオキシエチレンアルキルエーテルは、該血液製剤の2〜30倍量の0.01〜5(重量/体積)%のポリオキシエチレンアルキルエーテル溶液であることがより好ましく、該血液製剤の9〜19倍量の0.1〜0.5(重量/体積)%のポリオキシエチレンアルキルエーテル溶液であることが特に好ましい。なお、該ポリオキシエチレンアルキルエーテル溶液は、滅菌水や、上記の血液製剤の希釈に用いることができる緩衝液等を用いて調整することができる。
本発明の微生物の精製方法において用いられるタンパク質分解酵素は、通常、哺乳細胞の分解等に用いられるタンパク質分解酵素であれば、特に限定されるものではなく、一種類の酵素を用いてもよく、二種類以上の酵素を併用してもよい。また、タンパク質分解酵素の形態も限定されるものではなく、固形状でも液体状でもどちらでもよい。低温保管のためグリセロールを添加した液体状の酵素も使用できる。該タンパク質分解酵素は、広範囲な特異性を有する酵素であることが好ましい。多種多様な哺乳細胞を効果的に分解し得るためである。また、pHが5〜9、温度が0〜50℃において、十分な酵素活性を有する酵素であることが好ましい。哺乳細胞の分解時におけるpHや温度等の微生物への影響を抑えることができるためである。pHが6〜8、温度が20〜40℃の条件下において、十分な酵素活性を有する酵素であることがより好ましい。該タンパク質分解酵素として、例えば、トリプシン、キモトリプシン、ペプシン、パパイン等がある。また、タンパク質分解酵素の添加量は、該酵素の種類や、該血液製剤中のタンパク質濃度等を考慮して、適宜決定することができる。
次に、工程(b)として、工程(a)により得られた試料溶液を、該タンパク質分解酵素に適する条件下でインキュベートし、タンパク質分解反応を行う。具体的には、該試料溶液を、該タンパク質分解酵素による酵素反応に適した温度環境下に一定時間置く。該タンパク質分解酵素反応の反応時間は、該試料溶液中の哺乳細胞が十分に分解し得る時間であれば、特に限定されるものではなく、用いるタンパク質分解酵素の種類や、該試料溶液中のタンパク質濃度、及び反応温度等を考慮して、適宜決定することができる。一般には、5分〜360分の範囲である。なお、該反応時間が長時間になりすぎると、微生物の捕集効率が低下するおそれがあるため、該反応時間は360分間以内、好ましくは15分〜30分の範囲であることが好ましい。
さらに、工程(c)として、工程(b)により得られたタンパク質分解反応済試料溶液を、微生物を通さないフィルターを用いて濾過することにより、該フィルター上に微生物を捕集する。微生物は、該フィルターを通過することはできないが、ポリオキシエチレンアルキルエーテルとタンパク質分解酵素により、微生物よりも小さく分解された血小板等の哺乳細胞は、該フィルターを通過する。このように、該フィルター上に微生物が捕集されることにより、血液製剤から微生物が精製される。
本発明において用いられる微生物を通さないフィルターの孔径は、0.1μm〜5μmが好ましい。より好ましくは0.1μm〜1μmである。かかるフィルターとしては、例えば、ポリカーボネート、ポリエステルを基材としたフィルターであり、特許文献3で開示されている、厚さが10μm〜500μmのポリマー層と、前記ポリマー層上に厚さが0.1nm〜1μmの金属層とを有する微生物検出用メンブランフィルターがより好ましい。捕集した微生物を検出する際に、様々な波長の蛍光色素の組合せにおいて蛍光バックグラウンドを低く抑えることができ、また、操作性に優れているためである。
該試料溶液中にある、ポリオキシエチレンアルキルエーテルとタンパク質分解酵素によって分解されなかった哺乳細胞がある場合には、該哺乳細胞も、微生物と同様に該フィルター上に捕集される。該フィルター上の哺乳細胞は、微生物を検出する際のノイズとなり、検出精度を低下させるおそれがある。工程(c)により得られた微生物が捕集されたフィルターを、さらに、例えば1μM〜50mMのトリス緩衝液で処理することにより、該フィルター上の哺乳細胞を選択的に分解し、捕集された微生物から除去することができる。
具体的には、該フィルターを例えば1μM〜50mMのトリス緩衝液で洗浄する。洗浄時間は特に限定されないが、好ましくは0.5分〜30分である。フィルターの洗浄に用いる緩衝液の温度は特に限定されないが、室温以下の温度であることが好ましい。微生物に対する影響が抑えられるためである。また、該トリス緩衝液のpHは、通常中性付近であるが、微生物に影響を与えないものであれば、特に限定されるものではなく、トリス緩衝液以外の緩衝液も使用することが可能である。検出すべき微生物が明らかであれば、該微生物に最も適したpHの緩衝液を用いることが好ましい。緩衝液の種類は、通常用いられるものであれば、特に限定されるものではない。トリス緩衝液の場合、例えば、トリス−塩酸緩衝液、トリス−酢酸緩衝液、トリス−ほう酸緩衝液、トリス−クエン酸緩衝液等がある。
本発明の微生物の精製方法により精製された微生物、すなわち、微生物を通さないフィルター上に捕集された微生物を検出対象とすることにより、血液製剤中の微生物を高精度かつ高感度に検出することができる。フィルター上の微生物を検出する方法は、特に限定されるものではなく、当該技術分野において公知のものを用いることができる。該方法として、例えば、核酸染色や、生きている微生物が有する活性の測定、抗体による免疫染色がある。生きている微生物を精度よく検出することができるため、生きている微生物が有する活性の測定が好ましい。このような活性には、例えば、エステラーゼ活性や呼吸活性がある。
例えば、エステラーゼ活性等の生きている微生物が有する活性の測定では、分解されなかった哺乳細胞も検出してしまうおそれがある。特に、サイズ/形状等が微生物とほぼ同等である血小板と、微生物との識別は困難である。このため、通常、血小板と微生物を識別するために、核酸染色が併用されている。しかしながら、本発明の微生物の精製方法では、フィルター上からほぼ全ての血小板等の哺乳細胞が効率よく除去されているため、エステラーゼ活性測定のみでも生きている微生物を高精度に検出することが可能となる。
いずれの方法を用いて検出する場合でも、蛍光染色試薬を用いて検出する方法が好ましい。検出感度が高いためである。本発明において用いられる蛍光染色試薬は、蛍光物質のみならず、無蛍光物質であって、微生物が有する酵素や微生物の行う種々の生命活動による化学反応の結果、蛍光物質となる物質も含まれる。例えば、核酸染色に用いる蛍光染色試薬には、ヘキスト33342やDAPI(4',6−diamidino−2−phenylindole)等がある。
エステラーゼ活性測定に用いる蛍光染色試薬には、CFDA(carboxy fluorescein diacetate)やカルセインAMエステル等がある。呼吸活性測定に用いる蛍光染色試薬には、CTC(5−Cyano−2,3−ditolyl−2H −tetrazolium chloride)がある。
検出装置は、蛍光顕微鏡、フローサイトメトリー等の様々な装置を用いることができるが、異なる波長の蛍光染色像を簡便に得ることができるため、特許文献4で開示された検出方法を採用したμFinder(アサヒビール社製)が、より好ましい。
また、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、及びタンパク質分解酵素を含む一のキットとすることにより、検査対象である血液製剤中の微生物を簡便に精製することが可能となる。さらに、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、タンパク質分解酵素、及び微生物を検出するための蛍光染色試薬を含む一のキットとすることにより、血液製剤中の微生物の精製から検出までを、迅速かつ簡便に行うことが可能となる。
なお、本発明の微生物の精製方法及び検出方法は、血液製剤中の微生物の精製及び検出に用いられる方法であるが、血液製剤以外の動物細胞を含有する試料中の微生物を精製及び検出するためにも用いることができると考えられる。例えば、動物由来の培養細胞等の汚染度確認や、敗血症診断等にも応用できると考えられる。
次に実施例を示して本発明をさらに詳細に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
キレート剤の添加の有無により、濃厚血小板製剤中の微生物の検出効率がどのように変化するかを調べた。微生物として、予め、CFDAを用いたエステラーゼ活性測定を行い、蛍光顕微鏡システムμFinder(アサヒビール社製)を用いて細胞数を計測しておいたシュードモナス・アエルギノーザ(Pseudomonas aeruginosa)を用いた。
まず、319cellsのシュードモナス・アエルギノーザを添加した2mLの濃厚血小板製剤(10単位;含有血小板数 2.0〜2.2×1011)に、18mLの5(重量/体積)%ポリオキシエチレンラウリルエーテル(PLE)、0.5mLの50mg/mLトリプシン溶液(Difco社製)を添加して試料溶液(実施例1)を調製した。対照として、該試料溶液にさらに0.1mLのEDTA(0.5M、pH8.0)を添加したものを試料溶液(比較例1)とした。
その後、各試料溶液を37℃で15分間インキュベートすることにより、タンパク質分解反応を行った。さらに、得られたタンパク質分解反応済試料溶液を、孔径0.4μmのフィルターを用いて吸引濾過した。該フィルター上の残留物を、10μMのトリス−塩酸緩衝液(pH7.4)で洗浄した後、CFDAを用いたエステラーゼ活性測定を行い、μFinder(アサヒビール社製)を用いて微生物数をカウントした。該カウント数を、予め濃厚血小板製剤中に添加した数(319cells)で除することにより、微生物の検出効率を算出した。
図1は、得られた検出効率を示した図である。図中、「EDTA(-)」はEDTAを添加しなかった試料溶液(実施例1)を、「EDTA(+)」はEDTAを添加した試料溶液(比較例1)を、それぞれ表している。キレート剤無添加の試料溶液(実施例1)では、濃厚血小板製剤中の微生物の90%程度をフィルター上に精製し、検出することができた。一方、キレート剤を添加した試料溶液(比較例1)では、濃厚血小板製剤中の微生物の20%程度しか検出することができなかった。
すなわち、実施例1の結果から、界面活性剤とタンパク質分解酵素の存在下で、さらにキレート剤を添加すると、生きている微生物の精製及び検出効率が顕著に低下すること、及び、本発明の微生物の精製方法のように、ポリオキシエチレンアルキルエーテルとタンパク質分解酵素のみを用いることにより、効率よく血液製剤中の微生物が検出できることが明らかである。
まず、5(重量/体積)%PLE、0.5(重量/体積)%PLE、及び0.05(重量/体積)%PLEを調製した。
2mLの濃厚血小板製剤(10単位;含有血小板数 2.0〜2.2×1011)に、18mLの各PLE、0.5mLの50mg/mLトリプシン溶液(Difco社製)を添加して試料溶液を調製した。各PLEに代えて純水{0(重量/体積)%PLE}を添加したものを対照とした。
その後、各試料溶液を37℃で30分間インキュベートすることにより、タンパク質分解反応を行った。さらに、得られたタンパク質分解反応済試料溶液を、孔径0.4μmのフィルターを用いて吸引濾過した後、該フィルター上の残留物をCFDAを用いたエステラーゼ活性測定を行い、μFinder(アサヒビール社製)を用いて血小板数をカウントした。
図2は、カウントされた血小板数を示した図である。図中、「TNTC」は、血小板数が多すぎてカウント不可能であったこと(Too Numerous To Count)を意味する。純水を添加した対照では、血小板数が非常に多くフィルター上に残存していたが、PLEを添加した場合には、フィルター上の血小板数が顕著に減少していた。5(重量/体積)%PLEを用いた場合でも、十分に血小板を除去することができたが、より低濃度の0.5(重量/体積)%PLEや0.05(重量/体積)%PLEを用いた場合のほうが、より効果的に血小板を除去することができた。特に、0.05(重量/体積)%PLEを用いると非常に効率よく血小板を除去し得ることが分かった。
すなわち、実施例2の結果から、5(重量/体積)%以下の濃度のPLEを添加することにより、血液製剤中の血小板等の哺乳細胞を効率よく除去し得ること、及び、0.05〜5(重量/体積)%の範囲内のPLEでは、濃度が低くなるほど、より効果的に血小板を除去し得ることが明らかである。
(参考例1)
実施例1と同様にして、シュードモナス・アエルギノーザの細胞数を計測した。
まず、198cellsのシュードモナス・アエルギノーザを含有する2mLの菌溶液に、18mLの0.5(重量/体積)%PLEを添加して試料溶液(参考例1−1)を調製した。対照として、0.5(重量/体積)%PLEに代えて0.5(重量/体積)%Tween80を添加した試料溶液(参考例1−2)と、0.05(重量/体積)%Triton X100を添加した試料溶液(参考例1−3)を、それぞれ調製した。
その後、各試料溶液を室温で1時間インキュベートした後、実施例1と同様に、フィルター濾過及びトリス処理を行った後、該フィルター上の残留物をCFDAを用いたエステラーゼ活性測定を行い、μFinder(アサヒビール社製)を用いて微生物数をカウントした。該カウント数を、予め菌溶液中に含有されていた菌数(198cells)で除することにより、微生物の検出効率を算出した。
図3は、得られた検出効率を示した図である。図中、「PLE」はPLEを添加した試料溶液(参考例1−1)を、「Tween」はTween80を添加した試料溶液(参考例1−2)を、「Triton」はTriton X100を添加した試料溶液(参考例1−3)を、それぞれ表している。PLEを添加した試料溶液(参考例1−1)とTween80を添加した試料溶液(参考例1−2)では、予め菌溶液中に含有されていた微生物の約140%もの微生物をフィルター上に精製し、検出することができた。但し、試料溶液(参考例1−1)ではフィルター濾過性が良好であり、迅速に微生物を精製し検出することができたが、試料溶液(参考例1−2)ではフィルター濾過性が悪かった。一方、Triton X100を添加した試料溶液(参考例1−3)では、フィルター濾過性は良好であったが、試料溶液中の微生物の約1.5%しか検出することができなかった。なお、PLEとTween80をそれぞれ添加した試料溶液において、予め含有させた微生物数よりも多くの微生物が検出されたのは、菌溶液を調製した後から、PLEを添加して1時間インキュベートする間に、菌が増殖したためと考えられる。
すなわち、参考例1の結果から、界面活性剤としてPLEやTween80を用いた場合には、Triton X100を用いた場合よりも、血液製剤中の微生物に与える影響が小さく、より高精度に微生物を検出し得ることが示唆される。
まず、2mLの濃厚血小板製剤(10単位;含有血小板数 2.0〜2.2×1011)に、18mLの0.5(重量/体積)%PLE、0.5mLの50mg/mLトリプシン溶液(Difco社製)を添加して試料溶液(実施例3)を調製した。対照として、0.5(重量/体積)%PLEに代えて0.5(重量/体積)%Tween80を添加したものを試料溶液(比較例3)とした。試料溶液(実施例1)は5試料調製し、試料溶液(比較例3)は6試料調製した。
その後、各試料溶液を37℃で30分間インキュベートすることにより、タンパク質分解反応を行った。さらに、得られたタンパク質分解反応済試料溶液を、孔径0.4μmのフィルターを用いて吸引濾過した後、該フィルター上の残留物をCFDAを用いたエステラーゼ活性測定を行い、μFinder(アサヒビール社製)を用いて血小板数をカウントした。
Figure 2008152888
表1は、各試料溶液のフィルター濾過に要した時間(表中「濾過時間」)、及びカウントされた血小板数(表中「血小板数」)を示した表である。表中「10分以上」とは、フィルターの目詰まりにより、濾過不能となったため、濾過を中断したことを意味し、「TNTC」は、血小板数が多すぎてカウント不可能であったこと(Too Numerous To Count)を意味する。界面活性剤としてPLEを添加した試料溶液(実施例3)では、フィルター濾過に要した時間は、いずれも1分以下であった。一方、界面活性剤としてTween80を添加した試料溶液(比較例3)では、6試料のうち3試料がフィルターの目詰まりにより濾過不能となった。また、最後まで濾過することができた残りの3試料も、試料溶液(実施例3)と比べて濾過に要する時間が長く、カウントされた血小板数も多かった。
すなわち、実施例3の結果から、本発明の微生物の精製方法のように、ポリオキシエチレンアルキルエーテルとタンパク質分解酵素を用いることにより、効率よくかつ迅速に血液製剤中の血小板等の哺乳細胞を分解できることが明らかである。
まず、2mLの濃厚血小板製剤(10単位;含有血小板数 2.0〜2.2×1011)に、18mLの0.5(重量/体積)%PLEを添加し、0.8mLの50mg/mLトリプシン溶液(Difco社製)を添加して試料溶液を調製した。
その後、該試料溶液を37℃で15分間インキュベートすることにより、タンパク質分解反応を行った後、孔径0.4μmのフィルターを用いて吸引濾過した。該フィルター上の残留物を、10μMのトリス−塩酸緩衝液(pH7.4)又はPBS(リン酸緩衝生理食塩水、pH7.4)で洗浄した後、CFDAを用いたエステラーゼ活性測定を行い、μFinder(アサヒビール社製)を用いて血小板数をカウントした。
図4は、カウントされた血小板数を示した図である。図中、「トリス」がトリス−塩酸緩衝液で洗浄したフィルター上の血小板数を、「PBS」がPBSで洗浄したフィルター上の血小板数を、それぞれ表している。PBSで洗浄した場合に比べて、トリス−塩酸緩衝液で洗浄した場合には、フィルター上の血小板数が顕著に減少していた。
すなわち、実施例4の結果から、本発明の微生物の精製方法において、微生物を捕集したフィルターを、トリス緩衝液で処理することにより、フィルター上に残留する血小板を効率よく分解し、微生物検出時のノイズを低減することができることが明らかである。
実施例1と同様にして、大腸菌(Escherichia coli)の細胞数を計測した。
まず、240cellsの大腸菌を添加した2mLの濃厚血小板製剤(10単位;含有血小板数 2.0〜2.2×1011)に、18mLの0.5(重量/体積)%PLE、1.5mLの50mg/mLトリプシン溶液(Difco社製)を添加して試料溶液を調製した。
その後、該試料溶液を37℃で15分間又は1時間インキュベートすることにより、タンパク質分解反応を行った。さらに、実施例1と同様に、フィルター濾過及びトリス処理を行った後、CFDAを用いたエステラーゼ活性測定を行い、μFinder(アサヒビール社製)を用いて微生物数をカウントした。該カウント数を、予め濃厚血小板製剤(10単位;含有血小板数 2.0〜2.2×1011)中に添加した数(240cells)で除することにより、微生物の検出効率を算出した。
この結果、タンパク質分解反応を37℃で15分間行った場合には、微生物の検出効率はほぼ100%であったが、37℃で1時間行った場合には、約10%であった。
すなわち、実施例5の結果から、タンパク質分解酵素の至適温度付近の温度で、長時間タンパク質分解反応を行うと、微生物の種類によっては微生物の検出効率が低下すること、及び、タンパク質分解酵素の至適温度付近の温度で、タンパク質分解反応を行う場合には、反応時間が15分〜30分の範囲であることが好ましいことが明らかである。
実施例1と同様にして、大腸菌、シュードモナス・アエルギノーザ、及び黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus)の細胞数を計測した。
まず、大腸菌、シュードモナス・アエルギノーザ、又は黄色ブドウ球菌をそれぞれ添加した2mLの濃厚血小板製剤(10単位;含有血小板数 2.0〜2.2×1011)に、18mLの0.5(重量/体積)%PLEを添加し、室温で1時間インキュベートした。その後、0.8mLの50mg/mLトリプシン溶液(Difco社製)を添加して試料溶液を調製した。
その後、各試料溶液を37℃で15分間インキュベートすることにより、タンパク質分解反応を行った。さらに、実施例1と同様に、フィルター濾過及びトリス処理を行った後、CFDAを用いたエステラーゼ活性測定を行い、μFinder(アサヒビール社製)を用いて微生物数をカウントした。該カウント数を、予め濃厚血小板製剤中に添加した数で除することにより、微生物の検出効率を算出した。
この結果、大腸菌、シュードモナス・アエルギノーザ、及び黄色ブドウ球菌のいずれの微生物を添加した場合であっても、微生物の検出効率はほぼ100%であった。
すなわち、実施例6の結果から、タンパク質分解酵素添加前に、PLEのみを添加して1時間以上処理しても、微生物の精製及び検出には特に影響を与えないことが明らかである。
実施例1と同様にして、表皮ブドウ球菌(Staphylococcus epidermidis)の細胞数を計測した。
まず、表皮ブドウ球菌を185cells添加した5mLの濃厚赤血球製剤(2単位;400ml全血由来)に、95mLの0.5(重量/体積)%PLEを添加し、4mLの50mg/mLトリプシン溶液(Difco社製)を添加して、37℃で30分間インキュベートした。
さらに、実施例1と同様に、フィルター濾過を行った後、該フィルター上の残留物を、PBSで洗浄し、CFDAを用いたエステラーゼ活性測定を行い、μFinder(アサヒビール社製)を用いて微生物数をカウントした。該カウント数を、予め濃厚赤血球製剤中に添加した数で除することにより、微生物の検出効率を算出した。
この結果、表皮ブドウ球菌の微生物を赤血球製剤へ添加した場合であっても、微生物の検出効率はほぼ100%であった。
実施例1と同様にして、表皮ブドウ球菌(Staphylococcus epidermidis)の細胞数を計測した。まず、表皮ブドウ球菌を134cells添加した5mLの濃厚血小板製剤(20単位;含有血小板数 4.0〜4.2×1011)に対し、95mLの0.5(重量/体積)%PLEを添加し、4mLの50mg/mLトリプシン溶液(Difco社製)を添加して、調製した。
その後、各試料溶液を37℃で15分間インキュベートすることにより、タンパク質分解反応を行った。さらに、実施例1と同様に、フィルター濾過及びトリス処理を行った後、CFDAを用いたエステラーゼ活性測定を行い、μFinder(アサヒビール社製)を用いて微生物数をカウントした。
この結果、表皮ブドウ球菌を高濃度(20単位)の血小板製剤へ添加した場合であっても、微生物の検出効率はほぼ100%であった。
本発明の微生物の精製方法及び検出方法は、血液製剤の病原性検査の分野で利用が可能である。

Claims (6)

  1. (a) 血液製剤に対して、ポリオキシエチレンアルキルエーテルとタンパク質分解酵素とを添加し、キレート剤を含まない試料溶液を調製する工程;
    (b) 前記試料溶液を、前記タンパク質分解酵素に適する条件下でインキュベートし、タンパク質分解反応を行う工程;
    (c) 微生物を通さないフィルターで、当該タンパク質分解反応済試料溶液を濾過し、当該フィルター上に微生物を捕集する工程;を有する、血液製剤中の微生物の精製方法。
  2. 前記ポリオキシエチレンアルキルエーテルがポリオキシエチレンラウリルエーテルであることを特徴とする請求項1記載の微生物の精製方法。
  3. 前記工程(c)の後、さらに、
    (d) 工程(c)により得られた微生物が捕集されたフィルターを、1μM〜50mMのトリス(2−アミノ−2−ヒドロキシメチル−1,3−プロパンジオール)緩衝液で処理する工程と、を有することを特徴とする、請求項1又は2記載の微生物の精製方法。
  4. 前記工程(c)又は(d)の後、蛍光染色試薬を用いて微生物を検出する工程を更に含む、微生物検出方法。
  5. ポリオキシエチレンアルキルエーテル、タンパク質分解酵素を有する微生物精製キット。
  6. ポリオキシエチレンアルキルエーテル、タンパク質分解酵素、及び微生物を検出するための蛍光染色試薬を有する微生物検出キット。
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