JPWO2008146841A1 - 癌細胞内へ核酸を導入するための核酸用キャリア - Google Patents

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Abstract

癌細胞特異的に内在化する抗モータリン抗体をカチオン性高分子と結合させて、核酸を癌細胞内に特異的に輸送し、かつ腫瘍細胞内で機能させることのできる核酸キャリアを提供し、核酸デリバリー法を確立した。また、当該核酸キャリアを用いて抗癌活性を有する核酸、またはレポーター遺伝子を癌細胞で機能させることで、抗癌剤及び診断剤用組成物を提供した。

Description

本発明は、抗モータリン抗体の癌細胞特異的内在化機能を利用した、癌細胞内へ核酸を導入するための核酸用キャリア及び核酸デリバリー法に関する。また、当該核酸キャリアを用いた抗癌剤及び癌診断剤に関する。
癌治療において、近年、遺伝子治療が有効な治療法として注目されてきているが、その際には、正常細胞に対するダメージをできるだけ軽減するために、癌細胞のみに特異的に遺伝子治療用の核酸をデリバリーできるTargeted deliveryは最も重要な課題であり、そのための優れた核酸キャリアの開発が強く要望されていた。
細胞に遺伝子治療用の核酸を輸送するための方法としては、ウイルスベクターや非ウイルスベクター、プラスミドベクターを直接導入する方法が開発されてきた.この中で、ウイルスベクターは遺伝子の導入効率が非常に高いことから多用されているが、一方で安全性やコスト面に問題があった.そこで安全性の高い非ウイルスベクターの開発が急務となっていた。非ウイルスベクターは、マイナスに荷電された核酸を、同様にマイナス荷電した細胞表面まで輸送するため、核酸をカチオン性ポリマーや会合脂質などと静電相互作用させ、プラスに荷電した核酸複合体として、細胞内に導入するベクターであり、一般的にポリエチレンイミン、ポリリジンリポソーム、などのカチオン性高分子が用いられてきた(非特許文献1)。
癌の治療においては、それぞれの癌発生組織に局所的に(たとえば、肝臓に)治療用の遺伝子を投与するのが一般的であるが、この際、癌発生組織中の正常な細胞にも作用して副作用を引き起こすことから、癌細胞と正常細胞とを区別して癌細胞のみに特異的に遺伝子を輸送できるベクターの開発が望まれていた。
癌細胞に特異的に遺伝子を輸送するための工夫として、癌細胞表面に結合するリガンドを上述したようなキャリア(ポリエチレンイミンなど)に結合し、癌細胞に特異的に遺伝子を導入するベクターが開発されてきた。例えば、卵巣癌細胞で葉酸レセプターが過剰発現されていることから、葉酸をポリエチレンイミンに修飾して核酸を輸送したり(非特許文献2)、ファイブロネクチンのRGD(アルギニンーグリシンーアスパラギン酸)ペプチドモチーフが癌組織中の活性化された内皮細胞表面に発現しているインテグリンに結合することを利用し、RGDモチーフをPEG-PEI(ポリエチレングリコール修飾ポリエチレンイミン)に結合し癌細胞に取り込ませるなどの例がある(非特許文献3)。しかし、これらのリガンドは生体に通常存在する分子であり、正常な細胞にも結合しうる他、リガンドを結合したキャリアと体内に存在するリガンドとが競合するなどの欠点があった。
そこで、抗原に対し、親和性が高く、特異性の高い抗体をキャリアに結合することにより、標的とする細胞に特異的に遺伝子を導入する工夫がされてきた.例えば、乳癌細胞で高発現しているHER2に対する抗体をポリエチレンイミンに結合し、乳癌細胞に特異的に遺伝子を輸送する系(非特許文献4)などが開発されている.これらのキャリアは、特定の組織の癌細胞(例えば、乳癌細胞)にのみ輸送できるものであり、癌細胞全般を正常細胞と区別して、癌細胞のみに効率的に目的核酸を効率的に取り込ませ、蓄積させる優れたターゲティング・デリバリーシステムは、まだ提供されていなかった。
本発明者らの以前の研究により、抗モータリン抗体には癌細胞内への内在化機能を有する抗体があること、及び抗モータリン抗体に量子ドット(Qdot)を結合したものを癌細胞とともに培養すると、細胞内に内在化することも確認していた(特許文献1)。
しかしながら、遺伝子治療用の核酸キャリアとして用いるためには、目的核酸(遺伝子)を細胞内へ輸送するだけでは足りず、細胞内に輸送された核酸が細胞内の適当な場所において速やかにキャリアから離脱し、発現産物を産生するなど望み通りに機能させる必要があるが、抗モータリン抗体を用いたキャリアにそのような作用があるか否かは不明であった。
しかも、以前に用いられた抗モータリン抗体はマウスを免疫して得られたマウス抗体なので、免疫原性が高いために直接ヒトの遺伝子治療用に用いるのは好ましくない。免疫原性を極力低下させるために抗体の不変領域やフレームワーク領域などをできるだけヒト化して、キメラ抗体又はヒト化抗体とする必要があるが、そのためには各CDRの配列を含む可変領域の配列を解析することが急務であり、これらの配列さえ残しておけば、癌細胞特異的に細胞内に内在化するという内在化機能を保持している領域を決定する必要があった。
国際公開WO2006/022344 A1(特開2006−89471号公報) Gao X. Kim K. Liu D. (2007) AAPS.9. E92-104. Kim H.S., Jeong H.J., Cho C.K., Kim W.S., and Park G.T. (2005) J. Control Release104, 223-232 Schiffelers R.M., Ansari A., Xu J., Zhou Q., et al (2004) Nucleic Acids Res 43,149 Strehblow C., Schuster M., Moritz T., Kirch H.C., et al (2005) J. Control Release 102737-747 Huston JS, Levinson D, Mudgett-Hunter M, Tai MS, Novotny J, Margolies MN, Ridge RJ, Bruccoleri RE, Haber E, Crea R, et al. Protein engineering of antibody binding sites: recovery of specific activity in an anti-digoxin single-chain Fv analogue produced in Escherichia coli.Proc Natl Acad Sci U S A. 1988 Aug;85(16):5879-83. Luginbuhl, B., Kanyo, Z., Jones, R. M., Fletterick, R. J., Prusiner, S. B., Cohen, F. E., Williamson, R. A., Burton, D. R., and Pluckthun, A. (2006) J Mol Biol 363, 75-97(なお、これら文献中の記載事項は、本願明細書中の記載として組み入れる。)
本発明は、腫瘍細胞内のみへ特異的に目的の核酸を輸送し、かつ腫瘍細胞内で機能させることのできる核酸キャリア及び核酸デリバリー法を提供することを目的とする。
また、本発明は、当該核酸キャリアと核酸との混合物からなる分子複合体を用いた抗癌剤組成物及び癌診断用組成物を提供することを目的とする。
本発明者らは細胞内在化能を有する抗モータリン抗体における癌細胞に特異的に内在化して、結合した物質を細胞内に輸送できるという性質に着目し、上記抗モータリン抗体の性質を利用して、核酸を癌細胞内に特異的に輸送し、癌細胞内で機能させる核酸デリバリー法を確立するべく検討を開始した。
まず、細胞内在化能を有する抗モータリンモノクローナル抗体の全アミノ酸配列を複数決定すると同時に、当該機能を有さない抗モータリン抗体の全アミノ酸配列も決定し、両者の比較から、細胞内在化機能を有する抗体に特有なL鎖及びH鎖の両可変領域アミノ酸配列を決定した。細胞内在化機能を有する抗体同士はきわめて類似した配列を有しているのに対して、同機能を持たない抗体とは類似性が低く、特に各CDR配列での顕著な差異を有している。また、それぞれの抗体が認識するモータリンのエピトープ位置の検討から、両者が認識するモータリンのエピトープのアミノ酸配列が異なることも確認した。これらのことから、細胞内在化能を有する抗モータリン抗体のL鎖及びH鎖の両可変領域を用いたキメラ抗体、又は一本鎖抗体、さらにはそのCDR配列を利用したヒト化抗体も、十分に癌細胞特異的に癌細胞内に内在化してモータリン機能を抑制する可能性が強く示唆される。これらの点については、本願と同日付で特許出願し、その明細書中において詳細に述べている。(特願2007−140943号、国優特願2007−296405号、国優特願2008−036343号;なお、これら出願明細書中の記載事項を本願明細書の記載に組み入れる。)
本発明においては、これらの知見もふまえ、細胞内在化能を有する抗モータリン抗体を典型的なキャリア用のカチオン性高分子であるポリエチレンイミン(PEI)に結合して核酸と混合した分子複合体を用いることで、癌細胞特異的に核酸を細胞内に導入することができ、しかも導入された遺伝子が癌細胞内で効率よく発現することができる、という画期的な知見を得た。
これら知見に基づいて、細胞内在化能を有する抗モータリン抗体を用いた核酸キャリアにより、目的の核酸を、癌細胞のみに効率的に目的核酸を効率的に取り込ませ、機能させるという癌細胞特異的な核酸デリバリー法に関する本発明を完成させた。
さらに、上述のように、マウス由来の抗モータリン抗体に代えて、ヒトへの免疫原性の少ない一本鎖抗体、ヒトキメラ抗体又はヒト化抗体も用いられるといえるから、本発明は副作用のきわめて少ない癌遺伝子治療及び癌診断にも適用できる、優れたターゲティング・デリバリーシステムに関するものでもある。
すなわち、本発明は、具体的には以下の通りである。
〔1〕 癌細胞内に核酸を導入するための核酸用キャリアであって、カチオン性高分子と結合した、細胞内在化機能を有する抗モータリン抗体を含むことを特徴とする核酸用キャリア。
〔2〕 細胞内在化機能を有する抗モータリン抗体の可変領域のアミノ酸配列が、L鎖可変領域のアミノ酸配列のうち、CDR1が「KSSQSLLDSDGKTYLN(配列番号1)」であり、CDR2が「LVSKLDS(配列番号2)」であり、CDR3が「WQGTHFPRT(配列番号3)」であって、H鎖可変領域のアミノ酸配列のうち、CDR1が「SYWMH(配列番号14)」であり、CDR2が「EIDPSDSYTKYNQKFKG(配列番号15)」又は「EIDPSDSYTDYNQNFKG(配列番号18)」であり、CDR3が「GDY(配列番号16)」であることを特徴とする、前記〔1〕に記載の核酸用キャリア。
〔3〕 前記L鎖可変領域のアミノ酸配列が下記(a)又は(b)であり、H鎖可変領域アミノ酸配列が(c)又は(d)である前記〔2〕に記載の核酸用キャリア。
(a)配列番号4又は5に示されるアミノ酸配列、
(b)配列番号4又は5に示されるアミノ酸配列中のシグナル配列及び/又はフレームワーク配列中に1もしくは数個のアミノ酸が欠失・置換・付加されているアミノ酸配列
(c)配列番号17、19又は20に示されるアミノ酸配列、
(d)配列番号17、19又は20に示されるアミノ酸配列中のシグナル配列及び/又はフレームワーク配列中に1もしくは数個のアミノ酸が欠失・置換・付加されているアミノ酸配列。
〔4〕 細胞内在化機能を有する抗モータリン抗体の可変領域のアミノ酸配列が、L鎖可変領域のアミノ酸配列のうち、CDR1が「RASQEISGYLS(配列番号6)」、CDR2が「AASTLDS(配列番号7)」であり、CDR3が「LQYASYPPT(配列番号8)」であって、H鎖可変領域のアミノ酸配列のうち、CDR1が「TNAMN(配列番号21)」であり、CDR2が「RIRSKSNNYATYYADSVKD(配列番号22)」であり、CDR3が「DGYYSY(配列番号23)」であることを特徴とする、前記〔1〕に記載の核酸用キャリア。
〔5〕 前記L鎖可変領域のアミノ酸配列が下記(a)又は(b)であり、H鎖可変領域アミノ酸配列が(c)又は(d)である前記〔2〕に記載の核酸用キャリア。
(a)配列番号9に示されるアミノ酸配列、
(b)配列番号9に示されるアミノ酸配列中のシグナル配列及び/又はフレームワーク配列中に1もしくは数個のアミノ酸が欠失・置換・付加されているアミノ酸配列
(c)配列番号24に示されるアミノ酸配列、
(d)配列番号24に示されるアミノ酸配列中のシグナル配列及び/又はフレームワーク配列中に1もしくは数個のアミノ酸が欠失・置換・付加されているアミノ酸配列。
〔6〕 細胞内在化機能を有する抗モータリン抗体が、H鎖及びL鎖の可変領域をリンカー配列で繋いだ一本鎖抗体であることを特徴とする、前記〔1〕〜〔5〕のいずれかに記載の核酸用キャリア。
〔7〕 細胞内在化機能を有する抗モータリン抗体が、還元され、H鎖及びL鎖それぞれ1本ずつからなる抗体であることを特徴とする、前記〔1〕〜〔5〕のいずれかに記載の核酸用キャリア
〔8〕 前記カチオン性高分子がポリエチレンイミンであることを特徴とする、前記〔1〕〜〔7〕のいずれかに記載の核酸用キャリア。
〔9〕 前記ポリエチレンイミンが、還元された抗体の遊離SH基とリンカーを介して結合されていることを特徴とする、前記〔8〕に記載の核酸用キャリア。
〔10〕 前記〔1〕〜〔9〕のいずれかに記載の核酸用キャリアと核酸との混合物からなる、分子複合体。
〔11〕 前記核酸が組換えDNAであることを特徴とする、前記〔10〕に記載の分子複合体。
〔12〕 前記組換えDNAが癌の遺伝子治療用組換えベクターであることを特徴とする、前記〔11〕に記載の分子複合体。
〔13〕 前記核酸が、siRNAもしくはリボザイム又はそれを含むベクターであることを特徴とする、前記〔10〕に記載の分子複合体。
〔14〕 前記核酸が、癌細胞内で発現可能な蛍光タンパク質をコードする遺伝子を含む発現ベクターであることを特徴とする、前記〔10〕又は〔11〕に記載の分子複合体。
〔15〕 前記核酸が、癌細胞内でin situ検出可能な標識化合物により標識された核酸であることを特徴とする、前記〔10〕又は〔11〕に記載の分子複合体。
〔16〕 前記〔10〕〜〔13〕のいずれかに記載の分子複合体を有効成分とする抗癌剤組成物。
〔17〕 前記〔10〕,〔11〕,〔14〕及び〔15〕のいずれかに記載の分子複合体を有効成分とする癌細胞検出用又は同定用組成物。
〔18〕 前記〔10〕,〔11〕,〔14〕及び〔15〕のいずれかに記載の分子複合体を有効成分とする癌診断剤。
〔19〕 前記〔1〕〜〔9〕のいずれかに記載の核酸用キャリアを用いることを特徴とする、癌細胞内に目的の核酸を導入するための核酸デリバリー方法。
〔20〕 前記目的の核酸が、組換えDNA、siRNA及びリボザイムから選ばれることを特徴とする、前記〔19〕に記載の核酸デリバリー方法。
〔21〕 前記〔19〕又は〔20〕に記載の核酸デリバリー方法において、前記目的の核酸が、遺伝子治療用の組換えDNA、siRNA及びリボザイムから選ばれることを特徴とする、ヒトを除く哺乳動物の遺伝子治療方法。
〔22〕 前記〔19〕に記載の核酸デリバリー方法において、前記目的の核酸が、癌細胞内で発現可能な蛍光タンパク質をコードする遺伝子を含む発現ベクターであるか又は癌細胞内でin situ検出可能な標識化合物により標識された核酸であることを特徴とする、癌細胞の検出又は同定方法。
〔23〕 前記〔19〕に記載の核酸デリバリー方法において、前記目的の核酸が、癌細胞内で発現可能な蛍光タンパク質をコードする遺伝子を含む発現ベクターであるか又は癌細胞内でin situ検出可能な標識化合物により標識された核酸であることを特徴とする、ヒトを除く哺乳動物の癌診断方法。
本発明により、目的の核酸を、癌細胞のみに効率的に目的核酸を効率的に取り込ませ、機能させることができる。
また、マウス由来の抗モータリン抗体に代えて、ヒトへの免疫原性の少ない一本鎖抗体、ヒトキメラ抗体又はヒト化抗体などを用いることで、副作用のきわめて少ない癌遺伝子治療剤及び癌診断剤を提供できる。
PEI−imot Abコンジュゲートの合成スキーム ゲルリターデーションアッセイ。PEI−imotAbとプラスミドDNAとをN/P比0,1,2,5,7.5,10となるように混合し、0.8%アガロースゲル電気泳動を行った。その後、エチジウムブロマイドにより染色をおこない、DNAを検出した。 i-Porter(PEI-imotAb/DNA polyplexe)による遺伝子導入。DsRed2をコードするプラスミドDNAを用い、導入後の細胞を蛍光顕微鏡観察した。クロスリンカーを結合したPEIとDNAとの複合体をコントロールとして用いた。 i-Porter(PEI-imotAb/DNA polyplexe)による遺伝子導入。Renilla luciferaseをコードするプラスミドDNAを用い、Normalized luciferase activityにより遺伝子導入、発現効率を測定した。コントロールとして牛血清より回収したcontrol Abを結合したPEI-control Ab/DNA polyplexと比較をおこなった。 通常のU2OS細胞株とモータリンの過剰発現株であるU2OS mot細胞株におけるi-Porter(PEI-imotAb/DNA polyplex)による遺伝子導入。Renilla luciferaseをコードするプラスミドDNAを用い、Normalized luciferase activityにより遺伝子導入、発現効率を測定した。 癌細胞(U2OS,SKBR3,HeLa)と正常細胞(TIG-1)におけるi-Porter(PEI-imotAb/DNA polyplexe)による遺伝子導入の比較。Renilla luciferaseをコードするプラスミドDNAを用い、Normalized luciferase activityにより遺伝子導入、発現効率を測定した。 A549(肺癌細胞)、A172(神経グリア芽腫細胞)、J82(尿路上皮癌細胞)及びNEC8(ヒト胎児性癌細胞)を用いた、蛍光量子ドットを修飾した抗モータリンポリクローナル抗体の細胞内への導入実験。 各モータリン抗体の可変領域(パラトープ)のアミノ酸配列 各モータリンのIgGのサブタイプ モータリンに対するscFv発現プラスミドの概略図。VLドメインとVHドメインをリンカーで連結させ、さらにFLAGタグ配列を付加させたDNA断片をpET-27b(+)プラスミドベクターのNcoI、NheIのサイトにクローニングした。 scFvの構築にあたり使用したそれぞれのプライマー配列(左から5’末端、右が3’末端)。下はマルチクローニングサイトを含むpET-27b(+)プラスミドの配列。 発現されると予想されるscFvのDNA配列とアミノ酸配列。リンカー部とFLAGタグ配列部は下線で示した。 大腸菌におけるモータリンに対するscFvの発現誘導と精製。左図はペリプラズムからのscFvの精製プロトコール。右図はIPTGによる発現誘導前後、および精製後のタンパク質のSDS-PAGE解析結果。IPTG添加により30kDa程度にタンパク質の発現誘導が見られ、Hisタグによる精製を行うことでほぼ単一のバンドを得ることができた。 ELISAによるリコンビナントモータリンに対するモノクローナル抗体とscFvのアフィニティ解析。scFvはリコンビナントモータリンに対して10nM程度の解離定数で結合することが確認された。 (参考図1)モータリンの欠失タンパク質。各欠失タンパク質と抗モータリン抗体(38-4,52-3,96-5)との結合をBIACOREにより検出した。三種の抗モータリン抗体と全長モータリンは結合しているが、52-3抗モータリン抗体はC末端のアミノ酸配列を含む欠失タンパク質とのみ結合している。52-3抗体のエピトープはモータリンのアミノ酸残基403-435の間のペプチドであると推測される。 (参考図2)各欠失タンパク質と抗モータリン抗体(38-4,52-3,96-5)との結合をELISAにより検出を行った。欠失タンパク質をウェルに物理吸着させ、その後抗モータリン抗体(38-4,52-3,96-5)を添加した。洗浄後アルカリフォスファターゼ修飾抗マウスIgGを添加し、405nmに吸収をもつ基質反応物により結合度を測定した。表は、405nmの吸光度を示している。38-4および96-5抗体のエピトープはモータリンのアミノ酸残基310-410の範囲にあり、52-3抗体のエピトープはアミノ酸残基403-435の範囲にあると推測される。 ウェスタンブロッティングによるscFvを用いたモータリンの検出 scFvを1次プローブとして用いたウェスタンブロッティング解析を行ったところ、モータリンのバンドを特異的に検出することが可能であった。scFvのC末端に付加したヒスチジンタグを用いて検出した。 scFvを用いて細胞溶解液中のモータリンの免疫沈降を行った。scFvをanti-His抗体で回収後、ウェスタンブロッティングにてモータリンが共沈することが確認できた。
本発明における抗モータリン抗体が認識する、モータリンとは、モータリン2(mot-2)とよばれ、マウスでは不死化細胞に存在し、ヌードマウスアッセイでの過剰発現実験で悪性変異を引き起こす、679アミノ酸からなる分子量73,913ダルトンのHsp70ファミリーに属するタンパク質である。ヒトモータリンも、マウスモータリンとタンパク質レベルで95%の高い相同性があり、モータリン2と同様の機能・性質を示す。ここでは、特に断らない限り、マウスモータリン2及びヒトモータリン2をあわせて、単にモータリンまたはモータリン2という。
そして、本発明において「細胞内在化能を有する抗モータリン抗体」というときは、本発明者らが以前に(特許文献1)で述べた、抗モータリン抗体のうちで癌細胞特異的に内在化する機能を備えている抗体、もしくは同等の機能を有するその抗体フラグメントを意味する。(なお、特許文献1に記載された事項は、本願明細書の記載として取り込む。)
ここで、癌細胞とは、悪性、良性にかかわらず一般的な癌細胞、腫瘍細胞を指し、たとえば、骨癌細胞、乳癌細胞、繊維肉腫細胞、子宮頸癌細胞、肺癌細胞、神経グリア芽腫細胞、尿路上皮癌細胞、肝臓癌細胞、ヒト胎児性癌細胞などが包含される。
抗体フラグメントというとき、癌細胞特異的に細胞内在化機能を有する抗モータリン抗体のH鎖及びL鎖の可変領域又はその可変領域からなるFabフラグメントなどが含まれる。その際、抗体を還元して遊離SH基を有するH鎖及びL鎖1本ずつからなる抗体を用いることが好ましい。このような「還元抗体(遊離SH基を有するH鎖及びL鎖1本ずつからなる抗体)」を得るには、たとえば、抗体にジチオスレイトール(DTT)を添加し、室温で30分程度反応させた後に、脱塩カラムなどでDTTを除去することで、簡単に得ることができる。(詳細な製造法は、同日付の特許出願明細書中に記載した。)遊離SH基を形成させる程度の還元法であればどのようなものであっても良い。また、H鎖及びL鎖をコードするcDNAを用いた遺伝子組換え手法によっても、当該還元抗体を製造することができる。
抗体は、マウス、ラット、ウサギなど通常の実験動物を免疫して得られるモノクローナル抗体、また癌患者から直接得られるヒト由来抗モータリン抗体を用いることができる。このように、ハイブリドーマにより直接製造された抗モータリンモノクローナル抗体のみならず、そのcDNAを発現させて得られた組換え抗体(H鎖及びL鎖の1本ずつからなる抗体も含む。)、そのH鎖及びL鎖の可変領域をリンカーで繋いだ組換え一本鎖抗体(scFv)、及び組換えFabなどの抗体フラグメントも細胞内在化機能を有していれば包含される。また上記特有の可変領域配列又はCDR配列を利用した、キメラ抗体及びヒト化抗体も包含される。このようなキメラ抗体及びヒト化抗体は、細胞内内在化の機能がある抗モータリン抗体由来の可変領域をコードするDNAを、ヒト由来の抗体の定常領域をコードするDNAと結合して、通常の組換え手法で発現させることによりキメラ抗体を作製するか、同CDR1〜3領域をコードするDNAを用いて、ヒト由来抗体のフレームワーク領域及び定常領域をコードするDNAにつないで発現させてCDR抗体(ヒト化抗体)を作製することができる。
また、本発明では、抗モータリン抗体として一本鎖抗体を用いる場合を含むが、ここで「一本鎖抗体」とは「scFv(single chain Fv)」ともいい、抗モータリン抗体の重鎖および軽鎖の可変部領域(VHおよびVL)を適当なペプチドリンカーで連結させたものに相当する(非特許文献5)。このようなコンストラクトを遺伝子レベルで構築し、タンパク質発現用ベクターを用いて大腸菌に導入することで一本鎖抗体タンパク質を発現させることができる。
本発明において用いる、細胞内在性抗モノクローナル抗体に特有なCDR配列としては、L鎖可変領域中のCDR1は「KSSQSLLDSDGKTYLN(配列番号1)」であり、CDR2は「LVSKLDS(配列番号2)」であり、CDR3は「WQGTHFPRT(配列番号3)」である。また、H鎖可変領域中のCDR1が「SYWMH(配列番号14)」であり、CDR2が「EIDPSDSYTKYNQKFKG(配列番号15)」又は「EIDPSDSYTDYNQNFKG(配列番号18)」であり、CDR3が「GDY(配列番号16)」である。
上記CDR配列を有する典型的な配列は、L鎖可変領域のアミノ酸配列として下記(a)又は(b)であり、H鎖可変領域アミノ酸配列としては下記(c)又は(d)である。
(a)配列番号4又は5に示されるアミノ酸配列、
(b)配列番号4又は5に示されるアミノ酸配列中のシグナル配列及び/又はフレームワーク配列中に1もしくは数個のアミノ酸が欠失・置換・付加されているアミノ酸配列
(c)配列番号17、19又は20に示されるアミノ酸配列、
(d)配列番号17、19又は20に示されるアミノ酸配列中のシグナル配列及び/又はフレームワーク配列中に1もしくは数個のアミノ酸が欠失・置換・付加されているアミノ酸配列。
細胞内在化機能を有する抗モータリン抗体の可変領域が、以下の場合も包含する。
すなわち、L鎖可変領域のアミノ酸配列のうち、CDR1が「RASQEISGYLS(配列番号6)」、CDR2が「AASTLDS(配列番号7)」であり、CDR3が「LQYASYPPT(配列番号8)」であって、H鎖可変領域のアミノ酸配列のうち、「TNAMN(配列番号21)」であり、CDR2が「RIRSKSNNYATYYADSVKD(配列番号22)」であり、CDR3が「DGYYSY(配列番号23)」である場合である。
上記CDR配列を有する典型的な配列は、L鎖可変領域のアミノ酸配列として下記(a)又は(b)であり、H鎖可変領域アミノ酸配列としては下記(c)又は(d)である。
(a)配列番号9に示されるアミノ酸配列、
(b)配列番号9に示されるアミノ酸配列中のシグナル配列及び/又はフレームワーク配列中に1もしくは数個のアミノ酸が欠失・置換・付加されているアミノ酸配列
(c)配列番号24に示されるアミノ酸配列、
(d)配列番号24に示されるアミノ酸配列中のシグナル配列及び/又はフレームワーク配列中に1もしくは数個のアミノ酸が欠失・置換・付加されているアミノ酸配列。
本発明において用いる、細胞内在化機能を有する抗モータリン抗体において、典型的な可変領域、当該領域中のCDR領域中の塩基配列、アミノ酸配列の配列決定方法は以下の通りである。
抗モータリン抗体を産生するハイブリドーマを培養し、total RNAを抽出する。得られたRNAをテンプレートに、5’CDS primerを用いて1回目の1st strand cDNA合成を行う。
次いで、1st strand cDNAをテンプレートとして、Advantage 2 PCR Kit(Clontech製、cat.No.K1910-y)を使用して、タッチダウンPCRを行う。
その際に、用いる遺伝子特異的Primerは、それぞれH鎖、L鎖の定常領域の5’側に設定し、抗体のサブタイプにより選択する。Primerの配列を以下に示す。
・H鎖
MHC-IgG1 GGGCCAGTGGATAGACAGATG
MHC-IgG2a CAGGGGCCAGTGGATAGACCGATG
MHC-IgG2b CAGGGGCCAGTGGATAGACTGATG
MHC-IgG3 CAGGGACCAAGGGATAGACAG
・L鎖
MLC-kappa GCTCACTGGATGGTGGGAAGATG
得られたRACE産物をアガロースゲル電気泳動し、目的のバンドを切り出しゲル抽出(QIAGEN製)する。クローニング効率を上げるためには、適宜pGEM-T Easyベクター(Promega製)を用いてTAクローニングしてもよい。
コロニーPCRにより目的の遺伝子が挿入されたクローンを選択する。なお、1つの配列を決定するのに6つ以上のクローンについてDNA調製を行う。Vector primerでsequencingし、ハイブリドーマ由来のpseudo配列や、途中に終止コドンを含むような配列を除き、PCR errorに注意しながら、同様の配列をもったクローンを4つ以上選び正しい配列として決定する。
本発明の細胞内在化機能を有する抗モータリン抗体は、癌細胞表面に特異的に存在するモータリンを認識し、当該モータリンを介して癌細胞内に移行する。本発明における抗モータリン抗体を用いたキャリアが細胞内に核酸を輸送することができる癌細胞としては、通常の癌細胞であればすべて対象となる。たとえば、骨癌細胞、乳癌細胞、繊維肉腫細胞、子宮頸癌細胞、肺癌細胞、神経グリア芽腫細胞、尿路上皮癌細胞、肝臓癌細胞、ヒト胎児性癌細胞などを挙げることができるが、これらには限られない。
本発明の下記実施例4及び5においては、上記癌細胞のうち典型的な癌細胞を用い、抗モータリン抗体が、いずれの癌細胞であっても内在化する能力があることを確認した。
本発明において抗モータリン抗体に結合させるカチオン性ポリマーとしては、ポリエチレンイミン(PEI、たとえばAldrich社製など)、ポリL−リシン(PLL)、ポリリジン、リポソームなど正(+)の荷電を有する公知の核酸キャリア用のカチオン性ポリマーを用いることができ、直接もしくは公知のクロスリンカー剤を介して抗体と結合することができる。用いるクロスリンカー剤としてはどのようなリンカー剤も適宜用いることができ、各種のクロスリンカー剤がDojindo社、Pierce社等から市販されているが、本発明の実施例ではN-(6-Maleimidocaproyloxy)succinimide (EMCS; Dojindo社製)を用いた。
本発明の核酸キャリアと共に分子複合体を形成させて癌細胞内に特異的に導入して機能させることができる目的の核酸としては、たとえば癌細胞に対して抗癌作用を及ぼす核酸や癌細胞を検出、同定するための核酸を用いることができる。DNAである場合、癌細胞内でそれ自身又は発現産物が細胞をアポトーシスに導くDNA、アンチセンスDNA、細胞毒性を有する発現産物(IFN,TNF、各種サイトカイン、酵素など)をコードするDNAなどDNA自体が抗癌活性を有する場合及びDNAの発現産物が抗癌活性を有する場合のいずれであってもよい。同様に、癌細胞の同定、検出のために用いることのできるルシフェラーゼ遺伝子などレポーター遺伝子、又は標識されたDNAを用いることができるが、これらを、抗癌作用を示す核酸と同時に用いることで抗癌剤効果をリアルタイムでモニタリングができる。そして、これらDNAを直接又は組換えDNAとして用いるか、又は公知のウイルス、発現プラスミドなどの組換えベクターに組み込んで用いる。また、mRNA、siRNA、リボザイムのようなRNAを用いることもできる。
今回の実施態様においては、カチオン性ポリマーのうちで典型的なポリエチレンイミン(PEI)を市販のクロスリンカー剤を用いて抗モータリン抗体(i-mot Ab)に結合することにより、核酸導入キャリア(PEI-imot Ab)を合成した。
そして、PEI-imot Abとplasmid DNAによる複合体を、細胞とともに培養したところ、抗モータリン抗体依存的にplasmid DNAを細胞内に導入することに成功し、plasmid DNA内にモデル系として導入したルシフェラーゼ遺伝子の発現を確認した。
今回はモデル系としてルシフェラーゼをコードするプラスミドDNAと複合体を形成させたが、DNAやRNAを含む様々な核酸をポリエチレンイミンーモータリン抗体コンジュゲートにより細胞に導入可能である。
本発明では、細胞内在化機能を有する抗モータリン抗体として一本鎖抗体(scFv)を用いることができるので、下記(1)〜(4)として、上述のように細胞内在化機能を有する抗モータリン抗体の可変領域、当該領域中のCDR領域に対応するDNAを用いたscFvの構築、機能検証手法などについて述べる。
(1)モータリンに対するscFvとその発現プラスミドベクターの構築
モータリンに対するモノクローナル抗体を産生するハイブリドーマから得た抗体のcDNAを用いて、一本鎖抗体(scFv)の遺伝子を構築し、PelB配列を持つ大腸菌発現用プラスミドベクターpET-27b(+)にscFvの遺伝子をクローニングする。(図10)具体的には、まずVLの遺伝子をPrimer1、Primer2プライマーセットで、VHの遺伝子をPrimer3、Primer4のプライマーセットで増幅させる。ここで、Primer2にはVLとVHを連結させるポリペプチドの配列が含まれており、さらにそれぞれの増幅産物はVLのC末端側とVHのN末端側が相同配列を持つようにデザインされており、Primer4にはFLAGタグをコードした塩基配列が挿入され、VHのC末端側にエンテロキナーゼ認識を挟んでFLAGタグが付加される。それぞれのPCR産物をさらにPrimer1とPrimer4のプライマーセットでPCRを行うことで全長のscFvの遺伝子を作製し、このDNA断片をpET-27b(+)プラスミドベクター(Novagen製)にクローニングした(pET27-mot)。
pET27-motで大腸菌を形質転換して培養しIPTGにより発現誘導し、菌体から浸透圧ショック法によりペリプラズム画分のタンパク質を抽出し、精製してモータリンscFvを得る。
(2)ELISAによるモータリンscFvの機能検証
ELISAにより精製したscFvが抗原であるモータリンに結合するかを検証し、scFvの基としたモノクローナル抗体との解離定数を比較する。
(3)ウェスタンブロッティングによるscFvを用いたモータリンの検出
モータリンを特異的に認識することができるscFvは、特異的抗体を用いた一般的な分子生物学的手法に応用できる可能性がある。大量にかつ簡便に大腸菌で発現、精製したモータリンに対するscFvが、免疫学的応用としてウェスタンブロッティングの特異的プローブとして利用できるかを検討する。
(4)scFvを用いたモータリンの免疫沈降実験への応用可能性の検討
モータリンを特異的に認識することができるscFvは、特異的抗体を用いた一般的な分子生物学的手法に応用できる可能性がある。大量にかつ簡便に大腸菌で発現、精製したモータリンに対するscFvが、免疫学的応用として免疫沈降実験の特異的抗原結合タンパク質として利用できるかを検討する。
本発明の実施例7では、リンカー配列としてLuginbuhlらの用いた非反復配列からなるリンカー配列(非特許文献6)を用いたが、アミノ酸数5〜20程度であれば適宜設定できる。
発現させる宿主細胞及び発現用ベクターとしては、一般的に用いられる種々の宿主細胞、及び当該宿主細胞に対する適切なベクターの組み合わせを適宜選択できるが、大腸菌のペリプラズム領域に輸送するシグナル配列(PelB配列)を導入した発現ベクターを用いることで、大腸菌で発現させ、ペリプラズム領域に分泌させることにより簡単に一本鎖抗体(scFv)を取得することができる。本願の実施例7では、PelB配列を持つ発現用プラスミドベクターである「pET-27b(+)plasmid」に、各抗体のcDNAプールから、2種類のプライマーセットで増幅させて作製したscFvをクローニングした。
細胞内内在化抗モータリン抗体に特有な可変領域配列のみで構成された一本鎖抗体は、モータリンに特異的に結合する能力があることが確認され、癌細胞内への内在化機能も期待されるから、癌細胞内でモータリンと特異的に結合してモータリン活性を抑える抗癌剤として用いることができる可能性がある。本発明のように、カチオン性高分子などにつなぎ遺伝子治療用遺伝子を細胞内に運んで機能させる核酸キャリアとして、蛍光物質等をつけて癌細胞検出用キャリアとして用いる他に、モータリン活性を抑制する低分子化合物など他の癌治療用薬剤を担持させた薬剤キャリアとして用いることもできる。
抗癌剤として用いる場合は、常法にしたがって製剤化することができ(Remington's Pharmaceutical Science, latest edition, Mark Publishing Company, Easton, 米国)、医薬的に許容される担体や添加物を共に含むものであってもよく、通常非経口投与経路で、例えば注射剤(皮下注、静注、筋注、腹腔内注など)、経皮、経粘膜、経鼻、経肺などで投与されるが、経口投与も可能である。(特許文献1等参照。)
また、本発明の製剤中に含まれる細胞内在化機能を有する抗モータリン抗体に結合された核酸物質などの量は、治療すべき疾患の種類、疾患の重症度、患者の年齢などに応じて決定できる。
本発明を以下の実施例によりさらに詳しく説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
(本実施例で用いられた材料(Materials)
本発明で用いた細胞内在化機能を有する抗モータリンモノクローナル抗体(37−1、37−6、38−5,71−1、96−5)は、ハイブリドーマ(37番、38番、71番、96番)から得られ、いずれも特許文献1に記載されている。細胞内に内在化しない抗モータリンモノクローナル抗体(52−3)を産生するクローン(52番)も同様に特許文献1に記載されている。なお、最も細胞内内在化効率の高い抗モータリン2モノクローナル抗体を産生するクローン(37−6)は、独立行政法人産業技術総合研究所特許生物寄託センターに寄託されている。(受託番号:FERM ABP−10408、寄託日:平成17年8月23日)
クロスリンカー剤:N-(6-Maleimidocaproyloxy)succinimide (EMCS; Dojindo)
ポリエチレンイミン:Branched 25-kDa Polyethylenimine (Aldrich)
(実施例1)ポリエチレンイミンー抗モータリン抗体(PEI-imot Ab conjugate)の合成(図1)
1.1 ポリエチレンイミンの活性化
0.5mgのポリエチレンイミン(2mg/mLとなるようにPBSに溶解)に、ジメチルスルフオキサイド(DMSO)に溶解した0.2mgのクロスリンカー剤(EMCS)を加え、25oCで回転撹拌しながら1時間反応させた。未反応のクロスリンカーを除くため、10-k Da排除カラム(VIVASPIN 10KMW,Sartrius)を用いて精製を行った。
1.2. 抗体の還元
内在化機能を有する抗モータリン抗体(Anti mortalin antibody #37-6;i-mot Ab、なお詳細については、特許文献1参照。)を用い、当該抗体1mgに対し、終濃度20mMとなるようにジチオスレイトール(DTT)を添加し、室温で30分反応させた。脱塩カラム(PD-10, GE Healthcare)でDTTを除去する。抗体の回収は50mM MOPS,2mM EDTA,pH6.0のバッファーで行った。
1.3. ポリエチレンイミンと還元化抗体の結合
クロスリンカー(EMCS)で活性化されたポリエチレンイミンを還元した抗体に加え、25oCで回転撹拌しながら1時間反応させた。精製はカチオン交換カラム(HiTrap SP HP,GE Healthcare)を用いて行った後、さらに100-kDa排除カラム(Microcon YM-100,Millipore)により精製し、0.1M MOPS,150mM NaCl,pH7.4で回収した。
(実施例2)合成したPEI-imotAb conjugateとプラスミドDNAによるポリプレックス形成
合成したPEI-imot AbがDNAと相互作用し、ポリプレックスを形成することをゲルリターデーションアッセイにより確認した(図2)。N/P比が0,1,2,5,7.5,10となるようにPEI-imotAbとプラスミドDNAとを混合し、室温で30分放置した後、0.8%アガロースゲル電気泳動を行った。N/P比2以上では、完全にPEI-imotAbとプラスミドDNAが相互作用していることがわかった。
(実施例3)PEI-imotAb conjugateによるプラスミドDNAの導入
DsRed2もしくはRenilla luciferaseをコードするplasmid DNA1μgにDMEMを95μL加え、ピペッティングによりよく混合した。N/P比7.5となるようにPEI-imotAb conjugateを加えた。(ポリエチレンイミンが0.5mg/mLとなるように調整し、DNA1μgに対し、4.05μL加える。)ピペッティングにより、よく混合した後、室温で30分放置した。
トランスフェクションの24時間前に、2x105cells/wellとなるように12well plateにU2OS細胞(モータリン高発現株)をまく。トランスフェクションの直前に新しい培地に換え、PEI-imot Ab/DNA 複合体を添加する。2時間、37oCで培養した後、新しい培地に交換し、さらに48時間37oCで培養した。
48時間後、蛍光顕微鏡でDsRed2の蛍光を観察した(図3)。またRenilla luciferaseをトランスフェクションした細胞はLuciferase assay kit(Promega)により遺伝子導入および発現効率の測定を行った(図4)。Luciferase activityはluminometer(Lumat LB9501)によりRLU(relative light unit/second)を測定した。RLUをProtein assay kit(Bio-Rad)により得られたタンパク質量で補正し、Normalized luciferase activityとして、遺伝子導入および発現の効率を表している。コントロールとしてポリエチレンイミンにクロスリンカーを結合したPEI-EMCS、および牛の血清より回収した牛のIgGを結合したPEI-control Ab conjugateを用いた。PEI-imot Ab/DNA polyplexによる遺伝子導入およびその発現効率はコントロールであるPEI-EMCS/DNA polyplexより大きく増加している。さらにコントロールである牛の抗体を結合したconjugateの場合にはそのような上昇が見られないことから、抗モータリン抗体依存的に遺伝子導入、発現効率が上昇しているといえる。
(実施例4)癌細胞特異的遺伝子導入
さらにPEI-imot Ab/DNA polyplexを通常のU2OS細胞株とモータリンを過剰発現しているU2OS mot 細胞株にトランスフェクションした。PEI-EMCS/DNApoleplexの場合、U2OS細胞株とU2OS mot細胞株で遺伝子導入効率に差はなかったが、PEI-imot Ab/DNA polyplexの場合、モータリンの過剰発現株のほうが遺伝子導入効率が上昇した(図5)。この結果は遺伝子導入が抗モータリン抗体依存的におこっていることを強く示唆している。
また抗モータリン抗体は癌細胞特異的に内在化することから、癌細胞(U2OS,HeLa,SKBR3)および正常細胞(TIG-1)を用いてPEI-imot Ab/DNA polyplexによる遺伝子導入を行った。正常細胞ではコントロールであるPEI-EMCS/DNA polyplexと比較して同等の遺伝子導入効率であったが、癌細胞ではいずれの細胞株においてもPEI-imot Ab/DNA polyplexを用いた場合、遺伝子の導入、発現効率が上昇した(図6)。
(実施例5)種々の癌細胞における抗モータリン抗体の細胞内在化
本発明の抗モータリン抗体による細胞内在化が、どのような癌細胞でも起こることを確認するため、抗モータリンポリクローナル抗体を用いて、典型的な癌細胞である、骨癌細胞(U2OS,Saos-2)、乳癌細胞(MCF7,SKBR3,T47D)、繊維肉腫細胞細胞(HT1080)、子宮頸癌細胞(HeLa)、肺癌細胞(A549)、神経グリア芽腫細胞(A172)、尿路上皮癌細胞(J82)、肝臓癌細胞(HepG2)、ヒト胎児性癌細胞(NEC8)に対する内在化実験を行った。
具体的には、抗モータリンポリクローナル抗体に量子ドット効果による特徴的な蛍光を発するInvitrogen社のQdotをマニュアルに従って修飾した。得られたQdと抗モータリンポリクローナル抗体とのコンジュゲート(Qd-i-mot Pab)を上記の癌細胞の培養培地に添加した。24時間後培地を除去し、PBS緩衝液を用いて3回洗浄後、methanol/acetone(1:1)溶液で固定した。固定後の細胞を蛍光顕微鏡 (Axiovert 200M, Carl Zeiss)により観察し、Qd-i-mot Pabの細胞内内在化の観察を行った。
以上の結果、いずれの癌細胞についても抗モータリン抗体と量子ドット(Qdots)との複合体が細胞内部に移行することが蛍光顕微鏡観察により確認された。
そのうちのA549(肺癌細胞)、A172(神経グリア芽腫細胞)、J82(尿路上皮癌細胞)及びNEC8(ヒト胎児性癌細胞)についての結果を図7に示す。
(実施例6)可変領域の配列決定:
6.1. Total RNAの単離
抗モータリン抗体のうち、癌細胞への内在化機能を有するモノクローナル抗体(37−1,37−6,38−5,96−5及び71−1)を産生するハイブリドーマ並びに内在化機能を有さないモノクローナル抗体を産生するハイブリドーマを、それぞれ1X106 cells/mL以下の細胞濃度で約10mL培養し、細胞を回収後、RNA抽出まで-20℃で保存した。氷上で細胞を融解し、RNeasy Mini kit(QIAGEN製、cat.No.74104)を使用してRNA抽出を行い、total RNAをそれぞれに調製した。
6.2. 1st strand cDNA合成
SMART RACE cDNA Amplification(Clontech製、cat.No.634914)を使用して、1.で得られたRNA 1μgをtemplateに、5’CDS primerを用いて1st strand cDNA合成を行った。
6.3. 5’-RACE
SMART RACE cDNA Amplificationに含まれている、Advantage2 PCR Kit(Clontech製、cat.No.K1910-y)を使用して、2.で得られた1st strand cDNA 2.5μLをtemplateに、タッチダウンPCRを行った。用いた遺伝子特異的Primerは、それぞれH鎖、L鎖の定常領域の5’側に設定し、抗体のサブタイプにより選択する。Primerの配列を以下に示す。
・H鎖
MHC-IgG1 GGGCCAGTGGATAGACAGATG
MHC-IgG2a CAGGGGCCAGTGGATAGACCGATG
MHC-IgG2b CAGGGGCCAGTGGATAGACTGATG
MHC-IgG3 CAGGGACCAAGGGATAGACAG
・L鎖
MLC-kappa GCTCACTGGATGGTGGGAAGATG
6.4. RACE産物のcloning
RACE産物をアガロースゲル電気泳動し、目的のバンドを切り出しゲル抽出し(QIAGEN製)、pGEM-T Easy Vector(Promega製、cat.No.A1360)につないでTA cloningを行った。
6.5. Sequencing
vector primerでcolony PCRし、目的の遺伝子が挿入されたクローンを選択し、1つの配列を決定するのに6つ以上のクローンについてDNA調製を行った。Vector primerでsequencingし、ハイブリドーマ由来のpseudo配列や、途中に終止コドンを含むような配列を除き、PCR errorに注意しながら、同様の配列をもったクローンを4つ以上選び正しい配列として決定した。これらの工程をそれぞれに適用して各々のL鎖及びH鎖の可変領域アミノ酸配列をそれぞれ図8に並べて示す。
図8の特にL鎖可変領域の配列比較図を見ると、細胞内在性能を有する抗体の可変領域は4種類ともほぼ同一配列を有しており、特にモータリンとの結合に関与するCDRは完全に一致している。一方、細胞内への内在化能を有さない抗体の可変領域と比較すると、FR3領域及びFR4領域には相違箇所がないが、シグナルペプチド領域、FR1領域と共に、各CDR領域は大幅に相違している。
いずれにしても可変領域全体として、アミノ酸配列の相違が大きいことを見出し、L鎖可変領域と、H鎖可変領域を適切な長さのリンカー領域で結んだ一本鎖抗体(scFv)が、抗モータリンモノクローナル抗体の全長と同様の活性を保持するものと考えられる。
(実施例7) モータリンに対するscFvとその発現プラスミドベクターの構築:
7.1 ベクターデザイン
モータリンに対するモノクローナル抗体37-1を産生するハイブリドーマから得た抗体のcDNAを用いて、一本鎖抗体(single chain Fv, scFv)の遺伝子を構築した。scFvは抗体の重鎖および軽鎖可変部領域(VHおよびVL)を適当なペプチドリンカーで連結させたもので、大腸菌による発現、精製が可能である。翻訳させたタンパク質を大腸菌のペリプラズム領域に輸送するシグナル配列であるPelB配列を持つ、組み換えタンパク質発現用プラスミドベクターであるpET-27b(+)にscFvの遺伝子をクローニングした。まず、VLの遺伝子をPrimer1、Primer2プライマーセットで、VHの遺伝子をPrimer3、Primer4のプライマーセットで増幅させる。Primer2にはVLとVHを連結させるポリペプチドの配列が含まれており、さらにそれぞれの増幅産物はVLのC末端側とVHのN末端側が相同配列を持つようにデザインされている。ポリペプチドリンカーの配列はLuginbuhlらの用いた非反復配列からなるリンカー配列を用いている(J Mol Biol. 2006 Oct 13;363(1):75-97. Directed evolution of an anti-prion protein scFv fragment to an affinity of 1 pM and its structural interpretation.Luginbuhl B, Kanyo Z, Jones RM, Fletterick RJ, Prusiner SB, Cohen FE, Williamson RA, Burton DR, Pluckthun A.)。また、Primer4にはFLAGタグをコードした塩基配列が挿入されており、VHのC末端側にエンテロキナーゼ認識を挟んでFLAGタグが付加される。(図11参照。用いられた具体的なVH及びVLのアミノ酸配列は図12に示されている。)
それぞれのPCR産物を精製後、分子数が1対1となるように混合し、さらにPrimer1とPrimer4のプライマーセットでPCRを行うことで全長のscFvの遺伝子を作製した。このDNA断片をNcoIとNheIによりpET-27b(+)プラスミドベクター(Novagen)にクローニングし、モータリンに対するscFvを発現させるタンパク質発現プラスミド、pET27-motを作製した。(図10参照)
7.2 scFvの発現と精製
pET27-motを大腸菌株BL21 (DE3)に形質転換し、シングルクローンをLB培地により濁度が0.4程度になるまで培養する。IPTGを1mMに成るように添加し27℃にて12時間培養する。その後、6000gにて菌体を遠心回収し浸透圧ショック法によりペリプラズム画分のタンパク質を抽出する(J Biotechnol. 1994 Jul 29;36(1):45-54. Effect of modification of connecting peptide of proinsulin on its export.Kang Y, Yoon JW.)。50mLの培養液から回収した菌体を30mM TrisHCl (pH 8.0)、20%スクロース溶液3mLに完全に懸濁した後、0.5M EDTAを60 mL加えマグネットスターラーで10分間穏やかに攪拌する。4℃、6000gで10分間遠心し上清を除き、氷冷した5mM MgSO4 30mLにペレットを完全に懸濁させ氷中で緩やかに10分間攪拌する。4℃、6000gで10分間遠心し、上清を回収する。1.5mLの500mMリン酸バッファー(pH8)を加えた上でTalon(Clontech)を用いたタンパク質精製を行った。30mLの溶液に対して200mlのTalonを加え、4℃において一晩振とうさせた後、20mMイミダゾール/PBSにて洗浄した。溶出は1Mイミダゾール/PBSを用いた。得られた精製scFvの純度を確認するためにSDS-PAGEにより展開後、クマシーブルー染色によりタンパク質を検出したところ、目的のscFvのバンドのみが精製されていることが確認された。(図13参照)
7.3 ELISAによるモータリンscFvの機能検証
ELISAにより精製したscFvが抗原であるモータリンに結合するかを検証した。ELISA用プレートにモータリンを100ngずつ加え室温で2時間放置しプレートに物理吸着させる。洗浄バッファー(PBS/0.2% TritonX100)で1回洗浄し、ブロッキングバッファー(2% BSA,PBS)で2時間、室温で放置する。洗浄バッファーで1回洗浄後、ブロッキングバッファーに希釈したscFvを加え4℃で一晩放置した。洗浄バッファーで3回洗浄後、抗FLAG抗体(Sigma)をブロッキングバッファーで500倍希釈した溶液を加え、室温で1時間放置し洗浄バッファーで3回洗浄する。同様に1000倍希釈したアルカリフォスファターゼ修飾抗マウス抗体(PIERCE)を加え、室温で1時間放置後、洗浄バッファーで5回洗浄する。その後、PNPP(PIERCE)を加え室温で30分間放置し、プレートリーダーを用いて405 nMの発色反応を測定した。同時にモータリンをコートしていないプレートに対するscFvの非特異的結合も測定し、それを差し引くことでscFvのモータリンに対する結合を見積もった。
その結果、scFvは約10nM程度の解離定数でモータリンに結合することが分かった。また、scFvの基としたモノクローナル抗体37-1を用いた同様のELISAを行ったところ(抗FLAG抗体の代わりにモノクローナル抗体37-1を用いる)、これは約0.1nMの解離定数を持つことが分かった。
(参考例1)エピトープマッピング:
S1.1 全長モータリンおよびモータリンの欠失変異体タンパク質の発現と精製
Hisタグを付加した全長モータリンはpQE30プラスミドベクター(QIAGEN)のマルチクローニングサイトBamHIとSalIサイトにモータリンの配列をクローニングし、大腸菌により発現させた。pQE30プラスミドベクターはクローニングしたタンパク質のN末端にHisタグが付加したタンパク質を発現し、Ni-NTAアガロースゲルにより簡便に精製することが出来る。pQE30/full-length mortalinおよびFig8-10に示した様々な欠失変異体モータリンのプラスミドベクターpQE30del-motは大腸菌M15に形質転換した。シングルコロニーを、LB培地を用いて37度で培養し、600nmにおける吸光度が0.4程度のときにIPTG(isopropyl-1-thio-β-D-galactopyranoside)を1mMになるように添加した。さらに37度で5時間培養した後、菌体を回収した。ぺレットを緩衝液A(100mM NaH2PO4, 10mM Tris-Hcl(pH8.0),8M Urea,20mM β-メルカプトエタノール、1% TritonX-100)に懸濁し、室温で1時間回転攪拌をおこなった。その後、4℃、15000rpmで30分遠心し、上清のみを別のチューブにうつしてNi-NTAアガロース(SIGMA)を加え、室温で1時間回転攪拌をおこなった。その後、Ni-NTAアガロースを緩衝液B (100mM NaH2PO4,10mM Tris-Hcl(pH6.5),8M Urea,20mM β-メルカプトエタノール)で洗浄し、緩衝液C(100mM NaH2PO4,10mM Tris-Hcl(pH5.9),8M Urea)、緩衝液D(100mM NaH2PO4,10mM Tris-Hcl(pH4.5),8M Urea)で段階的に目的タンパク質を溶出した。溶出したタンパク質は透析膜(3,500MW Piarce)を用いて、PBSで一晩透析を行い、BIACOREおよびELISAの実験に用いた。
S1.2. Biacore analysis
各タンパク質と抗モータリン抗体との結合はBIACORE2000および付属ソフトを用いて検証をおこなった。全長モータリンおよびモータリンの欠失変異体はHisタグを有しているため、NTAが固定化されたBIACORE用センサーチップに結合する。各タンパク質を200nMとなるようにランニングバッファー(0.01M HEPES,0.15M NaCl,50μM EDTA,0.005% Surfactant P20,pH7.4)を用いて調整し、20μLを2μL/minでセンサーチップに固定化した。その後、抗モータリン抗体(38-4,52-3,96-5)をランニングバッファーを用いて400nMとなるように調整して、センサーチップに40μLを20μL/minで流入し、相互作用を検出した.Kd値の測定には段階的に希釈した抗モータリン抗体溶液(500nM,250nM,125nM,62.5nM,31.25nM)を用いて相互作用を検出し、Kd値の算出にもちいた。(参考図1(図15))
S1.3. ELISAによる抗モータリン抗体のエピトープマッピング
ELISAにより精製したモータリンの欠失変異体タンパク質が抗モータリン抗体に結合するかを検証した。ELISA用プレートにモータリンの欠失変異体タンパク質を100ngずつ加え室温で2時間放置しプレートに物理吸着させる。洗浄バッファー(PBS/0.2% TritonX100)で1回洗浄し、ブロッキングバッファー(2%BSA,PBS)で2時間、室温で放置する。洗浄バッファーで1回洗浄後、ブロッキングバッファーに1000倍希釈した抗モータリン抗体(38-4,52-3,96-5)を加え4℃で一晩放置した。洗浄バッファーで3回洗浄後、1000倍希釈したアルカリフォスファターゼ修飾抗マウス抗体(PIERCE)を加え、室温で1時間放置後、洗浄バッファーで5回洗浄する。その後、PNPP(PIERCE)を加え室温で30分間放置し、プレートリーダーを用いて405nMの発色反応を測定した。同時にモータリンの欠失タンパク質を吸着していないプレートに対する抗モータリン抗体の非特異的結合も測定し、それをネガティブコントロールとして差し引いた。(参考図2(図16))
S1.4 まとめ
BIACOA及びELISAの結果を総合的に判断すると、細胞内在化能を有する38-4抗体及び96-5抗体のエピトープはモータリンのアミノ酸残基310-410の範囲にあり、細胞内在化能を有さない52-3抗体のエピトープはアミノ酸残基403-435の範囲にあると推測される。
このことは、細胞内在化能を有する抗体と有さない抗体とで、それぞれの抗体可変領域中の主にCDRが形成するパラトープが、癌細胞表面に存在するモータリンの異なる位置のエピトープを認識することを示すものであり、抗モータリン抗体における細胞内在化能にとって、各CDR配列の重要性を示唆するものでもある。
(実施例8)ウェスタンブロッティングによるscFvを用いたモータリンの検出(図17)
NP40 lysis buffer (50 mM HEPES, pH 7.5, 150 mM NaCl, 100 mM NaF, 1 mM PMSF, 0.5% triton-X100, 0.5% NP-40, 1 mM DTT、protease inhibitors cocktail, Roche) により細胞抽出液を調整し13000 rpm 、40Cで10分間遠心したのち、上澄を分離する。Bradford アッセイによりタンパク質濃度を測定し10 ug のタンパク質をSDSサンプルバッファーと混合し96℃で5分間変性させ、SDS−PAGEを行う。Immobilon-Pメンブレン (Millipore)にセミドライブロッティング装置(Atto, Japan)を用いてタンパク質をトランスファーさせる。5% skim milk を懸濁させたTBS-Tバッファーで30分間ブロッキングした後scFV (5-10 ug/ml) を加え4℃で一晩放置する。その後、TBS-Tバッファーで洗浄を行った後polyclonal anti-His 抗体を加え室温で1時間放置し、TBS-Tバッファーで洗浄する。同様にHRP-conjugated secondary anti-rabbit 抗体を加え30分間室温放置した後、TBS-Tバッファーで3回洗浄、TBSバッファーで1回洗浄を行ったあと、ECL (Amersham Biosciences) 試薬を用いた発光検出法によりLumino Image Analyzer (LAS3000-mini, FujiFilm)にてバンドを検出した。その結果、モータリンのバンドを特異的に検出することが可能であった。
(実施例9)免疫沈降によるモータリンの検出(図18)
上記の方法で細胞抽出液を調整した後、300 ugの細胞タンパク質と10ugのscFvを混合し4℃で3〜4時間放置した。その後、anti-His polyclonal抗体を加え、4oCで一晩放置した。for overnight. Immunocomplexes were pelleted after incubation with Protein A-アガロースと混合した後、30分間4℃でゆっくり転倒攪拌した。10,000 g で2分間遠心し、タンパク質複合体を沈殿させた後、ペレットをNP40バッファーで洗浄した。その後、沈殿させたタンパク質をanti-mortalin 抗体を用いたウェスタンブロッティングにて検出した。その結果、scFvは細胞溶液中でもモータリンと結合し、複合体を形成したまま沈降精製が可能であることが分かった。
これらの結果から見て、パラトープ解析の結果から新たに設計したscFvがモータリンタンパク質に結合することが証明された。
そして、このことは、細胞内在化能を有する抗体と有さない抗体とで、それぞれの抗体可変領域中の主にCDRが形成するパラトープが、癌細胞表面に存在するモータリンの異なる位置のエピトープを認識することを示すものであり、上述のように細胞内在化能を有する抗体と有さない抗体とでは、それぞれに特有のCDR配列を有していることを考え合わせれば、これらのCDR配列が、抗モータリン抗体の癌細胞内への内在化能にきわめて重要な役割を有していることが強く示唆される。
本発明の核酸用キャリアは、癌細胞内に遺伝子治療用の核酸を導入することができるので癌遺伝子治療用組成物として、また癌細胞内へ検出用遺伝子や検出用標識の核酸キャリアとして有用である。

Claims (23)

  1. 癌細胞内に核酸を導入するための核酸用キャリアであって、カチオン性高分子と結合した、細胞内在化機能を有する抗モータリン抗体を含むことを特徴とする核酸用キャリア。
  2. 細胞内在化機能を有する抗モータリン抗体の可変領域のアミノ酸配列が、L鎖可変領域のアミノ酸配列のうち、CDR1が「KSSQSLLDSDGKTYLN(配列番号1)」であり、CDR2が「LVSKLDS(配列番号2)」であり、CDR3が「WQGTHFPRT(配列番号3)」であって、H鎖可変領域のアミノ酸配列のうち、CDR1が「SYWMH(配列番号14)」であり、CDR2が「EIDPSDSYTKYNQKFKG(配列番号15)」又は「EIDPSDSYTDYNQNFKG(配列番号18)」であり、CDR3が「GDY(配列番号16)」であることを特徴とする、請求項1に記載の核酸用キャリア。
  3. 前記L鎖可変領域のアミノ酸配列が下記(a)又は(b)であり、H鎖可変領域アミノ酸配列が(c)又は(d)である請求項2に記載の核酸用キャリア。
    (a)配列番号4又は5に示されるアミノ酸配列、
    (b)配列番号4又は5に示されるアミノ酸配列中のシグナル配列及び/又はフレームワーク配列中に1もしくは数個のアミノ酸が欠失・置換・付加されているアミノ酸配列
    (c)配列番号17、19又は20に示されるアミノ酸配列、
    (d)配列番号17、19又は20に示されるアミノ酸配列中のシグナル配列及び/又はフレームワーク配列中に1もしくは数個のアミノ酸が欠失・置換・付加されているアミノ酸配列。
  4. 細胞内在化機能を有する抗モータリン抗体の可変領域のアミノ酸配列が、L鎖可変領域のアミノ酸配列のうち、CDR1が「RASQEISGYLS(配列番号6)」、CDR2が「AASTLDS(配列番号7)」であり、CDR3が「LQYASYPPT(配列番号8)」であって、H鎖可変領域のアミノ酸配列のうち、CDR1が「TNAMN(配列番号21)」であり、CDR2が「RIRSKSNNYATYYADSVKD(配列番号22)」であり、CDR3が「DGYYSY(配列番号23)」であることを特徴とする、請求項1に記載の核酸用キャリア。
  5. 前記L鎖可変領域のアミノ酸配列が下記(a)又は(b)であり、H鎖可変領域アミノ酸配列が(c)又は(d)である請求項2に記載の核酸用キャリア。
    (a)配列番号9に示されるアミノ酸配列、
    (b)配列番号9に示されるアミノ酸配列中のシグナル配列及び/又はフレームワーク配列中に1もしくは数個のアミノ酸が欠失・置換・付加されているアミノ酸配列
    (c)配列番号24に示されるアミノ酸配列、
    (d)配列番号24に示されるアミノ酸配列中のシグナル配列及び/又はフレームワーク配列中に1もしくは数個のアミノ酸が欠失・置換・付加されているアミノ酸配列。
  6. 細胞内在化機能を有する抗モータリン抗体が、H鎖及びL鎖の可変領域をリンカー配列で繋いだ一本鎖抗体であって、そのL鎖可変領域が配列番号4、5又は9に示されるアミノ酸配列からなり、H鎖可変領域が配列番号17又は19又は20又は24に示されるアミノ酸配列からなる一本鎖抗体であることを特徴とする、請求項1〜5のいずれか1項に記載の核酸用キャリア。
  7. 細胞内在化機能を有する抗モータリン抗体が、還元され、H鎖及びL鎖それぞれ1本ずつからなる抗体であることを特徴とする、請求項1〜5のいずれか1項に記載の核酸用キャリア
  8. 前記カチオン性高分子がポリエチレンイミンであることを特徴とする、請求項1〜7のいずれか1項に記載の核酸用キャリア。
  9. 前記ポリエチレンイミンが、還元された抗体の遊離SH基とリンカーを介して結合されていることを特徴とする、請求項8に記載の核酸用キャリア。
  10. 請求項1〜9のいずれか1項に記載の核酸用キャリアと核酸との混合物からなる、分子複合体。
  11. 前記核酸が組換えDNAであることを特徴とする、請求項10に記載の分子複合体。
  12. 前記組換えDNAが癌の遺伝子治療用組換えベクターであることを特徴とする、請求項11に記載の分子複合体。
  13. 前記核酸が、siRNAもしくはリボザイム又はそれを含むベクターであることを特徴とする、請求項10に記載の分子複合体。
  14. 前記核酸が、癌細胞内で発現可能な蛍光タンパク質をコードする遺伝子を含む発現ベクターであることを特徴とする、請求項10又は11に記載の分子複合体。
  15. 前記核酸が、癌細胞内でin situ検出可能な標識化合物により標識された核酸であることを特徴とする、請求項10又は11に記載の分子複合体。
  16. 請求項10〜13のいずれか1項に記載の分子複合体を有効成分とする抗癌剤組成物。
  17. 請求項10,11,14及び15のいずれか1項に記載の分子複合体を有効成分とする癌細胞検出用又は同定用組成物。
  18. 請求項10,11,14及び15のいずれか1項に記載の分子複合体を有効成分とする癌診断剤。
  19. 請求項1〜9のいずれか1項に記載の核酸用キャリアを用いることを特徴とする、癌細胞内に目的の核酸を導入するための核酸デリバリー方法。
  20. 前記目的の核酸が、組換えDNA、siRNA及びリボザイムから選ばれることを特徴とする、請求項19に記載の核酸デリバリー方法。
  21. 請求項19又は20に記載の核酸デリバリー方法において、前記目的の核酸が、遺伝子治療用の組換えDNA、siRNA及びリボザイムから選ばれることを特徴とする、ヒトを除く哺乳動物の遺伝子治療方法。
  22. 請求項19に記載の核酸デリバリー方法において、前記目的の核酸が、癌細胞内で発現可能な蛍光タンパク質をコードする遺伝子を含む発現ベクターであるか又は癌細胞内でin situ検出可能な標識化合物により標識された核酸であることを特徴とする、癌細胞の検出又は同定方法。
  23. 請求項19に記載の核酸デリバリー方法において、前記目的の核酸が、癌細胞内で発現可能な蛍光タンパク質をコードする遺伝子を含む発現ベクターであるか又は癌細胞内でin situ検出可能な標識化合物により標識された核酸であることを特徴とする、ヒトを除く哺乳動物の癌診断方法。
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