以下に、図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。
図4に、本発明の第一の実施の形態に係る光ヘッド装置の構成が示される。光ヘッド装置61は、半導体レーザ1、コリメータレンズ2、回折光学素子3、偏光ビームスプリッタ4、1/4波長板5、対物レンズ6、位相フィルタ11、円筒レンズ8、凸レンズ9、光検出器10を具備する。光源である半導体レーザ1からの出射光は、コリメータレンズ2により発散光から平行光へ変換され、回折光学素子3により0次光であるメインビームおよび±1次回折光である2つのサブビームに分割される。回折光学素子3における0次光の透過率は例えば約87.5%であり、±1次回折光の回折効率は例えばそれぞれ約5.1%である。メインビームおよび2つのサブビームは、光分離手段である偏光ビームスプリッタ4へP偏光として入射してほぼ100%が透過し、1/4波長板5により直線偏光から円偏光へ変換され、対物レンズ6により平行光から収束光へ変換され、光記録媒体であるディスク7の記録層に集光される。ここで、回折光学素子3からの0次光は所定の情報トラック上に集光され、回折光学素子3からの+1次回折光は所定の情報トラックとその外周側に隣接する情報トラックとの中間に集光され、回折光学素子3からの−1次回折光は所定の情報トラックとその内周側に隣接する情報トラックとの中間に集光される。ディスク7の記録層で反射されたメインビームの反射光および2つのサブビームの反射光は、対物レンズ6により発散光から平行光へ変換され、1/4波長板5により円偏光から往路と偏光方向が直交した直線偏光へ変換され、偏光ビームスプリッタ4へS偏光として入射してほぼ100%が反射され、位相フィルタ11を透過し、円筒レンズ8により非点収差が与えられ、凸レンズ9により平行光から収束光へ変換され、光検出器10で受光される。
図5に、光検出器10の受光部の平面図が示される。光検出器10は、円筒レンズ8、凸レンズ9により構成されるレンズ系の2つの焦線の中間に設けられている。光検出器10は、メインビーム、サブビームの反射光を受光する3つの受光ブロックを備え、各受光ブロックは、ディスク7の情報トラックの方向に垂直な方向、平行な方向に対応する2つの分割線で隔てられる4つの受光部を含む。したがって、回折光学素子3からの0次光であるメインビームの反射光を受光する受光ブロックは受光部13a〜受光部13dを含み、回折光学素子3からの+1次回折光であるサブビームの反射光を受光する受光ブロックは受光部13e〜受光部13hを含み、回折光学素子3からの−1次回折光であるサブビームの反射光を受光する受光ブロックは受光部13i〜受光部13lを含む。
位相フィルタ11としては、図6A、6Bに示される位相フィルタ11a、図8A〜8Cに示される位相フィルタ11b、図10A〜10Cに示される位相フィルタ11cのいずれかが用いられる。
図6Aは位相フィルタ11aの平面図、図6Bは位相フィルタ11aの断面図である。ここで、図中のX方向、Y方向は、それぞれディスク7の情報トラックの方向に垂直な方向、平行な方向に対応している。また、図中の破線で示される円は対物レンズ6の有効径に相当する直径を有する円を示している。位相フィルタ11aは基板の表面に領域15a〜領域15bの2つの領域を有する。領域15aの部分の厚さは、領域15bの部分に比べて薄い。半導体レーザ1の波長をλ、基板の屈折率をnとするとき、領域15aの部分の厚さと領域15bの部分の厚さとの差hは、h=0.5λ/(n−1)となるように設定されている。このとき、領域15aを透過するディスク7からの反射光と領域15bを透過するディスク7からの反射光との間に180°の位相差が与えられる。
図7に、位相フィルタ11aを用いた場合の光検出器10上の光スポットの配置が示される。光スポット14aは、回折光学素子3からの0次光であるメインビームの反射光に相当し、受光部13a〜受光部13dを含む受光ブロック上に形成される。光スポット14bは、回折光学素子3からの+1次回折光であるサブビームの反射光に相当し、受光部13e〜受光部13hを含む受光ブロック上に形成される。光スポット14cは、回折光学素子3からの−1次回折光であるサブビームの反射光に相当し、受光部13i〜受光部13lを含む受光ブロック上に形成される。
ここで、円筒レンズ8、凸レンズ9により構成されるレンズ系の作用により、光スポット14a〜光スポット14cは、レンズ系へ入射する前の光に対し、ディスク7の情報トラックの方向に垂直な方向、平行な方向に対応する方向の強度分布が互いに入れ替わっている。受光部13a〜受光部13dからの出力に基づいて、メインプッシュプル信号が検出され、受光部13e〜受光部13lからの出力に基づいて、サブプッシュプル信号が検出される。また、受光部13a〜受光部13dからの出力に基づいて、ディスク7に記録されたマーク/スペース信号が検出される。
図中に破線で示される光スポット14dは、ディスク7が2層の記録層を有する光記録媒体である場合の非対象層からのメインビームの反射光に相当する。位相フィルタ11aは、領域15aを透過するディスク7からの反射光と領域15bを透過するディスク7からの反射光との間に180°の位相差を与える。そのため、位相フィルタ11aへ入射した非対象層からのメインビームの反射光は、透過後に領域15aと領域15bとを隔てる直線での回折の影響を受け、光スポット14dとなる。互いに干渉する領域15aを透過した光と領域15bを透過した光との間の位相差は、光軸を通り情報トラックの方向に対応する直線の近傍においては180°に近い。そのため、光軸を通り情報トラックの方向に対応する直線の近傍における非対象層からのメインビームの反射光の強度は弱い。
ここで、受光部13a〜受光部13lは、光軸を通り情報トラックの方向に対応する直線の近傍に位置する。このとき、非対象層からのメインビームの反射光は、回折の影響により殆んど受光部13a〜受光部13lへ入射しない。従って、対象層と非対象層との間隔が変化してもサブプッシュプル信号および差動プッシュプル信号に殆んど乱れが生じない。
また、位相フィルタ11aへ入射した対象層からのメインビームの反射光も透過後に領域15aと領域15bとを隔てる直線での回折の影響を受け、光スポット14aとなる。互いに干渉する領域15aを透過した光と領域15bを透過した光との間の位相差は、光軸を通り情報トラックの方向に対応する直線の近傍においては180°に近い。そのため、光軸を通り情報トラックの方向に対応する直線の近傍における対象層からのメインビームの反射光の強度は弱い。しかし、領域15aを透過した光と領域15bを透過した光との間の位相差は、光軸を通り情報トラックの方向に対応する直線の近傍から離れるに従って0°に近くなる。そのため、光軸を通り情報トラックの方向に対応する直線の近傍から離れるに従って対象層からのメインビームの反射光の強度は強くなる。
ここで、光軸を通り情報トラックの方向に対応する直線は、受光部13a〜受光部13bと受光部13c〜受光部13dとを隔てる分割線に相当する。このとき、対象層からのメインビームの反射光は、強度分布が変化するものの回折の影響によらず全て受光部13a〜受光部13dへ入射する。従って、受光部13a〜受光部13dからの出力に基づいて検出される、対象層に記録されたマーク/スペース信号の品質が低下しない。
図8Aは位相フィルタ11bの平面図、図8Bおよび8Cは位相フィルタ11bの断面図である。ここで、図中のX方向、Y方向は、それぞれディスク7の情報トラックの方向に垂直な方向、平行な方向に対応している。また、図中の破線で示される円は対物レンズ6の有効径に相当する直径を有する円を示している。位相フィルタ11bは基板の表面に領域15c〜領域15lの10の領域を有する。領域15c、領域15e、領域15gの部分の厚さは、領域15d、領域15f、領域15hの部分の厚さに比べて薄い。半導体レーザ1の波長をλ、基板の屈折率をnとするとき、領域15c、領域15e、領域15gの部分の厚さと領域15d、領域15f、領域15hの部分の厚さとの差hは、h=0.5λ/(n−1)となるように設定されている。このとき、領域15c、領域15e、領域15gを透過するディスク7からの反射光と、領域15d、領域15f、領域15hを透過するディスク7からの反射光との間に180°の位相差が与えられる。
なお、領域15i〜領域15lの部分の厚さは、領域15c、領域15e、領域15gの部分の厚さと領域15d、領域15f、領域15hの部分の厚さとの平均である。このとき、領域15i〜領域15lを透過するディスク7からの反射光と、領域15c、領域15e、領域15gを透過するディスク7からの反射光との間には90°の位相差が与えられる。さらに、領域15i〜領域15lを透過するディスク7からの反射光と、領域15d、領域15f、領域15hを透過するディスク7からの反射光との間にも90°の位相差が与えられる。
図9に、位相フィルタ11bを用いた場合の光検出器10上の光スポットの配置が示される。光スポット14eは、回折光学素子3からの0次光であるメインビームの反射光に相当し、受光部13a〜受光部13dを含む受光ブロック上に形成される。光スポット14fは、回折光学素子3からの+1次回折光であるサブビームの反射光に相当し、受光部13e〜受光部13hを含む受光ブロック上に形成される。光スポット14gは、回折光学素子3からの−1次回折光であるサブビームの反射光に相当し、受光部13i〜受光部13lを含む受光ブロック上に形成される。
ここで、円筒レンズ8、凸レンズ9により構成されるレンズ系の作用により、光スポット14e〜光スポット14gは、レンズ系へ入射する前の光に対し、ディスク7の情報トラックの方向に垂直な方向、平行な方向に対応する方向の強度分布が互いに入れ替わっている。受光部13a〜受光部13dからの出力、受光部13e〜受光部13lからの出力に基づいて、それぞれメインプッシュプル信号、サブプッシュプル信号が検出される。また、受光部13a〜受光部13dからの出力に基づいて、ディスク7に記録されたマーク/スペース信号が検出される。
図中に破線で示される光スポット14hは、ディスク7が2層の記録層を有する光記録媒体である場合の非対象層からのメインビームの反射光に相当する。位相フィルタ11bは、領域15c、領域15e、領域15gを透過するディスク7からの反射光と、領域15d、領域15f、領域15hを透過するディスク7からの反射光との間に180°の位相差を与える。そのため、位相フィルタ11bへ入射した非対象層からのメインビームの反射光は、透過後に領域15cと領域15dとの境界、領域15eと領域15fとの境界、領域15gと領域15hとの境界での回折の影響を受け、光スポット14hとなる。領域15c、領域15e、領域15gを透過した光と領域15d、領域15f、領域15hを透過した光とは互いに干渉し、その間の位相差は、光軸を通り情報トラックの方向に対応する直線の近傍においては180°に近い。そのため、領域15c、領域15e、領域15gを透過した光と領域15d、領域15f、領域15hを透過した光とが互いに干渉する部分では、光軸を通り情報トラックの方向に対応する直線の近傍における非対象層からのメインビームの反射光の強度は弱い。
ここで、受光部13a〜受光部13dは、光軸を通り情報トラックの方向に対応する直線の近傍のうち、領域15cを透過した光と領域15dを透過した光とが互いに干渉する部分に位置する。受光部13e〜受光部13hは、光軸を通り情報トラックの方向に対応する直線の近傍のうち、領域15eを透過した光と領域15fを透過した光とが互いに干渉する部分に位置する。受光部13i〜受光部13lは、光軸を通り情報トラックの方向に対応する直線の近傍のうち、領域15gを透過した光と領域15hを透過した光とが互いに干渉する部分に位置する。このとき、非対象層からのメインビームの反射光は、回折の影響により殆んど受光部13a〜受光部13lへ入射しない。従って、対象層と非対象層との間隔が変化してもサブプッシュプル信号および差動プッシュプル信号に殆んど乱れが生じない。
また、位相フィルタ11bへ入射した対象層からのメインビームの反射光も透過後に領域15c、領域15e、領域15gと領域15d、領域15f、領域15hとを隔てる直線での回折の影響を受け、光スポット14eとなる。互いに干渉する領域15c、領域15e、領域15gを透過した光と、領域15d、領域15f、領域15hを透過した光との間の位相差は、光軸を通り情報トラックの方向に対応する直線の近傍においては180°に近い。そのため、領域15c、領域15e、領域15gを透過した光と領域15d、領域15f、領域15hを透過した光とが互いに干渉する部分では、光軸を通り情報トラックの方向に対応する直線の近傍における対象層からのメインビームの反射光の強度は弱い。しかし、互いに干渉する領域15c、領域15e、領域15gを透過した光と領域15d、領域15f、領域15hを透過した光との間の位相差は、光軸を通り情報トラックの方向に対応する直線の近傍から離れるに従って0°に近くなる。そのため、領域15c、領域15e、領域15gを透過した光と領域15d、領域15f、領域15hを透過した光とが互いに干渉する部分では、光軸を通り情報トラックの方向に対応する直線の近傍から離れるに従って対象層からのメインビームの反射光の強度は強くなる。
ここで、光軸を通り情報トラックの方向に対応する直線は、受光部13a〜受光部13bと受光部13c〜受光部13dとを隔てる分割線に相当する。このとき、対象層からのメインビームの反射光は、強度分布が変化するものの回折の影響によらず全て受光部13a〜受光部13dへ入射する。従って、受光部13a〜受光部13dからの出力に基づいて検出される、対象層に記録されたマーク/スペース信号の品質が低下しない。
図10Aは位相フィルタ11cの平面図、図10Bおよび10Cは位相フィルタ11cの断面図である。ここで、図中のX方向、Y方向は、それぞれディスク7の情報トラックの方向に垂直な方向、平行な方向に対応している。また、図中の破線で示される円は対物レンズ6の有効径に相当する直径を有する円を示している。位相フィルタ11cは基板の表面に領域15m〜領域15sの7つの領域を有する。領域15m、領域15oの部分の厚さは、領域15n、領域15pの部分の厚さに比べて薄い。半導体レーザ1の波長をλ、基板の屈折率をnとするとき、領域15m、領域15oの部分の厚さと領域15n、領域15pの部分の厚さとの差hは、h=0.5λ/(n−1)となるように設定されている。このとき、領域15m、領域15oを透過するディスク7からの反射光と、領域15n、領域15pを透過するディスク7からの反射光との間に180°の位相差が与えられる。
なお、領域15q〜領域15sの部分の厚さは、領域15m、領域15oの部分の厚さと領域15n、領域15pの部分の厚さとの平均である。このとき、領域15q〜領域15sを透過するディスク7からの反射光と、領域15m、領域15oを透過するディスク7からの反射光との間には90°の位相差が与えられる。さらに、領域15q〜領域15sを透過するディスク7からの反射光と領域15n、領域15pを透過するディスク7からの反射光との間にも90°の位相差が与えられる。
図11に、位相フィルタ11cを用いた場合の光検出器10上の光スポットの配置が示される。光スポット14iは、回折光学素子3からの0次光であるメインビームの反射光に相当し、受光部13a〜受光部13dを含む受光ブロック上に形成される。光スポット14jは、回折光学素子3からの+1次回折光であるサブビームの反射光に相当し、受光部13e〜受光部13hを含む受光ブロック上に形成される。光スポット14kは、回折光学素子3からの−1次回折光であるサブビームの反射光に相当し、受光部13i〜受光部13lを含む受光ブロック上に形成される。
ここで、円筒レンズ8、凸レンズ9により構成されるレンズ系の作用により、光スポット14i〜光スポット14kは、ディスク7の情報トラックの方向に垂直な方向の強度分布と、平行な方向に対応する方向の強度分布とが、レンズ系へ入射する前の光に対して互いに入れ替わっている。受光部13a〜受光部13dからの出力に基づいて、メインプッシュプル信号が検出され、受光部13e〜受光部13lからの出力に基づいて、サブプッシュプル信号が検出される。また、受光部13a〜受光部13dからの出力に基づいて、ディスク7に記録されたマーク/スペース信号が検出される。
図中に破線で示される光スポット14lは、ディスク7が2層の記録層を有する光記録媒体である場合の非対象層からのメインビームの反射光に相当する。位相フィルタ11cは、領域15m、領域15oを透過するディスク7からの反射光と領域15n、領域15pを透過するディスク7からの反射光との間に180°の位相差を与える。そのため、位相フィルタ11cへ入射した非対象層からのメインビームの反射光は、透過後に領域15m、領域15oと領域15n、領域15pとを隔てる直線での回折の影響を受け、光スポット14lとなる。互いに干渉する領域15m、領域15oを透過した光と領域15n、領域15pを透過した光との間の位相差は、光軸を通り情報トラックの方向に対応する直線の近傍においては180°に近い。そのため、領域15m、領域15oを透過した光と領域15n、領域15pを透過した光とが互いに干渉する部分では、光軸を通り情報トラックの方向に対応する直線の近傍における非対象層からのメインビームの反射光の強度は弱い。
ここで、受光部13e〜受光部13hは、光軸を通り情報トラックの方向に対応する直線の近傍のうち、領域15mを透過した光と領域15nを透過した光とが互いに干渉する部分に位置する。受光部13i〜受光部13lは、光軸を通り情報トラックの方向に対応する直線の近傍のうち、領域15oを透過した光と領域15pを透過した光とが互いに干渉する部分に位置する。このとき、非対象層からのメインビームの反射光は、回折の影響により殆んど受光部13e〜受光部13lへ入射しない。従って、対象層と非対象層との間隔が変化してもサブプッシュプル信号および差動プッシュプル信号に殆んど乱れが生じない。
また、位相フィルタ11cへ入射した対象層からのメインビームの反射光も透過後に領域15mと領域15nとの境界、領域15oと領域15pとの境界での回折の影響を受け、光スポット14iとなる。領域15m、領域15oを透過した光と領域15n、領域15pを透過した光とは互いに干渉し、それぞれの間の位相差は、光軸を通り情報トラックの方向に対応する直線の近傍においては180°に近い。そのため、領域15m、領域15oを透過した光と領域15n、領域15pを透過した光とが互いに干渉する部分では、光軸を通り情報トラックの方向に対応する直線の近傍における対象層からのメインビームの反射光の強度は弱い。しかし、領域15m、領域15oを透過した光と領域15n、領域15pを透過した光との間の位相差は、光軸を通り情報トラックの方向に対応する直線の近傍から離れるに従って0°に近くなる。そのため、領域15m、領域15oを透過した光と領域15n、領域15pを透過した光とが互いに干渉する部分では、光軸を通り情報トラックの方向に対応する直線の近傍から離れるに従って対象層からのメインビームの反射光の強度は強くなる。ここで、光軸を通り情報トラックの方向に対応する直線は、受光部13a〜受光部13bと受光部13c〜受光部13dとを隔てる分割線に相当する。このとき、対象層からのメインビームの反射光は、強度分布が変化するものの回折の影響によらず全て受光部13a〜受光部13dへ入射する。従って、受光部13a〜受光部13dからの出力に基づいて検出される、対象層に記録されたマーク/スペース信号の品質が低下しない。
光検出器10の受光部13a〜受光部13lからの出力である電圧信号のレベルをそれぞれV13a〜V13lで表す。このとき、メインビームに対する非点収差信号MAS、サブビームに対する非点収差信号SAS、メインビームに対するプッシュプル信号MPP、サブビームに対するプッシュプル信号SPP、メインビームに対する和信号MSUMは、それぞれ次式で与えられる。
MAS=(V13a+V13d)−(V13b+V13c)
SAS=(V13e+V13h+V13i+V13l)−(V13f+V13g+V13j+V13k)
MPP=(V13a+V13b)−(V13c+V13d)
SPP=(V13e+V13f+V13i+V13j)−(V13g+V13h+V13k+V13l)
MSUM=V13a+V13b+V13c+V13d
フォーカス誤差信号の元になる差動非点収差信号DASは、
DAS=MAS+KFE×SAS(KFEは定数)
の演算から得られる。トラック誤差信号の元になる差動プッシュプル信号DPPは、
DPP=MPP−KTE×SPP(KTEは定数)
の演算から得られる。ディスク7に記録されたマーク/スペース信号である再生信号はMSUMの高周波成分から得られる。
図12A、12Bに、従来の一般的な光ヘッド装置により2層の記録層を有する光記録媒体から得られたプッシュプル信号の観測例が示される。図12Aに、対物レンズに近い方の層(1層目)に対するメインプッシュプル信号およびサブプッシュプル信号が示され、図12Bに、対物レンズから遠い方の層(2層目)に対するメインプッシュプル信号およびサブプッシュプル信号が示される。図より、サブプッシュプル信号に乱れが生じていることがわかる。
これに対し、図13A、13Bに、本発明の光ヘッド装置により2層の記録層を有する光記録媒体から得られたプッシュプル信号の観測例が示される。図13Aに対物レンズに近い方の層(1層目)に対するメインプッシュプル信号およびサブプッシュプル信号が示され、図13Bに対物レンズから遠い方の層(2層目)に対するメインプッシュプル信号およびサブプッシュプル信号が示される。図より、サブプッシュプル信号に乱れが生じていないことがわかる。
本発明の第一の実施の形態において、位相フィルタ11として、図14A〜14Cに示される位相フィルタ11d、図15A〜15Cに示される位相フィルタ11eが用いられてもよい。
図14Aは位相フィルタ11dの平面図、図14Bおよび14Cは位相フィルタ11dの断面図である。ここで、図中のX方向、Y方向は、それぞれディスク7の情報トラックの方向に垂直な方向、平行な方向に対応している。また、図中の破線で示される円は、対物レンズ6の有効径に相当する直径を有する円を示している。位相フィルタ11dは基板の表面に領域18a〜領域18hの8つの領域を有する。領域18a、領域18d、領域18f、領域18gの高さは、領域18b、領域18c、領域18e、領域18hの高さに比べて低い。半導体レーザ1の波長をλ、基板の屈折率をnとするとき、領域18a、領域18d、領域18f、領域18gの高さと領域18b、領域18c、領域18e、領域18hの高さとの差hは、h=0.5λ/(n−1)となるように設定されている。このとき、領域18a、領域18d、領域18f、領域18gを透過するディスク7からの反射光と領域18b、領域18c、領域18e、領域18hを透過するディスク7からの反射光との間に180°の位相差が与えられる。
位相フィルタ11dへ入射した非対象層からのメインビームの反射光は、透過後に領域18e、領域18a、領域18c、領域18gと領域18f、領域18b、領域18d、領域18hとを隔てる直線、領域18a、領域18bと領域18c、領域18dとを隔てる直線、領域18e、領域18fと領域18a、領域18bとを隔てる直線、領域18c、領域18dと領域18g、領域18hとを隔てる直線での回折の影響を受ける。互いに干渉する領域18e、領域18a、領域18c、領域18gを透過した光と領域18f、領域18b、領域18d、領域18hを透過した光との間の位相差は、光軸を通り情報トラックの方向に対応する直線の近傍においては180°に近い。そのため、光軸を通り情報トラックの方向に対応する直線の近傍における非対象層からのメインビームの反射光の強度は弱い。互いに干渉する領域18a、領域18bを透過した光と領域18c、領域18dを透過した光との間の位相差は、光軸を通り情報トラックと直交する方向に対応する直線の近傍においては180°に近い。そのため、光軸を通り情報トラックと直交する方向に対応する直線の近傍における非対象層からのメインビームの反射光の強度は弱い。互いに干渉する領域18e、領域18fを透過した光と領域18a、領域18bを透過した光との間の位相差は、光軸より上の部分を通り情報トラックと直交する方向に対応する直線の近傍においては180°に近い。そのため、光軸より上の部分を通り情報トラックと直交する方向に対応する直線の近傍における非対象層からのメインビームの反射光の強度は弱い。互いに干渉する領域18c、領域18dを透過した光と領域18g、領域18hを透過した光との間の位相差は、光軸より下の部分を通り情報トラックと直交する方向に対応する直線の近傍においては180°に近い。そのため、光軸より下の部分を通り情報トラックと直交する方向に対応する直線の近傍における非対象層からのメインビームの反射光の強度は弱い。
ここで、受光部13a〜受光部13dは、光軸を通り情報トラックの方向に対応する直線と、光軸を通り情報トラックと直交する方向に対応する直線との交点の近傍に位置する。受光部13e〜受光部13hは、光軸を通り情報トラックの方向に対応する直線と、光軸より上の部分を通り情報トラックと直交する方向に対応する直線との交点の近傍に位置する。受光部13i〜受光部13lは、光軸を通り情報トラックの方向に対応する直線と、光軸より下の部分を通り情報トラックと直交する方向に対応する直線との交点の近傍に位置する。このとき、非対象層からのメインビームの反射光は、回折の影響により殆んど受光部13a〜受光部13lへ入射しない。従って、対象層と非対象層との間隔が変化してもサブプッシュプル信号および差動プッシュプル信号に殆んど乱れが生じない。
また、位相フィルタ11dへ入射した対象層からのメインビームの反射光も透過後に領域18e、領域18a、領域18c、領域18gと領域18f、領域18b、領域18d、領域18hとを隔てる直線、領域18a、領域18bと領域18c、領域18dとを隔てる直線、領域18e、領域18fと領域18a、領域18bとを隔てる直線、領域18c、領域18dと領域18g、領域18hとを隔てる直線での回折の影響を受ける。しかし、対象層からのメインビームの反射光は、強度分布が変化するものの回折の影響によらず全て受光部13a〜受光部13dへ入射する。従って、受光部13a〜受光部13dからの出力に基づいて検出される、対象層に記録されたマーク/スペース信号の品質が低下しない。
図15Aは位相フィルタ11eの平面図、図15Bおよび15Cは位相フィルタ11eの断面図である。ここで、図中のX方向、Y方向は、それぞれディスク7の情報トラックの方向に垂直な方向、平行な方向に対応している。また、図中の破線で示される円は、対物レンズ6の有効径に相当する直径を有する円を示している。位相フィルタ11eは基板の表面に領域18i〜領域18nの6つの領域を有する。領域18i、領域18l、領域18nの高さは、領域18j、領域18k、領域18mの高さに比べて低い。半導体レーザ1の波長をλ、基板の屈折率をnとするとき、領域18i、領域18l、領域18nの高さと領域18j、領域18k、領域18mの高さとの差hは、h=0.5λ/(n−1)となるように設定されている。このとき、領域18i、領域18l、領域18nを透過するディスク7からの反射光と領域18j、領域18k、領域18mを透過するディスク7からの反射光との間に180°の位相差が与えられる。
位相フィルタ11eへ入射した非対象層からのメインビームの反射光は、透過後に領域18k、領域18i、領域18mと領域18l、領域18j、領域18nとを隔てる直線、領域18k、領域18lと領域18i、領域18jとを隔てる直線、領域18i、領域18jと領域18m、領域18nとを隔てる直線での回折の影響を受ける。互いに干渉する領域18k、領域18i、領域18mを透過した光と領域18l、領域18j、領域18nを透過した光との間の位相差は、光軸を通り情報トラックの方向に対応する直線の近傍においては180°に近い。そのため、光軸を通り情報トラックの方向に対応する直線の近傍における非対象層からのメインビームの反射光の強度は弱い。互いに干渉する領域18k、領域18lを透過した光と領域18i、領域18jを透過した光との間の位相差は、光軸より上の部分を通り情報トラックと直交する方向に対応する直線の近傍においては180°に近い。そのため、光軸より上の部分を通り情報トラックと直交する方向に対応する直線の近傍における非対象層からのメインビームの反射光の強度は弱い。互いに干渉する領域18i、領域18jを透過した光と領域18m、領域18nを透過した光との間の位相差は、光軸より下の部分を通り情報トラックと直交する方向に対応する直線の近傍においては180°に近い。そのため、光軸より下の部分を通り情報トラックと直交する方向に対応する直線の近傍における非対象層からのメインビームの反射光の強度は弱い。
ここで、受光部13a〜受光部13dは、光軸を通り情報トラックの方向に対応する直線の近傍に位置する。受光部13e〜受光部13hは、光軸を通り情報トラックの方向に対応する直線と、光軸より上の部分を通り情報トラックと直交する方向に対応する直線との交点の近傍に位置する。受光部13i〜受光部13lは、光軸を通り情報トラックの方向に対応する直線と、光軸より下の部分を通り情報トラックと直交する方向に対応する直線との交点の近傍に位置する。このとき、非対象層からのメインビームの反射光は、回折の影響により殆んど受光部13a〜受光部13lへ入射しない。従って、対象層と非対象層との間隔が変化してもサブプッシュプル信号および差動プッシュプル信号に殆んど乱れが生じない。
また、位相フィルタ11eへ入射した対象層からのメインビームの反射光も透過後に領域18k、領域18i、領域18mと領域18l、領域18j、領域18nとを隔てる直線、領域18k、領域18lと領域18i、領域18jとを隔てる直線、領域18i、領域18jと領域18m、領域18nとを隔てる直線での回折の影響を受ける。しかし、対象層からのメインビームの反射光は、強度分布が変化するものの回折の影響によらず全て受光部13a〜受光部13dへ入射する。従って、受光部13a〜受光部13dからの出力に基づいて検出される、対象層に記録されたマーク/スペース信号の品質が低下しない。
また、本発明の第一の実施の形態においては、位相フィルタ11として、図16に示される位相フィルタ11fが用いられてもよい。
図16は位相フィルタ11fの平面図である。ここで、図中のX方向、Y方向は、それぞれディスク7の情報トラックの方向に垂直な方向、平行な方向に対応している。また、図中の破線で示される円は、対物レンズ6の有効径に相当する直径を有する円を示している。位相フィルタ11fは2つの基板に挟まれた液晶高分子層19a〜液晶高分子層19bの2つの液晶高分子層を有する。図中の矢印は液晶高分子層19a〜液晶高分子層19bに含まれる液晶高分子の長手方向を示している。液晶高分子層19aに含まれる液晶高分子の長手方向はX方向に対して+45°の角度をなしており、液晶高分子19bに含まれる液晶高分子の長手方向はX方向に対して−45°の角度をなしている。液晶高分子層19a〜液晶高分子層19bは、光学軸の方向が長手方向である一軸の屈折率異方性を有している。液晶高分子の長手方向に平行な方向の偏光成分(異常光成分)に対する屈折率をne、長手方向に垂直な方向の偏光成分(常光成分)に対する屈折率をnoとすると、neはnoに比べて大きい。半導体レーザ1の波長をλとするとき、液晶高分子層19a〜液晶高分子層19bの厚さtは、t=0.5λ/(ne−no)となるように設定されている。すなわち、液晶高分子層19a〜液晶高分子層19bは、1/2波長板として機能する。ディスク7からの反射光は、Y軸方向の直線偏光として位相フィルタ11fへ入射する。このとき、液晶高分子層19aを透過するディスク7からの反射光、液晶高分子19bを透過するディスク7からの反射光は、いずれもX軸方向の直線偏光となり、それらの間には180°の位相差が与えられる。
さらに、本発明の第一の実施の形態において、位相フィルタ11として、2つの基板に挟まれた8つの液晶高分子層を有する位相フィルタを用いることもできる。8つの液晶高分子層は、図14A〜14Cに示される位相フィルタ11dの領域18a〜領域18hの8つの領域にそれぞれ対応している。領域18a、領域18d、領域18f、領域18gに対応する領域の液晶高分子の長手方向はX方向に対して+45°の角度をなしており、領域18b、領域18c、領域18e、領域18hに対応する領域の液晶高分子の長手方向はX方向に対して−45°の角度をなしている。8つの液晶高分子層の厚さtは、t=0.5λ/(ne−no)となるように設定されている。ディスク7からの反射光は、Y軸方向の直線偏光として位相フィルタへ入射する。このとき、領域18a、領域18d、領域18f、領域18gに対応する液晶高分子層を透過するディスク7からの反射光、領域18b、領域18c、領域18e、領域18hに対応する液晶高分子層を透過するディスク7からの反射光は、いずれもX軸方向の直線偏光となり、それらの間には180°の位相差が与えられる。
また、本発明の第一の実施の形態において、位相フィルタ11として、2つの基板に挟まれた6つの液晶高分子層を有する位相フィルタを用いることもできる。6つの液晶高分子層は、図15A〜15Cに示される位相フィルタ11eの領域18i〜領域18nの6つの領域にそれぞれ対応している。領域18i、領域18l、領域18nに対応する領域の液晶高分子の長手方向はX方向に対して+45°の角度をなしており、領域18j、領域18k、領域18mに対応する領域の液晶高分子の長手方向はX方向に対して−45°の角度をなしている。6つの液晶高分子層の厚さtは、t=0.5λ/(ne−no)となるように設定されている。ディスク7からの反射光は、Y軸方向の直線偏光として位相フィルタへ入射する。このとき、領域18i、領域18l、領域18nに対応する液晶高分子層を透過するディスク7からの反射光、領域18j、領域18k、領域18mに対応する液晶高分子層を透過するディスク7からの反射光は、いずれもX軸方向の直線偏光となり、それらの間には180°の位相差が与えられる。
本発明の第一の実施の形態に係る光ヘッド装置においては、ディスク7としてCD規格、DVD規格、HD DVD規格の3種類の規格の光記録媒体を使用対象とするように、半導体レーザ1の代わりにそれぞれの規格に対応した波長780nm、波長650nm、波長400nmの3種類の波長の光を出射する単一または複数の半導体レーザが用いられてもよい。
3種類の規格の光記録媒体を使用対象とし、位相フィルタ11として図6A、6Bに示される位相フィルタ11aを用いる場合、領域15aの部分の厚さと領域15bの部分の厚さとの差hは、h=4200/(n−1)nmまたはh=6200/(n−1)nmとなるように設定される。hがh=4200/(n−1)nmとなるように設定されると、λ=780nmに対してはh≒5.4λ/(n−1)、λ=650nmに対してはh≒6.5λ/(n−1)、λ=400nmに対してはh=10.5λ/(n−1)となる。このとき、領域15aを透過するディスク7からの反射光と領域15bを透過するディスク7からの反射光との間に与えられる位相差は、λ=780nmに対してはほぼ180°、λ=650nmに対してはほぼ180°、λ=400nmに対しては180°となる。また、hがh=6200/(n−1)nmとなるように設定されると、λ=780nmに対してはh≒7.9λ/(n−1)、λ=650nmに対してはh≒9.5λ/(n−1)、λ=400nmに対してはh=15.5λ/(n−1)となる。このとき、領域15aを透過するディスク7からの反射光と領域15bを透過するディスク7からの反射光との間に与えられる位相差は、λ=780nmに対してはほぼ0°、λ=650nmに対してはほぼ180°、λ=400nmに対しては180°となる。CD規格には2層の記録層を有する光記録媒体がないため、λ=780nmに対しては、領域15aを透過するディスク7からの反射光と領域15bを透過するディスク7からの反射光との間に与えられる位相差は、180°、0°のどちらでも良い。一方、DVD規格、HD DVD規格には2層の記録層を有する光記録媒体がある。従って、λ=650nm、λ=400nmに対しては、対象層と非対象層との間隔が変化しても差動プッシュプル信号に乱れが生じず、かつ対象層に記録されたマーク/スペース信号の品質が低下しないためには、領域15aを透過するディスク7からの反射光と領域15bを透過するディスク7からの反射光との間に与えられる位相差を180°とする必要がある。hを上記のように設定すると、これらの条件はほぼ全て満たされる。
3種類の規格の光記録媒体を使用対象とし、位相フィルタ11として図16に示される位相フィルタ11fが用いられる場合、液晶高分子層の厚さtは、t=4200/(ne−no)nmまたはt=6200/(ne−no)nmとなるように設定される。tがt=4200/(ne−no)nmとなるように設定されると、λ=780nmに対してはt≒5.4λ/(ne−no)、λ=650nmに対してはt≒6.5λ/(ne−no)、λ=400nmに対してはt=10.5λ/(ne−no)となる。このとき、液晶高分子層19aを透過するディスク7からの反射光と液晶高分子層19bを透過するディスク7からの反射光との間に与えられる位相差は、λ=780nmに対してはほぼ180°、λ=650nmに対してはほぼ180°、λ=400nmに対しては180°となる。また、tがt=6200/(ne−no)nmとなるように設定されると、λ=780nmに対してはt≒7.9λ/(ne−no)、λ=650nmに対してはt≒9.5λ/(ne−no)、λ=400nmに対してはt=15.5λ/(ne−no)となる。このとき、液晶高分子層19aを透過するディスク7からの反射光と液晶高分子層19bを透過するディスク7からの反射光との間に与えられる位相差は、λ=780nmに対してはほぼ0°、λ=650nmに対してはほぼ180°、λ=400nmに対しては180°となる。CD規格には2層の記録層を有する光記録媒体がないため、λ=780nmに対しては、液晶高分子層19aを透過するディスク7からの反射光と液晶高分子層19bを透過するディスク7からの反射光との間に与えられる位相差は、180°、0°のどちらでも良い。一方、DVD規格、HD DVD規格には2層の記録層を有する光記録媒体がある。従って、λ=650nm、λ=400nmに対しては、対象層と非対象層との間隔が変化しても差動プッシュプル信号に乱れが生じず、かつ対象層に記録されたマーク/スペース信号の品質が低下しないためには、液晶高分子19aを透過するディスク7からの反射光と液晶高分子19bを透過するディスク7からの反射光との間に与えられる位相差を180°とする必要がある。tを上記のように設定すると、これらの条件はほぼ全て満たされる。
図17に、本発明の第二の実施の形態に係る光ヘッド装置の構成が示される。光ヘッド装置62は、半導体レーザ1、コリメータレンズ2、回折光学素子3、偏光ビームスプリッタ4、位相フィルタ12、1/4波長板5、対物レンズ6、円筒レンズ8、凸レンズ9、光検出器10を具備する。光源である半導体レーザ1からの出射光は、コリメータレンズ2により発散光から平行光へ変換され、回折光学素子3により0次光であるメインビームおよび±1次回折光である2つのサブビームに分割される。回折光学素子3における0次光の透過率は例えば約87.5%であり、±1次回折光の回折効率は例えばそれぞれ約5.1%である。メインビームおよび2つのサブビームは、光分離手段である偏光ビームスプリッタ4へP偏光として入射してほぼ100%が透過し、位相フィルタ12を透過し、1/4波長板5により直線偏光から円偏光へ変換され、対物レンズ6により平行光から収束光へ変換され、光記録媒体であるディスク7の記録層に集光される。ここで、回折光学素子3からの0次光は所定の情報トラック上に集光され、回折光学素子3からの+1次回折光は所定の情報トラックとその外周側に隣接する情報トラックとの中間に集光され、回折光学素子3からの−1次回折光は所定の情報トラックとその内周側に隣接する情報トラックとの中間に集光される。ディスク7の記録層で反射されたメインビームの反射光および2つのサブビームの反射光は、対物レンズ6により発散光から平行光へ変換され、1/4波長板5により円偏光から往路と偏光方向が直交した直線偏光へ変換され、位相フィルタ12を透過し、偏光ビームスプリッタ4へS偏光として入射してほぼ100%が反射され、円筒レンズ8により非点収差が与えられ、凸レンズ9により平行光から収束光へ変換され、光検出器10で受光される。
位相フィルタ12としては、図18A、18Bに示される位相フィルタ12a、図19A〜19Cに示される位相フィルタ12b、図20A〜20Cに示される位相フィルタ12cのいずれかが用いられる。
図18Aは位相フィルタ12aの平面図、図18Bは位相フィルタ12aの断面図である。ここで、図中のX方向、Y方向は、それぞれディスク7の情報トラックの方向に垂直な方向、平行な方向に対応しており、Z方向は光軸方向に対応している。また、図中の破線で示される円は対物レンズ6の有効径に相当する直径を有する円を示している。位相フィルタ12aは、基板16a、基板16bに挟まれた液晶高分子層を備え、その液晶高分子層は液晶高分子層17a〜液晶高分子層17bの2つに分割されている。図中の矢印は液晶高分子層17a〜液晶高分子層17bに含まれる液晶高分子の長手方向を示している。液晶高分子層17aに含まれる液晶高分子の長手方向はZ軸方向、液晶高分子層17bに含まれる液晶高分子の長手方向はY軸方向である。液晶高分子層17a〜液晶高分子層17bは、光学軸の方向が液晶高分子の長手方向である一軸の屈折率異方性を有している。長手方向に平行な方向の偏光成分(異常光成分)に対する屈折率をne、長手方向に垂直な方向の偏光成分(常光成分)に対する屈折率をnoとすると、neはnoに比べて大きい。半導体レーザ1の波長をλとするとき、液晶高分子層17a〜液晶高分子層17bの厚さtは、t=0.5λ/(ne−no)となるように設定されている。半導体レーザ1からの出射光はX軸方向の直線偏光として位相フィルタ12aへ入射するため、液晶高分子層17aに対しては常光となり、液晶高分子層17bに対しても常光となる。このとき、液晶高分子層17aを透過する半導体レーザ1からの出射光と液晶高分子層17bを透過する半導体レーザ1からの出射光との間には位相差が与えられない。一方、ディスク7からの反射光は、Y軸方向の直線偏光として位相フィルタ12aへ入射するため、液晶高分子層17aに対しては常光となり、液晶高分子層17bに対しては異常光となる。このとき、液晶高分子層17aを透過するディスク7からの反射光と、液晶高分子17bを透過するディスク7からの反射光との間に180°の位相差が与えられる。
位相フィルタ12aを用いた場合、光検出器10上の光スポットの配置は、図7に示されるものと同じようになる。この場合、図7において説明されたように、非対象層からのメインビームの反射光は、回折の影響により殆んど受光部13a〜受光部13lへ入射しない。そのため、対象層と非対象層との間隔が変化しても差動プッシュプル信号に殆んど乱れが生じない。また、対象層からのメインビームの反射光は、回折の影響によらず全て受光部13a〜受光部13dへ入射するため、対象層に記録されたマーク/スペース信号の品質が低下しない。
図19Aは位相フィルタ12bの平面図、図19Bおよび19Cは位相フィルタ12bの断面図である。ここで、図中のX方向、Y方向は、それぞれディスク7の情報トラックの方向に垂直な方向、平行な方向に対応しており、Z方向は光軸方向に対応している。また、図中の破線で示される円は対物レンズ6の有効径に相当する直径を有する円を示している。位相フィルタ12bは、基板16a、基板16bに挟まれた液晶高分子層を備え、その液晶高分子層は液晶高分子層17c〜液晶高分子層17lの10の部分に分割されている。図中の矢印は液晶高分子層17c〜液晶高分子層17lに含まれる液晶高分子の長手方向を示している。液晶高分子層17c、液晶高分子層17e、液晶高分子層17gに含まれる液晶高分子の長手方向はZ軸方向、液晶高分子層17d、液晶高分子層17f、液晶高分子層17hに含まれる液晶高分子の長手方向はY軸方向である。液晶高分子層17c〜液晶高分子層17lは、光学軸の方向が長手方向である一軸の屈折率異方性を有している。長手方向に平行な方向の偏光成分(異常光成分)に対する屈折率をne、長手方向に垂直な方向の偏光成分(常光成分)に対する屈折率をnoとすると、neはnoに比べて大きい。半導体レーザ1の波長をλとするとき、液晶高分子層17c〜液晶高分子層17lの厚さtは、t=0.5λ/(ne−no)となるように設定されている。
半導体レーザ1からの出射光はX軸方向の直線偏光として位相フィルタ12bへ入射するため、液晶高分子層17c、液晶高分子層17e、液晶高分子層17gに対しては常光となり、液晶高分子層17d、液晶高分子層17f、液晶高分子層17hに対しても常光となる。このとき、液晶高分子層17c、液晶高分子層17e、液晶高分子層17gを透過する半導体レーザ1からの出射光と、液晶高分子層17d、液晶高分子層17f、液晶高分子層17hを透過する半導体レーザ1からの出射光との間には位相差が与えられない。一方、ディスク7からの反射光は、Y軸方向の直線偏光として位相フィルタ12bへ入射するため、液晶高分子層17c、液晶高分子層17e、液晶高分子層17gに対しては常光となり、液晶高分子層17d、液晶高分子層17f、液晶高分子層17hに対しては異常光となる。このとき、液晶高分子層17c、液晶高分子層17e、液晶高分子層17gを透過するディスク7からの反射光と、液晶高分子層17d、液晶高分子層17f、液晶高分子層17hを透過するディスク7からの反射光との間に180°の位相差が与えられる。
なお、液晶高分子層17i〜液晶高分子層17lに含まれる液晶高分子の長手方向はY−Z面内にあり、Z軸方向となす角θは、
tanθ=(ne/no)×[(ne+3no)/(3ne+no)]1/2
となるように設定されている。このとき、液晶高分子層17i〜液晶高分子層17lを透過する半導体レーザ1からの出射光と、液晶高分子層17c、液晶高分子層17e、液晶高分子層17gを透過する半導体レーザ1からの出射光との間、および液晶高分子層17i〜液晶高分子層17lを透過する半導体レーザ1からの出射光と、液晶高分子層17d、液晶高分子層17f、液晶高分子層17hを透過する半導体レーザ1からの出射光との間には、いずれも位相差が与えられない。一方、液晶高分子層17i〜液晶高分子層17lを透過するディスク7からの反射光と、液晶高分子層17c、液晶高分子層17e、液晶高分子層17gを透過するディスク7からの反射光との間、および液晶高分子層17i〜液晶高分子層17lを透過するディスク7からの反射光と、液晶高分子層17d、液晶高分子層17f、液晶高分子層17hを透過するディスク7からの反射光との間には、いずれも90°の位相差が与えられる。
位相フィルタ12bを用いた場合、光検出器10上の光スポットの配置は、図9に示されるものと同じようになる。この場合、図9において説明されたように、非対象層からのメインビームの反射光は、回折の影響により殆んど受光部13a〜受光部13lへ入射しない。そのため、対象層と非対象層との間隔が変化しても差動プッシュプル信号に殆んど乱れが生じない。また、対象層からのメインビームの反射光は、回折の影響によらず全て受光部13a〜受光部13dへ入射するため、対象層に記録されたマーク/スペース信号の品質が低下しない。
図20Aは位相フィルタ12cの平面図、図20Bおよび20Cは位相フィルタ12cの断面図である。ここで、図中のX方向、Y方向は、それぞれディスク7の情報トラックの方向に垂直な方向、平行な方向に対応しており、Z方向は光軸方向に対応している。また、図中の破線で示される円は対物レンズ6の有効径に相当する直径を有する円を示している。位相フィルタ12cは、基板16a、基板16bに挟まれた液晶高分子層を備え、その液晶高分子層は液晶高分子層17m〜液晶高分子層17sの7つに分割されている。図中の矢印は液晶高分子層17m〜液晶高分子層17sに含まれる液晶高分子の長手方向を示している。液晶高分子層17m、液晶高分子層17oに含まれる液晶高分子の長手方向はZ軸方向、液晶高分子層17n、液晶高分子層17pに含まれる液晶高分子の長手方向はY軸方向である。液晶高分子層17m〜液晶高分子層17sは、光学軸の方向が長手方向である一軸の屈折率異方性を有している。長手方向に平行な方向の偏光成分(異常光成分)に対する屈折率をne、長手方向に垂直な方向の偏光成分(常光成分)に対する屈折率をnoとすると、neはnoに比べて大きい。半導体レーザ1の波長をλとするとき、液晶高分子層17m〜液晶高分子層17sの厚さtは、t=0.5λ/(ne−no)となるように設定されている。
半導体レーザ1からの出射光はX軸方向の直線偏光として位相フィルタ12cへ入射するため、液晶高分子層17m、液晶高分子層17oに対しては常光となり、液晶高分子層17n、液晶高分子層17pに対しても常光となる。このとき、液晶高分子層17m、液晶高分子層17oを透過する半導体レーザ1からの出射光と、液晶高分子層17n、液晶高分子層17pを透過する半導体レーザ1からの出射光との間には位相差が与えられない。一方、ディスク7からの反射光は、Y軸方向の直線偏光として位相フィルタ12cへ入射するため、液晶高分子層17m、液晶高分子層17oに対しては常光となり、液晶高分子層17n、液晶高分子層17pに対しては異常光となる。このとき、液晶高分子層17m、液晶高分子層17oを透過するディスク7からの反射光と、液晶高分子層17n、液晶高分子層17pを透過するディスク7からの反射光との間に180°の位相差が与えられる。
なお、液晶高分子層17q〜液晶高分子層17sに含まれる液晶高分子の長手方向はY−Z面内にあり、Z軸方向となす角θは、
tanθ=(ne/no)×[(ne+3no)/(3ne+no)]1/2
となるように設定されている。このとき、液晶高分子層17q〜液晶高分子層17sを透過する半導体レーザ1からの出射光と、液晶高分子層17m、液晶高分子層17oを透過する半導体レーザ1からの出射光との間、および液晶高分子層17q〜液晶高分子層17sを透過する半導体レーザ1からの出射光と、液晶高分子層17n、液晶高分子層17pを透過する半導体レーザ1からの出射光との間には、いずれも位相差が与えられない。一方、液晶高分子層17q〜液晶高分子層17sを透過するディスク7からの反射光と、液晶高分子層17m、液晶高分子層17oを透過するディスク7からの反射光との間、および液晶高分子層17q〜液晶高分子層17sを透過するディスク7からの反射光と、液晶高分子層17n、液晶高分子層17pを透過するディスク7からの反射光との間には、いずれも90°の位相差が与えられる。
位相フィルタ12cを用いた場合、光検出器10上の光スポットの配置は、図11に示されるものと同じようになる。この場合、図11において説明されたように、非対象層からのメインビームの反射光は、回折の影響により殆んど受光部13e〜受光部13lへ入射しない。そのため、対象層と非対象層との間隔が変化しても差動プッシュプル信号に殆んど乱れが生じない。また、対象層からのメインビームの反射光は、回折の影響によらず全て受光部13a〜受光部13dへ入射するため、対象層に記録されたマーク/スペース信号の品質が低下しない。
本発明の第二の実施の形態において、位相フィルタ12として、2つの基板に挟まれた8つの液晶高分子層を有する位相フィルタを用いることもできる。8つの液晶高分子層は、図14A〜14Cに示される位相フィルタ11dの領域18a〜領域18hの8つの領域にそれぞれ対応している。領域18a、領域18d、領域18f、領域18gに対応する液晶高分子層に含まれる液晶高分子の長手方向はZ軸方向、領域18b、領域18c、領域18e、領域18hに対応する液晶高分子層に含まれる液晶高分子の長手方向はY軸方向である。8つの液晶高分子層の厚さtは、t=0.5λ/(ne−no)となるように設定されている。
半導体レーザ1からの出射光はX軸方向の直線偏光として位相フィルタへ入射するため、領域18a、領域18d、領域18f、領域18gに対応する液晶高分子層に対しては常光、領域18b、領域18c、領域18e、領域18hに対応する液晶高分子層に対しても常光となる。このとき、領域18a、領域18d、領域18f、領域18gに対応する液晶高分子層を透過する半導体レーザ1からの出射光と、領域18b、領域18c、領域18e、領域18hに対応する液晶高分子層を透過する半導体レーザ1からの出射光との間には位相差が与えられない。一方、ディスク7からの反射光はY軸方向の直線偏光として位相フィルタへ入射する。そのため、領域18a、領域18d、領域18f、領域18gに対応する液晶高分子層に対しては常光、領域18b、領域18c、領域18e、領域18hに対応する液晶高分子層に対しては異常光となる。このとき、領域18a、領域18d、領域18f、領域18gに対応する液晶高分子層を透過するディスク7からの反射光と、領域18b、領域18c、領域18e、領域18hに対応する液晶高分子層を透過するディスク7からの反射光との間に180°の位相差が与えられる。
本発明の第二の実施の形態において、位相フィルタ12として、2つの基板に挟まれた6つの液晶高分子層を有する位相フィルタを用いることもできる。6つの液晶高分子層は、図15A〜15Cに示される位相フィルタ11eの領域18i〜領域18nの6つの領域にそれぞれ対応している。領域18i、領域18l、領域18nに対応する液晶高分子層に含まれる液晶高分子の長手方向はZ軸方向、領域18j、領域18k、領域18mに対応する液晶高分子層に含まれる液晶高分子の長手方向はY軸方向である。6つの液晶高分子層の厚さtは、t=0.5λ/(ne−no)となるように設定されている。
半導体レーザ1からの出射光はX軸方向の直線偏光として位相フィルタへ入射するため、領域18i、領域18l、領域18nに対応する液晶高分子層に対しては常光、領域18j、領域18k、領域18mに対応する液晶高分子層に対しても常光となる。このとき、領域18i、領域18l、領域18nに対応する液晶高分子層を透過する半導体レーザ1からの出射光と、領域18j、領域18k、領域18mに対応する液晶高分子層を透過する半導体レーザ1からの出射光との間には位相差が与えられない。一方、ディスク7からの反射光はY軸方向の直線偏光として位相フィルタへ入射するため、領域18i、領域18l、領域18nに対応する液晶高分子層に対しては常光、領域18j、領域18k、領域18mに対応する液晶高分子層に対しては異常光となる。このとき、領域18i、領域18l、領域18nに対応する液晶高分子層を透過するディスク7からの反射光と、領域18j、領域18k、領域18mに対応する液晶高分子層を透過するディスク7からの反射光との間に180°の位相差が与えられる。
本発明の第二の実施の形態に係る光ヘッド装置においては、ディスク7としてCD規格、DVD規格、HD DVD規格の3種類の規格の光記録媒体を使用対象とするように、半導体レーザ1の代わりにそれぞれの規格に対応した波長780nm、波長650nm、波長400nmの3種類の波長の光を出射する単一または複数の半導体レーザが用いられてもよい。
3種類の規格の光記録媒体を使用対象とし、位相フィルタ12として図18A、18Bに示される位相フィルタ12aを用いる場合、液晶高分子層17a〜液晶高分子層17bの厚さtは、t=4200/(ne−no)nmまたはt=6200/(ne−no)nmとなるように設定される。tがt=4200/(ne−no)nmとなるように設定されると、λ=780nmに対してはt≒5.4λ/(ne−no)、λ=650nmに対してはt≒6.5λ/(ne−no)、λ=400nmに対してはt=10.5λ/(ne−no)となる。このとき、液晶高分子層17aを透過するディスク7からの反射光と液晶高分子層17bを透過するディスク7からの反射光との間に与えられる位相差は、λ=780nmに対してはほぼ180°、λ=650nmに対してはほぼ180°、λ=400nmに対しては180°となる。また、tがt=6200/(ne−no)nmとなるように設定されると、λ=780nmに対してはt≒7.9λ/(ne−no)、λ=650nmに対してはt≒9.5λ/(ne−no)、λ=400nmに対してはt=15.5λ/(ne−no)となる。このとき、液晶高分子17aを透過するディスク7からの反射光と液晶高分子17bを透過するディスク7からの反射光との間に与えられる位相差は、λ=780nmに対してはほぼ0°、λ=650nmに対してはほぼ180°、λ=400nmに対しては180°となる。CD規格には2層の記録層を有する光記録媒体がないため、λ=780nmに対しては、液晶高分子17aを透過するディスク7からの反射光と液晶高分子17bを透過するディスク7からの反射光との間に与えられる位相差は、180°、0°のどちらでも良い。一方、DVD規格、HD DVD規格には2層の記録層を有する光記録媒体がある。従って、λ=650nm、λ=400nmに対しては、対象層と非対象層との間隔が変化しても差動プッシュプル信号に乱れが生じず、かつ対象層に記録されたマーク/スペース信号の品質が低下しないためには、液晶高分子層17aを透過するディスク7からの反射光と液晶高分子層17bを透過するディスク7からの反射光との間に与えられる位相差を180°とする必要がある。tを上記のように設定すると、これらの条件はほぼ全て満たされる。
本発明の第一の実施の形態に係る光ヘッド装置において、ディスク7としてCD規格、DVD規格、HD DVD規格の3種類の規格の光記録媒体を使用対象とするように、半導体レーザ1の代わりにそれぞれの規格に対応した波長780nm、波長650nm、波長400nmの3種類の波長の光を出射する単一または複数の半導体レーザを用い、位相フィルタの11の代わりに位相フィルタ20を用いることもできる。位相フィルタ20は、図21に示される位相フィルタ20a、図22に示される位相フィルタ20b、図23に示される位相フィルタ20c、図24に示される位相フィルタ20dのいずれかであってもよい。
図21は位相フィルタ20aの平面図である。図中の破線で示される円は対物レンズ6の有効径に相当する直径を有する円を示している。位相フィルタ20aは2つの基板に挟まれた液晶高分子層21a〜液晶高分子層21tの20の液晶高分子層を有する。液晶高分子層21a〜液晶高分子層21tは光学軸の方向が液晶高分子の長手方向である一軸の屈折率異方性を有している。液晶高分子の長手方向に平行な方向の偏光成分(異常光成分)に対する屈折率をne、長手方向に垂直な方向の偏光成分(常光成分)に対する屈折率をnoとすると、neはnoに比べて大きい。2つの基板の液晶高分子層21a〜液晶高分子層21t側の面には、液晶高分子層21a〜液晶高分子層21tのそれぞれに交流電圧を印加するための液晶高分子層21a〜液晶高分子層21tのそれぞれに対応する電極が形成されている。液晶高分子層21a〜液晶高分子層21tに対応する電極に交流電圧を印加しないとき、液晶高分子層21a〜液晶高分子層21tに含まれる液晶高分子の長手方向はY軸方向である。これに対し、液晶高分子層21a〜液晶高分子層21tに対応する電極に交流電圧を印加するとき、液晶高分子層21a〜液晶高分子層21tに含まれる液晶高分子の長手方向はY−Z面内でZ軸方向と所定の角度をなす。液晶高分子層21a〜液晶高分子層21tに対応する電極に印加する交流電圧の実効値が大きいほど、液晶高分子層21a〜液晶高分子層21tに含まれる液晶高分子の長手方向がY−Z面内でZ軸方向となす角度は小さい。
ディスク7がCD規格の光記録媒体であり、半導体レーザが波長780nmの光を出射する場合、液晶高分子層21a〜液晶高分子層21tに対応する電極に交流電圧は印加されない。このとき、液晶高分子層21a〜液晶高分子層21tを透過するディスク7からの反射光に位相差は与えられない。CD規格には2層の記録層を有する光記録媒体がないため、液晶高分子層21a〜液晶高分子層21tを透過するディスク7からの反射光に位相差が与えられなくても良い。
ディスク7がDVD規格の光記録媒体であり、半導体レーザが波長650nmの光を出射する場合、液晶高分子層21a、液晶高分子層21g、液晶高分子層21i、液晶高分子層21k、液晶高分子層21mに対応する電極に実効値がVd2の交流電圧が印加される。液晶高分子層21b、液晶高分子層21h、液晶高分子層21j、液晶高分子層21l、液晶高分子層21nに対応する電極に交流電圧が印加されない。液晶高分子層21c〜液晶高分子層21f、液晶高分子層21o〜液晶高分子層21tに対応する電極に実効値がVd1の交流電圧が印加される。ここで、Vd2は、液晶高分子層21a、液晶高分子層21g、液晶高分子層21i、液晶高分子層21k、液晶高分子層21mを透過するディスク7からの反射光と、液晶高分子層21b、液晶高分子層21h、液晶高分子層21j、液晶高分子層21l、液晶高分子層21nを透過するディスク7からの反射光との間に180°の位相差が与えられるように設定される。また、Vd1は、液晶高分子層21c〜液晶高分子層21f、液晶高分子層21o〜液晶高分子層21tを透過するディスク7からの反射光と、液晶高分子層21a、液晶高分子層21g、液晶高分子層21i、液晶高分子層21k、液晶高分子層21mを透過するディスク7からの反射光との間、液晶高分子層21c〜液晶高分子層21f、液晶高分子層21o〜液晶高分子層21tを透過するディスク7からの反射光と液晶高分子層21b、液晶高分子層21h、液晶高分子層21j、液晶高分子層21l、液晶高分子層21nを透過するディスク7からの反射光との間にいずれも90°の位相差が与えられるように設定される。
DVD規格の光記録媒体には2層の記録層を有する光記録媒体があり、その層間隔の標準値は55μmである。ディスク7が、層間隔55μmである2層の記録層を有する光記録媒体である場合の非対象層からのメインビームの反射光を考えたとき、液晶高分子層21a、液晶高分子層21bの位置は、受光部13a〜受光部13dが液晶高分子層21aを透過した光と、液晶高分子層21bを透過した光とが互いに干渉する部分に位置するように設定される。液晶高分子層21g、液晶高分子層21h、液晶高分子層21k、液晶高分子層21lの位置は、受光部13e〜受光部13hが液晶高分子層21g、液晶高分子層21kを透過した光と、液晶高分子層21h、液晶高分子層21lを透過した光とが互いに干渉する部分に位置するように設定される。液晶高分子層21i、液晶高分子層21j、液晶高分子層21m、液晶高分子層21nの位置は、受光部13i〜受光部13lが液晶高分子層21i、液晶高分子層21mを透過した光と、液晶高分子層21j、液晶高分子層21nを透過した光とが互いに干渉する部分に位置するように設定される。
ディスク7がHD DVD規格の光記録媒体であり、半導体レーザが波長400nmの光を出射する場合、液晶高分子層21a、液晶高分子層21c、液晶高分子層21e、液晶高分子層21k、液晶高分子層21m、液晶高分子層21o、液晶高分子層21qに対応する電極に実効値がVh2の交流電圧が印加される。液晶高分子層21b、液晶高分子層21d、液晶高分子層21f、液晶高分子層21l、液晶高分子層21n、液晶高分子層21p、液晶高分子層21rに対応する電極に交流電圧は印加されない。液晶高分子層21g〜液晶高分子層21j、液晶高分子層21s、液晶高分子層21tに対応する電極に実効値がVh1の交流電圧が印加される。ここで、Vh2は、液晶高分子層21a、液晶高分子層21c、液晶高分子層21e、液晶高分子層21k、液晶高分子層21m、液晶高分子層21o、液晶高分子層21qを透過するディスク7からの反射光と、液晶高分子層21b、液晶高分子層21d、液晶高分子層21f、液晶高分子層21l、液晶高分子層21n、液晶高分子層21p、液晶高分子層21rを透過するディスク7からの反射光との間に180°の位相差が与えられるように設定される。また、Vh1は、液晶高分子層21g〜液晶高分子層21j、液晶高分子層21s、液晶高分子層21tを透過するディスク7からの反射光と、液晶高分子層21a、液晶高分子層21c、液晶高分子層21e、液晶高分子層21k、液晶高分子層21m、液晶高分子層21o、液晶高分子層21qを透過するディスク7からの反射光との間、液晶高分子層21g〜液晶高分子層21j、液晶高分子層21s、液晶高分子層21tを透過するディスク7からの反射光と、液晶高分子層21b、液晶高分子層21d、液晶高分子層21f、液晶高分子層21l、液晶高分子層21n、液晶高分子層21p、液晶高分子層21rを透過するディスク7からの反射光との間にいずれも90°の位相差が与えられるように設定される。
HD DVD規格の光記録媒体には2層の記録層を有する光記録媒体があり、その層間隔の標準値は25μmである。ディスク7が、層間隔25μmの2層の記録層を有する光記録媒体である場合の非対象層からのメインビームの反射光を考えたとき、液晶高分子層21a〜液晶高分子層21fの位置は、受光部13a〜受光部13dが液晶高分子層21a、液晶高分子層21c、液晶高分子層21eを透過した光と、液晶高分子層21b、液晶高分子層21d、液晶高分子層21fを透過した光とが互いに干渉する部分に位置するように設定される。液晶高分子層21k、液晶高分子層21l、液晶高分子層21o、液晶高分子層21pの位置は、受光部13e〜受光部13hが液晶高分子層21k、液晶高分子層21oを透過した光と、液晶高分子層21l、液晶高分子層21pを透過した光とが互いに干渉する部分に位置するように設定される。液晶高分子層21m、液晶高分子層21n、液晶高分子層21q、液晶高分子層21rの位置は、受光部13i〜受光部13lが液晶高分子層21m、液晶高分子層21qを透過した光と、液晶高分子層21n、液晶高分子層21rを透過した光とが互いに干渉する部分に位置するように設定される。
図22は位相フィルタ20bの平面図である。図中の破線で示される円は対物レンズ6の有効径に相当する直径を有する円を示している。位相フィルタ20bは2つの基板に挟まれた液晶高分子層22a〜液晶高分子層22oの15の液晶高分子層を有する。液晶高分子層22a〜液晶高分子層22oは光学軸の方向が液晶高分子の長手方向である一軸の屈折率異方性を有している。液晶高分子の長手方向に平行な方向の偏光成分(異常光成分)に対する屈折率をne、長手方向に垂直な方向の偏光成分(常光成分)に対する屈折率をnoとすると、neはnoに比べて大きい。2つの基板の液晶高分子層22a〜液晶高分子層22o側の面には、液晶高分子層22a〜液晶高分子層22oのそれぞれに交流電圧を印加するための液晶高分子層22a〜液晶高分子層22oのそれぞれに対応する電極が形成されている。液晶高分子層22a〜液晶高分子層22oに対応する電極に交流電圧を印加しないとき、液晶高分子層22a〜液晶高分子層22oに含まれる液晶高分子の長手方向はY軸方向である。これに対し、液晶高分子層22a〜液晶高分子層22oに対応する電極に交流電圧を印加するとき、液晶高分子層22a〜液晶高分子層22oに含まれる液晶高分子の長手方向はY−Z面内でZ軸方向と所定の角度をなす。液晶高分子層22a〜液晶高分子層22oに対応する電極に印加される交流電圧の実効値が大きいほど、液晶高分子層22a〜液晶高分子層22oに含まれる液晶高分子の長手方向がY−Z面内でZ軸方向となす角度は小さい。
ディスク7がCD規格の光記録媒体であり、半導体レーザが波長780nmの光を出射する場合、液晶高分子層22a〜液晶高分子層22oに対応する電極に交流電圧は印加されない。このとき、液晶高分子層22a〜液晶高分子層22oを透過するディスク7からの反射光に位相差は与えられない。CD規格には2層の記録層を有する光記録媒体がないため、液晶高分子層22a〜液晶高分子層22oを透過するディスク7からの反射光に位相差が与えられなくても良い。
ディスク7がDVD規格の光記録媒体であり、半導体レーザが波長650nmの光を出射する場合、液晶高分子層22a、液晶高分子層22c、液晶高分子層22e、液晶高分子層22gに対応する電極に実効値がVd2の交流電圧が印加される。液晶高分子層22b、液晶高分子層22d、液晶高分子層22f、液晶高分子層22hに対応する電極に交流電圧は印加されない。液晶高分子層22i〜液晶高分子層22oに対応する電極に実効値がVd1の交流電圧が印加される。ここで、Vd2は、液晶高分子層22a、液晶高分子層22c、液晶高分子層22e、液晶高分子層22gを透過するディスク7からの反射光と、液晶高分子層22b、液晶高分子層22d、液晶高分子層22f、液晶高分子層22hを透過するディスク7からの反射光との間に180°の位相差が与えられるように設定される。また、Vd1は、液晶高分子層22i〜液晶高分子層22oを透過するディスク7からの反射光と、液晶高分子層22a、液晶高分子層22c、液晶高分子層22e、液晶高分子層22gを透過するディスク7からの反射光との間、液晶高分子層22i〜液晶高分子層22oを透過するディスク7からの反射光と、液晶高分子層22b、液晶高分子層22d、液晶高分子層22f、液晶高分子層22hを透過するディスク7からの反射光との間にいずれも90°の位相差が与えられるように設定される。
DVD規格の光記録媒体には2層の記録層を有する光記録媒体があり、その層間隔の標準値は55μmである。ディスク7が、層間隔55μmである2層の記録層を有する光記録媒体である場合の非対象層からのメインビームの反射光を考えたとき、液晶高分子層22a、液晶高分子層22b、液晶高分子層22e、液晶高分子層22fの位置は、受光部13e〜受光部13hが液晶高分子層22a、液晶高分子層22eを透過した光と、液晶高分子層22b、液晶高分子層22fを透過した光とが互いに干渉する部分に位置するように設定される。液晶高分子層22c、液晶高分子層22d、液晶高分子層22g、液晶高分子層22hの位置は、受光部13i〜受光部13lが液晶高分子層22c、液晶高分子層22gを透過した光と、液晶高分子層22d、液晶高分子層22hを透過した光とが互いに干渉する部分に位置するように設定される。
ディスク7がHD DVD規格の光記録媒体であり、半導体レーザが波長400nmの光を出射する場合、液晶高分子層22e、液晶高分子層22g、液晶高分子層22i、液晶高分子層22kに対応する電極に実効値がVh2の交流電圧が印加される。液晶高分子層22f、液晶高分子層22h、液晶高分子層22j、液晶高分子層22lに対応する電極に交流電圧は印加されない。液晶高分子層22a〜液晶高分子層22d、液晶高分子層22m〜液晶高分子層22oに対応する電極に実効値がVh1の交流電圧が印加される。ここで、Vh2は、液晶高分子層22e、液晶高分子層22g、液晶高分子層22i、液晶高分子層22kを透過するディスク7からの反射光と、液晶高分子層22f、液晶高分子層22h、液晶高分子層22j、液晶高分子層22lを透過するディスク7からの反射光との間に180°の位相差が与えられるように設定される。また、Vh1は、液晶高分子層22a〜液晶高分子層22d、液晶高分子層22m〜液晶高分子層22oを透過するディスク7からの反射光と、液晶高分子層22e、液晶高分子層22g、液晶高分子層22i、液晶高分子層22kを透過するディスク7からの反射光との間、液晶高分子層22a〜液晶高分子層22d、液晶高分子層22m〜液晶高分子層22oを透過するディスク7からの反射光と、液晶高分子層22f、液晶高分子層22h、液晶高分子層22j、液晶高分子層22lを透過するディスク7からの反射光との間にいずれも90°の位相差が与えられるように設定される。
HD DVD規格の光記録媒体には2層の記録層を有する光記録媒体があり、その層間隔の標準値は25μmである。ディスク7が、層間隔25μmの2層の記録層を有する光記録媒体である場合の非対象層からのメインビームの反射光を考えたとき、液晶高分子層22e、液晶高分子層22f、液晶高分子層22i、液晶高分子層22jの位置は、受光部13e〜受光部13hが液晶高分子層22e、液晶高分子層22iを透過した光と、液晶高分子層22f、液晶高分子層22jを透過した光とが互いに干渉する部分に位置するように設定される。液晶高分子層22g、液晶高分子層22h、液晶高分子層22k、液晶高分子層22lの位置は、受光部13i〜受光部13lが液晶高分子層22g、液晶高分子層22kを透過した光と、液晶高分子層22h、液晶高分子層22lを透過した光とが互いに干渉する部分に位置するように設定される。
図23は位相フィルタ20cの平面図である。図中の破線で示される円は対物レンズ6の有効径に相当する直径を有する円を示している。位相フィルタ20cは2つの基板に挟まれた液晶高分子層23a〜液晶高分子層23lの12の液晶高分子層を有する。液晶高分子層23a〜液晶高分子層23lは光学軸の方向が液晶高分子の長手方向である一軸の屈折率異方性を有している。液晶高分子の長手方向に平行な方向の偏光成分(異常光成分)に対する屈折率をne、長手方向に垂直な方向の偏光成分(常光成分)に対する屈折率をnoとすると、neはnoに比べて大きい。2つの基板の液晶高分子層23a〜液晶高分子層23l側の面には、液晶高分子層23a〜液晶高分子層23lのそれぞれに交流電圧を印加するための液晶高分子層23a〜液晶高分子層23lのそれぞれに対応する電極が形成されている。液晶高分子層23a〜液晶高分子層23lに対応する電極に交流電圧を印加しないとき、液晶高分子層23a〜液晶高分子層23lに含まれる液晶高分子の長手方向はY軸方向である。これに対し、液晶高分子層23a〜液晶高分子層23lに対応する電極に交流電圧を印加するとき、液晶高分子層23a〜液晶高分子層23lに含まれる液晶高分子の長手方向はY−Z面内でZ軸方向と所定の角度をなす。液晶高分子層23a〜液晶高分子層23lに対応する電極に印加される交流電圧の実効値が大きいほど、液晶高分子層23a〜液晶高分子層23lに含まれる液晶高分子の長手方向がY−Z面内でZ軸方向となす角度は小さい。
ディスク7がCD規格の光記録媒体であり、半導体レーザが波長780nmの光を出射する場合、液晶高分子層23a〜液晶高分子層23lに対応する電極に交流電圧は印加されない。このとき、液晶高分子層23a〜液晶高分子層23lを透過するディスク7からの反射光に位相差は与えられない。CD規格には2層の記録層を有する光記録媒体がないため、液晶高分子層23a〜液晶高分子層23lを透過するディスク7からの反射光に位相差が与えられなくても良い。
ディスク7がDVD規格の光記録媒体であり、半導体レーザが波長650nmの光を出射する場合、液晶高分子層23a、液晶高分子層23d、液晶高分子層23f、液晶高分子層23g、液晶高分子層23j、液晶高分子層23kに対応する電極に実効値がVd2の交流電圧が印加される。液晶高分子層23b、液晶高分子層23c、液晶高分子層23e、液晶高分子層23h、液晶高分子層23i、液晶高分子層23lに対応する電極に交流電圧は印加されない。ここで、Vd2は、液晶高分子層23a、液晶高分子層23d、液晶高分子層23f、液晶高分子層23g、液晶高分子層23j、液晶高分子層23kを透過するディスク7からの反射光と、液晶高分子層23b、液晶高分子層23c、液晶高分子層23e、液晶高分子層23h、液晶高分子層23i、液晶高分子層23lを透過するディスク7からの反射光との間に180°の位相差が与えられるように設定される。
DVD規格の光記録媒体には2層の記録層を有する光記録媒体があり、その層間隔の標準値は55μmである。ディスク7が、層間隔55μmである2層の記録層を有する光記録媒体である場合の非対象層からのメインビームの反射光を考えたとき、液晶高分子層23a〜液晶高分子層23lの位置は、次のように設定される。液晶高分子層23a〜液晶高分子層23dの位置は、液晶高分子層23a〜液晶高分子層23dのそれぞれを透過した光が互いに干渉する部分に受光部13a〜受光部13dが位置するように設定される。また、液晶高分子層23a、液晶高分子層23b、液晶高分子層23e、液晶高分子層23iの位置は、液晶高分子層23aを透過した光と、液晶高分子層23bを透過した光と、液晶高分子層23e、液晶高分子層23iを透過した光と、液晶高分子層23f、液晶高分子層23jを透過した光とが互いに干渉する部分に受光部13e〜受光部13hが位置するように設定される。液晶高分子層23c、液晶高分子層23d、液晶高分子層23g、液晶高分子層23k、液晶高分子層23h、液晶高分子層23lの位置は、液晶高分子層23cを透過した光と、液晶高分子層23dを透過した光と、液晶高分子層23g、液晶高分子層23kを透過した光と、液晶高分子層23h、液晶高分子層23lを透過した光とが互いに干渉する部分に受光部13i〜受光部13lが位置するように設定される。
ディスク7がHD DVD規格の光記録媒体であり、半導体レーザが波長400nmの光を出射する場合、液晶高分子層23a、液晶高分子層23d、液晶高分子層23e、液晶高分子層23h、液晶高分子層23j、液晶高分子層23kに対応する電極に実効値がVh2の交流電圧が印加される。液晶高分子層23b、液晶高分子層23c、液晶高分子層23f、液晶高分子層23g、液晶高分子層23i、液晶高分子層23lに対応する電極に交流電圧は印加されない。ここで、Vh2は、液晶高分子層23a、液晶高分子層23d、液晶高分子層23e、液晶高分子層23h、液晶高分子層23j、液晶高分子層23kを透過するディスク7からの反射光と、液晶高分子層23b、液晶高分子層23c、液晶高分子層23f、液晶高分子層23g、液晶高分子層23i、液晶高分子層23lを透過するディスク7からの反射光との間に180°の位相差が与えられるように設定される。
HD DVD規格の光記録媒体には2層の記録層を有する光記録媒体があり、その層間隔の標準値は25μmである。ディスク7が、層間隔25μmの2層の記録層を有する光記録媒体である場合の非対象層からのメインビームの反射光を考えたとき、液晶高分子層23a〜液晶高分子層23lの位置は、以下のように設定される。液晶高分子層23a〜液晶高分子層23hの位置は、液晶高分子層23a、液晶高分子層23eを透過した光と、液晶高分子層23b、液晶高分子層23fを透過した光と、液晶高分子層23c、液晶高分子層23gを透過した光と、液晶高分子層23d、液晶高分子層23hを透過した光とが互いに干渉する部分に受光部13a〜受光部13dが位置するように設定される。液晶高分子層23a、液晶高分子層23b、液晶高分子層23e、液晶高分子層23f、液晶高分子層23i、液晶高分子層23jの位置は、液晶高分子層23a、液晶高分子層23eを透過した光と、液晶高分子層23b、液晶高分子層23fを透過した光と、液晶高分子層23iを透過した光と、液晶高分子層23jを透過した光とが互いに干渉する部分に受光部13e〜受光部13hが位置するように設定される。液晶高分子層23c、液晶高分子層23d、液晶高分子層23g、液晶高分子層23h、液晶高分子層23k、液晶高分子層23lの位置は、液晶高分子層23c、液晶高分子層23gを透過した光と、液晶高分子層23d、液晶高分子層23hを透過した光と、液晶高分子層23kを透過した光と、液晶高分子層23lを透過した光とが互いに干渉する部分に受光部13i〜受光部13lが位置するように設定される。
図24は位相フィルタ20dの平面図である。図中の破線で示される円は対物レンズ6の有効径に相当する直径を有する円を示している。位相フィルタ20dは2つの基板に挟まれた液晶高分子層23m〜液晶高分子層23vの10の液晶高分子層を有する。液晶高分子層23m〜液晶高分子層23vは光学軸の方向が液晶高分子の長手方向である一軸の屈折率異方性を有している。液晶高分子の長手方向に平行な方向の偏光成分(異常光成分)に対する屈折率をne、長手方向に垂直な方向の偏光成分(常光成分)に対する屈折率をnoとすると、neはnoに比べて大きい。2つの基板の液晶高分子層23m〜液晶高分子層23v側の面には、液晶高分子層23m〜液晶高分子層23vのそれぞれに交流電圧を印加するための液晶高分子層23m〜液晶高分子層23vのそれぞれに対応する電極が形成されている。液晶高分子層23m〜液晶高分子層23vに対応する電極に交流電圧を印加しないとき、液晶高分子層23m〜液晶高分子層23vに含まれる液晶高分子の長手方向はY軸方向である。これに対し、液晶高分子層23m〜液晶高分子層23vに対応する電極に交流電圧を印加するとき、液晶高分子層23m〜液晶高分子層23vに含まれる液晶高分子の長手方向はY−Z面内でZ軸方向と所定の角度をなす。液晶高分子層23m〜液晶高分子層23vに対応する電極に印加される交流電圧の実効値が大きいほど、液晶高分子層23m〜液晶高分子層23vに含まれる液晶高分子の長手方向がY−Z面内でZ軸方向となす角度は小さい。
ディスク7がCD規格の光記録媒体であり、半導体レーザが波長780nmの光を出射する場合、液晶高分子層23m〜液晶高分子層23vに対応する電極に交流電圧は印加されない。このとき、液晶高分子層23m〜液晶高分子層23vを透過するディスク7からの反射光に位相差は与えられない。CD規格には2層の記録層を有する光記録媒体がないため、液晶高分子層23m〜液晶高分子層23vを透過するディスク7からの反射光に位相差が与えられなくても良い。
ディスク7がDVD規格の光記録媒体であり、半導体レーザが波長650nmの光を出射する場合、液晶高分子層23m、液晶高分子層23p、液晶高分子層23r、液晶高分子層23t、液晶高分子層23vに対応する電極に実効値がVd2の交流電圧が印加される。液晶高分子層23n、液晶高分子層23o、液晶高分子層23q、液晶高分子層23s、液晶高分子層23uに対応する電極に交流電圧は印加されない。ここで、Vd2は、液晶高分子層23m、液晶高分子層23p、液晶高分子層23r、液晶高分子層23t、液晶高分子層23vを透過するディスク7からの反射光と、液晶高分子層23n、液晶高分子層23o、液晶高分子層23q、液晶高分子層23s、液晶高分子層23uを透過するディスク7からの反射光との間に180°の位相差が与えられるように設定される。
DVD規格の光記録媒体には2層の記録層を有する光記録媒体があり、その層間隔の標準値は55μmである。ディスク7が、層間隔55μmである2層の記録層を有する光記録媒体である場合の非対象層からのメインビームの反射光を考えたとき、液晶高分子層23m〜液晶高分子層23vの位置は、次のように設定される。液晶高分子層23m〜液晶高分子層23p、液晶高分子層23s〜液晶高分子層23tの位置は、液晶高分子層23mを透過した光と、液晶高分子層23nを透過した光と、液晶高分子層23o、液晶高分子層23sを透過した光と、液晶高分子層23p、液晶高分子層23tを透過した光とが互いに干渉する部分に受光部13e〜受光部13hが位置するように設定される。液晶高分子層23m〜液晶高分子層23n、液晶高分子層23q〜液晶高分子層23r、液晶高分子層23u〜液晶高分子層23vの位置は、液晶高分子層23mを透過した光と、液晶高分子層23nを透過した光と、液晶高分子層23q、液晶高分子層23uを透過した光と、液晶高分子層23r、液晶高分子層23vを透過した光とが互いに干渉する部分に受光部13i〜受光部13lが位置するように設定される。
ディスク7がHD DVD規格の光記録媒体であり、半導体レーザが波長400nmの光を出射する場合、液晶高分子層23m、液晶高分子層23o、液晶高分子層23q、液晶高分子層23t、液晶高分子層23vに対応する電極に実効値がVh2の交流電圧が印加される。液晶高分子層23n、液晶高分子層23p、液晶高分子層23r、液晶高分子層23s、液晶高分子層23uに対応する電極に交流電圧は印加されない。ここで、Vh2は、液晶高分子層23m、液晶高分子層23o、液晶高分子層23q、液晶高分子層23t、液晶高分子層23vを透過するディスク7からの反射光と、液晶高分子層23n、液晶高分子層23p、液晶高分子層23r、液晶高分子層23s、液晶高分子層23uを透過するディスク7からの反射光との間に180°の位相差が与えられるように設定される。
HD DVD規格には2層の記録層を有する光記録媒体があり、その層間隔の標準値は25μmである。ディスク7が、層間隔25μmの2層の記録層を有する光記録媒体である場合の非対象層からのメインビームの反射光を考えたとき、液晶高分子層23m〜液晶高分子層23vの位置は、以下のように設定される。液晶高分子層23m〜液晶高分子層23tの位置は、液晶高分子層23m、液晶高分子層23o、液晶高分子層23qを透過した光と、液晶高分子層23n、液晶高分子層23p、液晶高分子層23rを透過した光と、液晶高分子層23sを透過した光と、液晶高分子層23tを透過した光とが互いに干渉する部分に受光部13e〜受光部13hが位置するように設定される。液晶高分子層23m〜液晶高分子層23n、液晶高分子層23o〜液晶高分子層23q、液晶高分子層23r、液晶高分子層23u〜液晶高分子層23vの位置は、液晶高分子層23m、液晶高分子層23o、液晶高分子層23qを透過した光と、液晶高分子層23n、液晶高分子層23p、液晶高分子層23rを透過した光と、液晶高分子層23uを透過した光と、液晶高分子層23vを透過した光とが互いに干渉する部分に受光部13i〜受光部13lが位置するように設定される。
本発明の第一の実施の形態に係る光ヘッド装置において、位相フィルタ20cとして、液晶高分子層23a〜液晶高分子層23lに対応する電極に交流電圧が印加されないとき、液晶高分子層23a〜液晶高分子層23lに含まれる液晶高分子の長手方向がX方向に対して+45°または−45°の角度をなす位相フィルタを用いることもできる。
ディスク7がCD規格の光記録媒体であり、半導体レーザが波長780nmの光を出射する場合、液晶高分子層23a〜液晶高分子層23lに対応する電極に交流電圧は印加されない。このとき、液晶高分子層23a〜液晶高分子層23lを透過するディスク7からの反射光に位相差は与えられない。
ディスク7がDVD規格の光記録媒体であり、半導体レーザが波長650nmの光を出射する場合、液晶高分子層23a、液晶高分子層23d、液晶高分子層23f、液晶高分子層23g、液晶高分子層23j、液晶高分子層23kに対応する電極に実効値がVd3の交流電圧が印加される。液晶高分子層23b、液晶高分子層23c、液晶高分子層23e、液晶高分子層23h、液晶高分子層23i、液晶高分子層23lに対応する電極に実効値がVd4の交流電圧が印加される。ディスク7からの反射光はY軸方向の直線偏光として位相フィルタへ入射する。ここで、Vd3は、液晶高分子層23a、液晶高分子層23d、液晶高分子層23f、液晶高分子層23g、液晶高分子層23j、液晶高分子層23kを透過するディスク7からの反射光の異常光成分と常光成分との間に180°の位相差が与えられるように設定される。また、Vd4は、液晶高分子層23b、液晶高分子層23c、液晶高分子層23e、液晶高分子層23h、液晶高分子層23i、液晶高分子層23lを透過するディスク7からの反射光の異常光成分と常光成分との間に540°の位相差が与えられるように設定される。但し、異常光成分、常光成分はそれぞれ液晶高分子の長手方向の光軸に垂直な面への射影に平行な方向の偏光成分、液晶高分子の長手方向の光軸に垂直な面への射影に垂直な方向の偏光成分である。このとき、液晶高分子層23a、液晶高分子層23d、液晶高分子層23f、液晶高分子層23g、液晶高分子層23j、液晶高分子層23kを透過するディスク7からの反射光、液晶高分子層23b、液晶高分子層23c、液晶高分子層23e、液晶高分子層23h、液晶高分子層23i、液晶高分子層23lを透過するディスク7からの反射光は、いずれもX軸方向の直線偏光となり、それらの間には180°の位相差が与えられる。
ディスク7がHD DVD規格の光記録媒体であり、半導体レーザが波長400nmの光を出射する場合、液晶高分子層23a、液晶高分子層23d、液晶高分子層23e、液晶高分子層23h、液晶高分子層23j、液晶高分子層23kに対応する電極に実効値がVh3の交流電圧が印加される。液晶高分子層23b、液晶高分子層23c、液晶高分子層23f、液晶高分子層23g、液晶高分子層23i、液晶高分子層23lに対応する電極に実効値がVh4の交流電圧が印加される。ディスク7からの反射光はY軸方向の直線偏光として位相フィルタへ入射する。ここで、Vh3は、液晶高分子層23a、液晶高分子層23d、液晶高分子層23e、液晶高分子層23h、液晶高分子層23j、液晶高分子層23kを透過するディスク7からの反射光の異常光成分と常光成分との間に180°の位相差が与えられるように設定される。また、Vh4は、液晶高分子層23b、液晶高分子層23c、液晶高分子層23f、液晶高分子層23g、液晶高分子層23i、液晶高分子層23lを透過するディスク7からの反射光の異常光成分と常光成分との間に540°の位相差が与えられるように設定される。但し、異常光成分、常光成分はそれぞれ液晶高分子の長手方向の光軸に垂直な面への射影に平行な方向の偏光成分、液晶高分子の長手方向の光軸に垂直な面への射影に垂直な方向の偏光成分である。このとき、液晶高分子層23a、液晶高分子層23d、液晶高分子層23e、液晶高分子層23h、液晶高分子層23j、液晶高分子層23kを透過するディスク7からの反射光、液晶高分子層23b、液晶高分子層23c、液晶高分子層23f、液晶高分子層23g、液晶高分子層23i、液晶高分子層23lを透過するディスク7からの反射光は、いずれもX軸方向の直線偏光となり、それらの間には180°の位相差が与えられる。
本発明の第一の実施の形態に係る光ヘッド装置において、位相フィルタ20dとして、液晶高分子層23m〜液晶高分子層23vに対応する電極に交流電圧を印加しないとき、液晶高分子層23m〜液晶高分子層23vの長手方向がX方向に対して+45°または−45°の角度をなす位相フィルタを用いることもできる。
ディスク7がCD規格の光記録媒体であり、半導体レーザが波長780nmの光を出射する場合、液晶高分子層23m〜液晶高分子層23vに対応する電極に交流電圧は印加されない。このとき、液晶高分子層23m〜液晶高分子層23vを透過するディスク7からの反射光に位相差は与えられない。
ディスク7がDVD規格の光記録媒体であり、半導体レーザが波長650nmの光を出射する場合、液晶高分子層23m、液晶高分子層23p、液晶高分子層23r、液晶高分子層23t、液晶高分子層23vに対応する電極に実効値がVd3の交流電圧が印加される。また、液晶高分子層23n、液晶高分子層23o、液晶高分子層23q、液晶高分子層23s、液晶高分子層23uに対応する電極に実効値がVd4の交流電圧が印加される。ディスク7からの反射光はY軸方向の直線偏光として位相フィルタへ入射する。ここで、Vd3は、液晶高分子層23m、液晶高分子層23p、液晶高分子層23r、液晶高分子層23t、液晶高分子層23vを透過するディスク7からの反射光の異常光成分と常光成分との間に180°の位相差が与えられるように設定される。また、Vd4は、液晶高分子層23n、液晶高分子層23o、液晶高分子層23q、液晶高分子層23s、液晶高分子層23uを透過するディスク7からの反射光の異常光成分と常光成分との間に540°の位相差が与えられるように設定される。但し、異常光成分、常光成分はそれぞれ液晶高分子の長手方向の光軸に垂直な面への射影に平行な方向の偏光成分、液晶高分子の長手方向の光軸に垂直な面への射影に垂直な方向の偏光成分である。このとき、液晶高分子層23m、液晶高分子層23p、液晶高分子層23r、液晶高分子層23t、液晶高分子層23vを透過するディスク7からの反射光、液晶高分子層23n、液晶高分子層23o、液晶高分子層23q、液晶高分子層23s、液晶高分子層23uを透過するディスク7からの反射光は、いずれもX軸方向の直線偏光となり、それらの間には180°の位相差が与えられる。
ディスク7がHD DVD規格の光記録媒体であり、半導体レーザが波長400nmの光を出射する場合、液晶高分子層23m、液晶高分子層23o、液晶高分子層23q、液晶高分子層23t、液晶高分子層23vに対応する電極に実効値がVh3の交流電圧が印加される。液晶高分子層23n、液晶高分子層23p、液晶高分子層23r、液晶高分子層23s、液晶高分子層23uに対応する電極に実効値がVh4の交流電圧が印加される。ディスク7からの反射光はY軸方向の直線偏光として位相フィルタへ入射する。ここで、Vh3は、液晶高分子層23m、液晶高分子層23o、液晶高分子層23q、液晶高分子層23t、液晶高分子層23vを透過するディスク7からの反射光の異常光成分と常光成分との間に180°の位相差が与えられるように設定され、Vh4は、液晶高分子層23n、液晶高分子層23p、液晶高分子層23r、液晶高分子層23s、液晶高分子層23uを透過するディスク7からの反射光の異常光成分と常光成分との間に540°の位相差が与えられるように設定される。但し、異常光成分、常光成分はそれぞれ液晶高分子の長手方向の光軸に垂直な面への射影に平行な方向の偏光成分、液晶高分子の長手方向の光軸に垂直な面への射影に垂直な方向の偏光成分である。このとき、液晶高分子層23m、液晶高分子層23o、液晶高分子層23q、液晶高分子層23t、液晶高分子層23vを透過するディスク7からの反射光、液晶高分子層23n、液晶高分子層23p、液晶高分子層23r、液晶高分子層23s、液晶高分子層23uを透過するディスク7からの反射光は、いずれもX軸方向の直線偏光となり、それらの間には180°の位相差が与えられる。
本発明の第二の実施の形態に係る光ヘッド装置において、ディスク7としてCD規格、DVD規格、HD DVD規格の3種類の規格の光記録媒体を使用対象とするように、半導体レーザ1の代わりにそれぞれの規格に対応した波長780nm、波長650nm、波長400nmの3種類の波長の光を出射する単一または複数の半導体レーザを用い、位相フィルタの12の代わりに位相フィルタ20を用いることもできる。位相フィルタ20は、図21に示される位相フィルタ20a、図22に示される位相フィルタ20b、図23に示される位相フィルタ20c、図24に示される位相フィルタ20dのいずれかであってもよい。
ディスク7がCD規格の光記録媒体である場合、各液晶高分子に対応する電極に交流電圧は印加されない。半導体レーザ1からの出射光はX軸方向の直線偏光として位相フィルタ20へ入射するため、各液晶高分子を透過する半導体レーザからの出射光には位相差が与えられない。一方、ディスク7からの反射光はY軸方向の直線偏光として位相フィルタ20へ入射するため、各液晶高分子を透過するディスク7からの反射光には位相差が与えられない。
ディスク7がDVD規格の光記録媒体である場合、一部の液晶高分子に対応する電極に交流電圧が印加され、一部の液晶高分子に対応する電極に交流電圧が印加されない。半導体レーザからの出射光はX軸方向の直線偏光として位相フィルタ20へ入射するため、対応する電極に交流電圧が印加される液晶高分子を透過する半導体レーザ1からの出射光と、対応する電極に交流電圧が印加されない液晶高分子を透過する半導体レーザ1からの出射光との間には位相差が与えられない。一方、ディスク7からの反射光はY軸方向の直線偏光として位相フィルタ20へ入射するため、対応する電極に交流電圧が印加される液晶高分子を透過するディスク7からの反射光と、対応する電極に交流電圧が印加されない液晶高分子を透過するディスク7からの反射光との間には、180°の位相差が与えられる。
ディスク7がHD DVD規格の光記録媒体である場合、一部の液晶高分子に対応する電極に交流電圧が印加され、一部の液晶高分子に対応する電極に交流電圧が印加されない。半導体レーザ1からの出射光はX軸方向の直線偏光として位相フィルタ20へ入射するため、対応する電極に交流電圧が印加される液晶高分子を透過する半導体レーザからの出射光と、対応する電極に交流電圧が印加されない液晶高分子を透過する半導体レーザからの出射光との間には、位相差が与えられない。一方、ディスク7からの反射光は、Y軸方向の直線偏光として位相フィルタ20へ入射するため、対応する電極に交流電圧が印加される液晶高分子を透過するディスク7からの反射光と、対応する電極に交流電圧が印加されない液晶高分子を透過するディスク7からの反射光との間には、180°の位相差が与えられる。ディスク7がDVD規格の光記録媒体である場合に交流電圧が印加される電極と、ディスク7がHD DVD規格の光記録媒体である場合に交流電圧が印加される電極とは異なる。また、ディスク7がDVD規格の光記録媒体である場合に交流電圧が印加されない電極と、ディスク7がHD DVD規格の光記録媒体である場合に交流電圧が印加されない電極とは異なる。
本発明の第一および第二の実施の形態においては、ディスク7がDVD−ROM、HD DVD−ROM等の再生専用型の光記録媒体である場合は、トラック誤差信号の検出方法として差動プッシュプル法は用いられない。従って、各液晶高分子に対応する電極に交流電圧は印加されず、各液晶高分子を透過するディスク7からの反射光に位相差を与えないようにする。ディスク7がDVD−R、HD DVD−R等の追記型の光記録媒体である場合は、トラック誤差信号の検出方法として差動プッシュプル法が用いられる。そのため、一部の液晶高分子に対応する電極に交流電圧が印加されると共に一部の液晶高分子に対応する電極に交流電圧が印加されない。前者を透過するディスク7からの反射光と、後者を透過するディスク7からの反射光との間に180°の位相差を与えるようにすることもできる。
また、本発明の第一および第二の実施の形態においては、ディスク7が2層の記録層を有する光記録媒体である。対物レンズ6から位相フィルタ20までの光路長が長いと、対物レンズに近い方の層(1層目)が対象層である場合と対物レンズから遠い方の層(2層目)が対象層である場合とで、位相フィルタ20の位置における非対象層からのメインビームの反射光の径が異なる。そこで、位相フィルタ20の位置における非対象層からのメインビームの反射光の径に応じて、対物レンズに近い方の層(1層目)が対象層である場合に交流電圧が印加される電極と、対物レンズから遠い方の層(2層目)が対象層である場合に交流電圧が印加される電極とが異なるようにし、対物レンズに近い方の層(1層目)が対象層である場合に交流電圧が印加されない電極と、対物レンズから遠い方の層(2層目)が対象層である場合に交流電圧が印加されない電極とが異なるようにすることもできる。
図25に、本発明の第三の実施の形態に係る光学式情報記録再生装置の構成が示される。本実施の形態では、図4に示される光ヘッド装置61、コントローラ24、変調回路25、記録信号生成回路26、半導体レーザ駆動回路27、増幅回路28、再生信号処理回路29、復調回路30、誤差信号生成回路31、対物レンズ駆動回路32を具備する。変調回路25から対物レンズ駆動回路32までの回路は、コントローラ24により制御される。
ディスク7へデータを記録する場合、変調回路25は、ディスク7へ記録すべきデータを変調規則に従って変調する。記録信号生成回路26は、変調回路25で変調された信号に基づいて、記録ストラテジに従って半導体レーザ1を駆動するための記録信号を生成する。半導体レーザ駆動回路27は、記録信号生成回路26で生成された記録信号に基づいて、半導体レーザ1へ記録信号に応じた電流を供給して半導体レーザ1を駆動する。これに対し、ディスク7からデータを再生する場合、半導体レーザ駆動回路27は、半導体レーザ1からの出射光のパワーが一定になるように、半導体レーザ1へ一定の電流を供給して半導体レーザ1を駆動する。
増幅回路28は、光検出器10の各受光部からの出力である電圧信号を増幅する。ディスク7からデータを再生する場合、再生信号処理回路29は、増幅回路28で増幅された電圧信号に基づいて、ディスク7に記録されたマーク/スペース信号である再生信号の生成、波形等化、2値化を行う。復調回路30は、再生信号処理回路29で2値化された信号を復調規則に従って復調する。誤差信号生成回路31は、増幅回路28で増幅された電圧信号に基づいて、対物レンズ6を駆動するためのフォーカス誤差信号およびトラック誤差信号を生成する。対物レンズ駆動回路32は、誤差信号生成回路31で生成されたフォーカス誤差信号およびトラック誤差信号に基づいて、図示しないアクチュエータへフォーカス誤差信号およびトラック誤差信号に応じた電流を供給して対物レンズ6を駆動する。これ以外に、本実施の形態はポジショナ制御回路、スピンドル制御回路を含んでいる。ポジショナ制御回路はディスク7を除く光ヘッド装置全体を図示しないモータによりディスク7の半径方向へ移動させ、スピンドル制御回路は図示しないモータによりディスク7を回転させる。
光学式情報記録再生装置は、図17に示される光ヘッド装置62、コントローラ、変調回路、記録信号生成回路、半導体レーザ駆動回路、増幅回路、再生信号処理回路、復調回路、誤差信号生成回路、対物レンズ駆動回路を具備する構成であってもよい。
本発明の第三の実施の形態の光学式情報記録再生装置の位相フィルタとして位相フィルタ20が用いられる場合、光学式情報記録再生装置は、位相フィルタ20の各液晶高分子に対応する電極に交流電圧を印加して位相フィルタ20を駆動する位相フィルタ駆動回路をさらに含んでいる。
以上述べたように、光記録媒体が複数の記録層を有する光記録媒体である場合、位相フィルタが第一の領域を透過する光記録媒体からの反射光と第二の領域を透過する光記録媒体からの反射光との間に位相差を与えなければ、位相フィルタへ入射した非対象層からのメインビームの反射光は透過後に第一の領域と第二の領域とを隔てる直線での回折の影響を受けず、非対象層からのメインビームの反射光の一部が外乱光としてサブビーム用受光部へ入射する。しかし、位相フィルタは第一の領域を透過する光記録媒体からの反射光と第二の領域を透過する光記録媒体からの反射光との間に180°の位相差を与えるため、位相フィルタへ入射した非対象層からのメインビームの反射光は透過後に第一の領域と第二の領域とを隔てる直線での回折の影響を受ける。非対象層からのメインビームの反射光のうち、第一の領域を透過した光は前記直線での回折により、伝搬するに従って光軸と前記直線とを含む平面を横切って第二の領域を透過した光の方へ広がり、第二の領域を透過した光と干渉する。同様に、非対象層からのメインビームの反射光のうち、第二の領域を透過した光は前記直線での回折により、伝搬するに従って光軸と前記直線とを含む平面を横切って第一の領域を透過した光の方へ広がり、第一の領域を透過した光と干渉する。互いに干渉する第一の領域を透過した光と第二の領域を透過した光との間の位相差は、光軸を通り情報トラックの方向に対応する直線の近傍においては180°に近いため、第一の領域を透過した光と第二の領域を透過した光とが互いに干渉する部分では、光軸を通り情報トラックの方向に対応する直線の近傍における非対象層からのメインビームの反射光の強度は弱い。ここで、サブビーム用受光部は、光軸を通り情報トラックの方向に対応する直線の近傍のうち、第一の領域を透過した光と第二の領域を透過した光とが互いに干渉する部分に位置する。このとき、非対象層からのメインビームの反射光は回折の影響により殆んどサブビーム用受光部へ入射しない。従って、対象層と非対象層との間隔が変化してもサブプッシュプル信号および差動プッシュプル信号に殆んど乱れが生じない。
また、位相フィルタへ入射した対象層からのメインビームの反射光も透過後に第一の領域と第二の領域とを隔てる直線での回折の影響を受ける。互いに干渉する第一の領域を透過した光と第二の領域を透過した光との間の位相差は、光軸を通り情報トラックの方向に対応する直線の近傍においては180°に近いため、第一の領域を透過した光と第二の領域を透過した光とが互いに干渉する部分では、光軸を通り情報トラックの方向に対応する直線の近傍における対象層からのメインビームの反射光の強度は弱い。しかし、互いに干渉する第一の領域を透過した光と第二の領域を透過した光との間の位相差は、光軸を通り情報トラックの方向に対応する直線の近傍から離れるに従って0°に近くなるため、第一の領域を透過した光と第二の領域を透過した光とが互いに干渉する部分では、光軸を通り情報トラックの方向に対応する直線の近傍から離れるに従って対象層からのメインビームの反射光の強度は強くなる。このとき、対象層からのメインビームの反射光は強度分布が変化するものの回折の影響によらず全てメインビーム用受光部へ入射する。従って、メインビーム用受光部からの出力に基づいて検出される、対象層に記録されたマーク/スペース信号の品質が低下しない。
本発明によれば、複数の記録層を有する光記録媒体に対する記録や再生において、光記録媒体の対象層と非対象層との間隔が変化しても差動プッシュプル信号に乱れが生じず、かつ対象層に記録されたマーク/スペース信号の品質が低下しない光ヘッド装置および光学式情報記録再生装置を提供することができる。これは、位相フィルタへ入射した非対象層からのメインビームの反射光が、回折の影響により殆んどサブビーム用受光部へ入射せず、位相フィルタへ入射した対象層からのメインビームの反射光が、回折の影響によらず全てメインビーム用受光部へ入射するためである。
以上、実施の形態を参照して本願発明を説明したが、本願発明は上記実施の形態に限定されるものではない。本願発明の構成や詳細には、本願発明のスコープ内で当業者が理解し得る様々な変更をすることができる。