JPWO2008102499A1 - 磁性体装置及び磁気ランダムアクセスメモリ - Google Patents

磁性体装置及び磁気ランダムアクセスメモリ Download PDF

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Abstract

本発明の一実施の形態において、磁性体装置は、反強磁性体層1とその上に形成されたピン層2とを備える。ピン層2は、複数の磁性体層3と少なくとも1つの非磁性体層4とが交互に積層された積層構造を有する。隣り合う2つの磁性体層3は、非磁性体層4を介して互いに強磁性結合あるいは反強磁性結合している。ピン層2に含まれる複数の磁性体層3の磁化量の総和はゼロである。また、複数の磁性体層3は、反強磁性体層1と接触する第1磁性体層3−1と、反強磁性体層1から最も離れて位置する第2磁性体層3−2とを含む。第2磁性体層3−2の厚さT2は、第1磁性体層3−1の厚さT1より小さい。

Description

本出願は、2007年2月23日に出願された日本国特許出願2007−043641を基礎とする優先権を主張し、その開示の全てをここに取り込む。
本発明は、磁性体装置及び磁気ランダムアクセスメモリに関する。特に、本発明は、反強磁性体層によって磁化の向きが固定された磁性体層を有する磁性体装置及び磁気ランダムアクセスメモリに関する。
磁性体層を用いて所定の機能を実現する磁性体装置として、磁気ランダムアクセスメモリ(MRAM: Magnetic Random Access Memory)、磁気センサ、磁気ヘッドなどが知られている。このうちMRAMは、磁気抵抗素子をメモリセルとして用いる不揮発性メモリである。磁気抵抗素子としては、GMR(Giant Magneto-Resistive)素子やTMR(Tunnel Magneto-Resistive)素子が知られている。
図1は、非特許文献(Roy Scheuerlein et al., "A 10ns Read and Write Non-Volatile Memory Array Using a Magnetic Tunnel Junction and FET Switch in each Cell", 2000 IEEE International Solid-State Circuits Conference, DIGEST OF TECHNICAL PAPERS, pp. 128-129.)で報告されているTMR素子100の構造を示している。図1において、TMR素子100は、反強磁性体層101(FeMn:10nm)、強磁性体層であるピン層102(CoFe:2.4nm)、トンネル絶縁層103(Al)、及び強磁性体層であるフリー層104(NiFe:5nm)を備えている。薄いトンネル絶縁層103は、ピン層102とフリー層104に挟まれている。
ピン層102は、反強磁性体層101上に形成されており、その磁化の向きは、反強磁性体層101によってある方向に固定されている。一方、フリー層104の磁化の向きは、ピン層102の磁化の向きと平行あるいは反平行の状態で安定する。具体的には、フリー層104は、磁化容易軸がピン層102の磁化の向きとほぼ平行になるように形成されており、フリー層104の磁化の向きは、外部磁場の印加により反転させることが可能である。
このようなTMR素子100の抵抗値は、ピン層102とフリー層104の磁化方向の関係に依存する。すなわち、ピン層102の磁化方向とフリー層104の磁化方向が反平行の場合の抵抗値(R+ΔR)は、それらが平行の場合の抵抗値(R)よりも大きくなる。TMR素子100は、この抵抗値の変化を利用することによりデータを記憶する。データ書き込み時には、フリー層104の磁化が所望の方向に向くように、外部磁場が印加される。一方、データ読み出し時には、ピン層102とフリー層104との間に電圧が印加され、トンネル絶縁層103を通して読み出し電流が流される。その読み出し電流の大きさに基づいて、TMR素子100の抵抗値、すなわち、TMR素子100が記憶しているデータがセンスされる。
図2は、非特許文献(M. Durlam et al., "Nonvolatile RAM based on Magnetic Tunnel Junction Elements", 2000 IEEE International Solid-State Circuits Conference, DIGEST OF TECHNICAL PAPERS, pp. 130-131.)に記載されているMRAMの配線構造を示している。図2において、TMR素子100がアレイ状に配置されている。各TMR素子100の上下それぞれに、互いに交差する上部配線(B1,B2)及び下部配線(D1,D2,D3)が設けられている。TMR素子100のフリー層は上部配線に接続され、反強磁性体層は選択トランジスタTRを介してグランドに接続されている。また、選択トランジスタTRのゲート端子には、読み出しワード線(W1,W2,W3)が接続されている。データ書き込み時、交差する1本の上部配線と1本の下部配線に書き込み電流が流される。その結果、交差点に配置されているTMR素子100に、書き込み電流により発生する合成磁場が印加される。データ読み出し時、対象となるTMR素子100に接続された選択トランジスタTRがONされ、読み出し電流が、上部配線から当該TMR素子100を通ってグランドに流れる。
図1で示されたように単層のピン層が使用される場合、そのピン層の端部から漏れ出る「漏れ磁場」が、素子特性に影響を与えてしまう。ピン層からの漏れ磁場を抑制するために、非磁性体層を挟んで反強磁性的に結合する2層の強磁性体層でピン層を構成する技術が知られている。図3は、そのようなピン層を有するTMR素子の構造例を示している。図3において、反強磁性体層201上にピン層202が形成され、そのピン層202上にトンネル絶縁層203を介してフリー層204が形成されている。ピン層202は、強磁性体層211、212、及びそれらに挟まれた非磁性体層213を有している。強磁性体層211及び212は、非磁性体層213を挟んで互いに反強磁性結合しており、それらの磁化方向は反対向きである。これにより、強磁性体層211、212それぞれの漏れ磁場がある程度相殺される。
漏れ磁場をなるべく相殺するために、強磁性体層211の磁化量M1と強磁性体層212の磁化量M2はほぼ同じに設計される。ここで、強磁性体層212の漏れ磁場は、強磁性体層211側へ向かう成分だけでなく、フリー層204側へ向かう成分も存在する。磁化量M2が大きくなると、フリー層204側へ向かう成分も大きくなり、素子特性に強い影響を及ぼしてしまう。従って、磁化量M1、M2は、所望の機能が失われない範囲で小さく設計されることが望ましい。すなわち、漏れ磁場低減の観点から、ピン層202の強磁性体層211、212は共になるべく薄いことが好ましい。
磁性体装置に関連する他の関連技術として、次のものが知られている。
特開2005−85951号公報には、磁気記憶素子が記載されている。その磁気記憶素子は、情報を磁性体の磁化状態によって保持する記憶層と、外部磁場により磁化状態が変化する補助磁性層とを有する。補助磁性層は、非磁性層により分割された複数層の磁性層から成る。補助磁性層の隣り合う磁性層は、反平行に磁化する磁気的相互作用により結合している。補助磁性層の偶数番目の磁性層の磁化量の総和と、前記補助磁性層の奇数番目の磁性層の磁化量の総和とはほぼ等しい。
特開2005−223086号公報には、磁気記憶素子が記載されている。その磁気記憶素子は、情報を磁性体の磁化状態により保持する記憶層を有する。その記憶層が、少なくとも2層の磁性層とその間の非磁性層から成る。2層の磁性層のうち一方の磁性層は、他方の磁性層に対して、磁化の制動定数と磁化量と磁気異方性との積が大きく、かつ磁化量と磁気異方性の積が小さい。
特表2005−525665号公報には、垂直磁気記録ヘッドが記載されている。垂直磁気記録ヘッドは、多層主書込み極を含む。主書き込み極は、第1の材料層、第2の材料層、及び第1の材料層と第2の材料層の間に位置する中間層を含む。第2の材料層は、第1の材料層の飽和磁気モーメントよりも大きな飽和磁気モーメントを有する。
図3で説明された通り、漏れ磁場低減の観点から、ピン層202の強磁性体層211、212を共に薄くすることが好ましい。ここで、本願発明者は次の点に着目した。
磁性体装置の製造プロセスにおいては、高温熱処理をたびたび行う必要がある。例えば、トランジスタ特性の均一化のために高温熱処理が行われる。また、配線形成後にも高温熱処理が行なわれる。そのような高温熱処理が行われると、上述の反強磁性体層201に含まれる元素がピン層202に拡散する。反強磁性体層201は一般的にFeMn、PtMn、あるいはIrMnで形成されており、特に、反強磁性体層201に含まれるMnがピン層202に拡散する。この時、ピン層202の強磁性体層211が薄いと、反強磁性体層201からのMnが、容易に非磁性体層213に達してしまう。Mnが非磁性体層213に達すると、ピン層202内の反強磁性結合が弱まり、特性が劣化する。場合によっては、正常なデバイス動作が得られなくなる可能性がある。このように、ピン層内の強磁性体層を薄膜化するにつれて、Mn拡散により歩留まりが低減する可能性がある。
本発明の1つの目的は、ピン層からの漏れ磁場を抑制しつつ、高温熱処理による特性劣化を防止することができる技術を提供することにある。
本発明の一実施の形態において、磁性体装置は、反強磁性体層と、その反強磁性体層上に形成されたピン層とを備える。ピン層は、複数の磁性体層と少なくとも1つの非磁性体層とが交互に積層された積層構造を有する。複数の磁性体層のうち、ある非磁性体層を挟んで隣り合う2つの磁性体層は、互いに強磁性結合あるいは反強磁性結合している。複数の磁性体層の磁化量の総和はゼロである。また、ピン層中の複数の磁性体層は、反強磁性体層と接触する第1磁性体層と、反強磁性体層から最も離れて位置する第2磁性体層とを含む。第2磁性体層の厚さは、第1磁性体層の厚さより小さい。
本発明の一実施の形態において、磁性体装置は、反強磁性体層と、その反強磁性体層上に形成されたピン層とを備える。ピン層は、複数の磁性体層と少なくとも1つの非磁性体層とが交互に積層された積層構造を有する。複数の磁性体層のうち、ある非磁性体層を挟んで隣り合う2つの磁性体層は、互いに強磁性結合あるいは反強磁性結合している。複数の磁性体層の磁化量の総和はゼロである。また、ピン層中の複数の磁性体層は、反強磁性体層と接触する第1磁性体層と、反強磁性体層から最も離れて位置する第2磁性体層とを含む。第2磁性体層の磁化量は、第1磁性体層の磁化量より小さい。
本発明の一実施の形態において、複数の磁気抵抗素子がアレイ状に配置された磁気ランダムアクセスメモリが提供される。複数の磁気抵抗素子の各々は、反強磁性体層と、反強磁性体層上に形成されたピン層と、ピン層上に形成された非磁性スペーサ層と、非磁性スペーサ層上に形成された強磁性体層を含むフリー層と、を備える。ピン層は、複数の磁性体層と少なくとも1つの非磁性体層とが交互に積層された積層構造を有する。複数の磁性体層のうちある非磁性体層を挟んで隣り合う2つの磁性体層は、互いに強磁性結合あるいは反強磁性結合している。複数の磁性体層の磁化量の総和はゼロである。また、ピン層中の複数の磁性体層は、反強磁性体層と接触する第1磁性体層と、非磁性スペーサ層と接触する第2磁性体層とを含む。第2磁性体層の厚さは、第1磁性体層の厚さより小さい。ピン層の複数の磁性体層のそれぞれの磁化の向きは固定されており、フリー層の強磁性体層の磁化の向きは第2磁性体層の磁化の向きに対して平行あるいは反平行となることが許される。
本発明によれば、漏れ磁場の抑制と、ピン層内の反強磁性結合の維持とを両立させることが可能となる。すなわち、ピン層からの漏れ磁場を抑制しつつ、高温熱処理による特性劣化を回避することが可能となる。
上記及び他の目的、長所、特徴は、次の図面と共に説明される本発明の実施の形態により明らかになるであろう。
図1は、関連技術におけるTMR素子の構造を概略的に示す側面図である。 図2は、図1に示されたTMR素子を用いたMRAMの構成を概略的に示す斜視図である。 図3は、他の関連技術におけるTMR素子の構造を概略的に示す側面図である。 図4は、本発明の第1の実施の形態に係る磁性体装置の構造を概略的に示す側面図である。 図5は、図4に示された構造を示す平面図である。 図6は、本発明の第1の実施の形態に係る磁気抵抗素子の一例を示す側面図である。 図7は、本発明に係るMRAMの構成の一例を示す回路ブロック図である。 図8は、磁気抵抗素子へのデータ読み書きを説明するための図である。 図9は、本発明の第1の実施の形態に係る磁気抵抗素子の他の例を示す側面図である。 図10は、本発明の第2の実施の形態に係る磁性体装置の構造を概略的に示す側面図である。 図11は、本発明の第2の実施の形態に係る磁気抵抗素子の一例を示す側面図である。
添付図面を参照して、本発明の実施の形態に係る磁性体装置、磁気抵抗素子、及びMRAMを説明する。
1.第1の実施の形態
1−1.基本構造
図4は、本発明の第1の実施の形態に係る磁性体装置の構造を概略的に示す側面図である。図5は、図4に示された構造を示す平面図である。この磁性体装置は、反強磁性体層1、磁性体層を含むピン層2、及び機能層5を備えている。ピン層2は、反強磁性体層1上に形成されており、その磁化の向きは反強磁性体層1によって固定されている。機能層5は、ピン層2上に形成されており、ピン層2と共に所定の機能を実現する。
本実施の形態において、ピン層2は、複数の磁性体層3と少なくとも1つの非磁性体層4とが交互に積層された積層構造を有する。その積層方向はZ方向であり、各層はZ方向に直角なXY面に平行に形成されている。複数の磁性体層3は、反強磁性体層1に接触する第1磁性体層3−1と、機能層5に接触する第2磁性体層3−2を含んでいる。つまり、複数の磁性体層3のうち第2磁性体層3−2が、反強磁性体層1からZ方向に最も離れて位置し、且つ、機能層5に最も近い磁性体層である。
このような積層構造において、ある非磁性体層4を挟んで隣り合う2つの磁性体層3は、互いに強磁性結合あるいは反強磁性結合している。例えば図4において、上記第1磁性体層3−1上には非磁性体層4−1を介して磁性体層3−3が形成されており、それら第1磁性体層3−1と磁性体層3−3は、非磁性体層4−1を介して反強磁性結合している。第1磁性体層3−1の磁化方向は+X方向であり、磁性体層3−3の磁化方向は−X方向である。また、磁性体層3−4上に非磁性体層4−2を介して上記第2磁性体層3−2が形成されており、それら第2磁性体層3−2と磁性体層3−4は、非磁性体層4−2を介して強磁性結合している。第2磁性体層3−2及び磁性体層3−4の磁化方向は−X方向である。
本実施の形態において、ピン層2に含まれる全ての磁性体層3の磁化量の総和はゼロである。従って、ピン層2中には、ある非磁性層4を介して互いに反強磁性結合している一組の磁性体層3が、少なくとも1つは必ず含まれることになる。例えば、図4中の磁性体層3−5、3−6は、非磁性体層4−3を介して互いに反強磁性結合している。また、上述の通り、第1磁性体層3−1と磁性体層3−3は、非磁性体層4−1を介して反強磁性結合している。このように、各磁性体層3の磁化は、+X方向あるいは−X方向に固定され、且つ、磁化量の総和はゼロである。言い換えれば、+X方向に固定された磁化の総量は、−X方向に固定された磁化の総量と等しい。
更に、本実施の形態によれば、第2磁性体層3−2の厚さT2は、第1磁性体層3−1の厚さT1よりも小さい。好適には、第2磁性体層3−2の実効的な厚さ(磁性体として機能する厚さ)は、第1磁性体層3−1の実効的な厚さよりも小さい。
また、本実施の形態によれば、第2磁性体層3−2の磁化量M2は、第1磁性体層3−1の磁化量M1よりも小さい。つまり、図3に示された構造とは異なり、第1磁性体層3−1の磁化量M1と第2磁性体層3−2の磁化量M2とは同じではない。ピン層2には、第1磁性体層3−1や第2磁性体層3−2以外の磁性体層3も含まれるため、ピン層2の磁化量の総和をゼロにしつつ、磁化量M2を磁化量M1よりも小さくすることができる。
以上に説明されたように、本実施の形態によれば、第2磁性体層3−2の厚さT2や磁化量M2を極力小さくする一方で、第1磁性体層3−1の厚さT1や磁化量M1を大きく設計することが可能となる。このように構成された磁性体装置により得られる効果は、次の通りである。
まず、高温熱処理に起因する特性劣化を防止することが可能となる。それは、反強磁性体層1に接触する第1磁性体層3−1の厚さT1を、第2磁性体層3−2の厚さT2に依存せず、比較的大きく設計することができるからである。その場合、高温熱処理によって反強磁性体層1から拡散する元素が、ピン層2中の非磁性体層4に達しにくくなる。結果として、ピン層2内の反強磁性結合が弱まることが防止される。つまり、高温熱処理による特性劣化が防止され、歩留まりが向上する。
また、ピン層2に含まれる全ての磁性体層3の磁化量の総和はゼロであるため、ピン層2からの漏れ磁場は抑制されている。更に、第2磁性体層3−2の厚さT2は、第1磁性体層3−1の厚さT1に依存せず、比較的小さく設計される。つまり、機能層5に最も近い第2磁性体層3−2の磁化量M2は、第1磁性体層3−1の磁化量M1にかかわらず、小さく設計される。これにより、機能層5に印加される漏れ磁場が十分に低減される。すなわち、ピン層2からの漏れ磁場の素子特性への影響を十分に小さくし、動作特性のばらつきを低減することが可能である。この観点から、第2磁性体層3−2の厚さT2は、ピン層2の磁性体層3の中で最小であることが好適である。また、第2磁性体層3−2の磁化量M2は、ピン層2の磁性体層3の中で最小であることが好適である。
以上に説明されたように、本実施の形態によれば、漏れ磁場の抑制と、ピン層2内の反強磁性結合の維持とを両立させることが可能となる。すなわち、ピン層2からの漏れ磁場を抑制しつつ、高温熱処理による特性劣化を回避することが可能となる。
本実施の形態は、例えば、GMR(Giant Magneto-Resistive)素子やTMR(Tunnel Magneto-Resistive)素子といった磁気抵抗素子、及びその磁気抵抗素子をメモリセルとして用いるMRAMに適用される。以下、本実施の形態の応用例を詳しく説明する。
1−2.応用例:GMR素子
(構造)
図6は、本実施の形態が適用された磁気抵抗素子(GMR素子)10の一例を示す側面図である。この磁気抵抗素子10は、半導体基板上に順番に積層された下部電極11(Ta:20nm)、シード層12(NiFe:1nm)、反強磁性体層13(PtMn:20nm)、ピン層2、機能層5、及び上部電極14(Ta:30nm)を有している。反強磁性体層13は、図4中の反強磁性体層1に対応する。
ピン層2は、反強磁性体層13上に順番に積層された、CoFe膜21(2nm)、Ru膜22(0.8nm)、CoFe膜23(2nm)、Ru膜24(0.8nm)、CoFe膜25(1nm)、Ru膜26(0.8nm)、及びCoFe膜27(1nm)を有している。CoFe膜21とCoFe膜23は、Ru膜22を介して反強磁性結合している。CoFe膜23とCoFe膜25は、Ru膜24を介して反強磁性結合している。CoFe膜25とCoFe膜27は、Ru膜26を介して反強磁性結合している。CoFe膜21、23、25、27の磁化量の総和はゼロである。
ピン層2のうちCoFe膜21(2nm)及びCoFe膜27(1nm)が、図4中の第1磁性体層3−1及び第2磁性体層3−2のそれぞれに対応する。CoFe膜27の厚さは、CoFe膜21の厚さよりも小さい。また、CoFe膜27とCoFe膜21は同じ材料で形成されており、CoFe膜27の磁化量M2は、CoFe膜21の磁化量M1よりも小さい。その結果、上述の効果が得られる。
機能層5は、上記ピン層2のCoFe膜27上に形成されたCu膜30(2.5nm)と、そのCu膜30上に形成されたNiFe膜31(4nm)を含む。強磁性体膜であるNiFe膜31は、磁気抵抗素子10のフリー層としての役割を果たす。また、フリー層31とピン層2に挟まれた非磁性体であるCu膜30は、磁気抵抗素子10のスペーサ層としての役割を果たす。フリー層31の磁化の向きは、ピン層2のCoFe膜27(第2磁性体層)の磁化の向きに対して平行あるいは反平行となることが許される。フリー層31とCoFe膜27との磁化方向の関係により、磁気抵抗素子10の抵抗値が変化する。このように、機能層5は、ピン層2と共に磁気抵抗素子10を実現する。
(製造方法)
図6に示される磁気抵抗素子10の製造方法は次の通りである。まず、半導体基板上に、上述の各膜11〜13、21〜27、30〜31、14が、スパッタリング法によって順番に成膜される。Ru膜22、24、26のそれぞれの膜厚は、反強磁性結合を実現する膜厚(例:0.8nm)に設定される。その後、フォトリソグラフィ技術により、下部電極11、シード層12、反強磁性体層13、ピン層2、非磁性スペーサ層30、フリー層31、及び上部電極14のそれぞれがパターニングされる。
次に、反強磁性体層13のブロッキング温度より高い温度下で、磁場印加工程が実施される。例えば、250℃〜300℃の高温環境下で、1000〜10000Oe程度の磁場が印加される。印加磁場の方向は、フリー層31のパターンの長辺方向(磁化容易軸方向)である。その結果、ピン層2中のCoFe膜21、23、25、27の磁化は、印加磁場に沿った方向を向く。次に、温度が下げられた後、磁場の印加が停止する。このとき、CoFe膜21は反強磁性体層13と反強磁性結合するため、CoFe膜21の磁化は印加磁場の方向に固定される。CoFe膜23はCoFe膜21と反強磁性結合するため、CoFe膜23の磁化はCoFe膜21の磁化と逆向きに固定される。同様に、CoFe膜25の磁化はCoFe膜23の磁化と逆向きに固定され、CoFe膜27の磁化はCoFe膜25の磁化と逆向きに固定される。このようにして、ピン層2の磁性体層の磁化方向が所望の方向に固定される。
(回路構成)
図7は、上述の磁気抵抗素子10をメモリセルとして用いるMRAM80の構成の一例を示している。MRAM80において、複数のワード線WL1〜WL3と複数のビット線BL1〜BL3が互いに交差するように設けられている。ワード線WL1〜WL3は、ワード線制御回路81とワード線終端回路82に接続されている。一方、ビット線BL1〜BL3は、ビット線制御回路83とビット線終端回路84に接続されている。
ワード線WLとビット線BLの交差点のそれぞれに、複数の磁気抵抗素子10がアレイ状に配置されている。例えば、1つの磁気抵抗素子10の上部電極14はあるビット線BLに接続され、下部電極11は選択トランジスタ85を介してグランドに接続されている。選択トランジスタ85のゲート端子は、読み出し制御回路86に接続されている。ビット線制御回路83には、参照電位Vrefとビット線電位を比較してデータ判別を行うセンスアンプ87が接続されている。
(動作)
図8には、1つの磁気抵抗素子(磁気メモリセル)10と、1本のワード線WLと、1本のビット線BLが示されている。ワード線WLとビット線BLは互いに交差しており、且つ、磁気抵抗素子10を挟むように形成されている。また、1つの磁気抵抗素子10に対して、1つの選択トランジスタ85が設けられている。図7及び図8を参照して、磁気メモリセル10に対するデータ書き込み及びデータ読み出しを説明する。
データ書き込み時、ワード線制御回路81は、1本のワード線WLに書き込み電流IWLを流し、ビット線制御回路83は、1本のビット線BLに書き込み電流IBLを流す。この書き込み電流IWL、IBLにより発生する合成磁場が、交差点に配置された磁気抵抗素子10に印加される。その結果、当該磁気抵抗素子10のフリー層31の磁化の向きが所望の方向に向く。
データ読み出し時、読み出し制御回路86は、読み出し対象の磁気抵抗素子10につながる選択トランジスタ85をONする。また、ビット線終端回路84はオープン状態に設定され、ビット線制御回路83は、読み出し対象の磁気抵抗素子10につながるビット線BLに所定の電圧を印加する。その結果、読み出し電流が、ビット線制御回路83から、ビット線BL、磁気抵抗素子10、及び選択トランジスタ85を通して、グランドに流れ込む。この読み出し電流の大きさは、磁気抵抗素子10の抵抗値に依存する。ビット線制御回路83は、この読み出し電流を電位値(ビット線電位)に変換し、センスアンプ87に出力する。センスアンプ87は、ビット線電位と参照電位Vrefとの比較を行うことにより、磁気抵抗素子10の抵抗値、すなわち、データをセンスする。
1−3.応用例:TMR素子
(構造)
図9は、本実施の形態が適用された磁気抵抗素子(TMR素子)10の一例を示す側面図である。この磁気抵抗素子10は、半導体基板上に順番に積層された下部電極11(Ta:10nm)、シード層12(NiFe:1nm)、反強磁性体層13(PtMn:20nm)、ピン層2、機能層5、及び上部電極14(Ta:30nm)を有している。反強磁性体層13は、図4中の反強磁性体層1に対応する。
ピン層2は、反強磁性体層13上に順番に積層された、CoFe膜41(1.4nm)、Ru膜42(0.9nm)、CoFe膜43(2.4nm)、Ru膜44(0.9nm)、及びCoFe膜45(1nm)を有している。CoFe膜41とCoFe膜43は、Ru膜42を介して反強磁性結合している。CoFe膜43とCoFe膜45は、Ru膜44を介して反強磁性結合している。CoFe膜41、43、45の磁化量の総和はゼロである。
ピン層2のうちCoFe膜41(1.4nm)及びCoFe膜45(1nm)が、図4中の第1磁性体層3−1及び第2磁性体層3−2のそれぞれに対応する。CoFe膜45の厚さは、CoFe膜41の厚さよりも小さい。また、CoFe膜41とCoFe膜45は同じ材料で形成されており、CoFe膜45の磁化量M2は、CoFe膜41の磁化量M1よりも小さい。その結果、上述の効果が得られる。
機能層5は、上記ピン層2のCoFe膜45上に形成されたAlO膜50(0.86nm)を含む。AlO膜50は、TMR素子10のトンネル絶縁層であり、非磁性スペーサ層としての役割を果たす。
また、機能層5は、トンネル絶縁層50上に順番に形成されたNiFe膜51(3.1nm)、Ta膜52(0.3nm)、NiFe膜53(3nm)、Ru膜54(2.1nm)、NiFe膜55(3.1nm)、Ta膜56(0.3nm)及びNiFe膜57(3nm)を含む。NiFe膜51とNiFe膜53は、Ta膜52を介して強磁性結合している。NiFe膜53とNiFe膜55は、Ru膜54を介して反強磁性結合している。NiFe膜55とNiFe膜57は、Ta膜56を介して強磁性結合している。これら強磁性体膜と非磁性膜との積層構造が、TMR素子10のフリー層としての役割を果たす。
図9には、データ“1”の状態とデータ“0”の状態が示されている。データ“1”は、トンネル絶縁層50を挟むフリー層のNiFe膜51とピン層2のCoFe膜45とで、磁化方向が反平行である状態に対応付けられている。一方、データ“0”は、それらNiFe膜51とCoFe膜45とで、磁化方向が平行である状態に対応付けられている。図9に示されるように、フリー層中の強磁性体膜51、53、55、57の磁化は、データ“1”と“0”との間で全体的に反転する。このように、機能層5は、ピン層2と共にTMR素子10を実現する。このTMR素子10は、特にトグル動作型のMRAMで使用される。
図9に示される磁気抵抗素子10の製造方法は、第1−2節で説明された方法と同様である。但し、トグル動作型のMRAMの場合、フリー層の磁化容易軸がワード線の延在方向から45度傾くようにTMR素子10が形成される。
(回路構成及び動作)
MRAMの回路構成は、図7及び図8で示された構成と同様である。また、データ読み出し方法も、第1−2節で説明された方法と同様である。
トグル動作型の場合のデータ書き込み方法は、次の通りである。まず、ビット線BLに対する書き込み電流IBL(5mA)の供給が開始する。次に、ワード線WLに対する書き込み電流IWL(5mA)の供給が開始する。次に、ビット線BLに対する書き込み電流IBLの供給が停止する。最後に、ワード線WLに対する書き込み電流IWLの供給が停止する。このような書き込み電流の供給手順により、フリー層の磁化がトグルスイッチのように反転する。尚、フリー層の磁化は書き込み動作のたびに反転するため、書き込み動作の前に読み出し動作が実施され、読み出しデータが書き込みデータと異なっている場合にのみ、書き込み動作が実施される。
本願発明者は、上記構造を有するTMR素子10に対する書き込み電流IWL、IBLのばらつきを、実験を通して評価した。その実験において、2セル×4セルのメモリセルアレイが作成された。フリー層の平面形状は、長軸0.80μm、短軸0.32μmの楕円形であった。また、比較例として、本構造の代わりにCoFe(2.6nm)/Ru(0.9nm)/CoFe(2.8nm)の構造(以下、比較構造)を有するピン層を備えたTMR素子も作成された。比較構造の場合、書き込み電流IBL,IWLのばらつきは、それぞれ7.6%、9.2%であった。一方、本構造の場合、書き込み電流IBL,IWLのばらつきは、7.4%,8.3%であった。つまり、書き込み電流のばらつきが改善された。このように、本実施の形態によれば、第2磁性体層3−2の厚さT2を極力小さくすることができるため、特性ばらつきが低減される。
2.第2の実施の形態
2−1.基本構造
第2磁性体層3−2の厚さT2を極力小さくしつつ、第1磁性体層3−1の厚さT1を比較的大きくするための工夫は、第1の実施の形態で説明されたものに限られない。例えば、第1磁性体層3−1の少なくとも一部の材料として、磁気モーメントの小さい材料を使用することが考えられる。これにより、同じ磁化量M1であっても、第1磁性体層3−1の厚さT1を比較的大きくすることが可能となる。
図10は、本発明の第2の実施の形態に係る磁性体装置の構造を概略的に示す側面図である。第1の実施の形態と同じ構成には同じ符号が付され、重複する説明は適宜省略される。
図10において、磁性体装置は、反強磁性体層1、ピン層2、及び機能層5を備えている。ピン層2は、複数の磁性体層3と少なくとも1つの非磁性体層4とが交互に積層された積層構造を有する。複数の磁性体層3は、反強磁性体層1に接触する第1磁性体層3−1と、機能層5に接触する第2磁性体層3−2を含んでいる。ある非磁性体層4を挟んで隣り合う2つの磁性体層3は、互いに強磁性結合あるいは反強磁性結合している。且つ、ピン層2に含まれる全ての磁性体層3の磁化量の総和はゼロである。
本実施の形態によれば、第1磁性体層3−1の少なくとも一部は、磁気モーメントが第2磁性体層3−2の材料より小さい材料で形成されている。例えば図10において、第1磁性体層3−1は、磁性体層3−1Aと磁性体層3−1Bを含んでいる。磁性体層3−1Aの材料は、第2磁性体層3−2の材料と同じである。一方、磁性体層3−1Bの材料の磁気モーメントは、第2磁性体層3−2の材料のものより小さい。その結果、第1磁性体層3−1の厚さT1は、第2磁性体層3−2の厚さT2よりも大きくなる。好適には、第1磁性体層3−1の実効的な厚さは、第2磁性体層3−2の実効的な厚さよりも大きい。
このように、本実施の形態によれば、第2磁性体層3−2の厚さT2や磁化量M2を極力小さくする一方で、第1磁性体層3−1の厚さT1を比較的大きく設計することが可能となる。その結果、第1の実施の形態と同じ効果が得られる。尚、第2磁性体層3−2の磁化量M2は極力小さい方が好ましいが、第1磁性体層3−1の磁化量M1は磁化量M2より大きい必要は必ずしもない。ピン層2に含まれる全ての磁性体層3の磁化量の総和がゼロであればよい。
2−2.応用例:TMR素子
図11は、本実施の形態が適用された磁気抵抗素子(TMR素子)10の一例を示す側面図である。この磁気抵抗素子10は、半導体基板上に順番に積層された下部電極11(Ta:20nm)、シード層12(NiFe:1nm)、反強磁性体層13(PtMn:20nm)、ピン層2、機能層5、及び上部電極14(Ta:30nm)を有している。反強磁性体層13は、図10中の反強磁性体層1に対応する。
ピン層2は、反強磁性体層13上に順番に積層された、CoFe膜61(0.5nm)、NiFe膜62(1.5nm)、Ru膜63(0.8nm)、及びCoFe膜64(1.2nm)を有している。このうちCoFe膜61及びNiFe膜62が、図10中の磁性体層3−1A及び3−1Bにそれぞれ対応する。従って、第1磁性体層3−1の厚さT1は2.0nmである。一方、CoFe膜64が、図10中の第2磁性体層3−2に対応する。第2磁性体層3−2(CoFe膜64)の厚さT2は、第1磁性体層(CoFe膜61、NiFe膜62)の厚さT1よりも小さい。第1磁性体層3−1と第2磁性体層3−2はRu膜63を介して反強磁性結合しており、第2磁性体層3−2の磁化量M2は第1磁性体層3−1の磁化量M1と同じである。従って、ピン層2に含まれる全ての磁性体層3の磁化量の総和はゼロである。このような構造により、上述の効果が得られる。
機能層5は、上記ピン層2のCoFe膜64上に形成されたMgO膜70(1.5nm)と、そのMgO膜70上に形成されたNiFe膜71(4nm)を含む。強磁性体膜であるNiFe膜71は、TMR素子10のフリー層としての役割を果たす。また、フリー層71とピン層2に挟まれたMgO膜70は、TMR素子10のトンネル絶縁層であり、非磁性スペーサ層としての役割を果たす。フリー層71の磁化の向きは、ピン層2のCoFe膜64(第2磁性体層)の磁化の向きに対して平行あるいは反平行となることが許される。フリー層71とCoFe膜64との磁化方向の関係により、TMR素子10の抵抗値が変化する。このように、機能層5は、ピン層2と共にTMR素子10を実現する。
図11に示されるTMR素子10の製造方法は、第1の実施の形態で説明された方法と同様である。また、このTMR素子10をメモリセルとして使用するMRAMの回路構成は、第1の実施の形態で示された構成と同様である(図7、図8参照)。また、データ書き込み方法、データ読み出し方法も、第1の実施の形態で説明された方法と同様である。
本発明は、GMR素子やTMR素子といった磁気抵抗素子、及びその磁気抵抗素子をメモリセルとして使用するMRAMに適用することができる。そのMRAMは、アステロイド方式であってもよいし、トグル動作方式であってもよい。また、本発明は、スピン注入方式のMRAMに適用することも可能である。本発明は、反強磁性体層によって磁化の向きが固定された磁性体層を有する磁性体装置であれば、どのようなものにも適用可能である。
以上、本発明の実施の形態が添付の図面を参照することにより説明された。但し、本発明は、上述の実施の形態に限定されず、要旨を逸脱しない範囲で当業者により適宜変更され得る。

Claims (10)

  1. 反強磁性体層と、
    前記反強磁性体層上に形成されたピン層と
    を備え、
    前記ピン層は、複数の磁性体層と少なくとも1つの非磁性体層とが交互に積層された積層構造を有し、前記複数の磁性体層のうちある非磁性体層を挟んで隣り合う2つの磁性体層は、互いに強磁性結合あるいは反強磁性結合しており、
    前記複数の磁性体層の磁化量の総和はゼロであり、
    前記複数の磁性体層は、
    前記反強磁性体層と接触する第1磁性体層と、
    前記反強磁性体層から最も離れて位置する第2磁性体層と
    を含み、
    前記第2磁性体層の厚さは、前記第1磁性体層の厚さより小さい
    磁性体装置。
  2. 請求の範囲1に記載の磁性体装置であって、
    前記第2磁性体層の実効的な厚さは、前記第1磁性体層の実効的な厚さより小さい
    磁性体装置。
  3. 請求の範囲1又は2に記載の磁性体装置であって、
    前記第2磁性体層の厚さは、前記複数の磁性体層の中で最小である
    磁性体装置。
  4. 請求の範囲1乃至3のいずれか1つに記載の磁性体装置であって、
    前記第2磁性体層の磁化量は、前記第1磁性体層の磁化量より小さい
    磁性体装置。
  5. 請求の範囲4に記載の磁性体装置であって、
    前記第2磁性体層の磁化量は、前記複数の磁性体層の中で最小である
    磁性体装置。
  6. 請求の範囲1乃至3のいずれか1つに記載の磁性体装置であって、
    前記第1磁性体層の少なくとも一部は、磁気モーメントが前記第2磁性体層の材料より小さい材料で形成されている
    磁性体装置。
  7. 請求の範囲6に記載の磁性体装置であって、
    前記第1磁性体層は、前記第2磁性体層の材料と同じ材料で形成された磁性体層と、磁気モーメントが前記第2磁性体層の材料より小さい材料で形成された磁性体層との積層構造を有する
    磁性体装置。
  8. 請求の範囲1乃至7のいずれか1つに記載の磁性体装置であって、
    更に、
    前記ピン層の前記第2磁性体層上に形成された非磁性スペーサ層と、
    前記非磁性スペーサ層上に形成された強磁性体層を含むフリー層と
    を備え、
    前記ピン層の前記複数の磁性体層のそれぞれの磁化の向きは固定されており、前記フリー層の前記強磁性体層の磁化の向きは前記第2磁性体層の磁化の向きに対して平行あるいは反平行となることが許され、
    前記ピン層、前記非磁性スペーサ層及び前記フリー層は、磁気抵抗素子を構成する
    磁性体装置。
  9. 反強磁性体層と、
    前記反強磁性体層上に形成されたピン層と
    を備え、
    前記ピン層は、複数の磁性体層と少なくとも1つの非磁性体層とが交互に積層された積層構造を有し、前記複数の磁性体層のうちある非磁性体層を挟んで隣り合う2つの磁性体層は、互いに強磁性結合あるいは反強磁性結合しており、
    前記複数の磁性体層の磁化量の総和はゼロであり、
    前記複数の磁性体層は、
    前記反強磁性体層と接触する第1磁性体層と、
    前記反強磁性体層から最も離れて位置する第2磁性体層と
    を含み、
    前記第2磁性体層の磁化量は、前記第1磁性体層の磁化量より小さい
    磁性体装置。
  10. 複数の磁気抵抗素子がアレイ状に配置された磁気ランダムアクセスメモリであって、
    前記複数の磁気抵抗素子の各々は、
    反強磁性体層と、
    前記反強磁性体層上に形成されたピン層と、
    前記ピン層上に形成された非磁性スペーサ層と、
    前記非磁性スペーサ層上に形成された強磁性体層を含むフリー層と
    を備え、
    前記ピン層は、複数の磁性体層と少なくとも1つの非磁性体層とが交互に積層された積層構造を有し、前記複数の磁性体層のうちある非磁性体層を挟んで隣り合う2つの磁性体層は、互いに強磁性結合あるいは反強磁性結合しており、
    前記複数の磁性体層の磁化量の総和はゼロであり、
    前記複数の磁性体層は、
    前記反強磁性体層と接触する第1磁性体層と、
    前記非磁性スペーサ層と接触する第2磁性体層と
    を含み、
    前記第2磁性体層の厚さは、前記第1磁性体層の厚さより小さく、
    前記ピン層の前記複数の磁性体層のそれぞれの磁化の向きは固定されており、前記フリー層の前記強磁性体層の磁化の向きは前記第2磁性体層の磁化の向きに対して平行あるいは反平行となることが許される
    磁気ランダムアクセスメモリ。
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