JPWO2008084850A1 - ポーラ変調送信装置及び送信パワー制御方法 - Google Patents
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Abstract
振幅成分信号のパワーの平均値を検出する平均化部111を設け、PA103の出力パワーの平均値の変動量と、振幅成分信号のパワーの平均値の変動量とに基づいて、送信パワーを制御するようにしたことにより、PA103の出力パワーの平均値に残留変動成分が含まれる場合でも、当該残留変動成分の影響を除去して送信パワーを制御することができるので、送信パワー制御の精度を向上させることができる。つまり、残留変動成分に起因するパワーの推定精度の劣化を抑制できるので、例えば送信パワーの誤差を+/- 0.5 dBに収めなければならないといった厳しい要求も満たすことができるようになる。
Description
本発明は、ポーラ変調送信装置及びその送信パワー制御方法に関する。
図1は、ポーラ変調方式を用いた典型的な送信装置の例を示す。送信装置は、ポーラ信号生成回路1と、振幅制御回路2と、位相変調信号生成回路3と、パワーアンプ(以下、PAと呼ぶ)4とを有する。この送信装置においては、ポーラ信号生成回路1が、入力信号(つまり送信変調信号)から送信変調信号の振幅及び位相に関する信号を生成する。振幅制御回路2は、振幅成分信号に基づいてPA4に供給される電源電圧を制御し、位相変調信号生成回路3は、位相成分信号に基づいてPA4に入力される位相変調信号を生成する。
実際上、この送信装置は、PA4をコンプレスドモード(compressed mode)と非コンプレスドモード(uncompressed mode)とで切り換えることで、送信パワーのダイナミックレンジを確保する。なお、コンプレスドモードは飽和動作モードと、非コンプレスドモードは非飽和動作モードと、言い換えることもできる。
この送信装置は、高い送信パワーが要求される場合には、PA4をコンプレスドモードで動作させる。一方、送信装置は、低い送信パワーが要求される場合には、PA4を非コンプレスドモードで動作させる。具体的には、コンプレスドモード時、送信装置は、振幅成分信号に応じて、PA4への電源電圧を変化させることで、振幅変調を実行する。このコンプレスドモードは、本質的に非常に、出力パワーについて正確である。一方、送信装置は、非コンプレスドモードでは、コンプレスドモードよりも、出力パワーについて正確でない状態でPA4を動作させる。
従来の送信装置においては、送信パワー制御時に、コンプレスドモード(Cモード)と非コンプレスドモード(Uモード)とを切り換える場合、各モードの特性の差(温度による変動、経年変化による変動、負荷変動など)が原因となって、最大で5dBを超える、送信パワーの変動が生じる可能性がある。
これを、図2を用いて簡単に説明する。図2には、コンプレスドモードでの出力パワーは比較的正確だが、非コンプレスドモードでの出力パワーは、(温度による変動、経年変化による変動、負荷変動など)の変動が原因となって変化する様子が示されている。
図2のように、非コンプレスドモードの出力パワーは、種々の要因で変動し易いので、コンプレスドモードと非コンプレスドモードとを切り換える場合に、出力パワーが不連続となる可能性が高く、この結果、大きな送信パワーの変動が生じる可能性が高い。
ところで、送信パワー制御を正確に行う手法として、実際のパワーアンプの出力パワーを測定し、この測定値が設定目標値に等しくなるように出力パワーをフィードバック制御する方法がある。
一般に、このフィードバック制御では、ローパスフィルタを用いて、パワーアンプの出力から、送信データに起因する変調変動成分を取り除く方法が採られる。そして、変調変動成分を取り除いた後のいわゆる平均送信パワーと、設定目標値との誤差に基づいて送信パワーを再調整する。
しかしながら、入力信号(図1のポーラ信号生成回路1への入力信号)そのものに残留変動成分が含まれているような場合には、上述したフィードバック制御によっても精度良く送信パワーを制御することが難しい。以下、HSUPA(High Speed Uplink Packet Access)信号を入力信号とする場合を例に説明する。HSUPAは、3GPPで標準化が行われているUMTS/WCDMAの上りリンクに関する次世代技術である。
ここで、図1のポーラ信号生成回路1への入力信号としてHSUPA信号を入力した場合のPA4の出力波形について考える。拡散パターンや、拡散符号のゲインファクタによって、拡散変調後の振幅成分信号には、広帯域の変動成分が含まれ、ローパスフィルタでは低い周波数成分の変動を除去できない。このため、PA4の出力パワーの平均値は、非常に短い時間(例えば、数μsec)ごとに僅かに変動する。このため、平均送信パワーと設定目標値との誤差に、拡散変調による残留変動成分による影響が含まれることになるため、パワーの推定精度が劣化する。
特に、3GPP(3rd Generation Partnership Project) 25.101では、送信パワーの誤差が、図3〜図5に示す要件を満たすことが要求されている。
詳細に説明する。UMTS及びW−CDMA規格を広めるための規格母体である3GPPは、基地局からのTPCコマンドによって移動端末が離散的なステップ(例えば+/- 1 dB, +/- 2dB, +/- 3 dB,………)で出力パワーを増減することを要求している。UMTS規格も、これらのパワー増減ステップをある特定の許容範囲内で実行するように指定している。
例えば、図3のテーブルに示すように、出力パワーを+/- 1 dB ステップ(増減)させるTPCコマンドの場合には、その結果である出力パワーを、目標出力パワーの+/- 0.5 dB以内に収めることが要求されている。そこで、例えば、移動端末の送信装置が0 dBmで動作しており、"1"のTPCコマンドが受信されたとすると、移動端末の送信装置は、+ 0.5 dBmと1.5 dBmの範囲以内に送信パワーが収まるように調整しなければならない。より大きなステップサイズである2 dBと3 dBのステップサイズの場合には、+/- 1 dBと +/- 1.5 dBといったより広い許容範囲が許される。
図5のテーブルに示すように、3GPP UMTS規格でも、パワーコマンドグループに対して累積的な許容範囲が定められている。例えばそれぞれが同様に1 dBのステップサイズからなる10個のTPCコマンドについては、出力パワーレベルが目標出力パワーレベルの+/- 2 dB以内となることが要求されている。
図3のテーブルの一覧及び図4から、1つのTPCコマンドに対して最も厳しいステップサイズは、+/- 1 dBを示すTPCコマンド(+/- 0.5 dBの許容が要求される)に対応するものであることが分かる。
上述した拡散変調による残留変動成分によってパワーの推定精度が劣化すると、これらの要求を満たすたことができなくなるおそれがある。
本発明の目的は、パワーアンプの出力に拡散変調等による残留変動成分が含まれる場合でも、高精度に送信パワーを制御することができるポーラ変調送信装置を提供することである。
本発明のポーラ変調送信装置は、入力信号から振幅成分信号と位相成分信号とを生成するポーラ信号生成回路と、前記位相成分信号からRF位相変調信号を生成するポーラ変調信号生成回路と、スケーリングされた前記振幅成分信号に基づいて、スケーリングされた前記RF位相変調信号を増幅するパワーアンプと、前記パワーアンプの出力パワーの平均値を第1の平均値として検出する第1の平均化部と、前記振幅成分信号のパワーの平均値を第2の平均値として検出する第2の平均化部と、前記第1の平均値の変動量と前記第2の平均値の変動量とに基づいて、前記第1の平均値に含まれる残留変動成分が除去されたパワー推定値を求め、当該パワー推定値に基づいて送信パワーを制御する送信パワー制御部とを具備する構成を採る。
本発明によれば、パワーアンプの出力に残留変動成分が含まれる場合でも、当該残留変動成分の影響を除去して送信パワーを制御することができるため、送信パワー制御の精度を向上することができるポーラ変調送信装置を提供することができる。
以下、本発明の一実施の形態について、図面を用いて説明する。
(1)全体構成
図6に、本発明の実施の形態に係るポーラ変調送信装置の構成を示す。図6のポーラ変調送信装置100は、拡散部110と、ポーラ信号生成回路101と、位相変調信号生成回路102と、パワーアンプ (PA)103と、振幅制御回路104と、可変利得増幅器(VGA)及び又は減衰器によって構成された可変増幅回路105と、パワーアライメントループ120とを有している。
図6に、本発明の実施の形態に係るポーラ変調送信装置の構成を示す。図6のポーラ変調送信装置100は、拡散部110と、ポーラ信号生成回路101と、位相変調信号生成回路102と、パワーアンプ (PA)103と、振幅制御回路104と、可変利得増幅器(VGA)及び又は減衰器によって構成された可変増幅回路105と、パワーアライメントループ120とを有している。
パワーアライメントループ120は、PA103の出力パワーを検出する検出回路106と、ローパスフィルタ(LPF)108と、アナログディジタル変換器(ADC)109と、送信パワー制御部107とを有する。
かかる構成に加えて、ポーラ変調送信装置100は、ポーラ信号生成回路101から出力された振幅成分信号を平均化する平均化部111を有する。平均化部111は、平均化した信号を送信パワー制御部107に送出する。
拡散部110は、入力信号を拡散し、拡散後の信号をポーラ信号生成回路101に出力する。例えば、HSUPA(High Speed Uplink Packet Access)信号を生成する場合、拡散部110は、DPDCH信号,DPCCH信号,HS-DPCCH信号,E-DPCCH信号,及びE-DPCCH信号に、それぞれ拡散符号Cd,Cc,Chs,Ced,及びCecを乗算し、ゲインファクタであるBeta ratio c(Bc),Beta ratio d(Bd),Beta ratio hs(Bhs),Beta ratio ed(Bed),及びBeta ratio ec(Bec)を調整することでHSUPA信号を生成し、生成したHSUPA信号をポーラ信号生成回路101に出力する。
ポーラ信号生成回路101は、入力信号から振幅成分信号と位相成分信号とを生成する。具体的には、ポーラ信号生成回路101は、拡散部110からの入力信号に従って動作し、入力信号の振幅情報を含んでいるエンベロープ成分信号(振幅成分信号)、及び、入力信号の位相情報を含んでいる定エンベロープ成分信号(位相成分信号)を生成する。振幅成分信号は振幅制御回路104に入力され、定振幅の位相成分信号は位相変調信号生成回路102に入力される。
位相変調信号生成回路102は、位相成分信号からRF位相変調信号を生成する。可変増幅回路105は、送信パワー制御部107からの位相パススケーリング係数(Phase-path magnitude scaling)S10に基づいて、RF位相変調信号を増幅又は減衰させ、これによりスケーリングされたRF位相変調信号をPA103のRF信号入力端子に供給する。
振幅制御回路104は、送信パワー制御部107からの振幅パススケーリング係数(AM-path envelope scaling)S11を振幅成分信号に乗じることで、PA103の電源電圧を形成して、それをPA103の電源入力端子に供給する。
検出回路106は、例えば、PINダイオードまたは他の半導体検出器で構成され、PA103の出力パワーを検出する。
LPF108は、例えばRC回路によって構成され、PA103の出力パワーの検出結果を積分することで、PA103の出力パワーの平均値を得る。LPF108は、検出回路106によって得られるPA103の出力パワーの検出値の変動を抑えるために設けられている。
ところで、LPF108のカットオフ周波数を高く設定し過ぎると、変動を十分に抑えることができない。逆に、カットオフ周波数を低く設定し過ぎると、パワーの調整後にLPF108の出力が安定するまでに時間を要するので、例えば3GPPの規格で定められた時間内にパワー制御を終えることが困難になる。因みに、3GPPの規格では、パワー制御を、シンボル境界から±25μsec内で収めることが要求されている。
この要求を満たすためには、LPF108の時定数は数μsec程度以下である必要がある。実際上、LPF108の時定数は、変調信号の瞬時エンベロープ変動をキャンセルできる程度に設定されていればよく、拡散符号のパターンに基づく拡散変調信号の基本周期(拡散符号のチップ速度)よりも遅い変動については残存してもよい。カットオフ周波数は数十kHz〜数百kHzの範囲が好ましいと考えられる。本実施の形態では、一例としてカットオフ周波数は300kHzとする。
ADC109は、LPF108の出力結果をサンプリングする。
平均化部111は、ポーラ信号生成回路101の出力である振幅成分信号の出力パワーの平均値を、所定時間において検出する。
送信パワー制御部107は、検出回路106の出力をLPF108及びADC109を介して入力する。また、送信パワー制御部107は、送信パワー制御信号を入力する。また、送信パワー制御部107は、平均化部111から振幅成分信号の平均値を入力する。
送信パワー制御部107は、PA103の出力パワーの平均値の変動量と、振幅成分信号の出力パワーの平均値の変動量とに基づいて、PA103の出力パワーの平均値から拡散変調による残留変動成分を除去したパワー推定値を求める。そして、送信パワー制御部107は、送信パワー制御信号と、拡散変調による残留変動成分を排除したパワー推定値とに基づいて、ポーラ変調送信装置100の送信パワーの設定目標値を決定し、送信パワーを制御する。
PA103の出力パワーの平均値と振幅成分信号の出力パワーの平均値との関係、及び、PA103の出力パワーの平均値から拡散変調による残留変動成分を除去したパワー推定値の求め方については後述する。
送信パワーの設定目標値を決定後、送信パワー制御部107は、振幅制御回路104に振幅パススケーリング係数S11を、可変増幅回路105に位相パススケーリング係数S10を送出することにより、PA103の電源電圧及びPA103の入力信号(RF位相変調信号)レベルを制御する。
送信パワー制御部107は、送信パワー制御信号(例えばTPCコマンド)をアドレスとしてテーブル参照して得たスケーリング係数の元の値と、拡散変調による残留変動成分を除去したパワー推定値より求めたスケーリング係数の修正値とを用いて、最終的なスケーリング係数S10、S11を算出する。
本実施の形態の送信パワー制御部107は、TPCコマンドとスケーリング係数とが対応図けれられたテーブル(以下これをパワーテーブルと呼ぶ)を有する。
図7に、送信パワー制御部107に設けられているパワーテーブルのスケーリング係数セットの様子を示す。コンプレスドモードでは、ポーラ変調送信装置100の出力パワーは、PA103のコレクタ(またはドレイン)ノードに与えられる振幅変調された電源電圧によって制御される一方、定振幅の位相変調RF信号のパワーは一定に保たれる。非コンプレスドモードでは、PA103の出力パワーは、振幅パスのエンベロープに乗じるスケーリング係数を一定に維持しながら、位相パスでの駆動信号に乗じるスケーリング係数を変化させることでパワーを制御する。但し、どちらの動作モードにおいても、パワー制御に用いない方のスケーリング係数(コンプレスドモードの場合には、位相変調RF信号に乗じる位相パススケーリング係数のことであり、非コンプレスドモードの場合には、振幅パスのエンベロープに乗じる振幅パススケーリング係数のことである)は必ずしも一定に維持する必要はなく、PA103の出力の歪特性や雑音特性の改善、あるいは出力パワーの補正を行うために調整することにしてもよい。
実際上、図7に示したように、送信パワー制御部107は、コンプレスドモード用のスケーリング係数セットと、非コンプレスドモード用のスケーリング係数セットとを有する。本実施の形態の場合、コンプレスドモード用のスケーリング係数セットと非コンプレスドモード用のスケーリング係数セットは、モード遷移領域において、オーバーラップ領域が設けられている。
オーバーラップ領域は、コンプレスドモード又は非コンプレスドモードのいずれのモードを選択した場合でも、必要とされる出力パワーを生成することが可能な範囲である。具体的に説明すると、実際には、図7中の実線で示すような、振幅パススケーリング係数と位相パススケーリング係数を有すれば、コンプレスドモードと非コンプレスドモードを実現できるが、本実施の形態の場合には、実線で示すスケーリング係数セットに加えて、点線で示すスケーリング係数セットを有することで、コンプレスドモードの領域及び非コンプレスドモードの領域を拡張して、PA103をコンプレスドモード及び非コンプレスドモードのいずれのモードでも動作させることができるオーバーラップ領域を設けている。
較正領域は、モード遷移時に送信パワーに不連続が生じる可能性があり、較正を必要する可能性がある出力パワー範囲である。本実施の形態では、この較正領域において、送信パワーに不連続を生じさせないスケーリング係数S10、S11を選択して、PA103のモード切換を行う。
このように、送信パワー制御部107によって算出されたスケーリング係数S10、S11に応じて、PA103がコンプレスドモードで動作するか、又は非コンプレスドモードで動作するかが決まる。
ここで、非コンプレスドモードで動作中のポーラ変調送信装置100が、「位相パススケーリング係数を100でPA103を−10dBmで出力」している時、送信パワー制御部107が動作し、「コンプレスドモード動作での出力パワーレベルとのレベル差が0.3dBmなので、PA103の出力パワーを上げる」と判断した場合について、位相パススケーリング係数の算出方法を説明する。
表1から、非コンプレスドモード動作時の位相パススケーリング係数「100」からの変化分として、出力パワーレベルの増加分「+0.3dBm」に相当する位相パススケーリング係数の増加分「+3」を加算し、位相パススケーリング係数を「103」とする。
なお、PA103の出力を「+1dBm」だけ上げる場合には、上記したような算出を行わなくてもよく、スケーリング係数「100」が格納された「アドレス002」に隣接する「アドレス003」を直接参照してもよい。
本実施の形態の場合、パワーアライメントループ120の検出回路106、LPF108及びADC109は、必要な場合のみ動作するようになっている。具体的には、送信パワー制御部107が、入力されるTPCコマンドに基づいて、オンオフ制御信号S20をLPF108及びADC109に送出する。例えば、図4に示したように、TPCコマンドが1 dBや2 dB, 3 dBといったように許容値が厳しい目標ステップサイズを示すものであった場合には、オンオフ制御信号S20としてオン制御信号を出力する。これに対して、TPCコマンドが4 dB以上といったように許容値が厳しくない目標ステップサイズを示すものであった場合には、オンオフ制御信号S20としてオフ制御信号を出力する。このようにすることで、パワーアライメントループ120を実質的に必要な場合のみ動作させることができるので、消費電力を低減できる。
以上説明したように、本実施の形態のポーラ変調送信装置100は、パワーアライメントループ120によってPA103の出力パワーを測定しながら、振幅パススケーリングS11及び位相パススケーリング係数S10を選択することにより、送信パワー変更時におけるPA103の出力パワーの不連続(特にモード遷移時の不連続)を抑制できる。
加えて、本実施の形態のポーラ変調送信装置100は、PA103の出力パワーの平均値の変動量と、振幅成分信号の出力パワーの平均値の変動量とに基づいて、PA103の出力パワーの平均値から拡散変調による残留変動成分を除去したパワー推定値を求め、このパワー推定値と送信パワー制御信号とに基づいて、送信パワーの設定目標値を決定し、送信パワーを制御することにより、残留変動成分の影響を除去して送信パワーを制御することができるため、送信パワー制御の精度を向上することができる。
(2)残留変動成分の除去
次に、残留変動成分の除去の仕方について、詳しく説明する。
次に、残留変動成分の除去の仕方について、詳しく説明する。
先ず、PA103の出力パワーの平均値と、振幅成分信号の出力パワーの平均値との関係について、図8と図9を参照しながら説明する。
図8は、LPF108の出力波形(図中の実線)と、ADC109のサンプリングタイミング(図中の縦の点線)と、所定期間でのサンプリング値の平均値(図中の横の点線)との関係を示したものである。図9は、振幅成分信号(AMパス信号)の、パワー波形及び短時間における平均値を示したものである。図8及び図9は、ともに送信パワーの変更及びデバイス特性による影響がない場合の波形を示している。
因みに、検出回路106の出力は、検出回路106の回路構成によってスケールの違いや雑音の影響などは生じるが、図9の実線で示した振幅信号成分信号(AMパス信号)の波形パターンとほぼ同様となる。具体的には、検出回路106の出力電圧は、0[V]付近と、0.35[V]付近とで、周期的に変動する。この検出回路106の出力電圧変動の周期性は、拡散部110で用いられる拡散符号のパターンに基づく拡散変調信号の基本周期に起因するものである。例えば拡散符号の基本周期が8チップ周期の場合には、検出回路106の出力電圧変動の周期は、8チップ周期(4チップの期間は0[V]付近、次の4チップの期間は0.35[V])、又はその半分の4チップ周期となる。また、例えば拡散符号の基本周期が4チップ周期の場合には、検出回路106の出力電圧変動の周期は、4チップ周期(2チップの期間は0[V]付近、次の2チップの期間は0.35[V])、又はその半分の2チップ周期となる。
図8から分かるように、LPF108の出力信号には4dB幅程度の変動が残っており、図8中の3.66msec(シンボル境界)付近では10dB以上の変動が残っている。この変動はパワー制御の精度を劣化させることになるため、本実施の形態では、これらの変動成分を除去するようになっている。
本実施の形態の送信パワー制御部107は、図8の中の3.66msec(シンボル境界)付近の変動の大きいタイミングを避けた時間位置のサンプリング値を平均化するようになっている。実際には、シンボル境界からセットリング期間(LPF108の出力が安定するまでの期間)が経過するまでは平均化を行わず、セットリング期間が経過した後のLPF出力を用いて平均化を行うようになっている。
また、ADC109のサンプリング周期は、上記の4dB程度の変動の周期と合うように設定されている。送信パワー制御部107では、シンボル境界を除いた位置の数サンプルのADC値を平均化することにより、シンボル境界付近の大きな変動及び4dB幅の変動の影響は除去することができる。
しかしながら、さらに低い周波数の変動成分は除去することができない。図8において、縦の点線は、4dB程度の変動の周期の整数倍(960kHz)でのサンプリングタイミングを示し、横の点線は4サンプルの平均値を示す。平均化区間1の平均値L1と、平均化区間2の平均値L2と、平均化区間3の平均値L3とが、3つとも異なっていることから、変動成分が除去できていないことが分かる。この微小な変動成分を残留変動成分と呼ぶことにする。
発明者らは、この残留変動成分を除去するために、振幅成分信号に注目した。図9は振幅成分信号(AMパス信号)を示し、横軸は時間、縦軸は振幅成分の瞬時パワーを示す。この振幅成分信号に上記の残留変動成分が含まれているかを明確にするために、図8の平均化区間1,2,3に対応する平均化区間1,2,3の振幅成分信号を平均化した値をそれぞれ横の点線で示す。
ここで、振幅成分信号の平均化にはどのような回路を用いてもよく、例えばFIRフィルタ、IIRフィルタ、又は、必要な区間のみ加算を行う加算器等を用いればよい。例えば、平均化部111として、図10に示すようなFIRフィルタ又は図11に示すようなIIRフィルタを用いればよい。
図10は、タップ数が256で、タップ係数p(0)〜p(255)がすべて1のFIRフィルタを用いた例である。
ここでタップ数は、図8で説明したADC109の4サンプルの区間と対応するように、振幅成分信号のサンプリング周波数、ADC109のサンプリング周期、およびADC109の平均化サンプル数から求めればよい。一例として、振幅成分信号のサンプリング周波数を61.44MHz、ADC109のサンプリング周期を960kHz、ADC109の平均化サンプル数を4とすると、FIRフィルタのタップ数は、次式で求められる。
(FIRのタップ数)=(ADCの平均化サンプル数)×(振幅成分信号のサンプリング周波数)/(ADCのサンプリング周期)
=4×61.44MHz / 960kHz = 256
=4×61.44MHz / 960kHz = 256
また、振幅成分信号のサンプリング周波数が61.44MHzなので、FIRフィルタのタップ数を256とした場合、FIRフィルタのクロック周波数CLKは、61.44MHzに設定すればよい。
ところで、FIRフィルタの乗算器は基板上の設置面積を大きく占めるため、タップ数の削減は当業者にとって共通の課題である。しかしながら、本実施の形態では、乗算器で掛けるフィルタ係数を全て1にしてもよく、FIRフィルタは加算器で構成できる。そのため、タップ数が増加しても、設置面積が大幅に増加することはない。
図11は、図10のFIRフィルタに代えて、IIRフィルタを用いた場合の構成例である。図11において、例えば、クロック周波数CLKは図10の場合と同様に振幅成分信号のサンプリング周波数と同じ61.44MHzに設定し、フィードフォワードの係数a0〜a255は1に設定し、フィードバックの係数b1〜b255は255/256に設定すればよい。ただし、この設定値は、一例であって、これに限ったものではない。
図9からも分かるように、平均化区間1,2,3の平均値は、平均化区間1,2,3の間で微小に変動している。この図はデバイスのばらつきなどの影響がない場合の波形であるため、平均値の変動は、振幅成分信号そのものに含まれる変動成分に起因する。この変動成分は、拡散パターンや、拡散符号のゲインファクタによって、拡散変調後の振幅成分信号に広帯域の変動成分が含まれ、短時間の平均化では低い周波数成分の変動を除去できない。
これにより、デバイスの特性の影響がない場合においても、図8に示すように、所定時間内におけるPA103の出力パワーのLPF後の平均値が、平均区間によって変動する。
上記のLPF後の平均値に含まれる残留変動成分と、振幅成分信号に含まれる残留変動成分との相関について以下で述べる。上記ではある特定のシンボルにおける特性に注目したが、ここでは、他のシンボルでの特性も含めた1フレーム分の特性に注目し、LPF後の平均値に含まれる残留変動成分と、振幅成分信号に含まれる残留変動成分との比較を行った。
図12は、各シンボルにおけるLPF出力の1回目のADCサンプリング区間(例えば図8の平均化区間1)における平均値L1と、2回目のADCサンプリング区間(例えば図8の平均化区間2)における平均値L2との間の残留変動成分を1フレームにわたって抽出したもので、横軸は1フレーム中でのシンボルの位置、縦軸は残留変動成分の大きさを示す。
図13は、各シンボルにおける振幅成分信号の1回目の平均区間(例えば図9の平均化区間1)の平均値と、2回目の平均区間(例えば図9の平均化区間2)の平均値との間の残留変動成分を1フレームにわたって抽出したもので、横軸は1フレーム中でのシンボルの位置、縦軸は残留変動成分の大きさを示す。
これらの図において、同一のシンボル位置における、LPF後の平均値に含まれる残留変動成分と、振幅成分信号に含まれる残留変動成分が同じような特性になっていることから、これらの間に相関関係が成り立つと予想される。
図14は、各シンボルにおける振幅成分信号に含まれる残留変動成分を横軸に、LPF後の平均値に含まれる残留変動成分を縦軸に、1フレーム分プロットした図である。ここで、それぞれの残留変動成分の間に相関関係がない場合、プロットの分布はランダムになるが、図14において、ある傾きを持った直線の近くに分布していることから、2つの残留変動成分の間には相関関係があるとみなすことができる。
ここで、相関係数をCとすると、相関係数Cは、図14の分布を直線近似した直線の傾きを、次式で求めることによって得ることができる。
相関係数C=(LPF後の平均値に含まれる残留変動成分の変化量)/(振幅成分信号に含まれる残留変動成分の変化量)
相関係数C=(LPF後の平均値に含まれる残留変動成分の変化量)/(振幅成分信号に含まれる残留変動成分の変化量)
よって、この相関係数Cをシミュレーションや既知信号区間などを用いてあらかじめ求めておけば、振幅成分信号から残留変動成分(平均化部111によって得られた平均値の差)を求め、それに相関係数Cを乗算することにより、LPF後の平均値に含まれる残留変動成分を推定することが可能になる。
したがって、上記のLPF後の平均値に含まれる残留変動成分の推定値をPA103の出力パワーの平均値の変動量から減算することで、残留変動成分による影響を除去したパワー推定値を求めることができる。
つまり、送信パワー制御部107は、送信パワー制御信号をアドレスとしてテーブル参照して得たスケーリング係数の元の値と、振幅成分信号の出力パワーの平均値の変動量に相関関数Cを乗算した値をPA103の出力パワーの平均値の変動量から減算し得られた結果(すなわち拡散変調による残留変動成分を除去したパワー推定値)から求めたスケーリング係数の修正値とを用いて、最終的なスケーリング係数S10,S11を算出する。
図15は、相関係数Cの算出方法の一例を示すフロー図である。
ステップS201〜S206では、所定時間内にポーラ信号生成回路101から出力される振幅成分信号(AMパス)の出力パワーの平均値PAM1_avgが算出され、ステップS207でlog(PAM1_avg)=PAM1の式が用いられて、出力パワーの単位がdBに変換される。なお、上述の例の場合、図15におけるパラメータm=「256」に設定されており、パラメータn=「4」に設定されている。
同様に、ステップS208〜S213では、ポーラ信号生成回路101から出力される振幅成分信号の出力パワーの平均値PAM2_avgが算出され、ステップS214でlog(PAM2_avg)=PAM2の式が用いられて、出力パワーの単位が対数に変換される。ステップS215では、PAM2からPAM1が減算されてポーラ信号生成回路101から出力される振幅成分信号の残留変動成分FAMが算出される。
ステップS221〜S226では、所定時間内のADC109の出力結果の平均値PADC1を測定し、同様に、ステップS227〜S232では、所定時間内のADC109の出力結果の平均値PADC2を測定する。ステップS233で、PADC2からPADC1が減算されて残留変動成分FADCが算出される。なお、LPF108及びADC109において、出力パワーの単位が対数に変換されているため、PADC2及びPADC1に対してはステップS207及びステップS214に対応するステップを設けず、ステップS233において、PADC2からPADC1を減算することにより残留変動成分FADCを算出している。
最後に、ステップS234において、残留変動成分FADCを残留変動成分FAMで割ることにより、相関係数Cが算出される。
相関係数Cは、HSUPA信号を構成するDPDCH信号,DPCCH信号,及びHS-DPCCH信号に拡散符号が乗算される際のゲインファクタBeta ratio c(Bc),Beta ratio d(Bd),Beta ratio hs(Bhs)の全てのBeta ratioの組み合わせに対し、共通の係数を1つだけ用意するようにしてもよいし、ゲインファクタの組み合わせに応じた複数の相関係数Cを用意するようにしてもよい。また、複数のシンボルや、複数のゲインファクタの組み合わせや、各シンボル内の平均化区間などの条件を変えて、さまざまな条件化で相関係数Cを算出し、その平均値を相関係数Cとして用いるものとしてもよい。
送信パワー制御部107は、送信パワー制御コマンド、PA103の出力パワーの平均値の変動量、及び振幅成分信号の出力パワーの平均値の変動量に基づいて、ポーラ変調送信装置100の送信パワーを制御する。
(3)動作
次に、上記のように構成されたポーラ変調送信装置100の動作について、図16を参照して説明する。
次に、上記のように構成されたポーラ変調送信装置100の動作について、図16を参照して説明する。
図16は、現時点のモードがコンプレスドモードである場合のポーラ変調送信装置100の動作の説明に供するフローチャート図である。ポーラ変調送信装置100は、ステップS301で図示せぬ通信相手から指示されたパワーの変化量ΔPを検出し、ステップS302で変化量ΔPが0以上か否か判定し、変化量ΔPが0以上であれば(ステップS302:YES)、そのままコンプレスドモードを行うことができると判断し、ステップS340に移ってΔPだけパワーを変化させる。これに対して、ステップS302で変化量ΔPが0未満であれば(ステップS302:NO)、非コンプレスドモードにモードチェンジするか否か判定し(ステップS303)、モードチェンジしないと判定した場合には(ステップS303:NO)、ステップS340に移ってΔPだけパワーを変化させる。
一方、ステップS303で非コンプレスドモードにモードチェンジすると判定した場合には(ステップS303:YES)、送信パワー制御部107は、パワーアライメントループ120によるフィードバック制御が必要であると判断し、ステップS304に移る。ポーラ変調送信装置100は、ステップS304で測定系の電源をONし、ステップS305及びステップS321に移る。
ステップS305〜S310でコンプレスドモードでのPA103の出力パワーの平均値Pcurを測定し、ステップS311でモードをコンプレスドモードから非コンプレスドモードにモードチェンジし、ステップS312でΔPだけパワーを変化させる。
そして、ステップS313〜S318で非コンプレスドモードでのPA103の出力パワーの平均値Ptarを測定する。
一方、ステップS321〜S327でコンプレスドモードの期間にポーラ信号生成回路101から出力される振幅成分信号の出力パワーの平均値PAM_curを測定する。そして、ステップS311でモードをコンプレスドモードから非コンプレスドモードにモードチェンジし、ステップS312でΔPだけパワーを変化させる。その後、ステップS328〜S334で非コンプレスドモードの期間にポーラ信号生成回路101から出力される振幅成分信号の出力パワーの平均値PAM_tarを測定する。
ステップS319では、Pcur,Ptar,PAM_cur,PAM_tar,及び相関係数Cを用いて、送信パワー制御部107が誤差修正を行ってP'tar_setを算出する。誤差修正が終了すると、ステップS320で測定系の電源をOFFする。
図17は、現時点のモードが非コンプレスドモードである場合のポーラ変調送信装置100の動作の説明に供するフローチャート図である。図17において、図16と同一のステップについては同一の符番を付してその説明を省略する。図17は、図16のステップS302に替え、ステップS341で変化量ΔPが0以下か否か判定し、図16のステップS311に替え、ステップS342でモードを非コンプレスドモードからコンプレスドモードにモードチェンジする。
なお、上述した説明では、1回目及び2回目のパワー測定のタイミングとシンボル境界のタイミングとの関係は明示していないが、1回目のパワー測定のタイミングがシンボル境界より前、2回目のパワー測定がシンボル境界より後にある場合についても、適用可能である。
また、1回目のパワー測定のタイミングがシンボル境界より前、2回目のパワー測定がシンボル境界より後にある場合についても、適用可能である。
因みに、送信パワーの変更は、あるチャネルに注目するとスロット単位で行われるが、チャネル間のスロットタイミングの関係によってはシンボル単位で行われるので、シンボル境界とは送信パワーの変更が起こりうるタイミングを意味する。本実施の形態の構成によれば、シンボル境界の前後でβ条件が異なる場合でも適用可能である。
例えば、HSUPA信号では、シンボル境界の前後で振幅成分信号に含まれる変動成分が異なる。したがって、シンボル境界の前と後のPA103の出力パワーの平均値の変動量と、シンボル境界の前と後の振幅成分信号の平均値の変動量とに基づいて、送信パワーを制御するようにすることで、1回目のパワー測定のタイミングがシンボル境界より前、2回目のパワー測定がシンボル境界より後にある場合においても、シンボル境界の前後で振幅成分信号に含まれる変動成分が異なることによって変動する残留変動成分の影響を除去することができる。
また、1回目のパワー測定のタイミングがシンボル境界より前、2回目のパワー測定がシンボル境界より後にあり、シンボル境界の前後でβ比が異なる場合についても、適用可能である。
例えば、HSUPA信号では、シンボル境界の前後でβ比が異なる場合、シンボル境界の前後で振幅成分信号に含まれる変動成分が異なる。したがって、β比の変更前と変更後のPA103の出力パワーの平均値の変動量と、β比の変更前と変更後の振幅成分信号の平均値の変動量とに基づいて、送信パワーを制御するようにすることで、1回目のパワー測定のタイミングがシンボル境界より前、2回目のパワー測定がシンボル境界より後にあり、シンボル境界の前後でβ比が異なる場合においても、β比が異なることによって変動する残留変動成分の影響を除去することができる。
(4)効果
以上のように、本実施の形態によれば、振幅成分信号のパワーの平均値を検出する平均化部111を設け、PA103の出力パワーの平均値の変動量と、振幅成分信号のパワーの平均値の変動量とに基づいて、送信パワーを制御するようにしたことにより、PA103の出力パワーの平均値に残留変動成分が含まれる場合でも、当該残留変動成分の影響を除去して送信パワーを制御することができるので、送信パワー制御の精度を向上することができる。つまり、残留変動成分に起因するパワーの推定精度の劣化を抑制できるので、例えば送信パワーの誤差を+/- 0.5 dBに収めなければならないといった厳しい要求も満たすことができるようになる。
以上のように、本実施の形態によれば、振幅成分信号のパワーの平均値を検出する平均化部111を設け、PA103の出力パワーの平均値の変動量と、振幅成分信号のパワーの平均値の変動量とに基づいて、送信パワーを制御するようにしたことにより、PA103の出力パワーの平均値に残留変動成分が含まれる場合でも、当該残留変動成分の影響を除去して送信パワーを制御することができるので、送信パワー制御の精度を向上することができる。つまり、残留変動成分に起因するパワーの推定精度の劣化を抑制できるので、例えば送信パワーの誤差を+/- 0.5 dBに収めなければならないといった厳しい要求も満たすことができるようになる。
また、送信パワー制御部107は、PA103の出力パワーの平均値に含まれる残留変動成分と、振幅成分信号の出力パワーの平均値に含まれる残留変動成分との比を示す相関係数Cが予め設定されており、振幅成分信号の出力パワーの平均値に相関係数Cを乗ずることで、残留変動成分を求める。そして、PA103の出力パワーの平均値から、求められた残留変動成分を減算することでパワー推定値を求め、このパワー推定値に基づいて送信パワーを制御するので、PA103の出力パワーの平均値に含まれる残留変動成分の影響を排除して、送信パワー制御の精度を確実に向上することができる。
また、PA103の出力パワーの平均値を検出するLPF108及び振幅成分信号の出力パワーの平均値を検出する平均化部111に、時定数が等しいローパスフィルタ又は積分器を用いるようにすることで、PA103の出力パワーの平均値に含まれる残留変動成分と、振幅成分信号の出力パワーの平均値に含まれる残留変動成分とを確実に合わせることができる。
これは、PA103の出力パワーの平均値を検出するLPF108の時定数と、平均化部111に用いるローパスフィルタ又は積分器の時定数が、検出する信号のカットオフ周波数を決定するためであり、これらの時定数が異なると残留変動成分の推定精度が劣化するためである。因みに、時定数の許容範囲は、デバイスの設計精度や温度ばらつきの範囲などにより異なるが、±10%程度に収めることが好ましい。
2007年1月12日出願の米国仮出願60/880,055に含まれる開示内容は、すべて本願に援用される。
本発明は、ポーラ変調信号を送信する無線送信装置に好適である。
本発明は、ポーラ変調送信装置及びその送信パワー制御方法に関する。
図1は、ポーラ変調方式を用いた典型的な送信装置の例を示す。送信装置は、ポーラ信号生成回路1と、振幅制御回路2と、位相変調信号生成回路3と、パワーアンプ(以下、PAと呼ぶ)4とを有する。この送信装置においては、ポーラ信号生成回路1が、入力信号(つまり送信変調信号)から送信変調信号の振幅及び位相に関する信号を生成する。振幅制御回路2は、振幅成分信号に基づいてPA4に供給される電源電圧を制御し、位相変調信号生成回路3は、位相成分信号に基づいてPA4に入力される位相変調信号を生成する。
実際上、この送信装置は、PA4をコンプレスドモード(compressed mode)と非コンプレスドモード(uncompressed mode)とで切り換えることで、送信パワーのダイナミックレンジを確保する。なお、コンプレスドモードは飽和動作モードと、非コンプレスドモードは非飽和動作モードと、言い換えることもできる。
この送信装置は、高い送信パワーが要求される場合には、PA4をコンプレスドモードで動作させる。一方、送信装置は、低い送信パワーが要求される場合には、PA4を非コンプレスドモードで動作させる。具体的には、コンプレスドモード時、送信装置は、振幅成分信号に応じて、PA4への電源電圧を変化させることで、振幅変調を実行する。このコンプレスドモードは、本質的に非常に、出力パワーについて正確である。一方、送信装置は、非コンプレスドモードでは、コンプレスドモードよりも、出力パワーについて正確でない状態でPA4を動作させる。
従来の送信装置においては、送信パワー制御時に、コンプレスドモード(Cモード)と非コンプレスドモード(Uモード)とを切り換える場合、各モードの特性の差(温度による変動、経年変化による変動、負荷変動など)が原因となって、最大で5dBを超える、送信パワーの変動が生じる可能性がある。
これを、図2を用いて簡単に説明する。図2には、コンプレスドモードでの出力パワーは比較的正確だが、非コンプレスドモードでの出力パワーは、(温度による変動、経年変化による変動、負荷変動など)の変動が原因となって変化する様子が示されている。
図2のように、非コンプレスドモードの出力パワーは、種々の要因で変動し易いので、コンプレスドモードと非コンプレスドモードとを切り換える場合に、出力パワーが不連続となる可能性が高く、この結果、大きな送信パワーの変動が生じる可能性が高い。
ところで、送信パワー制御を正確に行う手法として、実際のパワーアンプの出力パワーを測定し、この測定値が設定目標値に等しくなるように出力パワーをフィードバック制御する方法がある。
一般に、このフィードバック制御では、ローパスフィルタを用いて、パワーアンプの出力から、送信データに起因する変調変動成分を取り除く方法が採られる。そして、変調変動成分を取り除いた後のいわゆる平均送信パワーと、設定目標値との誤差に基づいて送信パワーを再調整する。
しかしながら、入力信号(図1のポーラ信号生成回路1への入力信号)そのものに残留変動成分が含まれているような場合には、上述したフィードバック制御によっても精度良く送信パワーを制御することが難しい。以下、HSUPA(High Speed Uplink Packet Access)信号を入力信号とする場合を例に説明する。HSUPAは、3GPPで標準化が行われているUMTS/WCDMAの上りリンクに関する次世代技術である。
ここで、図1のポーラ信号生成回路1への入力信号としてHSUPA信号を入力した場合のPA4の出力波形について考える。拡散パターンや、拡散符号のゲインファクタによって、拡散変調後の振幅成分信号には、広帯域の変動成分が含まれ、ローパスフィルタでは低い周波数成分の変動を除去できない。このため、PA4の出力パワーの平均値は、非常に短い時間(例えば、数μsec)ごとに僅かに変動する。このため、平均送信パワーと設定目標値との誤差に、拡散変調による残留変動成分による影響が含まれることになるため、パワーの推定精度が劣化する。
特に、3GPP(3rd Generation Partnership Project) 25.101では、送信パワーの誤差が、図3〜図5に示す要件を満たすことが要求されている。
詳細に説明する。UMTS及びW−CDMA規格を広めるための規格母体である3GPPは、基地局からのTPCコマンドによって移動端末が離散的なステップ(例えば+/- 1 dB, +/- 2dB, +/- 3 dB,………)で出力パワーを増減することを要求している。UMTS規格も、これらのパワー増減ステップをある特定の許容範囲内で実行するように指定している。
例えば、図3のテーブルに示すように、出力パワーを+/- 1 dB ステップ(増減)させるTPCコマンドの場合には、その結果である出力パワーを、目標出力パワーの+/- 0.5 dB以内に収めることが要求されている。そこで、例えば、移動端末の送信装置が0 dBmで動作しており、"1"のTPCコマンドが受信されたとすると、移動端末の送信装置は、+ 0.5 dBmと1.5 dBmの範囲以内に送信パワーが収まるように調整しなければならない。より大きなステップサイズである2 dBと3 dBのステップサイズの場合には、+/- 1 dBと +/- 1.5 dBといったより広い許容範囲が許される。
図5のテーブルに示すように、3GPP UMTS規格でも、パワーコマンドグループに対して累積的な許容範囲が定められている。例えばそれぞれが同様に1 dBのステップサイズからなる10個のTPCコマンドについては、出力パワーレベルが目標出力パワーレベルの+/- 2 dB以内となることが要求されている。
図3のテーブルの一覧及び図4から、1つのTPCコマンドに対して最も厳しいステップサイズは、+/- 1 dBを示すTPCコマンド(+/- 0.5 dBの許容が要求される)に対応するものであることが分かる。
上述した拡散変調による残留変動成分によってパワーの推定精度が劣化すると、これらの要求を満たすたことができなくなるおそれがある。
本発明の目的は、パワーアンプの出力に拡散変調等による残留変動成分が含まれる場合でも、高精度に送信パワーを制御することができるポーラ変調送信装置を提供することである。
本発明のポーラ変調送信装置は、入力信号から振幅成分信号と位相成分信号とを生成するポーラ信号生成回路と、前記位相成分信号からRF位相変調信号を生成するポーラ変調信号生成回路と、スケーリングされた前記振幅成分信号に基づいて、スケーリングされた前記RF位相変調信号を増幅するパワーアンプと、前記パワーアンプの出力パワーの平均値を第1の平均値として検出する第1の平均化部と、前記振幅成分信号のパワーの平均値を第2の平均値として検出する第2の平均化部と、前記第1の平均値の変動量と前記第2の平均値の変動量とに基づいて、前記第1の平均値に含まれる残留変動成分が除去されたパワー推定値を求め、当該パワー推定値に基づいて送信パワーを制御する送信パワー制御部とを具備する構成を採る。
本発明によれば、パワーアンプの出力に残留変動成分が含まれる場合でも、当該残留変動成分の影響を除去して送信パワーを制御することができるため、送信パワー制御の精度を向上することができるポーラ変調送信装置を提供することができる。
以下、本発明の一実施の形態について、図面を用いて説明する。
(1)全体構成
図6に、本発明の実施の形態に係るポーラ変調送信装置の構成を示す。図6のポーラ変調送信装置100は、拡散部110と、ポーラ信号生成回路101と、位相変調信号生成
回路102と、パワーアンプ (PA)103と、振幅制御回路104と、可変利得増幅器(VGA)及び又は減衰器によって構成された可変増幅回路105と、パワーアライメントループ120とを有している。
図6に、本発明の実施の形態に係るポーラ変調送信装置の構成を示す。図6のポーラ変調送信装置100は、拡散部110と、ポーラ信号生成回路101と、位相変調信号生成
回路102と、パワーアンプ (PA)103と、振幅制御回路104と、可変利得増幅器(VGA)及び又は減衰器によって構成された可変増幅回路105と、パワーアライメントループ120とを有している。
パワーアライメントループ120は、PA103の出力パワーを検出する検出回路106と、ローパスフィルタ(LPF)108と、アナログディジタル変換器(ADC)109と、送信パワー制御部107とを有する。
かかる構成に加えて、ポーラ変調送信装置100は、ポーラ信号生成回路101から出力された振幅成分信号を平均化する平均化部111を有する。平均化部111は、平均化した信号を送信パワー制御部107に送出する。
拡散部110は、入力信号を拡散し、拡散後の信号をポーラ信号生成回路101に出力する。例えば、HSUPA(High Speed Uplink Packet Access)信号を生成する場合、拡散部110は、DPDCH信号,DPCCH信号,HS-DPCCH信号,E-DPCCH信号,及びE-DPCCH信号に、それぞれ拡散符号Cd,Cc,Chs,Ced,及びCecを乗算し、ゲインファクタであるBeta ratio c(Bc),Beta ratio d(Bd),Beta ratio hs(Bhs),Beta ratio ed(Bed),及びBeta ratio ec(Bec)を調整することでHSUPA信号を生成し、生成したHSUPA信号をポーラ信号生成回路101に出力する。
ポーラ信号生成回路101は、入力信号から振幅成分信号と位相成分信号とを生成する。具体的には、ポーラ信号生成回路101は、拡散部110からの入力信号に従って動作し、入力信号の振幅情報を含んでいるエンベロープ成分信号(振幅成分信号)、及び、入力信号の位相情報を含んでいる定エンベロープ成分信号(位相成分信号)を生成する。振幅成分信号は振幅制御回路104に入力され、定振幅の位相成分信号は位相変調信号生成回路102に入力される。
位相変調信号生成回路102は、位相成分信号からRF位相変調信号を生成する。可変増幅回路105は、送信パワー制御部107からの位相パススケーリング係数(Phase-path magnitude scaling)S10に基づいて、RF位相変調信号を増幅又は減衰させ、これによりスケーリングされたRF位相変調信号をPA103のRF信号入力端子に供給する。
振幅制御回路104は、送信パワー制御部107からの振幅パススケーリング係数(AM-path envelope scaling)S11を振幅成分信号に乗じることで、PA103の電源電圧を形成して、それをPA103の電源入力端子に供給する。
検出回路106は、例えば、PINダイオードまたは他の半導体検出器で構成され、PA103の出力パワーを検出する。
LPF108は、例えばRC回路によって構成され、PA103の出力パワーの検出結果を積分することで、PA103の出力パワーの平均値を得る。LPF108は、検出回路106によって得られるPA103の出力パワーの検出値の変動を抑えるために設けられている。
ところで、LPF108のカットオフ周波数を高く設定し過ぎると、変動を十分に抑えることができない。逆に、カットオフ周波数を低く設定し過ぎると、パワーの調整後にLPF108の出力が安定するまでに時間を要するので、例えば3GPPの規格で定められた時間内にパワー制御を終えることが困難になる。因みに、3GPPの規格では、パワー制御を、シンボル境界から±25μsec内で収めることが要求されている。
この要求を満たすためには、LPF108の時定数は数μsec程度以下である必要がある。実際上、LPF108の時定数は、変調信号の瞬時エンベロープ変動をキャンセルできる程度に設定されていればよく、拡散符号のパターンに基づく拡散変調信号の基本周期(拡散符号のチップ速度)よりも遅い変動については残存してもよい。カットオフ周波数は数十kHz〜数百kHzの範囲が好ましいと考えられる。本実施の形態では、一例としてカットオフ周波数は300kHzとする。
ADC109は、LPF108の出力結果をサンプリングする。
平均化部111は、ポーラ信号生成回路101の出力である振幅成分信号の出力パワーの平均値を、所定時間において検出する。
送信パワー制御部107は、検出回路106の出力をLPF108及びADC109を介して入力する。また、送信パワー制御部107は、送信パワー制御信号を入力する。また、送信パワー制御部107は、平均化部111から振幅成分信号の平均値を入力する。
送信パワー制御部107は、PA103の出力パワーの平均値の変動量と、振幅成分信号の出力パワーの平均値の変動量とに基づいて、PA103の出力パワーの平均値から拡散変調による残留変動成分を除去したパワー推定値を求める。そして、送信パワー制御部107は、送信パワー制御信号と、拡散変調による残留変動成分を排除したパワー推定値とに基づいて、ポーラ変調送信装置100の送信パワーの設定目標値を決定し、送信パワーを制御する。
PA103の出力パワーの平均値と振幅成分信号の出力パワーの平均値との関係、及び、PA103の出力パワーの平均値から拡散変調による残留変動成分を除去したパワー推定値の求め方については後述する。
送信パワーの設定目標値を決定後、送信パワー制御部107は、振幅制御回路104に振幅パススケーリング係数S11を、可変増幅回路105に位相パススケーリング係数S10を送出することにより、PA103の電源電圧及びPA103の入力信号(RF位相変調信号)レベルを制御する。
送信パワー制御部107は、送信パワー制御信号(例えばTPCコマンド)をアドレスとしてテーブル参照して得たスケーリング係数の元の値と、拡散変調による残留変動成分を除去したパワー推定値より求めたスケーリング係数の修正値とを用いて、最終的なスケーリング係数S10、S11を算出する。
本実施の形態の送信パワー制御部107は、TPCコマンドとスケーリング係数とが対応図けれられたテーブル(以下これをパワーテーブルと呼ぶ)を有する。
図7に、送信パワー制御部107に設けられているパワーテーブルのスケーリング係数セットの様子を示す。コンプレスドモードでは、ポーラ変調送信装置100の出力パワーは、PA103のコレクタ(またはドレイン)ノードに与えられる振幅変調された電源電圧によって制御される一方、定振幅の位相変調RF信号のパワーは一定に保たれる。非コンプレスドモードでは、PA103の出力パワーは、振幅パスのエンベロープに乗じるスケーリング係数を一定に維持しながら、位相パスでの駆動信号に乗じるスケーリング係数を変化させることでパワーを制御する。但し、どちらの動作モードにおいても、パワー制御に用いない方のスケーリング係数(コンプレスドモードの場合には、位相変調RF信号に乗じる位相パススケーリング係数のことであり、非コンプレスドモードの場合には、振
幅パスのエンベロープに乗じる振幅パススケーリング係数のことである)は必ずしも一定に維持する必要はなく、PA103の出力の歪特性や雑音特性の改善、あるいは出力パワーの補正を行うために調整することにしてもよい。
幅パスのエンベロープに乗じる振幅パススケーリング係数のことである)は必ずしも一定に維持する必要はなく、PA103の出力の歪特性や雑音特性の改善、あるいは出力パワーの補正を行うために調整することにしてもよい。
実際上、図7に示したように、送信パワー制御部107は、コンプレスドモード用のスケーリング係数セットと、非コンプレスドモード用のスケーリング係数セットとを有する。本実施の形態の場合、コンプレスドモード用のスケーリング係数セットと非コンプレスドモード用のスケーリング係数セットは、モード遷移領域において、オーバーラップ領域が設けられている。
オーバーラップ領域は、コンプレスドモード又は非コンプレスドモードのいずれのモードを選択した場合でも、必要とされる出力パワーを生成することが可能な範囲である。具体的に説明すると、実際には、図7中の実線で示すような、振幅パススケーリング係数と位相パススケーリング係数を有すれば、コンプレスドモードと非コンプレスドモードを実現できるが、本実施の形態の場合には、実線で示すスケーリング係数セットに加えて、点線で示すスケーリング係数セットを有することで、コンプレスドモードの領域及び非コンプレスドモードの領域を拡張して、PA103をコンプレスドモード及び非コンプレスドモードのいずれのモードでも動作させることができるオーバーラップ領域を設けている。
較正領域は、モード遷移時に送信パワーに不連続が生じる可能性があり、較正を必要する可能性がある出力パワー範囲である。本実施の形態では、この較正領域において、送信パワーに不連続を生じさせないスケーリング係数S10、S11を選択して、PA103のモード切換を行う。
このように、送信パワー制御部107によって算出されたスケーリング係数S10、S11に応じて、PA103がコンプレスドモードで動作するか、又は非コンプレスドモードで動作するかが決まる。
ここで、非コンプレスドモードで動作中のポーラ変調送信装置100が、「位相パススケーリング係数を100でPA103を−10dBmで出力」している時、送信パワー制御部107が動作し、「コンプレスドモード動作での出力パワーレベルとのレベル差が0.3dBmなので、PA103の出力パワーを上げる」と判断した場合について、位相パススケーリング係数の算出方法を説明する。
表1から、非コンプレスドモード動作時の位相パススケーリング係数「100」からの変化分として、出力パワーレベルの増加分「+0.3dBm」に相当する位相パススケーリング係数の増加分「+3」を加算し、位相パススケーリング係数を「103」とする。
なお、PA103の出力を「+1dBm」だけ上げる場合には、上記したような算出を行わなくてもよく、スケーリング係数「100」が格納された「アドレス002」に隣接する「アドレス003」を直接参照してもよい。
本実施の形態の場合、パワーアライメントループ120の検出回路106、LPF108及びADC109は、必要な場合のみ動作するようになっている。具体的には、送信パワー制御部107が、入力されるTPCコマンドに基づいて、オンオフ制御信号S20をLPF108及びADC109に送出する。例えば、図4に示したように、TPCコマンドが1 dBや2 dB, 3 dBといったように許容値が厳しい目標ステップサイズを示すものであった場合には、オンオフ制御信号S20としてオン制御信号を出力する。これに対して、TPCコマンドが4 dB以上といったように許容値が厳しくない目標ステップサイズを示すものであった場合には、オンオフ制御信号S20としてオフ制御信号を出力する。このようにすることで、パワーアライメントループ120を実質的に必要な場合のみ動作させることができるので、消費電力を低減できる。
以上説明したように、本実施の形態のポーラ変調送信装置100は、パワーアライメントループ120によってPA103の出力パワーを測定しながら、振幅パススケーリングS11及び位相パススケーリング係数S10を選択することにより、送信パワー変更時におけるPA103の出力パワーの不連続(特にモード遷移時の不連続)を抑制できる。
加えて、本実施の形態のポーラ変調送信装置100は、PA103の出力パワーの平均値の変動量と、振幅成分信号の出力パワーの平均値の変動量とに基づいて、PA103の出力パワーの平均値から拡散変調による残留変動成分を除去したパワー推定値を求め、このパワー推定値と送信パワー制御信号とに基づいて、送信パワーの設定目標値を決定し、送信パワーを制御することにより、残留変動成分の影響を除去して送信パワーを制御することができるため、送信パワー制御の精度を向上することができる。
(2)残留変動成分の除去
次に、残留変動成分の除去の仕方について、詳しく説明する。
次に、残留変動成分の除去の仕方について、詳しく説明する。
先ず、PA103の出力パワーの平均値と、振幅成分信号の出力パワーの平均値との関係について、図8と図9を参照しながら説明する。
図8は、LPF108の出力波形(図中の実線)と、ADC109のサンプリングタイミング(図中の縦の点線)と、所定期間でのサンプリング値の平均値(図中の横の点線)との関係を示したものである。図9は、振幅成分信号(AMパス信号)の、パワー波形及び短時間における平均値を示したものである。図8及び図9は、ともに送信パワーの変更及びデバイス特性による影響がない場合の波形を示している。
因みに、検出回路106の出力は、検出回路106の回路構成によってスケールの違いや雑音の影響などは生じるが、図9の実線で示した振幅信号成分信号(AMパス信号)の波形パターンとほぼ同様となる。具体的には、検出回路106の出力電圧は、0[V]付近と、0.35[V]付近とで、周期的に変動する。この検出回路106の出力電圧変動の周期性は、拡散部110で用いられる拡散符号のパターンに基づく拡散変調信号の基本周期に起因するものである。例えば拡散符号の基本周期が8チップ周期の場合には、検出回路106の出力電圧変動の周期は、8チップ周期(4チップの期間は0[V]付近、次の4チップの期間は0.35[V])、又はその半分の4チップ周期となる。また、例えば拡散符号の基本周期が4チップ周期の場合には、検出回路106の出力電圧変動の周期は、4チップ周期(2チップの期間は0[V]付近、次の2チップの期間は0.35[V])、又はその半分の2チップ周期となる。
図8から分かるように、LPF108の出力信号には4dB幅程度の変動が残っており、図8中の3.66msec(シンボル境界)付近では10dB以上の変動が残っている。この変動はパワー制御の精度を劣化させることになるため、本実施の形態では、これらの変動成分を除去するようになっている。
本実施の形態の送信パワー制御部107は、図8の中の3.66msec(シンボル境界)付近の変動の大きいタイミングを避けた時間位置のサンプリング値を平均化するようになっている。実際には、シンボル境界からセットリング期間(LPF108の出力が安定するまでの期間)が経過するまでは平均化を行わず、セットリング期間が経過した後のLPF出力を用いて平均化を行うようになっている。
また、ADC109のサンプリング周期は、上記の4dB程度の変動の周期と合うように設定されている。送信パワー制御部107では、シンボル境界を除いた位置の数サンプルのADC値を平均化することにより、シンボル境界付近の大きな変動及び4dB幅の変動の影響は除去することができる。
しかしながら、さらに低い周波数の変動成分は除去することができない。図8において、縦の点線は、4dB程度の変動の周期の整数倍(960kHz)でのサンプリングタイミングを示し、横の点線は4サンプルの平均値を示す。平均化区間1の平均値L1と、平均化区間2の平均値L2と、平均化区間3の平均値L3とが、3つとも異なっていることから、変動成分が除去できていないことが分かる。この微小な変動成分を残留変動成分と呼ぶことにする。
発明者らは、この残留変動成分を除去するために、振幅成分信号に注目した。図9は振幅成分信号(AMパス信号)を示し、横軸は時間、縦軸は振幅成分の瞬時パワーを示す。この振幅成分信号に上記の残留変動成分が含まれているかを明確にするために、図8の平均化区間1,2,3に対応する平均化区間1,2,3の振幅成分信号を平均化した値をそれぞれ横の点線で示す。
ここで、振幅成分信号の平均化にはどのような回路を用いてもよく、例えばFIRフィルタ、IIRフィルタ、又は、必要な区間のみ加算を行う加算器等を用いればよい。例えば、平均化部111として、図10に示すようなFIRフィルタ又は図11に示すようなIIRフィルタを用いればよい。
図10は、タップ数が256で、タップ係数p(0)〜p(255)がすべて1のFIRフィルタを用いた例である。
ここでタップ数は、図8で説明したADC109の4サンプルの区間と対応するように、振幅成分信号のサンプリング周波数、ADC109のサンプリング周期、およびADC109の平均化サンプル数から求めればよい。一例として、振幅成分信号のサンプリング周波数を61.44MHz、ADC109のサンプリング周期を960kHz、ADC109の平均化サンプル数を4とすると、FIRフィルタのタップ数は、次式で求められる。
(FIRのタップ数)=(ADCの平均化サンプル数)×(振幅成分信号のサンプリング周波数)/(ADCのサンプリング周期)
=4×61.44MHz / 960kHz = 256
=4×61.44MHz / 960kHz = 256
また、振幅成分信号のサンプリング周波数が61.44MHzなので、FIRフィルタのタップ数を256とした場合、FIRフィルタのクロック周波数CLKは、61.44MHzに設定すれ
ばよい。
ばよい。
ところで、FIRフィルタの乗算器は基板上の設置面積を大きく占めるため、タップ数の削減は当業者にとって共通の課題である。しかしながら、本実施の形態では、乗算器で掛けるフィルタ係数を全て1にしてもよく、FIRフィルタは加算器で構成できる。そのため、タップ数が増加しても、設置面積が大幅に増加することはない。
図11は、図10のFIRフィルタに代えて、IIRフィルタを用いた場合の構成例である。図11において、例えば、クロック周波数CLKは図10の場合と同様に振幅成分信号のサンプリング周波数と同じ61.44MHzに設定し、フィードフォワードの係数a0〜a255は1に設定し、フィードバックの係数b1〜b255は255/256に設定すればよい。ただし、この設定値は、一例であって、これに限ったものではない。
図9からも分かるように、平均化区間1,2,3の平均値は、平均化区間1,2,3の間で微小に変動している。この図はデバイスのばらつきなどの影響がない場合の波形であるため、平均値の変動は、振幅成分信号そのものに含まれる変動成分に起因する。この変動成分は、拡散パターンや、拡散符号のゲインファクタによって、拡散変調後の振幅成分信号に広帯域の変動成分が含まれ、短時間の平均化では低い周波数成分の変動を除去できない。
これにより、デバイスの特性の影響がない場合においても、図8に示すように、所定時間内におけるPA103の出力パワーのLPF後の平均値が、平均区間によって変動する。
上記のLPF後の平均値に含まれる残留変動成分と、振幅成分信号に含まれる残留変動成分との相関について以下で述べる。上記ではある特定のシンボルにおける特性に注目したが、ここでは、他のシンボルでの特性も含めた1フレーム分の特性に注目し、LPF後の平均値に含まれる残留変動成分と、振幅成分信号に含まれる残留変動成分との比較を行った。
図12は、各シンボルにおけるLPF出力の1回目のADCサンプリング区間(例えば図8の平均化区間1)における平均値L1と、2回目のADCサンプリング区間(例えば図8の平均化区間2)における平均値L2との間の残留変動成分を1フレームにわたって抽出したもので、横軸は1フレーム中でのシンボルの位置、縦軸は残留変動成分の大きさを示す。
図13は、各シンボルにおける振幅成分信号の1回目の平均区間(例えば図9の平均化区間1)の平均値と、2回目の平均区間(例えば図9の平均化区間2)の平均値との間の残留変動成分を1フレームにわたって抽出したもので、横軸は1フレーム中でのシンボルの位置、縦軸は残留変動成分の大きさを示す。
これらの図において、同一のシンボル位置における、LPF後の平均値に含まれる残留変動成分と、振幅成分信号に含まれる残留変動成分が同じような特性になっていることから、これらの間に相関関係が成り立つと予想される。
図14は、各シンボルにおける振幅成分信号に含まれる残留変動成分を横軸に、LPF後の平均値に含まれる残留変動成分を縦軸に、1フレーム分プロットした図である。ここで、それぞれの残留変動成分の間に相関関係がない場合、プロットの分布はランダムになるが、図14において、ある傾きを持った直線の近くに分布していることから、2つの残留変動成分の間には相関関係があるとみなすことができる。
ここで、相関係数をCとすると、相関係数Cは、図14の分布を直線近似した直線の傾きを、次式で求めることによって得ることができる。
相関係数C=(LPF後の平均値に含まれる残留変動成分の変化量)/(振幅成分信号に含まれる残留変動成分の変化量)
相関係数C=(LPF後の平均値に含まれる残留変動成分の変化量)/(振幅成分信号に含まれる残留変動成分の変化量)
よって、この相関係数Cをシミュレーションや既知信号区間などを用いてあらかじめ求めておけば、振幅成分信号から残留変動成分(平均化部111によって得られた平均値の差)を求め、それに相関係数Cを乗算することにより、LPF後の平均値に含まれる残留変動成分を推定することが可能になる。
したがって、上記のLPF後の平均値に含まれる残留変動成分の推定値をPA103の出力パワーの平均値の変動量から減算することで、残留変動成分による影響を除去したパワー推定値を求めることができる。
つまり、送信パワー制御部107は、送信パワー制御信号をアドレスとしてテーブル参照して得たスケーリング係数の元の値と、振幅成分信号の出力パワーの平均値の変動量に相関関数Cを乗算した値をPA103の出力パワーの平均値の変動量から減算し得られた結果(すなわち拡散変調による残留変動成分を除去したパワー推定値)から求めたスケーリング係数の修正値とを用いて、最終的なスケーリング係数S10,S11を算出する。
図15は、相関係数Cの算出方法の一例を示すフロー図である。
ステップS201〜S206では、所定時間内にポーラ信号生成回路101から出力される振幅成分信号(AMパス)の出力パワーの平均値PAM1_avgが算出され、ステップS207でlog(PAM1_avg)=PAM1の式が用いられて、出力パワーの単位がdBに変換される。なお、上述の例の場合、図15におけるパラメータm=「256」に設定されており、パラメータn=「4」に設定されている。
同様に、ステップS208〜S213では、ポーラ信号生成回路101から出力される振幅成分信号の出力パワーの平均値PAM2_avgが算出され、ステップS214でlog(PAM2_avg)=PAM2の式が用いられて、出力パワーの単位が対数に変換される。ステップS215では、PAM2からPAM1が減算されてポーラ信号生成回路101から出力される振幅成分信号の残留変動成分FAMが算出される。
ステップS221〜S226では、所定時間内のADC109の出力結果の平均値PADC1を測定し、同様に、ステップS227〜S232では、所定時間内のADC109の出力結果の平均値PADC2を測定する。ステップS233で、PADC2からPADC1が減算されて残留変動成分FADCが算出される。なお、LPF108及びADC109において、出力パワーの単位が対数に変換されているため、PADC2及びPADC1に対してはステップS207及びステップS214に対応するステップを設けず、ステップS233において、PADC2からPADC1を減算することにより残留変動成分FADCを算出している。
最後に、ステップS234において、残留変動成分FADCを残留変動成分FAMで割ることにより、相関係数Cが算出される。
相関係数Cは、HSUPA信号を構成するDPDCH信号,DPCCH信号,及びHS-DPCCH信号に拡散符号が乗算される際のゲインファクタBeta ratio c(Bc),Beta ratio d(Bd),Beta ratio hs(Bhs)の全てのBeta ratioの組み合わせに対し、共通の係数を1つだけ用意するようにしてもよいし、ゲインファクタの組み合わせに応じた複数の相関係数Cを用意するよう
にしてもよい。また、複数のシンボルや、複数のゲインファクタの組み合わせや、各シンボル内の平均化区間などの条件を変えて、さまざまな条件化で相関係数Cを算出し、その平均値を相関係数Cとして用いるものとしてもよい。
にしてもよい。また、複数のシンボルや、複数のゲインファクタの組み合わせや、各シンボル内の平均化区間などの条件を変えて、さまざまな条件化で相関係数Cを算出し、その平均値を相関係数Cとして用いるものとしてもよい。
送信パワー制御部107は、送信パワー制御コマンド、PA103の出力パワーの平均値の変動量、及び振幅成分信号の出力パワーの平均値の変動量に基づいて、ポーラ変調送信装置100の送信パワーを制御する。
(3)動作
次に、上記のように構成されたポーラ変調送信装置100の動作について、図16を参照して説明する。
次に、上記のように構成されたポーラ変調送信装置100の動作について、図16を参照して説明する。
図16は、現時点のモードがコンプレスドモードである場合のポーラ変調送信装置100の動作の説明に供するフローチャート図である。ポーラ変調送信装置100は、ステップS301で図示せぬ通信相手から指示されたパワーの変化量ΔPを検出し、ステップS302で変化量ΔPが0以上か否か判定し、変化量ΔPが0以上であれば(ステップS302:YES)、そのままコンプレスドモードを行うことができると判断し、ステップS340に移ってΔPだけパワーを変化させる。これに対して、ステップS302で変化量ΔPが0未満であれば(ステップS302:NO)、非コンプレスドモードにモードチェンジするか否か判定し(ステップS303)、モードチェンジしないと判定した場合には(ステップS303:NO)、ステップS340に移ってΔPだけパワーを変化させる。
一方、ステップS303で非コンプレスドモードにモードチェンジすると判定した場合には(ステップS303:YES)、送信パワー制御部107は、パワーアライメントループ120によるフィードバック制御が必要であると判断し、ステップS304に移る。ポーラ変調送信装置100は、ステップS304で測定系の電源をONし、ステップS305及びステップS321に移る。
ステップS305〜S310でコンプレスドモードでのPA103の出力パワーの平均値Pcurを測定し、ステップS311でモードをコンプレスドモードから非コンプレスドモードにモードチェンジし、ステップS312でΔPだけパワーを変化させる。
そして、ステップS313〜S318で非コンプレスドモードでのPA103の出力パワーの平均値Ptarを測定する。
一方、ステップS321〜S327でコンプレスドモードの期間にポーラ信号生成回路101から出力される振幅成分信号の出力パワーの平均値PAM_curを測定する。そして、ステップS311でモードをコンプレスドモードから非コンプレスドモードにモードチェンジし、ステップS312でΔPだけパワーを変化させる。その後、ステップS328〜S334で非コンプレスドモードの期間にポーラ信号生成回路101から出力される振幅成分信号の出力パワーの平均値PAM_tarを測定する。
ステップS319では、Pcur,Ptar,PAM_cur,PAM_tar,及び相関係数Cを用いて、送信パワー制御部107が誤差修正を行ってP'tar_setを算出する。誤差修正が終了すると、ステップS320で測定系の電源をOFFする。
図17は、現時点のモードが非コンプレスドモードである場合のポーラ変調送信装置100の動作の説明に供するフローチャート図である。図17において、図16と同一のステップについては同一の符番を付してその説明を省略する。図17は、図16のステップS302に替え、ステップS341で変化量ΔPが0以下か否か判定し、図16のステッ
プS311に替え、ステップS342でモードを非コンプレスドモードからコンプレスドモードにモードチェンジする。
プS311に替え、ステップS342でモードを非コンプレスドモードからコンプレスドモードにモードチェンジする。
なお、上述した説明では、1回目及び2回目のパワー測定のタイミングとシンボル境界のタイミングとの関係は明示していないが、1回目のパワー測定のタイミングがシンボル境界より前、2回目のパワー測定がシンボル境界より後にある場合についても、適用可能である。
また、1回目のパワー測定のタイミングがシンボル境界より前、2回目のパワー測定がシンボル境界より後にある場合についても、適用可能である。
因みに、送信パワーの変更は、あるチャネルに注目するとスロット単位で行われるが、チャネル間のスロットタイミングの関係によってはシンボル単位で行われるので、シンボル境界とは送信パワーの変更が起こりうるタイミングを意味する。本実施の形態の構成によれば、シンボル境界の前後でβ条件が異なる場合でも適用可能である。
例えば、HSUPA信号では、シンボル境界の前後で振幅成分信号に含まれる変動成分が異なる。したがって、シンボル境界の前と後のPA103の出力パワーの平均値の変動量と、シンボル境界の前と後の振幅成分信号の平均値の変動量とに基づいて、送信パワーを制御するようにすることで、1回目のパワー測定のタイミングがシンボル境界より前、2回目のパワー測定がシンボル境界より後にある場合においても、シンボル境界の前後で振幅成分信号に含まれる変動成分が異なることによって変動する残留変動成分の影響を除去することができる。
また、1回目のパワー測定のタイミングがシンボル境界より前、2回目のパワー測定がシンボル境界より後にあり、シンボル境界の前後でβ比が異なる場合についても、適用可能である。
例えば、HSUPA信号では、シンボル境界の前後でβ比が異なる場合、シンボル境界の前後で振幅成分信号に含まれる変動成分が異なる。したがって、β比の変更前と変更後のPA103の出力パワーの平均値の変動量と、β比の変更前と変更後の振幅成分信号の平均値の変動量とに基づいて、送信パワーを制御するようにすることで、1回目のパワー測定のタイミングがシンボル境界より前、2回目のパワー測定がシンボル境界より後にあり、シンボル境界の前後でβ比が異なる場合においても、β比が異なることによって変動する残留変動成分の影響を除去することができる。
(4)効果
以上のように、本実施の形態によれば、振幅成分信号のパワーの平均値を検出する平均化部111を設け、PA103の出力パワーの平均値の変動量と、振幅成分信号のパワーの平均値の変動量とに基づいて、送信パワーを制御するようにしたことにより、PA103の出力パワーの平均値に残留変動成分が含まれる場合でも、当該残留変動成分の影響を除去して送信パワーを制御することができるので、送信パワー制御の精度を向上することができる。つまり、残留変動成分に起因するパワーの推定精度の劣化を抑制できるので、例えば送信パワーの誤差を+/- 0.5 dBに収めなければならないといった厳しい要求も満たすことができるようになる。
以上のように、本実施の形態によれば、振幅成分信号のパワーの平均値を検出する平均化部111を設け、PA103の出力パワーの平均値の変動量と、振幅成分信号のパワーの平均値の変動量とに基づいて、送信パワーを制御するようにしたことにより、PA103の出力パワーの平均値に残留変動成分が含まれる場合でも、当該残留変動成分の影響を除去して送信パワーを制御することができるので、送信パワー制御の精度を向上することができる。つまり、残留変動成分に起因するパワーの推定精度の劣化を抑制できるので、例えば送信パワーの誤差を+/- 0.5 dBに収めなければならないといった厳しい要求も満たすことができるようになる。
また、送信パワー制御部107は、PA103の出力パワーの平均値に含まれる残留変動成分と、振幅成分信号の出力パワーの平均値に含まれる残留変動成分との比を示す相関係数Cが予め設定されており、振幅成分信号の出力パワーの平均値に相関係数Cを乗ずることで、残留変動成分を求める。そして、PA103の出力パワーの平均値から、求めら
れた残留変動成分を減算することでパワー推定値を求め、このパワー推定値に基づいて送信パワーを制御するので、PA103の出力パワーの平均値に含まれる残留変動成分の影響を排除して、送信パワー制御の精度を確実に向上することができる。
れた残留変動成分を減算することでパワー推定値を求め、このパワー推定値に基づいて送信パワーを制御するので、PA103の出力パワーの平均値に含まれる残留変動成分の影響を排除して、送信パワー制御の精度を確実に向上することができる。
また、PA103の出力パワーの平均値を検出するLPF108及び振幅成分信号の出力パワーの平均値を検出する平均化部111に、時定数が等しいローパスフィルタ又は積分器を用いるようにすることで、PA103の出力パワーの平均値に含まれる残留変動成分と、振幅成分信号の出力パワーの平均値に含まれる残留変動成分とを確実に合わせることができる。
これは、PA103の出力パワーの平均値を検出するLPF108の時定数と、平均化部111に用いるローパスフィルタ又は積分器の時定数が、検出する信号のカットオフ周波数を決定するためであり、これらの時定数が異なると残留変動成分の推定精度が劣化するためである。因みに、時定数の許容範囲は、デバイスの設計精度や温度ばらつきの範囲などにより異なるが、±10%程度に収めることが好ましい。
2007年1月12日出願の米国仮出願60/880,055に含まれる開示内容は、すべて本願に援用される。
本発明は、ポーラ変調信号を送信する無線送信装置に好適である。
Claims (8)
- 入力信号から振幅成分信号と位相成分信号とを生成するポーラ信号生成回路と、
前記位相成分信号からRF位相変調信号を生成する位相変調信号生成回路と、
スケーリングされた前記振幅成分信号に基づいて、スケーリングされた前記RF位相変調信号を増幅するパワーアンプと、
前記パワーアンプの出力パワーの平均値を第1の平均値として検出する第1の平均化部と、
前記振幅成分信号のパワーの平均値を第2の平均値として検出する第2の平均化部と、
前記第1の平均値の変動量と前記第2の平均値の変動量とに基づいて、前記第1の平均値に含まれる残留変動成分が除去されたパワー推定値を求め、当該パワー推定値に基づいて送信パワーを制御する送信パワー制御部と
を具備するポーラ変調送信装置。 - 前記送信パワー制御部は、
前記第1の平均値に含まれる残留変動成分と、前記第2の平均値に含まれる残留変動成分との比を示す相関係数を有し、
前記第2の平均値と前記相関係数とを用いて、前記第1の平均値に含まれる前記残留変動成分を求める
請求項1に記載のポーラ変調送信装置。 - 前記第1の平均化部及び前記第2の平均化部は、平均化区間が等しく設定されている
請求項1に記載のポーラ変調送信装置。 - 前記前記第1の平均化部及び前記第2の平均化部は、シンボル境界を除くサンプリングタイミングでのサンプル値を用いて、前記第1及び第2の平均値を算出する
請求項1に記載のポーラ変調送信装置。 - 拡散符号により拡散された拡散変調信号を生成する拡散変調信号生成部、をさらに具備し、
前記ポーラ信号生成回路は、前記拡散変調信号から振幅成分信号と位相成分信号とを生成する
請求項1に記載のポーラ変調送信装置。 - 前記拡散変調信号は、HSUPA(High Speed Uplink Packet Access)信号であり、
前記送信パワー制御部は、
HSUPA信号のβ比が変更する場合、β比変更前及び変更後の前記第1の平均値の変動量と、β比変更前及び変更後の前記第2の平均値の変動量とに基づいて、送信パワーを制御する
請求項5に記載のポーラ変調送信装置。 - 前記パワーアンプは、
コンプレスドモード及び非コンプレスドモードの動作モードを有し、
前記送信パワー制御部は、
前記パワーアンプの動作モードがチェンジする場合、モードチェンジ前及びモードチェンジ後の前記第1の平均値の変動量と、モードチェンジ前及びモードチェンジ後の前記第2の平均値の変動量とに基づいて、送信パワーを制御する
請求項1に記載のポーラ変調送信装置。 - ポーラ変調送信装置における送信パワー制御方法であって、
パワーアンプの出力パワーの平均値を第1の平均値として検出し、
振幅成分信号のパワーの平均値を第2の平均値として検出し、
前記第1の平均値の変動量と、前記第2の平均値の変動量とに基づいて、前記第1の平均値に含まれる残留変動成分が除去されたパワー推定値を求め、当該パワー推定値に基づいて送信パワーを制御する
送信パワー制御方法。
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