JPWO2008081580A1 - 環状ホスファチジン酸誘導体を含む鎮痛剤 - Google Patents

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Abstract

本発明の目的は、cPAの新しい生理活性の一つとして鎮痛作用を解明し、新規な鎮痛剤を提供することである。本発明によれば、リン脂質の1種である環状ホスファチジン酸誘導体を含む鎮痛剤が提供される。

Description

本発明は、リン脂質の1種である環状ホスファチジン酸誘導体を含む鎮痛剤に関する。
日本における「痛み」治療は、欧米と比べて低い水準にあるといわれている。「痛み」に関する基礎研究の研究環境も欧米に遥かに劣り、また「痛み」への社会や行政の理解の低さから、治療へと結び付かないのが現状である。
こういった現状を打開して、「痛み」医療を改善するためには、我国でも、医療現場の医師と基礎研究に携わる研究者、行政にかかわる人々などの連携の下で、活動が推進される必要がある。我国における「痛み」治療の実態調査や、社会経済への影響調査等への取り組みから始まって、「痛み」のメカニズムの解明と、その治療法の開発、治療のガイドラインの策定、教育現場での「痛み」教育の強化、一般の人々や患者への啓発活動など、やるべきことは数多い。近い将来の高齢化社会に備えても、「痛み」医療の確立は、急務であると考えられ、それが、「痛み」に苦しむ患者のQuality of Lifeを向上させ、社会の医療費負担を軽減させると同時に、社会の労働生産力の損失を抑え、日本経済の向上にもつながることが予想される。
既知の主要な鎮痛剤は、麻薬性鎮痛薬と解熱性鎮痛薬とに大別される。麻薬性鎮痛薬は、主として中枢に作用し、強力な鎮痛作用を持つ。麻薬性鎮痛薬は、オピオイド受容体に作用する。麻薬性鎮痛薬としては、鎮痛作用の比較的弱い弱オピオイド(コデインなど)と、鎮痛作用は強いが耐薬性のある強オピオイド(モルヒネなど)がある。一方、解熱性鎮痛薬としては、アスピリン、アセトアミノフェン、イブプロフェン、インドメタシンなどが知られており、主として末梢に作用し緩やかな鎮痛作用を持つ。解熱性鎮痛薬は、一般に、COX阻害により抗炎症作用と鎮痛解熱作用を持つが、アセトアミノフェンのようなCOX阻害作用のない鎮痛・解熱薬もある。
一方、本発明者らは、以前より真性粘菌Physarum polycephalumを実験材料として、様々な細胞生化学的解析を行っている。真性粘菌は、外部環境の変化に応じて、形態変化を示し、その増殖・分化に伴って、生体膜脂質の組成と代謝に著しい変化を見せることが明らかにされてきた。1992年に単相体ミクソアメーバから単離・同定された新規の脂質成分は、構造解析の結果、グリセロール骨格のsn-1位にシクロプロパン環を含むヘキサデカン酸を持ち、sn-2位と3位にリン酸が環状にエステル結合をしている物質であると確認された(Murakami-Murofushi, K., 他: J. Biol. Chem.,267, 21512-21517(1992))。この物質は、Physarum由来のLPA類似体であることから、PHYLPAと命名された。PHYLPAは、真核細胞のDNAポリメラーゼαの活性を抑え、動物培養細胞の増殖を抑制した脂質画分より得られたものであり、PHYLPAがこれらの生理活性を示すことが確認されている。PHYLPAは特徴的な脂肪酸を有しているが、この脂肪酸部分を別の一般的な脂肪酸に置換した構造類似体を有機合成し、それらの生理活性を調べた結果、PHYLPAと同様の生理作用が示された(Murakami-Murofushi, K., 他: Biochem.Biophys.Acta, 1258, 57-60(1995))。このことより、これらの生理作用に重要な構造はグリセロールsn-2位、3位の環状リン酸構造にあると推測される。この構造を持つ脂質は、総称して環状ホスファチジン酸(cyclic phosphatidic acid;cPA)と称される。さらに、環状ホスファチジン酸(cPA)が、ヒトの血清中をはじめ、種々の生物体に普遍的に存在する生理活性脂質であることを示した(Kobayashi, T., 他:Life Sci., 65, 2185-2191 (1999))。
Murakami-Murofushi, K., 他: J. Biol. Chem.,267, 21512-21517(1992) Murakami-Murofushi, K., 他: Biochem.Biophys.Acta, 1258, 57-60(1995) Kobayashi, T., 他:Life Sci., 65, 2185-2191 (1999)
本発明は、cPAの新しい生理活性の一つとして鎮痛作用を解明し、新規な鎮痛剤を提供することを解決すべき課題とした。
本発明者らは、生理活性リン脂質である環状ホスファチジン酸(cPA)を、種々の真核生物から発見し、十数年にわたって、その生理作用に関する研究を続けてきた結果、cPAに顕著な鎮痛効果があることを見出した。これまでに用いた検定法では、モルヒネにも劣らないほどの鎮痛作用があることが示されている。また、cPAは元来、生体中に含まれているものであり、外から生体に投与したときにも毒性や習慣性を示さないことが、動物実験から明らかになっている。cPAによる痛みの抑制効果に関する実験結果の概要は、以下の通りである。
即ち、本発明者らは、中枢無傷の麻酔ラットを用いて、後肢体性求心性神経の電気刺激によって誘発される(1)心拍数増加反応、及び(2)交感神経心臓枝の反射電位の2つを指標として、cPAの静脈内投与が鎮痛効果をもたらす可能性を調べた。その結果、この2つの方法によって、cPAに明らかな鎮痛効果があること、そしてその作用がオピオイド受容体を介する可能性を実証することができた。具体的には、先ず、ラットが痛みを感じるレベルで電気パルスを印加して心拍数の上昇を誘起し、cPAの投与によって心拍数上昇が抑制される可能性を検討した。さらに、心臓神経を露出して神経線維のdischargeレベルを測定する実験系を利用して、電気パルスにより誘起されるdischargeレベルがcPA投与により低減される可能性を検討した。その結果、cPAは容量依存的にdischargeレベルを抑え、cPAが鎮痛剤としての高いポテンシャルを持つことが示された。本発明はこれらの知見に基づいて完成したものである。
即ち、本発明によれば、一般式(1):
Figure 2008081580
(式中、Rは、炭素数1〜30の直鎖状若しくは分岐状アルキル基、炭素数2〜30の直鎖状若しくは分岐状アルケニル基、又は炭素数2〜30の直鎖状若しくは分岐状アルキニル基であり、これらの基はシクロアルカン環又は芳香環を含んでいてもよい。X及びYはそれぞれ独立に、−O−又は−CH−を示すが、X及びYが同時に−CH−になることはない。Mは、水素原子又は対カチオンである。)
で示される化合物を有効成分として含む、鎮痛剤が提供される。
好ましくは、一般式(1)において、X及びYは−O−である。
より好ましくは、一般式(1)において、X又はYは−CH−である(前者を2カルバcPA (2ccPAと略記)、後者を3カルバcPA (3ccPAと略記)と呼ぶ)。特に、Xが−CH−、Yが−O−である(2カルバ体である)ことがさらに好ましい。
また、好ましくは、一般式(1)で示される化合物は、1−オレオイル環状ホスファチジン酸、又は1−パルミトオレオイル環状ホスファチジン酸である。
本発明のさらに別の側面によれば、有効量の上記一般式(1)で示される化合物をヒトを含む哺乳動物に投与することを含む、痛みを抑制する方法が提供される。
本発明のさらに別の側面によれば、上記一般式(1)で示される化合物の鎮痛剤の製造における使用が提供される。
本発明により、一般式(1)で示される化合物が鎮痛作用を有することが確認された。従って、本発明で用いる一般式(1)で示される化合物は鎮痛剤として有用であることが明らかとなった。本発明によれば、新規な鎮痛剤が提供される。
以下、本発明の実施の形態について詳細に説明する。
本発明の鎮痛剤は、下記一般式(1)で示される化合物を有効成分として含む。
Figure 2008081580
(式中、Rは、炭素数1〜30の直鎖状若しくは分岐状アルキル基、炭素数2〜30の直鎖状若しくは分岐状アルケニル基、又は炭素数2〜30の直鎖状若しくは分岐状アルキニル基であり、これらの基はシクロアルカン環又は芳香環を含んでいてもよい。X及びYはそれぞれ独立に、−O−又は−CH−を示すが、X及びYが同時に−CH−になることはない。Mは、水素原子又は対カチオンである。)
一般式(1)において、置換基Rが示す炭素数1〜30の直鎖状若しくは分岐状アルキル基の具体例としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ペンタデシル基、オクタデシル基などが挙げられる。
置換基Rが示す炭素数2〜30の直鎖状若しくは分岐状アルケニル基の具体例としては、例えば、アリル基、ブテニル基、オクテニル基、デセニル基、ドデカジエニル基、ヘキサデカトリエニル基などが挙げられ、より具体的には、8−デセニル基、8−ウンデセニル基、8−ドデセニル基、8−トリデセニル基、8−テトラデセニル基、8−ペンタデセニル基、8−ヘキサデセニル基、8−ヘプタデセニル基、8−オクタデセニル基、8−イコセニル基、8−ドコセニル基、ヘプタデカ−8,11−ジエニル基、ヘプタデカ−8,11,14−トリエニル基、ノナデカ−4,7,10,13−テトラエニル基、ノナデカ−4,7,10,13,16−ペンタエニル基、ヘニコサ−3,6,9,12,15,18−ヘキサエニル基などが挙げられる。
置換基Rが示す炭素数2〜30の直鎖状若しくは分岐状アルキニル基の具体例としては、例えば、8−デシニル基、8−ウンデシニル基、8−ドデシニル基、8−トリデシニル基、8−テトラデシニル基、8−ペンタデシニル基、8−ヘキサデシニル基、8−ヘプタデシニル基、8−オクタデシニル基、8−イコシニル基、8−ドコシニル基、ヘプタデカ−8,11−ジイニル基などが挙げられる。
上記のアルキル基、アルケニル基又はアルキニル基に含有されうるシクロアルカン環の具体例としては、例えば、シクロプロパン環、シクロブタン環、シクロペンタン環、シクロヘキサン環、シクロオクタン環などが挙げられる。シクロアルカン環は、1個以上のヘテロ原子を含んでいてもよく、そのような例としては、例えば、オキシラン環、オキセタン環、テトラヒドロフラン環、N−メチルプロリジン環などが挙げられる。
上記のアルキル基、アルケニル基又はアルキニル基に含有されうる芳香環の具体例としては、例えば、ベンゼン環、ナフタレン環、ピリジン環、フラン環、チオフェン環などが挙げられる。
従って、置換基Rがシクロアルカン環によって置換されたアルキル基である場合の具体例としては、例えば、シクロプロピルメチル基、シクロヘキシルエチル基、8,9−メタノペンタデシル基などが挙げられる。
置換基Rが芳香環によって置換されたアルキル基である場合の具体例としては、ベンジル基、フェネチル基、p−ペンチルフェニルオクチル基などが挙げられる。
一般式(1)で示される化合物中のX及びYはそれぞれ独立に、−O−又は−CH−を示すが、X及びYが同時に−CH−になることはない。即ち、X及びYの組み合わせは以下の3通りである。
(1)Xが−O−であり、Yが−O−である。
(2)Xが−CH−であり、Yが−O−である。
(3)Xが−O−であり、Yが−CH−である。
一般式(1)で示される化合物中のMは、水素原子又は対カチオンである。Mが対カチオンである場合の例としては、例えば、アルカリ金属原子、アルカリ土類金属原子、置換若しくは無置換アンモニウム基が挙げられる。アルカリ金属原子としては、例えば、リチウム、ナトリウム、カリウムなどが挙げられ、アルカリ土類金属原子としては、例えば、マグネシウム、カルシウムなどが挙げられる。置換アンモニウム基としては、例えば、ブチルアンモニウム基、トリエチルアンモニウム基、テトラメチルアンモニウム基などが挙げられる。
本発明で用いられる一般式(1)で示されるcPAの具体例としては、オレオイルcPA(Ole-cPA)が好ましく、パルミトオレオイル2カルバcPA(△Pal-2ccPA)、パルミトオレオイル3カルバcPA(△Pal-3ccPA)が特に好ましい。
一般式(1)で示される化合物のうちX及びYが−O−である化合物は、例えば、特開平5−230088号公報、特開平7−149772号公報、特開平7−258278号公報、特開平9−25235号公報に記載の方法等に準じて化学的に合成することができる。
また、一般式(1)で示される化合物のうちX及びYが−O−である化合物は、特開2001−178489号公報に記載の方法に準じてリゾ型リン脂質にホスホリパーゼDを作用させることによって合成することもできる。ここで用いるリゾ型リン脂質は、ホスホリパーゼDを作用しうるリゾ型リン脂質であれば特に限定されない。リゾ型リン脂質は多くの種類が知られており、脂肪酸種が異なるもの、エーテル又はビニルエーテル結合をもった分子種などが知られており、これらは市販品として入手可能である。ホスホリパーゼDとしては、キャベツや落花生などの高等植物由来のものやStreptomyces chromofuscus, Actinomadula sp.などの微生物由来のものが市販試薬として入手可能であるが、Actinomadula sp. No.362由来の酵素によって極めて選択的にcPAが合成される(特開平11−367032号明細書)。リゾ型リン脂質とホスホリパーゼDとの反応は、酵素が活性を発現できる条件であれば特に限定されないが、例えば、塩化カルシウムを含有する酢酸緩衝液(pH5〜6程度)中で室温から加温下(好ましくは37℃程度)で1から5時間程度反応させることにより行う。生成したcPA誘導体は、常法に準じて、抽出、カラムクロマトグラフィー、薄層クロマトグラフィー(TLC)などにより精製することができる。
また、一般式(1)で示される化合物のうちXが−CH−であり、Yが−O−である化合物は、特開2004−010582号公報に記載の方法により合成することができる。
また、 一般式(1)で示される化合物のうちXが−O−であり、Yが−CH−である化合物は、文献記載の方法(Kobayashi,S.,他,Tetrahedron Letters 34,4047−4050(1993);並びに「日本薬学会 第23回
反応と合成の進歩シンポジウム1997年11月17、18日(熊本市民会館)環状ホスファチジン酸およびカルバ体誘導体の合成と生理作用、要旨集ページ101−104」)に準じて合成することができ、また国際公開WO2002/094286号公報に記載の方法により合成することができる。具体的な合成経路の一例を以下に示す。
Figure 2008081580
上記においては、先ず、市販の(R)-ベンジルグリシジルエーテル(1)をBF3・Et2Oで活性化させ、メチルホスホン酸ジメチルエステルにn-BuLiを作用させて得られるリチオ体を反応させることでアルコール(2)を得る。
得られたアルコールを、トルエン中で過剰のp-トルエンスルホン酸のピリジニウム塩を用いて80℃で反応させることにより、環化体(3)を得る。この環化体を、水素雰囲気下で20% Pd(OH)2-Cを用いて加水素分解し、脱ベンジル化を行う(4)。縮合剤として1-エチル-3-(3-ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド塩酸塩を用いて、脂肪酸と反応させてカップリング体(5)を得る。次に、求核剤としてブロモトリメチルシランを用いて、メチル基だけを位置選択的に除去し、環状ホスホン酸(6)を得る。これをエーテルを用いて分液ロートに移しこみ、少量の0.02Nの水酸化ナトリウム水溶液を滴下して、分液操作を行い、ナトリウム塩(7)として目的化合物を抽出、精製する。
本発明において有効成分として用いる式(1)で示される化合物は鎮痛作用を有する。従って、本発明によれば、当該化合物を有効成分として含む鎮痛剤が提供される。
本明細書中以下に記載する実施例においては、鎮痛効果の評価方法として、中枢無傷の麻酔ラットを用い、cPAの静脈内投与が鎮痛効果をもたらす可能性を、後肢体性求心性神経の電気刺激によって誘発される(1)心拍数増加反応、および(2)交感神経心臓枝の反射電位、を指標として調べた。今回用いた2つの実験系は基本的に、モルヒネの効果を調べたUchidaら(Neurosci Lett 269: 161, 1999)の方法に準じたものである。
鎮痛物質の効果を調べる方法として、ヒトにおける鎮痛効果の評価や、動物を用い様々な侵害性刺激、たとえばテールピンチや熱などに対する動物の逃避行動を指標とする方法が多く用いられている。しかし、無麻酔動物に侵害性刺激を与えることは、動物の情動に影響を与えるため、鎮痛効果の定量的な評価が困難であり、また動物に苦痛を与えることの倫理的問題が生じる。
麻酔した動物においても、侵害性刺激は様々な反応を誘発しうる。たとえば、末梢の侵害受容性1次求心性神経線維を活動させ、中枢神経系の侵害受容性ニューロンを活動させ、さらに様々な反射性反応を起こしうる。よく知られた麻酔下での反射性反応には、侵害性屈曲反射などの体性運動反射、侵害性昇圧反射のような自律神経性反射、侵害性血中カテコラミン上昇のような内分泌性反射などがある。
今回用いた(1)「後肢体性求心性神経の頻回電気刺激によって誘発される心拍数増加反応」は、太い有髄のA・線維のみが興奮するような弱い刺激強度(0.2V)では誘発されず、細い有髄のA・線維の興奮閾値以上の刺激強度(1V)で誘発される。さらに刺激を強く(10V)して無髄のC線維の興奮が加わると、心拍数増加反応の振幅が増大して最大に達する(Sato et al, J Auton Nerv Syst 4: 231, 1981; Uchida et al, Neurosci Lett 269: 161, 1999)。侵害性情報は、A・線維とC線維によって伝えられるので、体性求心性A・線維とC線維の興奮によっておこる心拍数増加反応は、鎮痛効果を評価する一つの指標となりうる。
今回用いた(2)「後肢体性求心性神経の単発電気刺激によって交感神経心臓枝に誘発される反射電位」のうち、潜時の早いA反射電位は、主としてA・線維の興奮によって誘発され、A・線維の興奮によって増大する。刺激の強度を強め、無髄C線維の興奮が加わると、上述のA反射電位の後に遅いC反射電位が誘発される(Ito et al, Neurosci Lett 39: 169, 1983; Adachi et al, Neurosci Res 15: 281, 1992)。
C反射電位は、侵害性情報の伝達、特に焼け付くような遅い痛みに関与する無髄C線維の興奮によって特異的に誘発されるため、C反射電位を指標とした方法は鎮痛薬の作用を評価するうえで優れている。C線維によって伝えられる遅い痛みは、痛みの中でも不快感が強く、臨床上特に重要である。佐藤らは、麻酔ネコにおいてこのモデルを用い、モルヒネがC反射電位のみを選択的に抑制することを示し、体性求心性C線維の興奮によって誘発されるC反射電位が、鎮痛効果研究の一つの指標となりうることを報告した5 (ペインクリニック10(5)605, 1989参照)。この方法は、長時間にわたって安定に測定できるうえ、分単位で連続的に効果を調べることが出来るため、薬物効果の時間経過を評価する上でも優れた方法である。
一方、A反射電位については、有髄線維の中で侵害性情報の伝達に関与するA・線維の刺激による反射がA・線維による反射に重なるため、鋭く早い痛みに関与するA・線維のみによる反射に対する薬物の効果を検討することは困難である。
今回用いた二つの方法はいずれも、麻酔した動物を用いるので、痛みを伴わずに侵害性刺激を加えることができ、しかも侵害性刺激によって誘発される特異な反射を検討することが出来るという利点を持ち、客観的な測定法として、鎮痛効果の評価モデルとなりうる。
本発明の鎮痛剤は、1又は2以上の製剤学的に許容される製剤用添加物と有効成分である一般式(1)で示される化合物とを含む医薬組成物の形態で提供することが好ましい。
本発明の鎮痛剤は、種々の形態で投与することができるが、好適な投与形態としては、経口投与でも非経口投与(例えば、静脈内、筋肉内、皮下又は皮内等への注射、直腸内投与、経粘膜投与など)でもよい。経口投与に適する医薬組成物としては、例えば、錠剤、顆粒剤、カプセル剤、散剤、溶液剤、懸濁剤、シロップ剤などを挙げることができ、非経口投与に適する医薬組成物としては、例えば、注射剤、点滴剤、坐剤、経皮吸収剤などを挙げることができるが、本発明の鎮痛剤の剤形はこれらに限定されることはない。さらに、公知の技術によって持続性製剤とすることもできる。
本発明の鎮痛剤の製造に用いられる製剤用添加物の種類は特に限定されず、当業者が適宜選択可能である。例えば、賦形剤、崩壊剤又は崩壊補助剤、結合剤、滑沢剤、コーティング剤、基剤、溶解剤又は溶解補助剤、分散剤、懸濁剤、乳化剤、緩衝剤、抗酸化剤、防腐剤、等張化剤、pH調節剤、溶解剤、安定化剤などを用いることができ、これらの目的で使用される個々の具体的成分は当業者に周知されている。
経口投与用の製剤の調製に用いることができる製剤用添加物として、例えば、ブドウ糖、乳糖、D-マンニトール、デンプン、又は結晶セルロース等の賦形剤;カルボキシメチルセルロース、デンプン、又はカルボキシメチルセルロースカルシウム等の崩壊剤又は崩壊補助剤;ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ポリビニルピロリドン、又はゼラチン等の結合剤;ステアリン酸マグネシウム又はタルク等の滑沢剤;ヒドロキシプロピルメチルセルロース、白糖、ポリエチレングリコール又は酸化チタン等のコーティング剤;ワセリン、流動パラフィン、ポリエチレングリコール、ゼラチン、カオリン、グリセリン、精製水、又はハードファット等の基剤を用いることができる。
注射あるいは点滴用の製剤の調製に用いることができる製剤用添加物としては、注射用蒸留水、生理食塩水、プロピレングリコール等の水性あるいは用時溶解型注射剤を構成しうる溶解剤又は溶解補助剤;ブドウ糖、塩化ナトリウム、D-マンニトール、グリセリン等の等張化剤;無機酸、有機酸、無機塩基又は有機塩基等のpH調節剤等の製剤用添加物を用いることができる。
本発明の鎮痛剤はヒトを含む哺乳動物に投与することができる。
本発明の鎮痛剤の投与量は患者の年齢、性別、体重、症状、及び投与経路などの条件に応じて適宜増減されるべきであるが、一般的には、成人一日あたりの有効成分の量として1μg/kgから1,000mg/kg程度の範囲であり、好ましくは10μg/kgから100mg/kg程度の範囲である。上記投与量の鎮痛剤は一日一回に投与してもよいし、数回(例えば、2〜4回程度)に分けて投与してもよい。
本発明の鎮痛剤は、他の鎮痛剤等と併用することもできる。
なお、本発明における有効成分であるcPAそれ自体は、哺乳類の血清や脳などに存在する物質であり、生体にとって安全であると考えられる。
以下の実施例により本発明を具体的に説明するが、本発明は実施例によって限定されることはない。
(1)実験方法
生物材料
Wister系雄ラット(体重300-375 g)を使用した。
麻酔
ウレタン1.1 g/Kgを初回腹腔内投与して麻酔した。血圧および心拍数の変動から麻酔深度を観察し、1-2時間毎に初回投与量の1/20-1/10を皮下投与して、麻酔深度を維持した。
呼吸の維持
ラットの気管を切開し、気管カニューレを挿入し、人工呼吸器(SN-480-7,
Shinano, Tokyo)を用いて呼吸を維持した。呼気中の炭酸ガス濃度を呼気ガスモニター(1H26, NEC San-ei, Tokyo)を用いてモニターし、実験中約3%になるように呼吸量を調節した。
体温の維持
直腸内にサーミスターを挿入して常時深部体温をモニターし、体温コントロール器(ATB-1100, Nihon kohden)を用いて、体温を37.5oCに維持した。
血圧測定・補液
右大腿動脈にカニューレを挿入した。動脈カニューレから、圧トランスデューサー(TP-400T, Nihon Kohden, Tokyo)で動脈圧を連続的に記録した。
心拍数の測定
血圧波形をパルスレートタコメーター(AT601-G, Nihon Kohden)につなぎ、心拍数を連続歴に記録した。
交感神経心臓枝活動の記録
仰臥位で左第2肋骨を除去した。星状神経節から出て心臓に向かう左の交感神経心臓枝を、できるだけ心臓の近くで分離し切断した。神経が乾燥しないように、パラフィンオイルの中に浸した。分離した神経の中枢端を白金イリジウム電極にのせて、交感神経心臓枝の遠心性神経活動を導出し、増幅器(S-0476, Nihon Kohden, 時定数0.33 s)を用いて増幅した。後肢体性求心性神経の電気刺激によって誘発される反射性反応を加算装置(ATAC3700, Nihon Kohden)を用いて50回加算した。平均化した反応をスクリーンに表示し、ミニライターに記録した。反射性反応の大きさを、誘発された反応の面積の計測によって評価し、cPA投与前のコントロールサイズに対する%で表した。交感神経活動記録時には、安定した神経活動記録を妨害する可能性のある体動を避けるため、筋弛緩薬gallamine triethiodide (20 mg/kg, i.v.)を投与した。
後肢体性求心性神経の電気刺激
左脛骨神経を周囲の組織から切断した。切断中枢端を刺激電極に乗せ、電気刺激装置(SEN-7103, Nihon Kohden)を用いて、supramaximalの矩形波パルス(パルス幅0.5 ms, 強度10-20V)で電気刺激した。心拍数増加反応を調べる実験では、頻回電気刺激(10Hz)を5秒間加えた。反射電位の実験では、3秒毎に単発電気刺激を加えた。
cPAの調製および投与
Pal-cPA(16:0)(sn-1位にパルミチン酸が結合)、△Pal-cPA(16:1)(sn-1位にパルミトオレイン酸が結合)と、Ole-cPA(18:1)(sn-1位にオレイン酸が結合)は、Kobayashi, S., 他: Tetrahedron Lett., 34, 4047-4050 (1993) に記載の方法に準じて合成した化学合成品、または特開2001-178489号公報記載の方法に準じた酵素合成品を用いた。精製された化学合成品、酵素合成品の間に効果の差はない。
2カルバ体と3カルバ体は、前者は特開2004-010582号公報に記載の方法により、後者は国際公開WO2002/094286号公報に記載の方法により合成した。
結晶をエタノールに溶解した後、窒素ガスでフィルム状に乾固した。これを投与直前に生理食塩水(0.9% NaCl)に溶解し、2.5 mg/mLまたは0.5 mg/mL溶液を調製した。
cPAは右大腿静脈に挿入したカニューレを介して静脈内投与した。投与量が1 mg /Kg体重未満の場合は0.5 mg/mL溶液を、1 mg /Kg体重以上の場合は2.5 mg/mL溶液を注入した。いずれの場合は注入速度は150 mL/分とした。
(2)結果および考察
心拍数の上昇に対するcPAの作用
Ole-cPAの投与による心拍数上昇の抑制効果は2個体のラットを用いて検証した。投与量が1 mg /Kg体重以上で観察され、以降は濃度依存的に抑制効果が増大した(図1)。投与量が5 mg /Kg体重の場合、心拍数の上昇はコントロールの半分以下となった。抑制効果の持続時間については、投与量が1 mg /Kg体重を超えると投与20分後でも抑制効果が確認された。以降は濃度依存的に抑制効果が増大し、5 mg/Kgの場合は20分後でも顕著な抑制効果がみられた。以上のように、Ole-cPAを投与することにより、下肢神経を電気刺激することにより誘起される心拍数の上昇が顕著に抑制されることが示された。
一方、Pal-cPAの投与では、全般的に上昇抑制効果が確認できるものの、一貫した傾向は見いだされなかった。
血圧に対するcPA投与の影響
2個体のラットを用いて、心拍数上昇の抑制効果と同時に検討した。Ole-cPAの投与量が2 mg /Kg体重以下の場合、血圧はほぼ90 mmHgで一定しており、投与による影響はみられなかった。一方、Pal-cPAでは300 mg /Kg体重の投与で血圧が一時的に100 mmHg前後に上昇し、2 mg /Kg体重の投与後は130 mmHgに上昇した。以降、血圧は130 mmHg前後で安定したままとなり、投与30分後でも降下は確認できなかった。
cPA投与による心臓神経のdischargeの変化
心臓神経のdischargeレベルの測定は4個体のラットを用いて検証した。刺激による心拍数上昇に対するcPAの抑制効果はOle-cPAで顕著に観察され、Pal-cPAではあまり顕著ではなかったことから、刺激による心臓神経のdischargeレベルの変化はOle-cPAのみについて検討した。cPA投与前および投与後の典型的なelectrogramを図2に示す。cPAの投与により特にC反射のレベルが低下した。
cPA投与後のdischargeレベルの経時変化を図3に示す。ここでは、dischargeレベル(図2におけるピークの面積)をcPA投与前のレベルで正規化した相対値で表している。いずれの濃度でも、投与10-15分後にC反射のdischargeレベルが最大40%(約1 mV)低下した。dischargeレベルは20-25分後に再上昇しはじめたが、2 mg/Kgで投与した場合は投与30分経過後でも投与前と比較して20%程度低下した状態が維持された。cPA投与後のdischargeレベル抑制の時間経過は、心拍数の上昇抑制の際にみられた時間経過とほぼ一致し、また、抑制レベルについても心拍数上昇の抑制効果と同様の容量依存性がみられた。
一方、Aδ反射については、cPA投与後にdischargeレベルに変化は見られるものの、C反射と比較すると変化に一貫性が見られなかった。また、実験に用いた4個体各々について、C反射では4個体で一貫した変化が示されたのに対して、Aδ反射におけるdischargeレベル変化は個体差あるいは生理的条件により左右されやすい特性を持つことが考えられる。
天然体cPAと同様な方法で、2カルバcPA(Ole-、Pal-, △Pal-)、3カルバcPA(Ole-、Pal-, △Pal-)の、心拍数、血圧、心臓神経のdischargeレベルへの効果を調べた。
心拍数への効果は、Ole-、△Pal-カルバcPAで、天然体であるOle-cPAとほぼ同様の心拍数上昇の抑制効果が観察された。
血圧に対しては、いずれの場合にも、Ole-cPA同様、投与による影響は見られなかった。
2カルバcPAのうち、パルミトオレオイル−2カルバcPA(△Pal-2ccPA)投与で、心臓神経の脱分極レベル、特にC反射の、著しいレベル低下が観察された。
50〜500μg/Kgの濃度の△Pal-2ccPAがC反射の脱分極レベルに与える効果を解析したところ、いずれの濃度でも、投与10-15分後にC反射の脱分極レベルが低下し、天然体Ole-cPAが約50%の低下を示す濃度(2mg/Kg)の1/40の濃度50μg/Kgで30%以上、1/20の濃度100μg/Kgで約60%、1/10の濃度200μg/Kgで約70%、1/4濃度500μg/Kgで約80%の低下を示した。脱分極レベルは、20-25分後に再上昇し始め、緩やかに投与時のレベルまで戻った。
3カルバcPAのうち、2カルバ体と同様、パルミトオレオイル−3カルバcPA(△Pal-3ccPA)投与で、心臓神経の脱分極レベル、特にC反射の、著しいレベル低下が観察された。その程度は2カルバ体よりは若干低かったが、50〜200μg/Kgの濃度の△Pal-3ccPAで、投与10-15分後にC反射の脱分極レベルが低下した。天然体Ole-cPAが約50%の低下を示す濃度(2mg/Kg)の1/40の濃度50μg/Kgで約30%、1/20の濃度100μg/Kgで約50%、1/10の濃度200μg/Kgで約60%の低下を示した。この場合にも、脱分極レベルは、20-25分後に再上昇し始め、緩やかに投与時のレベルまで戻った。
図4に、Ole-cPAと△Pal-2ccPA、△Pal-3ccPAの比較を示した。
以上、電気刺激に伴う心拍数上昇や心臓神経の脱分極が、cPAや2ccPA、3ccPAの投与により低減される結果を示した。C反射の脱分極レベルは、慢性痛を反映すると考えられており、cPAとその誘導体2ccPA、3ccPAが著しい鎮痛効果を持つことを強く示唆している。
cPAによる鎮痛作用の予想されるメカニズム
cPAによる鎮痛作用の作用機序として、以下の機構が予想される。
(1) 侵害受容器より中枢側の求心性神経線維の電気刺激による反応を用いて評価しているため、侵害受容器周囲への末梢作用である可能性は除外される。
(2) 1次求心性C線維における興奮伝導をブロックする可能性がある。
(3) 中枢神経内での侵害情報伝達物質の放出、たとえば脊髄後角における1次求心性C線維末端からのグルタメートやサブスタンスPの放出、を抑制する可能性がある。
(4) 中枢神経内、たとえば脊髄後角において、内因性オピオイド放出促進作用やオピオイド受容体感受性亢進作用によって、オピオイド鎮痛系を活性化する可能性がある。
(5) セロトニン作動性下行性抑制系やノルアドレナリン作動性下行性抑制系、GABAを介する鎮痛系などの、非オピオイド鎮痛系を活性化する可能性がある。
(6) LPAによる発痛作用に拮抗する可能性がある。
図1は、下肢神経刺激後の心拍数変化に対するcPA投与の効果を示す。 図2は、cPA投与前(左)および投与後(右)のelectrogramの典型例を示す。左右のピークはそれぞれAδ反射、C反射を示している。 図3は、下肢神経刺激後の心臓神経におけるAδおよびC反射レベルの変化を示す。各data pointは5分毎の平均値を示す。各ラットについて2〜3回投与して得られた応答レベルの平均値をさらに4個体で平均した。バーは標準誤差を示す。 図4は、種々の濃度(μg/Kg)の△Pal-2ccPA投与、および△Pal-3ccPA投与による、下肢神経刺激後の心臓神経におけるC反射レベル変化を、天然体Ole-cPAの効果と比較した結果を示す。C反射のピーク面積を測定し、これを各反射の脱分極レベルとした。各投与において、投与直前(0分)の脱分極レベルを基準として、相対脱分極レベル(%)を算定した。グラフは、投与後10-15分に測定された相対脱分極レベルの平均値を示す。

Claims (4)

  1. 一般式(1):
    Figure 2008081580
    (式中、Rは、炭素数1〜30の直鎖状若しくは分岐状アルキル基、炭素数2〜30の直鎖状若しくは分岐状アルケニル基、又は炭素数2〜30の直鎖状若しくは分岐状アルキニル基であり、これらの基はシクロアルカン環又は芳香環を含んでいてもよい。X及びYはそれぞれ独立に、−O−又は−CH−を示すが、X及びYが同時に−CH−になることはない。Mは、水素原子又は対カチオンである。)
    で示される化合物を有効成分として含む、鎮痛剤。
  2. 一般式(1)において、X及びYが−O−である、請求項1に記載の鎮痛剤。
  3. 一般式(1)において、X又はYが−CH−である、請求項1に記載の鎮痛剤。
  4. 一般式(1)で示される化合物が、1−オレオイル環状ホスファチジン酸、又は1−パルミトオレオイル環状ホスファチジン酸である、請求項1から3の何れかに記載の鎮痛剤。
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