JPWO2008041703A1 - インフルエンザワクチン用アジュバントおよびインフルエンザワクチン - Google Patents

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Abstract

本発明は、より効果的なインフルエンザワクチンを供給するため、体液性免疫と細胞性免疫の双方の活性化が可能なアジュバントおよびそれを用いたインフルエンザワクチンの提供を課題とする。本発明は、ポリアミノ酸を骨格とする生分解性ナノ粒子からなるインフルエンザワクチン用アジュバント、ならびに、インフルエンザウイルス抗原、および前記アジュバントを含有してなるインフルエンザワクチンを解決手段とする。ポリアミノ酸は、ポリ(γ−ポリグルタミン酸)を主体とするものが好ましい。

Description

本発明は、インフルエンザワクチン用アジュバントおよびインフルエンザワクチンに関する。詳しくは、生分解性ナノ粒子をアジュバントとして用いるインフルエンザワクチンに関する。
インフルエンザの発症を予防するためにインフルエンザ−ヘマグルチニン(HA)ワクチンが広く使用されている。しかし、HAワクチンは接種局所の腫脹、疼痛および全身倦怠感などの副作用を惹起させることが問題点として指摘されている。この問題点を解決するための方法のひとつとして、効果的なアジュバントを用いてHA接種量を減少させる手段が挙げられる。
アジュバントとして、フロイントアジュバント、水酸化アルミニウム、リポソームなどが知られている。前記アジュバントは、免疫の増強を誘導することが確認されているが、インフルエンザワクチンに使用する場合に安全性や有効性に問題がある。より効果的なインフルエンザワクチンを供給するためには、安全性の高いアジュバントを用いて、体液性免疫と細胞性免疫の双方の活性化が必要とされる。
最近、有機ナノ粒子を生分解性材料として用いて合成し、医薬品や化粧品の機能性材料として役立てようとする検討が進められている。例えば、ポリ(γ−グルタミン酸)は、納豆の粘りの成分であり(非特許文献1)、様々な化合物を導入したポリ(γ−グルタミン酸)誘導体が知られている(特許文献1〜3、非特許文献2、3)。
特開2002−80593号公報 特開2003−327693号公報 特開2003−342367号公報 Biosci. Biotech. Biochem., 57(7), pp.1212-1213, 1993 Biomacromolecules, 4, pp.1132-1134, 2003 Macromol. Biosci., 4, pp.407-411, 2004
本発明の目的は、より効果的なインフルエンザワクチンを供給するため、体液性免疫と細胞性免疫の双方の活性化が可能なアジュバントおよびそれを用いたインフルエンザワクチンの提供である。
本発明者らは、ポリ-γ-グルタミン酸(γ−PGA)のナノ粒子の研究開発に携わっており、当該ナノ粒子によるインフルエンザに対する感染防御免疫の増強の可能性について鋭意検討した結果、インフルエンザワクチンの新しいワクチンモデルの構築に成功し、本発明を完成するに至った。即ち、本願発明は、以下に示す通りである。
〔1〕 ポリアミノ酸を主成分とする生分解性ナノ粒子からなるインフルエンザワクチン用アジュバント。
〔2〕 ポリアミノ酸が、ポリ(γ−グルタミン酸)、ポリ(α−アスパラギン酸)、ポリ(ε−リジン)、ポリ(α−グルタミン酸)、ポリ(α−リジン)、ポリアスパラギン、それらの修飾体、それらの誘導体およびそれらの混合物からなる群より選ばれるものである前記〔1〕に記載のアジュバント。
〔3〕 ポリアミノ酸が、ポリ(γ−グルタミン酸)、それらの修飾体、それらの誘導体およびそれらの混合物からなる群より選ばれるものである前記〔2〕に記載のアジュバント。
〔4〕 ポリアミノ酸が両親媒化されている、前記〔1〕〜〔3〕いずれかに記載のアジュバント。
〔5〕 ポリアミノ酸がポリ(γ−グルタミン酸)とフェニルアラニンエチルエステルのグラフト共重合体である、前記〔4〕に記載のアジュバント。
〔6〕 インフルエンザウイルス抗原、および前記〔1〕〜〔5〕いずれかに記載のアジュバントを含有しているインフルエンザワクチン。
〔7〕 インフルエンザウイルス抗原が生分解性ナノ粒子に内包されている、前記〔6〕に記載のインフルエンザワクチン。
〔8〕 インフルエンザウイルス抗原が生分解性ナノ粒子表面に固定されている、前記〔6〕に記載のインフルエンザワクチン。
〔9〕 インフルエンザウイルス抗原と生分解性ナノ粒子とが混合されている、前記〔6〕に記載のインフルエンザワクチン。
〔10〕 インフルエンザウイルス抗原がHA分子である、前記〔6〕〜〔9〕いずれかに記載のインフルエンザワクチン。
〔11〕 インフルエンザウイルス抗原がウイルス全粒子である、前記〔6〕〜〔9〕いずれかに記載のインフルエンザワクチン。
〔12〕 インフルエンザワクチンの製造のための、インフルエンザウイルス抗原、およびポリアミノ酸を主成分とする生分解性ナノ粒子からなるアジュバントの使用。
〔13〕 ポリアミノ酸が、ポリ(γ−グルタミン酸)、ポリ(α−アスパラギン酸)、ポリ(ε−リジン)、ポリ(α−グルタミン酸)、ポリ(α−リジン)、ポリアスパラギン、それらの修飾体、それらの誘導体およびそれらの混合物からなる群より選ばれるものである前記〔12〕に記載の使用。
〔14〕 ポリアミノ酸が、ポリ(γ−グルタミン酸)、それらの修飾体、それらの誘導体およびそれらの混合物からなる群より選ばれるものである前記〔13〕に記載の使用。
〔15〕 ポリアミノ酸が両親媒化されている、前記〔12〕〜〔14〕いずれかに記載の使用。
〔16〕 ポリアミノ酸がポリ(γ−グルタミン酸)とフェニルアラニンエチルエステルのグラフト共重合体である、前記〔15〕に記載の使用。
〔17〕 インフルエンザウイルス抗原が生分解性ナノ粒子に内包されている、前記〔12〕に記載の使用。
〔18〕 インフルエンザウイルス抗原が生分解性ナノ粒子表面に固定されている、前記〔12〕に記載の使用。
〔19〕 インフルエンザウイルス抗原と生分解性ナノ粒子とが混合されている、前記〔12〕に記載の使用。
〔20〕 インフルエンザウイルス抗原がHA分子である、前記〔12〕〜〔19〕いずれかに記載の使用。
〔21〕 インフルエンザウイルス抗原がウイルス全粒子である、前記〔12〕〜〔19〕いずれかに記載の使用。
〔22〕 インフルエンザウイルス抗原、およびポリアミノ酸を主成分とする生分解性ナノ粒子からなるアジュバントを含有しているインフルエンザワクチンの有効量を対象に投与することを含む、インフルエンザの予防または軽減方法。
〔23〕 インフルエンザウイルス抗原が生分解性ナノ粒子に内包されている、前記〔22〕に記載の方法。
〔24〕 インフルエンザウイルス抗原が生分解性ナノ粒子表面に固定されている、前記〔22〕に記載の方法。
〔25〕 インフルエンザウイルス抗原と生分解性ナノ粒子とが混合されている、前記〔22〕に記載の方法。
〔26〕 インフルエンザウイルス抗原がHA分子である、前記〔22〕〜〔25〕いずれかに記載の方法。
〔27〕 インフルエンザウイルス抗原がウイルス全粒子である、前記〔22〕〜〔25〕いずれかに記載の方法。
〔28〕 前記〔6〕〜〔11〕いずれかに記載のインフルエンザワクチン、および当該ワクチンをインフルエンザの予防または軽減のために使用し得るか、または使用すべきであることを記載した書類を含む商業的パッケージ。
本発明のインフルエンザウイルス用アジュバントによると、従来のアジュバントでは達成できなかった細胞性免疫をも誘導することが可能である。すなわち、本発明のアジュバントは、インフルエンザウイルス抗原とともに生体内に投与した場合に、当該抗原に対する抗体産生効果のみならず、当該抗原特異的CTL(細胞傷害性T細胞)の誘導という効果をも奏することが可能となり、インフルエンザ感染に対する有効な予防手段を提供することができる。
本発明のインフルエンザワクチンによると、体液性免疫と細胞性免疫とに有効に作用し、少ない抗原量でインフルエンザ感染を有意に予防することができる。
図1は、HA特異的リンパ球の増殖反応を調べたグラフである。 図2は、HI抗体価を示すグラフである。 図3は、脾臓リンパ球中のインフルエンザ感染細胞特異的細胞傷害性を示すグラフである。 図4は、IFN-γ-ELISPOTアッセイを指標としたインフルエンザ感染細胞特異的細胞傷害性T細胞数についての結果を示す。
本発明は、ポリアミノ酸を主成分とする生分解性ナノ粒子からなるインフルエンザワクチン用アジュバントを提供する。
本発明のアジュバントを構成する「生分解性ナノ粒子」とは、ポリアミノ酸を主成分とし、生体内で酵素等の作用を受け、所定の時間経過後に粒子の崩壊およびポリアミノ酸骨格がアミノ酸のモノマーまたはオリゴマーに分解可能な粒子をいう。
本発明における生分解性ナノ粒子の「主成分」とは、ナノ粒子を構成する骨格をいう。
本発明における生分解性ナノ粒子の形状は特に限定されるものではないが、一般的には球状である。球状の粒子のサイズは通常10nm〜100μm程度であり、好ましくは80nm〜500nmである。このようなサイズにすることによって、単位重量当りの粒子表面積増加に伴うインフルエンザウイルス抗原の固定化量の増加、抗原提示細胞への抗原の取り込み促進、それに伴うCTLの活性化、抗体産生の誘導などの効果が生じる。
前記粒子の形状は、顕微鏡にて観察し、確認することができる。前記粒子のサイズは、ナノ粒子の水分散液を動的光散乱により測定した平均粒子径をいう。なお、球状以外の形状のナノ粒子のサイズは、球状のナノ粒子に準じて求めることができる。
前記生分解性ナノ粒子の骨格となるポリアミノ酸は、天然に存在するアミノ酸または人工アミノ酸の重合体であってもよい。安全性または毒性の面から、天然に存在するアミノ酸からなるポリアミノ酸が好ましいが、その由来は天然物であっても合成品であってもよい。天然に存在するアミノ酸としては、グルタミン酸、アスパラギン酸、リジンまたはアスパラギンが好ましい。また、アミノ酸はL−体であってもD−体であってもよい。ポリアミノ酸中にL−体とD−体が所定の割合で含まれていてもよい。
天然に存在するアミノ酸からなるポリアミノ酸としては、ポリ(γ−グルタミン酸)、ポリ(α−アスパラギン酸)、ポリ(ε−リジン)、ポリ(α−グルタミン酸)、ポリ(α−リジン)またはポリアスパラギンが好ましい。所期の目的を達成し、ナノ粒子に様々な特性を付与するためには、前記ポリアミノ酸の修飾体、それらの誘導体またはそれらの混合物も本発明の好ましいポリアミノ酸に含まれる。特に好ましいポリアミノ酸は、ポリ(γ−グルタミン酸)、それらの修飾体、それらの誘導体またはそれらの混合物である。
「修飾アミノ酸」、「アミノ酸誘導体」、ポリアミノ酸の「修飾体」および「誘導体」という用語は、当該分野において通常使用される意味を有するものとする。ポリアミノ酸の「修飾体」および「誘導体」の例としては、構成アミノ酸の一部を別のアミノ酸としたもの、構成アミノ酸の利用可能な官能基を用いて修飾したもの等があげられる。具体的には、ポリ(γ−グルタミン酸)のペプチド鎖中に1種またはそれ以上の他のアミノ酸、その修飾体もしくは誘導体を導入したもの、グラフト共重合体となっているもの、またはポリ(ε−リジン)の構成アミノ酸リジンの利用可能なα−位の一部をメチル化したもの等があげられる。
ポリアミノ酸の「混合物」とは、2種以上のアミノ酸を構成成分とするものであり、前記例示したポリアミノ酸、それらの修飾体およびそれらの誘導体を構成するアミノ酸から2種以上選択することが好ましい。
好ましい「修飾体」または「誘導体」の例として、ポリアミノ酸が両親媒化されるように、ポリアミノ酸を修飾または誘導したものがあげられる。例えば、親水性ポリアミノ酸の側鎖に疎水性アミノ酸を導入して、所望の親水性−疎水性のバランスとすることもできる。ポリ(γ−グルタミン酸)とフェニルアラニンエチルエステルのグラフト共重合体であるポリアミノ酸が好適な具体例としてあげられる。かかるポリアミノ酸は、分子内および分子間の疎水性基の会合によりナノ粒子化が容易である点からも好ましい。
ポリアミノ酸は、アミノ酸以外の構成成分、例えば、糖質、脂質等を含んでいてもよい。好ましいポリアミノ酸は、構成成分の50重量%以上がアミノ酸である。
ポリアミノ酸においてすべての構成アミノ酸間の結合は、同一種類のものであってもよく、異なる種類のものであってもよい。例えば、すべての構成アミノ酸がペプチド結合によって結合したものであってもよく、部分的または全体的にペプチド結合以外の結合またはリンカーによりアミノ酸が結合したものであってもよい。ペプチド結合以外の結合としては、エステル結合、エーテル結合等があげられ、リンカーとしては、グルタルアルデヒド、ジイソシアネート等があげられるが、これらに限定されない。さらに、ポリアミノ酸の官能基間において架橋されていてもよい。架橋することにより、ポリアミノ酸の物性を変化させ、所望のアジュバント特性を得ることも可能である。架橋剤としては、カルボジイミド、ジグリシジルエステル等があげられるが、これらに限定されない。
ポリアミノ酸の分子量は、特に限定されるものではないが、所望の粘度や溶解度に応じて変更されうる。分子量は、通常1000〜500万の範囲である。好ましくは5000〜200万の範囲である。前記分子量は、水溶液もしくは有機溶媒中でゲルろ過クロマトグラフィーにより測定された値である。
ポリアミノ酸の製造は、化学合成法、発酵法などの公知の方法を適宜選択して行うことができる。ポリアミノ酸のナノ粒子化は、公知の方法により行うことができる。例えば、液中乾燥法、噴霧乾燥法、球形晶析法、溶媒置換法(沈殿・透析法)、直接超音波分散法を用いることができる。例えば、ポリ(γ−グルタミン酸)またはポリ(ε−リジン)からなる生分解性ナノ粒子は、溶媒置換法により製造することができる。このような方法を適宜選択または組合わせて、生分解性ナノ粒子の材料、構成成分、分子量、サイズ、電荷その他のパラメータを目的に応じたものとすることができる。
本発明は、前記アジュバントおよびインフルエンザウイルス抗原を含有するインフルエンザワクチンを提供する。
本発明においてインフルエンザウイルスとは、オルソミクソウイルス科に属する直径約100nmの粒子サイズを有するRNAエンベロープウイルスであり、内部タンパクの抗原性に基づいて、A、BおよびC型に分けられる。インフルエンザウイルスは、脂質二重層構造を有するウイルスエンベロープに取り囲まれた内部ヌクレオキャプシドまたは核タンパク質と会合したリボ核酸(RNA)のコアと、外部糖タンパク質からなる。ウイルスエンベロープの内層は、主としてマトリックスタンパク質で構成され、外層は大部分が宿主由来脂質物質で構成される。インフルエンザウイルスのRNAは、分節構造をとる。世界中で大流行するインフルエンザは、A型インフルエンザウイルスによるものである。A型は、ヘマグルチニン(HA)およびノイラミニダーゼ(NA)の2種類のエンベロープ糖タンパク質を有し、抗原性の違いによってHAでは16種、NAでは9種の亜型に区別されている。本発明においては、A型インフルエンザウイルスが好ましい。A型インフルエンザウイルスの亜型は、特に限定されず、これまで単離された亜型であっても将来単離される亜型であってもよい。
本発明においてインフルエンザウイルス抗原とは、前記インフルエンザウイルスを構成する種々の成分の少なくとも一部であれば特に限定されるものではなく、精製ウイルス粒子を脂質エンベロープが可溶化されるように有機溶媒/界面活性剤もしくは他の試薬で分解されたサブビリオン、またはHAおよびNAを始めとするウイルスサブユニットでもよく、ウイルス全粒子でもよい。免疫原性の観点から、HAまたは全ウイルス粒子が好ましい。ウイルス全粒子は、ホルマリン等により不活化されたものがより好ましい。
インフルエンザウイルス抗原の調製方法は、特に限定されるものではなく、公知の方法が限定なく使用できる。例えば、インフルエンザ感染動物またはインフルエンザの患者から単離されたウイルス株をニワトリ卵等に感染させて常法により培養し、精製したウイルス原液から抗原を調製してもよい。また、遺伝子工学的に培養細胞中で調製したウイルス由来の抗原を用いてもよい。
本発明のインフルエンザワクチンは、前記インフルエンザウイルス抗原と前記アジュバントとしての生分解性ナノ粒子とが単純に混合された状態で含有されていてもよい(以下、混合ワクチンと称する)。あるいは、本発明のインフルエンザワクチンは、前記インフルエンザウイルス抗原が前記生分解性ナノ粒子内に包含されていてもよく(以下、内包ワクチンと称する)、前記インフルエンザウイルス抗原が前記生分解性ナノ粒子表面に固定されていてもよい(以下、外包ワクチンと称する)。ワクチンに含まれるインフルエンザウイルス抗原は、1種または2種以上を適宜選択して用いることができる。また、複数の亜型に由来する1種の抗原(例、HA)を用いてもよい。
本発明のワクチンに含まれるインフルエンザウイルス抗原と生分解性ナノ粒子との比は、抗原の種類やナノ粒子の特性により一概には規定できないが、例えば、HA抗原とポリ(γ−グルタミン酸)とを用いた場合、重量比で1:1〜1:1000が例示され、好ましくは1:10〜1:500である。
前記混合ワクチンは、インフルエンザウイルス抗原と生分解性ナノ粒子とを所定の割合で溶液中で混合して製造することができる。この場合、抗原と生分解性ナノ粒子は、イオン結合、分子間力による結合、吸着による結合などにより、ワクチン中で互いに結合していてもよいし、単純に混在している状態であっても問題はない。
前記内包ワクチンは、インフルエンザウイルス抗原が生分解性ナノ粒子の内部に包含されるように公知の方法により製造することができる。例えば、ポリ(γ−グルタミン酸)に疎水性アミノ酸を共有結合により導入し、これを有機溶媒に溶解し、次に抗原水溶液に滴下することにより、ナノ粒子化と同時に抗原が当該粒子内に包含され、固定化することができる。
前記外包ワクチンは、インフルエンザウイルス抗原が生分解性ナノ粒子の表面に結合するように公知の方法により製造することができる。例えば、ポリ(γ−グルタミン酸)ナノ粒子の表面に存在するカルボキシ基とタンパク質抗原のアミノ基とを常法により共有結合させることにより、ナノ粒子の表面に抗原を固定化することができる。したがって、本発明においては、外包ワクチンはナノ粒子と抗原とが共有結合しているワクチンを意味し、それ以外の結合様式で抗原がナノ粒子の表面に存在するか、もしくは抗原とナノ粒子が単純に溶液中に混在している状態のワクチンは混合ワクチンである。
本発明のワクチンは、さらに医薬として許容されうる担体を含んでいてもよい。前記医薬として許容されうる担体としては、ワクチンの製造に通常用いられる担体を限定なく使用することができ、具体的には、食塩水、緩衝化食塩水、デキストロース、水、グリセロール、等張水性緩衝液およびそれらの組合せがあげられる。また、これに乳化剤、保存剤(例、チメロサール)、等張化剤、pH調整剤および不活化剤(例、ホルマリン)等が適宜配合される。
本発明のワクチンは、全身に投与されてもよく、局所投与でもよい。全身投与の場合、筋肉内、皮下、皮内、静脈内、腹腔内等への投与があげられ、投与方法としては、注射または点滴などがあげられる。局所投与の場合、鼻腔内、口腔内への投与があげられ、投与方法としては、噴霧、塗布、経口などがあげられる。
本発明のワクチンの投与対象は、特に限定されず、例えば、ヒトを含む哺乳類、鳥類等があげられる。
本発明のワクチンは、ワクチンの投与様式に適合した形態を有することが好ましく、例えば、注射可能な形態として、溶液、懸濁液または乳化液が挙げられる。あるいは、液体溶液、懸濁液または乳化液に供せられる形態として、凍結乾燥製剤等の固体形態が挙げられる。
本発明のワクチンを用いて、インフルエンザを予防またはその症状を軽減することができる。本発明は、有効免疫感作量の本発明のワクチンを対象に投与する工程を含むインフルエンザの予防または軽減方法を提供する。
ワクチンの投与方法としては、前記例示した通りである。投与量は、対象の年齢、性別、体重等を考慮して決められるが、抗原としてHAを用いた場合、通常5μg〜50μgを1回または2回以上投与することができる。好ましくは複数回の投与であり、この場合、1〜4週間の間隔をあけて投与することが好ましい。抗原としてウイルス全粒子を用いた場合、HA換算で投与量を設定すればよい。前記HAの重量は、SRD力価もしくはLowry法により測定した値である。
以下、実施例等により本発明を詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例等により何ら限定されるものではない。
実施例1
ワクチンの製造
精製インフルエンザウイルスとして、A/ニューカレドニア/20/99(H1N1)株の原液(原液番号FTHA K0519、財団法人大阪大学微生物病研究会観音寺研究所)を用いた。前記ウイルス原液中のタンパク質量は、1870μg/mLであり、HAは642μg/mLであった。前記濃度はLowry法とSRD力価より測定した値である。
(1)内包型ワクチンの製造
HA(ウイルス原液の1、2、4または8倍希釈物)のPBS溶液50μLに、0.6M塩化ナトリウム50μLおよび10mg/mLのポリ(γ−グルタミン酸)とフェニルアラニンエチルエステルのグラフト共重合体(J. Control. Release 108, 226 (2005)、Chem. Lett. 33, 398 (2004)、Biomacromolecules 7, 297 (2006)、J. Biomater. Sci. Polym. Ed. 17, 875 (2006))のDMSO液100μLを加え、14500rpm(14000×g)で10分、室温で遠心分離した。得られたペレットに200μLの再蒸留水を加えて前記と同じ条件で遠心分離する操作を2回繰り返し、ペレットを洗浄した。洗浄後のペレットに95μLの再蒸留水および5μLの20xPBSを加え、目的の内包型ワクチン(10mgアジュバント/mL)を得た(粒子径200−400nm)。
(2)外包型ワクチンの製造
20mg/mLのポリ(γ−グルタミン酸)ナノ粒子(粒子径80−300nm、大阪大学大学院工学研究科教授、明石満博士により製造、製法:J. Control. Release 108, 226 (2005)、Chem. Lett. 33, 398 (2004)、Biomacromolecules 7, 297 (2006)、J. Biomater. Sci. Polym. Ed. 17, 875 (2006))の20mMリン酸緩衝液(pH5.8)50μLに、2mg/mLのWSC(1-エチル-3-(3-ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド(水溶性カルボジイミド))の20mMリン酸緩衝液(pH5.8)50μLを加え、室温で20分静置した後、14500rpm(14000×g)で10分遠心分離した。得られたペレットに100μLの再蒸留水および100μLのHA(ウイルス原液の1、2、4または8倍希釈物)を加え、4℃で一晩放置した。次いで、14500rpm(14000×g)で10分室温で遠心分離し、ナノ粒子を回収した。得られたペレットに95μLの再蒸留水および5μLの20xPBSを加え、目的の外包型ワクチン(10mgアジュバント/mL)を得た。
(3)混合型ワクチンの製造
20mg/mLのポリ(γ−グルタミン酸)ナノ粒子(粒子径150−300nm、大阪大学大学院工学研究科教授、明石満博士より製造、製法:J. Control. Release 108, 226 (2005)、Chem. Lett. 33, 398 (2004)、Biomacromolecules 7, 297 (2006)、J. Biomater. Sci. Polym. Ed. 17, 875 (2006))含有PBS懸濁液25μLに、4μLのHA(ウイルス原液)とPBSを1mLを加えて数分間ゆるやかに攪拌することによって、目的の混合型ワクチン(HA7.5μg,アジュバント500μg/mL溶液)を得た。
実施例2
インフルエンザワクチンの免疫原性
実施例1で製造したインフルエンザHAワクチンを用いて、ポリ(γ−グルタミン酸)(γ-PGA)のアジュバント効果を、HAに対する免疫原性を増強し得るか否かの観点から、下記(1)〜(3)について検討した。
マウスの免疫方法
マウス(BALB/c 4週齢、雌)を以下の6グループ(一群5〜8匹)に分け、皮下注射によりワクチンまたは抗原を投与した。対照群は、PBSを皮下注射した。
i)PBSを皮下注射
ii)HA(1.5μg)を皮下注射
iii)Al(OH) (100μg) + HA(1.5μg)を皮下注射
iv)内包型γ-PGA(100μg) + HA(1.5μg)を皮下注射
v)外包型 γ-PGA(100μg) + HA(1.5μg)を皮下注射
vi)混合型γ-PGA(100μg) + HA(1.5μg)を皮下注射
免疫スケジュールは、下記の通りであった。
0日目 BALB/c (4週齢、雌)に初回免疫
7日目 2回目免疫
14日目 血液、脾臓回収
(1)HA免疫後のマウスリンパ球のHA再刺激に対する増殖活性の変化
上記免疫スケジュールで免疫したマウスの脾臓を摘出し、脾臓単核球を採取した。前記単核球を5%FBS含有RPMI−1640培地に2.5x10cells/mLの濃度となるように懸濁し、96穴プレートに200μLずつ細胞懸濁液を分注した。抗原刺激は、96穴プレート中の単核球に各種濃度のHA液(1μg/mL−10ng/mL)を加えて3日間培養(37℃、5%CO下)することにより行った。次いで、96穴プレートにH-TdR(0.5μCi/well)を添加して18時間培養を続け、セルハーベスターにて細胞を採取し、抗原刺激した単核球へのH-TdRの取り込み量を液体シンチレーションカウンターにて測定した(図1)。
図1より、HA抗原をγ-PGAともに動物に皮下接種した場合、Al(OH)とともに接種した場合と同レベルのHA特異的リンパ球の増殖反応を増強または誘導することがわかった。
(2)HI活性の変化(抗ウイルス血清によるヘマグルチニンの赤血球凝集に対する抑制)
上記免疫スケジュールで免疫したマウスの血液を採取し、血清を分離した。前記血清をReceptor destroying enzyme (RDE) で処理し、生理食塩水で2.5倍に希釈した。希釈した血清に血球を入れ、血清中の非特異的凝集反応因子を処理した後、4HA/25μLのウイルス抗原を添加し、室温にて30分反応させ、次いで、ニワトリ赤血球液を添加し、室温で40分反応させ、凝集能を判定した(図2)。
図2より、HA抗原をγ-PGAともに動物に皮下接種した場合、HAに対する抗体産生を増強させることができることがわかった。HAに対する抗体産生能は、HA抗原をAl(OH)3とともに皮下接種した場合の方が高かった。
(3)CTL誘導の変化
1)CTLの調製
上記免疫スケジュールで免疫したマウスの脾臓を摘出し、脾臓単核球を2x10 cells 取りだし、遠沈管にてインフルエンザウイルス(10−20 PFU/Cell/0.2 mL 無血清RPMI−1640)を60分感染させた。感染細胞を洗浄し、新たに5mL 5%FBS含有 RPMI−1640を添加し、3時間おき、上清を除去した。25cmカルチャーフラスコに2x10cellsの感染細胞と5 x 10 cellsの脾臓細胞を加え、5% FBS、10 mM HEPES、5 x 10−5M β−メルカプトエタノール(β−ME)、100 U/mL ペニシリン、100 μg/mLストレプトマイシン、0.03% グルタミン含有RPMI−1640培地10 mLにて培養した。
培養6日後に生細胞を回収し(Ficoll-paque 1.078, 490×g, 30分, 室温下での比重遠心による)、5%FBS含有RPMI−1640培地にて10cells /mLに調製し、CTLとした。
2)標的細胞の調製
10cellsのP815細胞に、インフルエンザウイルス10 PFU/cellを1時間感染させた。次いで、前記細胞を無血清MEM培地で3回洗浄した。完全RPMI−1640培地(10% FBS、10mM HEPES、5 x 10−5M β−ME、100 U/mLペニシリン、100μg/mLストレプトマイシン、0.03%グルタミン含有)にて10cells/100μLになるように調製した。
3)細胞傷害試験
96穴マルチプレート(丸底)の左側3−12行に完全RPMI−1640培地を100μLずつ分注し、次に、96穴マルチプレート(丸底)の左2行にエフェクターCTL懸濁液を150μLずつ分注した。3倍希釈法により2wellずつ希釈し、希釈系列を作製した。
各wellに標的細胞100μLずつ分注し、4時間培養した(37℃、5% CO下)。培養終了45分前にTarget 100% killing sample(標的細胞だけのサンプル8wellのうちの左半分)とVolume correction control(培地だけ入っている8wellのうちの左半分)に溶解溶液を1/10量を入れた。培養終了後、遠心機で250 x gで4分間遠心分離し、各サンプル50μLずつ新しい96穴平底マルチプレートに移した。
Cytotox96のアッセイバッファーを37℃水浴中で融解し、遮光下で基質混合液とあわせてよく混ぜた。混合液50μLずつを上記96穴平底プレートに入っているサンプルに入れた後、37℃で30分培養した。次いで、前記プレートに停止溶液を50μLずつ入れて反応を停止した。490nmで吸光度を測定した(図3)。
図3より、HA抗原をγ-PGAともに動物に接種した場合、LDH法で見られがちである非特異的な細胞傷害反応が高いために有意差がみられなかったものの、γ−PGAによるインフルエンザ感染細胞特異的な細胞傷害性の増強の傾向がみられた。
4)IFN-γ ELISPOTアッセイ
Cytoscreen 96穴プレートに抗IFN-γ抗体(クローンRA-6A2, 5μg/mL)を100μLずつ分注し、4℃で一晩被覆した。次いで、前記プレートをPBSにて4回洗浄し、10% FBS含有RPMI−1640培地を200μLずつ入れ、37℃で1時間ブロッキングした。ブロッキング終了後、培地を除去し、前記CTLアッセイと同じ要領で作製したエフェクター細胞(2 x 10, 10, 5 x 10, 2.5 x 10cells)と標的細胞(P815細胞に1 FFU/cellの割合でウイルス感染させたもの、10cells)を入れて、37℃、5% CO下で24時間培養した。プレートを6回洗浄(PBS-0.1%Tween20)し、ビオチン結合抗IFN-γ抗体(クローンXMG-1.2)を10% FBS-PBS-0.1%Tween20で抗体濃度を1μg/mLに希釈したうえで100μLずつ播いて、室温下で2時間反応させた。プレートを5回洗浄(PBS-0.1%Tween 20)し、HRP−ストレプトアビジン(1:800希釈)を100μLずつ播いて、室温下で1時間反応させた。プレートを5回洗浄(PBS-0.1%Tween20)し、TMB−Hで発色させ(15分〜30分)、細胞傷害性T細胞から産生されるIFN-γのスポット数をカウントした(図4)。
図4より、HA抗原をγ-PGAともに動物に2回皮下接種した場合、Al(OH)3とともに皮下注射した場合と比べて、IFN-γ産生する感染細胞特異的細胞傷害性T細胞数が増加することが示され、図3に示したγ-PGA添加による細胞傷害性T細胞活性増強の傾向を支持する結果となった。これらのことから、γ-PGAは、Al(OH)3よりもはるかに強力な細胞傷害反応を誘導することがわかる。
γ−PGAナノ粒子をアジュバントとしてHAワクチンに用いることによりHA単独の場合と比べて有意に高いHI抗体価とHA刺激に対する細胞増殖活性を示した。特にHAワクチンとγ−PGAナノ粒子を混合した標品を免疫した場合でのHI抗体価、HA刺激に対する細胞増殖活性および、インフルエンザ感染細胞特異的な細胞傷害性T細胞誘導能は、HAワクチンと水酸化アルミニウムを混合した場合と比べて高い傾向を示した。以上の結果より、γ−PGAナノ粒子はHAと混合することによって、HA抗原に対する体液性および細胞性免疫の誘導を増強させる新しいタイプのアジュバントとして有用である可能性が示唆された。
本発明のインフルエンザウイルス用アジュバントによると、従来のアジュバントでは達成できなかった細胞性免疫をも誘導することが可能である。本発明のインフルエンザワクチンによると、体液性免疫と細胞性免疫とに有効に作用し、少ない抗原量でインフルエンザ感染を有意に予防することができる。
本出願は、日本で出願された特願2006−271273(出願日:2006年10月2日)を基礎としており、それらの内容は本明細書に全て包含される。

Claims (28)

  1. ポリアミノ酸を主成分とする生分解性ナノ粒子からなるインフルエンザワクチン用アジュバント。
  2. ポリアミノ酸が、ポリ(γ−グルタミン酸)、ポリ(α−アスパラギン酸)、ポリ(ε−リジン)、ポリ(α−グルタミン酸)、ポリ(α−リジン)、ポリアスパラギン、それらの修飾体、それらの誘導体およびそれらの混合物からなる群より選ばれるものである請求項1に記載のアジュバント。
  3. ポリアミノ酸が、ポリ(γ−グルタミン酸)、それらの修飾体、それらの誘導体およびそれらの混合物からなる群より選ばれるものである請求項2に記載のアジュバント。
  4. ポリアミノ酸が両親媒化されている、請求項1〜3いずれかに記載のアジュバント。
  5. ポリアミノ酸がポリ(γ−グルタミン酸)とフェニルアラニンエチルエステルのグラフト共重合体である、請求項4に記載のアジュバント。
  6. インフルエンザウイルス抗原、および請求項1〜5いずれかに記載のアジュバントを含有しているインフルエンザワクチン。
  7. インフルエンザウイルス抗原が生分解性ナノ粒子に内包されている、請求項6に記載のインフルエンザワクチン。
  8. インフルエンザウイルス抗原が生分解性ナノ粒子表面に固定されている、請求項6に記載のインフルエンザワクチン。
  9. インフルエンザウイルス抗原と生分解性ナノ粒子とが混合されている、請求項6に記載のインフルエンザワクチン。
  10. インフルエンザウイルス抗原がHA分子である、請求項6〜9いずれかに記載のインフルエンザワクチン。
  11. インフルエンザウイルス抗原がウイルス全粒子である、請求項6〜9いずれかに記載のインフルエンザワクチン。
  12. インフルエンザワクチンの製造のための、インフルエンザウイルス抗原、およびポリアミノ酸を主成分とする生分解性ナノ粒子からなるアジュバントの使用。
  13. ポリアミノ酸が、ポリ(γ−グルタミン酸)、ポリ(α−アスパラギン酸)、ポリ(ε−リジン)、ポリ(α−グルタミン酸)、ポリ(α−リジン)、ポリアスパラギン、それらの修飾体、それらの誘導体およびそれらの混合物からなる群より選ばれるものである請求項12に記載の使用。
  14. ポリアミノ酸が、ポリ(γ−グルタミン酸)、それらの修飾体、それらの誘導体およびそれらの混合物からなる群より選ばれるものである請求項13に記載の使用。
  15. ポリアミノ酸が両親媒化されている、請求項12〜14いずれかに記載の使用。
  16. ポリアミノ酸がポリ(γ−グルタミン酸)とフェニルアラニンエチルエステルのグラフト共重合体である、請求項15に記載の使用。
  17. インフルエンザウイルス抗原が生分解性ナノ粒子に内包されている、請求項12に記載の使用。
  18. インフルエンザウイルス抗原が生分解性ナノ粒子表面に固定されている、請求項12に記載の使用。
  19. インフルエンザウイルス抗原と生分解性ナノ粒子とが混合されている、請求項12に記載の使用。
  20. インフルエンザウイルス抗原がHA分子である、請求項12〜19いずれかに記載の使用。
  21. インフルエンザウイルス抗原がウイルス全粒子である、請求項12〜19いずれかに記載の使用。
  22. インフルエンザウイルス抗原、およびポリアミノ酸を主成分とする生分解性ナノ粒子からなるアジュバントを含有しているインフルエンザワクチンの有効量を対象に投与することを含む、インフルエンザの予防または軽減方法。
  23. インフルエンザウイルス抗原が生分解性ナノ粒子に内包されている、請求項22に記載の方法。
  24. インフルエンザウイルス抗原が生分解性ナノ粒子表面に固定されている、請求項22に記載の方法。
  25. インフルエンザウイルス抗原と生分解性ナノ粒子とが混合されている、請求項22に記載の方法。
  26. インフルエンザウイルス抗原がHA分子である、請求項22〜25いずれかに記載の方法。
  27. インフルエンザウイルス抗原がウイルス全粒子である、請求項22〜25いずれかに記載の方法。
  28. 請求項6〜11いずれかに記載のインフルエンザワクチン、および当該ワクチンをインフルエンザの予防または軽減のために使用し得るか、または使用すべきであることを記載した書類を含む商業的パッケージ。
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