JPWO2008015726A1 - 帯域拡張装置及び方法 - Google Patents

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Abstract

帯域拡張装置(1)は、入力信号(x(n))をアップサンプリングした後に低域通過フィルタを通過させることで、ベースバンド信号(xB(n))を生成する第1生成手段(111、121)と、ベースバンド信号のうちの所定の帯域の信号成分である帯域制限信号(xb(n))と、該帯域制限信号の位相を略π/2移相させた信号である移相信号(xh(n))とに基づいて高域信号(xH(n))を生成する第2生成手段(21)と、高域信号をベースバンド信号に加算することで出力信号(xE(n))を生成する第3生成手段(141)とを備える。

Description

本発明は、例えばオーディオ信号等の入力信号の帯域を拡張する帯域拡張装置及び方法の技術分野に関する。
デジタルオーディオ信号の帯域を拡張する技術として、入力されるデジタルオーディオ信号に対して所定の非線形処理を加えることで、入力されるデジタルオーディオ信号よりも高域の信号成分を生成する技術が知られている(特許文献1及び非特許文献1参照)。例えば特許文献1に開示されている技術では、入力されるデジタルオーディオ信号の絶対値を取る全波整流を行うことで、入力されるデジタルオーディオ信号よりも高域の信号成分を生成している。
特開2003−317395号公報 Ronald M.Aarts and Erik Larsen and Daniel Schobben、"IMPROVING PERCEIVED BASS AND RECONSTRUCTION OF HIGH FREQUENCIES FOR BAND LIMITED SIGNALS"、Proc. 1st IEEE Benelux Workshop on Model based Processing and Coding of Audio (MPCA-2002)、Belgium、November 15, 2002、p59-71
しかしながら、上述の如く入力されるデジタルオーディオ信号に対して所定の非線形処理を加えると、本来生成したい2倍音成分や和音成分の他に、直流成分や差音成分も同時に生成されてしまう。更には、入力されるデジタルオーディオ信号と調波関係にない信号成分も同時に生成されてしまう。これらの不要な信号成分が含まれる信号から本来生成したい2倍音成分や和音成分を抽出しようとすれば、大きな減衰量と急峻な遮断特性を有する高域通過フィルタが必要とされる。しかしながら、このような特性を有する高域通過フィルタは、その回路規模(言い換えれば、演算量)が大きくなりかねない。
本発明は、例えば上述した従来の問題点に鑑みなされたものであり、例えば入力信号の帯域をより適切に拡張することを可能とならしめる帯域拡張装置及び方法を提供することを課題とする。
上記課題を解決するために、請求の範囲第1項に記載の帯域拡張装置は、入力信号をアップサンプリングした後に低域通過フィルタを通過させることで、ベースバンド信号を生成する第1生成手段と、前記ベースバンド信号のうちの所定の帯域の信号成分である帯域制限信号と、該帯域制限信号の位相を略π/2移相させた信号である移相信号とに基づいて、前記入力信号に対応する信号成分であって、且つ前記入力信号よりも高域側の信号成分である高域信号を生成する第2生成手段と、前記高域信号を前記ベースバンド信号に加算することで出力信号を生成する第3生成手段とを備える。
上記課題を解決するために、請求の範囲第13項に記載の帯域拡張方法は、入力信号をアップサンプリングした後に低域通過フィルタを通過させることで、ベースバンド信号を生成する第1生成工程と、前記ベースバンド信号のうちの所定の帯域の信号成分である帯域制限信号と、該帯域制限信号の位相を略π/2移相させた信号である移相信号とに基づいて、前記入力信号に対応する信号成分であって、且つ前記入力信号よりも高域側の信号成分である高域信号を生成する第2生成工程と、前記高域信号を前記ベースバンド信号に加算することで出力信号を生成する第3生成工程とを備える。
本発明の作用及び他の利得は次に説明する実施の形態から明らかにされよう。
本発明の帯域拡張装置に係る第1実施例の基本構成を概念的に示すブロック図である。 第1実施例に係る帯域拡張装置における動作に関連する入力信号、ベースバンド信号及び帯域制限信号の夫々のスペクトルを概念的に示すスペクトル図である。 第1実施例に係る帯域拡張装置における動作に関連する高域信号及び帯域拡張信号の夫々のスペクトルを概念的に示すスペクトル図である。 利得算出回路のより具体的な構成を概念的に示すブロック図である。 ベースバンド信号のスペクトル図である。 図5に示すベースバンド信号より生成される帯域拡張信号のスペクトル図である。 帯域制限信号のスペクトル図である。 図7に示す帯域制限信号より生成される高域信号のスペクトル図である。 比較例に係る帯域拡張装置の動作により、図7に示す帯域制限信号が全波整流された後の信号のスペクトル図である。 本発明の帯域拡張装置に係る第2実施例の基本構成を概念的に示すブロック図である。 本発明の帯域拡張装置に係る第3実施例の基本構成を概念的に示すブロック図である。 第3実施例に係る帯域拡張装置における動作に関連する入力信号、ベースバンド信号及び帯域抽出回路において抽出される信号成分の夫々のスペクトルを概念的に示すスペクトル図である。 ハニング窓が掛け合わせられたブロックを概念的に示す説明図である。 上端周波数の決定動作を概念的に示すスペクトル図である。 第3実施例に係る帯域拡張装置における動作に関連する高域信号及び帯域拡張信号の夫々のスペクトルを概念的に示すスペクトル図である。 図7に示す帯域制限信号より生成される高域信号のスペクトル図である。 本発明の帯域拡張装置に係る第4実施例の基本構成を概念的に示すブロック図である。 本発明の帯域拡張装置に係る第5実施例の基本構成を概念的に示すブロック図である。 帯域拡張装置を各種製品に適用した場合の構成を概念的に示すブロック図である。
符号の説明
1、2、3、4、5 帯域拡張装置
111、112 アップサンプリング回路
121、122 LPF
131、162 遅延回路
141、142 加算回路
151 BPF
173 ブロック化回路
183 窓掛回路
21、23 高域信号生成回路
211 遅延回路
212 HTF
213 乗算器
214 利得算出回路
215 利得調整回路
231 平方根窓掛回路
232、234 FFT回路
233 帯域抽出回路
235 上端周波数決定回路
236 解析信号生成回路
以下、発明を実施するための最良の形態として、本発明の帯域拡張装置及び方法に係る実施形態の説明を進める。
(帯域拡張装置の実施形態)
本発明の帯域拡張装置の実施形態は、入力信号をアップサンプリングした後に低域通過フィルタを通過させることで、ベースバンド信号を生成する第1生成手段と、前記ベースバンド信号のうちの所定の帯域の信号成分である帯域制限信号と、該帯域制限信号の位相を略π/2移相させた信号である移相信号とに基づいて、前記入力信号に対応する信号成分であって、且つ前記入力信号よりも高域側の信号成分である高域信号を生成する第2生成手段と、前記高域信号を前記ベースバンド信号に加算することで出力信号を生成する第3生成手段とを備える。
本発明の帯域拡張装置に係る実施形態によれば、第1生成手段の動作により、入力信号は、サンプリング周波数がアップサンプリングされ、その後、低域通過フィルタを通過する。これにより、入力信号から、ベースバンド信号が生成される。
その後、第2生成手段の動作により、ベースバンド信号のうちの所定の帯域の信号成分(より具体的には、高域信号を生成するための素になる帯域の信号成分)である帯域制限信号と、この帯域制限信号の位相を略π/2移相させた信号である移相信号とから、入力信号と調波関係を有し且つ入力信号の周波数よりも高域側の周波数(より具体的には、例えば入力信号の周波数成分の2倍音成分や和音成分等)を有している高域信号が生成される。
その後、第3生成手段の動作により、生成された高域信号がベースバンド信号に加算されることで、入力信号の帯域を高域側に拡張した信号である出力信号が生成される。
このように、本実施形態に係る帯域拡張装置によれば、入力信号の帯域を拡張することができる。特に、帯域制限信号と該帯域制限信号の位相をπ/2移相させた移相信号とを用いて高域信号を生成しているため、後に数式を用いて詳細に説明するが、入力信号と調波関係を有し且つ入力信号の周波数よりも高域側の周波数を有している高域信号を好適に生成することができる。言い換えれば、帯域制限信号と該帯域制限信号の位相をπ/2移相させた移相信号とを用いて高域信号を生成しているため、入力信号と調波関係を有していない又は帯域制限信号の周波数よりも低域側の周波数(より具体的には、例えば帯域制限信号の周波数成分の差音成分等)を有している若しくは直流の信号成分を殆ど或いは全く含まないような高域信号を生成することができる。これにより、高域信号を生成するために、入力信号と調波関係を有していない又は帯域制限信号の周波数よりも低域側の周波数を有している若しくは直流の信号成分を除去する必要がなくなるため、帯域拡張装置の構成(例えば、回路構成や動作等)を相対的に簡略化することができる。つまり、本発明の帯域拡張装置に係る実施形態によれば、相対的に簡易に且つ適切に入力信号の帯域を拡張することができる。
本発明の帯域拡張装置に係る実施形態の一の態様は、前記第2生成手段は、前記帯域制限信号と前記移相信号とを乗算することで乗算信号を生成する乗算手段を備え、前記第2生成手段は、前記乗算信号に基づいて、前記高域信号を生成する。
この態様によれば、帯域制限信号と該帯域制限信号の位相をπ/2移相させた移相信号とを乗算することにより高域信号を生成しているため、入力信号と調波関係を有し且つ入力信号の周波数よりも高域側の周波数を有している高域信号を好適に生成することができる。
より具体的には、例えば帯域制限信号xがAsin(n)+Bsin(n)で示されるとすると、該帯域制限信号の位相をπ/2移相させた移相信号yはAcos(n)+Bcos(n)で示される。ここで、帯域制限信号と移相信号とを乗算すると、乗算信号xyは、Asin(2n)/2+ABsin(n+n)+Bsin(2n)/2にて示される。つまり、乗算信号には、入力信号と調波関係を有し且つ入力信号の周波数よりも高域側の周波数を有している信号成分が含まれており、入力信号と調波関係を有していない又は帯域制限信号の周波数よりも低域側の周波数を有している若しくは直流の信号成分は含まれていない。これにより、入力信号と調波関係を有し且つ入力信号の周波数よりも高域側の周波数を有している高域信号を、乗算信号に基づいて好適に生成することができる。
上述の如く第2生成手段が乗算手段を備える帯域拡張装置の態様では、前記第2生成手段は、前記帯域制限信号のエンベロープ値に応じて前記乗算信号の利得を調整することで前記高域信号を生成するように構成してもよい。
このように構成すれば、高域信号の振幅のレベルを、元のベースバンド信号(或いは、入力信号)の振幅のレベルと適合させることができる。具体的には、上述の如く、高域信号が帯域制限信号と移相信号との乗算結果より生成されていることから、高域信号の振幅のレベルは、元のベースバンド信号(或いは、入力信号)の振幅のレベルの2乗のオーダーになっている。このため、帯域制限信号のエンベロープ値に応じて高域信号の利得を調整することで、高域信号の振幅のレベルを、元のベースバンド信号(或いは、入力信号)の振幅のレベルと適合させることができる。
本発明の帯域拡張装置に係る実施形態の他の態様は、前記第2生成手段は、前記帯域制限信号に対してヒルベルト変換処理を施すことで前記移相信号を生成するヒルベルト変換手段を更に備える。
この態様によれば、ヒルベルト変換手段の動作により、比較的容易に移相信号を生成することができる。
上述の如くヒルベルト変換手段を備える帯域拡張装置の態様では、前記第2生成手段は、前記帯域制限信号に対して、前記移相信号の生成に要する時間に相当する遅延を加える第1遅延手段を更に備え、前記第2生成手段は、前記移相信号の生成に要する時間に相当する遅延が加えられた前記帯域制限信号と前記移相信号とに基づいて、前記高域信号を生成するように構成してもよい。
このように構成すれば、移相信号の生成に要する時間(つまり、ヒルベルト変換処理を行う時間)の遅延が帯域制限信号に加えられるため、ヒルベルト変換処理を行ったとしても、同一の時間に対応する帯域制限信号と移相信号とを乗算することができる。つまり、ある時間における帯域制限信号と、該ある時間における帯域信号に対してヒルベルト変換処理が行われることで生成される移相信号とを乗算することができる。これにより、移相信号の生成に要する時間の遅延による影響を排除することができる。
上述の如くヒルベルト変換手段を備える帯域拡張装置の態様では、前記ベースバンド信号に対して、前記第2生成手段による前記高域信号の生成に要する時間に相当する遅延を加える第2遅延手段を更に備え、前記第3生成手段は、前記高域信号を、前記第2生成手段による前記高域信号の生成に要する時間に相当する遅延が加えられた前記ベースバンド信号に加算するように構成してもよい。
このように構成すれば、高域信号の生成に要する時間の遅延がベースバンド信号に加えられるため、ベースバンド信号に対して、該ベースバンド信号と同一の時間に対応する高域信号を加算することができる。つまり、ある時間におけるベースバンド信号に対して、該ある時間におけるベースバンド信号に対応して生成される高域信号を加算することができる。これにより、高域信号の生成に要する時間の遅延による影響を排除することができる。
上述の如くヒルベルト変換手段を備える帯域拡張装置の態様では、前記所定の帯域は、前記入力信号の上限周波数の1/2から前記アップサンプリングされる前の前記入力信号のサンプリング周波数の1/2までの範囲の帯域であるように構成してもよい。
このように構成すれば、入力信号の上限周波数の1/2からアップサンプリングされる前の入力信号のサンプリング周波数の1/2までの範囲の帯域の信号成分である帯域制限信号を用いて、高域信号を好適に生成することができる。
本発明の帯域拡張装置に係る実施形態の他の態様は、前記第2生成手段は、前記ベースバンド信号に対してフーリエ変換処理を施すことでフーリエ変換信号を生成するフーリエ変換手段と、前記フーリエ変換信号の信号レベルが急激に減少する周波数を上端周波数として決定する決定手段と、前記フーリエ変換信号のうち前記上端周波数に応じて規定される帯域の信号成分のレベルが増大し、且つ前記フーリエ変換信号のうち前記上端周波数に応じて規定される帯域の信号成分以外の信号成分のレベルが0になるように前記フーリエ変換信号のレベルを変更する変更手段と、前記変更手段により前記レベルが変更された前記フーリエ変換信号に対して逆フーリエ変換処理を施すことで解析信号を生成する逆フーリエ変換手段とを更に備え、前記第2生成手段は、前記解析信号の実数部成分を前記帯域制限信号とし、且つ前記解析信号の虚数部成分を前記移相信号として、前記高域信号を生成する。
この態様によれば、フーリエ変換手段の動作により、ベースバンド信号に対してフーリエ変換処理が行われる。その結果、フーリエ変換信号が生成される。その後、決定手段の動作により、生成されるフーリエ変換信号に基づいて、フーリエ変換信号の信号レベルが急激に減少する周波数である上端周波数が決定される。その後、変更手段の動作により、フーリエ変換信号のうち上端周波数に応じて規定される帯域の信号成分のレベルが増大するように、フーリエ変換信号のレベルが変更される。同様に、変更手段の動作により、フーリエ変換信号のうち上端周波数に応じて規定される帯域の信号成分以外の信号成分のレベルが0になるように、フーリエ変換信号のレベルが変更される。その後、逆フーリエ変換処理の動作により、変更手段によりそのレベルが変更されたフーリエ変換信号に対して逆フーリエ変換処理が施される。その結果、解析信号が生成される。
逆フーリエ変換処理の結果生成される解析信号は、変更手段によるフーリエ変換信号のレベルの変更に起因して、実数部成分が上述した帯域制限信号に相当し、虚数部成分が上述した移相信号に相当している。このため、第2生成手段は、実数部成分を上述した帯域制限信号として扱い、且つ虚数部成分を上述した移相信号として扱うことで、高域信号を生成することができる。
このように、フーリエ変換処理及び逆フーリエ変換処理によりベースバンド信号を周波数領域において取り扱っても、上述したヒルベルト変換手段のようにベースバンド信号を時間領域において取り扱う態様と同様に、高域信号を好適に生成することができる。
特に、帯域制限信号として扱われる解析信号の実数部成分及び移相信号として扱われる解析信号の虚数部成分の帯域は、決定手段の動作により適宜決定される上端周波数に応じて規定されている。従って、入力されるベースバンド信号(言い換えれば、入力信号)の上限周波数に単純に依存することなく、入力されるベースバンド信号に応じて適応的に(具体的には、例えば、入力されるベースバンド信号との連続性を維持しながら)高域信号を生成することができる。
上述の如くフーリエ変換手段等を備える帯域拡張装置の態様では、前記変更手段は、前記フーリエ変換信号のうち前記上端周波数の1/2から前記アップサンプリングされる前の前記入力信号のサンプリング周波数の1/2までの範囲の帯域の信号成分のレベルが増大し、且つ前記フーリエ変換信号のうち前記上端周波数の1/2から前記アップサンプリングされる前の前記入力信号のサンプリング周波数の1/2までの範囲の帯域の信号成分以外の信号成分のレベルが0になるように前記フーリエ変換信号のレベルを変更するように構成してもよい。
このように構成すれば、入力されるベースバンド信号に応じて適応的に(具体的には、例えば入力されるベースバンド信号との連続性を維持しながら)高域信号を生成することができる。
上述の如くフーリエ変換手段を備える帯域拡張装置の態様では、前記ベースバンド信号を、複数のブロックであって且つ前記複数のブロックの夫々の一部が隣接するブロックと重複する複数のブロックに分割する分割手段と、前記複数のブロックに分割されたベースバンド信号に対して、ハニング窓を用いた窓掛け処理を施す第1窓掛け手段とを更に備え、前記第2生成手段は、前記複数のブロックに分割されたベースバンド信号に対して、ハニング窓の平方根を用いた窓掛け処理を施す第2窓掛け手段とを更に備え、前記フーリエ変換手段は、前記ハニング窓を用いた前記窓掛け処理が施された前記ベースバンド信号及び前記ハニング窓の平方根を用いた前記窓掛け処理が施された前記ベースバンド信号の夫々に前記フーリエ変換処理を施し、前記決定手段は、前記ハニング窓を用いた前記窓掛け処理が施された前記ベースバンド信号に対して前記フーリエ変換処理が施されることで生成される前記フーリエ変換信号の信号レベルが急激に減少する周波数を上端周波数として決定し、前記変更手段は、前記ハニング窓の平方根を用いた前記窓掛け処理が施された前記ベースバンド信号に対して前記フーリエ変換処理が施されることで生成される前記フーリエ変換信号のうち、前記上端周波数に応じて規定される帯域の信号成分のレベルが増大し、且つ前記ハニング窓の平方根を用いた前記窓掛け処理が施された前記ベースバンド信号に対して前記フーリエ変換処理が施されることで生成される前記フーリエ変換信号のうち、前記上端周波数に応じて規定される帯域の信号成分以外の信号成分のレベルが0になるように前記フーリエ変換信号のレベルを変更するように構成してもよい。
このように構成すれば、ベースバンド信号が、夫々の一部が隣接するブロックと重複する複数のブロックに分割されると共に、ハニング窓を用いた窓掛け処理が行われる。このため、フーリエ変換処理が施されたベースバンド信号(つまり、フーリエ変換信号)に対して逆フーリエ変換処理を施した場合において、元のベースバンド信号を歪みなく再現することができる。
上述の如くフーリエ変換手段等を備える帯域拡張装置の態様では、前記ベースバンド信号を、複数のブロックであって且つ前記複数のブロックの夫々の一部が隣接するブロックと重複する複数のブロックに分割する分割手段を更に備え、前記第2生成手段は、前記複数のブロックに分割されたベースバンド信号に対して、ハニング窓の平方根を用いた窓掛け処理を施す窓掛け手段を更に備え、前記フーリエ変換手段は、前記ハニング窓の平方根を用いた前記窓掛け処理が施された前記ベースバンド信号の夫々に前記フーリエ変換処理を施し、前記決定手段は、前記ハニング窓の平方根を用いた前記窓掛け処理が施された前記ベースバンド信号に対して前記フーリエ変換処理が施されることで生成される前記フーリエ変換信号の信号レベルが急激に減少する周波数を上端周波数として決定し、前記変更手段は、前記ハニング窓の平方根を用いた前記窓掛け処理が施された前記ベースバンド信号に対して前記フーリエ変換処理が施されることで生成される前記フーリエ変換信号のうち、前記上端周波数に応じて規定される帯域の信号成分のレベルが増大し、且つ前記ハニング窓の平方根を用いた前記窓掛け処理が施された前記ベースバンド信号に対して前記フーリエ変換処理が施されることで生成される前記フーリエ変換信号のうち、前記上端周波数に応じて規定される帯域の信号成分以外の信号成分のレベルが0になるように前記フーリエ変換信号のレベルを変更するように構成してもよい。
このように構成すれば、ベースバンド信号が、夫々の一部が隣接するブロックと重複する複数のブロックに分割されると共に、ハニング窓を用いた窓掛け処理が行われる。このため、フーリエ変換処理が施されたベースバンド信号(つまり、フーリエ変換信号)に対して逆フーリエ変換処理を施した場合において、元のベースバンド信号を歪みなく再現することができる。
本発明の帯域拡張装置に係る実施形態の他の態様は、前記第2生成手段を複数備えており、前記複数の第2生成手段のうちの一の第2生成手段は、前記複数の第2生成手段のうち当該一の第2生成手段以外の第2生成手段の少なくとも1つにより生成される前記高域信号と該高域信号の位相を略π/2移相させた信号とに基づいて、新たな高域信号を生成する。
この態様によれば、第2生成手段により生成された高域信号に基づいて、他の第2生成手段の動作により、該高域信号よりも更に高域側の信号成分を含む新たな高域信号を生成することができる。つまり、第2生成手段を多段的に組み合わせることができるため、入力信号の帯域をより広く拡張することができる。
(帯域拡張方法の実施形態)
本発明の帯域拡張方法に係る実施形態は、入力信号をアップサンプリングした後に低域通過フィルタを通過させることで、ベースバンド信号を生成する第1生成工程と、前記ベースバンド信号のうちの所定の帯域の信号成分である帯域制限信号と、該帯域制限信号の位相を略π/2移相させた信号である移相信号とに基づいて、前記入力信号に対応する信号成分であって、且つ前記入力信号よりも高域側の信号成分である高域信号を生成する第2生成工程と、前記高域信号を前記ベースバンド信号に加算することで出力信号を生成する第3生成工程とを備える。
本発明の帯域拡張方法に係る実施形態によれば、上述した本発明の帯域拡張装置に係る実施形態が享受する効果と同様の効果を享受することができる。
尚、上述した本発明の帯域拡張装置に係る実施形態における各種態様に対応して、本発明の帯域拡張方法に係る実施形態も各種態様を採ることが可能である。
本実施形態のこのような作用及び他の利得は次に説明する実施例から更に明らかにされよう。
以上説明したように、本発明の帯域拡張装置に係る実施形態によれば、第1生成手段と、第2生成手段と、第3生成手段とを備える。本発明の帯域拡張方法に係る実施形態によれば、第1生成工程と、第2生成工程と、第3生成工程とを備える。従って、入力信号の帯域をより適切に拡張することができる。
以下、本発明の実施例を図面に基づいて説明する。
(1) 第1実施例
初めに、図1から図9を参照して、本発明の帯域拡張装置に係る第1実施例について説明を進める。
(1−1) 基本構成
初めに、図1を参照して、本発明の帯域拡張装置に係る第1実施例の基本構成について説明を進める。ここに、図1は、本発明の帯域拡張装置に係る第1実施例の基本構成を概念的に示すブロック図である。
図1に示すように、第1実施例に係る帯域拡張装置1は、アップサンプリング回路111と、LPF(Low Pass Filter)121と、遅延回路131と、加算器141と、BPF(Band Pass Filter)151と、高域信号生成回路21とを備える。
アップサンプリング回路111は、デジタル信号である入力信号x(n)のサンプリング周波数fを例えば2倍にアップサンプリングする。アップサンプリング回路111においてサンプリング周波数fがアップサンプリングされた入力信号x(n)は、LPF121へ出力される。
LPF121は、サンプリング周波数fがアップサンプリングされた入力信号x(n)のうち、0からf/2(つまり、π/2)の帯域の信号成分を通過させる。0からf/2(つまり、π/2)の帯域の信号成分は、ベースバンド信号x(n)に相当する。ベースバンド信号x(n)は、遅延回路131及びBPF151の夫々へ出力される。
尚、アップサンプリング回路111及びLPF121が、本発明における「第1生成手段」の一具体例を構成する。
遅延回路131は、本発明における「第2遅延手段」の一具体例を構成しており、BPF151及び高域信号生成回路21における信号処理に要する時間に相当する遅延Aをベースバンド信号x(n)に加える。遅延回路131において遅延Aが加えられたベースバンド信号x(n)は、加算器141へ出力される。
加算器141は、本発明における「第3生成手段」の一具体例を構成しており、遅延回路131から出力されるベースバンド信号x(n)と、高域信号生成回路21において生成される高域信号x(n)とを加算することにより、帯域拡張信号(言い換えれば、出力信号)x(n)を生成する。
BPF151は、ベースバンド信号x(n)のうち、高域信号x(n)を生成するための素となる帯域の信号成分である帯域制限信号x(n)を抽出する。より具体的には、BPF151は、ベースバンド信号x(n)のうち、入力信号x(n)の上限周波数の1/2からf/2の帯域の信号成分である帯域制限信号x(n)を抽出する。BPF151において抽出された帯域制限信号x(n)は、高域信号生成回路21へ出力される。
高域信号生成回路21は、本発明における「第2生成手段」の一具体例を構成しており、入力信号x(n)に含まれる信号成分の周波数よりも高域側の信号成分である高域信号x(n)を生成する。より具体的には、高域信号生成回路21は、遅延回路211と、HTF(Hilbert Transform Filter)212と、乗算器213と、利得算出回路214と、利得調整回路215とを備えている。
遅延回路211は、本発明における「第1遅延手段」の一具体例を構成しており、HTF212におけるヒルベルト変換処理に要する時間に相当する遅延Bを帯域制限信号x(n)に加える。遅延回路211において遅延Bが加えられた帯域制限信号x(n)は、乗算器213及び利得算出回路214の夫々へ出力される。
HTF212は、本発明における「ヒルベルト変換手段」の一具体例を構成しており、帯域制限信号x(n)に対してヒルベルト変換処理を施す。その結果、ヒルベルト変換信号x(n)が生成される。HTF212において生成されたヒルベルト変換信号x(n)は、乗算器213及び利得算出回路214の夫々へ出力される。
乗算器213は、本発明における「乗算手段」の一具体例を構成しており、遅延回路211より出力される帯域制限信号x(n)と、HTF212より出力されるヒルベルト変換信号x(n)とを乗算する。その結果、高域信号x(n)が生成される。乗算器213において生成された高域信号x(n)は、利得調整回路215へ出力される。
利得算出回路214は、遅延回路211より出力される帯域制限信号x(n)と、HTF212より出力されるヒルベルト変換信号x(n)との夫々に基づいて、高域信号x(n)の利得G(n)を算出する。
利得調整回路215は、利得算出回路214において算出される利得G(n)を高域信号x(n)に掛ける。これにより、高域信号x(n)の利得が調整される。利得調整回路215において利得が調整された高域信号x(n)は、加算器141へ出力される。
(1−2) 動作原理
続いて、図2及び図3を参照して、第1実施例に係る帯域拡張装置1の動作原理について説明する。ここに、図2は、第1実施例に係る帯域拡張装置1における動作に関連する入力信号x(n)、ベースバンド信号x(n)及び帯域制限信号x(n)の夫々のスペクトルを概念的に示すスペクトル図であり、図3は、第1実施例に係る帯域拡張装置1における動作に関連する高域信号x(n)及び帯域拡張信号x(n)の夫々のスペクトルを概念的に示すスペクトル図である。
図2(a)に示すように、サンプリング周波数fの入力信号x(n)が帯域拡張装置1に入力されるものとする。
このような入力信号x(n)に対して、アップサンプリング回路111は、サンプリング周波数fを2倍にアップサンプリングする。その後、LPF121が、サンプリング周波数fが2倍にアップサンプリングされた入力信号x(n)のうち、0からf/2(つまり、π/2)の帯域の信号成分を抽出する。その結果、図2(b)に示すベースバンド信号x(n)が抽出される。
その後、BPF151が、抽出されたベースバンド信号x(n)のうち、入力信号x(n)の上限周波数の1/2からf/2の帯域の信号成分を抽出する。その結果、図2(c)に示す帯域制限信号x(n)が抽出される。
その後、HTF212が、BPF151において抽出された帯域制限信号x(n)に対してヒルベルト変換処理を施す。その結果、ベースバンド信号x(n)の位相がπ/2移相された信号であるヒルベルト変換信号x(n)が生成される。
このとき、遅延回路211は、BPF151において抽出された帯域制限信号x(n)に対して、HTF212におけるヒルベルト変換処理に要する時間に相当する遅延Bを加える。言い換えれば、遅延回路211は、BPF151において抽出された帯域制限信号x(n)と、HTF212におけるヒルベルト変換処理により生成されるヒルベルト変換信号x(n)との時間整合を図る。更に言い換えれば、遅延回路211は、ある時間に対応する帯域制限信号x(n)と、該ある時間に対応する帯域制限信号x(n)にヒルベルト変換処理を施すことで生成されるヒルベルト変換信号x(n)とが、乗算器213において乗算されるように、帯域制限信号x(n)に遅延Bを加える。
その後、乗算器213は、時間整合が図られた帯域制限信号x(n)と、ヒルベルト変換信号x(n)とを乗算する。その結果、図3(a)に示す高域信号x(n)が生成される。
ここで、帯域制限信号x(n)が、x(n)=Asin(ωt)+Bsin(ωt)にて示されるとする。この場合、ヒルベルト変換信号x(n)は、x(n)=Acos(ωt)+Bcos(ωt)にて示される。このため、これらを乗算することで生成される高域信号x(n)は、x(n)=x(n)×x(n)=(Asin(ωt)+Bsin(ωt))×(Acos(ωt)+Bcos(ωt))=Asin(2ωt)/2+ABsin((ω+ω)t)+Bsin(2ωt)/2となる。つまり、高域信号x(n)には、帯域制限信号x(n)の周波数成分(具体的には、ωやωの角周波数にて示される成分)の2倍音成分(具体的には、2ωや2ωの角周波数にて示される成分)と、和音成分(具体的には、ω+ωの角周波数にて示される成分)が含まれる。
但し、高域信号x(n)の振幅のレベルは、AやABやBのように、帯域制限信号x(n)の振幅のレベルの2乗のオーダーになっている。このため、乗算器213において生成される高域信号x(n)の振幅のレベルを、元の振幅のレベルのオーダーに直す処理が行われる。
具体的には、まず、乗算器213において帯域制限信号x(n)とヒルベルト変換信号x(n)とが乗算される前に、帯域制限信号x(n)は、予め帯域制限信号x(n)の最大振幅の平方根で除算される。帯域制限信号x(n)の最大振幅の平方根は、例えば帯域制限信号x(n)がnビットで表されている場合には、(2−1)1/2となる。具体的には、帯域制限信号x(n)の最大振幅の平方根は、帯域制限信号x(n)が16ビットで表されている場合には、(216−1)1/2≒181となる。この除算動作は、BPF151の出力である帯域制限信号x(n)に対して行われる。そして、乗算器213においては、最大振幅の平方根で除算された帯域制限信号x(n)とヒルベルト変換信号x(n)とが乗算されることで、高域信号x(n)が生成される。
更に、利得算出回路214及び利得調整回路215等の動作により、乗算器213において生成される高域信号x(n)の振幅のレベルを、元の振幅のレベルのオーダーに直すための利得調整処理が行われる。
ここで、図4を参照することで、利得算出回路214のより具体的な構成を説明しながら、利得調整処理について説明する。ここに、図4は、利得算出回路214のより具体的な構成を概念的に示すブロック図である。
図4に示すように、利得算出回路214は、2乗回路241と、2乗回路242と、加算器243と、平方根回路244と、平滑化回路245と、算出回路246とを備えている。
遅延回路211より出力される帯域制限信号x(n)は、2乗回路241の動作により2乗された後、加算器243へ出力される。同様に、HTF212より出力されるヒルベルト変換信号x(n)は、2乗回路242の動作により2乗された後、加算器243へ出力される。
その後、加算器243の動作により、2乗された帯域制限信号x(n)と2乗されたヒルベルト変換信号x(n)とが加算される。加算結果は、平方根回路244へ出力される。その後、平方根回路244の動作により、2乗された帯域制限信号x(n)と2乗されたヒルベルト変換信号x(n)との加算結果の平方根が算出される。
つまり、2乗回路241と、2乗回路242と、加算器243と、平方回路244との動作により、帯域制限信号x(n)のエンベロープe(n)=(x (n)+x (n))1/2が算出される。
その後、エンベロープe(n)の急激な変動を抑制するために、平滑化回路245の動作により、エンベロープe(n)に対する平滑化処理が行われる。具体的には、平滑化されたエンベロープ(以下、適宜“平滑化エンベロープ”と称する)s(n)は、s(n)=(1−α)×s(n−1)+α×e(n)にて示される。ここで、「α」は、平滑化の程度を調整するために0から1の範囲において定められる定数である。つまり、エンベロープe(n)の変化の態様に応じて、好適な値が適宜定数αとして定められる。
その後、算出回路246の動作により、乗算器213より出力される高域信号x(n)に実際に掛け合わせられる利得G(n)が算出される。
具体的には、利得G(n)は、平滑化エンベロープの最大値をEMAXとすると、EMAX/(s(n)+c)にて示される。ここで、「c」は、分母が0になる不都合を防ぐための小さな定数であり、適宜好適な値が設定される。また、平滑化エンベロープの最大値であるEMAXは、例えば帯域制限信号x(n)がnビットで表されている場合には、(2−1)1/2となる。具体的には、平滑化エンベロープの最大値は、帯域制限信号x(n)が16ビットで表されている場合には、(216−1)1/2≒181となる。
但し、雑音等の微小な信号に対して利得G(n)が大きくなりすぎるのを防止する観点から導入される利得G(n)の最大値をGMAXとすると、EMAX/(s(n)+c)がGMAXよりも大きくなる場合には、利得G(n)はGMAXとなる。
このように算出される利得G(n)が、利得調整回路215の動作により、乗算器213において生成される高域信号x(n)に掛け合わされる。利得G(n)が掛け合わされた高域信号x(n)は、加算器141において、ベースバンド信号x(n)と加算される。その結果、図3(b)に示すように、帯域拡張信号x(n)が生成される。
尚、加算器141において加算されるベースバンド信号x(n)は、遅延回路131の動作により、BPF151及び高域信号生成回路21の動作により高域信号x(n)を生成するために要する時間に相当する遅延Aが加えられている。言い換えれば、遅延回路131は、LPF121において抽出されたベースバンド信号x(n)と、高域信号生成回路21において生成された高域信号x(n)との時間整合を図る。更に言い換えれば、遅延回路131は、ある時間に対応するベースバンド信号x(n)と、該ある時間に対応するベースバンド信号x(n)から生成される高域信号x(n)とが、加算器141において加算されるように、ベースバンド信号x(n)に遅延Aを加える。
ここで、図5から図9を参照して、第1実施例に係る帯域拡張装置1により生成される帯域制限信号x(n)、帯域拡張信号x(n)、高域信号x(n)について説明する。ここに、図5は、ベースバンド信号xB(n)のスペクトル図であり、図6は、図5に示すベースバンド信号xB(n)より生成される帯域拡張信号x(n)のスペクトル図であり、図7は、帯域制限信号x(n)のスペクトル図であり、図8は、図7に示す帯域制限信号x(n)より生成される高域信号x(n)のスペクトル図であり、図9は、比較例に係る帯域拡張装置の動作により、図7に示す帯域制限信号x(n)が全波整流された後の信号のスペクトル図である。
図5は、44.1kHzのサンプリング周波数を有する信号から、例えば10000Hz以下の信号成分を抽出することで得られる信号を示している。これは22.05kHzのサンプリング周波数を有する入力信号x(n)を2倍にアップサンプリングしてからLPF121に通した、ベースバンド信号x(n)に相当する。
図5に示すベースバンド信号xB(n)に対して、第1実施例に係る帯域拡張装置1の動作による帯域拡張処理を施すと、図6に示す帯域拡張信号x(n)が生成される。図6に示すように、元の信号(つまり、ベースバンド信号xB(n))の帯域が好適に拡張されていることが分かる。
図7は、8kHzのサンプリング周波数にてサンプリングされ、基本周波数が437.5Hzであり、且つ高調波の振幅が全て等しい入力信号に対して、サンプリング周波数を2倍にアップサンプリングした後に2kHzから4kHzの帯域の信号成分を抽出することで得られる帯域制限信号x(n)を示している。
図7に示す帯域制限信号x(n)に対して、第1実施例に係る帯域拡張装置1の動作による帯域拡張処理を施すと、図8に示す高域信号x(n)が生成される。図8に示すように、高域信号x(n)は、元の信号(つまり、帯域制限信号x(n))と調波関係にあると共に、元の信号の2倍音成分や和音成分が生成され且つ元の信号の差音成分や直流成分や元の信号の成分が含まれていないことが分かる。このように、元の信号(つまり、帯域制限信号x(n))の帯域(つまり、2kHzから4kHzの帯域)が、4kHzから8kHzにまで好適に拡張されていることが分かる。
他方で、図7に示す帯域制限信号x(n)に対して、全波整流を施すことで高域信号x(n)を生成する比較例に係る帯域拡張装置の動作による帯域拡張処理を施すと、図9に示すように、元の信号の2倍音成分や和音成分のみならず、元の信号の差音成分や直流成分や、更には元の信号と調波関係にない多くの成分が生成されてしまう。これらの不要な信号成分が含まれる信号から本来生成したい2倍音成分や和音成分を抽出しようとすれば、大きな減衰量と急峻な遮断特性を有するHPF(High Pass Filter)が必要とされる。しかしながら、このような特性を有するHPFは、その回路規模(言い換えれば、演算量)が大きくなりかねない。
しかるに、第1実施例に係る帯域拡張装置1によれば、元の信号の差音成分や直流成分や、更には元の信号と調波関係にない多くの成分が生成されないため、元の信号の帯域を好適に拡張することができる。これは、上述したように、元の信号にヒルベルト変換処理を施した信号を、元の信号に掛け合わせていることに起因している。
更には、元の信号の差音成分や直流成分や、更には元の信号と調波関係にない多くの成分が生成されないため、比較例に係る帯域拡張装置において必要とされたHPFを必要としない。このため、回路規模を相対的に小さくすることができる。
加えて、高域信号x(n)の振幅のレベルが、元の信号の振幅のレベルに適合するように高域信号x(n)の利得を調整しているため、元の信号との信号レベルの整合性を保ちつつ、元の信号の帯域を好適に拡張することができる。
(2) 第2実施例
続いて、図10を参照して、本発明の帯域拡張装置に係る第2実施例について説明を進める。ここに、図10は、本発明の帯域拡張装置に係る第2実施例の基本構成を概念的に示すブロック図である。尚、上述した第1実施例に係る帯域拡張装置1と同様の構成については同一の参照符号を付してその詳細な説明は省略する。
図10に示すように、第2実施例に係る帯域拡張装置2は、N(但し、Nは2以上の整数)個の高域信号生成回路21が多段に接続されている。
このような構成を有する第2実施例に係る帯域拡張装置2では、まず、アップサンプリング回路112は、サンプリング周波数fを2倍にアップサンプリングする。その後、LPF122が、サンプリング周波数fが2倍にアップサンプリングされた入力信号x(n)のうち、0からf/2(つまり、π/2)の帯域の信号成分を抽出する。その結果、ベースバンド信号x(n)が抽出される。
その後、BPF151が、抽出されたベースバンド信号x(n)のうち、入力信号x(n)の上限周波数の1/2からf/2の帯域の信号成分を抽出する。その結果、帯域制限信号x(n)が抽出される。そして、高域信号生成回路21−(1)は、帯域制限信号x(n)から高域信号xH−(1)(n)を生成する。
高域信号生成回路21−(1)において生成された高域信号xH−(1)(n)は、遅延回路162−(1)へ出力されると共に、高域信号生成回路21−(1)の次段に接続される高域信号生成回路21−(2)へ出力される。
高域信号生成回路21−(2)は、高域信号生成回路21−(1)において生成された高域信号xH−(1)(n)から、該高域信号xH−(1)(n)よりも高域である新たな高域信号xH−(2)(n)を生成する。高域信号生成回路21−(2)において生成された高域信号xH−(2)(n)は、遅延回路162−(2)へ出力されると共に、高域信号生成回路21−(2)の次段に接続される高域信号生成回路21−(3)へ出力される。以降、このような動作が、多段接続された高域信号生成回路21の数だけ繰り返される。
遅延回路162−(1)において高域信号xH−(1)(n)に加えられる遅延C(1)は、該遅延回路162−(1)に対応する高域信号生成回路21−(1)よりも下段に接続されている高域信号生成回路21−(2)、21−(3)、・・・、21−(N)の夫々において高域信号xH−(2)(n)、xH−(3)(n)、・・・、xH−(N)(n)の夫々を生成するために要する時間に相当する時間である。言い換えれば、遅延回路162−(1)において高域信号xH−(1)(n)に加えられる遅延C(1)は、遅延回路162−(1)の次段に接続される遅延回路162−(2)において加えられる遅延C(2)と、高域信号生成回路21−(2)において高域信号xH−(2)(n)を生成するために要する時間に相当する時間との和である。
つまり、遅延回路162−(m)(但し、1≦m≦N)において高域信号xH−(m)(n)に加えられる遅延C(m)は、該遅延回路162−(m)に対応する高域信号生成回路21−(m)よりも下段に接続されている高域信号生成回路21−(m+1)、21−(m+2)、・・・、21−(N)の夫々において高域信号xH−(m+1)(n)、xH−(m+2)(n)、・・・、xH−(N)(n)の夫々を生成するために要する時間に相当する時間である。言い換えれば、遅延回路162−(m)において高域信号xH−(m)(n)に加えられる遅延C(m)は、遅延回路162−(m)の次段に接続される遅延回路162−(m+1)において加えられる遅延C(m+1)と、高域信号生成回路21−(m+1)において高域信号xH−(m+1)(n)を生成するために要する時間に相当する時間との和である。
また、遅延回路132においてベースバンド信号x(n)に加えられる遅延Aは、高域信号生成回路21−(1)、21−(2)、・・・、21−(N)の夫々において高域信号xH−(1)(n)、xH−(2)(n)、・・・、xH−(N)(n)の夫々を生成するために要する時間と、BPF152における処理に要する時間との和である。言い換えれば、遅延回路132においてベースバンド信号x(n)に加えられる遅延Aは、遅延回路162−(1)において加えられる遅延C(1)と、高域信号生成回路21−(1)において高域信号xH−(1)(n)を生成するために要する時間と、BPF152における処理に要する時間との和である。
そして、高域信号xH−(N)(n)と、遅延C(N−1)が加えられた高域信号xH−(N−1)(n)が加算器142−(N−1)において加算され、更に該加算結果に、遅延C(N−2)が加えられた高域信号xH−(N−2)(n)が加算器142−(N−2)において加算される。以降、同様の動作が、多段接続された高域信号生成回路21の数だけ繰り返される。
このような構成を有する第2実施例に係る帯域拡張装置2によれば、上述した第1実施例に係る帯域拡張装置1と同様の効果を享受することができると共に、入力信号x(n)をより広い帯域に拡張することができる。具体的には、N個の高域信号生成回路21が多段に接続されていれば、入力信号x(n)の帯域を2倍に拡張することができる。
(3) 第3実施例
続いて、図11から図16を参照して、本発明の帯域拡張装置に係る第3実施例について説明を進める。尚、上述した第1実施例に係る帯域拡張装置1及び第2実施例に係る帯域拡張装置2と同様の構成については、同一の参照符号を付してその詳細な説明は省略する。
(3−1) 基本構成
初めに、図11を参照して、本発明の帯域拡張装置に係る第3実施例の基本構成について説明を進める。ここに、図11は、本発明の帯域拡張装置に係る第3実施例の基本構成を概念的に示すブロック図である。
図11に示すように、第3実施例に係る帯域拡張装置1は、アップサンプリング回路111と、LPF(Low Pass Filter)121と、ブロック化回路173と、窓掛回路183と、加算器141と、高域信号生成回路23とを備える。
ブロック化回路173は、本発明における「分割手段」の一具体例を構成しており、LPF121より出力されるベースバンド信号x(n)に対して、ブロック化処理を施す。より具体的には、ブロック化回路173は、ベースバンド信号x(n)を一定サンプル数のブロックに分割する。ここでは特に、ベースバンド信号x(n)は、各ブロックの半分が隣接するブロックと重複するように分割される。つまり、各ブロックの右側半分が、右側に隣接するブロックと隣接し、且つ各ブロックの左側半分が、左側に隣接するブロックと隣接するように分割される。ブロック化回路173においてブロック化処理が施されたベースバンド信号x(n)は、窓掛回路183及び高域信号生成回路23中の平方根窓掛回路231へ出力される。
窓掛回路183は、本発明における「窓掛手段」の一具体例を構成しており、ブロック化処理が施されたベースバンド信号x(n)に対して、ハニング窓を掛け合わせる。ハニング窓が掛け合わされたベースバンド信号x(n)は、高域信号生成回路23中のFFT(Fast Fourier Transform)回路234及び加算器141の夫々へ出力される。
高域信号生成回路23は、本発明における「第2生成手段」の一具体例を構成しており、入力信号x(n)に含まれる信号成分の周波数よりも高域側の信号成分である高域信号x(n)を生成する。より具体的には、高域信号生成回路23は、平方根窓掛回路231と、FFT回路232と、帯域抽出回路233と、FFT回路234と、上端周波数決定回路235と、解析信号生成回路236と、乗算器213と、利得算出回路214と、利得調整回路215とを備えている。
平方根窓掛回路は、本発明における「窓掛手段」の一具体例を構成しており、ブロック化処理が施されたベースバンド信号x(n)に対して、ハニング窓の平方根を掛け合わせる。ハニング窓の平方根が掛け合わされたベースバンド信号x(n)は、FFT回路232へ出力される。
FFT回路232は、本発明における「フーリエ変換手段」の一具体例を構成しており、平方根窓掛回路231においてハニング窓の平方根が掛け合わされたベースバンド信号x(n)に対して、高速フーリエ変換処理を施す。FFT回路232において高速フーリエ変換処理が施されたベースバンド信号(以降、FFT回路232において高速フーリエ変換処理が施されたベースバンド信号、つまり、FFT回路232の出力を、“高速フーリエ変換出力X(f)”と称する)は、帯域抽出回路233へ出力される。
帯域抽出回路233は、本発明における「変更手段」の一具体例を構成しており、高速フーリエ変換処理が施されたベースバンド信号、すなわち高速フーリエ変換出力X(f)のうち、上端周波数決定回路235において決定される上端周波数fに応じた帯域の信号成分を抽出する。帯域抽出回路233において抽出された信号成分は、解析信号生成回路236へ出力される。
FFT回路234は、本発明における「フーリエ変換手段」の一具体例を構成しており、窓掛回路183においてハニング窓が掛け合わされたベースバンド信号x(n)に対して、高速フーリエ変換処理を施す。FFT回路234において高速フーリエ変換処理が施されたベースバンド信号は、上端周波数回路235へ出力される。
上端周波数決定回路235は、本発明における「決定手段」の一具体例を構成しており、FFT回路234において高速フーリエ変換処理が施されたベースバンド信号の上端周波数fを決定する。上端周波数決定回路235において決定された上端周波数fは、帯域抽出回路233へ出力される。
解析信号生成回路236は、本発明における「逆フーリエ変換手段」の一具体例を構成しており、帯域抽出回路233において抽出された信号成分に対して逆フーリエ変換処理を施す。その結果、解析信号が生成される。
この解析信号は、後に詳述するように、その実数部成分が上述の帯域制限信号x(n)となり、その虚数部成分が上述のヒルベルト変換信号x(n)となる。従って、解析信号より取得される帯域制限信号x(n)及びヒルベルト変換信号x(n)を用いて、乗算器213、利得算出回路214及び利得調整回路215の動作により、高域信号x(n)が生成される。
(3−2) 動作原理
続いて、図12から図15を参照して、第3実施例に係る帯域拡張装置3の動作原理について説明する。ここに、図12は、第3実施例に係る帯域拡張装置3における動作に関連する入力信号x(n)、ベースバンド信号x(n)及び帯域抽出回路233において抽出される信号成分の夫々のスペクトルを概念的に示すスペクトル図であり、図13は、ハニング窓が掛け合わせられたブロックを概念的に示す説明図であり、図14は、上端周波数fの決定動作を概念的に示すスペクトル図であり、図15は、第3実施例に係る帯域拡張装置3における動作に関連する高域信号x(n)及び帯域拡張信号x(n)の夫々のスペクトルを概念的に示すスペクトル図である。
図12(a)に示すように、サンプリング周波数fの入力信号x(n)が帯域拡張装置1に入力されるものとする。
このような入力信号x(n)に対して、アップサンプリング回路111は、サンプリング周波数fを2倍にアップサンプリングする。その後、LPF121が、サンプリング周波数fが2倍にアップサンプリングされた入力信号x(n)のうち、0からf/2(つまり、π/2)の帯域の信号成分を抽出する。その結果、図12(b)に示すベースバンド信号x(n)が抽出される。
その後、ブロック化回路173は、ベースバンド信号x(n)に対して、時間軸上におけるブロック化処理を施す。具体的には、ベースバンド信号x(n)を、一定サンプル数のブロックに分割する。
その後、窓掛回路183は、ブロック化処理が施されたベースバンド信号x(n)に対して、ハニング窓w(n)を掛け合わせる。窓掛回路183によりハニング窓w(n)が掛け合わせられたベースバンド信号x(n)は、FFT回路234へ出力される。尚、ハニング窓w(n)は、w(n)=0.5+0.5cos(2πn/(N−1))により示される窓関数であり、各窓を隣接する窓と1/2オーバーラップ加算すると、その加算結果が1になる窓関数である。
ハニング窓が掛け合わされた複数のブロックは、図13に示される。図13に示すようなブロック化処理及びハニング窓の掛け合わせが施されたベースバンド信号x(n)は、各ブロックを再合成する際に、歪みなく信号を再現することができるという効果を享受することができる。
その後、ブロック化処理が施され且つハニング窓が掛け合わされたベースバンド信号x(n)に対して、FFT回路234の動作により、高速フーリエ変換処理が施される。つまり、ベースバンド信号x(n)の処理領域が、時間領域から周波数領域へと変換され、その結果、ブロック化処理が施され且つハニング窓が掛け合わされたベースバンド信号x(n)の対数振幅スペクトルが得られる。
その後、上端周波数決定回路235は、FFT回路234において高速フーリエ変換処理が施されることで得られる、ブロック化処理が施され且つハニング窓が掛け合わされたベースバンド信号x(n)の対数振幅スペクトルに基づいて、上端周波数fを決定する。
上端周波数の決定動作では、まず、Savitzky-Golayフィルタ等によりまず振幅対数スペクトルを平滑化することで、図14中の太線のグラフにて示すような平滑化スペクトルが生成される。尚、図14に示す振幅対数スペクトルは、サンプリング周波数fが8000Hzの入力信号x(n)に対応する振幅対数スペクトルの一例を示している。
その後、平滑化スペクトルのグラフ上を、入力信号x(n)のサンプリング周波数fの1/2の周波数から、周波数の低い側へ向かってスキャンする。そして、スペクトル強度(言い換えれば、デシベル値にて示される振幅)の上昇が止まる地点の周波数を上端周波数fとして決定する。例えば、図14に示すグラフであれば、4000Hzの地点からグラフの左側へ向かって平滑化スペクトルをスキャンしていき、スペクトル強度の上昇が止まる地点の周波数(図14では、概ね3400Hz程度)が、上端周波数fとして決定される。決定された上端周波数fは、帯域抽出回路233へ出力される。
他方で、ブロック化回路173においてブロック化処理が施されたベースバンド信号x(n)は、窓掛回路183に加えて、高域信号生成回路23中の平方根窓掛回路231へも出力される。平方根窓掛回路231は、ブロック化処理が施されたベースバンド信号x(n)に対して、ハニング窓w(n)の平方根(つまり、(w(n))1/2)を掛け合わせる。平方根窓掛回路231によりハニング窓w(n)の平方根が掛け合わせられたベースバンド信号x(n)は、FFT回路232へ出力される。
尚、窓掛回路231においてハニング窓w(n)の平方根が掛け合わせられるのは、以下の理由からである。後に詳述するように、第3実施例においては、ブロック化処理が施されたベースバンド信号x(n)から得られる解析信号の実数部成分と虚数部成分とを掛け合わせることで高域信号x(n)を生成している。このため、解析信号の実数部成分と虚数部成分との夫々にハニング窓w(n)が掛け合わせられる影響が生ずることを考慮すれば、解析信号の実数部成分と虚数部成分とを掛け合わせると、ハニング窓w(n)の2乗が高域信号x(n)に掛け合わせられることになってしまう。従って、解析信号の実数部成分と虚数部成分とを掛け合わせたときに、ハニング窓w(n)が高域信号x(n)に掛け合わせられる状態を実現できるように、ベースバンド信号x(n)には、ハニング窓w(n)の平方根を掛け合わせている。
その後、ブロック化処理が施され且つハニング窓の平方根が掛け合わされたベースバンド信号x(n)に対して、FFT回路232の動作により、高速フーリエ変換処理が施される。FFT回路232において高速フーリエ変換処理が施された高速フーリェ変換出力X(f)は、帯域抽出回路233へ出力される。
その後、帯域抽出回路233の動作により、高速フーリエ変換出力X(f)のうち、図12(c)に示すようなf/2からf/2までの帯域の信号成分が抽出される。
その後、解析信号生成部236では、高速フーリエ変換出力X(f)のスペクトル強度を変更する。具体的には、FFT回路232において高速フーリエ変換処理が施された高速フーリェ変換出力X(f)のうち、帯域抽出回路233において抽出されたf/2からf/2までの帯域の信号成分のスペクトル強度を2倍にする。他方、FFT回路232において高速フーリエ変換処理が施された高速フーリェ変換出力X(f)のうち、帯域抽出回路233において抽出されたf/2からf/2までの帯域の信号成分以外の信号成分のスペクトル強度を0にする。つまり、スペクトル強度が変更された高速フーリエ変換出力X(f)をZ(f)にて示すとすれば、Z(f)=2X(f)、for f/2≦f≦f/2 ; =0、for f<f/2 or f/2<fにて示される。
その後、解析信号生成部236は、スペクトル強度が変更された高速フーリエ変換出力Z(f)に対して、逆フーリエ変換処理を施す。その結果、解析信号z(n)が生成される。
解析信号z(n)は、その実数部成分が上述の帯域制限信号x(n)となり、その虚数部成分が上述のヒルベルト変換信号x(n)となる。つまり、z(n)=x(n)+jx(n)にて示される解析信号z(n)が生成される。このため、以後は、上述した第1実施例に係る帯域拡張装置1と同様に、帯域制限信号x(n)とヒルベルト変換信号x(n)とが乗算されることで、図15(a)に示すような高域信号x(n)が生成される。更に、第3実施例においても、第1実施例と同様に、乗算器213において生成される高域信号x(n)の振幅のレベルを、元の振幅のレベルのオーダーに直す処理が行われる。そして、係る処理が施された高域信号x(n)は、加算器141において、ベースバンド信号x(n)と加算される。その結果、図15(b)に示すように、帯域拡張信号x(n)が生成される。
尚、第3実施例においては、ブロック化回路173の動作によりベースバンド信号x(n)をブロック化していることから、加算器141において、帯域拡張信号x(n)は、隣接するブロックと1/2オーバーラップ加算される。
ここで、図16を参照して、第3実施例に係る帯域拡張装置3により生成される高域信号x(n)について説明する。ここに、図16は、図7に示す帯域制限信号x(n)より生成される高域信号x(n)のスペクトル図である。
8kHzのサンプリング周波数にてサンプリングされ、基本周波数が437.5Hzであり、且つ高調波の振幅が全て等しい入力信号に対して、サンプリング周波数を2倍にアップサンプリングした後に2kHzから4kHzの帯域の信号成分を抽出することで得られる帯域制限信号x(n)(つまり、上述の図7に示す帯域制限信号x(n))に対して、第3実施例に係る帯域拡張装置3の動作による帯域拡張処理を施すと、図16に示す高域信号x(n)が生成される。図16に示すように、高域信号x(n)は、元の信号(つまり、帯域制限信号x(n))と調波関係にあると共に、元の信号の2倍音成分や和音成分が生成され且つ元の信号の差音成分や直流成分や元の信号の成分が含まれていないことが分かる。このように、元の信号(つまり、帯域制限信号x(n))の帯域(つまり、2kHzから4kHzの帯域)が、4kHzから8kHzにまで好適に拡張されていることが分かる。
このように、第3実施例に係る帯域拡張装置3によれば、上述した第1実施例に係る帯域拡張装置1と同様の効果を享受することができる。
加えて、第3実施例においては、元の信号(つまり、ベースバンド信号x(n))の対数スペクトルを平滑化することで上端周波数fを決定した後、該上端周波数fに基づいて高域信号x(n)を生成するための素となる帯域の信号成分を抽出している。このため、元の信号の上端周波数fに応じて、適応的に高域信号x(n)を生成することができる。つまり、第1実施例においては、BPF151により高域信号x(n)を生成するための素となる帯域の信号成分を固定的に抽出していたが、第3実施例においては、高域信号x(n)を生成するための素となる帯域の信号成分として、元の信号に応じた好適な帯域の信号成分を抽出することができる。これにより、元の信号に適応した(例えば、元の信号と連続的に或いは滑らかに加算されるような)高域信号x(n)を好適に生成することができる。
(4) 第4実施例
続いて、図17を参照して、本発明の帯域拡張装置に係る第4実施例について説明を進める。ここに、図17は、本発明の帯域拡張装置に係る第4実施例の基本構成を概念的に示すブロック図である。尚、上述した第1実施例に係る帯域拡張装置1、第2実施例に係る帯域拡張装置2又は第3実施例に係る帯域拡張装置3と同様の構成については同一の参照符号を付してその詳細な説明は省略する。
図17に示すように、第4実施例に係る帯域拡張装置4では、第3の実施例に係る帯域拡張装置3と比較して、FFT回路234及び窓掛回路183が除かれている。第4実施例に係る帯域拡張装置4では、FFT回路234が行っていた処理は、FFT回路232において行われ、窓掛回路183において行われていた処理は、平方根窓掛回路231において行われる。
具体的には、平方根窓掛回路231は、ブロック化処理が施されたベースバンド信号x(n)に対して、ハニング窓w(n)の平方根を掛け合わせる。その後、ブロック化処理が施され且つハニング窓の平方根が掛け合わされたベースバンド信号x(n)に対して、FFT回路232の動作により、高速フーリエ変換処理が施される。つまり、ベースバンド信号x(n)の処理領域が、時間領域から周波数領域へと変換され、その結果、対数振幅スペクトル(つまり、高速フーリエ変換出力X(f))が生成される。生成された対数振幅スペクトルは、上端周波数決定回路235及び帯域抽出回路233の夫々へ出力される。あとは、上述した第3実施例に係る帯域拡張装置3と同様の動作で、高域信号x(n)が生成される。
このように、第4実施例に係る帯域拡張装置4によれば、上端周波数fを決定するために用いられる高速フーリエ変換出力X(f)と、高域信号x(n)を生成する素となる帯域の信号成分を抽出するための高速フーリエ変換出力X(f)とを、同一の平方根窓掛回路231及びFFT回路232を用いて生成することができる。言い換えれば、上端周波数fを決定するために用いられる高速フーリエ変換出力X(f)と、高域信号x(n)を生成する素となる帯域の信号成分を抽出するための高速フーリエ変換出力X(f)とを生成するために、夫々別個の窓掛回路及びFFT回路を設ける必要がない。このため、第4実施例に係る帯域拡張装置4によれば、上述した第3実施例に係る帯域拡張装置3が享受する効果と同様の効果を相応に享受することができると共に、第3実施例に係る帯域拡張装置3と比較して、回路構成を簡略化することができる。
(5) 第5実施例
続いて、図18を参照して、本発明の帯域拡張装置に係る第5実施例について説明を進める。ここに、図18は、本発明の帯域拡張装置に係る第5実施例の基本構成を概念的に示すブロック図である。尚、上述した第1実施例に係る帯域拡張装置1、第2実施例に係る帯域拡張装置2、第3実施例に係る帯域拡張装置3又は第4実施例に係る帯域拡張装置4と同様の構成については同一の参照符号を付してその詳細な説明は省略する。
図18に示すように、第5実施例に係る帯域拡張装置5は、N(但し、Nは2以上の整数)個の高域信号生成回路23が多段に接続されている。
このような構成を有する第5実施例に係る帯域拡張装置5では、まず、アップサンプリング回路112は、サンプリング周波数fを2倍にアップサンプリングする。その後、LPF122が、サンプリング周波数fが2倍にアップサンプリングされた入力信号x(n)のうち、0からf/2(つまり、π/2)の帯域の信号成分を抽出する。その結果、ベースバンド信号x(n)が抽出される。
その後、ブロック化回路173においてブロック化処理が施されたベースバンド信号x(n)及び窓掛回路183においてハニング窓w(n)が掛け合わせられたベースバンド信号x(n)の夫々が高域信号生成回路23−(1)へ出力される
その後、高域信号生成回路23−(1)において、ハニング窓w(n)が掛け合わせられたベースバンド信号x(n)に基づいて上端周波数fが決定される。更に、高域信号生成回路23−1中の帯域抽出回路233により、高域信号生成回路23−(1)中のFFT回路232によりベースバンド信号x(n)に対してフーリエ変換処理が行われることで生成される高速フーリエ変換出力X(f)のうち、入力信号x(n)の上端周波数の1/2からf/2の帯域の信号成分が抽出される。その後、帯域抽出回路233により抽出された信号成分のスペクトル強度を2倍に変更し、且つ帯域抽出回路233により抽出された信号成分以外の信号成分のスペクトル強度を0に変更することで得られるZ(f)に対して逆フーリエ変換処理が施されることで、高域信号xH−(1)(n)が生成される。
高域信号生成回路23−(1)において生成された高域信号xH−(1)(n)は、加算回路142−(1)へ出力されると共に、高域信号生成回路23−(1)の次段に接続される高域信号生成回路23−(2)へ出力される。
高域信号生成回路23−(2)は、高域信号生成回路23−(1)において生成された高域信号xH−(1)(n)から、該高域信号xH−(1)(n)よりも高域である新たな高域信号xH−(2)(n)を生成する。高域信号生成回路23−(2)において生成された高域信号xH−(2)(n)は、加算回路142−(2)へ出力されると共に、高域信号生成回路23−(2)の次段に接続される高域信号生成回路23−(3)へ出力される。以降、このような動作が、多段接続された高域信号生成回路23の数だけ繰り返される。
そして、高域信号生成回路23−(N)において生成された高域信号xH−(N)(n)と、高域信号生成回路23−(N−1)において生成された高域信号xH−(N−1)(n)が加算器142−(N−1)において加算され、更に該加算結果に、高域信号生成回路23−(N−2)において生成された高域信号xH−(N−2)(n)が加算器142−(N−2)において加算される。以降、同様の動作が、多段接続された高域信号生成回路23の数だけ繰り返される。
このような構成を有する第5実施例に係る帯域拡張装置5によれば、上述した第3実施例に係る帯域拡張装置3と同様の効果を享受することができると共に、入力信号x(n)をより広い帯域に拡張することができる。具体的には、N個の高域信号生成回路23が多段に接続されていれば、入力信号x(n)の帯域を2倍に拡張することができる。
(6) 実際の製品への適用例
続いて、図19を参照して、上述した第1実施例に係る帯域拡張装置1、第2実施例に係る帯域拡張装置2、第3実施例に係る帯域拡張装置3、第4実施例に係る帯域拡張装置4又は第5実施例に係る帯域拡張装置5を、各種音響機器に適用した場合の例について説明を進める。ここに、図19は、上述した帯域拡張装置を各種製品に適用した場合の構成を概念的に示すブロック図である。
図19(a)には、CDプレーヤやDVDプレーヤ等に、上述した第1実施例に係る帯域拡張装置1、第2実施例に係る帯域拡張装置2、第3実施例に係る帯域拡張装置3、第4実施例に係る帯域拡張装置4又は第5実施例に係る帯域拡張装置5を適用する例を示す。CDプレーヤやDVDプレーヤ等においては、リニアPCMフォーマットのオーディオ信号が入力信号x(n)として取り扱われる。帯域拡張装置1において帯域が拡張されたオーディオ信号は、D/A変換器においてアナログ信号に変換された後、スピーカ等の出力機器へ出力される。
図19(b)には、MDプレーヤやMP3プレーヤ等に、上述した第1実施例に係る帯域拡張装置1、第2実施例に係る帯域拡張装置2、第3実施例に係る帯域拡張装置3、第4実施例に係る帯域拡張装置4又は第5実施例に係る帯域拡張装置5を適用する例を示す。MDプレーヤやMP3プレーヤ等においては、圧縮オーディオデコーダ(例えば、MP3デコーダや、ATRAC3デコーダ等)においてデコーディング処理が施されたオーディオ信号が入力信号x(n)として取り扱われる。帯域拡張装置1において帯域が拡張されたオーディオ信号は、D/A変換器においてアナログ信号に変換された後、スピーカ等の出力機器へ出力される。
図19(c)には、携帯電話等に、上述した第1実施例に係る帯域拡張装置1、第2実施例に係る帯域拡張装置2、第3実施例に係る帯域拡張装置3、第4実施例に係る帯域拡張装置4又は第5実施例に係る帯域拡張装置5を適用する例を示す。携帯電話等においては、一般に圧縮エンコーディングされた音声信号が送受信されている。このため、携帯電話等においては、デコーダにおいてデコーディング処理が施された音声信号が入力信号x(n)として取り扱われる。帯域拡張装置1において帯域が拡張された音声信号は、D/A変換器においてアナログ信号に変換された後、スピーカ等の出力機器へ出力される。
図19(d)には、FMラジオ等に、上述した第1実施例に係る帯域拡張装置1、第2実施例に係る帯域拡張装置2、第3実施例に係る帯域拡張装置3、第4実施例に係る帯域拡張装置4又は第5実施例に係る帯域拡張装置5を適用する例を示す。FMラジオ等においては、15kHz程度のカットオフ周波数を有するLPFにより抽出され且つA/D変換器によりデジタル信号に変換されたFM信号(つまり、FM信号に含まれているオーディオ信号)が入力信号x(n)として取り扱われる。帯域拡張装置1において帯域が拡張されたオーディオ信号は、D/A変換器においてアナログ信号に変換された後、スピーカ等の出力機器へ出力される。
図19(e)には、AMラジオ等に、上述した第1実施例に係る帯域拡張装置1、第2実施例に係る帯域拡張装置2、第3実施例に係る帯域拡張装置3、第4実施例に係る帯域拡張装置4又は第5実施例に係る帯域拡張装置5を適用する例を示す。AMラジオ等においては、7.5kHz程度のカットオフ周波数を有するLPFにより抽出され且つA/D変換器によりデジタル信号に変換されたAM信号(つまり、AM信号に含まれているオーディオ信号)が入力信号x(n)として取り扱われる。帯域拡張装置1において帯域が拡張されたオーディオ信号は、D/A変換器においてアナログ信号に変換された後、スピーカ等の出力機器へ出力される。
本発明は、上述した実施例に限られるものではなく、請求の範囲及び明細書全体から読み取れる発明の要旨或いは思想に反しない範囲で適宜変更可能であり、そのような変更を伴なう帯域拡張装置及び方法もまた本発明の技術的範囲に含まれるものである。
上記課題を解決するために、請求の範囲第1項に記載の帯域拡張装置は、入力信号をアップサンプリングした後に低域通過フィルタを通過させることで、ベースバンド信号を生成する第1生成手段と、前記ベースバンド信号のうちの所定の帯域の信号成分である帯域制限信号と、該帯域制限信号の位相を略π/2移相させた信号である移相信号とに基づいて、前記入力信号に対応する信号成分であって、且つ前記入力信号よりも高域側の信号成分である高域信号を生成する第2生成手段と、前記高域信号を前記ベースバンド信号に加算することで出力信号を生成する第3生成手段と、前記ベースバンド信号を、複数のブロックであって且つ前記複数のブロックの夫々の一部が隣接するブロックと重複する複数のブロックに分割する分割手段と、前記複数のブロックに分割されたベースバンド信号に対して、ハニング窓を用いた窓掛け処理を施す第1窓掛け手段とを備え、前記第2生成手段は、前記複数のブロックに分割されたベースバンド信号に対して、ハニング窓の平方根を用いた窓掛け処理を施す第2窓掛け手段と、前記ハニング窓を用いた前記窓掛け処理が施された前記ベースバンド信号及び前記ハニング窓の平方根を用いた前記窓掛け処理が施された前記ベースバンド信号の夫々に対してフーリエ変換処理を施すことでフーリエ変換信号を生成するフーリエ変換手段と、前記ハニング窓を用いた前記窓掛け処理が施された前記ベースバンド信号に対して前記フーリエ変換処理が施されることで生成される前記フーリエ変換信号の信号レベルが急激に減少する周波数を上端周波数として決定する決定手段と、前記ハニング窓の平方根を用いた前記窓掛け処理が施された前記ベースバンド信号に対して前記フーリエ変換処理が施されることで生成される前記フーリエ変換信号のうち、前記上端周波数に応じて規定される帯域の信号成分のレベルが増大し、且つ前記ハニング窓の平方根を用いた前記窓掛け処理が施された前記ベースバンド信号に対して前記フーリエ変換処理が施されることで生成される前記フーリエ変換信号のうち、前記上端周波数に応じて規定される帯域の信号成分以外の信号成分のレベルが0になるように前記フーリエ変換信号のレベルを変更する変更手段と、前記変更手段により前記レベルが変更された前記フーリエ変換信号に対して逆フーリエ変換処理を施すことで解析信号を生成する逆フーリエ変換手段とを更に備え、前記第2生成手段は、前記解析信号の実数部成分を前記帯域制限信号とし、且つ前記解析信号の虚数部成分を前記移相信号として、前記高域信号を生成する。
上記課題を解決するために、請求の範囲第2項に記載の帯域拡張装置は、入力信号をアップサンプリングした後に低域通過フィルタを通過させることで、ベースバンド信号を生成する第1生成手段と、前記ベースバンド信号のうちの所定の帯域の信号成分である帯域制限信号と、該帯域制限信号の位相を略π/2移相させた信号である移相信号とに基づいて、前記入力信号に対応する信号成分であって、且つ前記入力信号よりも高域側の信号成分である高域信号を生成する第2生成手段と、前記高域信号を前記ベースバンド信号に加算することで出力信号を生成する第3生成手段と、前記ベースバンド信号を、複数のブロックであって且つ前記複数のブロックの夫々の一部が隣接するブロックと重複する複数のブロックに分割する分割手段とを備え、前記第2生成手段は、前記複数のブロックに分割されたベースバンド信号に対して、ハニング窓の平方根を用いた窓掛け処理を施す窓掛け手段と、前記ハニング窓の平方根を用いた前記窓掛け処理が施された前記ベースバンド信号の夫々に対してフーリエ変換処理を施すことでフーリエ変換信号を生成するフーリエ変換手段と、前記ハニング窓の平方根を用いた前記窓掛け処理が施された前記ベースバンド信号に対して前記フーリエ変換処理が施されることで生成される前記フーリエ変換信号の信号レベルが急激に減少する周波数を上端周波数として決定する決定手段と、前記ハニング窓の平方根を用いた前記窓掛け処理が施された前記ベースバンド信号に対して前記フーリエ変換処理が施されることで生成される前記フーリエ変換信号のうち、前記上端周波数に応じて規定される帯域の信号成分のレベルが増大し、且つ前記ハニング窓の平方根を用いた前記窓掛け処理が施された前記ベースバンド信号に対して前記フーリエ変換処理が施されることで生成される前記フーリエ変換信号のうち、前記上端周波数に応じて規定される帯域の信号成分以外の信号成分のレベルが0になるように前記フーリエ変換信号のレベルを変更する変更手段と、前記変更手段により前記レベルが変更された前記フーリエ変換信号に対して逆フーリエ変換処理を施すことで解析信号を生成する逆フーリエ変換手段とを更に備え、前記第2生成手段は、前記解析信号の実数部成分を前記帯域制限信号とし、且つ前記解析信号の虚数部成分を前記移相信号として、前記高域信号を生成する。
上記課題を解決するために、請求の範囲第11項に記載の帯域拡張方法は、入力信号をアップサンプリングした後に低域通過フィルタを通過させることで、ベースバンド信号を生成する第1生成工程と、前記ベースバンド信号のうちの所定の帯域の信号成分である帯域制限信号と、該帯域制限信号の位相を略π/2移相させた信号である移相信号とに基づいて、前記入力信号に対応する信号成分であって、且つ前記入力信号よりも高域側の信号成分である高域信号を生成する第2生成工程と、前記高域信号を前記ベースバンド信号に加算することで出力信号を生成する第3生成工程と、前記ベースバンド信号を、複数のブロックであって且つ前記複数のブロックの夫々の一部が隣接するブロックと重複する複数のブロックに分割する分割工程と、前記複数のブロックに分割されたベースバンド信号に対して、ハニング窓を用いた窓掛け処理を施す第1窓掛け工程とを備え、前記第2生成工程は、前記複数のブロックに分割されたベースバンド信号に対して、ハニング窓の平方根を用いた窓掛け処理を施す第2窓掛け工程と、前記ハニング窓を用いた前記窓掛け処理が施された前記ベースバンド信号及び前記ハニング窓の平方根を用いた前記窓掛け処理が施された前記ベースバンド信号の夫々に対してフーリエ変換処理を施すことでフーリエ変換信号を生成するフーリエ変換工程と、前記ハニング窓を用いた前記窓掛け処理が施された前記ベースバンド信号に対して前記フーリエ変換処理が施されることで生成される前記フーリエ変換信号の信号レベルが急激に減少する周波数を上端周波数として決定する決定工程と、前記ハニング窓の平方根を用いた前記窓掛け処理が施された前記ベースバンド信号に対して前記フーリエ変換処理が施されることで生成される前記フーリエ変換信号のうち、前記上端周波数に応じて規定される帯域の信号成分のレベルが増大し、且つ前記ハニング窓の平方根を用いた前記窓掛け処理が施された前記ベースバンド信号に対して前記フーリエ変換処理が施されることで生成される前記フーリエ変換信号のうち、前記上端周波数に応じて規定される帯域の信号成分以外の信号成分のレベルが0になるように前記フーリエ変換信号のレベルを変更する変更工程と、前記変更手段により前記レベルが変更された前記フーリエ変換信号に対して逆フーリエ変換処理を施すことで解析信号を生成する逆フーリエ変換工程とを更に備え、前記第2生成工程は、前記解析信号の実数部成分を前記帯域制限信号とし、且つ前記解析信号の虚数部成分を前記移相信号として、前記高域信号を生成する。
上記課題を解決するために、請求の範囲第12項に記載の帯域拡張方法は、入力信号をアップサンプリングした後に低域通過フィルタを通過させることで、ベースバンド信号を生成する第1生成工程と、前記ベースバンド信号のうちの所定の帯域の信号成分である帯域制限信号と、該帯域制限信号の位相を略π/2移相させた信号である移相信号とに基づいて、前記入力信号に対応する信号成分であって、且つ前記入力信号よりも高域側の信号成分である高域信号を生成する第2生成工程と、前記高域信号を前記ベースバンド信号に加算することで出力信号を生成する第3生成工程と、前記ベースバンド信号を、複数のブロックであって且つ前記複数のブロックの夫々の一部が隣接するブロックと重複する複数のブロックに分割する分割工程とを備え、前記第2生成工程は、前記複数のブロックに分割されたベースバンド信号に対して、ハニング窓の平方根を用いた窓掛け処理を施す窓掛け工程と、前記ハニング窓の平方根を用いた前記窓掛け処理が施された前記ベースバンド信号の夫々に対してフーリエ変換処理を施すことでフーリエ変換信号を生成するフーリエ変換工程と、前記ハニング窓の平方根を用いた前記窓掛け処理が施された前記ベースバンド信号に対して前記フーリエ変換処理が施されることで生成される前記フーリエ変換信号の信号レベルが急激に減少する周波数を上端周波数として決定する決定工程と、前記ハニング窓の平方根を用いた前記窓掛け処理が施された前記ベースバンド信号に対して前記フーリエ変換処理が施されることで生成される前記フーリエ変換信号のうち、前記上端周波数に応じて規定される帯域の信号成分のレベルが増大し、且つ前記ハニング窓の平方根を用いた前記窓掛け処理が施された前記ベースバンド信号に対して前記フーリエ変換処理が施されることで生成される前記フーリエ変換信号のうち、前記上端周波数に応じて規定される帯域の信号成分以外の信号成分のレベルが0になるように前記フーリエ変換信号のレベルを変更する変更工程と、前記変更工程により前記レベルが変更された前記フーリエ変換信号に対して逆フーリエ変換処理を施すことで解析信号を生成する逆フーリエ変換工程とを更に備え、前記第2生成工程は、前記解析信号の実数部成分を前記帯域制限信号とし、且つ前記解析信号の虚数部成分を前記移相信号として、前記高域信号を生成する。

Claims (13)

  1. 入力信号をアップサンプリングした後に低域通過フィルタを通過させることで、ベースバンド信号を生成する第1生成手段と、
    前記ベースバンド信号のうちの所定の帯域の信号成分である帯域制限信号と、該帯域制限信号の位相を略π/2移相させた信号である移相信号とに基づいて、前記入力信号に対応する信号成分であって、且つ前記入力信号よりも高域側の信号成分である高域信号を生成する第2生成手段と、
    前記高域信号を前記ベースバンド信号に加算することで出力信号を生成する第3生成手段と
    を備えることを特徴とする帯域拡張装置。
  2. 前記第2生成手段は、前記帯域制限信号と前記移相信号とを乗算することで乗算信号を生成する乗算手段を備え、
    前記第2生成手段は、前記乗算信号に基づいて、前記高域信号を生成することを特徴とする請求の範囲第1項に記載の帯域拡張装置。
  3. 前記第2生成手段は、前記帯域制限信号のエンベロープ値に応じて前記乗算信号の利得を調整することで前記高域信号を生成することを特徴とする請求の範囲第2項に記載の帯域拡張装置。
  4. 前記第2生成手段は、前記帯域制限信号に対してヒルベルト変換処理を施すことで前記移相信号を生成するヒルベルト変換手段を更に備えることを特徴とする請求の範囲第1項に記載の帯域拡張装置。
  5. 前記第2生成手段は、前記帯域制限信号に対して、前記移相信号の生成に要する時間に相当する遅延を加える第1遅延手段を更に備え、
    前記第2生成手段は、前記移相信号の生成に要する時間に相当する遅延が加えられた前記帯域制限信号と前記移相信号とに基づいて、前記高域信号を生成することを特徴とする請求の範囲第4項に記載の帯域拡張装置。
  6. 前記ベースバンド信号に対して、前記第2生成手段による前記高域信号の生成に要する時間に相当する遅延を加える第2遅延手段を更に備え、
    前記第3生成手段は、前記高域信号を、前記第2生成手段による前記高域信号の生成に要する時間に相当する遅延が加えられた前記ベースバンド信号に加算することを特徴とする請求の範囲第4項に記載の帯域拡張装置。
  7. 前記所定の帯域は、前記入力信号の上限周波数の1/2から前記アップサンプリングされる前の前記入力信号のサンプリング周波数の1/2までの範囲の帯域であることを特徴とする請求の範囲第4項に記載の帯域拡張装置。
  8. 前記第2生成手段は、
    前記ベースバンド信号に対してフーリエ変換処理を施すことでフーリエ変換信号を生成するフーリエ変換手段と、
    前記フーリエ変換信号の信号レベルが急激に減少する周波数を上端周波数として決定する決定手段と、
    前記フーリエ変換信号のうち前記上端周波数に応じて規定される帯域の信号成分のレベルが増大し、且つ前記フーリエ変換信号のうち前記上端周波数に応じて規定される帯域の信号成分以外の信号成分のレベルが0になるように前記フーリエ変換信号のレベルを変更する変更手段と、
    前記変更手段により前記レベルが変更された前記フーリエ変換信号に対して逆フーリエ変換処理を施すことで解析信号を生成する逆フーリエ変換手段と
    を更に備え、
    前記第2生成手段は、前記解析信号の実数部成分を前記帯域制限信号とし、且つ前記解析信号の虚数部成分を前記移相信号として、前記高域信号を生成することを特徴とする請求の範囲第1項に記載の帯域拡張装置。
  9. 前記変更手段は、前記フーリエ変換信号のうち前記上端周波数の1/2から前記アップサンプリングされる前の前記入力信号のサンプリング周波数の1/2までの範囲の帯域の信号成分のレベルが増大し、且つ前記フーリエ変換信号のうち前記上端周波数の1/2から前記アップサンプリングされる前の前記入力信号のサンプリング周波数の1/2までの範囲の帯域の信号成分以外の信号成分のレベルが0になるように前記フーリエ変換信号のレベルを変更することを特徴とする請求の範囲第8項に記載の帯域拡張装置。
  10. 前記ベースバンド信号を、複数のブロックであって且つ前記複数のブロックの夫々の一部が隣接するブロックと重複する複数のブロックに分割する分割手段と、
    前記複数のブロックに分割されたベースバンド信号に対して、ハニング窓を用いた窓掛け処理を施す第1窓掛け手段と
    を更に備え、
    前記第2生成手段は、前記複数のブロックに分割されたベースバンド信号に対して、ハニング窓の平方根を用いた窓掛け処理を施す第2窓掛け手段を更に備え、
    前記フーリエ変換手段は、前記ハニング窓を用いた前記窓掛け処理が施された前記ベースバンド信号及び前記ハニング窓の平方根を用いた前記窓掛け処理が施された前記ベースバンド信号の夫々に前記フーリエ変換処理を施し、
    前記決定手段は、前記ハニング窓を用いた前記窓掛け処理が施された前記ベースバンド信号に対して前記フーリエ変換処理が施されることで生成される前記フーリエ変換信号の信号レベルが急激に減少する周波数を上端周波数として決定し、
    前記変更手段は、前記ハニング窓の平方根を用いた前記窓掛け処理が施された前記ベースバンド信号に対して前記フーリエ変換処理が施されることで生成される前記フーリエ変換信号のうち、前記上端周波数に応じて規定される帯域の信号成分のレベルが増大し、且つ前記ハニング窓の平方根を用いた前記窓掛け処理が施された前記ベースバンド信号に対して前記フーリエ変換処理が施されることで生成される前記フーリエ変換信号のうち、前記上端周波数に応じて規定される帯域の信号成分以外の信号成分のレベルが0になるように前記フーリエ変換信号のレベルを変更することを特徴とする請求の範囲第8項に記載の帯域制限装置。
  11. 前記ベースバンド信号を、複数のブロックであって且つ前記複数のブロックの夫々の一部が隣接するブロックと重複する複数のブロックに分割する分割手段を更に備え、
    前記第2生成手段は、前記複数のブロックに分割されたベースバンド信号に対して、ハニング窓の平方根を用いた窓掛け処理を施す窓掛け手段を更に備え、
    前記フーリエ変換手段は、前記ハニング窓の平方根を用いた前記窓掛け処理が施された前記ベースバンド信号の夫々に前記フーリエ変換処理を施し、
    前記決定手段は、前記ハニング窓の平方根を用いた前記窓掛け処理が施された前記ベースバンド信号に対して前記フーリエ変換処理が施されることで生成される前記フーリエ変換信号の信号レベルが急激に減少する周波数を上端周波数として決定し、
    前記変更手段は、前記ハニング窓の平方根を用いた前記窓掛け処理が施された前記ベースバンド信号に対して前記フーリエ変換処理が施されることで生成される前記フーリエ変換信号のうち、前記上端周波数に応じて規定される帯域の信号成分のレベルが増大し、且つ前記ハニング窓の平方根を用いた前記窓掛け処理が施された前記ベースバンド信号に対して前記フーリエ変換処理が施されることで生成される前記フーリエ変換信号のうち、前記上端周波数に応じて規定される帯域の信号成分以外の信号成分のレベルが0になるように前記フーリエ変換信号のレベルを変更することを特徴とする請求の範囲第8項に記載の帯域制限装置。
  12. 前記第2生成手段を複数備えており、
    前記複数の第2生成手段のうちの一の第2生成手段は、前記複数の第2生成手段のうち当該一の第2生成手段以外の第2生成手段の少なくとも1つにより生成される前記高域信号と該高域信号の位相を略π/2移相させた信号とに基づいて、新たな高域信号を生成することを特徴とする請求の範囲第1項に記載の帯域制限装置。
  13. 入力信号をアップサンプリングした後に低域通過フィルタを通過させることで、ベースバンド信号を生成する第1生成工程と、
    前記ベースバンド信号のうちの所定の帯域の信号成分である帯域制限信号と、該帯域制限信号の位相を略π/2移相させた信号である移相信号とに基づいて、前記入力信号に対応する信号成分であって、且つ前記入力信号よりも高域側の信号成分である高域信号を生成する第2生成工程と、
    前記高域信号を前記ベースバンド信号に加算することで出力信号を生成する第3生成工程と
    を備えることを特徴とする帯域拡張方法。
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