JP2007279581A - オーディオ信号処理装置,オーディオ信号処理方法,プログラムおよび記憶媒体 - Google Patents

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Abstract

【課題】 簡易な構成で整数次の高調波を付加することにより,音声圧縮によって欠落した倍音成分を補完し,聴感上好ましい音声を得ることが可能となる。
【解決手段】 本発明によるオーディオ信号処理装置は,デジタルオーディオ信号をそれぞれ異なる整数でべき乗した整数次高調波を出力する1または2以上の整数次乗算器112と,デジタルオーディオ信号および整数次乗算器の出力信号に,それぞれ任意の定数を乗算する1または2以上の定数乗算器114と,定数乗算器の出力信号を順次加算する1または2以上の加算器116と,加算器の最終段の出力信号と,デジタルオーディオ信号とを乗算する信号乗算器118と,信号乗算器の出力信号の利得を調整する利得乗算器120とを備えることを特徴としている。
【選択図】 図1

Description

本発明は,デジタルオーディオ信号を加工処理するオーディオ信号処理装置,オーディオ信号処理方法,プログラムおよび記憶媒体に関する。
コンピュータの処理速度の高速化およびメモリの記憶容量の増大化により,近年,アナログオーディオ信号を一旦デジタル化して,様々な加工を施し,所望するデジタルオーディオ信号を生成することが可能となった。
その一例として,デジタル化されたデジタルオーディオ信号から高調波を生成し,そのデジタルオーディオ信号に重ねることで,デジタルオーディオ信号の高域成分を再現する技術が知られている(例えば,特許文献1,2)。
しかし,上記の技術は,デジタルオーディオ信号の周波数帯域を単に拡張することを目的とし,デジタルオーディオ信号の周波数帯域以上の周波数を持つ高調波を付加しているだけで,デジタルオーディオ信号の周波数帯域内にある高調波成分を付加していない。
このような技術の下では,圧縮音声において省略されたデジタルオーディオ信号の周波数帯域内の倍音成分を復活することができず,対象となる音声によっては,聴感上好ましくなるという効果を得ることができなかった。
他にも,デジタルオーディオ信号の周波数帯域内にある高調波成分を付加して,周波数帯域を広げ,高音成分を増幅する技術が知られている(例えば,特許文献3,4)。かかる技術でも,圧縮音声において省略されたデジタルオーディオ信号の周波数帯域内の倍音成分を復活することができず,また,各高調波の利得を個別に調整する機構を有していないので,音質の微調整を行うことができなかった。
特開平2−311006号公報 特開2005−33245号公報 特開平5−266582号公報 特表2005−501278号公報
本発明は,従来のデジタルオーディオ信号処理技術が有する上記問題点に鑑みてなされたものであり,本発明の目的は,簡易な構成で整数次の高調波を付加することにより,音声圧縮によって欠落した倍音成分を補完し,聴感上好ましい音声を得ることが可能な,新規かつ改良されたオーディオ信号処理装置,オーディオ信号処理方法,プログラムおよび記憶媒体を提供することである。
上記課題を解決するために,本発明のある観点によれば,デジタルオーディオ信号をそれぞれ異なる整数でべき乗した整数次高調波を出力する1または2以上の整数次乗算器と;上記デジタルオーディオ信号および上記整数次乗算器の出力信号に,それぞれ任意の定数を乗算する1または2以上の定数乗算器と;上記定数乗算器の出力信号を順次加算する1または2以上の加算器と;上記加算器の最終段の出力信号と,上記デジタルオーディオ信号とを乗算する信号乗算器と;上記信号乗算器の出力信号の利得を調整する利得乗算器と;を備えることを特徴とする,オーディオ信号処理装置が提供される。
本発明では,フーリエ変換等を介さずに,簡易な構成で整数次高調波の付加処理が実現されるので,低消費電力化,高速処理化,低コスト化,また回路で構成すれば小型化を図ることができる。また,デジタルオーディオ信号の周波数帯域内の全ての成分を含む整数次高調波を,元となるデジタルオーディオ信号に付加しているので,音声圧縮により欠落した倍音成分を補完し,聴感上好ましい音声を得ることが可能となる。
また,定数乗算器により,それぞれの整数次高調波に任意の定数を乗算することができ,高調波を単一の構成で生成する場合と比較して,各高調波の比を個々に設定できるので自由度が高くなり,聴感上さらに好ましい音声を得ることが可能となる。
上記1または2以上の整数次乗算器は,前段の整数次乗算器の出力信号と上記デジタルオーディオ信号とを乗算することで順次高い整数次高調波を出力するとしてもよい。
かかる構成により,複数の整数次高調波を簡易な構成で形成することができ,当該オーディオ信号処理装置をさらに低消費電力化,高速処理化,低コスト化,小型化することができる。
入力段で,上記デジタルオーディオ信号のサンプル語長を拡張する語長拡張部と;上記利得乗算器の出力信号のサンプル語長を縮小する語長縮小部と;をさらに備えるとしてもよい。
語長拡張部は,入力されたデジタルオーディオ信号のサンプル語長(ビット長)を拡張する。こうしてデジタルオーディオ信号の分解能が上がり,フィルタ処理や高調波生成処理の演算精度を向上することができる。また,語長縮小部においてサンプル語長を縮小しているので,最終的には必要とされる出力のサンプル語長に合わせることができる。
入力段で,上記デジタルオーディオ信号をアップサンプルするアップサンプラと;上記利得乗算器の出力信号をダウンサンプルするダウンサンプラと;をさらに備えるとしてもよい。
アップサンプラは,元のサンプリング周波数を整数倍に上げる。逆にダウンサンプラは,周波数を整数倍に下げる。上記アップサンプラとダウンサンプラの構成により,当該オーディオ信号処理装置内では高いサンプリング周波数に基づいた処理が可能となる。
上記利得乗算器の出力信号の高周波数帯域を制限する低域通過フィルタ(LPF:Low Pass Filter)をさらに備えるとしてもよい。かかる低域通過フィルタは,上記アップサンプラに伴って付加される。ここで,低域通過フィルタの遮断周波数を,アップサンプル前のサンプリング周波数の1/2とすることができる。
かかる構成により,アップサンプリングによって拡張された周波数帯域に発生するエイリアシングノイズを防止または軽減しつつ,音声圧縮により欠落したデジタルオーディオ信号の周波数帯域内の倍音成分を補完することが可能となる。
上記オーディオ信号処理装置は,複数の構成要素の集合体で表されるが,各構成要素が単体の装置に属する必要はない。また,上記構成要素は,電気回路もしくはコンピュータ上の機能モジュールとして機能するとしてもよい。さらに,上記構成要素間の接続は,直接接続に加え,他の構成要素を介して間接的に接続されている場合を含む。
コンピュータを,上記オーディオ信号処理装置として機能させるプログラムや,そのプログラムを記憶した,コンピュータで読み取り可能な記憶媒体も提供される。
また,上記オーディオ信号処理装置を利用して,デジタルオーディオ信号をそれぞれ異なる整数でべき乗した整数次高調波を出力する整数次乗算ステップと;上記デジタルオーディオ信号および上記整数次乗算ステップによる出力信号に,それぞれ任意の定数を乗算する定数乗算ステップと;上記定数乗算ステップによる出力信号を順次加算する加算ステップと;上記加算器の最終段の出力信号と,上記デジタルオーディオ信号とを乗算する信号乗算ステップと;上記信号乗算ステップによる出力信号の利得を調整する利得乗算ステップと;を含むことを特徴とする,オーディオ信号処理方法も提供される。
上述したオーディオ信号処理装置における従属項に対応する構成要素やその説明は,オーディオ信号処理方法,プログラムおよび記憶媒体にも適用可能である。
以上説明したように本発明によれば,簡易な構成で,デジタルオーディオ信号の周波数帯域内の周波数を含む整数次の高調波を,元のデジタルオーディオ信号に付加することができる。従って,音声圧縮によって欠落した倍音成分を補完でき,聴感上好ましい音声を得ることが可能となる。
以下に添付図面を参照しながら,本発明の好適な実施の形態について詳細に説明する。なお,本明細書及び図面において,実質的に同一の機能構成を有する構成要素については,同一の符号を付することにより重複説明を省略する。
「「MPEG digital audio coding」Noll, P.;(Signal Processing Magazine, IEEE, Volume 14,Issue 5,Sept.1997Page(s):59〜81)」に示されているように,MP3(MPEG Audio Layer−3)等の不可逆圧縮音声においては,知覚符号化処理であるAuditory MaskingやPerceptual Coding等の処理によって,音圧の低い高調波成分が省略される。
また,これら圧縮音声は,「「Perceptual analysis related to MPEG1-layer3 coding system」Alarcon, S.S.;(Web Delivering of Music, 2002. WEDELMUSIC 2002. Proceedings. Second International Conference on9~11 Dec. 2002, IEEE, Page(s):230)」に示されるように,PCM(Pulse Code Modulation)等の非圧縮音声に比べ,特に「オーディオファイル」と呼ばれる音楽の専門家等から,音質的に劣るという評価を受けている。
一方,従来の真空管アンプ等の聴感評価は高く,整数次高調波,特に2次高調波を多く含んだ音声が聴感上好ましい効果をもたらすことが知られている。例えば,「「The cool sound of tubes [vacuum tube musical applications]」Barbour, E.;(Spectrum, IEEE Volume 35, Issue 8, Aug. 1998 Page(s):24〜35)」によると,上記のような整数次高調波を含んだ音声は,「音がクリーンである」「音がなめらかである」等の評価を受けている。
このような背景から,デジタルオーディオ信号から高調波を生成し,元となるデジタルオーディオ信号にその高調波を重ねることにより,デジタルオーディオ信号の聴感上の音声を改善することが検討されている。
しかし,デジタルオーディオ信号の周波数帯域を単に拡張することを目的とした処理では,生成された高調波のうち,デジタルオーディオ信号の周波数帯域以上の周波数(例えば16kHz以上)の高調波のみが付加され,デジタルオーディオ信号の周波数帯域内にある高調波の周波数成分は付加されない。
例えば,デジタルオーディオ信号のサンプリング周波数を44.1kHzとした場合において,基音2kHzのバイオリンの音の倍音(2次高調波)成分は4kHzであり,デジタルオーディオ信号の周波数帯域以上の周波数の高調波のみを付加する上記従来の技術では,この周波数成分は付加されずに除去されてしまう。圧縮音声においては,このようなデジタルオーディオ信号の周波数帯域内の倍音成分も往々にして省略されるので,結局,倍音成分は残らず,バイオリンの音の聴感上の音声の改善を得ることはできない。
本発明の実施形態では,デジタルオーディオ信号の周波数帯域内の成分をほぼ全て含む整数次高調波を,元となるデジタルオーディオ信号に付加することによって,音声圧縮により欠落した倍音成分を補完し,聴感上好ましい音声を得ることが可能となる。以下,本実施形態のオーディオ信号処理装置を詳述する。
まず,本実施形態の説明に先立って,元となるデジタルオーディオ信号に2次高調波を付加する構成を説明する。かかるデジタルオーディオ信号の加工は,数式1によって実現される。
Figure 2007279581
ここで,xは入力,yは出力,Gはオーディオ信号処理装置10全体の利得,εは2次高調波の利得を示し,Gは1以下の数値であるのに対し,εは,0.01等の小さい値で表される。
図4は,数式1を実現するためのオーディオ信号処理装置10の概略的な構成を示した機能ブロック図である。上記オーディオ信号処理装置10は,乗算器12,14,18と,加算器16を含んで構成される。
まず,乗算器12は,デジタルオーディオ信号xの入力を二乗し,xを生成する。そして,乗算器14において,2次高調波の利得εを乗算してε・xを生成する。
そして,加算器16は,原信号であるデジタルオーディオ信号xと,2次高調波ε・xとを加算し,(x+ε・x)を生成する。最後に乗算器18がデジタルオーディオ信号全体の利得Gを乗算して,所望の出力yを得ることができる。
(第1の実施形態:オーディオ信号処理装置100)
この数式1に基づくオーディオ信号処理装置10では,2次高調波のみを付加し,他の整数次の高調波は付加されていない。第1の実施形態におけるオーディオ信号処理装置100は,この2次高調波だけでなく,偶数次と奇数次の高調波を混合して原信号に付加し,聴感上好ましい音声を生成する。
この偶数次の高調波と奇数次の高調波の関係を定式化することは難しいが,一般に,偶数次の高調波を付加した音声は,温かく,または柔らかく,心地良い音声になり,奇数次の高調波を付加した音声は,ブライトでシャープな音声になると言われている。このような偶数次の高調波と奇数時の高調波の混合比を微調整できれば,例えば,真空アンプによる真空管特有の音を生成することが可能となる。
そこで,奇数次および偶数次の高調波を双方含む整数次の高調波を各々個別に調整できるように数式1を変形すると,
Figure 2007279581
数式2を得る。ここで,xは入力,yは出力,Gはオーディオ信号処理装置全体の利得,ε1…nは整数次高調波xそれぞれの利得を,nは整数を示す。
上記数式2を満たす回路を考えた場合,まず,原信号xと高調波x,x,…,xn+1とをそれぞれ乗算器で生成し,最後にその出力同士を加算器で加算することが考えられる。しかし,高調波を生成するのに必要な乗算器は次数に応じた個数分だけ必要であり,例えば,高調波xを原信号に分解すると(x・x)・(x・x)となり,高調波xを生成するために,乗算器が3つ必要であることが分かる。
このような問題に鑑みて,本実施形態では,複数の整数次高調波を簡易な構成で形成し,オーディオ信号処理装置を低消費電力化,高速処理化,低コスト化,小型化することができる。
ここでは,数式2を変形した数式3が利用される。
Figure 2007279581
図1は,上記導出された数式3を実現するためのオーディオ信号処理装置100の概略的な構成を示した機能ブロック図である。上記オーディオ信号処理装置100は,語長拡張部110と,整数次乗算器112と,定数乗算器114と,加算器116と,信号乗算器118と,利得乗算器120と,語長縮小部126とを含んで構成される。
当該オーディオ信号処理装置100は,デジタルオーディオ信号が入力され,整数次高調波を原信号に付加する処理を施して出力する。かかるデジタルオーディオ信号は,CD,MD,MP3プレーヤー等のデジタルオーディオプレーヤー,または任意のデジタルオーディオ信号処理回路から出力される音声信号である。また,デジタルオーディオ信号は,上記の信号に限らず,アナログレコードプレーヤーやカセットデッキ等のアナログ音声出力,あるいはデジタルオーディオプレーヤーのアナログ音声出力によるアナログ信号をA/D変換した音声であってもよい。
上記語長拡張部110は,当該オーディオ信号処理装置100の外部から入力されたデジタルオーディオ信号のサンプル語長を拡張して整数次乗算器112,定数乗算器114,信号乗算器118にそれぞれ送信する。入力されたデジタルオーディオ信号が16ビットで形成される場合,その語長を例えば32ビットに拡張する。こうしてデジタルオーディオ信号の分解能が上がり,後段の乗算器における演算精度を向上することができる。
上記整数次乗算器112は,1または2以上の乗算器から構成され,デジタルオーディオ信号をそれぞれ異なる整数でべき乗した整数次高調波を出力する。ここでは,それぞれの整数次高調波を独立して生成せず,低次の高調波を利用して高次の高調波を生成している。即ち,整数次乗算器112は,前段の整数次乗算器112の出力信号とデジタルオーディオ信号とを乗算することで順次高い整数次高調波を出力している。
かかる整数次の高調波の生成段階は,以下の数式4で表すことができる。
Figure 2007279581
本実施形態による整数次乗算器112においては,数式4に示したように,2次の高調波が一度生成されると,3次の高調波が2次の高調波と原信号とによって生成され,4次の高調波がその生成された3次の高調波と原信号とによって生成される。このような繰り返し演算によって,n次までの整数次高調波を網羅することができる。
上記定数乗算器114は,1または2以上の乗算器から構成され,原信号であるデジタルオーディオ信号および整数次乗算器112の出力信号に,それぞれ任意の定数ε,ε,ε,…,εを乗算する。かかるεは,非線形増幅の非線形性の強さを表す。乗算結果として,それぞれεx,ε,ε,…,εの信号が出力される。
この定数ε,ε,ε,…,εは,利用者によって個々に設定されてもよいし,それぞれ所定の定数ε,ε,ε,…,εからなる複数のパターンが予めプリセットされ,その中から選択するとしてもよい。
このように,それぞれ独立したライン(整数次乗算器112,定数乗算器114の組合せ)を設けて高調波を生成する構成では,各次数の高調波を個別に調整することができ,付加する高調波の比率を自由に選択することができる。また,各高調波がエイリアシングノイズとならない最大の周波数領域でデジタルオーディオ信号を有効に活用できる。従って,単一のラインで複数の高調波を生成する場合と比較すると,設定の自由度が高く,原信号を有効に活用できるので,聴感上さらに好ましい音声を得ることが可能となる。
上記加算器116は,定数1と,定数乗算器114の出力信号εx,ε,ε,…,εを順次加算し,1+εx+ε+ε+…+εを導出する。
上記信号乗算器118は,加算器116の最終段の出力信号(1+εx+ε+ε+…+ε)と,原信号であるデジタルオーディオ信号xとを乗算し,x(1+εx+ε+ε+…+ε)を導出する。
上記利得乗算器120は,当該利得乗算器120の出力がゲインオーバーを起こさないように調整された利得Gを,信号乗算器118の出力信号x(1+εx+ε+ε+…+ε)に乗算する。このようにして,数式3を満たす出力を得ることができる。
上記語長縮小部126は,利得乗算器120からの信号のサンプル語長を縮小する。上述したように,語長拡張部110は,当該オーディオ信号処理装置100の外部から入力されたデジタルオーディオ信号のサンプル語長を拡張している。従って,オーディオ信号処理装置100内で処理されているサンプル語長と,必要とされる出力のサンプル語長が相違する場合がある。語長縮小部126は,出力フォーマットに合わせてサンプル語長を縮小する。また,出力先が拡張したサンプル語長を許容する場合,当該語長縮小部126を省略することもできる。
本実施形態におけるオーディオ信号処理装置100は,このような整数次乗算器112,定数乗算器114,加算器116の組合せを複数段設けることによって構成される。従って,高次の高調波が必要な場合であっても,その高調波の次数分だけ上記整数次乗算器112,定数乗算器114,加算器116の組合せを追加するだけで,音声圧縮によって欠落した倍音成分の補完を実現できる。
具体的には,音声圧縮によって欠落した倍音成分を新たに創作,付加することで音声を加工し,特に,音声圧縮前の元の音声に近づけることを目的としている。また,上述したように,奇数次と偶数次の高調波の比率を変え,柔らかく,心地良い音声にしたり,ブライトでシャープな音声にしたりして,任意の音質を強調することもできる。従って,偶数次と奇数時の高調波の混合比を微調整して,真空アンプによる真空管特有の音を生成することも可能となる。
上述した各構成要素は,電気回路(ハードウェア)で形成されてもよいし,コンピュータ上の機能モジュール(ソフトウェア)として機能するとしてもよい。また,コンピュータをオーディオ信号処理装置100として機能させるプログラムやそのプログラムを記憶した,コンピュータで読み取り可能な記憶媒体も提供される。
(オーディオ信号処理方法)
また,上述したオーディオ信号処理装置100を利用して,デジタルオーディオ信号を加工処理するオーディオ信号処理方法も提供される。
図2は,オーディオ信号処理方法の処理の流れを示したフローチャートである。まず,オーディオ信号処理装置100は,入力されたデジタルオーディオ信号のサンプル語長を拡張して,整数次乗算器112,定数乗算器114,信号乗算器118に送信する(S200)。
続いて,整数次乗算器112は,まず,デジタルオーディオ信号同士を乗算し,その乗算した結果を順次デジタルオーディオ信号と繰り返し乗算して,1または2以上の整数次高調波を生成する(S202)。定数乗算器114は,原信号であるデジタルオーディオ信号および上記ステップ(S202)で生成された整数次高調波に,それぞれ任意の定数ε,ε,ε,…,εを乗算する(S204)。
そして,加算器116は,定数1と,定数乗算器114の出力信号εx,ε,ε,…,εを順次加算し(S206),信号乗算器118は,その加算器116の最終段の出力信号(1+εx+ε+ε+…+ε)と,原信号であるデジタルオーディオ信号とを乗算する(S208)。
次に,利得乗算器120は,利得乗算器120の出力がゲインオーバーを起こさないように調整された利得Gを信号乗算器118の出力信号に乗算し(S210),語長縮小部126は,語長拡張部110によって拡張されたサンプル語長を元の語長に縮小する(S212)。
かかるオーディオ信号処理方法によっても,整数次高調波を原デジタルオーディオ信号に付加することで,音声圧縮によって欠落した倍音成分を補完でき,聴感上好ましい音声を得ることが可能となる。
(第2の実施形態:オーディオ信号処理装置300)
第2の実施形態では,オーディオ信号処理装置の内部処理におけるサンプリング周波数を高くして,フィルタ処理等の計算処理精度を高める。
図3は,第2の実施形態によるオーディオ信号処理装置300の概略的な構成を示した機能ブロック図である。上記オーディオ信号処理装置300は,語長拡張部110と,アップサンプラ310と,整数次乗算器112と,定数乗算器114と,加算器116と,信号乗算器118と,利得乗算器120と,低域通過フィルタ312と,ダウンサンプラ314と,語長縮小部126とを含んで構成される。
第1の実施形態における構成要素として既に述べた語長拡張部110と,整数次乗算器112と,定数乗算器114と,加算器116と,信号乗算器118と,利得乗算器120と,語長縮小部126とは,実質的に機能が同一なので重複説明を省略し,ここでは,アップサンプラ310と,低域通過フィルタ312と,ダウンサンプラ314とを主に説明する。
上記アップサンプラ310は,語長拡張部110からのデジタルオーディオ信号をアップサンプルして整数次乗算器112,定数乗算器114,信号乗算器118にそれぞれ送信する。かかるアップサンプラ310としては,ポリフェイズフィルタ等の補間用フィルタを用いることができる。
このアップサンプラ310により,当該オーディオ信号処理装置300内では,原信号より高いサンプリング周波数に基づいた処理が可能となる。例えば,アップサンプラ310のアップサンプルレートを2倍とすると,原デジタルオーディオ信号のサンプリング周波数fは,2×fにアップサンプルされる。このアップサンプラ310の前段において既にサンプリング周波数が拡張されている場合,かかるアップサンプル310を省略することができる。ここで,デジタルオーディオ信号のサンプリング周波数は,オーディオ信号をアナログ信号からデジタル信号に変換する際のサンプリング周波数を言う。
上記低域通過フィルタ312は,利得乗算器120の出力信号の高周波数帯域を制限し,低周波数帯域のみ通過させる。アップサンプラ310を含むオーディオ信号処理装置100を介して非線形増幅を行うと,原信号の周波数成分は高くなる。例えば,高調波が2次の高調波の場合,原信号における周波数f/4以上の周波数成分が,3次の高調波の場合,周波数f/6以上の周波数成分が,同様にn次の高調波の場合,f/2n以上の周波数成分がナイキストリミットを越え,エイリアシングノイズとなってしまう。
このエイリアシングノイズを防ぐために,非線形増幅の最高次数をNとして,N倍以上のアップサンプルを行う必要がある。従って,アップサンプラ310は,L≧N(L,Nは整数)となるアップサンプルレートLを満たさなければならない。
また,低域通過フィルタ312は,アップサンプラ310の周波数帯域の上記のアップサンプルに応じて,エイリアシングノイズとなる,f/2を超える周波数成分を最終的に除去もしくは削減して,エイリアシングノイズを抑制する。このときの遮断周波数f/2は,アップサンプル前のサンプリング周波数がfの場合であり,サンプリング周波数がN×fの場合,低域通過フィルタ312を省略することができる。
上記低域通過フィルタ312を実施する場合f/2以上の周波数成分は,低域通過フィルタ312により取り除かれるが,f/2以下のデジタルオーディオ信号の周波数帯域の成分は残っており,また,その成分自体の高調波も生成されるため,音声圧縮により欠落した倍音成分を補完することが可能となる。
上記ダウンサンプラ314は,低域通過フィルタ312からの信号をダウンサンプルする。例えば,当該オーディオ信号処理装置300がデジタルオーディオ信号の中継装置として機能する場合,入力と出力のサンプリング周波数は等しくなければならない。ここで,当該オーディオ信号処理装置300の出力フォーマットが,高いサンプリング周波数を許容できる場合,必要に応じてダウンサンプラ314を省略することが可能である。また,ダウンサンプラ314は,低域通過フィルタ312と一体形成され,高域の周波数成分を制限するとしてもよい。
上述した第1,2の実施形態によるオーディオ信号処理装置100,300では,デジタルオーディオ信号に整数次高調波が付加され,これによって,音声圧縮によって失われた倍音成分が補完される。このような処理によって生成されたデジタルオーディオ信号は,聴感上好ましくなる効果,例えば,「音がクリーンである」「音がなめらかである」等の効果を得ることができる。また,デジタルオーディオ信号が圧縮音声でなかったとしても,上記整数次高調波を付加する構成により,聴感上好ましくなる効果が得られる。
また,上述した実施形態のオーディオ信号処理装置は,基本的に,デジタルフィルタとメモリのみで構成することができるため,フーリエ変換を利用するような複雑なアルゴリズムを適用する場合に比べ,少ない処理量で目的を達成することができ,必要とされるシステム資源,実装コストの点でも非常に有利である。
以上,添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について説明したが,本発明は係る例に限定されないことは言うまでもない。当業者であれば,特許請求の範囲に記載された範疇内において,各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり,それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
例えば,上述した実施形態においては,フィルタ処理を高速で実現可能なコンピュータを例に挙げているが,ポータブルオーディオプレーヤーやシステムステレオ等の比較的小型で安価なデジタルオーディオ機器でも本実施形態を適用することが可能である。この場合,高価かつ容積をとる真空管アンプ等を用いなくても,比較的小規模のデジタル回路の追加のみで,「クリーン」「なめらか」といった真空管アンプに類似した好ましい特徴の音色を得ることができる。その他にも,原理上全てのデジタルオーディオを用いた機器に適用できるため,カーオーディオ,デジタルテレビ,ホームシアターシステム等,極めて広い範囲の電子機器に応用することができる。
なお,本明細書のオーディオ信号処理方法における各工程は,必ずしもフローチャートとして記載された順序に沿って時系列に処理する必要はなく,並列的あるいは個別に実行される処理(例えば,並列処理あるいはオブジェクトによる処理)も含むとしても良い。
第1の実施形態によるオーディオ信号処理装置の概略的な構成を示した機能ブロック図である。 オーディオ信号処理方法の処理の流れを示したフローチャートである。 第2の実施形態によるオーディオ信号処理装置の概略的な構成を示した機能ブロック図である。 オーディオ信号処理装置の概略的な構成を示した機能ブロック図である。
符号の説明
10,100,300 オーディオ信号処理装置
16,116 加算器
110 語長拡張部
112 整数次乗算器
114 定数乗算器
118 信号乗算器
120 利得乗算器
310 アップサンプラ
312 低域通過フィルタ
314 ダウンサンプラ

Claims (9)

  1. デジタルオーディオ信号をそれぞれ異なる整数でべき乗した整数次高調波を出力する1または2以上の整数次乗算器と;
    前記デジタルオーディオ信号および前記整数次乗算器の出力信号に,それぞれ任意の定数を乗算する1または2以上の定数乗算器と;
    前記定数乗算器の出力信号を順次加算する1または2以上の加算器と;
    前記加算器の最終段の出力信号と,前記デジタルオーディオ信号とを乗算する信号乗算器と;
    前記信号乗算器の出力信号の利得を調整する利得乗算器と;
    を備えることを特徴とする,オーディオ信号処理装置。
  2. 前記1または2以上の整数次乗算器は,前段の整数次乗算器の出力信号と前記デジタルオーディオ信号とを乗算することで順次高い整数次高調波を出力するように構成されることを特徴とする,請求項1に記載のオーディオ信号処理装置。
  3. 入力段で,前記デジタルオーディオ信号のサンプル語長を拡張する語長拡張部と;
    前記利得乗算器の出力信号のサンプル語長を縮小する語長縮小部と;
    をさらに備えることを特徴とする,請求項1に記載のオーディオ信号処理装置。
  4. 入力段で,前記デジタルオーディオ信号をアップサンプルするアップサンプラと;
    前記利得乗算器の出力信号をダウンサンプルするダウンサンプラと;
    をさらに備えることを特徴とする,請求項1に記載のオーディオ信号処理装置。
  5. 前記利得乗算器の出力信号の高周波数帯域を制限する低域通過フィルタをさらに備えることを特徴とする,請求項1に記載のオーディオ信号処理装置。
  6. 前記低域通過フィルタの遮断周波数は,前記デジタルオーディオ信号のサンプリング周波数の1/2であることを特徴とする,請求項5に記載のオーディオ信号処理装置。
  7. コンピュータを,
    デジタルオーディオ信号をそれぞれ異なる整数でべき乗した整数次高調波を出力する1または2以上の整数次乗算器と;
    前記デジタルオーディオ信号および前記整数次乗算器の出力信号に,それぞれ任意の定数を乗算する1または2以上の定数乗算器と;
    前記定数乗算器の出力信号を順次加算する1または2以上の加算器と;
    前記加算器の最終段の出力信号と,前記デジタルオーディオ信号とを乗算する信号乗算器と;
    前記信号乗算器の出力信号の利得を調整する利得乗算器と;
    して機能させることを特徴とする,プログラム。
  8. コンピュータを,
    デジタルオーディオ信号をそれぞれ異なる整数でべき乗した整数次高調波を出力する1または2以上の整数次乗算器と;
    前記デジタルオーディオ信号および前記整数次乗算器の出力信号に,それぞれ任意の定数を乗算する1または2以上の定数乗算器と;
    前記定数乗算器の出力信号を順次加算する1または2以上の加算器と;
    前記加算器の最終段の出力信号と,前記デジタルオーディオ信号とを乗算する信号乗算器と;
    前記信号乗算器の出力信号の利得を調整する利得乗算器と;
    して機能させるプログラムを記憶した,記憶媒体。
  9. デジタルオーディオ信号をそれぞれ異なる整数でべき乗した整数次高調波を出力する整数次乗算ステップと;
    前記デジタルオーディオ信号および前記整数次乗算ステップによる出力信号に,それぞれ任意の定数を乗算する定数乗算ステップと;
    前記定数乗算ステップによる出力信号を順次加算する加算ステップと;
    前記加算器の最終段の出力信号と,前記デジタルオーディオ信号とを乗算する信号乗算ステップと;
    前記信号乗算ステップによる出力信号の利得を調整する利得乗算ステップと;
    を含むことを特徴とする,オーディオ信号処理方法。
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