JPWO2008012974A1 - 新規イミダゾリジノン誘導体とその製造方法及び光学活性アミノ酸の製造方法 - Google Patents

新規イミダゾリジノン誘導体とその製造方法及び光学活性アミノ酸の製造方法 Download PDF

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Abstract

本願は、光学活性アミノ酸合成に汎用的に使用できる、新規光学活性イミダゾリジノン誘導体、および当該誘導体を簡便に製造できる方法を提供し、更に当該誘導体を利用した、光学活性アミノ酸の簡便な製造方法を提供することを課題とする。この課題は、一般式(3)等で表される新規光学活性イミダゾリジノン誘導体を利用して光学活性アミノ酸を製造することにより解決される。本願発明にかかる方法によれば、イミダゾリジノン誘導体異性体混合物から、優先晶析によって光学活性イミダゾリジノン誘導体を取得できる。このため、従来法で必要な、ジアステレオマー塩分割、光学活性アミノ酸からの誘導、またはシリカゲルカラムによる異性体分離といった煩雑な操作が必要ではなく、簡便かつ立体選択的に光学活性アミノ酸を製造できる。

Description

本発明は、光学活性アミノ酸の製造に有用なキラルグリシンシントンである、光学活性イミダゾリジノン誘導体に関する。また当該誘導体の合成法、並びに当該誘導体を利用した光学活性アミノ酸の製造法に関する。光学活性アミノ酸は、医薬品、農薬、化成品等の製造上重要な中間体である。
光学活性アミノ酸、特に天然に存在しない非天然型光学活性アミノ酸は、医薬品、農薬、化成品等の重要な構成要素である。このような非天然型アミノ酸を合成するために開発された、キラルグリシンシントンとしての光学活性イミダゾリジノン誘導体に関しては、従来以下のような合成方法が知られている。
i)グリシンアミド誘導体とピバルアルデヒドから合成する方法(非特許文献1)
ii)光学活性セリンアミド誘導体とピバルアルデヒドから合成する方法(非特許文献2)
iii)光学活性メチオニンアミド誘導体とピバルアルデヒドから合成する方法(非特許文献3)
iv)キラルグリシンアミド誘導体とピバルアルデヒドから合成する方法(非特許文献4)
しかしながらi)の方法では、生成した光学異性体をマンデル酸塩として分割するため、必然的に造塩−解塩工程が必要であり、工業的に実施し難い形態であった。またii)の方法では、光学活性なセリンを用いるため、イミダゾリジノン環を合成後、このヒドロキシメチル基を酸化・脱炭酸する必要があり、やはり工業的に実施しにくい形態である。更にiii)の方法も、光学活性メチオニンからii)と同様に複数工程の誘導を経るために煩雑な操作を必要とし、工業的な実施が困難な形態である。iv)の方法では、光学活性グリシンアミドを用いるため、生成するイミダゾリジノン誘導体は異性体混合物として得られるが、この異性体混合物をシリカゲルカラム精製して純粋な単一異性体を得る必要があり、同様に工業的実施は困難である。またこれらi)〜iv)に共通して用いられるピバルアルデヒドは、高価な化合物であり、工業的規模での使用は実施し難い形態である。
Angew. Chem. Int. Ed., 1986, 345 Helv. Chim. Acta., 1985, 68, 949 Modern Synthetic Methods, 1986, 4, 128 J. Org. Chem., 1995, 60, 6408.
本発明の目的は、上記現状に鑑み、ジアステレオマー塩分割、または光学活性アミノ酸からの誘導、シリカゲルカラムによる異性体分離といった、煩雑な操作を実施することなく、光学活性アミノ酸合成に汎用的に使用できる、光学活性イミダゾリジノン誘導体を提供することである。また当該誘導体を簡便に製造できる方法を提供するものである。更に当該誘導体を利用し、光学活性アミノ酸を簡便に製造する方法を提供するものである。
本発明者らは、かかる課題を解決するため鋭意検討を行い、新規なイミダゾリジノン誘導体異性体混合物を製造した。そして当該誘導体異性体混合物溶液から、いずれか1つの異性体を優先的に結晶化させることによって、光学活性な当該イミダゾリジノン誘導体が単離精製できることを見出した。さらに優先結晶化の際に異性化が進行し、動的速度論分割により単一異性体を取得できることを見出した。また当該光学活性誘導体を利用して、光学活性アミノ酸が合成できることを見出し、本発明を完成させるに至った。
すなわち本発明は、一般式(1)
Figure 2008012974
(式中、n、mは独立して、それぞれベンゼン環の置換基R1、R2の数を表す0〜5の整数であり、R1、R2は独立して、置換されていてもよい炭素数1〜18のアルキル基、置換されていてもよい炭素数7〜18のアラルキル基、置換されていてもよい炭素数6〜18のアリール基、ハロゲン原子、ヒドロキシル基、置換されていてもよい炭素数1〜18のアルコキシ基、ニトロ基を示す。R1、R2が複数個ある場合は、すべて同一であってもよいし、異なっていてもよい。*1、*2は不斉炭素原子を示す)で表されるイミダゾリジノン誘導体又はその光学活性体に関する。
また、本発明は、一般式(2)
Figure 2008012974
(式中、n、m、R1、R2、*1、*2は前記と同じ。R3は置換されていてもよい炭素数1〜18のアルキル基、置換されていてもよい炭素数2〜18のアルケニル基、置換されていてもよい炭素数2〜18のアルキニル基、置換されていてもよい炭素数7〜18のアラルキル基、置換されていてもよい炭素数6〜18のアリール基を示す)で表されるイミダゾリジノン誘導体又はその光学活性体に関する。
また、本発明は、一般式(3)
Figure 2008012974
(式中、n、m、R1、R2、R3、*1、*2は前記と同じ。R4、R5は異なって、水素原子、置換されていてもよい炭素数1〜30のアルキル基、置換されていてもよい炭素数2〜18のアルケニル基、置換されていてもよい炭素数2〜18のアルキニル基、置換されていてもよい炭素数7〜18のアラルキル基、置換されていてもよい炭素数6〜18のアリール基を示す。*3は不斉炭素原子を示す)で表される光学活性イミダゾリジノン誘導体に関する。
また、本発明は、一般式(4)
Figure 2008012974
(式中、n、R1、*1は前記と同じ)で表される光学活性グリシンアミド誘導体と、一般式(5)
Figure 2008012974
(式中、m、R2は前記と同じ)で表される置換ベンズアルデヒドを、酸性触媒の存在下、縮合させることを特徴とする、前記一般式(1)で表されるイミダゾリジノン誘導体の製造方法に関する。
また、本発明は、前記一般式(1)で表されるイミダゾリジノン誘導体を有機溶媒を用いて結晶化させることを特徴とする、光学活性イミダゾリジノン誘導体の晶析方法に関する。
また、本発明は、イミダゾリジノン誘導体を異性化させながら、光学活性イミダゾリジノン誘導体を結晶化することを特徴とする、光学活性イミダゾリジノン誘導体の晶析方法に関する。
また、本発明は、異性化において酸性触媒を利用することを特徴とする、光学活性イミダゾリジノン誘導体の晶析方法に関する。
また、本発明は、前記式(1)で表されるイミダゾリジノン誘導体又はその光学活性体に、塩基の存在下において、一般式(6)
3OCOX (6)
(式中、R3は前記と同じ、Xはハロゲン原子を示す)で表される、ハロゲノギ酸エステル、または一般式(7)
Figure 2008012974
(式中、R3は前記に同じであり、2つのR3は同一である)で表される、ピロ炭酸エステルを作用させることを特徴とする、前記一般式(2)で表される、イミダゾリジノン誘導体の製造方法に関する。
また、本発明は、前記一般式(2)で表されるイミダゾリジノン誘導体を有機溶媒を用いて結晶化させることを特徴とする、光学活性イミダゾリジノン誘導体の晶析方法に関する。
また、本発明は、前記一般式(2)で表される光学活性イミダゾリジノン誘導体に、塩基の存在下、一般式(8)
7Y (8)
(式中、R7は、置換されていてもよい炭素数1〜30のアルキル基、置換されていてもよい炭素数2〜18のアルケニル基、置換されていてもよい炭素数2〜18のアルキニル基、置換されていてもよい炭素数7〜18のアラルキル基、置換されていてもよい炭素数6〜18のアリール基を示し、Yは脱離能を有する置換基を示す)で表される1種または2種の親電子剤を作用させることを特徴とする、前記一般式(3)で表される光学活性イミダゾリジノン誘導体の製造方法に関する。
また、本発明は、一般式(11)
Figure 2008012974
(式中、n、m、R1、R2、R3、R7、*1、*2、*3は前記と同じ。)で表される光学活性イミダゾリジノン誘導体に、塩基の存在下、一般式(8)’
7’Y (8)’
(式中、R7’、Yは前記と同じ)で表される親電子剤を作用させることを特徴とする、前記一般式(3)で表される光学活性イミダゾリジノン誘導体の製造方法に関する。
また、本発明は、前記一般式(3)で表される光学活性イミダゾリジノン誘導体に、有機溶媒及び水のうち、少なくとも1種類を用いた溶媒中で、酸または塩基を作用させることを特徴とする、一般式(9)
Figure 2008012974
(式中、n、R1、R4、R5、*1、*3は前記に同じ)で表される、光学活性N−(1−置換フェニルエチル)アミノ酸誘導体の製造方法に関する。
また本発明は、前記式(3)で表される光学活性イミダゾリジノン誘導体の窒素上の置換基を脱保護し、一般式(12)
Figure 2008012974
(式中、R4、R5、*3は前記に同じ)で表される光学活性アミノ酸アミドを合成したのち、有機溶媒及び水のうち、少なくとも1種類を用いた溶媒中で、酸または塩基を作用させることを特徴とする、一般式(10)
Figure 2008012974
(式中、R4、R5、*3は前記に同じ)で表される光学活性アミノ酸の製造方法に関する。
また本発明は、前記一般式(2)で表される光学活性イミダゾリジノン誘導体に、塩基の存在下、一般式(13)
8−CHO (13)
(式中、R8は、水素原子、置換されていてもよい炭素数1〜30のアルキル基、置換されていてもよい炭素数2〜18のアルケニル基、置換されていてもよい炭素数2〜18のアルキニル基、置換されていてもよい炭素数7〜18のアラルキル基、置換されていてもよい炭素数6〜18のアリール基を示す)で表されるアルデヒドを作用させることを特徴とする、一般式(14)
Figure 2008012974
(式中、n、m、R1、R2、R3、R8、*1、*2、*3は前記と同じであり、R8が水素原子でない場合、*4は不斉炭素原子を示す)で表される、光学活性イミダゾリジノン誘導体の製造方法に関する。
また本発明は、前記一般式(14)で表される光学活性イミダゾリジノン誘導体に、有機溶媒及び水のうち、少なくとも1種類を用いた溶媒中で、酸または塩基を作用させることを特徴とする、一般式(15)
Figure 2008012974
(式中、n、R1、R8、*1、*3、*4は前記に同じ)で表される、光学活性N−(1−置換フェニルエチル)ヒドロキシアミノ酸誘導体の製造方法に関する。
また本発明は前記一般式(15)で表されるヒドロキシアミノ酸誘導体の窒素上の置換基を脱保護することを特徴とする、一般式(16)
Figure 2008012974
(式中、R8、*3、*4は前記に同じ)で表される光学活性ヒドロキシアミノ酸の製造方法に関する。
また本発明は、前記一般式(14)で表される光学活性イミダゾリジノン誘導体の窒素上の置換基を脱保護し、一般式(17)
Figure 2008012974
(式中、R8、*3、*4は前記に同じ)で表される光学活性ヒドロキシアミノ酸アミドを合成したのち、有機溶媒及び水のうち、少なくとも1種類を用いた溶媒中で、酸または塩基を作用させることを特徴とする、前記一般式(16)で表される光学活性ヒドロキシアミノ酸の製造方法に関する。
以下、本発明を詳述する。
まず本発明の新規な化合物について説明する。
第1の本発明は、下記一般式(1)
Figure 2008012974
で表されるイミダゾリジノン誘導体の異性体混合物又は当該誘導体の光学活性体である。
ここでR1、R2は、それぞれ独立して、置換されていてもよい炭素数1〜18のアルキル基、置換されていてもよい炭素数7〜18のアラルキル基、置換されていてもよい炭素数6〜18のアリール基、ハロゲン原子、ヒドロキシル基、炭素数1〜18のアルコキシ基、ニトロ基を示している。
置換されていてもよい炭素数1〜18のアルキル基としては、例えばメチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、t−ブチル基、n−ペンチル基、ネオペンチル基、t−アミル基、n−ヘキシル基、n−ヘプチル基、n−オクチル基、n−ノニル基、n−デシル基などが挙げられる。
置換されていてもよい炭素数7〜18のアラルキル基としては、例えばベンジル基、p−メトキシフェニルメチル基、ナフチルメチル基などが挙げられる。
置換されていてもよい炭素数6〜18のアリール基としては、例えばフェニル基、p−メトキシフェニル基、ナフチル基、p−ニトロフェニル基などが挙げられる。
ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子が挙げられる。
置換されていてもよい炭素数1〜18のアルコキシ基としては、例えばメトキシ基、エトキシ基、n−プロピルオキシ基、イソプロピルオキシ基、n−ブチルオキシ基、t−ブチルオキシ基、メトキシメチルオキシ基、ベンジルオキシメチルオキシ基、メチルチオメチルオキシ基、2−クロロエチルオキシ基、2−ブロモエチルオキシ基などが挙げられる。
上記アルキル基、アラルキル基、アリール基、アルコキシ基は、ハロゲン原子、アルコキシ基、ヒドロキシル基、アラルキルオキシ基、アルキルチオ基、アルキルシリルオキシ基、アリールアルキルシリルオキシ基などにより置換されていてもよい。
光学活性アミノ酸を製造するにあたって、R1、R2としては、塩素原子、メチル基、メトキシ基、エトキシ基、ニトロ基が好ましい。
nはベンゼン環上の置換基数を表す0〜5の整数であり、置換基は前述のR1であり、その置換様式は特に限定されるものではない。mはベンゼン環上の置換基数を表す0〜5の整数であり、置換基は前述のR2であり、その置換様式は特に限定されるものではない。
1、R2が複数個ある場合、すべてのR1が同一であってもよいし、異なっていてもよく、すべてのR2が同一であってもよいし、異なっていてもよい。
*1は不斉炭素原子を表しており、その絶対立体配置は、RまたはSである。なお、本明細書において、「立体配置がRである」とは、不斉炭素原子に対してS配置のものよりもR配置のものが過剰に存在していればよく、「Sである」とは、R配置のものよりS配置のものが過剰に存在していればよい。
また、一般式(1)で表される化合物は、イミダゾリジノン環の2位炭素原子(両窒素に挟まれた炭素原子*2)が不斉炭素原子であり、光学活性体であってもよいし、R及びS配置が当量存在するラセミ体であってもよい。従って、一般式(1)で表される化合物は、(*1,*2)=(R,R)、(R,S)、(S,R)、(S,S)の群から選ばれる少なくとも1種の立体配置を有する。
第2の本発明は、下記一般式(2)
Figure 2008012974
で表されるイミダゾリジノン誘導体の異性体混合物又は当該誘導体の光学活性体である。
ここで、R1、R2、n、mの定義および具体的な例については、前記と同じである。
3は、置換されていてもよい炭素数1〜18のアルキル基、置換されていてもよい炭素数2〜18のアルケニル基、置換されていてもよい炭素数2〜18のアルキニル基、置換されていてもよい炭素数7〜18のアラルキル基、置換されていてもよい炭素数6〜18のアリール基を示している。
置換されていてもよい炭素数1〜18のアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、t−ブチル基、2,2,2−トリクロロエチル基、イソブチル基、2−クロロエチル基、1,1−ジメチル−2,2,2−トリクロロエチル基、1−アダマンチル基、2−トリメチルシリルエチル基などが挙げられる。
置換されていてもよい炭素数2〜18のアルケニル基としては、例えばアリル基、ビニル基、3−ブテニル基、2−メチル−2−プロペニル基、3−フェニル−2−プロペニル基、3−(p−ニトロフェニル)−2−プロペニル基などが挙げられる。
置換されていてもよい炭素数2〜18のアルキニル基としては、例えばプロピニル基、2−ブチニル基、3−ブチニル基、2−ペンチニル基などが挙げられる。
置換されていてもよい炭素数7〜18のアラルキル基としては、例えばベンジル基、p−メトキシフェニルメチル基、p−ニトロフェニルメチル基、p−ブロモフェニルメチル基、p−クロロフェニルメチル基、2,4−ジクロロフェニルメチル基、ナフチルメチル基、9−フルオレニルメチル基などが挙げられる。
置換されていてもよい炭素数6〜18のアリール基としては、例えばフェニル基、p−メトキシフェニル基、ナフチル基などが挙げられる。
上記アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アラルキル基、アリール基は、ハロゲン原子、アルコキシ基、ヒドロキシル基、アラルキルオキシ基、アルキルチオ基、アルキルシリルオキシ基、アリールアルキルシリルオキシ基、ニトロ基などにより置換されていてもよい。
なお、光学活性アミノ酸を製造するにあたっては、R3としては、メチル基、エチル基、イソプロピル基、イソブチル基、t−ブチル基、アリル基、2,2,2−トリクロロエチル基、ベンジル基、p−メトキシフェニルメチル基が好ましく、t−ブチル基、メチル基、エチル基、アリル基、ベンジル基がより好ましく、t−ブチル基、アリル基、ベンジル基がさらに好ましい。
一般式(2)で表される化合物は、イミダゾリジノン環の2位炭素原子(両窒素に挟まれた炭素原子*2)が不斉炭素原子であり、光学活性体であってもよいし、R及びS配置が当量存在するラセミ体であってもよい。従って、一般式(2)で表される化合物は、(*1,*2)=(R,R)、(R,S)、(S,R)、(S,S)の少なくとも1種の立体配置を有する。
第3の本発明は、下記一般式(3)
Figure 2008012974
で表される光学活性イミダゾリジノン誘導体である。
ここで、R1、R2、R3、n、mの定義および具体的な例については、前記と同じである。
4、R5は異なって、水素原子、置換されていてもよい炭素数1〜30のアルキル基、置換されていてもよい炭素数2〜18のアルケニル基、置換されていてもよい炭素数2〜18のアルキニル基、置換されていてもよい炭素数7〜18のアラルキル基、置換されていてもよい炭素数6〜18のアリール基を示している。
置換されていてもよい炭素数1〜30のアルキル基の炭素鎖としては、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、1−メチル−プロピル基、2−メチル−プロピル基、ペンチル基、ヘキシル基、へプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基、トリデシル基、テトラデシル基、ペンタデシル基、ヘキサデシル基、ヘプタデシル基、オクタデシル基、ノナデシル基などが挙げられ、これらの任意の位置において、置換基を有していてもよい。
置換基の種類としては、ハロゲン原子、アルコキシ基、ヒドロキシル基、アラルキルオキシ基、アルキルチオ基、アルキルシリルオキシ基、アリールアルキルシリルオキシ基などが挙げられる。例として、3−クロロプロピル基、2−メトキシエチル基、ベンジルオキシメチル基、2−ベンジルオキシエチル基、2−(メルカプトメチル)エチル基、2−(t−ブチルジメチルシリルオキシ)エチル基、2−(t−ブチルジフェニルシリルオキシ)エチル基、2−トリメチルシリルオキシエチル基などが挙げられる。
置換されていてもよい炭素数2〜18のアルケニル基としては、例えばアリル基、ビニル基、3−ブテニル基、2−メチル−2−プロペニル基、3−フェニル−2−プロペニル基などが挙げられる。
置換されていてもよい炭素数2〜18のアルキニル基としては、例えばプロピニル基、2−ブチニル基、3−ブチニル基、2−ペンチニル基などが挙げられる。
置換されていてもよい炭素数7〜18のアラルキル基としては、例えばベンジル基、p−メトキシフェニルメチル基、p−ニトロフェニルメチル基、p−ブロモフェニルメチル基、p−クロロフェニルメチル基、2,4−ジクロロフェニルメチル基、ナフチルメチル基、1−インダノイル基、ジフェニルメチル基などが挙げられる。
置換されていてもよい炭素数6〜18のアリール基としては、例えばフェニル基、p−メトキシフェニル基、ナフチル基などが挙げられる。
光学活性アミノ酸を製造するにあたって、R4、R5としては、水素原子、メチル基、エチル基、ベンジル基、プロピル基、アリル基、プロピニル基、1−メチル−プロピル基、2−メチル−プロピル基、ベンジルオキシメチル基、2−(メルカプトメチル)エチル基、p−メトキシフェニルメチル基、2−トリメチルシリルオキシエチル基、ジフェニルメチル基が好ましい。
一般式(3)における、イミダゾリジノン環の2位炭素原子の不斉中心(*2)、およびイミダゾリジノン環4位炭素原子の不斉中心(*3)は、それぞれR,またはSのいずれかに決定されており、従ってその絶対立体配置の組み合わせは、(*1,*2,*3)=(R,R,R)、(R,R,S)、(R,S,R)、(R,S,S)、(S,R,R)、(S,R,S)、(S,S,R)、(S,S,S)の組み合わせを挙げることができ、かつこれらのうち、いずれかの絶対立体配置を持つ光学活性体である。
これら一般式(1)、(2)、(3)においては、n=0であるイミダゾリジノン誘導体が好ましい。より好ましくは、
n=0であり、R2が塩素原子であり、m=2、かつ置換位置が2,6位または3,4位であるイミダゾリジノン誘導体、または、
n=0であり、R2がメチル基であり、m=3、かつ置換位置が2,4,6位であるイミダゾリジノン誘導体である。
特に好ましいのは、
n=0であり、R2が塩素原子であり、m=2、かつ置換位置が2,6位または3,4位であり、かつR3がt−ブチル基であるイミダゾリジノン誘導体、
n=0であり、R2がメチル基であり、m=3、かつ置換位置が2,4,6位であり、かつR3がt−ブチル基であるイミダゾリジノン誘導体、
n=0であり、R2が塩素原子であり、m=2、かつ置換位置が2,6位であり、かつR3がベンジル基であるイミダゾリジノン誘導体、または
n=0であり、R2が塩素原子であり、m=2、かつ置換位置が2,6位であり、かつR3がアリル基であるイミダゾリジノン誘導体である。
これらの一般式(1),(2),(3)のイミダゾリジノン誘導体は、後述する製造方法にて製造することができる。
次に各製造工程を更に詳細に説明する。
まず、一般式(1)で表されるイミダゾリジノン誘導体の製造方法について説明する。
前記一般式(1)で表されるイミダゾリジノン誘導体は、例えば、下記一般式(4)
Figure 2008012974
(式中、n、R1、*1は前記と同じ)で表される光学活性グリシンアミド誘導体と、一般式(5)
Figure 2008012974
(式中、m、R2は前記と同じ)で表される置換ベンズアルデヒドを、酸性触媒の存在下縮合させることにより製造することができる。
一般式(4)で表される光学活性グリシンアミドは、実施例1に示す方法等で、容易に製造できる。また一般式(5)で表される、置換ベンズアルデヒドは、市販品を容易に入手可能である。
一般式(4)で表される光学活性グリシンアミド誘導体の使用量は、特に制限されるものではないが、置換ベンズアルデヒド(5)のモル当量を基準として、一般的に、0.1〜10.0モル当量の範囲内である。好ましくは0.1〜5.0モル当量の範囲内であり、より好ましくは、0.1〜3.0モル当量の範囲内である。
この反応は、酸性触媒の存在下で行われる。酸性触媒は特に限定されるものではないが、例えば、塩酸、臭化水素酸、ヨウ化水素酸、硫酸、硝酸などの鉱酸類;メタンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸、カンファースルホン酸、トリフルオロメタンスルホン酸などのスルホン酸類;トリクロロ酢酸、トリフルオロ酢酸などのハロゲノ脂肪酸等が挙げられる。中でもスルホン酸類の使用が好ましく、より好ましいのはp−トルエンスルホン酸である。
酸性触媒の量は、特に限定されるものではないが、用いる置換ベンズアルデヒド(5)のモル当量を基準として、好ましくは0.001〜1.0モル当量の間で使用できるが、より好ましくは0.001〜0.5モル当量の範囲であり、更に好ましくは0.001〜0.1モル当量の範囲である。
またこの反応には、通常、有機溶媒が使用される。使用できる溶媒は、特に制限されるものではないが、例えば、n−ヘキサン、n−ヘプタン、n−オクタン、n−ノナン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサンなどの脂肪族炭化水素類;ベンゼン、トルエン、キシレン、メシチレン、クロロベンゼン、o−ジクロロベンゼンなどの芳香族炭化水素類;酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸n−ブチル、酢酸t−ブチル、酢酸イソプロピルなどの酢酸エステル類;テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン、ジイソプロピルエーテル、t−ブチルメチルエーテル、シクロペンチルメチルエーテルなどのエーテル類;アセトニトリル、プロピオニトリルなどのニトリル類;N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジブチルホルムアミド、1−メチル−2−ピロリドンなどのアミド類等が挙げられる。
これらの溶媒は、単独で用いてもよく、また2種類以上の溶媒を任意に組み合わせて使用してもよいが、中でも脂肪族炭化水素類、芳香族炭化水素類が好ましく、n−ヘプタン、n−オクタン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、ベンゼン、トルエン、クロロベンゼンがより好ましく、トルエンが更に好ましい。
用いる溶媒の使用量は、特に制限されるものではないが、一般的に、前記式(5)で表される化合物の重量を基準として、0.5〜50倍容量の範囲内である。中でも、1.5〜25倍容量が好ましい。
反応の温度は、一般式(4)で表される光学活性グリシンアミド誘導体と、一般式(5)で表される置換ベンズアルデヒドとが縮合反応を起こす温度であれば、特に制限されるものではないが、中でも0〜150℃が好ましく、より好ましくは30〜150℃の範囲内である。反応の時間は特に制限されるものではないが、好ましくは0.1〜50時間、より好ましくは2〜30時間である。
このようにして一般式(1)で表される、イミダゾリジノン誘導体が製造できるが、このイミダゾリジノン誘導体の異性体混合物は、イミダゾリジノン環の2位炭素原子(両窒素原子に挟まれた炭素原子)に関して、約1:1の異性体混合物である。
得られた一般式(1)で表される化合物は、このまま次の工程に用いてもよいし、前記式(1)で表される、2つ以上の光学異性体を含むイミダゾリジノン誘導体異性体混合物の溶液から、いずれか1つの光学活性体を優先的に結晶化させて、これを次の工程に用いてもよい。
この結晶化には有機溶媒が使用される。この結晶化は、複数の光学異性体間における、有機溶媒への溶解度差を利用したものであるため、当該異性体間における溶解度差が十分であれば、使用できる溶媒は特に制限されるものではない。
例えば、n−ヘキサン、n−ヘプタン、n−オクタン、n−ノナン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサンなどの脂肪族炭化水素類;ベンゼン、トルエン、キシレン、クロロベンゼン、o−ジクロロベンゼンなどの芳香族炭化水素類;酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸n−ブチル、酢酸t−ブチル、酢酸イソプロピルなどの酢酸エステル類;テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン、ジイソプロピルエーテル、t−ブチルメチルエーテル、シクロペンチルメチルエーテルなどのエーテル類;アセトニトリル、プロピオニトリルなどのニトリル類;N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、1−メチル−2−ピロリドンなどのアミド類を例示することができる。
これらの溶媒は、単独で用いてもよく、また2種類以上の溶媒を任意に組み合わせて使用してもよいが、中でもニトリル類が好ましく、より好ましいのはアセトニトリルである。
用いる溶媒の使用量は、特に制限されるものではないが、一般的に、イミダゾリジノン誘導体異性体混合物の重量を基準として、1〜100倍容量の範囲内である。中でも、1〜50倍容量が好ましく、より好ましくは1〜20倍容量である。
結晶化には、通常用いられる冷却晶析、濃縮晶析、溶媒置換による晶析など種々のものを適宜組み合わせて用いてやればよい。
結晶化時の温度についても、特に制限されるものではないが、−25〜80℃の範囲内であるのが好ましく、中でも−10〜80℃が好ましく、より好ましくは0〜50℃の範囲内である。
結晶化を行う時間は特に制限されるものではないが、好ましくは0.1〜50時間、より好ましくは0.1〜24時間である。
この優先結晶化により、いずれか1つの光学異性体を過剰に含む光学活性イミダゾリジノン誘導体の結晶を得ることができる。得られる当該誘導体の光学純度は一般的に、80〜100%deの範囲内である。中でも85%de以上が好ましく、特に90%de以上が好適である。また、本発明の晶析方法を繰り返し用いることにより、更に光学活性イミダゾリジノン誘導体の光学純度を高めることも可能である。
さらにこの優先結晶化においては、イミダゾリジノン誘導体を異性化させながら、光学活性イミダゾリジノン誘導体を結晶化することも可能である。このように異性化を伴いながら、いずれか1つの光学異性体を過剰に含む光学活性化合物を得る方法は、動的速度論分割として知られている(参考文献:ケミカルレビュー(Chemical Review)、2006年、106巻、2711頁)。勿論上記一般式(1)で表されるイミダゾリジノン誘導体において、動的速度論分割が実施可能であることが示された例はない。
このイミダゾリジノン誘導体の異性化方法は、特に制限されるものではないが、例えば、酸性触媒の使用、塩基性触媒の使用、光学活性な酸または塩基の使用、加温条件、加熱条件、光照射等の方法を例示することができる。中でもイミダゾリジノン誘導体の異性化晶析においては、酸性触媒の利用が好ましい。
酸性触媒は、イミダゾリジノン環の2位炭素原子(両窒素原子に挟まれた炭素原子)に関する異性体において、異性化が進行するものであれば、特に限定されるものではないが、例えば、塩酸、臭化水素酸、ヨウ化水素酸、硫酸、硝酸などの鉱酸類;メタンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸、カンファースルホン酸、トリフルオロメタンスルホン酸などのスルホン酸類;トリクロロ酢酸、トリフルオロ酢酸などのハロゲノ脂肪酸等が挙げられる。中でもスルホン酸類、ハロゲノ酢酸類の使用が好ましく、より好ましいのはp−トルエンスルホン酸、またはトリフルオロ酢酸である。
酸性触媒の量は、特に限定されるものではないが、用いるイミダゾリジノン誘導体のモル当量を基準として、好ましくは0.001〜1.0モル当量の間で使用できるが、より好ましくは0.001〜0.5モル当量の範囲であり、更に好ましくは0.001〜0.4モル当量の範囲である。
この異性化晶析においても有機溶媒が使用され、その溶媒としては上述した溶媒をそのまま例示でき、またこれらの溶媒を単独または2種類以上組み合わせて使用することもできるが、好ましくは、ニトリル類、酢酸エステル類、脂肪族炭化水素類であり、より好ましくは、アセトニトリル、酢酸エチル、ヘキサンである。
用いる溶媒の使用量も、特に制限されるものではないが、一般的に、イミダゾリジノン誘導体異性体混合物の重量を基準として、1〜100倍容量の範囲内であるのが好ましい。中でも、1〜50倍容量が好ましく、より好ましくは1〜20倍容量である。
なお、上述のように、異性化晶析に使用するイミダゾリジノン誘導体異性体混合物は、酸性触媒下において合成できるため、当該反応溶液を直接異性化晶析に用いることもできる。
また、この異性化晶析にも、通常用いられる冷却晶析、濃縮晶析、溶媒置換による晶析など種々の方法を適宜組み合わせて用いることができる。
異性化晶析時の温度についても、特に制限されるものではないが、一般的に、−25〜120℃の範囲内であるのが好ましく、中でも−10〜100℃が好ましく、より好ましくは0〜100℃の範囲内である。
結晶化を行う時間は特に制限されるものではないが、好ましくは0.1〜200時間、より好ましくは1〜100時間である。
以上の異性化晶析により、通常の優先結晶化と比べて、一方の異性体の単離収率をより高めることができる。得られる当該誘導体の光学純度は、通常80〜100%deの範囲内である。中でも85%de以上とするのが好ましく、特に90%de以上が好適である。また、前述した本発明の晶析方法を繰り返し用いることにより、異性化晶析によって取得した光学活性イミダゾリジノン誘導体の光学純度を更に高めることも可能である。
次に、一般式(2)で表されるイミダゾリジノン誘導体の製造方法について説明する。
一般式(2)で表されるイミダゾリジノン誘導体は、例えば、一般式(1)で表されるイミダゾリジノン誘導体又はその光学活性体に、塩基の存在下において、一般式(6)
3OCOX (6)
で表される、ハロゲノギ酸エステル、または一般式(7)
Figure 2008012974
で表される、ピロ炭酸エステルを作用させることに製造することができる。
本工程に用いる前記式(1)で表される化合物は、前述の優先晶出や異性化晶析によって1種の光学異性体の含量を非常に高めたものであってもよいし、光学純度を高める操作を実施していないものであってもよい。つまり、(*1,*2)の立体配置が(R,R)、(R,S)、(S,R)、(S,S)のいずれかが優先的に存在していてもよいし、2種以上のジアステレオマーが混在していてもよい。
一般式(6)において、R3は前述と同様であり、Xはハロゲン原子を示している。Xとしては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子が挙げられる。Xとしては塩素原子が好適である。また一般式(7)におけるR3についても、前述と同じ置換基を例示できる。
使用される一般式(6)、または(7)で表される化合物の例としては、例えば、ジt−ブチルジカーボネート、クロロギ酸メチル、クロロギ酸エチル、クロロギ酸イソプロピル、塩化ベンジルオキシカルボニル、塩化2,2,2−トリクロロエチルオキシカルボニル、塩化アリルオキシカルボニル等が挙げられるが、好ましくはジt−ブチルジカーボネート、塩化ベンジルオキシカルボニル、塩化アリルオキシカルボニルである。
このとき用いられる一般式(6)のハロゲノギ酸エステル、または一般式(7)のピロ炭酸エステルのモル当量は、一般式(1)で表されるイミダゾリジノン誘導体のモル当量を基準として、一般的に、0.1〜10モル当量が好ましく、より好ましくは0.5〜5モル当量である。
この反応は、塩基の存在下で行われる。塩基としては、有機塩基でも無機塩基でもよいが、有機塩基が好ましい。用いる無機塩基としては、通常、当業者が使用するものであれば特に制限されず、1種類または2種類以上の無機塩基を組み合わせて用いることができる。また、用いる有機塩基は、特に制限されるものではないが、例えば、トリエチルアミン、ジイソプロピルエチルアミン、トリ−n−ブチルアミンなどの脂肪族アミン;[2.2.2]ジアザビシクロオクタン、ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデセン、1,5−ジアザビシクロ[4.3.0]ノネンなどの縮環式アミン;ピリジン、2,6−ルチジン、2,4,6−コリジンなどのピリジン類;4−(N,N−ジメチルアミノ)ピリジン、4−ピロリジノピリジンなどのアルキルアミノピリジン類等が挙げられる。
これらの有機塩基は、単独で用いても、2種類以上の有機塩基を組み合わせて用いてもよい。中でも、脂肪族アミン、アルキルアミノピリジン類、または脂肪族アミンとアルキルアミノピリジン類の併用が好ましく、脂肪族アミンとしては、トリエチルアミン、アルキルアミノピリジン類としては4−(N,N−ジメチルアミノ)ピリジンが好ましい。
このとき用いられる塩基の総モル当量は、一般式(1)で表されるイミダゾリジノン誘導体のモル当量を基準として、一般的に、0.1〜10.0モル当量の範囲内であるが、好ましくは、0.1〜5.0モル当量の範囲内であり、より好ましくは0.5〜5.0モル当量の範囲内であり、さらに好ましくは0.5〜2.5モル当量の範囲内であり、最も好ましくは1.0〜1.5モル当量の範囲内である。特に、塩基として脂肪族アミンと、アルキルアミノピリジン類を併用する場合、アルキルアミノピリジン類の使用量は、一般式(1)で表されるイミダゾリジノン誘導体のモル当量を基準として、一般的に、0.001〜5.0モル当量の範囲内であり、好ましくは0.001〜2.5モル当量の範囲内であり、より好ましくは0.001〜1.0モル当量の範囲内である。
反応には通常溶媒が使用される。使用できる溶媒は、特に制限されるものではないが、例えば、n−ヘキサン、n−ヘプタン、n−オクタン、n−ノナン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサンなどの脂肪族炭化水素類;ベンゼン、トルエン、キシレン、クロロベンゼン、o−ジクロロベンゼンなどの芳香族炭化水素類;酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸n−ブチル、酢酸t−ブチル、酢酸イソプロピルなどの酢酸エステル類;テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン、ジイソプロピルエーテル、t−ブチルメチルエーテル、シクロペンチルメチルエーテルなどのエーテル類;アセトニトリル、プロピオニトリルなどのニトリル類;N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、1−メチル−2−ピロリドンなどのアミド類等が挙げられる。これらの溶媒は、単独で用いてもよく、また2種類以上の溶媒を任意に組み合わせて使用してもよいが、中でもアセトニトリル、トルエン、酢酸エチルが好適である。
用いる溶媒の使用量は、特に制限されるものではないが、一般的に、イミダゾリジノン誘導体の重量を基準として、1.5〜50倍容量の範囲内である。中でも、1.5〜25倍容量が好ましい。
反応の温度は、特に制限されるものではないが、中でも−50〜100℃が好ましく、より好ましくは−10〜100℃の範囲内であり、最も好ましいのは−10〜50℃の範囲内である。
反応を行う時間は特に制限されるものではないが、好ましくは0.1〜50時間、より好ましくは0.1〜25時間である。
このようにして得られる一般式(2)で表されるイミダゾリジノン誘導体は、そのまま次工程に用いてもよいし、次の操作によって、いずれか1つの光学活性体を優先的に結晶化させてもよい。
一般式(2)で表されるイミダゾリジノン誘導体の結晶化には、通常有機溶媒が使用される。この結晶化は、複数の光学異性体間における、有機溶媒への溶解度差を利用したものであるため、光学異性体間における溶解度差が十分であれば、使用できる溶媒は、特に制限されるものではない。例えば、n−ヘキサン、n−ヘプタン、n−オクタン、n−ノナン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサンなどの脂肪族炭化水素類;ベンゼン、トルエン、キシレン、クロロベンゼン、o−ジクロロベンゼンなどの芳香族炭化水素類;酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸n−ブチル、酢酸t−ブチル、酢酸イソプロピルなどの酢酸エステル類;テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン、ジイソプロピルエーテル、t−ブチルメチルエーテル、シクロペンチルメチルエーテルなどのエーテル類;アセトニトリル、プロピオニトリルなどのニトリル類;N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、1−メチル−2−ピロリドンなどのアミド類等が挙げられる。これらの溶媒は、単独で用いてもよく、また2種類以上の溶媒を任意の割合で組み合わせて使用してもよいが、中でも炭化水素類とエステル類とを組み合わせて用いるのが好ましく、より好ましいのは酢酸エチルとヘキサンの組み合わせ、またはヘキサンを単独で用いる場合である。
用いる溶媒の使用量は、特に制限されるものではないが、一般的に、イミダゾリジノン誘導体異性体混合物の重量を基準として、1〜100倍容量の範囲内である。中でも、1〜50倍容量が好ましく、より好ましくは1〜20倍容量である。
溶媒を2種以上用いる場合、用いる溶媒の比率については特に制限されるものではないが、例えば、酢酸エチルの容量を基準として、ヘキサンを0〜100倍容量の範囲内で使用することができる。
結晶化には、通常用いられる冷却晶析、濃縮晶析、溶媒置換による晶析など種々のものを適宜組み合わせて用いることができる。
結晶化時の温度についても、特に制限されるものではないが、一般的に−30〜80℃の範囲内であり、中でも−20〜80℃が好ましく、より好ましくは−15〜50℃の範囲内である。
結晶化を行う時間は特に制限されるものではないが、好ましくは0.1〜80時間、より好ましくは0.1〜65時間である。
この優先結晶化により、いずれか1つの光学異性体を過剰に含む光学活性イミダゾリジノン誘導体の結晶を得ることができる。得られる光学活性体の光学純度は、のちの工程に影響のない限り制限されるものではないが、一般的に、80〜100%deの範囲内である。中でも85%de以上が好ましく、特に90%de以上が好適である。また、本発明の晶析方法を繰り返し用いることにより、更に光学活性イミダゾリジノン誘導体の光学純度を高めることも可能である。
この優先結晶化により、例えばS体を過剰に含む光学活性イミダゾリジノン誘導体の結晶を得たあとの母液には、R体が多く含まれている。このR体を多く含む母液を用いて晶析操作を行い、R体を過剰に含む結晶を得ることもできる。このようにすれば、S体、R体の両方の結晶を得ることも可能である。
以上のようにして得られた前記式(2)で表される光学活性イミダゾリジノン誘導体に、塩基の存在下、一般式(8)
7Y (8)
で表される親電子剤を作用させることにより、前記一般式(3)で表される光学活性イミダゾリジノン誘導体を製造することができる。
本工程で使用される前記式(2)で表される化合物は、光学純度が高いものほど得られる化合物(3)の光学純度が高くなるので好ましいが、光学純度については特に制限するものではない。
ここで一般式(8)におけるR7は、置換されていてもよい炭素数1〜30のアルキル基、置換されていてもよい炭素数2〜18のアルケニル基、置換されていてもよい炭素数2〜18のアルキニル基、置換されていてもよい炭素数7〜18のアラルキル基、置換されていてもよい炭素数6〜18のアリール基を示しており、具体的な例としては、前述のR4、R5と同様の置換基を例示できる。
またYは、通常脱離能を有する置換基であり、例えば、ハロゲン原子、スルホニルオキシ基等が挙げられる。ハロゲン原子としては、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素を挙げることができ、またスルホニルオキシ基としては、例えばメタンスルホニルオキシ基、p−トルエンスルホニルオキシ基、トリフルオロメタンスルホニルオキシ基等が挙げられる。
使用される一般式(8)で表される親電子剤の例としては、例えば、ヨウ化メチル、ヨウ化エチル、ヨウ化n−プロピル、ヨウ化イソプロピル、ヨウ化n−ブチル、ヨウ化ベンジル、ヨウ化アリルなどのヨウ化物、臭化メチル、臭化エチル、臭化n−プロピル、臭化n−ブチル、2−ブロモブタン、1−ブロモ−2−メチルプロパン、1−ブロモ−2−ブチン、臭化ベンジル、臭化アリル、臭化プロピニル、p−メトキシ臭化ベンジル、ベンジル−2−ブロモエチルエーテルなどの臭化物、塩化ベンジル、塩化ベンジルオキシメチル、2−クロロエチルメチルスルフィド、塩化アリル、2−クロロエトキシトリメチルシラン、塩化ベンズヒドリルなどの塩化物、アリルメタンスルホネート、ベンジルメタンスルホネート、アリルp−トルエンスルホネート、ベンジルp−トルエンスルホネート、プロピル−2−トリフルオロメタンスルホネートなどのスルホネート類等が挙げられる。
なかでも、ヨウ化メチル、臭化ベンジル、臭化アリル、ヨウ化n−プロピル、臭化プロピニル、ヨウ化エチル、塩化ベンジルオキシメチル、2−クロロエチルメチルスルフィド、2−クロロエトキシトリメチルシラン、2−ブロモブタン、1−ブロモ−2−メチルプロパン、1−ブロモ−2−ブチン、塩化ベンズヒドリルが好ましく、ヨウ化メチル、臭化ベンジル、臭化アリル、p−メトキシ臭化ベンジル、ベンジル−2−ブロモエチルエーテル、2−クロロエトキシトリメチルシラン、塩化ベンズヒドリルがさらに好ましい。
一般式(8)で表される親電子剤の使用量としては、特に制限されるものではないが、一般的に、前記式(2)で表される光学活性イミダゾリジノン誘導体のモル当量を基準として、0.1〜5当量が好ましく、0.5〜2.5当量がさらに好ましい。言うまでもなく、収率高く前記式(3)で表される化合物を得るためには、前記式(2)で表される化合物に対して前記式(8)で表される化合物を1当量以上添加することが好ましい。
反応は不活性気体雰囲気下で行うのが好ましい。特に窒素、またはアルゴン雰囲気下で行うのが好適である。
反応には塩基が用いられる。用いる塩基は特に制限されるものではないが、無機塩基または有機塩基が好適である。中でも有機塩基が好ましく、特に有機金属塩基が最も好適である。有機金属塩基としては、例えば、リチウムジイソプロピルアミド、リチウムジシクロヘキシルアミド、リチウム2,2,6,6−テトラメチルピペラジド、リチウムヘキサメチルジシラジド、ナトリウムヘキサメチルジシラジド、カリウムヘキサメチルジシラジド、塩化t−ブチルマグネシウム、リチウムt−ブトキシド、ナトリウムt−ブトキシド、カリウムt−ブトキシド、水素化リチウム、水素化ナトリウム、水素化カリウム、水素化カルシウムなどが挙げられる。
中でも、リチウムジイソプロピルアミド、リチウムヘキサメチルジシラジド、ナトリウムヘキサメチルジシラジド、カリウムヘキサメチルジシラジド、塩化t−ブチルマグネシウム、カリウムt−ブトキシド、ナトリウムt−ブトキシド、リチウムt−ブトキシド、水素化リチウム、水素化ナトリウム、水素化カリウム、水素化カルシウムが好ましく、リチウムアミド型塩基、ジシラジド型塩基がより好ましく、リチウムジイソプロピルアミド、リチウムジシラジド、ナトリウムジシラジド、カリウムジシラジドが最も好適である。
これらの塩基の使用量は、特に制限されないが、通常用いる一般式(2)で表される光学活性イミダゾリジノン誘導体のモル当量を基準として、一般的に、0.1〜2.0モル当量の範囲内である。中でも0.5〜1.5当量の範囲内が好ましく、より好ましくは0.9〜1.3当量の範囲内である。
反応には、通常、溶媒が使用される。使用できる溶媒は、特に制限されるものではないが、一般的に、塩基との反応を避けるため、上述の塩基と反応しない溶媒が好ましい。例えば、n−ヘキサン、n−ヘプタン、n−オクタン、n−ノナン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサンなどの脂肪族炭化水素類;ベンゼン、トルエン、キシレン、クロロベンゼン、o−ジクロロベンゼン、エチルベンゼンなどの芳香族炭化水素類;テトラヒドロフラン、1,2−ジメトキシエタン、ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、t−ブチルメチルエーテル、シクロペンチルメチルエーテルなどのエーテル類等が挙げられる。中でもテトラヒドロフラン、トルエン、エチルベンゼン、1,2−ジメトキシエタンが好適であり、これらの溶媒は単独で、または2種類以上を組み合わせて用いてもよい。
用いる溶媒の使用量は、特に制限されるものではないが、イミダゾリジノン誘導体の重量を基準として、一般的に1.0〜50倍容量の範囲内である。中でも、2.5〜25倍容量が好ましい。
反応時の温度は、特に制限されるものではないが、例えば、一般的に、30℃以下で実施される。中でも、−100〜20℃の範囲内が好ましいが、より好ましくは−50〜20℃の範囲内であり、より好ましくは、−40℃〜20℃の範囲内であり、特に好ましくは−30〜20℃の範囲内である。
反応を行う時間は特に制限されるものではないが、好ましくは0.1〜48時間、より好ましくは0.1〜24時間である。
上記一般式(2)で表される光学活性イミダゾリジノン誘導体では、イミダゾリジノン環の4位の置換基は、2つとも水素原子であるが、上記反応により、1ポット反応で異なる置換基を同時に導入することもできるし、1つだけ置換基を導入することもできるし、1つだけ置換基を導入して一旦生成物を単離後に2つ目の置換基を段階的に導入することもできる。
すなわち、前記式(8)で表される親電子剤を1種類だけ使用すれば、前記式(3)において、R4とR5のうち一方が水素原子であり、他方が前記R7である化合物、即ち、一般式(11)
Figure 2008012974
(式中、n、m、R1、R2、R3、R7、*1、*2、*3は前記に同じ。)で表される化合物を製造することができる。
一方、2種類の親電子剤、即ち親電子剤(8)と、それとはR7部分が異なる親電子剤(8)’
7’Y (8)’
(式中、R7’はR7と異なり、置換されていてもよい炭素数1〜30のアルキル基、置換されていてもよい炭素数2〜18のアルケニル基、置換されていてもよい炭素数2〜18のアルキニル基、置換されていてもよい炭素数7〜18のアラルキル基、置換されていてもよい炭素数6〜18のアリール基を示し、Yは脱離能を有する置換基を示す)の2種類の親電子剤を使用すれば、異なる置換基R4及びR5(この場合、R4,R5は、一方がR7であり、他方がR7’である)を同時に導入することができる。
塩基、前記式(2)で表される化合物、前記式(8)(一般式(8)’)(以下、一般式(8)には、一般式(8)’も含むものとする)で表される化合物(親電子剤)、反応溶媒の添加順序に特に制限はない。前記式(8)で表される化合物を2種以上使用して反応を実施する場合は、塩基、前記式(2)で表される化合物、2種の前記式(8)で表される化合物、反応溶媒の添加順序に特に制限はない。好ましくは反応溶媒中、塩基の存在下、1種の前記式(8)で表される化合物と前記式(2)で表される化合物を反応させた後、塩基を追加し、もう1種の前記式(8)で表される化合物を添加する方法である。この場合、1種の前記式(8)で表される化合物と前記式(2)で表される化合物を反応させて得られる前記式(11)で表される化合物は一旦単離してもよいし、単離しなくてもよいし、さらには、前記式(11)で表される化合物を経由せず、又は、前記式(11)で表される化合物の生成を確認せず1ポットで反応を実施してもよい。
親電子剤として一般式(8)で表される化合物を1種類用いた場合、一般式(3)で表される化合物において、R4とR5のうち一方はR7と同じになる。一般式(8)で表される化合物を2種類用いた場合、一般式(3)で表される化合物において、R4、R5は、一方がR7、他方がR7’となる。
一般式(11)を製造するための、前記式(8)で表される化合物の使用量は、特に制限されるものではないが、前記式(2)で表される化合物のモル当量を基準として、一般的に、0.1〜5当量が好ましく、0.5〜2.5当量がさらに好ましい。言うまでもなく、収率高く前記式(11)で表される化合物を得るためには、前記式(2)で表される化合物に対して前記式(8)で表される化合物を1当量以上添加することが好ましい。前記式(8)で表される化合物を2種以上用いて1ポットで異なる置換基を導入する場合は、各々の前記式(8)で表される化合物に対して、上記当量を用いてやればよい。
また、前述の方法で得られた前記式(11)で表される化合物に、塩基の存在下、前記式(8)で表される親電子剤を作用させ、R4、R5がいずれも水素原子でない前記式(3)で表される光学活性イミダゾリジノン誘導体を製造することも可能である。本製造方法の詳細な反応条件は前述の一般式(2)から一般式(3)の製造方法において、前記式(8)で表される化合物を1種類用いて反応を実施する方法と同一である。
このようにして製造できたイミダゾリジノン環の4位に置換基を持つ、前記式(3)で表される、光学活性イミダゾリジノン誘導体(R4、R5のいずれか一方が水素原子であってもよいし、共に水素原子以外の基であってもよい)にたいして、有機溶媒及び水のうち、少なくとも1種類を用いた溶媒中で、酸または塩基を作用させることにより、一般式(9)
Figure 2008012974
(式中、n、R1、R4、R5、*1、*3は前記に同じ)で表される、光学活性N−(1−置換フェニルエチル)アミノ酸誘導体が製造できる。ここでは次の3つの変換反応が進行する。なお、その順序については特に問うものではない。3つの反応とは以下である。
i)イミダゾリジノン環1位窒素原子の、R3置換カルボニルオキシ基の脱離反応
ii)イミダゾリジノン環N,N−架橋型置換基の加水分解による開環反応
iii)カルボン酸アミドから、カルボン酸への加水分解反応。
この反応には、有機溶媒及び/または水が用いられる。用いられる有機溶媒の種類は、特に制限されるものではなく、例えば、n−ヘキサン、n−ヘプタン、n−オクタン、n−ノナン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサンなどの脂肪族炭化水素類;ベンゼン、トルエン、キシレン、クロロベンゼン、o−ジクロロベンゼンなどの芳香族炭化水素類;酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸n−ブチル、酢酸t−ブチル、酢酸イソプロピルなどの酢酸エステル類;ジイソプロピルエーテル、t−ブチルメチルエーテル、シクロペンチルメチルエーテル、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサンなどのエーテル類;アセトニトリル、プロピオニトリルなどのニトリル類;メタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、n−ブタノール、イソブタノール、2−メチル−2−プロパノールなどのアルコール類;N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、1−メチル−2−ピロリドンなどのアミド類等が挙げられる。
これらの有機溶媒および水は、単独で用いてもよい。また2種類以上の有機溶媒を任意の割合で組み合わせて使用してもよい。さらには有機溶媒と水とを組み合わせて用いてもよく、この場合、水と任意の割合で混合して用いてもよい。なお、交じり合わない溶媒による非混合溶媒系で用いてもよい。中でも水、アルコール類とエーテル類の使用が好ましく、より好ましいのは水、メタノール、エタノール、イソプロパノール、テトラヒドロフランである。
用いる有機溶媒及び/または水の使用量は、特に制限されるものではないが、一般式(3)で表される、光学活性イミダゾリジノン誘導体の重量を基準として、一般的に1〜100倍容量の範囲内である。中でも、1〜80倍容量が好ましく、更に1〜50倍容量がより好ましく、最も好ましくは1〜30倍容量である。
上記のように調製した、一般式(3)で表される光学活性イミダゾリジノン誘導体溶液に、酸または塩基を添加し、反応を行う。
用いる酸、または塩基については、特に制限されるものではないが、例えば、酸としては、塩酸、臭化水素酸、ヨウ化水素酸、硫酸、硝酸、発煙硝酸などの鉱酸類;メタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、トルエンスルホン酸、トリフルオロメタンスルホン酸などのスルホン酸類;トリフルオロ酢酸、トリクロロ酢酸などのハロゲノ脂肪酸などが挙げられる。
また塩基としては、例えば、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化カルシウム、水酸化セシウム、水酸化バリウム、水酸化マグネシウムなどの金属ヒドロキシド;リチウムメトキシド、ナトリウムメトキシド、カリウムメトキシド、カルシウムメトキシド、リチウムエトキシド、ナトリウムエトキシド、カリウムエトキシド、カルシウムエトキシド、リチウムt−ブトキシド、ナトリウムt−ブトキシド、カリウムt−ブトキシドなどの金属アルコキシド等が挙げられる。
酸を用いる場合は鉱酸が好適であり、中でも塩酸、硫酸が好ましい。塩基を用いる場合は、金属ヒドロキシドが好適であり、中でも水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化カルシウムが好適である。
これらの酸または塩基の使用量についても、特に制限されるものではないが、用いる光学活性イミダゾリジノン誘導体のモル当量にたいして、一般的に、1〜100モル当量の範囲内であり、好ましくは1〜80モル当量であり、より好ましくは1〜50モル当量、特に好ましくは1〜40モル当量の範囲内である。
このように酸または塩基を作用させて反応を行う際の温度についても特に制限されるものではない。酸性条件で反応を実施する場合では、通常、0〜180℃の範囲内であり、中でも0〜150℃が好ましく、より好ましくは0〜130℃の範囲内である。塩基性条件下で反応を実施する場合では、通常、−10〜50℃の範囲内であり、中でも−10〜30℃の範囲内が好適である。
反応を行う時間は特に制限されるものではないが、好ましくは0.1〜72時間、より好ましくは0.1〜60時間である。
このようにして、一般式(9)で表される、光学活性2−(1−置換フェニルエチル)アミノ酸誘導体が合成できる。このアミノ酸誘導体の反応液は、通常、酸性または塩基性を示しているが、この反応液から、直接アミノ酸誘導体の塩を晶析により取得することが可能である。また、適当な塩基、または酸を添加して、液性を中性付近に調整したのち、中和晶析によって光学活性2−(1−置換フェニルエチル)アミノ酸誘導体を得ることもできる。
また一般式(9)で表される、光学活性2−(1−置換フェニルエチル)アミノ酸誘導体のアミノ基上の置換基である1−(置換フェニル)エチル基を、酸、酸化剤、接触水素添加反応などの、通常の1−(置換フェニル)エチル基を脱保護する条件によって脱保護することにより、一般式(10)
Figure 2008012974
(式中、R4、R5、*3は前記に同じ)で表される、光学活性アミノ酸を製造することができる。
このようにして合成できた光学活性アミノ酸誘導体は、イオン交換カラム、中和晶析、造塩晶析など、通常、アミノ酸を単離するために使用される諸条件により取得できることは勿論のこと、反応液から直接、N−カルバモイル化やN−アシル化を行い、N−誘導化アミノ酸とすることも可能である。得られたN−誘導化アミノ酸も、抽出、晶析などの操作によって単離することが可能である。
さらに一般式(3)で表される光学活性イミダゾリジノン誘導体の窒素上の置換基である、1−(置換フェニル)エチル基、およびイミダゾリジノン環を構成しているN,N−架橋型置換基を脱保護し、一般式(12)
Figure 2008012974
(式中、R4、R5、*3は前記に同じ)で表される、アミノ酸アミドを合成したのち、有機溶媒及び/または水のうち、少なくとも1種類を用いた溶媒中で、酸または塩基を作用させ、一般式(10)で表される光学活性アミノ酸誘導体を製造することも可能である。
1−(置換フェニル)エチル基、およびイミダゾリジノン環を構成しているN,N−架橋型置換基の脱保護は、接触水素添加反応により、1段階で実施することが可能であるし、またイミダゾリジノン環N,N−架橋型置換基に関しては、加水分解によって開環することも当然可能であるが、この開環反応を実施しながら、接触水素添加反応により、1段階で1−(置換フェニル)エチル基を脱保護することも可能である。
この操作の例として、例えば前記式(3)で表されるイミダゾリジノン誘導体を、有機溶媒および/または水のうち、いずれか1種類以上を用いた溶媒に溶解したのち、接触水素添加触媒を加え、更に水素ガスと反応させる方法があり、これにより前記式(12)で表される光学活性アミノ酸アミドが合成できる。
このとき用いる接触水素添加用触媒は、通常用いられるものであれば、特に制限されるものではないが、例えば、パラジウム−炭素、水酸化パラジウム−炭素、酸化パラジウム、パラジウム黒などのパラジウム触媒、酸化白金や白金黒などの白金触媒が挙げられ、なかでもパラジウム触媒が好適であり、パラジウム−炭素、水酸化パラジウム−炭素が更に好適である。
触媒の使用量も特に制限されないが、一般的に、基質であるイミダゾリジノン誘導体の重量を基準として、0.01〜5.0倍重量の範囲内であるのが好ましく、好ましくは0.05〜1.5倍重量の範囲内である。
反応には水素ガスが使用され、その使用容量や圧力も、反応に影響を与えない限り、特に制限されるものではないが、一般的に、0.01MPa〜100MPaの範囲内であるのが好ましく、より好ましくは0.1〜50MPaの範囲内である。
この反応には通常有機溶媒および/または水が使用される。用いられる有機溶媒の種類や使用量については、前述の一般式(3)から、一般式(9)への変換に用いることができる有機溶媒の例をそのまま例示でき、溶媒の組み合わせや、水との併用についても同様である。
中でもヘキサン、ヘプタン、トルエン、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸イソプロピル、酢酸ブチル、メタノール、エタノール、イソプロパノール、n−ブタノール、イソブタノール、2−ブタノール、2−メチル−2−プロパノール、ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、テトラヒドロフラン、tert−ブチルメチルエーテル、シクロペンチルメチルエーテルなどが好適であり、テトラヒドロフランがより好適である。
更にこの反応は、酸を添加して行うこともできる。添加する酸の種類についても特に制限されるものはないが、例えば、塩酸、臭化水素酸、ヨウ化水素酸、硫酸、硝酸、発煙硝酸などの鉱酸類;メタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、トルエンスルホン酸、トリフルオロメタンスルホン酸などのスルホン酸類;トリフルオロ酢酸、トリクロロ酢酸などのハロゲノ脂肪酸、ギ酸、酢酸、プロピオン酸などが挙げられるが、中でも塩酸、硫酸、ギ酸、酢酸が好適である。
このようにして1−(置換フェニル)エチル基、およびイミダゾリジノン環を構成しているN,N−架橋型置換基を脱保護し、光学活性アミノ酸アミドを製造したのち、上記工程iii)の操作、すなわちカルボン酸アミドからカルボン酸への加水分解反応を実施することで、前述の一般式(10)で表される光学活性アミノ酸を製造することができる。このとき用いる酸または塩基の種類、使用量については、前述の一般式(3)で表されるイミダゾリジノン誘導体から、一般式(9)で表されるN−(1−フェニルエチル置換)光学活性アミノ酸への変換に用いられるものをそのまま例示できる。
次に一般式(2)で表される光学活性イミダゾリジノン誘導体に、塩基の存在下、一般式(13)
8−CHO (13)
(式中、R8は、水素原子、置換されていてもよい炭素数1〜30のアルキル基、置換されていてもよい炭素数2〜18のアルケニル基、置換されていてもよい炭素数2〜18のアルキニル基、置換されていてもよい炭素数7〜18のアラルキル基、置換されていてもよい炭素数6〜18のアリール基を示す)で表されるアルデヒドを作用させ、一般式(14)
Figure 2008012974
(式中、n、m、R1、R2、R3、R8、*1、*2、*3は前記と同じであり、R8が水素原子でない場合、*4は不斉炭素原子を示す)で表される、ヒドロキシ基を持つ光学活性イミダゾリジノン誘導体を製造する方法について説明する。
本工程で使用される前記式(2)で表される化合物は、光学純度が高いものほど、得られる化合物(14)の不斉炭素原子*3における光学純度が高くなるので好ましいが、光学純度については特に制限されるものではない。
ここで一般式(13)で表される化合物はアルデヒドであり、一般式(13)におけるR8は、水素原子、置換されていてもよい炭素数1〜30のアルキル基、置換されていてもよい炭素数2〜18のアルケニル基、置換されていてもよい炭素数2〜18のアルキニル基、置換されていてもよい炭素数7〜18のアラルキル基、置換されていてもよい炭素数6〜18のアリール基を示している。なお、R8が水素原子である場合、*4は不斉炭素原子ではない。
アルキル基の例としては、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、1−メチルプロピル基、2−メチルプロピル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基、トリデシル基、テトラデシル基、ペンタデシル基、ヘキサデシル基、ヘプタデシル基、オクタデシル基、ノナデシル基などが挙げられ、これらの任意の位置において、置換基を有していてもよい。
置換基の種類としては、ハロゲン原子、アルコキシ基、ヒドロキシル基、アラルキルオキシ基、アルキルチオ基、アルキルシリルオキシ基、アリールアルキルシリルオキシ基などが挙げられる。例として、3−クロロプロピル基、2−メトキシエチル基、ベンジルオキシメチル基、2−ベンジルオキシエチル基、2−(メルカプトメチル)エチル基、2−(t−ブチルジメチルシリルオキシ)エチル基、2−(t−ブチルジフェニルシリルオキシ)エチル基、2−トリメチルシリルオキシエチル基などが挙げられる。
置換されていてもよい炭素数2〜18のアルケニル基としては、例えばアリル基、ビニル基、3−ブテニル基、2−メチル−2−プロペニル基、3−フェニル−2−プロペニル基などが挙げられる。置換されていてもよい炭素数2〜18のアルキニル基としては、例えばプロピニル基、2−ブチニル基、3−ブチニル基、2−ペンチニル基などが挙げられる。
置換されていてもよい炭素数7〜18のアラルキル基としては、例えばベンジル基、p−メトキシフェニルメチル基、p−ニトロフェニルメチル基、p−ブロモフェニルメチル基、p−クロロフェニルメチル基、2,4−ジクロロフェニルメチル基、ナフチルメチル基、1−インダノイル基などが挙げられる。
置換されていてもよい炭素数6〜18のアリール基としては、例えばフェニル基、p−メトキシフェニル基、ナフチル基などが挙げられる。
光学活性ヒドロキシアミノ酸を製造するにあたって、R8としては、水素原子、メチル基、エチル基、ベンジル基、2−フェニルエチル基、プロピル基、アリル基、プロピニル基、1−メチル−プロピル基、2−メチル−プロピル基、ベンジルオキシメチル基、2−(メルカプトメチル)エチル基、p−メトキシフェニルメチル基、2−トリメチルシリルオキシエチル基が好ましい。
使用される一般式(13)で表される親電子剤の具体的な例としては、例えば、ホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、プロピオンアルデヒド、フェニルアセトアルデヒド、3−フェニルプロピオンアルデヒド、ブチルアルデヒド、アクロレイン、3−ブテニルアルデヒド、3−ブチニルアルデヒド、2−メチルブチルアルデヒド、3−メチルブチルアルデヒド、ベンジルオキシアセトアルデヒド、2−(メルカプトメチル)−プロピオンアルデヒド、p−メトキシフェニルアセトアルデヒド、2−トリメチルシリルプロピオンアルデヒド、ベンズアルデヒド、p−メトキシベンズアルデヒドなどを例示できる。
一般式(13)で表される親電子剤の使用量としては、特に制限されるものではないが、一般的に、前記式(14)で表される化合物に対して0.1〜5当量が好ましく、0.5〜2.5当量がさらに好ましい。言うまでもなく、収率高く前記式(14)で表される化合物を得るためには、前記式(2)で表される化合物に対して前記式(13)で表される化合物を1当量以上添加することが好ましい。
反応は不活性気体雰囲気下で行うのが好ましい。特に窒素、またはアルゴン雰囲気下で行うのが好適である。
反応には塩基が用いられる。用いる塩基は特に制限されるものではないが、無機塩基または有機塩基が好適である。中でも有機塩基が好ましく、特に有機金属塩基が最も好適である。
有機金属塩基としては、例えば、リチウムジイソプロピルアミド、リチウムジシクロヘキシルアミド、リチウム2,2,6,6−テトラメチルピペラジド、リチウムヘキサメチルジシラジド、ナトリウムヘキサメチルジシラジド、カリウムヘキサメチルジシラジド、塩化t−ブチルマグネシウム、リチウムt−ブトキシド、ナトリウムt−ブトキシド、カリウムt−ブトキシド、水素化リチウム、水素化ナトリウム、水素化カリウム、水素化カルシウムなどが挙げられる。
中でも、リチウムジイソプロピルアミド、リチウムヘキサメチルジシラジド、ナトリウムヘキサメチルジシラジド、カリウムヘキサメチルジシラジド、塩化t−ブチルマグネシウム、カリウムt−ブトキシド、ナトリウムt−ブトキシド、リチウムt−ブトキシド、水素化リチウム、水素化ナトリウム、水素化カリウム、水素化カルシウムが好ましく、リチウムアミド型塩基、ジシラジド型塩基がより好ましく、リチウムジイソプロピルアミド、リチウムジシラジド、ナトリウムジシラジド、カリウムジシラジドが最も好適である。
これらの塩基の使用量は、特に制限されないが、一般的に用いる一般式(2)で表される光学活性イミダゾリジノン誘導体のモル当量を基準として、例えば、0.1〜2.0モル当量の範囲内である。中でも0.5〜1.5当量の範囲内が好ましく、より好ましくは0.9〜1.3当量の範囲内である。
反応には通常溶媒が使用される。使用できる溶媒は、特に制限されるものではないが、一般的に、塩基との反応を避けるため、上述の塩基と反応しない溶媒が好ましい。例えば、n−ヘキサン、n−ヘプタン、n−オクタン、n−ノナン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサンなどの脂肪族炭化水素類;ベンゼン、トルエン、キシレン、クロロベンゼン、o−ジクロロベンゼン、エチルベンゼンなどの芳香族炭化水素類;テトラヒドロフラン、1,2−ジメトキシエタン、ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、t−ブチルメチルエーテル、シクロペンチルメチルエーテルなどのエーテル類等が挙げられる。中でもテトラヒドロフラン、トルエン、エチルベンゼン、1,2−ジメトキシエタンが好適であり、これらの溶媒は単独で、または2種類以上を組み合わせて用いてもよい。
用いる溶媒の使用量は、特に制限されるものではないが、一般的に、イミダゾリジノン誘導体の重量を基準として、1.0〜50倍容量の範囲内であるのが好ましく、中でも、2.5〜25倍容量が好ましい。
反応時の温度は、特に制限されるものではないが、例えば、通常30℃以下で実施される。中でも、−100〜0℃の範囲内が好ましいが、より好ましくは−100〜0℃の範囲内であり、特に好ましくは−100〜−30℃の範囲内である。反応を行う時間は特に制限されるものではないが、好ましくは0.1〜48時間、より好ましくは0.1〜24時間である。
またこの反応において、R8が水素原子でない場合、不斉炭素原子*4が新たに生成する。*4における光学純度は、特に制限されるものではないが、一般的に、50%de以上であることが好ましく、より好ましくは60%de以上である。
次に、上記一般式(14)で表される光学活性ヒドロキシイミダゾリジノン誘導体に、有機溶媒及び/または水のうち、少なくとも1種類を用いた溶媒中で、酸または塩基を作用させ、一般式(15)
Figure 2008012974
(式中、n、R1、R8、*1、*3、*4は前記に同じ)で表される、光学活性N−(1−フェニルエチル)ヒドロキシアミノ酸誘導体を製造する方法について説明する。
ここでは、次の3つの変換反応が進行する。なお、その順序については特に問うものではない。3つの反応とは以下の反応である。
i)イミダゾリジノン環1位窒素原子の、R3置換カルボニルオキシ基の脱離反応
ii)イミダゾリジノン環N,N−架橋型置換基の加水分解による開環反応
iii)カルボン酸アミドから、カルボン酸への加水分解反応。
この反応には、有機溶媒及び/または水が用いられる。用いられる有機溶媒の種類は、特に制限されるものではないが、例えば、n−ヘキサン、n−ヘプタン、n−オクタン、n−ノナン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサンなどの脂肪族炭化水素類;ベンゼン、トルエン、キシレン、クロロベンゼン、o−ジクロロベンゼンなどの芳香族炭化水素類;酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸n−ブチル、酢酸t−ブチル、酢酸イソプロピルなどの酢酸エステル類;ジイソプロピルエーテル、t−ブチルメチルエーテル、シクロペンチルメチルエーテル、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサンなどのエーテル類;アセトニトリル、プロピオニトリルなどのニトリル類;メタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、n−ブタノール、イソブタノール、2−メチル−2−プロパノールなどのアルコール類;N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、1−メチル−2−ピロリドンなどのアミド類等が挙げられる。これらの有機溶媒および水は、単独で用いてもよい。
また2種類以上の有機溶媒を任意の割合で組み合わせて使用してもよい。さらには有機溶媒と水とを組み合わせて用いてもよく、この場合、水と任意の割合で混合して用いてもよい。なお、交じり合わない溶媒による非混合溶媒系で用いてもよい。中でも水、またはアルコール類とエーテル類の使用が好ましく、より好ましいのは水のみの使用、メタノール、エタノール、イソプロパノール、テトラヒドロフランである。
用いる有機溶媒および/または水の使用量は、特に制限されるものではないが、一般式(14)で表される光学活性ヒドロキシイミダゾリジノン誘導体の重量を基準として、一般的に、1〜500倍容量の範囲内である。中でも、1〜300倍容量が好ましく、より好ましくは1〜200倍容量である。
上記のようにして調製した、一般式(14)で表される光学活性ヒドロキシイミダゾリジノン誘導体溶液に、酸または塩基を添加し反応を行う。用いる酸、または塩基については、特に制限されるものではないが、酸としては、例えば、塩酸、臭化水素酸、ヨウ化水素酸、硫酸、硝酸、発煙硝酸などの鉱酸類;メタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、トルエンスルホン酸、トリフルオロメタンスルホン酸などのスルホン酸類;トリフルオロ酢酸、トリクロロ酢酸などのハロゲノ脂肪酸などが挙げられる。また塩基としては、例えば、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化カルシウム、水酸化セシウム、水酸化バリウム、水酸化マグネシウムなどの金属ヒドロキシド;リチウムメトキシド、ナトリウムメトキシド、カリウムメトキシド、カルシウムメトキシド、リチウムエトキシド、ナトリウムエトキシド、カリウムエトキシド、カルシウムエトキシド、リチウムt−ブトキシド、ナトリウムt−ブトキシド、カリウムt−ブトキシドなどの金属アルコキシド等が挙げられる。
酸を用いる場合は鉱酸が好適であり、中でも塩酸、硫酸が好ましい。塩基を用いる場合は、金属ヒドロキシドが好適であり、中でも水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化カルシウムが好適である。
これらの酸、または塩基の使用量についても、特に制限されるものではないが、用いる光学活性ヒドロキシイミダゾリジノン誘導体のモル当量にたいして、一般的に、1〜200モル当量の範囲内であり、好ましくは1〜100モル当量、より好ましくは1〜60モル当量の範囲内である。
このように酸または塩基を作用させて反応を行う際の温度についても特に制限されるものではない。酸性条件で反応を実施する場合では、一般的に、0〜180℃の範囲内であり、中でも0〜150℃が好ましく、より好ましくは0〜130℃の範囲内である。塩基性条件下で反応を実施する場合では、一般的に、−10〜50℃の範囲内であり、中でも−10〜30℃の範囲内が好適である。反応を行う時間は特に制限されるものではないが、好ましくは0.1〜72時間、より好ましくは0.1〜60時間である。
このようにして一般式(15)で表される、光学活性2−(1−置換フェニルエチル)−3−ヒドロキシアミノ酸誘導体が合成できる。このヒドロキシアミノ酸誘導体の反応液は、通常、酸性または塩基性を示しているが、この反応液から、直接ヒドロキシアミノ酸誘導体の塩を晶析により取得することが可能である。また、適当な塩基、または酸を添加して、液性を中性付近に調整したのち、中和晶析によって光学活性2−(1−置換フェニルエチル)−3−ヒドロキシアミノ酸誘導体を得ることもできる。
さらに、アミノ基上の置換基である1−(置換フェニル)エチル基を、酸、酸化剤、接触水素添加反応などの、通常の1−(置換フェニル)エチル基を脱保護する条件によって脱保護することにより、一般式(16)
Figure 2008012974
(式中、R8、*3、*4は前記に同じ)で表される、光学活性ヒドロキシアミノ酸を製造することができる。このようにして合成された光学活性アミノ酸誘導体は、イオン交換カラム、中和晶析、造塩晶析など、通常、アミノ酸を単離するために使用される諸条件により取得できることは勿論のこと、反応液から直接、N−カルバモイル化やN−アシル化を行い、N−誘導化アミノ酸とすることも可能である。得られたN−誘導化アミノ酸も、抽出、晶析などの操作によって単離することが可能である。
さらに、一般式(14)で表される光学活性ヒドロキシイミダゾリジノン誘導体の窒素上の置換基である、1−(置換フェニル)エチル基、およびイミダゾリジノン環を構成しているN,N−架橋型置換基を脱保護し、一般式(17)
Figure 2008012974
(式中、R8、*3、*4は前記に同じ)で表される、ヒドロキシアミノ酸アミドとしたのち、有機溶媒および水のうち、少なくとも1種類を用いた溶媒中で、酸または塩基を作用させ、光学活性アミノ酸誘導体を製造することも可能である。
1−(置換フェニル)エチル基、およびイミダゾリジノン環を構成しているN,N−架橋型置換基の脱保護は、接触水素添加反応により、1段階で実施することが可能であるし、またイミダゾリジノン環N,N−架橋型置換基に関しては、加水分解によって開環することも当然可能であるが、この開環反応を実施しながら、接触水素添加反応により、1段階で1−(置換フェニル)エチル基を脱保護することも可能である。
この操作の例として、例えば前記式(14)で表されるヒドロキシイミダゾリジノン誘導体を、有機溶媒および/または水のうち、いずれか1種類以上を用いた溶媒に溶解したのち、接触水素添加触媒を加え、更に水素ガスと反応させる方法があり、これにより、前記式(17)で表される光学活性アミノ酸アミドが合成できる。
このとき用いる接触水素添加用触媒は、通常用いられるものであれば、特に制限されるものではないが、例えば、パラジウム−炭素、水酸化パラジウム−炭素、酸化パラジウム、パラジウム黒などのパラジウム触媒、酸化白金や白金黒などの白金触媒が挙げられ、中でもパラジウム触媒が好適であり、パラジウム−炭素、水酸化パラジウム−炭素が更に好適である。
触媒の使用量も特に制限されないが、一般的に、基質であるイミダゾリジノン誘導体の重量を基準として、0.01〜5.0倍重量の範囲内であり、好ましくは0.05〜1.5倍重量の範囲内である。
反応には水素ガスが使用され、その使用容量や圧力も、反応に影響を与えない限り、特に制限されない。一般的に、0.01MPa〜100MPaの範囲内であり、より好ましくは0.1〜50MPaの範囲内である。
この反応には、有機溶媒および/または水が使用される。用いられる有機溶媒の種類や使用量については、前述の一般式(14)から、一般式(15)への変換に用いることができる有機溶媒の例をそのまま例示でき、溶媒の組み合わせや併用についても同様である。中でもヘキサン、ヘプタン、トルエン、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸イソプロピル、酢酸ブチル、メタノール、エタノール、イソプロパノール、n−ブタノール、イソブタノール、2−ブタノール、2−メチル−2−プロパノール、ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、テトラヒドロフラン、t−ブチルメチルエーテル、シクロペンチルメチルエーテルなどが好適であり、テトラヒドロフランがより好適である。
このようにして1−(置換フェニル)エチル基、およびイミダゾリジノン環を構成しているN,N−架橋型置換基を脱保護し、光学活性ヒドロキシアミノ酸アミドを製造したのち、上記工程iii)の操作、すなわちカルボン酸アミドからカルボン酸への加水分解反応を実施することで、前述の一般式(17)で表される光学活性ヒドロキシアミノ酸を製造することができる。このとき用いる酸または塩基の種類、使用量についても前述の一般式(14)で表されるイミダゾリジノン誘導体から、一般式(15)で表されるN−(1−フェニルエチル置換)光学活性アミノ酸への変換に用いられるものをそのまま例示できる。
なお、前述の化合物(1)、(2)、(3)において記載したように、以上の一般式(1)で表されるイミダゾリジノン誘導体異性体混合物合成から、一般式(9)で表される光学活性2−(1−置換フェニルエチル)アミノ酸誘導体合成、または一般式(15)で表される光学活性3−ヒドロキシ−2−(1−置換フェニルエチル)アミノ酸誘導体合成においては、n=0であることが好ましく、またR2が塩素原子であり、m=2、かつフェニル基の置換位置が2,6位または3,4位である誘導体の使用が好ましい。またR2がメチル基であり、m=3、かつフェニル基の置換位置が2,4,6位である誘導体の使用も好ましい。さらにR3がt−ブチル基、ベンジル基、アリル基であるイミダゾリジノン誘導体の使用が好ましい。
また、以上においては、一般式(2)で表される光学活性イミダゾリジノン誘導体を一般式(8)で表される化合物や、一般式(13)で表される化合物との反応について記載したが、一般式(2)で表される光学活性イミダゾリジノン誘導体は、その他の親電子剤を用いて、一般的にイミダゾリジノン誘導体が縮合できる基質と反応できることは言うまでも無い。例としてマイケル反応、マンニッヒ反応、アリール基とのカップリング反応や、クライゼン縮合などを挙げることができる。
本発明によって製造される光学活性イミダゾリジノン誘導体は、光学活性なアミノ酸合成に汎用的に利用することができ、医薬分野を始め多方面において製造上重要な、光学活性アミノ酸を簡便に製造することができる。
以下に例を挙げて本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
(実施例1)(R)−2−[(1−フェニルエチル)アミノ]−エタナミド
Figure 2008012974
クロロアセトアミド95g(1.0mol)と(R)−フェニルエチルアミン123g(1.0mol)を含む無水アセトニトリル溶液(570ml)に、窒素気流下において炭酸カリウム140g(1.0mol)とヨウ化ナトリウム15.2g(0.1mol)を加えて穏やかに加熱し、4時間後に加熱還流した。17時間加熱還流後、室温へと冷却して不溶物をろ過後、ケーキをアセトニトリル200mlで洗浄した。母洗液を濃縮後、酢酸エチル1000mlに溶解し、水および飽和食塩水で洗浄した。有機層を濃縮後、酢酸エチル150mlに再溶解し、これにヘキサン900mlを滴下して晶析操作を行い、表題の化合物を155g(86%収率)白色結晶として得た。
1H−NMR(400MHz,CDCl3):δ7.35−7.23(5H,m),6.95(1H,Brs),5.76(1H,brs),3.76(1H,q,J=6.6Hz),3.16(2H,s),1.81(1H,brs),1.38(3H,d,J=6.6Hz)。
(実施例2)(2,6−ジクロロフェニル)−1−((1’R)−フェニルエチル)テトラヒドロ−1H−4−イミダゾロン
Figure 2008012974
実施例1の方法で得られた(R)−2−[(1−フェニルエチル)アミノ]−エタナミド53.5g(0.3mol)、2,6−ジクロロベンズアルデヒド50g(0.3mol)、およびp−トルエンスルホン酸1.4g(7.1mmol)のトルエン溶液(500ml)を、窒素気流下において、外温120〜130℃にて22時間加熱還流を行った。室温に冷却後、反応液を濃縮し粗生成物を得た。粗生成物を酢酸エチル160mlに溶解したのち、ヘキサン220mlを滴下して晶析操作を行い、表題の化合物を69.7g(72.7%収率)白色結晶として得た。更に母液を濃縮後、酢酸エチル50ml、ヘキサン50mlを使用して同様の晶析操作を2回行い、表題の化合物を18.5g(19.2%収率)白色結晶として得た。総収量(総収率)は、88.2g(91.9%)であった。
1H−NMR(400MHz,CDCl3):δ7.32−7.18(8H,m),6.47(1H,s),6.21(1H,s),3.87(1H,q,J=6.6Hz),3.49(1H,dd,J=2.4Hz,15.1Hz),3.21(1H,dd,J=1.2Hz,15.1Hz),1.16(3H,d,6.6Hz)。
(実施例3)(2R)−(2,6−ジクロロフェニル)−1−((1’R)−フェニルエチル)テトラヒドロ−1H−4−イミダゾロン
Figure 2008012974
実施例2の方法で得られた(2,6−ジクロロフェニル)−1−((1’R)−フェニルエチル)テトラヒドロ−1H−4−イミダゾロン82.6g(0.25mol)をアセトニトリル140mlにてスラリー洗浄し、表題の化合物と2S異性体の異性体混合物を湿結晶として39.5g(異性体比;2R:2S=73:27)得た。これをアセトニトリル240ml、アセトニトリル70mlにて順次スラリー洗浄を行ったのち、真空減圧下乾燥し、表題の化合物を16g(異性体比;2R:2S=99.4:0.6)得た。これらの母液であるアセトニトリル溶液を濃縮し粗生成物を得たのち、アセトニトリル573ml、286ml、158mlにて順次スラリー洗浄、減圧下乾燥を行い、表題の化合物を5.2g(異性体比;2R:2S=97.9:2.1)得た。これらを合わせた収率は25.6%(51%回収率)であった。このとき生成した晶析母液を混合濃縮して、(2,6−ジクロロフェニル)−1−((1’R)−フェニルエチル)テトラヒドロ−1H−4−イミダゾロンの異性体混合物を59.1g褐色油状物として得た。
1H−NMR(400MHz,CDCl3):δ7.32−7.18(8H,m),6.47(1H,s),6.21(1H,s),3.87(1H,q,J=6.6Hz),3.49(1H,dd,J=2.4Hz,15.1Hz),3.21(1H,dd,J=1.2Hz,15.1Hz),1.16(3H,d,6.6Hz)。
(実施例4)(2R)−(2,6−ジクロロフェニル)−1−((1’R)−フェニルエチル)テトラヒドロ−1H−4−イミダゾロン
Figure 2008012974
実施例2で得られた(2,6−ジクロロフェニル)−1−((1’R)−フェニルエチル)テトラヒドロ−1H−4−イミダゾロン8.8g(0.026mol)をアセトニトリル15mlに懸濁し、p−トルエンスルホン酸100mg(0.5mmol)、および蒸留水31mg(1.72mmol)を加え、70℃に加温して均一溶液とした。65℃に冷却後、実施例3で得られた表題の化合物を種晶として約50mg添加した。1時間かけて60℃に冷却後、3.5時間かけて50℃に冷却した。50℃で18時間熟成した後、9時間かけて25℃に冷却した。さらに25℃で15時間熟成した後、析出した結晶をろ過した。ケーキをアセトニトリル10ml×2回、ヘキサン10ml×2回洗浄し、表題の化合物を湿結晶として6.2g(70%収率、88.4%de)得た。得られた結晶をアセトニトリル10ml、5mlで各々洗浄し、更にヘキサン10ml×2回洗浄後、真空下において乾燥し、表題の化合物を5.0g(56.1%収率、99.7%de)取得した。
(実施例5)(2R)−(2,6−ジクロロフェニル)−1−((1’R)−フェニルエチル)テトラヒドロ−1H−4−イミダゾロン
Figure 2008012974
実施例2で得られた(2,6−ジクロロフェニル)−1−((1’R)−フェニルエチル)テトラヒドロ−1H−4−イミダゾロン8.8g(0.026mol)をアセトニトリル12.5mlに懸濁し、p−トルエンスルホン酸100mg(0.5mmol)、および蒸留水31mg(1.72mmol)を加え、80℃に加温して均一溶液とした。65℃に冷却後、実施例3で得られた表題の化合物を種晶として約50mg添加した。45分かけて60℃に冷却後、2.5時間かけて50℃に冷却した。50℃で15時間熟成した後、10時間かけて30℃に冷却した。さらに30℃で13時間熟成した後、析出した結晶をろ過した。ケーキをアセトニトリル15ml×2回、ヘキサン15ml×2回洗浄し、真空減圧下乾燥を行い、表題の化合物を5.9g(67%収率、99.9%de)得た。
(実施例6)(2R)−(2,6−ジクロロフェニル)−1−((1’R)−フェニルエチル)テトラヒドロ−1H−4−イミダゾロン
Figure 2008012974
実施例2で得られた(2,6−ジクロロフェニル)−1−((1’R)−フェニルエチル)テトラヒドロ−1H−4−イミダゾロン8.7g(0.026mol)をアセトニトリル12.5mlに懸濁し、トリフルオロ酢酸592mg(5.19mmol)を加え、80℃に加温して均一溶液とした。60℃に冷却後、実施例3で得られた表題の化合物を種晶として約50mg添加した。65℃に昇温し4時間攪拌したのち、60℃に冷却して16時間熟成した。さらに6.5時間かけて5℃に冷却したのち、5℃で4.5時間熟成した。析出した結晶をろ過し、ケーキをアセトニトリル15ml×2回、ヘキサン15ml×2回洗浄した。真空減圧下乾燥を行い、表題の化合物を5.8g(67%収率、100%de)得た。
(実施例7)(2R)−(2,6−ジクロロフェニル)−1−((1’R)−フェニルエチル)テトラヒドロ−1H−4−イミダゾロン
Figure 2008012974
実施例2で得られた(2,6−ジクロロフェニル)−1−((1’R)−フェニルエチル)テトラヒドロ−1H−4−イミダゾロン8.8g(0.026mol)を酢酸エチル7.5ml、ヘキサン7.5mlの混合溶媒に懸濁し、トリフルオロ酢酸600mg(5.26mmol)を加え、80〜90℃に加熱還流した。2.5時間後ヘキサン2.5mlを15分かけて滴下したのち2時間加熱還流した。さらにヘキサン5mlを15分かけて滴下したのち、70℃に冷却し12時間熟成した。12時間かけて40℃に冷却したのち、40℃で12時間熟成した。これをさらに30℃に冷却し、6時間熟成した。析出した結晶をろ過し、ケーキを酢酸エチル/ヘキサン(2/1容量比)10ml、7.5mlで各々1回ずつ、ヘキサン10ml×2回洗浄した。真空減圧下乾燥を行い、表題の化合物を6.7g(76%収率、99.6%de)得た。
(実施例8)(2R)−(2,6−ジクロロフェニル)−1−((1’R)−フェニルエチル)テトラヒドロ−1H−4−イミダゾロン
Figure 2008012974
実施例2で得られた(2,6−ジクロロフェニル)−1−((1’R)−フェニルエチル)テトラヒドロ−1H−4−イミダゾロン137g(0.41mol)を酢酸エチル120ml、ヘキサン120mlの混合溶媒に懸濁し、トリフルオロ酢酸9.3mg(0.08mmol)を加え、80〜90℃に加熱還流した。1時間後ヘキサン120mlを2時間かけて滴下したのち、60℃に冷却し12時間熟成した。これを70℃に再加温し12時間熟成した。このスラリー溶液を54時間かけて28℃まで冷却し、析出した結晶をろ過した。ケーキを酢酸エチル/ヘキサン(2/1容量比)溶液160ml、120mlで各々1回ずつ、ヘキサン160mlで洗浄した。真空減圧下乾燥を行い、表題の化合物を115.1g(84.1%収率、98.5%de)得た。
(実施例9)1,1−ジメチルエチル−(2R)−(2,6−ジクロロフェニル)−5−オキソ−3−((1’R)−フェニルエチル)テトラヒドロ−1H−1−イミダゾールカルボキシレート
Figure 2008012974
実施例8で得られた(2R)−(2,6−ジクロロフェニル)−1−((1’R)−フェニルエチル)テトラヒドロ−1H−4−イミダゾロン21g(0.06mol)のアセトニトリル105ml溶液に、0℃窒素気流下においてジt−ブチルジカーボネート20.5g(0.09mol)、トリエチルアミン9.5g(0.09mol)、および4−(N,N−ジメチルアミノ)ピリジン0.3g(3mmol)を加え、室温で12時間攪拌した。反応液を濃縮後、酢酸エチルで希釈し少量のシリカゲルを充填したカラム管にて高極性物質除去処理を実施した。得られた濾液を濃縮後、酢酸エチル15mlに溶解し、ヘキサン150mlを滴下して晶析操作を行い、湿結晶26.3gを得た。40℃真空減圧下5時間乾燥を行い、表題の化合物を23g(84%収率、100%de)白色結晶として得た。
1H−NMR(400MHz,CDCl3):δ7.34−7.17(8H,m),6.43(1H,s),3.89(1H,q,J=6.8Hz),3.74(1H,dd,J=2.0Hz,16.1Hz),3.50(1H,dd,J=1.0Hz,16.1Hz),1.29(3H,d,J=6.8Hz),1.26(9H,s)。
(実施例10)1,1−ジメチルエチル−(2R)−(2,6−ジクロロフェニル)−5−オキソ−3−((1’R)−フェニルエチル)テトラヒドロ−1H−1−イミダゾールカルボキシレート
Figure 2008012974
実施例8で得られた(2R)−(2,6−ジクロロフェニル)−1−((1’R)−フェニルエチル)テトラヒドロ−1H−4−イミダゾロン50g(0.15mol)の酢酸エチル200ml溶液に、0℃窒素気流下において、トリエチルアミン15.8g(0.16mol)、および4−(N,N−ジメチルアミノ)ピリジン0.45g(3.7mmol)を加え、さらにジt−ブチルジカーボネート37.4g(0.17mol)を滴下し0℃で2時間攪拌した。反応液を濃縮後、酢酸エチル20mlに溶解し、ヘキサン400mlを滴下して晶析操作を実施した。結晶を酢酸エチル/ヘキサン(1/8容量比)溶液、40ml×2回、ヘキサン75ml×1回洗浄し湿結晶を得た。この母洗液を濃縮後し濃縮物24gを得たのち、酢酸エチル10ml、ヘキサン65mlから晶析した。結晶を酢酸エチル/ヘキサン(1/8容量比)溶液20ml×2回、ヘキサン25ml×1回洗浄し湿結晶(2次結晶)を得た。得られた湿結晶を混合し40℃真空減圧下24時間乾燥を行い、表題の化合物を58g(89%収率、100%de)白色結晶として得た。
(実施例11)1,1−ジメチルエチル−(2S)−(2,6−ジクロロフェニル)−5−オキソ−3−((1’R)−フェニルエチル)テトラヒドロ−1H−1−イミダゾールカルボキシレート
Figure 2008012974
実施例3で得た(2,6−ジクロロフェニル)−1−((1’R)−フェニルエチル)テトラヒドロ−1H−4−イミダゾロン59g(0.18mol)のアセトニトリル296ml溶液に、0℃窒素気流下においてジt−ブチルジカーボネート57.5g(0.26mol)、トリエチルアミン26.8g(0.26mol)、および4−(N,N−ジメチルアミノ)ピリジン1.1g(9mmol)を加え、室温で12時間攪拌した。反応液を濃縮後、酢酸エチルで希釈し少量のシリカゲルを充填したカラム管にて高極性物質除去処理を実施し、得られた濾液を濃縮して粗生成物を77g得た。これを酢酸エチルおよびヘキサンから晶析操作を実施し、更に40℃真空減圧下乾燥を行い、表題の化合物を33.2g(32%収率、64%回収率(2S体含有量基準)、99.7%de)白色結晶として得た。
1H−NMR(400MHz,CDCl3):δ7.26−7.10(8H,m),6.43(1H,t,J=1.2Hz),3.95(1H,q,J=6.3Hz),3.53(2H,d,J=1.2Hz),1.48(3H,d,J=6.3Hz),1.24(9H,s)。
(実施例12)1,1−ジメチルエチル−(2R)−(2,6−ジクロロフェニル)−5−オキソ−3−((1’R)−フェニルエチル)−(4S)−(フェニルメチル)テトラヒドロ−1H−1−イミダゾールカルボキシレート
Figure 2008012974
微量(5mg以下)の1,10−フェナンスロリンとジイソプロピルアミン1.15ml(8.2mmol)を含む無水テトラヒドロフラン(11.5ml)溶液に、窒素気流下、−20℃でn−ブチルリチウム4.5ml(1.6mol/L;n−ヘキサン溶液、7.2mmol)を10分かけて滴下した。20分後に実施例9で得られた1,1−ジメチルエチル−(2R)−(2,6−ジクロロフェニル)−5−オキソ−3−((1’R)−フェニルエチル)テトラヒドロ−1H−1−イミダゾールカルボキシレート3.0g(6.8mmol)の無水テトラヒドロフラン(6ml)溶液を10分かけて滴下した。滴下ラインを無水テトラヒドロフラン1.5mlで洗浄したのち、−20℃で20分間熟成した。これに臭化ベンジル1.75g(10.2mmol)を滴下し、−20℃で1時間攪拌後0℃で15.5時間攪拌した。反応液を酢酸エチル(100ml)にて希釈後、塩化アンモニウム水溶液、蒸留水、飽和食塩水で各2回ずつ洗浄し、有機層に無水硫酸マグネシウムを加えて乾燥した。固体を濾別後、減圧下溶媒を留去し粗生成物を4.51g得た。これをヘキサンにてリスラリー洗浄し、表題の化合物を2.8g(77%収率)微褐色結晶として得た。
1H−NMR(400MHz,CDCl3):δ7.33−7.02(13H,m),6.18(1H,d,J=2.2Hz),4.27(1H,m),3.98(1H,q,J=6.8Hz),3.29(1H,dd,J=2.7Hz,14.2Hz),3.08(1H,dd,J=6.1Hz,14.2Hz)、1.31(3H,d,J=6.8Hz),1.2(9H,s)。
(実施例13)(S)−フェニルアラニン
Figure 2008012974
(工程1) 微量(5mg以下)の1,10−フェナンスロリンとジイソプロピルアミン1.0ml(7.1mmol)を含む無水テトラヒドロフラン(12ml)溶液に、窒素気流下、−15℃でn−ブチルリチウム4.1ml(1.6mol/L;n−ヘキサン溶液、6.5mmol)を5分かけて滴下した。30分後に実施例9で得られた1,1−ジメチルエチル−(2R)−(2,6−ジクロロフェニル)−5−オキソ−3−((1’R)−フェニルエチル)テトラヒドロ−1H−1−イミダゾールカルボキシレート2.5g(5.7mmol)の無水テトラヒドロフラン(4ml)溶液を5分かけて滴下した。滴下ラインを無水テトラヒドロフラン2mlで洗浄したのち、−15℃で20分間熟成した。これに臭化ベンジル1.1g(6.5mmol)の無水テトラヒドロフラン(2.2ml)溶液を滴下し、−15℃で1時間攪拌後0℃で20時間攪拌した。反応液を酢酸エチル(50ml)にて希釈後、塩化アンモニウム水溶液、蒸留水、飽和食塩水で各2回ずつ洗浄し、有機層に無水硫酸マグネシウムを加えて乾燥した。固体を濾別後、減圧下溶媒を留去し粗生成物を3.2g得たが、このものはこれ以上精製することなく次工程へと導いた。
(工程2)工程1の粗生成物1.6g(工程1の1/2重量)をエタノール8mlと蒸留水11mlに懸濁し、濃硫酸3.0g(30mmol)を添加後、60℃で24時間反応させた。蒸留水3.2mlを添加し、減圧下エタノールを留去した。この水溶液をトルエン20mlにて4回洗浄したのち、再び減圧下有機溶媒を留去した。得られた水溶液に濃硫酸1.5g(15mmol)を加え、外温120〜130℃にて16.5時間反応させ(変換率99.8%)、3−フェニル−(2S)−[(1’R)−フェニルエチルアミノ]プロピオン酸を得た。このものはこれ以上精製することなく次工程へと導いた。
(工程3)工程2で得た3−フェニル−(2S)−[(1’R)−フェニルエチルアミノ]プロピオン酸の水溶液に、エタノール12mlと蒸留水2mlを添加したのち、窒素気流下、室温で20%パラジウム−炭素(50%含水品)200mgを加えた。反応系内を水素ガスで置換し、50℃で2.5時間反応した(変換率99.6%)。触媒を濾別し蒸留水で洗浄後、30%水酸化ナトリウム水溶液でpHを3.5に調整した。この溶液中のフェニルアラニンを高速液体クロマトグラフィーで定量した結果、(S)−フェニルアラニンが218.1mg(46.4%通算収率)、光学純度99.5%eeで得られた。
(定量方法)
カラム :ダイセル化学社製 キラルパックWH(内径4.6mm×25cm)
移動層 :0.25mM硫酸銅水溶液
流速 :1.0ml/min
検出器 :UV254nm
保持時間:(R)−フェニルアラニン 25.8分
(S)−フェニルアラニン 46.8分。
(実施例14)(R)−フェニルアラニン
Figure 2008012974
(工程1) 微量(5mg以下)の1,10−フェナンスロリンとジイソプロピルアミン2.1ml(14.8mmol)を含む無水テトラヒドロフラン(20ml)溶液に、窒素気流下、−15℃でn−ブチルリチウム8.5ml(1.6mol/L;n−ヘキサン溶液、13.6mmol)を5分かけて滴下した。30分後に実施例11で得られた1,1−ジメチルエチル−(2S)−(2,6−ジクロロフェニル)−5−オキソ−3−((1’R)−フェニルエチル)テトラヒドロ−1H−1−イミダゾールカルボキシレート5.2g(11.8mmol)の無水テトラヒドロフラン(10ml)溶液を5分かけて滴下した。滴下ラインを無水テトラヒドロフラン2.5mlで洗浄したのち、−15℃で25分間熟成した。これに臭化ベンジル2.3g(13.6mmol)の無水テトラヒドロフラン(4.6ml)溶液を滴下し、−15℃で1.5時間攪拌後0℃で18時間攪拌した。反応液を酢酸エチル(100ml)にて希釈後、塩化アンモニウム水溶液、蒸留水、飽和食塩水で各2回ずつ洗浄し、有機層に無水硫酸マグネシウムを加えて乾燥した。固体を濾別後、減圧下溶媒を留去し粗生成物を7.3g得たが、このものはこれ以上精製することなく次工程へと導いた。
(工程2)工程1の粗生成物(7.3g)にメタノール30mlと濃塩酸20ml、蒸留水5mlを加え、50℃で14時間反応させた。メタノール20mlを追加し、さらに4時間反応させたのち、室温で3.5時間攪拌した。反応液を減圧下濃縮後、トルエン20mlにて水層を4回洗浄した。これに濃硫酸6.4gを加え、外温120〜130℃にて3時間反応させたのち(変換率97%)室温へと冷却した。この反応液に活性炭520mgを加えて0.5時間攪拌したのち、固体を濾別し残渣を蒸留水/エタノール(1/1容量比)にて洗浄し、3−フェニル−(2R)−[(1’R)−フェニルエチルアミノ]プロピオン酸を含む溶液を得た。このものはこれ以上精製することなく次工程へと導いた。
(工程3)工程2で得た3−フェニル−(2R)−[(1’R)−フェニルエチルアミノ]プロピオン酸の水溶液に、窒素気流下、室温で20%パラジウム−炭素(50%含水品)600mgを加えた。反応系内を水素ガスで置換し、50℃で20時間反応した(変換率65.6%)。触媒を濾別し蒸留水で洗浄後、改めて窒素気流下、室温で20%パラジウム−炭素(50%含水品)500mgを加えた。反応系内を水素ガスで置換し、50℃で5時間反応した(変換率95%)。触媒を濾別し蒸留水で洗浄後、30%水酸化ナトリウム水溶液でpHを3.5に調整した。この溶液中のフェニルアラニンを実施例12の場合と同様に、高速液体クロマトグラフィーで定量した結果、(R)−フェニルアラニンが606.9mg(31.0%通算収率)、光学純度99.8%eeで得られた。
(実施例15)(S)−ノルバリン
Figure 2008012974
(工程1) 微量(5mg以下)の1,10−フェナンスロリンとジイソプロピルアミン2.0ml(14.2mmol)を含む無水テトラヒドロフラン(20ml)溶液に、窒素気流下、−15℃でn−ブチルリチウム8.2ml(1.6mol/L;n−ヘキサン溶液、13.1mmol)を10分かけて滴下した。30分後に実施例9の方法で得られた1,1−ジメチルエチル−(2R)−(2,6−ジクロロフェニル)−5−オキソ−3−((1’R)−フェニルエチル)テトラヒドロ−1H−1−イミダゾールカルボキシレート5.2g(11.8mmol)の無水テトラヒドロフラン(10ml)溶液を10分かけて滴下した。滴下ラインを無水テトラヒドロフラン2.5mlで洗浄したのち、−15℃で25分間熟成した。これに臭化アリル1.8g(14.9mmol)を滴下し、−15℃で1時間攪拌後0℃で19時間攪拌した。反応液を酢酸エチル(100ml)にて希釈後、塩化アンモニウム水溶液、蒸留水、飽和食塩水で各2回ずつ洗浄し、有機層に無水硫酸マグネシウムを加えて乾燥した。固体を濾別後、減圧下溶媒を留去し粗生成物を5.8g得たが、このものはこれ以上精製することなく次工程へと導いた。一部の生成物を薄相シリカゲル板(メルクシリカゲルプレート60,200×200×0.25mm;3枚,展開溶媒;ヘキサン/酢酸エチル=3/1容量比)で精製し、生成物のNMRスペクトルを測定した。
1H−NMR(400MHz,CDCl3):δ7.33−7.10(8H,m),6.59(1H,d,J=2.4Hz),5.94(1H,m),5.20(1H,d,J=0.7Hz),5.17(1H,dd,J=2.0Hz,8.8Hz),4.12(1H,m),3.88(1H,q,J=6.8Hz),2.68−2.54(2H,m),1.29−1.26(12H,m)。
(工程2)工程1の粗生成物にメタノール28mlと濃塩酸11.5ml、蒸留水11.5mlを加え、50℃で18時間反応させた。反応液を減圧下濃縮してメタノールを留去したのち、トルエン25mlにて水層を4回洗浄した。これに濃硫酸2.3gを加え、外温120〜130℃にて4時間反応させたのち(変換率100%)室温へと冷却した。この反応液に活性炭300mgを加えて0.5時間攪拌したのち、固体を濾別し残渣を蒸留水にて洗浄し、(2S)−[(1’R)−フェニルエチルアミノ]−4−ペンテン酸を含む溶液を得た。このものはこれ以上精製することなく次工程へと導いた。
(工程3)工程2で得た(2S)−[(1’R)−フェニルエチルアミノ]−4−ペンテン酸の水溶液に、窒素気流下、室温で20%パラジウム−炭素(50%含水品)600mgを加えた。反応系内を水素ガスで置換し、50℃で27時間反応した。触媒を濾別し蒸留水で洗浄後、改めて窒素気流下、室温で20%パラジウム−炭素(50%含水品)500mgを加えた。反応系内を水素ガスで置換し、水素圧2.2MPa、50℃にて20時間反応させた。触媒を濾別し蒸留水で洗浄後、30%水酸化ナトリウム水溶液でpHを3.5に調整した。この溶液中のノルバリンを、高速液体クロマトグラフィーで定量した結果、(S)−ノルバリンが573mg(41.5%通算収率)、光学純度98.7%eeで得られた。
(定量方法)
カラム :住友化学社製 スミキラルOA−5000(内径4.6mm×15cm)
移動層 :2mM硫酸銅水溶液/メタノール=95/5(容量比)
流速 :1.0ml/min
検出器 :UV254nm
保持時間:(S)−ノルバリン 12.2分
(R)−ノルバリン 19.8分。
(実施例16)(R)−ノルバリン
Figure 2008012974
(工程1) 微量(5mg以下)の1,10−フェナンスロリンとジイソプロピルアミン2.1ml(14.8mmol)を含む無水テトラヒドロフラン(20ml)溶液に、窒素気流下、−15℃でn−ブチルリチウム8.5ml(1.6mol/L;n−ヘキサン溶液、13.6mmol)を5分かけて滴下した。30分後に実施例11で得られた1,1−ジメチルエチル−(2S)−(2,6−ジクロロフェニル)−5−オキソ−3−((1’R)−フェニルエチル)テトラヒドロ−1H−1−イミダゾールカルボキシレート5.2g(11.8mmol)の無水テトラヒドロフラン(10ml)溶液を10分かけて滴下した。滴下ラインを無水テトラヒドロフラン2.5mlで洗浄したのち、−15℃で25分間熟成した。これに臭化アリル1.8g(14.9mmol)を滴下し、−15℃で1時間攪拌後0℃で18時間攪拌した。反応液を酢酸エチル(100ml)にて希釈後、塩化アンモニウム水溶液、蒸留水、飽和食塩水で各2回ずつ洗浄し、有機層に無水硫酸マグネシウムを加えて乾燥した。固体を濾別後、減圧下溶媒を留去し粗生成物を5.8g得たが、このものはこれ以上精製することなく次工程へと導いた。一部の生成物を薄相シリカゲル板(メルクシリカゲルプレート60,200×200×0.25mm;3枚,展開溶媒;ヘキサン/酢酸エチル=3/1容量比)で精製し、生成物のNMRスペクトルを測定した。
1H−NMR(400MHz,CDCl3):δ7.31−7.12(8H,m),6.66(1H,d,J=2.4Hz),5.90(1H,m),5.15(1H,s),5.11(1H,dd,J=1.5Hz,5.4Hz),4.00(1H,q,J=6.8Hz),3.81(1H,m),2.50−2.39(2H,m),1.26−1.24(12H,m)。
(工程2)工程1の粗生成物にメタノール30mlと濃塩酸15ml、蒸留水11.5mlを加え、50℃で15時間反応させた。これに濃硫酸2.3gを加え、外温120〜130℃にて4.5時間反応させたのち(変換率92%)室温へと冷却した。この反応液に活性炭300mgを加えて0.5時間攪拌したのち、固体を濾別し残渣を蒸留水にて洗浄し、(2R)−[(1’R)−フェニルエチルアミノ]−4−ペンテン酸を含む溶液を得た。このものはこれ以上精製することなく次工程へと導いた。
(工程3)工程2で得た(2R)−[(1’R)−フェニルエチルアミノ]−4−ペンテン酸の水溶液に、窒素気流下、室温でメタノール、および20%パラジウム−炭素(50%含水品)500mgを加えた。反応系内を水素ガスで置換し、50℃で20時間反応した。触媒を濾別し蒸留水で洗浄後、減圧下メタノールを留去した。改めて窒素気流下、室温でイソプロパノール、および20%パラジウム−炭素(50%含水品)250mgを加えたのち、反応系内を水素ガスで置換し、水素圧2.2MPa、50℃にて20時間反応させた。触媒を濾別し蒸留水で洗浄後、30%水酸化ナトリウム水溶液でpHを3.5に調整した。この溶液中のノルバリンを、実施例15と同様の方法にて定量した結果、(R)−ノルバリンが588mg(42.6%通算収率)、光学純度99.6%eeで得られた。
(実施例17)1,1−ジメチルエチル−(2S)−(3,4−ジクロロフェニル)−5−オキソ−3−((1’R)−フェニルエチル)テトラヒドロ−1H−1−イミダゾールカルボキシレート、および1,1−ジメチルエチル−(2R)−(3,4−ジクロロフェニル)−5−オキソ−3−((1’R)−フェニルエチル)テトラヒドロ−1H−1−イミダゾールカルボキシレート
Figure 2008012974
(工程1)(R)−2−[(1−フェニルエチル)アミノ]−エタナミド5.0g(28mmol)と3,4−ジクロロベンズアルデヒド4.9g(28mmol)、およびp−トルエンスルホン酸265mg(1.4mmol)のトルエン溶液(50ml)を、窒素気流下において、外温120〜130℃にて18時間加熱還流を行った。室温に冷却後、反応液を濃縮し粗生成物を得た。高極性不純物を除くため、ショートパスのシリカゲルカラム(メルクシリカゲル60;75g、展開溶媒;ヘキサン/酢酸エチル=1:1容量比)を行い、(2R)−(3,4−ジクロロフェニル)−1−((1’R)−フェニルエチル)テトラヒドロ−1H−4−イミダゾロン、および(2S)−(3,4−ジクロロフェニル)−1−((1’R)−フェニルエチル)テトラヒドロ−1H−4−イミダゾロンの異性体混合物を4.96g得た(52.8%収率)。一部の生成物を薄相シリカゲル板(メルクシリカゲルプレート;200×200×0.25mm、3枚;展開溶媒;ヘキサン/酢酸エチル=3/1容量比)にて精製し、NMRスペクトルを測定した。
1H−NMR(2S異性体)(400MHz,CDCl3):δ7.26−6.84(8H,m),4.97(1H,d,J=1.7Hz),3.71(1H,q,J=6.6Hz),3.61(1H,dd,J=1.7Hz,14.9Hz),3.33(1H,dd,J=2.0Hz,14.9Hz),1.39(3H,d,J=6.6Hz)
1H−NMR(2R異性体)(400MHz,CDCl3):δ7.55−6.95(8H,m),5.09(1H,s),3.59(1H,q,J=6.8Hz),3.45(1H,dd,J=2.0Hz,14.9Hz),3.23(1H,dd,J=2.0Hz,14.9Hz),1.38(3H,d,J=6.8Hz)。
(工程2)工程1で得た異性体混合物4.96g(14mmol)の無水アセトニトリル(50ml)溶液に、窒素気流下0℃でトリエチルアミン2.1g(14mmol)とジt−ブチルジカーボネート3.9g(16.8mmol)、および4−(N,N−ジメチルアミノ)ピリジン170mg(1.4mmol)を加え、室温で16時間攪拌した。反応液を濃縮後、高極性不純物を除くため、ショートパスのシリカゲルカラム(メルクシリカゲル60;20g、展開溶媒;ヘキサン/酢酸エチル=1:1容量比)を行い、表題の異性体混合物を9.5g得た。一部の生成物を薄相シリカゲル板(メルクシリカゲルプレート;200×200×0.25mm、3枚;展開溶媒;ヘキサン/酢酸エチル=3/1容量比)にて精製し、NMRスペクトルを測定した。また精製したこれら異性体は、工程3の種晶として用いた。
1H−NMR(2S異性体)(400MHz,CDCl3):δ7.33−7.01(8H,m),5.43(1H,s),3.74(1H,q,J=6.6Hz),3.62(1H,d,J=16.4Hz),3.48(1H,d,J=16.4Hz),1.42(3H,d,J=6.6Hz)、1.30(9H,s)。
1H−NMR(2R異性体)(400MHz,CDCl3):δ7.44−7.07(8H,m),5.44(1H,s),3.64(1H,dd,J=0.7Hz,15.9Hz),3.59(1H,q,J=6.6Hz),3.51(1H,dd,J=0.7Hz,16.4Hz),1.35−1.32(12H,m)。
(工程3)工程2で得た異性体混合物に対し、酢酸エチル/ヘキサン(1/3容量比)30mlを加え、室温で攪拌した。これに工程2で得た(2S)異性体の種晶を添加し、更にヘキサン50mlを添加後、室温で1時間攪拌した。析出した結晶をろ過し、酢酸エチル/へキサン(1/7容量比)溶液、およびヘキサンで順次洗浄後、減圧下40℃で乾燥した。この母液を濃縮後、更に酢酸エチル10mlおよびヘキサン100mlとから同様の晶析操作を実施し、1,1−ジメチルエチル−(2S)−(3,4−ジクロロフェニル)−5−オキソ−3−((1’R)−フェニルエチル)テトラヒドロ−1H−1−イミダゾールカルボキシレートを合計2.14g(35.2%収率、100%de)白色結晶として得た。
(工程4)工程3で(2S)異性体が析出した母液を濃縮後、ヘキサン100mlから晶析操作を実施すると、1,1−ジメチルエチル−(2R)−(3,4−ジクロロフェニル)−5−オキソ−3−((1’R)−フェニルエチル)テトラヒドロ−1H−1−イミダゾールカルボキシレートが1.23g(20%収率)白色結晶として得られた。
(実施例18)3−フェニル−(2S)−[(1’R)−フェニルエチルアミノ]プロピオン酸
Figure 2008012974
(工程1)微量(5mg以下)の1,10−フェナンスロリンと実施例17で得られた1,1−ジメチルエチル−(2R)−(3,4−ジクロロフェニル)−5−オキソ−3−((1’R)−フェニルエチル)テトラヒドロ−1H−1−イミダゾールカルボキシレート2.5g(5.7mmol)を含む無水テトラヒドロフラン(20ml)溶液に、窒素気流下、−15℃でリチウムジイソプロピルアミド3.2ml(2.0mol/L;ヘプタン/テトラヒドロフラン/エチルベンゼン溶液、6.3mmol)を10分かけて滴下した。15分後に臭化ベンジル1.5g(8.5mmol)の無水テトラヒドロフラン(5ml)溶液を滴下し、−15℃で19時間攪拌した。反応液を酢酸エチル(150ml)にて希釈後、蒸留水、塩化アンモニウム水溶液、蒸留水で各1回ずつ、飽和食塩水で2回洗浄し、有機層に無水硫酸マグネシウムを加えて乾燥した。固体を濾別後、減圧下溶媒を留去し粗生成物を3.9g得た。シリカゲルカラムクロマトグラフィー(メルクシリカゲル60,420g、100gで各1回ずつ、展開溶媒;ヘキサン/酢酸エチル=3/1容量比)で精製し、1,1−ジメチルエチル−(2R)−(3,4−ジクロロフェニル)−5−オキソ−3−((1’R)−フェニルエチル)−(4S)−(フェニルメチル)テトラヒドロ−1H−1−イミダゾールカルボキシレートを過剰に含む異性体混合物を1.1g(37%収率)油状物として得た。このとき原料を1.4g回収し、これを考慮した収率は84%であった。
1H−NMR(400MHz,CDCl3):δ7.25−7.17(10H,m),7.03(2H,m),6.78(1H,d,J=2.2Hz),6.69(1H,m),4.17(1H,t,4.2Hz),3.82(1H,q,J=6.8Hz),3.33−3.24(2H,m),1.37(3H,d,J=6.8Hz),1.28(9H,s)。
(工程2)工程1で得た粗生成物1.0g(84%含有量,840mg、1.6mmol)に、窒素気流下0℃で、テトラヒドロフラン18mlと蒸留水6ml、さらに水酸化リチウム1水和物168mg(4mmol)を加え、0℃で22.5時間反応させた。減圧下テトラヒドロフランを除去し、酢酸エチルを添加・洗浄操作を行い有機層を廃棄した。水層を6M塩酸水溶液にてpH2.5とし、再び酢酸エチルを添加・洗浄操作を行い、有機層を廃棄した。水溶液のpHを6.5に調整したところ、アミノ酸の結晶が析出した。これをろ別し、減圧下乾燥して表題の化合物を337mg(78%収率)オフホワイトの固体として得た。この固体の光学純度を高速液体クロマトグラフィーで測定した結果、3−フェニル−(2S)−[(1’R)−フェニルエチルアミノ]プロピオン酸が59.3%deで得られた。
(光学純度測定方法)
カラム :ウオーターズ社製 シンメトリーC18(内径4.6mm×25cm)
移動層 :50mMリン酸1水素2ナトリウム水溶液(pH2.5)/アセトニトリル=75/25(容量比)
流速 :0.5ml/min
カラム温度:35℃
検出器 :UV254nm
保持時間 :(2S)異性体 約16分
(2R)異性体 約13分。
(実施例19)(R)−α−メチルフェニルアラニン
Figure 2008012974
(工程1)微量(5mg以下)の1,10−フェナンスロリンとジイソプロピルアミン0.32ml(2.3mmol)を含む無水テトラヒドロフラン(5ml)溶液に、窒素気流下、−20℃でn−ブチルリチウム1.3ml(1.6mol/L;n−ヘキサン溶液、2.0mmol)を10分かけて滴下した。20分後に実施例9で得られた1,1−ジメチルエチル−(2R)−(2,6−ジクロロフェニル)−5−オキソ−3−((1’R)−フェニルエチル)−(4S)−(フェニルメチル)テトラヒドロ−1H−1−イミダゾールカルボキシレート1.0g(1.9mmol)の無水テトラヒドロフラン(3.5ml)溶液を10分かけて滴下した。滴下ラインを無水テトラヒドロフラン0.5mlで洗浄したのち、−20℃で20分間熟成した。これにヨウ化メチル405mg(2.9mmol)を滴下し、−20℃で1時間攪拌後、0℃で16時間攪拌した。反応液を酢酸エチル(50ml)にて希釈後、塩化アンモニウム水溶液、蒸留水、飽和食塩水で各2回ずつ洗浄し、有機層に無水硫酸マグネシウムを加えて乾燥した。固体を濾別後、減圧下溶媒を留去し粗生成物を1.0g得た。これは、これ以上の精製を行わず次工程へ用いた。一部(1/10重量)を用い、薄相シリカゲル板(メルクシリカゲルプレート60,200×200×0.25mm;1.5枚,展開溶媒;ヘキサン/酢酸エチル=3/1容量比)で精製し、生成物のNMRスペクトルを測定した。
1,1−ジメチルエチル−(2R)−(2,6−ジクロロフェニル)−(4R)−メチル−5−オキソ−3−((1’R)−フェニルエチル)−4−(フェニルメチル)テトラヒドロ−1H−1−イミダゾールカルボキシレート
1H−NMR(400MHz,CDCl3):δ7.40−6.75(13H,m),6.41(1H,s),4.33(1H,q,J=6.8Hz),3.63(1H,d,J=14.2Hz),3.37(1H,d,J=14.2Hz),1.76(3H,d,J=6.8Hz),1.38(3H,s),1.19(9H,s)。
(工程2)工程1の粗生成物0.9gにメタノール35mlと濃塩酸10mlを加え、50℃で2時間反応させた。メタノールを減圧下濃縮後、蒸留水20mlを添加し、さらに濃硫酸0.75gを加え、外温120〜130℃にて7時間反応させたのち(変換率100%)室温へと冷却した。この反応液に活性炭200mgを加えて0.5時間攪拌したのち、固体を濾別し残渣を蒸留水にて洗浄し、(2R)−メチル−3−フェニル−[(1’R)−フェニルエチルアミノ]プロピオン酸を含む溶液を得た。このものはこれ以上精製することなく次工程へと導いた。
(工程3)工程2で得た(2R)−メチル−3−フェニル−[(1’R)−フェニルエチルアミノ]プロピオン酸の水溶液に、イソプロパノールを加えたのち、窒素気流下、室温で20%パラジウム−炭素(50%含水品)200mgを加えた。反応系内を水素ガスで置換し、50℃で20時間反応した(変換率100%)。触媒を濾別し蒸留水で洗浄後、30%水酸化ナトリウム水溶液でpHを4.0に調整した。この溶液中のα−メチル−フェニルアラニンを実施例13の場合と同様に、高速液体クロマトグラフィーで定量した結果、(R)−α−メチル−フェニルアラニンが154.9mg(51%通算収率)、光学純度100%eeで得られた。
(定量および光学純度分析条件)
カラム :ダイセル化学社製 キラルパックWH(内径4.6mm×25cm)
移動層 :2mM硫酸銅水溶液/メタノール=95/5(容量比)
流速 :0.6ml/min
検出器 :UV254nm
保持時間:(R)−α−メチル−フェニルアラニン 約16分
(S)−α−メチル−フェニルアラニン 約42分。
(実施例20)(2,4,6−トリメチルフェニル)−1−((1’R)−フェニルエチル)テトラヒドロ−1H−4−イミダゾロン
Figure 2008012974
実施例1の方法で得られた(R)−2−[(1−フェニルエチル)アミノ]−エタナミド31.6g(0.18mol)、2,4,6−トリメチルベンズアルデヒド25g(0.18mol)、およびp−トルエンスルホン酸805mg(4.2mmol)のトルエン溶液(50ml)を、窒素気流下において、外温120〜130℃にて22時間加熱還流した。室温に冷却後、反応液を濃縮し、粗生成物を得た。高極性物質除去のため、シリカゲルカラム(メルクシリカゲル60、600g:展開溶媒;ヘキサン/酢酸エチル=3/2(容量比))処理を行い、得られた溶出液を濃縮して表題の化合物を53g褐色油状物として得た。
1H−NMR(400MHz,CDCl3):δ7.33−7.19(6H,m),7.03(4H,s)、6.82(2H,s)、6.63(2H,s)、6.06(2H,brs)、5.62(1H,t,J=2.2Hz)、5.60(1H,t,J=2.0Hz)、3.75(1H,q,J=6.6Hz)、3.70(1H,q,J=6.8Hz)、3.48−3.34(3H,m)、3.14(1H,dd,J=2.2,14.9Hz)、3.49(6H,s)、2.28(6H,s)、2.25(3H,s)、2.17(3H,s)、1.39(3H,d,J=6.6Hz)、1.10(3H,d,J=6.6Hz)。
(実施例21)1,1−ジメチルエチル−(2S)−(2,4,6−トリメチルフェニル)−5−オキソ−3−((1’R)−フェニルエチル)テトラヒドロ−1H−1−イミダゾールカルボキシレート
Figure 2008012974
実施例20で得られた(2,4,6−トリメチルフェニル)−1−((1’R)−フェニルエチル)テトラヒドロ−1H−4−イミダゾロン53g(0.17mol)の酢酸エチル215ml溶液に、0℃窒素気流下においてジt−ブチルジカーボネート56.2g(0.26mol)、トリエチルアミン26g(0.26mol)、および4−(N,N−ジメチルアミノ)ピリジン520mg(4.3mmol)を加え、室温で17時間攪拌した。反応液を濃縮後、高極性物質除去のためシリカゲルカラム(メルクシリカゲル60、700g:展開溶媒;ヘキサン/酢酸エチル=5/1(容量比)処理を行い、得られた溶出液を濃縮して生成物58.4gを得た。これをヘキサン230mlに溶解し、晶析温度−10℃にて64時間熟成した。結晶を濾別し氷冷ヘキサン50ml×2回、洗浄を行い真空減圧下乾燥して表題の化合物を17.6g(25.6%収率、2,4,6−トリメチルベンズアルデヒド基準、100%de)白色結晶として得た。
1H−NMR(400MHz,CDCl3):δ7.25−7.07(5H,m),6.77(2H、brs)、5.97(1H,s),3.87(1H,q,J=6.8Hz),3.45(1H,dd,J=2.2Hz,15.4Hz),3.29(1H,dd,J=0.7Hz,15.4Hz),2.41(6H,brs)、2.25(3H,s)、1.46(3H,d,J=6.8Hz),1.17(9H,s)。
(実施例22)(R)−フェニルアラニン
Figure 2008012974
(工程1) 微量(5mg以下)の1,10−フェナンスロリンとジイソプロピルアミン4.1ml(29.4mmol)を含む無水テトラヒドロフラン(30ml)溶液に、窒素気流下、−20℃でn−ブチルリチウム16.1ml(1.6mol/L;n−ヘキサン溶液、25.7mmol)を10分かけて滴下した。20分後に実施例21の方法で得られた1,1−ジメチルエチル−(2S)−(2,4,6−トリメチルフェニル)−5−オキソ−3−((1’R)−フェニルエチル)テトラヒドロ−1H−1−イミダゾールカルボキシレート10g(24.5mmol)の無水テトラヒドロフラン(20ml)溶液を10分かけて滴下した。滴下ラインを無水テトラヒドロフラン2mlで洗浄したのち、−20℃で20分間熟成した。これに臭化ベンジル5.0g(29.4mmol)を滴下し、−20℃で1時間攪拌後0℃で18時間攪拌した。反応液を酢酸エチル(300ml)にて希釈後、塩化アンモニウム水溶液、蒸留水、飽和食塩水で各2回ずつ洗浄し、有機層に無水硫酸マグネシウムを加えて乾燥した。固体を濾別後、減圧下溶媒を留去し粗生成物を12.6g得たが、この粗生成物はこれ以上精製することなく次工程へと導いた。
(工程2)工程1の粗生成物(12.5g)にテトラヒドロフラン125mlと2M塩酸25mlを加え減圧下窒素置換を行った。これに20%水酸化パラジウム−炭素(50%含水品)1.25gを加え反応系内を水素ガスで置換し、50℃で48時間反応した。触媒を濾別し、ケーキをテトラヒドロフラン100ml、蒸留水10mlで洗浄後、減圧下有機溶媒を留去した。これに濃塩酸10mlを加え3.5時間加熱還流した。蒸留水50mlを添加後50℃に加温し、トルエン(50ml×4回)洗浄操作を行った。減圧下有機溶媒を留去し、30%水酸化ナトリウム水溶液でpHを2.5に調整した。この溶液中のフェニルアラニンを、実施例12の場合と同様に高速液体クロマトグラフィーで定量した結果、(R)−フェニルアラニンが3.5g(87%通算収率)、光学純度100%eeで得られた。
(実施例23)フェニルメチル−(2R)−(2,6−ジクロロフェニル)−5−オキソ−3−((1’R)−フェニルエチル)テトラヒドロ−1H−1−イミダゾールカルボキシレート
Figure 2008012974
実施例8の方法で得られた(2R)−(2,6−ジクロロフェニル)−1−((1’R)−フェニルエチル)テトラヒドロ−1H−4−イミダゾロン5g(14.9mmol)の酢酸エチル25ml溶液に、窒素気流下室温でトリエチルアミン4.4g(43.5mmol)、4−ジメチルアミノピリジン180mg(1.5mmol)を加え0℃に冷却した。これにクロロギ酸ベンジル6.0g(35.2mmol)を15分かけて滴下したのち、1時間攪拌した。反応液を酢酸エチル50mlで希釈し、水および飽和食塩水で洗浄した。有機層を無水硫酸マグネシウムで乾燥後、減圧下溶媒を留去し、表題の化合物を4.9g(70%収率)、無色油状物として得た。
1H−NMR(400MHz,CDCl3):δ7.32−7.12(13H,m),6.48(1H,d,J=1.0Hz),5.16(1H,d,J=12.0Hz),5.02(1H,d,J=12.0Hz)、3.86(1H,q,J=6.8Hz),3.75(1H,dd,J=1.7Hz,16.4Hz),3.48(1H,d,J=16.4Hz),1.26(3H,d,J=6.8Hz)。
(実施例24)2−プロペニル−(2R)−(2,6−ジクロロフェニル)−5−オキソ−3−((1’R)−フェニルエチル)テトラヒドロ−1H−1−イミダゾールカルボキシレート
Figure 2008012974
実施例8の方法で得られた(2R)−(2,6−ジクロロフェニル)−1−((1’R)−フェニルエチル)テトラヒドロ−1H−4−イミダゾロン5g(14.9mmol)の酢酸エチル50ml溶液に、窒素気流下0℃でトリエチルアミン2.3g(22.4mmol)、4−ジメチルアミノピリジン180mg(1.5mmol)を加えた。これにクロロギ酸アリル2.2g(17.9mmol)の酢酸エチル(10ml)溶液を35分かけて滴下したのち、1時間攪拌した。更にトリエチルアミン1.5g(14.9mmol)を添加したのち、クロロギ酸アリル2.2g(17.9mmol)の酢酸エチル(15ml)溶液を25分かけて滴下して1時間攪拌後、室温で18時間攪拌した。反応液を酢酸エチル50mlで希釈し、塩化アンモニウム水溶液、水および飽和食塩水で洗浄した。有機層を無水硫酸マグネシウムで乾燥後、減圧下溶媒を留去し、表題の化合物を7.2g(NMRから含量65%、4.7g、75%収率)、無色油状物として得た。
1H−NMR(400MHz,CDCl3):δ7.33−7.16(8H,m),6.51(1H,d,J=1.0Hz),5.74(1H,m),5.21(1H,dq,J=1.5Hz,17.3Hz)、5.14(1H,dq,J=1.2Hz,10.5Hz)、4.57(2H,m)、3.88(1H,q,J=6.8Hz)、3.76(1H,dd,J=1.7Hz,16.4Hz),3.50(1H,dd,J=0.7Hz,16.4Hz),1.28(3H,d,J=6.8Hz)。
(実施例25)2−プロペニル(2R)−(2,6−ジクロロフェニル)−5−オキソ−3−((1’R)−フェニルエチル)−(4S)−(フェニルメチル)テトラヒドロ−1H−1−イミダゾールカルボキシレート
Figure 2008012974
微量の1,10−フェナンスロリン(5mg以下)、実施例24の方法で得られた2−プロペニル−(2R)−(2,6−ジクロロフェニル)−5−オキソ−3−((1’R)−フェニルエチル)テトラヒドロ−1H−1−イミダゾールカルボキシレート4.6g(11mmol)、および臭化ベンジル2.2g(12.6mmol)を含む、無水テトラヒドロフラン(20ml)溶液に、窒素気流下−35℃でナトリウムヘキサメチルジシラジド(1.9Mテトラヒドロフラン溶液;6.7ml、12.6mmol)を約15分かけて滴下した。−35℃で3時間攪拌したのち、反応液を酢酸エチル50mlにて希釈し、1M塩酸水溶液、蒸留水、飽和食塩水で順次洗浄した。有機層を無水硫酸マグネシウムで乾燥したのち、減圧下溶媒を留去し粗生成物を得た。これをシリカゲルカラムクロマトグラフィー(シリカゲル60、300g、展開溶媒;ヘキサン/酢酸エチル=3/1(容量比))で精製し、表題の化合物を含む無色油状物を6.0g取得した。
1H−NMR(400MHz,CDCl3):δ7.32−6.98(13H,m),6.25(1H,d,J=2.0Hz),5.67(1H,m),5.13(2H,m)、4.48(2H,m)、4.31(1H,t,J=2.9Hz)、4.00(1H,q,J=6.6Hz),3.31(1H,dd,J=2.7Hz,14.2Hz),3.09(1H,dd,J=6.1Hz,14.2Hz)、1.33(3H,d,J=6.6Hz)。
(実施例26)(2S)−2−アミノ−3,3−ジフェニルプロピオン酸
Figure 2008012974
(工程1)微量の1,10−フェナンスロリン(5mg以下)と実施例10の方法で得られた1−ジメチルエチル−(2R)−(2,6−ジクロロフェニル)−5−オキソ−3−((1’R)−フェニルエチル)テトラヒドロ−1H−1−イミダゾールカルボキシレート4.0g(9.2mmol)、ベンズヒドリルクロリド3.1g(15.3mmol)を含む、無水テトラヒドロフラン(25ml)溶液に、窒素気流下−20℃でナトリウムジシラジド(1.9mol/L;テトラヒドロフラン溶液、10.6mmol)を20分間かけて滴下したのち、−20℃で15時間反応させ、更に−10℃で1時間、0℃で4時間反応した。反応液に4M酢酸/テトラヒドロフラン溶液6.5mlを加えて反応を停止し、酢酸エチル100mlで希釈したのち蒸留水、飽和食塩水で順次洗浄を行った。有機層を無水硫酸マグネシウムで乾燥したのち、減圧下溶媒を留去し粗生成物7.0gを得た。これをシリカゲルカラムクロマトグラフィー(シリカゲル60、200g、展開溶媒;ヘキサン/酢酸エチル=5/1(容量比))で2回、さらにシリカゲル量300gとする以外は同一の条件で1回精製し、1,1−ジメチルエチル−(2R)−(2,6−ジクロロフェニル)−(4S)−(ジフェニルメチル)−5−オキソ−3−((1’R)−フェニルエチル)テトラヒドロ−1H−1−イミダゾールカルボキシレートを総量1.63g(30%収率)白色固体として得た。
1H−NMR(400MHz,CDCl3):δ7.50−7.05(18H,m)、6.25(1H,d,J=2.2Hz)、4.67(1H,dd,J=1.5Hz,2.0Hz)、4.62(1H,d,J=1.5Hz)、4.06(1H,q,J=6.8Hz)、1.29(3H,d,J=6.8Hz)、1.16(9H,s)。
(工程2)1,1−ジメチルエチル−(2R)−(2,6−ジクロロフェニル)−(4S)−(ジフェニルメチル)−5−オキソ−3−((1’R)−フェニルエチル)テトラヒドロ−1H−1−イミダゾールカルボキシレート188mg(0.31mmol)をテトラヒドロフラン7.5ml、1M塩酸水溶液1mlの混合溶媒に溶解したのち系内を窒素置換した。これに20%水酸化パラジウム−炭素90mgを加え、系内を再び窒素ガスで置換したのち、系内を水素ガスで置換した。水素圧2.2MPa室温で100時間反応したのち、触媒をろ別した。これをテトラヒドロフラン各5mlで3回、蒸留水1mlで1回洗浄し、溶媒を減圧下留去した。これに6M塩酸水溶液7.5mlを加え、外温120〜130℃で2.5時間加熱還流したのち、外温0℃に冷却した。これに30%水酸化ナトリウム水溶液を加えpH6〜7に調整したのち減圧下溶媒を留去した。残渣に含まれる(2S)−2−アミノ−3、3ジフェニルプロピオン酸を下記の分析条件で定量した結果、76%収率、95.7%eeであった。
(参考例1)2−アミノ−3、3ジフェニルプロピオン酸の合成
1−ジメチルエチル−(2R)−(2,6−ジクロロフェニル)−5−オキソ−3−((1’R)−フェニルエチル)テトラヒドロ−1H−1−イミダゾールカルボキシレートの代わりに、N−Boc−グリシンメチルエステル2.5gを用いる以外は実施例26と同様に反応を行い、2−(N−Boc−アミノ)−3,3−ジフェニルプロピオン酸メチルエステルを640mg無色油状物として得た(14%収率)。更に2−(N−Boc−アミノ)−3,3−ジフェニルプロピオン酸メチルエステル354mgを6M塩酸水溶液と混合し、5時間加熱還流したのち、トルエンで洗浄を行い、30%水酸化ナトリウム水溶液で中和し、2−アミノ−3、3ジフェニルプロピオン酸の白色固体を取得した。これを用いて各異性体の保持時間を確認した。
(光学純度分析条件)
カラム :ダイセル化学社製 キラルパックWH(内径4.6mm×25cm)
移動層 :2mM硫酸銅水溶液/メタノール=90/10(容量比)
流速 :1.0ml/min
検出器 :UV250nm
保持時間:(2R)異性体 約16分
(2S)異性体 約29分。
(実施例27)(2S、3R)−2−アミノ−3−ヒドロキシ−5−フェニルペンタン酸
Figure 2008012974
(工程1)微量の1,10−フェナンスロリン(5mg以下)とジソプロピルアミン1.2ml(8.6mmol)を含む無水テトラヒドロフラン(10ml)溶液に、窒素気流下0℃でn−ブチルリチウム5.0ml(1.6mol/L;n−ヘキサン溶液、7.9mmol)を5分間かけて滴下した。0℃で5分間攪拌後、−78℃へと冷却し10分間攪拌した。これに実施例10で得られた1,1−ジメチルエチル−(2R)−(2,6−ジクロロフェニル)−5−オキソ−3−((1’R)−フェニルエチル)テトラヒドロ−1H−1−イミダゾールカルボキシレート3.0g(6.9mmol)の無水テトラヒドロフラン(6ml)溶液を10分かけて滴下した。滴下ラインを無水テトラヒドロフラン2mlで洗浄したのち、−78℃で20分間熟成した。これに3−フェニルプロピオンアルデヒド0.93g(6.93mmol)を10分間かけて滴下した。−78℃で3時間反応したのち、4M酢酸/テトラヒドロフラン溶液4mlを加え反応を停止した。酢酸エチル100mlにて希釈し、塩化アンモニウム水溶液、水、飽和食塩水の順に洗浄を行った。有機層を無水硫酸マグネシウムで乾燥後、減圧下溶媒を留去し粗生成物を得た。これをシリカゲルカラムクロマトグラフィー(シリカゲル60、400g、展開溶媒;ヘキサン/酢酸エチル=3/1(容量比))で精製し、1,1−ジメチルエチル(2R)−(2,6−ジクロロフェニル)−(4S)−((1R)−ヒドロキシ−3−フェニルプロピル)−5−オキソ−3−((1’R)−フェニルエチル)テトラヒドロ−1H−1−イミダゾールカルボキシレートおよび1,1−ジメチルエチル(2R)−(2,6−ジクロロフェニル)−(4S)−((1S)−ヒドロキシ−3−フェニルプロピル)−5−オキソ−3−((1’R)−フェニルエチル)テトラヒドロ−1H−1−イミダゾールカルボキシレートを合計3.5g(90%有姿収率)無色油状物として得た。
新たに生成したヒドロキシ基の生成比は粗生成物のNMRよりR:S=84:16と決定した。
(工程2)1,1−ジメチルエチル(2R)−(2,6−ジクロロフェニル)−(4S)−((1R)−ヒドロキシ−3−フェニルプロピル)−5−オキソ−3−((1’R)−フェニルエチル)テトラヒドロ−1H−1−イミダゾールカルボキシレート477.5mg(HPLC:91.5area%、434mg、0.767mmol)と6M塩酸水溶液(9.6ml)を混合し、外温120〜130℃で4時間加熱還流した。50℃に冷却後、トルエン20mlで2回、10mlで1回洗浄したのち外温を0℃とし、30%水酸化ナトリウム水溶液と1M塩酸水溶液を加え、pH6〜7に調製した。これに酢酸エチル20mlを加え0℃で1時間攪拌した。析出した結晶をろ過し、酢酸エチル5ml、氷冷水10ml、ヘキサン5mlで順次洗浄した。得られた結晶を真空下40℃で乾燥し、(3R)−ヒドロキシ−5−フェニル−(2S)−[((1’R)−フェニルエチル)アミノ]ペンタン酸を195mg(81%収率)白色固体として得た。
1H−NMR(400MHz,CD3OD):δ7.51−7.36(5H,m)、7.25−7.11(5H,m)、4.42(1H,q,J=6.8Hz)、3.89(1H,m)、3.41(1H,d,J=6.3Hz)、2.84(1H,m)、2.61(1H,m)、1,92(1H,m)、1.80(1H,m)、1.67(3H,d,J=6.8Hz)。
(工程3)(3R)−ヒドロキシ−5−フェニル−(2S)−[((1’R)−フェニルエチル)アミノ]ペンタン酸150mg(0.48mmol)をテトラヒドロフラン(10ml)と1M塩酸水溶液(1.4ml)の混合溶媒に溶解し減圧下窒素置換を行った。これに20%パラジウム−炭素(50%含水品)75mgを加え、更に窒素置換を行ったのち系内を水素ガスで置換し、水素圧2.2MPa、室温にて50時間反応した。触媒をろ別しテトラヒドロフラン5mlで3回、蒸留水1mlで1回洗浄後、溶媒を減圧下留去した。さらに真空下40℃で乾燥を行い、(2S、3R)−2−アミノ−3−ヒドロキシ−5−フェニルペンタン酸塩酸塩を115mg(98%収率、100%ee)白色固体として得た。
1H−NMR(400MHz,D2O+DCl):δ7.21−7.07(5H,m)、3.99(1H,m)、3.81(1H,d,J=3.9Hz)、2.72−2.65(1H,m)、2.58−2.51(1H,m)、1.82−1.66(2H,m)。
(光学純度分析条件)
カラム :ダイセル化学社製 キラルパックWH(内径4.6mm×25cm)
移動層 :2mM硫酸銅水溶液/メタノール=90/10(容量比)
流速 :0.5ml/min
検出器 :UV254nm
保持時間:(2R、3R)異性体および(2R,3S)異性体 約14分
(2S、3R)異性体 約27分
(2S、3S)異性体 約42分。
(実施例28)(2R、3S)−2−アミノ−3−ヒドロキシ−5−フェニルペンタン酸
Figure 2008012974
(工程1)微量の1,10−フェナンスロリン(5mg以下)とジイソプロピルアミン1.2ml(8.6mmol)を含む無水テトラヒドロフラン(10ml)溶液に、窒素気流下0℃でn−ブチルリチウム4.7ml(1.6mol/L;n−ヘキサン溶液、7.5mmol)を8分間かけて滴下した。0℃で10分間攪拌後、−78℃へと冷却し20分間攪拌した。これに実施例11で得られた1−ジメチルエチル−(2S)−(2,6−ジクロロフェニル)−5−オキソ−3−((1’R)−フェニルエチル)テトラヒドロ−1H−1−イミダゾールカルボキシレート3.0g(6.9mmol)の無水テトラヒドロフラン(6ml)溶液を10分かけて滴下した。滴下ラインを無水テトラヒドロフラン2mlで洗浄したのち、−78℃で20分間熟成した。これに3−フェニルプロピオンアルデヒド0.92g(6.9mmol)を10分間かけて滴下した。−78℃で2時間反応したのち、1M酢酸/テトラヒドロフラン溶液15mlを加え反応を停止した。酢酸エチル100mlにて希釈し、塩化アンモニウム水溶液、水、飽和食塩水の順に洗浄を行った。有機層を無水硫酸マグネシウムで乾燥後、減圧下溶媒を留去し粗生成物を得た。新たに生成したヒドロキシ基の生成比は粗生成物の1H−NMRよりS:R=83:17と決定した。粗生成物を酢酸エチル5mlおよびヘキサン45mlとから晶析し、1,1−ジメチルエチル(2S)−(2,6−ジクロロフェニル)−(4R)−((1S)−ヒドロキシ−3−フェニルプロピル)−5−オキソ−3−((1’R)−フェニルエチル)テトラヒドロ−1H−1−イミダゾールカルボキシレートを2.3g(59%収率)黄色結晶として得た。このとき他のジアステレオマーはNMRでNDとなった。
1H−NMR(400MHz,CDCl3):δ7.36−7.32(4H,m)、7.27−7.18(7H,m)、6.89−6.87(2H,m)、6.77(1H,d,J=3.4Hz)、3.84−3.78(2H,m)、3.43(1H,d,J=9.8Hz)、3.02−2.95(1H,m)、2.70−2.63(1H,m)、2.10−2.02(1H,m)、1.65−1.55(1H,m)、1,26−1.24(12H,m)。
(工程2)1,1−ジメチルエチル(2S)−(2,6−ジクロロフェニル)−(4R)−((1S)−ヒドロキシ−3−フェニルプロピル)−5−オキソ−3−((1’R)−フェニルエチル)テトラヒドロ−1H−1−イミダゾールカルボキシレート500mg(純度92.2wt%、含有量461mg、0.81mmol)と6M塩酸水溶液7.5mlを混合し、外温120〜130℃で4時間加熱還流した。外温50℃に冷却後トルエン各10mlで3回洗浄を行ったのち、外温0℃とし30%水酸化ナトリウム水溶液を加えpH7.2とした。これに酢酸エチル15mlを加え、0℃で1時間熟成した。生成した結晶をろ別し、酢酸エチル15ml、蒸留水5ml、ヘキサン10mlで順次洗浄した。真空下40℃で乾燥し、(3S)−ヒドロキシ−5−フェニル−(2R)−[((1’R)−フェニルエチル)アミノ]ペンタン酸を182mg(72%収率)白色固体として得た。
1H−NMR(400MHz,CD3OD):δ7.48−7.38(5H,m)、7.22−7,18(2H,m)、7.12−7.09(3H,m)、4.38(1H,q,J=6.8Hz)、3.80(1H,m)、3.06(1Hd,J=6.4Hz)、2.69(1H,m)、2.43(1H,m)、1.80−1.63(2H,m)、1.71(3H,d,J=6.8Hz)。
(工程3)(3S)−ヒドロキシ−5−フェニル−(2R)−[((1’R)−フェニルエチル)アミノ]ペンタン酸100mg(0.32mmol)をテトラヒドロフラン(10ml)と1M塩酸水溶液(0.6ml)の混合溶媒に溶解し、窒素置換を行った。これに20%パラジウム−炭素59mgを加え再び窒素置換したのち、系内を水素ガスで置換し水素圧2.2MPa、室温にて70時間攪拌した。触媒をろ別後、テトラヒドロフラン各5mlで3回、蒸留水1mlで1回洗浄し、減圧下溶媒を留去した。さらに真空下40℃で乾燥し、(2R、3S)−2−アミノ−3−ヒドロキシ−5−フェニルペンタン酸(80mg、100%ee)を白色固体として定量的に得た。光学純度分析は実施例27と同様の条件でを行い、(2S,3S)異性体は不検出であった。
1H−NMR(400MHz,D2O+DCl):δ7.24−7.10(5H,m)、4.00(1H,m)、3.82(1H,d,J=3.4Hz)、2.75−2.68(1H,m)、2.60−2.53(1H,m)、1.81−1.71(2H,m)。
(参考例2)2−アミノ−3−ヒドロキシ−5−フェニルペンタン酸異性体混合物の合成
1−ジメチルエチル−(2R)−(2,6−ジクロロフェニル)−5−オキソ−3−((1’R)−フェニルエチル)テトラヒドロ−1H−1−イミダゾールカルボキシレートの代わりに、N−Boc−グリシンメチルエステル2.5gを用いる以外は実施例27と同様に反応を行い、2−(N−Boc−アミノ)−3−ヒドロキシ−5−フェニルペンタン酸メチルエステルを3.3g白色固体として得た(78%収率)。更に2−(N−Boc−アミノ)−3−ヒドロキシ−5−フェニルペンタン酸メチルエステル1.0gを6M塩酸水溶液と混合し4時間加熱還流したのち、減圧下溶媒を留去することで、2−アミノ−3−ヒドロキシ−5−フェニルペンタン酸塩酸塩を合成した。これを用いて各異性体の保持時間を確認した。また塩酸塩水溶液を30%水酸化ナトリウム水溶液でpH6〜7とし、2−アミノ−3−ヒドロキシ−5−フェニルペンタン酸を346mg白色固体として得た(53%収率)。
(実施例29)(2R、3S)−2−アミノ−3−ヒドロキシ−5−フェニルペンタン酸
Figure 2008012974
実施例28(工程1)で得た、1,1−ジメチルエチル(2S)−(2,6−ジクロロフェニル)−(4R)−((1S)−ヒドロキシ−3−フェニルプロピル)−5−オキソ−3−((1’R)−フェニルエチル)テトラヒドロ−1H−1−イミダゾールカルボキシレート200mg(0.35mmol)をテトラヒドロフラン(7.5ml)、1M塩酸水溶液(1ml)に溶解したのち、系内を窒素置換した。これに水酸化パラジウム−炭素(100mg)を加え、再び系内を窒素置換したのち、系内を水素ガスに置換した。反応温度40℃、水素圧2.2MPaで42時間反応したのち、触媒をろ別し残渣をテトラヒドロフラン(10ml×2)で洗浄した。減圧下溶媒を留去し粗生成物を104mg得た。これに6M塩酸水溶液(4ml)を加え、外温120〜130℃で4時間反応したのち、減圧下溶媒を留去した結果、(2R、3S)−2−アミノ−3−ヒドロキシ−5−フェニルペンタン酸塩酸塩を粗生成物として109mg得た。実施例27と同様の条件で分析した結果、99.3%eeであった。
(実施例30)(2S,3R)−2−アミノ−3−ヒドロキシ−4−フェニルブタン酸
Figure 2008012974
(工程1)微量の1,10−フェナンスロリン(5mg以下)とジソプロピルアミン1.2ml(8.6mmol)を含む、無水テトラヒドロフラン(10ml)溶液に、窒素気流下0℃でn−ブチルリチウム5.0ml(1.6mol/L;n−ヘキサン溶液)を10分間かけて滴下した。0℃、−78℃で各10分間ずつ熟成したのち、これに実施例10の方法で得られた1−ジメチルエチル−(2R)−(2,6−ジクロロフェニル)−5−オキソ−3−((1’R)−フェニルエチル)テトラヒドロ−1H−1−イミダゾールカルボキシレート3.0g(6.9mmol)の無水テトラヒドロフラン(6ml)溶液を10分かけて滴下した。滴下ラインを無水テトラヒドロフラン2mlで洗浄したのち、−78℃で25分間熟成した。これにフェニルアセトアルデヒド1.0g(8.6mmol)を5分間かけて滴下した。−78℃で3時間反応したのち、4M酢酸/テトラヒドロフラン溶液4.2mlを加え反応を停止した。酢酸エチル100mlにて希釈し、水、飽和食塩水の順に洗浄を行った。有機層を無水硫酸マグネシウムで乾燥後、減圧下溶媒を留去し粗生成物を4.4g得た。新たに生成したヒドロキシ基の生成比は粗生成物の1H−NMRよりR:S=86:14と決定した。粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(シリカゲル60、350g、展開溶媒;ヘキサン/酢酸エチル=3/1(容量比))で精製し、1,1−ジメチルエチル−(2R)−(2,6−ジクロロフェニル)−4−((1R)−ヒドロキシ−2−フェニルエチル)−5−オキソ−3−((1’R)−フェニルエチル)テトラヒドロ−1H−1−イミダゾールカルボキシレートを2.6g(68%有姿収率)無色油状物として得た。また薄相シリカゲル板(メルクシリカゲルプレート200×200×0.25mm;3枚;展開溶媒;ヘキサン/酢酸エチル=3/1(容量比))を用いて生成物の一部を精製し、1,1−ジメチルエチル−(2R)−(2,6−ジクロロフェニル)−4−((1S)−ヒドロキシ−2−フェニルエチル)−5−オキソ−3−((1’R)−フェニルエチル)テトラヒドロ−1H−1−イミダゾールカルボキシレートを50mg取得し1H−NMRを測定した。
1,1−ジメチルエチル−(2R)−(2,6−ジクロロフェニル)−(4S)−((1R)−ヒドロキシ−2−フェニルエチル)−5−オキソ−3−((1’R)−フェニルエチル)テトラヒドロ−1H−1−イミダゾールカルボキシレート
1H−NMR(400MHz,CDCl3):7.37−7.01(13H,m)、6.75(1H,d,J=2.7Hz)、4.41(1H,t,J=3.4Hz)、4.00(1H,m)、3.80(1H,d,J=6.8Hz)、3.46(1H,d,J=11.5Hz)、3.23(1H,dd,J=2.4Hz,13.7Hz)、2.60(1H,dd,J=10.5Hz、13.7Hz)、1.36(3H,d,J=7.1Hz)、1.27(9H,s)。
1,1−ジメチルエチル−(2R)−(2,6−ジクロロフェニル)−(4S)−((1S)−ヒドロキシ−2−フェニルエチル)−5−オキソ−3−((1’R)−フェニルエチル)テトラヒドロ−1H−1−イミダゾールカルボキシレート
1H−NMR(400MHz,CDCl3):7.29−6.97(13H,m)、6.33(1H,s)、4.38(1H,brs)、4.27(1H,q,J=7.1Hz)、3.49(2H,brs)、3.36(1H,dd,J=6.1Hz,13.7Hz)、3.19(1H,dd,J=8.5Hz,13.4Hz)、1.49(3H,d,J=7.1Hz)、1.21(9H,s)。
(工程2)1,1−ジメチルエチル−(2R)−(2,6−ジクロロフェニル)−(4S)−((1R)−ヒドロキシ−2−フェニルエチル)−5−オキソ−3−((1’R)−フェニルエチル)テトラヒドロ−1H−1−イミダゾールカルボキシレート1.3g(含量85.3%;1.1g、1.98mmol)と6M塩酸水溶液12.9mlを混合し、外温120〜130℃で4.5時間加熱還流した。外温80℃に冷却後トルエン各20mlにて3回洗浄し、外温0℃に冷却した。これに30%水酸化ナトリウム水溶液を加えpH6〜7としたのち、0℃で2時間熟成した。析出した結晶をろ別し、氷冷水5ml、酢酸エチル5mlで洗浄後、真空下40℃で乾燥した結果、(3R)−ヒドロキシ−4−フェニル−(2S)−[(1’R)−(フェニルエチル)アミノ]ブタン酸を554mg(94%収率)白色固体として得た。これは1H−NMRの結果から(工程1)で分離できなかった(3S)−ヒドロキシ−4−フェニル−(2S)−[(1’R)−(フェニルエチル)アミノ]ブタン酸を約6.5%含んでいることがわかった(約86.9%de)。
(3R)−ヒドロキシ−4−フェニル−(2S)−[(1’R)−(フェニルエチル)アミノ]ブタン酸
1H−NMR(400MHz,CD3OD):7.46−7.37(5H,m)、7.30−7.18(5H,m)、4.41(1H,q,J=6.8Hz)、4.17(1H,m)、3.42(1H,d,J=6.3Hz)、3.03(1H,dd,J=3.9Hz,14.2Hz)、2.81(1H,dd,J=8.8Hz,14.2Hz)、1.68(3H,d,J=6.8Hz)。
(工程3)(3R)−ヒドロキシ−4−フェニル−(2S)−[(1’R)−(フェニルエチル)アミノ]ブタン酸300mgをテトラヒドロフラン10ml、1M塩酸水溶液3mlの混合溶媒に溶解し、系内を窒素ガスに置換した。これに20%水酸化パラジウム−炭素100mgを加え、系内を再び窒素ガスで置換したのち、系内を水素ガスで置換した。水素圧2.2MPa室温で24時間反応したのち、触媒をろ別した。これをテトラヒドロフラン各5mlで3回、蒸留水1mlで1回洗浄し、溶媒を減圧下留去した結果、(2S,3R)−2−アミノ−3−ヒドロキシ−4−フェニルブタン酸塩酸塩の白色固体を定量的(240mg)に得た。HPLC分析の結果から、この結晶は(2R,3R)異性体:(2S:3R)異性体:(2S,3S)異性体を6:88:6の比率で含んでいた。
(2S,3R)−2−アミノ−3−ヒドロキシ−4−フェニルブタン酸塩酸塩
1H−NMR(400MHz,D2O+DCl):δ6.33−6.21(5H,m)、3.44(1H,m)、3.08(1H,m)、1.97(1H,dd,J=4.2Hz,13.4Hz)、1.82(1H,dd,J=9.3Hz,13.9Hz)。
(光学純度分析条件)
カラム :ダイセル化学社製 キラルパックWH(内径4.6mm×25cm)
移動層 :2mM硫酸銅水溶液/メタノール=90/10(容量比)
流速 :0.5ml/min
検出器 :UV250nm
保持時間:(2R、3R)異性体および(2R,3S)異性体 約18分
(2S、3R)異性体 約25分
(2S、3S)異性体 約33分。
(参考例3)2−アミノ−3−ヒドロキシ−4−フェニルブタン酸異性体混合物の合成
1−ジメチルエチル−(2R)−(2,6−ジクロロフェニル)−5−オキソ−3−((1’R)−フェニルエチル)テトラヒドロ−1H−1−イミダゾールカルボキシレートの代わりに、N−Boc−グリシンメチルエステル2.5gを用いる以外は実施例30と同様に反応を行い、2−(N−Boc−アミノ)−3−ヒドロキシ−4−フェニルブタン酸メチルエステルを3.1g無色油状物として得た(76%収率)。更に2−(N−Boc−アミノ)−3−ヒドロキシ−4−フェニルブタン酸メチルエステル1.7gを6M塩酸水溶液と混合し4時間加熱還流したのち、トルエンで洗浄を行い、30%水酸化ナトリウム水溶液で中和することで、2−アミノ−3−ヒドロキシ−4−フェニルブタン酸の白色固体を0.74g取得した(70%収率)。これを用いて各異性体の保持時間を確認した。
本発明によって製造される光学活性イミダゾリジノン誘導体は、光学活性なアミノ酸合成に汎用的に利用することができ、医薬分野を始め多方面において製造上重要な、光学活性アミノ酸を簡便に製造することができる。

Claims (29)

  1. 一般式(1)
    Figure 2008012974
    (式中、n、mは独立して、それぞれベンゼン環の置換基R1、R2の数を表す0〜5の整数であり、R1、R2は独立して、置換されていてもよい炭素数1〜18のアルキル基、置換されていてもよい炭素数7〜18のアラルキル基、置換されていてもよい炭素数6〜18のアリール基、ハロゲン原子、ヒドロキシル基、置換されていてもよい炭素数1〜18のアルコキシ基、ニトロ基を示す。R1、R2が複数個ある場合は、すべて同一であってもよいし、異なっていてもよい。*1、*2は不斉炭素原子を示す)で表されるイミダゾリジノン誘導体又はその光学活性体。
  2. 一般式(2)
    Figure 2008012974
    (式中、n、mは独立して、それぞれベンゼン環の置換基R1、R2の数を表す0〜5の整数であり、R1、R2は独立して、置換されていてもよい炭素数1〜18のアルキル基、置換されていてもよい炭素数7〜18のアラルキル基、置換されていてもよい炭素数6〜18のアリール基、ハロゲン原子、ヒドロキシル基、置換されていてもよい炭素数1〜18のアルコキシ基、ニトロ基を示す。R1、R2が複数個ある場合は、すべて同一であってもよいし、異なっていてもよい。*1、*2は不斉炭素原子を示す。R3は置換されていてもよい炭素数1〜18のアルキル基、置換されていてもよい炭素数2〜18のアルケニル基、置換されていてもよい炭素数2〜18のアルキニル基、置換されていてもよい炭素数7〜18のアラルキル基、置換されていてもよい炭素数6〜18のアリール基を示す)で表されるイミダゾリジノン誘導体又はその光学活性体。
  3. 一般式(3)
    Figure 2008012974
    (式中、n、mは独立して、それぞれベンゼン環の置換基R1、R2の数を表す0〜5の整数であり、R1、R2は独立して、置換されていてもよい炭素数1〜18のアルキル基、置換されていてもよい炭素数7〜18のアラルキル基、置換されていてもよい炭素数6〜18のアリール基、ハロゲン原子、ヒドロキシル基、置換されていてもよい炭素数1〜18のアルコキシ基、ニトロ基を示す。R1、R2が複数個ある場合は、すべて同一であってもよいし、異なっていてもよい。R3は置換されていてもよい炭素数1〜18のアルキル基、置換されていてもよい炭素数2〜18のアルケニル基、置換されていてもよい炭素数2〜18のアルキニル基、置換されていてもよい炭素数6〜18のアリール基、置換されていてもよい炭素数7〜18のアラルキル基を示す。R4、R5は異なって、水素原子、置換されていてもよい炭素数1〜30のアルキル基、置換されていてもよい炭素数2〜18のアルケニル基、置換されていてもよい炭素数2〜18のアルキニル基、置換されていてもよい炭素数7〜18のアラルキル基、置換されていてもよい炭素数6〜18のアリール基を示し、*1、*2、*3は不斉炭素原子を示す)で表される光学活性イミダゾリジノン誘導体。
  4. 一般式(4)
    Figure 2008012974
    (式中、nは、ベンゼン環の置換基R1の数を表す0〜5の整数であり、R1は、置換されていてもよい炭素数1〜18のアルキル基、置換されていてもよい炭素数7〜18のアラルキル基、置換されていてもよい炭素数6〜18のアリール基、ハロゲン原子、ヒドロキシル基、置換されていてもよい炭素数1〜18のアルコキシ基、ニトロ基を示す。R1が複数個ある場合は、すべて同一であってもよいし、異なっていてもよい。*1は不斉炭素原子を示す)で表される光学活性グリシンアミド誘導体と、一般式(5)
    Figure 2008012974
    (式中、mは、ベンゼン環の置換基R2の数を表す0〜5の整数であり、R2は、置換されていてもよい炭素数1〜18のアルキル基、置換されていてもよい炭素数7〜18のアラルキル基、置換されていてもよい炭素数6〜18のアリール基、ハロゲン原子、ヒドロキシル基、置換されていてもよい炭素数1〜18のアルコキシ基、ニトロ基を示す。R2が複数個ある場合は、すべて同一であってもよいし、異なっていてもよい)で表される置換ベンズアルデヒドを、酸性触媒の存在下、縮合させることを特徴とする、前記式(1)で表されるイミダゾリジノン誘導体の製造方法。
  5. 酸性触媒がスルホン酸類であることを特徴とする、請求項4に記載のイミダゾリジノン誘導体の製造方法。
  6. 前記式(1)で表されるイミダゾリジノン誘導体を有機溶媒を用いて結晶化させることを特徴とする、光学活性イミダゾリジノン誘導体の晶析方法。
  7. イミダゾリジノン誘導体を異性化させながら、光学活性イミダゾリジノン誘導体を結晶化することを特徴とする、請求項6に記載の晶析方法。
  8. 異性化において酸性触媒を利用することを特徴とする、請求項7に記載の晶析方法。
  9. 更に、請求項6〜8のいずれかに記載の方法を用いて結晶化する工程を含むことを特徴とする請求項4または5に記載の製造方法。
  10. 前記式(1)で表されるイミダゾリジノン誘導体又はその光学活性体に、塩基の存在下において、一般式(6)
    3OCOX (6)
    (式中、R3は置換されていてもよい炭素数1〜18のアルキル基、置換されていてもよい炭素数2〜18のアルケニル基、置換されていてもよい炭素数2〜18のアルキニル基、置換されていてもよい炭素数6〜18のアリール基、置換されていてもよい炭素数7〜18のアラルキル基を示し、Xはハロゲン原子を示す)で表される、ハロゲノギ酸エステル、または一般式(7)
    Figure 2008012974
    (式中、R3は上記に同じであり、2つのR3は同一である)で表される、ピロ炭酸エステルを作用させることを特徴とする、前記式(2)で表されるイミダゾリジノン誘導体の製造方法。
  11. 前記式(1)で表される化合物が請求項4、5および9のうちいずれか1項に記載の方法により得られたものである請求項10に記載の製造方法。
  12. 前記式(2)で表されるイミダゾリジノン誘導体を有機溶媒を用いて結晶化させることを特徴とする、光学活性イミダゾリジノン誘導体の晶析方法。
  13. 前記式(2)で表される光学活性イミダゾリジノン誘導体に、塩基の存在下、一般式(8)
    7Y (8)
    (式中、R7は、置換されていてもよい炭素数1〜30のアルキル基、置換されていてもよい炭素数2〜18のアルケニル基、置換されていてもよい炭素数2〜18のアルキニル基、置換されていてもよい炭素数7〜18のアラルキル基、置換されていてもよい炭素数6〜18のアリール基を示し、Yは脱離能を有する置換基を示す)で表される1種または2種の親電子剤を作用させることを特徴とする、一般式(3)
    Figure 2008012974
    (式中、n、m、R1、R2、R3、*1、*2は前記と同じ。R4,R5のうち少なくとも一方はR7である。*3は不斉炭素原子を示す)で表される光学活性イミダゾリジノン誘導体の製造方法。
  14. 1種の親電子剤を作用させることにより、前記式(3)においてR4、R5の一方が水素原子であり他方がR7である、一般式(11)
    Figure 2008012974
    (式中、n、m、R1、R2、R3、R7、*1、*2、*3は前記と同じ)で表される光学活性イミダゾリジノン誘導体を製造することを特徴とする、請求項13記載の製造方法。
  15. 前記式(8)で表される親電子剤としてR7部分が互いに異なる2種の親電子剤を作用させることにより、前記式(3)において、R4とR5が互いに異なるR7である光学活性イミダゾリジノン誘導体を製造することを特徴とする、請求項13記載の製造方法。
  16. 前記式(2)で表される化合物が請求項10〜12のいずれか1項に記載の方法で得られたものである請求項13〜15のいずれかに記載の製造方法。
  17. 一般式(11)
    Figure 2008012974
    (式中、n、mは独立して、それぞれベンゼン環の置換基R1、R2の数を表す0〜5の整数であり、R1、R2は独立して、置換されていてもよい炭素数1〜18のアルキル基、置換されていてもよい炭素数7〜18のアラルキル基、置換されていてもよい炭素数6〜18のアリール基、ハロゲン原子、ヒドロキシル基、置換されていてもよい炭素数1〜18のアルコキシ基、ニトロ基を示す。R1、R2が複数個ある場合は、すべて同一であってもよいし、異なっていてもよい。R3は置換されていてもよい炭素数1〜18のアルキル基、置換されていてもよい炭素数2〜18のアルケニル基、置換されていてもよい炭素数2〜18のアルキニル基、置換されていてもよい炭素数6〜18のアリール基、置換されていてもよい炭素数7〜18のアラルキル基を示す。R7は、置換されていてもよい炭素数1〜30のアルキル基、置換されていてもよい炭素数2〜18のアルケニル基、置換されていてもよい炭素数2〜18のアルキニル基、置換されていてもよい炭素数7〜18のアラルキル基、置換されていてもよい炭素数6〜18のアリール基表す。*1、*2、*3は不斉炭素原子を示す)で表される光学活性イミダゾリジノン誘導体に、塩基の存在下、一般式(8)’
    7’Y (8)’
    (式中、R7’は、置換されていてもよい炭素数1〜30のアルキル基、置換されていてもよい炭素数2〜18のアルケニル基、置換されていてもよい炭素数2〜18のアルキニル基、置換されていてもよい炭素数7〜18のアラルキル基、置換されていてもよい炭素数6〜18のアリール基を示す。ただし、R7’は上記式(11)におけるR7とは互いに異なる。Yは脱離能を有する置換基を示す)で表される親電子剤を作用させることを特徴とする、一般式(3)
    Figure 2008012974
    (式中、n、m、R1、R2、R3、*1、*2は上記に同じ。R4、R5は、一方がR7、他方がR7’と同じである。R7、R7’は上記に同じ。*3は不斉炭素原子を示す)で表される光学活性イミダゾリジノン誘導体の製造方法。
  18. 塩基がリチウムジイソプロピルアミド、リチウムヘキサメチルジシラジド、ナトリウムヘキサメチルジシラジド、カリウムヘキサメチルジシラジド、塩化t−ブチルマグネシウム、カリウムt−ブトキシド、ナトリウムt−ブトキシド、リチウムt−ブトキシド、水素化リチウム、水素化ナトリウム、水素化カリウム、および水素化カルシウムのうち、少なくとも1種類を使用することを特徴とする、請求項13〜17のいずれか1項に記載の光学活性イミダゾリジノン誘導体の製造方法。
  19. 前記式(3)で表される光学活性イミダゾリジノン誘導体に、有機溶媒及び水のうち、少なくとも1種類を用いた溶媒中で、酸または塩基を作用させることを特徴とする、一般式(9)
    Figure 2008012974
    (式中、n、R1、R4、R5、*1、*3は上記に同じ)で表される、光学活性N−(1−置換フェニルエチル)アミノ酸誘導体の製造方法。
  20. 請求項19に記載の方法により得られる前記式(9)で表されるアミノ酸誘導体の窒素上の置換基を脱保護することを特徴とする、一般式(10)
    Figure 2008012974
    (式中、R4、R5、*3は前記に同じ)で表される光学活性アミノ酸の製造方法。
  21. 前記式(3)で表される光学活性イミダゾリジノン誘導体の窒素上の置換基を脱保護して、一般式(12)
    Figure 2008012974
    (式中、R4、R5、*3は前記に同じ)で表される光学活性アミノ酸アミドとしたのち、有機溶媒及び水のうち、少なくとも1種類を用いた溶媒中で、酸または塩基を作用させることを特徴とする、前記式(10)で表される光学活性アミノ酸の製造方法。
  22. 前記式(3)で表される光学活性イミダゾリジノン誘導体が、請求項13〜18のいずれか1項に記載の方法により製造されたものであることを特徴とする、請求項19〜21のいずれかに記載の光学活性N−(1−置換フェニルエチル)アミノ酸誘導体または光学活性アミノ酸の製造方法。
  23. 前記式(2)で表される光学活性イミダゾリジノン誘導体に、塩基の存在下、一般式(13)
    8−CHO (13)
    (式中、R8は、水素原子、置換されていてもよい炭素数1〜30のアルキル基、置換されていてもよい炭素数2〜18のアルケニル基、置換されていてもよい炭素数2〜18のアルキニル基、置換されていてもよい炭素数7〜18のアラルキル基、置換されていてもよい炭素数6〜18のアリール基を示す)で表されるアルデヒドを作用させることを特徴とする、一般式(14)
    Figure 2008012974
    (式中、n、m、R1、R2、R3、R8、*1、*2、*3は前記と同じであり、R8が水素原子でない場合、*4は不斉炭素原子を示す)で表される、光学活性イミダゾリジノン誘導体の製造方法。
  24. 塩基がリチウムジイソプロピルアミド、リチウムヘキサメチルジシラジド、ナトリウムヘキサメチルジシラジド、カリウムヘキサメチルジシラジド、塩化t−ブチルマグネシウム、カリウムt−ブトキシド、ナトリウムt−ブトキシド、リチウムt−ブトキシド、水素化リチウム、水素化ナトリウム、水素化カリウム、および水素化カルシウムのうち、少なくとも1種類を使用することを特徴とする、請求項23に記載の光学活性イミダゾリジノン誘導体の製造方法。
  25. 前記式(2)で表される化合物が請求項10〜12のいずれか1項に記載の方法で得られたものである、請求項23または24に記載の製造方法。
  26. 前記式(14)で表される光学活性イミダゾリジノン誘導体に、有機溶媒及び水のうち、少なくとも1種類を用いた溶媒中で、酸または塩基を作用させることを特徴とする、一般式(15)
    Figure 2008012974
    (式中、n、R1、R8、*1、*3、*4は前記に同じ)で表される、光学活性N−(1−置換フェニルエチル)ヒドロキシアミノ酸誘導体の製造方法。
  27. 請求項26記載の方法により得られる前記式(15)で表されるヒドロキシアミノ酸誘導体の窒素上の置換基を脱保護することを特徴とする一般式(16)
    Figure 2008012974
    (式中、R8、*3、*4は前記に同じ)で表される光学活性ヒドロキシアミノ酸の製造方法。
  28. 前記式(14)で表される光学活性イミダゾリジノン誘導体の窒素上の置換基を脱保護し、一般式(17)
    Figure 2008012974
    (式中、R8、*3、*4は前記に同じ)で表される光学活性ヒドロキシアミノ酸アミドを合成したのち、有機溶媒及び水のうち、少なくとも1種類を用いた溶媒中で、酸または塩基を作用させることを特徴とする、前記式(16)で表される光学活性ヒドロキシアミノ酸の製造方法。
  29. 前記式(14)で表される光学活性イミダゾリジノン誘導体が、請求項23または24記載の方法で得られたものである、請求項26〜28のいずれか1項に記載の光学活性N−(1−置換フェニルエチル)ヒドロキシアミノ酸誘導体または光学活性ヒドロキシアミノ酸の製造方法。
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