JPWO2007129360A1 - 結合装置 - Google Patents
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Abstract
Description
発明者らは通信モデムと結合器本体とを接続する信号線に同軸ケーブルを使用して各種試験研究を行い、製品化開発を行っているが、その過程で信号線に同軸ケーブルを使用した場合であっても同軸ケーブルから放射電磁波が生じることがあることが判明している。
結合装置は通常、架空電力線に取り付けられる関係で地上から5m程度の高さに位置する。通信モデムは地上の所定場所に設置され1m前後の高さに位置する。通信モデムは結合装置の直下に設置されるとは限らないので、通信モデムと結合装置とを接続する同軸ケーブルは5mあるいはそれ以上の長さになる。
結合器本体内の信号が流れる導体部分の長さはせいぜい0.2m程度である。
長さが長いほど放射電磁波の影響力は大きいので、製品化において、通信モデムと結合装置とを接続する同軸ケーブルにおける放射電磁波の発生を抑制あるいは阻止することは大事な課題である。
この発明の実施の形態1を説明する前に、当該実施の形態1を得るに至った背景を、図1〜図3によって説明する。なお、図1は通信モデムから同軸ケーブルを介して誘導型結合器の2次導体に送信される信号の理想的な電流の流れを模式的に示す概念図、図2は具体的製品化開発段階で生じた実際的な電流の流れを模式的に示す概念図、図3は同軸ケーブルから生じる放射電磁波の実測値をグラフで示す図である。
電力線搬送通信における電力線に信号を重畳させるための誘導型信号結合装置などの結合装置100は、同軸ケーブル200によって通信モデム300に接続される。図1に誘導型信号結合装置とモデムとの模式的接続図を示す。通信モデム300の送信アンプ300Aからの送信信号は、同軸ケーブル200を経て結合装置100の2次導体1002に流れ、磁気コアを介して電力線(1次導体)と結合する(磁気コアと電力線は図示せず)。
理論上の理想的な送信信号電流の流れの場合は、信号電流は、同軸ケーブル200の内部を流れているため、シールド導体200sによって遮蔽されるため、同軸ケーブル200の部分から電磁波は放射しない。信号電流が流れる2次導体1002の部分では、電磁波を放射する。
通常、通信モデム300は、地面からの高さ1m程度の位置に設置され、電磁誘導型の結合器は高さ5m程度の架空線に設置される。従って同軸ケーブル200の長さは5m程度となる。2次導体1002の長さは0.2m程度であり、2次導体1002から放射される電磁波はほとんど問題にならない。
図2に実際に流れる電流の流れを示す。図1に示した理想的な電流経路以外に、実線矢印issで示す経路を、数MHz〜数十MHzの周波数の電流が流れる。
この経路の電流issは、2次導体1002から同軸ケーブル200のシールド導体200sの外部を流れて、通信モデム300内の接続ケーブル300bやシールド導体接地線200e、通信モデム接地線300eを経て送信アンプ300aへ戻るものである。
シールド導体200sの外部を流れる電流issは、遮蔽されないため放射電磁波となる。同軸ケーブルの長さは5m程度あるため、放射電磁波が増加したり、同軸ケーブルの長さによって決まる共振周波数にて放射電磁波が急増したりする現象があり、問題になる。例えば電力線搬送通信PLCでは、2−40MHzの放射電磁波が主に問題になる。
図3に同軸ケーブル200から放射する電磁波の測定結果を示す。同軸ケーブル200が1.5mのときの測定結果である。結合装置100の2次導体1002の長さを20mmから200mmに変化させて測定した。図3から、2次導体1002の長さが長いほど、放射電磁波は大きくなることがわかる。これは、2次導体1002の長さが長くなると共に、2次導体1002のインダクタンスが増加し、2次導体1002端部に誘起される電圧が増加するためであると考えられる。
一方、2次導体1002の部分の長さは、高圧架空電力線と同軸ケーブルとの間の絶縁距離と関係して設計されるため、短くすることは困難である。すなわち架空電力線の電圧が高くなると前記絶縁距離の関係で2次導体1002の長さを長くしなくてはならないという問題があった。例えば15kV用の電磁誘導型の結合器では、2次導体1002の長さは200−300mmとなる。従って、架空電力線における絶縁耐圧と放射電磁波低減とを両立させることは、従来技術の延長では困難であった。
この発明の実施の形態1では、図4に例示してあるように、前記同軸ケーブル200外の前記結合器100側の信号線に、前記同軸ケーブル200の中心導体200cと当該同軸ケーブル200のシールド導体200sとを接続する第一の電流ループ10021と、前記同軸ケーブル200の中心導体200cと当該同軸ケーブル200のシールド導体200sとを接続する第二の電流ループ10022とを形成してみた。
尚、この実施の形態1では、図4に例示してあるように、前記第一の電流ループ10021の当該電流ループ10021で囲まれる部分の面積S1と、前記第二の電流ループ10022の当該電流ループ10022で囲まれる部分の面積S2とをほぼ同一にしてある。
また、前記第一の電流ループ10021の前記同軸ケーブル200のシールド導体200sとの接続点10021pと、前記第二の電流ループ10022の前記同軸ケーブル200のシールド導体200sとの接続点10022pとを、前記同軸ケーブル200の中心導体200cを中心とした対称位置に配設した。
また、前記第一の電流ループ10021の電流の往路10021fと前記第二の電流ループ10022の電流の往路10022fとを共通の信号線とし、当該共通の信号線10021f/10022fと、前記第一の電流ループ10021の復路10021bと、前記第二の電流ループ10022の復路10022bとの3本の信号線で、前記第一の電流ループ10021および前記第二の電流ループ10022を構成してある。
図5において、図2に示す結合器100側の導体長Lを200mmとした場合における前記同軸ケーブル200の実測放射電磁波はMRW3で、前記第一の電流ループ10021および前記第二の電流ループ10022を設けた本発明の実施の形態1における前記同軸ケーブル200の実測放射電磁波はMRW4で示してある。
この図5から判るように、図2に示す結合器100側の導体長Lを200mmとした場合における前記同軸ケーブル200の実測放射電磁波MRW3に比べ、前記第一の電流ループ10021および前記第二の電流ループ10022を設けた本発明の実施の形態1における前記同軸ケーブル200の実測放射電磁波MRW4は、5−15dB低減することができることがわかる。
図6(b)において、今、前記第一の電流ループ10021のインダクタンスをL1とすると前記第一の電流ループ10021に誘起される電圧V1は、V1=jωL1となる。前記第二の電流ループ10022のインダクタンスをL2とすると前記第二の電流ループ10022に誘起される電圧V2は、V2=jωL2となる。L1=L2となると、V2=V1となり、同軸ケーブルのシールド導体200sの外皮に誘起される電圧はゼロとなり、シールド導体200sの外皮に流れる電流issは無くなる。
L1=L2とするには、2つの電流ループの形状と断面積S1,S2を同じにすれば良い。
前記バランス接続ではない通常の接続の場合を示す図6(a)では、V1=jωLとなり、V1に従ってシールド導体200sの外皮に電流issが流れ、同軸ケーブル200から電磁波が放射される。
前述のこの発明の実施の形態1の場合と同様に、同軸ケーブルからの放射電磁波を減少させる他の事例を、この実施の形態2で図7〜図9により説明する。図7はこの発明の実施の形態2を模式的に例示する構成図、図8は同軸ケーブルから生じる放射電磁波の実測値をグラフで示す図、図9はこの発明の実施の形態2の原理説明図である。
この発明の実施の形態2では、前記同軸ケーブル200の前記結合器100との接続部および前記同軸ケーブルの前記通信モデム300との接続部の少なくとも一方にコア状の強磁性体400を取り付けてみた。
図7において、前記同軸ケーブル200の一方の端部に当該同軸ケーブル200の周りを囲む環状あるいは管状の第一の強磁性体4001が、前記同軸ケーブル200の他方の端部に当該同軸ケーブル200の周りを囲む環状あるいは管状の第二の強磁性体4002がそれぞれ設けられた場合の前記同軸ケーブル200の放射電磁波はEMW5で、強磁性体を設けない場合の前記同軸ケーブル200の放射電磁波はEMW6で、示してある。
図7において6MHzにて放射電磁波が極大値を示すのは、ケーブル共振によるものである。
フェライトコアを前記同軸ケーブル200の両端部に取り付けた場合、図7に例示してあるように、25MHz以上の放射電磁波を10dB、6MHz付近のケーブル共振による電磁波を10dB低減することができた。
フェライトコアを前記同軸ケーブル200一端部に取り付けた場合でも、前記電磁波をある程度低減できる。
前記V1=jωLによる前記電流issは、前記強磁性体400の損失成分によって熱エネルギーに変換され、その結果、前記電流issは、前記強磁性体400の部分を通った後は減少し、従って、前記電流issに起因して前記同軸ケーブル200から放射される電磁波も減少する。
この実施の形態3は、図10に示すように、同軸ケーブル200が地面500に垂れている場合を例示するものである。同軸ケーブル200が地面500から垂直に立ち上がる部分にフェライト等の強磁性体4003のコアをとりつけることによる更に効果がある。これは、地面500に垂れている部分から地面に流れる電流を低減することができるためである。
以下、前述のバランス接続の概念を実際の製品に適用する場合の事例を示すこの発明の実施の形態4を図11〜図15により説明する。図11は図12の左側から見た全体の正面図、図12は誘導型の結合装置の事例を図11のXII−XII線から矢印方向に見た一部断面で示す縦断左側面図で、コア平行移動機構により第一のコア要素部と第二のコア要素部とをギャップ長が所定ギャップ長となる状態に近づけた状態での縦断左側面図である。図13はコア要素部を拡大して示す図で、(a)は側面図、(b)は平面図、(c)は図11に対応する正面図である。図14は結合器内の通信線の事例を示す正面図、図15は図14のXV−XV線における断面を矢印方向に見た断面図である。
前記上コア1および前記下コア2の左右両脚部間に前記所定ギャップ長規制部材3を挟んで、当該所定ギャップ長規制部材3と前記上コア1および前記下コア2とが密着するようになっており、当該所定ギャップ長規制部材3と前記上コア1と前記下コア2とが一体的に合体してギャップコアからなる磁性コア123を構成している。
前記各クランプ用ボルト16の回転操作部161は、対応する前記第二および第三の腕部92,93の下側に位置している。前記各回転操作部161,161は、前記コア駆動ボルト8の前記回転操作部81と、前記結合器本体碍子部9の同じ側である下側に配設されている。
L=μ0×S/(La/μ'+g)、
ここで、Sはコアの断面積、g:ギャップ間隔、μ0:真空の透磁率、I:電力線電流、B:コアの使用磁束密度、La:ギャップコアの磁路長、μ':コアの比透磁率である。
台形状にすることにより、その直線部2SLを位置決めとしてコアのギャップ面の加工精度の確保が容易となると共に前記結合器本体碍子部9への取り付け位置の精度、コアのギャップ面位置の精度の確保が容易となる。
このように台形を成す外側面2ossの角部に丸み2Rを持たせることにより、前記結合器本体碍子部9の成形時に前記下コア2を前記結合器本体碍子部9内に一体成形する場合、前記結合器本体碍子部9の注型後の前記結合器本体碍子部9の熱収縮に伴って前記結合器本体碍子部9および前記下コア2に発生する内部歪みの低減が可能となり、前記結合器本体碍子部9の前記下コア2との接合部の剥離、クラックの発生を防止することが出来る。
前記2次導体1002は3本の導体10021b、10022b、(10021f,10022f)の配列は、前述の実施の形態4では図15に示すように直線状であるが、本実施の形態5では、図16に示すように前記3本の導体10021b、10022b、(10021f,10022f)が三角形の頂点に位置するように配設されている。このように配設することにより、当該3本の導体の配設に必要な領域Aはその径がD2となり、前述の図15における直線状の場合の3本の導体の配設に必要な領域Aの径D1より小さくでき、ひいては、当該3本の導体を内蔵している前記結合器本体碍子部9の径を小さく出来る。
前述の図12に示す事例では、前記結合器本体碍子部9の成形時に前記下コア2を直接前記結合器本体碍子部9内に一体成形したものを例示したが、本実施の形態6では、図17に示すように前記結合器本体碍子部9と前記下コア2との間にゴム等の緩衝材29を介在してある。前記緩衝材29の前記介在により、前記結合器本体碍子部9の注型後の前記結合器本体碍子部9の熱収縮に伴って前記結合器本体碍子部9および前記下コア2に発生する内部歪みの低減が可能となり、前記結合器本体碍子部9の前記下コア2との接合部の剥離、クラックの発生を防止することが出来る。
この発明の実施の形態7は、前述の図7〜図9に例示したコア状の強磁性体4001を実施の製品に適用する場合の事例を示す図18に示すように、前記結合器本体碍子部9の前記電力線13と反対側の端部に設けられたスカート部94に囲まれる窪み95内に、前記同軸ケーブル200を囲繞する前記コア状の強磁性体4001を配設してある。換言すれば、前記コア状の強磁性体4001は、前記スカート部94で周囲を覆うことにより、風雨に曝されて前記強磁性体4001や当該強磁性体4001を前記同軸ケーブル200或いは前記結合器本体碍子部9に接着する接着剤等が劣化しにくいようにしてある。
この発明の実施の形態8は、前述の図7〜図9に例示したコア状の強磁性体4001,4002を実施の製品に適用する場合の事例を示す図に示すように、前記結合器本体碍子部9の前記電力線13と反対側の端部に設けられたスカート部94に囲まれる窪み95内に、前記同軸ケーブル200を囲繞する前記コア状の強磁性体4001を配設し、前記通信モデム300側にも前記同軸ケーブル200を囲繞する前記コア状の強磁性体4002を配設してある。
2 第二のコア要素部(下コア)、
2iss 内側面、
2oss 外側面、
2R 丸み、
2SL 直線部、
3 所定ギャップ長規制部材、
4 クランプ機構、
5 弾性部材(上コア押さえバネ)、
6 位置調整ネジ、
7 位置決めピン、
8 ボルト(コア駆動ボルト)、
9 誘導結合装置本体部、
10 位置決め部材(電力線押さえ具)、
11 コアケース、
12 通信線(1次巻き線)、
13 電力線、
14 支持板、
15 位置決めピン押さえバネ、
16 クランプ用ボルト、
17 クランプスペーサ、
18 ナット、
19 ボルト、
29 緩衝材、
41 クランプアーム、
42 窪み、
81 回転操作部、
91 第一の腕部、
92 第二の腕部、
93 第三の腕部、
94 スカート部、
95 窪み、
100 結合器、
111 固まった結合材、
123 磁性コア、
141 概略長孔、
142 貫通孔、
146 位置調整機構、
147 位置決め機構、
161 回転操作部、
200 同軸ケーブル、
200c 中心導体
200e シールド導体接地線、
200s シールド導体、
300 通信モデム、
300A 送信アンプ、
300b 接続ケーブル、
300e 通信モデム接地線、
400 強磁性体、
500 地面、
1002 2次導体、
1145 コア保持機構部、
1478 コア平行移動機構、
10021 第一の電流ループ、
10021b 復路、
10021p 接続点、
10022 第二の電流ループ、
10022b 復路、
10022p 接続点、
10021f,10022f 電流の往路(共通の信号線)
4001,4002,4003 強磁性体、
A 3本の導体の配設に必要な領域、
ib 電流復路の電流、
if 電流往路の電流、
iss シールド導体の外部を流れる電流、
S1 第一の電流ループで囲まれる部分の面積、
S2 第二の電流ループで囲まれる部分の面積。
Claims (8)
- 通信モデムに同軸ケーブルで接続され信号を電力線に重畳させる結合装置であって、
前記同軸ケーブル外の結合器側の信号線に、前記同軸ケーブルの中心導体と当該同軸ケーブルのシールド導体とを接続する第一の電流ループと前記同軸ケーブルの中心導体と当該同軸ケーブルのシールド導体とを接続する第二の電流ループとが形成され、
前記同軸ケーブルのシールド導体の外側に流れる電流が、前記第一の電流ループと前記第二の電流ループとの共同作用により抑制または阻止される結合装置。 - 請求項1に記載の結合装置において、前記第一の電流ループおよび前記第二の電流ループが結合器本体に内蔵されていることを特徴とする結合装置。
- 請求項1または請求項2において、前記第一の電流ループのインダクタンスとおよび前記第二の電流ループのインダクタンスがほぼ同じであることを特徴とする結合装置。
- 請求項1〜請求項3の何れか一に記載の結合装置において、前記第一の電流ループの前記シールド導体への接続点と前記第二の電流ループの前記シールド導体への接続点とが前記同軸ケーブルの前記中心導体を中心とした対称位置にあることを特徴とする結合装置。
- 請求項1〜請求項4の何れか一に記載の結合装置において、前記第一の電流ループおよび前記第二の電流ループの各々の電流往路または各々の電流復路とが共通の信号線とされることにより前記第一の電流ループおよび前記第二の電流ループが3本の信号線で構成されており、これら3本信号線が三角形の頂点に位置するように配設されていることを特徴とする結合装置。
- 請求項1〜請求項5の何れか一に記載の結合装置において、前記同軸ケーブルの周りを囲む環状あるいは管状の強磁性体が設けられていることを特徴とする結合装置。
- 通信モデムに同軸ケーブルで接続される結合装置であって、前記同軸ケーブルの周りを囲む環状あるいは管状の強磁性体が設けられている結合装置。
- 請求項6または請求項7において、前記同軸ケーブルの両端部の少なくとも一方に対して当該端部の周りを囲む環状あるいは管状の強磁性体が設けられていることを特徴とする結合装置。
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