JPWO2007126039A1 - マクロライド系抗生物質の被覆製剤 - Google Patents
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Abstract
下記部分構造式:(式中、R2aは、水素原子または水酸基の保護基を表す。)で示される基を有するマクロライド系抗生物質、その製薬上許容される塩、またはそれらの水和物を含有し、ポリビニルアルコールまたはポリビニルアルコール共重合体を主成分とする被覆剤で被覆されていることを特徴とする、マクロライド系抗生物質の被覆製剤。
Description
本発明は、細菌、マイコプラズマ、真菌(カビ)、原虫などによる各種感染症の治療に有効な、マクロライド系抗生物質の安定化被覆製剤に関する。
マクロライド系抗生物質は、哺乳動物、魚類および鳥類における細菌、マイコプラズマ、真菌(カビ)、原虫などによる広範囲の各種感染症の治療に有用であることが知られている。代表的なマクロライド系抗生物質としてエリスロマイシン(特許文献1、2)が、その特徴的な抗菌力および良好な組織移行性、そして少ない副作用などの長所を有することから臨床上有用な抗生物質として長年使用されてきている。その後、種々のマクロライド系抗生物質が、上市されたり、臨床開発中であったり研究開発中である。そのようなマクロライド系抗生物質としては、14〜16員環のマクロライド系抗生物質、例えば、エリスロマイシン(特許文献1、2)、オレアンドマイシン(特許文献3、4)、クラリスロマイシン(特許文献5)、ロキシスロマイシン(特許文献6)、アジスロマイシン(特許文献7)、ジリスロマイシン(特許文献8)、テリスロマイシン(特許文献9)、セスロマイシン(特許文献10)、フルリスロマイシンエチルサクシネート(特許文献11)、後記する化合物III(特許文献12、13)、L−701677(特許文献14)、マイシナミシン(非特許文献1)、その他の数多くの誘導体が知られている。
また、ポリビニルアルコールおよび/またはその誘導体の存在下で、少なくとも1種の重合性ビニル単量体を重合または共重合した重合体または共重合体を主体とする硬カプセルを使用することにより、従来の硬カプセルでは充填できなかった難溶性薬効成分溶解用溶剤(ポリエチレングリコール等)を充填することのできる硬カプセルが知られている(特許文献15)。しかしながら、この特許文献15に開示された発明は、ポリビニルアルコール共重合体を硬カプセルの剤皮成分として使用するものであり、ポリビニルアルコール共重合体を主薬あるいはそれを含有する固形物の被覆剤として使用するものではない。
さらにまた、ポリビニルアルコール共重合体を主成分とする医薬、動物薬、農薬、肥料、食品等のコーティング剤として有用な樹脂組成物が知られている(特許文献16)。この特許文献16に記載された発明では、被覆すべき対象としての医薬が記載されてはいるが、マクロライド系抗生物質製剤の安定化については何も具体的に記載されていない。ましてや、後記する特定の基を有するマクロライド系抗生物質の長期保存安定性についての記載も示唆もされていない。
これまで、これらの公知マクロライド系抗生物質の製剤については、経口投与用あるいは非経口投与用の種々の剤型が開発され、使用されてきている。しかしこれらのマクロライド系抗生物質製剤を長期間、保存した場合、製剤中に主薬の分解が認められることがあり、必ずしも満足すべき安定性とはいえなかった。また、安定性の向上を図るために、その製剤化に際して、安定化剤、賦形剤、結合剤、滑沢剤、崩壊剤、被覆剤等の添加剤を多量に使用した場合には、製造される経口用製剤は一般に大きな剤型となるきらいがあり、老人、小児等の患者にとって服用しがたいという欠点があった。
これらのマクロライド系抗生物質の公知製剤として、ポリビニルアルコールまたはその共重合体をマクロライド系抗生物質あるいはそれを含有する素錠、素顆粒などの被覆剤として用いた、安定化被覆製剤に関する先行技術はこれまでに知られていなかった。
前記実情に鑑み、当該分野では、長期間保存に耐え得るマクロライド系抗生物質、特に13〜16員環系マクロライド系抗生物質製剤の安定化製剤の開発が切望されている。特に錠剤、顆粒剤、カプセル剤、丸剤等の固形製剤の安定性の改善が要望されている。
そこで、マクロライド系抗生物質製剤の安定化について種々、検討した結果、次式:
(式中、R2aは、水素原子または水酸基の保護基を表す。)、好ましくは次式:
で示される部分構造式を有するマクロライド系抗生物質、その製薬上許容される塩、またはそれらの水和物、あるいはそれらを含有する固形物を、ポリビニルアルコール(PVA)またはポリビニルアルコール共重合体を主成分とする被覆剤を用いて被覆することにより、安定化されたマクロライド系抗生物質の被覆製剤が得られることを知見し、本発明を完成した。
すなわち、本発明は、
項1. 下記部分構造式:
(式中、R2aは、水素原子または水酸基の保護基を表す。)で示される基を有するマクロライド系抗生物質、その製薬上許容される塩、またはそれらの水和物を含有し、ポリビニルアルコールまたはポリビニルアルコール共重合体を含有する被覆剤で被覆されていることを特徴とする、マクロライド系抗生物質の被覆製剤。
項1. 下記部分構造式:
項2. マクロライド系抗生物質が、下記部分構造式(I):
(式中、R2aは、水素原子または水酸基の保護基を表す。)で示される基を有するマクロライド系抗生物質、その製薬上許容される塩、またはそれらの水和物であることを特徴とする項1に記載のマクロライド系抗生物質の被覆製剤。
項3. マクロライド系抗生物質が14〜16員環系マクロライド系抗生物質であることを特徴とする、項1に記載のマクロライド系抗生物質の被覆製剤。
項4. マクロライド系抗生物質が、一般式(II):
{式中、Aは、
a)−OH、
b)−ORp(式中、Rpは水酸基の保護基を表す。)、
c)−R1(式中、R1は(1)アリール基、(2)置換アリール基、(3)ヘテロアリール基または置換ヘテロアリール基を表す。)、
d)−OR1(式中、R1は前記と同意義を有する。)、
e)−R2(式中、R2は、(1)水素原子、(2)ハロゲン原子、(3)酸素原子、硫黄原子および窒素原子から選ばれる0〜3個のヘテロ原子を任意に含み、ハロゲン、アリール基、置換アリール基、ヘテロアリール基および置換ヘテロアリール基から選ばれる1または2以上の置換基で置換されていてもよい、C1−C12アルキル基、(4)酸素原子、硫黄原子および窒素原子から選ばれる0〜3個のヘテロ原子を任意に含み、ハロゲン、アリール基、置換アリール基、ヘテロアリール基および置換ヘテロアリール基から選ばれる1または2以上の置換基で置換されていてもよい、C2−C12アルケニル基、または(5)酸素原子、硫黄原子および窒素原子から選ばれる0〜3個のヘテロ原子を任意に含み、ハロゲン、アリール基、置換アリール基、ヘテロアリール基および置換ヘテロアリール基から選ばれる1または2以上の置換基で置換されていてもよい、C2−C12アルキニル基を表す。)、
f)−OR2 (R2は前記と同意義を有する。)、
g)−S(O)nR11 (式中、nは0、1または2を、R11は、独立して水素原子、R1またはR2を表し、R1およびR2は前記と同意義を有する)、
h)−NHC(O)R11(式中、R11は前記と同意義を有する。)、
i)−NHC(O)NHR11(式中、R11は前記と同意義を有する。)、
j)−NHS(O)2R11(式中、R11は前記と同意義を有する。)、
k)−NR14R15(式中、R14およびR15は、それぞれ独立して、R11を表し、R11は前記と同意義を有する。)、および
l)−NHR3(式中、R3はアミノ基保護基を表す。)
から選ばれる基を表し;
B は、
a)水素原子、
b)重水素、
c)ハロゲン原子、
d)−OH、
e)−R1(R1は前記と同意義を有する。)、
f)−R2(R2は前記と同意義を有する。)、または
g)−ORp(Rpは前記と同意義を有する。を表し;
但し、Bがハロゲン、−OHまたは−ORpのとき、Aは−R1または−R2を表し、あるいはAおよびBは、結合している炭素原子と一緒になって、
a)C=O
b)C(OR2)2(R2は前記と同意義を有する。)、
c)C(SR2)2(R2は前記と同意義を有する。)、
d)C[−O−(CH2)m]2(mは2または3である。)、
e)C[−S−(CH2)m]2(mは前記と同意義である。)、
f)C=CHR11(R11は前記と同意義を有する。)、
g)C=N−O−R11(R11は前記と同意義を有する。)、または
h)C=N−O−Ar1−M−Ar2
[式中、
1)−Ar1−は、R31を表し、R31は独立して、
a)R1から水素元素を除いて形成される2価の基(R1は前記と同意義を有する。)、
b)酸素原子、硫黄原子および窒素原子から選ばれる0〜3個のヘテロ原子を任意に含み、ハロゲン、アリール基、置換アリール基、ヘテロアリール基および置換ヘテロアリール基から選ばれる1または2以上の置換基で置換されていてもよい、C1−C12アルキレン基、
c)酸素原子、硫黄原子および窒素原子から選ばれる0〜3個のヘテロ原子を任意に含み、ハロゲン、アリール基、置換アリール基、ヘテロアリール基および置換ヘテロアリール基から選ばれる1または2以上の置換基で置換されていてもよい、C2−C12アルケニレン基、または
d)酸素原子、硫黄原子および窒素原子から選ばれる0〜3個のヘテロ原子を任意に含み、ハロゲン、アリール基、置換アリール基、ヘテロアリール基および置換ヘテロアリール基から選ばれる1または2以上の置換基で置換されていてもよい、C2−C12アルキニレン基を表し;
2)−M−は、結合手あるいは
(a)酸素原子、硫黄原子および窒素原子から選ばれる0〜3個のヘテロ原子および−C=N−,−N=N−および−C(O)−から選ばれる0〜3個の基を任意に含む、C1−C12アルキレン基、
(b)酸素原子、硫黄原子および窒素原子から選ばれる0〜3個のヘテロ原子および−C=N−,−N=N−および−C(O)−から選ばれる0〜3個の基を任意に含む、C2−C12アルケニレン基、
(c)酸素原子、硫黄原子および窒素原子から選ばれる0〜3個のヘテロ原子および−C=N−,−N=N−および−C(O)−から選ばれる0〜3個の基を任意に含む、C2−C12アルキニレン基、
(d)置換アリーレン基、
(e)置換ヘテロアリーレン基または
(f)置換ヘテロシクロアルキレン基を表し;および
3)−Ar2は、
(a)アリール基、
(b)置換アリール基、
(c)ヘテロアリール基、または
(d)置換ヘテロアリール基を表し];
i)C=NHHR11(R11は前記と同意義を有する。)、
j)C=NNHC(O)R11(R11は前記と同意義を有する。)、
k)C=NNHC(O)NHR11(R11は前記と同意義を有する。)、
l)C=NNHS(O)2R11(R11は前記と同意義を有する。)、
m)C=NNHR3(R3は前記と同意義を有する。)、
n)C=NR11(R11は前記と同意義を有する。)、
o)C=NR11(R11は前記と同意義を有する。)、または
p)C=N−N−CHR11(R11は前記と同意義を有する。)を表し;
XおよびYの一方は、水素原子を表し、他方は、
a)水素原子、
b)重水素、
c)−OH、
d)−ORp(Rpは前記と同意義を有する。)、
e)−NR4R5(R4およびR5は、それぞれ独立して、
(1)水素原子、
(2)ハロゲン、アリール基、置換アリール基、ヘテロアリール基および置換ヘテロアリール基から選ばれる1または2以上の置換基で置換されていてもよい、C1−C12アルキル基、または
(3)R4およびR5は、結合している窒素原子と共に一緒になって、酸素原子、硫黄原子および窒素原子から選ばれる0〜2個のヘテロ原子を含む3〜10のヘテロアルキル環を表し、あるいはXおよびYは結合している炭素原子と共に、
(a)C=Oまたは
(b)C=N−Q
(式中、Qは
(1)−R11(R11は前記と同意義を有する。)、
(2)アミノ保護基、
(3)−C(O)R11(R11は前記と同意義を有する。)、
(4)−OR6(R6は独立して、
(a)水素原子、
(b)−CH2O(CH2)2OCH3、
(c)−CH2O(CH2O)nCH3(nは前記と同意義を有する。)、
(d)アリール基、置換アリール基、ヘテロアリール基および置換ヘテロアリール基から選ばれる1または2以上の置換基で置換されていてもよい、C1−C12アルキル基、
(e)−C3−C12シクロアルキル基、
(f)−C(O)−C1−C12アルキル基、
(g)−C(O)−C3−C12シクロアルキル基、
(h)−C(O)−R1(R1は前記と同意義を有する。)または
(i)−Si(Ra)(Rb)(Rc)(Ra,RbおよびRcは、それぞれ独立して、C1−C12アルキル基、アリール基または置換アリール基を表す。)を表し;または
(5)O−C(R7)(R8)−O−R6(R6は前記と同意義を有する。但し、R6は、C(O)−C1−C12アルキル基、C(O)−C3−C12シクロアルキル基またはC(O)−R1ではなく、R7およびR8は、結合している炭素原子と共に、C3−C12シクロアルキル基を形成するか、あるいは(1)水素原子または(2)C1−C12アルキル基を表す。)を表し;
Lは、
a)−CH3、
b)−CH2CH3、
c)−CH(OH)CH3、
d)アリール基、置換アリール基、ヘテロアリール基および置換ヘテロアリール基から選ばれる1または2以上の置換基で置換されていてもよい、C1−C6アルキル基、
e)アリール基、置換アリール基、ヘテロアリール基および置換ヘテロアリール基から選ばれる1または2以上の置換基で置換されていてもよい、C2−C6アルケニル基、または
f)アリール基、置換アリール基、ヘテロアリール基および置換ヘテロアリール基から選ばれる1または2以上の置換基で置換されていてもよい、C2−C6アルキニル基を表し;
Zは、
a)水素原子、
b)メチル基 または
c)ハロゲン原子を表し;
R2aは、水素原子または水酸基の保護基を表す。}
で表される化合物、その製薬上許容される塩もしくはそれらの水和物であることを特徴とする、項3に記載のマクロライド系抗生物質の被覆製剤。
a)−OH、
b)−ORp(式中、Rpは水酸基の保護基を表す。)、
c)−R1(式中、R1は(1)アリール基、(2)置換アリール基、(3)ヘテロアリール基または置換ヘテロアリール基を表す。)、
d)−OR1(式中、R1は前記と同意義を有する。)、
e)−R2(式中、R2は、(1)水素原子、(2)ハロゲン原子、(3)酸素原子、硫黄原子および窒素原子から選ばれる0〜3個のヘテロ原子を任意に含み、ハロゲン、アリール基、置換アリール基、ヘテロアリール基および置換ヘテロアリール基から選ばれる1または2以上の置換基で置換されていてもよい、C1−C12アルキル基、(4)酸素原子、硫黄原子および窒素原子から選ばれる0〜3個のヘテロ原子を任意に含み、ハロゲン、アリール基、置換アリール基、ヘテロアリール基および置換ヘテロアリール基から選ばれる1または2以上の置換基で置換されていてもよい、C2−C12アルケニル基、または(5)酸素原子、硫黄原子および窒素原子から選ばれる0〜3個のヘテロ原子を任意に含み、ハロゲン、アリール基、置換アリール基、ヘテロアリール基および置換ヘテロアリール基から選ばれる1または2以上の置換基で置換されていてもよい、C2−C12アルキニル基を表す。)、
f)−OR2 (R2は前記と同意義を有する。)、
g)−S(O)nR11 (式中、nは0、1または2を、R11は、独立して水素原子、R1またはR2を表し、R1およびR2は前記と同意義を有する)、
h)−NHC(O)R11(式中、R11は前記と同意義を有する。)、
i)−NHC(O)NHR11(式中、R11は前記と同意義を有する。)、
j)−NHS(O)2R11(式中、R11は前記と同意義を有する。)、
k)−NR14R15(式中、R14およびR15は、それぞれ独立して、R11を表し、R11は前記と同意義を有する。)、および
l)−NHR3(式中、R3はアミノ基保護基を表す。)
から選ばれる基を表し;
B は、
a)水素原子、
b)重水素、
c)ハロゲン原子、
d)−OH、
e)−R1(R1は前記と同意義を有する。)、
f)−R2(R2は前記と同意義を有する。)、または
g)−ORp(Rpは前記と同意義を有する。を表し;
但し、Bがハロゲン、−OHまたは−ORpのとき、Aは−R1または−R2を表し、あるいはAおよびBは、結合している炭素原子と一緒になって、
a)C=O
b)C(OR2)2(R2は前記と同意義を有する。)、
c)C(SR2)2(R2は前記と同意義を有する。)、
d)C[−O−(CH2)m]2(mは2または3である。)、
e)C[−S−(CH2)m]2(mは前記と同意義である。)、
f)C=CHR11(R11は前記と同意義を有する。)、
g)C=N−O−R11(R11は前記と同意義を有する。)、または
h)C=N−O−Ar1−M−Ar2
[式中、
1)−Ar1−は、R31を表し、R31は独立して、
a)R1から水素元素を除いて形成される2価の基(R1は前記と同意義を有する。)、
b)酸素原子、硫黄原子および窒素原子から選ばれる0〜3個のヘテロ原子を任意に含み、ハロゲン、アリール基、置換アリール基、ヘテロアリール基および置換ヘテロアリール基から選ばれる1または2以上の置換基で置換されていてもよい、C1−C12アルキレン基、
c)酸素原子、硫黄原子および窒素原子から選ばれる0〜3個のヘテロ原子を任意に含み、ハロゲン、アリール基、置換アリール基、ヘテロアリール基および置換ヘテロアリール基から選ばれる1または2以上の置換基で置換されていてもよい、C2−C12アルケニレン基、または
d)酸素原子、硫黄原子および窒素原子から選ばれる0〜3個のヘテロ原子を任意に含み、ハロゲン、アリール基、置換アリール基、ヘテロアリール基および置換ヘテロアリール基から選ばれる1または2以上の置換基で置換されていてもよい、C2−C12アルキニレン基を表し;
2)−M−は、結合手あるいは
(a)酸素原子、硫黄原子および窒素原子から選ばれる0〜3個のヘテロ原子および−C=N−,−N=N−および−C(O)−から選ばれる0〜3個の基を任意に含む、C1−C12アルキレン基、
(b)酸素原子、硫黄原子および窒素原子から選ばれる0〜3個のヘテロ原子および−C=N−,−N=N−および−C(O)−から選ばれる0〜3個の基を任意に含む、C2−C12アルケニレン基、
(c)酸素原子、硫黄原子および窒素原子から選ばれる0〜3個のヘテロ原子および−C=N−,−N=N−および−C(O)−から選ばれる0〜3個の基を任意に含む、C2−C12アルキニレン基、
(d)置換アリーレン基、
(e)置換ヘテロアリーレン基または
(f)置換ヘテロシクロアルキレン基を表し;および
3)−Ar2は、
(a)アリール基、
(b)置換アリール基、
(c)ヘテロアリール基、または
(d)置換ヘテロアリール基を表し];
i)C=NHHR11(R11は前記と同意義を有する。)、
j)C=NNHC(O)R11(R11は前記と同意義を有する。)、
k)C=NNHC(O)NHR11(R11は前記と同意義を有する。)、
l)C=NNHS(O)2R11(R11は前記と同意義を有する。)、
m)C=NNHR3(R3は前記と同意義を有する。)、
n)C=NR11(R11は前記と同意義を有する。)、
o)C=NR11(R11は前記と同意義を有する。)、または
p)C=N−N−CHR11(R11は前記と同意義を有する。)を表し;
XおよびYの一方は、水素原子を表し、他方は、
a)水素原子、
b)重水素、
c)−OH、
d)−ORp(Rpは前記と同意義を有する。)、
e)−NR4R5(R4およびR5は、それぞれ独立して、
(1)水素原子、
(2)ハロゲン、アリール基、置換アリール基、ヘテロアリール基および置換ヘテロアリール基から選ばれる1または2以上の置換基で置換されていてもよい、C1−C12アルキル基、または
(3)R4およびR5は、結合している窒素原子と共に一緒になって、酸素原子、硫黄原子および窒素原子から選ばれる0〜2個のヘテロ原子を含む3〜10のヘテロアルキル環を表し、あるいはXおよびYは結合している炭素原子と共に、
(a)C=Oまたは
(b)C=N−Q
(式中、Qは
(1)−R11(R11は前記と同意義を有する。)、
(2)アミノ保護基、
(3)−C(O)R11(R11は前記と同意義を有する。)、
(4)−OR6(R6は独立して、
(a)水素原子、
(b)−CH2O(CH2)2OCH3、
(c)−CH2O(CH2O)nCH3(nは前記と同意義を有する。)、
(d)アリール基、置換アリール基、ヘテロアリール基および置換ヘテロアリール基から選ばれる1または2以上の置換基で置換されていてもよい、C1−C12アルキル基、
(e)−C3−C12シクロアルキル基、
(f)−C(O)−C1−C12アルキル基、
(g)−C(O)−C3−C12シクロアルキル基、
(h)−C(O)−R1(R1は前記と同意義を有する。)または
(i)−Si(Ra)(Rb)(Rc)(Ra,RbおよびRcは、それぞれ独立して、C1−C12アルキル基、アリール基または置換アリール基を表す。)を表し;または
(5)O−C(R7)(R8)−O−R6(R6は前記と同意義を有する。但し、R6は、C(O)−C1−C12アルキル基、C(O)−C3−C12シクロアルキル基またはC(O)−R1ではなく、R7およびR8は、結合している炭素原子と共に、C3−C12シクロアルキル基を形成するか、あるいは(1)水素原子または(2)C1−C12アルキル基を表す。)を表し;
Lは、
a)−CH3、
b)−CH2CH3、
c)−CH(OH)CH3、
d)アリール基、置換アリール基、ヘテロアリール基および置換ヘテロアリール基から選ばれる1または2以上の置換基で置換されていてもよい、C1−C6アルキル基、
e)アリール基、置換アリール基、ヘテロアリール基および置換ヘテロアリール基から選ばれる1または2以上の置換基で置換されていてもよい、C2−C6アルケニル基、または
f)アリール基、置換アリール基、ヘテロアリール基および置換ヘテロアリール基から選ばれる1または2以上の置換基で置換されていてもよい、C2−C6アルキニル基を表し;
Zは、
a)水素原子、
b)メチル基 または
c)ハロゲン原子を表し;
R2aは、水素原子または水酸基の保護基を表す。}
で表される化合物、その製薬上許容される塩もしくはそれらの水和物であることを特徴とする、項3に記載のマクロライド系抗生物質の被覆製剤。
項5. マクロライド系抗生物質が、
(1)下記式(III):
で表される(1R,2R,3R,6R,8R,9R,10R,16S,18R)−N−[9−(3,4,6−トリデオキシ−3−ジメチルアミノ−β−D−キシロ−ヘキソピラノシルオキシ)−3−エチル−2−ヒドロキシ−2,6,8,10,16,18−ヘキサメチル−5,7−ジオキソ−13−[(E)−[6−(ピラゾール−1−イル)ピリジン−3−イル]メトキシイミノ]−4,11,15−トリオキサビシクロ[8,5,4]ノナデカ−17E−イリデン]アセタミド、
(2)下記式(IV):
で表されるテリスロマイシン、
(3)下記式(V):
で表されるGW773546、
(4)下記式(VI):
で示されるTEA−0777、
(5)下記式(VII):
で示されるCP−544372、
(6)下記式(VIII):
で示されるJNJ−17069546、
(7)下記式(IX):
で表されるセスロマイシン、もしくは
(8)(1R,2R,3R,6R,8R,9R,10R,16S,18R)−N−[9−(3,4,6−トリデオキシ−3−ジメチルアミノ−β−D−キシロ−ヘキソピラノシルオキシ)−3−エチル−2−ヒドロキシ−2,6,8,10,16,18−ヘキサメチル−5,7−ジオキソ−13−[(E)−[6−(2−アミノピリジン−6−イル)ピリジン−3−イル]メトキシイミノ]−4,11,15−トリオキサビシクロ[8,5,4]ノナデカ−17E−イリデン]アセタミド、
またはそれらの製薬上許容される塩もしくはそれらの水和物であることを特徴とする、項4に記載のマクロライド系抗生物質の被覆製剤。
(1)下記式(III):
(2)下記式(IV):
(3)下記式(V):
(4)下記式(VI):
(5)下記式(VII):
(6)下記式(VIII):
(7)下記式(IX):
(8)(1R,2R,3R,6R,8R,9R,10R,16S,18R)−N−[9−(3,4,6−トリデオキシ−3−ジメチルアミノ−β−D−キシロ−ヘキソピラノシルオキシ)−3−エチル−2−ヒドロキシ−2,6,8,10,16,18−ヘキサメチル−5,7−ジオキソ−13−[(E)−[6−(2−アミノピリジン−6−イル)ピリジン−3−イル]メトキシイミノ]−4,11,15−トリオキサビシクロ[8,5,4]ノナデカ−17E−イリデン]アセタミド、
またはそれらの製薬上許容される塩もしくはそれらの水和物であることを特徴とする、項4に記載のマクロライド系抗生物質の被覆製剤。
項6. マクロライド系抗生物質が、下記式(III):
で表される(1R,2R,3R,6R,8R,9R,10R,16S,18R)−N−[9−(3,4,6−トリデオキシ−3−ジメチルアミノ−β−D−キシロ−ヘキソピラノシルオキシ)−3−エチル−2−ヒドロキシ−2,6,8,10,16,18−ヘキサメチル−5,7−ジオキソ−13−[(E)−[6−(ピラゾール−1−イル)ピリジン−3−イル]メトキシイミノ]−4,11,15−トリオキサビシクロ[8,5,4]ノナデカ−17E−イリデン]アセタミド、その製薬上許容される塩、またはそれらの水和物であることを特徴とする、項5に記載のマクロライド系抗生物質の被覆製剤。
項7. マクロライド系抗生物質が、粉末X線回折パターンにおいて、2θ=14.3、14.5、15.1、18.8、20.5、23.2、24.9、25.6、29.0、34.1、37.7、38.1,38.9および40.4(単位:度)から選ばれる少なくとも1個のピークを有する、(1R,2R,3R,6R,8R,9R,10R,16S,18R)−N−[9−(3,4,6−トリデオキシ−3−ジメチルアミノ−β−D−キシロ−ヘキソピラノシルオキシ)−3−エチル−2−ヒドロキシ−2,6,8,10,16,18−ヘキサメチル−5,7−ジオキソ−13−[(E)−[6−(ピラゾール−1−イル)ピリジン−3−イル]メトキシイミノ]−4,11,15−トリオキサビシクロ[8,5,4]ノナデカ−17E−イリデン]アセタミドの1型結晶であることを特徴とする、項1に記載のマクロライド系抗生物質の被覆製剤。
項8. 該1型が無水物結晶であることを特徴とする、項7に記載のマクロライド系抗生物質の被覆製剤。
項9. 被覆製剤が、固形製剤であることを特徴とする、項1記載のマクロライド系抗生物質の被覆製剤。
項10. 固形製剤が、錠剤または顆粒剤であることを特徴とする、項9記載のマクロライド系抗生物質の被覆製剤。
項11. 被覆剤が、平均重合度1300以下のポリビニルアルコールと、少なくとも1の重合性ビニル単量体とを重量比で6:4〜9:1の割合で共重合させて得られるポリビニルアルコール共重合体を含むものであることを特徴とする、項1に記載のマクロライド系抗生物質の被覆製剤。
項12. ポリビニルアルコールの平均重合度が900以下であることを特徴とする、項11に記載のマクロライド系抗生物質の被覆製剤。
項13. ポリビニルアルコールの平均重合度が200〜600であることを特徴とする、項12に記載のマクロライド系抗生物質の被覆製剤。
項14. ポリビニルアルコールが部分けん化ポリビニルアルコールであることを特徴とする、項11に記載のマクロライド系抗生物質の被覆製剤。
項15. 重合性ビニル単量体が、不飽和カルボン酸類、不飽和カルボン酸のエステル類、不飽和ニトリル類、不飽和アミド類、芳香族ビニル類、脂肪族ビニル類、不飽和結合含有複素環類およびそれらの塩からなる群より選ばれるものであることを特徴とする、項11に記載のマクロライド系抗生物質の被覆製剤。
項16. ポリビニルアルコールと2以上の重合性ビニル単量体を共重合させたものであり、2以上の重合性ビニル単量体のうち、少なくとも1つが不飽和カルボン酸類またはそれらの塩であり、少なくとも他の1つが不飽和カルボン酸のエステル類であることを特徴とする、項11に記載のマクロライド系抗生物質の被覆製剤。
項17. 不飽和カルボン酸類またはそれらの塩類が、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、フマル酸、マレイン酸、イタコン酸およびそれらの塩からなる群から選ばれるものであり、不飽和カルボン酸のエステル類がメチルメタクリレート、メチルアクリレート、エチルメタクリレート、エチルアクリレート、ブチルメタクリレート、ブチルアクリレート、イソブチルメタクリレート、イソブチルアクリレート、シクロヘキシルメタクリレート、シクロヘキシルアクリレート、2−エチルヘキシルメタクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、ヒドロキシエチルメタクリレート、ヒドロキシエチルアクリレート、ポリエチレングリコールとメタクリル酸とのエステル、ポリエチレングリコールとアクリル酸とのエステルおよびポリプロピレングリコールとアクリル酸とのエステルからなる群から選ばれるものであることを特徴とする、項16に記載のマクロライド系抗生物質の被覆製剤。
項18. 不飽和カルボン酸類、それらの塩類および不飽和カルボン酸のエステル類が、一般式(X)
(化14)
H2C=C(R1)−COOR2 (X)
(式中、R1は水素原子またはメチル基を示し、R2は水素原子または1〜4個の炭素原子を有するアルキル基を示す。)で示される化合物またはその塩であることを特徴とする、項15に記載のマクロライド系抗生物質の被覆製剤。
(化14)
H2C=C(R1)−COOR2 (X)
(式中、R1は水素原子またはメチル基を示し、R2は水素原子または1〜4個の炭素原子を有するアルキル基を示す。)で示される化合物またはその塩であることを特徴とする、項15に記載のマクロライド系抗生物質の被覆製剤。
項19. 不飽和カルボン酸類またはそれらの塩が、アクリル酸またはその塩であり、不飽和カルボン酸のエステル類がメチルメタクリレートであることを特徴とする、項16に記載のマクロライド系抗生物質の被覆製剤。
項20. 共重合する際におけるアクリル酸またはその塩とメチルメタクリレートとの重量比が3:7〜0.5:9.5であることを特徴とする、項19に記載のマクロライド系抗生物質の被覆製剤。
項21. 平均重合度300から500の部分けん化ポリビニルアルコールと、重合性ビニル単量体とを重量比で6:4〜9:1の割合で共重合させて得られ、かつ当該重合性ビニル単量体がアクリル酸およびメチルメタクリレートであり、共重合する際におけるアクリル酸とメチルメタクリレートとの重量比が3:7〜0.5:9.5であることを特徴とする、項11に記載のマクロライド系抗生物質の被覆製剤。
項22. 平均重合度300から500の部分けん化ポリビニルアルコール、メチルメタクリレートおよびアクリル酸の共重合する際における重量比が60〜90:7〜38:0.5〜12であることを特徴とする、項21に記載のマクロライド系抗生物質の被覆製剤。
項23. 被覆剤の含量が、素錠または素顆粒に対して2%(重量比)以上であることを特徴とする、項10に記載のマクロライド系抗生物質の被覆製剤。
項24. マクロライド系抗生物質の被覆製剤を25℃、相対湿度60%の条件で3ケ月保存後の類縁物質の総量が3%以下であることを特徴とする、項1に記載のマクロライド系抗生物質の被覆製剤。
項25. マクロライド系抗生物質が(1R,2R,3R,6R,8R,9R,10R,16S,18R)−N−[9−(3,4,6−トリデオキシ−3−ジメチルアミノ−β−D−キシロ−ヘキソピラノシルオキシ)−3−エチル−2−ヒドロキシ−2,6,8,10,16,18−ヘキサメチル−5,7−ジオキソ−13−[(E)−[6−(ピラゾール−1−イル)ピリジン−3−イル]メトキシイミノ]−4,11,15−トリオキサビシクロ[8,5,4]ノナデカ−17E−イリデン]アセタミドの1型結晶であり、被覆剤が酸化チタンを含有しているか又は含有していないポリビニルアルコールまたはポリビニルアルコール共重合体であり、25℃、相対湿度60%の条件で3ケ月保存後の類縁物質の総量が1.5%以下であることを特徴とする、項1に記載のマクロライド系抗生物質の被覆製剤。
項26. マクロライド系抗生物質が(1R,2R,3R,6R,8R,9R,10R,16S,18R)−N−[9−(3,4,6−トリデオキシ−3−ジメチルアミノ−β−D−キシロ−ヘキソピラノシルオキシ)−3−エチル−2−ヒドロキシ−2,6,8,10,16,18−ヘキサメチル−5,7−ジオキソ−13−[(E)−[6−(ピラゾール−1−イル)ピリジン−3−イル]メトキシイミノ]−4,11,15−トリオキサビシクロ[8,5,4]ノナデカ−17E−イリデン]アセタミドの1型結晶であり、25℃、相対湿度60%の条件で3ケ月保存後の類縁物質の総量が1.5%以下であることを特徴とする、マクロライド系抗生物質の被覆製剤。
項27. PTP(プレススルーパッケイジ)包装またはボトル包装されていることを特徴とする、項26に記載のマクロライド系抗生物質の被覆製剤。
項28. 下記部分構造式:
(式中、R2aは、水素原子または水酸基の保護基を表す。)で示される基を有するマクロライド系抗生物質、その製薬上許容される塩、またはそれらの水和物またはそれらを含有する固形物を、ポリビニルアルコールまたはポリビニルアルコール共重合体を含有する被覆剤で被覆することを特徴とする、当該マクロライド系抗生物質の類縁物質の生成を抑制する方法。
本発明の、ポリビニルアルコールまたはポリビニルアルコール共重合体を含有する被覆剤で被覆されたマクロライド系抗生物質の被覆製剤は、優れた抗菌活性を有して各種感染症の治療に用いることが可能であり、長期間、製剤学的に安定であり、また服用しやすいのでヒト用の医薬、ヒトを除く哺乳動物、魚類、鳥類等の動物薬として非常に有用である。また、被覆剤としてのポリビニルアルコールまたはポリビニルアルコール共重合体は、主薬の微小粒子や小型の固形物にも被覆が可能であるので、服用製剤の大型化を防止でき、老人、小児等の患者にも服用しやすい錠剤、顆粒剤、カプセル剤、丸剤等の固形製剤を提供することができる。
本発明のマクロライド系抗生物質の被覆製剤において、マクロライド系抗生物質としては、好ましくは14〜16員環のマクロライド系抗生物質が挙げられる。これらのマクロライド系抗生物質のうち、好ましいのは、下記部分構造式:
(式中、R2aは、水素原子または水酸基の保護基を表す。)、さらに好ましいのは、下記部分構造式(I):
(式中、R2aは、水素原子または水酸基の保護基を表す。)で示される基(以下、総称して“−Q”とも表す)を有するマクロライド系抗生物質、その製薬上許容される塩、またはそれらの水和物を挙げることができる。
本発明者らの検討により、被覆剤によって上記部分構造が安定化されることが判明した。よってその構造式中に、上記一般式(I)で表される基を有するマクロライド系抗生物質である限り、本発明製剤においては、医薬活性成分として使用することができる。
マクロライド環内において上記部分構造式の結合部位は必ずしも限定されないが、好ましくは以下に例示されるような態様で、マクロライド環に結合している。
(式中、Ra、Rbは、一緒になってオキソまたは、一方が水素原子で他方が−O−糖残基を示す。好ましくはRa、Rbは、一緒になってオキソを示す。孤状の点線は、マクロライド環の残りの部分構造を示す。)
なお上記のナンバリングは典型的な場合に従ってつけたものであり、このような場合には、即ち、前記“−Q”で示される部分構造がマクロライド環の5位に結合する。しかし、マクロライド環の種類によっては、ナンバリングは変わり得る。
14員環のマクロライド系抗生物質としては、WO2003/097659に記載の以下に示す架橋構造を有する一般式(II)で示される化合物、その製薬上許容される塩もしくはそれらの水和物がより好ましい。
{式中、Aは、
a)−OH、
b)−ORp(式中、Rpは水酸基の保護基を表す。)、
c)−R1(式中、R1は(1)アリール基、(2)置換アリール基、(3)ヘテロアリール基または置換ヘテロアリール基を表す。)、
d)−OR1(式中、R1は前記と同意義を有する。)、
e)−R2(式中、R2は、(1)水素原子、(2)ハロゲン原子、(3)酸素原子、硫黄原子および窒素原子から選ばれる0〜3個のヘテロ原子を任意に含み、ハロゲン、アリール基、置換アリール基、ヘテロアリール基および置換ヘテロアリール基から選ばれる1または2以上の置換基で置換されていてもよい、C1−C12アルキル基、(4)酸素原子、硫黄原子および窒素原子から選ばれる0〜3個のヘテロ原子を任意に含み、ハロゲン、アリール基、置換アリール基、ヘテロアリール基および置換ヘテロアリール基から選ばれる1または2以上の置換基で置換されていてもよい、C2−C12アルケニル基、または(5)酸素原子、硫黄原子および窒素原子から選ばれる0〜3個のヘテロ原子を任意に含み、ハロゲン、アリール基、置換アリール基、ヘテロアリール基および置換ヘテロアリール基から選ばれる1または2以上の置換基で置換されていてもよい、C2−C12アルキニル基を表す。)、
f)−OR2 (R2は前記と同意義を有する。)、
g)−S(O)nR11 (式中、nは0、1または2を、R11は、独立して水素原子、R1またはR2を表し、R1およびR2は前記と同意義を有する)、
h)−NHC(O)R11(式中、R11は前記と同意義を有する。)、
i)−NHC(O)NHR11(式中、R11は前記と同意義を有する。)、
j)−NHS(O)2R11(式中、R11は前記と同意義を有する。)、
k)−NR14R15(式中、R14およびR15は、それぞれ独立して、R11を表し、R11は前記と同意義を有する。)、および
l)−NHR3(式中、R3はアミノ基保護基を表す。)
から選ばれる基を表し;
B は、
a)水素原子、
b)重水素、
c)ハロゲン原子、
d)−OH、
e)−R1(R1は前記と同意義を有する。)、
f)−R2(R2は前記と同意義を有する。)、または
g)−ORp(Rpは前記と同意義を有する。を表し;
但し、Bがハロゲン、−OHまたは−ORpのとき、Aは−R1または−R2を表し、あるいはAおよびBは、結合している炭素原子と一緒になって、
a)C=O
b)C(OR2)2(R2は前記と同意義を有する。)、
c)C(SR2)2(R2は前記と同意義を有する。)、
d)C[−O−(CH2)m]2(mは2または3である。)、
e)C[−S−(CH2)m]2(mは前記と同意義である。)、
f)C=CHR11(R11は前記と同意義を有する。)、
g)C=N−O−R11(R11は前記と同意義を有する。)、または
h)C=N−O−Ar1−M−Ar2
[式中、
1)−Ar1−は、R31を表し、R31は独立して、
a)R1から水素元素を除いて形成される2価の基(R1は前記と同意義を有する。)、
b)酸素原子、硫黄原子および窒素原子から選ばれる0〜3個のヘテロ原子を任意に含み、ハロゲン、アリール基、置換アリール基、ヘテロアリール基および置換ヘテロアリール基から選ばれる1または2以上の置換基で置換されていてもよい、C1−C12アルキレン基、
c)酸素原子、硫黄原子および窒素原子から選ばれる0〜3個のヘテロ原子を任意に含み、ハロゲン、アリール基、置換アリール基、ヘテロアリール基および置換ヘテロアリール基から選ばれる1または2以上の置換基で置換されていてもよい、C2−C12アルケニレン基、または
d)酸素原子、硫黄原子および窒素原子から選ばれる0〜3個のヘテロ原子を任意に含み、ハロゲン、アリール基、置換アリール基、ヘテロアリール基および置換ヘテロアリール基から選ばれる1または2以上の置換基で置換されていてもよい、C2−C12アルキニレン基を表し;
2)−M−は、結合手あるいは
(a)酸素原子、硫黄原子および窒素原子から選ばれる0〜3個のヘテロ原子および−C=N−,−N=N−および−C(O)−から選ばれる0〜3個の基を任意に含む、C1−C12アルキレン基、
(b)酸素原子、硫黄原子および窒素原子から選ばれる0〜3個のヘテロ原子および−C=N−,−N=N−および−C(O)−から選ばれる0〜3個の基を任意に含む、C2−C12アルケニレン基、
(c)酸素原子、硫黄原子および窒素原子から選ばれる0〜3個のヘテロ原子および−C=N−,−N=N−および−C(O)−から選ばれる0〜3個の基を任意に含む、C2−C12アルキニレン基、
(d)置換アリーレン基、
(e)置換ヘテロアリーレン基または
(f)置換ヘテロシクロアルキレン基を表し;および
3)−Ar2は、
(a)アリール基、
(b)置換アリール基、
(c)ヘテロアリール基、または
(d)置換ヘテロアリール基を表し];
i)C=NHHR11(R11は前記と同意義を有する。)、
j)C=NNHC(O)R11(R11は前記と同意義を有する。)、
k)C=NNHC(O)NHR11(R11は前記と同意義を有する。)、
l)C=NNHS(O)2R11(R11は前記と同意義を有する。)、
m)C=NNHR3(R3は前記と同意義を有する。)、
n)C=NR11(R11は前記と同意義を有する。)、
o)C=NR11(R11は前記と同意義を有する。)、または
p)C=N−N−CHR11(R11は前記と同意義を有する。)を表し;
XおよびYの一方は、水素原子を表し、他方は、
a)水素原子、
b)重水素、
c)−OH、
d)−ORp(Rpは前記と同意義を有する。)、
e)−NR4R5(R4およびR5は、それぞれ独立して、
(1)水素原子、
(2)ハロゲン、アリール基、置換アリール基、ヘテロアリール基および置換ヘテロアリール基から選ばれる1または2以上の置換基で置換されていてもよい、C1−C12アルキル基、または
(3)R4およびR5は、結合している窒素原子と共に一緒になって、酸素原子、硫黄原子および窒素原子から選ばれる0〜2個のヘテロ原子を含む3〜10のヘテロアルキル環を表し、あるいはXおよびYは結合している炭素原子と共に、
(a)C=Oまたは
(b)C=N−Q
(式中、Qは
(1)−R11(R11は前記と同意義を有する。)、
(2)アミノ保護基、
(3)−C(O)R11(R11は前記と同意義を有する。)、
(4)−OR6(R6は独立して、
(a)水素原子、
(b)−CH2O(CH2)2OCH3、
(c)−CH2O(CH2O)nCH3(nは前記と同意義を有する。)、
(d)アリール基、置換アリール基、ヘテロアリール基および置換ヘテロアリール基から選ばれる1または2以上の置換基で置換されていてもよい、C1−C12アルキル基、
(e)−C3−C12シクロアルキル基、
(f)−C(O)−C1−C12アルキル基、
(g)−C(O)−C3−C12シクロアルキル基、
(h)−C(O)−R1(R1は前記と同意義を有する。)または
(i)−Si(Ra)(Rb)(Rc)(Ra,RbおよびRcは、それぞれ独立して、C1−C12アルキル基、アリール基または置換アリール基を表す。)を表し;または
(5)O−C(R7)(R8)−O−R6(R6は前記と同意義を有する。但し、R6は、C(O)−C1−C12アルキル基、C(O)−C3−C12シクロアルキル基またはC(O)−R1ではなく、R7およびR8は、結合している炭素原子と共に、C3−C12シクロアルキル基を形成するか、あるいは(1)水素原子または(2)C1−C12アルキル基を表す。)を表し;
Lは、
a)−CH3、
b)−CH2CH3、
c)−CH(OH)CH3、
d)アリール基、置換アリール基、ヘテロアリール基および置換ヘテロアリール基から選ばれる1または2以上の置換基で置換されていてもよい、C1−C6アルキル基、
e)アリール基、置換アリール基、ヘテロアリール基および置換ヘテロアリール基から選ばれる1または2以上の置換基で置換されていてもよい、C2−C6アルケニル基、または
f)アリール基、置換アリール基、ヘテロアリール基および置換ヘテロアリール基から選ばれる1または2以上の置換基で置換されていてもよい、C2−C6アルキニル基を表し;
Zは、
a)水素原子、
b)メチル基 または
c)ハロゲン原子を表し;
R2aは、水素原子または水酸基の保護基を表す。}
a)−OH、
b)−ORp(式中、Rpは水酸基の保護基を表す。)、
c)−R1(式中、R1は(1)アリール基、(2)置換アリール基、(3)ヘテロアリール基または置換ヘテロアリール基を表す。)、
d)−OR1(式中、R1は前記と同意義を有する。)、
e)−R2(式中、R2は、(1)水素原子、(2)ハロゲン原子、(3)酸素原子、硫黄原子および窒素原子から選ばれる0〜3個のヘテロ原子を任意に含み、ハロゲン、アリール基、置換アリール基、ヘテロアリール基および置換ヘテロアリール基から選ばれる1または2以上の置換基で置換されていてもよい、C1−C12アルキル基、(4)酸素原子、硫黄原子および窒素原子から選ばれる0〜3個のヘテロ原子を任意に含み、ハロゲン、アリール基、置換アリール基、ヘテロアリール基および置換ヘテロアリール基から選ばれる1または2以上の置換基で置換されていてもよい、C2−C12アルケニル基、または(5)酸素原子、硫黄原子および窒素原子から選ばれる0〜3個のヘテロ原子を任意に含み、ハロゲン、アリール基、置換アリール基、ヘテロアリール基および置換ヘテロアリール基から選ばれる1または2以上の置換基で置換されていてもよい、C2−C12アルキニル基を表す。)、
f)−OR2 (R2は前記と同意義を有する。)、
g)−S(O)nR11 (式中、nは0、1または2を、R11は、独立して水素原子、R1またはR2を表し、R1およびR2は前記と同意義を有する)、
h)−NHC(O)R11(式中、R11は前記と同意義を有する。)、
i)−NHC(O)NHR11(式中、R11は前記と同意義を有する。)、
j)−NHS(O)2R11(式中、R11は前記と同意義を有する。)、
k)−NR14R15(式中、R14およびR15は、それぞれ独立して、R11を表し、R11は前記と同意義を有する。)、および
l)−NHR3(式中、R3はアミノ基保護基を表す。)
から選ばれる基を表し;
B は、
a)水素原子、
b)重水素、
c)ハロゲン原子、
d)−OH、
e)−R1(R1は前記と同意義を有する。)、
f)−R2(R2は前記と同意義を有する。)、または
g)−ORp(Rpは前記と同意義を有する。を表し;
但し、Bがハロゲン、−OHまたは−ORpのとき、Aは−R1または−R2を表し、あるいはAおよびBは、結合している炭素原子と一緒になって、
a)C=O
b)C(OR2)2(R2は前記と同意義を有する。)、
c)C(SR2)2(R2は前記と同意義を有する。)、
d)C[−O−(CH2)m]2(mは2または3である。)、
e)C[−S−(CH2)m]2(mは前記と同意義である。)、
f)C=CHR11(R11は前記と同意義を有する。)、
g)C=N−O−R11(R11は前記と同意義を有する。)、または
h)C=N−O−Ar1−M−Ar2
[式中、
1)−Ar1−は、R31を表し、R31は独立して、
a)R1から水素元素を除いて形成される2価の基(R1は前記と同意義を有する。)、
b)酸素原子、硫黄原子および窒素原子から選ばれる0〜3個のヘテロ原子を任意に含み、ハロゲン、アリール基、置換アリール基、ヘテロアリール基および置換ヘテロアリール基から選ばれる1または2以上の置換基で置換されていてもよい、C1−C12アルキレン基、
c)酸素原子、硫黄原子および窒素原子から選ばれる0〜3個のヘテロ原子を任意に含み、ハロゲン、アリール基、置換アリール基、ヘテロアリール基および置換ヘテロアリール基から選ばれる1または2以上の置換基で置換されていてもよい、C2−C12アルケニレン基、または
d)酸素原子、硫黄原子および窒素原子から選ばれる0〜3個のヘテロ原子を任意に含み、ハロゲン、アリール基、置換アリール基、ヘテロアリール基および置換ヘテロアリール基から選ばれる1または2以上の置換基で置換されていてもよい、C2−C12アルキニレン基を表し;
2)−M−は、結合手あるいは
(a)酸素原子、硫黄原子および窒素原子から選ばれる0〜3個のヘテロ原子および−C=N−,−N=N−および−C(O)−から選ばれる0〜3個の基を任意に含む、C1−C12アルキレン基、
(b)酸素原子、硫黄原子および窒素原子から選ばれる0〜3個のヘテロ原子および−C=N−,−N=N−および−C(O)−から選ばれる0〜3個の基を任意に含む、C2−C12アルケニレン基、
(c)酸素原子、硫黄原子および窒素原子から選ばれる0〜3個のヘテロ原子および−C=N−,−N=N−および−C(O)−から選ばれる0〜3個の基を任意に含む、C2−C12アルキニレン基、
(d)置換アリーレン基、
(e)置換ヘテロアリーレン基または
(f)置換ヘテロシクロアルキレン基を表し;および
3)−Ar2は、
(a)アリール基、
(b)置換アリール基、
(c)ヘテロアリール基、または
(d)置換ヘテロアリール基を表し];
i)C=NHHR11(R11は前記と同意義を有する。)、
j)C=NNHC(O)R11(R11は前記と同意義を有する。)、
k)C=NNHC(O)NHR11(R11は前記と同意義を有する。)、
l)C=NNHS(O)2R11(R11は前記と同意義を有する。)、
m)C=NNHR3(R3は前記と同意義を有する。)、
n)C=NR11(R11は前記と同意義を有する。)、
o)C=NR11(R11は前記と同意義を有する。)、または
p)C=N−N−CHR11(R11は前記と同意義を有する。)を表し;
XおよびYの一方は、水素原子を表し、他方は、
a)水素原子、
b)重水素、
c)−OH、
d)−ORp(Rpは前記と同意義を有する。)、
e)−NR4R5(R4およびR5は、それぞれ独立して、
(1)水素原子、
(2)ハロゲン、アリール基、置換アリール基、ヘテロアリール基および置換ヘテロアリール基から選ばれる1または2以上の置換基で置換されていてもよい、C1−C12アルキル基、または
(3)R4およびR5は、結合している窒素原子と共に一緒になって、酸素原子、硫黄原子および窒素原子から選ばれる0〜2個のヘテロ原子を含む3〜10のヘテロアルキル環を表し、あるいはXおよびYは結合している炭素原子と共に、
(a)C=Oまたは
(b)C=N−Q
(式中、Qは
(1)−R11(R11は前記と同意義を有する。)、
(2)アミノ保護基、
(3)−C(O)R11(R11は前記と同意義を有する。)、
(4)−OR6(R6は独立して、
(a)水素原子、
(b)−CH2O(CH2)2OCH3、
(c)−CH2O(CH2O)nCH3(nは前記と同意義を有する。)、
(d)アリール基、置換アリール基、ヘテロアリール基および置換ヘテロアリール基から選ばれる1または2以上の置換基で置換されていてもよい、C1−C12アルキル基、
(e)−C3−C12シクロアルキル基、
(f)−C(O)−C1−C12アルキル基、
(g)−C(O)−C3−C12シクロアルキル基、
(h)−C(O)−R1(R1は前記と同意義を有する。)または
(i)−Si(Ra)(Rb)(Rc)(Ra,RbおよびRcは、それぞれ独立して、C1−C12アルキル基、アリール基または置換アリール基を表す。)を表し;または
(5)O−C(R7)(R8)−O−R6(R6は前記と同意義を有する。但し、R6は、C(O)−C1−C12アルキル基、C(O)−C3−C12シクロアルキル基またはC(O)−R1ではなく、R7およびR8は、結合している炭素原子と共に、C3−C12シクロアルキル基を形成するか、あるいは(1)水素原子または(2)C1−C12アルキル基を表す。)を表し;
Lは、
a)−CH3、
b)−CH2CH3、
c)−CH(OH)CH3、
d)アリール基、置換アリール基、ヘテロアリール基および置換ヘテロアリール基から選ばれる1または2以上の置換基で置換されていてもよい、C1−C6アルキル基、
e)アリール基、置換アリール基、ヘテロアリール基および置換ヘテロアリール基から選ばれる1または2以上の置換基で置換されていてもよい、C2−C6アルケニル基、または
f)アリール基、置換アリール基、ヘテロアリール基および置換ヘテロアリール基から選ばれる1または2以上の置換基で置換されていてもよい、C2−C6アルキニル基を表し;
Zは、
a)水素原子、
b)メチル基 または
c)ハロゲン原子を表し;
R2aは、水素原子または水酸基の保護基を表す。}
上記化合物(II)において各基の詳細な定義は、WO2003/097659に記載の通りである。化合物(II)の好ましい態様は以下の通りである。
AおよびBは、結合している炭素原子と一緒になって、
h)C=N−O−Ar1−M−Ar2
[式中、
1)−Ar1−は、R31を表し、R31は好ましくは、
b)酸素原子、硫黄原子および窒素原子から選ばれる0〜3個のヘテロ原子を任意に含み、ハロゲン、アリール基、置換アリール基、ヘテロアリール基および置換ヘテロアリール基から選ばれる1または2以上の置換基で置換されていてもよい、C1−C12アルキレン基であり、より好ましくはC1−C3アルキレン基であり、
2)−M−は、好ましくは結合手であり、
3)−Ar2は、好ましくは(d)置換ヘテロアリール基を示す。該ヘテロアリール基は、好ましくは5または6員のN,S,Oから選択されるヘテロ原子を1〜4個含有していてもよい芳香族ヘテロ環基であり、より好ましくはピリジルである。該ヘテロアリール基上の置換基としては、アミノ、低級アルキルアミノ、ヒドロキシ、ハロゲン、低級アルキル、低級アルコキシ等で置換されていてもよい同様の芳香族ヘテロ環基(例:ピラゾール)が例示される。
AおよびBは、結合している炭素原子と一緒になって、
h)C=N−O−Ar1−M−Ar2
[式中、
1)−Ar1−は、R31を表し、R31は好ましくは、
b)酸素原子、硫黄原子および窒素原子から選ばれる0〜3個のヘテロ原子を任意に含み、ハロゲン、アリール基、置換アリール基、ヘテロアリール基および置換ヘテロアリール基から選ばれる1または2以上の置換基で置換されていてもよい、C1−C12アルキレン基であり、より好ましくはC1−C3アルキレン基であり、
2)−M−は、好ましくは結合手であり、
3)−Ar2は、好ましくは(d)置換ヘテロアリール基を示す。該ヘテロアリール基は、好ましくは5または6員のN,S,Oから選択されるヘテロ原子を1〜4個含有していてもよい芳香族ヘテロ環基であり、より好ましくはピリジルである。該ヘテロアリール基上の置換基としては、アミノ、低級アルキルアミノ、ヒドロキシ、ハロゲン、低級アルキル、低級アルコキシ等で置換されていてもよい同様の芳香族ヘテロ環基(例:ピラゾール)が例示される。
XおよびYは、好ましくは結合している炭素原子と共に、
(b)C=N−Q
(式中、Qは好ましくは
(3)−C(O)R11(R11は、好ましくは低級アルキル))で示される基を示す。
Lは、好ましくはC1−C6の低級アルキル、より好ましくはb)−CH2CH3である。
Zは、好ましくは、a)水素原子である。
(b)C=N−Q
(式中、Qは好ましくは
(3)−C(O)R11(R11は、好ましくは低級アルキル))で示される基を示す。
Lは、好ましくはC1−C6の低級アルキル、より好ましくはb)−CH2CH3である。
Zは、好ましくは、a)水素原子である。
より具体的なマクロライド系抗生物質の例示としては、エリスロマイシン(14員環)、6−デオキシエリスロマイシン(14員環)、オレアンドマイシン(14員環)、クラリスロマイシン(14員環)、ロキシスロマイシン(14員環)、ジリスロマイシン(14員環)、テリスロマイシン(14員環、前記化合物(IV))、セスロマイシン(14員環、前記化合物(IX))、フルリスロマイシン(14員環)、フルリスロマイシンエチルサクシネート(14員環)、GW773546(14員環、前記化合物(V))、TEA−0769(14員環))、TEA−0777(14員環、前記化合物(VI))、TEA−0929(14員環)、JNJ−17069546(14員環、前記化合物(VIII))、CP−279107(14員環)、A−185684(14員環)、A−63483(14員環)、A−70310(14員環)、A−75729(14員環)、CP−544372(14員環、前記化合物(VII))、CP−642959(14員環)、CP−654743(14員環)、RU−004(14員環)、PL−1.2.9(14員環)、RWJ−415663(14員環)、RWJ−415667(14員環)、GI−448(14員環)、LY−281389(14員環)、前記化合物(III)(14員環架橋構造)、アジスロマイシン(15員環)、PL−1.1.3(15員環)、L−701677(15員環)、PL−1.4.18(16員環)、PL−1.4.2(16員環)、PL−1369(16員環)、YM−17K(16員環)、A−74950(16員環)、マイシナミシン(16員環)、(1R,2R,3R,6R,8R,9R,10R,16S,18R)−N−[9−(3,4,6−トリデオキシ−3−ジメチルアミノ−β−D−キシロ−ヘキソピラノシルオキシ)−3−エチル−2−ヒドロキシ−2,6,8,10,16,18−ヘキサメチル−5,7−ジオキソ−13−[(E)−[6−(2−アミノピリジン−6−イル)ピリジン−3−イル]メトキシイミノ]−4,11,15−トリオキサビシクロ[8,5,4]ノナデカ−17E−イリデン]アセタミドなどが挙げられる。
このうち、特に好ましいのは、
(1)下記式(III):
で表される化合物(III)、または前記のテリスロマイシン、GW773546、TEA−0777、CP−544372、JNJ−17069546およびセスロマイシン、またはそれらの製薬上許容される塩もしくはそれらの水和物などである。
(1)下記式(III):
特に好ましくは、化合物(II)の一態様である化合物(III)、その製薬上許容される塩もしくはそれらの水和物である。
化合物(III)においては、前記の部分構造式(−Q)は9位に結合しており、また化合物(III)の化学名は、(1R,2R,3R,6R,8R,9R,10R,16S,18R)−N−[9−(3,4,6−トリデオキシ−3−ジメチルアミノ−β−D−キシロ−ヘキソピラノシルオキシ)−3−エチル−2−ヒドロキシ−2,6,8,10,16,18−ヘキサメチル−5,7−ジオキソ−13−[(E)−[6−(ピラゾール−1−イル)ピリジン−3−イル]メトキシイミノ]−4,11,15−トリオキサビシクロ[8,5,4]ノナデカ−17E−イリデン]アセタミドである。
また、マクロライド系抗生物質の好ましい例として、(1R,2R,3R,6R,8R,9R,10R,16S,18R)−N−[9−(3,4,6−トリデオキシ−3−ジメチルアミノ−β−D−キシロ−ヘキソピラノシルオキシ)−3−エチル−2−ヒドロキシ−2,6,8,10,16,18−ヘキサメチル−5,7−ジオキソ−13−[(E)−[6−(2−アミノピリジン−6−イル)ピリジン−3−イル]メトキシイミノ]−4,11,15−トリオキサビシクロ[8,5,4]ノナデカ−17E−イリデン]アセタミドも例示される。
本発明者らは特に、化合物(III)、殊にその結晶(例:WO2005/081821に記載の1型結晶、特にその無水物結晶)の保存安定性が極めて悪いことを発見した。特に長期保存下で湿度や酸素に対して不安定であることを発見した。またHPLC検査、NMR解析等から、化合物(III)の不安定性が前記(I)で示される部分構造に起因していることも発見した。そして前記の被覆剤を使用することにより、該部分構造の安定性が改善されて、該部分構造の変化によって生じる類縁物質の生成が顕著に抑制されることも確認した。よって、本発明の安定化効果は、同様の部分構造を有する種々の薬物、特にマクロライド系抗生物質に幅広く適用される。またそれらを主薬として含有する製剤、特に種々の固形製剤、好ましくは錠剤、顆粒剤、カプセル剤等の安定性も改善される。
前記の部分構造の変化によって生じる類縁物質とは、典型的には、後記実施例の図2で示されるように、HPLC分析において主薬のマクロライド系抗生物質のピークよりも前に出現し、安定性試験で経時的に増加する2種類の分解物を意味する。
なお、この1型結晶は、WO2005/081821に記載のI型多形と実質的に同じ粉末X線回折パターンを示す。好ましくは、回折角度2θ=14.3、14.5、15.1、18.8、20.5、23.2、24.9、25.6、29.0、34.1、37.7、38.1、38.9および40.4度から選ばれる少なくとも1個の強いピークを示す。また保存条件に応じて0〜2水和物の範囲で水分含量が変化し得る。
これらのマクロライド系抗生物質は、公知化合物であり、背景技術の項で記載した先行文献に基づいてあるいはそれに準じた方法により製造することができる。また、Expert Opin.Ther.Patents (2003)13(6), p.787−805あるいは「明日の新薬」(テクノミック)https://asushin.com/shinyaku6/ssearch等に記載の方法あるいはそれに準じた方法によっても製造することができる。
マクロライド系抗生物質の塩としては、薬学的に許容できる塩であればいかなる塩も使用することができ、特に限定されることはない。具体的には、塩酸、臭化水素酸、フッ化水素酸、ヨウ化水素酸等のハロゲン化水素酸との塩;硫酸、硝酸、リン酸、過塩素酸、炭酸、ホウ酸等の無機酸との塩;酢酸、トリクロロ酢酸、トリフルオロ酢酸、ヒドロキシ酢酸、乳酸、コハク酸、クエン酸、酒石酸、蓚酸、マロン酸、シュウ酸、安息香酸、マンデル酸、酪酸、吉草酸、マレイン酸、プロピオン酸、ヘプタン酸、蟻酸、リンゴ酸、ラウリン酸、パルミチン酸等の有機カルボン酸との塩;アルギニン、アスパラギン酸、グルタミン酸等のアミノ酸との塩;メタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、パラトルエンスルホン酸、2−ナフタレンスルホン酸等の有機スルホン酸との塩;リチウム、ナトリウム、カリウム、カルシウム、マグネシウム等のアルカリ金属またはアルカリ土類金属との塩;またはアンモニウム塩等の4級アンモニウム塩等が挙げられる。
マクロライド系抗生物質の溶媒和物における、溶媒の種類は特に限定されないが、例えば、水;メタノール、エタノール、イソプロパノール、などのアルコール類;テトラヒドロフランなどのエーテル類などが挙げられる。
これらの公知のマクロライド系抗生物質は、各種の細菌、マイコプラズマ、真菌(カビ)、原虫およびそれらの耐性菌などに有効であるので、これらを主薬とする本発明の被覆製剤は、ヒトを含む哺乳動物、魚類および鳥類等の細菌感染症、マイコプラズマ感染症、真菌(カビ)感染症、原虫感染症の治療に非常に有効である。
ここで、そのような疾患の起因菌と疾患名としては以下のものを例示することができる。
ストレプトコッカス・ニューモニエ(Streptococcus pneumoniae)、ヘモフィルス・インフルエンゼ(Haemophilus influenzae)、モラクセラ・カタラーリス(Moraxella catarrhalis)、スタヒロコッカス・アウレウス(Staphylococcus aureus)、ペプトストレプトコッカス(Peptostreptococcus)等による肺炎、中耳炎、副鼻腔炎、気管支炎、扁桃炎、および乳様突起炎;ストレプトコッカス・ピオゲネス(Streptococcus pyogenes)、連鎖球菌CおよびG群、クロストリジウム・ジフセリエ(Clostridiumdiptheriae)、またはアクチノバシラス・ヘモリチカム(Actinobacillus haemolyticum)等による咽頭炎、リウマチ熱、および糸球体腎炎;マイコプラズマ・ニューモニエ(Mycoplasma pneumoniae)、レジオネラ・ニューモフィラ(Legionella pneumophila)、ストレプトコッカス・ニューモニエ(Streptococcus pneumoniae)、ヘモフィルス・インフルエンゼ(Haemophilus influenzae)、またはクラミジア・ニューモニエ(Chlamydia pneumoniae)等による気道感染症;スタヒロコッカス・アウレウス(Staphylococcus aureus)、スタヒロコッカス・エピデルミディス(S.epidermidis)、S.ヘモリチカス(S.hemolyticus)、ストレプトコッカス・ピオゲネス(Streptococcus pyogenes)、ストレプトコッカス・アガラクティエ(Streptococcus agalactiae)、連鎖球菌C−F群(Groups C〜F Streptococcus)、ストレプトコッカス・ビリダンス(Streptococcus viridans)、コリネバクテリウム・ミニュチシマム(Corynebacterium minutissimum)、クロストリジウム(Clostridium)またはバルトネラ・ヘンセレ(Bartonella henselae)による未併発の皮膚および軟部組織感染症、膿瘍および骨髄炎、ならびに産褥熱;スタヒロコッカス・サプロフィチカス(Staphylococcus saprophyticus)またはエンテロコッカス(Enterococcus)による急性尿路感染症;尿道炎および子宮頚管炎;クラミジア・トラコマチス(Chlamydia trachomatis)、ヘモフィルス・デュクレイ(Haemophilus ducreyi)、トレポネーマ・パリダム(Treponema pallidum)、ウレアプラズマ・ウレアリチカム(Ureaplasma urealyticum)、またはナイセリア・ゴノロエエ(Neiserria gonorrheae)による性感染症;S.アウレウス、)、または連鎖球菌A、B、およびC群による食中毒、トキシックショック症候群、毒素疾患;ヘリコバクター・ピロリ(Helicobacter pylori)による潰瘍;ボレリア・リカレンチス(Borrelia recurrentis)による全身性熱性症候群;ボレリア・ブルグドルフェリ(Borrelia burgdorferi)によるライム病;クラミジア・トラコマチス(Chlamydia trachomatis)、ナイセリア・ゴノロエエ(Neisseria gonorrhoeae)、スタフィロコッカス・アウレウス(Staphylococcus aureus)、ストレプトコッカス・ニューモニエ(Streptococcus pneumoniae)、スタフィロコッカス・ピオゲネス(Staphylococcus pyogenes)、ヘモフィルス・インフルエンゼ(Haemophilus influenzae)、またはリステリア(Listeria)属菌による結膜炎、角膜炎、および涙嚢炎;マイコバクテリウム・アビウム(Mycobacterium avium)、またはマイコバクテリウム・イントラセルラーレ(Mycobacterium intracellulare)による播種性マイコバクテリウム・アビウム複合(MAC)疾患;カンピロバクター・ジェジュニ(Campylobacter jejuni)による胃腸炎;クリプトスポリジウム(Cryptosporidium)属菌による腸内原虫類;ビリダンス連鎖球菌による歯原性感染症;ボルデテラ・ペルツッシス(Bordetella pertussis)による持続性咳;クロストリジウム・パーフリンジェンス(Clostridium perfringens)またはバクテロイデス(Bacteroides)属菌によるガス壊疽;ならびにヘリコバクター・ピロリ(Helicobacter pylori)またはクラミジア・ニューモニエ(Chlamydia pneumoniae)によるアテローム動脈硬化症等が挙げられる。
ストレプトコッカス・ニューモニエ(Streptococcus pneumoniae)、ヘモフィルス・インフルエンゼ(Haemophilus influenzae)、モラクセラ・カタラーリス(Moraxella catarrhalis)、スタヒロコッカス・アウレウス(Staphylococcus aureus)、ペプトストレプトコッカス(Peptostreptococcus)等による肺炎、中耳炎、副鼻腔炎、気管支炎、扁桃炎、および乳様突起炎;ストレプトコッカス・ピオゲネス(Streptococcus pyogenes)、連鎖球菌CおよびG群、クロストリジウム・ジフセリエ(Clostridiumdiptheriae)、またはアクチノバシラス・ヘモリチカム(Actinobacillus haemolyticum)等による咽頭炎、リウマチ熱、および糸球体腎炎;マイコプラズマ・ニューモニエ(Mycoplasma pneumoniae)、レジオネラ・ニューモフィラ(Legionella pneumophila)、ストレプトコッカス・ニューモニエ(Streptococcus pneumoniae)、ヘモフィルス・インフルエンゼ(Haemophilus influenzae)、またはクラミジア・ニューモニエ(Chlamydia pneumoniae)等による気道感染症;スタヒロコッカス・アウレウス(Staphylococcus aureus)、スタヒロコッカス・エピデルミディス(S.epidermidis)、S.ヘモリチカス(S.hemolyticus)、ストレプトコッカス・ピオゲネス(Streptococcus pyogenes)、ストレプトコッカス・アガラクティエ(Streptococcus agalactiae)、連鎖球菌C−F群(Groups C〜F Streptococcus)、ストレプトコッカス・ビリダンス(Streptococcus viridans)、コリネバクテリウム・ミニュチシマム(Corynebacterium minutissimum)、クロストリジウム(Clostridium)またはバルトネラ・ヘンセレ(Bartonella henselae)による未併発の皮膚および軟部組織感染症、膿瘍および骨髄炎、ならびに産褥熱;スタヒロコッカス・サプロフィチカス(Staphylococcus saprophyticus)またはエンテロコッカス(Enterococcus)による急性尿路感染症;尿道炎および子宮頚管炎;クラミジア・トラコマチス(Chlamydia trachomatis)、ヘモフィルス・デュクレイ(Haemophilus ducreyi)、トレポネーマ・パリダム(Treponema pallidum)、ウレアプラズマ・ウレアリチカム(Ureaplasma urealyticum)、またはナイセリア・ゴノロエエ(Neiserria gonorrheae)による性感染症;S.アウレウス、)、または連鎖球菌A、B、およびC群による食中毒、トキシックショック症候群、毒素疾患;ヘリコバクター・ピロリ(Helicobacter pylori)による潰瘍;ボレリア・リカレンチス(Borrelia recurrentis)による全身性熱性症候群;ボレリア・ブルグドルフェリ(Borrelia burgdorferi)によるライム病;クラミジア・トラコマチス(Chlamydia trachomatis)、ナイセリア・ゴノロエエ(Neisseria gonorrhoeae)、スタフィロコッカス・アウレウス(Staphylococcus aureus)、ストレプトコッカス・ニューモニエ(Streptococcus pneumoniae)、スタフィロコッカス・ピオゲネス(Staphylococcus pyogenes)、ヘモフィルス・インフルエンゼ(Haemophilus influenzae)、またはリステリア(Listeria)属菌による結膜炎、角膜炎、および涙嚢炎;マイコバクテリウム・アビウム(Mycobacterium avium)、またはマイコバクテリウム・イントラセルラーレ(Mycobacterium intracellulare)による播種性マイコバクテリウム・アビウム複合(MAC)疾患;カンピロバクター・ジェジュニ(Campylobacter jejuni)による胃腸炎;クリプトスポリジウム(Cryptosporidium)属菌による腸内原虫類;ビリダンス連鎖球菌による歯原性感染症;ボルデテラ・ペルツッシス(Bordetella pertussis)による持続性咳;クロストリジウム・パーフリンジェンス(Clostridium perfringens)またはバクテロイデス(Bacteroides)属菌によるガス壊疽;ならびにヘリコバクター・ピロリ(Helicobacter pylori)またはクラミジア・ニューモニエ(Chlamydia pneumoniae)によるアテローム動脈硬化症等が挙げられる。
動物における治療または予防することのできる細菌感染症および原虫類感染症並びにこのような感染症に関係した疾患としては以下のものが挙げられる:パスツレラ・ヘモリチカ(Pasteurella hemolytica)、パスツレラ・ムルトシダ(Pasteurella multocida)、マイコプラズマ・ボビス(Mycoplasma bovis)またはボルデテラ(Bordetella)属菌によるウシ呼吸疾患;大腸菌または原虫類(即ち、コクシジウム(Coccidium)類、クリプトスポリジア(cryptosporidia)等)による感染に関係したウシ腸疾患;スタフィロコッカス・アウレウス(Staphylococcus aureus)、ストレプトコッカス・ユベリス(Streptococcus uberis)、ストレプトコッカス・アガラクティエ(Streptococcus agalactiae)、ストレプトコッカス・ディスガラクティエ(Streptococcusdysgalactiae)、クレブシエラ(Klebsiella)属菌、コリネバクテリウム(Corynebacterium)属菌、またはエンテロコッカス(Enterococcus)属菌による感染に関係した乳牛の乳腺炎;A.プレウロ(pleuro)、P.マルトシダ、またはマイコプラズマ属菌による感染に関係したブタ呼吸疾患;大腸菌、ローソニア・イントラセルラーリス(Lawsonia intracellularis)、サルモネラ(Salmonella)、またはセルプリナ・ヒオジスインテリエ(Serpulina hyodyisinteriae)による感染に関係したブタ腸疾患;フソバクテリウム(Fusobacterium)属菌による感染に関係したウシ腐蹄症;大腸菌による感染に関係したウシ子宮炎;フソバクテリウム・ネクロフォールム(Fusobacterium necrophorum)またはバクテロイデス・ノドサース(Bacteroides nodosus)による感染に関係したウシ毛様ゆうぜい;モラクセラ・ボビス(Moraxella bovis)による感染に関係したウシのピンクアイ;原虫類(即ち、ネオスポリウム(neosporium))による感染に関係したウシの早期流産;大腸菌による感染に関係したイヌおよびネコにおける尿路感染症;スタフィロコッカス・エピデルミディス(Staphylococcus epidermidis)、スタフィロコッカス・インターメジウス(S.intermedius)、またはパスツーラ.マルトシダ(Pasteurella multocida)によるイヌおよびネコにおける皮膚および軟部組織感染症;アルカリゲネス(Alcaligenes)属菌、バクテロイデス(Bacteroides)属菌、クロストリジウム(Clostridiumn)属菌、エンテロバクター(Enterobacter)属菌、ユウバクテリウム(Eubacterium)属菌、ペプトストレプトコッカス(Peptostreptococcus)属菌、ポルフィロモナス(Porphyromonas)属菌、またはプレボテラ(Prevotella)属菌によるイヌおよびネコにおける歯または口腔感染症。マクロライド系抗生物質により治療または予防することのできる他の細菌感染症および原虫類感染症並びにこのような感染症に関係した疾患は、J.P.サンフォード(J.P.Sanford)等、「抗微生物治療に対するサンフォード指針」、“The Sanford Guide To Antimicrobial Therapy”、第26版、アンティマイクロバイアルセラピー社(Antimicrobial Therapy Inc.)、1996”に記載されている。
本発明で被覆剤として使用されるポリビニルアルコールまたはその共重合体は、好ましくはWO02/17848、WO2005/019286に記載されたものを使用することができる。付着性等の点で被覆し易いのは、ポリビニルアルコール共重合体である。
すなわち、本発明で使用されるポリビニルアルコール共重合体は、ポリビニルアルコールまたはその誘導体(例えばエステル類)あるいは塩と、少なくとも1種の重合性ビニル単量体とをそれ自体公知の方法で共重合させることにより製造することができる。
そのようなポリビニルアルコール共重合体を製造する方法としては、ラジカル重合、例えば溶液重合法、懸濁重合、乳化重合および塊状重合などのそれ自体公知の方法を挙げることができ、各々の通常の重合条件下で実施することができる。この重合反応は、通常、重合開始剤の存在下、必要に応じて還元剤(例えば、エリソルビン酸ナトリウム、メタ重亜硫酸ナトリウム、アスコルビン酸)、連鎖移動剤(例えば2−メルカプトエタノール、α−メチルスチレンダイマー、2−エチルヘキシルチオグリコレート、ラウリルメルカプタン)あるいは分散剤(例えばソルビタンエステル、ラウリルアルコールなどの界面活性剤)等の存在下、水、有機溶媒(例えばメタノール、エタノール、セロソルブ、カルビトール)あるいはそれらの混合物中で実施される。また、未反応の単量体の除去、乾燥、粉砕方法等も公知の方法でよく、特に制限は無い。
ポリビニルアルコール共重合体の原料となるポリビニルアルコールは、平均重合度約200〜1500、好ましくは平均重合度約200〜1300、より好ましくは平均重合度約200〜900、さらにより好ましくは平均重合度約200〜600、最も好ましくは平均重合度約300〜500のものを使用すればよい。特に、平均重合度300〜500の部分けん化ポリビニルアルコールが好ましく、平均重合度約300〜500のけん化度約60〜100モル%、好ましくは78〜96モル%の部分けん化ポリビニルアルコールがより好ましい。このようなけん化ポリビニルアルコールは、酢酸ビニルをラジカル重合し、得られた酢酸ビニルを適宜、けん化することによって製造することができ、所望のポリビニルアルコールを製造するためには、適宜、重合度、けん化度をそれ自体公知の方法で制御することによって達成される。
なお、こうした部分けん化ポリビニルアルコールは、市販品を使用することも可能であり、好ましいポリビニルアルコールの市販品としては、例えばゴーセノールEG05、EG25(日本合成化学製)、PVA203(クラレ社製)、PVA204(クラレ社製)、PVA205(クラレ社製)、JP−04(日本酢ビ・ポバール社製)、JP−05(日本酢ビ・ポバール社製)等が挙げられる。なお、本発明で使用する被覆剤としては、ポリビニル共重合体のみならず、ポリビニルアルコールを単独で使用することができ、また重合度、けん化度の異なる2種以上のポリビニルアルコールを目的に応じて適宜併用することができる。例えば、平均重合度300のポリビニルアルコールと平均重合度1500のポリビニルアルコールとを混合して被覆剤として使用することが可能である。また、ポリビニルアルコールを含む市販のプレミクス被覆剤を使用することも可能である。
さらに、該ポリビニルアルコールは各種変性ポリビニルアルコールを使用することができ、例えばアミン変性ポリビニルアルコール、エチレン変性ポリビニルアルコール、カルボン酸変性ポリビニルアルコール、ジアセトン変性ポリビニルアルコール、チオール変性ポリビニルアルコール等を挙げることができる。これらの変性ポリビニルアルコールは、市販品を使用してもよく、あるいは当該分野で公知の方法で製造したものを使用することができる。
被覆剤として用いるポリビニルアルコール共重合体の製造において、ポリビニルアルコールと重合させる重合性ビニル単量体としては、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、フマル酸、マレイン酸、イタコン酸等の不飽和カルボン酸類またはそれらの塩(例えばアルカリ金属塩、アンモニウ塩、アルキルアミン塩)、それらのエステル類(例えば置換または非置換のアルキルエステル、環状アルキルエステル、ポリアルキレングリコールエステル)、不飽和ニトリル類、不飽和アミド類、芳香族ビニル類、脂肪族ビニル類、不飽和結合含有複素環類等を挙げることができる。具体的には、(1)アクリル酸エステル類としては、例えば、メチルアクリレート、エチルアクリルレート、ブチルアクリレート、イソブチルアクリレート、シクロヘキシルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、ヒドロキシエチルアクリレート、ポリエチレングリコールアクリレート、ポリプロピレングリコールアクリレートなどが、(2)メタクリル酸エステル類としては、例えばメチルメタクリレート、エチルメタクリレート、ブチルメタクリレート、イソブチルメタクリレート、シクロヘキシルメタクリレート、2−エチルヘキシルメタクリレート、ヒドロキシエチルメタクリレート、ポリエチレングリコールメタクリレートなどが、(3)不飽和ニトリル類としては、例えばアクリロニトリル、メタアクリロニトリルなどが、(4)不飽和アミド類としては例えばアクリルアミド、ジメチルアクリルアミド、メタクリルアミドなどが、(5)芳香族ビニル類としてはスチレン、α−メチルスチレンなどが、(6)脂肪族ビニル類としては、酢酸ビニルなどが、(7)不飽和結合含有複素環類としては、N−ビニルピロリドン、アクリロイルモルホリンなどが例示される。
また、ポリビニルアルコール共重合体を製造する際の重合性ビニル単量体としての不飽和カルボン酸類およびそれらのエステル類は、下記一般式(X):
(化22)
H2C=C(R1)−COOR2 (X)
(式中、R1は水素原子またはメチル基を示し、R2は水素原子または1〜4個の炭素原子を有するアルキル基を示す。)で表すことができる。
(化22)
H2C=C(R1)−COOR2 (X)
(式中、R1は水素原子またはメチル基を示し、R2は水素原子または1〜4個の炭素原子を有するアルキル基を示す。)で表すことができる。
これらの重合性ビニル単量体は、1種または2種以上を組み合わせてポリビニルアルコールと共重合させることができるが、好ましくは、アクリル酸とメタクリル酸エステル(例えばメチルメタクリレート)との混合物をポリビニルアルコールと共重合させるのがよい。ここにポリビニルアルコールと重合性ビニル単量体との重量比は、約6:4から9:1、好ましくは約8:2である。また、重合性ビニル単量体としてアクリル酸とメチルメタクリレートを使用する場合には、その重量比は約3:7から約0.5:9.5、好ましくは約1.25:8.75である。被覆剤の主成分として使用する好ましいポリビニルアルコール共重合体は、ポリビニルアルコール(平均重合度約200〜1300未満)、メチルメタクリレートおよびアクリル酸からなり、その構成比は重量比で、約60〜90:7〜38:0.5〜12が好ましく、約70〜90:15〜20:2〜3がより好ましく、約80:17.5:2.5がさらにより好ましい。
重合開始剤としては、当該分野で用いられているものを使用することができる。例えば、過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウム、過酸化水素等の無機過酸化物、過酢酸やt−ブチルハイドロパーオキサイド、ジ−n−プロピルパーオキシジカーボネート等の有機過酸化物、あるいは2,2’−アゾビス(2−アミジノプロパン)ハイドロクロライド、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)等のアゾ化合物が挙げられる。
本発明でマクロライド系抗生物質の被覆に使用する被覆剤は、種々の形態を取りうるが、一般にその適用に際しては、水性溶液、水性分散液、有機溶媒溶液あるいは有機溶媒分散液の形態で、それ自体公知の散布、噴霧等の手段により実施するのが好ましい。また固形の被覆剤を噴霧した錠剤や、被覆剤を含有する顆粒を調製した後、加熱溶融させて、表面を被覆させる方法でもよい。被覆剤のポリビニルアルコールまたはその共重合性の量としては、例えばマクロライド系抗生物質の素錠に対して、約2〜30重量%、好ましくは約5〜20重量%、より好ましくは約7.5〜15重量%である。また素顆粒を被覆する場合、一般に素顆粒に対して、約5〜100重量%、好ましくは約30〜80重量%である。
なお、ポリビニルアルコール共重合体によるマクロライド系抗生物質の素錠、素顆粒の被覆条件は、一般に以下の通りである。
・ポリビニルアルコール共重合体の重合度:約500
・ポリビニルアルコール共重合体液濃度:約8〜10重量%
・コーティング機:ハイコーターHCT−48(フロイント産業)
・スプレーガン口径:約0.8mm
・錠剤仕込量:約1〜1.5kg
・パン回転数:約20rpm
・噴霧空気量:約65〜70 L/min
・送風温度:約60℃
・送風量:約2.5 m3/min
・排風量:約4.5 m3/min
・ポリビニルアルコール共重合体の重合度:約500
・ポリビニルアルコール共重合体液濃度:約8〜10重量%
・コーティング機:ハイコーターHCT−48(フロイント産業)
・スプレーガン口径:約0.8mm
・錠剤仕込量:約1〜1.5kg
・パン回転数:約20rpm
・噴霧空気量:約65〜70 L/min
・送風温度:約60℃
・送風量:約2.5 m3/min
・排風量:約4.5 m3/min
本発明のさらに好ましい1実施態様によれば、平均重合度300から500の部分けん化ポリビニルアルコールと、重合性ビニル単量体を重量比で6:4〜9:1の割合で共重合させて得られ、かつ当該重合性ビニル単量体がアクリル酸およびメチルメタクリレートであり、共重合する際におけるアクリル酸とメチルメタクリレートとの重量比が3:7〜0.5:9.5である、ポリビニルアルコール共重合体を被覆剤として用い、マクロライド系抗生物質またはその含有固形物(例えば、素錠、素顆粒)を被覆することを特徴とするマクロライド系抗生物質の安定化被覆製剤が提供される。
本発明において、マクロライド系抗生物質を含有する素錠としては、a)マクロライド系抗生物質をそのまま、または賦形剤、結合剤、崩壊剤もしくはその他の適当な添加剤を加えて均等に混和したものを、適当な公知の方法で顆粒(素顆粒)とした後、滑沢剤などを加え圧縮成型する、またはb)マクロライド系抗生物質の素顆粒をそのまま又は賦形剤、結合剤、崩壊剤もしくはその他の適当な添加剤を加えて均等に混和したものを、直接圧縮成型することにより製造するか、またはあらかじめ製造したマクロライド系抗生物質を含まない顆粒に、マクロライド系抗生物質をそのままもしくは適当な添加剤と共に加えて均等に混合した後、圧縮成型して製造する方法が好ましい例として挙げられる。また、素顆粒も当該分野で公知の手段により製造することができる。
また素錠に対して、ポリビニルアルコール共重合体をコーティングする前にプレコーティング層を施すことができる。コーティング剤としては当該分野で周知のものが使用可能であり、例えばヒドロキシプロピルメチルセルロース、白糖等が挙げられる。
このポリビニルアルコールあるいはポリビニルアルコール共重合体で被覆されるマクロライドの固形製剤、例えば錠剤、顆粒剤、カプセル剤、丸剤は、常法により製造することができる。
錠剤としては、その崩壊性を高めるために好ましくは崩壊剤を含有し得る。崩壊剤としては、当該分野で周知のものが使用可能であり、例えば部分α化デンプン、カルボキシメチルスターチナトリウム、カルボキシメチルセルロースカルシウム、低置換度ヒドロキシプロピルセルロース(L−HPC)、クロスカルメロースナトリウム(例えば、Ac−Di−Sol、旭化成(株))、ポリビニルポリピロリドン等が例示され、好ましくはカルボキシメチルスターチナトリウムである。崩壊剤の含量は、錠剤 をすばやく崩壊させるのに十分な量であればよく、例えば、日本薬局方に規定の第1液または第2液中で数十分以内、好ましくは数分以内で崩壊せしめる量であればよく、通常、錠剤100重量部に対して約0.5〜30重量部、好ましくは約1〜20重量部、より好ましくは約2〜10重量部である。
マクロライド系抗生物質を含有する錠剤は、さらに任意に賦形剤、結合剤、滑沢剤、着色剤(例えば、酸化チタン)など製剤学上許容される添加剤を含むことができる。酸化チタンの含量は、錠剤100重量部に対して約0.05〜5重量部、好ましくは約0.1〜2重量部である。
賦形剤としては、当該分野で周知のものを幅広く使用することが可能であり、例えば乳糖、白糖、マンニトール、結晶セルロース、トウモロコシデンプン、バレイショデンプン、ヒドロキシプロピルスターチ等が例示されるが、好ましくはマンニトール、結晶セルロースである。賦形剤の含量は、主薬含量、目的とする錠剤 の大きさ等を考慮して適宜設定すればよいが、通常、錠剤100重量部に対して約5〜60重量部、好ましくは約10〜40重量部である。
結合剤としては、当該分野で周知のものを幅広く使用することが可能であり、例えばメチルセルロース、ポリビニルピロリドン、ヒドロキシプロピルセルロース、ポリビニルアルコール、ゼラチン、デキストリン等が例示されるが、好ましくはヒドロキシプロピルセルロース(HPC)である。結合剤の含量は、通常、錠剤 100重量部に対して約0.5〜5重量部、好ましくは約1〜3重量部である。
滑沢剤としては、ステアリン酸マグネシウム、タルク、ショ糖脂肪酸エステルなどが例示され、その含量は通常、極微量、例えば錠剤 100重量部に対して約1〜3重量部である。
本発明における、マクロライド系抗生物質を含有する錠剤は、上記原料を用いて、混合、造粒、造粒乾燥、整粒、滑沢剤混合、製錠等の各操作を当該分野で周知の方法に準じて行うことにより製造できる。尚、造粒操作に関しては、例えば攪拌造粒機、流動層造粒機、ブラベンダー、双軸造粒機等の装置を使用すればよいが、均質な顆粒を得る点から攪拌型造粒機を用いるのが好ましい。また製錠は市販の打錠機を使用して、通常、約0.2〜1.5tの打錠圧で行えばよい。
本発明の好ましい錠剤組成の一態様は以下の通りである。
錠剤全重量中、
主薬である、化合物(III)、その製薬上許容される塩、またはその水和物:約40〜70%;
崩壊剤、好ましくはカルボキシメチルスターチナトリウム:約2〜10%;
賦形剤、好ましくはD−マンニトールと結晶セルロースの総量:約10〜40%;
結合剤、好ましくはヒドロキシプロピルセルロース:約1〜3%;
滑沢剤、好ましくはステアリン酸マグネシウム:約1〜3%
であり、また素錠重量に対して
被覆剤、好ましくはポリビニルアルコール共重合体は約5〜20重量%である。
錠剤全重量中、
主薬である、化合物(III)、その製薬上許容される塩、またはその水和物:約40〜70%;
崩壊剤、好ましくはカルボキシメチルスターチナトリウム:約2〜10%;
賦形剤、好ましくはD−マンニトールと結晶セルロースの総量:約10〜40%;
結合剤、好ましくはヒドロキシプロピルセルロース:約1〜3%;
滑沢剤、好ましくはステアリン酸マグネシウム:約1〜3%
であり、また素錠重量に対して
被覆剤、好ましくはポリビニルアルコール共重合体は約5〜20重量%である。
本発明のマクロライド系抗生物質の被覆製剤は、ヒトまたは動物に、上記した疾患の治療の有効量を投与すればよい。患者あるいは治療対象の動物の年令、体重、症状、性別などにより投与量は変わりうるが、通常1回または数回に分けて、上記マクロライド系抗生物質、その薬理学的に許容される塩またはその水和物に換算して、例えば0.01〜50mg/kgを経口的に投与することができる。
また本発明製剤は、例えば、25℃、相対湿度60%の条件で3ケ月保存後の類縁物質の総量が、好ましくは3%以下、より好ましくは1.5%以下である。
また本発明製剤は、好ましくは、安定性をより向上させるために、PTP(プレススルーパッケイジ)包装またはボトル包装(例:ポリ瓶、ガラス瓶、アルミ缶)されていてもよい。
また本発明のマクロライド系抗生物質の被覆製剤は、前記マクロライド系抗生物質以外の抗菌剤を含有していてもよい。また被覆剤の主成分は、ポリビニルアルコールまたはポリビニルアルコール共重合体であるが、その他の被覆成分を含有していてもよい。
また、本発明は、下記部分構造式:
(式中、R2aは、水素原子または水酸基の保護基を表す。)で示される基を有するマクロライド系抗生物質、その製薬上許容される塩、またはそれらの水和物またはそれらを含有する固形物を、ポリビニルアルコールまたはポリビニルアルコール共重合体を含有する被覆剤で被覆する、当該マクロライド系抗生物質の類縁物質の生成抑制方法を提供する。マクロライド系抗生物質、その塩、それらの水和物、被覆剤、被覆方法などは前述した通りである。
また、本発明は、上記部分構造式で示される基を有するマクロライド系抗生物質、その製薬上許容される塩、またはそれらの水和物またはそれらを含有する固形物を、ポリビニルアルコールまたはポリビニルアルコール共重合体を含有する被覆剤で被覆することを特徴とする、該マクロライド系抗生物質、その製薬上許容される塩、またはそれらの水和物の安定化方法も提供する。マクロライド系抗生物質、その塩、それらの水和物、被覆剤、被覆方法などは前述した通りである。
以下に実施例を記載して本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例によって何ら制限されるものではない。
実施例1
ポリビニルアルコール共重合体被覆剤が主薬の安定性に及ぼす影響の検討
(1)被覆製剤の製造
図1に示す製造フローチャートに従い、以下の表1に示す組成の被覆製剤(製剤1)を得た。
ポリビニルアルコール共重合体被覆剤が主薬の安定性に及ぼす影響の検討
(1)被覆製剤の製造
図1に示す製造フローチャートに従い、以下の表1に示す組成の被覆製剤(製剤1)を得た。
なお、上記素錠のポリビニルアルコール共重合体による被覆錠は、以下の工程(1)〜(7)を経て製造された。
(1) 攪拌造粒機により湿式造粒させた顆粒を用いて、φ8mm及びφ9mm2段Rの錠剤をロータリー打錠機により製する。
(2) 重合度500のポリビニルアルコール共重合体を精製水に徐々に攪拌添加することにより、8〜10重量%ポリビニルアルコール共重合体水溶液を調製する。酸化チタンを配合する場合には、TKロボミクス(特殊機化工業)にて攪拌分散させながら、酸化チタン含有ポリビニルアルコール共重合体水溶液を調製する。
(3) 2流体ノズルを有する通気式コーティング機ハイコーターHCT−48に、錠剤を1〜1.5kg仕込む。
(4) 送風温度60℃、送風量2.5m3/分、排風量4.5m3/分で一定時間加温し、品温40℃以上を維持させる。
(5) スプレーガン口径0.8mm、噴霧空気量65〜70L/分、パン回転数20rpmの条件で、錠剤品温を40℃以上に保つように、8〜10重量%ポリビニルアルコール共重合体水溶液を5〜10g/分の範囲で噴霧し、錠剤にポリビニルアルコール共重合体を被覆させる。
(6) 所定量のポリビニルアルコール共重合体を被覆終了後、タルク及びステアリン酸マグネシウムまたはその両方を錠剤表面に散布し、錠剤を通気式コーティング機ハイコーターHCT−48から排出させる。
(7) 棚式乾燥機を用いて調製したコーティング錠を乾燥させる(送風温度65℃、乾燥時間90分間)。
(1) 攪拌造粒機により湿式造粒させた顆粒を用いて、φ8mm及びφ9mm2段Rの錠剤をロータリー打錠機により製する。
(2) 重合度500のポリビニルアルコール共重合体を精製水に徐々に攪拌添加することにより、8〜10重量%ポリビニルアルコール共重合体水溶液を調製する。酸化チタンを配合する場合には、TKロボミクス(特殊機化工業)にて攪拌分散させながら、酸化チタン含有ポリビニルアルコール共重合体水溶液を調製する。
(3) 2流体ノズルを有する通気式コーティング機ハイコーターHCT−48に、錠剤を1〜1.5kg仕込む。
(4) 送風温度60℃、送風量2.5m3/分、排風量4.5m3/分で一定時間加温し、品温40℃以上を維持させる。
(5) スプレーガン口径0.8mm、噴霧空気量65〜70L/分、パン回転数20rpmの条件で、錠剤品温を40℃以上に保つように、8〜10重量%ポリビニルアルコール共重合体水溶液を5〜10g/分の範囲で噴霧し、錠剤にポリビニルアルコール共重合体を被覆させる。
(6) 所定量のポリビニルアルコール共重合体を被覆終了後、タルク及びステアリン酸マグネシウムまたはその両方を錠剤表面に散布し、錠剤を通気式コーティング機ハイコーターHCT−48から排出させる。
(7) 棚式乾燥機を用いて調製したコーティング錠を乾燥させる(送風温度65℃、乾燥時間90分間)。
(2)マクロライド系被覆製剤の安定性の評価
上記のようにして得られたマクロライド系被覆製剤(製剤1)の安定性を、被覆していない素錠と比較した。評価方法は以下の通りである。
上記のようにして得られたマクロライド系被覆製剤(製剤1)の安定性を、被覆していない素錠と比較した。評価方法は以下の通りである。
被覆剤及び素錠を各1錠づつ、25℃、60%相対湿度、無包装、遮光の条件下で、3ケ月間保存した。0.5カ月後、1ヶ月後、2ヶ月後、及び3ヶ月後に、主薬である化合物(III)の残存量及び類縁物質の生成量を、液体クロマトグラフィーにより測定した。なお、被覆剤と素錠とでは、同じ製造ロットのマクロライド系抗生物質(化合物(III))を用いた。
<液体クロマトグラフィー用の試料溶液の作製>
(1) 被覆剤及び素錠の各1錠を、それぞれ薬包紙に包んで手早く粉砕した後、全量を100mLメスフラスコに入れた。
(2) 液体クロマトグラフ用アセトニトリル/水混液(7:3)70mLを加えた。アセトニトリルは高速液体クロマトグラフ用のものを用いた(以下、同様。)。
(3) 10分間振とうした。
(4) 液体クロマトグラフ用アセトニトリル/水混液(7:3)を加え、正確に100mLとした。
(5) (4)の液を孔径0.45μmのメンブランフィルター(クラボウ社製、クロマトディスク非水系13N)でろ過し、初めのろ液2mLを除き、残りのろ液を試料溶液とした。
(1) 被覆剤及び素錠の各1錠を、それぞれ薬包紙に包んで手早く粉砕した後、全量を100mLメスフラスコに入れた。
(2) 液体クロマトグラフ用アセトニトリル/水混液(7:3)70mLを加えた。アセトニトリルは高速液体クロマトグラフ用のものを用いた(以下、同様。)。
(3) 10分間振とうした。
(4) 液体クロマトグラフ用アセトニトリル/水混液(7:3)を加え、正確に100mLとした。
(5) (4)の液を孔径0.45μmのメンブランフィルター(クラボウ社製、クロマトディスク非水系13N)でろ過し、初めのろ液2mLを除き、残りのろ液を試料溶液とした。
<標準溶液の作製>
標準物質として使用するため、被覆剤及び素錠に用いたのと同じ製造ロットの化合物(III)の原薬を約10mg精密に秤量した。これを70%アセトニトリルに溶かし、正確に10mLとした。
標準物質として使用するため、被覆剤及び素錠に用いたのと同じ製造ロットの化合物(III)の原薬を約10mg精密に秤量した。これを70%アセトニトリルに溶かし、正確に10mLとした。
<液体クロマトグラフィー条件>
主薬及び類縁物質によるピーク面積を自動算出法により測定した。
検出器:紫外吸光光度計
(測定波長範囲:195〜400nm、抽出波長:210nm)
カラム:L-column ODS,5μm,4.6×250mm(化学物質評価研究機構)
カラム温度:40℃付近の一定温度
移動相A:pH8.0の0.005mol/Lリン酸二水素カリウム緩衝液/アセトニトリル(3/2)混液
移動相B:アセトニトリル/pH8.0の0.012mol/Lリン酸二水素カリウム緩衝液(3/1)混液
グラジエントプログラム:
主薬及び類縁物質によるピーク面積を自動算出法により測定した。
検出器:紫外吸光光度計
(測定波長範囲:195〜400nm、抽出波長:210nm)
カラム:L-column ODS,5μm,4.6×250mm(化学物質評価研究機構)
カラム温度:40℃付近の一定温度
移動相A:pH8.0の0.005mol/Lリン酸二水素カリウム緩衝液/アセトニトリル(3/2)混液
移動相B:アセトニトリル/pH8.0の0.012mol/Lリン酸二水素カリウム緩衝液(3/1)混液
グラジエントプログラム:
<システム適合性の確認>
システム適合性は、標準溶液10μLについて上記と同様にして液体クロマトグラフィーを行い、主成分の保持時間が約30分であることにより確認した。
システム適合性は、標準溶液10μLについて上記と同様にして液体クロマトグラフィーを行い、主成分の保持時間が約30分であることにより確認した。
<類縁物質の比率の計算方法>
個々の類縁物質量(%)及び総類縁物質量(%)は、以下の式より計算した。
個々の類縁物質量(%)=(Ai/ΣA)×100
総類縁物質量(%)=(ΣAi/ΣA)×100
Ai:個々の類縁物質のピーク面積
ΣAi:個々の類縁物質のピーク面積の総和
ΣA:システムピーク以外のピーク面積の総和
1か月保存後の被覆製剤のクロマトグラムを図2に示す。また、各ピークの保持時間、面積、高さを以下の表3に示す。
個々の類縁物質量(%)及び総類縁物質量(%)は、以下の式より計算した。
個々の類縁物質量(%)=(Ai/ΣA)×100
総類縁物質量(%)=(ΣAi/ΣA)×100
Ai:個々の類縁物質のピーク面積
ΣAi:個々の類縁物質のピーク面積の総和
ΣA:システムピーク以外のピーク面積の総和
1か月保存後の被覆製剤のクロマトグラムを図2に示す。また、各ピークの保持時間、面積、高さを以下の表3に示す。
ピーク6が主薬である化合物(III)に由来するピークである。ピーク6以外の全てのピークは類縁物質に由来するものであるが、特にピーク1及び2が、保存により増加する主な副生成物である。
図3に、被覆製剤及び素錠の、主薬に対する類縁物質の総量の比率(%)の推移を示す。図3中、○印は素錠を、●印はポリビニルアルコール共重合体による被覆錠を示す。図3から明らかなように、本発明の被覆製剤は、3ケ月後でも、殆ど類縁物質量が変わらないのに対して、被覆されていない素錠では急激に主薬の分解が進み、3ケ月後には類縁物質量は約9%に達した。これにより、本発明の被覆製剤の安定性が証明された。
実施例2
被覆剤量が主薬の安定性に及ぼす影響
実施例1のマクロライド系被覆製剤の作製方法において、被覆製剤全体に対する被覆剤の比率を5〜15重量%の範囲内で種々変化させて被覆製剤を作製した。
被覆剤量が主薬の安定性に及ぼす影響
実施例1のマクロライド系被覆製剤の作製方法において、被覆製剤全体に対する被覆剤の比率を5〜15重量%の範囲内で種々変化させて被覆製剤を作製した。
これらの被覆製剤を各1錠づつ、40℃、75%相対湿度、無包装、遮光の条件下で、1週間保存した。次いで、実施例1と同様にして、主薬に対する類縁物質の総量の比率(%)を算出した。
結果を図4に示す。図4から明らかなように、被覆剤としてのポリビニルアルコール共重合体の被覆量が、約7.5〜15%(w/w)の範囲内にあるときに本発明のマクロライド被覆製剤は特に安定であった。
実施例3
酸化チタン配合ポリビニルアルコール共重合体被覆剤が主薬の安定性に及ぼす影響の検討
図5に示す製造フローチャートに従い、以下の表4に示す組成の被覆製剤(製剤2、3及び5)を得た。被覆条件は、酸化チタン(1重量%濃度)を被覆剤に配合して用いた以外は、実施例1に示したと同じ条件である。
酸化チタン配合ポリビニルアルコール共重合体被覆剤が主薬の安定性に及ぼす影響の検討
図5に示す製造フローチャートに従い、以下の表4に示す組成の被覆製剤(製剤2、3及び5)を得た。被覆条件は、酸化チタン(1重量%濃度)を被覆剤に配合して用いた以外は、実施例1に示したと同じ条件である。
上記のようにして得られたマクロライド系被覆製剤(製剤2)の安定性を、被覆していない素錠と比較した。評価方法は以下の通りである。
被覆剤及び素錠を各1錠づつ、25℃、60%相対湿度、無包装、遮光の条件下で、1ケ月間保存した。0.5カ月後、及び1ヶ月後に、主薬である化合物(III)の残存量及び類縁物質の生成量を、液体クロマトグラフィーにより測定した。なお、被覆剤と素錠とでは、同じ製造ロットのマクロライド系抗生物質(化合物(III))を用いた。
図6に、被覆製剤及び素錠の、主薬に対する類縁物質の総量の比率(%)の推移を示す。図6中、○印は素錠を、●印は酸化チタン配合ポリビニルアルコール共重合体による被覆錠を示す。図6から明らかなように、本発明の被覆製剤は、1ケ月後、殆ど類縁物質量が変わらないのに対して、被覆されていない素錠では急激に主薬の分解が進み、1ケ月後には類縁物質量は約4%に達し、本発明の被覆製剤の安定性が確認された。
実施例4
ポリビニルアルコール被覆剤が主薬の安定性に及ぼす影響の検討
図7に示す製造フローチャートに従い、以下の表5に示す組成の被覆製剤(製剤4)を得た。
ポリビニルアルコール被覆剤が主薬の安定性に及ぼす影響の検討
図7に示す製造フローチャートに従い、以下の表5に示す組成の被覆製剤(製剤4)を得た。
上記のようにして得られたマクロライド系被覆製剤(製剤4)の安定性を、被覆していない素錠と比較した。評価方法は以下の通りである。
被覆剤及び素錠を各1錠づつ、25℃、60%相対湿度、無包装、遮光の条件下で、3ケ月間保存した。0.5カ月後、1ヶ月後、2ヶ月後、及び3ヶ月後に、主薬である化合物(III)の残存量及び類縁物質の生成量を、液体クロマトグラフィーにより測定した。なお、被覆剤と素錠とでは、同じ製造ロットのマクロライド系抗生物質(化合物(III))を用いた。
図8に、被覆製剤及び素錠の、主薬に対する類縁物質の総量の比率(%)の推移を示す。図8中、○印は素錠を、●印はポリビニルアルコールによる被覆錠を示す。図8から明らかなように、ポリビニルアルコールで被覆した本発明のマクロライド系抗生物質の被覆製剤は、3ケ月保存した後でも製剤中の類縁物質は殆ど生成せず、安定であった。これに対して、素錠のまま保存した場合は急激に類縁物質が生成し、3ケ月保存後には、主薬に対する類縁物質の総量の比率(%)は約9%(w/w)となった。
本発明の、ポリビニルアルコールまたはその共重合体で被覆されたマクロライド系抗生物質の被覆製剤は、ヒトを含む哺乳動物、魚類、鳥類における細菌、マイコプラズマ、真菌(カビ)、原虫などに起因する広範囲の感染症の治療に用いることができる。
Claims (29)
- マクロライド系抗生物質が14〜16員環系マクロライド系抗生物質であることを特徴とする、請求項1に記載のマクロライド系抗生物質の被覆製剤。
- マクロライド系抗生物質が、一般式(II):
a)−OH、
b)−ORp(式中、Rpは水酸基の保護基を表す。)、
c)−R1(式中、R1は(1)アリール基、(2)置換アリール基、(3)ヘテロアリール基または置換ヘテロアリール基を表す。)、
d)−OR1(式中、R1は前記と同意義を有する。)、
e)−R2(式中、R2は、(1)水素原子、(2)ハロゲン原子、(3)酸素原子、硫黄原子および窒素原子から選ばれる0〜3個のヘテロ原子を任意に含み、ハロゲン、アリール基、置換アリール基、ヘテロアリール基および置換ヘテロアリール基から選ばれる1または2以上の置換基で置換されていてもよい、C1−C12アルキル基、(4)酸素原子、硫黄原子および窒素原子から選ばれる0〜3個のヘテロ原子を任意に含み、ハロゲン、アリール基、置換アリール基、ヘテロアリール基および置換ヘテロアリール基から選ばれる1または2以上の置換基で置換されていてもよい、C2−C12アルケニル基、または(5)酸素原子、硫黄原子および窒素原子から選ばれる0〜3個のヘテロ原子を任意に含み、ハロゲン、アリール基、置換アリール基、ヘテロアリール基および置換ヘテロアリール基から選ばれる1または2以上の置換基で置換されていてもよい、C2−C12アルキニル基を表す。)、
f)−OR2 (R2は前記と同意義を有する。)、
g)−S(O)nR11 (式中、nは0、1または2を、R11は、独立して水素原子、R1またはR2を表し、R1およびR2は前記と同意義を有する)、
h)−NHC(O)R11(式中、R11は前記と同意義を有する。)、
i)−NHC(O)NHR11(式中、R11は前記と同意義を有する。)、
j)−NHS(O)2R11(式中、R11は前記と同意義を有する。)、
k)−NR14R15(式中、R14およびR15は、それぞれ独立して、R11を表し、R11は前記と同意義を有する。)、および
l)−NHR3(式中、R3はアミノ基保護基を表す。)
から選ばれる基を表し;
B は、
a)水素原子、
b)重水素、
c)ハロゲン原子、
d)−OH、
e)−R1(R1は前記と同意義を有する。)、
f)−R2(R2は前記と同意義を有する。)、または
g)−ORp(Rpは前記と同意義を有する。を表し;
但し、Bがハロゲン、−OHまたは−ORpのとき、Aは−R1または−R2を表し、あるいはAおよびBは、結合している炭素原子と一緒になって、
a)C=O
b)C(OR2)2(R2は前記と同意義を有する。)、
c)C(SR2)2(R2は前記と同意義を有する。)、
d)C[−O−(CH2)m]2(mは2または3である。)、
e)C[−S−(CH2)m]2(mは前記と同意義である。)、
f)C=CHR11(R11は前記と同意義を有する。)、
g)C=N−O−R11(R11は前記と同意義を有する。)、または
h)C=N−O−Ar1−M−Ar2
[式中、
1)−Ar1−は、R31を表し、R31は独立して、
a)R1から水素元素を除いて形成される2価の基(R1は前記と同意義を有する。)、
b)酸素原子、硫黄原子および窒素原子から選ばれる0〜3個のヘテロ原子を任意に含み、ハロゲン、アリール基、置換アリール基、ヘテロアリール基および置換ヘテロアリール基から選ばれる1または2以上の置換基で置換されていてもよい、C1−C12アルキレン基、
c)酸素原子、硫黄原子および窒素原子から選ばれる0〜3個のヘテロ原子を任意に含み、ハロゲン、アリール基、置換アリール基、ヘテロアリール基および置換ヘテロアリール基から選ばれる1または2以上の置換基で置換されていてもよい、C2−C12アルケニレン基、または
d)酸素原子、硫黄原子および窒素原子から選ばれる0〜3個のヘテロ原子を任意に含み、ハロゲン、アリール基、置換アリール基、ヘテロアリール基および置換ヘテロアリール基から選ばれる1または2以上の置換基で置換されていてもよい、C2−C12アルキニレン基を表し;
2)−M−は、結合手あるいは
(a)酸素原子、硫黄原子および窒素原子から選ばれる0〜3個のヘテロ原子および−C=N−,−N=N−および−C(O)−から選ばれる0〜3個の基を任意に含む、C1−C12アルキレン基、
(b)酸素原子、硫黄原子および窒素原子から選ばれる0〜3個のヘテロ原子および−C=N−,−N=N−および−C(O)−から選ばれる0〜3個の基を任意に含む、C2−C12アルケニレン基、
(c)酸素原子、硫黄原子および窒素原子から選ばれる0〜3個のヘテロ原子および−C=N−,−N=N−および−C(O)−から選ばれる0〜3個の基を任意に含む、C2−C12アルキニレン基、
(d)置換アリーレン基、
(e)置換ヘテロアリーレン基または
(f)置換ヘテロシクロアルキレン基を表し;および
3)−Ar2は、
(a)アリール基、
(b)置換アリール基、
(c)ヘテロアリール基、または
(d)置換ヘテロアリール基を表し];
i)C=NHHR11(R11は前記と同意義を有する。)、
j)C=NNHC(O)R11(R11は前記と同意義を有する。)、
k)C=NNHC(O)NHR11(R11は前記と同意義を有する。)、
l)C=NNHS(O)2R11(R11は前記と同意義を有する。)、
m)C=NNHR3(R3は前記と同意義を有する。)、
n)C=NR11(R11は前記と同意義を有する。)、
o)C=NR11(R11は前記と同意義を有する。)、または
p)C=N−N−CHR11(R11は前記と同意義を有する。)を表し;
XおよびYの一方は、水素原子を表し、他方は、
a)水素原子、
b)重水素、
c)−OH、
d)−ORp(Rpは前記と同意義を有する。)、
e)−NR4R5(R4およびR5は、それぞれ独立して、
(1)水素原子、
(2)ハロゲン、アリール基、置換アリール基、ヘテロアリール基および置換ヘテロアリール基から選ばれる1または2以上の置換基で置換されていてもよい、C1−C12アルキル基、または
(3)R4およびR5は、結合している窒素原子と共に一緒になって、酸素原子、硫黄原子および窒素原子から選ばれる0〜2個のヘテロ原子を含む3〜10のヘテロアルキル環を表し、あるいはXおよびYは結合している炭素原子と共に、
(a)C=Oまたは
(b)C=N−Q
(式中、Qは
(1)−R11(R11は前記と同意義を有する。)、
(2)アミノ保護基、
(3)−C(O)R11(R11は前記と同意義を有する。)、
(4)−OR6(R6は独立して、
(a)水素原子、
(b)−CH2O(CH2)2OCH3、
(c)−CH2O(CH2O)nCH3(nは前記と同意義を有する。)、
(d)アリール基、置換アリール基、ヘテロアリール基および置換ヘテロアリール基から選ばれる1または2以上の置換基で置換されていてもよい、C1−C12アルキル基、
(e)−C3−C12シクロアルキル基、
(f)−C(O)−C1−C12アルキル基、
(g)−C(O)−C3−C12シクロアルキル基、
(h)−C(O)−R1(R1は前記と同意義を有する。)または
(i)−Si(Ra)(Rb)(Rc)(Ra,RbおよびRcは、それぞれ独立して、C1−C12アルキル基、アリール基または置換アリール基を表す。)を表し;または
(5)O−C(R7)(R8)−O−R6(R6は前記と同意義を有する。但し、R6は、C(O)−C1−C12アルキル基、C(O)−C3−C12シクロアルキル基またはC(O)−R1ではなく、R7およびR8は、結合している炭素原子と共に、C3−C12シクロアルキル基を形成するか、あるいは(1)水素原子または(2)C1−C12アルキル基を表す。)を表し;
Lは、
a)−CH3、
b)−CH2CH3、
c)−CH(OH)CH3、
d)アリール基、置換アリール基、ヘテロアリール基および置換ヘテロアリール基から選ばれる1または2以上の置換基で置換されていてもよい、C1−C6アルキル基、
e)アリール基、置換アリール基、ヘテロアリール基および置換ヘテロアリール基から選ばれる1または2以上の置換基で置換されていてもよい、C2−C6アルケニル基、または
f)アリール基、置換アリール基、ヘテロアリール基および置換ヘテロアリール基から選ばれる1または2以上の置換基で置換されていてもよい、C2−C6アルキニル基を表し;
Zは、
a)水素原子、
b)メチル基 または
c)ハロゲン原子を表し;
R2aは、水素原子または水酸基の保護基を表す。}
で表される化合物、その製薬上許容される塩もしくはそれらの水和物であることを特徴とする、請求項3に記載のマクロライド系抗生物質の被覆製剤。 - マクロライド系抗生物質が、
(1)下記式(III):
(2)下記式(IV):
(3)下記式(V):
(4)下記式(VI):
(5)下記式(VII):
(6)下記式(VIII):
(7)下記式(IX):
(8)(1R,2R,3R,6R,8R,9R,10R,16S,18R)−N−[9−(3,4,6−トリデオキシ−3−ジメチルアミノ−β−D−キシロ−ヘキソピラノシルオキシ)−3−エチル−2−ヒドロキシ−2,6,8,10,16,18−ヘキサメチル−5,7−ジオキソ−13−[(E)−[6−(2−アミノピリジン−6−イル)ピリジン−3−イル]メトキシイミノ]−4,11,15−トリオキサビシクロ[8,5,4]ノナデカ−17E−イリデン]アセタミド、
またはそれらの製薬上許容される塩もしくはそれらの水和物であることを特徴とする、請求項4に記載のマクロライド系抗生物質の被覆製剤。 - マクロライド系抗生物質が、下記式(III):
- マクロライド系抗生物質が、粉末X線回折パターンにおいて、2θ=14.3、14.5、15.1、18.8、20.5、23.2、24.9、25.6、29.0、34.1、37.7、38.1,38.9および40.4(単位:度)から選ばれる少なくとも1個のピークを有する、(1R,2R,3R,6R,8R,9R,10R,16S,18R)−N−[9−(3,4,6−トリデオキシ−3−ジメチルアミノ−β−D−キシロ−ヘキソピラノシルオキシ)−3−エチル−2−ヒドロキシ−2,6,8,10,16,18−ヘキサメチル−5,7−ジオキソ−13−[(E)−[6−(ピラゾール−1−イル)ピリジン−3−イル]メトキシイミノ]−4,11,15−トリオキサビシクロ[8,5,4]ノナデカ−17E−イリデン]アセタミドの1型結晶であることを特徴とする、請求項1に記載のマクロライド系抗生物質の被覆製剤。
- 該1型が無水物結晶であることを特徴とする、請求項7に記載のマクロライド系抗生物質の被覆製剤。
- 被覆製剤が、固形製剤であることを特徴とする、請求項1記載のマクロライド系抗生物質の被覆製剤。
- 固形製剤が、錠剤または顆粒剤であることを特徴とする、請求項9記載のマクロライド系抗生物質の被覆製剤。
- 被覆剤が、平均重合度1300以下のポリビニルアルコールと、少なくとも1の重合性ビニル単量体とを重量比で6:4〜9:1の割合で共重合させて得られるポリビニルアルコール共重合体を含むものであることを特徴とする、請求項1に記載のマクロライド系抗生物質の被覆製剤。
- ポリビニルアルコールの平均重合度が900以下であることを特徴とする、請求項11に記載のマクロライド系抗生物質の被覆製剤。
- ポリビニルアルコールの平均重合度が200〜600であることを特徴とする、請求項12に記載のマクロライド系抗生物質の被覆製剤。
- ポリビニルアルコールが部分けん化ポリビニルアルコールであることを特徴とする、請求項11に記載のマクロライド系抗生物質の被覆製剤。
- 重合性ビニル単量体が、不飽和カルボン酸類、不飽和カルボン酸のエステル類、不飽和ニトリル類、不飽和アミド類、芳香族ビニル類、脂肪族ビニル類、不飽和結合含有複素環類およびそれらの塩からなる群より選ばれるものであることを特徴とする、請求項11に記載のマクロライド系抗生物質の被覆製剤。
- ポリビニルアルコールと2以上の重合性ビニル単量体を共重合させたものであり、2以上の重合性ビニル単量体のうち、少なくとも1つが不飽和カルボン酸類またはそれらの塩であり、少なくとも他の1つが不飽和カルボン酸のエステル類であることを特徴とする、請求項11に記載のマクロライド系抗生物質の被覆製剤。
- 不飽和カルボン酸類またはそれらの塩類が、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、フマル酸、マレイン酸、イタコン酸およびそれらの塩からなる群から選ばれるものであり、不飽和カルボン酸のエステル類がメチルメタクリレート、メチルアクリレート、エチルメタクリレート、エチルアクリレート、ブチルメタクリレート、ブチルアクリレート、イソブチルメタクリレート、イソブチルアクリレート、シクロヘキシルメタクリレート、シクロヘキシルアクリレート、2−エチルヘキシルメタクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、ヒドロキシエチルメタクリレート、ヒドロキシエチルアクリレート、ポリエチレングリコールとメタクリル酸とのエステル、ポリエチレングリコールとアクリル酸とのエステルおよびポリプロピレングリコールとアクリル酸とのエステルからなる群から選ばれるものであることを特徴とする、請求項16に記載のマクロライド系抗生物質の被覆製剤。
- 不飽和カルボン酸類、それらの塩類および不飽和カルボン酸のエステル類が、一般式(X)
(化12)
H2C=C(R1)−COOR2 (X)
(式中、R1は水素原子またはメチル基を示し、R2は水素原子または1〜4個の炭素原子を有するアルキル基を示す。)で示される化合物またはその塩であることを特徴とする、請求項15に記載のマクロライド系抗生物質の被覆製剤。 - 不飽和カルボン酸類またはそれらの塩が、アクリル酸またはその塩であり、不飽和カルボン酸のエステル類がメチルメタクリレートであることを特徴とする、請求項16に記載のマクロライド系抗生物質の被覆製剤。
- 共重合する際におけるアクリル酸またはその塩とメチルメタクリレートとの重量比が3:7〜0.5:9.5であることを特徴とする、請求項19に記載のマクロライド系抗生物質の被覆製剤。
- 平均重合度300から500の部分けん化ポリビニルアルコールと、重合性ビニル単量体とを重量比で6:4〜9:1の割合で共重合させて得られ、かつ当該重合性ビニル単量体がアクリル酸およびメチルメタクリレートであり、共重合する際におけるアクリル酸とメチルメタクリレートとの重量比が3:7〜0.5:9.5であることを特徴とする、請求項11に記載のマクロライド系抗生物質の被覆製剤。
- 平均重合度300から500の部分けん化ポリビニルアルコール、メチルメタクリレートおよびアクリル酸の共重合する際における重量比が60〜90:7〜38:0.5〜12であることを特徴とする、請求項21に記載のマクロライド系抗生物質の被覆製剤。
- 被覆剤の含量が、素錠または素顆粒に対して2%(重量比)以上であることを特徴とする、請求項10に記載のマクロライド系抗生物質の被覆製剤。
- マクロライド系抗生物質の被覆製剤を25℃、相対湿度60%の条件で3ケ月保存後の類縁物質の総量が3%以下であることを特徴とする、請求項1に記載のマクロライド系抗生物質の被覆製剤。
- マクロライド系抗生物質が(1R,2R,3R,6R,8R,9R,10R,16S,18R)−N−[9−(3,4,6−トリデオキシ−3−ジメチルアミノ−β−D−キシロ−ヘキソピラノシルオキシ)−3−エチル−2−ヒドロキシ−2,6,8,10,16,18−ヘキサメチル−5,7−ジオキソ−13−[(E)−[6−(ピラゾール−1−イル)ピリジン−3−イル]メトキシイミノ]−4,11,15−トリオキサビシクロ[8,5,4]ノナデカ−17E−イリデン]アセタミドの1型結晶であり、被覆剤が酸化チタンを含有しているか又は含有していないポリビニルアルコールまたはポリビニルアルコール共重合体であり、25℃、相対湿度60%の条件で3ケ月保存後の類縁物質の総量が1.5%以下であることを特徴とする、請求項1に記載のマクロライド系抗生物質の被覆製剤。
- マクロライド系抗生物質が(1R,2R,3R,6R,8R,9R,10R,16S,18R)−N−[9−(3,4,6−トリデオキシ−3−ジメチルアミノ−β−D−キシロ−ヘキソピラノシルオキシ)−3−エチル−2−ヒドロキシ−2,6,8,10,16,18−ヘキサメチル−5,7−ジオキソ−13−[(E)−[6−(ピラゾール−1−イル)ピリジン−3−イル]メトキシイミノ]−4,11,15−トリオキサビシクロ[8,5,4]ノナデカ−17E−イリデン]アセタミドの1型結晶であり、25℃、相対湿度60%の条件で3ケ月保存後の類縁物質の総量が1.5%以下であることを特徴とする、マクロライド系抗生物質の被覆製剤。
- PTP(プレススルーパッケイジ)包装またはボトル包装されていることを特徴とする、請求項26に記載のマクロライド系抗生物質の被覆製剤。
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