JPWO2007125731A1 - ソフトコンタクトレンズ用溶液及びそれを用いて得られる薬剤徐放性ソフトコンタクトレンズ並びにその製造方法 - Google Patents

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Abstract

薬剤を頻繁に点眼することなくアレルギー症状を低減化させることが出来るソフトコンタクトレンズ用溶液及びその製造方法を提供すること。アレルゲン失活成分として、ポリフェノールを、水性媒体中に含有せしめてなるソフトコンタクトレンズ用溶液に、ソフトコンタクトレンズを接触せしめ、かかるソフトコンタクトレンズ中に、アレルゲン失活成分を取り込ませるように構成した。

Description

本発明は、ソフトコンタクトレンズ用溶液及びそれを用いて得られる薬剤徐放性ソフトコンタクトレンズ並びにその製造方法に係り、特に、アレルゲン低減化成分乃至はアレルゲン失活成分として、ポリフェノールを含有するソフトコンタクトレンズ用溶液に関するものである。
従来から、コンタクトレンズを日常的に装用している人においては、アレルギー性結膜炎等のアレルギー性の眼疾患の発症率が、花粉等のアレルゲンがコンタクトレンズに付着し、レンズ上に留まることにより、コンタクトレンズを日常的に装用していない人と比べて、高くなると考えられてきている。
ところで、近年、ポリフェノールは、花粉、ハウスダスト、ダニ、真菌、ペットの毛等の環境中のアレルゲンに対して、アレルゲン低減化効果乃至はアレルゲン失活効果を有することが知られてきている。
このような、ポリフェノールのアレルゲン失活効果を利用した技術としては、例えば、特許文献1には、環境からダニ等のアレルゲンを除去するために、ポリフェノールの一種であるタンニン酸と特定の溶剤を含有した組成物を、液体、スプレー、エアゾル等の形態で壁、床、衣類等に対して使用することが明らかにされている。また、特許文献2には、有機溶剤、タンニン酸などのポリフェノール類、ハイドロキシアパタイト、カチオン性界面活性剤からなる群より選ばれる少なくとも1種以上の成分を有効成分とするアレルゲン除去剤、及び、このアレルゲン除去剤を、空間に微粒子状に噴霧するか、アレルゲン付着物に直接噴霧・塗布するか、容器内で単体に保持させ、アレルゲンを含有する空気を通過させて捕集することにより、アレルゲンを除去する方法が、明らかにされている。さらに、特許文献3には、タンニン酸、カテキン等の芳香族ヒドロキシ化合物をアレルゲン失活成分として使用する畳用清拭シートが、明らかにされている。
しかしながら、上述の特許文献1〜3等のように、従来からのポリフェノールのアレルゲン失活効果を利用した薬剤は、かかる薬剤を布や紙に浸透させたものを用いてアレルゲンを拭き取る形態のものや、かかる薬剤をスプレーにて衣服等に噴霧して使用する形態のものであるところから、それをそのまま眼用には適用出来ないものであった。
一方、そのようなアレルギー症状を低減化乃至は緩和させるための、抗アレルギー薬としては、例えば、特許文献4に、コンタクトレンズ装用中の眼に対しても適用可能なものとして、トラニラスト等の抗アレルギー薬が、明らかにされている。
しかしながら、かかるトラニラスト等の抗アレルギー薬は、一般に、刺激が強く(眼にしみる)、また、その殆どが、1日に4〜6回程度もの点眼を要するものであり、点眼回数が多く、非常に面倒なものであったのである。更に、そのような抗アレルギー薬は、かかる薬剤が体内に吸収されて、その作用を発揮するものであるため、人によってその効果が異なるものであり、更に、副作用等の問題もあるものであった。
特開昭61−44821号公報 特開2000−264837号公報 特開2003−79554号公報 特開2003−81840号公報
ここにおいて、本発明は、かくの如き事情を背景にして為されたものであって、その解決課題とするところは、眼に対する刺激の少ないソフトコンタクトレンズ用溶液を提供することにある。また、薬剤を頻繁に点眼することなくアレルギー症状を低減化させることが出来るソフトコンタクトレンズの製造方法を提供することをも、その解決課題としている。
そして、本発明者等は、そのような課題を解決すべく、鋭意検討を重ねた結果、アレルゲン失活成分として、ポリフェノールを使用することにより、眼に刺激を与えず、眼にしみることのない、アレルゲン失活成分を含有するソフトコンタクトレンズ用溶液を得ることが出来ることを見いだしたのである。また、ソフトコンタクトレンズを適当に選択して、かかるコンタクトレンズ中に前記アレルゲン失活成分を取り込ませることにより、かかるアレルゲン失活成分を徐放するソフトコンタクトレンズを有利に得ることが出来ることを見いだしたのである。
従って、本発明は、かかる知見に基づいて完成されたものであって、上記した課題又は明細書全体の記載から把握される課題を解決するために、以下に列挙せる如き各種の態様において、好適に実施され得るものであるが、また、以下に記載の各態様は、任意の組み合わせにおいても、採用可能である。なお、本発明の態様乃至は技術的特徴は、以下に記載のものに何等限定されることなく、明細書全体の記載乃至はそこに開示の発明思想に基づいて、認識され得るものであることが、理解されるべきである。
(1) アレルゲン失活成分として、ポリフェノールを、水性媒体中に含有せしめてなることを特徴とするソフトコンタクトレンズ用溶液。
(2) 前記ポリフェノールが、カテキン類又はタンニン酸であることを特徴とする上記態様(1)に記載のソフトコンタクトレンズ用溶液。
(3) 前記ポリフェノールの含有量が、0.001〜10%であることを特徴とする上記態様(1)又は(2)に記載のソフトコンタクトレンズ用溶液。
(4) 前記ソフトコンタクトレンズが、イオン性ソフトコンタクトレンズであることを特徴とする上記態様(1)乃至(3)の何れか一つに記載のソフトコンタクトレンズ用溶液。
(5) マルチパーパスソリューション、保存液又は流通保存液として、用いられることを特徴とする上記態様(1)乃至(4)の何れか一つに記載のソフトコンタクトレンズ用溶液。
(6) 薬剤徐放可能なソフトコンタクトレンズを製造する方法にして、
a)アレルゲン失活成分としてポリフェノールを含有する水性液剤を準備する工程と、
b)該水性液剤にソフトコンタクトレンズを接触せしめ、該ソフトコンタクトレンズ中 に、前記アレルゲン失活成分を取り込ませる工程とを、
含むことを特徴とする製造方法。
(7) 前記ポリフェノールが、カテキン類又はタンニン酸であることを特徴とする上記態様(6)に記載の薬剤徐放可能なソフトコンタクトレンズの製造方法。
(8) 前記ポリフェノールの含有量が、0.001〜10%であることを特徴とする上記態様(6)又は(7)に記載の薬剤徐放可能なソフトコンタクトレンズの製造方法。
(9) 前記ソフトコンタクトレンズが、イオン性ソフトコンタクトレンズであることを特徴とする上記態様(6)乃至(8)の何れか一つに記載の薬剤徐放可能なソフトコンタクトレンズの製造方法。
(10) 上記態様(6)乃至(9)の何れか一つに記載の製造方法によって製造された、ソフトコンタクトレンズ内にアレルゲン失活成分としてのポリフェノールが含侵せしめられていることを特徴とする薬剤徐放性ソフトコンタクトレンズ。
従って、このような本発明に従うソフトコンタクトレンズ用溶液によれば、アレルゲン失活成分として、ポリフェノールを用いていることにより、点眼時に薬剤が眼にしみる等、眼に対しての刺激の少ないソフトコンタクトレンズ用溶液を、有利に得ることが出来るのである。
また、適用するコンタクトレンズとしてソフトコンタクトレンズを選択し、かかるソフトコンタクトレンズ中にアレルゲン失活成分を取り込ませるようにすることにより、かかるアレルゲン失活成分を眼の中で少しずつ連続的に放出せしめることが出来、以て、薬剤を頻繁に点眼することなく、少ない点眼回数で有利にアレルギー症状を低減化し得ることとなる。
ところで、本発明に従うソフトコンタクトレンズ用溶液は、アレルゲン低減化成分乃至はアレルゲン失活成分として、ポリフェノールを、水性媒体中に含有せしめてなるものであるが、そこで用いられるポリフェノールとしては、従来より公知のものが何れも採用可能であって、例えば、フラボノイド系のポリフェノールとして、フラボン類、フラボノール類、イソフラボン類、フラバン類、フラバノール類、フラバノン類、フラバノノール類、カルコン類、アントシアニジン類等、フェニルカルボン酸系のポリフェノール等を、例示することが出来る。そして、それらの中でも、特に、フラボノイド系ポリフェノールの一種である、フラバノール類のうち、カテキン類及びフェニルカルボン酸系ポリフェノールの一種であるタンニン酸が、好ましく用いられることとなる。
また、上で指摘のカテキン類として、更に具体的には、カテキン、エピカテキン、エピガロカテキン、エピカテキンガレート、エピガロカテキンガレート及びこれらのメチル化誘導体、茶抽出物(甜茶も含む)、また茶以外の植物抽出成分として、柿(実、葉、木)、竹、くま笹、シソ、バラ、クチナシ実、イチョウ、アロエ、ローズマリー等を挙げることが出来るが、これら例示のものに、何等限定されるものでないことは言うまでもないところである。なお、それら化合物は、それぞれ単独で、或いは二種以上を組み合わせて、用いることが可能である。
そして、上述したようなポリフェノールを、アレルゲン失活成分として使用することによって、かかるアレルゲン失活成分を点眼したときに、レンズ上の花粉等のアレルゲンを有利に低減化乃至は失活せしめることが出来、また点眼時に、薬剤が眼にしみる等、眼に対しての刺激を有利に抑えることの出来るコンタクトレンズ用溶液とすることが出来るのである。なお、かかるポリフェノールは、比較的入手が容易であり、また安全性及び安定性にも優れているといった利点をも有している。
ここで、かかるポリフェノールは、アレルゲンの失活に有効な量において適宜に用いられ得るものであるが、一般には、重量基準にて、0.001〜10%の含有量において、好ましくは0.1〜5%の含有量にて用いられることとなる。かかる含有量よりも少なくなると、ポリフェノールを含有せしめることによるアレルゲンの失活化効果が充分に発揮され得なくなる恐れがあるからであり、また上記した範囲よりも多くなると、特にポリフェノールとしてカテキンを用いた場合に、かかるソフトコンタクトレンズ用溶液に接触せしめられるレンズに着色等の問題が惹起される恐れがあるからである。
そして、本発明に従うコンタクトレンズ用溶液は、上述の如き成分を、従来と同様にして、適当な水性媒体中に、添加、含有せしめることにより、調製されることとなるのであるが、それに際して用いられる水性媒体としては、水道水や精製水、蒸留水等の水そのものの他にも、水を主体とする溶液であれば、生体への安全性が高く、尚且つ眼科的に充分に許容され得るものである限りにおいて、何れも、利用することが可能である。
また、本発明においては、上述のようなアレルゲン失活成分として、ポリフェノールが、水性媒体中に含有せしめられてなる溶液を、ソフトコンタクトレンズ用溶液として用いるものであるが、そのような溶液の適用対象となるソフトコンタクトレンズは、公知の各種のソフトコンタクトレンズであって、例えば、非イオン性ソフトコンタクトレンズとしては、酢酸ビニル系、DMAA系等のソフトコンタクトレンズを挙げることが出来、またイオン性ソフトコンタクトレンズとしては、カルボキシル基の如きイオン性基が導入された、HEMA系、N−VP系、MAA系等のものを挙げることが出来る。
特に、それらソフトコンタクトレンズの中でも、有利には、イオン性ソフトコンタクトレンズが、対象とされることとなる。そのようなイオン性ソフトコンタクトレンズとしては、上述したような、例えば、HEMA(ヒドロキシルエチルメタクリレート)系やN−VP(N−ビニル−2−ピロリドン)系、MAA(メタクリル酸)系のものを挙げることが出来る。更に、それらの中でも、含水率が50%以上のイオン性高含水ソフトコンタクトレンズが、有利に対象とされるのである。
このように、アレルゲン失活成分を含有してなる溶液を、ソフトコンタクトレンズ用の溶液とすることによって、そのようなアレルゲン失活成分が、レンズに接触した際に、かかるレンズ内に有利に取り込まれることとなり、従って、その取り込まれたアレルゲン失活成分が、眼上で少しずつ連続的に長時間に亘って放出されるようになり、以て、新たにアレルゲンがレンズ上に付着したりした場合にあっても、新たにアレルゲン失活成分を点眼する必要がないところから、少ない点眼回数で、有利にアレルギー症状を低減化乃至は緩和し得ることとなるのである。
さらに、本発明においては、かかるソフトコンタクトレンズとして、イオン性ソフトコンタクトレンズを適用することにより、アレルゲン失活成分含有溶液がイオン性ソフトコンタクトレンズに接触したときに、かかるレンズのポリフェノール(特に、カテキン類)による着色、及びサイズの変化等の影響を、有利に回避することが出来るのである。この理由は未だ充分に明らかではないが、カテキン(ポリフェノール)はわずかに水に溶けるが、基本的には疎水性の高い物質であるために、非イオン性のソフトコンタクトレンズの場合、かかる非イオン性のレンズとカテキン(ポリフェノール)が疎水性相互作用することにより、レンズにカテキン(ポリフェノール)が凝集し、かかるレンズの着色及びサイズの変化等が惹起されるためであると考えられている。
加えて、本発明に従うソフトコンタクトレンズ用溶液においては、上述の如き成分の他にも、更に必要に応じて、従来より、コンタクトレンズ用溶液に用いられている各種の添加成分、例えば、粘稠化剤、pH緩衝剤、キレート化剤、清涼化剤、界面活性剤、浸透圧調整剤、血管収縮剤、ビタミン類、消炎剤及び嬌味剤等のうちの1種乃至は2種以上が適宜に選択されて、通常の含有割合において含有せしめられていても、何等、差支えない。尤も、そのような添加成分(添加剤)としては、生体への安全性が高く、尚且つ眼科的に許容され、しかもコンタクトレンズの形状や物性に対して影響のないものが、有利に選択されることとなる。
なお、本発明におけるソフトコンタクトレンズ用溶液は、従来から公知の各種の態様においてソフトコンタクトレンズに対して適用され得るものであるが、一般に、ソフトコンタクトレンズを装用した眼に対する点眼液として用いられる他、装着液、洗眼液、マルチパーパスソリューション、保存液又は流通保存液としても、用いられ、それら液剤中に、ソフトコンタクトレンズが浸漬せしめられることによって、より一層有利に、本発明の効果が奏され得ることとなる。なお、ここで、マルチパーパスソリューションとは、コンタクトレンズの洗浄、すすぎ、消毒、保存のうち少なくとも2つ以上を1液で行なうことが出来る液剤を意味している。また、本発明のソフトコンタクトレンズ用溶液を流通保存液として、使い捨てコンタクトレンズに対して用いることによって、清潔な状態の薬剤徐放可能な使い捨てソフトコンタクトレンズが容易に得られることとなり、以て、有利に、本発明の効果が奏され得ることとなる。
そして、本発明においては、上記したソフトコンタクトレンズ用溶液を用いて、薬剤徐放可能なソフトコンタクトレンズを製造するために、アレルゲン失活成分としてポリフェノールを含有する水性液剤を準備する工程と、かかる水性液剤にソフトコンタクトレンズを接触せしめ、かかるソフトコンタクトレンズ中にアレルゲン失活成分を取り込ませる工程とを含む製造方法が、採用されるのである。
ここで、上記のソフトコンタクトレンズ中にアレルゲン失活成分を取り込ませる工程においては、ソフトコンタクトレンズが、水性液剤中に浸漬されたり、水性液剤を付着せしめたりすることによって、水性液剤に接触させられることとなるが、そのような工程は、有利には、30分〜16時間程度を要して実施されることとなる。かかる時間よりも短くなると、そのようにして製造された薬剤徐放可能なソフトコンタクトレンズのアレルゲン失活成分の取り込み量が充分でなくなる恐れがあり、従って、ソフトコンタクトレンズの徐放性の効果が有利に享受出来ない恐れがある。また、上記した時間よりも長い場合には、アレルゲン失活成分のレンズへの取り込み量が飽和に達し、かかる時間以上浸漬することによる効果が得られない恐れがある。
また、上述した理由と同様な理由により、有利には、かかるポリフェノールとして、カテキン類又はタンニン酸が用いられ、更に、かかるポリフェノールの含有量は、一般に0.001〜10%であり、加えて、かかるソフトコンタクトレンズとしては、有利には、イオン性ソフトコンタクトレンズが対象とされるのである。
このように、アレルゲン失活成分としてポリフェノールを含有する水性液剤にソフトコンタクトレンズを接触せしめ、かかるソフトコンタクトレンズ中にアレルゲン失活成分を取り込ませるようにすることによって、薬剤徐放可能なソフトコンタクトレンズを有利に得ることが可能となるのである。
そして、上述のような方法に従って製造された、ソフトコンタクトレンズ内にアレルゲン失活成分としてのポリフェノールが含浸せしめられてなるものは、薬剤徐放性ソフトコンタクトレンズとして、有利に機能するのである。
すなわち、そこでは、アレルゲン失活成分として、ポリフェノールが用いられているところから、点眼時に眼にしみる等、眼に対しての刺激を有利に抑えることが可能なソフトコンタクトレンズ用溶液を有利に得ることが出来ることとなる。また、ソフトコンタクトレンズ内にアレルゲン失活成分が含浸せしめられている薬剤徐放性ソフトコンタクトレンズとすることによって、かかるレンズを眼に装着したときに、眼上において、レンズ中に取り込まれたアレルゲン失活成分を徐放することが出来、換言すればかかるアレルゲン失活成分を少しずつ連続的に放出せしめることが出来るのである。
従って、アレルゲン失活成分が、かかるソフトコンタクトレンズから、連続的に、長時間、眼上で放出されるところから、アレルゲン低減化効果乃至は失活化効果を有利に長く享受することが可能となるのであり、以て、薬剤を頻繁に点眼することなく、少ない点眼回数で、有利にアレルギー症状を低減化乃至は緩和せしめることが可能となるのである。
以下に、本発明の幾つかの実施例を示し、本発明を更に具体的に明らかにすることとするが、本発明が、そのような実施例の記載によって、何等の制約をも受けるものでないことは、言うまでもないところである。また、本発明には、以下の実施例の他にも、本発明の趣旨を逸脱しない限りにおいて、当業者の知識に基づいて、種々なる変更、修正、改良等を加え得るものであることが、理解されるべきである。
先ず、本発明で用いられるアレルゲン失活成分の、スギ花粉抗原に対する有効性及びスギ花粉に対する有効性を、ELISA法(実施例1〜30、比較例1〜5)によって評価し、その結果を、下記表1〜9に示した。さらに、フローサイトメトリー(FCM)法(実施例31〜35、比較例6〜11)によって評価した結果を、下記表10に示した。なお、評価は、蛍光発光率(活性率)が0%以上45%以下の場合を○、45%超のものを×として、行った。
−実施例1−
96穴プレートに、スギ花粉抗原Cryj1に対する固相用抗体を固定化し、そこに、エピカテキン(EC):約7%、エピカテキンガレート(ECG):約12%、エピガロカテキン(EGC):約25%、エピガロカテキンガレート(EGCG):残部からなるカテキン混合物(以下、同じ)の0.1w/v%ウシ血清アルブミン含有 Phosphate-Buffered Salts 溶液(以下、0.1%BSA含有PBS溶液と略称する)とスギ花粉抗原Cryj1の0.1%BSA含有PBS溶液との混合溶液を添加した後、蛍光標識抗体としてペルオキシダーゼラベル化抗Cryj1抗体を添加して、490nmにおける吸光度を測定し、蛍光発光率を求めた。カテキン混合物及びELISA試験に用いた試薬の濃度並びに求めた蛍光発光効率を、下記表1に示す。
−実施例2,3−
カテキン混合物の濃度を、下記表1に示す濃度とした以外は、実施例1と同様にして、ELISA試験を行い、蛍光発光率を求めた。その結果を、下記表1に併せて示す。
−比較例1−
96穴プレートに、スギ花粉抗原Cryj1に対する固相用抗体を固定化し、そこに、0.1%BSA含有PBS溶液を添加した後、蛍光標識抗体としてペルオキシダーゼラベル化抗Cryj1抗体を添加して、490nmにおける吸光度を測定し、蛍光発光率を求めた。カテキン混合物及びELISA試験に用いた試薬の濃度並びに求めた蛍光発光効率を、下記表1に示す。
−比較例2−
96穴プレートに、スギ花粉抗原Cryj1に対する固相用抗体を固定化し、そこに、スギ花粉抗原Cryj1の0.1%BSA含有PBS溶液を添加した後、蛍光標識抗体としてペルオキシダーゼラベル化抗Cryj1抗体を添加して、490nmにおける吸光度を測定し、蛍光発光率を求めた。カテキン混合物及びELISA試験に用いた試薬の濃度並びに求めた蛍光発光効率を、下記表1に示す。
−実施例4,5−
カテキン混合物の濃度及びスギ花粉抗原Cryj1濃度を、下記表1に示す濃度とした以外は、実施例1と同様にして、ELISA試験を行い、蛍光発光率を求めた。その結果を、下記表1に併せて示す。
−比較例3−
スギ花粉抗原Cryj1濃度を、下記表1に示す濃度とした以外は、比較例2と同様にして、ELISA試験を行い、蛍光発光率を求めた。その結果を、下記表1に併せて示す。
Figure 2007125731
−実施例6−
カテキン混合物に代えて、タンニン酸を用いた以外は、実施例1と同様にして、ELISA試験を行い、蛍光発光率を求めた。タンニン酸及びELISA試験に用いた試薬の濃度並びに求めた蛍光発光効率を、下記表2に示す。
−実施例7,8−
タンニン酸濃度を、下記表2に示す濃度とした以外は、実施例6と同様にして、ELISA試験を行い、蛍光発光率を求めた。その結果を、下記表2に併せて示す。
Figure 2007125731
−実施例9−
カテキン混合物に代えて、エピガロカテキン−3”−O−メチル(以下、EGCG−Meと略称する)を用いた以外は、実施例2と同様にして、ELISA試験を行い、蛍光発光率を求めた。EGCG−Me及びELISA試験に用いた試薬の濃度並びに求めた蛍光発光効率を、下記表3に示す。
−実施例10−
EGCG−Me濃度を、下記表3に示す濃度とした以外は、実施例9と同様にして、ELISA試験を行い、蛍光発光率を求めた。その結果を、下記表3に併せて示す。
Figure 2007125731
−実施例11−
カテキン混合物に代えて、エピガロカテキンガレート(以下、EGCGと略称する)を用いた以外は、実施例1と同様にして、ELISA試験を行い、蛍光発光率を求めた。EGCG及びELISA試験に用いた試薬の濃度並びに求めた蛍光発光効率を、下記表4に示す。
−実施例12,13−
EGCG濃度を、下記表4に示す濃度とした以外は、実施例11と同様にして、ELISA試験を行い、蛍光発光率を求めた。その結果を、下記表4に併せて示す。
Figure 2007125731
−実施例14−
カテキン混合物に代えて、カテキンガレート(以下、CGと略称する)を用いた以外は、実施例1と同様にして、ELISA試験を行い、蛍光発光率を求めた。CG及びELISA試験に用いた試薬の濃度並びに求めた蛍光発光効率を、下記表5に示す。
−実施例15,16−
CG濃度を、下記表5に示す濃度とした以外は、実施例14と同様にして、ELISA試験を行い、蛍光発光率を求めた。その結果を、下記表5に併せて示す。
Figure 2007125731
−実施例17−
カテキン混合物に代えて、エピカテキンガレート(以下、ECGと略称する)を用いた以外は、実施例1と同様にして、ELISA試験を行い、蛍光発光率を求めた。ECG及びELISA試験に用いた試薬の濃度並びに求めた蛍光発光効率を、下記表6に示す。
−実施例18−
ECG濃度を、下記表6に示す濃度とした以外は、実施例17と同様にして、ELISA試験を行い、蛍光発光率を求めた。その結果を、下記表6に併せて示す。
Figure 2007125731
−実施例19−
96穴プレートに、スギ花粉抗原Cryj2に対する固相用抗体を固定化し、そこに、カテキン混合物の0.1%BSA含有PBS溶液とスギ花粉抗原Cryj2の0.1%BSA含有PBS溶液との混合溶液を添加した後、蛍光標識抗体としてペルオキシダーゼラベル化抗Cryj2抗体を添加して、490nmにおける吸光度を測定し、蛍光発光率を求めた。カテキン混合物及びELISA試験に用いた試薬の濃度並びに求めた蛍光発光効率を、下記表7に示す。
−実施例20〜22−
カテキン混合物の濃度を、下記表7に示す濃度とした以外は、実施例19と同様にして、ELISA試験を行い、蛍光発光率を求めた。その結果を、下記表7に併せて示す。
−比較例4−
96穴プレートに、スギ花粉抗原Cryj2に対する固相用抗体を固定化し、そこに、0.1%BSA含有PBS溶液を添加した後、蛍光標識抗体としてペルオキシダーゼラベル化抗Cryj2抗体を添加して、490nmにおける吸光度を測定し、蛍光発光率を求めた。カテキン混合物及びELISA試験に用いた試薬の濃度並びに求めた蛍光発光効率を、下記表7に示す。
−比較例5−
96穴プレートに、スギ花粉抗原Cryj2に対する固相用抗体を固定化し、そこに、スギ花粉抗原Cryj2の0.1%BSA含有PBS溶液を添加した後、蛍光標識抗体としてペルオキシダーゼラベル化抗Cryj2抗体を添加して、490nmにおける吸光度を測定し、蛍光発光率を求めた。カテキン混合物及びELISA試験に用いた試薬の濃度並びに求めた蛍光発光効率を、下記表7に示す。
Figure 2007125731
−実施例23−
カテキン混合物に代えて、エピガロカテキンガレート(EGCG)を用いた以外は、実施例19と同様にして、ELISA試験を行い、蛍光発光率を求めた。EGCG及びELISA試験に用いた試薬の濃度並びに求めた蛍光発光効率を、下記表8に示す。
−実施例24〜26−
EGCG濃度を、下記表8に示す濃度とした以外は、実施例23と同様にして、ELISA試験を行い、蛍光発光率を求めた。その結果を、下記表8に併せて示す。
Figure 2007125731
−実施例27−
カテキン混合物に代えて、タンニン酸を用いた以外は、実施例19と同様にして、ELISA試験を行い、蛍光発光率を求めた。タンニン酸及びELISA試験に用いた試薬の濃度並びに求めた蛍光発光効率を、下記表9に示す。
−実施例28〜30−
EGCG濃度を、下記表9に示す濃度とした以外は、実施例27と同様にして、ELISA試験を行い、蛍光発光率を求めた。その結果を、下記表9に併せて示す。
Figure 2007125731
−実施例31−
スギ花粉に、カテキン混合物の0.1%BSA含有Pollen-Sorting Buffer と抗Cryj1抗体との混合物を添加した後、抗体を認識する蛍光標識抗体(FITCラベル抗体)として、FITCラベル抗マウスIgG抗体を添加して、488nmのアルゴンレーザーを照射し、蛍光波長:525nm(励起波長:495nm)における蛍光強度を測定し、蛍光発光率を求めた。カテキン混合物及びフローサイトメトリー試験に用いた試薬の濃度並びに求めた蛍光発光効率を、下記表10に示す。
−実施例32−
カテキン混合物の濃度を、下記表10に示す濃度とした以外は、実施例31と同様にして、フローサイトメトリー試験を行い、蛍光発光率を求めた。その結果を、下記表10に併せて示す。
−比較例6−
スギ花粉に、バッファ溶液を添加した後、抗体を認識する蛍光標識抗体(FITCラベル抗体)として、FITCラベル抗マウスIgG抗体を添加して、488nmのアルゴンレーザーを照射し、蛍光波長:525nm(励起波長:495nm)における蛍光強度を測定し、蛍光発光率を求めた。フローサイトメトリー試験に用いた試薬の濃度並びに求めた蛍光発光効率を、下記表10に示す。
−比較例7‐
スギ花粉に、抗Cryj1抗体を添加した後、抗体を認識する蛍光標識抗体(FITCラベル抗体)として、FITCラベル抗マウスIgG抗体を添加して、525nmにおける蛍光強度を測定し、蛍光発光率を求めた。フローサイトメトリー試験に用いた試薬の濃度並びに求めた蛍光発光効率を、下記表10に示す。
−実施例33,34、比較例8,9−
抗Cryj1抗体に代えて、抗Cryj2抗体を使用した以外は、実施例31,32、比較例6,7と同様にして、フローサイトメトリー試験を行い、蛍光発光率を求めた。その結果を、下記表10に併せて示す。
−実施例35−
カテキン混合物の濃度及びスギ花粉量を、下記表10に示す濃度とした以外は、実施例31と同様にして、フローサイトメトリー試験を行い、蛍光発光率を求めた。その結果を、下記表10に併せて示す。
−比較例10,11−
スギ花粉量を、下記表10に示す濃度とした以外は、比較例6,7と同様にして、フローサイトメトリー試験を行い、蛍光発光率を求めた。その結果を、下記表10に併せて示す。
Figure 2007125731
上記表1〜表10の結果から明らかな如く、本発明に従うソフトコンタクトレンズ用溶液において、アレルゲン失活成分として用いられるポリフェノールは、スギ花粉抗原Cryj1及びスギ花粉のアレルゲンを効果的に失活せしめ、以て、そのような花粉等のアレルゲンが、レンズに付着した場合であっても、有利にそれを失活せしめ、以て、そのようなアレルゲンによって惹起されるアレルギー症状を、効果的に低減化乃至は緩和せしめることが可能となるのである。
また、本発明で用いられるアレルゲン失活成分の放出試験を行い(実施例36〜40)、その結果を、下記表11に示した。更に、アレルゲン失活成分としてのポリフェノールによるレンズの着色性及びサイズ変化についての検討も併せて行った。
−実施例36−
ヒドロキシル基を有するHEMA系イオン性高含水ソフトコンタクトレンズ(含水率:55%)を、下記表11に示す各種濃度のカテキン混合物の水溶液中に16時間浸漬した後、0.9重量%の生理食塩水に浸漬して、放出されるカテキン混合物の量を、経時的に測定した。そして、得られた4時間後の放出されたカテキン混合物の濃度及び放出率を、下記表11に併せて示す。また、各種濃度におけるカテキン混合物によるレンズの着色性及びレンズのサイズ変化についても、確認した。
−実施例37−
HEMA系イオン性高含水ソフトコンタクトレンズに代えて、DMAA(N,N−ジメチルアクリルアミド)系の非イオン性高含水ソフトコンタクトレンズ(含水率:72%)を用いる以外は、実施例36と同様にして、放出されるカテキン混合物の量を、経時的に測定した。そして、得られた4時間後の放出カテキン混合物の濃度及び放出率を、下記表11に併せて示す。また、各種濃度におけるカテキン混合物によるレンズの着色性及びレンズのサイズ変化についても、確認した。
−実施例38−
カテキン混合物の水溶液に代えて、エピガロカテキンガレート(EGCG)水溶液を用いる以外は、実施例36と同様にして、放出されるEGCG量を、経時的に測定した。得られた4時間後の放出EGCG濃度及び放出率を、下記表11に併せて示す。また、各種濃度におけるEGCGによるレンズの着色性及びレンズのサイズ変化についても、確認した。
−実施例39−
HEMA系イオン性高含水ソフトコンタクトレンズに代えて、DMAA(N,N−ジメチルアクリルアミド)系の非イオン性高含水ソフトコンタクトレンズ(含水率:72%)を用いる以外は、実施例38と同様にして、放出されるEGCG量を、経時的に測定した。そして、得られた4時間後の放出EGCG濃度及び放出率を、下記表11に併せて示す。また、各種濃度におけるEGCGによるレンズの着色性及びレンズのサイズ変化についても、確認した。
−実施例40−
HEMA系イオン性高含水ソフトコンタクトレンズに代えて、シリコン成分を有するシリコンハイドロゲルソフトコンタクトレンズ(含水率:24%)を用いる以外は、実施例38と同様にして、放出されるEGCG量を、経時的に測定した。そして、得られた4時間後の放出EGCG濃度及び放出率を、下記表11に併せて示す。また、各種濃度におけるEGCGによるレンズの着色性及びレンズのサイズ変化についても、確認した。
Figure 2007125731
上記表11の結果から明らかな如く、何れのソフトコンタクトレンズにあっても、ポリフェノールが有効に保持され、そして経時的に漸次放出されるものであることが認められたが、その中でも、特に、イオン性ソフトコンタクトレンズは、非イオン性ソフトコンタクトレンズに比べて、4時間後の放出ポリフェノール濃度(放出率)が高く、ポリフェノールの徐放が、より長い時間に亘って行われることが分かった。また、ポリフェノールとしては、エピガロカテキンガレート(EGCG)を用いた場合に、有利に、長時間に亘る徐放が行われることが分かった。
また、ポリフェノールによるレンズの着色性については、HEMA系イオン性高含水ソフトコンタクトレンズにおいては、ポリフェノール濃度が0.5%以上で黄緑色に呈色するが、透明性は高いことが認められた。一方、DMAA系非イオン性高含水ソフトコンタクトレンズにおいては、ポリフェノール濃度が0.5%以上で茶褐色(暗色)に呈色することが認められた。
さらに、ポリフェノールによるレンズのサイズ変化については、HEMA系イオン性高含水ソフトコンタクトレンズにおいては、高いポリフェノール濃度においても、レンズのサイズ変化は認められなかった。一方、DMAA系非イオン性高含水ソフトコンタクトレンズにおいては、ポリフェノール濃度が0.1%以上でレンズサイズが小さくなり、ポリフェノール濃度が0.5%以上では約2割程度のレンズサイズの縮小が認められた。

Claims (10)

  1. アレルゲン失活成分として、ポリフェノールを、水性媒体中に含有せしめてなることを特徴とするソフトコンタクトレンズ用溶液。
  2. 前記ポリフェノールが、カテキン類又はタンニン酸であることを特徴とする請求項1に記載のソフトコンタクトレンズ用溶液。
  3. 前記ポリフェノールの含有量が、0.001〜10%であることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のソフトコンタクトレンズ用溶液。
  4. 前記ソフトコンタクトレンズが、イオン性ソフトコンタクトレンズであることを特徴とする請求項1乃至請求項3の何れか一つに記載のソフトコンタクトレンズ用溶液。
  5. マルチパーパスソリューション、保存液又は流通保存液として、用いられることを特徴とする請求項1乃至請求項4の何れか一つに記載のソフトコンタクトレンズ用溶液。
  6. 薬剤徐放可能なソフトコンタクトレンズを製造する方法にして、
    a)アレルゲン失活成分としてポリフェノールを含有する水性液剤を準備する工程と、
    b)該水性液剤にソフトコンタクトレンズを接触せしめ、該ソフトコンタクトレンズ中 に、前記アレルゲン失活成分を取り込ませる工程とを、
    含むことを特徴とする製造方法。
  7. 前記ポリフェノールが、カテキン類又はタンニン酸であることを特徴とする請求項6に記載の薬剤徐放可能なソフトコンタクトレンズの製造方法。
  8. 前記ポリフェノールの含有量が、0.001〜10%であることを特徴とする請求項6又は請求項7に記載の薬剤徐放可能なソフトコンタクトレンズの製造方法。
  9. 前記ソフトコンタクトレンズが、イオン性ソフトコンタクトレンズであることを特徴とする請求項6乃至請求項8の何れか一つに記載の薬剤徐放可能なソフトコンタクトレンズの製造方法。
  10. 請求項6乃至請求項9の何れか一つに記載の製造方法によって製造された、ソフトコンタクトレンズ内にアレルゲン失活成分としてのポリフェノールが含侵せしめられていることを特徴とする薬剤徐放性ソフトコンタクトレンズ。
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