JPWO2007111365A1 - カテーテル型イオントフォレーシス装置 - Google Patents

カテーテル型イオントフォレーシス装置 Download PDF

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Abstract

バルーンカテーテル型イオントフォレーシス装置(1)は、バルーンカテーテル部(2)とイオントフォレーシス部(10)とからなり、バルーンカテーテル部(2)は膨張ルーメン(6)を有し、イオントフォレーシス部(10)は、膨張ルーメン(6)の外周に取付けられた円筒形状の作用側電極構造体(20)と非作用側電極構造体(40)とを有し、作用側電極構造体(20)は、膨張ルーメン(6)の外側に同心円状に作用側電極(28)、作用側電解液保持部(30)、作用側内周イオン選択性膜(32)、薬液保持部(34)、作用側外周イオン選択性膜(36)を、この順で積層して構成されていて、膨張ルーメン(6)を膨張させたとき、最も外側の作用側外周イオン選択性膜(36)が血管、気管、消化管、胆管、直腸、尿管、肛門、耳管等の内壁に接触して、ここから、薬物イオンを患部に局所投与するものである。

Description

本発明は、血管拡張治療の際に用いて好適であり、特に、血管壁にイオントフォレーシスによって薬物イオンを局所的に投与するためのカテーテル型イオントフォレーシス装置に関する。また同様の管状の患部、例えば気管、消化管、胆管、直腸、尿管、肛門、耳管等の内壁より薬物イオンを局所的に投与するためのカテーテル型イオントフォレーシス装置に関する。
冠動脈、その他の動脈の閉塞あるいは狭窄の治療方法として、血管拡張術が確立されている。
この血管拡張術としては、バルーンカテーテルを膨張させて血管を拡張する風船療法、血管を拡張する金属性ステント(Stent)を血管内に残すステント植込み術等がある。
上記のような血管拡張治療において、バルーンやステント等により血管を強制的に拡張すると、血管壁が損傷し、この傷を修復しようとして血管壁の内膜細胞が過剰に増殖し、いわゆる再狭窄が生じてしまうことがある。
これに対して、例えば特開2005−289818号公報に開示されるように、薬物溶出型ステントが提案され且つ用いられている。この薬物溶出型ステントは、ステントに薬剤をコーティングしておき、この薬剤が溶出して病変部の内膜肥厚や血栓の発生を高い確率で防止するものである。
この再狭窄を防止するための他の治療方法としては、標的血管にカテーテルを挿入し、放射性物質により放射線の照射を行なう血管内放射線照射法等がある。
しかしながら、ステントは生体にとっては異物であり、長期予後も確認されていない。又、ステントは一定の強度(硬さ)を持っているので、植え込み術中に屈曲し、蛇行した血管に追従できないおそれがある。その結果、標的病変部までステントを到達させることができず病変部分の拡張及びステントの留置(薬物投与)ができないという問題点がある。
更に、関節部位にある動脈あるいは頚動脈には、外的圧力等がかかりやすく形状復元性を持たないステントを留置させることは不適切である。更に又、ステントを留置した箇所に再狭窄が生じた場合、新たな治療が困難となる。又、ステント植え込み術は、直径2.5mm以下の冠動脈に対する再狭窄率が有意に高く、細い冠動脈の治療には不適切である。具体的には、直径が2.5mm以下のステントは製品化されていない。
更に、例えばWO03037425号公報に開示される従来のイオントフォレーシス装置は、皮膚表面の比較的平らな部位を対象としていて、血管、その他の管状患部、例えば気管、消化管、胆管、腸管、尿管、肛門、耳管等の治療には用いることができなかった。
本発明は、血管、気管、消化管、胆管、直腸、尿管、肛門、耳管等の管状の患部に薬剤イオンを効率的に、且つ、薬物の種類に限定されることなく局所的に投与できるカテーテル型イオントフォレーシス装置を提供することを課題とする。又、血管拡張術においては膨張ルーメンにより血管の拡張をおこない、かつステント等の異物を生体内に残すことなく、血管壁の内膜増殖を抑制するための薬剤イオンを効率的に、且つ、薬物の種類に限定されることなく局所的に投与できるようにしたカテーテル型イオントフォレーシス装置を提供することを課題とする。
以下の各実施例により上記課題を解決することができる。
(1)バルーンカテーテル部と、直流電源、この直流電源の陽極及び陰極の一方に接続された作用側電極構造体及び他方に接続された非作用側電極構造体から構成され、前記作用側電極構造体に保持される薬物イオンを、前記直流電源からの電圧によって生体に投与するためのイオントフォレーシス部と、を有してなり、前記バルーンカテーテル部は、膨張用流体を導入して膨張可能な円筒形状の膨張ルーメンを有し、前記作用側電極構造体は、少なくとも作用側電極、薬液保持部及び作用側外周イオン選択性膜を円筒形状として、前記膨張ルーメンの外側に、この順で、同軸状に積層して、且つ、膨張ルーメンが膨張するとき、これに応じて拡径可能に構成され、前記作用側電極は、前記直流電源の陽極又は陰極の一方に接続され、前記薬液保持部は、前記薬物イオンとなる薬物を保持し、前記作用側外周イオン選択性膜は、前記薬物イオンを選択的に通過させるように構成されたことを特徴とするカテーテル型イオントフォレーシス装置。
(2)前記作用側電極構造体は、前記作用側電極の外側に、同軸的に設けられた円筒形状の、電解液を保持する作用側電解液保持部と、この電解液保持部の外側に同軸的に設けられた円筒形状の、前記薬物イオンと反対符号のイオンを選択的に通過させる作用側内周イオン選択性膜と、この作用側内周イオン選択性膜の外側に同軸的に設けられた円筒形状の前記薬液保持部と、この薬液保持部の外側に同軸的に設けられた円筒形状の、前記作用側外周イオン選択性膜と、を有してなり、前記作用側電極構造体の軸方向両端面は、前記作用側電極と作用側外周イオン選択性膜の範囲で、絶縁状態で密封されていて、前記作用側電極、電解液保持部、作用側内周イオン選択性膜、薬液保持部及び作用側外周イオン選択性膜は、前記膨張ルーメンが、膨張用流体の導入により膨張されたときに拡径可能に構成されたことを特徴とする(1)に記載のカテーテル型イオントフォレーシス装置。
(3)前記非作用側電極構造体は、生体の皮膚及び粘膜の一方に密着可能に設けられたことを特徴とする(1)又は(2)に記載のカテーテル型イオントフォレーシス装置。
(4)前記非作用側電極構造体は、少なくとも非作用側電極、非作用側内周電解液保持部及び非作用側外周イオン選択性膜を円筒形状として、前記膨張ルーメンの外側に、この順で、同心円状に積層して、且つ、膨張ルーメンが膨張するとき、これに応じて拡径可能に構成され、前記非作用側電極は、膨張ルーメンの外側に、同軸的に設けられ、前記直流電源の陽極又は陰極の他方に接続され、前記非作用側内周電解液保持部は、前記電解液を保持し、前記非作用側外周イオン選択性膜は、前記薬物イオンと反対符号のイオンを選択的に通過させるように構成されたことを特徴とする(1)又は(2)に記載のカテーテル型イオントフォレーシス装置。
(5)前記非作用側電極構造体は、前記非作用側電極と、この非作用側電極の外側に、同軸的に設けられた前記非作用側内周電解液保持部と、この非作用側内周電解液保持部の外側に同軸的に設けられた円筒形状の、前記薬物イオンと同一符号のイオンを選択的に通過させる非作用側内周イオン選択性膜と、この非作用側内周イオン選択性膜の外側に同軸的に設けられた円筒形状の、電解液を保持する非作用側外周電解液保持部と、この非作用側外周電解液保持部の外側に同軸的に設けられた円筒形状の前記非作用側外周イオン選択性膜と、を有してなり、前記非作用側電極構造体の軸方向両端面は、前記非作用側電極と非作用側外周イオン選択性膜の範囲で、絶縁状態で密封され、前記非作用側電極、非作用側内周電解液保持部、非作用側内周イオン選択性膜、非作用側外周電解液保持部及び非作用側外周イオン選択性膜は、前記非作用側膨張ルーメンが、膨張用流体を導入して膨張されたときに拡径可能に構成されたことを特徴とする(4)に記載のカテーテル型イオントフォレーシス装置。
(6)前記バルーンカテーテル部は、前記膨張ルーメンにより血管等を拡張するバルーンカテーテル機能を有し、前記膨張ルーメンを標的部位到達後に膨張させることにより、前記外周イオン選択性膜を標的部位内壁に密着させ、薬物イオンを効率的に、且つ、薬物の種類に限定されることなく局所的に投与可能にしたことを特徴とする(1)、(2)、(4)又は(5)のいずれかに記載のカテーテル型イオントフォレーシス装置。
(7)前記バルーンカテーテル部は、前記ガイドワイヤルーメンと膨張ルーメンとの間に、これらと同軸的に設けられた円筒形の、血流維持のための灌流ルーメンを有してなり、この灌流ルーメンは、前記イオントフォレーシス部における軸方向両端面近傍に設けられ、外周側に開口する灌流用連通孔を有していることを特徴とする(6)に記載のカテーテル型イオントフォレーシス装置。
(8)前記バルーンカテーテル部は、カテーテルガイドワイヤが挿通されるガイドチューブを有し、このガイドチューブに、前記作用側電極と直流電源とを接続する作用側導電線を設けたことを特徴とする(6)又は(7)に記載のカテーテル型イオントフォレーシス装置。
(9)前記バルーンカテーテル部は、カテーテルガイドワイヤが挿通されるガイドチューブを有し、このガイドチューブに、前記非作用側電極と直流電源とを接続する非作用側導電線を設けたことを特徴とする(6)又は(7)に記載のカテーテル型イオントフォレーシス装置。
本発明の実施の形態に係るカテーテル型イオントフォレーシス装置の概略構成を示す正面図 同カテーテル型イオントフォレーシス装置の要部を拡大して示す正面図 図2のIII−III線に沿う断面を模式的に示す拡大断面図 図2のIV−IV線に沿う断面を模式的に示す拡大断面図 本発明の他の実施の形態に係る血管、気管、消化管、胆管、直腸、尿管、肛門、耳管等拡張治療装置の非作用側電極構造体を模式的に示す拡大断面図
次に、図1〜図4を参照して、本発明の実施の形態に係るカテーテル型イオントフォレーシス装置1について詳細に説明する。
このカテーテル型イオントフォレーシス装置1は、バルーンカテーテル部2と、イオントフォレーシス部10とから構成されている。
このイオントフォレーシス部10は、バルーンカテーテル部2の操作部2Aに設けられた直流電源12と、この直流電源12の陽極及び陰極の一方に接続された作用側電極構造体20及び他方に接続された非作用側電極構造体40から構成され、バルーンカテーテル部2の膨張ルーメン6を膨張させ、作用側電極構造体20及び非作用側電極構造体40を拡径して動脈血管内壁に接触させて、作用側電極構造体20に保持される薬物イオンを、直流電源12からの電圧によって動脈血管内壁に局所的に投与するものである。
作用側電極構造体20及び非作用側電極構造体40は、共に円筒形状であって、膨張ルーメン6の外側に取り付けられている。
バルーンカテーテル部2は、操作部2Aと、中心にカテーテルガイドワイヤ3が挿通可能な円筒形状のガイドワイヤルーメン4と、この外側に、同軸的に設けられた、円筒形状の灌流ルーメン5と、膨張ルーメン6と、カテーテルチューブ7とを有してなり、膨張ルーメン6は、灌流ルーメン5の外側に円筒形状に配置されている。
作用側電極構造体20は、図3に示されるように、膨張ルーメン6の外側に、いずれも円筒形の作用側電極28、作用側電解液保持部30、作用側内周イオン選択性膜32、薬液保持部34、及び、作用側外周イオン選択性膜36を順に、同軸的に設けた構造とされている。
非作用側電極構造体40も、作用側電極構造体20と同様の円筒形状であって、作用側電極構造体20の軸方向の先端側に隙間を持って隣接して、膨張ルーメン6の外側に取り付けられている。
非作用側電極構造体40は、図4に示されるように、膨張ルーメン6の外側に、いずれも円筒形状の、非作用側電極48、非作用側内周電解液保持部50、非作用側内周イオン選択性膜52、非作用側外周電解液保持部54、及び、非作用側外周イオン選択性膜56をこの順で同軸的に設けて構成されている。
灌流ルーメン5は、作用側電極構造体20が血管壁に内接した状態であっても、血流を維持するために設けられたものであり、図2に拡大して示されるように、内側のガイドワイヤルーメン4の外周に接続される軸方向両端面近傍に、血管内に開口する灌流用連通孔5A、5Bをそれぞれ有している。
膨張ルーメン6は、バルーンカテーテル部2におけるカテーテルチューブ7に接続され、操作部2Aの後端(図1において左端)から供給される膨張用流体、例えば膨張用生理食塩水によって膨張され、且つその外径が拡大されるようになっている。膨張用流体は気体であってもよい。
作用側電極構造体20及び非作用側電極構造体40は、膨張ルーメン6が膨張したとき、その膨張に応じて拡径できるように構成されている。
作用側電極28は、直流電源12の陽極又は陰極の一方に、作用側導線39を介して接続されている。この作用側導線39は、灌流用ルーメン5及びこれに接続されるカテーテルチューブ7の外側面に、例えば印刷によって形成されていて、バルーンカテーテル部2の操作部2A内の、例えばボタン電池からなる直流電源12に接続されている。
作用側電極28は、図2に示されるように、作用側導線39に接続される炭素電極である作用側集電体28Aと、この作用側集電体28Aに電気的に接触される作用側分極性電極28Bとから構成されている。この作用側分極性電極28Bは、活性炭繊維から構成された布及び/又はフェルトに前記薬物イオンとなる薬物を含む粘性液体を含浸させて構成されている。
作用側内周電解液保持部30は、例えばポリプロピレン(PP)不織布に、電解液を含む粘性液体を含浸して構成されている。
作用側内周イオン選択性膜32は、薬物イオンと反対符号のイオンを選択的に通過させるようにイオン交換基が導入されたイオン交換樹脂を含有して構成されている。ここでは、薬物イオンがアニオンの場合は陽イオン交換樹脂が配合され、又カチオンの場合は陰イオン交換樹脂が配合される。
血管拡張治療後に血管壁の内膜細胞増殖を抑制する場合の薬物イオンは、多くの場合カチオンであるので、この作用側内周イオン選択性膜32としては、アニオン交換膜となることが多い。
薬液保持部34は、作用側電解液保持部30と、直径が異なることを除きほぼ同一の構成であり、PP不織布に薬物を含む粘性液体を含浸させて構成されている。
作用側外周イオン選択性膜36は、薬物イオンと同一符号のイオンを選択的に通過させるようにイオン交換基が導入されたイオン交換樹脂を含有して構成されている。前述のように、血管内壁の内膜細胞増殖を抑制するための薬物イオンはカチオンが多いので、この作用側外周イオン選択性膜36としてはカチオン交換膜が選択されることが多い。
上記のように構成された作用側電極構造体20において、作用側電極28と、作用側電解液保持部30と、作用側内周イオン選択性膜32と、薬液保持部34と、作用側外周イオン選択性膜36の、軸方向両端面は、環状の端面シール38A、38Bによって電気的に絶縁された状態でシールされている。
非作用側電極構造体40における非作用側電極48は、灌流ルーメン5及びカテーテルチューブ7の外側に、作用側導線39と並列して形成された非作用側導線59を介して、直流電源12の他方の電極に接続されている。
又、この非作用側電極48の構成は、作用側電極28と同様であり、非作用側導線59に接続される炭素印刷電極である非作用側集電体48Aと、この非作用側集電体48Aに電気的に接続して設けられた非作用側分極性電極48Bとから構成されている。
非作用側分極性電極48Bは、活性炭繊維から構成された布及び/又はフェルトに電解液を含む粘性液体を含浸させて構成されている。
非作用側内周イオン選択性膜52は、薬物イオンと同一符号のイオンを選択的に通過させるものであり、作用側外周イオン選択性膜36と同一の構成とされている。又、非作用側外周イオン選択性膜56は、作用側内周イオン選択性膜32と同様の構成である。
又、非作用側内周電解液保持部50及び非作用側外周電解液保持部54は、例えばPP不織布に電解液を含む粘性液体を含浸させて構成されている。
上記の各粘性液体に含まれる電解液は電解質を主成分とし、この電解質は、水の電解反応(陽極での酸化及び陰極での還元)よりも酸化又は還元され易い電解質、例えば、アスコルビン酸(ビタミンC)やアスコルビン酸ナトリウムの医薬剤、乳酸、シュウ酸、リンゴ酸、コハク酸、フマル酸等の有機酸及び/又はその塩を使用することが特に好ましく、これにより酸素ガスや水素ガスの発生を抑制することが可能であり、又、溶媒に溶解した際に緩衝電解液となる組合せが複数種の電解質を配合することにより、通電中にpHの変動を抑制することができる。
非作用側電極構造体40の、非作用側電極48、非作用側内周電解液保持部50、非作用側内周イオン選択性膜52、非作用側外周電解液保持部54、及び、非作用側外周イオン選択性膜56の軸方向両端面は、端面シール58A、58Bによって、電気的な絶縁状態でシールされている。
ここで、作用側内周及び外周イオン選択性膜32、36、非作用側内周及び外周イオン選択性膜52、56は、いずれも、例えばエラストマにイオン交換樹脂を混合して形成することにより、柔軟性が付与されている。
上記陽イオン交換樹脂としては、ポリスチレン樹脂やアクリル酸樹脂等の炭化水素系樹脂やパーフルオロカーボン骨格を有するフッ素系樹脂等の3次元的な網目構造を持つ高分子に、スルホン酸基、カルボン酸基、ホスホン酸基等の陽イオン交換基(対イオンが陽イオンである交換基)が導入されたイオン交換樹脂が制限なく使用することができる。
又、陰イオン交換樹脂としては、前記陽イオン交換樹脂と同様の3次元的な網目構造を持つ高分子に、1〜3級アミノ基、4級アンモニウム基、ピリジル基、イミダゾール基、4級ピリジウム基、4級イミダゾリウム基等の陽イオン交換基(対イオンが陰イオンである交換基)が導入されたイオン交換樹脂が制限なく使用できる。
上記のような薬物あるいは電解液を含む粘性液体は、例えば水(イオン交換水)に、HPC(ヒドロキシプロピルセルロース)(例えば日本曹達のH−Type)、あるいは、水に溶けないセルロースを化学的に処理して水溶性の高分子としたメトローズ(例えば信越化学工業の90SH−10000SR)等の粘着性材料を2重量%以上混合して製造することができる。
直流電源12としては、ボタン電池、あるいは、例えば特開平11−067236号公報、米国特許公開公報2004/0185667A1号公報、米国特許第6855441号公報等に開示される電池を使用することができる。なお、直流電源12をバルーンカテーテル部2の基端部よりも更に外部に設ける場合は、交流電源から整流器を介して直流を供給するようにしてもよい。
この実施形態においては、イオントフォレーシス部10の作用側電極構造体20及び非作用側電極構造体40を、膨張ルーメン6に取り付けて、標的とする動脈の患部に移動させる。次に、膨張ルーメン6に、操作部2Aの後端から、例えば生理食塩水等の膨張用流体を導入して、これらを膨張させる。
この膨張により、作用側電極構造体20における作用側電極28〜作用側外周イオン選択性膜36が拡径され、同時に、非作用側電極構造体40においても、非作用側電極48〜非作用側外周イオン選択性膜56が拡径され、これらの最も外側の作用側外周イオン選択性膜36と非作用側外周イオン選択性膜56とが、患部における血管内壁に接触される。
このとき、血管内を流れる血液は、灌流ルーメン5の灌流用連通孔5A、5Bを通って流出し、血流が維持される。従って、このカテーテル型イオントフォレーシス装置1は、血流を止めることができない冠動脈拡張治療用には好適である。又、気管に対するカテーテル型イオントフォレーシス装置1の使用時は呼吸を妨げることなく治療が可能である。
上記のように、作用側外周イオン選択性膜36及び非作用側外周イオン選択性膜56が動脈の患部における血管内壁に接触した状態で、バルーンカテーテル部2の操作部2Aに設けられたスイッチ(図示省略)をONさせて、直流電源12から作用側電極構造体20、血管壁、非作用側電極構造体40、直流電源12の回路を形成すると、作用側外周イオン選択性膜36からは薬物イオンが放出され、これが、血管壁に投与されて、内膜細胞増殖を抑制することになる。通常、このときの薬物イオン投与時間は5分間程度である。
投与終了後は、膨張ルーメン6を収縮させて、作用側電極構造体20及び非作用側電極構造体40を含むバルーンカテーテル装置14を動脈血管から引き出して、動脈拡張治療を終了する。
従って、従来のように、ステントが動脈内に残置されることが無い。又、この実施形態においては、前述のように、例えば5分間程度の投与時間で、十分な薬物イオンを投与することができ、又、その薬物も、ステントにコーティングする場合と比較して、種類が限定されることが無い。
更に又、上記のように、血管拡張治療後にステントを動脈血管内に残置させる必要が無く、膨張ルーメン6により一時的に血管を拡張するのみであるので、作用側電極構造体20、非作用側電極構造体40を軟質素材で形成することができる。これにより、屈曲したり蛇行する動脈血管の治療に用いることができ、又、従来のステントの残置が不可能であった関節部位にある動脈や頚動脈の治療もすることができる。
又、ステントを動脈血管内に残す必要が無いので、作用側電極構造体20及び非作用側電極構造体40の直径を小さくして、従来不可能であった直径が2.5mm以下の血管の治療をすることもできる。
上記実施の形態の例において、作用側電極構造体20は非作用側電極構造体40及び灌流ルーメン5を有し、動脈血管拡張治療中における血流を維持できるようにしているが、本発明はこれに限定されるものでなく、冠動脈以外の動脈の治療の場合には、必ずしも灌流ルーメンを設けなくても良い。
又、非作用側電極構造体40は、作用側電極構造体20の先端側に配置されているが、本発明はこれに限定されるものでなく、作用側電極構造体20の後端側に設けてもよく、更に、その前後の2箇所に設けても良い。
更に又、非作用側電極構造体は、バルーンカテーテル部2と一体的に設けることなく、作用側電極構造体20とにより患部を挟み込む位置で血管外の粘膜や皮膚に接触して設けるようにしてもよい。
この場合、非作用側電極構造体40のように、構成各部を円筒形状にする必要が無く、例えば図5に示される非作用側電極構造体60のように、円形の膜形状の非作用側電極62、電極側電解液保持部64、電極側イオン選択性膜66、先端側電解液保持部68、先端側イオン選択性膜70をこの順で積層した構成とし、先端側イオン選択性膜70を皮膚や粘膜に接触して取り付けることができるようにする。図5の符号62Aは非作用側集電体、62Bは非作用側分極性電極、72はバッキング材をそれぞれ示す。
これら非作用側電極62〜先端側イオン選択性膜70の構成は、非作用側電極構造体40においては円筒形状であるのに対して、円形の平面的な膜形状である点においてのみ相違し、他の構成は同一であるので説明は省略する。
なお、上記実施の形態において、作用側電極構造体は電解液保持部と、薬液保持部と、2層のイオン選択性膜と、作用側電極と、から構成されているが、本発明はこれに限定されるものでなく、少なくとも、作用側電極と、薬液保持部と、最も外周の作用側外周イオン選択性膜とから構成されるものであれば良い。又、作用側電極は、作用側集電体と作用側分極性電極とからなる電極構造に限定されるものでなく、単層の印刷電極等であっても良い。
又、非作用側電極構造体は、2層の電解液保持部と、2層のイオン選択性膜と、非作用側電極と、から構成されているが、本発明はこれに限定されるものでなく、少なくとも、非作用側電極と、電解液保持部と、最も外側の非作用側外周イオン選択性膜とから構成されるものであれば良い。非作用側電極の構成についても、上記作用側電極と同様である。
更に、上記実施の形態では、イオントフォレーシス装置は血管拡張術用であるが、本発明はこれに限定されるものでなく、気管、消化管、胆管、直腸、尿管、肛門、耳管等の管状部位の治療にも適用されるものである。
産業上の利用の可能性
この発明においては、カテーテル型イオントフォレーシス装置における作用側電極構造体を、膨張ルーメンの外側に設け、膨張ルーメンの膨張時にイオン選択性膜が血管、気管、消化管、胆管、直腸、尿管、肛門、耳管等の内壁に接触して、ここから、必要な種類の薬物を必要量だけ効率良く局所的に投与することができる。又、カテーテル型イオントフォレーシス装置では、血管拡張術の際に、ステントを血管内に残置させたりする必要が無い。

Claims (9)

  1. バルーンカテーテル部と、直流電源、この直流電源の陽極及び陰極の一方に接続された作用側電極構造体及び他方に接続された非作用側電極構造体から構成され、前記作用側電極構造体に保持される薬物イオンを、前記直流電源からの電圧によって生体に投与するためのイオントフォレーシス部と、を有してなり、
    前記バルーンカテーテル部は、膨張用流体を導入して膨張可能な円筒形状の膨張ルーメンを有し、
    前記作用側電極構造体は、
    少なくとも作用側電極、薬液保持部及び作用側外周イオン選択性膜を円筒形状として、前記膨張ルーメンの外側に、この順で、同軸状に積層して、且つ、膨張ルーメンが膨張するとき、これに応じて拡径可能に構成され、
    前記作用側電極は、前記直流電源の陽極又は陰極の一方に接続され、
    前記薬液保持部は、前記薬物イオンとなる薬物を保持し、
    前記作用側外周イオン選択性膜は、前記薬物イオンを選択的に通過させるように構成されたことを特徴とするカテーテル型イオントフォレーシス装置。
  2. 請求項1において、
    前記作用側電極構造体は、
    前記作用側電極の外側に、同軸的に設けられた円筒形状の、電解液を保持する作用側電解液保持部と、
    この電解液保持部の外側に同軸的に設けられた円筒形状の、前記薬物イオンと反対符号のイオンを選択的に通過させる作用側内周イオン選択性膜と、
    この作用側内周イオン選択性膜の外側に同軸的に設けられた円筒形状の前記薬液保持部と、
    この薬液保持部の外側に同軸的に設けられた円筒形状の、前記作用側外周イオン選択性膜と、を有してなり、
    前記作用側電極構造体の軸方向両端面は、前記作用側電極と作用側外周イオン選択性膜の範囲で、絶縁状態で密封されていて、
    前記作用側電極、電解液保持部、作用側内周イオン選択性膜、薬液保持部及び作用側外周イオン選択性膜は、前記膨張ルーメンが、膨張用流体の導入により膨張されたときに拡径可能に構成されたことを特徴とするカテーテル型イオントフォレーシス装置。
  3. 請求項1又は2において、
    前記非作用側電極構造体は、生体の皮膚及び粘膜の一方に密着可能に設けられたことを特徴とするカテーテル型イオントフォレーシス装置。
  4. 請求項1又は2において、
    前記非作用側電極構造体は、
    少なくとも非作用側電極、非作用側内周電解液保持部及び非作用側外周イオン選択性膜を円筒形状として、前記膨張ルーメンの外側に、この順で、同心円状に積層して、且つ、膨張ルーメンが膨張するとき、これに応じて拡径可能に構成され、
    前記非作用側電極は、膨張ルーメンの外側に、同軸的に設けられ、前記直流電源の陽極又は陰極の他方に接続され、
    前記非作用側内周電解液保持部は、前記電解液を保持し、
    前記非作用側外周イオン選択性膜は、前記薬物イオンと反対符号のイオンを選択的に通過させるように構成されたことを特徴とするカテーテル型イオントフォレーシス装置。
  5. 請求項4において、
    前記非作用側電極構造体は、
    前記非作用側電極と、
    この非作用側電極の外側に、同軸的に設けられた前記非作用側内周電解液保持部と、
    この非作用側内周電解液保持部の外側に同軸的に設けられた円筒形状の、前記薬物イオンと同一符号のイオンを選択的に通過させる非作用側内周イオン選択性膜と、
    この非作用側内周イオン選択性膜の外側に同軸的に設けられた円筒形状の、電解液を保持する非作用側外周電解液保持部と、
    この非作用側外周電解液保持部の外側に同軸的に設けられた円筒形状の前記非作用側外周イオン選択性膜と、を有してなり、
    前記非作用側電極構造体の軸方向両端面は、前記非作用側電極と非作用側外周イオン選択性膜の範囲で、絶縁状態で密封され、
    前記非作用側電極、非作用側内周電解液保持部、非作用側内周イオン選択性膜、非作用側外周電解液保持部及び非作用側外周イオン選択性膜は、前記非作用側膨張ルーメンが、膨張用流体を導入して膨張されたときに拡径可能に構成されたことを特徴とするカテーテル型イオントフォレーシス装置。
  6. 請求項1、2、4又は5のいずれかにおいて、
    前記バルーンカテーテル部は、前記膨張ルーメンにより血管等を拡張するバルーンカテーテル機能を有し、前記膨張ルーメンを標的部位到達後に膨張させることにより、前記外周イオン選択性膜を標的部位内壁に密着させ、薬物イオンを効率的に、且つ、薬物の種類に限定されることなく局所的に投与可能にしたことを特徴とするカテーテル型イオントフォレーシス装置。
  7. 請求項6において、
    前記バルーンカテーテル部は、前記ガイドワイヤルーメンと膨張ルーメンとの間に、これらと同軸的に設けられた円筒形の、血流維持のための灌流ルーメンを有してなり、
    この灌流ルーメンは、前記イオントフォレーシス部における軸方向両端面近傍に設けられ、外周側に開口する灌流用連通孔を有していることを特徴とするカテーテル型イオントフォレーシス装置。
  8. 請求項6又は7において、
    前記バルーンカテーテル部は、カテーテルガイドワイヤが挿通されるガイドチューブを有し、このガイドチューブに、前記作用側電極と直流電源とを接続する作用側導電線を設けたことを特徴とするカテーテル型イオントフォレーシス装置。
  9. 請求項6又は7において、
    前記バルーンカテーテル部は、カテーテルガイドワイヤが挿通されるガイドチューブを有し、このガイドチューブに、前記非作用側電極と直流電源とを接続する非作用側導電線を設けたことを特徴とするカテーテル型イオントフォレーシス装置。
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