JPWO2007088900A1 - 細胞死を誘導する2本鎖rna - Google Patents

細胞死を誘導する2本鎖rna

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Abstract

ヒト細胞内において、Argonaute2遺伝子の転写産物mRNAを破壊することによって当該細胞死を誘導する18-30塩基の2本鎖RNAを提供する。この2本鎖RNAは、例えば、癌治療の有効な材料となる。

Description

本願発明は、細胞死を誘導する2本鎖RNAに関するものである。さらに詳しくは、本願発明は、ヒト細胞内においてArgonaute2遺伝子の転写産物mRNAを破壊することによって細胞死を誘導する21-30塩基の2本鎖RNAと、この2本鎖RNAを含有する細胞死誘導剤、さらにはガン細胞等の効果的な細胞死を誘導する方法に関するものである。
RNAiについて:
RNAi(RNA interference)とは、ある遺伝子と相同な、センス鎖RNAとアンチセンス鎖RNAとからなる2本鎖RNA(double-strand RNA)が、その遺伝子の転写産物(mRNA)の相同部分を破壊するという現象であり、1999年に線虫を用いた実験によりはじめて提唱された(非特許文献1)。その後、マウス初期胚や哺乳動物培養細胞でもRNAiが起こることが示され、RNAiの誘導機構は哺乳動物細胞にも存在することが明らかにされた(非特許文献2)。そして2001年には、比較的短い(21-23bp)2本鎖RNA(small interfering RNA:siRNA)が、哺乳動物細胞系でも細胞毒性を示さずにRNAiを誘導できることが示されている(非特許文献3)。
このように、siRNAは毒性を示すことなく特定の遺伝子発現を抑制することから、ヒト疾患の治療への有効性が期待されている。
RISCについて:
RISC(RNA-induced silencing complex:RNA誘導型サイレンシング複合体)は、RNA分解酵素活性を有する分子量250〜500kDaのタンパク複合体である。SiRNAを細胞へ導入すると、このタンパク質複合体と結合し、siRNA-タンパク質複合体がsiRNAと相同のmRNAに結合し、RISCヌクレアーゼ活性によりsiRNA−mRNAの結合部位が切断されて、標的遺伝子の発現が抑制( gene silencing)される(例えば、非特許文献4−6)。

Fire, A. et al. Nature, 391:806-811, 1998 Ui-Tei, K. et al. FEBS Lett., 479:79-82, 2000 Elbashir, MS. Et al. Nature, 411:494-498, 2001 Martinez, J. et al. Cell, 110:563-574, 2003 Liu, J. et al. Science, 305:1437-1441, 2004 Rivas, F.V. et al. RNA 12:340-349, 2005
生体を正常な状態に保つため、不要あるいは有害な細胞(例えばガン細胞)を死滅させるための手段や薬剤の開発が精力的に進められている。しかしながら、正常細胞に毒性を示すことなく、不要・有害な細胞を選択的に死滅させるための効果的な手段や薬剤は極めて少ないのが現状である。
本願発明は、RNAiによる標的遺伝子の発現抑制を作用機序として、特定細胞を選択的に死滅させるために使用することのできる新しい2本鎖RNAを提供することを課題としている。

RISCは、前記のとおり、RNAiによるmRNA切断(gene silencing)のための不可欠の分子であるが、一方で、細胞の恒常性維持に深く関与している。
本願発明者らは、このRISCそれ自体の発現を抑制することによって、細胞の恒常性を破壊し、細胞死を誘導することが可能であるとの作業仮説のもと、鋭意研究の結果、RISCの構成タンパク質の一つであるArgonaute2(Ago2)タンパク質の発現をsiRNAで抑制させることによって細胞死が誘導されることを確認し、本願発明を完成させた。
すなわち、本願発明は、siRNAによってAgo2遺伝子の発現を抑制した場合であっても、siRNA-RISCによるgene-silencing活性は維持されたまま、RISCの恒常性維持機能を選択的に破壊して細胞死が誘導されるという新規な知見に基づいて完成されたものである。
本願発明は、第1の発明として、ヒト細胞内において、Argonaute2遺伝子の転写産物mRNAを破壊することによって細胞死を誘導する18-30塩基の2本鎖RNAを提供する。
第1発明の2本鎖RNAは、具体的には以下のとおりである。すなわち、配列番号1の塩基配列からなるArgonaute2遺伝子cDNAの:
(1)第144-168位配列に相当するRNAを含むセンス鎖RNAと、そのアンチセンス鎖RNAとからなる請求項1の2本鎖RNA、
(2)第180-204位配列に相当するRNAを含むセンス鎖RNAと、そのアンチセンス鎖RNAとからなる2本鎖RNA、
(3)第791-815位配列に相当するRNAを含むセンス鎖RNAと、そのアンチセンス鎖RNAとからなる2本鎖RNA、
(4)第798-822位配列に相当するRNAを含むセンス鎖RNAと、そのアンチセンス鎖RNAとからなる2本鎖RNA、
(5)第1233-1257位配列に相当するRNAを含むセンス鎖RNAと、そのアンチセンス鎖RNAとからなる2本鎖RNA、
(6)第1425-1443位配列に相当するRNAを含むセンス鎖RNAと、そのアンチセンス鎖RNAとからなる2本鎖RNA、
である。
これらの2本鎖RNAは、さらに具体的には、
[1]センス鎖: 5'-GGAGAACAAUCAAAUUACAGGCCAAAG-3'(配列番号2)
アンチセンス鎖:3'-UACCUCUUGUUAGUUUAAUGUCCGGUU-5'(配列番号3)
[2]センス鎖: 5'-UGGACAUCCCCAAAAUUGACAUCUAAG-3'(配列番号4)
アンチセンス鎖:3'-UAACCUGUAGGGGUUUUAACUGUAGAU-5'(配列番号5)
[3]センス鎖: 5'-ACAGAUUCCCAAAGGGUAAAGUUUAAG-3'(配列番号6)
アンチセンス鎖:3'-UAUGUCUAAGGGUUUCCCAUUUCAAAU-5'(配列番号7)
[4]センス鎖: 5'-CCCAAAGGGUAAAGUUUACCAAAGAAG-3'(配列番号8)
アンチセンス鎖:3'-UAGGGUUUCCCAUUUCAAAUGGUUUCU-5'(配列番号9)
[5]センス鎖: 5'-GAAUCAUGGUCAAAGAUGAGAUAGCAG-3'(配列番号10)
アンチセンス鎖:3'-UACUUAGUACCAGUUUCUACUCUACUG-5'(配列番号11)
[6]センス鎖: 5'-GCACGGAAGUCCAUCUGAAUU-3'(配列番号12)
アンチセンス鎖:3'-UUCGUGCCUUCAGGUAGACUU-5'(配列番号13)、
である。
第2の発明は、第1発明の2本鎖RNAの有効量を含有する細胞死誘導剤である。
この第2発明は、具体的には、前記(1)から(6)の2本鎖RNAから選択される1または2以上の2本鎖RNAを含有する細胞死誘導剤であり、さらに具体的には、前記[1]から[6]の2本鎖RNAから選択される1または2以上の2本鎖RNAを含有する細胞死誘導剤である。
第3の発明は、前記の細胞死誘導剤を細胞に導入することを特徴とする細胞死誘導方法である。この第3発明の方法においては、細胞がガン細胞またはガン新生血管内皮細胞であることを好ましい態様としている。
本願発明によって、細胞死を誘導させるための新しい手段が提供される。本願発明の2本鎖RNAを、不要・有害な細胞に特異的に結合するデリバリー分子等に結合した状態で生体内に導入することによって、不要・有害な細胞を選択的に死滅させることが可能となる。単鎖の2本鎖RNAは細胞毒性がないことが確認されているので、デリバリー分子が認識しない正常細胞を死滅させることがない。
図1Aは、HT1080細胞に2本鎖RNAを導入し、各培養時間の後のArgonaute2 mRNAをRT-PCT法で測定した結果を示す泳動図である。各時間の左側がArgonaute2に対する2本鎖RNA、右側がコントロールの2本鎖RNAを細胞に導入した場合。図1Bはβ−アクチンの発現を同様に測定した結果であり、CはpGL3改変ベクターの同時トランスフェクションによりトランスフェクション効率を確認した結果である。 図2は、2本鎖RNAを細胞に導入したHT1080細胞の細胞生存率を経時的に示したグラフである。 図3は、2本鎖RNAを細胞に導入したHT1080細胞の細胞増殖率を経時的に示したグラフである。 図4上は、HUVEC細胞に2本鎖RNAを導入し、各培養時間の後のArgonaute2 mRNAをRT-PCT法で測定した結果を示す泳動図である。各時間の左側がsiAgo2、右側がコントロール(siNA)を細胞に導入した場合、左端レーンはLipofectamine2000単独処理である。図4下はβ−アクチンの発現を同様に測定した結果である。 図5は、2本鎖RNAを細胞に導入したHUVEC細胞の細胞生存率を経時的に示したグラフである。 図6は、2本鎖RNAを細胞に導入したHUVEC細胞の細胞増殖率を経時的に示したグラフである。 図7は、2本鎖RNAを細胞に導入したHUVEC細胞による血管類似構造体の形成を観察した顕微鏡像である。
本願発明の2本鎖RNAは、RISC構成タンパク質の一つであるAgo2タンパク質の遺伝子発現を抑制するものである。Ago2遺伝子のcDNA配列は公知(配列番号1)であり、この塩基配列に基づいて、2本鎖RNAを設計することができる。すなわち、配列番号1の任意領域に対応するRNA(センス鎖RNA)と、このセンス鎖RNAに相補的なRNA(アンチセンス鎖RNA)を作製する。具体的には、配列番号1の第114位〜領域、第180〜領域、第791〜領域、第1233〜領域、第1425〜領域などである。
選択した領域から、AAで始まる配列であって長さが18〜30塩基のもの、あるいは、AAを5'側に加えたときの長さが18〜30塩基の配列を選択する。その配列のGC含量は、例えば30〜70%となるものを選択すればよく、50%前後が好ましい。また、そのGC分布に偏りがないものを選択するとよい。さらに、選択した配列の3'側にdT又はUの2残基のオーバーハングを加えるとよい。また、BLASTサーチをおこない、選択した配列に類似した配列を有するタンパク質が存在しないことを確認することが好ましい。
このような条件を満たす配列からなる2本鎖RNAとして、本願発明は、以下の6種類の2本鎖RNAを提供する。
[1]センス鎖: 5'-GGAGAACAAUCAAAUUACAGGCCAAAG-3'(配列番号2)
アンチセンス鎖:3'-UACCUCUUGUUAGUUUAAUGUCCGGUU-5'(配列番号3)
[2]センス鎖: 5'-UGGACAUCCCCAAAAUUGACAUCUAAG-3'(配列番号4)
アンチセンス鎖:3'-UAACCUGUAGGGGUUUUAACUGUAGAU-5'(配列番号5)
[3]センス鎖: 5'-ACAGAUUCCCAAAGGGUAAAGUUUAAG-3'(配列番号6)
アンチセンス鎖:3'-UAUGUCUAAGGGUUUCCCAUUUCAAAU-5'(配列番号7)
[4]センス鎖: 5'-CCCAAAGGGUAAAGUUUACCAAAGAAG-3'(配列番号8)
アンチセンス鎖:3'-UAGGGUUUCCCAUUUCAAAUGGUUUCU-5'(配列番号9)
[5]センス鎖: 5'-GAAUCAUGGUCAAAGAUGAGAUAGCAG-3'(配列番号10)
アンチセンス鎖:3'-UACUUAGUACCAGUUUCUACUCUACUG-5'(配列番号11)
[6]センス鎖: 5'-GCACGGAAGUCCAUCUGAAUU-3'(配列番号12)
アンチセンス鎖:3'-UUCGUGCCUUCAGGUAGACUU-5'(配列番号13)
このような2本鎖RNAは、例えば、公知の方法(例えばCarruthers(1982)Cold Spring Harbor Symp. Quant. Biol. 47:411-418; Adams(1983)J. Am. Chem. Soc. 105:661; Belousov(1997)Nucleic Acid Res. 25:3440-3444; Frenkel(1995)Free Radic. Biol. Med. 19:373-380; Blommers(1994)Biochemistry 33:7886-7896; Narang(1979)Meth. Enzymol. 68:90; Brown(1979)Meth. Enzymol. 68:109; Beaucage(1981)Tetra. Lett. 22:1859; 米国特許第4,458,066号)に記載されているような周知の化学合成技術によりRNAを合成し、2本鎖にアニールさせることによって作製することができる。
また、公知のDicer法によって2本鎖RNAを作製することもできる。すなわち、Ago2遺伝子cDNA(配列番号1)のコード領域をベクター等に組み込み、cDNAのセンス鎖RNAとアンチセンス鎖RNAを転写させた後、アニーリングして2本鎖RNAを作製する。次に、RNase IIIファミリーに属するDicer Enzymeにより、この2本鎖RNAを3'末端側に2塩基の突出末端をもつ単鎖(18-30塩基)の2本鎖RNAにプロセッシングさせる。
第2の発明は、前記のとおりの2補鎖RNAを、それが細胞死を誘導するのに有効な量、含有する細胞死誘導剤である。2本鎖RNAは単一種を含有するものであってもよいが、細胞死の誘導活性を向上させるためには、2種以上の2本鎖RNAを含有することが好ましい。
この細胞死誘導剤は、2本鎖RNAを薬学的に許容できる担体と混合して調製することができる。担体としては、リポソーム、脂質小胞体、ミセル等、希釈剤、賦形剤、湿潤剤、緩衝剤、懸濁剤、潤滑剤、アジュバント、乳化剤、崩壊剤、吸収剤、保存料、界面活性剤、着色料、着香料、または甘味料等を含む。
この細胞死誘導剤は、注射剤、凍結乾燥品、錠剤、硬カプセル剤、軟カプセル剤、顆粒剤、散剤、丸剤、シロップ剤、坐剤、バップ剤、軟膏剤、クリーム剤、点眼剤等の剤型をとることができる。また、この細胞死誘導剤は、当業者にとって既知である任意の手段により、局所的または全身に投与することができる。投与量は、被投与者の年齢、体重、健康状態、性別、症状、投与経路、投与回数、剤型などによって適宜に変更することができ、具体的な投与手順は当業者により設定することができる。例えば、成人には、錠剤として投与する場合に0.1μg〜10g、好ましくは1μg〜1g、さらに好ましくは10μg〜100mgを1日に1〜5回投与することができる。
この細胞死誘導剤を遺伝子治療剤として使用する場合は、注射により直接投与する方法のほか、2本鎖RNAの発現ベクターを投与する方法を採用することもできる。ベクターとしては、アデノウイルスベクター、アデノ関連ウイルスベクター、ヘルペスウイルスベクター、ワクシニアウイルスベクター、レトロウイルスベクター、レンチウイルスベクター等を使用することができる。また、2本鎖RNAを保持させたリポソームなどのリン脂質小胞体をリポフェクション法により所定の細胞に導入し、この細胞を例えば静脈内、動脈内等に全身投与する方法を採用することもできる。さらに、2本鎖RNAを目的の組織または器官に導入するためには、市販の遺伝子導入キット(例えばアデノエクスプレス:クローンテック社)を用いることもできる。
以上の方法によって2本鎖RNA、またはこの2本鎖RNAを含有する細胞死誘導剤を細胞に導入することによって、細胞死を誘導することができる。
細胞死の対象は、生体の正常な機能に対して不要、または有害なガン細胞やガン新生血管内皮細胞等とすることができる。例えば、特定のガン細胞表面でのみ発現するタンパク質やガン細胞特異的な新生血管等を標的として、抗体やリポソーム等の担体を用いてガン細胞に2本鎖RNAを作用させ、ガン細胞のAgo2遺伝子発現を選択的に抑制させることによって、ガン細胞の死滅を誘導することができる。例えば、本願発明者らは、カチオニックリポソーム(TFL-3)の使用によって、肺内に生じた新生血管内皮細胞に選択的に治療用遺伝子を送達できることを示している(Li, W. et al., Int. J. Pharm. 276:67-74, 2004)。また、ファージディスプレイ法によって取得された、新生血管に高い集積性を持つ数種のペプチドでPEG末端を修飾した抗ガン剤封入リポソームが、高い腫瘍増殖抑制効果を発揮することも報告されている(Kondo, M. et al., Int. J. Cancer, 108:301-306, 2004; Assai, T. et al., FEBS Lett., 520:167-170, 2002)。またさらに、本願発明者らは、細胞内に移行後に速やかに細胞質内に2本鎖RNAを放出することのできる、内封薬物放出性をプログラムしたリポソームの開発にも成功している(Moreira, J.N. et al., Pharm. Res. 19:265-269, 2002)。これらの公知技術の使用によって、本願発明の2本鎖RNAを特定の細胞(例えばガン細胞やガン新生血管内皮細胞など)へ特異的に送達させることが可能であり、それらの細胞を選択的に死滅させることが可能である。
標的の細胞に到達しなかった2本鎖RNAは担体とともに肝臓・脾臓のマクロファージにより取り込まれて分解されるため、正常細胞に対する毒性はない。
なお、本願発明のその他の態様は、公知の文献等に基づいて当業者であれば容易かつ確実に実施可能である。例えば、この発明の医薬組成物の調製はRemington's Pharmaceutical Sciences, 18th Edition, ed. A. Gennaro, Mack Publishing Co., Easton, PA, 1990に、遺伝子工学および分子生物学的技術はSambrook and Maniatis, in Molecular Cloning-A Laboratory Manual, Cold Spring Harbor Laboratory Press, New York, 1989; Ausubel, F. M. et al., Current Protocols in Molecular Biology, John Wiley & Sons, New York, N.Y, 1995等に記載されている。
以下、実施例を示して本願発明に係る2本鎖RNAの作用効果について詳しく説明するが、本願発明は以下の例に限定されるものではない。
:HT1080細胞における2本鎖RNAのAgo2遺伝子発現抑制
以下の、Ago2を標的とする2本鎖RNA(siAgo2)を調製した。
[1]センス鎖: 5'-GGAGAACAAUCAAAUUACAGGCCAAAG-3'(配列番号2)
アンチセンス鎖:3'-UACCUCUUGUUAGUUUAAUGUCCGGUU-5'(配列番号3)
[2]センス鎖: 5'-UGGACAUCCCCAAAAUUGACAUCUAAG-3'(配列番号4)
アンチセンス鎖:3'-UAACCUGUAGGGGUUUUAACUGUAGAU-5'(配列番号5)
[3]センス鎖: 5'-ACAGAUUCCCAAAGGGUAAAGUUUAAG-3'(配列番号6)
アンチセンス鎖:3'-UAUGUCUAAGGGUUUCCCAUUUCAAAU-5'(配列番号7)
[4]センス鎖: 5'-CCCAAAGGGUAAAGUUUACCAAAGAAG-3'(配列番号8)
アンチセンス鎖:3'-UAGGGUUUCCCAUUUCAAAUGGUUUCU-5'(配列番号9)
[5]センス鎖: 5'-GAAUCAUGGUCAAAGAUGAGAUAGCAG-3'(配列番号10)
アンチセンス鎖:3'-UACUUAGUACCAGUUUCUACUCUACUG-5'(配列番号11)
[6]センス鎖: 5'-GCACGGAAGUCCAUCUGAAUU-3'(配列番号12)
アンチセンス鎖:3'-UUCGUGCCUUCAGGUAGACUU-5'(配列番号13)
また、コントロールとして、Luciferase遺伝子(pGL-3)を発現抑制することが既知の以下の2本鎖RNA(siNS:非特許文献3)を調製した。
センス鎖: 5'-CUUACGCUGAGUACUUCGATT-3'(配列番号14)
アンチセンス鎖:3'-TTGAAUGCGACUCAUGAAGCU-5'(配列番号15)
配列番号12、13のオリゴヌクレオチドからなる2本鎖RNA(siAgo2 [6])とコントロールの2本鎖RNA(siNS)を、Lipofectamine2000を用いてヒト線維肉腫細胞HT1080に導入した。なお2本鎖RNAとLipofectamine2000の割合は1:5、2本鎖RNA濃度は12.5 nMである。24時間の導入処理の後、未導入の2本鎖RNAを除去し、RT-PCR法によりAgo2遺伝子のmRNA量を経時的に測定した。
結果は図1に示したとおりである。siAgo2 [6]の細胞導入によって、コントロール(siNS)と比較して顕著なAgo2 mRNAの抑制が確認された(図1A)。
また、2本鎖RNAによる発現抑制の特異性を確認するため、ハウスキーピング遺伝子であるβ−アクチンの発現を測定した(図1B)。さらに、pDNAベクター(pGL3改変ベクター)を同時にトランスフェクションして、2本鎖RNAの細胞内導入効率を確認した(図1C)。その結果、非特異的な遺伝子発現の抑制はなく、またトランスフェクション効率にも問題がないことが確認された。
さらに、前記の2本鎖RNAをLipofectamine2000を用いてHT1080細胞に導入し、細胞毒性、細胞増殖性の簡便な評価法として汎用されているMTT assayによって2本鎖RNAの細胞死誘導活性を評価した。その結果、図2に示したとおり、siAgo2 [6]を用いた場合、コントロール(siNS)と比較して細胞生存率は有意に減少した。
また、細胞の実数を測定して細胞増殖の程度を検討した。その結果、図3に示したとおり、siAgo2 [6]を用いた場合には、コントロール(siNS)と比較して細胞増殖率は有意に減少した。
なお、siAgo2 [1]−[5]を用いた場合にも同様の結果が得られた。
以上の結果から、本願発明の2本鎖RNAが、腫瘍細胞の細胞死誘導(あるいは増殖抑制)活性を有することが確認された。
:HUVEC細胞における2本鎖RNAのAgo2遺伝子発現抑制
HUVEC(a human umbilical vein endothelial cell:ヒト臍帯血管内皮細胞)を用いた以外は、実施例1と同様にしてAgo2遺伝子のmRNA量を経時的に測定した。
結果は図4に示したとおりである。siAgo2 [6]の細胞導入によって、コントロール(siNA)と比較して顕著なAgo2 mRNAの抑制が確認された(図4上)。
また、β−アクチンの発現を測定した結果(図4下)、siAgo2 [6]の細胞内導入による非特異的な遺伝子発現の抑制はないことも確認された。
さらに、実施例1と同様にして、2本鎖RNAを導入したHUVEC細胞の細胞生存率(図5)および細胞増殖率(図6)を測定し、本願発明の2本鎖RNA(siAgo2 [6])がHUVEC細胞に対しても細胞死誘導活性を有することが確認された。
なお、siAgo2 [1]−[5]を用いた場合にも同様の結果が得られた。
:HUVEC細胞によるtube formation assay
siAgo2 [6]を、Lipofectamine2000を用いてHUVEC細胞に導入した。24時間の導入処理の後のHUVEC細胞を、マトリゲルでコートした培養プレート上に撒き、血管類似構造体の形成を観察した(tube formation assay)。
結果は図7に示したとおりであり、無処理、Lipofectamine2000単独およびコントロール(siNA導入)では血管類似構造体の形成が観察されたが、siAgo2 [6]を導入したHUVEC細胞で血管類似構造体の形成は阻害された。
なお、siAgo2 [1]−[5]を用いた場合にも同様の結果が得られた。
以上の結果から、本願発明の2本鎖RNAが、がん新生血管の伸展を有効に抑制することが確認された。

Claims (19)

  1. ヒト細胞内において、Argonaute2遺伝子の転写産物mRNAを破壊することによって細胞死を誘導する18-30塩基の2本鎖RNA。
  2. 配列番号1の塩基配列からなるArgonaute2遺伝子cDNAの第144-168位配列に相当するRNAを含むセンス鎖RNAと、そのアンチセンス鎖RNAとからなる請求項1の2本鎖RNA。
  3. 配列番号1の塩基配列からなるArgonaute2遺伝子cDNAの第180-204位配列に相当するRNAを含むセンス鎖RNAと、そのアンチセンス鎖RNAとからなる2本鎖RNA。
  4. 配列番号1の塩基配列からなるArgonaute2遺伝子cDNAの第791-815位配列に相当するRNAを含むセンス鎖RNAと、そのアンチセンス鎖RNAとからなる2本鎖RNA。
  5. 配列番号1の塩基配列からなるArgonaute2遺伝子cDNAの第798-822位配列に相当するRNAを含むセンス鎖RNAと、そのアンチセンス鎖RNAとからなる2本鎖RNA。
  6. 配列番号1の塩基配列からなるArgonaute2遺伝子cDNAの第1233-1257位配列に相当するRNAを含むセンス鎖RNAと、そのアンチセンス鎖RNAとからなる2本鎖RNA。
  7. 配列番号1の塩基配列からなるArgonaute2遺伝子cDNAの第1425-1443位配列に相当するRNAを含むセンス鎖RNAと、そのアンチセンス鎖RNAとからなる2本鎖RNA。
  8. センス鎖RNAが配列番2のRNAであり、アンチセンス鎖RNAが配列番号3のRNAである請求項2の2本鎖RNA。
  9. センス鎖RNAが配列番4のRNAであり、アンチセンス鎖RNAがと配列番号5のRNAである請求項3の2本鎖RNA。
  10. センス鎖RNAが配列番6のRNAであり、アンチセンス鎖RNAが配列番号7のRNAである請求項4の2本鎖RNA。
  11. センス鎖RNAが配列番8のRNAであり、アンチセンス鎖RNAが配列番号9のRNAである請求項5の2本鎖RNA。
  12. センス鎖RNAが配列番10のRNAであり、アンチセンス鎖RNAが配列番号11のRNAである請求項6の2本鎖RNA。
  13. センス鎖RNAが配列番12のRNAであり、アンチセンス鎖RNAが配列番号13のRNAである請求項7の2本鎖RNA。
  14. 請求項1に記載の2本鎖RNAの有効量を含有する細胞死誘導剤。
  15. 請求項2から7に記載の2本鎖RNAから選択される1または2以上の2本鎖RNAを含有する請求項14の細胞死誘導剤。
  16. 2本鎖RNAが請求項8から13に記載の2本鎖RNAのいずれかである請求項15の細胞死誘導剤。
  17. 請求項14、15または16に記載の細胞死誘導剤を細胞に導入することを特徴とする細胞死誘導方法。
  18. 細胞がガン細胞である請求項17の細胞死誘導方法。
  19. 細胞がガン新生血管内皮細胞である請求項17の細胞死誘導方法。
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