JPWO2007083640A1 - 頻尿及び尿失禁の予防又は治療剤 - Google Patents
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Abstract
【課題】選択的なβ3受容体活性化作用を有し、頻尿及び尿失禁の予防や治療に有用な薬剤の提供。【解決手段】6-[2-(R)-[(2‐(R)-(3-クロロフェニル)-2-ヒドロキシエチル)アミノ]プロピル]-2,3-ジヒドロ-1,4-ベンゾジオキシン-2-(R)-カルボン酸又はその薬理学的に許容される塩が頻尿及び尿失禁、特に過活動膀胱に起因する頻尿及び尿失禁の予防や治療に有効であることを見出した。【選択図】なし
Description
本発明は、選択的β3アドレナリン受容体作動薬である6-[2-(R)-[(2‐(R)-(3-クロロフェニル)-2-ヒドロキシエチル)アミノ]プロピル]-2,3-ジヒドロ-1,4-ベンゾジオキシン-2-(R)-カルボン酸を有効成分とする頻尿及び尿失禁の予防剤又は治療剤、特に過活動膀胱に起因する頻尿及び尿失禁の予防剤又は治療剤に関するものである。
交感神経系に関与しているβアドレナリン受容体は、β1、β2及びβ3の3つのサブタイプが存在し、特定の臓器にいずれかのサブタイプが分布しており、生理的な機能を担っていることが知られている。例えば、β1アドレナリン受容体は主として心臓に存在し、本受容体の刺激により心拍数の増加及び心収縮力の増加を生じる。また、β2アドレナリン受容体は気管(支)、血管及び子宮に存在し、本受容体の刺激により気管(支)及び血管の拡張、子宮収縮の抑制を生じる。
一方、β3アドレナリン受容体は、脂肪細胞、腸管に存在し、本受容体の刺激により脂肪細胞では脂肪分解促進及び腸管運動の抑制を生じる。従って、β3アドレナリン受容体の機能低下は体脂肪の蓄積を引き起こすので、肥満症との関連性やインスリン非依存性糖尿病の発症との関係が示唆されている。このようなことから、β3アドレナリン受容体作動薬は、抗肥満、抗糖尿病用剤として期待され、種々の化合物が開発されている。
各種臓器に存在するβアドレナリン受容体は、生物種によりサブタイプの存在やその比率の違いが一般的に知られている。ヒトの膀胱に存在するβアドレナリン受容体は、β1及びβ2アドレナリン受容体とは異なる可能性が報告され、その後、機能試験や分子生物学的な手法をも用いた解析により、β3アドレナリン受容体がヒトの膀胱に存在することが確認された。また、イヌの膀胱に存在するβアドレナリン受容体はβ3アドレナリン受容体であること、ラットの膀胱に存在するβアドレナリン受容体はβ2及びβ3アドレナリン受容体であることが報告されている。ヒト膀胱にも主としてβ3アドレナリン受容体が存在し、β3アドレナリン受容体作動薬により膀胱平滑筋が弛緩することが報告されている。
このようなことから、β3アドレナリン受容体を選択的に活性化する化合物は、膀胱容量を増大させる事が可能であり、頻尿及び尿失禁の予防又は治療剤として有用であると考えられている。これまでに、頻尿及び尿失禁用剤として種々のβ3アドレナリン受容体作動薬が開示されている(例えば特許文献1,2,3)。
近年、高齢化社会の到来と共に、頻尿や尿失禁に悩む患者数は年々増加傾向にある。従って、当該患者が良好なQOLを獲得するには、より膀胱に選択性が高く、安全な頻尿および尿失禁の予防剤や治療剤が望まれている。
6-[2-(R)-[(2‐(R)-(3-クロロフェニル)-2-ヒドロキシエチル)アミノ]プロピル]-2,3-ジヒドロ-1,4-ベンゾジオキシン-2-(R)-カルボン酸は、β3アドレナリン受容体に対して選択的活性化に優れ、有効性(efficacy)と効力(potency)の高い化合物であり、糖尿病、高血圧症又は肥満症に有効であると開示されている(特許文献4)。更に本願化合物は消化器疾患治療薬としても有効であることが開示されている(特許文献5)が、頻尿及び尿失禁の予防や治療効果については知られていなかった。
WO97/015549パンフレット
WO98/007445パンフレット
WO00/002846パンフレット
WO96/035685パンフレット
特開平11-12171号公報
本発明の目的は、より膀胱に対して選択性が高く、かつ効力において優れ、しかも安全な頻尿及び尿失禁の予防又は治療剤を提供することにある。
本発明者らは、式(1)で示される6-[2-(R)-[(2‐(R)-(3-クロロフェニル)-2-ヒドロキシエチル)アミノ]プロピル]-2,3-ジヒドロ-1,4-ベンゾジオキシン-2-(R)-カルボン酸(CASREGISTRY No.220475-76-3)又はその薬理学的に許容される塩が過活動膀胱に起因する頻尿及び尿失禁の予防や治療に有効であることを見出し、本発明を完成したものである。
即ち、本発明は
1)6-[2-(R)-[(2‐(R)-(3-クロロフェニル)-2-ヒドロキシエチル)アミノ]プロピル]-2,3-ジヒドロ-1,4-ベンゾジオキシン-2-(R)-カルボン酸又はその薬理学的に許容される塩を有効成分として含有する頻尿及び尿失禁の予防又は治療剤、
2)対象疾患が過活動膀胱に起因する頻尿及び尿失禁である上記1)の予防又は治療剤、
3)6-[2-(R)-[(2‐(R)-(3-クロロフェニル)-2-ヒドロキシエチル)アミノ]プロピル]-2,3-ジヒドロ-1,4-ベンゾジオキシン-2-(R)-カルボン酸又はその薬理学的に許容される塩の頻尿及び尿失禁の予防又は治療剤としての使用、
4)頻尿及び尿失禁の予防又は治療剤を製造するための6-[2-(R)-[(2‐(R)-(3-クロロフェニル)-2-ヒドロキシエチル)アミノ]プロピル]-2,3-ジヒドロ-1,4-ベンゾジオキシン-2-(R)-カルボン酸又はその薬理学的に許容される塩の使用、
5)6-[2-(R)-[(2‐(R)-(3-クロロフェニル)-2-ヒドロキシエチル)アミノ]プロピル]-2,3-ジヒドロ-1,4-ベンゾジオキシン-2-(R)-カルボン酸又はその薬理学的に許容される塩の有効量を投与することからなる頻尿及び尿失禁の予防又は治療方法、に関するものである。
1)6-[2-(R)-[(2‐(R)-(3-クロロフェニル)-2-ヒドロキシエチル)アミノ]プロピル]-2,3-ジヒドロ-1,4-ベンゾジオキシン-2-(R)-カルボン酸又はその薬理学的に許容される塩を有効成分として含有する頻尿及び尿失禁の予防又は治療剤、
2)対象疾患が過活動膀胱に起因する頻尿及び尿失禁である上記1)の予防又は治療剤、
3)6-[2-(R)-[(2‐(R)-(3-クロロフェニル)-2-ヒドロキシエチル)アミノ]プロピル]-2,3-ジヒドロ-1,4-ベンゾジオキシン-2-(R)-カルボン酸又はその薬理学的に許容される塩の頻尿及び尿失禁の予防又は治療剤としての使用、
4)頻尿及び尿失禁の予防又は治療剤を製造するための6-[2-(R)-[(2‐(R)-(3-クロロフェニル)-2-ヒドロキシエチル)アミノ]プロピル]-2,3-ジヒドロ-1,4-ベンゾジオキシン-2-(R)-カルボン酸又はその薬理学的に許容される塩の使用、
5)6-[2-(R)-[(2‐(R)-(3-クロロフェニル)-2-ヒドロキシエチル)アミノ]プロピル]-2,3-ジヒドロ-1,4-ベンゾジオキシン-2-(R)-カルボン酸又はその薬理学的に許容される塩の有効量を投与することからなる頻尿及び尿失禁の予防又は治療方法、に関するものである。
本発明は、選択的なβ3アドレナリン受容体作動薬である6-[2-(R)-[(2‐(R)-(3-クロロフェニル)-2-ヒドロキシエチル)アミノ]プロピル]-2,3-ジヒドロ-1,4-ベンゾジオキシン-2-(R)-カルボン酸又はその薬理学的に許容される塩を有効成分とする頻尿及び尿失禁、特に過活動膀胱に起因する頻尿及び尿失禁の予防剤や治療剤並びにそれらの治療方法を提供するものである。
式(1)で示される6-[2-(R)-[(2‐(R)-(3-クロロフェニル)-2-ヒドロキシエチル)アミノ]プロピル]-2,3-ジヒドロ-1,4-ベンゾジオキシン-2-(R)-カルボン酸(以下本発明化合物と言う)は特許文献4に開示された化合物であり、その公知の方法又はWO00/006562パンフレットに開示された方法により製造することができる。
その薬理学的に許容される塩とは、酸付加塩として、塩酸塩、臭化水素塩、硫酸塩、硝酸塩、燐酸塩などの無機酸塩又は酢酸塩、マロン酸塩、マレイン酸塩、フマル酸塩、クエン酸塩、酒石酸塩、リンゴ酸塩、乳酸塩、メシル酸塩などの有機酸塩があげられる。また塩基付加塩としては、ナトリウム塩、リチウム塩、カリウム塩、カルシウム塩、バリウム塩、マグネシウム塩、ストロンチウム塩又はセシウム塩が挙げられる。
このような本発明化合物は選択的なβ3アドレナリン受容体刺激作用により、膀胱平滑筋を弛緩させ、膀胱容量を増大させるので排尿障害(例えば、頻尿、尿意切迫感、腹圧性尿失禁、切迫性尿失禁、混合性尿失禁、遺尿、夜間遺尿、持続性尿失禁、その他の尿失禁など)の予防剤や治療剤として有用である。
また、本発明化合物は、必要に応じて他の排尿障害治療剤と組み合わせて使用することができる。他の排尿障害治療剤としては、抗コリン剤(例えば、塩酸オキシブチニン、塩酸プロピベリン、トルテロジン、ダリフェナシン、フェソテロジン、コハク酸ソリフェナシン、イミダフェナシンなど)、平滑筋弛緩剤(例えば、塩酸フラボキサートなど)、β2アドレナリン受容体作動薬(例えば、塩酸クレンブテロール、フマル酸ホルモテロールなど)、α1アドレナリン受容体作動薬(例えば、塩酸ミドドリン、R−450、GW−515524など)、エストロゲン製剤(例えば、結合型エストロゲン、エストリオール、エストラジオールなど)、中枢神経作用薬(例えば、イミプラミン、レセルピン、ジアゼパムなど)、カリウムチャンネルオープナー(例えば、KW−7158、AZD−0947、NS−8、ABT−598、WAY−151616など)、バソプレッシン2受容体作動薬(例えば、デスモプレシン、OPC−51803など)が挙げられる。
本発明化合物を患者の治療に用いる場合、常法によって種々の剤型が調製できる。このような剤型としては、錠剤、シロップ、カプセル剤、顆粒剤、散剤、懸濁剤、座剤、注射剤、腸注剤などが挙げられる。錠剤又は顆粒剤の場合には周知の方法でコーティングしても良い。また、錠剤又はカプセル剤等の場合には、結合剤として例えばトラガント、アラビアゴム、コーンスターチ、セルロース、メチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、ポリエチレングリコール、シュクロース、デンプン又はゼラチンなど、賦形剤として例えばシュクロース、マンニット、ソルビット、ラクトース、グルコース、セルロース、炭酸カルシウム又はリン酸カルシウムなど、崩壊剤として例えばコーンスターチ、デンプン、カルボキシメチルセルロース、炭酸水素ナトリウム、リン酸カルシウム、クエン酸カルシウム又はアルギン酸など、甘味剤として例えばショ糖、乳糖又はサッカリンなどを含有することができる。
注射剤の場合には、必要に応じ等張剤に溶解してもよく、安定剤としては例えばクエン酸、クエン酸ナトリウム又は酢酸など、保存剤として例えば安息香酸ナトリウム、重亜硫酸ナトリウム、メチルパラベン又はプロピルパラベンなどを添加してもよく、さらにpH調節剤や緩衝液を添加しても良い。
これらの製剤には、本発明化合物を0.001mgから100mg或いは0.001%以上、好ましくは0.01%から80%で含有することができる。さらにこれらの製剤には他の有効成分を含有することもできる。
本発明化合物の投与方法は、経口投与あるいは非経口投与(例えば静脈内投与、動脈内投与、皮下投与、腹腔内投与または直腸内投与など)が挙げられる。投与方法並びに投与量は、疾患、症状、年齢、体重などにより異なるが、通常成人1日あたり0.001mgから100mgを投与する。
(実施例)
本発明内容を以下の実施例によって更に詳細に説明するが、本発明はこれらの例によって限定されるものではない。
(実施例)
本発明内容を以下の実施例によって更に詳細に説明するが、本発明はこれらの例によって限定されるものではない。
製剤例
錠剤(1錠)
本発明化合物 1mg
乳糖 適量
カルボキシメチルセルロース 15mg
ヒドロキシプロピルセルロース 5mg
ステアリン酸マグネシウム 1mg
合計 100mg
各成分を均一に混合し、直打用粉末とする。これをロータリー式打錠機で直径6mm、重量100mgの錠剤に成型した。
錠剤(1錠)
本発明化合物 1mg
乳糖 適量
カルボキシメチルセルロース 15mg
ヒドロキシプロピルセルロース 5mg
ステアリン酸マグネシウム 1mg
合計 100mg
各成分を均一に混合し、直打用粉末とする。これをロータリー式打錠機で直径6mm、重量100mgの錠剤に成型した。
摘出イヌ膀胱平滑筋に対する影響
イヌから膀胱を摘出し、予め95% O2-5% CO2ガスを通気したKrebs-Henseleit液(NaCl:118 mmol/L、KCl:4.7 mmol/L、CaCl2:2.5 mmol/L、MgCl2:1.2
mmol/L、NaHCO3:25.0 mmol/L、KH2PO4:1.2
mmol/L、glucose:11.1 mmol/L)に入れた。Krebs-Henseleit液中で結合組織を除去し、膀胱を幅1.5〜2 mm長さ約10 mmの条片とし、更に膀胱内膜の除去を行い標本とした。作成した標本は、初期張力1〜2
gで60分間平衡化し張力の変化を等尺性に記録した。平衡化終了後、フェントラミン 10-6 mol/Lを30分間前処理し、本発明化合物を累積的に添加して標本の弛緩反応を得た。本発明化合物の累積的な添加終了後にフォルスコリン
10-5 mol/Lを処理し各標本の最大弛緩を得た。
イヌから膀胱を摘出し、予め95% O2-5% CO2ガスを通気したKrebs-Henseleit液(NaCl:118 mmol/L、KCl:4.7 mmol/L、CaCl2:2.5 mmol/L、MgCl2:1.2
mmol/L、NaHCO3:25.0 mmol/L、KH2PO4:1.2
mmol/L、glucose:11.1 mmol/L)に入れた。Krebs-Henseleit液中で結合組織を除去し、膀胱を幅1.5〜2 mm長さ約10 mmの条片とし、更に膀胱内膜の除去を行い標本とした。作成した標本は、初期張力1〜2
gで60分間平衡化し張力の変化を等尺性に記録した。平衡化終了後、フェントラミン 10-6 mol/Lを30分間前処理し、本発明化合物を累積的に添加して標本の弛緩反応を得た。本発明化合物の累積的な添加終了後にフォルスコリン
10-5 mol/Lを処理し各標本の最大弛緩を得た。
記録された本発明化合物の投与直前の位置とフォルスコリン 10-5 mol/Lによって得られる最大弛緩の位置との高さの差を求め100%とした。本発明化合物の累積的な投与によって得られる弛緩率を各濃度毎に算出した。また、弛緩率が50%となる濃度を濃度反応曲線より求め、これを負の対数値としたものをpEC50値とした。
対照として、選択的β3アドレナリン受容体活性化作用を有することが報告されているKUC-7322(排尿機能学会誌,13巻,120頁(2002年))を使用した。
結果を図1に示した。この結果、本発明化合物は摘出イヌ膀胱平滑筋を完全に弛緩させた。また、本発明化合物のpEC50値は、8.86とKUC-7322で得られたpEC50値7.68よりも高い数値を示したことから、本発明化合物はKUC-7322よりも高い効力(potency)を有することが明らかとなった。
摘出ラット膀胱平滑筋に対する影響
ラットから膀胱を摘出し、予め95% O2-5% CO2ガスを通気したKrebs-Henseleit液(NaCl:118 mmol/L、KCl:4.7 mmol/L、CaCl2:2.5 mmol/L、MgCl2:1.2
mmol/L、NaHCO3:25.0 mmol/L、KH2PO4:1.2
mmol/L、glucose:11.1 mmol/L)に入れた。Krebs-Henseleit液中で結合組織を除去し、膀胱を幅1.5〜2 mm長さ約10 mmの条片とし、更に膀胱内膜の除去を行い標本とした。作成した標本は、初期張力0.4〜0.5
gで60分間平衡化し張力の変化を等尺性に記録した。平衡化終了後、フェントラミン10-6 mol/Lを30分間前処理し、本発明化合物を累積的に添加して標本の弛緩反応を得た。本発明化合物の累積的な添加終了後にフォルスコリン
10-5 mol/Lを処理し各標本の最大弛緩を得た。
ラットから膀胱を摘出し、予め95% O2-5% CO2ガスを通気したKrebs-Henseleit液(NaCl:118 mmol/L、KCl:4.7 mmol/L、CaCl2:2.5 mmol/L、MgCl2:1.2
mmol/L、NaHCO3:25.0 mmol/L、KH2PO4:1.2
mmol/L、glucose:11.1 mmol/L)に入れた。Krebs-Henseleit液中で結合組織を除去し、膀胱を幅1.5〜2 mm長さ約10 mmの条片とし、更に膀胱内膜の除去を行い標本とした。作成した標本は、初期張力0.4〜0.5
gで60分間平衡化し張力の変化を等尺性に記録した。平衡化終了後、フェントラミン10-6 mol/Lを30分間前処理し、本発明化合物を累積的に添加して標本の弛緩反応を得た。本発明化合物の累積的な添加終了後にフォルスコリン
10-5 mol/Lを処理し各標本の最大弛緩を得た。
記録された本発明化合物の投与直前の位置とフォルスコリン10-5 mol/Lによって得られる最大弛緩の位置との高さの差を求め100%とした。本発明化合物の累積的な投与によって得られる弛緩率を各濃度毎に算出した。また、弛緩率が50%となる濃度を濃度反応曲線より求め、これを負の対数値としたものをpEC50値とした。
対照として、選択的β3アドレナリン受容体活性化作用を有することが報告されているKUC-7322(排尿機能学会誌,13巻,120頁(2002年))を使用した。
結果を図2に示した。この結果、本発明化合物は摘出ラット膀胱平滑筋をほぼ完全に弛緩させた。また、本発明化合物のpEC50値は、8.41とKUC-7322で得られたpEC50値7.30よりも高い数値を示し、KUC-7322よりも高い効力(potency)を有することが示された。
ラット頻尿モデルに対する影響
Takedaらの報告にほぼ準じて検討を行った(Neurourology and Urodynamics,21巻,558〜565ページ(2002年))。ハロタン麻酔下でラットの左鼠径部及び腹部正中を切開し、大腿静脈及び膀胱を露出させた。露出した大腿静脈及び膀胱頂部にカテーテルを挿入し固定した。切開部を縫合し、ボールマンケージにラットを入れ麻酔から覚醒させた。その後、膀胱頂部に挿入したカテーテルから3.6mL/hr
の流速で生理食塩液を膀胱内に注入すると同時に膀胱内の圧力を圧トランスデューサ、アンプを介してレコーダー上に記録した。生理食塩液注入によって生じる排尿毎の膀胱内圧のピークからピークまでの間隔(排尿間隔)及びピークの高さ(最大圧)がほぼ一定となったら、膀胱に注入している生理食塩液をプロスタグランジンE260μmol/L含有生理食塩液に交換してラット頻尿モデルを作製した。プロスタグランジンE260μmol/L含有生理食塩液に交換後の排尿間隔及び最大圧がほぼ一定となったら、大腿静脈に挿入したカテーテルから本発明化合物或いはKUC-7322を投与した。
Takedaらの報告にほぼ準じて検討を行った(Neurourology and Urodynamics,21巻,558〜565ページ(2002年))。ハロタン麻酔下でラットの左鼠径部及び腹部正中を切開し、大腿静脈及び膀胱を露出させた。露出した大腿静脈及び膀胱頂部にカテーテルを挿入し固定した。切開部を縫合し、ボールマンケージにラットを入れ麻酔から覚醒させた。その後、膀胱頂部に挿入したカテーテルから3.6mL/hr
の流速で生理食塩液を膀胱内に注入すると同時に膀胱内の圧力を圧トランスデューサ、アンプを介してレコーダー上に記録した。生理食塩液注入によって生じる排尿毎の膀胱内圧のピークからピークまでの間隔(排尿間隔)及びピークの高さ(最大圧)がほぼ一定となったら、膀胱に注入している生理食塩液をプロスタグランジンE260μmol/L含有生理食塩液に交換してラット頻尿モデルを作製した。プロスタグランジンE260μmol/L含有生理食塩液に交換後の排尿間隔及び最大圧がほぼ一定となったら、大腿静脈に挿入したカテーテルから本発明化合物或いはKUC-7322を投与した。
薬物投与による影響は、以下のような方法で評価した。レコーダー上に記録した排尿時膀胱内圧のピークの間隔を測定し、これに注入速度を乗じて有効膀胱容量を求めた。薬物投与前30分間の有効膀胱容量の平均を100%、0時とし、以後30分毎の有効膀胱容量の平均値の%を算出し、0.5、1、1.5、2、2.5及び3時間の値とした。
結果を図3に示した。本発明化合物をラット頻尿モデルに投与すると投与後30分で有効膀胱容量を約140%まで増加させた。また、その効果は観察終了の投与3時間後まで130%前後の値で持続した。一方、KUC-7322をラット頻尿モデルに投与すると、投与後30分で有効膀胱容量を約120%まで増加させたが、この効果は投与1.5時間以後では認められなかった。
本発明化合物は優れたβ3アドレナリン受容体活性化作用を有し、ラット頻尿モデルに対して本発明化合物を0.01mg/kgで静脈内投与すると、持続的に有効膀胱容量を増加させた。一方、対照薬であるKUC-7322は、ラット頻尿モデルに対し短時間しかその効果を発現しなかった。従って、本発明化合物は選択的なβ3アドレナリン受容体活性化作用により、膀胱平滑筋を弛緩させ、膀胱容量を増大させるので排尿障害治療薬として有用である。
既存の頻尿及び尿失禁治療薬であるムスカリン性アセチルコリン受容体拮抗薬は、副作用として口渇を生じさせしばしば問題となる。しかし、本発明化合物はムスカリン性アセチルコリン受容体拮抗薬とは異なる受容体に対して作用することから、口渇を回避できる。また、蓄尿時においてヒトの膀胱平滑筋の弛緩は、β3アドレナリン受容体を介して生じることから、ヒトにおいても過活動膀胱に起因する頻尿及び尿失禁の予防又は治療剤として有用である。
Claims (5)
- 6-[2-(R)-[(2‐(R)-(3-クロロフェニル)-2-ヒドロキシエチル)アミノ]プロピル]-2,3-ジヒドロ-1,4-ベンゾジオキシン-2-(R)-カルボン酸又はその薬理学的に許容される塩を有効成分として含有する頻尿及び尿失禁の予防又は治療剤。
- 対象疾患が過活動膀胱に起因する頻尿及び尿失禁である請求項1記載の予防又は治療剤。
- 6-[2-(R)-[(2‐(R)-(3-クロロフェニル)-2-ヒドロキシエチル)アミノ]プロピル]-2,3-ジヒドロ-1,4-ベンゾジオキシン-2-(R)-カルボン酸又はその薬理学的に許容される塩の頻尿及び尿失禁の予防又は治療剤としての使用。
- 頻尿及び尿失禁の予防又は治療剤を製造するための6-[2-(R)-[(2‐(R)-(3-クロロフェニル)-2-ヒドロキシエチル)アミノ]プロピル]-2,3-ジヒドロ-1,4-ベンゾジオキシン-2-(R)-カルボン酸又はその薬理学的に許容される塩の使用。
- 6-[2-(R)-[(2‐(R)-(3-クロロフェニル)-2-ヒドロキシエチル)アミノ]プロピル]-2,3-ジヒドロ-1,4-ベンゾジオキシン-2-(R)-カルボン酸又はその薬理学的に許容される塩の有効量を投与することからなる頻尿及び尿失禁の予防又は治療方法。
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JP2006009391 | 2006-01-18 | ||
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