JPWO2007069457A1 - 表面検査装置および表面検査方法 - Google Patents

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Abstract

本発明では、下地の影響を低減して表面の繰り返しパターンの欠陥検査を良好に行う。そのために本発明は、被検物体20の表面の繰り返しパターンに対して照明光L1を照射する手段13と、照明光の照射方向と表面の法線1Aとを含む入射面の表面における方向と繰り返しパターンの繰り返し方向との成す角度を0以外の所定値に設定する手段11,12と、照明光が照射されたときに繰り返しパターンから発生する正反射光を受光し、該正反射光の光強度に関わる情報を出力する受光手段14と、受光手段から出力される情報に基づいて、繰り返しパターンの欠陥を検出する検出手段15とを備える。また、入射面の表面における方向と繰り返し方向との成す角度φ、照明光の照射方向と表面の法線との成す角度θ、照明光の波長λ、繰り返しパターンのピッチpは、条件式(λ/[2cos(θ・sinφ)]>p)を満足する。

Description

本発明は、被検物体の表面に形成された繰り返しパターンの欠陥検査を行う表面検査装置および表面検査方法に関する。
被検物体(例えば半導体ウエハや液晶基板など)の表面に形成された繰り返しパターンに検査用の照明光を照射し、このとき繰り返しパターンから発生する回折光に基づいて、繰り返しパターンの欠陥検査を行う装置が知られている(例えば特許文献1を参照)。
特開平10−232122号公報
しかし、半導体ウエハなどの被検物体には表面の繰り返しパターンと同程度のピッチの繰り返しパターンが下地にも形成されていることがある。このため、上記の回折光による欠陥検査では、表面の繰り返しパターンで発生した回折光(信号光)に、下地の繰り返しパターンで発生した回折光(ノイズ光)が混入し、検査すべき表面の繰り返しパターンの欠陥検査を良好に行えないことがあった。
本発明の目的は、下地の影響を低減して表面の繰り返しパターンの欠陥検査を良好に行える表面検査装置および表面検査方法を提供することにある。
本発明の表面検査装置は、被検物体の表面に形成された繰り返しパターンに対して照明光を照射する照射手段と、前記照明光の照射方向と前記表面の法線とを含む入射面の前記表面における方向と前記繰り返しパターンの繰り返し方向との成す角度を0以外の所定値に設定する設定手段と、前記照明光が照射されたときに前記繰り返しパターンから発生する正反射光を受光し、該正反射光の光強度に関わる情報を出力する受光手段と、前記受光手段から出力される前記正反射光の光強度に関わる情報に基づいて、前記繰り返しパターンの欠陥を検出する検出手段とを備え、前記入射面の前記表面における方向と前記繰り返し方向との成す角度φ、前記照明光の照射方向と前記表面の法線との成す角度θ、前記照明光の波長λ、および、前記繰り返しパターンのピッチpは、次の条件式を満足するものである。
λ/[2cos(θ・sinφ)]>p
また、前記照明光は、複数の異なる波長の光を含むことが好ましい。
また、前記受光手段の感度の波長特性に応じて、前記照明光の各波長の光強度を調整する調整手段を備えることが好ましい。
また、少なくとも前記照射手段および前記受光手段の何れか1つの光路上に配置され、所定の偏光成分を抽出する抽出手段を備えることが好ましい。
また、前記表面に直交する軸を中心に前記被検物体を回転させる第1の回転手段を備えることが好ましい。
また、前記入射面に直交して前記表面内に含まれる軸を中心に前記照射手段と前記受光手段と前記被検物体との少なくとも2つをそれぞれ回転させる第2の回転手段を備えることが好ましい。
本発明の表面検査方法は、被検物体の表面に形成された繰り返しパターンに対して照明光を照射し、該照明光が照射されたときに前記繰り返しパターンから発生する正反射光を受光し、該正反射光の光強度に関わる情報に基づいて、前記繰り返しパターンの欠陥を検出するに当たって、前記照明光の照射方向と前記表面の法線とを含む入射面の前記表面における方向と前記繰り返しパターンの繰り返し方向との成す角度を0以外の所定値に設定し、
前記入射面の前記表面における方向と前記繰り返し方向との成す角度φ、前記照明光の照射方向と前記表面の法線との成す角度θ、前記照明光の波長λ、および、前記繰り返しパターンのピッチpは、次の条件式を満足するものである。
λ/[2cos(θ・sinφ)]>p
本発明の表面検査装置および表面検査方法によれば、下地の影響を低減して表面の繰り返しパターンの欠陥検査を良好に行うことができる。
第1実施形態の表面検査装置10の全体構成を示す図である。 半導体ウエハ20の表面の外観図である。 繰り返しパターン22の凹凸構造を説明する斜視図である。 照明光L1の入射面(3A)と繰り返しパターン22の繰り返し方向(X方向)との傾き状態を説明する図である。 垂直入射の構造性複屈折を説明する際の直線偏光成分L5,L6の振動面と層の繰り返し方向とを説明する図である。 垂直入射の構造性複屈折を説明する際の屈折率と物質1の厚さt1との関係を示す図である。 反射率と物質1の厚さt1との関係を示す図である。 波長選択フィルタの切替機構を説明する図である。 光源31からの光に含まれる輝線スペクトルの一例を示す図である。 撮像素子37の感度の波長特性を示す図である。 照明光L1の各波長の分光強度(補正前)を説明する図である。 撮像素子37による受光後の実効強度(補正前)を説明する図である。 波長選択フィルタ32の分光透過率の一例を示す図である。 撮像素子37による受光後の実効強度(補正後)を説明する図である。
以下、図面を用いて本発明の実施形態を詳細に説明する。
(第1実施形態)
第1実施形態の表面検査装置10は、図1に示す通り、被検物体20を支持するステージ11と、アライメント系12と、照明系13と、受光系14と、画像処理装置15とで構成される。照明系13は、光源31と、波長選択フィルタ32と、ライトガイドファイバ33と、凹面反射鏡34とで構成される。受光系14は、凹面反射鏡34と同様の凹面反射鏡35と、結像レンズ36と、撮像素子37とで構成される。
被検物体20は、例えば半導体ウエハや液晶ガラス基板などである。被検物体20の表面(レジスト層)には、図2に示すように、複数のショット領域21が配列され、各ショット領域21の中に検査すべき繰り返しパターン22が形成されている。繰り返しパターン22は、配線パターンなどのライン・アンド・スペースのパターンであり、図3に示すように、複数のライン部2Aをその短手方向(X方向)に沿って一定のピッチpで配列したものである。隣り合うライン部2Aどうしの間は、スペース部2Bである。ライン部2Aの配列方向(X方向)を「繰り返しパターン22の繰り返し方向」という。
第1実施形態の表面検査装置10は、半導体回路素子や液晶表示素子の製造工程において、被検物体20の表面に形成された繰り返しパターン22の欠陥検査を自動で行う装置である。この表面検査装置10には、表面(レジスト層)への露光・現像が終わった後の被検物体20が、不図示の搬送系によってカセットまたは現像装置から運ばれ、ステージ11に吸着される。
繰り返しパターン22の欠陥とは、繰り返しパターン22の構造(すなわちデューティ比や断面形状)の変化であり、図3に示すライン部2Aの線幅DAの変化(またはスペース部2Bの線幅DBの変化)に相当する。なお、線幅DA,DBが変化してもピッチpは変わらない。このような欠陥は、繰り返しパターン22を形成する際の露光フォーカスのずれに起因し、被検物体20のショット領域21ごとに現れる。
ステージ11は、被検物体20を上面に載置して例えば真空吸着により固定保持する。さらに、このステージ11は、上面が水平面であり、チルト機構を持たない。このため、被検物体20は水平な状態に保たれる。また、ステージ11には、被検物体20の表面に直交する軸(例えば表面の中心における法線1A)を中心に、被検物体20を回転させる機構が設けられる。この回転機構により、被検物体20の繰り返しパターン22の繰り返し方向(図2,図3のX方向)を、被検物体20の表面内で回転させることができる。
照明系13(図1)は、被検物体20の表面に形成された繰り返しパターン22(図2,図3)に対して、非偏光の照明光L1を照射する。光源31は、メタルハライドランプや水銀ランプなどの安価な放電光源である。波長選択フィルタ32は、光源31からの光のうち所定波長の輝線スペクトルを選択的に透過する。ライトガイドファイバ33は、波長選択フィルタ32からの光を伝送する。凹面反射鏡34は、球面の内側を反射面とした反射鏡であり、前側焦点がライトガイドファイバ33の射出端と略一致し、後側焦点が被検物体20の表面と略一致するように配置される。照明系13は、被検物体20側に対してテレセントリックな光学系である。
この照明系13において、光源31からの光は、波長選択フィルタ32とライトガイドファイバ33と凹面反射鏡34とを介した後、非偏光の照明光L1となって被検物体20の表面全体に斜め方向から入射する。照明光L1の入射角は、被検物体20の表面の各点において略同一であり、表面の各点での法線(図1には表面の中心における法線1Aを例示)と照明光L1の照射方向との成す角度θに相当する。
また、非偏光の照明光L1(入射角θ)により被検物体20の表面の繰り返しパターン22を照明する際には、照明光L1の照射方向と表面の法線1Aとを含む入射面3A(図4)に対して繰り返しパターン22の繰り返し方向(X方向)が次のように設定される。つまり、入射面3Aの表面における方向と繰り返し方向(X方向)との成す角度φが斜めに設定される(0度<φ<90度)。角度φは例えば45度である。
このような角度φの設定は、ステージ11の回転機構とアライメント系12とを用いて行われる。ステージ11によって法線1Aを軸に被検物体20を回転させながら、アライメント系12によって被検物体20の外縁部を照明し、外縁部に設けられた外形基準(例えばノッチ)の回転方向の位置を検出し、所定の位置でステージ11を停止させる。このようなアライメントにより、上記の角度φ(以下「回転角φ」)を斜めに設定することができる。
さらに、上記のように回転角φを斜めに設定して、非偏光の照明光L1(入射角θ)により被検物体20の表面の繰り返しパターン22を照明する際、上記の回転角φ、照明光L1の入射角θ、および、照明光L1の波長λは、繰り返しパターン22のピッチpに応じて、次の条件式(1)を満足するように設定される。
λ/[2cos(θ・sinφ)]>p …(1)
この条件式(1)は、照明光L1が照射されたときに繰り返しパターン22から回折光が発生しないようにするための条件式である。回転角φと入射角θと波長λとピッチpとが条件式(1)を満足する場合、繰り返しパターン22から発生する光には回折光が含まれず、繰り返しパターン22の欠陥検査を回折光により行うことはできない。本実施形態の表面検査装置10は、繰り返しパターン22から発生する正反射光L2によって繰り返しパターン22の欠陥検査を行うものである。
ここで、条件式(1)の導出について簡単に説明する。
一般的な回折の式は、上記の回転角φが0度の場合に、照明光の入射角θと回折角dと回折次数mと繰り返しパターン22のピッチpと波長λとを用いて、次の式(2)により表される。
sind−sinθ=mλ/p …(2)
そして、角度φが0度でない場合は、繰り返しパターン22の繰り返し方向と被検物体20の法線1Aとを含む面(主断面)に対して照明光と回折光とを投影し、主断面に投影された照明光の入射角θ'と回折角d'と用い、次の式(3)が成り立つ。右辺の(θ・sinφ)は、主断面に対する照明光の傾斜角度に相当する。
sind'−sinθ'=mλ/pcos(θ・sinφ) …(3)
式(3)において、回折角d'の取り得る範囲は、−90度≦d'≦90度である。入射角θ'の取り得る範囲は、0度≦θ'≦90度である。このため、式(3)の左辺(=sind'−sinθ')の最小値は−2となり、左辺が−2以上となる条件であれば、繰り返しパターン22から回折光が発生する。
一方、左辺(=sind'−sinθ')が−2より小さくなる条件においては、繰り返しパターン22から回折光が発生しない。左辺が−2のときに発生する回折光はマイナスの次数mであるため、繰り返しパターン22から回折光が発生しない条件は、−1次の回折光が発生しない条件と考えればよい。そこで、式(3)の右辺の回折次数mに−1を代入し、左辺(=sind'−sinθ')が−2より小さくなる条件を考えれば、上記した条件式(1)を得ることができる。
条件式(1)を満足するパラメータの組み合わせ(入射角θ,回転角φ,波長λ,ピッチp)について例示する。例えば、入射角θ=15度、回転角φ=45度とした場合、繰り返しパターン22のピッチp=180nm(ライン部2Aの線幅DA=90nmでデューティ比=1:1)であれば、波長λ>350nmのときに条件式(1)を満足する。また、入射角θと回転角φが上記の例と同じで、繰り返しパターン22のピッチp=110nm(線幅DA=55nm)の場合、波長λ>220nmであれば条件式(1)を満足する。
さらに、入射角θ=45度、回転角φ=45度とした場合は、繰り返しパターン22のピッチp=180nm(線幅DA=90nm)であれば、波長λ>306nmのときに条件式(1)を満足する。繰り返しパターン22のピッチp=110nm(線幅DA=55nm)の場合、波長λ>187nmのときに条件式(1)を満足する。また、上記のような具体例に限らず、条件式(1)を満足するようにパラメータの組み合わせ(入射角θ,回転角φ,波長λ,ピッチp)を選択することで、繰り返しパターン22から回折光が発生しないようにすることができる。
第1実施形態の表面検査装置10は、非偏光の照明光L1によって被検物体20の表面の繰り返しパターン22を照明し、このとき繰り返しパターン22から発生する正反射光L2を受光系14(図1)によって受光し、正反射光L2の光強度に基づいて、繰り返しパターン22の欠陥検査を行うものである。
繰り返しパターン22から発生する正反射光L2の方向は、照明光L1の入射面3Aの面内であり、被検物体20の表面の各点での法線(図1には表面の中心における法線1Aを例示)に対して、照明光L1の入射角θと等しい角度θだけ傾いた方向である。
このような正反射光L2を受光するため、受光系14では、凹面反射鏡35の光軸O35を入射面3A内で被検物体20の表面の法線1Aに対して角度θだけ傾けて配置される。したがって、繰り返しパターン22からの正反射光L2は光軸O35に沿って進行し、受光系14に導かれることになる。
光軸O35に沿って受光系14に導かれた正反射光L2は、凹面反射鏡35と結像レンズ36とを介して集光され、撮像素子37に入射する。このとき、撮像素子37の撮像面には、被検物体20の表面の各点(繰り返しパターン22)からの正反射光L2の光強度に応じて、被検物体20の表面の反射像が形成される。撮像素子37は、例えばCCD撮像素子などであり、撮像面に形成された被検物体20の反射像を光電変換して画像信号(正反射光L2の光強度に関わる情報)を画像処理装置15に出力する。
ここで、被検物体20の反射像の各点における明暗は、被検物体20の表面の各点(繰り返しパターン22)から発生する正反射光L2の強弱に略比例する。さらに、正反射光L2の強弱は、被検物体20の表面の各点における反射率の高低に略比例する。また、各点における反射率の高低は、各点における屈折率に応じて変化する。
各点における反射率と屈折率との関係は、一般に、次のように説明できる。透明媒質Aから透明媒質Bへ斜め方向から光が入射したとき、透明媒質Bの表面における反射率は、光のP偏光成分の反射率RPとS偏光成分の反射率RSとの平均値となる。反射率RP,RSは、透明媒質Aから透明媒質Bへの光の入射角をθ1、透明媒質B内での光の屈折角をθ2として、次の式(4),(5)で表される。
P=(tan(θ1−θ2)/tan(θ1+θ2))2 …(4)
S=(sin(θ1−θ2)/sin(θ1+θ2))2 …(5)
これらの式(4),(5)から分かるように、各偏光成分の反射率RP,RSが、媒質境界での入射角θ1,屈折角θ2に依存して変化するため、反射率RP,RSの平均値(透明媒質Bの表面における反射率)も、入射角θ1,屈折角θ2に依存して変化することになる。
さらに、透明媒質A,Bの屈折率をn1,n2とすると、スネルの法則より、入射角θ1,屈折角θ2の間には、次の式(6)が成り立つ。このため、入射角θ1,屈折角θ2は、透明媒質A,Bの屈折率n1,n2に依存することになる。
n1・sinθ1=n2・sinθ2 …(6)
したがって、透明媒質Bの表面における反射率(反射率RP,RSの平均値)は、透明媒質A,Bの屈折率n1,n2に依存して変化することが分かる。
被検物体20の表面の各点における反射率と屈折率との関係も同様であり、各点における反射率は、各点における屈折率に応じて変化する。そして、各点における屈折率は、各点における繰り返しパターン22の構造(デューティ比や断面形状)に応じて、具体的には例えば図3に示すライン部2Aの線幅DA(またはスペース部2Bの線幅DB)に応じて変化する。
繰り返しパターン22のライン部2Aの線幅DAが変化したときに屈折率が変化する様子は、構造性複屈折という現象により説明できる。簡単のために、照明光を垂直入射させた場合で説明する。また、この説明のために、繰り返しパターン22をモデル化し、図5に示す通り、厚さt1,誘電率ε1の物質1と、厚さt2,誘電率ε2の物質2とからなる層が、照明波長に比べて十分短い繰り返し周期で、平面上に複数個配列されたとする。
この繰り返しパターン(物質1,2からなる層の繰り返し配列)に非偏光の照明光が照射されると、照明光に含まれる各偏光は、繰り返しパターンの層(物質1,2)の繰り返し方向に平行な振動面の直線偏光成分L5(図5(a))と、繰り返し方向に垂直な振動面の直線偏光成分L6(図5(b))とに分かれ、各偏光成分L5,L6ごとに、構造性複屈折(繰り返しパターンの異方性に起因する屈折率の差)に応じた異なる反射率で反射する。
図5(a)に示す直線偏光成分L5では、層(物質1,2)を横切るように電場が印加され、この電場に応じて小さな分極が生じる。電場から見ると、各層の分極は直列に並ぶ。このときの見かけの誘電率εXは、次式(7)により表すことができる。そして、垂直入射の場合、誘電率εXの物質における屈折率nXは、次式(8)によって表される。式(8)の屈折率nXは、直線偏光成分L5に対する屈折率である。
Figure 2007069457
また、図5(b)に示す直線偏光成分L6では、層(物質1,2)の長手方向に沿って電場が印加され、この電場に応じて分極が生じる。電場から見ると、各層の分極は並列に並ぶ。このときの見かけの誘電率εYは、層の厚さ(t1+t2)の加重平均となり、次式(9)により表すことができる。そして、垂直入射の場合、誘電率εYの物質における屈折率nYは、次式(10)によって表される。式(10)の屈折率nYは、直線偏光成分L6に対する屈折率である。
Figure 2007069457
そして、図5(a)の直線偏光成分L5と図5(b)の直線偏光成分L6とを含む非偏光の照明光に対する屈折率nAVEは、概略、直線偏光成分L5に対する屈折率nX(式(8))と、直線偏光成分L6に対する屈折率nY(式(10))との平均値となり、次の式(11)により表すことができる。
AVE =(nX+nY)/2 …(11)
さらに、被検物体20の表面の各点における屈折率(上記した非偏光の照明光に対する屈折率nAVE)と、層(物質1,2)を構成する物質1の厚さt1との関係を図示すると、図6に示すようになる。図6には、層の繰り返し方向に平行な直線偏光成分L5の見かけの屈折率nX,繰り返し方向に垂直な直線偏光成分L6の見かけの屈折率nYも併せて図示した。
図6の計算では、物質1をレジスト(誘電率ε1=2.43)とし、物質2を空気(誘電率ε2=1)とし、層の厚さ(t1+t2)を100nmとした。層の厚さ(t1+t2)は、繰り返しパターン22のピッチpに対応する。また、物質1は繰り返しパターン22のライン部2Aに対応し、物質1の厚さt1はライン部2Aの線幅DAに対応する(図3)。物質2はスペース部2Bに対応し、物質2の厚さt2はスペース部2Bの線幅DBに対応する。
図6から分かるように、被検物体20の表面の各点における屈折率(上記した非偏光の照明光に対する屈折率nAVE)は、層を構成する物質1の厚さt1(繰り返しパターン22のライン部2Aの線幅DA)に依存して変化することになる。
さらに、図6に示す物質1の厚さt1(線幅DA)と被検物体20の表面の各点における屈折率(nAVE)との関係から、表面の各点における反射率と物質1の厚さt1(線幅DA)との関係を計算すると、図7のようになる。図7では、表面の反射率を示しているので、厚さt1=0のときの反射率は0%である。
図7から、被検物体20の表面の各点における反射率も、物質1の厚さt1(線幅DA)に依存して変化することが分かる。なお、図7の計算では、上記の回転角φ(図4)が0度でない場合を想定し、入射光のP偏光成分とS偏光成分との各々について、繰り返し方向と平行な偏光成分L5の見かけの屈折率nX,繰り返し方向と垂直な偏光成分L6の見かけの屈折率nYから反射率を計算して足し合わせている。
このように、被検物体20の表面の各点において、繰り返しパターン22の構造に異常が生じ、ライン部2Aの線幅DA(またはスペース部2Bの線幅DB)が変化すると、その部分の屈折率(nAVE )が変化し、結果として反射率も変化することになる。
被検物体20の表面の各点における反射率の変化は、図7に示す通り、ライン部2Aの線幅DAが太いほど反射率が高く、線幅DAが細いほど反射率が低くなる傾向にある。
このため、被検物体20の表面の各点から発生する正反射光L2は、線幅DAが太いほど光強度が強く、線幅DAが細いほど光強度が弱くなり、その強弱が被検物体20の反射像の明暗となって現れる。すなわち、ライン部2Aの線幅DAが太い部分ほど反射像が明るく、線幅DAが細い部分ほど反射像が暗くなる。反射像の明暗は、被検物体20のショット領域21(図2)ごとに現れる。
本実施形態の表面検査装置10(図1)では、ライン部2Aの線幅DAの変化(繰り返しパターン22の構造の変化)を反映した被検物体20の反射像が撮像素子37の撮像面に形成され、撮像素子37から画像処理装置15に対して、被検物体20の反射像の明暗に関わる情報(画像信号)が出力される。このため、画像処理装置15では、撮像素子37からの画像信号に基づいて、繰り返しパターン22の欠陥(例えば線幅DAの変化などの構造の変化)を検出することができる。
例えば、撮像素子37からの画像信号に基づいて被検物体20の画像を取り込み、その輝度情報を良品ウエハの画像の輝度情報と比較する。良品ウエハとは、繰り返しパターン22が理想的な形状(例えばデューティ比1:1)で表面全体に形成されたものである。良品ウエハの画像の輝度は、理想的な繰り返しパターン22の形成箇所において略一定値となる。これに対し、被検物体20の画像の輝度は、繰り返しパターン22の正常/異常に応じて各ショット領域21(図2)ごとに異なる値を持つ。なお、被検物体20の画像は、被検物体20の比較的広い領域(全領域または一部領域)の画像であり、マクロ画像とも呼ばれる。
画像処理装置15では、被検物体20の画像と良品ウエハの画像とを比較し、各画像の輝度差に基づいて繰り返しパターン22の正常/異常を判断し、繰り返しパターン22の欠陥を検出する。例えば、各画像の輝度差が予め定めた閾値(許容値)よりも小さければ正常と判断し、閾値よりも大きければ異常と判断し、異常の箇所を欠陥として検出する。異常の箇所(欠陥)とは、繰り返しパターン22の例えばライン部2Aの線幅DAが設計マージンを超えて太くなったり細くなったりした箇所である。
また、画像処理装置15による繰り返しパターン22の欠陥の検出には、上記した良品ウエハの画像と比較する方法の他に、次のような方法を用いることもできる。すなわち、被検物体20のショット領域21の配列データと輝度値の閾値を予め記憶しておき、取り込んだ被検物体20の画像における各ショット領域21の位置を上記の配列データに基づいて把握し、各ショット領域21の輝度値を求める。そして、各ショット領域21の輝度値と予め記憶している閾値とを比較することで、繰り返しパターン22の欠陥を検出する。閾値より輝度値が小さいショット領域21を欠陥と判断すればよい。
さらに、被検物体20のショット領域21ごとの繰り返しパターンの配置は同様であるため、良品のショット領域21を特定し、その輝度値を基準に欠陥検出を行ってもよい。被検物体20の画像の輝度値と限界サンプルの画像の輝度値とを比較してもよい。シミュレーションで輝度値の基準を決定し、その基準値との比較によって繰り返しパターン22の欠陥を検出してもよい。良品ウエハを用いない場合、全面良品の専用ウエハを作る必要がなくなるという利点がある。
上記したように、本実施形態の表面検査装置10では、被検物体20の表面の繰り返しパターン22を照明したときに繰り返しパターン22から発生する正反射光L2の光強度に基づいて繰り返しパターン22の欠陥検査を行う際、上記の回転角φ(図4)を斜めに設定すると共に、この回転角φと照明光L1の入射角θと波長λと繰り返しパターン22のピッチpとが条件式(1)を満足するように各部を設定する。
このような設定を行うと、被検物体20の表面の繰り返しパターン22から回折光が発生することはなく、また、繰り返しパターン22と同程度のピッチの繰り返しパターンが下地に形成されている場合には、下地の繰り返しパターンから同様の回折光が発生することもない。したがって、表面の繰り返しパターン22で発生した正反射光L2(信号光)に、表面の繰り返しパターン22からの回折光(ノイズ光)や、下地の繰り返しパターンからの回折光(ノイズ光)が混入することはない。
下地からの回折光はコントラストが高く、仮に下地からの回折光がノイズ光として混入していると、この回折光成分によるコントラストの変化に埋もれて、検査すべき表面からの正反射光L2(信号光)の変化が検出し難くなってしまう。
ところが、本実施形態の表面検査装置10では、上記のような設定を行い、下地からの回折光(および表面からの回折光)がノイズ光として正反射光L2(信号光)に混入することはないため、相対的に正反射光L2(信号光)の変化を捉え易くなる。
また、表面からの正反射光L2(信号光)には、下地からの正反射光がノイズ光として混入する。しかし、その割合(信号光に対するノイズ光の割合)は、従来の回折光による欠陥検査の場合より格段に小さい。つまり、本発明の正反射光による欠陥検査の場合には、従来の回折光による欠陥検査の場合と比較して、信号光に対するノイズ光の割合を格段に小さくすることができる。
したがって、本実施形態の表面検査装置10によれば、被検物体20から発生した正反射光(その大部分は検査すべき表面の繰り返しパターン22から発生した正反射光L2)を利用することで、下地の影響を低減して表面の繰り返しパターン22の欠陥検査を良好に行うことができる。
また、従来の回折光による欠陥検査では、原理的に、繰り返しパターンのピッチが所定値(=(回折次数)×(照明光の波長)÷2)より小さくなると回折光が発生せず、欠陥検査を行うことができない。さらに、繰り返しピッチが所定値近傍でも、装置内での照明系や受光系の配置に制約があり、回折光による欠陥検査を行うことは難しい。繰り返しピッチの微細化に対応するためには、照明光の波長を短くして上記の所定値を小さくすることになるが、光源の種類が高価で大がかりなものに限定され、照明系や受光系を構成する光学素子の材料も高価なものに限定されるため、好ましくない。
これに対し、本実施形態の表面検査装置10では、被検物体20からの正反射光(主に表面からの正反射光L2)を利用して繰り返しパターン22の欠陥検査を行うため、上記のような制約がなく、繰り返しピッチの微細化にも確実に対応できる。つまり、繰り返しパターン22のピッチpが照明光の波長λと比較して十分に小さくても、その欠陥検査を良好に行うことができる。ただし、ピッチpが波長λと比較して十分に小さい場合に限らず、ピッチpが波長λと同程度であっても、ピッチpが波長λより大きくても、繰り返しパターン22の欠陥検査を行えるのは言うまでもない。つまり、繰り返しパターン22のピッチpに拘わらず、その欠陥検査を確実に行うことができる。
さらに、本実施形態の表面検査装置10では、被検物体20の繰り返しパターン22のピッチpが異なる場合でも、被検物体20を水平な状態に保ったままで(ステージ11のチルト調整を行わずに)、その欠陥検査を行える。このため、実際に欠陥検査を開始する(つまり被検物体20の画像を取り込む)までの準備時間を確実に短縮することができ、作業効率が向上する。
さらに、本実施形態の表面検査装置10では、ステージ11がチルト機構を持たないため、装置構成が簡素化する。また、照明系13の光源31として安価な放電光源を用いることができ、表面検査装置10の全体構成が安価で簡素なものとなる。
また、本実施形態の表面検査装置10では、被検物体20の表面に複数種類の繰り返しパターンが形成され、ピッチpや繰り返し方向(X方向)の異なる繰り返しパターンが混在している場合でも、被検物体20の表面の反射画像を一括で取り込むことにより、全ての繰り返しパターンの欠陥検査を簡単に行うことができる。
例えば、繰り返し方向の異なる2種類の繰り返しパターンは、0度方向の繰り返しパターンと90度方向の繰り返しパターンとである。これらの繰り返しパターンは、互いに、繰り返し方向が直交している。この場合、上記の回転角φ(図4)を45度に設定すれば、各々の繰り返しパターンの欠陥検査の条件を共通化でき、各々の欠陥検査を同時に且つ良好に行うことができる。
さらに、本実施形態の表面検査装置10では、繰り返しパターン22のライン部2Aの線幅DAの設計値がピッチpの1/2である(ライン部2Aとスペース部2Bとの理想的なデューティ比が1:1である)場合に限らず、理想的なデューティ比が1:1以外の場合でも、同様に良好な欠陥検査を行える。この場合、繰り返しパターン22の形状変化によっては被検物体20の反射画像の輝度値が大きくなることもある。
なお、照明光L1の波長λについては、回転角φと入射角θとピッチpと共に上記条件式(1)を満足するように波長選択フィルタ32を切り替えて適宜選択すればよいが、さらに、被検物体20の反射防止膜(ARC)の吸収帯に含まれる波長を選択することがより好ましい。この場合、反射防止膜での吸収によって下地に到達する光量が減衰するため、表面と下地との分離に有利となる。このような波長λの選択は、検査レシピから波長λに関わる情報を読み出し、波長選択フィルタ32を切り替えて行えばよい。
(第2実施形態)
ここでは、照明光L1が複数の異なる波長の光を含む例について説明する。複数の波長とは、複数の輝線スペクトルのように離散的な波長でも構わないし、ブロードな波長帯域のように連続的な波長でも構わない。以下の説明では、照明光L1が複数の異なる波長の輝線スペクトルを含むとする。
複数の輝線スペクトルの各波長λは、上記と同様、回転角φと入射角θとピッチpと共に条件式(1)を満足するように、波長選択フィルタ32を切り替えて適宜選択すればよく、被検物体20の反射防止膜の吸収帯に含まれる波長を選択することがより好ましい。
波長選択フィルタ32の切り替え機構としては、例えば図8に示す通り、透過帯域の異なる複数の波長選択フィルタ32を円盤状のターレット38に取り付け、ターレット38を不図示のモータなどの駆動機構により回転させる構成が考えられる。
光源31からの光が例えば図9に示すような多数の輝線スペクトル(e線など)を含む場合、透過帯域αの波長選択フィルタ32を光路上に配置すれば、e線(546nm),g線(436nm),h線(405nm)の3つの輝線スペクトルを選択的に透過し、照明光L1として被検物体20に照射できる。さらに、透過帯域βの波長選択フィルタ32に交換すれば、g線,h線,i線(365nm)の3つの輝線スペクトルを選択的に透過し、また、透過帯域γの波長選択フィルタ32に交換すれば、h線,i線,j線(313nm)の3つの輝線スペクトルを選択的に透過し、被検物体20に照射することができる。
そして、照明光L1が複数の輝線スペクトルを含む場合には、各波長λの輝線スペクトルにより被検物体20から正反射光L2が発生し、各波長λの正反射光L2の光強度が撮像素子37の撮像面において合成される。また、撮像素子37から画像処理装置15に出力される画像信号は、各波長λの正反射光L2の合成後の光強度に関わる情報となる。この場合、画像処理装置15は、合成後の光強度に基づいて繰り返しパターン22の欠陥検査を行うことになる。
被検物体20の下地に膜厚ムラがある場合、この膜厚ムラを反映した干渉縞(下地での干渉による明暗の模様)が、検査すべき表面からの正反射光L2(信号光)による反射像に重なってしまうと、表面の繰り返しパターン22の欠陥を検出し難くなる。照明光L1が単一波長の場合、下地の膜厚ムラを反映した干渉縞が発生すると、この干渉縞が表面の反射像に重なってしまい、良好な欠陥検査を行うことができない。
しかし、本実施形態の表面検査装置では、照明光L1が複数の輝線スペクトルを含むため、下地の膜厚ムラを反映した干渉縞が発生しても、各波長λごとに干渉縞の状態(形状)が異なり、各波長λの干渉縞の光強度が合成されて明暗の模様を打ち消し合う。このため、表面の反射像に重なる最終的な干渉縞のコントラストを小さくすることができる。つまり、下地の膜厚ムラを反映した干渉縞の影響を軽減することができる。
このように、複数の輝線スペクトルを含む照明光L1によって被検物体20を照明することで、下地に膜厚ムラがある場合でも、その膜厚ムラの影響を低減して表面の繰り返しパターン22の欠陥検査を良好に行うことができる。照明光L1に含まれる複数の波長が離散的な場合に限らず、連続的な場合にも同様の効果を得ることができる。
また、下地の膜厚ムラの影響を低減できるので、被検物体20の各ショット領域21(図2)において繰り返しパターン22の形成箇所が面積的に小さい(下地の露出箇所が面積的に大きい)プロセスの欠陥検査にも有効である。
さらに、撮像素子37の感度は一般に各波長λごとに異なり、例えば図10に示す通り、500nm付近の波長に対する感度が最も高く、それより短波長側や長波長側では感度が低下する。図10では一例として400〜550nmの範囲の感度を示した。このような撮像素子37の感度の波長特性に応じて、照明光L1の各波長の光強度を調整することで、下地の膜厚ムラの影響をより効果的に低減することができる。
ここで、光源31からの光のうち、図10の波長範囲に含まれる輝線スペクトル(図9のe線,g線,h線)を例に、照明光L1の各波長の光強度の調整について説明する。波長選択フィルタ32によってe線,g線,h線を選択的に透過する際、波長選択フィルタ32の透過帯域αにおける分光透過率が一定であると、照明光L1に含まれるe線,g線,h線の分光強度は例えば図11のようになる。
この場合、照明光L1が照射されたときに被検物体20から発生する正反射光L2の各波長λ(e線,g線,h線)の分光感度は図11と同様になるが、これを図10に示す感度特性の撮像素子37によって受光すると、受光後のe線,g線,h線の分光強度(以下「実効強度」)は、図12に示す通り、短波長側で低くなってしまう。このため、下地の膜厚ムラを反映した各波長λの干渉縞の打ち消し合いが、短波長側で不十分となってしまう。
そこで、撮像素子37の感度の波長特性(図10)を考慮し、波長選択フィルタ32の透過帯域αにおける分光透過率を、図13に示す通り、500nm付近で低く、それより短波長側や長波長側では高くなるように設定する。この場合、波長選択フィルタ32の分光透過率(図13)に応じて、照明光L1の各波長λ(e線,g線,h線)の光強度が調整され、撮像素子37による受光後の実効強度を、図14に示す通り、各波長λ(e線,g線,h線)ごとに一定とすることができる。
したがって、下地の膜厚ムラを反映した各波長λの干渉縞を十分に打ち消し合うことができ、下地の膜厚ムラの影響をより効果的に低減することができる。撮像素子37による受光後の実効強度を各波長λごとに一定とすれば、下地の膜厚ムラの影響を最も効果的に低減できるが、本発明はこれに限定されない。受光後の実効強度が各波長λごとに一定でなくても、撮像素子37の感度の波長特性を補正するように照明光L1の各波長λの光強度を調整すれば、下地の膜厚ムラの影響の低減効果を高めることができる。
なお、波長選択フィルタ32で選択する波長帯域(図9)は、上記した波長帯域α,β,γに限定されない。被検物体20の表面や下地から回折光が発生しない波長(条件式(1)を満たす波長)であれば、j線より短い波長帯域(例えば240nm〜313nm)の光を用いてもよいし、e線より長い波長帯域の光を用いてもよい。また、照明光L1に含まれる波長の数も上記のような3つに限らず、2つでも4つ以上でもよい。
(変形例)
上記した実施形態では、非偏光の照明光L1により被検物体20を照明したが、本発明はこれに限定されない。被検物体20の表面や下地から回折光が発生しない波長(条件式(1)を満たす波長)であれば、偏光(例えば直線偏光)による照明を行ってもよい。この場合、照明系13および/または受光系15の光路上に偏光板を挿脱可能に配置し、所定の偏光成分を抽出すればよい。照明系13と受光系15との双方に偏光板を挿入する場合には、各偏光板の透過軸が互いに直交するような配置(いわゆるクロスニコルの配置)とすることが好ましい。
正反射光L2による欠陥検査の際に、被検物体20を偏光(例えば直線偏光)によって照明すれば、表面での反射率を高くすることができ、その分だけ下地の影響を小さくすることができる。また、直線偏光で照明する場合には、上記の回転角φ(図4)を45度に設定することが好ましく、欠陥検査の感度を高めることができる。直線偏光としてはP偏光でもS偏光でも構わないが、表面のみの変化を捉えるにはS偏光で照明する方がより好ましい。また、パターンの内部構造を含めた変化を捉えるにはP偏光で照明するのがより好ましい。被検物体20の表面に対するP偏光,S偏光の反射率,透過率が異なるため、表面のみの変化を捉えたり、内部構造も含めた変化を捉えたりすることが可能となる。
また、上記した実施形態では、ステージ11がチルト機構を持たない例で説明したが、本発明はこれに限定されない。入射面3A(図4)に直交して被検物体20の表面内に含まれる軸(チルト軸)を中心にステージ11(被検物体20)を回転可能としてもよい。
さらに、照明系13と受光系14と被検物体20との少なくとも2つを、それぞれ上記のチルト軸を中心に回転させてもよい。このような構成とすれば、被検物体20に対する照明光L1の入射角θを変化させることができ、入射角θの変化によって反射率が変わるため、被検物体20の表面の変化をより捉えやすくすることが可能となる。
また、上記した実施形態では、撮像素子37としてCCDなどの2次元センサを用いたが、1次元センサを用いても良い。この場合、撮像素子である1次元センサと被検物体である半導体ウエハ(または液晶基板)を載せたステージとを相対移動させ、1次元センサが半導体ウエハ(または液晶基板)の表面全体を走査するようにして、その表面全面の画像を取り込むようにすればよい。
【書類名】明細書
【発明の名称】表面検査装置および表面検査方法
【技術分野】
【0001】
本発明は、被検物体の表面に形成された繰り返しパターンの欠陥検査を行う表面検査装置および表面検査方法に関する。
【背景技術】
【0002】
被検物体(例えば半導体ウエハや液晶基板など)の表面に形成された繰り返しパターンに検査用の照明光を照射し、このとき繰り返しパターンから発生する回折光に基づいて、繰り返しパターンの欠陥検査を行う装置が知られている(例えば特許文献1を参照)。
【特許文献1】特開平10−232122号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかし、半導体ウエハなどの被検物体には表面の繰り返しパターンと同程度のピッチの繰り返しパターンが下地にも形成されていることがある。このため、上記の回折光による欠陥検査では、表面の繰り返しパターンで発生した回折光(信号光)に、下地の繰り返しパターンで発生した回折光(ノイズ光)が混入し、検査すべき表面の繰り返しパターンの欠陥検査を良好に行えないことがあった。
【0004】
本発明の目的は、下地の影響を低減して表面の繰り返しパターンの欠陥検査を良好に行える表面検査装置および表面検査方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の表面検査装置は、被検物体の表面に形成された繰り返しパターンに対して照明光を照射する照射手段と前記照明光が照射されたときに前記繰り返しパターンから発生する正反射光を受光し、該正反射光の光強度に関わる情報を出力する受光手段と、前記受光手段から出力される前記正反射光の光強度に関わる情報に基づいて、前記繰り返しパターンの欠陥を検出する検出手段とを備え、前記照明光の波長λ、および、前記繰り返しパターンのピッチpは、前記繰り返しパターンから回折光が発生しない次の条件式を満足するものである。
【0006】
λ/2>p
また、前記照明光は、複数の異なる波長の光を含むことが好ましい。
また、前記受光手段の感度の波長特性に応じて、前記照明光の各波長の光強度を調整する調整手段を備えることが好ましい
【0007】
また、前記表面に直交する軸を中心に前記被検物体を回転させる第1の回転手段を備えることが好ましい
【0008】
本発明の表面検査方法は、被検物体の表面に形成された繰り返しパターンに対して照明光を照射し、該照明光が照射されたときに前記繰り返しパターンから発生する正反射光を受光し、該正反射光の光強度に関わる情報に基づいて、前記繰り返しパターンの欠陥を検出するに当たって、前記照明光の波長λ、および、前記繰り返しパターンのピッチpは、前記繰り返しパターンから回折光が発生しない次の条件式を満足するものである。
【0009】
λ/2>p
【発明の効果】
【0010】
本発明の表面検査装置および表面検査方法によれば、下地の影響を低減して表面の繰り返しパターンの欠陥検査を良好に行うことができる。
【0011】
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、図面を用いて本発明の実施形態を詳細に説明する。
(第1実施形態)
第1実施形態の表面検査装置10は、図1に示す通り、被検物体20を支持するステージ11と、アライメント系12と、照明系13と、受光系14と、画像処理装置15とで構成される。照明系13は、光源31と、波長選択フィルタ32と、ライトガイドファイバ33と、凹面反射鏡34とで構成される。受光系14は、凹面反射鏡34と同様の凹面反射鏡35と、結像レンズ36と、撮像素子37とで構成される。
【0013】
被検物体20は、例えば半導体ウエハや液晶ガラス基板などである。被検物体20の表面(レジスト層)には、図2に示すように、複数のショット領域21が配列され、各ショット領域21の中に検査すべき繰り返しパターン22が形成されている。繰り返しパターン22は、配線パターンなどのライン・アンド・スペースのパターンであり、図3に示すように、複数のライン部2Aをその短手方向(X方向)に沿って一定のピッチpで配列したものである。隣り合うライン部2Aどうしの間は、スペース部2Bである。ライン部2Aの配列方向(X方向)を「繰り返しパターン22の繰り返し方向」という。
【0014】
第1実施形態の表面検査装置10は、半導体回路素子や液晶表示素子の製造工程において、被検物体20の表面に形成された繰り返しパターン22の欠陥検査を自動で行う装置である。この表面検査装置10には、表面(レジスト層)への露光・現像が終わった後の被検物体20が、不図示の搬送系によってカセットまたは現像装置から運ばれ、ステージ11に吸着される。
【0015】
繰り返しパターン22の欠陥とは、繰り返しパターン22の構造(すなわちデューティ比や断面形状)の変化であり、図3に示すライン部2Aの線幅DAの変化(またはスペース部2Bの線幅DBの変化)に相当する。なお、線幅DA,DBが変化してもピッチpは変わらない。このような欠陥は、繰り返しパターン22を形成する際の露光フォーカスのずれに起因し、被検物体20のショット領域21ごとに現れる。
【0016】
ステージ11は、被検物体20を上面に載置して例えば真空吸着により固定保持する。さらに、このステージ11は、上面が水平面であり、チルト機構を持たない。このため、被検物体20は水平な状態に保たれる。また、ステージ11には、被検物体20の表面に直交する軸(例えば表面の中心における法線1A)を中心に、被検物体20を回転させる機構が設けられる。この回転機構により、被検物体20の繰り返しパターン22の繰り返し方向(図2,図3のX方向)を、被検物体20の表面内で回転させることができる。
【0017】
照明系13(図1)は、被検物体20の表面に形成された繰り返しパターン22(図2,図3)に対して、非偏光の照明光L1を照射する。光源31は、メタルハライドランプや水銀ランプなどの安価な放電光源である。波長選択フィルタ32は、光源31からの光のうち所定波長の輝線スペクトルを選択的に透過する。ライトガイドファイバ33は、波長選択フィルタ32からの光を伝送する。凹面反射鏡34は、球面の内側を反射面とした反射鏡であり、前側焦点がライトガイドファイバ33の射出端と略一致し、後側焦点が被検物体20の表面と略一致するように配置される。照明系13は、被検物体20側に対してテレセントリックな光学系である。
【0018】
この照明系13において、光源31からの光は、波長選択フィルタ32とライトガイドファイバ33と凹面反射鏡34とを介した後、非偏光の照明光L1となって被検物体20の表面全体に斜め方向から入射する。照明光L1の入射角は、被検物体20の表面の各点において略同一であり、表面の各点での法線(図1には表面の中心における法線1Aを例示)と照明光L1の照射方向との成す角度θに相当する。
【0019】
また、非偏光の照明光L1(入射角θ)により被検物体20の表面の繰り返しパターン22を照明する際には、照明光L1の照射方向と表面の法線1Aとを含む入射面3A(図4)に対して繰り返しパターン22の繰り返し方向(X方向)が次のように設定される。つまり、入射面3Aの表面における方向と繰り返し方向(X方向)との成す角度φが斜めに設定される(0度<φ<90度)。角度φは例えば45度である。
【0020】
このような角度φの設定は、ステージ11の回転機構とアライメント系12とを用いて行われる。ステージ11によって法線1Aを軸に被検物体20を回転させながら、アライメント系12によって被検物体20の外縁部を照明し、外縁部に設けられた外形基準(例えばノッチ)の回転方向の位置を検出し、所定の位置でステージ11を停止させる。このようなアライメントにより、上記の角度φ(以下「回転角φ」)を斜めに設定することができる。
【0021】
【0022】
【0023】
【0024】
【0025】
【0026】
【0027】
第1実施形態の表面検査装置10は、非偏光の照明光L1によって被検物体20の表面の繰り返しパターン22を照明し、このとき繰り返しパターン22から発生する正反射光L2を受光系14(図1)によって受光し、正反射光L2の光強度に基づいて、繰り返しパターン22の欠陥検査を行うものである。
繰り返しパターン22から発生する正反射光L2の方向は、照明光L1の入射面3Aの面内であり、被検物体20の表面の各点での法線(図1には表面の中心における法線1Aを例示)に対して、照明光L1の入射角θと等しい角度θだけ傾いた方向である。
【0028】
このような正反射光L2を受光するため、受光系14では、凹面反射鏡35の光軸O35を入射面3A内で被検物体20の表面の法線1Aに対して角度θだけ傾けて配置される。したがって、繰り返しパターン22からの正反射光L2は光軸O35に沿って進行し、受光系14に導かれることになる。
光軸O35に沿って受光系14に導かれた正反射光L2は、凹面反射鏡35と結像レンズ36とを介して集光され、撮像素子37に入射する。このとき、撮像素子37の撮像面には、被検物体20の表面の各点(繰り返しパターン22)からの正反射光L2の光強度に応じて、被検物体20の表面の反射像が形成される。撮像素子37は、例えばCCD撮像素子などであり、撮像面に形成された被検物体20の反射像を光電変換して画像信号(正反射光L2の光強度に関わる情報)を画像処理装置15に出力する。
【0029】
ここで、被検物体20の反射像の各点における明暗は、被検物体20の表面の各点(繰り返しパターン22)から発生する正反射光L2の強弱に略比例する。さらに、正反射光L2の強弱は、被検物体20の表面の各点における反射率の高低に略比例する。また、各点における反射率の高低は、各点における屈折率に応じて変化する。
各点における反射率と屈折率との関係は、一般に、次のように説明できる。透明媒質Aから透明媒質Bへ斜め方向から光が入射したとき、透明媒質Bの表面における反射率は、光のP偏光成分の反射率RPとS偏光成分の反射率RSとの平均値となる。反射率RP,RSは、透明媒質Aから透明媒質Bへの光の入射角をθ1、透明媒質B内での光の屈折角をθ2として、次の式(4),(5)で表される。
【0030】
P=(tan(θ1−θ2)/tan(θ1+θ2))2 …(4)
S=(sin(θ1−θ2)/sin(θ1+θ2))2 …(5)
これらの式(4),(5)から分かるように、各偏光成分の反射率RP,RSが、媒質境界での入射角θ1,屈折角θ2に依存して変化するため、反射率RP,RSの平均値(透明媒質Bの表面における反射率)も、入射角θ1,屈折角θ2に依存して変化することになる。
【0031】
さらに、透明媒質A,Bの屈折率をn1,n2とすると、スネルの法則より、入射角θ1,屈折角θ2の間には、次の式(6)が成り立つ。このため、入射角θ1,屈折角θ2は、透明媒質A,Bの屈折率n1,n2に依存することになる。
n1・sinθ1=n2・sinθ2 …(6)
したがって、透明媒質Bの表面における反射率(反射率RP,RSの平均値)は、透明媒質A,Bの屈折率n1,n2に依存して変化することが分かる。
【0032】
被検物体20の表面の各点における反射率と屈折率との関係も同様であり、各点における反射率は、各点における屈折率に応じて変化する。そして、各点における屈折率は、各点における繰り返しパターン22の構造(デューティ比や断面形状)に応じて、具体的には例えば図3に示すライン部2Aの線幅DA(またはスペース部2Bの線幅DB)に応じて変化する。
【0033】
繰り返しパターン22のライン部2Aの線幅DAが変化したときに屈折率が変化する様子は、構造性複屈折という現象により説明できる。簡単のために、照明光を垂直入射させた場合で説明する。また、この説明のために、繰り返しパターン22をモデル化し、図5に示す通り、厚さt1,誘電率ε1の物質1と、厚さt2,誘電率ε2の物質2とからなる層が、照明波長に比べて十分短い繰り返し周期で、平面上に複数個配列されたとする。
【0034】
この繰り返しパターン(物質1,2からなる層の繰り返し配列)に非偏光の照明光が照射されると、照明光に含まれる各偏光は、繰り返しパターンの層(物質1,2)の繰り返し方向に平行な振動面の直線偏光成分L5(図5(a))と、繰り返し方向に垂直な振動面の直線偏光成分L6(図5(b))とに分かれ、各偏光成分L5,L6ごとに、構造性複屈折(繰り返しパターンの異方性に起因する屈折率の差)に応じた異なる反射率で反射する。
【0035】
図5(a)に示す直線偏光成分L5では、層(物質1,2)を横切るように電場が印加され、この電場に応じて小さな分極が生じる。電場から見ると、各層の分極は直列に並ぶ。このときの見かけの誘電率εXは、次式(7)により表すことができる。そして、垂直入射の場合、誘電率εXの物質における屈折率nXは、次式(8)によって表される。式(8)の屈折率nXは、直線偏光成分L5に対する屈折率である。
【0036】
【数1】
Figure 2007069457
【0037】
また、図5(b)に示す直線偏光成分L6では、層(物質1,2)の長手方向に沿って電場が印加され、この電場に応じて分極が生じる。電場から見ると、各層の分極は並列に並ぶ。このときの見かけの誘電率εYは、層の厚さ(t1+t2)の加重平均となり、次式(9)により表すことができる。そして、垂直入射の場合、誘電率εYの物質における屈折率nYは、次式(10)によって表される。式(10)の屈折率nYは、直線偏光成分L6に対する屈折率である。
【0038】
【数2】
Figure 2007069457
【0039】
そして、図5(a)の直線偏光成分L5と図5(b)の直線偏光成分L6とを含む非偏光の照明光に対する屈折率nAVEは、概略、直線偏光成分L5に対する屈折率nX(式(8))と、直線偏光成分L6に対する屈折率nY(式(10))との平均値となり、次の式(11)により表すことができる。
AVE =(nX+nY)/2 …(11)
さらに、被検物体20の表面の各点における屈折率(上記した非偏光の照明光に対する屈折率nAVE)と、層(物質1,2)を構成する物質1の厚さt1との関係を図示すると、図6に示すようになる。図6には、層の繰り返し方向に平行な直線偏光成分L5の見かけの屈折率nX,繰り返し方向に垂直な直線偏光成分L6の見かけの屈折率nYも併せて図示した。
【0040】
図6の計算では、物質1をレジスト(誘電率ε1=2.43)とし、物質2を空気(誘電率ε2=1)とし、層の厚さ(t1+t2)を100nmとした。層の厚さ(t1+t2)は、繰り返しパターン22のピッチpに対応する。また、物質1は繰り返しパターン22のライン部2Aに対応し、物質1の厚さt1はライン部2Aの線幅DAに対応する(図3)。物質2はスペース部2Bに対応し、物質2の厚さt2はスペース部2Bの線幅DBに対応する。
【0041】
図6から分かるように、被検物体20の表面の各点における屈折率(上記した非偏光の照明光に対する屈折率nAVE)は、層を構成する物質1の厚さt1(繰り返しパターン22のライン部2Aの線幅DA)に依存して変化することになる。
さらに、図6に示す物質1の厚さt1(線幅DA)と被検物体20の表面の各点における屈折率(nAVE)との関係から、表面の各点における反射率と物質1の厚さt1(線幅DA)との関係を計算すると、図7のようになる。図7では、表面の反射率を示しているので、厚さt1=0のときの反射率は0%である。
【0042】
図7から、被検物体20の表面の各点における反射率も、物質1の厚さt1(線幅DA)に依存して変化することが分かる。なお、図7の計算では、上記の回転角φ(図4)が0度でない場合を想定し、入射光のP偏光成分とS偏光成分との各々について、繰り返し方向と平行な偏光成分L5の見かけの屈折率nX,繰り返し方向と垂直な偏光成分L6の見かけの屈折率nYから反射率を計算して足し合わせている。
【0043】
このように、被検物体20の表面の各点において、繰り返しパターン22の構造に異常が生じ、ライン部2Aの線幅DA(またはスペース部2Bの線幅DB)が変化すると、その部分の屈折率(nAVE )が変化し、結果として反射率も変化することになる。
被検物体20の表面の各点における反射率の変化は、図7に示す通り、ライン部2Aの線幅DAが太いほど反射率が高く、線幅DAが細いほど反射率が低くなる傾向にある。
【0044】
このため、被検物体20の表面の各点から発生する正反射光L2は、線幅DAが太いほど光強度が強く、線幅DAが細いほど光強度が弱くなり、その強弱が被検物体20の反射像の明暗となって現れる。すなわち、ライン部2Aの線幅DAが太い部分ほど反射像が明るく、線幅DAが細い部分ほど反射像が暗くなる。反射像の明暗は、被検物体20のショット領域21(図2)ごとに現れる。
【0045】
本実施形態の表面検査装置10(図1)では、ライン部2Aの線幅DAの変化(繰り返しパターン22の構造の変化)を反映した被検物体20の反射像が撮像素子37の撮像面に形成され、撮像素子37から画像処理装置15に対して、被検物体20の反射像の明暗に関わる情報(画像信号)が出力される。このため、画像処理装置15では、撮像素子37からの画像信号に基づいて、繰り返しパターン22の欠陥(例えば線幅DAの変化などの構造の変化)を検出することができる。
【0046】
例えば、撮像素子37からの画像信号に基づいて被検物体20の画像を取り込み、その輝度情報を良品ウエハの画像の輝度情報と比較する。良品ウエハとは、繰り返しパターン22が理想的な形状(例えばデューティ比1:1)で表面全体に形成されたものである。良品ウエハの画像の輝度は、理想的な繰り返しパターン22の形成箇所において略一定値となる。これに対し、被検物体20の画像の輝度は、繰り返しパターン22の正常/異常に応じて各ショット領域21(図2)ごとに異なる値を持つ。なお、被検物体20の画像は、被検物体20の比較的広い領域(全領域または一部領域)の画像であり、マクロ画像とも呼ばれる。
【0047】
画像処理装置15では、被検物体20の画像と良品ウエハの画像とを比較し、各画像の輝度差に基づいて繰り返しパターン22の正常/異常を判断し、繰り返しパターン22の欠陥を検出する。例えば、各画像の輝度差が予め定めた閾値(許容値)よりも小さければ正常と判断し、閾値よりも大きければ異常と判断し、異常の箇所を欠陥として検出する。異常の箇所(欠陥)とは、繰り返しパターン22の例えばライン部2AのDAが設計マージンを超えて太くなったり細くなったりした箇所である。
【0048】
また、画像処理装置15による繰り返しパターン22の欠陥の検出には、上記した良品ウエハの画像と比較する方法の他に、次のような方法を用いることもできる。すなわち、被検物体20のショット領域21の配列データと輝度値の閾値を予め記憶しておき、取り込んだ被検物体20の画像における各ショット領域21の位置を上記の配列データに基づいて把握し、各ショット領域21の輝度値を求める。そして、各ショット領域21の輝度値と予め記憶している閾値とを比較することで、繰り返しパターン22の欠陥を検出する。閾値より輝度値が小さいショット領域21を欠陥と判断すればよい。
【0049】
さらに、被検物体20のショット領域21ごとの繰り返しパターンの配置は同様であるため、良品のショット領域21を特定し、その輝度値を基準に欠陥検出を行ってもよい。被検物体20の画像の輝度値と限界サンプルの画像の輝度値とを比較してもよい。シミュレーションで輝度値の基準を決定し、その基準値との比較によって繰り返しパターン22の欠陥を検出してもよい。良品ウエハを用いない場合、全面良品の専用ウエハを作る必要がなくなるという利点がある。
【0050】
【0051】
【0052】
下地からの回折光はコントラストが高く、仮に下地からの回折光がノイズ光として混入していると、この回折光成分によるコントラストの変化に埋もれて、検査すべき表面からの正反射光L2(信号光)の変化が検出し難くなってしまう。
ところが、本実施形態の表面検査装置10では、上記のような設定を行い、下地からの回折光(および表面からの回折光)がノイズ光として正反射光L2(信号光)に混入することはないため、相対的に正反射光L2(信号光)の変化を捉え易くなる。
【0053】
また、表面からの正反射光L2(信号光)には、下地からの正反射光がノイズ光として混入する。しかし、その割合(信号光に対するノイズ光の割合)は、従来の回折光による欠陥検査の場合より格段に小さい。つまり、本発明の正反射光による欠陥検査の場合には、従来の回折光による欠陥検査の場合と比較して、信号光に対するノイズ光の割合を格段に小さくすることができる。
【0054】
したがって、本実施形態の表面検査装置10によれば、被検物体20から発生した正反射光(その大部分は検査すべき表面の繰り返しパターン22から発生した正反射光L2)を利用することで、下地の影響を低減して表面の繰り返しパターン22の欠陥検査を良好に行うことができる。
また、従来の回折光による欠陥検査では、原理的に、繰り返しパターンのピッチが所定値(=(回折次数)×(照明光の波長)÷2)より小さくなると回折光が発生せず、欠陥検査を行うことができない。さらに、繰り返しピッチが所定値近傍でも、装置内での照明系や受光系の配置に制約があり、回折光による欠陥検査を行うことは難しい。繰り返しピッチの微細化に対応するためには、照明光の波長を短くして上記の所定値を小さくすることになるが、光源の種類が高価で大がかりなものに限定され、照明系や受光系を構成する光学素子の材料も高価なものに限定されるため、好ましくない。
【0055】
これに対し、本実施形態の表面検査装置10では、被検物体20からの正反射光(主に表面からの正反射光L2)を利用して繰り返しパターン22の欠陥検査を行うため、上記のような制約がなく、繰り返しピッチの微細化にも確実に対応できる。つまり、繰り返しパターン22のピッチpが照明光の波長λと比較して十分に小さくても、その欠陥検査を良好に行うことができる
【0056】
さらに、本実施形態の表面検査装置10では、被検物体20の繰り返しパターン22のピッチpが異なる場合でも、被検物体20を水平な状態に保ったままで(ステージ11のチルト調整を行わずに)、その欠陥検査を行える。このため、実際に欠陥検査を開始する(つまり被検物体20の画像を取り込む)までの準備時間を確実に短縮することができ、作業効率が向上する。
【0057】
さらに、本実施形態の表面検査装置10では、ステージ11がチルト機構を持たないため、装置構成が簡素化する。また、照明系13の光源31として安価な放電光源を用いることができ、表面検査装置10の全体構成が安価で簡素なものとなる。
また、本実施形態の表面検査装置10では、被検物体20の表面に複数種類の繰り返しパターンが形成され、ピッチpや繰り返し方向(X方向)の異なる繰り返しパターンが混在している場合でも、被検物体20の表面の反射画像を一括で取り込むことにより、全ての繰り返しパターンの欠陥検査を簡単に行うことができる。
【0058】
例えば、繰り返し方向の異なる2種類の繰り返しパターンは、0度方向の繰り返しパターンと90度方向の繰り返しパターンとである。これらの繰り返しパターンは、互いに、繰り返し方向が直交している。この場合、上記の回転角φ(図4)を45度に設定すれば、各々の繰り返しパターンの欠陥検査の条件を共通化でき、各々の欠陥検査を同時に且つ良好に行うことができる。
【0059】
さらに、本実施形態の表面検査装置10では、繰り返しパターン22のライン部2Aの線幅DAの設計値がピッチpの1/2である(ライン部2Aとスペース部2Bとの理想的なデューティ比が1:1である)場合に限らず、理想的なデューティ比が1:1以外の場合でも、同様に良好な欠陥検査を行える。この場合、繰り返しパターン22の形状変化によっては被検物体20の反射画像の輝度値が大きくなることもある。
【0060】
なお、照明光L1の波長λについては、長選択フィルタ32を切り替えて適宜選択すればよいが、さらに、被検物体20の反射防止膜(ARC)の吸収帯に含まれる波長を選択することがより好ましい。この場合、反射防止膜での吸収によって下地に到達する光量が減衰するため、表面と下地との分離に有利となる。このような波長λの選択は、検査レシピから波長λに関わる情報を読み出し、波長選択フィルタ32を切り替えて行えばよい。
【0061】
(第2実施形態)
ここでは、照明光L1が複数の異なる波長の光を含む例について説明する。複数の波長とは、複数の輝線スペクトルのように離散的な波長でも構わないし、ブロードな波長帯域のように連続的な波長でも構わない。以下の説明では、照明光L1が複数の異なる波長の輝線スペクトルを含むとする。
【0062】
複数の輝線スペクトルの各波長λは、上記と同様、長選択フィルタ32を切り替えて適宜選択すればよく、被検物体20の反射防止膜の吸収帯に含まれる波長を選択することがより好ましい。
波長選択フィルタ32の切り替え機構としては、例えば図8に示す通り、透過帯域の異なる複数の波長選択フィルタ32を円盤状のターレット38に取り付け、ターレット38を不図示のモータなどの駆動機構により回転させる構成が考えられる。
【0063】
光源31からの光が例えば図9に示すような多数の輝線スペクトル(e線など)を含む場合、透過帯域αの波長選択フィルタ32を光路上に配置すれば、e線(546nm),g線(436nm),h線(405nm)の3つの輝線スペクトルを選択的に透過し、照明光L1として被検物体20に照射できる。さらに、透過帯域βの波長選択フィルタ32に交換すれば、g線,h線,i線(365nm)の3つの輝線スペクトルを選択的に透過し、また、透過帯域γの波長選択フィルタ32に交換すれば、h線,i線,j線(313nm)の3つの輝線スペクトルを選択的に透過し、被検物体20に照射することができる。
【0064】
そして、照明光L1が複数の輝線スペクトルを含む場合には、各波長λの輝線スペクトルにより被検物体20から正反射光L2が発生し、各波長λの正反射光L2の光強度が撮像素子37の撮像面において合成される。また、撮像素子37から画像処理装置15に出力される画像信号は、各波長λの正反射光L2の合成後の光強度に関わる情報となる。この場合、画像処理装置15は、合成後の光強度に基づいて繰り返しパターン22の欠陥検査を行うことになる。
【0065】
被検物体20の下地に膜厚ムラがある場合、この膜厚ムラを反映した干渉縞(下地での干渉による明暗の模様)が、検査すべき表面からの正反射光L2(信号光)による反射像に重なってしまうと、表面の繰り返しパターン22の欠陥を検出し難くなる。照明光L1が単一波長の場合、下地の膜厚ムラを反映した干渉縞が発生すると、この干渉縞が表面の反射像に重なってしまい、良好な欠陥検査を行うことができない。
【0066】
しかし、本実施形態の表面検査装置では、照明光L1が複数の輝線スペクトルを含むため、下地の膜厚ムラを反映した干渉縞が発生しても、各波長λごとに干渉縞の状態(形状)が異なり、各波長λの干渉縞の光強度が合成されて明暗の模様を打ち消し合う。このため、表面の反射像に重なる最終的な干渉縞のコントラストを小さくすることができる。つまり、下地の膜厚ムラを反映した干渉縞の影響を軽減することができる。
【0067】
このように、複数の輝線スペクトルを含む照明光L1によって被検物体20を照明することで、下地に膜厚ムラがある場合でも、その膜厚ムラの影響を低減して表面の繰り返しパターン22の欠陥検査を良好に行うことができる。照明光L1に含まれる複数の波長が離散的な場合に限らず、連続的な場合にも同様の効果を得ることができる。
また、下地の膜厚ムラの影響を低減できるので、被検物体20の各ショット領域21(図2)において繰り返しパターン22の形成箇所が面積的に小さい(下地の露出箇所が面積的に大きい)プロセスの欠陥検査にも有効である。
【0068】
さらに、撮像素子37の感度は一般に各波長λごとに異なり、例えば図10に示す通り、500nm付近の波長に対する感度が最も高く、それより短波長側や長波長側では感度が低下する。図10では一例として400〜550nmの範囲の感度を示した。このような撮像素子37の感度の波長特性に応じて、照明光L1の各波長の光強度を調整することで、下地の膜厚ムラの影響をより効果的に低減することができる。
【0069】
ここで、光源31からの光のうち、図10の波長範囲に含まれる輝線スペクトル(図9のe線,g線,h線)を例に、照明光L1の各波長の光強度の調整について説明する。波長選択フィルタ32によってe線,g線,h線を選択的に透過する際、波長選択フィルタ32の透過帯域αにおける分光透過率が一定であると、照明光L1に含まれるe線,g線,h線の分光強度は例えば図11のようになる。
【0070】
この場合、照明光L1が照射されたときに被検物体20から発生する正反射光L2の各波長λ(e線,g線,h線)の分光感度は図11と同様になるが、これを図10に示す感度特性の撮像素子37によって受光すると、受光後のe線,g線,h線の分光強度(以下「実効強度」)は、図12に示す通り、短波長側で低くなってしまう。このため、下地の膜厚ムラを反映した各波長λの干渉縞の打ち消し合いが、短波長側で不十分となってしまう。
【0071】
そこで、撮像素子37の感度の波長特性(図10)を考慮し、波長選択フィルタ32の透過帯域αにおける分光透過率を、図13に示す通り、500nm付近で低く、それより短波長側や長波長側では高くなるように設定する。この場合、波長選択フィルタ32の分光透過率(図13)に応じて、照明光L1の各波長λ(e線,g線,h線)の光強度が調整され、撮像素子37による受光後の実効強度を、図14に示す通り、各波長λ(e線,g線,h線)ごとに一定とすることができる。
【0072】
したがって、下地の膜厚ムラを反映した各波長λの干渉縞を十分に打ち消し合うことができ、下地の膜厚ムラの影響をより効果的に低減することができる。撮像素子37による受光後の実効強度を各波長λごとに一定とすれば、下地の膜厚ムラの影響を最も効果的に低減できるが、本発明はこれに限定されない。受光後の実効強度が各波長λごとに一定でなくても、撮像素子37の感度の波長特性を補正するように照明光L1の各波長λの光強度を調整すれば、下地の膜厚ムラの影響の低減効果を高めることができる。
【0073】
なお、波長選択フィルタ32で選択する波長帯域(図9)は、上記した波長帯域α,β,γに限定されない。被検物体20の表面や下地から回折光が発生しない波長あれば、j線より短い波長帯域(例えば240nm〜313nm)の光を用いてもよいし、e線より長い波長帯域の光を用いてもよい。また、照明光L1に含まれる波長の数も上記のような3つに限らず、2つでも4つ以上でもよい。
【0074】
(変形例)
上記した実施形態では、非偏光の照明光L1により被検物体20を照明したが、本発明はこれに限定されない。被検物体20の表面や下地から回折光が発生しない波長あれば、偏光(例えば直線偏光)による照明を行ってもよい。この場合、照明系13および/または受光系15の光路上に偏光板を挿脱可能に配置し、所定の偏光成分を抽出すればよい。照明系13と受光系15との双方に偏光板を挿入する場合には、各偏光板の透過軸が互いに直交するような配置(いわゆるクロスニコルの配置)とすることが好ましい。
【0075】
正反射光L2による欠陥検査の際に、被検物体20を偏光(例えば直線偏光)によって照明すれば、表面での反射率を高くすることができ、その分だけ下地の影響を小さくすることができる。また、直線偏光で照明する場合には、上記の回転角φ(図4)を45度に設定することが好ましく、欠陥検査の感度を高めることができる。直線偏光としてはP偏光でもS偏光でも構わないが、表面のみの変化を捉えるにはS偏光で照明する方がより好ましい。また、パターンの内部構造を含めた変化を捉えるにはP偏光で照明するのがより好ましい。被検物体20の表面に対するP偏光,S偏光の反射率,透過率が異なるため、表面のみの変化を捉えたり、内部構造も含めた変化を捉えたりすることが可能となる。
【0076】
また、上記した実施形態では、ステージ11がチルト機構を持たない例で説明したが、本発明はこれに限定されない。入射面3A(図4)に直交して被検物体20の表面内に含まれる軸(チルト軸)を中心にステージ11(被検物体20)を回転可能としてもよい。
さらに、照明系13と受光系14と被検物体20との少なくとも2つを、それぞれ上記のチルト軸を中心に回転させてもよい。このような構成とすれば、被検物体20に対する照明光L1の入射角θを変化させることができ、入射角θの変化によって反射率が変わるため、被検物体20の表面の変化をより捉えやすくすることが可能となる。
【0077】
また、上記した実施形態では、撮像素子37としてCCDなどの2次元センサを用いたが、1次元センサを用いても良い。この場合、撮像素子である1次元センサと被検物体である半導体ウエハ(または液晶基板)を載せたステージとを相対移動させ、1次元センサが半導体ウエハ(または液晶基板)の表面全体を走査するようにして、その表面全面の画像を取り込むようにすればよい。
【0078】
【図面の簡単な説明】
【図1】第1実施形態の表面検査装置10の全体構成を示す図である。
【図2】半導体ウエハ20の表面の外観図である。
【図3】繰り返しパターン22の凹凸構造を説明する斜視図である。
【図4】照明光L1の入射面(3A)と繰り返しパターン22の繰り返し方向(X方向)との傾き状態を説明する図である。
【図5】垂直入射の構造性複屈折を説明する際の直線偏光成分L5,L6の振動面と層の繰り返し方向とを説明する図である。
【図6】垂直入射の構造性複屈折を説明する際の屈折率と物質1の厚さt1との関係を示す図である。
【図7】反射率と物質1の厚さt1との関係を示す図である。
【図8】波長選択フィルタの切替機構を説明する図である。
【図9】光源31からの光に含まれる輝線スペクトルの一例を示す図である。
【図10】撮像素子37の感度の波長特性を示す図である。
【図11】照明光L1の各波長の分光強度(補正前)を説明する図である。
【図12】撮像素子37による受光後の実効強度(補正前)を説明する図である。
【図13】波長選択フィルタ32の分光透過率の一例を示す図である。
【図14】撮像素子37による受光後の実効強度(補正後)を説明する図である。

Claims (7)

  1. 被検物体の表面に形成された繰り返しパターンに対して照明光を照射する照射手段と、
    前記照明光の照射方向と前記表面の法線とを含む入射面の前記表面における方向と前記繰り返しパターンの繰り返し方向との成す角度を0以外の所定値に設定する設定手段と、
    前記照明光が照射されたときに前記繰り返しパターンから発生する正反射光を受光し、該正反射光の光強度に関わる情報を出力する受光手段と、
    前記受光手段から出力される前記正反射光の光強度に関わる情報に基づいて、前記繰り返しパターンの欠陥を検出する検出手段とを備え、
    前記入射面の前記表面における方向と前記繰り返し方向との成す角度φ、前記照明光の照射方向と前記表面の法線との成す角度θ、前記照明光の波長λ、および、前記繰り返しパターンのピッチpは、次の条件式を満足する
    λ/[2cos(θ・sinφ)]>p
    ことを特徴とする表面検査装置。
  2. 請求項1に記載の表面検査装置において、
    前記照明光は、複数の異なる波長の光を含む
    ことを特徴とする表面検査装置。
  3. 請求項2に記載の表面検査装置において、
    前記受光手段の感度の波長特性に応じて、前記照明光の各波長の光強度を調整する調整手段を備えた
    ことを特徴とする表面検査装置。
  4. 請求項1から請求項3の何れか1項に記載の表面検査装置において、
    少なくとも前記照射手段および前記受光手段の何れか1つの光路上に配置され、所定の偏光成分を抽出する抽出手段を備えた
    ことを特徴とする表面検査装置。
  5. 請求項1から請求項4の何れか1項に記載の表面検査装置において、
    前記表面に直交する軸を中心に前記被検物体を回転させる第1の回転手段を備えた
    ことを特徴とする表面検査装置。
  6. 請求項1から請求項5の何れか1項に記載の表面検査装置において、
    前記入射面に直交して前記表面内に含まれる軸を中心に前記照射手段と前記受光手段と前記被検物体との少なくとも2つをそれぞれ回転させる第2の回転手段を備えた
    ことを特徴とする表面検査装置。
  7. 被検物体の表面に形成された繰り返しパターンに対して照明光を照射し、該照明光が照射されたときに前記繰り返しパターンから発生する正反射光を受光し、該正反射光の光強度に関わる情報に基づいて、前記繰り返しパターンの欠陥を検出するに当たって、
    前記照明光の照射方向と前記表面の法線とを含む入射面の前記表面における方向と前記繰り返しパターンの繰り返し方向との成す角度を0以外の所定値に設定し、
    前記入射面の前記表面における方向と前記繰り返し方向との成す角度φ、前記照明光の照射方向と前記表面の法線との成す角度θ、前記照明光の波長λ、および、前記繰り返しパターンのピッチpは、次の条件式を満足する
    λ/[2cos(θ・sinφ)]>p
    ことを特徴とする表面検査方法。
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