JPWO2007034774A1 - オムツカバー体 - Google Patents

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Abstract

【課題】 排泄物を含む汚物の漏洩を防止し、取り扱いを容易にし、介護者、看護師などの負担を軽減したオムツカバー体の提供。【解決手段】身体の排泄部近傍を包囲し汚物吸引部材13等給排路部材を接続したオムツカップ2を包囲するように設けられるものであって、使用後廃棄することが可能なオムツカバー体17とした。オムツカバー体17は、給排路部材、オムツカップの接続部とからなる給排路手段を挿通可能に開口した開口部17bを有している。仮に、使用者が向きをかえる等でオムツカップから漏洩する汚物があっても、オムツカバー体17の吸収体17cが汚物を吸収して、汚物のオムツカバー体外への漏洩を防止する構成とした。介護者、看護師等は夜間排泄物処理のための作業が必要なく、またオムツカバー体17の取り扱いが容易になった。

Description

本発明は、通常の体位では排泄できない病人、歩行に障害等がありトイレにいけない人、あるいは、いわゆる寝たきりの人(例えば、寝たきりの高齢者)等に利用される排泄物処理装置におけるオムツカバー体に関する。更に詳しくは、寝たきりの人等の使用者の排泄部にオムツカップを取り付け、寝たままの状態であっても排泄物処理を行うオムツカップ方式の排泄物処理装置において、排泄物の漏洩をなくし、取り扱いを容易にしたオムツカバー体に関する。
従来からこの種の関連技術は、数多く提案されている。代表的なものは腰臀部を覆って使用されるオムツそのものであるが、オムツカップで包囲しているものも多く知られている。また、差込式便器や便器付きの介護用ベッドなども知られている。オムツカップについては、例えば、オムツカップを身体の体型に合うように弾性変形可能な構成にしたものとし、このオムツカップを覆うオムツカバーの交換作業が容易でかつ漏水のないものとしての装置が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
また、前述のように様々な体型の人に容易に合わせることができるとともに、洗浄水等で濡れたオムツカップ内に乾燥させた空気を排出口に向けて吐出し、汚物をオムツカップに残さないようにして排出する装置が提案されている(例えば、特許文献2参照)。更に、臭気を除くようにした便器タイプのものも提案されている(例えば、特許文献3参照)。
特許第3077085号公報 特開2001−112802号公報 特開2002−153522号公報
しかしながら、従来から種々の提案が試みられているものの、排泄物の漏洩を完全に防止すると称している装置においては、まだ多くの問題点を残し改善の余地があるのが現状である。腰臀部との密着性をよくしてオムツカップの周囲から洗浄水、排泄物や汚物の漏れを防止することで開発されたものであっても、完全ではなく長時間に亘るとどうしても漏れが生じベッド等を汚しているのが現状である。
オムツカップ方式の排泄物処理装置は、専用のオムツカバーを装着するようになっている。これらは、排泄物がオムツカップから漏れないように考えられてはいるが、どうしても少しは外部に漏れてしまうのが現状であり、オムツカップから少しでも漏れると、オムツカバーを汚してしまうからである。オムツカバーにも、漏洩防止の対策はなされているものが多いが、場合によっては、ベッド等を汚してしまうおそれもある。排泄物に直接関わるオムツカップ、及び、オムツカップから漏れてしまった排泄物がたまったり付着したりするオムツカバーは衛生面から洗浄して清潔にしておかなくてはならない。
一般家庭では、このオムツカバーのような大きさのものを洗浄するには、風呂場、浴室等を使用することになる。なぜなら、一般にトイレに大型の洗浄用槽を有していないからである。しかしながら、オムツカップ、オムツカバーの洗浄処理、乾燥処理、あるいは洗浄処理後の風呂場、浴室等の後処理などは、その作業が面倒で力仕事となる上、作業時間を要する作業となる。従って、このことはその作業を行う介護者にストレスをためるもとにもなる。特に、オムツカバーはオムツカップに比べ、大型であり、その都度洗浄、乾燥させる作業はかなり高負担、重労働になるという問題点があった。さらに、このオムツカバーは、構造が複雑で、一人で使用者に装着することが困難であり、介護者、介助者等装着する者はかなりの実習、経験を必要とする。
オムツカップ、オムツカバーには、被介護者、患者、寝たきりの人等使用者の身体が接触している部分に生じるおそれがある鬱血、褥瘡等の防止、オムツカバー内から排泄物の漏洩の防止等の役目がある。従来からこの関係においてもいろいろな提案がなされているが、排泄物等の漏洩防止と鬱血、褥瘡の防止とは相反する点もあり、排泄物等の漏洩防止、鬱血、褥瘡の防止を行う点において、これも決め手がないのが現状である。
オムツカバー等は介護者、看護師、看護者、介助者などが殆ど扱うものである以上、使用者等へ取り付けた後、次に取り外しを行なうまでの間は、完全に漏洩のないものであることが理想である。従来の紙オムツなどでは、介護者、看護師、看護者、介助者などが、夜間に紙オムツの交換行う必要があり、介護者、看護師、看護者、介助者などの負担は大きかった。また、オムツカップ方式の排泄物処理装置では、夜間にオムツカップ、オムツカバーから漏洩がなければ、介護者、看護者、介助者などは夜間起きる必要がなく、介護者、看護者、介助者などの負担は大幅に軽減される。また、看護師の場合には、夜間、他の業務を行うことが可能となる。そこで、オムツカップ方式において外部に漏洩がないオムツカバー体の開発が要望されていた。また、普段から装着方法に慣れた介護者、介助者等でなくても簡単に装着できるオムツカバー体の開発が要望されていた。
特に、高齢化にともない、排泄物処理を介護者、看護師、看護者、介助者などに頼らなければならない人が急増している傾向にある。また、高齢者が高齢者を介護するような例、高齢者を一人または少人数の家族で介護する例も増えており、オムツカップ方式の排泄物処理装置で、漏洩が生じなく、洗浄の必要がなく取り扱いが容易なオムツカバー体の開発が急務となっている。
本発明のオムツカバー体は、このような従来の問題点を解決するもので、看護の現場や介護の現場で容易に扱うことのできるものであって、下記の目的を達成する。
本発明の目的は、オムツカップ方式の排泄物処理装置において、排泄物、汚物の排泄物処理装置外への漏洩を防止し、また、使用後の洗浄、乾燥を不要として、介護者、看護師、看護者、介助者などの負担を軽減できるようにしたオムツカバー体を提供することにある。
本発明の他の目的は、使用後、廃棄することが可能な紙オムツタイプとして、コスト低減、取り扱いの容易化を図ることができるオムツカバー体を提供することにある。
本発明は、前記目的を達成するために次の手段をとる。
本発明1のオムツカバー体は、
陰部及び肛門を含む排泄部近傍を包囲して身体に取り付けられ、前記陰部及び前記肛門から排泄された排泄物を含む汚物を吸引するための汚物吸引手段、前記陰部及び前記肛門を洗浄するための洗浄水を供給するための洗浄水供給手段、及び、前記陰部及び前記肛門を乾燥させるための風を送るための送風手段の各給排路手段が接続されるオムツカップを包囲するように身体に着けられるオムツカバー体であって、前記オムツカップから漏洩した前記排泄物を含む汚物を吸収可能であるとともに、前記給排路手段を挿通可能に開口する開口部を有していることを特徴とする。
本発明2のオムツカバー体は、本発明1において、
前記開口部は、弾力性及び伸縮性を有する漏洩防止体が前記開口部の周縁部に設けられ、前記開口部と前記給排路手段との間から前記排泄物を含む汚物が漏洩しないようになっていることを特徴とする。
本発明3のオムツカバー体は、本発明2において、
前記漏洩防止体は、弾力性及び伸縮性を有するギャザーであることを特徴とする。
本発明4のオムツカバー体は、本発明1において、
前記開口部は、前記給排路手段の配管、配線を接続させるための接続部を挿通するものであることを特徴とする。
本発明5のオムツカバー体は、本発明4において、
前記開口部は、線状の切り込みであり、この切り込みの周縁部に弾力性及び伸縮性を有する漏洩防止体、または、弾力性及び伸縮性を有するギャザーが設けられていることを特徴とする。
本発明6のオムツカバー体は、本発明4において、
前記開口部は、線状の切り込みであり、この切り込みの周縁部に周縁ほつれ防止部材が固着されていることを特徴とする。
本発明7のオムツカバー体は、本発明1から6において、
前記オムツカバー体には、前記排泄物を含む汚物を吸収可能な吸収体が設けられており、前記オムツカップから漏洩した前記排泄物を含む汚物を前記吸収体で吸収して前記オムツカバー体の外部に漏洩させないようにしたことを特徴とする。
本発明8のオムツカバー体は、本発明1から6において、
前記オムツカバー体は、使用した後、廃棄可能な紙オムツタイプのものであることを特徴とする。
本発明9のオムツカバー体は、本発明8において、
前記オムツカバー体は、太股回り用ギャザーが設けられているものであることを特徴とする。
本発明のオムツカバー体は、オムツカップを包囲し、オムツカップから漏洩した排泄物を含む汚物を吸収し、オムツカップを使用した状態で、汚物の長時間漏洩防止が図れることができた。また、このオムツカバー体は、使用した後、廃棄可能な紙オムツタイプとすることにより、洗浄作業を不要とし、廃棄処理を容易にすることで、取り扱いが容易となり、介護者、看護師、看護者などの負担を大幅に軽減できることとなった。さらに、介護者、看護者などは、特に夜間就寝中使用者(被介護者、病人、寝たきりの人等)に付き添ったり、夜間に起きたりすることがなくなり、睡眠時間を多くとることができ、介護、看護の負担が大幅に軽減される。すなわち、介護者、看護師、看護者などの疲労蓄積、ストレス蓄積等の軽減が図れ、翌日もよい体調で、気分爽快に、使用者の介護、看護等を行うことができる。
また、本発明のオムツカバー体は、使用した後、廃棄可能な、安価な市販の紙オムツに類似したものの採用によりコスト低減を図れ、経済的効果を得ることができた。このようなことから、これから訪れる高齢者社会における介護の現場、医療の現場等で最適なものを提供することができた。
さらに、本発明のオムツカバー体は、汚れない限り数回の使用が可能であり、廃棄物として廃棄する量の低減が図れ、資源の節約、地球環境に優しいものとすることができた。
オムツカップ本体の接続部を挿通するオムツカバー体は、ジョイント、コネクタ類を介して、配管、電線類を取り外した状態で、オムツカバー体の取り付け、取り外しができ、作業がたいへん容易で扱いやすいものとすることができた。従って、介護者、看護師、看護者、介助者などの負担をより軽減させることが可能となった。
図1は、本発明のオムツカバー体を設けたオムツカップ方式の排泄物処理装置の全体構成を示す断面図である。 図2は、本発明のオムツカバー体を設けたオムツカップ方式の排泄物処理装置を、使用者に取り付けた状態を模式的に示した外観図である。 図3は、オムツカップの全体構成を示す斜視図である。 図4は、本発明のオムツカバー体であり、ギャザーを備えたオムツカバー体の平面図である。 図5は、オムツカップの正面図である。 図6は、オムツカップの底面図である。 図7は、オムツカバー体の他の実施の形態であり、周縁ほつれ防止部材を備えたオムツカバー体を示す平面図である。
符号の説明
1 … オムツカップ
2 … オムツカップ本体
2a… 接触部分
2b… 配管・配線の接続部
3 … 身体
4 … 窪み
5 … ベルト
6 … 連結部材
13 … 汚物吸引用ホース(配管)
14 … 洗浄水供給用ホース(配管)
15 … 送風用ホース(配管)
16 … センサ用配線
17 … オムツカバー体
17b… 開口部
17c… 吸収体(吸収ポリマー)
17d… ギャザー
本発明の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。
図1は、本発明のオムツカバー体を設けたオムツカップ方式の排泄物処理装置の全体構成を示す断面図である。図2は、本発明のオムツカバー体を設けたオムツカップ方式の排泄物処理装置を、使用者に取り付けた状態を模式的に示した外観図である。図3は、排泄物処理装置の一部をなすオムツカップの全体構成を示す斜視図である。図4は、本発明のオムツカバー体であり、ギャザーを備えたオムツカバー体の平面図である。図5は、排泄物処理装置のオムツカップの正面図、図6はオムツカップを身体の足側からの底面図である。図7は、オムツカバー体の他の実施の形態であり、周縁ほつれ防止部材を備えたオムツカバー体を示す平面図である。
図において、本発明のオムツカバー体に包囲されるオムツカップ1は公知の構成のものである。基本構成については、前述した特許文献に詳細が記載されているので、詳細説明は省略する。本発明の実施の形態の理解を容易にするため、オムツカップ1の概要を説明する。オムツカップ1の本体は、図に示すように身体3の陰部、肛門等の排泄部を包囲する樹脂体で構成されている。オムツカップ本体2は例えばポリカーボネート樹脂等の硬質の合成樹脂(軟質の合成樹脂でもよい)で構成されている。また、オムツカップ本体2の身体に接する接触部分2aは柔軟な材質の合成樹脂、エラストマ樹脂、ゴム等で構成され、身体に密着しオムツカップ本体2から排泄物等が漏洩しないようになっている。また、この接触部分2aを柔軟な材質の合成樹脂、エラストマ樹脂、ゴム等で形成していることにより、鬱血、褥瘡等の発生防止が図られている。
オムツカップ本体2は、図1に示すように、略U字形状に成形されたものになっている。オムツカップ本体2には、中央部の内側に窪み4を形成し、上端に、身体3にこのオムツカップ本体2を固定する固定部材であるベルト5が着脱可能に設けられ、オムツカップ本体2との間は帯状の連結部材6で連結し、長さ調整ができるようになっている。オムツカップ本体2の下端の配管・配線の接続部2bには、汚物吸引用ホース(配管)13と、洗浄水供給用ホース(配管)14と、送風用ホース(配管)15と、センサ用ケーブル(配線)16等の給排路部材が付け外し可能に取り付けられている。配管・配線の接続部2bと給排路部材とで、給排路手段が構成されている。
更に詳しく説明すると、オムツカップ本体2には連結部材6と、カップ部分4bと、陰部を洗浄するための洗浄水(例えば、温水)を噴射するための陰部洗浄用ノズル7と、肛門を洗浄するための洗浄水(例えば、温水)を噴射する肛門洗浄用ノズル8と、オムツカップの内壁面を洗浄するための洗浄水を噴出するカップ洗浄用ノズル9と、排泄物である大便が排泄されたか否かを感知するための大便感知センサ10と、排泄物である小便が排泄されたか否かを感知するための小便感知センサ11と、洗浄された陰部、肛門等を乾燥させるための風(例えば、温風)を吹き出す温風吹き出し口12とを備えている。また、オムツカップ本体2の下端の接続部2bにはジョイント、コネクタ等が設けられている。この接続部2bには、外部側に突出して排泄物を含む汚物回収のため汚物排出口が形成され、この汚物排出口にジョイントが設けられている。この汚物排出口のジョイントに汚物吸引用ホース13が接続されている。さらに、接続部2bのジョイント、コネクタ等には、陰部洗浄用ノズル7、肛門洗浄用ノズル8等に洗浄水を供給する洗浄水供給用ホース14と、風(例えば、温風)を送るための送風用ホース15と、大便感知センサ10、小便感知センサ11に接続されているセンサ用配線16が取り付けられている。この汚物吸引用ホース13、洗浄水供給用ホース14、送風用ホース15、及び、センサ用ケーブル16は一体に束ねられていることが好ましい。
このオムツカップ1は以上のような構成になっているが、身体3に取り付けるときは、ベルト5を開放した状態でオムツカップ本体2を身体3の排泄部を包囲するように当て、位置が定まったところで固定部材、即ちベルト5を固定する。このベルト5の固定には、ワンタッチで着脱の容易なテープ状の面ファスナー5aを使用している。オムツカップ本体2の中央部分は排泄物等の滞留部分で窪み4が設けられた構成になっている。
窪み4の周縁部は、フレーム状に段差の設けられた構成となっており、この周縁部の身体と接触する部分が、柔軟な材質の合成樹脂、エラストマ樹脂、ゴム等で形成されている。この窪み4は排泄部から排泄された排泄物等をオムツカップ1の外部に漏洩するのを避ける構造になっている。また、前述したホース等の給排路部材はこの窪み4部分の下部に接続されている。また、ノズル、センサ等もこの窪み4内に設けられている。排泄物は、汚物吸引用ホース13を介して真空ポンプ等により排泄物を含む汚物として吸引排出され、別置の汚物タンク(図示せず)に回収される。洗浄水供給用ホース14は、陰部洗浄用ノズル7と、肛門洗浄用ノズル8と、カップ洗浄用ノズル9とに接続している。別置の洗浄水供給用タンク(図示せず)から例えば所定の温度に温められた温水を供給している。
送風用ホース15は、乾燥した温風等を送り込むためのものである。この温風によって陰部、肛門等の排泄部及び排泄部近傍を乾燥させている。センサ用ケーブル16は、大便感知センサ10と、小便感知センサ11の感知信号を制御装置に伝達するためのものである。配線の詳細は図示していないが、大便感知センサ10と、小便感知センサ11からの配線は窪み4内を這わせてセンサ用コネクタに接続されている。これらはいずれもオムツカップ本体2に対し着脱自在である。
このような構成になるオムツカップ本体2からの排泄物は、大便感知センサ10または小便感知センサ11により排泄物の存在が検知されると、真空ポンプが作動し汚物吸引用ホース13を介して強制的に回収される。洗浄水供給用ホース14からは洗浄水が供給され、陰部洗浄用ノズル7と、肛門洗浄用ノズル8と、カップ洗浄用ノズル9とから分散して噴出される。また、洗浄水は、大便、小便の判別により、所要のノズルから噴出し排泄部及び排泄部近傍を洗浄する。洗浄水が排泄部及び排泄部近傍を洗浄することで汚れたり、排泄物と混じり合ったりした汚水、排泄物を含む汚物は、汚物吸引用ホース13から吸引回収される。
これらの処理動作は使用者(被介護者、病人、寝たきりの人等)が就寝中であっても行われる。また、使用者が身体の向きを変えたり、寝返りをうったり等の動作を行っても、オムツカップ1は接触部分2aが身体3に密着した状態を維持するようにしている。さらに、排泄物が排泄された場合、その都度自動的に排泄物の存在を検知して排泄物を常時吸引回収するようになっている。本実施の形態においては、このように構成されるオムツカップ1に対し、そのオムツカップ1を覆うオムツカバー体として、使用して廃棄が可能ないわゆる使い捨て可能な紙オムツであるオムツカバー体17を適用している。
このオムツカバー体17は図示するようにオムツカップ1全体を包囲する状態で使用される。就寝中、使用者は前述のように、身体の向きを少し変えたりすることもあるので、オムツカップ本体2の接触部分2aと身体3との間等から排泄物を含む汚物の漏洩が絶対にないとはいえない。また、介護者、看護師、看護者、介助者などが介護用ベッド、医療用ベッドなどのいわゆる電動ベッド等を利用して、使用者の上体を所定の角度まで起こしたり、水平状態に戻したりする場合等でも、排泄物を含む汚物の漏洩が絶対にないとはいえない。
すなわち、排泄物を含む汚物の漏洩を発生させないように、オムツカップ本体2を身体3に過度に押圧していると、褥瘡などを発生させる恐れがあり、オムツカップ本体2を身体3に適度または軽度に押圧して密着させている。そして、排泄物には、固体状の大便、軟らかい大便(軟便)、液体状の大便、小便等がある。このうち、オムツカップ1から漏洩しやすいのは、液体状の大便、小便、排泄部を洗浄した後の汚水等が混じり合った液体状の排泄物を含む汚物である。
しかし、本実施の形態では、仮に漏洩があってもオムツカバー体17で外部への漏洩を防止し回収することができる。すなわち、オムツカバー体17は、基になっている部分は紙オムツであり、液体状の汚物の吸収が可能なものである。紙オムツを基本としているオムツカバー体には、液体(小便等)を吸収可能な吸収ポリマー等の吸収体17cが設けられている。従って、就寝中、排泄物を含む液体状の汚物の一部がオムツカップ1から漏洩してもオムツカバー体17の吸収体17cで吸収するので、このオムツカバー体17から外部に液体状の汚物が漏洩することがなくなる。すなわち、排泄物処理装置から外部に液体状の汚物が漏洩することがなくなり、ベッド等を汚染することがない。また、吸収体17cに吸収された液体状の汚物は吸収体から戻ることはないので、使用者が就寝中に不快感を感じる恐れもない。
排泄物の量や吸引回数等の状態は使用者により異なるが、いずれにしても就寝中の時間帯においては、どのような状態であっても排泄物を含む汚物が排泄物処理装置の外部に漏洩することは防止できるようになる。このため、介護者、看護者、介助者などはこの時間帯(夜間)に、排泄物処理のため起きることも必要がなく、一般の人と同様に睡眠時間を確保できるのである。また、看護師は、夜間勤務時、排泄処理以外の他の業務、医療業務などを行うことが可能となる。
次に本実施の形態のオムツカバー体17について説明する。このオムツカバー体17はオムツカップ1の外側を覆うために使用される。従来、オムツカップ1を覆うオムツカバーには専用の樹脂製オムツカバーが使用されていた。本実施の形態は、このオムツカバーを、使用した後、廃棄可能な紙オムツタイプのオムツカバー体17としたことに特徴がある。オムツカバー体17は図4に示すように、基本形状、性能等は市販されている紙オムツと同一またはほぼ同一のものである。
中央部で腰臀部を包囲するようにして巻き込み、上下で身体3を挟み重ね合わせて、面ファスナー17aで相互に固定するものである。本実施の形態のオムツカバー体17は中央部に所定長さの切り込みである開口部17bを設けている。この開口部17bは、オムツカバー体17を拡げオムツカップ1を包囲したとき、汚物吸引用ホース13、洗浄水供給用ホース14、送風用ホース15、及びセンサ用配線16などの給排路部材、この給排路部材を接続させるためのジョイント・コネクタ部が設けられている接続部2bなどから構成されている給排路手段が挿通可能になっている。
本実施の形態では、開口部17bは、接続部2bを挿通可能な開口部17bとなっている。また、切り込みは図4に示すように直線状の切り込みとなっている。このように構成すると、ジョイント、コネクタ類を介して、配管、電線類を取り外した状態で、オムツカバー体の取り付け、取り外しができ、作業がたいへん容易で扱いやすいものとすることができる。従って、介護者、看護師、看護者、介助者などの負担をより軽減させることが可能となる。
また、オムツカバー体17には、横漏れ防止のための弾力性及び伸縮性を有する太股(足)回り用ギャザー17eが設けられていることが好ましい。この太股回り用ギャザー17eは、太股の回りを包囲するとともに、オムツカップ本体2の外周の外側(足側)を覆うことが可能な位置に設けられていることが好ましい。この太股回り用ギャザー17eが設けられていると、オムツカップ1から漏洩した排泄物を含む汚物が、オムツカバー体17から漏洩しないように、さらに効果的に作用する。
図1は、オムツカップ1にオムツカバー体17を取り付けた構成を示しているが、オムツカップ本体2の下部のホース等はオムツカバー体17から突出した構成になっている。ホース等はオムツカップ本体2に対し、個別に着脱できる構成になっている。ホース等をまとめてワンタッチで着脱できる構成であれば、数本のホースを同時に着脱できるので尚好ましい。通常は個々にホース等を着脱できる構成になるが、前述のように複数のホースを同時に着脱できるようにすれば作業は楽になる。
オムツカバー体17をオムツカップ1を包囲して身体3に取り付けるときはホース等給排路部材を外しておく。オムツカップ本体2の下端の配管・配線の接続部2bはオムツカバー体17の開口部17bを挿通され、オムツカバー体17がオムツカップ1を包囲する。開口部17bの周縁部には、弾力性及び伸縮性を有するいわゆるギャザー17dが設けられている。そして、開口部17bに接続部2bを挿通させた状態では、ギャザー17dの弾力性、伸縮性による弾性変形等によって、開口部17bと接続部2bとが密着しているようになっている。
なお、開口部は、給排路部材、ジョイント・コネクタ部等を挿通するものであってもよい。また、切り込みは、曲線状、または、直線と曲線を組み合わせたものなどであってもよい。さらに、開口部は、切り込み以外の形状(例えば、円形状、楕円形状)であってもよく、接続部、給排路部材、ジョイント・コネクタ部等が、挿通可能で、開口部と接続部、給排路部材、ジョイント・コネクタ部等との間が、密着可能なものであればよい。
図7は、オムツカバー体の他の実施の形態を示す。この他の実施の形態のオムツカバー体17は、市販の紙オムツ等に切り込みである開口部17bを設けている。この開口部17bの周縁部には、周縁部の表面と裏面に、粘着テープ等片面に接着剤が塗布されたテープ部材を固着し、切り込み時に生じた周縁部のほつれを止めるとともに、この切り込み時のほつれから、周縁部のほつれが少しずつ進行していくのを防止している。言い換えると、この他の実施の形態のオムツカバー体17は、開口部17bの周縁部に、周縁部のほつれを止める周縁ほつれ防止部材17fを備えたものである。また、オムツカバー体は、切り込みである開口部17bに周縁部に、周縁部の表面、裏面及び端部に跨るように、所定の幅のテープ部材を固着し、周縁部にほつれが生じるのを防止する周縁ほつれ防止部材を備えたものであってもよい。さらに、テープ部材は、両面テープ状のものであってもよい。特に、オムツカバー体の裏側(オムツカップ本体側)のテープ部材を両面テープ状のものとするとよい。この両面テープ状のテープ部材にした場合、一方の側をオムツカバー体に固着(接着)しておき、他方の側に接着防止用部材を設けておくとよい。そして、オムツカバー体装着時に、接着防止用部材を除去すると、オムツカバー体とオムツカップ本体とを両面テープの他方の側で接着させることができ、排泄物を含む汚物の漏洩防止に効果がある。
すなわち、開口部17bと接続部2bとの間から、排泄部を含む汚物が漏洩しないように構成されている。オムツカバー体17が身体にぴったりフィット(密着)するように面ファスナー17aで固定する。この作業は、市販されている紙オムツを身体に装着する動作とほとんど変わらない動作である。また、オムツカップ1を身体に無理なくフィット(密着)させ、固定できる。
この他の実施の形態のオムツカバー体17にも、横漏れ防止のための太股(足)回り用ギャザー17eが設けられていることが好ましい。この太股回り用ギャザー17eは、太股の回りを包囲するとともに、オムツカップ本体2の外周の外側に位置するように設けられていることが好ましい。この太股回り用ギャザー17eが設けられていると、オムツカップ1から漏洩した排泄物を含む汚物が、オムツカバー体17から漏洩しないように、さらに効果的に作用する。
このオムツカバー体17を取り付けたとき、オムツカップ1の一部はオムツカバー体17を押圧するので、排泄物処理装置は外観上部分的に盛り上がる形態となる。オムツカバー体17の取り付けが終了したら接続部2bのジョイント・コネクタ部等を介してホース等給排路部材を接続する。取り外すときには、この接続を解除することになるが、ジョイント、ホースなどの先端から排泄物を含む汚物を漏出させないように注意が必要である。
このようにすることで、オムツカップ1は全体を完全にオムツカバー体17で包囲されるので、排泄物を含む汚物の漏洩を防止できる。また、オムツカバー体17は使用した後、そのまま廃棄物(一般ごみ等)として廃棄処理でき、前述のように介護者、看護師、看護者、介助者などの負担は大幅に軽減されたものとなる。特に夜間の場合であっても、通常の睡眠時間を確保できる。起床した時にオムツカバー体17、オムツカップ1の交換作業、オムツカバー体17の廃棄処理等を行なえばよい。
なお、本実施の形態のオムツカップ、オムツカバー体を夜間のみ使用する場合には、起床時にオムツカバー体17、オムツカップ1の取り外し作業、就寝時にオムツカバー体17、オムツカップ1の取り付け作業を行うことになる。このように夜間のみ使用する場合、昼間は市販の紙オムツを使用すればよい。
さらに、このオムツカバー体は、汚れない限り数回の使用が可能であり、いわゆる使い捨てタイプのものであっても、廃棄物として廃棄する量の低減が図れ、ゴミ問題、環境問題の発生を抑制することができる。また、このオムツカバー体は、資源の節約を図ることができる。言い換えると、地球環境に優しいものとすることができた。
洗浄、乾燥作業はオムツカップ1のみを行なえばよい。オムツカバー体17は、紙オムツの中央部に開口部17bを有するものであり、量産されれば低コストで販売することが可能である。その場合には開口部17bの周縁部に、弾力性及び伸縮性を有するいわゆるギャザー17dの設けられたもの、あるいは開口部17bの周縁部がゴム等で伸縮自在な構成になっていることが望ましい。このようにすることで、仮にオムツカップ本体2から漏洩した排泄物を含む汚物があってもオムツカバー体17の段階で吸収しその漏洩を完全に防止でき、オムツカバー体17の外部、言い換えると、排泄物処理装置の外部に排泄物を含む汚物が漏洩することを防止できる。
吸引回収された排泄物を含む汚物は、汚物吸引用ホース13を介して、図示していないが別置の汚物タンクに回収され溜められる。この汚物タンクは他の装置とともに、本実施の形態の排泄物処理装置に付随して設けられ、使用者のベッドの近傍に置かれる。この汚物タンク以外に、洗浄水を供給するための装置、乾燥した温風(空気)を送風するための装置、排泄物とともに吸引された空気を脱臭浄化するための装置、及び、センサの感知信号を受けて電気的に処理する制御装置等がセットになっているとよい。
以上、本発明の実施の形態を説明したが、本発明は、この実施の形態に限定されない。本発明の目的、趣旨を逸脱しない範囲内での変更が可能であることはいうまでもない。例えば、開口部が身体に取り付けられた後、開口部と接続部との間に空間が発生するのを防ぐため開口部周縁に簡易チャックを設けたり、面ファスナー等で閉じるようなことをしてもよい。
また、手持ちのオムツカバー体がなくなり、すぐに購入が困難な場合には、市販されている紙オムツに切り込みを入れ、接続部を挿通した後、市販の粘着テープ等を使用して止めるようにしてもよい。
本発明は、通常の体位では排泄できない病人、歩行に障害等がありトイレにいけない人、あるいは、いわゆる寝たきりの人等使用者の介護、看護をしている医療の現場、介護の現場で利用することができる。そのため、使用者、看護師、看護者、介護者、介助者などの負担を大幅に軽減させることができる。

Claims (9)

  1. 陰部及び肛門を含む排泄部近傍を包囲して身体に取り付けられ、前記陰部及び前記肛門から排泄された排泄物を含む汚物を吸引するための汚物吸引手段、前記陰部及び前記肛門を洗浄するための洗浄水を供給するための洗浄水供給手段、及び、前記陰部及び前記肛門を乾燥させるための風を送るための送風手段の各給排路手段が接続されるオムツカップを包囲するように身体に着けられるオムツカバー体であって、
    前記オムツカップから漏洩した前記排泄物を含む汚物を吸収可能であるとともに、前記給排路手段を挿通可能に開口する開口部を有している
    ことを特徴とするオムツカバー体。
  2. 請求項1に記載されたオムツカバー体において、
    前記開口部は、弾力性及び伸縮性を有する漏洩防止体が前記開口部の周縁部に設けられ、前記開口部と前記給排路手段との間から前記排泄物を含む汚物が漏洩しないようになっている
    ことを特徴とするオムツカバー体。
  3. 請求項2に記載されたオムツカバー体において、
    前記漏洩防止体は、弾力性及び伸縮性を有するギャザーである
    ことを特徴とするオムツカバー体。
  4. 請求項1に記載されたオムツカバー体において、
    前記開口部は、前記給排路手段の配管、配線を接続させるための接続部を挿通するものである
    ことを特徴とするオムツカバー体。
  5. 請求項4に記載されたオムツカバー体において、
    前記開口部は、線状の切り込みであり、この切り込みの周縁部に弾力性及び伸縮性を有する漏洩防止体、または、弾力性及び伸縮性を有するギャザーが設けられている
    ことを特徴とするオムツカバー体。
  6. 請求項4に記載されたオムツカバー体において、
    前記開口部は、線状の切り込みであり、この切り込みの周縁部に周縁ほつれ防止部材が固着されている
    ことを特徴とするオムツカバー体。
  7. 請求項1から6のいずれか1項に記載されたオムツカバー体において、
    前記オムツカバー体には、前記排泄物を含む汚物を吸収可能な吸収体が設けられており、
    前記オムツカップから漏洩した前記排泄物を含む汚物を前記吸収体で吸収して前記オムツカバー体の外部に漏洩させないようにした
    ことを特徴とするオムツカバー体。
  8. 請求項1から6のいずれか1項に記載されたオムツカバー体において、
    前記オムツカバー体は、使用した後、廃棄可能な紙オムツタイプのものである
    ことを特徴とするオムツカバー体。
  9. 請求項8に記載されたオムツカバー体において、
    前記オムツカバー体は、太股回り用ギャザーが設けられているものである
    ことを特徴とするオムツカバー体。
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