JPWO2007032120A1 - 歩行パターン作成装置、2足歩行ロボット装置、歩行パターン作成方法、2足歩行ロボット装置の制御方法、プログラムおよび記録媒体 - Google Patents

歩行パターン作成装置、2足歩行ロボット装置、歩行パターン作成方法、2足歩行ロボット装置の制御方法、プログラムおよび記録媒体 Download PDF

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Abstract

パラレルリンク機構の2足歩行ロボット装置に安定した2足歩行を行わせることができる歩行パターン作成装置を提供することを目的とする。足部において目標ゼロモーメントポイントを設定し、設定した目標ゼロモーメントポイントに応じて腰部のモーメント補償軌道を算出し、絶対座標系における腰座標系の原点と絶対座標系における足座標系の原点とから腰座標系から見た足部の位置を算出し、絶対座標系から見た足座標系の姿勢を表わす回転行列と絶対座標系から見た腰座標系の姿勢を表わす回転行列とから腰座標系から見た足座標系原点の姿勢を表わす回転行列を算出して足座標系原点の姿勢を表わす回転行列により足部の姿勢を算出し、歩行パターンにおける立脚前期か後期か及び遊脚前期か後期かを示すフラグである歩容フラグを決定し記憶する。

Description

本発明は、パラレルリンク機構を有する2足歩行ロボット装置に2足歩行を行わせる歩行パターンを作成する装置、その歩行パターンに基づいて2足歩行を行う2足歩行ロボット装置、2足歩行を行わせる歩行パターンを作成する方法、および2足歩行を行う2足歩行ロボット装置の制御方法、ならびに、その歩行パターン作成方法とその2足歩行ロボット装置の制御方法を実行させるためのプログラムおよび記録媒体に関するものである。
従来、パラレルリンク機構を有するロボット装置としては、例えば(特許文献1)に記載されたものがあり、この文献においては、ユニットリンクを3本用いたパラレルリンク駆動機構について記載され、またハンドリングを実現できることが記載されている。しかし、上記文献においては歩行については何ら記載されておらず、従って、パラレルリンク機構を有する2足歩行ロボット装置についても、また、このロボット装置の安定した歩行についても何ら記載されていない。
また、不整路面における2足歩行の安定化の方法は、その観測量にZMPや体幹姿勢、上体加速度などを用いており、路面の凹凸をロボットが踏み込むことによりZMPや体幹姿勢、加速度偏差の急激な変化を観測し、ロボットの力学モデルに基づく高精度な加速度制御を行う方法が一般的である。これらはロボット自体のモデルが比較的正確に取得できる場合に非常に有効であるが、人間を乗せて歩行する場合のように正確なモデル化が困難なロボットでは適用が困難であった。ほかにもロボットの運動が路面形状の影響を受ける以前に路面に対する適応動作を開始する手法の例もあるが、路面を検知するセンサや機構の搭載が必要であり、コストの面から不利であった。
特開2001−121460号公報
このように、人間が搭乗した場合等の正確なモデル化が困難な場合であっても、安定歩行が可能で歩行時の衝撃が少なく、緩い傾斜面や路面凹凸に対して十分に対応することができ、且つ、このような2足歩行の安定化を主にソフトウェアによる処理で実現可能なパラレルリンク機構の2足歩行ロボット装置の出現が要求されていた。
本発明は、上記従来の要求を充たすもので、パラレルリンク機構の2足歩行ロボット装置に安定した2足歩行を行わせることができる歩行パターンを作成する歩行パターン作成装置、安定した2足歩行を行うことができるパラレルリンク機構の2足歩行ロボット装置、パラレルリンク機構の2足歩行ロボット装置に安定した2足歩行を行わせることができる歩行パターンを作成する歩行パターン作成方法、パラレルリンク機構の2足歩行ロボット装置に安定した2足歩行を行うことができる2足歩行ロボット装置の制御方法、ならびに、その歩行パターン作成方法とその2足歩行ロボット装置の制御方法を実行させるためのプログラムおよび記録媒体を提供することを目的とする。
上記課題を解決するために本発明の歩行パターン作成装置は、足部を備えた脚部と腰部とから成る2足歩行ロボット装置の歩行パターンを作成する歩行パターン作成装置であって、足部において目標ゼロモーメントポイントを設定し、設定した目標ゼロモーメントポイントに応じて腰部のモーメント補償軌道を算出し、絶対座標系における腰座標系の原点と絶対座標系における足座標系の原点とから腰座標系から見た足部の位置を算出し、絶対座標系から見た足座標系の姿勢を表わす回転行列と絶対座標系から見た腰座標系の姿勢を表わす回転行列とから腰座標系から見た足座標系の姿勢を表わす回転行列を算出して足座標系の姿勢を表わす回転行列により足部の姿勢を算出し、歩行パターンにおける立脚前期か後期か及び遊脚前期か後期かを示すフラグである歩容フラグを決定し記憶する構成を備えている。
これにより、パラレルリンク機構の2足歩行ロボット装置に安定した2足歩行を行わせる歩行パターンを作成する歩行パターン作成装置が得られる。
上記課題を解決するために本発明の2足歩行ロボット装置は、足部を備えた脚部と腰部とから成り、脚部は脚部を伸縮するシリンダを有し、腰部は全体を制御すると共に上記歩行パターン作成装置と無線通信を行う制御コンピュータを有する2足歩行ロボット装置であって、制御コンピュータは、歩行パターン作成装置から受信した歩行パターンに基づいて2足歩行の制御を行う構成を備えている。
これにより、安定した2足歩行を行うパラレルリンク機構の2足歩行ロボット装置が得られる。
上記課題を解決するために本発明の歩行パターン作成方法は、足部を備えた脚部と腰部とから成る2足歩行ロボット装置の歩行パターンを作成する歩行パターン作成方法であって、足部において目標ゼロモーメントポイントを設定し、設定した目標ゼロモーメントポイントに応じて腰部のモーメント補償軌道を算出し、絶対座標系における腰座標系の原点と絶対座標系における足座標系の原点とから腰座標系から見た足部の位置を算出し、絶対座標系から見た足座標系の姿勢を表わす回転行列と絶対座標系から見た腰座標系の姿勢を表わす回転行列とから腰座標系から見た足座標系の姿勢を表わす回転行列を算出して足座標系の姿勢を表わす回転行列により足部の姿勢を算出し、歩行パターンにおける立脚前期か後期か及び遊脚前期か後期かを示すフラグである歩容フラグを決定し記憶する構成を備えている。
これにより、パラレルリンク機構の2足歩行ロボット装置に安定した2足歩行を行わせる歩行パターンを作成する歩行パターン作成方法が得られる。
上記課題を解決するために本発明の2足歩行ロボット装置の制御方法は、足部を備えた脚部と腰部とから成り、脚部は脚部を伸縮するシリンダを有し、腰部は全体を制御すると共に上記歩行パターン作成装置と無線通信を行う制御コンピュータを有する2足歩行ロボット装置の制御方法であって、制御コンピュータは、歩行パターン作成装置から受信した歩行パターンに基づいて2足歩行の制御を行う構成を備えている。
これにより、パラレルリンク機構の2足歩行ロボット装置に安定した2足歩行を行わせる2足歩行ロボット装置の制御方法が得られる。
上記課題を解決するために本発明のプログラムは、コンピュータに上記歩行パターン作成方法と上記2足歩行ロボット装置の制御方法の各ステップを実行させるためのプログラムである構成を備えている。
これにより、上記歩行パターン作成方法と上記2足歩行ロボット装置の制御方法を実行させるためのプログラムが得られる。
上記課題を解決するために本発明の記録媒体は、上記プログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体である構成を備えている。
これにより、上記歩行パターン作成方法と上記2足歩行ロボット装置の制御方法を実行させるための記録媒体が得られる。
本発明の請求項1に記載の歩行パターン作成装置は、足部を備えた脚部と腰部とから成る2足歩行ロボット装置の歩行パターンを作成する歩行パターン作成装置であって、足部において目標ゼロモーメントポイントを設定し、設定した目標ゼロモーメントポイントに応じて腰部のモーメント補償軌道を算出し、絶対座標系における腰座標系の原点と絶対座標系における足座標系の原点とから腰座標系から見た足部の位置を算出し、絶対座標系から見た足座標系の姿勢を表わす回転行列と絶対座標系から見た腰座標系の姿勢を表わす回転行列とから腰座標系から見た足座標系の姿勢を表わす回転行列を算出して足座標系の姿勢を表わす回転行列により足部の姿勢を算出し、歩行パターンにおける立脚前期か後期か及び遊脚前期か後期かを示すフラグである歩容フラグを決定し記憶することにより、2足歩行ロボット装置の腰部のモーメント補償軌道により目標ゼロモーメントポイントにおけるモーメントをゼロに近づけることができるので、2足歩行ロボットの転倒を防止して歩行を安定化することができ、また、腰座標系からみた足部の位置と姿勢のデータを生成することができるので、パラレルリンク機構においてはリアルタイム演算が困難な順運動学演算を行う必要がなく、パラレルリンク機構においてはリアルタイム演算が容易な逆運動学演算により脚部を伸縮するシリンダの長さを制御することができ、逆運動学演算において種々の補正データを用いて種々の制御を行うことができ、2足歩行ロボットの歩行を更に安定化することができ、さらに、立脚前期か後期か及び遊脚前期か後期かを示すフラグである歩容フラグを用いて脚部の状態に応じた制御を行うことができるので、倣い動作や復帰動作、軌道修正量維持など各脚の状態によって複雑な制御チャートを実行させることができ、これにより遊脚が大きな床反力を発生しZMPや姿勢角の偏差や加速度が発生する以前に路面形状への倣い動作を完了することができ、路面状態たとえば傾斜面や凹凸に応じた制御を的確に行うことができ、人間を搭載する場合のように正確なモデル化が困難な場合にも不整地における歩行を実現することができ、さらに、本制御はジャイロ等を含む特別なセンサや機構を必要とすることなくZMP計測用の力センサ(6軸力覚センサ)のみを用いて行うことができるという有利な効果が得られる。
請求項2に記載の歩行パターン作成装置は、足部の軌道と腰部の初期軌道を設定する軌道設定手段と、設定した足部の軌道と腰部の初期軌道とに基づいて目標ゼロモーメントポイントの軌道を設定する目標ZMP軌道設定手段と、脚部の運動および腰部の運動による目標ゼロモーメントポイント回りのモーメントを算出する目標ZMP回りモーメント算出手段と、算出した目標ゼロモーメントポイント回りのモーメントに基づいて腰部のモーメント補償軌道を算出するモーメント補償軌道算出手段と、設定した足部の軌道と腰部のモーメント補償軌道とにより算出された各質点の加速度に基づいて目標ゼロモーメントポイントにおけるエラーモーメントを算出するエラーモーメント算出手段と、算出したエラーモーメントが所定モーメントよりも小さくなったとき絶対座標系における腰座標系の原点と絶対座標系における足座標系の原点とから腰座標系から見た足部の位置を算出すると共に、絶対座標系から見た足座標系の姿勢を表わす回転行列と絶対座標系から見た腰座標系の姿勢を表わす回転行列とから腰座標系から見た足座標系の姿勢を表わす回転行列を算出して足座標系の姿勢を表わす回転行列により足部の姿勢を算出する足部位置姿勢算出手段と、歩容フラグを決定し記憶する歩容フラグ決定手段とを有することにより、脚部の運動および腰部の運動による目標ゼロモーメントポイント回りのモーメントがゼロの近傍か否かをエラーモーメントにより判定することができ、歩行パターンの設定において目標ゼロモーメントポイント回りのモーメントを限り無くゼロに近づけることができるので、安定性の極めて高い2足歩行を2足歩行ロボット装置に行わせることができるという有利な効果が得られる。
請求項3に記載の歩行パターン作成装置は、ZMP回りモーメント算出手段において算出した目標ゼロモーメントポイント回りのモーメントと算出したエラーモーメントとの総和に基づいてフーリエ係数を算出するフーリエ変換手段と、算出したフーリエ係数に基づいてモーメント補償軌道の近似解を求めるためのフーリエ係数を決定するフーリエ係数決定手段とを備え、モーメント補償軌道算出手段は、決定したフーリエ係数に基づく逆フーリエ変換により腰部のモーメント補償軌道を算出することにより、腰部のモーメント補償軌道を正確に算出することができるので、目標ゼロモーメントポイント回りのモーメントを軌道が発散することなく迅速にゼロに近づけることができるという有利な効果が得られる。
請求項4に記載の歩行パターン作成装置は、目標ZMP回りモーメント算出手段は、脚部の運動により生じる目標ZMP回りモーメントを算出する下肢運動による目標ZMP回りモーメント算出手段と、腰部の運動により生じる目標ZMP回りモーメントを算出する腰運動による目標ZMP回り既知モーメント算出手段とを有することにより、脚部の運動および腰部の運動による目標ゼロモーメントポイント回りのモーメントを正確に算出することができるので、腰部のモーメント補償軌道を正確に算出することができるという有利な効果が得られる。
請求項5に記載の歩行パターン作成装置は、足部位置姿勢算出手段は、絶対座標系における腰座標系の原点と絶対座標系における足座標系の原点とから腰座標系から見た足部の位置を算出する原点位置算出手段と、絶対座標系から見た足座標系の姿勢を表わす回転行列と絶対座標系から見た腰座標系の姿勢を表わす回転行列とから腰座標系から見た足座標系の姿勢を表わす回転行列を算出する回転行列算出手段と、回転行列算出手段で算出した回転行列により足部の姿勢を算出する姿勢算出手段とを有することにより、腰座標系からみた足部の位置と姿勢のデータを正確に生成することができるので、リアルタイム演算が容易な逆運動学演算を用いて脚部を伸縮するシリンダの長さを正確に制御することができ、逆運動学演算において種々の補正データを用いて種々の制御を行う場合に正確な制御を行うことができるという有利な効果が得られる。
請求項6に記載の2足歩行ロボット装置は、足部を備えた脚部と腰部とから成り、脚部は脚部を伸縮するシリンダを有し、腰部は全体を制御すると共に請求項1乃至5のいずれか1に記載の歩行パターン作成装置と無線通信を行う制御コンピュータを有する2足歩行ロボット装置であって、制御コンピュータは、歩行パターン作成装置から受信した歩行パターンに基づいて2足歩行の制御を行うことにより、腰部のモーメント補償軌道により足部の目標ゼロモーメントポイントにおけるモーメントをゼロに近づけて歩行を安定化することができると共に歩行パターンを無線を介して遠隔地でも受信することができ、また、腰部に種々の上体(体幹)を取り付け可能とすれば、種々の用途(たとえば救助用、介護用、危険作業用等)に適合する2足歩行ロボットを迅速に構築することができ、また、腰部にいす等の搭乗部を取り付けて人間の搭乗を可能とすれば、種々の用途(たとえば福祉用、移動用)に適合する2足歩行ロボットを容易且つ迅速に構築することができ、さらに、腰座標系からみた足部の位置と姿勢のデータに対して逆運動学演算を行って脚部を伸縮するシリンダの長さを制御することができるので、パラレルリンク機構においてはリアルタイム演算が困難な順運動学演算を行う必要がなく、パラレルリンク機構においてはリアルタイム演算が容易な逆運動学演算によりロボットの歩行を制御することができ、種々の補正データ(たとえばコンプライアンス移動量や腰部の位置・姿勢の操作量)を足部の位置や姿勢の次元で足し合わせてから逆運動学演算を行うという容易な実装ができ、2足歩行ロボットの歩行を更に安定化することができるという有利な効果が得られる。
請求項7に記載の2足歩行ロボット装置は、制御コンピュータは、歩行パターン作成用コンピュータから歩行パターンを無線で受信してメモリに格納する歩行パターン設定手段と、格納した歩行パターンから歩行に使用するパターンを選択して歩行開始を指令する歩行開始命令手段と、歩行開始命令手段の指令に基づいてモータを制御してシリンダの長さを制御するモータ制御手段とを有することにより、歩行状態において2足歩行ロボット装置は歩行パターン作成用コンピュータから物理的な拘束を受けることなく高安定な歩行を行うことができ、また、周囲または自己の状態(たとえば搭載重量の軽重状態)に応じた適切な歩行パターンで歩行することができるという有利な効果が得られる。
請求項8に記載の2足歩行ロボット装置は、モータ制御手段は、基本制御を行う基本制御手段と、遊脚を路面に衝撃を緩和して着地させると共に路面の凹凸に足部を倣わせる着地制御手段とを有することにより、基本制御に基づく基本動作を行うことができると共に、状況に応じて着地制御を行うことができ、基本制御においては、パラレルメカニズムの脚機構にとっては計算量が膨大なために実施が困難な順運動学を行う必要がなくなり、計算が容易な逆運動学によりリアルタイムにリンク長さ(つまりシリンダ長さ)を制御することができるので、足部の位置・姿勢に関して種々の制御を行うことができるようになり、また着地制御においては、遊脚が大きな床反力を発生しZMPや姿勢角の偏差や加速度が発生する以前に、路面形状への倣い動作を完了し、不整路面に対して転倒することなく安定した歩行を行うことができ、人間搭乗型2足歩行ロボットのように正確なモデル化が困難なロボットの不整地における歩行を実現することができるという有利な効果が得られる。
請求項9に記載の2足歩行ロボット装置は、基本制御手段は、足部位置姿勢算出手段で算出した足部の位置・姿勢の目標値を歩行開始命令手段の指令に基づいて出力する歩行パターン出力手段と、歩行パターン出力手段から出力される足部の位置・姿勢の目標値を逆運動学演算してシリンダの長さを算出する逆運動学演算手段とを有することにより、パラレルメカニズムの脚機構にとっては計算量が膨大なために実施が困難な順運動学を行う必要がなくなり、計算が容易な逆運動学によりリアルタイムにリンク長さを制御することができるので、足部の位置・姿勢に関して種々の制御を行うことができるという有利な効果が得られる。
請求項10に記載の2足歩行ロボット装置は、着地制御手段は、歩容フラグに基づいて制御、維持、復帰、コンプライアンス等の制御モードを選択するモード選択手段と、歩行パターンの成分において着地制御の対象となる成分である制御対象成分と制御対象成分以外の非制御対象成分とを分割する成分分割手段と、遊脚の着地衝撃を緩和する非線形コンプライアンス移動量を足部における床反力に基づいて算出する非線形コンプライアンス移動量算出手段と、非線形コンプライアンス移動量に基づいて上下方向の軌道修正量を算出するz方向軌道修正量算出手段と、足部におけるロールおよびピッチ方向のトルクに基づいてロールおよびピッチの軌道修正量を算出するロール・ピッチ軌道修正量算出手段と、歩行パターン出力手段から出力される歩行パターンと着地路面検知用移動許容量と非線形コンプライアンス移動量と上下方向の軌道修正量とロール・ピッチ軌道修正量とに基づいて歩行パターンを修正する歩行パターン修正手段とを有することにより、着地衝撃の緩和と振動の抑制に対しては非線形コンプライアンス移動量を用いて対応することができ、路面の凹凸や傾斜路面に対しては上下方向の軌道修正量およびロールおよびピッチの軌道修正量を用いて対応することができるので、ジャイロを含め特別なセンサや機構を必要とせず、ZMP計測用の力センサのみを用いて、遊脚が大きな床反力を発生しZMPや姿勢角の偏差や加速度が発生する以前に、路面形状への倣い動作を完了できるため、不整路面に対して転倒することなく安定した歩行を行うことができ、人間搭乗型2足歩行ロボットのように正確なモデル化が困難なロボットの不整地における歩行を確実に実現することができるという有利な効果が得られる。
請求項11に記載の2足歩行ロボット装置は、z方向軌道修正量算出手段は、理想的水平平坦路面に衝撃や振動なく理想的に着地したときに発生するはずの理論コンプライアンス移動量を制御対象成分に基づいて算出する理論コンプライアンス移動量算出手段と、理論コンプライアンス移動量と非線形コンプライアンス移動量との差分である着地路面高さ誤差を算出するコンプライアンス移動量偏差算出手段と、モード選択手段で選択した制御モードと着地路面高さ誤差とに基づいて上下方向の軌道修正量を算出する軌道修正量算出手段とを有することにより、路面の凹凸に対して上下方向に正確に対応することができるので、ロール・ピッチについて対応すれば、不整路面に対して、遊脚が大きな床反力を発生しZMPや姿勢角の偏差や加速度が発生する以前に、路面形状への倣い動作を完了し、転倒することなく安定した歩行を行うことができ、人間搭乗型2足歩行ロボットのように正確なモデル化が困難なロボットの不整地における歩行を更に一層確実に実現することができるという有利な効果が得られる。
請求項12に記載の2足歩行ロボット装置は、ロール・ピッチ軌道修正量算出手段は、足部におけるロールおよびピッチ方向のトルクに基づいてコンプライアンス移動量を算出するコンプライアンス移動量算出手段と、コンプライアンス移動量に基づいてロールおよびピッチ方向の軌道修正量を算出する軌道修正量算出手段とを有することにより、路面の凹凸に対してロール・ピッチ軸まわりに正確に対応することができるので、上下方向について対応すれば、不整路面に対して、遊脚が大きな床反力を発生しZMPや姿勢角の偏差や加速度が発生する以前に、路面形状への倣い動作を完了し、転倒することなく安定した歩行を行うことができ、人間搭乗型2足歩行ロボットのように正確なモデル化が困難なロボットの不整地における歩行を更に一層確実に実現することができるという有利な効果が得られる。
請求項13に記載の2足歩行ロボット装置は、モータ制御手段は、着地制御手段により修正した歩行パターンを推定した腰部の姿勢角補償量に基づいて補正する推定姿勢補償制御を行う推定姿勢補償制御手段を備え、推定姿勢補償制御手段は、ZMP実測値を足部における力成分とモーメント成分とから算出するZMP実測値算出手段と、算出されたZMP実測値とZMP目標値との偏差であるZMP偏差値を算出するZMP偏差値算出手段と、ZMP偏差値を積分した値に基づいて腰部の姿勢角補償量を算出する姿勢角補償量算出手段と、修正した歩行パターンにおける足部の位置又は姿勢の目標値を姿勢角補償量に基づいて補正する足部位置姿勢補正手段とを有することにより、腰部の姿勢角の累積誤差を推定し、推定した値に基づきそれを補償して腰部と遊足側の足部を略水平に維持することができるので、正確な着地制御を行うことができ、安定した歩行を行うことができ、人間搭乗型2足歩行ロボットのように正確なモデル化が困難なロボットの不整地における歩行を更に一層確実に実現することができるという有利な効果が得られる。また、ZMP偏差値の積分値に基づいて姿勢角補償量を算出するため、急激な変化を伴う補償動作を防止でき安定性に優れるという有利な効果が得られる。また、姿勢角センサを搭載する必要がなく、ZMP測定用の力センサ(6軸力覚センサ)だけで姿勢補償制御ができ、部品点数や製造コストの増加を防止できるという有利な効果が得られる。
請求項14に記載の2足歩行ロボット装置は、姿勢角補償量算出手段は、所定の周期でZMP偏差値の積分値をゼロに設定するゼロ設定手段と、ZMP偏差値の積分値がゼロに設定された時点からの積分値を算出する積分値算出手段と、足部の位置又は姿勢の補正操作を行う操作期間を設定する操作期間設定手段と、操作期間の開始時点におけるZMP偏差値の積分値に基づいて姿勢角補償量を算出する補償量算出手段とを有することにより、所定の周期でZMP偏差値の積分値をゼロに設定(リセット)することで実際の姿勢角偏差との積分誤差の増加を防止でき、姿勢角補償量を推定することができるという有利な効果が得られる。また、所定の操作期間を設定するため姿勢角誤差が過度に累積するのを防止でき、安定した歩行を行うことができるという有利な効果が得られる。
請求項15に記載の歩行パターン作成方法は、足部を備えた脚部と腰部とから成る2足歩行ロボット装置の歩行パターンを作成する歩行パターン作成方法であって、足部において目標ゼロモーメントポイントを設定し、設定した目標ゼロモーメントポイントに応じて腰部のモーメント補償軌道を算出し、絶対座標系における腰座標系の原点と絶対座標系における足座標系の原点とから腰座標系から見た足部の位置を算出し、絶対座標系から見た足座標系の姿勢を表わす回転行列と絶対座標系から見た腰座標系の姿勢を表わす回転行列とから腰座標系から見た足座標系の姿勢を表わす回転行列を算出して足座標系の姿勢を表わす回転行列により足部の姿勢を算出し、歩行パターンにおける立脚前期か後期か及び遊脚前期か後期かを示すフラグである歩容フラグを決定し記憶することにより、2足歩行ロボット装置の腰部のモーメント補償軌道により目標ゼロモーメントポイントにおけるモーメントをゼロに近づけることができるので、2足歩行ロボットの転倒を防止して歩行を安定化することができ、また、腰座標系からみた足部の位置と姿勢のデータを生成することができるので、リアルタイム演算が困難な順運動学演算を行う必要がなく、リアルタイム演算が容易な逆運動学演算により脚部を伸縮するシリンダの長さを制御することができ、逆運動学演算において種々の補正データを用いて種々の制御を行うことができ、2足歩行ロボットの歩行を更に安定化することができ、さらに、立脚前期か後期か及び遊脚前期か後期かを示すフラグである歩容フラグを用いて脚部の状態に応じた制御を行うことができるため、倣い動作や復帰動作、軌道修正量維持など各脚の状態によって複雑な制御チャートを実行させることができ、路面状態たとえば傾斜面や凹凸に応じた制御を行うことができ、人間を搭載する場合のように正確なモデル化が困難な場合にも不整地における歩行を実現することができるという有利な効果が得られる。
請求項16に記載の歩行パターン作成方法は、足部の軌道と腰部の初期軌道を設定する軌道設定ステップと、設定した足部の軌道と腰部の初期軌道とに基づいて目標ゼロモーメントポイントの軌道を設定する目標ZMP軌道設定ステップと、脚部の運動および腰部の運動による目標ゼロモーメントポイント回りのモーメントを算出する目標ZMP回りモーメント算出ステップと、算出した目標ゼロモーメントポイント回りのモーメントに基づいて腰部のモーメント補償軌道を算出するモーメント補償軌道算出ステップと、設定した足部の軌道と腰部のモーメント補償軌道とにより算出された各質点の加速度に基づいて目標ゼロモーメントポイントにおけるエラーモーメントを算出するエラーモーメント算出ステップと、算出したエラーモーメントが所定モーメントよりも小さくなったとき絶対座標系における腰座標系の原点と絶対座標系における足座標系の原点とから腰座標系から見た足部の位置を算出すると共に、絶対座標系から見た足座標系の姿勢を表わす回転行列と絶対座標系から見た腰座標系の姿勢を表わす回転行列とから腰座標系から見た足座標系の姿勢を表わす回転行列を算出して足座標系の姿勢を表わす回転行列により足部の姿勢を算出する足部位置姿勢算出ステップと、歩容フラグを決定し記憶する歩容フラグ決定ステップとを有することにより、脚部の運動および腰部の運動による目標ゼロモーメントポイント回りのモーメントがゼロの近傍か否かをエラーモーメントにより判定することができ、歩行パターンの設定において目標ゼロモーメントポイント回りのモーメントを限り無くゼロに近づけることができるので、安定性の極めて高い2足歩行を2足歩行ロボット装置に行わせることができるという有利な効果が得られる。
請求項17に記載の歩行パターン作成方法は、ZMP回りモーメント算出ステップにおいて算出した目標ゼロモーメントポイント回りのモーメントと算出したエラーモーメントとの総和に基づいてフーリエ係数を算出するフーリエ変換ステップと、算出したフーリエ係数に基づいてモーメント補償軌道の近似解を求めるためのフーリエ係数を決定するフーリエ係数決定ステップとを備え、モーメント補償軌道算出ステップにおいては、決定したフーリエ係数に基づく逆フーリエ変換により腰部のモーメント補償軌道を算出することにより、腰部のモーメント補償軌道を正確に算出することができるので、目標ゼロモーメントポイント回りのモーメントを軌道が発散することなく迅速にゼロに近づけることができるという有利な効果が得られる。
請求項18に記載の歩行パターン作成方法は、目標ZMP回りモーメント算出ステップは、脚部の運動により生じる目標ZMP回りモーメントを算出する下肢運動による目標ZMP回りモーメント算出ステップと、腰部の運動により生じる目標ZMP回りモーメントを算出する腰運動による目標ZMP回り既知モーメント算出ステップとを有することにより、脚部の運動および腰部の運動による目標ゼロモーメントポイント回りのモーメントを正確に算出することができるので、腰部のモーメント補償軌道を正確に算出することができるという有利な効果が得られる。
請求項19に記載の歩行パターン作成方法は、足部位置姿勢算出ステップは、絶対座標系における腰座標系の原点と絶対座標系における足座標系の原点とから腰座標系から見た足部の位置を算出する原点位置算出ステップと、絶対座標系から見た足座標系の姿勢を表わす回転行列と絶対座標系から見た腰座標系の姿勢を表わす回転行列とから腰座標系から見た足座標系の姿勢を表わす回転行列を算出する回転行列算出ステップと、回転行列算出ステップで算出した回転行列により足部の姿勢を算出する姿勢算出ステップとを有することにより、2足歩行ロボット装置の制御方法において腰座標系からみた足部の位置と姿勢のデータを正確に生成することができるので、リアルタイム演算が容易な逆運動学演算を用いて脚部を伸縮するシリンダの長さを正確に制御することができ、逆運動学演算において種々の補正データを用いて種々の制御を行う場合に正確な制御を行うことができるという有利な効果が得られる。
請求項20に記載の2足歩行ロボット装置の制御方法は、足部を備えた脚部と腰部とから成り、脚部は脚部を伸縮するシリンダを有し、腰部は全体を制御すると共に請求項1乃至5のいずれか1に記載の歩行パターン作成装置と無線通信を行う制御コンピュータを有する2足歩行ロボット装置の制御方法であって、制御コンピュータは、歩行パターン作成装置から受信した歩行パターンに基づいて2足歩行の制御を行うことにより、腰部のモーメント補償軌道により足部の目標ゼロモーメントポイントにおけるモーメントをゼロに近づけて歩行を安定化することができると共に歩行パターンを無線を介して遠隔地でも受信することができ、また、腰部に種々の上体(体幹)を取り付け可能とすれば、種々の用途(たとえば救助用、介護用、危険作業用等)に適合する2足歩行ロボットを迅速に構築することができ、また、腰部にいす等の搭乗部を取り付けて人間の搭乗を可能とすれば、種々の用途(たとえば福祉用、移動用)に適合する2足歩行ロボットを容易且つ迅速に構築することができ、さらに、腰座標系からみた足部の位置と姿勢のデータに対して逆運動学演算を行って脚部を伸縮するシリンダの長さを制御することができるので、パラレルリンク機構においてはリアルタイム演算が困難な順運動学演算を行う必要がなく、パラレルリンク機構においてはリアルタイム演算が容易な逆運動学演算によりロボットの歩行を制御することができ、種々の補正データ(たとえばコンプライアンス移動量や腰部の位置・姿勢の操作量)を足部の位置や姿勢の次元で足し合わせてから逆運動学演算を行うという容易な実装ができ、2足歩行ロボットの歩行を更に安定化することができるという有利な効果が得られる。
請求項21に記載の2足歩行ロボット装置の制御方法は、制御コンピュータは、歩行パターン作成用コンピュータから歩行パターンを無線で受信してメモリに格納する歩行パターン設定ステップと、格納した歩行パターンから歩行に使用するパターンを選択して歩行開始を指令する歩行開始命令ステップと、歩行開始命令ステップにおける指令に基づいてモータを制御してシリンダの長さを制御するモータ制御ステップとを有することにより、歩行状態において2足歩行ロボット装置は歩行パターン作成用コンピュータから物理的な拘束を受けることなく高安定な歩行を行うことができ、また、周囲または自己の状態(たとえば搭載重量の軽重状態)に応じた適切な歩行パターンで歩行することができるという有利な効果が得られる。
請求項22に記載の2足歩行ロボット装置の制御方法は、モータ制御ステップは、基本制御を行う基本制御ステップと、遊脚を路面に衝撃を緩和して着地させると共に路面の凹凸に足部を倣わせる着地制御ステップとを有することにより、基本制御に基づく基本動作を行うことができると共に、状況に応じて着地制御を行うことができ、基本制御においては、パラレルメカニズムの脚機構にとっては計算量が膨大なために実施が困難な順運動学を行う必要がなくなり、計算が容易な逆運動学によりリアルタイムにリンク長さを制御することができるので、足部の位置・姿勢に関して種々の制御を行うことができるようになり、また着地制御においては、遊脚が大きな床反力を発生しZMPや姿勢角の偏差や加速度が発生する以前に、路面形状への倣い動作を完了し、不整路面に対して転倒することなく安定した歩行を行うことができ、人間搭乗型2足歩行ロボットのように正確なモデル化が困難なロボットの不整地における歩行を実現することができるという有利な効果が得られる。
請求項23に記載の2足歩行ロボット装置の制御方法は、基本制御ステップは、足部位置姿勢算出手段で算出した足部の位置・姿勢の目標値を歩行開始命令ステップにおける指令に基づいて出力する歩行パターン出力ステップと、歩行パターン出力ステップから出力される足部の位置・姿勢の目標値を逆運動学演算してシリンダの長さを算出する逆運動学演算ステップとを有することにより、パラレルメカニズムの脚機構にとっては計算量が膨大なために実施が困難な順運動学を行う必要がなくなり、計算が容易な逆運動学によりリアルタイムにリンク長さを制御することができるので、足部の位置・姿勢に関して種々の制御を行うことができるという有利な効果が得られる。
請求項24に記載の2足歩行ロボット装置の制御方法は、着地制御ステップは、歩容フラグに基づいて制御、維持、復帰、コンプライアンス等の制御モードを選択するモード選択ステップと、歩行パターンの成分において着地制御の対象となる成分である制御対象成分と制御対象成分以外の非制御対象成分とを分割する成分分割ステップと、遊脚の着地衝撃を緩和する非線形コンプライアンス移動量を足部における床反力に基づいて算出する非線形コンプライアンス移動量算出ステップと、非線形コンプライアンス移動量に基づいて上下方向の軌道修正量を算出するz方向軌道修正量算出ステップと、足部におけるロールおよびピッチ方向のトルクに基づいてロールおよびピッチの軌道修正量を算出するロール・ピッチ軌道修正量算出ステップと、歩行パターン出力ステップにおいて出力される歩行パターンと着地路面検知用移動許容量と非線形コンプライアンス移動量と上下方向の軌道修正量とロール・ピッチ軌道修正量とに基づいて歩行パターンを修正する歩行パターン修正ステップとを有することにより、着地衝撃の緩和と振動の抑制に対しては非線形コンプライアンス移動量を用いて対応することができ、路面の凹凸や傾斜路面に対しては上下方向の軌道修正量およびロールおよびピッチの軌道修正量を用いて対応することができるので、ジャイロを含む特別なセンサや機構を必要とせず、ZMP計測用の力センサのみを用いて、遊脚が大きな床反力を発生しZMPや姿勢角の偏差や加速度が発生する以前に、路面形状へのならい動作を完了できるため、不整路面に対して転倒することなく安定した歩行を行うことができ、人間搭乗型2足歩行ロボットのように正確なモデル化が困難なロボットの不整地における歩行を確実に実現することができるという有利な効果が得られる。
請求項25に記載の2足歩行ロボット装置の制御方法は、z方向軌道修正量算出ステップは、理想的水平平坦路面に衝撃や振動なく理想的に着地したときに発生するはずの理論コンプライアンス移動量を制御対象成分に基づいて算出する理論コンプライアンス移動量算出ステップと、理論コンプライアンス移動量と非線形コンプライアンス移動量との差分である着地路面高さ誤差を算出するコンプライアンス移動量偏差算出ステップと、モード選択ステップで選択した制御モードと着地路面高さ誤差とに基づいて上下方向の軌道修正量を算出する軌道修正量算出ステップとを有することにより、路面の凹凸に対して上下方向に正確に対応することができるので、ロール・ピッチについて対応すれば、不整路面に対して、遊脚が大きな床反力を発生しZMPや姿勢角の偏差や加速度が発生する以前に、路面形状へのならい動作を完了し、転倒することなく安定した歩行を行うことができ、人間搭乗型2足歩行ロボットのように正確なモデル化が困難なロボットの不整地における歩行を更に一層確実に実現することができるという有利な効果が得られる。
請求項26に記載の2足歩行ロボット装置の制御方法は、ロール・ピッチ軌道修正量算出手段は、足部におけるロールおよびピッチ方向のトルクに基づいてコンプライアンス移動量を算出するコンプライアンス移動量算出手段と、コンプライアンス移動量に基づいてロールおよびピッチ方向の軌道修正量を算出する軌道修正量算出手段とを有することにより、路面の凹凸に対してロール・ピッチ軸まわりに正確に対応することができるので、上下方向について対応すれば、不整路面に対して、遊脚が大きな床反力を発生しZMPや姿勢角の偏差や加速度が発生する以前に、路面形状へのならい動作を完了し、転倒することなく安定した歩行を行うことができ、人間搭乗型2足歩行ロボットのように正確なモデル化が困難なロボットの不整地における歩行を更に一層確実に実現することができるという有利な効果が得られる。
請求項27に記載の2足歩行ロボット装置の制御方法は、モータ制御ステップは、着地制御ステップにおいて修正した歩行パターンを推定した腰部の姿勢角補償量に基づいて補正する推定姿勢補償制御を行う推定姿勢補償制御ステップを備え、推定姿勢補償制御ステップは、ZMP実測値を足部における力成分とモーメント成分とから算出するZMP実測値算出ステップと、算出されたZMP実測値とZMP目標値との偏差であるZMP偏差値を算出するZMP偏差値算出ステップと、ZMP偏差値を積分した値に基づいて腰部の姿勢角補償量を算出する姿勢角補償量算出ステップと、修正した歩行パターンにおける足部の位置又は姿勢の目標値を姿勢角補償量に基づいて補正する足部姿勢操作量加算ステップとを有することにより、腰部の姿勢角の累積誤差を推定し、推定した値に基づきそれを補償して腰部と遊脚側の足部を略水平に維持することができるので、正確な着地制御を行うことができ、安定した歩行を行うことができ、人間搭乗型2足歩行ロボットのように正確なモデル化が困難なロボットの不整地における歩行を更に一層確実に実現することができるという有利な効果が得られる。また、ZMP偏差値の積分値に基づいて姿勢角補償量を算出するため、急激な変化を伴う補償動作を防止でき安定性に優れるという有利な効果が得られる。また、姿勢角センサを搭載する必要がなく、ZMP測定用の力センサ(6軸力覚センサ)だけで姿勢補償制御ができ、部品点数や製造コストの増加を防止できるという有利な効果が得られる。
請求項28に記載の2足歩行ロボット装置の制御方法は、姿勢角補償量算出ステップは、所定の周期でZMP偏差値の積分値をゼロに設定するゼロ設定ステップと、ZMP偏差値の積分値がゼロに設定された時点からの積分値を算出する積分値算出ステップと、足部の位置又は姿勢の補正操作を行う操作期間を設定する操作期間設定ステップと、操作期間の開始時点におけるZMP偏差値の積分値に基づいて姿勢角補償量を算出する補償量算出ステップとを有することにより、所定の周期でZMP偏差値の積分値をゼロに設定(リセット)することで実際の姿勢角偏差との積分誤差の増加を防止でき、姿勢角補償量を推定することができるという有利な効果が得られる。また、所定の操作期間を設定するため姿勢角誤差が過度に累積するのを防止でき、安定した歩行を行うことができるという有利な効果が得られる。
請求項29に記載のプログラムは、コンピュータに請求項15乃至19のいずれか1に記載の歩行パターン作成方法の各ステップを実行させるためのプログラムであることにより、請求項15乃至19のいずれか1に記載の歩行パターン作成方法を任意の場所で任意の時間に汎用コンピュータに実行させることができるという有利な効果が得られる。
請求項30に記載の記録媒体は、請求項29に記載のプログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体であることにより、汎用コンピュータで記録媒体を読み取りさえすれば、請求項15乃至19のいずれか1に記載の歩行パターン作成方法を任意の場所で任意の時間に汎用コンピュータに実行させることができるという有利な効果が得られる。
請求項31に記載のプログラムは、コンピュータに請求項20乃至28のいずれか1に記載の2足歩行ロボット装置の制御方法の各ステップを実行させるためのプログラムであることにより、請求項20乃至28のいずれか1に記載の2足歩行ロボット装置の制御方法を任意の場所で任意の時間に汎用コンピュータに実行させることができるという有利な効果が得られる。
請求項32に記載の記録媒体は、請求項31に記載のプログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体であることにより、汎用コンピュータで記録媒体を読み取りさえすれば、請求項20乃至28のいずれか1に記載の2足歩行ロボット装置の制御方法を任意の場所で任意の時間に汎用コンピュータに実行させることができるという有利な効果が得られる。
(a)支持多角形を示す説明図、座標系とベクトルの定義を示す説明図 (a)腰座標系および足座標系を示す模式図、(b)腰座標系および足座標系を示す模式図 (a)理論コンプライアンス移動量の説明図、(b)理論コンプライアンス移動量の説明図、(c)非線形の説明図、(d)非線形コンプライアンス移動量の説明図、(e)非線形コンプライアンス移動量の説明図、(f)コンプライアンスを示す説明図 本発明の実施の形態1による歩行パターン作成装置と2足歩行ロボット装置の全体構成を示すブロック図 主に腰部を示すブロック図 主に脚部を示すブロック図 外部電源部を示すブロック図 歩行パターン作成用コンピュータを示すブロック図 外部スイッチを示すブロック図 主に制御用コンピュータを示すブロック図 主に電源部を示すブロック図 主にスイッチ回路を示すブロック図 主にブレーキ制御部を示すブロック図 主にモータ制御部を示すブロック図 主にシリンダを示すブロック図 主に足底部(脚部)を示すブロック図 主に直動部を示すブロック図 歩行パターン作成用コンピュータのCPUにおける機能実現手段を示すブロック図 歩行パターン作成用コンピュータのCPU動作を示すフローチャート (a)歩行パターン作成用コンピュータのCPU動作を示すフローチャート、(b)歩行パターン作成用コンピュータのCPU動作を示すフローチャート、(c)歩行パターン作成用コンピュータのCPU動作を示すフローチャート 歩行パターン作成用コンピュータのCPU動作を示すフローチャート 歩行パターン作成用コンピュータのCPU動作を示すフローチャート 歩行パターン作成用コンピュータのCPU動作を示すフローチャート 歩行パターン作成用コンピュータのCPU動作を示すフローチャート 歩行パターン作成用コンピュータのCPU動作を示すフローチャート 歩行パターン作成用コンピュータのCPU動作を示すフローチャート 歩行パターン作成用コンピュータのCPU動作を示すフローチャート 歩行パターン作成用コンピュータのCPU動作を示すフローチャート 歩行パターン作成用コンピュータのCPU動作を示すフローチャート 歩行パターン作成用コンピュータのCPU動作を示すフローチャート 歩行パターン作成用コンピュータのCPU動作を示すフローチャート 足座標系の原点位置の算出、回転行列の算出および姿勢角算出について説明する説明図 制御用コンピュータのCPUにおける機能実現手段を示すブロック図 制御用コンピュータのCPU動作を示すフローチャート 制御用コンピュータのCPU動作を示すフローチャート 制御用コンピュータのCPU動作を示すフローチャート モータ制御手段を示す機能ブロック図 モータ制御手段とモータ駆動装置を示すブロック図 基本制御手段の動作を示すフローチャート 着地制御を示す機能的ブロック図 (a)各ブロックを示すブロック説明図、(b)各ブロックを示すブロック説明図、(c)各ブロックを示すブロック説明図 (a)各ブロックを示すブロック説明図、(b)各ブロックを示すブロック説明図 基本制御に着地制御を加えた制御を示すフローチャート 着地制御を示すフローチャート (a)実施の形態2における2足歩行ロボット装置のモータ制御手段を示す機能ブロック図(b)姿勢角補償量算出手段を示す機能ブロック図 推定姿勢補償制御を示す機能的ブロック図 ゼロ設定手段による設定期間と操作期間設定手段による操作期間を説明する説明図 推定姿勢補償制御手段の動作を示すフローチャート 姿勢角補償量算出手段の動作を示すフローチャート (a)実施の形態1における2足歩行ロボットの下半身モジュールの模式斜視図、(b)実施の形態1における2足歩行ロボットの下半身モジュールの模式平面図 2足歩行ロボットの下半身モジュールの斜視図 直動リンクの要部斜視図 (a)直動リンクの要部側面図、(b)(a)のA−A線の要部矢視断面図 ベース部側受動ジョイントの要部斜視図 足部側受動ジョイントの要部斜視図 足部側受動ジョイントの要部縦断面図
符号の説明
1 ロボット部(2足歩行ロボット装置)
2 歩行パターン作成用コンピュータ(歩行パターン作成装置)
3 外部電源部
4 外部スイッチ
5 腰部
6 脚部
7 制御用コンピュータ
9 モータ制御部
10 ブレーキ制御部
11 電源部
12 スイッチ回路
13a 右脚部
13b 左脚部
14 足底部(足部)
14a 右足底部(右足部)
14b 左足底部(左足部)
21、71 CPU
22、72 メモリ
23、73 ハードディスク
24 入力装置
25 表示装置
26、74 インタフェース部
27、75 LANカード
28、76 無線LAN
31 AC/DCコンバータ
41 ブレーキ制御スイッチ
42 サーボONスイッチ
43 モータ端子短絡スイッチ
77 D/Aコンバータ
78 6軸力覚センサレシーバボード
79 パルスカウンタ
101 半導体リレー
111 48Vニッケル水素バッテリ
112 バッテリ/電源切替部
113 電源スイッチ
114、115、116、117 DC−DCコンバータ
121、122、123 排他的論理和
141 足底板
142、203b、204b 6軸力覚センサ
151 ロータリエンコーダ
152 DCサーボモータ
153 保持ブレーキ
154 直動部
155 フォトマイクロセンサ
171 動力伝達部
172 すべりねじ
173 ナット
174 リニアガイド
C1〜C12 シリンダ
D1〜D12 DCサーボドライバ
201、201c 2足歩行ロボットの下半身モジュール
202 ベース部
203 右足部
203a 固定板
204 左足部
204a 固定板
205、205′、205a、205a′、205b、205b′、205c、205c′ 直動リンク
206、206a、206a′、206b、206b′、206c、206c′ ベース部側受動ジョイント
207、207a、207b、207c 足部側受動ジョイント
208、208a、208b、208c 回動受動ジョイント
209 制御装置部
209′ 制御用コンピュータ
211 設定データ入力手段
212 軌道設定手段
213 目標ZMP軌道設定手段
214 目標ZMP回りモーメント算出手段
215 フーリエ変換手段
216 フーリエ係数決定手段
217 モーメント補償軌道算出手段
218 質点加速度算出手段
219 エラーモーメント算出手段
220 エラーモーメント判定手段
221 足部位置姿勢算出手段
222 歩容フラグ決定手段
223 ファイル出力手段
231 バッテリ
232 モータ駆動用回路部
235 直動リンク
236 ベース部側受動ジョイント
237 足部側受動ジョイント
241 保持ケーシング
242 アウターチューブ部
243 インナーロッド部
244、244′ ジョイント結合部
245 ロッドレール部
246 レールガイド
247 初期位置センサ
248 モータ
248a モータホルダ
249 モータ先端軸部
250 保持ブレーキ
251 ロータリエンコーダ
252 溝付きベルト
254 雄螺子軸部
254a 雄螺子先端軸部
255 雌螺子ナット部
256a、256b ストッパ
261 ベース部側上部継手
262 上部継手軸
263 ベース部側下部継手
264 下部継手軸
265 連結回動部
271 第1の足側上部継手
271a、271b、273a、273b 側部軸支板
273 第2の足側上部継手
272a ボールベアリング
275 ボール保持部
275a ボール収容部
276a、276b 継手軸
277 止めナット
278 足側基部
279 ボール継手軸
279a ボール部
COM 比較部
300 比例積分部
301 換算部
400 モータ駆動装置
711 電源投入手段
712 歩行パターン設定手段
713 シリンダ初期位置設定手段
714 歩行開始命令手段
715,715′ モータ制御手段
716 終了判定手段
810 基本制御手段
811 歩行パターン出力手段
812 補正量加算手段
813 逆運動学演算手段
814 データ変換手段
815 初期位置微調整手段
816 シリンダ駆動装置駆動手段
820 着地制御手段
821 モード選択手段
822 成分分割手段
823 z方向着地軌道修正量算出手段
824 非線形コンプライアンス移動量算出手段
825 ロール・ピッチ方向軌道修正量算出手段
826 歩行パターン修正手段
8121 z方向加算手段
8122 コンプライアンス加算手段
8123 ロール・ピッチ方向加算手段
8231 理論コンプライアンス移動量算出手段
8232 コンプライアンス移動量偏差算出手段
8233、8252 軌道修正量算出手段
8251 コンプライアンス移動量算出手段
830 推定姿勢補償制御手段
831 ZMP実測値算出手段
832 ZMP偏差値算出手段
833 姿勢角補償量算出手段
834 足部位置姿勢補正手段
8331 ゼロ設定手段
8332 積分値算出手段
8333 操作期間設定手段
8334 補償量算出手段
8335 操作量算出手段
841a,841b 設定期間
842a〜842g 操作期間
本発明の請求項1に記載の歩行パターン作成装置は、足部を備えた脚部と腰部とから成る2足歩行ロボット装置の歩行パターンを作成する歩行パターン作成装置であって、足部において目標ゼロモーメントポイントを設定し、設定した目標ゼロモーメントポイントに応じて腰部のモーメント補償軌道を算出し、絶対座標系における腰座標系の原点と絶対座標系における足座標系の原点とから腰座標系から見た足部の位置を算出し、絶対座標系から見た足座標系の姿勢を表わす回転行列と絶対座標系から見た腰座標系の姿勢を表わす回転行列とから腰座標系から見た足座標系の姿勢を表わす回転行列を算出して足座標系の姿勢を表わす回転行列により足部の姿勢を算出し、歩行パターンにおける立脚前期か後期か及び遊脚前期か後期かを示すフラグである歩容フラグを決定し記憶することとしたものである。
この構成により、以下の作用を有する。
(1)2足歩行ロボット装置の腰部のモーメント補償軌道により目標ゼロモーメントポイントにおけるモーメントをゼロに近づけることができるので、2足歩行ロボットの転倒を防止して歩行を安定化することができる。
(2)腰座標系からみた足部の位置と姿勢のデータを生成することができるので、パラレルリンク機構においてはリアルタイム演算が困難な順運動学演算を行う必要がなく、パラレルリンク機構においてはリアルタイム演算が容易な逆運動学演算により脚部を伸縮するシリンダの長さを制御することができる。
(3)逆運動学演算において種々の補正データを用いて種々の制御を行うことができ、2足歩行ロボットの歩行を更に安定化することができる。
(4)立脚前期か後期か及び遊脚前期か後期かを示すフラグである歩容フラグを用いて脚部の状態に応じた制御を行うことができるので、倣い動作や復帰動作、軌道修正量維持など各脚の状態によって複雑な制御チャートを実行させることができ、これにより遊脚が大きな床反力を発生しZMPや姿勢角の偏差や加速度が発生する以前に路面形状への倣い動作を完了することができ、路面状態たとえば傾斜面や凹凸に応じた制御を的確に行うことができ、人間を搭載する場合のように正確なモデル化が困難な場合にも不整地における歩行を実現することができる。
請求項2に記載の歩行パターン作成装置は、請求項1に記載の歩行パターン作成装置において、足部の軌道と腰部の初期軌道を設定する軌道設定手段と、設定した足部の軌道と腰部の初期軌道とに基づいて目標ゼロモーメントポイントの軌道を設定する目標ZMP軌道設定手段と、脚部の運動および腰部の運動による目標ゼロモーメントポイント回りのモーメントを算出する目標ZMP回りモーメント算出手段と、算出した目標ゼロモーメントポイント回りのモーメントに基づいて腰部のモーメント補償軌道を算出するモーメント補償軌道算出手段と、設定した足部の軌道と腰部のモーメント補償軌道とにより算出された各質点の加速度に基づいて目標ゼロモーメントポイントにおけるエラーモーメントを算出するエラーモーメント算出手段と、算出したエラーモーメントが所定モーメントよりも小さくなったとき絶対座標系における腰座標系の原点と絶対座標系における足座標系の原点とから腰座標系から見た足部の位置を算出すると共に、絶対座標系から見た足座標系の姿勢を表わす回転行列と絶対座標系から見た腰座標系の姿勢を表わす回転行列とから腰座標系から見た足座標系の姿勢を表わす回転行列を算出して足座標系の姿勢を表わす回転行列により足部の姿勢を算出する足部位置姿勢算出手段と、歩容フラグを決定し記憶する歩容フラグ決定手段とを有することとしたものである。
この構成により、請求項1の作用に加え、以下の作用を有する。
(1)脚部の運動および腰部の運動による目標ゼロモーメントポイント回りのモーメントがゼロの近傍か否かをエラーモーメントにより判定することができ、歩行パターンの設定において目標ゼロモーメントポイント回りのモーメントを限り無くゼロに近づけることができるので、安定性の極めて高い2足歩行を2足歩行ロボット装置に行わせることができる。
請求項3に記載の歩行パターン作成装置は、請求項2に記載の歩行パターン作成装置において、ZMP回りモーメント算出手段において算出した目標ゼロモーメントポイント回りのモーメントと算出したエラーモーメントとの総和に基づいてフーリエ係数を算出するフーリエ変換手段と、算出したフーリエ係数に基づいてモーメント補償軌道の近似解を求めるためのフーリエ係数を決定するフーリエ係数決定手段とを備え、モーメント補償軌道算出手段は、決定したフーリエ係数に基づく逆フーリエ変換により腰部のモーメント補償軌道を算出することとしたものである。
この構成により、請求項2の作用に加え、以下の作用を有する。
(1)腰部のモーメント補償軌道を正確に算出することができるので、目標ゼロモーメントポイント回りのモーメントを迅速にゼロに近づけることができる。
請求項4に記載の歩行パターン作成装置は、請求項2または3に記載の歩行パターン作成装置において、目標ZMP回りモーメント算出手段は、脚部の運動により生じる目標ZMP回りモーメントを算出する下肢運動による目標ZMP回りモーメント算出手段と、腰部の運動により生じる目標ZMP回りモーメントを算出する腰運動による目標ZMP回り既知モーメント算出手段とを有することとしたものである。
この構成により、請求項2または3の作用に加え、以下の作用を有する。
(1)脚部の運動および腰部の運動による目標ゼロモーメントポイント回りのモーメントを正確に算出することができるので、腰部のモーメント補償軌道を正確に算出することができる。
請求項5に記載の歩行パターン作成装置は、請求項2乃至4のいずれか1に記載の歩行パターン作成装置において、足部位置姿勢算出手段は、絶対座標系における腰座標系の原点と絶対座標系における足座標系の原点とから腰座標系から見た足部の位置を算出する原点位置算出手段と、絶対座標系から見た足座標系の姿勢を表わす回転行列と絶対座標系から見た腰座標系の姿勢を表わす回転行列とから腰座標系から見た足座標系の姿勢を表わす回転行列を算出する回転行列算出手段と、回転行列算出手段で算出した回転行列により足部の姿勢を算出する姿勢算出手段とを有することとしたものである。
この構成により、請求項2乃至4のいずれか1の作用に加え、以下の作用を有する。
(1)腰座標系からみた足部の位置と姿勢のデータを正確に生成することができるので、リアルタイム演算が容易な逆運動学演算を用いて脚部を伸縮するシリンダの長さを正確に制御することができ、逆運動学演算において種々の補正データを用いて種々の制御を行う場合に正確な制御を行うことができる。
請求項6に記載の2足歩行ロボット装置は、足部を備えた脚部と腰部とから成り、脚部は脚部を伸縮するシリンダを有し、腰部は全体を制御すると共に請求項1乃至5のいずれか1に記載の歩行パターン作成装置と無線通信を行う制御コンピュータを有する2足歩行ロボット装置であって、制御コンピュータは、歩行パターン作成装置から受信した歩行パターンに基づいて2足歩行の制御を行うこととしたものである。
この構成により、以下の作用を有する。
(1)腰部のモーメント補償軌道により足部の目標ゼロモーメントポイントにおけるモーメントをゼロに近づけて歩行を安定化することができる。
(2)歩行パターンを無線を介して遠隔地でも受信することができる。
(3)腰部に種々の上体(体幹)を取り付け可能とすれば、種々の用途(たとえば救助用、介護用、危険作業用等)に適合する2足歩行ロボットを迅速に構築することができ、また、腰部にいす等の搭乗部を取り付けて人間の搭乗を可能とすれば、種々の用途(たとえば福祉用、移動用)に適合する2足歩行ロボットを容易且つ迅速に構築することができる。
(4)腰座標系からみた足部の位置と姿勢のデータに対して逆運動学演算を行って脚部を伸縮するシリンダの長さを制御することができるので、パラレルリンク機構においてはリアルタイム演算が困難な順運動学演算を行う必要がなく、パラレルリンク機構においてはリアルタイム演算が容易な逆運動学演算によりロボットの歩行を制御することができる。
(5)種々の補正データ(たとえばコンプライアンス移動量や腰部の位置・姿勢の操作量)を足部の位置や姿勢の次元で足し合わせてから逆運動学演算を行うという容易な実装ができ、2足歩行ロボットの歩行を更に安定化することができる。
請求項7に記載の2足歩行ロボット装置は、請求項6に記載の2足歩行ロボット装置において、制御コンピュータは、歩行パターン作成用コンピュータから歩行パターンを無線で受信してメモリに格納する歩行パターン設定手段と、格納した歩行パターンから歩行に使用するパターンを選択して歩行開始を指令する歩行開始命令手段と、歩行開始命令手段の指令に基づいてモータを制御してシリンダの長さを制御するモータ制御手段とを有することとしたものである。
この構成により、請求項6の作用に加え、以下の作用を有する。
(1)歩行状態において2足歩行ロボット装置は歩行パターン作成用コンピュータから物理的な拘束を受けることなく高安定な歩行を行うことができ、また、周囲または自己の状態(たとえば搭載重量の軽重状態)に応じた適切な歩行パターンで歩行することができる。
請求項8に記載の2足歩行ロボット装置は、請求項7に記載の2足歩行ロボット装置において、モータ制御手段は、基本制御を行う基本制御手段と、遊脚を路面に衝撃を緩和して着地させると共に路面の凹凸に足部を倣わせる着地制御手段とを有することとしたものである。
この構成により、請求項7の作用に加え、以下の作用を有する。
(1)基本制御に基づく基本動作を行うことができると共に、状況に応じて着地制御を行うことができる。
(2)基本制御においては、パラレルメカニズムの脚機構にとっては計算量が膨大なために実施が困難な順運動学を行う必要がなくなり、計算が容易な逆運動学によりリアルタイムにリンク長さ(つまりシリンダ長さ)を制御することができるので、足部の位置・姿勢に関して種々の制御を行うことができるようになる。
(3)着地制御においては、遊脚が大きな床反力を発生しZMPや姿勢角の偏差や加速度が発生する以前に、路面形状への倣い動作を完了し、不整路面に対して転倒することなく安定した歩行を行うことができ、人間搭乗型2足歩行ロボットのように正確なモデル化が困難なロボットの不整地における歩行を実現することができる。
請求項9に記載の2足歩行ロボット装置は、請求項8に記載の2足歩行ロボット装置において、基本制御手段は、足部位置姿勢算出手段で算出した足部の位置・姿勢の目標値を歩行開始命令手段の指令に基づいて出力する歩行パターン出力手段と、歩行パターン出力手段から出力される足部の位置・姿勢の目標値を逆運動学演算してシリンダの長さを算出する逆運動学演算手段とを有することとしたものである。
この構成により、請求項8の作用に加え、以下の作用を有する。
(1)パラレルメカニズムの脚機構にとっては計算量が膨大なために実施が困難な順運動学を行う必要がなくなり、計算が容易な逆運動学によりリアルタイムにリンク長さを制御することができるので、足部の位置・姿勢に関して種々の制御を行うことができる。
請求項10に記載の2足歩行ロボット装置は、請求項8または9に記載の2足歩行ロボット装置において、着地制御手段は、歩容フラグに基づいて制御、維持、復帰、コンプライアンス等の制御モードを選択するモード選択手段と、歩行パターンの成分において着地制御の対象となる成分である制御対象成分と制御対象成分以外の非制御対象成分とを分割する成分分割手段と、遊脚の着地衝撃を緩和する非線形コンプライアンス移動量を足部における床反力に基づいて算出する非線形コンプライアンス移動量算出手段と、非線形コンプライアンス移動量に基づいて上下方向の軌道修正量を算出するz方向軌道修正量算出手段と、足部におけるロールおよびピッチ方向のトルクに基づいてロールおよびピッチの軌道修正量を算出するロール・ピッチ軌道修正量算出手段と、歩行パターン出力手段から出力される歩行パターンと着地路面検知用移動許容量と非線形コンプライアンス移動量と上下方向の軌道修正量とロール・ピッチ軌道修正量とに基づいて歩行パターンを修正する歩行パターン修正手段とを有することとしたものである。
この構成により、請求項8または9の作用に加え、以下の作用を有する。
(1)着地衝撃の緩和と振動の抑制に対しては非線形コンプライアンス移動量を用いて対応することができ、路面の凹凸や傾斜路面に対しては上下方向の軌道修正量およびロールおよびピッチの軌道修正量を用いて対応することができる。
(2)ジャイロを含め特別なセンサや機構を必要とせず、ZMPや計測用の力センサのみを用いて着地制御を行うことができ、部品点数や製造コストの増加を防止できる。
(3)遊脚が大きな床反力を発生しZMPや姿勢角の偏差や加速度が発生する以前に、路面形状への倣い動作を完了できるため、不整路面に対して転倒することなく安定した歩行を行うことができ、人間搭乗型2足歩行ロボットのように正確なモデル化が困難なロボットの不整地における歩行を確実に実現することができる。
請求項11に記載の2足歩行ロボット装置は、請求項10に記載の2足歩行ロボット装置において、z方向軌道修正量算出手段は、理想的水平平坦路面に衝撃や振動なく理想的に着地したときに発生するはずの理論コンプライアンス移動量を制御対象成分に基づいて算出する理論コンプライアンス移動量算出手段と、理論コンプライアンス移動量と非線形コンプライアンス移動量との差分である着地路面高さ誤差を算出するコンプライアンス移動量偏差算出手段と、モード選択手段で選択した制御モードと着地路面高さ誤差とに基づいて上下方向の軌道修正量を算出する軌道修正量算出手段とを有することとしたものである。
この構成により、請求項10の作用に加え、以下の作用を有する。
(1)路面の凹凸に対して上下方向に正確に対応することができるので、ロール・ピッチについて対応すれば、不整路面に対して、遊脚が大きな床反力を発生しZMPや姿勢角の偏差や加速度が発生する以前に、路面形状への倣い動作を完了し、転倒することなく安定した歩行を行うことができ、人間搭乗型2足歩行ロボットのように正確なモデル化が困難なロボットの不整地における歩行を更に一層確実に実現することができる。
請求項12に記載の2足歩行ロボット装置は、請求項10に記載の2足歩行ロボット装置において、ロール・ピッチ軌道修正量算出手段は、足部におけるロールおよびピッチ方向のトルクに基づいてコンプライアンス移動量を算出するコンプライアンス移動量算出手段と、コンプライアンス移動量に基づいてロールおよびピッチ方向の軌道修正量を算出する軌道修正量算出手段とを有することとしたものである。
この構成により、請求項10の作用に加え、以下の作用を有する。
(1)路面の凹凸に対してロール・ピッチ軸まわりに正確に対応することができるので、上下方向について対応すれば、不整路面に対して、遊脚が大きな床反力を発生しZMPや姿勢角の偏差や加速度が発生する以前に、路面形状への倣い動作を完了し、転倒することなく安定した歩行を行うことができ、人間搭乗型2足歩行ロボットのように正確なモデル化が困難なロボットの不整地における歩行を更に一層確実に実現することができるという作用・効果を有する。
請求項13に記載の2足歩行ロボット装置は、請求項8乃至12のいずれか1に記載の2足歩行ロボット装置において、モータ制御手段は、着地制御手段により修正した歩行パターンを推定した腰部の姿勢角補償量に基づいて補正する推定姿勢補償制御を行う推定姿勢補償制御手段を備え、推定姿勢補償制御手段は、ZMP実測値を足部における力成分とモーメント成分とから算出するZMP実測値算出手段と、算出されたZMP実測値とZMP目標値との偏差であるZMP偏差値を算出するZMP偏差値算出手段と、ZMP偏差値を積分した値に基づいて腰部の姿勢角補償量を算出する姿勢角補償量算出手段と、修正した歩行パターンにおける足部の位置又は姿勢の目標値を姿勢角補償量に基づいて補正する足部位置姿勢補正手段とを有することとしたものである。
この構成により、請求項8乃至12のいずれか1の作用に加え、以下の作用を有する。
(1)機械剛性やモータの応答偏差等に起因し着地制御における軌道修正により生じる腰部の姿勢角の累積誤差をZMP実測値より推定し、推定した値に基づきそれを補償して腰部と遊脚側の足部を略水平に維持することができるので、着地制御時の足部による不整地面のセンシング精度の低下等を補い、正確な着地制御を行うことができ、安定した歩行を行うことができる。
(2)ZMP偏差値の積分値に基づいて姿勢角補償量を算出するため、急激な変化を伴う補償動作を防止でき安定性に優れる。特に、着地制御により急激な姿勢角の変化を防止できるので、これと推定姿勢補償制御を併せることでより信頼性の高い歩行制御を行うことができる。
(3)腰部の姿勢角を測定するための姿勢角センサを搭載する必要がなく、部品点数や製造コストの増加を防止できる。
請求項14に記載の2足歩行ロボット装置は、請求項13に記載の2足歩行ロボット装置において、姿勢角補償量算出手段は、所定の周期でZMP偏差値の積分値をゼロに設定するゼロ設定手段と、ZMP偏差値の積分値がゼロに設定された時点からの積分値を算出する積分値算出手段と、足部の位置又は姿勢の補正操作を行う操作期間を設定する操作期間設定手段と、操作期間の開始時点におけるZMP偏差値の積分値に基づいて姿勢角補償量を算出する補償量算出手段とを有することとしたものである。
この構成により、請求項13の作用に加え、以下の作用を有する。
(1)所定の周期でZMP偏差値の積分値をゼロに設定(リセット)することにより、実際の姿勢角偏差との積分誤差の増加を防止できる。
(2)所定の操作期間を設定するため姿勢角誤差が過度に累積するのを防止できる。
請求項15に記載の歩行パターン作成方法は、足部を備えた脚部と腰部とから成る2足歩行ロボット装置の歩行パターンを作成する歩行パターン作成方法であって、足部において目標ゼロモーメントポイントを設定し、設定した目標ゼロモーメントポイントに応じて腰部のモーメント補償軌道を算出し、絶対座標系における腰座標系の原点と絶対座標系における足座標系の原点とから腰座標系から見た足部の位置を算出し、絶対座標系から見た足座標系の姿勢を表わす回転行列と絶対座標系から見た腰座標系の姿勢を表わす回転行列とから腰座標系から見た足座標系の姿勢を表わす回転行列を算出して足座標系の姿勢を表わす回転行列により足部の姿勢を算出し、歩行パターンにおける立脚前期か後期か及び遊脚前期か後期かを示すフラグである歩容フラグを決定し記憶することとしたものである。
この構成により、以下の作用を有する。
(1)2足歩行ロボット装置の腰部のモーメント補償軌道により目標ゼロモーメントポイントにおけるモーメントをゼロに近づけることができるので、2足歩行ロボットの転倒を防止して歩行を安定化することができる。
(2)腰座標系からみた足部の位置と姿勢のデータを生成することができるので、リアルタイム演算が困難な順運動学演算を行う必要がなく、リアルタイム演算が容易な逆運動学演算により脚部を伸縮するシリンダの長さを制御することができる。
(3)逆運動学演算において種々の補正データを用いて種々の制御を行うことができ、2足歩行ロボットの歩行を更に安定化することができる。
(4)立脚前期か後期か及び遊脚前期か後期かを示すフラグである歩容フラグを用いて脚部の状態に応じた制御を行うことができるため、倣い動作や復帰動作、軌道修正量維持など各脚の状態によって複雑な制御チャートを実行させることができ、路面状態たとえば傾斜面や凹凸に応じた制御を行うことができ、人間を搭載する場合のように正確なモデル化が困難な場合にも不整地における歩行を実現することができる。
請求項16に記載の歩行パターン作成方法は、請求項15に記載の歩行パターン作成方法において、足部の軌道と腰部の初期軌道を設定する軌道設定ステップと、設定した足部の軌道と腰部の初期軌道とに基づいて目標ゼロモーメントポイントの軌道を設定する目標ZMP軌道設定ステップと、脚部の運動および腰部の運動による目標ゼロモーメントポイント回りのモーメントを算出する目標ZMP回りモーメント算出ステップと、算出した目標ゼロモーメントポイント回りのモーメントに基づいて腰部のモーメント補償軌道を算出するモーメント補償軌道算出ステップと、設定した足部の軌道と腰部のモーメント補償軌道とにより算出された各質点の加速度に基づいて目標ゼロモーメントポイントにおけるエラーモーメントを算出するエラーモーメント算出ステップと、算出したエラーモーメントが所定モーメントよりも小さくなったとき絶対座標系における腰座標系の原点と絶対座標系における足座標系の原点とから腰座標系から見た足部の位置を算出すると共に、絶対座標系から見た足座標系の姿勢を表わす回転行列と絶対座標系から見た腰座標系の姿勢を表わす回転行列とから腰座標系から見た足座標系の姿勢を表わす回転行列を算出して足座標系の姿勢を表わす回転行列により足部の姿勢を算出する足部位置姿勢算出ステップと、歩容フラグを決定し記憶する歩容フラグ決定ステップとを有することとしたものである。
この構成により、請求項15の作用に加え、以下の作用を有する。
(1)脚部の運動および腰部の運動による目標ゼロモーメントポイント回りのモーメントがゼロの近傍か否かをエラーモーメントにより判定することができ、歩行パターンの設定において目標ゼロモーメントポイント回りのモーメントを限り無くゼロに近づけることができるので、安定性の極めて高い2足歩行を2足歩行ロボット装置に行わせることができる。
請求項17に記載の歩行パターン作成方法は、請求項16に記載の歩行パターン作成方法において、ZMP回りモーメント算出ステップにおいて算出した目標ゼロモーメントポイント回りのモーメントと算出したエラーモーメントとの総和に基づいてフーリエ係数を算出するフーリエ変換ステップと、算出したフーリエ係数に基づいてモーメント補償軌道の近似解を求めるためのフーリエ係数を決定するフーリエ係数決定ステップとを備え、モーメント補償軌道算出ステップにおいては、決定したフーリエ係数に基づく逆フーリエ変換により腰部のモーメント補償軌道を算出することとしたものである。
この構成により、請求項16の作用に加え、以下の作用を有する。
(1)腰部のモーメント補償軌道を正確に算出することができるので、目標ゼロモーメントポイント回りのモーメントを軌道が発散することなく迅速にゼロに近づけることができる。
請求項18に記載の歩行パターン作成方法は、請求項16または17に記載の歩行パターン作成方法において、目標ZMP回りモーメント算出ステップは、脚部の運動により生じる目標ZMP回りモーメントを算出する下肢運動による目標ZMP回りモーメント算出ステップと、腰部の運動により生じる目標ZMP回りモーメントを算出する腰運動による目標ZMP回り既知モーメント算出ステップとを有することとしたものである。
この構成により、請求項16または17の作用に加え、以下の作用を有する。
(1)脚部の運動および腰部の運動による目標ゼロモーメントポイント回りのモーメントを正確に算出することができるので、腰部のモーメント補償軌道を正確に算出することができる。
請求項19に記載の歩行パターン作成方法は、請求項16乃至18のいずれか1に記載の歩行パターン作成方法において、足部位置姿勢算出ステップは、絶対座標系における腰座標系の原点と絶対座標系における足座標系の原点とから腰座標系から見た足部の位置を算出する原点位置算出ステップと、絶対座標系から見た足座標系の姿勢を表わす回転行列と絶対座標系から見た腰座標系の姿勢を表わす回転行列とから腰座標系から見た足座標系の姿勢を表わす回転行列を算出する回転行列算出ステップと、回転行列算出ステップで算出した回転行列により足部の姿勢を算出する姿勢算出ステップとを有することとしたものである。
この構成により、請求項16乃至18のいずれか1の作用に加え、以下の作用を有する。
(1)2足歩行ロボット装置の制御方法において腰座標系からみた足部の位置と姿勢のデータを正確に生成することができるので、リアルタイム演算が容易な逆運動学演算を用いて脚部を伸縮するシリンダの長さを正確に制御することができ、逆運動学演算において種々の補正データを用いて種々の制御を行う場合に正確な制御を行うことができる。
請求項20に記載の2足歩行ロボット装置の制御方法は、足部を備えた脚部と腰部とから成り、脚部は脚部を伸縮するシリンダを有し、腰部は全体を制御すると共に請求項1乃至5のいずれか1に記載の歩行パターン作成装置と無線通信を行う制御コンピュータを有する2足歩行ロボット装置の制御方法であって、制御コンピュータは、歩行パターン作成装置から受信した歩行パターンに基づいて2足歩行の制御を行うこととしたものである。
この構成により、以下の作用を有する。
(1)腰部のモーメント補償軌道により足部の目標ゼロモーメントポイントにおけるモーメントをゼロに近づけて歩行を安定化することができる.
(2)歩行パターンを無線を介して遠隔地でも受信することができる。
(3)腰部に種々の上体(体幹)を取り付け可能とすれば、種々の用途(たとえば救助用、介護用、危険作業用等)に適合する2足歩行ロボットを迅速に構築することができ、また、腰部にいす等の搭乗部を取り付けて人間の搭乗を可能とすれば、種々の用途(たとえば福祉用、移動用)に適合する2足歩行ロボットを容易且つ迅速に構築することができる。
(4)腰座標系からみた足部の位置と姿勢のデータに対して逆運動学演算を行って脚部を伸縮するシリンダの長さを制御することができるので、パラレルリンク機構においてはリアルタイム演算が困難な順運動学演算を行う必要がなく、パラレルリンク機構においてはリアルタイム演算が容易な逆運動学演算によりロボットの歩行を制御することができる。
(5)種々の補正データ(たとえばコンプライアンス移動量や腰部の位置・姿勢の操作量)を足部の位置や姿勢の次元で足し合わせてから逆運動学演算を行うという容易な実装ができ、2足歩行ロボットの歩行を更に安定化することができる。
請求項21に記載の2足歩行ロボット装置の制御方法は、請求項20に記載の2足歩行ロボット装置の制御方法において、制御コンピュータは、歩行パターン作成用コンピュータから歩行パターンを無線で受信してメモリに格納する歩行パターン設定ステップと、格納した歩行パターンから歩行に使用するパターンを選択して歩行開始を指令する歩行開始命令ステップと、歩行開始命令ステップにおける指令に基づいてモータを制御してシリンダの長さを制御するモータ制御ステップとを有することとしたものである。
この構成により、請求項20の作用に加え、以下の作用を有する。
(1)歩行状態において2足歩行ロボット装置は歩行パターン作成用コンピュータから物理的な拘束を受けることなく高安定な歩行を行うことができ、また、周囲または自己の状態(たとえば搭載重量の軽重状態)に応じた適切な歩行パターンで歩行することができる。
請求項22に記載の2足歩行ロボット装置の制御方法は、請求項21に記載の2足歩行ロボット装置の制御方法において、モータ制御ステップは、基本制御を行う基本制御ステップと、遊脚を路面に衝撃を緩和して着地させると共に路面の凹凸に足部を倣わせる着地制御ステップとを有することとしたものである。
この構成により、請求項21の作用に加え、以下の作用を有する。
(1)基本制御に基づく基本動作を行うことができると共に、状況に応じて着地制御を行うことができる。
(2)基本制御においては、パラレルメカニズムの脚機構にとっては計算量が膨大なために実施が困難な順運動学を行う必要がなくなり、計算が容易な逆運動学によりリアルタイムにリンク長さを制御することができるので、足部の位置・姿勢に関して種々の制御を行うことができるようになる。
(3)着地制御においては、遊脚が大きな床反力を発生しZMPや姿勢角の偏差や加速度が発生する以前に、路面形状への倣い動作を完了し、不整路面に対して転倒することなく安定した歩行を行うことができ、人間搭乗型2足歩行ロボットのように正確なモデル化が困難なロボットの不整地における歩行を実現することができる。
請求項23に記載の2足歩行ロボット装置の制御方法は、請求項22に記載の2足歩行ロボット装置の制御方法において、基本制御ステップは、足部位置姿勢算出手段で算出した足部の位置・姿勢の目標値を歩行開始命令ステップにおける指令に基づいて出力する歩行パターン出力ステップと、歩行パターン出力ステップから出力される足部の位置・姿勢の目標値を逆運動学演算してシリンダの長さを算出する逆運動学演算ステップとを有することとしたものである。
この構成により、請求項22の作用に加え、以下の作用を有する。
(1)パラレルメカニズムの脚機構にとっては計算量が膨大なために実施が困難な順運動学を行う必要がなくなり、計算が容易な逆運動学によりリアルタイムにリンク長さを制御することができるので、足部の位置・姿勢に関して種々の制御を行うことができる。
請求項24に記載の2足歩行ロボット装置の制御方法は、請求項22または23に記載の2足歩行ロボット装置の制御方法において、着地制御ステップは、歩容フラグに基づいて制御、維持、復帰、コンプライアンス等の制御モードを選択するモード選択ステップと、歩行パターンの成分において着地制御の対象となる成分である制御対象成分と制御対象成分以外の非制御対象成分とを分割する成分分割ステップと、遊脚の着地衝撃を緩和する非線形コンプライアンス移動量を足部における床反力に基づいて算出する非線形コンプライアンス移動量算出ステップと、非線形コンプライアンス移動量に基づいて上下方向の軌道修正量を算出するz方向軌道修正量算出ステップと、足部におけるロールおよびピッチ方向のトルクに基づいてロールおよびピッチの軌道修正量を算出するロール・ピッチ軌道修正量算出ステップと、歩行パターン出力ステップにおいて出力される歩行パターンと着地路面検知用移動許容量と非線形コンプライアンス移動量と上下方向の軌道修正量とロール・ピッチ軌道修正量とに基づいて歩行パターンを修正する歩行パターン修正ステップとを有することとしたものである。
この構成により、請求項22または23の作用に加え、以下の作用を有する。
(1)着地衝撃の緩和と振動の抑制に対しては非線形コンプライアンス移動量を用いて対応することができ、路面の凹凸や傾斜路面に対しては上下方向の軌道修正量およびロールおよびピッチの軌道修正量を用いて対応することができる。
(2)ジャイロを含め特別なセンサや機構を必要とせず、ZMP計測用の力センサのみを用いて着地制御を行うことができ、部品点数や製造コストの増加を防止できる。
(3)遊脚が大きな床反力を発生しZMPや姿勢角の偏差や加速度が発生する以前に、路面形状への倣い動作を完了できるため、不整路面に対して転倒することなく安定した歩行を行うことができ、人間搭乗型2足歩行ロボットのように正確なモデル化が困難なロボットの不整地における歩行を確実に実現することができる。
請求項25に記載の2足歩行ロボット装置の制御方法は、請求項24に記載の2足歩行ロボット装置の制御方法において、z方向軌道修正量算出ステップは、理想的水平平坦路面に衝撃や振動なく理想的に着地したときに発生するはずの理論コンプライアンス移動量を制御対象成分に基づいて算出する理論コンプライアンス移動量算出ステップと、理論コンプライアンス移動量と非線形コンプライアンス移動量との差分である着地路面高さ誤差を算出するコンプライアンス移動量偏差算出ステップと、モード選択ステップで選択した制御モードと着地路面高さ誤差とに基づいて上下方向の軌道修正量を算出する軌道修正量算出ステップとを有することとしたものである。
この構成により、請求項24の作用に加え、以下の作用を有する。
(1)路面の凹凸に対して上下方向に正確に対応することができるので、ロール・ピッチについて対応すれば、不整路面に対して、遊脚が大きな床反力を発生しZMPや姿勢角の偏差や加速度が発生する以前に、路面形状への倣い動作を完了し、転倒することなく安定した歩行を行うことができ、人間搭乗型2足歩行ロボットのように正確なモデル化が困難なロボットの不整地における歩行を更に一層確実に実現することができる。
請求項26に記載の2足歩行ロボット装置の制御方法は、請求項24に記載の2足歩行ロボット装置の制御方法において、ロール・ピッチ軌道修正量算出手段は、足部におけるロールおよびピッチ方向のトルクに基づいてコンプライアンス移動量を算出するコンプライアンス移動量算出手段と、コンプライアンス移動量に基づいてロールおよびピッチ方向の軌道修正量を算出する軌道修正量算出手段とを有することとしたものである。
この構成により、請求項24の作用に加え、以下の作用を有する。
(1)路面の凹凸に対してロール・ピッチ軸まわりに正確に対応することができるので、上下方向について対応すれば、不整路面に対して、遊脚が大きな床反力を発生しZMPや姿勢角の偏差や加速度が発生する以前に、路面形状への倣い動作を完了し、転倒することなく安定した歩行を行うことができ、人間搭乗型2足歩行ロボットのように正確なモデル化が困難なロボットの不整地における歩行を更に一層確実に実現することができる。
請求項27に記載の2足歩行ロボット装置の制御方法は、請求項22乃至26のいずれか1に記載の2足歩行ロボット装置の制御方法において、モータ制御ステップは、着地制御ステップにおいて修正した歩行パターンを推定した腰部の姿勢角補償量に基づいて補正する推定姿勢補償制御を行う推定姿勢補償制御ステップを備え、推定姿勢補償制御ステップは、ZMP実測値を足部における力成分とモーメント成分とから算出するZMP実測値算出ステップと、算出されたZMP実測値とZMP目標値との偏差であるZMP偏差値を算出するZMP偏差値算出ステップと、ZMP偏差値を積分した値に基づいて腰部の姿勢角補償量を算出する姿勢角補償量算出ステップと、修正した歩行パターンにおける足部の位置又は姿勢の目標値を姿勢角補償量に基づいて補正する足部姿勢操作量加算ステップとを有することとしたものである。
この構成により、請求項22乃至26のいずれか1の作用に加え、以下の作用を有する。
(1)機械剛性やモータの応答偏差等に起因し着地制御における軌道修正により生じる腰部の姿勢角の累積誤差をZMP実測値より推定し、推定した値に基づきそれを補償して腰部と遊脚側の足部を略水平に維持することができるので、着地制御時の足部による不整地面のセンシング精度の低下等を補い、正確な着地制御を行うことができ、安定した歩行を行うことができる。
(2)ZMP偏差値の積分値に基づいて姿勢角補償量を算出するため、急激な変化を伴う補償動作を防止でき安定性に優れる。特に、着地制御により急激な姿勢角の変化を防止できるので、これと推定姿勢補償制御を併せることでより信頼性の高い歩行制御を行うことができる。
(3)腰部の姿勢角を測定するための姿勢角センサを搭載する必要がなく、部品点数や製造コストの増加を防止できる。
請求項28に記載の2足歩行ロボット装置の制御方法は、請求項27に記載の2足歩行ロボット装置の制御方法において、姿勢角補償量算出ステップは、所定の周期でZMP偏差値の積分値をゼロに設定するゼロ設定ステップと、ZMP偏差値の積分値がゼロに設定された時点からの積分値を算出する積分値算出ステップと、足部の位置又は姿勢の補正操作を行う操作期間を設定する操作期間設定ステップと、操作期間の開始時点におけるZMP偏差値の積分値に基づいて姿勢角補償量を算出する補償量算出ステップとを有することとしたものである。
この構成により、請求項27の作用に加え、以下の作用を有する。
(1)所定の周期でZMP偏差値の積分値をゼロに設定(リセット)することにより、実際の姿勢角偏差との積分誤差の増加を防止できる。
(2)所定の操作期間を設定するため姿勢角誤差が過度に累積するのを防止できる。
請求項29に記載のプログラムは、コンピュータに請求項15乃至19のいずれか1に記載の歩行パターン作成方法の各ステップを実行させるためのプログラムであることとしたものである。
この構成により、以下の作用を有する。
(1)請求項15乃至19のいずれか1に記載の歩行パターン作成方法を任意の場所で任意の時間に汎用コンピュータに実行させることができる。
請求項30に記載の記録媒体は、請求項29に記載のプログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体であることとしたものである。
この構成により、以下の作用を有する。
(1)汎用コンピュータで記録媒体を読み取りさえすれば、請求項15乃至19のいずれか1に記載の歩行パターン作成方法を任意の場所で任意の時間に汎用コンピュータに実行させることができる。
請求項31に記載のプログラムは、コンピュータに請求項20乃至28のいずれか1に記載の2足歩行ロボット装置の制御方法の各ステップを実行させるためのプログラムであることとしたものである。
この構成により、以下の作用を有する。
(1)請求項20乃至28のいずれか1に記載の2足歩行ロボット装置の制御方法を任意の場所で任意の時間に汎用コンピュータに実行させることができる。
請求項32に記載の記録媒体は、請求項31に記載のプログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体であることとしたものである。
この構成により、以下の作用を有する。
(1)汎用コンピュータで記録媒体を読み取りさえすれば、請求項20乃至28のいずれか1に記載の2足歩行ロボット装置の制御方法を任意の場所で任意の時間に汎用コンピュータに実行させることができる。
以下、本発明の実施の形態について、図1〜図56を用いて説明する。
(実施の形態1)
本発明の実施の形態1による歩行パターン作成装置と2足歩行ロボット装置の説明においては、まず、(1)2足歩行ロボット装置の機構について説明し、次に(2)2足歩行の制御理論、(3)2足歩行ロボット装置の構成(ハードウェア構成およびソフトウェア構成(機能実現手段の構成))について説明し、最後に上記制御理論に基づく(4)歩行パターン作成装置と2足歩行ロボット装置の動作(歩行パターン作成動作と2足歩行ロボット装置の制御動作)をフローチャートに基づいて説明する。
(1)ロボット装置の機構について
最初に、本発明の実施の形態1における2足歩行ロボット装置の機構について、図50〜図56を用いて説明する。
図50(a)は本実施の形態における2足歩行ロボット装置の下半身モジュールの模式斜視図であり、図50(b)は本実施の形態による2足歩行ロボット装置の下半身モジュールの模式平面図である。
図50において、201は本実施の形態における2足歩行ロボット装置の下半身モジュール、201aは右脚部のパラレルリンク機構部、201bは左脚部のパラレルリンク機構部、202はベース部(腰部)、203は右足部、204は左足部である。右脚部のパラレルリンク機構部201aにおいて、205a、205a′、205b、205b′、205c、205c′は直動リンク、206a、206a′、206b、206b′、206c、206c′はベース部側受動ジョイント、207a、207b、207cは足部側受動ジョイント、208a、208b、208cは回動受動ジョイントである。なお、左脚部のパラレルリンク機構部201bの各部は右脚部のパラレルリンク機構部201aと対称で同一構成なので同様の符号を付し説明を省略する。
ここで、ベース部側受動ジョイント206a、206a′はベース部202の下面の右後部側に配設されている。足部側受動ジョイント207aは右足部203の右後部側に配設され、その下部には回動受動ジョイント208aが配設されている。直動リンク205aは上端部がベース部側受動ジョイント206aに連結され、下端部が足部側受動ジョイント207aに連結されている。直動リンク205a′は上端部がベース部側受動ジョイント206a′に連結され、下端部が足部側受動ジョイント207aに連結されている。
ベース部側受動ジョイント206b、206b′はベース部202の下面の右前部側に配設されている。足部側受動ジョイント207bは右足部203の右前部側に配設され、その下部には回動受動ジョイント208bが配設されている。直動リンク205bは上端部がベース部側受動ジョイント206bに連結され、下端部が足部側受動ジョイント207bに連結されている。直動リンク205b′は上端部がベース部側受動ジョイント206b′に連結され、下端部が足部側受動ジョイント207bに連結されている。
ベース部側受動ジョイント206c、206c′はベース部202の下面の右中央部に配設されている。足部側受動ジョイント207cは右足部203の右中央部に配設され、その下部には回動受動ジョイント208cが配設されている。直動リンク205cは上端部がベース部側受動ジョイント206cに連結され、下端部が足部側受動ジョイント207cに連結されている。直動リンク205c′は上端部がベース部側受動ジョイント206c′に連結され、下端部が足部側受動ジョイント207cに連結されている。
このように、右脚部のパラレルリンク機構部201aと左脚部のパラレルリンク機構部201bはベース部202の中央に対してその両側に対称に配設されている。
また、直動リンク205、205a、205a′、205b、205b′、205c、205c′(以下、直動リンク205、205a〜205c′とする)は、モータを用いた送り螺子機構や、油圧、水圧、空気圧等を用いたシリンダ等の直動型アクチュエータを用いて伸縮自在に形成され、その長手方向に伸縮する1自由度に形成されている。ベース部側受動ジョイント206、206a、206a′、206b、206b′、206c、206c′(以下、ベース部側受動ジョイント206、206a〜206c′とする)は、直動リンク205、205a〜205c′の長手方向に直交し、且つ各々直交する2軸の軸周方向に回動する2自由度に形成されている。足部側受動ジョイント207、207a、207b、207cは、直動リンク205、205a〜205c′の長手方向に直交し、且つ各々直交する2軸の軸周方向に回動する2自由度に形成されている。回動受動ジョイント208、208a、208b、208cは、直動リンク205、205a〜205c′の軸周方向に回動する1自由度に形成されている。
このように、右脚部、左脚部のパラレルリンク機構部201a、201bは各々6自由度に形成されているため、右足部203及び左足部204は、前後、左右、上下、及び前後方向、左右方向、上下方向を軸とした軸周方向の動作が可能であり、多様な動作を行うことができ、歩行動作を円滑に行うことができる。
以上のように構成された本実施の形態における2足歩行ロボットの下半身モジュールについて、以下その動作を図を用いて説明する。なお、本実施の形態においては、下半身モジュールの右脚部の動作について説明する。左脚部の動作については右脚部と同様であるので説明を省略する。
右脚部を動作させる場合、予め設定された歩行パターンに基づいて右足部203の逆運動学を計算し、算出された値に基づいて直動リンク205a〜205c′の各々の図示しないアクチュエータを駆動させ直動リンク205a〜205c′を伸縮させる。直動リンク205a〜205c′とベース部202又は右足部203との連結部分に配設されているベース部側受動ジョイント206a〜206c′、足部側受動ジョイント207a〜207c、及び回動受動ジョイント208a〜208cは、直動リンク205a〜205c′の伸縮に追従してこれを妨げることなく円滑に従動する。直動リンク205a〜205c′のアクチュエータの駆動は各々に配設されたロータリエンコーダ等の図示しない検出器により検出され、取得された検出値は角度データ等としてフィードバックされ直動リンク205a〜205c′はフィードバック制御される。これにより、右足部203は、一歩踏み出す動作やその場で足踏みする動作等を行うことができる。更に、このような動作を右足部203と左足部204で交互に連続して行うことにより、歩行動作を行うことができる。
図51は本実施の形態における2足歩行ロボット装置の下半身モジュールの斜視図である。
図51において、201cは本実施の形態における2足歩行ロボット装置の下半身モジュール、202はベース部、203は右足部、203aは右足部203の上部に固定された平板状の固定板、204は左足部、204aは左足部204の上部に固定された平板状の固定板、209はベース部202の上面に配設された制御装置部、209′は制御装置部209の後部に配設された制御用コンピュータ、231はバッテリ、232はモータ駆動用回路部、235はベース部202と右足部203及び左足部204の間に各々立設された直動リンク、236はベース部202の下面側の所定位置に固定されたベース部側受動ジョイント、237は右足部203及び左足部204の固定板203a、204aの上面側の所定位置に回動自在に固定された足部側受動ジョイント、248は直動リンク235を伸縮するための直流サーボモータである。足部側受動ジョイント237は図50で説明した足部側受動ジョイント207、207a、207b、207c及び回動受動ジョイント208、208a、208b、208cと同様の機能をボールジョイントで実現したものである。このボールジョイントについては後述する。
ここで、本実施の形態においては、直動リンク235は後述する送り螺子機構により長手方向に伸縮自在に形成されている。送り螺子機構の代わりに油圧、水圧、空気圧等を用いたシリンダや直動型アクチュエータを用いた機構としてもよい。また、直動リンク235は、2本を1組として上端部が各々ベース部側受動ジョイント236に連結され下端部が1つの足部側受動ジョイント237に連結されたV字形状に配設されている。1組の直動リンク235は、右脚部及び左脚部に各々3組ずつ、平面視三角形状に配設され、片脚に6本、合計12本が配設されている。すなわち、本実施の形態における2足歩行ロボット装置の下半身モジュール201cの左右の脚部は、各々スチュワートプラットホーム(パラレルメカニズムの一種であり、6本の直動シリンダの両端をボールジョイントとユニバーサルジョイントでベースとエンドエフェクタに結合する構造を有している)により構成されている。これにより、動作の安定性及び強度、剛性、出力に優れる。また、1つのベース部側受動ジョイント236には1つの直動リンク235の上端部が連結され、1つの足部側受動ジョイント237には2つの直動リンク215の下端部が連結されている。
バッテリ231、モータ駆動用回路部232は制御装置部209に配設されている。本実施の形態においては、バッテリ211としてニッケル水素バッテリを使用した。
また、右足部203及び左足部204の底面側に、床反力を検出する6軸力覚センサ203b、204b(図40の142)を設ける。6軸力覚センサ203b、204bは、各軸方向の力3成分と各軸周りのモーメント3成分を同時に且つ逐次連続的に高精度で検出することができる。また、6軸力覚センサ203b、204bで検出された値を基に仮想コンプライアンス制御や着地軌道修正制御(後述)、推定姿勢補償制御(実施の形態2)を行うこともできる。
次に、直動リンクの構造について図52及び図53を用いて詳細に説明する。
図52は直動リンクの要部斜視図であり、図53(a)は直動リンクの要部側面図であり、図53(b)は図53(a)の部分内部構造図である。
図52において、235は直動リンク、241は後述のインナーロッド部243等を保持する保持ケーシング、243は保持ケーシング241に挿設され直動リンク235の長手方向に摺動するインナーロッド部である。直動リンク235の伸縮はインナーロッド部243が摺動することにより行われる。244はインナーロッド部243にその長手方向に形成されたジョイント結合部、245はインナーロッド部243の一方の側部の上部側および下部側に配置されその長手方向に敷設されたロッドレール部である。
図53において、246はレールガイド、247はインナーロッド部243の初期位置を検出する初期位置センサ、248は保持ケーシング241に平行に配設されたモータ、248aはモータ248を保持ケーシング241の端部の側部に平行に保持するモータホルダ、249はモータ248のモータ先端軸部に取り付けられた歯付プーリ、250は非通電時においてモータ248の回動軸を固定しインナーロッド部243を保持するための保持ブレーキ、251はモータ248の回動軸の回動を検出するロータリエンコーダ、252はモータ先端軸部249の回転動力を後述の雄螺子先端軸部254aへ伝達する溝付きベルト、253は雄螺子軸部254を支持するベアリング、254は保持ケーシング241の内部に後述の雌螺子ナット部255に挿通されて配設され外周が螺子切りされた雄螺子軸部、254aは雄螺子先端軸部、255はインナーロッド部243に固定され雄螺子軸部254に螺合した雌螺子ナット部、256a、256bはストッパである。このようにモータ248を保持ケーシング241に平行に配設したので、直動リンク235の最短長さ(最も短い時の長さ)を長くすることなくストロークを長くすることができ、ロボット装置の可動範囲を広くすることができる。
ここで、本実施の形態においては、保持ケーシング241の材質として、軽量で且つ比較的強度の高いアルミニウムを用いた。また、初期位置の確認のための初期位置センサ247として、フォトマイクロセンサを用いた。また、本実施の形態においては、雄螺子軸部254と雌螺子ナット部255を螺合させるためにボール螺子を用いている。これにより、インナーロッド部243を高速で摺動させることができ、歩行速度を向上させることができる。またボール螺子を用いた場合は螺合部分の摩擦抵抗を低減することができる。また、ボール螺子はがたが少なく、動作を確実にすることができる。
図52や図53に示すように、モータ248が駆動されると、その回動軸の回動力がベルト252を介して雄螺子先端軸部254aに伝えられ、雄螺子軸部254が回動する。雄螺子軸部254にはインナーロッド部243に固定された雌螺子ナット部255が螺合している。ここで、インナーロッド部243は外周面に設けられたロッドレール部245がレールガイド246に嵌合しているため、長手方向には摺動するが軸周方向には回動しない。これにより、雄螺子軸部254が回動すると、送り螺子機構により雌螺子ナット部255を介してインナーロッド部243がその長手方向に摺動する。このようにして、直動リンク235の伸縮が行われる。
続いて、ベース部側受動ジョイントの構造について図54を用いて詳細に説明する。
図54はベース部側受動ジョイントの要部斜視図である。
図54において、202はベース部、235は直動リンク、236はベース部側受動ジョイント、241は直動リンク235の保持ケーシング、261はベース部202の下部に固定されたコ字形状のベース部側上部継手、262はベース部側上部継手261の一対の立設部に架設された上部継手軸、263は直動リンク235の保持ケーシング241側の上端部に固定されたコ字形状のベース部側下部継手、264はベース部側下部継手263の一対の立設部に架設された下部継手軸、265は上部継手軸262と下部継手軸264を直交状に連結する連結回動部である。
図54に示すように、ベース部側下部継手263は、ベース部側上部継手261に対して、上部継手軸262と下部継手軸264の軸周方向に回動する。これにより、ベース部側受動ジョイント236は、直動リンク235の長手方向に直交する上部継手軸262と下部継手軸264の軸周方向に2自由度を有するので、直動リンク235の伸縮に追従してこれを妨げることなく円滑に従動する。
続いて、足部側受動ジョイントの構造について図55及び図56を用いて詳細に説明する。
図55は足部側受動ジョイントの要部斜視図であり、図56は足部側受動ジョイントの要部縦断面図である。
図55および図56において、203aは右足部203の固定板、235、235′は直動リンク、237は足部側受動ジョイント、244は直動リンク235のジョイント結合部、244′は直動リンク235′のジョイント結合部、271はジョイント結合部244の下端部に連結された第1の足側上部継手、271a、271bは第1の足側上部継手271の両側部に互いに対向して配設され下端部が後述の継手軸に軸支された側部軸支板、273はジョイント結合部244′の下端部に連結された第2の足側上部継手、273a、273bは第2の足側上部継手273の両側部に互いに対向して配設され下端部が後述の継手軸に軸支された側部軸支板である。ここで、各側部軸支板271a,271b,273a,273bはボールベアリング272a(図56参照)を介して後述の継手軸に軸支されている。275は内部に内壁面が球面状のボール収容部275aを有するボール保持部、276a、276bはボール保持部275の両側部に突設された継手軸(図56参照)、277は各継手軸276a、276bに螺着され各側部軸支板271a、271b、273a、273bを抜け止めするための止めナット、278は固定板203a上に固定された足側基部、279は足側基部278上に立設され上端部にボール収容部275aに収容されるボール部279aが形成されたボール継手軸である。
図55および図56に示すように、第1の足側上部継手271及び第2の足側上部継手273は、ボール保持部275に対して、継手軸276a、276bの軸周方向に回動する。また、ボール保持部275は、足側基部278に対して任意の方向に回動する。これにより、足部側受動ジョイント237は、継手軸276a、276bの軸周方向およびボール継手軸279の軸周方向に2自由度を有すると共に、少なくとも継手軸276a、276bとボール継手軸279とに直交する軸の軸周方向に1自由度を有するので、直動リンク235、235′の伸縮に追従してこれを妨げることなく円滑に従動する。
このように足部側受動ジョイント237をボールジョイントを用いた構造にしたので、従来は構造的に締結箇所が多くがたが生じていたが、締結箇所が少なくなりがたが低減し、動作の精度が向上し、制御の安定性および剛性を高めることができ、高速で安定した歩行動作を行うことができる。
以上のように構成された本実施の形態における2足歩行ロボット装置の下半身モジュールの歩行動作については、図50で説明したものと同様であるので説明を省略する。
(2)2足歩行ロボットの制御理論について
次に、2足歩行ロボットの制御理論について、図1〜図3を用いて説明する。
図1(a)は支持多角形を示す説明図であり、図1(b)は座標系とベクトルの定義を示す説明図である。
2足歩行のパターンを生成するにあたり、安定性を判別する必要がある。ここでは、2足歩行ロボット装置に対して力学的視点から安定性を判別するために、「ZMP安定判別規範」を用いる。以下に、ZMPの説明および安定判別法を述べる。
2足歩行ロボットが歩行中に安定な支持状態を維持するために必要な条件を考える。2足歩行ロボットが安定な支持状態を保てなくなる、つまり転倒するということは、足底部と路面との接点(3点以上)が形成する支持多角形(路面と足底の接地点が形成する面積最大の凸多角形)のある辺または点を通る路面上の直線を軸に回転運動をしていると考えられる。すなわち、支持多角形から見て外向きのモーメントが作用していると考えられる。逆に言えば、支持多角形上の全ての辺および点のまわりに外向きのモーメントが発生せず、内向きのモーメントのみ発生していれば、2足歩行ロボットは安定な支持状態を維持できる。このときの2足歩行ロボットの支持状態を考えると、足底の接地点が浮かないため、全ての接地点において2足歩行ロボットから路面に作用する重力および慣性力による力は路面を押す向きであり、これらの合力が作用する点P(図1(a)参照)は足底の支持多角形内になければならない。この点P回りの合力によるモーメントは明らかにゼロであり、この点をZMP(Zero Moment Point、ゼロモーメントポイント)と呼ぶ。
2足歩行の制御に用いるモーメント補償軌道算出アルゴリズムについて説明する。本アルゴリズムは次の4点からなる。
I.2足歩行ロボットのモデル化
II.IのモデルにおけるZMP方程式の導出
III.2足歩行ロボット近似モデル化
IV.IIIの近似モデルを用いた繰り返し計算によるIIを満足するモーメント補償軌道の厳密解の算出
まず2足歩行ロボットのモデル化について説明する。最初に、2足歩行ロボット、座標系および路面に次の条件を設定する。
1)2足歩行ロボットは質点の集合から成る。
2)路面は十分に硬く、どんな力やモーメントが作用しても変形したり動いたりすることはない。
3)X軸(2足歩行ロボットの正面方向に一致)およびY軸を含む平面が路面に一致し、路面に垂直な軸をZ軸とする直交座標系O(右手系)を設定する(図1(b)参照)
4)2足歩行ロボットの足底と路面との接地状況は点接地の集合とする。
5)歩行系と路面との接地点において、路面での回転(X、YおよびZ軸回り)に対する摩擦係数は無視できるほど小さい。
6)2足歩行ロボットが歩行する際の推進力は、接地点における並進(XおよびY軸)方向の滑りが生じない範囲とする。
7)体幹の質点は動かないものとする。つまり、腰の質点の軌道と体幹の質点の軌道はZ軸方向に関しては異なるが、XY平面に関しては同じ軌道を通るものとする。
8)路面に対してロボットは滑らないものとして、ヨー軸に関しての補償(Z軸回りの回転に関しての補償)は行わない。
次に、ZMP方程式の導出について説明する。
以上の仮定と設定のもとに絶対座標系O−XYZにおいて任意の点Pについてのモーメントの釣り合い式を導出する次式(数1)を得る(なお、各記号の説明は後述の(数26)に示されている)。
Figure 2007032120
(数1)において点PをZMPとすることで、T=0となり、次式(数2)のZMP方程式を得る。
Figure 2007032120
さらに、各部の相対運動を考えるために、図1(b)に示す2足歩行ロボットの腰部付近に固定された運動座標系Oバー−XYZバーを設定する。この座標系を用いてZMP方程式を表すと、次式(数3)を得る。
Figure 2007032120
このZMP方程式を満たすように腰部の軌道を算出する。
次に、2足歩行ロボットの近似モデル化について説明する。
本アルゴリズムでは、モーメント補償軌道の近似解の算出とその厳密モデルへの代入、モーメント誤差のフィードバック、蓄積する繰り返し計算により、モーメント補償軌道の厳密解を得ている。その近似モデル化のプロセスは次の通りである。
i)外力は近似モデルでは考慮しない。
ii)腰、体幹などの下肢以外の部位は2質点近似モデルとする(図1(b)参照)。
iii)線形、非干渉化のために運動座標系の回転は考慮しない(ただし体幹ヨー軸に関しては線形、非干渉化できる範囲でその一部を考慮している)。
iv)Z軸の運動を共有しないものとして線形、非干渉化する。
まず、外力を近似モデルで考慮しないとすると、(数3)は(数4)のようになる。
Figure 2007032120
ここで、被補償モーメントとなる下肢の運動により発生するモーメントをベクトルMとおき、2質点近似モデル化を行うと、(数4)は(数5)のようになる。
Figure 2007032120
(数5)は、運動座標系の回転により発生する見掛けの力の項において互いに干渉している。よって、これらの微分方程式を非干渉なものにするためには、まずその見掛けの力によるモーメントが発生しないものと仮定、つまり運動座標系が回転していないものとすると、(数5)は(数6)、(数7)のようになる。
Figure 2007032120
Figure 2007032120
(数6)、(数7)はZ軸方向の運動を共有し、また下肢と体幹が回転型の間節を介して連結していることから、非線形かつ干渉な系である。そこで、2足歩行ロボットは運動中腰高さ一定と仮定し、線形、非干渉化する。すなわち、(数8)、(数9)、(数10)が成立する。ここで、(数9)はピッチ軸に関し、(数10)はロール軸に関する。
Figure 2007032120
Figure 2007032120
Figure 2007032120
また、(数9)、(数10)において左辺の既知項を右辺に移動し、(数9)、(数10)において右辺を改めて(数11)と置き直すと、次の(数12)、(数13)を得る。ここで、(数12)はピッチ軸に関し、(数13)はロール軸に関する。
Figure 2007032120
Figure 2007032120
Figure 2007032120
ここで、7)の仮定より(数14)であるから、(数12)、(数13)は(数15)、(数16)、(数17)のように書き換えられる。
Figure 2007032120
Figure 2007032120
Figure 2007032120
Figure 2007032120
次に、近似解の算出について説明する。
モーメント補償軌道(数18)、(数19)の近似解を求めるために、(数15)、(数16)を用いて解析的に近似解を得る。
Figure 2007032120
Figure 2007032120
ここで、(数15)において、(数20)は下肢軌道およびZMP軌道から算出できるので既知関数となり、さらに定常歩行であるとすれば、2足歩行ロボットの各部質点ならびにZMPは運動座標系Oバー−XYZバーに関して周期的な相対運動をするので、(数20)は周期関数となる。
Figure 2007032120
よって、(数15)の左辺も同じく周期関数になる。そこで(数15)の右辺を(数21)に示すようにフーリエ級数展開する。
Figure 2007032120
このときのフーリエ係数は(数22)のようになる。
Figure 2007032120
続いて、(数18)を係数未知のフーリエ級数で表すと、(数23)のようになる。
Figure 2007032120
(数23)を(数15)の左辺に代入し、各両辺のフーリエ係数を比較することで、(数18)のフーリエ係数を求めると、(数24)のようになる。
Figure 2007032120
そして、これを逆フーリエ級数展開することで、ピッチ軸回りのモーメント補償軌道(数18)の近似解を(数25)に示すように得ることができる。
Figure 2007032120
なお、(数26)に各記号の説明を示す。
Figure 2007032120
次に、スチュワートプラットホームの逆運動学について説明する。
パラレルリンク機構(特にスチュワートプラットホーム型)では、シリアルリンク機構と比較して、非常に逆運動学は容易になる。これは、シリアルリンク機構においては、特別な場合を除いて解析解が存在しないため、解を繰り返し計算による数値解として求める必要があり、計算の量が非常に多くなるためである。また、解析解が存在する場合でも、多くの座標変換があるために計算が複雑になる。以下、逆運動学の解法について述べる。
2足歩行ロボットのパラレルリンク機構は、ベースプレート(2足歩行ロボットの腰部)とエンドエフェクタ(2足歩行ロボットの足底部)からなる。まず、右足のリンク配置、座標系を図2(a)、(b)に示す。図2(a)、(b)は腰座標系(数27)および足座標系(数28)を示す模式図である。また、(数29)は腰座標系から見たエンドエフェクタ側ジョイントの位置ベクトルである。
Figure 2007032120
Figure 2007032120
Figure 2007032120
腰座標系(数27)においての腰側ジョイントの位置を(数30)とし、足座標系(数28)においての足側ジョイントの位置を(数31)とする。
Figure 2007032120
Figure 2007032120
ここで、腰座標系から見た足座標系の位置・姿勢(エンドエフェクタの位置・姿勢)を表わすベクトル(数32)を定義する。
Figure 2007032120
また、腰座標系から見た足座標系の原点の位置ベクトル(数33)と、腰座標系においてθx、θy、θzの順に回転させる回転変換行列(数34)とを、(数35)、(数36)のように定義する。
Figure 2007032120
Figure 2007032120
Figure 2007032120
Figure 2007032120
(数31)、(数35)、(数36)より(数37)となり、(数29)の各成分は、(数38)となる。
Figure 2007032120
Figure 2007032120
ここで、(数39)となる変数を導入すると、単に幾何学的関係より、i番目の腰側ジョイントとi番目の足側ジョイントを結ぶリンクの長さは、(数40)となる。
Figure 2007032120
Figure 2007032120
詳細に書けば、(数41)となる。
Figure 2007032120
着地制御においては、理論コンプライアンス移動量、非線形コンプライアンス移動量、z方向着地軌道修正量、ロール・ピッチ方向コンプライアンス移動量、ロール・ピッチ方向軌道修正量を算出する必要がある。これらの移動量、修正量の算出について説明する。なお、ここでは右足を遊脚として説明されており、各式に示すRの文字は右足であることを意味する。
まず、理論コンプライアンス移動量の算出について説明する。
図3(a)、(b)は理論コンプライアンス移動量の説明図である。まず、(数42)は制御ソフトウェア内部に記述される着地路面検知用移動許容量を示し、(数43)は腰座標系における歩行パターンの座標(遊脚の座標)、(数44)は絶対座標系における腰座標(つまり腰の高さ)である。図3(a)において点線で示されているのが歩行パターンにおける遊脚の足部位置であり、本手法では歩行パターンより(数42)だけ足を伸ばしたように歩行パターンが出力される。(数43)は腰座標系であるので、図3に示すように負の値となる。
Figure 2007032120
Figure 2007032120
Figure 2007032120
(数45)の条件においては遊脚は完全に路面から離れているので、理論コンプライアンス移動量は(数46)となり、(数47)の条件においては遊脚は路面に対して着地寸前であるので、理論コンプライアンス移動量は(数48)となる。
Figure 2007032120
Figure 2007032120
Figure 2007032120
Figure 2007032120
次に、非線形コンプライアンス移動量の算出について説明する。
図3(c)は非線形の説明図であり、図3(d)、(e)は非線形コンプライアンス移動量の説明図である。非線形コンプライアンス移動量を(数49)で示す。
Figure 2007032120
図3(c)は、コンプライアンス係数が(数42)の値を境に異なることを示す。図3(d)に示すように、非線形コンプライアンス移動量が(数50)の条件を満たすときに、非線形コンプライアンス移動量は(数51)で表され、図3(e)に示すように、非線形コンプライアンス移動量が(数52)の条件を満たすときに、非線形コンプライアンス移動量は(数53)で表される。
Figure 2007032120
Figure 2007032120
Figure 2007032120
Figure 2007032120
ここで、(数54)は着地路面検知用コンプライアンス係数を示し、(数55)は振動抑制用コンプライアンス係数を示す。この際、着地路面検知用コンプライアンス係数は制御系の発振が起こらない範囲でなるべく小さく取る。これにより大きな床反力が発生する以前に路面の形状を検知することができる(また理論コンプライアンス移動量が(数42)までの範囲でなら(数48)のようになるのも、この定数を十分小さく取るからである)。また、(数56)はz方向の床反力を示し、(数57)は制御周期(例えば1ms)を示す。
Figure 2007032120
Figure 2007032120
Figure 2007032120
Figure 2007032120
次に、z方向着地軌道修正量の算出について説明する。
まず、コンプライアンス移動量偏差としての着地路面高さ誤差を示す(数58)を(数59)を用いて算出する。
Figure 2007032120
Figure 2007032120
前述の歩容フラグから求めた制御モードと上記着地路面高さ誤差との基づいて(数60)のz方向着地軌道修正量を算出する。このz方向着地軌道修正量の算出については後述する。
Figure 2007032120
次に、ロール・ピッチ方向コンプライアンス移動量について説明する。
図3(f)は、コンプライアンスを示す説明図であり、ZCOMはz方向コンプライアンスを示し、RCOMはロール方向コンプライアンス、PCOMはピッチ方向コンプライアンスを示す。まず、後述の6軸力覚センサで検出されるロール方向のトルクを(数61)で示し、同じく6軸力覚センサで検出されるピッチ方向のトルクを(数62)で示すと、(数63)のロール方向のコンプライアンス移動量および(数64)のピッチ方向のコンプライアンス移動量は、(数65)および(数66)で表される。
Figure 2007032120
Figure 2007032120
Figure 2007032120
Figure 2007032120
Figure 2007032120
Figure 2007032120
(数63)のロール方向のコンプライアンス移動量および(数64)のピッチ方向のコンプライアンス移動量と、前述の歩容フラグから求めた制御モードとに基づいて、(数67)のロール方向軌道修正量および(数68)のピッチ方向軌道修正量が算出される。このロール・ピッチ方向軌道修正量の算出については後述する。
Figure 2007032120
Figure 2007032120
次に、推定姿勢補償制御について説明する。
上述した着地制御は、遊脚が大きな床反力を発生しZMPや姿勢角の偏差や加速度が発生する以前に、路面へのならい動作を完了できるため、例えば人間搭乗型の歩行ロボットに対して非常に有力な制御手法であるが、腰部と遊脚側の足部がそれぞれ常に水平であるということが着地制御における前提条件であり、機械剛性やモータの応答偏差等によりこの前提条件が崩れると、腰部の姿勢角の誤差が累積されてしまう。なお、姿勢角センサを搭載してその検出値をフィードバックすれば、容易に姿勢角の累積誤差を修正できるが、部品点数が増加すると共に、高精度の姿勢角センサは非常に高価であり製造コストが増加するという問題点がある。
そこで、この推定姿勢補償制御においては、足部に搭載されている6軸力覚センサの検出値からZMP実測値を算出し、これと予め設定されているZMP目標値との偏差(ZMP偏差値)に基づいて腰部の姿勢角の累積誤差(=姿勢角補償量)を推定し、その値に応じて補償制御を行う。
まず、推定姿勢補償制御において用いる姿勢角補償量の算出法について説明する。
姿勢角補償量の算出には(数69)を用いる。
Figure 2007032120
(数69)の姿勢角補償量、ゲイン行列、ZMP偏差値はそれぞれ(数70)、(数71)、(数72)で表される。
Figure 2007032120
Figure 2007032120
Figure 2007032120
なお、(数72)のZMP偏差値は(数73)を用いて算出する。
Figure 2007032120
(数73)のZMP実測値、ZMP目標値はそれぞれ(数74)、(数75)で表される。
Figure 2007032120
Figure 2007032120
(数74)は6軸力覚センサの検出値から(数76)を用いて算出されたZMP実測値である。
Figure 2007032120
(数77)に(数76)中の各記号の説明を示す。
Figure 2007032120
また、(数75)はZMP目標値であり、歩行パターン作成時に設定された目標ZMP軌道と同様の値である。
腰部の姿勢角を補償する操作を行う操作タイミングとしては、所定周期の断続的な期間である操作期間を予め設定しておき、該操作期間中に操作を行う。なお、実際の腰部の姿勢角の操作量(姿勢角操作量)は、急激な姿勢角の変動を防止するために、操作期間の開始時点からの時間tの関数として(数78)を用いて算出する。
Figure 2007032120
(数78)の姿勢角操作量、操作期間はそれぞれ(数79)、(数80)で表される。姿勢角操作量は操作期間の開始時点で0であり、終了時点で姿勢角補償量(数70)となる。
Figure 2007032120
Figure 2007032120
なお、推定姿勢補償制御においては、腰部に対する足部の位置又は姿勢を操作することで腰部の姿勢を操作している。操作される足部は単立脚時であれば立脚側の足部であり、該足部の中心を基準としてその姿勢(ロール及びピッチ方向)を操作する。両脚支持時であれば両方の足部であり、各足部の中心を結ぶ線分の中点を基準としてその位置及び姿勢を操作する。
また、ZMP偏差値を長時間積分し続けると、実際の姿勢角の誤差との積分誤差が大きくなってしまうため、積分を開始してから所定時間経過後にZMP偏差値の積分値をゼロに設定(リセット)することで、これを回避する。
(3)歩行パターン作成装置と2足歩行ロボット装置の構成について
次に、本実施の形態による歩行パターン作成装置と2足歩行ロボット装置の構成について図4〜図17を用いてハードウェア構成を説明し、図18、図33を用いてソフトウェア構成を説明する。
図4は、本実施の形態による歩行パターン作成装置(歩行パターン作成用コンピュータ)と2足歩行ロボット装置の全体構成を示すブロック図である。
図4において、1は2足歩行ロボット装置としてのロボット部(図50、51の201、201cに相当)、2は歩行パターンを作成する歩行パターン作成装置としての歩行パターン作成用コンピュータ、3は商用電源(AC100V)が供給される外部電源部、4はロボット部(2足歩行ロボット装置)1の緊急停止等を行うための外部スイッチ、5はロボット部1を構成する腰部(図50、51の202と209に相当)、6はロボット部1を構成する脚部(下肢)(図50の201a、201bに相当)である。図4に示すように、ロボット部1の腰部5と歩行パターン作成コンピュータ2とは無線(たとえば無線LAN)を介して接続されている。腰部5には外部電源部3から電源が供給される。ただし、腰部5に内蔵するバッテリ(図51の231)を使用しているときは外部電源部3は必要ない。
図5は、主に腰部5を示すブロック図である。
図5において、腰部5は、制御用コンピュータ7(図51の209′に相当)、モータ制御部9、ブレーキ制御部10、電源部11、スイッチ回路12を有する。制御用コンピュータ7は、外部の歩行パターン作成用コンピュータ2と無線LANを介して接続され、また脚部6からのセンサ情報を取得して処理する。また、制御用コンピュータ7は、モータ制御部9にモータの速度指令値(電圧)を出力すると共に、脚部6のシリンダC1〜C12(後述する)に内蔵のDCサーボモータ(後述)のオン・オフ、ブレーキのオン・オフ、DCサーボモータ端子の短絡機能を制御する信号をスイッチ回路12に出力する。電源部11は、外部電源部3から電源を供給されるが、バッテリ使用時は必要ない。電源部11は、脚部6のセンサ、制御用コンピュータ7、モータ制御部9、ブレーキ制御部10、スイッチ回路12に電源を供給する。スイッチ回路12は、外部スイッチ4および制御用コンピュータ7からの信号を受け取り、排他的論理和(後述する)の論理に基づき、DCサーボモータのオン・オフ、ブレーキのオン・オフ、DCサーボモータ端子の短絡機能を制御する。モータ制御部9は、制御用コンピュータ7からの速度指令値に従い、脚部6のDCサーボモータの速度制御を行う。また、スイッチ回路12からのサーボオン・オフ信号によりDCサーボモータのオン・オフを行い、スイッチ回路12からのモータ端子短絡信号によりDCサーボモータ端子の短絡を行う。ブレーキ制御部10は、スイッチ回路12からの信号に従い、ブレーキの開閉を行う。
図6は、主に脚部6を示すブロック図である。
図6において、脚部6は、2本の脚部、右脚部13aおよび左脚部13bから成る。各脚部13a、13bは、各々6本のアクチュエータシリンダC1〜C6、C7〜C12(図50、51の直動リンク235)と、右足底部14a(図50、51の右足部203に相当)および左足底部14b(図50、51の左足部204に相当)とから成る。各シリンダのDCサーボモータはモータ制御部9からの電流により制御される。また、DCサーボモータの端子間電圧および電流はモータ制御部9にフィードバックされる。各シリンダC1〜C12のロータリエンコーダ(後述する)はDCサーボモータの回転角度を検出し、制御用コンピュータ7にフィードバックする。各シリンダC1〜C12のオフセット検出用フォトマイクロセンサは、初期位置を検出し、制御用コンピュータ7に信号を出力する。足底部14a、14bの6軸力覚センサ(後述する)は床反力情報を取得する。これは制御用コンピュータ7に記録される。各シリンダC1〜C12のセンサ類には、電源部11より電源が供給される。
図7は、外部電源部3を示すブロック図である。
図7において、外部電源部3はAC/DCコンバータ31で構成される。AC/DCコンバータ31は、商用電源(交流100V)を48Vの直流電圧に変換し、ロボット部1の腰部5の電源部11に供給する。
図8は、歩行パターン作成用コンピュータ2を示すブロック図である。
図8において、歩行パターン作成用コンピュータ2は、CPU21、メモリ22、ハードディスク23、入力装置24、表示装置25、インタフェース部26、LANカード27、無線LAN28から成り、歩行パターン作成ソフトウェアによりロボット部1の歩行パターンを作成する。また、無線LAN28により制御用コンピュータ7と通信することができ、歩行パターンを含むロボット制御ソフトウェアを制御用コンピュータ7にロードする。
図9は、外部スイッチ4を示すブロック図である。
図9において、外部スイッチ4は、ブレーキ制御スイッチ41、サーボONスイッチ42、モータ端子短絡スイッチ43から成る。各スイッチ41〜43の状態はロボット部1の腰部5のスイッチ回路12に信号として送られ、該当する機能が制御される。ブレーキ制御スイッチ41は各アクチュエータシリンダC1〜C12の保持ブレーキをオン・オフする。サーボONスイッチ42はDCサーボドライバ(後述する)のサーボのオン・オフを制御する。モータ端子短絡スイッチ43はDCサーボドライバのモータ端子短絡スイッチを制御する。モータ端子が短絡されると、モータの逆起電力により、モータが回転し難くなる。
図10は、主に制御用コンピュータ7を示すブロック図である。
図10において、制御用コンピュータ7は、CPU71、メモリ72、ハードディスク73などの基本的な構成要素と、パルスカウンタ79等に対するインタフェース部74、LANカード75、無線LAN76、D/Aコンバータ77、6軸力覚センサレシーバボード78から成る。制御用コンピュータ7は、無線LAN76により、歩行パターン作成用コンピュータ2と通信可能であり、歩行パターン作成用コンピュータ2で作成されハードディスク73に格納されているロボット制御ソフトウェアをメモリ72にロードし、実行する。また、制御用コンピュータ7は、ロボット制御ソフトウェアで計算された速度指令値をD/Aコンバータ77を用いてアナログ電圧に変換してモータ制御部9に出力すると共に、脚部6の各シリンダC1〜C12のロータリエンコーダから出力されるモータ角度情報をパルスカウンタ79を介して取得し、これをCPU71にフィードバックしてモータの位置制御を行う。さらに、制御用コンピュータ7は、必要に応じてスイッチ回路12にブレーキ制御信号、サーボON信号、モータ端子短絡信号を出力することにより、各機能を制御することができる。制御コンピュータ7内の全ての電源は腰部5の電源部11から供給される。
図11は、主に電源部11を示すブロック図である。
図11において、電源部11は、48Vニッケル水素バッテリ111(図51の231に相当)、バッテリ/電源切替部112、電源スイッチ113、4つのDC−DCコンバータ114〜117から成る。電源部11には、外部電源部3より供給される電源と、48Vニッケル水素バッテリ111により供給される電源とを選択するためのバッテリ/電源切替部112が設けられている。DC−DCコンバータ114、115は、制御用コンピュータ7に電源を供給するために用いられ、電圧は5V、±12Vである。DC−DCコンバータ116は、ブレーキ制御部10に電源を供給するためのもので、電圧は24Vである。DC−DCコンバータ117は、脚部6のセンサ類、スイッチ回路12のデジタルICなどのデジタル機器に電源を供給するために用いられ、電圧は5Vである。モータ制御部9には、主電源電圧つまりバッテリ111または外部電源部3の電圧がそのまま供給される。電源部11の電源スイッチ113をオンにすることによってロボット部1に電源が供給される。
図12は、主にスイッチ回路12を示すブロック図である。
図12において、スイッチ回路12は、ブレーキ制御部10を介するブレーキのオン・オフ、モータ制御部9を介するサーボのオン・オフ、モータ制御部9を介するモータ端子短絡の各機能を制御するための論理回路(排他的論理和)123、121、122である。スイッチ回路12は、制御用コンピュータ7からの信号と外部スイッチ4からの信号との2つを入力し、排他的論理和をとって出力する。つまり、どちらかの入力が変化すると、出力の状態は必ず変化するので、任意の入力の組み合わせにおいてロボット部1を緊急停止させることが可能である。スイッチ回路12を構成するデジタルICには、腰部5の電源部11から電源が供給される。
図13は、主にブレーキ制御部10を示すブロック図である。
図13において、ブレーキ制御部10は、半導体リレー101で構成され、スイッチ回路12からのブレーキオン・オフ信号を入力とし、電源部11より供給される電流をオン・オフし、脚部6の各シリンダC1〜C12の保持ブレーキをオン・オフする。ブレーキ制御部10の制御する上記保持ブレーキは、電流を流した状態で解放状態になり、電流オフ(非通電状態)でブレーキがかかった状態になる。
図14は、主にモータ制御部9を示すブロック図である。
図14において、モータ制御部9は12個のDCサーボドライバD1〜D12で構成され、各ドライバD1〜D12が脚部6の各シリンダC1〜C12に対応する。DCサーボドライバD1〜D12に必要な電源は、腰部5の電源部11から供給される。DCサーボドライバD1〜D12は、スイッチ回路12からの信号(サーボオン・オフ信号)により、サーボをオン・オフする。サーボオフ時はモータの端子は開放され、フリーな状態になる。また、DCサーボドライバD1〜D12は、スイッチ回路12からの信号(モータ端子短絡信号)により、モータの端子を短絡する。モータ端子短絡時は、モータ自身の逆起電力により、モータが回転し難くなる。さらに、DCサーボドライバD1〜D12は、制御用コンピュータ7からの速度指令値(電圧)を目標値とし、脚部6のシリンダC1〜C12のモータを速度制御する。さらに、DCサーボドライバD1〜D12は、モータに電流を供給し、またモータの端子間電圧および電流を取得してフィードバックすることにより、速度制御を可能にしている。
図15は、主にシリンダC1〜C12を示すブロック図である。
図15において、各シリンダC1〜C12(直動リンク235)は、ロータリエンコーダ151(図52、53の251に相当)、DCサーボモータ152(図52、53の248に相当)、保持ブレーキ153(図52、53の250に相当)、直動部154およびオフセット検出用のフォトマイクロセンサ155(図52、53の初期位置センサ247に相当)から構成される。ロータリエンコーダ151およびフォトマイクロセンサ155には、腰部5の電源部11から電源が供給される。DCサーボモータ152は、モータ制御部9により速度制御される。保持ブレーキ153は、ブレーキ制御部10により制御され、保持ブレーキ153がオンになると、DCサーボモータ152は摩擦力により固定される。ロータリエンコーダ151は、DCサーボモータ152の相対回転角度を検出し、それに比例した数のパルスを制御用コンピュータ7に送る。フィードバックされた角度データをもとに、制御用コンピュータ7は、DCサーボモータ152を位置制御することができる。DCサーボモータ152の回転運動は、直動部154で直動運動(直線運動)に変換され、左右それぞれ6つのシリンダの直動運動が足底部14に伝えられる。このときの足底部14の運動はスチュアートプラットホームの順運動学に従う。なお、歩行パターン作成時には逆運動学を用いる。また、ロータリエンコーダ151は、相対的な角度変位のみを検出するセンサであるので、フォトマイクロセンサ155を用いて初期位置を検出する。フォトマイクロセンサ155は、最もシリンダが縮んだ状態で反応し、シリンダが初期位置にあることを制御用コンピュータ7に知らせる。
図16は、主に足底部(足部)14を示すブロック図である。なお、足底部14は右足底部14a(203)と左足底部14b(204)から成る(図6、45、46参照)。
図16において、足底部14は、足底板141(図51の203a、204aに相当)と6軸力覚センサ142(図51の203b、204bに相当)から成る。6本のシリンダC1〜C6(直動リンク235)の直動運動の結果として、足底板141の運動が決定される。立脚時には6軸力覚センサ142によって床反力情報を取得し、これを制御用コンピュータ7で処理することにより、実際のZMPの位置を調べることができる。
図17は、主に直動部154(図50、51、52、53の直動リンク235の直動部分)を示すブロック図である。
図17において、直動部154は、動力伝達部171(図52、53の歯付プーリ249、溝付きベルト252等から構成)、すべりねじ172(図53の雄螺子軸部254に相当)、ナット173(図53の255に相当)、リニアガイド174(図52、53のロッドレール部245、レールガイド246に相当)から構成される。動力伝達部171は、DCサーボモータ152の回転をすべりねじ172の軸に伝え、また回転軸の軸心のずれを吸収する。すべりねじ172の軸が回転すると、ナット173が直動運動(直線運動、直進後退運動)をする。ナット173の回転はリニアガイド174により抑制されるので、直進後退運動だけを取り出すことができる。直動部154の従動側の運動はジョイントを介して足底板141に伝えられる。
図18は、歩行パターン作成用コンピュータ2のCPU21における機能実現手段(ソフトウェア構成)を示すブロック図である。
図18において、211はロボット部1の全相数等の設定データを入力するための設定データ入力手段、212は足部(足底部)14の軌道と腰部5の初期軌道とを設定する軌道設定手段、213は設定した足部14の軌道と腰部5の初期軌道とに基づいて目標ゼロモーメントポイント(目標ZMP)の軌道を設定する目標ZMP軌道設定手段、214は脚部の運動および腰部の運動による目標ゼロモーメントポイント回りのモーメントを算出する目標ZMP回りモーメント算出手段、215は目標ゼロモーメントポイント回りのモーメント等に対してフーリエ変換を行ってフーリエ係数を算出するフーリエ変換手段、216は算出したフーリエ係数に基づいてフーリエ係数を決定するフーリエ係数決定手段、217は算出した目標ゼロモーメントポイント回りのモーメント等に基づいて腰部5のモーメント補償軌道(初期軌道に対してモーメントを補償した軌道)を算出するモーメント補償軌道算出手段、218は設定した足部16の軌道と腰部5のモーメント補償軌道とにより各質点の加速度を算出する質点加速度算出手段、219は算出された各質点の加速度に基づいて目標ゼロモーメントポイント回りのモーメントであるエラーモーメントを算出するエラーモーメント算出手段、220は算出したエラーモーメントが所定モーメントよりも小さいか否かを判定するエラーモーメント判定手段、221は腰座標系(数27)から見た足部(「足底部」ともいう)の位置と姿勢(ロール角、ヨー角、ピッチ角)を算出する足部位置姿勢算出手段、222は歩容フラグを決定し記憶する歩容フラグ決定手段、223は腰部から見た足部の位置・姿勢の時系列データおよび腰部から見たZMP軌道および歩容フラグを歩行パターンとしてハードディスク23のファイルに出力するファイル出力手段である。また、目標ZMP回りモーメント算出手段214は、脚部6の運動により生じる目標ZMP回りモーメントを算出する下肢運動による目標ZMP回りモーメント算出手段2141と、腰部5の運動により生じる目標ZMP回りの既知のモーメントを算出する腰運動による目標ZMP回り既知モーメント算出手段2142とを有し、フーリエ変換手段215は、目標ZMP回りモーメント算出手段214において算出した目標ゼロモーメントポイント回りのモーメントと算出したエラーモーメントとの総和を算出するモーメント総和算出手段2151と、その算出した総和に基づいてフーリエ係数を算出するフーリエ算出手段2152とを有し、足部位置姿勢算出手段221は、足座標系(数28)の原点位置を算出する原点位置算出手段2211と、足部の姿勢を算出するための回転行列を求める回転行列算出手段2212と、ロール角、ヨー角、ピッチ角の姿勢角を算出する姿勢算出手段2213とを有する。
図33は、制御用コンピュータ7のCPU71における機能実現手段(ソフトウェア構成)を示すブロック図である。
図33において、711は電源部11を介して電源を投入するための電源投入手段、712は歩行パターン作成用コンピュータ2から歩行パターンを無線で受信してハードディスク73に格納する歩行パターン設定手段、713は脚部6の脚を伸縮するシリンダC1〜C12の初期位置を設定するシリンダ初期位置設定手段、714はハードディスク73に格納した歩行パターンから歩行に使用するパターンを選択して歩行開始を指令する歩行開始命令手段、715は使用する歩行パターンに基づいてモータ(DCサーボモータ)を制御するモータ制御手段、716は歩行動作の終了か否かを判定する終了判定手段である。
(4)歩行パターン作成動作と2足歩行ロボット装置の制御動作
このように構成された2足歩行ロボット装置について、その動作を図19〜図36を用いて説明する。まず、図4〜図18の2足歩行ロボット装置における歩行パターン作成用コンピュータ2による歩行パターン作成動作について、図19〜図32を用いて説明する。図19〜図31は歩行パターン作成用コンピュータ2のCPU21の動作(歩行パターン作成動作)を示すフローチャートであり、図32は足座標系の原点位置の算出、回転行列の算出および姿勢角算出について説明する説明図である。
図19は歩行パターン作成の全体動作を示す。
図19において、まず、設定データ入力手段211は、総歩数、足底部14の位置と姿勢、1相の時間(歩行速度)を設定データとして入力装置24を介して入力する(S1)。ここで、1相の時間とは或る期間を分割したときの1個分の時間長さであり、1相毎に2足歩行ロボット装置に歩行パターンを与えることで連続した歩行動作を行うことができる。次に、軌道設定手段212は、足部(足底部)14の軌道と腰部5の初期軌道とを設定し(S2、軌道設定ステップ)、目標ZMP軌道設定手段213は、設定した足部14の軌道と腰部5の初期軌道とに基づいて目標ゼロモーメントポイント(目標ZMP)の軌道を設定する(S3、目標ZMP軌道設定ステップ)。目標ZMP回りモーメント算出手段214の下肢運動による目標ZMP回りモーメント算出手段2141は、脚部6の運動により生じる目標ZMP回りモーメントを算出し(S4、下肢運動による目標ZMP回りモーメント算出ステップ)、目標ZMP回りモーメント算出手段214の腰運動による目標ZMP回り既知モーメント算出手段2142は、腰部5の運動により生じる目標ZMP回りモーメントを算出する(S5、腰運動による目標ZMP回り既知モーメント算出ステップ)。フーリエ変換手段215のモーメント総和算出手段2151は、目標ZMP回りモーメント算出手段214において算出した足部14と腰部5の運動による目標ゼロモーメントポイント回りのモーメントと算出したエラーモーメント(初期値はゼロ)との総和を算出し(モーメント総和算出ステップ)、フーリエ変換手段215のフーリエ係数算出手段2152は、その算出した総和に基づいてフーリエ係数を算出し(S6、フーリエ係数算出ステップ)、フーリエ係数決定手段216は、ステップS6で算出したフーリエ係数に基づいてフーリエ係数を決定する(S7、フーリエ係数決定ステップ)。次に、モーメント補償軌道算出手段217は、ステップS7で決定したフーリエ係数を逆フーリエ変換してモーメント補償軌道を算出し、この算出したモーメント補償軌道に基づいて腰部5の軌道(腰部5のモーメント補償軌道)を設定する(S8、モーメント補償軌道算出ステップ)。次に、質点加速度算出手段218は、設定した足部14の軌道とステップS8で算出した腰部5のモーメント補償軌道とにより各質点の加速度を算出して加速度の時系列データを取得し(S9、質点加速度算出ステップ)、エラーモーメント算出手段219は、算出された各質点の加速度の時系列データに基づいて目標ゼロモーメントポイントにおけるエラーモーメントを算出する(S10、エラーモーメント算出ステップ)。次に、エラーモーメント判定手段220は、算出したエラーモーメント(eM)が所定モーメント(εM)よりも小さいか否かを判定し(S11、エラーモーメント判定ステップ)、所定モーメントよりも大きいと判定したときはエラーモーメント判定手段220はフィードバックするエラーモーメントを算出し、その後ステップS4へ戻る(S12)。ステップS11でエラーモーメントが所定モーメントよりも小さいと判定した場合は原点位置算出手段2211は足座標系の原点位置を算出し、回転行列算出手段2212は足部の姿勢を算出するための回転行列を算出し、姿勢算出手段2213はロール角、ヨー角、ピッチ角の姿勢角を算出する(S13、足部位置姿勢算出ステップ)。次に、歩容フラグ決定手段222は、立脚の前期、後期および遊脚の前期、後期に基づいて歩容フラグを決定し(S14、歩容フラグ決定ステップ)、ファイル出力手段223は、腰部から見た足部の位置・姿勢の時系列データおよび腰部から見たZMP軌道を歩行パターンとしてハードディスク23のファイルに出力する(S15)。
次に、ステップS2に示す軌道設定手段212の動作を図20(a)〜(c)を用いて詳細に説明する。図20(a)は足底部14の軌道と腰部5の初期軌道の設定動作を示し、図20(b)は一歩分の足底部14の軌道設定動作を、図20(c)は一歩分の腰部5の初期軌道設定動作を示す。
まず図20(a)において、iをゼロに設定し(S21)、iが全相数より小さいか否かを判定する(S22)。最初はi<全相数であるので、ステップS23へ移行し、一歩分の足底部14の軌道を設定する(一歩分の足底部軌道設定処理)。次に、一歩分の腰部5の初期軌道を設定する(S24、一歩分の腰部初期軌道設定処理)。次に、iを1だけ増加して(i=i+1の演算を行って)ステップS22へ戻る(S25)。ステップS22〜S25をi≧全相数と成るまで繰り返す。ステップS22でi≧全相数と判定すると、この処理を終了する。
次に、ステップS23の一歩分の足部軌道設定処理について図20(b)を用いて説明する。
まず一歩の中間点と終点を設定し(S231)、一歩の片立脚期の相数(或る期間を所定時間たとえば30msで分割したときの分割数)と一歩の相数とを設定する(S232)。次に、iを1に設定し(S233)、iが片立脚期の相数以下か否かを判定する(S234)。最初はi≦片立脚期の相数であるので、ステップS235へ移行し、上記中間点と終点に基づいて遊脚(路面から離れている脚)の足底部の位置を5次多項式(5次多項式とするのは、2回微分しても充分になめらかである必要があるからである)で近似して求め、静止している立脚の足底部の位置を設定する(S236)。次に、iを1だけ増加して(i=i+1の演算を行って)ステップS234へ戻る(S237)。ステップS234〜S237をi>片立脚期の相数となるまで繰り返す。ステップS234でi>片立脚期の相数と判定すると、ステップS238へ移行し、i≦一歩の相数か否かを判定し、最初はi≦一歩の相数であるので、次に、静止している両脚の足底部14の位置を設定する(S239)。次に、iを1だけ増加して(i=i+1の演算を行って)ステップS238へ戻る(S240)。ステップS238〜S240をi>一歩の相数と成るまで繰り返す。ステップS238でi>一歩の相数と判定すると、この処理を終了する。
次に、ステップS24の一歩分の腰部初期軌道設定処理について図20(c)を用いて説明する。
まずiを1に設定し(S241)、iが一歩の相数以下か否かを判定する(S242)。最初はi≦一歩の相数であるので、次に、腰部5は一定の高さかつ一定速度で直線的に移動するとして腰の位置を求める(S243)。次に、iを1だけ増加して(i=i+1の演算を行って)ステップS242へ戻る(S244)。ステップS242〜S244をi>一歩の相数と成るまで繰り返す。ステップS242でi>一歩の相数と判定すると、この処理を終了する。
次に、ステップS3に示す目標ZMP軌道設定手段213の動作について図21を用いて説明する。
まず、jとiを1に設定する(S31、S32)。次に、i≦片立脚期の相数か否かを判定し(S33)、最初はi≦片立脚期の相数であるので、次に、ZMPの位置を立脚側の足底部14の中心に設定する(S34)。次に、iを1だけ増加して(i=i+1の演算を行って)ステップS33へ戻る(S35)。ステップS33〜S35をi>片立脚期の相数と成るまで繰り返す。ステップS33でi>片立脚期の相数と判定すると、次に、i≦一歩の相数か否かを判定し(S36)、最初はi≦一歩の相数であるので、次に、ZMPの位置を2つの足底部14(右足底部14aと左足底部14b)の中間点に設定する(S37)。次に、iを1だけ増加してステップS36へ戻る(S38)。ステップS36〜S38をi>一歩の相数と成るまで繰り返す。ステップS36でi>一歩の相数と判定すると、次に、j<全相数か否かを判定し(S39)、最初はj<全相数であるので、jを1だけ増加してステップS32へ戻る(S40)。次に、再びiを1に設定して、j≧全相数となるまでステップS32〜S38を繰り返す。j≧全相数と判定すると、この処理を終了する。
次に、ステップS4に示す下肢運動による目標ZMP回りモーメント算出手段2141の動作について図22を用いて説明する。
まずnを1に、下肢の質点数をNに設定し(S41)、n≦全相数か否かを判定する(S42)。最初はn≦全相数であるので、下肢の運動により目標ZMPの回りに生ずるモーメント(ベクトルM)を算出する(S43)。ステップS43に示すベクトルMは、(数2)において外力をゼロとした場合のベクトルである。次に、nを1だけ増加してステップS42へ戻る(S44)。ステップS42でn>全相数と判定されるまで、ステップS42〜S44を繰り返す。n>全相数と判定すると、この処理を終了する。全相数とは例えば1024(2の10乗)である。
次に、ステップS5に示す腰運動による目標ZMP回り既知モーメント算出手段2142の動作について図23を用いて説明する。
まずnを1に設定し(S51)、n≦全相数か否かを判定する(S52)。最初はn≦全相数であるので、腰の運動により目標ZMPの回りに生ずる既知モーメント(Mky,Mkx)を算出する(S53)。ステップS53に示す既知モーメントは、(数6),(数7)において腰部5に関する座標を未知とした場合のモーメントである(数6、7における左辺の既知の項だけを抜き出し,右辺に移項したもの)。次に、nを1だけ増加してステップS52へ戻る(S54)。ステップS52でn>全相数と判定されるまで、ステップS52〜S54を繰り返す。n>全相数と判定すると、この処理を終了する。
次に、ステップS6に示すフーリエ変換手段215の動作について図24を用いて説明する。
まずモーメント総和算出手段2151は、ステップS4で求めたベクトルMとステップS5で求めた既知モーメント(ベクトルMk)と後述のステップS12で求めたエラーモーメント(ベクトルE)との総和を求めると共に、全相数をNに設定する(S61、モーメント総和算出ステップ)。なお、エラーモーメントの初期値はゼロである。次に、フーリエ係数算出手段2152は、上記総和をフーリエ変換し(S62)、フーリエ係数を算出する(S63)。フーリエ変換やフーリエ係数の算出は一般的手法である。
次に、ステップS7に示すフーリエ係数決定手段216の動作について図25を用いて説明する。
まずフーリエ係数決定手段216は、腰部5のモーメント補償軌道をフーリエ級数で表す(S71)。ステップS71のAn,Bn,Cn,Dn(n=0〜N−1)はフーリエ係数である。次に、このフーリエ級数を(数15)、(数16)に代入してフーリエ係数を比較し(S72)、比較結果に基づいてフーリエ係数を決定する(S73)。
次に、ステップS8に示すモーメント補償軌道算出手段217の動作について図26を用いて説明する。
まずモーメント補償軌道算出手段217は、全相数をNに設定し(S81)、逆フーリエ変換用のデータ(つまりステップS73で決定したフーリエ係数を元に設定した逆フーリエ変換用のデータ)を設定し((数25)参照)(S82)、腰部5のモーメント補償軌道を上記逆フーリエ変換用のデータを逆フーリエ変換することにより算出する(S83)。次に、iを1に設定し(S84)、i≦Nか否かを判定する(S85)。最初はi≦Nであるので、次に、ステップS83で算出したモーメント補償軌道に基づいて腰部5の軌道を設定する(S86)。次に、iを1だけ増加する(S87)。ステップS85〜S87をi>Nとなるまで繰り返し、i>Nと判定すると、この処理を終了する。
次に、ステップS9に示す質点加速度算出手段218の動作について図27を用いて説明する。
まず質点加速度算出手段218は、1相の時間をT(たとえば30ms)に、nを1に、全相数をNに設定し(S91、S92)、n≦Nか否かを判定する(S93)。最初はn≦Nであるので、次に、iを1に、質点の相数をJに設定し(S94)、i≦Jか否かを判定する(S95)。最初はi≦Jであるので、次に、離散時間における各質点の加速度(ri(n)の2階微分)を計算する(S96)。次に、iを1だけ増加する(S97)。ステップS95〜S97をi>Jとなるまで繰り返し、i>Jであると判定すると、次にnを1だけ増加し(S98)、ステップS94〜S98をn>Nとなるまで繰り返し、n>Nであると判定すると、この処理を終了する。
次に、ステップS10に示すエラーモーメント算出手段219の動作について図28を用いて説明する。
まずエラーモーメント算出手段219は、nを1に設定し(S101)、n≦全相数か否かを判定する(S102)。最初はn≦全相数であるので、次に、ステップS43と同様にしてエラーモーメント(eM(n))を算出し(S103)、nを1だけ増加する(S104)。ステップS102〜S104をn>全相数となるまで繰り返す。
次に、ステップS12に示すエラーモーメント判定手段220の動作について図29を用いて説明する。図29はエラーモーメントの算出方法について説明するものである。
まずエラーモーメント判定手段220は、繰り返し回数をnとし(S121)、nが1の場合はエラーモーメントを0とし(S122、S123)、nが2の場合はエラーモーメントを1回目で算出した値とし(S124、S125)、nが3以上の場合は前回で使用したエラーモーメントに前回で算出したエラーモーメントの半分を加えたものを今回のエラーモーメントとする(S126)。
n=1のときにエラーモーメントを0とする理由について説明する。n=1は、1回目の計算の後にフィードバックする値を表わしているのでは無くて、1回目の計算で使うエラーモーメントを示している。すなわち、n=1の場合のエラーモーメントE1を計算に用いる時点ではeM1は計算されておらず、フィードバックすべき量がない。そのためにE1=0というステップを便宜上入れてある。初めて計算される算出エラーモーメントeM1がE2に代入されるのも同様の理由で、eM1が計算された直後は繰り返し回数n=2となるために、E2に代入されて2回目の計算に使用される。
次に、ステップS13に示す足部位置姿勢算出手段221の動作について図30を用いて説明する。
まず、nを1に設定し(S131)、n≦全相数か否かを判定する(S132)。最初はn≦全相数であるので、原点位置算出手段2211は、足座標系の原点位置を算出し(S133、後述の図32および(数82)参照)、回転行列算出手段2212は足部の姿勢を算出するための回転行列を算出し(S134、後述の(数87)参照)、姿勢算出手段2213はロール角、ヨー角、ピッチ角の姿勢角を算出する(S135、後述の(数91)参照)。次に、nを1増加し、ステップS132へ戻る。これをn>全相数となるまで繰り返す。n>全相数となると、この処理を終了する。
ここで、足座標系の原点位置の算出、回転行列の算出および姿勢角算出について図32を用いて説明する。
従来は、絶対座標系における足部位置・姿勢および腰部位置・姿勢から逆運動学により各シリンダ長さ(つまり腰部ジョイントと足部ジョイントとの間の距離)を算出し、これを歩行パターンとして出力していたが、本実施の形態では、次のような手順で、絶対座標系における足部位置・姿勢および腰部位置・姿勢から、腰座標系から見た足座標系の位置・姿勢を算出し、これを歩行パターンとして出力する。
腰座標系から見た足座標系原点の位置ベクトル(数81)は、足部と腰部の絶対座標から、(数82)となる(図32参照)。
Figure 2007032120
Figure 2007032120
また、腰座標系から見た足座標系の姿勢を表わす回転行列(数83)と、絶対座標系から見た足座標系の姿勢を表わす回転行列(数84)と、絶対座標系から見た腰座標系の姿勢を表わす回転行列(数85)の関係は(数86)、(数87)のようになる。
Figure 2007032120
Figure 2007032120
Figure 2007032120
Figure 2007032120
Figure 2007032120
ここで、(数84)、(数85)は(数88)、(数89)のように表わされる。
Figure 2007032120
Figure 2007032120
このようにして求めた、腰座標系から見た足座標系の姿勢を表わす回転行列(数83)より、次の手順でロール角、ヨー角、ピッチ角に換算する。
腰座標系から見た足座標系の姿勢を表わす回転行列(数83)の成分を(数90)のようにおく。
Figure 2007032120
これらより、2変数逆正接関数を用い、腰座標系から見た足座標系の姿勢を表わすロール角、ヨー角、ピッチ角は、(数91)のようになる。
Figure 2007032120
この腰座標系から見た足座標系の位置・姿勢(数92)、(数93)を両足分算出し、歩行パターンとして出力する。
Figure 2007032120
Figure 2007032120
ここで、(数91)について説明する。Atan2(y,x)は(数94)として計算されるが、結果の角度が存在する象限は、xとyの両方の符号によって決定される。例えば、Atan2(−2.0,−2.0)=−135°である。
Figure 2007032120
次に、ステップS14の歩容フラグの算出について図31を用いて説明する。まず、相数nを“1”に設定し(SS51)、nが全相数以下か否かを判定する(SS52)。最初はnは全相数以下であるので、ステップSS53へ移行して立脚か否かを判定する。ステップSS53で立脚と判定したときは次に立脚の前期か否かを判定する(SS54)。立脚か否かの判定や立脚の前期か否かの判定は例えば歩行経過時間や、または足部と路面の距離や速度と対応付けて行う。立脚前期と判定されたときは歩容フラグF[n]を“0”に設定し(SS55)、立脚前期でない(つまり立脚後期である)と判定したときは歩容フラグF[n]を“1”に設定する(SS56)。ステップSS53で立脚でない(つまり遊脚である)と判定されたときは次に遊脚の前期か否かを判定する(SS57)。遊脚の前期か否かは例えば遊脚が上昇中であるか否かによって判定する。ステップSS57で遊脚前期と判定されたときは歩容フラグF[n]を“2”に設定し(SS58)、遊脚後期と判定されたときは歩容フラグF[n]を“3”に設定する(SS59)。ステップSS55、56、58、59で歩容フラグを設定した後は、相数nを1つ増加する(SS60)。ステップSS52で相数nが全相数を越えたと判定したときはこの処理を終了する。
次に、2足歩行ロボット装置の制御動作について、図33〜図37を用いて説明する。図33は制御用コンピュータ7のCPU71における機能実現手段を示すブロック図であり、図34〜図36は制御用コンピュータ7のCPU動作を示すフローチャートであり、図37はCPU71のモータ制御手段715を示す機能ブロック図である。
まず2足歩行ロボット装置の制御動作の全体動作について図34を用いて説明する。
図34において、電源投入手段711は電源部11を介して2足歩行ロボット装置の電源を投入する(SS1)。次に歩行パターン設定手段712は、歩行パターン作成用コンピュータ(歩行パターン作成装置)2から歩行パターンを無線で受信してハードディスク73に格納し(SS2、歩行パターン設定ステップ)、シリンダ初期位置設定手段713は、脚部6の脚を伸縮するシリンダC1〜C12の初期位置を設定する(SS3、シリンダ初期位置設定ステップ)。次に、歩行開始命令手段714は、ハードディスク73に格納した歩行パターンから歩行に使用するパターンを選択して歩行開始を指令し(SS4、歩行開始命令ステップ)、モータ制御手段715は、使用する歩行パターンに基づいてモータ(DCサーボモータ)152を制御する(SS5、モータ制御ステップ)。次に、終了判定手段716は、歩行動作の終了か否かを(終了命令が制御用コンピュータ7から出ているか否かを)判定する(SS6)。
次に、ステップSS2に示す歩行パターン設定手段712の動作を図35を用いて説明する。
図35において、まず、設定したいパターンの数をNに、jをゼロに設定する(SS21)。次に、j<Nか否かを判定する(SS22)。最初はj<Nであるので、次に、歩行パターン作成用コンピュータ2で作成したデータ(腰座標系における足部の位置・姿勢、絶対座標系における腰軌道、絶対座標系におけるZMP軌道)を制御用コンピュータ7のメモリ72に記憶する(SS23)。次に、jを1だけ増加する(SS24)。ステップSS22〜SS24をj≧Nとなるまで繰り返す。j≧Nであると判定すると、この処理を終了する。
次に、ステップSS3に示すシリンダ初期位置設定手段713の動作を図36を用いて説明する。
図36において、まず、D/Aコンバータ77から一定電圧を各モータドライバ(DCサーボドライバ)D1〜D12に出力し、低速かつ一定速度でシリンダC1〜C12を縮める方向に動かす(SS31)。次に、初期位置検出用のセンサ155が反応したか否かを判定し(SS32)、反応しない場合にはステップSS31へ戻り、反応した場合には反応したセンサがついているシリンダに位置制御(PI制御)をかけて固定する(SS33)。ステップSS31〜SS33の動作を全てのセンサが反応するまで行う(SS34)。全てのセンサが反応したと判定した場合は、全てのシリンダを動かして、2足歩行ロボット装置を歩行パターンに基づく初期位置にする(SS35)。
次に、モータ制御手段715について図37を用いて説明する。図37はモータ制御手段715を示す機能ブロック図である。
図37において、810は基本制御を行う基本制御手段、820は着地制御を行う着地制御手段である。基本制御手段810は、メモリ72に記憶されている歩行パターンを出力する歩行パターン出力手段811と、後述のz方向着地軌道修正量を加算するz方向加算手段8121と非線形コンプライアンス移動量を加算するコンプライアンス加算手段8122とロール・ピッチ方向軌道修正量を加算するロール・ピッチ加算手段8123とを有する補正量加算手段812と、足部の位置・姿勢の目標値に対して逆運動学演算を行ってシリンダ長さのデータ(つまりリンク長さのデータ)を生成する逆運動学演算手段813と、シリンダ長さのデータをモータの角度変位のデータに変換するデータ変換手段814と、シリンダの初期位置の微調整を行う初期位置微調整手段815と、後述のシリンダ駆動装置400(図37参照)を駆動するシリンダ駆動装置駆動手段816とを有する。
また、着地制御手段820は、歩容フラグF[n]に基づいて制御モードを選択するモード選択手段821と、歩行パターンの各成分を着地制御の制御対象となる成分(制御対象成分)と制御対象とならない成分(非制御対象成分)とに分割する成分分割手段822と、上記制御モード等に基づいてz方向着地軌道修正量を算出するz方向着地軌道修正量算出手段823と、非線形コンプライアンス移動量をz方向圧力(床反力)から算出する非線形コンプライアンス移動量算出手段824と、ロール・ピッチ方向のトルクからロール・ピッチ方向軌道修正量を算出するロール・ピッチ方向軌道修正量算出手段825と、加算する修正量や移動量に基づいて新たな歩行パターンを作成する歩行パターン修正手段826とを有する。さらに、z方向着地軌道修正量算出手段823は、理論コンプライアンスを算出する理論コンプライアンス移動量算出手段8231と、理論コンプライアンス移動量と非線形コンプライアンス移動量との偏差をコンプライアンス移動量偏差(着地路面高さ誤差)として算出するコンプライアンス移動量偏差算出手段8232と、歩容フラグに基づく制御モードとコンプライアンス移動量偏差とに基づいてz方向着地軌道修正量を算出する軌道修正量算出手段8233とを有する。さらに、ロール・ピッチ方向軌道修正量算出手段825は、ロール・ピッチ方向のコンプライアンス移動量をロール・ピッチ方向のトルクから算出するコンプライアンス移動量算出手段8251と、ロール・ピッチ方向の軌道修正量を算出する軌道修正量算出手段8252とを有する。
このように構成されたモータ制御手段715の動作について説明する。
まず、基本制御手段810について、図38、図39を用いて説明する。図38はモータ制御手段とモータ駆動装置を示すブロック図である。図39は基本制御手段810の動作を示すフローチャートである。
図38において、歩行パターン出力手段811、逆運動学演算手段813、データ変換手段814、初期位置微調整手段815、シリンダ駆動装置駆動手段816は図37と同様のものであり、同一符号を付し、説明は省略する。
このように構成された基本制御手段810の動作について図39を用いて説明する。
図39において、まず、歩行パターンが選択され、歩行開始命令が出されると(歩行パターン選択と歩行開始命令とは外部のコンピュータから無線を介して伝えられる。通常は歩行パターン作成用コンピュータ2がこの役割を果たしている)、歩行パターン出力手段811は、腰座標系における足部の位置・姿勢のデータや絶対座標系における腰座標・ZMP座標のデータ(以下、「足部等データ」という)を制御周期(約1ms)毎に補間して出力する(SS41)。この足部等データに対して補正量加算手段812が補正量を加算する場合もあるが、基本制御においては補正量の加算は行わない(SS42)。次に、逆運動学演算手段813は、足部等データに対して前述した逆運動学演算を行ってシリンダ長さのデータを算出し(SS43)、データ変換手段814は、算出したシリンダ長さのデータをモータの角度変位のデータに変換する(SS44)。このモータ角度変位データに初期位置微調整手段815からの初期位置の微調整データ(SS45)を加えた加算データaをシリンダ駆動装置駆動手段816が比較部COMに出力する(SS46)。加算データaはパルスカウンタ79からの実角度変位データbと比較部COMで比較され、差データ(a−b)となる。この差データ(a−b)の積分データと比例データとは比例積分部300において加算されてモータ回転速度データcとなり、このデータcは換算部301でデジタル電圧に換算されて、D/Aコンバータ77に出力され、D/Aコンバータ77でアナログ電圧となり、このアナログ電圧はサーボドライバD1〜D12に入力され、サーボドライバD1〜D12は上記アナログ電圧によりDCサーボモータ152を回転駆動する。DCサーボモータ152の回転変位(角度変位)はロータリエンコーダ151でパルス数として検出され、このパルス数はパルスカウンタ79で計数されて比較部COMへフィードバックされる。ここで比較部COM、比例積分部300、換算部301、D/Aコンバータ77、サーボドライバD1〜D12、DCサーボモータ152、エンコーダ151、カウンタ79はシリンダ駆動装置400を構成する。
このように、本実施の形態においては、パラレルメカニズムの脚機構にとっては計算量が膨大なために実施が困難な順運動学を行う必要がなくなり、計算が容易な逆運動学によりリアルタイムにリンク長さ(つまりシリンダ長さ)を制御することができるので、足部の位置・姿勢に関して種々の制御を行うことができるようになり、例えば着地衝撃を緩和するための仮想コンプライアンス制御や凹凸や傾斜のある不整路面を支障なく歩行するための着地制御を行うことができるようになる。
次に、着地制御手段820の動作について、図37、図40〜図44を用いて説明する。図40は着地制御を示す機能的ブロック図であり、図41(a)〜(c)は各ブロックを示すブロック説明図、図42(a)、(b)は同じく各ブロックを示すブロック説明図、図43は着地制御を含む全体制御(モータ制御手段715の動作)を示すフローチャート、図44は着地制御手段820の動作を示すフローチャートである。
図40において、歩行パターン出力手段811、逆運動学演算手段813、データ変換手段814、初期位置微調整手段815、シリンダ駆動装置駆動手段816、モータ駆動装置400、モード選択手段821、成分分割手段822、非線形コンプライアンス移動量算出手段824、歩行パターン修正手段826、z方向加算手段8121、コンプライアンス加算手段8122、ロール・ピッチ方向加算手段8123、理論コンプライアンス移動量算出手段8231、コンプライアンス移動量偏差算出手段8232、軌道修正量算出手段8233、ロール・ピッチ方向移動量算出手段8251、軌道修正量算出手段8252は図37と同様のものであり、同一符号を付し、説明は省略する。142は足部の6軸の力成分(位置および姿勢角に関する力成分)を検出する6軸力覚センサ、142aは6軸力覚センサ142からのデータに基づいて各軸の力やモーメントを出力するレシーバボードである。
ここで、非線形コンプライアンス移動量算出手段824における非線形コンプライアンス移動量の算出について説明する。
(数50)の条件を示す図3(d)から、(数95)の関係式が求まる。
Figure 2007032120
非線形コンプライアンス移動量の微分値を離散化して示すと、(数96)となり、これを用いて(数95)は(数97)に展開される。この(数97)を変形すると(数98)となり、これから(数99)のようにして非線形コンプライアンス移動量が算出される。
Figure 2007032120
Figure 2007032120
Figure 2007032120
Figure 2007032120
(数52)の条件を示す図3(e)から、(数100)の関係式が求まる。
Figure 2007032120
(数100)を離散化して示すと、(数101)となり、(数101)は(数102)に展開される。この(数102)を変形すると(数103)となり、非線形コンプライアンス移動量が算出される。
Figure 2007032120
Figure 2007032120
Figure 2007032120
次に、着地制御について図40の機能的ブロック図を用いて説明する。
図40において、モード選択手段821は、歩行パターン出力手段811から出力された歩容フラグF[n]に基づき、モード選択テーブルを用いて、制御モードを選択する。モード選択テーブルを(表1)に示す。
Figure 2007032120
(表1)に示すように、歩容フラグに基づいて、z方向については、維持期間(Keep Period)、復帰期間(Return Period)、制御期間(Control Period)が選択され、また、ロール・ピッチ方向については、維持期間、復帰期間、コンプライアンス期間(Compliance Period)が選択される。
成分分割手段822は、歩行パターン出力手段811から出力された歩行パターンの各成分について、制御対象成分か非制御対象成分かを判定し、制御対象成分のみについて着地制御を行い、非制御対象成分は歩行パターン修正手段826へ出力する。制御対象成分はここでは、z、ロール(θx)、ピッチ(θy)の成分である。
次に、理論コンプライアンス移動量算出手段8231は、制御対象成分および(数42)の着地路面検知用移動許容量から、理論コンプライアンス移動量を算出する((数46)、(数48)参照)。
一方、非線形コンプライアンス移動量算出手段824は、6軸力覚センサ142から出力されたz方向の床反力を入力して非線形コンプライアンス移動量を算出する。理論コンプライアンス移動量算出手段8231からの理論コンプライアンス移動量と非線形コンプライアンス移動量算出手段824からの非線形コンプライアンス移動量との偏差はコンプライアンス移動量偏差算出手段8232においてコンプライアンス移動量偏差((数58)参照)として算出され、軌道修正量算出手段8233に入力される。軌道修正量算出手段8233は、このコンプライアンス移動量偏差とモード選択手段821からの制御モードとに基づいてz方向着地軌道修正量を算出する。制御モード期間が制御期間であるときには、z方向着地軌道修正量は(数104)となる。ここで、(数105)はゲインである。
Figure 2007032120
Figure 2007032120
制御モード期間が維持期間であるときにはz方向着地軌道修正量は(数106)となり、復帰期間であるときには(数107)となる。(数107)において、(数108)は維持期間の最後の値を示し、(数109)は復帰期間が始まってからの時間、(数110)は復帰期間の長さを示す。したがって、(数107)は、復帰期間の最初においては維持期間の最後の値である軌道修正量を復帰期間の最後においてゼロとするような式である。
Figure 2007032120
Figure 2007032120
Figure 2007032120
Figure 2007032120
Figure 2007032120
次に、z方向加算手段8121は、成分分割手段822からの歩行パターンのz成分と軌道修正量算出手段8233からのz方向着地軌道修正量と記憶部827に格納されている(数42)の着地路面検知用移動許容量とを加算してz方向修正済軌道として出力する。また、コンプライアンス加算手段8122は、非線形コンプライアンス移動量算出手段824からの非線形コンプライアンス移動量とz方向加算手段8121からのz方向修正済軌道とを加算してz方向最終軌道として出力する。
次に、コンプライアンス移動量算出手段8251は、6軸力覚センサ142から入力したロール方向、ピッチ方向のトルクに基づき、(数65)、(数66)を用いて、(数67)のロール方向コンプライアンス移動量、(数68)のピッチ方向コンプライアンス移動量を算出する。軌道修正量算出手段8252は、コンプライアンス移動量算出手段8251からのロール方向コンプライアンス移動量とピッチ方向コンプライアンス移動量とに基づき、モード選択手段821からの制御モードを用いて、ロール・ピッチ方向軌道修正量を算出する。制御モード期間がコンプライアンス期間であるときには、ロール方向軌道修正量は(数111)となり、ピッチ方向軌道修正量は(数112)となる。
Figure 2007032120
Figure 2007032120
制御モード期間が維持期間であるときにはロール方向軌道修正量は(数113)となり、ピッチ方向軌道修正量は(数114)となる。復帰期間であるときにはロール方向軌道修正量は(数115)となり、ピッチ方向軌道修正量は(数116)となる。(数117)、(数118)は維持期間の最後の値を示し、これらの式は、復帰期間の最初においては維持期間の最後の値である軌道修正量を復帰期間の最後においてゼロとするような式である。
Figure 2007032120
Figure 2007032120
Figure 2007032120
Figure 2007032120
Figure 2007032120
Figure 2007032120
次に、ロール・ピッチ方向加算手段8123は、成分分割手段822からのロール・ピッチ成分と軌道修正量算出手段8252からのロール・ピッチ方向軌道修正量とを加算し、ロール・ピッチ方向最終軌道として歩行パターン修正手段826に出力する。歩行パターン修正手段826は、z方向最終軌道とロール・ピッチ方向最終軌道と非制御対象成分とを入力して歩行パターンを修正する。この修正した歩行パターンに対して逆運動学演算手段813で逆運動学演算を行うが、逆運動学演算手段813以降について既に説明されている。
次に、図37の着地制御手段820の動作について、図43、図44を用いて説明する。図43は、着地制御における全体制御(すなわち基本制御に着地制御を加えた制御)を示すフローチャートであり、図44は着地制御を詳細に示すフローチャートである。図43は、図39の補正量加算のステップSS42に代えて着地制御のステップSS42aとしたものである。着地制御の動作は、図44において後述するように、補正量(修正量と移動量)を加算する動作と、加算結果に対して歩行パターンを修正する歩行パターン修正の動作とを含む。すなわち、基本制御において着地制御を含む場合には図39の補正量加算のステップSS42が図43のステップSS42aに代わるだけである。
図43のステップSS42aの着地制御を図44を用いて説明する。
図44において、モード選択手段821は、歩行パターン出力手段811から出力された歩容フラグF[n]に基づき、モード選択テーブルを用いて、制御モードを選択する(SS61)。モード選択は前述したように(表1)のように行われる。次に、成分分割手段822は、歩行パターン出力手段811から出力された歩行パターンの各成分について、制御対象成分か非制御対象成分かを判定し、制御対象成分のみについて着地制御を行い、非制御対象成分は歩行パターン修正手段826へ出力する(SS62)。制御対象成分はここでは、z、ロール(θx)、ピッチ(θy)の成分である。すなわち、z、ロール、ピッチの成分についてのみ以下の処理が行われ、x、y、ヨーについては以下の処理が行われない。ただし、最終ステップSS72の歩行パターン修正処理はすべての成分を用いて行われる。
次に、理論コンプライアンス移動量算出手段8231は、制御対象成分および(数42)の着地路面検知用移動許容量から、理論コンプライアンス移動量を算出する((数46)、(数48)参照)(SS63)。
次に、非線形コンプライアンス移動量算出手段824は、6軸力覚センサ142から出力されたz方向の床反力を入力して非線形コンプライアンス移動量を算出する((数51)、(数53)参照)(SS64)。理論コンプライアンス移動量算出手段8231からの理論コンプライアンス移動量と非線形コンプライアンス移動量算出手段824からの非線形コンプライアンス移動量との偏差はコンプライアンス移動量偏差算出手段8232においてコンプライアンス移動量偏差((数58)参照)として算出され、軌道修正量算出手段8233に入力される(SS65)。軌道修正量算出手段8233は、このコンプライアンス移動量偏差とモード選択手段821からの制御モードとに基づいてz方向着地軌道修正量を算出する((数104)、(数106)、(数107)参照)(SS66)。
次に、z方向加算手段8121は、成分分割手段822からの歩行パターンのz成分と軌道修正量算出手段8233からのz方向着地軌道修正量と記憶部(メモリ)827に格納されている(数42)の着地路面検知用移動許容量とを加算してz方向修正済軌道として出力する(SS67)。また、コンプライアンス加算手段8122は、非線形コンプライアンス移動量算出手段824からの非線形コンプライアンス移動量とz方向加算手段8121からのz方向修正済軌道とを加算してz方向最終軌道として出力する(SS68)。
次に、コンプライアンス移動量算出手段8251は、6軸力覚センサ142から入力したロール方向、ピッチ方向のトルクに基づき、(数65)、(数66)を用いて、(数67)のロール方向コンプライアンス移動量、(数68)のピッチ方向コンプライアンス移動量を算出する(SS69)。軌道修正量算出手段8252は、コンプライアンス移動量算出手段8251からのロール方向コンプライアンス移動量とピッチ方向コンプライアンス移動量とに基づき、モード選択手段821からの制御モードを用いて、ロール・ピッチ方向軌道修正量を算出する((数111)〜(数116)参照)(SS70)。
次に、ロール・ピッチ方向加算手段8123は、成分分割手段822からのロール・ピッチ成分と軌道修正量算出手段8252からのロール・ピッチ方向軌道修正量とを加算し、ロール・ピッチ方向最終軌道として歩行パターン修正手段826に出力する(SS71)。
歩行パターン修正手段826は、z方向最終軌道とロール・ピッチ方向最終軌道と非制御対象成分とを入力して新たな歩行パターンを作成する(SS72)。この新たな歩行パターンに対しては逆運動学演算以降の処理が行われる(図43のステップSS43〜SS46)。
以上のように本実施の形態によれば、足部を備えた脚部と腰部とから成る2足歩行ロボット装置の歩行パターンを作成する歩行パターン作成装置であって、足部において目標ゼロモーメントポイントを設定し、設定した目標ゼロモーメントポイントに応じて腰部のモーメント補償軌道を算出し、絶対座標系における腰座標系の原点と絶対座標系における足座標系の原点とから腰座標系から見た足部の位置を算出し、絶対座標系から見た足座標系の姿勢を表わす回転行列と絶対座標系から見た腰座標系の姿勢を表わす回転行列とから腰座標系から見た足座標系の姿勢を表わす回転行列を算出して足座標系の姿勢を表わす回転行列により足部の姿勢を算出し、歩行パターンにおける立脚前期か後期か及び遊脚前期か後期かを示すフラグである歩容フラグを決定し記憶することにより、2足歩行ロボット装置の腰部のモーメント補償軌道により目標ゼロモーメントポイントにおけるモーメントをゼロに近づけることができるので、2足歩行ロボットの転倒を防止して歩行を安定化することができ、また、腰座標系からみた足部の位置と姿勢のデータを生成することができるので、パラレルリンク機構においてはリアルタイム演算が困難な順運動学演算を行う必要がなく、パラレルリンク機構においてはリアルタイム演算が容易な逆運動学演算により脚部を伸縮するシリンダの長さを制御することができ、逆運動学演算において種々の補正データを用いて種々の制御を行うことができ、2足歩行ロボットの歩行を更に安定化することができ、さらに、立脚前期か後期か及び遊脚前期か後期かを示すフラグである歩容フラグを用いて脚部の状態に応じた制御を行うことができるので、倣い動作や復帰動作、軌道修正量維持など各脚の状態によって複雑な制御チャートを実行させることができるので、これにより遊脚が大きな床反力を発生しZMPや姿勢角の偏差や加速度が発生する以前に路面形状への倣い動作を完了することができ、路面状態たとえば傾斜面や凹凸に応じた制御を的確に行うことができ、人間を搭載する場合のように正確なモデル化が困難な場合にも不整地における歩行を実現することができ、さらに、本制御はジャイロ等を含む特別なセンサや機構を必要とすることなくZMP計測用の力センサ(6軸力覚センサ)のみを用いて行うことができる。
また、足部の軌道と腰部の初期軌道を設定する軌道設定手段212と、設定した足部の軌道と腰部の初期軌道とに基づいて目標ゼロモーメントポイントの軌道を設定する目標ZMP軌道設定手段213と、脚部の運動および腰部の運動による目標ゼロモーメントポイント回りのモーメントを算出する目標ZMP回りモーメント算出手段214と、算出した目標ゼロモーメントポイント回りのモーメントに基づいて腰部のモーメント補償軌道を算出するモーメント補償軌道算出手段217と、設定した足部の軌道と腰部のモーメント補償軌道とにより算出された各質点の加速度に基づいて目標ゼロモーメントポイントにおけるエラーモーメントを算出するエラーモーメント算出手段219と、算出したエラーモーメントが所定モーメントよりも小さくなったとき絶対座標系における腰座標系の原点と絶対座標系における足座標系の原点とから腰座標系から見た足部の位置を算出すると共に、絶対座標系から見た足座標系の姿勢を表わす回転行列と絶対座標系から見た腰座標系の姿勢を表わす回転行列とから腰座標系から見た足座標系の姿勢を表わす回転行列を算出して足座標系の姿勢を表わす回転行列により足部の姿勢を算出する足部位置姿勢算出手段221と、歩容フラグを決定し記憶する歩容フラグ決定手段222とを有することにより、脚部の運動および腰部の運動による目標ゼロモーメントポイント回りのモーメントがゼロの近傍か否かをエラーモーメントにより判定することができ、歩行パターンの設定において目標ゼロモーメントポイント回りのモーメントを限り無くゼロに近づけることができるので、安定性の極めて高い2足歩行を2足歩行ロボット装置に行わせることができる。
さらに、ZMP回りモーメント算出手段において算出した目標ゼロモーメントポイント回りのモーメントと算出したエラーモーメントとの総和に基づいてフーリエ係数を算出するフーリエ変換手段215と、算出したフーリエ係数に基づいてモーメント補償軌道の近似解を求めるためのフーリエ係数を決定するフーリエ係数決定手段216とを備え、モーメント補償軌道算出手段217は、決定したフーリエ係数に基づく逆フーリエ変換により腰部のモーメント補償軌道を算出することにより、腰部のモーメント補償軌道を正確に算出することができるので、目標ゼロモーメントポイント回りのモーメントを迅速にゼロに近づけることができる。
さらに、目標ZMP回りモーメント算出手段2141は、脚部の運動により生じる目標ZMP回りモーメントを算出する下肢運動による目標ZMP回りモーメント算出手段2141と、腰部の運動により生じる目標ZMP回りモーメントを算出する腰運動による目標ZMP回り既知モーメント算出手段2142とを有することにより、脚部の運動および腰部の運動による目標ゼロモーメントポイント回りのモーメントを正確に算出することができるので、腰部のモーメント補償軌道を正確に算出することができる。
さらに、足部位置姿勢算出手段221は、絶対座標系における腰座標系の原点と絶対座標系における足座標系の原点とから腰座標系から見た足部の位置を算出する原点位置算出手段2211と、絶対座標系から見た足座標系の姿勢を表わす回転行列と絶対座標系から見た腰座標系の姿勢を表わす回転行列とから腰座標系から見た足座標系の姿勢を表わす回転行列を算出する回転行列算出手段2212と、回転行列算出手段で算出した回転行列により足部の姿勢を算出する姿勢算出手段2213とを有することにより、腰座標系からみた足部の位置と姿勢のデータを正確に生成することができるので、パラレルリンク機構においてはリアルタイム演算が容易な逆運動学演算を用いて脚部を伸縮するシリンダの長さを正確に制御することができ、逆運動学演算において種々の補正データを用いて種々の制御を行う場合に正確な制御を行うことができる。
さらに、足部を備えた脚部と腰部とから成り、脚部は脚部を伸縮するシリンダを有し、腰部は全体を制御すると共に上記記載の歩行パターン作成装置と無線通信を行う制御コンピュータ7を有する2足歩行ロボット装置であって、制御コンピュータは、歩行パターン作成装置から受信した歩行パターンに基づいて2足歩行の制御を行うことにより、腰部のモーメント補償軌道により足部の目標ゼロモーメントポイントにおけるモーメントをゼロに近づけて歩行を安定化することができると共に歩行パターンを無線を介して遠隔地でも受信することができ、また、腰部に種々の上体(体幹)を取り付け可能とすれば、種々の用途(たとえば救助用、介護用、危険作業用等)に適合する2足歩行ロボットを迅速に構築することができ、また、腰部にいす等の搭乗部を取り付けて人間の搭乗を可能とすれば、種々の用途(たとえば福祉用、移動用)に適合する2足歩行ロボットを容易且つ迅速に構築することができ、さらに、腰座標系からみた足部の位置と姿勢のデータに対して逆運動学演算を行って脚部を伸縮するシリンダの長さを制御することができるので、パラレルリンク機構においてはリアルタイム演算が困難な順運動学演算を行う必要がなく、パラレルリンク機構においてはリアルタイム演算が容易な逆運動学演算によりロボットの歩行を制御することができ、種々の補正データ(たとえばコンプライアンス移動量や腰部の位置・姿勢の操作量)を足部の位置や姿勢の次元で足し合わせてから逆運動学演算を行うという容易な実装ができ、2足歩行ロボットの歩行を更に安定化することができる。
さらに、制御コンピュータ7は、歩行パターン作成用コンピュータから歩行パターンを無線で受信してメモリに格納する歩行パターン設定手段712と、格納した歩行パターンから歩行に使用するパターンを選択して歩行開始を指令する歩行開始命令手段714と、歩行開始命令手段の指令に基づいてモータを制御してシリンダの長さを制御するモータ制御手段715とを有することにより、歩行状態において2足歩行ロボット装置は歩行パターン作成用コンピュータから物理的な拘束を受けることなく高安定な歩行を行うことができ、また、周囲または自己の状態(たとえば搭載重量の軽重状態)に応じた適切な歩行パターンで歩行することができる。
さらに、モータ制御手段715は、基本制御を行う基本制御手段810と、遊脚を路面に衝撃を緩和して着地させると共に路面の凹凸に足部を倣わせる着地制御手段820とを有することにより、基本制御に基づく基本動作を行うことができると共に、状況に応じて着地制御を行うことができ、基本制御においては、パラレルメカニズムの脚機構にとっては計算量が膨大なために実施が困難な順運動学を行う必要がなくなり、計算が容易な逆運動学によりリアルタイムにリンク長さ(つまりシリンダ長さ)を制御することができるので、足部の位置・姿勢に関して種々の制御を行うことができるようになり、また着地制御においては、遊脚が大きな床反力を発生しZMPや姿勢角の偏差や加速度が発生する以前に、路面形状への倣い動作を完了し、不整路面に対して転倒することなく安定した歩行を行うことができ、人間搭乗型2足歩行ロボットのように正確なモデル化が困難なロボットの不整地における歩行を実現することができる。
さらに、基本制御手段810は、足部位置姿勢算出手段で算出した足部の位置・姿勢の目標値を歩行開始命令手段の指令に基づいて出力する歩行パターン出力手段811と、歩行パターン出力手段から出力される足部の位置・姿勢の目標値を逆運動学演算してシリンダの長さを算出する逆運動学演算手段813とを有することにより、パラレルメカニズムの脚機構にとっては計算量が膨大なために実施が困難な順運動学を行う必要がなくなり、計算が容易な逆運動学によりリアルタイムにリンク長さを制御することができるので、足部の位置・姿勢に関して種々の制御を行うことができる。
さらに、着地制御手段820は、歩容フラグに基づいて制御、維持、復帰、コンプライアンス等の制御モードを選択するモード選択手段821と、歩行パターンの成分において着地制御の対象となる成分である制御対象成分と制御対象成分以外の非制御対象成分とを分割する成分分割手段822と、遊脚の着地衝撃を緩和する非線形コンプライアンス移動量を足部における床反力に基づいて算出する非線形コンプライアンス移動量算出手段824と、非線形コンプライアンス移動量に基づいて上下方向の軌道修正量を算出するz方向軌道修正量算出手段823と、足部におけるロールおよびピッチ方向のトルクに基づいてロールおよびピッチの軌道修正量を算出するロール・ピッチ軌道修正量算出手段825と、歩行パターン出力手段から出力される歩行パターンと着地路面検知用移動許容量と非線形コンプライアンス移動量と上下方向の軌道修正量とロール・ピッチ軌道修正量とに基づいて歩行パターンを修正する歩行パターン修正手段826とを有することにより、着地衝撃の緩和と振動の抑制に対しては非線形コンプライアンス移動量を用いて対応することができ、路面の凹凸や傾斜路面に対しては上下方向の軌道修正量およびロールおよびピッチの軌道修正量を用いて対応することができるので、ジャイロを含め特別なセンサや機構を必要とせず、ZMP計測用の力センサのみを用いて、遊脚が大きな床反力を発生しZMPや姿勢角の偏差や加速度が発生する以前に、路面形状への倣い動作を完了できるため、不整路面に対して転倒することなく安定した歩行を行うことができ、人間搭乗型2足歩行ロボットのように正確なモデル化が困難なロボットの不整地における歩行を確実に実現することができる。
さらに、z方向軌道修正量算出手段823は、理想的路面において遊脚の着地衝撃を緩和する理論コンプライアンス移動量を制御対象成分に基づいて算出する理論コンプライアンス移動量算出手段8231と、理論コンプライアンス移動量と非線形コンプライアンス移動量との差分である着地路面高さ誤差を算出するコンプライアンス移動量偏差算出手段8232と、モード選択手段で選択した制御モードと着地路面高さ誤差とに基づいて上下方向の軌道修正量を算出する軌道修正量算出手段8233とを有することにより、路面の凹凸に対して、遊脚が大きな床反力を発生しZMPや姿勢角の偏差や加速度が発生する以前に、路面形状への倣い動作を完了し、上下方向に正確に対応することができるので、ロール・ピッチについて対応すれば、不整路面に対して転倒することなく安定した歩行を行うことができ、人間搭乗型2足歩行ロボットのように正確なモデル化が困難なロボットの不整地における歩行を更に一層確実に実現することができる。
さらに、ロール・ピッチ軌道修正量算出手段825は、足部におけるロールおよびピッチ方向のトルクに基づいてコンプライアンス移動量を算出するコンプライアンス移動量算出手段8251と、コンプライアンス移動量に基づいてロールおよびピッチ方向の軌道修正量を算出する軌道修正量算出手段8252とを有することにより、路面の凹凸に対してロール・ピッチ軸まわりに正確に対応することができるので、上下方向について対応すれば、不整路面に対して、遊脚が大きな床反力を発生しZMPや姿勢角の偏差や加速度が発生する以前に、路面形状への倣い動作を完了し、転倒することなく安定した歩行を行うことができ、人間搭乗型2足歩行ロボットのように正確なモデル化が困難なロボットの不整地における歩行を更に一層確実に実現することができる。
また、図19〜図31に記載の歩行パターン作成方法の各ステップを実行させるためのプログラムであることにより、上記歩行パターン作成方法を任意の場所で任意の時間に汎用コンピュータに実行させることができる。
さらに、上記プログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体であることにより、汎用コンピュータで記録媒体を読み取りさえすれば、上記歩行パターン作成方法を任意の場所で任意の時間に汎用コンピュータに実行させることができる。
また、図34〜図36、図38〜図44に記載の2足歩行ロボット装置の制御方法の各ステップを実行させるためのプログラムであることにより、上記2足歩行ロボット装置の制御方法を任意の場所で任意の時間に汎用コンピュータに実行させることができる。
さらに、上記プログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体であることにより、汎用コンピュータで記録媒体を読み取りさえすれば、上記2足歩行ロボット装置の制御方法を任意の場所で任意の時間に汎用コンピュータに実行させることができる。
(実施の形態2)
図45(a)は本実施の形態2における2足歩行ロボット装置のモータ制御手段715′を示す機能ブロック図であり、図45(b)は姿勢角補償量算出手段833を示す機能ブロック図である。
図45において、810は基本制御手段、820は着地制御手段であり、これらは実施の形態1において説明したものと同様のものであり、同一符号を付し、説明は省略する。830は推定姿勢補償制御を行う推定姿勢補償制御手段である。推定姿勢補償制御手段830は、6軸力覚センサ142(図40参照)の検出値からZMP実測値を算出するZMP実測値算出手段831と、算出されたZMP実測値と歩行パターンとして設定されているZMP目標値との偏差を算出するZMP偏差値算出手段832と、ZMP偏差値を積分した値に基づいて推定した腰部の姿勢角補償量を算出する姿勢角補償量算出手段833と、着地制御手段820により修正した歩行パターンを算出した姿勢角補償量に基づいて補正する足部位置姿勢補正手段とを有する。
また、姿勢角補償量算出手段833は、所定の周期でZMP偏差値の積分値をゼロに設定(リセット)するゼロ設定手段8331と、ZMP偏差値の積分値がゼロに設定された時点からの積分値を算出する積分値算出手段8332と、歩行パターンの補正操作を行う所定周期の断続的な操作期間を設定する操作期間設定手段8333と、ZMP偏差値の積分値に基づいて腰部の姿勢角補償量を算出する補償量算出手段8334と、算出された姿勢角補償量に基づいて実際の腰部の姿勢角操作量を算出する姿勢角操作量算出手段8335とを有する。
このように構成されたモータ制御手段715の動作は、着地制御と共に推定姿勢補償制御を行う点以外は実施の形態1で説明したものと同様である。以下、推定姿勢補償制御の動作について図46乃至図49を用いて説明する。
図46は推定姿勢補償制御を示す機能的ブロック図であり、図47はゼロ設定手段8331による設定期間と操作期間設定手段8333による操作期間を説明する説明図であり、図48は推定姿勢補償制御手段830の動作を示すフローチャートであり、図49は姿勢角補償量算出手段833の動作を示すフローチャートである。
図46において、826は歩行パターン修正手段、813は逆運動学演算手段、811は歩行パターン出力手段、142は6軸力覚センサ、142aはレシーバボードであり、これらは実施の形態1において説明したものと同様のものであり、同一符号を付し、説明は省略する。
図47において、841a,841bは所定の長さで予め設定された設定期間であり、一の設定期間841aから他の設定期間841bに移行する際、すなわち設定期間841a,841bの開始時点において、ゼロ設定手段8331により後述のZMP偏差値の積分値がゼロに設定される。すなわち、積分を開始してから所定長さの設定期間841a,841bが経過した後に、積分値はゼロに設定(リセット)される。842a〜842gは操作期間設定手段8333により各設定期間841a,841b内における所定周期の断続的な期間として予め設定された操作期間である。
図48に示すように、本実施の形態2においては着地制御のステップSS42aの後に推定姿勢補償制御のステップSS42bが追加されている点が実施の形態1と異なっている。
推定姿勢補償制御の動作は、図49において、まず、ZMP実測値算出手段831は、レシーバボード142aから出力される6軸力覚センサ142の原点の座標及び測定された力並びにモーメント((数77)参照)のデータから(数76)によりZMP実測値を算出する(SS81)。次に、ZMP偏差値算出手段832は、ZMP実測値算出手段831により算出されたZMP実測値と歩行パターン出力手段811(図37参照)から出力される歩行パターンとして設定されているZMP目標値(腰部からみたZMP軌道)との偏差値を算出する(SS82)。
次に、姿勢角補償量算出手段833の積分値算出手段8332は、ZMP偏差値の積分値を算出し、補償量算出手段8334は(数69)により腰部の姿勢角補償量を算出する(SS83)。ここで、積分値算出手段8332は、図49に示すように、操作期間842a〜842gの開始時点において、設定期間841a,841bの開始時点から操作期間842a〜842gの開始時点までのZMP偏差値の積分値を算出する。
次に、操作量算出手段8335は、補償量算出手段8334により算出された姿勢角補償量から(数78)を用いて腰部の姿勢角操作量を算出する(SS84)。
次に、足部位置姿勢補正手段834は、操作期間842a〜842gにおいて、腰部が算出された姿勢角操作量だけ操作されるように、腰部に対する足部の位置又は姿勢の操作量(足部位置姿勢操作量)を算出し(SS85)、着地制御手段820により修正された歩行パターンに対して同次変換行列を用いて足部位置姿勢操作量を補正量としてその分だけ補正し、新たな足部の位置・姿勢の目標値を算出する(SS86)。ここで、足部の補正は、単脚支持期であれば立脚側の足部の位置・姿勢データに対して行われ、両脚支持期であれば両方の足部の位置・姿勢データに対して行われることとなる。単脚支持期か両脚支持期かの判定は、歩容フラグに基づいて行う。
足部位置姿勢操作量の分だけ補正された歩行パターンは逆運動学演算手段813に出力され、実施の形態1と同様に逆運動学演算、シリンダ長さデータの算出、モータの角度変位データへの変換、モータ駆動等の処理が行われる。
以上のように本実施の形態2によれば、推定姿勢補償制御手段830は、ZMP実測値を足部における力成分とモーメント成分とから算出するZMP実測値算出手段831と、算出されたZMP実測値とZMP目標値との偏差であるZMP偏差値を算出するZMP偏差値算出手段832と、ZMP偏差値を積分した値に基づいて腰部の姿勢角補償量を算出する姿勢角補償量算出手段833と、歩行パターンの足部の位置又は姿勢の目標値を姿勢角補償量に基づく足部位置姿勢操作量だけ補正する足部位置姿勢補正手段834とを有し、姿勢角補償量算出手段833は、所定の周期でZMP偏差値の積分値をゼロに設定するゼロ設定手段8331と、ZMP偏差値の積分値がゼロに設定された時点からの積分値を算出する積分値算出手段8332と、足部の位置又は姿勢の補正操作を行う操作期間を設定する操作期間設定手段8333と、操作期間の開始時点におけるZMP偏差値の積分値に基づいて姿勢角補償量を算出する補償量算出手段8334とを有することにより、機械剛性やモータの応答偏差等に起因し着地制御における軌道修正より生じる腰部の姿勢角の累積誤差を推定し、推定した値に基づきそれを補償して腰部と遊脚側の足部を略水平に維持することができるので、着地制御時の足部による不整地面のセンシング精度の低下等を補い、正確な着地制御を行うことができ、安定した歩行を行うことができる。また、ZMP偏差値の積分値に基づいて姿勢角補償量を算出するため、急激な変化を伴う補償動作を防止でき安定性に優れる。特に、着地制御により急激な姿勢角の変化を防止できるので、これと推定姿勢補償制御を併せることでより信頼性の高い歩行制御を行うことができる。また、腰部の姿勢角を測定するための姿勢角センサを搭載する必要がなく、部品点数や製造コストの増加を防止できる。また、所定の周期でZMP偏差値の積分値をゼロに設定することにより、実際の姿勢角偏差との積分誤差の増加を防止できる。また、所定の操作期間を設定するため姿勢角誤差が過度に累積するのを防止できる。
本発明はパラレルリンク機構を有する2足歩行ロボット装置に2足歩行を行わせる歩行パターンを作成する装置、その歩行パターンに基づいて2足歩行を行う2足歩行ロボット装置、2足歩行を行わせる歩行パターンを作成する方法、および2足歩行を行う2足歩行ロボット装置の制御方法、ならびに、その歩行パターン作成方法とその2足歩行ロボット装置の制御方法を実行させるためのプログラムおよび記録媒体に関し、パラレルリンク機構の2足歩行ロボット装置に安定した2足歩行を行わせることができる。
【0001】
技術分野
[0001]
本発明は、パラレルリンク機構を有する2足歩行ロボット装置に2足歩行を行わせる歩行パターンに基づいて2足歩行を行う2足歩行ロボット装置、および2足歩行を行う2足歩行ロボット装置の制御方法に関するものである。
背景技術
[0002]
従来、パラレルリンク機構を有するロボット装置としては、例えば(特許文献1)に記載されたものがあり、この文献においては、ユニットリンクを3本用いたパラレルリンク駆動機構について記載され、またハンドリングを実現できることが記載されている。しかし、上記文献においては歩行については何ら記載されておらず、従って、パラレルリンク機構を有する2足歩行ロボット装置についても、また、このロボット装置の安定した歩行についても何ら記載されていない。
また、不整路面における2足歩行の安定化の方法は、その観測量にZMPや体幹姿勢、上体加速度などを用いており、路面の凹凸をロボットが踏み込むことによりZMPや体幹姿勢、加速度偏差の急激な変化を観測し、ロボットの力学モデルに基づく高精度な加速度制御を行う方法が一般的である。これらはロボット自体のモデルが比較的正確に取得できる場合に非常に有効であるが、人間を乗せて歩行する場合のように正確なモデル化が困難なロボットでは適用が困難であった。ほかにもロボットの運動が路面形状の影響を受ける以前に路面に対する適応動作を開始する手法の例もあるが、路面を検知するセンサや機構の搭載が必要であり、コストの面から不利であった。
特許文献1特開2001−121460号公報
【0002】
発明の開示
発明が解決しようとする課題
[0003]
このように、人間が搭乗した場合等の正確なモデル化が困難な場合であっても、安定歩行が可能で歩行時の衝撃が少なく、緩い傾斜面や路面凹凸に対して十分に対応することができ、且つ、このような2足歩行の安定化を主にソフトウェアによる処理で実現可能なパラレルリンク機構の2足歩行ロボット装置の出現が要求されていた。
[0004]
本発明は、上記従来の要求を充たすもので、安定した2足歩行を行うことができるパラレルリンク機構の2足歩行ロボット装置、パラレルリンク機構の2足歩行ロボット装置に安定した2足歩行を行うことができる2足歩行ロボット装置の制御方法を提供することを目的とする。
課題を解決するための手段
[0005]
上記課題を解決するために本発明の歩行パターン作成装置は、足部を備えた脚部と腰部とから成る02足歩行ロボット装置の歩行パターンを作成する歩行パターン作成装置であって、足部において目標ゼロモーメントポイントを設定し、設定した目標ゼロモーメントポイントに応じて腰部のモーメント補償軌道を算出し、絶対座標系における腰座標系の原点と絶対座標系における足座標系の原点とから腰座標系から見た足部の位置を算出し、絶対座標系から見た足座標系の姿勢を表わす回転行列と絶対座標系から見た腰座標系の姿勢を表わす回転行列とから腰座標系から見た足座標系の姿勢を表わす回転行列を算出して足座標系の姿勢を表わす回転行列により足部の姿勢を算出し、歩行パターンにおける立脚前期か後期か及び遊脚前期か後期かを示すフラグである歩容フラグを決定し記憶する構成を備えている。
これにより、パラレルリンク機構の2足歩行ロボット装置に安定した2足歩行を行わせる歩行パターンを作成する歩行パターン作成装置が得られる。
[0006]
上記課題を解決するために本発明の2足歩行ロボット装置は、足部を備えた脚部と
【0004】
プログラムである構成を備えている。
これにより、上記歩行パターン作成方法と上記2足歩行ロボット装置の制御方法を実行させるためのプログラムが得られる。
[0010]
上記課題を解決するために本発明の記録媒体は、上記プログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体である構成を備えている。
これにより、上記歩行パターン作成方法と上記2足歩行ロボット装置の制御方法を実行させるための記録媒体が得られる。
発明の効果
[0011]
【0006】
[0014]
[0015]
[0016]
請求項1に記載の2足歩行ロボット装置は、足部を備えた脚部と腰部とから成り、脚部は脚部を伸縮するシリンダを有し、腰部は全体を制御すると共に
【0007】
歩行パターン作成装置と無線通信を行う制御コンピュータを有する2足歩行ロボット装置であって、歩行パターン作成装置は、足部において目標ゼロモーメントポイントを設定し、設定した目標ゼロモーメントポイントに応じて腰部のモーメント補償軌道を算出し、絶対座標系における腰座標系の原点と絶対座標系における足座標系の原点とから腰座標系から見た足部の位置を算出し、絶対座標系から見た足座標系の姿勢を表わす回転行列と絶対座標系から見た腰座標系の姿勢を表わす回転行列とから腰座標系から見た足座標系の姿勢を表わす回転行列を算出して足座標系の姿勢を表わす回転行列により足部の姿勢を算出し、歩行パターンにおける立脚前期か後期か及び遊脚前期か後期かを示すフラグである歩容フラグを決定し記憶し、制御コンピュータは、歩行パターン作成用コンピュータから歩行パターンを無線で受信してメモリに格納する歩行パターン設定手段と、格納した歩行パターンから歩行に使用するパターンを選択して歩行開始を指令する歩行開始命令手段と、歩行開始命令手段の指令に基づいてモータを制御してシリンダの長さを制御するモータ制御手段とを有し、歩行パターン作成装置から受信した歩行パターンに基づいて2足歩行の制御を行い、モータ制御手段は、基本制御を行う基本制御手段と、遊脚を路面に衝撃を緩和して着地させると共に路面の凹凸に足部を倣わせる着地制御手段とを有し、着地制御手段は、歩容フラグに基づいて制御、維持、復帰、コンプライアンス等の制御モードを選択するモード選択手段と、歩行パターンの成分において着地制御の対象となる成分である制御対象成分と制御対象成分以外の非制御対象成分とを分割する成分分割手段と、遊脚の着地衝撃を緩和する非線形コンプライアンス移動量を足部における床反力に基づいて算出する非線形コンプライアンス移動量算出手段と、非線形コンプライアンス移動量に基づいて上下方向の軌道修正量を算出するz方向着地軌道修正量算出手段と、足部におけるロールおよびピッチ方向のトルクに基づいてロールおよびピッチの軌道修正量を算出するロール・ピッチ方向軌道修正量算出手段と、歩行パターン出力手段から出力される歩行パターンと着地路面検知用移動許容量と非線形コンプライアンス移動量と上下方向の軌道修正量とロール・ピッチ方向軌道修正量とに基づいて歩行パターンを修正する歩行パターン修正手段とを有するので、制御コンピュータは、歩行パターン作成装置から受信した歩行パターンに基づいて2足歩行の制御を行うことにより、腰部のモーメント補償軌道により足部の目標ゼロモーメントポイントにおけるモーメントをゼロに近づけて歩行を安定化することができると共に歩行パターンを無線を介して遠隔地でも受信することができ、また、腰部に種々の上体(体幹)を取り付け可能とすれば、種々の用途(たとえば救助用、介護用、危険作業用等)に適合する2足歩行ロボットを迅速に構築することができ、また、腰部にいす等の搭乗部を取り付けて人間の搭乗を可能とすれば、種々の用途(たとえば福祉用、移動用)に適合する2足歩行ロボットを容易且つ迅速に構築することができ、さらに、腰座標系からみた足部の位置と姿勢のデータに対して逆運動学演算を行って脚部を伸縮するシリンダの長さを制御することができるので、パラレルリンク機構においてはリアルタイム演算が困難な順運動学演算を行う必要がなく、パラレルリンク機構においてはリアルタイム演算が容易な逆運動学演算によりロボットの歩行を制御することができ、種々の補正データ(たとえばコンプライアンス移動量や腰部の位置・姿勢の操作量)を足部の位置や姿勢の次元で足し合わせてから逆運動学演算を行うという容易な実装ができ、2足歩行ロボットの歩行を更に安定化することができるという有利な効果が得られる。さらに、立脚前期か後期か及び遊脚前期か後期かを示すフラグである歩容フラグを用いて脚部の状態に応じた制御を行うことができるので、倣い動作や復帰動作、軌道修正量維持など各脚の状態によって複雑な制御チャートを実行させることができ、これにより遊脚が大きな床反力を発生しZMPや姿勢角の偏差や加速度が発生する以前に路面形状への倣い動作を完了することができ、路面状態たとえば傾斜面や凹凸に応じた制御を的確に行うことができ、人間を搭載する場合のように正確なモデル化が困難な場合にも不整地における歩行を実現することができ、さらに、本制御はジャイロ等を含む特別なセンサや機構を必要とすることなくZMP計測用の力センサ(6軸力覚センサ)のみを用いて行うことができるという有利な効果が得られる。
[0017]
また、制御コンピュータは、歩行パターン作成用コンピュータから歩行パターンを無線で受信してメモリに格納する歩行パターン設定手段と、格納した歩行パターンから歩行に使用するパターンを選択して歩行開始を指令する歩行開始命令手段と、歩行開始命令手段の指令に基づいてモータを制御してシリンダの長さを制御するモータ制御手段とを有することにより、歩行状態において2足歩行ロボット装置は歩行パターン作成用コンピュータから物理的な拘束を受けることなく高安定な歩行を行うことができ、また、周囲または自己の状態(たとえば搭載重量の軽重状態)に応じた適切な歩行パターンで歩行することができるという有利な効果が得られる。
[0018]
また、モータ制御手段は、基本制御を行う基本制御手段と、遊脚を路面に衝撃を緩和して着地させると共に路面の凹凸に足部を
【0008】
倣わせる着地制御手段とを有することにより、基本制御に基づく基本動作を行うことができると共に、状況に応じて着地制御を行うことができ、基本制御においては、パラレルメカニズムの脚機構にとっては計算量が膨大なために実施が困難な順運動学を行う必要がなくなり、計算が容易な逆運動学によりリアルタイムにリンク長さ(つまりシリンダ長さ)を制御することができるので、足部の位置・姿勢に関して種々の制御を行うことができるようになり、また着地制御においては、遊脚が大きな床反力を発生しZMPや姿勢角の偏差や加速度が発生する以前に、路面形状への倣い動作を完了し、不整路面に対して転倒することなく安定した歩行を行うことができ、人間搭乗型2足歩行ロボットのように正確なモデル化が困難なロボットの不整地における歩行を実現することができるという有利な効果が得られる。
[0019]
[0020]
また、着地制御手段は、歩容フラグに基づいて制御、維持、復帰、コンプライアンス等の制御モードを選択するモード選択手段と、歩行パターンの成分において着地制御の対象となる成分である制御対象成分と制御対象成分以外の非制御対象成分とを分割する成分分割手段と、遊脚の着地衝撃を緩和する非線形コンプライアンス移動量を足部における床反力に基づいて算出する非線形コンプライアンス移動量算出手段と、非線形コンプライアンス移動量に基づいて上下方向の軌道修正量を算出するz方向軌道修正量算出手段と、足部におけるロールおよびピッチ方向のトルクに基づいてロールおよびピッチの軌道修正量を算出するロール・ピッチ軌道修正量算出手段と、歩行パターン出力手段から出力される歩行パターンと着地路面検知用移動許容量と非線形コンプライアンス移動量と
【0009】
上下方向の軌道修正量とロール・ピッチ軌道修正量とに基づいて歩行パターンを修正する歩行パターン修正手段とを有することにより、着地衝撃の緩和と振動の抑制に対しては非線形コンプライアンス移動量を用いて対応することができ、路面の凹凸や傾斜路面に対しては上下方向の軌道修正量およびロールおよびピッチの軌道修正量を用いて対応することができるので、ジャイロを含め特別なセンサや機構を必要とせず、ZMP計測用の力センサのみを用いて、遊脚が大きな床反力を発生しZMPや姿勢角の偏差や加速度が発生する以前に、路面形状への倣い動作を完了できるため、不整路面に対して転倒することなく安定した歩行を行うことができ、人間搭乗型2足歩行ロボットのように正確なモデル化が困難なロボットの不整地における歩行を確実に実現することができるという有利な効果が得られる。
請求項2に記載の2足歩行ロボット装置は、足部を備えた脚部と腰部とから成り、脚部は脚部を伸縮するシリンダを有し、腰部は全体を制御すると共に歩行パターン作成装置と無線通信を行う制御コンピュータを有する2足歩行ロボット装置であって、歩行パターン作成装置は、足部において目標ゼロモーメントポイントを設定し、設定した目標ゼロモーメントポイントに応じて腰部のモーメント補償軌道を算出し、絶対座標系における腰座標系の原点と絶対座標系における足座標系の原点とから腰座標系から見た足部の位置を算出し、絶対座標系から見た足座標系の姿勢を表わす回転行列と絶対座標系から見た腰座標系の姿勢を表わす回転行列とから腰座標系から見た足座標系の姿勢を表わす回転行列を算出して足座標系の姿勢を表わす回転行列により足部の姿勢を算出し、歩行パターンにおける立脚前期か後期か及び遊脚前期か後期かを示すフラグである歩容フラグを決定し記憶し、制御コンピュータは、歩行パターン作成用コンピュータから歩行パターンを無線で受信してメモリに格納する歩行パターン設定手段と、格納した歩行パターンから歩行に使用するパターンを選択して歩行開始を指令する歩行開始命令手段と、歩行開始命令手段の指令に基づいてモータを制御してシリンダの長さを制御するモータ制御手段とを有し、歩行パターン作成装置から受信した歩行パターンに基づいて2足歩行の制御を行い、モータ制御手段は、基本制御を行う基本制御手段と、遊脚を路面に衝撃を緩和して着地させると共に路面の凹凸に足部を倣わせる着地制御手段と、前記着地制御手段により修正した歩行パターンを推定した腰部の姿勢角補償量に基づいて補正する推定姿勢補償制御を行う推定姿勢補償制御手段と、を備え、前記推定姿勢補償制御手段は、ZMP実測値を足部における力成分とモーメント成分とから算出するZMP実測値算出手段と、算出された前記ZMP実測値とZMP目標値との偏差であるZMP偏差値を算出するZMP偏差値算出手段と、前記ZMP偏差値を積分した値に基づいて腰部の姿勢角補償量を算出する姿勢角補償量算出手段と、前記修正した歩行パターンにおける足部の位置又は姿勢の目標値を前記姿勢角補償量に基づいて補正する足部位置姿勢補正手段とを有するので、制御コンピュータは、歩行パターン作成装置から受信した歩行パターンに基づいて2足歩行の制御を行うことにより、腰部のモーメント補償軌道により足部の目標ゼロモーメントポイントにおけるモーメントをゼロに近づけて歩行を安定化することができると共に歩行パターンを無線を介して遠隔地でも受信することができ、また、腰部に種々の上体(体幹)を取り付け可能とすれば、種々の用途(たとえば救助用、介護用、危険作業用等)に適合する2足歩行ロボットを迅速に構築することができ、また、腰部にいす等の搭乗部を取り付けて人間の搭乗を可能とすれば、種々の用途(たとえば福祉用、移動用)に適合する2足歩行ロボットを容易且つ迅速に構築することができ、さらに、腰座標系からみた足部の位置と姿勢のデータに対して逆運動学演算を行って脚部を伸縮するシリンダの長さを制御することができるので、パラレルリンク機構においてはリアルタイム演算が困難な順運動学演算を行う必要がなく、パラレルリンク機構においてはリアルタイム演算が容易な逆運動学演算によりロボットの歩行を制御することができ、種々の補正データ(たとえばコンプライアンス移動量や腰部の位置・姿勢の操作量)を足部の位置や姿勢の次元で足し合わせてから逆運動学演算を行うという容易な実装ができ、2足歩行ロボットの歩行を更に安定化することができるという有利な効果が得られる。さらに、立脚前期か後期か及び遊脚前期か後期かを示すフラグである歩容フラグを用いて脚部の状態に応じた制御を行うことができるので、倣い動作や復帰動作、軌道修正量維持など各脚の状態によって複雑な制御チャートを実行させることができ、これにより遊脚が大きな床反力を発生しZMPや姿勢角の偏差や加速度が発生する以前に路面形状への倣い動作を完了することができ、路面状態たとえば傾斜面や凹凸に応じた制御を的確に行うことができ、人間を搭載する場合のように正確なモデル化が困難な場合にも不整地における歩行を実現することができ、さらに、本制御はジャイロ等を含む特別なセンサや機構を必要とすることなくZMP計測用の力センサ(6軸力覚センサ)のみを用いて行うことができるという有利な効果が得られる。
また、歩行状態において2足歩行ロボット装置は歩行パターン作成用コンピュータから物理的な拘束を受けることなく高安定な歩行を行うことができ、また、周囲または自己の状態(たとえば搭載重量の軽重状態)に応じた適切な歩行パターンで歩行することができるという有利な効果が得られる。
また、基本制御に基づく基本動作を行うことができると共に、状況に応じて着地制御を行うことができ、基本制御においては、パラレルメカニズムの脚機構にとっては計算量が膨大なために実施が困難な順運動学を行う必要がなくなり、計算が容易な逆運動学によりリアルタイムにリンク長さ(つまりシリンダ長さ)を制御することができるので、足部の位置・姿勢に関して種々の制御を行うことができるようになり、また着地制御においては、遊脚が大きな床反力を発生しZMPや姿勢角の偏差や加速度が発生する以前に、路面形状への倣い動作を完了し、不整路面に対して転倒することなく安定した歩行を行うことができ、人間搭乗型2足歩行ロボットのように正確なモデル化が困難なロボットの不整地における歩行を実現することができるという有利な効果が得られる。
また、腰部の姿勢角の累積誤差を推定し、推定した値に基づきそれを補償して腰部と遊足側の足部を略水平に維持することができるので、正確な着地制御を行うことができ、安定した歩行を行うことができ、人間搭乗型2足歩行ロボットのように正確なモデル化が困難なロボットの不整地における歩行を更に一層確実に実現することができるという有利な効果が得られる。また、ZMP偏差値の積分値に基づいて姿勢角補償量を算出するため、急激な変化を伴う補償動作を防止でき安定性に優れるという有利な効果が得られる。また、姿勢角センサを搭載する必要がなく、ZMP測定用の力センサ(6軸力覚センサ)だけで姿勢補償制御ができ、部品点数や製造コストの増加を防止できるという有利な効果が得られる。
[0021]
請求項3に記載の2足歩行ロボット装置は、z方向軌道修正量算出手段は、理想的水平平坦路面に衝撃や振動なく理想的に着地したときに発生するはずの理論コンプライアンス移動量を制御対象成分に基づいて算出する理論コンプライアンス移動量算出手段と、理論コンプライアンス移動量と非線形コンプライアンス移動量との差分である着地路面高さ誤差を算出するコンプライアンス移動量偏差算出手段と、モード選択手段で選択した制御モードと着地路面高さ誤差とに基づいて上下方向の軌道修正量を算出する軌道修正量算出手段とを有することにより、路面の凹凸に対して上下方向に正確に対応することができるので、ロール・ピッチについて対応すれば、不整路面に対して、遊脚が大きな床反力を発生しZMPや姿勢角の偏差や加速度が発生する以前に、路面形状への倣い動作を完了し、転倒することなく安定した歩行を行うことができ、人間搭乗型2足歩行ロボットのように正確なモデル化が困難なロボットの不整地における歩行を更に一層確実に実現することができるという有利な効果が得られる。
[0022]
請求項に記載の2足歩行ロボット装置は、ロール・ピッチ軌道修正量算出手段は、足部におけるロールおよびピッチ方向のトルクに基づいてコンプライアンス移動量を算出するコンプライアンス移動量算出手段と、コンプライアンス移動量に基づいてロールおよびピッチ方向の軌道修正量を算出する軌道修正量算出手段とを有することにより、路面の凹凸に対してロール・ピッチ軸まわりに正確に対応することができる
【0010】
ので、上下方向について対応すれば、不整路面に対して、遊脚が大きな床反力を発生しZMPや姿勢角の偏差や加速度が発生する以前に、路面形状への倣い動作を完了し、転倒することなく安定した歩行を行うことができ、人間搭乗型2足歩行ロボットのように正確なモデル化が困難なロボットの不整地における歩行を更に一層確実に実現することができるという有利な効果が得られる。
請求項5に記載の2足歩行ロボット装置は、基本制御手段は、足部位置姿勢算出手段で算出した足部の位置・姿勢の目標値を歩行開始命令手段の指令に基づいて出力する歩行パターン出力手段と、歩行パターン出力手段から出力される足部の位置・姿勢の目標値を逆運動学演算してシリンダの長さを算出する逆運動学演算手段とを有することにより、パラレルメカニズムの脚機構にとっては計算量が膨大なために実施が困難な順運動学を行う必要がなくなり、計算が容易な逆運動学によりリアルタイムにリンク長さを制御することができるので、足部の位置・姿勢に関して種々の制御を行うことができるという有利な効果が得られる。
[0023]
[0024]
請求項6に記載の2足歩行ロボット装置は、姿勢角補償量算出手段は、所定の周期でZMP偏差値の積分値をゼロに設定するゼロ設定手段と、ZMP偏差値の積分値がゼロに設定された時点からの積分値を算出する積分値算出手段と、足部の位置又は姿勢の補正操作を行う操作期間を設定する操作期間設定手段と、操作期間の開始時点におけるZMP偏差値の積分値に基づいて姿勢角補償量を算出する補償量算出手段とを有することにより、所定の周期でZMP偏差値の積分値をゼロに設定(リ
【0011】
セット)することで実際の姿勢角偏差との積分誤差の増加を防止でき、姿勢角補償量を推定することができるという有利な効果が得られる。また、所定の操作期間を設定するため姿勢角誤差が過度に累積するのを防止でき、安定した歩行を行うことができるという有利な効果が得られる。
[0025]
[0026]
【0013】
[0029]
[0030]
請求項7に記載の2足歩行ロボット装置の制御方法は、足部を備えた脚部と腰部とから成り、前記脚部は前記脚部を伸縮するシリンダを有し、前記腰部は全体を制御すると共に歩行パターン作成装置と無線通信を行う制御コンピュータを有する2足歩行ロボット装置の制御方法であって、前記歩行パターン作成装置は、前記足部において目標ゼロモーメントポイントを設定し、前記設定した目標ゼロモーメントポイントに応じて前記腰部のモーメント補償軌道を算出し、絶対座標系における腰座標系の原点と絶対座標系における足座標系の原点とから腰座標系から見た足部の位置を算出し、絶対座標系から見た足座標系の姿勢を表わす回転行列と絶対座標系から見た腰座標系の姿勢を表わす回転行列とから腰座標系から見た足座標系の姿勢を表わす回転行列を算出して前記足座標系の姿勢を表わす回転行列により足部の姿勢を算出し、歩行パターンにおける立脚前期か後期か及び遊脚前期か後期かを示すフラグである歩容フラグを決定し記憶し、前記制御コンピュータは、前記歩行パターン作成用コンピュータから歩行パターンを無線で受信してメモリに格納する歩行パターン設定ステップと、前記格納した歩行パターンから歩行に使用するパターンを選択して歩行開始を指令する歩行開始命令ステップと、前記歩行開始命令ステップにおける指令に基づいてモータを制御して前記シリンダの長さを制御するモータ制御ステップとを有し、前記歩行パターン作成装置から受信した歩行パターンに基づいて2足歩行の制御を行い、前記モータ制御ステップは、基本制御を行う基本制御ステップと、遊脚を路面に衝撃を緩和して着地させると共に路面の凹凸に足部を倣わせる着地制御ステップとを有し、前記着地制御ステップは、前記歩容フラグに基づいて制御、維持、復帰、コンプライアンス等の制御モードを選択するモード選択ステップと、歩行パターンの成分において着地制御の対象となる成分である制御対象成分と前記制御対象成分以外の非制御対象成分とを分割する成分分割ステップと、遊脚の着地衝撃を緩和する非線形コンプライアンス移動量を足部における床反力に基づいて算出する非線形コンプライアンス移動量算出ステップと、前記非線形コンプライアンス移動量に基づいて上下方向の軌道修正量を算出するz方向着地軌道修正量算出ステップと、足部におけるロールおよびピッチ方向のトルクに基づいてロールおよびピッチの軌道修正量を算出するロール・ピッチ方向軌道修正量算出ステップと、前記歩行パターン出力ステップから出力される歩行パターンと着地路面検知用移動許容量と前記非線形コンプライアンス移動量と前記上下方向の軌道修正量と前記ロール・ピッチ方向軌道修正量とに基づいて前記歩行パターンを修正する歩行パターン修正ステップとを有するので、腰部のモーメント補償軌道により足部の目標ゼロモーメントポイントにおけるモーメントをゼロに近づけて歩行を安定化することができると共に歩行パターンを無線を介して遠隔地でも受信することができ、また、腰部に種々の上体(体幹)を取り付け可能とすれば、種々の用途(たとえば救助用、介護用、危険作業用等)に適合する2足歩行ロボットを迅速に構築することができ、また、腰部にいす等の搭乗部を取り付
【0014】
けて人間の搭乗を可能とすれば、種々の用途(たとえば福祉用、移動用)に適合する2足歩行ロボットを容易且つ迅速に構築することができ、さらに、腰座標系からみた足部の位置と姿勢のデータに対して逆運動学演算を行って脚部を伸縮するシリンダの長さを制御することができるので、パラレルリンク機構においてはリアルタイム演算が困難な順運動学演算を行う必要がなく、パラレルリンク機構においてはリアルタイム演算が容易な逆運動学演算によりロボットの歩行を制御することができ、種々の補正データ(たとえばコンプライアンス移動量や腰部の位置・姿勢の操作量)を足部の位置や姿勢の次元で足し合わせてから逆運動学演算を行うという容易な実装ができ、2足歩行ロボットの歩行を更に安定化することができるという有利な効果が得られる。らに、立脚前期か後期か及び遊脚前期か後期かを示すフラグである歩容フラグを用いて脚部の状態に応じた制御を行うことができるので、倣い動作や復帰動作、軌道修正量維持など各脚の状態によって複雑な制御チャートを実行させることができ、これにより遊脚が大きな床反力を発生しZMPや姿勢角の偏差や加速度が発生する以前に路面形状への倣い動作を完了することができ、路面状態たとえば傾斜面や凹凸に応じた制御を的確に行うことができ、人間を搭載する場合のように正確なモデル化が困難な場合にも不整地における歩行を実現することができ、さらに、本制御はジャイロ等を含む特別なセンサや機構を必要とすることなくZMP計測用の力センサ(6軸力覚センサ)のみを用いて行うことができるという有利な効果が得られる。
[0031]
また、歩行状態において2足歩行ロボット装置は歩行パターン作成用コンピュータから物理的な拘束を受けることなく高安定な歩行を行うことができ、また、周囲または自己の状態(たとえば搭載重量の軽重状態)に応じた適切な歩行パターンで歩行することができるという有利な効果が得られる。
[0032]
また、基本制御に基づく基本動作を行うことができると共に、状況に応じて着地制御を行うことができ、基本制御においては、パラレルメカニズムの脚機構にとっては計算量が膨大なために実施が困難な順運動学を行う必要がなくなり、計算が容易な逆運動学によりリアルタイムにリンク長さを制御することができるので、足部の位置・姿勢に関して種々の制御を行うことができるようになり、また着地制御においては、遊脚が大きな床反力を発生しZMPや姿勢角の偏差や加速度が発生する以前に、路面形状への倣い動作を完了し、不整路面に対して転倒することなく安定した歩行を行うことができ、人間搭乗型2
【0015】
足歩行ロボットのように正確なモデル化が困難なロボットの不整地における歩行を実現することができるという有利な効果が得られる。
[0033]
[0034]
また、着地衝撃の緩和と振動の抑制に対しては非線形コンプライアンス移動量を用いて対応することができ、路面の凹凸や傾斜路面に対しては上下方向の軌道修正量およびロールおよびピッチの軌道修正量を用いて対応することができるので、ジャイロを含む特別なセンサや機構を必要とせず、ZMP計測用の力センサのみを用いて、遊脚が大きな床反力を発生しZMPや姿勢角の偏差や加速度が発生する以前に
【0016】
、路面形状へのならい動作を完了できるため、不整路面に対して転倒することなく安定した歩行を行うことができ、人間搭乗型2足歩行ロボットのように正確なモデル化が困難なロボットの不整地における歩行を確実に実現することができるという有利な効果が得られる。
請求項8に記載の2足歩行ロボット装置の制御方法は、足部を備えた脚部と腰部とから成り、前記脚部は前記脚部を伸縮するシリンダを有し、前記腰部は全体を制御すると共に歩行パターン作成装置と無線通信を行う制御コンピュータを有する2足歩行ロボット装置の制御方法であって、前記歩行パターン作成装置は、前記足部において目標ゼロモーメントポイントを設定し、前記設定した目標ゼロモーメントポイントに応じて前記腰部のモーメント補償軌道を算出し、絶対座標系における腰座標系の原点と絶対座標系における足座標系の原点とから腰座標系から見た足部の位置を算出し、絶対座標系から見た足座標系の姿勢を表わす回転行列と絶対座標系から見た腰座標系の姿勢を表わす回転行列とから腰座標系から見た足座標系の姿勢を表わす回転行列を算出して前記足座標系の姿勢を表わす回転行列により足部の姿勢を算出し、歩行パターンにおける立脚前期か後期か及び遊脚前期か後期かを示すフラグである歩容フラグを決定し記憶し、前記制御コンピュータは、前記歩行パターン作成用コンピュータから歩行パターンを無線で受信してメモリに格納する歩行パターン設定ステップと、前記格納した歩行パターンから歩行に使用するパターンを選択して歩行開始を指令する歩行開始命令ステップと、前記歩行開始命令ステップにおける指令に基づいてモータを制御して前記シリンダの長さを制御するモータ制御ステップとを有し、前記歩行パターン作成装置から受信した歩行パターンに基づいて2足歩行の制御を行い、前記モータ制御ステップは、基本制御を行う基本制御ステップと、遊脚を路面に衝撃を緩和して着地させると共に路面の凹凸に足部を倣わせる着地制御ステップと、前記着地制御ステップにおいて修正した歩行パターンを推定した腰部の姿勢角補償量に基づいて補正する推定姿勢補償制御を行う推定姿勢補償制御ステップと、を備え、前記推定姿勢補償制御ステップは、ZMP実測値を足部における力成分とモーメント成分とから算出するZMP実測値算出ステップと、算出された前記ZMP実測値とZMP目標値との偏差であるZMP偏差値を算出するZMP偏差値算出ステップと、前記ZMP偏差値を積分した値に基づいて腰部の姿勢角補償量を算出する姿勢角補償量算出ステップと、前記修正した歩行パターンにおける足部の位置又は姿勢の目標値を前記姿勢角補償量に基づいて補正する足部姿勢操作量加算ステップとを有するので、腰部のモーメント補償軌道により足部の目標ゼロモーメントポイントにおけるモーメントをゼロに近づけて歩行を安定化することができると共に歩行パターンを無線を介して遠隔地でも受信することができ、また、腰部に種々の上体(体幹)を取り付け可能とすれば、種々の用途(たとえば救助用、介護用、危険作業用等)に適合する2足歩行ロボットを迅速に構築することができ、また、腰部にいす等の搭乗部を取り付けて人間の搭乗を可能とすれば、種々の用途(たとえば福祉用、移動用)に適合する2足歩行ロボットを容易且つ迅速に構築することができ、さらに、腰座標系からみた足部の位置と姿勢のデータに対して逆運動学演算を行って脚部を伸縮するシリンダの長さを制御することができるので、パラレルリンク機構においてはリアルタイム演算が困難な順運動学演算を行う必要がなく、パラレルリンク機構においてはリアルタイム演算が容易な逆運動学演算によりロボットの歩行を制御することができ、種々の補正データ(たとえばコンプライアンス移動量や腰部の位置・姿勢の操作量)を足部の位置や姿勢の次元で足し合わせてから逆運動学演算を行うという容易な実装ができ、2足歩行ロボットの歩行を更に安定化することができるという有利な効果が得られる。さらに、立脚前期か後期か及び遊脚前期か後期かを示すフラグである歩容フラグを用いて脚部の状態に応じた制御を行うことができるので、倣い動作や復帰動作、軌道修正量維持など各脚の状態によって複雑な制御チャートを実行させることができ、これにより遊脚が大きな床反力を発生しZMPや姿勢角の偏差や加速度が発生する以前に路面形状への倣い動作を完了することができ、路面状態たとえば傾斜面や凹凸に応じた制御を的確に行うことができ、人間を搭載する場合のように正確なモデル化が困難な場合にも不整地における歩行を実現することができ、さらに、本制御はジャイロ等を含む特別なセンサや機構を必要とすることなくZMP計測用の力センサ(6軸力覚センサ)のみを用いて行うことができるという有利な効果が得られる。
また、歩行状態において2足歩行ロボット装置は歩行パターン作成用コンピュータから物理的な拘束を受けることなく高安定な歩行を行うことができ、また、周囲または自己の状態(たとえば搭載重量の軽重状態)に応じた適切な歩行パターンで歩行することができるという有利な効果が得られる。
また、基本制御に基づく基本動作を行うことができると共に、状況に応じて着地制御を行うことができ、基本制御においては、パラレルメカニズムの脚機構にとっては計算量が膨大なために実施が困難な順運動学を行う必要がなくなり、計算が容易な逆運動学によりリアルタイムにリンク長さを制御することができるので、足部の位置・姿勢に関して種々の制御を行うことができるようになり、また着地制御においては、遊脚が大きな床反力を発生しZMPや姿勢角の偏差や加速度が発生する以前に、路面形状への倣い動作を完了し、不整路面に対して転倒することなく安定した歩行を行うことができ、人間搭乗型2足歩行ロボットのように正確なモデル化が困難なロボットの不整地における歩行を実現することができるという有利な効果が得られる。
また、腰部の姿勢角の累積誤差を推定し、推定した値に基づきそれを補償して腰部と遊脚側の足部を略水平に維持することができるので、正確な着地制御を行うことができ、安定した歩行を行うことができ、人間搭乗型2足歩行ロボットのように正確なモデル化が困難なロボットの不整地における歩行を更に一層確実に実現することができるという有利な効果が得られる。また、ZMP偏差値の積分値に基づいて姿勢角補償量を算出するため、急激な変化を伴う補償動作を防止でき安定性に優れるという有利な効果が得られる。また、姿勢角センサを搭載する必要がなく、ZMP測定用の力センサ(6軸力覚センサ)だけで姿勢補償制御ができ、部品点数や製造コストの増加を防止できるという有利な効果が得られる。
[0035]
請求項9に記載の2足歩行ロボット装置の制御方法は、z方向軌道修正量算出ステップは、理想的水平平坦路面に衝撃や振動なく理想的に着地したときに発生するはずの理論コンプライアンス移動量を制御対象分に基づいて算出する理論コンプライアンス移動量算出ステップと、理論コンプライアンス移動量と非線形コンプライアンス移動量との差分である着地路面高さ誤差を算出するコンプライアンス移動量偏差算出ステップと、モード選択ステップで選択した制御モードと着地路面高さ誤差とに基づいて上下方向の軌道修正量を算出する軌道修正量算出ステップとを有することにより、路面の凹凸に対して上下方向に正確に対応することができるので、ロール・ピッチについて対応すれば、不整路面に対して、遊脚が大きな床反力を発生しZMPや姿勢角の偏差や加速度が発生する以前に、路面形状へのならい動作を完了し、転倒することなく安定した歩行を行うことができ、人間搭乗型2足歩行ロボットのように正確なモデル化が困難なロボットの不整地における歩行を更に一層確実に実現することができるという有利な効果が得られる。
[0036]
請求項10に記載の2足歩行ロボット装置の制御方法は、ロール・ピッチ軌道修正量算出手段は、足部におけるロールおよびピッチ方向のトルクに基づいてコンプライアンス移動量を算出するコンプライアンス移動量算出手段と、コンプライアンス移動量に基づいてロールおよびピッチ方向の軌道修正量を算出する軌道修正量算出手段とを有することにより、路面の凹凸に対してロール・ピッチ軸まわりに正確に対応することができるので、上下方向について対応すれば、不整路面に対して、遊脚が大きな床反力を発生しZMPや姿勢角の偏差や加速度が発生する以前に、路面形状へのならい動作を完了し、転倒することなく安定した歩行を行うことができ、人間搭乗型2足歩行ロボットのように正確なモデル化が困難なロボットの不整地における歩行を更に一層確実に実現することができるという有利な効果が得られる。
[0037]
【0017】
[0038]
請求項11に記載の2足歩行ロボット装置の制御方法は、姿勢角補償量算出ステップは、所定の周期でZMP偏差値の積分値をゼロに設定するゼロ設定ステップと、ZMP偏差値の積分値がゼロに設定された時点からの積分値を算出する積分値算出ステップと、足部の位置又は姿勢の補正操作を行う操作期間を設定する操作期間設定ステップと、操作期間の開始時点におけるZMP偏差値の積分値に基づいて姿勢角補償量を算出する補償量算出ステップとを有することにより、所定の周期でZMP偏差値の積分値をゼロに設定(リセット)することで実際の姿勢角偏差との積分誤差の増加を防止でき、姿勢角補償量を推定することができるという有利な効果が得られる。また、所定の操作期間を設定するため姿勢角誤差が過度に累積するのを防止でき、安定した歩行を行うことができるという有利な効果が得られる。
請求項12に記載の2足歩行ロボット装置の制御方法は、基本制御ステップは、足部位置姿勢算出手段で算出した足部の位置・姿勢の目標値を歩行開始命令ステップにおける指令に基づいて出力する歩行パターン出力ステップと、歩行パターン出力ステップから出力される足部の位置・姿勢の目標値を逆運動学演算してシリンダの長さを算出する逆運動学演算ステップとを有することにより、パラレルメカニズムの脚機構にとっては計算量が膨大なために実施が困難な順運動学を行う必要がなくなり、計算が容易な逆運動学によりリアルタイムにリンク長さを制御することができるので、足部の位置・姿勢に関して種々の制御を行うことができるという有利な効果が得られる。
[0039]
【0018】
[0040]
[0041]
[0042]
図面の簡単な説明
[0043]
[図1](a)支持多角形を示す説明図、座標系とベクトルの定義を示す説明図
[図2](a)腰座標系および足座標系を示す模式図、(b)腰座標系および足座標系を示す模式図
[図3](a)理論コンプライアンス移動量の説明図、(b)理論コンプライアンス移動量の説明図、(c)非線形の説明図、(d)非線形コンプライアンス移動量の説明図、(e)非線形コンプライアンス移動量の説明図、(f)コンプライアンスを示す説明図
[図4]本発明の実施の形態1による歩行パターン作成装置と2足歩行ロボット装置の全体構成を示すブロック図
【0026】
824 非線形コンプライアンス移動量算出手段
825 ロール・ピッチ方向軌道修正量算出手段
826 歩行パターン修正手段
8121 z方向加算手段
8122 コンプライアンス加算手段
8123 ロール・ピッチ方向加算手段
8231 理論コンプライアンス移動量算出手段
8232 コンプライアンス移動量偏差算出手段
8233、8252 軌道修正量算出手段
8251 コンプライアンス移動量算出手段
830 推定姿勢補償制御手段
831 ZMP実測値算出手段
832 ZMP偏差値算出手段
833 姿勢角補償量算出手段
834 足部位置姿勢補正手段
8331 ゼロ設定手段
8332 積分値算出手段
8333 操作期間設定手段
8334 補償量算出手段
8335 操作量算出手段
841a,841b 設定期間
842a〜842g 操作期間
発明を実施するための最良の形態
[0045]
【0029】
[0049]
[0050]
請求項1に記載の2足歩行ロボット装置は、足部を備えた脚部と腰部とから成り、脚部は脚部を伸縮するシリンダを有し、腰部は全体を制御すると共に歩行パターン作成装置と無線通信を行う制御コンピュータを有する2足歩行ロボット装置であって、歩行パターン作成装置は、足部において目標ゼロモーメントポイントを設定し、設定した目標ゼロモーメントポイントに応じて腰部のモーメント補償軌道を算出し、絶対座標系における腰座標系の原点と絶対座標系における足座標系の原点とから腰座標系から見た足部の位置を算出し、絶対座標系から見た足座標系の姿勢を表わす回転行列と絶対座標系から見た腰座標系の姿勢を表わす回転行列とから腰座標系から見た足座標系の姿勢を表わす回転行列を算出して足座標系の姿勢を表わす回転行列により足部の姿勢を算出し、歩行パターンにおける立脚前期か後期か及び遊脚前期か後期かを示すフラグである歩容フラグを決定し記憶し、制御コンピュータは、歩行パターン作成用コンピュータから歩行パターンを無線で受信してメモリに格納する歩行パターン設定手段と、格納した歩行パターンから歩行に使用するパターンを選択して歩行開始を指令する歩行開始命令手段と、歩行開始命令手段の指令に基づいてモータを制御してシリンダの長さを制御するモータ制御手段とを有し、歩行パターン作成装置から受信した歩行パターンに基づいて2足歩行の制御を行い、モータ制御手段は、基本制御を行う基本制御手段と、遊脚を路面に衝撃を緩和して着地させると共に路面の凹凸に足部を倣わせる着地制御手段とを有し、着地制御手段は、歩容フラグに基づいて制御、維持、復帰、コンプライアンス等の制御モードを選択するモード選択手段と、歩行パターンの成分において着地制御の対象となる成分である制御対象成分と制御対象成分以外の非制御対象成分とを分割する成分分割手段と、遊脚の着地衝撃を緩和する非線形コンプライアンス移動量を足部における床反力に基づいて算出する非線形コンプライアンス移動量算出手段と、非線形コンプライアンス移動量に基づいて上下方向の軌道修正量を算出するz方向着地軌道修正量算出手段と、足部におけるロールおよびピッチ方向のトルクに基づいてロールおよびピッチの軌道修正量を算出するロール・ピッチ方向軌道修正量算出手段と、歩行パターン出力手段から出力される歩行パターンと着地路面検知用移動許容量と非線形コンプライアンス移動量と上下方向の軌道修正量とロール・ピッチ方向軌道修正量とに基づいて歩行パターンを修正する歩行パターン修正手段とを有することとしたものである。
この構成により、以下の作用を有する。
(1)腰部のモーメント補償軌道により足部の目標ゼロモーメントポイントにおけるモーメントをゼロに近づけて歩行を安定化することができる。
【0030】
(2)歩行パターンを無線を介して遠隔地でも受信することができる。
(3)腰部に種々の上体(体幹)を取り付け可能とすれば、種々の用途(たとえば救助用、介護用、危険作業用等)に適合する2足歩行ロボットを迅速に構築することができ、また、腰部にいす等の搭乗部を取り付けて人間の搭乗を可能とすれば、種々の用途(たとえば福祉用、移動用)に適合する2足歩行ロボットを容易且つ迅速に構築することができる。
(4)腰座標系からみた足部の位置と姿勢のデータに対して逆運動学演算を行って脚部を伸縮するシリンダの長さを制御することができるので、パラレルリンク機構においてはリアルタイム演算が困難な順運動学演算を行う必要がなく、パラレルリンク機構においてはリアルタイム演算が容易な逆運動学演算によりロボットの歩行を制御することができる。
(5)種々の補正データ(たとえばコンプライアンス移動量や腰部の位置・姿勢の操作量)を足部の位置や姿勢の次元で足し合わせてから逆運動学演算を行うという容易な実装ができ、2足歩行ロボットの歩行を更に安定化することができる。
(6)2足歩行ロボット装置の腰部のモーメント補償軌道により目標ゼロモーメントポイントにおけるモーメントをゼロに近づけることができるので、2足歩行ロボットの転倒を防止して歩行を安定化することができる。
(7)腰座標系からみた足部の位置と姿勢のデータを生成することができるので、パラレルリンク機構においてはリアルタイム演算が困難な順運動学演算を行う必要がなく、パラレルリンク機構においてはリアルタイム演算が容易な逆運動学演算により脚部を伸縮するシリンダの長さを制御することができる。
(8)逆運動学演算において種々の補正データを用いて種々の制御を行うことができ、2足歩行ロボットの歩行を更に安定化することができる。
(9)立脚前期か後期か及び遊脚前期か後期かを示すフラグである歩容フラグを用いて脚部の状態に応じた制御を行うことができるので、倣い動作や復帰動作、軌道修正量維持など各脚の状態によって複雑な制御チャートを実行させることができ、これにより遊脚が大きな床反力を発生しZMPや姿勢角の偏差や加速度が発生する以前に路面形状への倣い動作を完了することができ、路面状態たとえば傾斜面や凹凸に応じた制御を的確に行うことができ、人間を搭載する場合のように正確なモデル化が困難な場合にも不整地における歩行を実現することができる。
(10)歩行状態において2足歩行ロボット装置は歩行パターン作成用コンピュータから物理的な拘束を受けることなく高安定な歩行を行うことができ、また、周囲または自己の状態(たとえば搭載重量の軽重状態)に応じた適切な歩行パターンで歩行することができる。
(11)基本制御に基づく基本動作を行うことができると共に、状況に応じて着地制御を行うことができる。
(12)基本制御においては、パラレルメカニズムの脚機構にとっては計算量が膨大なために実施が困難な順運動学を行う必要がなくなり、計算が容易な逆運動学によりリアルタイムにリンク長さ(つまりシリンダ長さ)を制御することができるので、足部の位置・姿勢に関して種々の制御を行うことができるようになる。
(13)着地制御においては、遊脚が大きな床反力を発生しZMPや姿勢角の偏差や加速度が発生する以前に、路面形状への倣い動作を完了し、不整路面に対して転倒することなく安定した歩行を行うことができ、人間搭乗型2足歩行ロボットのように正確なモデル化が困難なロボットの不整地における歩行を実現することができる。
(14)着地衝撃の緩和と振動の抑制に対しては非線形コンプライアンス移動量を用いて対応することができ、路面の凹凸や傾斜路面に対しては上下方向の軌道修正量およびロールおよびピッチの軌道修正量を用いて対応することができる。
(15)ジャイロを含め特別なセンサや機構を必要とせず、ZMPや計測用の力センサのみを用いて着地制御を行うことができ、部品点数や製造コストの増加を防止できる。
(16)遊脚が大きな床反力を発生しZMPや姿勢角の偏差や加速度が発生する以前に、路面形状への倣い動作を完了できるため、不整路面に対して転倒することなく安定した歩行を行うことができ、人間搭乗型2足歩行ロボットのように正確なモデル化が困難なロボットの不整地における歩行を確実に実現することができる。
請求項2に記載の2足歩行ロボット装置は、足部を備えた脚部と腰部とから成り、脚部は脚部を伸縮するシリンダを有し、腰部は全体を制御すると共に歩行パターン作成装置と無線通信を行う制御コンピュータを有する2足歩行ロボット装置であって、歩行パターン作成装置は、足部において目標ゼロモーメントポイントを設定し、設定した目標ゼロモーメントポイントに応じて腰部のモーメント補償軌道を算出し、絶対座標系における腰座標系の原点と絶対座標系における足座標系の原点とから腰座標系から見た足部の位置を算出し、絶対座標系から見た足座標系の姿勢を表わす回転行列と絶対座標系から見た腰座標系の姿勢を表わす回転行列とから腰座標系から見た足座標系の姿勢を表わす回転行列を算出して足座標系の姿勢を表わす回転行列により足部の姿勢を算出し、歩行パターンにおける立脚前期か後期か及び遊脚前期か後期かを示すフラグである歩容フラグを決定し記憶し、制御コンピュータは、歩行パターン作成用コンピュータから歩行パターンを無線で受信してメモリに格納する歩行パターン設定手段と、格納した歩行パターンから歩行に使用するパターンを選択して歩行開始を指令する歩行開始命令手段と、歩行開始命令手段の指令に基づいてモータを制御してシリンダの長さを制御するモータ制御手段とを有し、歩行パターン作成装置から受信した歩行パターンに基づいて2足歩行の制御を行い、モータ制御手段は、基本制御を行う基本制御手段と、遊脚を路面に衝撃を緩和して着地させると共に路面の凹凸に足部を倣わせる着地制御手段と、前記着地制御手段により修正した歩行パターンを推定した腰部の姿勢角補償量に基づいて補正する推定姿勢補償制御を行う推定姿勢補償制御手段と、を備え、前記推定姿勢補償制御手段は、ZMP実測値を足部における力成分とモーメント成分とから算出するZMP実測値算出手段と、算出された前記ZMP実測値とZMP目標値との偏差であるZMP偏差値を算出するZMP偏差値算出手段と、前記ZMP偏差値を積分した値に基づいて腰部の姿勢角補償量を算出する姿勢角補償量算出手段と、前記修正した歩行パターンにおける足部の位置又は姿勢の目標値を前記姿勢角補償量に基づいて補正する足部位置姿勢補正手段とを有することとしたものである。
この構成により、以下の作用を有する。
(1)腰部のモーメント補償軌道により足部の目標ゼロモーメントポイントにおけるモーメントをゼロに近づけて歩行を安定化することができる。
(2)歩行パターンを無線を介して遠隔地でも受信することができる。
(3)腰部に種々の上体(体幹)を取り付け可能とすれば、種々の用途(たとえば救助用、介護用、危険作業用等)に適合する2足歩行ロボットを迅速に構築することができ、また、腰部にいす等の搭乗部を取り付けて人間の搭乗を可能とすれば、種々の用途(たとえば福祉用、移動用)に適合する2足歩行ロボットを容易且つ迅速に構築することができる。
(4)腰座標系からみた足部の位置と姿勢のデータに対して逆運動学演算を行って脚部を伸縮するシリンダの長さを制御することができるので、パラレルリンク機構においてはリアルタイム演算が困難な順運動学演算を行う必要がなく、パラレルリンク機構においてはリアルタイム演算が容易な逆運動学演算によりロボットの歩行を制御することができる。
(5)種々の補正データ(たとえばコンプライアンス移動量や腰部の位置・姿勢の操作量)を足部の位置や姿勢の次元で足し合わせてから逆運動学演算を行うという容易な実装ができ、2足歩行ロボットの歩行を更に安定化することができる。
(6)2足歩行ロボット装置の腰部のモーメント補償軌道により目標ゼロモーメントポイントにおけるモーメントをゼロに近づけることができるので、2足歩行ロボットの転倒を防止して歩行を安定化することができる。
(7)腰座標系からみた足部の位置と姿勢のデータを生成することができるので、パラレルリンク機構においてはリアルタイム演算が困難な順運動学演算を行う必要がなく、パラレルリンク機構においてはリアルタイム演算が容易な逆運動学演算により脚部を伸縮するシリンダの長さを制御することができる。
(8)逆運動学演算において種々の補正データを用いて種々の制御を行うことができ、2足歩行ロボットの歩行を更に安定化することができる。
(9)立脚前期か後期か及び遊脚前期か後期かを示すフラグである歩容フラグを用いて脚部の状態に応じた制御を行うことができるので、倣い動作や復帰動作、軌道修正量維持など各脚の状態によって複雑な制御チャートを実行させることができ、これにより遊脚が大きな床反力を発生しZMPや姿勢角の偏差や加速度が発生する以前に路面形状への倣い動作を完了することができ、路面状態たとえば傾斜面や凹凸に応じた制御を的確に行うことができ、人間を搭載する場合のように正確なモデル化が困難な場合にも不整地における歩行を実現することができる。
(10)歩行状態において2足歩行ロボット装置は歩行パターン作成用コンピュータから物理的な拘束を受けることなく高安定な歩行を行うことができ、また、周囲または自己の状態(たとえば搭載重量の軽重状態)に応じた適切な歩行パターンで歩行することができる。
(11)基本制御に基づく基本動作を行うことができると共に、状況に応じて着地制御を行うことができる。
(12)基本制御においては、パラレルメカニズムの脚機構にとっては計算量が膨大なために実施が困難な順運動学を行う必要がなくなり、計算が容易な逆運動学によりリアルタイムにリンク長さ(つまりシリンダ長さ)を制御することができるので、足部の位置・姿勢に関して種々の制御を行うことができるようになる。
(13)着地制御においては、遊脚が大きな床反力を発生しZMPや姿勢角の偏差や加速度が発生する以前に、路面形状への倣い動作を完了し、不整路面に対して転倒することなく安定した歩行を行うことができ、人間搭乗型2足歩行ロボットのように正確なモデル化が困難なロボットの不整地における歩行を実現することができる。
(14)機械剛性やモータの応答偏差等に起因し着地制御における軌道修正により生じる腰部の姿勢角の累積誤差をZMP実測値より推定し、推定した値に基づきそれを補償して腰部と遊脚側の足部を略水平に維持することができるので、着地制御時の足部による不整地面のセンシング精度の低下等を補い、正確な着地制御を行うことができ、安定した歩行を行うことができる。
(15)ZMP偏差値の積分値に基づいて姿勢角補償量を算出するため、急激な変化を伴う補償動作を防止でき安定性に優れる。特に、着地制御により急激な姿勢角の変化を防止できるので、これと推定姿勢補償制御を併せることでより信頼性の高い歩行制御を行うことができる。
(16)腰部の姿勢角を測定するための姿勢角センサを搭載する必要がなく、部品点数や製造コストの増加を防止できる。
[0051]
[0052]
【0032】
[0055]
請求項3に記載の2足歩行ロボット装置は、請求項1に記載の2足歩行ロボット装置において、z方向軌道修正量算出手段は、理想的水平平坦路面に衝撃や振動なく理想的に着地したときに発生するはずの理論コンプライアンス移動量を制御対象成分に基づいて算出する理論コンプライアンス移動量算出手段と、理論コンプライアンス移動量と非線形コンプライアンス移動量との差分である着地路面高さ誤差を算出するコンプライアンス移動量偏差算出手段と、モード選択手段で選択した制御モードと着地路面高さ誤差とに基づいて上下方向の軌道修正量を算出する軌道修正量算出手段とを有することとしたものである。
この構成により、請求項1の作用に加え、以下の作用を有する。
(1)路面の凹凸に対して上下方向に正確に対応することができるので、ロール・ピッチについて対応すれば、不整路面に対して、遊脚が大きな床反力を発生しZMPや
【0033】
姿勢角の偏差や加速度が発生する以前に、路面形状への倣い動作を完了し、転倒することなく安定した歩行を行うことができ、人間搭乗型2足歩行ロボットのように正確なモデル化が困難なロボットの不整地における歩行を更に一層確実に実現することができる。
[0056]
請求項4に記載の2足歩行ロボット装置は、請求項1に記載の2足歩行ロボット装置において、ロール・ピッチ軌道修正量算出手段は、足部におけるロールおよびピッチ方向のトルクに基づいてコンプライアンス移動量を算出するコンプライアンス移動量算出手段と、コンプライアンス移動量に基づいてロールおよびピッチ方向の軌道修正量を算出する軌道修正量算出手段とを有することとしたものである。
この構成により、請求項1の作用に加え、以下の作用を有する。
(1)路面の凹凸に対してロール・ピッチ軸まわりに正確に対応することができるので、上下方向について対応すれば、不整路面に対して、遊脚が大きな床反力を発生しZMPや姿勢角の偏差や加速度が発生する以前に、路面形状への倣い動作を完了し、転倒することなく安定した歩行を行うことができ、人間搭乗型2足歩行ロボットのように正確なモデル化が困難なロボットの不整地における歩行を更に一層確実に実現することができるという作用・効果を有する。
[0057]
【0034】
[0058]
請求項に記載の2足歩行ロボット装置は、請求項に記載の2足歩行ロボット装置において、姿勢角補償量算出手段は、所定の周期でZMP偏差値の積分値をゼロに設定するゼロ設定手段と、ZMP偏差値の積分値がゼロに設定された時点からの積分値を算出する積分値算出手段と、足部の位置又は姿勢の補正操作を行う操作期間を設定する操作期間設定手段と、操作期間の開始時点におけるZMP偏差値の積分値に基づいて姿勢角補償量を算出する補償量算出手段とを有することとしたものである。
この構成により、請求項2の作用に加え、以下の作用を有する。
(1)所定の周期でZMP偏差値の積分値をゼロに設定(リセット)することにより、実際の姿勢角偏差との積分誤差の増加を防止できる。
(2)所定の操作期間を設定するため姿勢角誤差が過度に累積するのを防止できる。
請求項6に記載の2足歩行ロボット装置は、請求項1又は2に記載の2足歩行ロボット装置において、基本制御手段は、足部位置姿勢算出手段で算出した足部の位置・姿勢の目標値を歩行開始命令手段の指令に基づいて出力する歩行パターン出力手段と、歩行パターン出力手段から出力される足部の位置・姿勢の目標値を逆運動学演算してシリンダの長さを算出する逆運動学演算手段とを有することとしたものである。
この構成により、請求項1又は2の作用に加え、以下の作用を有する。
(1)パラレルメカニズムの脚機構にとっては計算量が膨大なために実施が困難な順運動学を行う必要がなくなり、計算が容易な逆運動学によりリアルタイムにリンク長さを制御することができるので、足部の位置・姿勢に関して種々の制御を行うことができる。
[0059]
【0037】
[0063]
[0064]
請求項7に記載の2足歩行ロボット装置の制御方法は、足部を備えた脚部と腰部とから成り、前記脚部は前記脚部を伸縮するシリンダを有し、前記腰部は全体を制御すると共に歩行パターン作成装置と無線通信を行う制御コンピュータを有する2足歩行ロボット装置の制御方法であって、前記歩行パターン作成装置は、前記足部において目標ゼロモーメントポイントを設定し、前記設定した目標ゼロモーメントポイントに応じて前記腰部のモーメント補償軌道を算出し、絶対座標系における腰座標系の原点と絶対座標系における足座標系の原点とから腰座標系から見た足部の位置を算出し、絶対座標系から見た足座標系の姿勢を表わす回転行列と絶対座標系から見た腰座標系の姿勢を表わす回転行列とから腰座標系から見た足座標系の姿勢を表わす回転行列を算出して前記足座標系の姿勢を表わす回転行列により足部の姿勢を算出し、歩行パターンにおける立脚前期か後期か及び遊脚前期か後期かを示すフラグである歩容フラグを決定し記憶し、前記制御コンピュータは、前記歩行パターン作成用コンピュータから歩行パターンを無線で受信してメモリに格納する歩行パターン設定ステップと、前記格納した歩行パターンから歩行に使用するパターンを選択して歩行開始を指令する歩行開始命令ステップと、前記歩行開始命令ステップにおける指令に基づいてモータを制御して前記シリンダの長さを制御するモータ制御ステップとを有し、前記歩行パターン作成装置から受信した歩行パターンに基づいて2足歩行の制御を行い、前記モータ制御ステップは、基本制御を行う基本制御ステップと、遊脚を路面に衝撃を緩和して着地させると共に路面の凹凸に足部を倣わせる着地制御ステップとを有し、前記着地制御ステップは、前記歩容フラグに基づいて制御、維持、復帰、コンプライアンス等の制御モードを選択するモード選択ステップと、歩行パターンの成分において着地制御の対象となる成分である制御対象成分と前記制御対象成分以外の非制御対象成分とを分割する成分分割ステップと、遊脚の着地衝撃を緩和する非線形コンプライアンス移動量を足部における床反力に基づいて算出する非線形コンプライアンス移動量算出ステップと、前記非線形コンプライアンス移動量に基づいて上下方向の軌道修正量を算出するz方向着地軌道修正量算出ステップと、足部におけるロールおよびピッチ方向のトルクに基づいてロールおよびピッチの軌道修正量を算出するロール・ピッチ方向軌道修正量算出ステップと、前記歩行パターン出力ステップから出力される歩行パターンと着地路面検知用移動許容量と前記非線形コンプライアンス移動量と前記上下方向の軌道修正量と前記ロール・ピッチ方向軌道修正量とに基づいて前記歩行パターンを修正する歩行パターン修正ステップとを有することとしたものである。
この構成により、以下の作用を有する。
(1)腰部のモーメント補償軌道により足部の目標ゼロモーメントポイントにおけるモー
【0038】
メントをゼロに近づけて歩行を安定化することができる.
(2)歩行パターンを無線を介して遠隔地でも受信することができる。
(3)腰部に種々の上体(体幹)を取り付け可能とすれば、種々の用途(たとえば救助用、介護用、危険作業用等)に適合する2足歩行ロボットを迅速に構築することができ、また、腰部にいす等の搭乗部を取り付けて人間の搭乗を可能とすれば、種々の用途(たとえば福祉用、移動用)に適合する2足歩行ロボットを容易且つ迅速に構築することができる。
(4)腰座標系からみた足部の位置と姿勢のデータに対して逆運動学演算を行って脚部を伸縮するシリンダの長さを制御することができるので、パラレルリンク機構においてはリアルタイム演算が困難な順運動学演算を行う必要がなく、パラレルリンク機構においてはリアルタイム演算が容易な逆運動学演算によりロボットの歩行を制御することができる。
(5)種々の補正データ(たとえばコンプライアンス移動量や腰部の位置・姿勢の操作量)を足部の位置や姿勢の次元で足し合わせてから逆運動学演算を行うという容易な実装ができ、2足歩行ロボットの歩行を更に安定化することができる。
(6)歩行状態において2足歩行ロボット装置は歩行パターン作成用コンピュータから物理的な拘束を受けることなく高安定な歩行を行うことができ、また、周囲または自己の状態(たとえば搭載重量の軽重状態)に応じた適切な歩行パターンで歩行することができる。
(7)基本制御に基づく基本動作を行うことができると共に、状況に応じて着地制御を行うことができる。
(8)基本制御においては、パラレルメカニズムの脚機構にとっては計算量が膨大なために実施が困難な順運動学を行う必要がなくなり、計算が容易な逆運動学によりリアルタイムにリンク長さを制御することができるので、足部の位置・姿勢に関して種々の制御を行うことができるようになる。
(9)着地制御においては、遊脚が大きな床反力を発生しZMPや姿勢角の偏差や加速度が発生する以前に、路面形状への倣い動作を完了し、不整路面に対して転倒することなく安定した歩行を行うことができ、人間搭乗型2足歩行ロボットのように正確なモデル化が困難なロボットの不整地における歩行を実現することができる。
(10)着地衝撃の緩和と振動の抑制に対しては非線形コンプライアンス移動量を用いて対応することができ、路面の凹凸や傾斜路面に対しては上下方向の軌道修正量およびロールおよびピッチの軌道修正量を用いて対応することができる。
(11)ジャイロを含め特別なセンサや機構を必要とせず、ZMP計測用の力センサのみを用いて着地制御を行うことができ、部品点数や製造コストの増加を防止できる。
(12)遊脚が大きな床反力を発生しZMPや姿勢角の偏差や加速度が発生する以前に、路面形状への倣い動作を完了できるため、不整路面に対して転倒することなく安定した歩行を行うことができ、人間搭乗型2足歩行ロボットのように正確なモデル化が困難なロボットの不整地における歩行を確実に実現することができる。
請求項8に記載の2足歩行ロボット装置の制御方法は、足部を備えた脚部と腰部とから成り、前記脚部は前記脚部を伸縮するシリンダを有し、前記腰部は全体を制御すると共に歩行パターン作成装置と無線通信を行う制御コンピュータを有する2足歩行ロボット装置の制御方法であって、前記歩行パターン作成装置は、前記足部において目標ゼロモーメントポイントを設定し、前記設定した目標ゼロモーメントポイントに応じて前記腰部のモーメント補償軌道を算出し、絶対座標系における腰座標系の原点と絶対座標系における足座標系の原点とから腰座標系から見た足部の位置を算出し、絶対座標系から見た足座標系の姿勢を表わす回転行列と絶対座標系から見た腰座標系の姿勢を表わす回転行列とから腰座標系から見た足座標系の姿勢を表わす回転行列を算出して前記足座標系の姿勢を表わす回転行列により足部の姿勢を算出し、歩行パターンにおける立脚前期か後期か及び遊脚前期か後期かを示すフラグである歩容フラグを決定し記憶し、前記制御コンピュータは、前記歩行パターン作成用コンピュータから歩行パターンを無線で受信してメモリに格納する歩行パターン設定ステップと、前記格納した歩行パターンから歩行に使用するパターンを選択して歩行開始を指令する歩行開始命令ステップと、前記歩行開始命令ステップにおける指令に基づいてモータを制御して前記シリンダの長さを制御するモータ制御ステップとを有し、前記歩行パターン作成装置から受信した歩行パターンに基づいて2足歩行の制御を行い、前記モータ制御ステップは、基本制御を行う基本制御ステップと、遊脚を路面に衝撃を緩和して着地させると共に路面の凹凸に足部を倣わせる着地制御ステップと、前記着地制御ステップにおいて修正した歩行パターンを推定した腰部の姿勢角補償量に基づいて補正する推定姿勢補償制御を行う推定姿勢補償制御ステップと、を備え、前記推定姿勢補償制御ステップは、ZMP実測値を足部における力成分とモーメント成分とから算出するZMP実測値算出ステップと、算出された前記ZMP実測値とZMP目標値との偏差であるZMP偏差値を算出するZMP偏差値算出ステップと、前記ZMP偏差値を積分した値に基づいて腰部の姿勢角補償量を算出する姿勢角補償量算出ステップと、前記修正した歩行パターンにおける足部の位置又は姿勢の目標値を前記姿勢角補償量に基づいて補正する足部姿勢操作量加算ステップとを有することとしたものである。
この構成により、以下の作用を有する。
(1)腰部のモーメント補償軌道により足部の目標ゼロモーメントポイントにおけるモーメントをゼロに近づけて歩行を安定化することができる.
(2)歩行パターンを無線を介して遠隔地でも受信することができる。
(3)腰部に種々の上体(体幹)を取り付け可能とすれば、種々の用途(たとえば救助用、介護用、危険作業用等)に適合する2足歩行ロボットを迅速に構築することができ、また、腰部にいす等の搭乗部を取り付けて人間の搭乗を可能とすれば、種々の用途(たとえば福祉用、移動用)に適合する2足歩行ロボットを容易且つ迅速に構築することができる。
(4)腰座標系からみた足部の位置と姿勢のデータに対して逆運動学演算を行って脚部を伸縮するシリンダの長さを制御することができるので、パラレルリンク機構においてはリアルタイム演算が困難な順運動学演算を行う必要がなく、パラレルリンク機構においてはリアルタイム演算が容易な逆運動学演算によりロボットの歩行を制御することができる。
(5)種々の補正データ(たとえばコンプライアンス移動量や腰部の位置・姿勢の操作量)を足部の位置や姿勢の次元で足し合わせてから逆運動学演算を行うという容易な実装ができ、2足歩行ロボットの歩行を更に安定化することができる。
(6)歩行状態において2足歩行ロボット装置は歩行パターン作成用コンピュータから物理的な拘束を受けることなく高安定な歩行を行うことができ、また、周囲または自己の状態(たとえば搭載重量の軽重状態)に応じた適切な歩行パターンで歩行することができる。
(7)基本制御に基づく基本動作を行うことができると共に、状況に応じて着地制御を行うことができる。
(8)基本制御においては、パラレルメカニズムの脚機構にとっては計算量が膨大なために実施が困難な順運動学を行う必要がなくなり、計算が容易な逆運動学によりリアルタイムにリンク長さを制御することができるので、足部の位置・姿勢に関して種々の制御を行うことができるようになる。
(9)着地制御においては、遊脚が大きな床反力を発生しZMPや姿勢角の偏差や加速度が発生する以前に、路面形状への倣い動作を完了し、不整路面に対して転倒することなく安定した歩行を行うことができ、人間搭乗型2足歩行ロボットのように正確なモデル化が困難なロボットの不整地における歩行を実現することができる。
(10)機械剛性やモータの応答偏差等に起因し着地制御における軌道修正により生じる腰部の姿勢角の累積誤差をZMP実測値より推定し、推定した値に基づきそれを補償して腰部と遊脚側の足部を略水平に維持することができるので、着地制御時の足部による不整地面のセンシング精度の低下等を補い、正確な着地制御を行うことができ、安定した歩行を行うことができる。
(11)ZMP偏差値の積分値に基づいて姿勢角補償量を算出するため、急激な変化を伴う補償動作を防止でき安定性に優れる。特に、着地制御により急激な姿勢角の変化を防止できるので、これと推定姿勢補償制御を併せることでより信頼性の高い歩行制御を行うことができる。
(12)腰部の姿勢角を測定するための姿勢角センサを搭載する必要がなく、部品点数や製造コストの増加を防止できる。
[0065]
[0066]
【0040】
[0069]
請求項9に記載の2足歩行ロボット装置の制御方法は、請求項に記載の2足歩行ロボット装置の制御方法において、z方向軌道修正量算出ステップは、理想的水平平坦路面に衝撃や振動なく理想的に着地したときに発生するはずの理論コンプライアンス移動量を制御対象成分に基づいて算出する理論コンプライアンス移動量算出ステップと、理論コンプライアンス移動量と非線形コンプライアンス移動量との差分である着地路面高さ誤差を算出するコンプライアンス移動量偏差算出ステップと、モード選択ステップで選択した制御モードと着地路面高さ誤差とに基づいて上下方向
【0041】
の軌道修正量を算出する軌道修正量算出ステップとを有することとしたものである。
この構成により、請求項7の作用に加え、以下の作用を有する。
(1)路面の凹凸に対して上下方向に正確に対応することができるので、ロール・ピッチについて対応すれば、不整路面に対して、遊脚が大きな床反力を発生しZMPや姿勢角の偏差や加速度が発生する以前に、路面形状への倣い動作を完了し、転倒することなく安定した歩行を行うことができ、人間搭乗型2足歩行ロボットのように正確なモデル化が困難なロボットの不整地における歩行を更に一層確実に実現することができる。
[0070]
請求項10に記載の2足歩行ロボット装置の制御方法は、請求項7に記載の2足歩行ロボット装置の制御方法において、ロール・ピッチ軌道修正量算出手段は、足部におけるロールおよびピッチ方向のトルクに基づいてコンプライアンス移動量を算出するコンプライアンス移動量算出手段と、コンプライアンス移動量に基づいてロールおよびピッチ方向の軌道修正量を算出する軌道修正量算出手段とを有することとしたものである。
この構成により、請求項7の作用に加え、以下の作用を有する。
(1)路面の凹凸に対してロール・ピッチ軸まわりに正確に対応することができるので、上下方向について対応すれば、不整路面に対して、遊脚が大きな床反力を発生しZMPや姿勢角の偏差や加速度が発生する以前に、路面形状への倣い動作を完了し、転倒することなく安定した歩行を行うことができ、人間搭乗型2足歩行ロボットのように正確なモデル化が困難なロボットの不整地における歩行を更に一層確実に実現することができる。
[0071]
【0042】
[0072]
請求項11に記載の2足歩行ロボット装置の制御方法は、請求項8に記載の2足歩行ロボット装置の制御方法において、姿勢角補償量算出ステップは、所定の周期でZMP偏差値の積分値をゼロに設定するゼロ設定ステップと、ZMP偏差値の積分値がゼロに設定された時点からの積分値を算出する積分値算出ステップと、足部の位置又は姿勢の補正操作を行う操作期間を設定する操作期間設定ステップと、操作期間の開始時点におけるZMP偏差値の積分値に基づいて姿勢角補償量を算出する補償量算出ステップとを有することとしたものである。
この構成により、請求項8の作用に加え、以下の作用を有する。
(1)所定の周期でZMP偏差値の積分値をゼロに設定(リセット)することにより、実際の姿勢角偏差との積分誤差の増加を防止できる。
(2)所定の操作期間を設定するため姿勢角誤差が過度に累積するのを防止できる。
請求項12に記載の2足歩行ロボット装置の制御方法は、請求項7又は8に記載の2足歩行ロボット装置の制御方法において、基本制御ステップは、足部位置姿勢算出手段で算出した足部の位置・姿勢の目標値を歩行開始命令ステップにおける指令に基づいて出力する歩行パターン出力ステップと、歩行パターン出力ステップから出力される足部の位置・姿勢の目標値を逆運動学演算してシリンダの長さを算出する逆運動学演算ステップとを有することとしたものである。
この構成により、請求項7又は8の作用に加え、以下の作用を有する。
(1)パラレルメカニズムの脚機構にとっては計算量が膨大なために実施が困難な順運動学を行う必要がなくなり、計算が容易な逆運動学によりリアルタイムにリンク長さを制御することができるので、足部の位置・姿勢に関して種々の制御を行うことができる。
[0073]
【0043】
[0074]
[0075]
[0076]
[0077]
以下、本発明の実施の形態について、図1〜図56を用いて説明する。
(実施の形態1)
本発明の実施の形態1による歩行パターン作成装置と2足歩行ロボット装置の説明においては、まず、(1)2足歩行ロボット装置の機構について説明し、次に(2)2足歩行の制御理論、(3)2足歩行ロボット装置の構成(ハードウェア構成およびソフトウェ

Claims (32)

  1. 足部を備えた脚部と腰部とから成る2足歩行ロボット装置の歩行パターンを作成する歩行パターン作成装置であって、前記足部において目標ゼロモーメントポイントを設定し、前記設定した目標ゼロモーメントポイントに応じて前記腰部のモーメント補償軌道を算出し、絶対座標系における腰座標系の原点と絶対座標系における足座標系の原点とから腰座標系から見た足部の位置を算出し、絶対座標系から見た足座標系の姿勢を表わす回転行列と絶対座標系から見た腰座標系の姿勢を表わす回転行列とから腰座標系から見た足座標系の姿勢を表わす回転行列を算出して前記足座標系の姿勢を表わす回転行列により足部の姿勢を算出し、歩行パターンにおける立脚前期か後期か及び遊脚前期か後期かを示すフラグである歩容フラグを決定し記憶することを特徴とする歩行パターン作成装置。
  2. 前記足部の軌道と前記腰部の初期軌道を設定する軌道設定手段と、前記設定した足部の軌道と前記腰部の初期軌道とに基づいて前記目標ゼロモーメントポイントの軌道を設定する目標ZMP軌道設定手段と、前記脚部の運動および前記腰部の運動による前記目標ゼロモーメントポイント回りのモーメントを算出する目標ZMP回りモーメント算出手段と、前記算出した目標ゼロモーメントポイント回りのモーメントに基づいて前記腰部のモーメント補償軌道を算出するモーメント補償軌道算出手段と、前記設定した足部の軌道と前記腰部のモーメント補償軌道とにより算出された各質点の加速度に基づいて前記目標ゼロモーメントポイントにおけるエラーモーメントを算出するエラーモーメント算出手段と、前記算出したエラーモーメントが所定モーメントよりも小さくなったとき絶対座標系における腰座標系の原点と絶対座標系における足座標系の原点とから腰座標系から見た足部の位置を算出すると共に、絶対座標系から見た足座標系の姿勢を表わす回転行列と絶対座標系から見た腰座標系の姿勢を表わす回転行列とから腰座標系から見た足座標系の姿勢を表わす回転行列を算出して前記足座標系の姿勢を表わす回転行列により足部の姿勢を算出する足部位置姿勢算出手段と、前記歩容フラグを決定し記憶する歩容フラグ決定手段とを有することを特徴とする請求項1に記載の歩行パターン作成装置。
  3. 前記ZMP回りモーメント算出手段において算出した目標ゼロモーメントポイント回りのモーメントと前記算出したエラーモーメントとの総和に基づいてフーリエ係数を算出するフーリエ変換手段と、前記算出したフーリエ係数に基づいて前記モーメント補償軌道の近似解を求めるためのフーリエ係数を決定するフーリエ係数決定手段とを備え、前記モーメント補償軌道算出手段は、前記決定したフーリエ係数に基づく逆フーリエ変換により前記腰部のモーメント補償軌道を算出することを特徴とする請求項2に記載の歩行パターン作成装置。
  4. 前記目標ZMP回りモーメント算出手段は、前記脚部の運動により生じる目標ZMP回りモーメントを算出する下肢運動による目標ZMP回りモーメント算出手段と、前記腰部の運動により生じる目標ZMP回りモーメントを算出する腰運動による目標ZMP回り既知モーメント算出手段とを有することを特徴とする請求項2または3に記載の歩行パターン作成装置。
  5. 前記足部位置姿勢算出手段は、絶対座標系における腰座標系の原点と絶対座標系における足座標系の原点とから腰座標系から見た足部の位置を算出する原点位置算出手段と、絶対座標系から見た足座標系の姿勢を表わす回転行列と絶対座標系から見た腰座標系の姿勢を表わす回転行列とから腰座標系から見た足座標系の姿勢を表わす回転行列を算出する回転行列算出手段と、前記回転行列算出手段で算出した回転行列により足部の姿勢を算出する姿勢算出手段とを有することを特徴とする請求項2乃至4のいずれか1に記載の歩行パターン作成装置。
  6. 足部を備えた脚部と腰部とから成り、前記脚部は前記脚部を伸縮するシリンダを有し、前記腰部は全体を制御すると共に請求項1乃至5のいずれか1に記載の歩行パターン作成装置と無線通信を行う制御コンピュータを有する2足歩行ロボット装置であって、
    前記制御コンピュータは、前記歩行パターン作成装置から受信した歩行パターンに基づいて2足歩行の制御を行うことを特徴とする2足歩行ロボット装置。
  7. 前記制御コンピュータは、前記歩行パターン作成用コンピュータから歩行パターンを無線で受信してメモリに格納する歩行パターン設定手段と、前記格納した歩行パターンから歩行に使用するパターンを選択して歩行開始を指令する歩行開始命令手段と、前記歩行開始命令手段の指令に基づいてモータを制御して前記シリンダの長さを制御するモータ制御手段とを有することを特徴とする請求項6に記載の2足歩行ロボット装置。
  8. 前記モータ制御手段は、基本制御を行う基本制御手段と、遊脚を路面に衝撃を緩和して着地させると共に路面の凹凸に足部を倣わせる着地制御手段とを有することを特徴とする請求項7に記載の2足歩行ロボット装置。
  9. 前記基本制御手段は、前記足部位置姿勢算出手段で算出した足部の位置・姿勢の目標値を前記歩行開始命令手段の指令に基づいて出力する歩行パターン出力手段と、前記歩行パターン出力手段から出力される前記足部の位置・姿勢の目標値を逆運動学演算して前記シリンダの長さを算出する逆運動学演算手段とを有することを特徴とする請求項8に記載の2足歩行ロボット装置。
  10. 前記着地制御手段は、前記歩容フラグに基づいて制御、維持、復帰、コンプライアンス等の制御モードを選択するモード選択手段と、歩行パターンの成分において着地制御の対象となる成分である制御対象成分と前記制御対象成分以外の非制御対象成分とを分割する成分分割手段と、遊脚の着地衝撃を緩和する非線形コンプライアンス移動量を足部における床反力に基づいて算出する非線形コンプライアンス移動量算出手段と、前記非線形コンプライアンス移動量に基づいて上下方向の軌道修正量を算出するz方向着地軌道修正量算出手段と、足部におけるロールおよびピッチ方向のトルクに基づいてロールおよびピッチの軌道修正量を算出するロール・ピッチ方向軌道修正量算出手段と、前記歩行パターン出力手段から出力される歩行パターンと着地路面検知用移動許容量と前記非線形コンプライアンス移動量と前記上下方向の軌道修正量と前記ロール・ピッチ方向軌道修正量とに基づいて歩行パターンを修正する歩行パターン修正手段とを有することを特徴とする請求項8または9に記載の2足歩行ロボット装置。
  11. 前記z方向着地軌道修正量算出手段は、理想的水平平坦路面に衝撃や振動なく理想的に着地したときに発生するはずの理論コンプライアンス移動量を前記制御対象成分に基づいて算出する理論コンプライアンス移動量算出手段と、前記理論コンプライアンス移動量と前記非線形コンプライアンス移動量との差分である着地路面高さ誤差を算出するコンプライアンス移動量偏差算出手段と、前記モード選択手段で選択した制御モードと前記着地路面高さ誤差とに基づいて上下方向の軌道修正量を算出する軌道修正量算出手段とを有することを特徴とする請求項10に記載の2足歩行ロボット装置。
  12. 前記ロール・ピッチ方向軌道修正量算出手段は、足部におけるロールおよびピッチ方向のトルクに基づいてコンプライアンス移動量を算出するコンプライアンス移動量算出手段と、前記コンプライアンス移動量に基づいてロールおよびピッチ方向の軌道修正量を算出する軌道修正量算出手段とを有することを特徴とする請求項10に記載の2足歩行ロボット装置。
  13. 前記モータ制御手段は、前記着地制御手段により修正した歩行パターンを推定した腰部の姿勢角補償量に基づいて補正する推定姿勢補償制御を行う推定姿勢補償制御手段を備え、
    前記推定姿勢補償制御手段は、ZMP実測値を足部における力成分とモーメント成分とから算出するZMP実測値算出手段と、算出された前記ZMP実測値とZMP目標値との偏差であるZMP偏差値を算出するZMP偏差値算出手段と、前記ZMP偏差値を積分した値に基づいて腰部の姿勢角補償量を算出する姿勢角補償量算出手段と、前記修正した歩行パターンにおける足部の位置又は姿勢の目標値を前記姿勢角補償量に基づいて補正する足部位置姿勢補正手段とを有することを特徴とする請求項8乃至12のいずれか1に記載の2足歩行ロボット装置。
  14. 前記姿勢角補償量算出手段は、所定の周期で前記ZMP偏差値の積分値をゼロに設定するゼロ設定手段と、前記ZMP偏差値の積分値がゼロに設定された時点からの積分値を算出する積分値算出手段と、前記足部の位置又は姿勢の補正操作を行う操作期間を設定する操作期間設定手段と、前記操作期間の開始時点における前記ZMP偏差値の積分値に基づいて姿勢角補償量を算出する補償量算出手段とを有することを特徴とする請求項13に記載の2足歩行ロボット装置。
  15. 足部を備えた脚部と腰部とから成る2足歩行ロボット装置の歩行パターンを作成する歩行パターン作成方法であって、前記足部において目標ゼロモーメントポイントを設定し、前記設定した目標ゼロモーメントポイントに応じて前記腰部のモーメント補償軌道を算出し、絶対座標系における腰座標系の原点と絶対座標系における足座標系の原点とから腰座標系から見た足部の位置を算出し、絶対座標系から見た足座標系の姿勢を表わす回転行列と絶対座標系から見た腰座標系の姿勢を表わす回転行列とから腰座標系から見た足座標系の姿勢を表わす回転行列を算出して前記足座標系の姿勢を表わす回転行列により足部の姿勢を算出し、歩行パターンにおける立脚前期か後期か及び遊脚前期か後期かを示すフラグである歩容フラグを決定し記憶することを特徴とする歩行パターン作成方法。
  16. 前記足部の軌道と前記腰部の初期軌道を設定する軌道設定ステップと、前記設定した足部の軌道と前記腰部の初期軌道とに基づいて前記目標ゼロモーメントポイントの軌道を設定する目標ZMP軌道設定ステップと、前記脚部の運動および前記腰部の運動による前記目標ゼロモーメントポイント回りのモーメントを算出する目標ZMP回りモーメント算出ステップと、前記算出した目標ゼロモーメントポイント回りのモーメントに基づいて前記腰部のモーメント補償軌道を算出するモーメント補償軌道算出ステップと、前記設定した足部の軌道と前記腰部のモーメント補償軌道とにより算出された各質点の加速度に基づいて前記目標ゼロモーメントポイントにおけるエラーモーメントを算出するエラーモーメント算出ステップと、前記算出したエラーモーメントが所定モーメントよりも小さくなったとき絶対座標系における腰座標系の原点と絶対座標系における足座標系の原点とから腰座標系から見た足部の位置を算出すると共に、絶対座標系から見た足座標系の姿勢を表わす回転行列と絶対座標系から見た腰座標系の姿勢を表わす回転行列とから腰座標系から見た足座標系の姿勢を表わす回転行列を算出して前記足座標系の姿勢を表わす回転行列により足部の姿勢を算出する足部位置姿勢算出ステップし、前記歩容フラグを決定し記憶する歩容フラグ決定ステップとを有することを特徴とする請求項15に記載の歩行パターン作成方法。
  17. 前記ZMP回りモーメント算出ステップにおいて算出した目標ゼロモーメントポイント回りのモーメントと前記算出したエラーモーメントとの総和に基づいてフーリエ係数を算出するフーリエ変換ステップと、前記算出したフーリエ係数に基づいて前記モーメント補償軌道の近似解を求めるためのフーリエ係数を決定するフーリエ係数決定ステップとを備え、前記モーメント補償軌道算出ステップにおいては、前記決定したフーリエ係数に基づく逆フーリエ変換により前記腰部のモーメント補償軌道を算出することを特徴とする請求項16に記載の歩行パターン作成方法。
  18. 前記目標ZMP回りモーメント算出ステップは、前記脚部の運動により生じる目標ZMP回りモーメントを算出する下肢運動による目標ZMP回りモーメント算出ステップと、前記腰部の運動により生じる目標ZMP回りモーメントを算出する腰運動による目標ZMP回り既知モーメント算出ステップとを有することを特徴とする請求項16または17に記載の歩行パターン作成方法。
  19. 前記足部位置姿勢算出ステップは、絶対座標系における腰座標系の原点と絶対座標系における足座標系の原点とから腰座標系から見た足部の位置を算出する原点位置算出ステップと、絶対座標系から見た足座標系の姿勢を表わす回転行列と絶対座標系から見た腰座標系の姿勢を表わす回転行列とから腰座標系から見た足座標系の姿勢を表わす回転行列を算出する回転行列算出ステップと、前記回転行列算出ステップで算出した回転行列により足部の姿勢を算出する姿勢算出ステップとを有することを特徴とする請求項16乃至18のいずれか1に記載の歩行パターン作成方法。
  20. 足部を備えた脚部と腰部とから成り、前記脚部は前記脚部を伸縮するシリンダを有し、前記腰部は全体を制御すると共に請求項1乃至5のいずれか1に記載の歩行パターン作成装置と無線通信を行う制御用コンピュータを有する2足歩行ロボット装置の制御方法であって、前記制御コンピュータは、前記歩行パターン作成装置から受信した歩行パターンに基づいて2足歩行の制御を行うことを特徴とする2足歩行ロボット装置の制御方法。
  21. 前記制御コンピュータは、前記歩行パターン作成用コンピュータから歩行パターンを無線で受信してメモリに格納する歩行パターン設定ステップと、前記格納した歩行パターンから歩行に使用するパターンを選択して歩行開始を指令する歩行開始命令ステップと、前記歩行開始命令ステップにおける指令に基づいてモータを制御して前記シリンダの長さを制御するモータ制御ステップとを有することを特徴とする請求項20に記載の2足歩行ロボット装置の制御方法。
  22. 前記モータ制御ステップは、基本制御を行う基本制御ステップと、遊脚を路面に衝撃を緩和して着地させると共に路面の凹凸に足部を倣わせる着地制御ステップとを有することを特徴とする請求項21に記載の2足歩行ロボット装置の制御方法。
  23. 前記基本制御ステップは、前記足部位置姿勢算出手段で算出した足部の位置・姿勢の目標値を前記歩行開始命令ステップにおける指令に基づいて出力する歩行パターン出力ステップと、前記歩行パターン出力ステップから出力される前記足部の位置・姿勢の目標値を逆運動学演算して前記シリンダの長さを算出する逆運動学演算ステップとを有することを特徴とする請求項22に記載の2足歩行ロボット装置の制御方法。
  24. 前記着地制御ステップは、前記歩容フラグに基づいて制御、維持、復帰、コンプライアンス等の制御モードを選択するモード選択ステップと、歩行パターンの成分において着地制御の対象となる成分である制御対象成分と前記制御対象成分以外の非制御対象成分とを分割する成分分割ステップと、遊脚の着地衝撃を緩和する非線形コンプライアンス移動量を足部における床反力に基づいて算出する非線形コンプライアンス移動量算出ステップと、前記非線形コンプライアンス移動量に基づいて上下方向の軌道修正量を算出するz方向着地軌道修正量算出ステップと、足部におけるロールおよびピッチ方向のトルクに基づいてロールおよびピッチの軌道修正量を算出するロール・ピッチ方向軌道修正量算出ステップと、前記歩行パターン出力ステップから出力される歩行パターンと着地路面検知用移動許容量と前記非線形コンプライアンス移動量と前記上下方向の軌道修正量と前記ロール・ピッチ方向軌道修正量とに基づいて前記歩行パターンを修正する歩行パターン修正ステップとを有することを特徴とする請求項22または23に記載の2足歩行ロボット装置の制御方法。
  25. 前記z方向着地軌道修正量算出ステップは、理想的水平平坦路面に衝撃や振動なく理想的に着地したときに発生するはずの理論コンプライアンス移動量を前記制御対象成分に基づいて算出する理論コンプライアンス移動量算出ステップと、前記理論コンプライアンス移動量と前記非線形コンプライアンス移動量との差分である着地路面高さ誤差を算出するコンプライアンス移動量偏差算出ステップと、前記モード選択ステップで選択した制御モードと前記着地路面高さ誤差とに基づいて上下方向の軌道修正量を算出する軌道修正量算出ステップとを有することを特徴とする請求項24に記載の2足歩行ロボット装置の制御方法。
  26. 前記ロール・ピッチ方向軌道修正量算出ステップは、足部におけるロールおよびピッチ方向のトルクに基づいてコンプライアンス移動量を算出するコンプライアンス移動量算出ステップと、前記コンプライアンス移動量に基づいてロールおよびピッチ方向の軌道修正量を算出する軌道修正量算出ステップとを有することを特徴とする請求項24に記載の2足歩行ロボット装置の制御方法。
  27. 前記モータ制御ステップは、前記着地制御ステップにおいて修正した歩行パターンを推定した腰部の姿勢角補償量に基づいて補正する推定姿勢補償制御を行う推定姿勢補償制御ステップを備え、
    前記推定姿勢補償制御ステップは、ZMP実測値を足部における力成分とモーメント成分とから算出するZMP実測値算出ステップと、算出された前記ZMP実測値とZMP目標値との偏差であるZMP偏差値を算出するZMP偏差値算出ステップと、前記ZMP偏差値を積分した値に基づいて腰部の姿勢角補償量を算出する姿勢角補償量算出ステップと、前記修正した歩行パターンにおける足部の位置又は姿勢の目標値を前記姿勢角補償量に基づいて補正する足部姿勢操作量加算ステップとを有することを特徴とする請求項22乃至26のいずれか1に記載の2足歩行ロボット装置の制御方法。
  28. 前記姿勢角補償量算出ステップは、所定の周期で前記ZMP偏差値の積分値をゼロに設定するゼロ設定ステップと、前記ZMP偏差値の積分値がゼロに設定された時点からの積分値を算出する積分値算出ステップと、前記足部の位置又は姿勢の補正操作を行う操作期間を設定する操作期間設定ステップと、前記操作期間の開始時点における前記ZMP偏差値の積分値に基づいて姿勢角補償量を算出する補償量算出ステップとを有することを特徴とする請求項27に記載の2足歩行ロボット装置の制御方法。
  29. コンピュータに請求項15乃至19のいずれか1に記載の歩行パターン作成方法の各ステップを実行させるためのプログラム。
  30. 請求項29に記載のプログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体。
  31. コンピュータに請求項20乃至28のいずれか1に記載の2足歩行ロボット装置の制御方法の各ステップを実行させるためのプログラム。
  32. 請求項31に記載のプログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体。
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