JPWO2007004652A1 - カーボンナノチューブ分散液の製造方法 - Google Patents

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Abstract

カーボンナノチューブを含んで成る分散液を製造する方法であって、(i)カーボンナノチューブと環式有機化合物とを5〜120s−1の振動数で振動粉砕に付し、カーボンナノチューブ混合物を得る工程、および(ii)カーボンナノチューブ混合物に有機溶媒を加えて、カーボンナノチューブを含んで成る分散液を得る工程を含んで成り、工程(i)で用いる環式有機化合物が工程(ii)で用いる有機溶媒に対して可溶性を有する、カーボンナノチューブ分散液の製造方法。

Description

本発明は、カーボンナノチューブを含む分散液の製造方法に関し、より詳細には、束状(バンドル状)のカーボンナノチューブ(またはカーボンナノチューブ混合物)から、カーボンナノチューブが安定的に分散する分散液を製造する方法に関する。更に、本発明は、本発明の方法で得られるカーボンナノチューブ分散液を用いて製造される部材等にも関する。
カーボンナノチューブ(以下では「CNT」とも略称される)は、六角網目状の炭素原子配列のグラファイトシートが円筒状に巻かれた構造を有する炭素同素体の1つであり、その直径がナノメートルのオーダーを有する。生成されるカーボンナノチューブは、単層カーボンナノチューブ(SWNTs:single−walled carbon nanotubes)および多層カーボンナノチューブ(MWNTs:multi−walled carbon nanotubes)の2種類が知られている。単層カーボンナノチューブは、グラファイトシートが一枚だけ円筒状に巻かれたものであるのに対して、多層カーボンナノチューブは、グラファイトシートが同心円状に略等間隔に何重にも重なったものである。そのようなカーボンナノチューブは、そのユニークな構造に起因して特異な機能を有することから、種々の分野での応用が期待されている。特に単層カーボンナノチューブは、その比表面積が比較的大きいことから、例えば、水素等などのガスの吸蔵材または電極部材等の用途に適するものと考えられている。
しかしながら、常套の製法で製造されたカーボンナノチューブを精製したものは、種々の用途に必ずしも好都合とは言えない。カーボンナノチューブの精製では、一般的に酸性溶液中でカーボンナノチューブを超音波処理した後(例えば、非特許文献1を参照)、中和して希釈することによって混合物が得られるが、そのような混合物は、カーボンナノチューブを安定的に含んでいない。即ち、そのような混合物では、溶媒に対してカーボンナノチューブが時間的に安定して分散しておらず、時間の経過に伴ってカーボンナノチューブが凝集/沈殿してしまう。その結果、カーボンナノチューブの応用範囲が必然的に制限されてしまうことになる。
上述のように精製されたカーボンナノチューブを含む混合物では、カーボンナノチューブが溶媒中で自己会合により数本〜数百本程度が束になった状態(バンドル状)で存在するので、カーボンナノチューブの比表面積が理論値と比べて相当に減少している。それゆえ、このようなバンドル状のカーボンナノチューブを含む混合物から製造されるガス吸蔵材では、理論値よりもガス吸蔵量が少なくなる。また、こうしたバンドル状のカーボンナノチューブを含む混合物を用いて製造した電極は、カーボンナノチューブと電極との接触面積が小さくなるので、理論値と比べて電極効率が低いものとなる。
単層カーボンナノチューブのアルコール分散液を得るために、可溶化剤としてビニルピリジンを用いる方法が開示されているが、6時間に及ぶ超音波処理が必要であるために実用的でない(例えば非特許文献2参照)。また、可溶化剤としてポリビニルピロリドンを用い、単層カーボンナノチューブのアミド系極性有機溶媒分散液を製造する方法が開示されているが、非イオン性界面活性剤が必須の成分であり、製造には1時間の超音波処理が必要とされる(例えば特許文献1参照)。
また、カーボンナノチューブの分散液を得るために、ポリチオフェン系重合体を用いる方法も開示されている。分散液を得る方法として、(1)CNTを溶媒中で予め超音波照射下で予備分散した後、共役系重合体を添加し分散させる方法、(2)CNTと共役系高分子を溶媒に混合した後、超音波照射下で分散する方法、(3)溶融した共役系重合体の中にCNTを添加して分散させる方法が示されている(例えば特許文献2、段落0016参照)。
Jie Liu,Andrew G.Rinz1er,etc,「Fullerene Pipes」,Science,1998.5.22,No.280,p1253−1256 Jason H. Rouse,「Polymer−Assisted Dispersion of Single−Walled Carbon Nanotubes in Alcohols and Applicability toward Carbon Nanotube/Sol−Gel Composite Formation」,Langmuir 2005, 21, p1055−1061 特開2005−154630号公報 特開2005−089738号公報
本発明の課題は、より短時間で、さらにより簡便な手法でカーボンナノチューブが安定的に分散する分散液の製造方法を提供することである。また、本発明の課題は、本発明の方法で得られるカーボンナノチューブを含む分散液から製造される部材を提供することでもある。
上記課題を解決するため、本発明は、
カーボンナノチューブを含んで成る分散液を製造する方法であって、
(i)カーボンナノチューブと環式有機化合物とを5〜120s−1の振動数で振動粉砕に付し、カーボンナノチューブ混合物を得る工程(以下、「工程(i)」ともいう)、および
(ii)カーボンナノチューブ混合物に有機溶媒を加えて、カーボンナノチューブを含んで成る分散液を得る工程(以下、「工程(ii)」ともいう)
を含んで成り、
工程(i)で用いる環式有機化合物が工程(ii)で用いる有機溶媒に対して可溶性を有する、カーボンナノチューブ分散液の製造方法を提供する。
本明細書で用いる「振動粉砕(または単に「振動」もしくは「粉砕」)という用語は、カーボンナノチューブに機械的な衝撃を直接的に与えてカーボンナノチューブに対して機械的な剪断力を直接作用させることを実質的に意味している。本発明の方法は、そのような振動粉砕を実施することによってカーボンナノチューブを含む分散液を得ることができる特徴を有している。また、カーボンナノチューブを含む分散液を得る工程(ii)では、付加的に遠心分離および/またはフィルター濾過が行われる特徴も有している。尚、カーボンナノチューブ混合物を得る工程(i)では、カーボンナノチューブのバンドルを少なくとも部分的に解離させることができる。
本発明の製造方法では、約5.0×10−4重量%〜約15×10−1重量%のカーボンナノチューブを安定的に含む分散液が供される。例えば、本発明では、カーボンナノチューブと、有機溶媒としてアルコール、エーテル系有機溶媒またはアミド系有機溶媒と、環式有機化合物としてポリビニルピロリドンとを含んだカーボンナノチューブ分散液が供される。また、カーボンナノチューブと、有機溶媒としてアミド系有機溶媒、スルホキシドまたはハロゲン系有機溶媒と、環式有機化合物としてポリチオフェンとを含んだカーボンナノチューブ分散液も供される。
上記の発明以外にも、本発明では、
カーボンナノチューブ膜を表面に有する基材を含む部材であって、
カーボンナノチューブ膜が、本発明の方法によって得られるカーボンナノチューブを含んだ分散液を、基材の表面に塗布した後、乾燥させることによって形成される膜であることを特徴とする部材が提供される。
また、カーボンナノチューブを含有する高分子材料からなる部材であって、本発明の方法によって得られるカーボンナノチューブを含む分散液を、高分子材料に混合し、成型することによって得られる部材も提供される。
本発明の方法によれば、カーボンナノチューブが安定的に分散する分散液をより短時間で、なおかつより簡便に得ることができる。得られた分散液では、カーボンナノチューブが有機溶媒中で時間的に安定して分散しており、長期的な安定性が優れている。従って、そのような分散液は実質的には溶液とみなすことができる。
また、カーボンナノチューブが安定的に分散する分散液は、バンドルが解離したカーボンナノチューブを少なくとも含んで成るので、カーボンナノチューブが溶媒中で束(バンドル)となっている場合よりもカーボンナノチューブの比表面積が増加する。従って、そのような分散液を用いて製造される部材をガス吸蔵品として用いると、バンドル状のカーボンナノチューブを用いる場合よりもガス吸蔵量が増加し、より理論値に近づくことになる。また、バンドル状のものと比べて、バンドルが解離したカーボンナノチューブの方が電極表面との接触面積が増加するので、本発明の方法で得られる分散液を用いて製造された部材を電極として用いたものは高効率となり、その効率がより理論値に近づくことになる。なお、ここでいう「理論値」とは、かかる部材に含まれるカーボンナノチューブの全てがバンドルの解離したものであるという仮定に基づく理想状態の水素吸蔵量または電極効率をいう。
図1は、本発明の製造方法で得られた分散液の外観を示しており、各種溶媒条件下のポリビニルピロリドン(PVP)−単層カーボンナノチューブ(SWNT)の分散液の外観を示している。 図2は、本発明の製造方法で得られた分散液の可視−紫外吸収スペクトルを示しており、各種溶媒条件下のポリビニルピロリドン(PVP)−単層カーボンナノチューブ(SWNT)および多層カーボンナノチューブ(MWNT)の分散液の可視−紫外吸収スペクトルを示している。 図3は、本発明の製造方法で得られた分散液のRaman吸収スペクトルを示しており、ポリビニルピロリドン(PVP)−単層カーボンナノチューブ(SWNT)を含んだ分散液(有機溶媒:イソプロパノール)のRaman吸収スペクトルを示している。 図4は、本発明の製造方法で得られた分散液の外観を示しており、各種溶媒条件下のPMET(3−(2−メトキシエトキシ)−エトキシメチルチオフェン)−単層カーボンナノチューブ(SWNT)の分散液の外観を示している。 図5は、本発明の製造方法で得られた分散液の可視−紫外吸収スペクトルを示しており、各種溶媒条件下のPMET(3−(2−メトキシエトキシ)−エトキシメチルチオフェン)−単層カーボンナノチューブ(SWNT)の分散液の可視−紫外吸収スペクトルを示している。 図6は、本発明の製造方法で得られた分散液の近赤外吸収スペクトルを示しており、各種溶媒条件下のPMET(3−(2−メトキシエトキシ)−エトキシメチルチオフェン)−単層カーボンナノチューブ(SWNT)の分散液の近赤外吸収スペクトルを示している。 図7は、本発明の好ましい振動粉砕処理工程の態様を示した模式図である。 図8は、本発明の製造方法で用いられ得る容器および硬球(中央切断図)を模式的に示しており、容器内の中空部の長手方向長さLおよび短手方向長さSを示すと共に、硬球の直径Rを模式的に示している。 図9は、本発明の製造方法で得られたカーボンナノチューブ分散液に含まれる単層カーボンナノチューブを示したTEM写真である。図9(a)はCHCl、図9(b)はNMPを有機溶媒として用いている。
符号の説明
1…カーボンナノチューブ、2…硬球、3…容器、4…容器内の中空部。
以下に、本発明のカーボンナノチューブを含む分散液の製造方法を説明する。尚、カーボンナノチューブと共に振動粉砕に付される環式有機化合物は、本明細書では単に「分散剤」として表記して説明している箇所もある点に留意されたい。
本発明において、「カーボンナノチューブ(具体的には工程(i)で用いられ得るカーボンナノチューブ)」とは、例えばアーク放電法、レーザー蒸発法、レーザーアプレーション法およびCVD法(または化学気相成長法、Chemical Vapor Deposition)などの常套の製法で製造された束(バンドル)状のカーボンナノチューブを意味する。このようなカーボンナノチューブが束の状態で媒体中に分散した混合物は長期的な安定性が乏しく、時間の経過に伴って、分散するカーボンナノチューブが凝集、沈殿してしまう。例えば、このような混合物では、遅くとも2〜3日でカーボンナノチューブの沈殿物が見られる。
本発明において、振動粉砕に付されるカーボンナノチューブは、精製されたものや、精製後に凍結乾燥処理を施したものであってもよいが、より簡便には市販のカーボンナノチューブである。また、振動粉砕に付されるカーボンナノチューブは、単層カーボンナノチューブまたは多層カーボンナノチューブのいずれであってもよく、いずれの場合でも分散液が短時間に簡便に得られ、分散液の分散安定性が高いものとなる。
本発明で用いる分散剤としての環式有機化合物は、工程(ii)で用いる有機溶媒に対して可溶性を有している。この環式有機化合物は、得られるカーボンナノチューブを分散させることが可能であり、それゆえ、カーボンナノチューブを安定的に含んだ分散液を得るのに資するものである。
環式有機化合物は、例えば、ポリビニルピロリドン(PVP)、ポリスチレンスルホネートおよびポリチオフェンからなる群から選択される少なくとも1種以上の合成高分子であることが好ましい。
また、環式有機化合物がπ系化合物であることも好ましい。ここで「π系化合物」とは、広い共役系を有し、より強いπ−π相互作用を有する化合物を指しており、例えば、ポルフィリン誘導体、ピレン誘導体、アントラセン誘導体およびポリチオフェン誘導体から成る群から選択される少なくとも1種以上の化合物であることが好ましい。環式有機化合物がπ系化合物である場合には、カーボンナノチューブがπ系化合物であるために、環式有機化合物とカーボンナノチューブとの間でπ−π相互作用が生じ、その結果、カーボンナノチューブと環式有機化合物とが互いに引き合う力が生じるので、カーボンナノチューブのバンドルの解離を助力する作用がもたらされ得る。
尚、当然のことながら、環式有機化合物は、合成高分子であって、なおかつ、π系化合物であるものでもよく、例えば、3−(2−メトキシエトキシ)−エトキシメチルチオフェン(PMET)を例示することができる。
上記で例示した環式有機化合物が本発明に用いる分散剤として好ましいものの、有機溶媒に対して可溶性を有し、カーボンナノチューブを安定的に分散させる化合物であれば、本発明に用いられる分散剤は、特に限定されない。例えば、分散剤としてナフィオン(登録商標、Nafion)またはポリエチレングリコール等も用いることができる。
環式有機化合物とカーボンナノチューブとの質量比を説明すると、例えば環式有機化合物が10mgの場合、容器内に供される環式有機化合物と乾燥したカーボンナノチューブとの質量比は、約10:1〜約1:200、好ましくは約5:1〜約1:100、より好ましくは約1:1〜約1:50となっている。
本発明で用いられる有機溶媒は、アルコール、エーテル系有機溶媒、アミド系有機溶媒、スルホキシドまたはハロゲン系有機溶媒が好ましい。アルコールとしては、メタノール、エタノールなどの第一級アルコール、イソプロパノールなどの第二級アルコールおよびt−ブタノール(tert−ブタノール)などの第三級アルコールから成る群から選択される少なくとも1種以上のアルコールであることが好ましい。エーテル系有機溶媒としては、ジエチルエーテルおよびテトラヒドロフランから成る群から選択される少なくとも1種以上のエーテル系有機溶媒であることが好ましい。アミド系有機溶媒としては、1−メチル−2−ピロリドンおよびN,N−ジメチルホルムアミドから成る群から選択される少なくとも1種以上のアミド系有機溶媒であることが好ましい。スルホキシドとしてはジメチルスルホキシドが好ましい。ハロゲン系有機溶媒としては、クロロホルム、塩化メチレンおよび1,1,2,2−テトラクロロエタンから成る群から選択される少なくとも1種以上のハロゲン系有機溶媒が好ましく、その中でも特にクロロホルムが好ましい。尚、本発明のカーボンナノチューブ分散液には、必要に応じて他の成分を含めてもかまわない。
有機溶媒または環式有機化合物は、上述で例示したようなものであれば、分散性の高いカーボンナノチューブ分散液を得ることができる。ここで、好ましい有機溶媒と環式有機化合物との組み合せを例示すると、有機溶媒として、アルコール、1−メチル−2−ピロリドンまたはN,N−ジメチルホルムアミドのいずれかと、環式有機化合物としてポリビニルピロリドンとの組み合わせ、有機溶媒として、1−メチル−2−ピロリドン、N,N−ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシドまたはクロロホルムのいずれかと、環式有機化合物としてポリチオフェンとの組み合わせが挙げられる。特にその中でも、環式有機化合物としてポリチオフェン、有機溶媒として1−メチル−2−ピロリドンを用いた組合せ、または、環式有機化合物としてポリビニルピロリドン(PVP)、有機溶媒としてイソプロパノールを用いた組合せが好ましく、それによって好適なカーボンナノチューブ分散液を得ることができる。
本発明の振動粉砕の処理工程(即ち、カーボンナノチューブ混合物を得る工程(i))では、カーボンナノチューブおよび環式有機化合物を硬球と共に容器内に仕込んだ後、容器に対して硬球を振動させることによって、振動粉砕を実施することが好ましい。より具体的には、カーボンナノチューブと環式有機化合物と硬球とを容器本体の中空部(以後、「容器中空部」ともいう)に供して蓋をした後、容器に対して硬球を振動させる。ここで本明細書にいう「容器に対して硬球を振動させる」とは、硬球と容器中空部の壁面との衝突が経時的に繰り返して行われる態様を実質的に指している。従って、「容器に対して硬球を振動させる」は、容器自体を往復運動させて、その中に含まれる硬球を往復運動させる態様のみならず、容器自体を固定させた状態で硬球を外部から往復運動させる態様をも含んでいる。
容器を往復運動させる態様の場合(図7参照)、その往復運動させる方向は、容器中空部の長手方向であることが一般的に好ましく、その容器中空部の長手方向が水平方向となるように容器を振動機に設置する場合には、その水平方向にて容器を左右に往復するように運動させることが好ましい。ただし、硬球と容器中空部の壁面との衝突が繰り返して行われるのであれば、容器自体の振動方向には特に制限はなく、容器および/もしくは容器中空部の形態または容器の振動機への設置の仕方等に応じて振動させる方向を適宜変更してもよく、例えば、往復運動する方向が経時的に変化するものであってもよい。
容器自体を固定させた状態で硬球を往復運動させる態様の例としては、磁性材料から成る硬球、非磁性材料から成る容器を用い、容器の外部から硬球に対して磁力を作用させて硬球を容器内で往復運動させる態様が考えられる。
尚、「振動」は、ある点を中心に往復運動する現象を一般に意味するところ、本明細書で用いる「振動」とは、容器がある方向にのみ往復運動する態様に必ずしも限定される必要はなく、硬球と容器中空部の壁面との衝突が経時的に繰り返して行われるのであれば(つまり、カーボンナノチューブに機械的な衝撃を直接的に与えて機械的な剪断力がカーボンナノチューブに対して作用するのであれば)、容器が回転運動および/または揺動運動する態様であってもかまわない。容器が回転運動する場合、容器が回転するだけでなく、例えば容器が設置される架台自体も回転し、容器の回転方向が時間的に変化(例えば「反転」)すると共に、架台の回転方向も容器とは独立に時間的に変化するものであることが好ましい。
容器は、容器本体と蓋とを一般的に有して成り、好ましくは、容器中空部に供されるカーボンナノチューブ、環式有機化合物および硬球を外界雰囲気から遮断して密閉する容器であることが好ましい。容器は、好ましくは、ステンレス等の硬い材料から主として形成されるが、振動により生じる衝撃、例えば、容器中空部で往復運動する硬球が中空部壁面(即ち、容器中空部壁部)と衝突することで生じる衝撃に耐え得るものであれば、いずれの種類の材料から形成してもよい。なお一般的に、容器は、振動に付される間で密閉状態を維持するものが好ましい。従って、適当な密閉が供されるように、容器本体と蓋との間の接触面にガスケットを挟み込み、容器本体と蓋とを外部からクリップまたはホルダーで締め付けてもよい。
容器中空部は、例えば円筒形状を有し、振動粉砕に付される間、その円筒形中空部の一方の端部から他方の端部へと硬球が中空部の長手方向に往復運動できる形状およびサイズを有していることが好ましい。しかしながら、硬球が容器中空部内を実質的に往復して運動するような形状およびサイズであれば、容器中空部はいずれの形状およびサイズであってもよい。例えば容器中空部の長手方向における端部(即ち、円筒形状の容器中空部ではその頂部および底部)は、平面状に形成されていることは必ずしも必要でなく、半球形状に形成されていてもよい。ちなみに、以下の記載では、容器中空部の形状が、半球形状の頂部および底部を有した円筒形状であることを前提として説明を行う。
容器中空部で硬球が往復運動し、その結果、好ましくはカーボンナノチューブと環式有機化合物とが混ざるような振動数および/または往復運動する硬球と中空部壁面との間でカーボンナノチューブが粉砕されるような振動数で容器を往復運動させることが好ましい。振動数が5s−1以下であると、振動時間が非常に長くなってしまう可能性がある一方、振動数120s−1以上となると、カーボンナノチューブ同士が化学反応を起こしてカーボンナノチューブの分散度が低下してしまう可能性がある。従って、振動数は、5〜120s−1であり、好ましくは10〜60s−1、より好ましくは振動数20〜50s−1である。尚、容器を回転運動に付すことによって、硬球を容器に対して振動させる場合には、容器を往復運動させる場合と同様に解して、容器の回転数は、好ましくは5〜120回/sであり、より好ましくは10〜60回/s、より好ましくは振動数20〜50回/sとなり得る。
振動時間は、好ましくは1分〜5時間、より好ましくは1.5分〜3時間、更に好ましくは2分〜2時間程度である。振動時間が短すぎるとカーボンナノチューブの分散度が低下し、また、振動時間が長すぎるとカーボンナノチューブ同士が反応しカーボンナノチューブの分散度が低下するからである。但し、振動時間は、振動数または振幅等の振動条件に応じて変わり得る可能性があることを留意されたい。上述したような好適な振動数および振動時間に加えて、好適な振幅も考慮することが好ましい。具体的には、容器中空部で硬球が往復運動し、その結果、カーボンナノチューブと環式有機化合物とが混ざるような振幅および/または往復運動する硬球と中空部壁面との間でカーボンナノチューブが粉砕されるような振幅でもって容器に対して硬球を振動させることが好ましい。容器を一定方向に往復運動させることによって、容器に対して硬球を振動させる場合、容器を往復運動させる際の振幅Wと容器を往復運動させる方向の容器中空部長さLとの比(W:L)は、好ましくは1:1〜50:1であり、より好ましくは1:1.2〜20:1、更に好ましくは1:1.3〜15:1である。なお、ここでいう「振幅」とは、往復運動に付される容器が往復運動の中心点を基準にして最大に変位した場合において、その中心点から最大変位点までの長さをいう。また、容器中空部が円柱形状である場合では容器中空部の長手方向に容器を往復運動させることが好ましいので、その場合には「容器を往復運動させる方向の容器中空部長さL」は、容器中空部の長手方向長さを実質的に意味している(図8参照)。
例えば横断面直径20mm、長手方向長さ65mmの容器(その中空部の胴体部分の横断面直径12mm、中空部の長手方向長さ50mm)を用いる場合を例にとると、振幅が小さすぎると、容器中空部内でカーボンナノチューブと環式有機化合物とを効率よく混合できない一方、振幅が大きすぎると、硬球が容器中空部の壁面(例えば、円筒形状の容器中空部の頂部または底部における壁面)に衝突した後も容器自体が動き続けることになり、時間的にもエネルギー的にも損失が大きいので、5〜100mmの振幅、好ましくは10〜80mmの振幅、より好ましくは20〜50mmの振幅でもって中空部長手方向に容器を往復運動させる。
振動粉砕の処理工程にて容器内に供される硬球は好ましくは球形を有するものの、容器に対して硬球が振動する間、硬球が中空部にて往復運動するのに適した形状であればいずれの形状であってもかまわない。例えば横断面直径12mm、長手方向長さ50mmの容器中空部サイズの場合、硬球は、直径2〜10mm、好ましくは直径4〜6mm、より好ましくは直径5mmのサイズを有する球体である。また、容器に対して硬球が振動する間、容器中空部にて硬球が往復運動し、その結果、好ましくは当該硬球と容器中空部の壁面との間でカーボンナノチューブが粉砕されるような硬さを硬球および容器中空部の壁面が有することが好ましい。例えば、硬球の硬さおよび容器中空部の壁面の硬さがモース硬度4以下であると、硬球の変形および混合効率の低下(カーボンナノチューブと環式有機化合物との混合効率の低下)を引き起こす可能性がある。従って、硬球の硬さは、好ましくはモース強度4〜9.5であり、より好ましくはモース強度5〜9.5、更に好ましくはモース硬度6〜9.5である。
硬球の材質としては、メノウ、スレンレス、アルミナ、ジルコニア、タングステンカーバイド、クロム鋼およびテフロン(登録商標)から成る群から選択される少なくとも1種以上の材料を挙げることができる。同様に、容器中空部の壁面の材質としては、例えば、メノウ、スレンレス、アルミナ、ジルコニア、タングステンカーバイド、クロム鋼およびテフロン(登録商標)から成る群から選択される少なくとも1種以上の材料を挙げることができる。容器に供される硬球の数は、1〜6個、好ましくは1〜4個、より好ましくは2個であるものの、容器に対して硬球が振動する間、容器中空部にて硬球が往復運動し、その結果、好ましくはカーボンナノチューブと環式有機化合物とが混ざるのに適した個数および/または往復運動する硬球と容器中空部の壁面との間でカーボンナノチューブが粉砕されるのに適した個数であれば、いずれの個数を用いてもかまわない。なお、2個以上の硬球が容器に供される場合は、往復運動する硬球間でもカーボンナノチューブが粉砕されることになる。
硬球と容器中空部との関係について具体的に説明すると次のようになる。まず、硬球が容器中空部で往復運動する必要がある点を考慮した場合、容器中空部の長手方向長さLに対して硬球の直径Rが小さすぎると、次の点で不都合である。つまり、容器が小さい場合(即ち、容器中空部の長手方向長さLが小さい場合)、硬球が小さくなってしまい、衝突エネルギーが小さくなるためにうまく混合(カーボンナノチューブと環式有機化合物との混合)できない可能性があり、逆に容器が大きい場合(即ち、容器中空部の長手方向長さLが大きい場合)には必然的に振幅が大きくなり振動機への負担および消費エネルギーが大きくなる可能性がある点で不都合である。一方、容器中空部の長手方向長さLに対して硬球の直径Rが大きすぎると、ストロークが短くなるために硬球が容器中空部の壁面と衝突した際のエネルギーが小さくなり混合が不充分となる可能性がある。従って、硬球の直径Rと容器中空部の長手方向長さLとの比(R:L)は、好ましくは1:1.5〜1:100であり、より好ましくは1:2.0〜1:75、更に好ましくは1:2.5〜1:50である(図8参照)。また、硬球の直径Rと容器中空部の短手方向長さS(=円筒形状の容器中空部の胴体部分の横断面直径S)との比(R:S)は、好ましくは1:1.1〜1:30であり、より好ましくは1:1.2〜1:20、更に好ましくは1:1.3〜1:15である(同様に図8参照)。尚、ここでいう「直径R」とは、硬球の形状が球形である場合を指している。しかしながら、硬球の形状は特に限定されず、球形以外の形状であってもよいので、その場合には、硬球が上記の「直径」に相当するような相当直径を有していることが好ましい。この「相当直径」とは、非球形の硬球の体積を変えずにその形状を球形にした場合に想定される直径を意味している。
また、硬球の総体積と容器中空部の体積との好ましい関係については次のようになる。例えば硬球の個数が1〜6個の場合、容器中空部体積Vに対する硬球の総体積Vの割合(=V/V×100(%))は、好ましくは0.2〜40%、より好ましくは0.3〜20%、更に好ましくは0.5〜10%である。これにより、硬球と容器中空部の壁面との衝突が増加してカーボンナノチューブがより粉砕されるような効果がもたらされ得る。
次に分散液を得る工程(ii)について説明する。分散液を得る工程(ii)では、振動粉砕に付された後のカーボンナノチューブ混合物(より詳細には振動粉砕に付された後のカーボンナノチューブと環式有機化合物とを含んだ混合物)に対して有機溶媒を加えることによってカーボンナノチューブを安定的に含む分散液が得られる。従って、この分散液は、加えられる有機溶媒の成分、カーボンナノチューブおよび環式有機化合物の成分を含んで成る。なお、本工程では、有機溶媒を加えた後に必要に応じて、得られる混合物から沈殿物(当該沈殿物は有機溶媒に分散しなかったカーボンナノチューブを実質的に含む)を除去する操作を付加的に行ってもよい。例えば、カーボンナノチューブ混合物に有機溶媒を添加した後、分散しなかったカーボンナノチューブを除去すべく遠心分離操作を行い、生じる上澄みを分取してカーボンナノチューブ分散液を得ることができる。このようにして分散液を得る工程は、環式有機化合物としてポリビニルピロリドン(PVP)を用いる場合に特に好適である。
尚、上記の遠心分離によって得られる上澄みをフィルター濾過に付してもよい。この場合、フィルター濾過で得られる残渣に対して有機溶媒を加えると、カーボンナノチューブが安定的に分散した分散液を得ることができる。この残渣に対して加えられる有機溶媒は、振動粉砕に付された後のカーボンナノチューブ混合物に加えられる有機溶媒と同じでよく、または、その有機溶媒と同じ主成分から成る溶媒であってもよい。フィルター濾過でのカーボンナノチューブ回収率が低すぎると(例えば回収率が2%よりも少ない場合)、最終的に得られる分散液に含まれるカーボンナノチューブが少なくなってしまい所望のカーボンナノチューブ濃度を達成するには非効率・不経済である一方、フィルター濾過でのカーボンナノチューブ回収率が高すぎると(例えば回収率が95%よりも大きい場合)、バンドルの解離したカーボンナノチューブの他にも、バンドルの解離していないカーボンナノチューブもより多く含まれてしまう可能性がある点で好ましくない。従って、フィルター濾過に用いられるメンブレンフィルターは、平均膜孔径が好ましくは0.02〜5.0μmであって、上澄みに含まれているカーボンナノチューブを好ましくは2〜95%、より好まししくは5〜95%回収できるもの(上澄みから回収できるもの)が好ましい。例えば、そのようなメンブレンフィルターとしては、PTFEメンブレンフィルター(アドバンテック製、型式:T020A025A[カタログ番号]、孔径:0.20μm)を挙げることができる。
あるいは、分散液を得る工程では、次のような操作も行うことができる。まず、振動粉砕に付された後のカーボンナノチューブ混合物(より詳細には振動粉砕に付された後のカーボンナノチューブと環式有機化合物とを含んだ混合物)に有機溶媒を加え、得られる混合物を遠心分離に付す。次いで、遠心分離によって生じた沈殿物を分取し、当該沈殿物へ溶媒を加えることによって、カーボンナノチューブ分散液を得ることができる。尚、得られた分散液を超音波処理に付した後で更に遠心分離に付し、それによって生じる上澄み液を分取すると、カーボンナノチューブがより安定的に存在する分散液を得ることができる。このようにして分散液を得る工程は、環式有機化合物としてπ系化合物を用いる場合に特に好適である。尚、「沈殿物に加える溶媒」は、振動粉砕に付された後のカーボンナノチューブ混合物に加えられる有機溶媒であってよく、または、その有機溶媒と同じ主成分から成る溶媒であってもよい。
ここで「安定的」とは、時間的にカーボンナノチューブが有機溶媒中で安定して分散することをいい、少なくとも1週間、好ましくは少なくとも2週間、より好ましくは少なくとも3週間は、カーボンナノチューブの凝集/沈殿が生じないことをいう。このように、分散液はカーボンナノチューブを安定的に含んでいるので、カーボンナノチューブが溶媒中に実質的に溶解していると考えることもできる。
カーボンナノチューブを含む分散液はバンドルが解離したカーボンナノチューブを少なくとも含んでなるので、バンドルが解離される度合いに比例してカーボンナノチューブの比表面積は増すものと考えられる。従って、かかる分散液から、比表面積のより大きいカーボンナノチューブ膜を有する部材を製造することができ、その部材を例えばガス吸蔵品または電極等として用いることができる。かかるガス吸蔵品は、例えば、車、船舶等の水素ガス燃料を保存するのに用いることができる。電極の具体例としては、例えばリチウム二次電池などの負極等が考えられる。
上述の本発明の部材は、基材、および本発明の方法で製造されるカーボンナノチューブを含む分散液を当該基材表面に塗布した後で乾燥させることにより形成されるカーボンナノチューブ膜を有してなる。基材は、例えばガス吸蔵品または電極等に適当な基板または支持板等であれば、いずれの形状または材料からなるものであってもよい。本発明の方法で製造されるカーボンナノチューブを含む分散液では、少なくとも部分的にバンドルの解離したカーボンナノチューブがほぼ均一に有機溶媒中で存在する。その結果、その分散液を基材表面に塗布して乾燥することにより得られるカーボンナノチューブ膜は、カーボンナノチューブをほぼ一様に含んだものとなり得る。それゆえ、そのようなカーボンナノチューブ膜では、カーボンナノチューブの比表面積が大きいものとなり、ガス吸蔵量の多いガス吸蔵品または高効率な電極がもたらされることになる。
なお、本発明の方法で得られる分散液を上述のようにガス吸蔵品または電極などの部材を形成するのに用いる他、常套のメンブランフィルターで分散液を濾別処理に付すことによって、その分散液中に含まれるカーボンナノチューブのみを単独に取り出し、その取り出されたカーボンナノチューブを、電界放出ディスプレイ(FED:Field Emission Display)用エミッター、光電変換素子、複合材料(プラスチック、ゴムもしくは樹脂等を補強するために混ぜられる材料)または化粧品等の用途に用いることもできる。
さらに、本発明の方法で得られるカーボンナノチューブ分散液を利用して、カーボンナノチューブを含有する有機高分子材料を得ることができる。この場合、本発明のカーボンナノチューブ分散液を、ポリアミド、ポリエチレン、ポリビニルアルコール、ポリイミン、ポリアクリル樹脂、ポリエポキシ樹脂、ポリウレタンおよび天然ゴム等から成る群から選択される少なくとも1種以上の有機高分子材料と混合することによって、カーボンナノチューブの特性(即ち、高弾性、高強度または高導電性といった特性)を生かした有機高分子材料を得ることができる。このような有機高分子材料は、ウレタン成型品、プラスチック成型品、ゴム製品、ゴルフのシャフト、FRP成型品、化学繊維、紙などの原料に用いる(又はそれらの原料に含ませて用いる)ことができる。また、本発明の分散液を含有する高分子材料を使用してコーティング剤を得ることもでき、それを帯電防止剤として用いることができる。更に、本発明の分散液を、ポリアミド、ポリエチレン、ポリビニルアルコール、ポリイミン、ポリアクリル樹脂、ポリエポキシ樹脂、ポリウレタンおよび天然ゴム等から成る群から選択される少なくとも1種以上の有機高分子材料と混合し、各種方法で成型することによって得られる部材は、種々の用途に用いることができる。例えば、そのように成型された部材は導電性が向上しているために電極として用いることができる。
本発明のカーボンナノチューブを含む分散液の製造方法を経時的に説明する。まず、カーボンナノチューブ1(好ましくは乾燥状態のカーボンナノチューブ)を用意する。次に、図7に示すように、環式有機化合物および2個の硬球2と共に乾燥したカーボンナノチューブ1を容器3の容器本体中空部に供し、容器本体に蓋をして容器3を密閉する。そして、容器中空部で硬球2が往復運動し、その結果、カーボンナノチューブ1と環式有機化合物とが混ざるような振動数および振幅ならびに/または往復運動する硬球2と中空部壁面との間でカーボンナノチューブ1が粉砕されるような振動数および振幅でもって当該容器3を中空部長手方向に往復運動させる。そして、適当な時間、容器3を往復運動させた後、容器3から取り出されるカーボンナノチューブを有機溶媒により希釈することによって、カーボンナノチューブを安定的に含む分散液が得られる。
以上、本発明の実施形態について説明してきたが、本発明はこれに限定されず、種々の改変がなされ得ることは当業者には容易に理解されよう。ちなみに、上述した本発明は、次のような態様を包含することに留意されたい:
第1の態様: カーボンナノチューブを含んで成る分散液を製造する方法であって、
(i)カーボンナノチューブと環式有機化合物とを5〜120s−1の振動数で振動粉砕に付し、カーボンナノチューブ混合物を得る工程、および
(ii)カーボンナノチューブ混合物に有機溶媒を加えて、カーボンナノチューブを含んで成る分散液を得る工程
を含んで成り、
工程(i)で用いる環式有機化合物が工程(ii)で用いる有機溶媒に対して可溶性を有する、カーボンナノチューブ分散液の製造方法。
第2の態様:上記第1の態様において、カーボンナノチューブ、環式有機化合物および硬球を容器内に供した後、容器に対して硬球を振動させることよって、振動粉砕を実施することを特徴とする方法。
第3の態様:上記第2に態様において、容器を一定方向に往復運動させることによって、容器に対して硬球を振動させており、
容器を往復運動させる際の振幅Wと容器を往復運動させる方向の容器中空部長さLとの比W:Lが1:1.3〜15:1であることを特徴とする方法。
第4の態様:上記第2または3の態様において、硬球の個数が1〜6個であって、容器中空部体積に対する硬球の総体積の割合が0.5〜10%であることを特徴とする方法。
第5の態様:上記第1〜4の態様のいずれかにおいて、環式有機化合物が、ポリビニルピロリドン、ポリスチレンスルホネートおよびポリチオフェンからなる群から選択される合成高分子であることを特徴とする方法。
第6の態様:上記第1〜4の態様のいずれかにおいて、環式有機化合物が、π系化合物であることを特徴とする方法。
第7の態様:上記第6の態様において、π系化合物が、ポルフィリン誘導体、ピレン誘導体、アントラセン誘導体およびポリチオフェン誘導体から成る群から選択されることを特徴とする方法。
第8の態様:上記第1〜7の態様のいずれかにおいて、有機溶媒が、アルコール、エーテル系有機溶媒、アミド系有機溶媒、スルホキシドまたはハロゲン系有機溶媒であることを特徴とする方法。
第9の態様:上記第8の態様において、アルコールが、メタノール、エタノール、イソプロパノールおよびt−ブタノールから成る群から選択されることを特徴とする方法。
第10の態様:上記第8の態様において、エーテル系有機溶媒が、ジエチルエーテルおよびテトラヒドロフランから成る群から選択されることを特徴とする方法。
第11の態様:上記第8の態様において、アミド系有機溶媒が、1−メチル−2−ピロリドンおよびN,N−ジメチルホルムアミドから成る群から選択されることを特徴とする方法。
第12の態様:上記第8の態様において、スルホキシドがジメチルスルホキシドであることを特徴とする方法。
第13の態様:上記第8の態様において、ハロゲン系有機溶媒が、クロロホルム、塩化メチレンおよび1,1,2,2−テトラクロロエタンから成る群から選択されることを特徴とする方法。
第14の態様:上記第1〜13の態様のいずれかにおいて、振動数が20〜50s−1であることを特徴とする方法。
第15の態様:上記第1〜14の態様のいずれかにおいて、振動粉砕を2分〜2時間行うことを特徴とする方法。
第16の態様:上記第1〜15の態様のいずれかにおいて、カーボンナノチューブ混合物を得る工程(i)において、カーボンナノチューブのバンドルを少なくとも部分的に解離させることを特徴とする方法。
第17の態様:上記第1〜16の態様のいずれかにおいて、分散液を得る工程(ii)において、カーボンナノチューブ混合物に有機溶媒aを加えた後、得られる混合物を遠心分離に付すことを特徴とする方法。
第18の態様:上記第17の態様において、前記遠心分離に付すことによって得られる上澄みをフィルター濾過し、得られる残渣に対して有機溶媒aと同じ成分から成る溶媒を加える工程を更に含んで成り、
フィルター濾過に用いるメンブレンフィルターが、上澄みに含まれているカーボンナノチューブを5〜95%回収することを特徴とする方法。
第19の態様:上記第6の態様において、分散液を得る工程(ii)において、カーボンナノチューブ混合物に有機溶媒aを加え、得られる混合物を遠心分離に付した後、その混合物中の沈殿物を分取し、沈殿物に対して有機溶媒aと同じ主成分から成る有機溶媒を加えることを特徴とする方法。
第20の態様: カーボンナノチューブ膜を表面に有する基材を含む部材であって、
カーボンナノチューブ膜が、上記第1〜19の態様のいずれかの方法で得られるカーボンナノチューブ分散液を、基材の表面に塗布することによって形成される膜である部材。
第21の態様:上記第20の態様において、ガス吸蔵品として用いられることを特徴とする部品。
第22の態様:上記第20の態様において、電極として用いられることを特徴とする部材。
第23の態様: 上記第1〜22の態様のいずれかの方法で得られるカーボンナノチューブ分散液を含有する高分子材料。
第24の態様: カーボンナノチューブを含有する有機高分子材料からなる部材であって、上記第1〜22の態様のいずれかの方法で得られるカーボンナノチューブ分散液を、他の有機高分子材料に混合し成型することによって得られる部材。
第25の態様:カーボンナノチューブ、ポリビニルピロリドンおよび上記第8の態様に記載の有機溶媒を含んで成る、カーボンナノチューブ分散液。
第26の態様:カーボンナノチューブ、3−(2−メトキシエトキシ)−エトキシメチルチオフェンおよび上記第8の態様に記載の有機溶媒を含んで成る、カーボンナノチューブ分散液。
本発明の製造法を用いて、カーボンナノチューブを安定的に含む分散液を製造した。
実施例1
(1)1mgの単層カーボンナノチューブ、分散剤として10mgのポリビニルピロリドン(PVP:平均分子量360,000)および2個のメノウボール(球直径5mm)を20mmの底面直径、65mmの長手方向長さを有する円筒形状の密閉容器(当該容器に形成されている円筒形中空部:胴体部分の横断面直径12mm、長手方向長さ50mm)に仕込んだ。
(2)振動機(レッチェ(Retsch)製、MM200)において、密閉容器中空部の長手方向をほぼ水平にした状態で、約30mmの振幅、約30s−1の振動数で当該密閉容器を水平方向に往復運動させた。
(3)約20分間密閉容器を往復運動させた後、密閉容器の中空部から黒色粉末を取り出した。
(4)得られた約11mgの黒色粉末に約1mlのエタノールを加え、遠心分離機(ベックマン・コールター(Beckman Coulter)社製、マイクロフュージ22アール(Microfuge 22R)により、回転数8000rpmで10分間遠心分離を行った後、上澄み液を分取してカーボンナノチューブを安定的に含む分散液を得た。
(5)得られた分散液は、少なくとも4週間まではカーボンナノチューブの凝集、沈殿がみられなかった。
実施例2
(1)1mgの単層カーボンナノチューブ、分散剤として5mgのPMET(3−(2−メトキシエトキシ)−エトキシメチルチオフェン)および2個のメノウボール(球直径5mm)を20mmの底面直径、65mmの長手方向長さを有する円筒形状の密閉容器(当該容器に形成されている円筒形中空部:胴体部分の横断面直径12mm、長手方向長さ50mm)に仕込んだ。
(2)振動機(レッチェ(Retsch)製、MM200)において、密閉容器中空部の長手方向をほぼ水平にした状態で、約30mmの振幅、約30s−1の振動数で当該密閉容器を水平方向に往復運動させた。
(3)約20分間密閉容器を往復運動させた後、密閉容器の中空部から黒色粉末を取り出した。
(4)得られた約11mgの黒色粉末に約10mlの1−メチル−2−ピロリドンを加え、遠心分離機(ベックマン・コールター(Beckman Coulter)社製、マイクロフュージ22アール(Microfuge 22R))により、回転数14000rpmで20分間遠心分離を行った後、生じた沈殿物を分取した。
(5)得られた沈殿物に対して、約1 mlの1−メチル−2−ピロリドンを加え、卓上型超音波洗浄器(ブランソン(Branson Ultrasonic)社製、ブランソニック5510(Bransonic 5510))超音波処理を5分間行なった後、遠心分離機(ベックマン・コールター(Beckman Coulter)社製、マイクロフュージ22アール(Microfuge 22R)によって回転数14000rpmで60分間遠心分離を行った。そして、生じた上澄み液を分取してカーボンナノチューブを安定的に含む分散液を得た。
(6)得られた分散液は、少なくとも4週間まではカーボンナノチューブの凝集、沈殿がみられなかった。
実施例3
分散剤としてPVP(ポリビニルピロリドン)を用いた条件下、実施例1と同様の操作を種々の溶媒で実施した(尚、PVPを用いない条件下でも実施を行った)。その結果を以下の表1に示す。なお、表中のCNT濃度(mg/1mL)とは、得られた分散液1mL当たりに含まれるカーボンナノチューブの質量(mg)を意味する。CNTの濃度は、分散液を5倍に希釈した後、1mmセルを用いたときの可視吸収スペクトルにおける500nmの波長の吸光度(A500)から、以下のような式のように分散液中におけるCNTの吸光係数(ε500=2.86×10cm/g)を用いることによって得られる:
CNT濃度(mg/1mL)=A500[−]×5[−]/(ε500[cm/g]×0.1[cm]×10−3[−])。
上記表1中、SWNT1はCarbon Nanotechnologies, Inc.製単層カーボンナノチューブである。
上記表1中、SWNT2はCarboLex, Inc.製単層カーボンナノチューブである。 上記表1中、MWNT1はNanocyl S.A.製多層カーボンナノチューブである。
上記表1中、PVPはポリビニルピロリドン(平均分子量360,000)である。
上記表1中、「注」の数値は全て分散または溶解したことを示す。
表1の結果を参照すると、以下のことが分かった。
・分散剤としてPVPを用いた場合では、CNT濃度を確認できたのに対して、PVPを用いなかった場合ではCNT濃度が0であった。従って、本発明の製造方法では、PVPが分散剤として重要な役割を果たしている。
・本発明の製造方法では、単層カーボンナノチューブおよび多層カーボンナノチューブの種類に依存することなく、カーボンナノチューブ分散液を製造することができる。
・有機溶媒として用いたメタノール、エタノーおよびイソプロパノールといったアルコールは、本発明でのカーボンナノチューブ分散液の形成に資する。
・有機溶媒として用いた1−メチル−2−ピロリドンおよびN,N−ジメチルホルムアミドといったアミド系有機溶媒は、本発明でのカーボンナノチューブ分散液の形成に資する。
・カーボンナノチューブの分散液を得るには、原料として有機溶媒およびPVPを用いるのみであり、その他の更なる添加剤を特に用いなくてもよい。
・振動粉砕処理自体は、約20分であることを鑑みると、比較的短時間でカーボンナノチューブ分散液を得ることができる。
実施例4
分散剤としてPMET(3−(2−メトキシエトキシ)−エトキシメチルチオフェン)を用いた条件下、実施例2と同様の操作を種々の溶媒で実施した。その結果を以下の表2に示す。なお、表中のCNT濃度(mg/1mL)とは、得られた分散液1mL当たりに含まれるカーボンナノチューブの質量(mg)を意味する。CNTの濃度は、分散液を10倍に希釈した後、1mmセルを用いたときの可視吸収スペクトルにおける700nmの波長の吸光度(A700)から、以下のような式のように分散液中におけるCNTの吸光係数(ε700=2.35×10cm/g)を用いることによって得られる:CNT濃度(mg/1mL)=A700[−]×10[−]/(ε700[cm/g]×0.1[cm]×10−3[−])。
上記表2中、SWNT1はCarbon Nanotechnologies, Inc.製単層カーボンナノチューブである。
上記表2中、PMETは、分散剤として用いた(3−(2−メトキシエトキシ)−エトキシメチルチオフェン)を示しており、いずれも5mg用いた。
表2の結果を参照すると、以下のことが分かった。
・分散剤として用いたPMETは、本発明でのカーボンナノチューブ分散液の形成に資する。
・有機溶媒として用いたクロロホルムといったハロゲン系有機溶媒は、本発明でのカーボンナノチューブ分散液の形成に資する。
・有機溶媒として用いたジメチルスルフォキシドといったスルホキシドは、本発明でのカーボンナノチューブ分散液の形成に資する。
・表1の結果をも併せて参照すると、有機溶媒として用いた1−メチル−2−ピロリドンおよびN,N−ジメチルホルムアミドといったアミド系有機溶媒は、分散剤がPVPであるかPMETであるか否かに依らず、本発明でのカーボンナノチューブ分散液の形成に資する。
・表1の結果と同様、カーボンナノチューブの分散液を得るには、原料として有機溶媒およびPMETを用いるのみであり、その他の更なる添加剤を特に用いなくてもよい。
・表1の結果と同様、振動粉砕処理自体は、約20分であることを鑑みると、比較的短時間でカーボンナノチューブ分散液を得ることができる。
実施例5
(1)1mgの単層カーボンナノチューブ、分散剤として10mgのポリビニルピロリドン(PVP:平均分子量360,000)および2個のメノウボール(球直径5mm)を20mmの底面直径、65mmの長手方向長さを有する円筒形状の密閉容器(当該容器に形成されている円筒形中空部:胴体部分の横断面直径12mm、長手方向長さ50mm)に仕込んだ。
(2)振動機(レッチェ(Retsch)製、MM200)において、密閉容器中空部の長手方向をほぼ水平にした状態で、約30mmの振幅、約30s−1の振動数で当該密閉容器を水平方向に往復運動させた。
(3)約20分間密閉容器を往復運動させた後、密閉容器の中空部から黒色粉末を取り出した。
(4)得られた約11mgの黒色粉末に約1mlのエタノールを加え、遠心分離機(ベックマン・コールター(Beckman Coulter)社製、マイクロフュージ22アール(Microfuge 22R)により、回転数8000rpmで10分間遠心分離を行った後、上澄み液を分取した。
(5)上澄み液を、メンブレンフィルター(アドバンテック社製、型式:T020A025A[カタログ番号]、平均膜孔径0.20μm)でもって濾過した。かかる濾過によって、上澄み液に含まれていたカーボンナノチューブが10%回収された。
(6)濾過で得られた残渣に対して、エタノールを加えることによって、カーボンナノチューブを安定的に含む分散液を得た。
(7)得られた分散液は、少なくとも4週間まではカーボンナノチューブの凝集、沈殿がみられなかった。
図1には、各種溶媒条件下で行った本発明の製造方法で得られたPVP(ポリビニルピロリドン)−単層カーボンナノチューブ(SWNT)の分散液の外観を示している。分散液が黒色を示しており、カーボンナノチューブが用いた有機溶媒に分散していることが確認される。
図2には、各種溶媒条件下で行った本発明の製造方法で得られたPVP(ポリビニルピロリドン)−単層カーボンナノチューブ(SWNT)および多層ナノチューブ(MENT)の分散液の可視−紫外吸収スペクトルを示している。カーボンナノチューブによる吸収が今回の測定領域250〜800nmすべての範囲で観測されており、単層カーボンナノチューブが分散していることを確認した。
図3には、本発明の製造方法で得られたPVP(ポリビニルピロリドン)−単層カーボンナノチューブ(SWNT)の分散液(有機溶媒:イソプロパノール)のRaman吸収スペクトルを示している。150〜300cm−1付近のラジアルブリージングモード(RBM)と、炭素原子の六員環ネットワーク内の格子振動に起因する1550cm−1付近のGバンドが観測されており、単層カーボンナノチューブが分散していることを確認した。150〜300cm−1付近のラジアルブリージングモードは半導体単層カーボンナノチューブに対応し、230〜300cm−1付近のラジアルブリージングモードは金属単層カーボンナノチューブに対応していることから、半導体性単層カーボンナノチューブおよび金属性単層カーボンナノチューブの双方が分散しているものと考えられる。
図4には、各種溶媒条件下で行った本発明の製造方法で得られたPMET(3−(2−メトキシエトキシ)−エトキシメチルチオフェン)−単層カーボンナノチューブ(SWNT)の分散液の外観を示している。図1と同様に、分散液が黒色を示しており、カーボンナノチューブが用いた有機溶媒に分散していることを確認した。
図5には、各種溶媒条件下で行った本発明の製造方法で得られたPMET(3−(2−メトキシエトキシ)−エトキシメチルチオフェン)−単層カーボンナノチューブ(SWNT)の分散液の可視−紫外吸収スペクトルを示している。カーボンナノチューブによる吸収が今回の測定領域300〜800nmすべての範囲で観測され、単層カーボンナノチューブが分散していることを確認した。
図6には、各種溶媒条件下で行った本発明の製造方法で得られたPMET(3−(2−メトキシエトキシ)−エトキシメチルチオフェン)−単層カーボンナノチューブ(SWNT)の分散液の近赤外吸収スペクトルを示している。カーボンナノチューブによる吸収が今回の測定領域800〜1600nmの近赤外領域のすべての範囲で観測され、単層カーボンナノチューブが分散していることを確認した。
[分散液中の単層カーボンナノチューブのTEM写真]
図9(a)および(b)には、本発明の製造方法で得られたカーボンナノチューブ分散液に含まれる単層カーボンナノチューブのTEM写真を示す。図9(a)および(b)は、それぞれ異なる有機溶媒を用いた場合のTEM写真であり、図9(a)では、CHCl、図9(b)では、NMP(1−メチル−2−ピロリドン)を有機溶媒として用いている。かかるTEM写真からは、本発明の製造方法で得られる分散液には、バンドルの解離した単層カーボンナノチューブが含まれることが理解できる。また、このTEM写真から、本発明の製造方法で行う振動粉砕処理の効果は、カーボンナノチューブのバンドルを完全とは言えないまでも解離させる効果があるに留まっており(振動処理によって、カーボンナノチューブが元の形態・形状から細くなっていることから、そのバンドルが少なくとも解離していることが分かる)、カーボンナノチューブ自体の構造を破壊する効果まではないことが理解できるであろう。
[本発明の製造方法と従来技術の超音波法との比較実験]
本発明の製造方法で行う振動粉砕処理の効果を従来技術との比較で確認するために、本発明の製造方法と超音波法との2つの製造方法を実施した。
(1)本発明の製造方法によるカーボンナノチューブ分散液の製造
有機溶媒としてNMP(1−メチル−2−ピロリドン)、DMF(N,N−ジメチルホルムアミド)、CHCl(クロロホルム)、DMSO(ジメチルスルホキシド)をそれぞれ用いて本発明の製造方法でカーボンナノチューブ分散液(試料A)を製造した。具体的には、
(i)1mgの単層カーボンナノチューブ(Carbon Nanotechnologies Incorporated製)、5mgの分散剤(具体的にはポリチオフェン)および2個のメノウボール(球直径5mm)を20mmの底面直径、65mmの長手方向長さを有する円筒形状の密閉容器(当該容器に形成されている円筒形中空部:胴体部分の横断面直径12mm、長手方向長さ50mm)に仕込んだ。
(ii)振動機(レッチェ(Retsch)製、MM200)において、密閉容器中空部の長手方向をほぼ水平にした状態で、約30mmの振幅、約30s−1の振動数で当該密閉容器を水平方向に往復運動させた。
(iii)約20分間密閉容器を往復運動させた後、密閉容器中空部から黒色粉末を取り出した。
(iv)得られた約6mgの黒色粉末に約1mLの有機溶媒を加えることによって、単層カーボンナノチューブを安定的に含む分散液の試料Aを得た(単層カーボンナノチューブの沈殿物は、遠心分離(18000rpm,20分、約25℃(室温))により水溶液から除去した)。
(2)超音波法の実施
従来技術の超音波法でカーボンナノチューブ分散液の製造を試みた。有機溶媒は、上述の本発明の製造方法と同じくNMP(1−メチル−2−ピロリドン)、DMF(N,N−ジメチルホルムアミド)、CHCl(クロロホルム)、DMSO(ジメチルスルホキシド)をそれぞれ用いて試料Bを調製した。操作方法・実験条件は次の通りである。
(i)まず、10mLガラスバイアルに対して、1.0mgの単層カーボンナノチューブ(Carbon Nanotechnologies Incorporated製)および5mgの分散剤(具体的にはポリチオフェン)を仕込んだ後、約1mLの有機溶媒を仕込むことによって混合物を得た。
(ii)超音波バス(40W、42KHz、5510 Branson Ultrasonic Corp.)を用いて、(i)で得られた混合物を90分超音波処理に付した。
(iii)その後、(ii)で得られた混合物をマイクロ遠心管(Eppendorf AG)に仕込んで遠心処理に付し、沈殿物を除去することよって試料Bを得た。
(3)結果
本発明の製造方法で得られた試料Aおよび超音波法で得られた試料Bについて、カーボンナノチューブ濃度を可視吸収スペクトルにおける500nmの波長の吸光度(A500)から算出した(実施例3参照)。結果を表3に示す。
表3を参照すると、本発明の製造方法で得られた試料Aにはカーボンナノチューブが含まれているのに対して、試料BにはCHClの条件を除いてカーボンナノチューブは含まれていないことが分かる。このことから、分散剤および/または有機溶媒だけではカーボンナノチューブが分散することはなく、あくまで振動粉砕処理があって初めてカーボンナノチューブが分散することが把握でき、本発明の製造方法の振動粉砕処理の効果が優れていることが理解できた。尚、振動粉砕処理では、超音波処理と違ってカーボンナノチューブに対して直接的に剪断力が大きく働くことになる点で、カーボンナノチューブのバンドルの解離に対して特に有利な効果があるものと考えられる。
本発明の製造方法で得られたカーボンナノチューブ分散液は、ガス吸蔵品(例えば車または船舶等の水素ガス燃料を保存する水素吸蔵媒体)または電極(リチウム二次電池などに用いる負極)の製造に用いることができることができるだけでなく、電界放出ディスプレイ用エミッター、光電変換素子または化粧品の製造にも用いることができる。

Claims (25)

  1. カーボンナノチューブを含んで成る分散液を製造する方法であって、
    (i)カーボンナノチューブと環式有機化合物とを5〜120s−1の振動数で振動粉砕に付し、カーボンナノチューブ混合物を得る工程、および
    (ii)カーボンナノチューブ混合物に有機溶媒を加えて、カーボンナノチューブを含んで成る分散液を得る工程
    を含んで成り、
    工程(i)で用いる環式有機化合物が工程(ii)で用いる有機溶媒に対して可溶性を有する、カーボンナノチューブ分散液の製造方法。
  2. カーボンナノチューブ、環式有機化合物および硬球を容器内に供した後、容器に対して硬球を振動させることよって、振動粉砕を実施することを特徴とする、請求項1に記載の方法。
  3. 容器を一定方向に往復運動させることによって、容器に対して硬球を振動させており、
    容器を往復運動させる際の振幅Wと容器を往復運動させる方向の容器中空部長さLとの比W:Lが1:1.3〜15:1であることを特徴とする、請求項2に記載の方法。
  4. 硬球の個数が1〜6個であって、容器中空部体積に対する硬球の総体積の割合が0.5〜10%であることを特徴とする、請求項2に記載の方法。
  5. 環式有機化合物が、ポリビニルピロリドン、ポリスチレンスルホネートおよびポリチオフェンからなる群から選択される、請求項1に記載の方法。
  6. 環式有機化合物が、π系化合物であることを特徴とする、請求項1に記載のカーボンナノチューブ分散液の製造方法。
  7. π系化合物が、ポルフィリン誘導体、ピレン誘導体、アントラセン誘導体およびポリチオフェン誘導体から成る群から選択されることを特徴とする、請求項6に記載の方法。
  8. 有機溶媒が、アルコール、エーテル系有機溶媒、アミド系有機溶媒、スルホキシドまたはハロゲン系有機溶媒であることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
  9. アルコールが、メタノール、エタノール、イソプロパノールおよびt−ブタノールから成る群から選択されることを特徴とする、請求項8に記載の方法。
  10. エーテル系有機溶媒が、ジエチルエーテルおよびテトラヒドロフランから成る群から選択されることを特徴とする、請求項8に記載の方法。
  11. アミド系有機溶媒が、1−メチル−2−ピロリドンおよびN,N−ジメチルホルムアミドから成る群から選択されることを特徴とする、請求項8に記載の方法。
  12. スルホキシドがジメチルスルホキシドであることを特徴とする、請求項8に記載の方法。
  13. ハロゲン系有機溶媒が、クロロホルム、塩化メチレンおよび1,1,2,2−テトラクロロエタンから成る群から選択されることを特徴とする、請求項8に記載の方法。
  14. 振動数が20〜50s−1であることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
  15. 振動粉砕を2分〜2時間行うことを特徴とする、請求項1に記載の方法。
  16. カーボンナノチューブ混合物を得る工程(i)において、カーボンナノチューブのバンドルを少なくとも部分的に解離させることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
  17. 分散液を得る工程(ii)において、カーボンナノチューブ混合物に有機溶媒を加えた後、得られる混合物を遠心分離に付すことを特徴とする、請求項1に記載の方法。
  18. 前記遠心分離に付すことによって得られる上澄みをフィルター濾過し、得られる残渣に対して前記有機溶媒と同じ主成分から成る溶媒を加える工程を更に含んで成り、
    フィルター濾過に用いるメンブレンフィルターが、上澄みに含まれているカーボンナノチューブを5〜95%回収することを特徴とする、請求項17に記載の方法。
  19. 分散液を得る工程(ii)において、カーボンナノチューブ混合物に有機溶媒を加え、得られる混合物を遠心分離に付した後、その混合物中の沈殿物を分取し、沈殿物に対して前記有機溶媒と同じ主成分から成る溶媒を加えることを特徴とする、請求項6に記載の方法。
  20. カーボンナノチューブ膜を表面に有する基材を含む部材であって、
    カーボンナノチューブ膜が、請求項1に記載の方法によって得られるカーボンナノチューブ分散液を、基材の表面に塗布することによって形成される膜である部材。
  21. ガス吸蔵品として用いられる、請求項20に記載の部材。
  22. 電極として用いられる、請求項20に記載の部材。
  23. 請求項1に記載の方法によって得られるカーボンナノチューブ分散液を含有する高分子材料。
  24. カーボンナノチューブを含有する有機高分子材料からなる部材であって、
    請求項1に記載の方法によって得られるカーボンナノチューブ分散液を、他の有機高分子材料に混合し成型することによって得られる部材。
  25. カーボンナノチューブ、ポリチオフェンおよび1−メチル−2−ピロリドンを含んで成る、カーボンナノチューブ分散液。
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